IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

2023-49705燃料電池用セパレータの製造方法及び燃料電池用セパレータ
<>
  • -燃料電池用セパレータの製造方法及び燃料電池用セパレータ 図1
  • -燃料電池用セパレータの製造方法及び燃料電池用セパレータ 図2
  • -燃料電池用セパレータの製造方法及び燃料電池用セパレータ 図3
  • -燃料電池用セパレータの製造方法及び燃料電池用セパレータ 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023049705
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】燃料電池用セパレータの製造方法及び燃料電池用セパレータ
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0206 20160101AFI20230403BHJP
   H01M 8/0228 20160101ALI20230403BHJP
   C25D 15/00 20060101ALI20230403BHJP
   C25D 13/20 20060101ALI20230403BHJP
   C25D 13/00 20060101ALI20230403BHJP
   C25D 13/12 20060101ALI20230403BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20230403BHJP
【FI】
H01M8/0206
H01M8/0228
C25D15/00 C
C25D15/00 D
C25D15/00 E
C25D13/20 Z
C25D13/00 307D
C25D13/00 J
C25D13/12 A
H01M8/10 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021159612
(22)【出願日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】川島 慎太郎
【テーマコード(参考)】
5H126
【Fターム(参考)】
5H126AA08
5H126AA12
5H126BB06
5H126DD05
5H126EE03
5H126EE43
5H126GG02
5H126GG05
5H126GG18
5H126HH01
5H126HH03
5H126HH04
5H126HH10
5H126JJ00
5H126JJ03
5H126JJ05
5H126JJ06
(57)【要約】
【課題】 金属からなるセパレータの表面の酸化を抑制し、酸化膜の形成を防止して、性能の優れた燃料電池用セパレータを製造することができる燃料電池用セパレータの製造方法を提供する。
【解決手段】 金属からなる支持体を、第1の電解液中に浸漬するとともに、前記支持体を陽極側として電流を流し、前記支持体の表面をクリーニングする逆電解工程と、前記支持体を導電材粒子及び樹脂粒子が分散した塩基性の第2の電解液中に浸漬するとともに、前記支持体を陽極側として電流を流し、前記導電材粒子及び前記樹脂粒子を前記支持体に付着させるアニオン電着工程と、前記樹脂粒子を加熱して前記支持体に融着させて被覆層を形成する融着工程と、を行うことを特徴とする燃料電池用セパレータの製造方法。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属からなる支持体を、第1の電解液中に浸漬するとともに、前記支持体を陽極側として電流を流し、前記支持体の表面をクリーニングする逆電解工程と、
前記支持体を導電材粒子及び樹脂粒子が分散した塩基性の第2の電解液中に浸漬するとともに、前記支持体を陽極側として電流を流し、前記導電材粒子及び前記樹脂粒子を前記支持体に付着させるアニオン電着工程と、
前記樹脂粒子を加熱して前記支持体に融着させて被覆層を形成する融着工程と、
を行うことを特徴とする燃料電池用セパレータの製造方法。
【請求項2】
前記逆電解工程と、前記アニオン電着工程とは、連続して行う請求項1に記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
【請求項3】
前記支持体は、アルミニウム又はアルミニウム合金である請求項1又は2に記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
【請求項4】
前記第1の電解液及び/又は前記第2の電解液は、pHが8~11である請求項1~3のいずれか1項に記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
【請求項5】
前記逆電解工程における電圧は10~40Vである請求項1~4のいずれか1項に記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
【請求項6】
前記アニオン電着工程における電圧は10~80Vである請求項1~5のいずれか1項に記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
【請求項7】
前記導電材粒子は、炭素系粒子である請求項1~6のいずれか1項に記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
【請求項8】
前記樹脂粒子はアルミニウム粒子を含む請求項7に記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
【請求項9】
前記支持体の表面の面粗さ(Ra)は、前記逆電解工程後、前記アニオン電着工程の前において10~50μmである請求項1~8のいずれか1項に記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
【請求項10】
前記被覆層は、厚さが1~100μmである請求項1~9のいずれか1項に記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
【請求項11】
前記支持体は、あらかじめ表面に流路パターンを有する請求項1~10のいずれか1項に記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
【請求項12】
金属からなる支持体と、前記支持体を覆う被覆層とからなり、
前記被覆層は導電材粒子を含有する樹脂であることを特徴とする燃料電池用セパレータ。
【請求項13】
前記支持体は、アルミニウム又はアルミニウム合金である請求項12に記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項14】
前記導電材粒子は、炭素系粒子である請求項12又は13に記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項15】
前記被覆層はアルミニウム粒子を含む請求項14に記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項16】
前記支持体の表面の面粗さ(Ra)は、10~50μmである請求項12~15のいずれか1項に記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項17】
前記被覆層は、厚さが1~100μmである請求項12~16のいずれか1項に記載の燃料電池用セパレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池用セパレータの製造方法及び燃料電池用セパレータに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、クリーンで発電効率の高い次世代の発電装置が望まれており、酸素及び水素の持つ化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する燃料電池に対する期待が高まっている。
燃料電池の種類の1つである固体高分子電解質型燃料電池(PEFC)では、プロトン導電性を有するイオン交換膜の1つである固体高分子膜(以下、プロトン交換膜ともいう)からなる電解質層の両側に、白金等の金属触媒を担持する一対の電極が配置されて膜・電極積層体が構成されており、膜・電極積層体の両側に、膜・電極積層体の外周部を挟持するように一対の燃料電池用セパレータが配置されて単セルが構成される。
このような燃料電池では、単セルが形成できる電位差が小さいため、電圧を高め利用しやすいように複数の単セルを直列にスタックして用いられる。そのため、単セルの空気極、燃料極を互いに分離するとともに、電流を通過させるセパレータが重要な機能を果たしている。
セパレータには、空気と水素が互いに混ざらないような高い気密性、電力のロスとならないような高い導電性、及び、セルに加わる電位差によって電蝕が起きないような高い耐食性が必要である。
このような特性を備える素材としては貴金属類が挙げられるが、燃料電池1台当たりの使用量が多く、コストが高いため、低コストの素材を用いた様々なセパレータが提案されている。
【0003】
特許文献1には、導電性と気体不透過性とに優れた燃料電池用セパレータとして、アルミニウムなどの金属基材と、該金属基材を被覆するように電着により形成された導電性の樹脂層と、該樹脂層を被覆する撥水性薄膜とを備え、前記樹脂層は導電材料を含有することを特徴とする燃料電池用のセパレータが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-69252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
金属を燃料電池用セパレータとして使用すると、表面が酸化し、酸化物が異物となったり酸化膜形成によって導電性を低下させることがある。
本発明では、金属からなるセパレータの表面の酸化を抑制し、酸化膜の形成を防止して、性能の優れた燃料電池用セパレータを製造することができる燃料電池用セパレータの製造方法、及び、燃料電池用セパレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための本発明の燃料電池用セパレータの製造方法は、金属からなる支持体を、第1の電解液中に浸漬するとともに、前記支持体を陽極側として電流を流し、前記支持体の表面をクリーニングする逆電解工程と、前記支持体を導電材粒子及び樹脂粒子が分散した塩基性の第2の電解液中に浸漬するとともに、前記支持体を陽極側として電流を流し、前記導電材粒子及び前記樹脂粒子を前記支持体に付着させるアニオン電着工程と、前記樹脂粒子を加熱して前記支持体に融着させて被覆層を形成する融着工程と、を行うことを特徴とする。
【0007】
本発明の燃料電池用セパレータの製造方法によれば、金属からなる支持体の表面を陽極側として電流を流し、支持体の表面をクリーニングしているので酸化膜を除去することができる。さらに導電材粒子及び樹脂粒子が分散した塩基性の第2の電解液中に浸漬するとともに前記支持体を陽極側として電流を流し、前記導電材粒子及び前記樹脂粒子を前記支持体に付着させるアニオン電着工程を行い、樹脂粒子を加熱し融着させ被覆層を形成している。このような工程を経ると、支持体に酸化膜が形成される前に支持体の表面に被覆層が形成されるので、支持体が大気に接することなく酸化膜が形成されず、高い導電率を有する燃料電池用セパレータを得ることができる。
また、被覆層は導電材粒子を有しているので、燃料電池用セパレータの表面と支持体間の導通も確保できる。
燃料電池用セパレータの全体の強度は支持体が確保しているので、被覆層には厚さ及び高い強度は特に必要ではなく、厚さの薄い軽量な燃料電池用セパレータを得ることができる。
【0008】
また、本発明の燃料電池用セパレータの製造方法は以下の態様であることが好ましい。
本発明の燃料電池用セパレータの製造方法では、前記逆電解工程と、前記アニオン電着工程とは、連続して行うことが好ましい。
逆電解工程で支持体の表面の酸化膜を除去したのちにそのままアニオン電着工程を行うので、支持体の表面に酸化膜が形成される前に表面を樹脂粒子で覆い被覆層を形成することができる。そのため、燃料電池用セパレータの抵抗が上昇することをより防止できる。
【0009】
本発明の燃料電池用セパレータの製造方法では、前記支持体は、アルミニウム又はアルミニウム合金であることが好ましい。
アルミニウム又はアルミニウム合金を支持体として使用していると、軽量で高い導電率の燃料電池用セパレータが得られる。
【0010】
本発明の燃料電池用セパレータの製造方法では、前記第1の電解液及び/又は前記第2の電解液は、pHが8~11であることが好ましい。第1の電解液及び/又は第2の電解液のpHが上記範囲であると、アニオン電着工程では、均一に導電材粒子が付着し良好な被覆層を得ることができる。また、逆電解工程では、アニオン電着工程と同等のpHであるので、支持体をそのまま浸漬しても電着液への悪影響を少なくすることができる。
【0011】
本発明の燃料電池用セパレータの製造方法では、前記逆電解工程における電圧は10~40Vであることが好ましい。
逆電解工程における電圧が上記範囲であると一定のエッチングの速度(エッチングレート)が得られるとともに、気体を生成させるなど逆電解以外で消費されるエネルギーを少なくできエネルギーロスを少なくすることができる。
【0012】
本発明の燃料電池用セパレータの製造方法では、前記アニオン電着工程における電圧は10~80Vであることが好ましい。
前記アニオン電着工程における電圧が上記範囲であると一定のアニオン電着の速度が得られるとともに、気体を生成させるなどアニオン電着以外で消費されるエネルギーを少なくできエネルギーロスを少なくすることができる。
【0013】
本発明の燃料電池用セパレータの製造方法では、前記導電材粒子は、炭素系粒子であることが好ましい。
導電材粒子が炭素系粒子であると、高い導電率を有するとともに腐食に強いので耐食性のある燃料電池用セパレータを提供することができる。
また、導電材粒子として炭素系粒子を用いると、アニオン電着工程において分散しやすく、炭素系粒子が均一に分布した被覆層を得ることができる。
【0014】
本発明の燃料電池用セパレータの製造方法では、前記樹脂粒子はアルミニウム粒子を含むことが好ましい。
樹脂粒子がアルミニウム粒子を含んでいると、アルミニウム粒子が燃料電池用セパレータの表面から浸透してきた酸素や水と反応し、酸素や水の支持体の表面への到達を防止することができる。アルミニウム粒子は被覆層中に分散して存在するようになるので、水や酸素と反応し酸化物となった後でも被覆層に導電パスを確保でき、燃料電池用セパレータの抵抗の上昇を防止することができる。
【0015】
本発明の燃料電池用セパレータの製造方法では、前記支持体の表面の面粗さ(Ra)は、前記逆電解工程後、前記アニオン電着工程の前において10~50μmであることが好ましい。
被覆層を形成する直前における支持体の表面の面粗さが上記範囲内であると、支持体と被覆層とを強固に接合することができる。
【0016】
本発明の燃料電池用セパレータの製造方法では、前記被覆層は、厚さが1~100μmであることが好ましい。
被覆層の厚さが1μm以上であると、酸素や水の支持体の表面への到達を防止して支持体の酸化を好適に防ぐことができる。また、被覆層の厚さが100μm以下であると導電性が好適に確保できる。
【0017】
本発明の燃料電池用セパレータの製造方法では、前記支持体は、あらかじめ表面に流路パターンを有することが好ましい。
支持体があらかじめ表面に流路パターンを有するものであると、被覆層を形成したあとからプレス加工等によって変形させる工程がないので、形成された被覆層に損傷が加わらず、クラックなどによって支持体が露出することを防止できる。
【0018】
また、本発明の燃料電池用セパレータは、金属からなる支持体と、前記支持体を覆う被覆層とからなり、前記被覆層は導電材粒子を含有する樹脂であることを特徴とする。
【0019】
本発明の燃料電池用セパレータによれば、金属からなる支持体と、支持体を覆う被覆層とからなるので、使用中に金属の表面に酸化膜が形成されることを防止でき、セパレータにおける電力ロスを低減し、性能の優れたセパレータを提供することができる。
また、被覆層には導電材粒子を含有しているので、燃料電池用セパレータの表面と支持体間の導通も確保できる。
【0020】
また、本発明の燃料電池用セパレータは以下の態様であることが好ましい。
【0021】
本発明の燃料電池用セパレータでは、前記支持体は、アルミニウム又はアルミニウム合金であることが好ましい。
アルミニウム又はアルミニウム合金を支持体として使用していると、軽量で高い導電率の燃料電池用セパレータが得られる。
【0022】
本発明の燃料電池用セパレータでは、前記導電材粒子は、炭素系粒子であることが好ましい。
導電材粒子が炭素系粒子であると、高い導電率を有するとともに腐食に強いので耐食性のある燃料電池用セパレータを提供することができる。
【0023】
本発明の燃料電池用セパレータでは、前記被覆層はアルミニウム粒子を含むことが好ましい。
被覆層がアルミニウム粒子を含んでいると、アルミニウム粒子が燃料電池用セパレータの表面から浸透してきた酸素や水と反応し、酸素や水の支持体への到達を防止することができる。アルミニウム粒子は被覆層中に分散して存在するようになるので、水や酸素と反応した後でも被覆層に導電パスを確保でき、燃料電池用セパレータの抵抗の上昇を防止することができる。
【0024】
本発明の燃料電池用セパレータでは、前記支持体の表面の面粗さ(Ra)は、10~50μmであることが好ましい。
支持体の表面の面粗さが上記範囲内であると、支持体と被覆層とを強固に接合することができる。
【0025】
本発明の燃料電池用セパレータでは、前記被覆層は、厚さが1~100μmであることが好ましい。
被覆層の厚さが1μm以上であると、酸素や水の支持体の表面への到達を防止して支持体の酸化を好適に防ぐことができる。また、被覆層の厚さが100μm以下であると導電性が好適に確保できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の燃料電池用セパレータの製造方法によれば、金属からなる支持体の表面を陽極側として電流を流し、支持体の表面をクリーニングしているので酸化膜を除去することができる。さらに導電材粒子及び樹脂粒子が分散した塩基性の第2の電解液中に浸漬するとともに前記支持体を陽極側として電流を流し、前記導電材粒子及び前記樹脂粒子を前記支持体に付着させるアニオン電着工程を行い、樹脂粒子を加熱し融着させ被覆層を形成している。このような工程を経ると、支持体に酸化膜が形成される前に支持体の表面に被覆層が形成されるので、支持体が大気に接することなく酸化膜が形成されず、高い導電率を有する燃料電池用セパレータを得ることができる。
また、被覆層は導電材粒子を有しているので、燃料電池用セパレータの表面と支持体間の導通も確保できる。
燃料電池用セパレータの全体の強度は支持体が確保しているので、被覆層には厚さ及び強度は特に必要ではなく、厚さの薄い軽量な燃料電池用セパレータを得ることができる。
【0027】
本発明の燃料電池用セパレータによれば、金属からなる支持体と、支持体を覆う被覆層とからなるので、使用中に金属の表面に酸化膜が形成されることを防止でき、セパレータにおける電力ロスを低減し、性能の優れたセパレータを提供することができる。
また、被覆層には導電材粒子を含有しているので、燃料電池用セパレータの表面と支持体間の導通も確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1A図1B図1C及び図1Dは、本発明の燃料電池用セパレータの製造方法の一例を示す工程フローである。
図2図2A図2B及び図2Cは、本発明の燃料電池用セパレータの製造方法を模式的に示す工程図である。
図3図3は、本発明の燃料電池用セパレータの構成の一例を模式的に示す断面図である。
図4図4は、実施例1で製造された燃料電池用セパレータの断面を模式的に示す断面図である。
【0029】
(発明の詳細な説明)
本発明の燃料電池用セパレータの製造方法について、順に工程を説明する。
本発明の燃料電池用セパレータの製造方法においては、「逆電解工程」「アニオン電着工程」「融着工程」が必須であるが、そのほかに必要に応じて「ブラスト処理工程」、「脱脂工程」、「水洗工程」、「パターン形成工程」などの工程を行ってもよい。
なお支持体に対するパターン形成工程は、支持体にパターンを形成する場合には必須であるが、被覆層のみの凹凸でパターンを形成する場合には不要である。
パターン形成工程は、どの段階で実施してもよいが、最初の工程として実施してもよいし、逆電解工程の直前でもよい。また、被覆層がパターン形成時の変形に耐えることができ、クラック等が出来ないようであれば、後述する融着工程の後で実施してもよい。
【0030】
図1A図1B図1C及び図1Dは、本発明の燃料電池用セパレータの製造方法の一例を示す工程フローである。
図1Aは、必須のプロセスのみで構成され、支持体の表面に逆電解工程、アニオン電着工程、融着工程を経て被覆層が形成される。
図1Bは、逆電解工程の前にアルカリ脱脂工程、水洗工程が実施されたものである。図1Bに示す工程では、支持体の表面に付着した汚れを先に洗浄するので、効率よく逆電解工程を行うことができる。
図1Cは、さらにアルカリ脱脂工程の前にパターン形成工程を実施したものである。パターン形成工程では、プレス型の汚れが付着しやすいので、アルカリ脱脂工程、水洗工程を経ることにより、効率よく逆電解工程を行うことができる。
図1Dは、アルカリ脱脂工程の前にブラスト処理工程を実施したものである。ブラスト処理で付着した汚れに対してアルカリ脱脂、水洗工程を経ることによって効率よく逆電解工程を行うことができる。
【0031】
以下、概ね工程の順に説明する。
図2A図2B及び図2Cは、本発明の燃料電池用セパレータの製造方法を模式的に示す工程図である。
図2Aは、逆電解工程を模式的に示す模式図であり、図2Bは、アニオン電着工程を模式的に示す模式図である。図2Cは、融着工程を模式的に示す模式図である。
【0032】
[逆電解工程]
逆電解工程では、金属からなる支持体を、第1の電解液中に浸漬するとともに、支持体を陽極側として電流を流し、支持体の表面をクリーニングする。
まず、逆電解工程に供する支持体及び逆電解工程前に支持体に対して行う前処理について説明する。
【0033】
《支持体》
本発明の支持体は、金属からなる。金属としては特に限定されないが、例えばアルミニウム、チタンなどの両性金属、これらの金属を主成分とするアルミニウム合金、チタニウム合金のほか、ステンレスなどが挙げられる。
中でも、アルミニウム又はアルミニウム合金が支持体として好ましい。アルミニウム又はアルミニウム合金は、軽量である上に、導電率、熱伝導率が高く、燃料電池用セパレータとして使用することにより、セル間の抵抗を低下させることができる上に、燃料電池全体を軽量化でき、セルの温度コントロールが容易にでき、燃料電池用セパレータとして好適に使用することができる。
【0034】
アルミニウム合金としては、例えばAl-Cu系、Al-Mn系、Al-Si系、Al-Mg系、Al-Mg-Si系、Al-Zn-Mg系のジェラルミンが利用できる。これらのアルミニウム合金は、アルミニウムに対し導電性が劣るものの強度が高いため薄くすることができ、セパレータを貫通する方向の抵抗を下げることができる。
1枚の燃料電池用セパレータは2つのセルに挟まれるか、1つのセルと集電板とに挟まれて用いられる。このため、燃料電池用セパレータの面積、すなわち支持体の面積は、セルの大きさとほぼ同じとなる。
支持体の大きさは、例えば、10×10~500×500cm程度であることが好ましい。厚さは例えば0.1~3mm程度であることが好ましい。なお、セパレータを貫通するように電流が流れるので、大電流の燃料電池ほど大きな面積を必要とする。
【0035】
《パターン形成工程》
支持体は、平面で用いるのではなく、その表面に、燃料ガス、空気、冷却水の流路が形成されるよう変形させた流路パターンが形成されていてもよい。流路パターンは、高さ0.5~3mm程度の凹凸であることが好ましい。
変形の方法は、特に限定されないが、プレス成形、エッチング、機械加工などが適用できる。
パターン形成工程を最初の工程として実施する場合には、パターン形成工程で付着した汚れを除去できるので、切削液を使用する機械加工、離型剤を用いるプレス成形などを選択しても悪影響を少なくすることができる。
【0036】
《ブラスト処理》
支持体は、圧延したままの板を使用してもよいが、被覆層の付着力が強くなるように表面を荒らし、表面積を増やすようブラスト処理を行ってもよい。
ブラスト処理は、例えばメディアとしてアルミナなどのセラミック粒子や、氷、ドライアイスを用いることができ、ショットブラスト、エアーブラストなどの方法で表面を荒らすことにより実施することができる。
【0037】
《アルカリ脱脂》
特にパターン形成後の支持体の表面には、汚れや圧延時に使用した油脂などが付着しているため、あらかじめ脱脂することが好ましい。
本発明では、後に塩基性の電解液(第2の電解液)を用いるアニオン電着工程を行うので、脱脂液が塩基性であれば、完全に除去せずそのまま逆電解工程、アニオン電着工程を行っても電解液のpHへの影響を少なくすることができる。
使用する脱脂液としては、例えばケイ酸ナトリウム、水酸化ナトリウムなどが利用できる。
支持体を脱脂液に浸漬することで、支持体の表面の油脂分が取り除かれる。なお、例えば脱脂液の温度は15~60℃、浸漬の時間は5~15分、pHは12~13とすることができる。
【0038】
《水洗》
アルカリ脱脂を行った後は、脱脂液を取り除く水洗工程を行ってもよい。アルカリ脱脂で取り除かれた汚れや、脱脂液が第1の電解液、第2の電解液に及ばないよう水洗工程を加えてもよい。アルカリ脱脂工程後に水洗工程を加えることにより、第1の電解液、第2の電解液の劣化を遅くすることができる。
【0039】
《逆電解工程》
逆電解工程では、支持体の表面に形成された酸化膜を除去する。酸化膜は絶縁性であるので、支持体の導電性を低下させるように作用する。
逆電解工程では、第1の電解液中に支持体と、対称電極とを浸漬し、支持体を陽極、対称電極を陰極として通電し、逆電解する。逆電解によって、支持体の表面の酸化膜をエッチングし取り除くことができる。
図2Aには、第1の電解液30中に、支持体10と、対称電極20とを浸漬し、支持体10を陽極、対称電極20を陰極として通電し、逆電解する工程を示している。逆電解によって、支持体10表面の酸化膜11をエッチングし取り除くことができる。
逆電解工程で使用する第1の電解液はどのようなものを用いてもよく特に限定されないが、液層の成分に関しては、後のアニオン電着工程で使用する第2の電解液と同一の成分のものを使用することが望ましい。逆電解工程とアニオン電着工程を連続して行うことができる。
第1の電解液はそのpHが8~11であることが好ましく、8.5~9.5であることがより好ましい。
逆電解工程では、電圧が10~40Vであることが好ましい。
逆電解工程における電圧が上記範囲であると十分なエッチングの速度(エッチングレート)が得られるととともに、エネルギーロスを少なくすることができる。
また、逆電解工程では、浴温度が20~70℃、電流密度100~500A/mであることが好ましい。
【0040】
また、逆電解中は、支持体を振動させたり電解液を攪拌したりして、表面に形成された酸化膜を破壊するようにすることが好ましい。
また、逆電解工程では、機械的な加工でないため、微細な凹凸を形成することができる。さらに逆電解工程では、導電性の高い部分から逆電解が選択的に進行するので、酸化膜の表面の傷、穴から電解液が侵入し奥の方から逆電解が進行し、やがては酸化膜を除去するに至る。先に電解液が浸透した部分では凹部が深くなり、酸化膜の表面にある欠陥の分布に従った凹凸が形成されやすい。このため、機械的なブラスト処理による凹凸よりも細かく、全体の表面積が大きくなる凹凸を形成することができる。
【0041】
アルミニウムは標準電極電位が低い(碑な金属)であるため、酸化膜も高い電圧を加えることにより除去することができる。また、両性金属であるため、化学種エッチングを行った場合、酸化又は水酸化物による不導体膜が生じてしまう。そのため、逆電解により酸化膜を除去するようにする。
【0042】
支持体の表面の面粗さ(Ra)は、逆電解工程後、アニオン電着工程の前において10~50μmであることが好ましい。
被覆層を形成する直前における支持体の表面の面粗さが上記範囲内であると、支持体と被覆層とを強固に接合することができる。
支持体の表面の面粗さ(Ra)は断面撮影または表面のレーザー顕微鏡による高さ測定から凹凸のパターンを取得し数値解析により測定することができる。
なお、レーザー顕微鏡では、測定面の正面からレーザー光線を当て、走査しながら光軸方向の距離情報が得られるので切断することなく最表面部分の断面形状が得られる。これに対し、被覆層が形成された後の支持体の断面形状は、実際に切断し表面を研磨することで得ることができる。
【0043】
《アニオン電着工程》
アニオン電着工程では、表面の酸化膜が除去された支持体を導電材粒子及び樹脂粒子が分散した塩基性の第2の電解液中に浸漬するとともに、支持体を陽極側として電流を流し、導電材粒子及び樹脂粒子を支持体に付着させる。
図2Bには、導電材粒子50及び樹脂粒子60を含む第2の電解液40中に、表面の酸化膜が除去された支持体10と、対称電極20とを浸漬し、支持体10を陽極、対称電極20を陰極として通電し、導電材粒子50及び樹脂粒子60を支持体10に付着させる工程を示している。
第2の電解液は導電材粒子及び樹脂粒子が分散した塩基性の電解液である。
第2の電解液はそのpHが8~11であることが好ましく、8.5~9.5であることがより好ましい。
【0044】
導電材粒子は炭素系粒子が好ましく、炭素系粒子として、グラフェン、カーボンナノチューブ、黒鉛粒子が好ましい。黒鉛粒子が特に好ましい。黒鉛粒子は導電性、化学的安定性が高く、燃料電池用セパレータの被覆層として好適に利用できる。また、黒鉛粒子は、塩基性の電解液中で分散しやすく、均一な被覆層を形成することができる。導電材粒子の平均粒子径は1~10μmであることが望ましい。
【0045】
樹脂粒子としては、アニオン性の樹脂を使用する。アニオン性の樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン化油樹脂、ポリブタジエン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。また、上記のアニオン性合成高分子樹脂とメラミン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂等の架橋性樹脂とを併用してもよい。
【0046】
樹脂粒子はアルミニウム粒子を含むことが好ましい。樹脂粒子がアルミニウム粒子を含む形態としては、樹脂粒子の周囲をアルミニウムの膜で被覆した粒子、アルミニウム粒子の周囲を樹脂の膜で被覆した粒子が挙げられる。
【0047】
導電材粒子と、樹脂粒子の体積比(導電材粒子:樹脂粒子)は、特に限定されないが20:80~80:20であることが好ましい。導電材粒子の比率を高くすると抵抗値を小さくすることができ、樹脂粒子の比率を高くすると、電解液の侵入を防止し、支持体の腐食を防止することができる。
【0048】
アニオン電着工程では、電圧が10~80Vであることが好ましく、30~60Vであることがより好ましい。
アニオン電着工程における電圧が上記範囲であると電極反応における気体生成が抑制され気孔のない膜を形成できる。
また、アニオン電着工程では、浴温度が20~40℃、電流密度100~500A/mであることが好ましい。また、浴温度が28~40℃、電流密度100~500A/mであることが好ましい。
アニオン電着工程で用いる第2の電解液は、液相成分に関しては逆電解工程で用いる第1の電解液と同一の成分であることが好ましい。すなわち、第2の電解液は、第1の電解液に導電材粒子及び樹脂粒子が含まれたものである。
【0049】
逆電解工程と、アニオン電着工程とは、同一の電解液で連続して行うことが好ましい。
この場合、第2の電解液と第1の電解液で液相は同一成分である。例えば、逆電解工程では液相成分のみの第1の電解液で行い、アニオン電着工程ではさらに樹脂粒子、導電材粒子を添加し第2の電解液としたのちアニオン電着工程を実施することができる。
逆電解工程で支持体の表面の酸化膜を除去したのちにそのままアニオン電着工程を行うので、支持体の表面に酸化膜が形成される前に表面を樹脂粒子で覆い被覆層を形成することができる。そのため、燃料電池用セパレータの抵抗が上昇することをより防止できる。
【0050】
《融着工程》
融着工程では、陽極側の支持体を一旦引き上げ、電解液を除去したのち熱を加えて樹脂粒子を導電材粒子ともに支持体上に融着させて被覆層を形成する。
図2Cには、融着工程を経て、支持体10上に形成された被覆層70を示している。
融着させる温度は特に限定されないが、例えば100~150℃(30min)で融着することができる。また、導電材粒子の含有率が多い場合、単に熱を加えただけでは導電材粒子どうしが反発して密度が上がりにくいので加圧を併用してもよい。融着工程で加える圧力は例えば0.01~10MPaであることが好ましい。
【0051】
融着工程で形成される被覆層は、厚さが1~100μmであることが好ましい。
被覆層の厚さが1μm以上であると、酸素や水の支持体の表面への到達を防止して支持体の酸化を好適に防ぐことができる。また、被覆層の厚さが100μm以下であると導電性が好適に確保できる。
以上のプロセスを経て、本発明の燃料電池用セパレータの製造方法が構成される。
【0052】
続いて、本発明の燃料電池用セパレータについて説明する。
本発明の燃料電池用セパレータは、金属からなる支持体と、前記支持体を覆う被覆層とからなり、前記被覆層は導電材粒子を含有する樹脂であることを特徴とする燃料電池用セパレータである。
【0053】
図3は、本発明の燃料電池用セパレータの構成の一例を模式的に示す断面図である。
図3に示す燃料電池用セパレータ1は、金属からなる支持体10と、支持体10を覆う被覆層70とからなる。
支持体はアルミニウム又はアルミニウム合金であることが好ましい。アルミニウム合金の具体例は上述の通りである。
【0054】
被覆層70は導電材粒子50を含有する。被覆層70のマトリックス部分は樹脂である。
被覆層70は、厚さが1~100μmであることが好ましい。
また、図示していないが、被覆層はアルミニウム粒子を含んでいてもよい。
被覆層は、上述した樹脂粒子を支持体に付着させ、融着させることにより形成されたものである。
また、支持体と被覆層の間には酸化膜が存在せず、被覆層が支持体の表面に直接形成されている。
【0055】
図3に示す支持体10には流路パターンとしての凸部81と凹部82が設けられている。
被覆層70は流路パターンの凹凸に沿って設けられている。凹部に燃料ガス、空気、冷却水等の流体が流れることができる。
流路パターンは支持体に設けられていてもよく、設けられていなくてもよい。
なお、流路パターンとしての凹凸は逆電解工程により支持体の表面に設けられた凹凸とは異なる。
流路パターンとしての凹凸(凸部の最も高い位置と凹部の最も低い位置の高低差)は0.5~3mmであることが好ましい。一方、支持体の表面の面粗さ(Ra)は10~50μmであることが好ましい。逆電解工程により支持体の表面に設けられた凹凸の方がその凹凸の程度が小さいことは明らかである。
支持体の表面の面粗さ(Ra)は、被覆層を剥離したうえでレーザー顕微鏡により表面形状を測定した後、数値解析することによって得られる。支持体の表面の面粗さが上記範囲内であると、支持体と被覆層とを強固に接合することができる。
【実施例0056】
表面に空気中で形成された酸化膜を有するアルミニウムの支持板(50mm×100mm×0.3mm)を準備した。なお、支持板は、平板を用いた。
【0057】
《アルカリ脱脂工程》
用意した支持板をアルカリ溶液に浸漬し、アルカリ脱脂を行った。アルカリ溶液は、主成分がケイ酸ナトリウム、pHは12.5であり、温度は50℃、浸漬時間は10分であった。
【0058】
《水洗工程》
アルカリ洗浄の終わった支持板を、水洗した。
【0059】
《逆電解工程》
水洗の終わった支持板および対称電極を第1の電解液に浸漬したあと、支持板が陽極となるように電流を流し、逆電解を実施した。
第1の電解液は、主成分がトリエチルアミン(12wt%)2-ヘキシルエチレングリコール(4.1wt%)であり、pHは9であった。逆電解の条件は、加えられた電圧が40V、電流密度は300A/m、第1の電解液の温度は50℃、逆電解の時間は15分であった。
逆電解の終わった支持体につき、キーエンス製ワンショット3D測定器(レーザー顕微鏡:VR3200)を用いて面粗さ(Ra)を測定したところ、20.4μmであった。
【0060】
《アニオン電着工程》
逆電解の終わった支持板および対称電極を第2の電解液に浸漬した後、支持板が陽極となるように電流を流し、アニオン電着を実施した。
なお第2の電解液は、第1の電解液に平均粒子径2μmの黒鉛粒子(23wt%)、平均粒子径4μmの樹脂粒子(0.72wt%)を含有する水系ペーストをさらに20%加えたものである。樹脂粒子の成分は、アクリル系樹脂であった。
第2の電解液は、pHは9であった。アニオン電着の条件は、加えられた電圧が40V、電流密度は300A/m、第2の電解液の温度は28℃、アニオン電着の時間は3分であった。
【0061】
《融着工程》
表面に樹脂粒子、黒鉛粒子の付着した支持板を乾燥させたのち、圧力0.1MPa、温度140℃で加圧し、樹脂を融着させ燃料電池用セパレータを得た。得られた被覆層の成分比は黒鉛粒子40vol%、樹脂60vol%であった。
図4は、実施例1で製造された燃料電池用セパレータの断面を模式的に示す断面図である。
【0062】
《比較例》
逆電解工程を行わなかった以外、実施例1と同様にして燃料電池用セパレータを得た。
なお、アニオン電着前の支持体に対して実施例1と同様に面粗さ(Ra)を測定したところ、4.2μmであった。
【0063】
実施例及び比較例の燃料電池用セパレータを10MPaの圧力を加え測定電極(Au)で挟み、燃料電池用セパレータの支持体と測定電極間の抵抗を測定した。
実施例では85Ωcmであったのに対し、比較例では360Ωcmであった。
この結果から、逆電解工程と連続してアニオン電着工程を行うことにより、支持体が空気にさらされて酸化膜が形成されることなく厚み方向に流れる電流の抵抗値を下げられることが確認された。
【符号の説明】
【0064】
1 燃料電池用セパレータ
10 支持体
11 酸化膜
20 対称電極
30 第1の電解液
40 第2の電解液
50 導電材粒子
60 樹脂粒子
70 被覆層
81 凸部(流路パターン)
82 凹部(流路パターン)
図1
図2
図3
図4