(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023049724
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】採点集計システム、及び採点集計プログラム
(51)【国際特許分類】
G09B 19/00 20060101AFI20230403BHJP
G06Q 50/20 20120101ALI20230403BHJP
【FI】
G09B19/00 G
G06Q50/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021159644
(22)【出願日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000154613
【氏名又は名称】株式会社文溪堂
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(74)【代理人】
【識別番号】100132403
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 儀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100198856
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 聡
(72)【発明者】
【氏名】石原 直人
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC34
(57)【要約】
【課題】答案用紙の採点時に赤ペン及びマウスを持ち替える必要がなく、採点者の視線移動を軽減し、かつ簡易な操作でテストの採点及び採点結果の集計を可能とする採点集計システムの提供を課題とする。
【解決手段】採点集計システム1において、採点用端末2は、テスト情報記憶手段7と、受験者情報記憶手段8と、テスト情報選択抽出手段9と、受験者情報選択抽出手段10と、設問に対する正誤に係る正誤データ6を入力し記憶する正誤データ入力手段11と、設問に対する正答または誤答を音声で出力する正誤音声出力手段12と、採点情報34を記憶する採点情報記憶手段13と、テストの合計得点を算出する合計得点算出手段14と、合計得点を音声で出力する合計得点音声出力手段15と、合計得点データ37を採点情報34に含めて記憶する合計得点データ記憶手段16とを具備する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報入力デバイス、及び前記情報入力デバイスと接続された採点用端末を備え、テストの採点及び採点結果の集計を行う採点集計システムであって、
前記採点用端末は、
前記テストを構成する設問の設問番号に係る設問データ及び前記設問に対して割り当てられた配点に係る配点データを含むテスト情報を記憶するテスト情報記憶手段と、
前記テストを受験する受験者に係る受験者情報を記憶する受験者情報記憶手段と、
前記テスト情報記憶手段から採点対象となる前記テストの選択に係る入力を受け付け、前記テスト情報を抽出するテスト情報選択抽出手段と、
前記受験者情報記憶手段から採点対象者となる前記受験者の選択に係る入力を受け付け、前記受験者情報を抽出する受験者情報選択抽出手段と、
前記情報入力デバイスに予め割り当てられた操作に基づいて、選択及び抽出された前記受験者における前記テストのそれぞれの前記設問に対する正誤を示す正誤データを入力する正誤データ入力手段と、
前記正誤データ入力手段による前記正誤データの入力に伴って、前記設問に対する正答または誤答を音声で出力する正誤音声出力手段と、
前記設問に対して入力された前記正誤データを採点情報として記憶する採点情報記憶手段と、
前記正誤データ入力手段により前記テストの全ての前記設問に対する前記正誤データの入力が完了すると、前記テスト情報の前記配点データに基づいて前記テストの合計得点を算出する合計得点算出手段と、
算出された前記合計得点を音声で出力する合計得点音声出力手段と、
算出された前記合計得点に係る合計得点データを前記採点情報に含めて記憶する合計得点データ記憶手段と
を具備する採点集計システム。
【請求項2】
前記採点用端末は、
前記受験者情報選択抽出手段によって前記受験者の選択に係る入力が完了すると、前記情報入力デバイスによる前記採点用端末と接続された表示機器における画面上のカーソル移動を禁止するカーソル移動禁止手段と、
前記合計得点算出手段、前記合計得点音声出力手段、及び前記合計得点データ記憶手段の少なくともいずれか一つに係る処理が完了すると、前記カーソル移動の禁止を解除するカーソル移動禁止解除手段と
を更に具備する請求項1に記載の採点集計システム。
【請求項3】
前記採点用端末は、
前記受験者情報選択抽出手段によって選択された前記受験者の出席番号及び/または受験者氏名の少なくともいずれか一方を音声で出力する受験者音声出力手段を更に具備する請求項1または2に記載の採点集計システム。
【請求項4】
前記情報入力デバイスは、
左ボタン、右ボタン、及びホイールボタンを少なくとも含んで構成され、
前記正誤データ入力手段は、
前記左ボタン及び前記右ボタンのいずれか一方のボタン操作に基づいて、前記設問に対して正答を示す前記正誤データを入力する正答入力機能と、
前記左ボタン及び前記右ボタンのいずれか他方の前記ボタン操作に基づいて、前記設問に対して誤答を示す前記正誤データを入力する誤答入力機能と、
前記左ボタン及び前記右ボタンのいずれか一方の前記ボタン操作及び前記ボタン操作と同時に前記ホイールボタンを回転させるホイール操作の組合せに基づいて、前記設問に対する部分点を付与する前記正誤データを入力する部分点入力機能と、
前記ホイールボタンのみを回転させる単独ホイール操作に基づいて、採点対象を前記設問から前後の設問に移動させる設問移動機能と
の少なくともいずれか一つの機能を有する請求項1~3のいずれか一項に記載の採点集計システム。
【請求項5】
前記採点用端末は、
前記部分点入力機能に基づいて前記設問に対して入力された前記部分点の値を音声で出力する部分点音声出力手段を更に有する請求項4に記載の採点集計システム。
【請求項6】
前記採点用端末は、
前記設問移動機能に基づいて移動した移動先の前記設問番号を音声で出力する設問移動音声出力手段を更に有する請求項4または5に記載の採点集計システム。
【請求項7】
テストを構成する設問の設問番号に係る設問データ及び前記設問に対して割り当てられた配点に係る配点データを含むテスト情報を記憶するテスト情報記憶手段、前記テストを受験する受験者に係る受験者情報を記憶する受験者情報記憶手段、前記テスト情報記憶手段から採点対象となる前記テストの選択に係る入力を受け付け、前記テスト情報を抽出するテスト情報選択抽出手段、前記受験者情報記憶手段から採点対象者となる前記受験者の選択に係る入力を受け付け、前記受験者情報を抽出する受験者情報選択抽出手段、情報入力デバイスに予め割り当てられた操作に基づいて、選択及び抽出された前記受験者における前記テストのそれぞれの前記設問に対する正誤を示す正誤データを入力する正誤データ入力手段、前記正誤データ入力手段による前記正誤データの入力に伴って、前記設問に対する正答または誤答を音声で出力する正誤音声出力手段、前記設問に対して入力された前記正誤データを採点情報として記憶する採点情報記憶手段、前記正誤データ入力手段により前記テストの全ての前記設問に対する前記正誤データの入力が完了すると、前記テスト情報の前記配点データに基づいて前記テストの合計得点を算出する合計得点算出手段、算出された前記合計得点を音声で出力する合計得点音声出力手段、及び算出された前記合計得点に係る合計得点データを前記採点情報に含めて記憶する合計得点データ記憶手段として、前記情報入力デバイスと接続された採点用端末を機能させ、前記テストの採点及び採点結果の集計を行う
採点集計プログラム。
【請求項8】
前記受験者情報選択抽出手段によって前記受験者の選択に係る入力が完了すると、前記情報入力デバイスによる前記採点用端末と接続された表示機器における画面上のカーソル移動を禁止するカーソル移動禁止手段、及び、前記合計得点算出手段、前記合計得点音声出力手段、及び前記合計得点データ記憶手段の少なくともいずれか一つに係る処理が完了すると、前記カーソル移動の禁止を解除するカーソル移動禁止解除手段として、前記採点用端末を更に機能させる請求項7に記載の採点集計プログラム。
【請求項9】
前記受験者情報選択抽出手段によって選択された前記受験者の出席番号及び/または受験者氏名の少なくともいずれか一方を音声で出力する受験者音声出力手段として、前記採点用端末を更に機能させる請求項7または8に記載の採点集計プログラム。
【請求項10】
前記情報入力デバイスは、
左ボタン、右ボタン、及びホイールボタンを少なくとも含んで構成され、
前記左ボタン及び前記右ボタンのいずれか一方のボタン操作に基づいて、前記設問に対して正答を示す前記正誤データを入力する正答入力機能、前記左ボタン及び前記右ボタンのいずれか他方の前記ボタン操作に基づいて、前記設問に対して誤答を示す前記正誤データを入力する誤答入力機能、前記左ボタン及び前記右ボタンのいずれか一方の前記ボタン操作及び前記ボタン操作と同時に前記ホイールボタンを回転させるホイール操作の組合せに基づいて、前記設問に対する部分点を付与する前記正誤データを入力する部分点入力機能、及び前記ホイールボタンのみを回転させる単独ホイール操作に基づいて、採点対象を前記設問から前後の設問に移動させる設問移動機能の少なくともいずれか一つの機能を発揮可能な前記正誤データ入力手段として、前記採点用端末を更に機能させる請求項7~9のいずれか一項に記載の採点集計プログラム。
【請求項11】
前記部分点入力機能に基づいて、前記設問に対して入力された前記部分点の値を音声で出力する部分点音声出力手段として、前記採点用端末を更に機能させる請求項10に記載の採点集計システム。
【請求項12】
前記設問移動機能に基づいて、移動先の前記設問番号を音声で出力する設問移動音声出力手段として、前記採点用端末を更に機能させる請求項10または11に記載の採点集計システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、採点集計システム、及び採点集計プログラムに関する。更に詳しくは、小学校等で実施されるテストの採点及び採点結果の集計をマウス等の情報入力デバイスを用いて実施可能な採点集計システム、及び採点集計プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、小学校や中学校、或いは学習塾等の教育機関において、各種のテストが実施されている。例えば、学校単位で実施される期末テストや中間テスト、或いは履修する教科の学習単元毎に児童の理解度を把握するためにクラス毎に実施される確認テストや小テストのようなものが知られている。これらのテストは、受験者(児童)が解答した答案用紙を回収し、採点者(教師等)が赤ペン等を用いて当該答案用紙を一枚ずつ手作業で正誤のチェックを行い、更にそれぞれの設問毎に割り当てられた配点にしたがって採点を行い、最終的に合計得点を算出している。更に、算出された合計得点等を周知の表計算ソフト等に入力し、受験者単位、或いはクラス単位で集計を行うことで、個人の成績の向上の傾向や理解度の低い分野や学習単元、或いはクラス毎の平均点の算出や設問毎の正答率等を求め、今後の学習指導の参考の一資料として役立てることが行われている。
【0003】
これらのテスト(答案用紙)に対する採点作業や採点結果を表計算ソフト等に入力するための作業は多くの時間を要することがあり、採点者である教師が日々の授業やその準備等の日常業務をこなしつつ、これらの採点作業等を業務時間内に終わらせることができないことがあった。そのため、かかる採点及び集計に係る作業の省力化及び効率化を目的としたシステムや装置等が開発されている。
【0004】
例えば、テストを採点する際の答案用紙に対する筆記具の動きを検出し、かかる動きの判定に基づいて、設問に対する正答または誤答を自動的にコンピュータに入力可能なデータ入力装置の開発が行われている(特許文献1参照)。これによると、採点に使用する筆記具(ペン)の微小な動き(微小変形)を発振周期の変化を利用して検出可能なセンサを装着し、ペンを運筆する際の速度や位置の変化から、正答を示す“○”或いは誤答を示す“×”や“レ”が入力されたことを記号として認識し、かかる情報をコンピュータに入力することができる。
【0005】
一方、コンピュータとの組合せにより、ペン先の位置情報の検出機能を有する採点用のペンを利用し、採点結果を判別する採点システム(特許文献2参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001-296962号公報
【特許文献2】特開2003-228692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記に示す採点集計に係る装置やシステム等は、下記に掲げるような問題を生じることがあった。すなわち、例えば、特許文献1に示される発振周期変化の検出機能を有するデータ入力装置の場合、使用するセンサの感度によって認識(判別)の精度が著しく変化することがあった。そのため、センサの感度を高めに設定した場合、ペンの運筆に応じた正答及び誤答等の判別に誤認識が発生しやすく、一方、センサの感度を低めに設定した場合、採点動作自体の検知が困難となることがあった。これにより、このデータ入力装置の使用に不慣れな採点者は、誤認識を発生する頻度が多くなり、通常の採点作業よりもかえって時間が掛かるなど、余計に非効率となることがあった。
【0008】
また、特に小中学校等のテストにおける答案の採点には、完全に正解している正答及び完全に間違っている誤答に加え、一部正答を認める所謂「部分点」を付与する場合がある。この場合、答案用紙には、“△”などの記号を付けることになり、特にこの“△”は個々の採点者によって独自の筆記の仕方や形状に特徴があるため、上記のデータ入力装置では、確実な認識が不可能であり、誤認識を発生しやすい要因ともなっていた。
【0009】
また、更に、特許文献2に示されるペン先の位置情報を検知し、採点処理を行うシステムの場合、当該ペン先位置の検出のため、答案用紙の前後左右のいずれか方向に文鎮程度の大きさの位置検知用のスキャナーを配置し、該スキャナーの検知範囲でペン先を動かす必要があった。その結果、一枚の答案を開始するまでに、スキャナーの検知範囲に答案を置くなどのセッティングの時間が多く必要となり、採点作業がより面倒なものとなることがあった。
【0010】
このように、答案用紙に対する採点作業とともに、採点装置に対するマウス操作やキーボード操作を頻繁に行う必要があり、赤ペンとマウス等を持ち替える作業を煩雑となることがあった。更に、画面表示された設問に対する正誤の入力結果をその都度見比べる必要があり、採点者の視線を答案用紙及び画面表示の間で頻繁に移動させる必要があった。
【0011】
加えて、設問に対する正誤を入力した後に次の設問に対する正誤の入力が待機状態になっていることが確認できない場合があった。特に、設問の区切り(大設問)をまたいだ場合の確認を表示画面でしか行えないことがあった。そのため、正誤を入力する設問がずれてしまうことがあった。
【0012】
そこで、本発明は、上記実情に鑑み、答案用紙の採点時に赤ペン及びマウスを持ち替える必要がなく、採点者の視線移動を軽減し、正誤入力する設問を音声で確認することができ、かつ簡易な操作でテストの採点及び採点結果の集計を可能とする採点集計システム、及び採点集計プログラムの提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、下記に掲げる採点集計システム、及び採点集計プログラムが提供される。
【0014】
[1] 情報入力デバイス、及び前記情報入力デバイスと接続された採点用端末を備え、テストの採点及び採点結果の集計を行う採点集計システムであって、前記採点用端末は、前記テストを構成する設問の設問番号に係る設問データ及び前記設問に対して割り当てられた配点に係る配点データを含むテスト情報を記憶するテスト情報記憶手段と、前記テストを受験する受験者に係る受験者情報を記憶する受験者情報記憶手段と、前記テスト情報記憶手段から採点対象となる前記テストの選択に係る入力を受け付け、前記テスト情報を抽出するテスト情報選択抽出手段と、前記受験者情報記憶手段から採点対象者となる前記受験者の選択に係る入力を受け付け、前記受験者情報を抽出する受験者情報選択抽出手段と、前記情報入力デバイスに予め割り当てられた操作に基づいて、選択及び抽出された前記受験者における前記テストのそれぞれの前記設問に対する正誤を示す正誤データを入力する正誤データ入力手段と、前記正誤データ入力手段による前記正誤データの入力に伴って、前記設問に対する正答または誤答を音声で出力する正誤音声出力手段と、前記設問に対して入力された前記正誤データを採点情報として記憶する採点情報記憶手段と、前記正誤データ入力手段により前記テストの全ての前記設問に対する前記正誤データの入力が完了すると、前記テスト情報の前記配点データに基づいて前記テストの合計得点を算出する合計得点算出手段と、算出された前記合計得点を音声で出力する合計得点音声出力手段と、算出された前記合計得点に係る合計得点データを前記採点情報に含めて記憶する合計得点データ記憶手段とを具備する採点集計システム。
【0015】
[2] 前記採点用端末は、前記受験者情報選択抽出手段によって前記受験者の選択に係る入力が完了すると、前記情報入力デバイスによる前記採点用端末と接続された表示機器における画面上のカーソル移動を禁止するカーソル移動禁止手段と、前記合計得点算出手段、前記合計得点音声出力手段、及び前記合計得点データ記憶手段の少なくともいずれか一つに係る処理が完了すると、前記カーソル移動の禁止を解除するカーソル移動禁止解除手段とを更に具備する前記[1]に記載の採点集計システム。
【0016】
[3] 前記採点用端末は、前記受験者情報選択抽出手段によって選択された前記受験者の出席番号及び/または受験者氏名の少なくともいずれか一方を音声で出力する受験者音声出力手段を更に具備する前記[1]または[2]に記載の採点集計システム。
【0017】
[4] 前記情報入力デバイスは、左ボタン、右ボタン、及びホイールボタンを少なくとも含んで構成され、前記正誤データ入力手段は、前記左ボタン及び前記右ボタンのいずれか一方のボタン操作に基づいて、前記設問に対して正答を示す前記正誤データを入力する正答入力機能と、前記左ボタン及び前記右ボタンのいずれか他方の前記ボタン操作に基づいて、前記設問に対して誤答を示す前記正誤データを入力する誤答入力機能と、前記左ボタン及び前記右ボタンのいずれか一方の前記ボタン操作及び前記ボタン操作と同時に前記ホイールボタンを回転させるホイール操作の組合せに基づいて、前記設問に対する部分点を付与する前記正誤データを入力する部分点入力機能と、前記ホイールボタンのみを回転させる単独ホイール操作に基づいて、採点対象を前記設問から前後の設問に移動させる設問移動機能との少なくともいずれか一つの機能を有する前記[1]~[3]のいずれかの項に記載の採点集計システム。
【0018】
[5] 前記採点用端末は、前記部分点入力機能に基づいて前記設問に対して入力された前記部分点の値を音声で出力する部分点音声出力手段を更に有する前記[4]に記載の採点集計システム。
【0019】
[6] 前記採点用端末は、前記設問移動機能に基づいて移動した移動先の前記設問番号を音声で出力する設問移動音声出力手段を更に有する前記[4]または[5]に記載の採点集計システム。
【0020】
[7] テストを構成する設問の設問番号に係る設問データ及び前記設問に対して割り当てられた配点に係る配点データを含むテスト情報を記憶するテスト情報記憶手段、前記テストを受験する受験者に係る受験者情報を記憶する受験者情報記憶手段、前記テスト情報記憶手段から採点対象となる前記テストの選択に係る入力を受け付け、前記テスト情報を抽出するテスト情報選択抽出手段、前記受験者情報記憶手段から採点対象者となる前記受験者の選択に係る入力を受け付け、前記受験者情報を抽出する受験者情報選択抽出手段、情報入力デバイスに予め割り当てられた操作に基づいて、選択及び抽出された前記受験者における前記テストのそれぞれの前記設問に対する正誤を示す正誤データを入力する正誤データ入力手段、前記正誤データ入力手段による前記正誤データの入力に伴って、前記設問に対する正答または誤答を音声で出力する正誤音声出力手段、前記設問に対して入力された前記正誤データを採点情報として記憶する採点情報記憶手段、前記正誤データ入力手段により前記テストの全ての前記設問に対する前記正誤データの入力が完了すると、前記テスト情報の前記配点データに基づいて前記テストの合計得点を算出する合計得点算出手段、算出された前記合計得点を音声で出力する合計得点音声出力手段、及び算出された前記合計得点に係る合計得点データを前記採点情報に含めて記憶する合計得点データ記憶手段として、前記情報入力デバイスと接続された採点用端末を機能させ、前記テストの採点及び採点結果の集計を行う採点集計プログラム。
【0021】
[8] 前記受験者情報選択抽出手段によって前記受験者の選択に係る入力が完了すると、前記情報入力デバイスによる前記採点用端末と接続された表示機器における画面上のカーソル移動を禁止するカーソル移動禁止手段、及び、前記合計得点算出手段、前記合計得点音声出力手段、及び前記合計得点データ記憶手段の少なくともいずれか一つに係る処理が完了すると、前記カーソル移動の禁止を解除するカーソル移動禁止解除手段として、前記採点用端末を更に機能させる前記[7]に記載の採点集計プログラム。
【0022】
[9] 前記受験者情報選択抽出手段によって選択された前記受験者の出席番号及び/または受験者氏名の少なくともいずれか一方を音声で出力する受験者音声出力手段として、前記採点用端末を更に機能させる前記[7]または[8]に記載の採点集計プログラム。
【0023】
[10] 前記情報入力デバイスは、左ボタン、右ボタン、及びホイールボタンを少なくとも含んで構成され、前記左ボタン及び前記右ボタンのいずれか一方のボタン操作に基づいて、前記設問に対して正答を示す前記正誤データを入力する正答入力機能、前記左ボタン及び前記右ボタンのいずれか他方の前記ボタン操作に基づいて、前記設問に対して誤答を示す前記正誤データを入力する誤答入力機能、前記左ボタン及び前記右ボタンのいずれか一方の前記ボタン操作及び前記ボタン操作と同時に前記ホイールボタンを回転させるホイール操作の組合せに基づいて、前記設問に対する部分点を付与する前記正誤データを入力する部分点入力機能、及び前記ホイールボタンのみを回転させる単独ホイール操作に基づいて、採点対象を前記設問から前後の設問に移動させる設問移動機能の少なくともいずれか一つの機能を発揮可能な前記正誤データ入力手段として、前記採点用端末を更に機能させる前記[7]~[9]のいずれかの項に記載の採点集計プログラム。
【0024】
[11] 前記部分点入力機能に基づいて、前記設問に対して入力された前記部分点の値を音声で出力する部分点音声出力手段として、前記採点用端末を更に機能させる前記[10]に記載の採点集計システム。
【0025】
[12] 前記設問移動機能に基づいて、移動先の前記設問番号を音声で出力する設問移動音声出力手段として、前記採点用端末を更に機能させる前記[10]または[11]に記載の採点集計システム。
【発明の効果】
【0026】
本発明の採点集計システム、及び採点集計プログラムによれば、マウス等の情報入力デバイスによるボタン操作(クリック)及びホイール操作により、テストの設問に対する正誤結果の入力及び合計得点の算出に係る処理を行うことが可能となり、従来の採点装置等のようにマウスの頻繁な持ち替えを不要とし、更に正誤或いは部分点の入力や採点対象の設問や採点対象者となる受験者の選択に係る入力の結果を音声等で出力することにより、採点対象を聴覚により認識することができ、設問と入力される正誤データのずれを生じることがなく、正確かつ効率的な採点作業を行うことができる。
【0027】
更に、全設問に対する採点の完了と同時に当該テストに対する合計得点を算出し、音声で出力することが可能となり、採点結果の集計処理に係る作業時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本実施形態の採点集計システムの概略構成、及び採点用端末の機能的構成を示すブロック図である。
【
図2】テスト情報の選択及び抽出に係る画面表示の一例を示す説明図である。
【
図3】受験者情報の選択及び抽出に係る画面表示の一例を示す説明図である。
【
図4】正答、誤答、及び部分点に対応する正誤データの入力に係る画面表示の一例を示す説明図である。
【
図5】合計得点の算出に係る画面表示の一例を示す説明図である。
【0029】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態の採点集計システム、及び採点集計プログラムについて説明する。なお、本発明の採点集計システム、及び採点集計プログラムは、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者の通常の知識に基づいて以下の実施の形態に対して適宜変更、修正、及び改良等を加え得るものであっても構わない。
【0030】
本発明の一実施形態の採点集計システム1は、
図1~
図5に示すように、本発明の採点集計プログラムPGがインストールされ、当該採点集計プログラムPGを起動することで、テストの採点及び集計に係る各種機能を発揮可能な採点用端末2と、当該採点用端末2と接続されたマウス3とを具備して主に構成されている。ここで、マウス3が本発明における情報入力デバイスに相当する。
【0031】
ここで、
図1は、本実施形態の採点集計システム1の概略構成、及び採点用端末2の機能的構成を示すブロック図であり、
図2は、テスト情報4の選択及び抽出に係る画面表示の一例を示す説明図であり、
図3は、受験者情報5の選択及び抽出に係る画面表示の一例を示す説明図であり、
図4は、正答、誤答、及び部分点に対応する正誤データ6の入力に係る画面表示の一例を示す説明図であり、
図5は、合計得点の算出に係る画面表示の一例を示す説明図である。
【0032】
採点用端末2は、その機能的構成として、テスト情報記憶手段7、受験者情報記憶手段8、テスト情報選択抽出手段9、受験者情報選択抽出手段10、正誤データ入力手段11、正誤音声出力手段12、採点情報記憶手段13、合計得点算出手段14、合計得点音声出力手段15、及び合計得点データ記憶手段16を主に具備して構成されている。更に、採点用端末2は、その他機能的構成として、カーソル移動禁止手段17、カーソル移動禁止解除手段18、受験者音声出力手段19、部分点音声出力手段20、及び設問移動音声出力手段21をそれぞれ具備している。これにより、個々の手段に基づく種々の機能を発揮することができる。
【0033】
テスト情報記憶手段7及び受験者情報記憶手段8は、ハードディスクドライブやソリッドステートドライブ等の固定記憶手段によって構成された端末記憶手段22の一機能として構成されている。かかる端末記憶手段22には、教材発行会社等によって頒布された生成器管理機能、通知表作成機能、及び時間割作成機能等の学習指導の現場において有用な教育情報総合管理ソフトウェアMPGがインストールされており、本実施形態の採点集計プログラムPGによる採点集計機能は、当該教育情報総合管理ソフトウェアの一機能として採点用端末2に搭載されるものである。
【0034】
教育情報総合管理ソフトウェアMPGを起動させた状態で所定の操作(クリック操作等)を行うことにより、本発明の採点集計プログラムPGを起動及び実行することができ、採点用端末2に採点集計システム1としての機能を発揮させることができる。教育情報総合管理ソフトウェアMPGは、従来から周知なものであり、特に詳細な説明は省略する。更に、端末記憶手段22は、テスト情報4や受験者情報5の他に種々のデータ等を格納し、記憶することができる(詳細は後述する)。
【0035】
更に、採点用端末2は、周知の周辺機器と接続されており、各種情報を画面表示するための液晶ディスプレイLCDと端末表示制御手段23を介して接続されている(
図1参照)。ここで、液晶ディスプレイLCDが本発明における表示機器に相当する。加えて、採点用端末2は、入力され正誤データ6による入力結果や算出された合計得点等を音声で出力するための音声出力機器としてスピーカーSPKと音声出力制御手段24を介して接続されている(
図1参照)。なお、液晶ディスプレイLCDに係る表示機器及びスピーカーSPKに係る音声出力機器は、周知のものであるためここでは説明は省略する。
【0036】
また、採点用端末2は、情報入力デバイスとしてのマウス3と接続されており、当該マウス3は、
図1に示すような、左ボタン25、右ボタン26、及び、左ボタン25及び右ボタン26の間に配されたホイールボタン27を少なくとも含む周知の構成を有している。ここで、採点用端末2及びマウス3の間は、有線方式若しくはWi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)等の周知の無線方式によって接続されている。採点用端末2には、かかるマウス3によるボタン操作等の操作信号の入力を受け付ける操作信号入力制御手段28が設けられている。また、本発明における情報入力デバイスとして、上記のマウス3以外のものを使用することが可能であり、例えば、トラックボール等を用いることができる。しかしながら、少なくとも後述する正誤データ6を入力するために割り当てられた上記の左ボタン25等の構成は備える必要がある。
【0037】
また、採点用端末2は、
図1に示すような、所謂「スタンドアローン型」の端末に限定されるものではなく、例えば、インターネットまたは専用通信回線からなる通信ネットワーク(図示しない)に接続され、当該通信ネットワークを介して種々の情報を相互に送受信可能とするものであっても構わない。これにより、教育情報総合管理ソフトウェアや採点集計プログラムPGを常に最新の状態に更新することが容易となる。更に、上記の端末記憶手段22自体を通信ネットワーク上に構築されたクラウドサーバーに設けたものであっても構わない。
【0038】
また、本実施形態の採点集計システム1において使用する採点用端末2は、各小中学校等において教職員が日常的に使用するデスクトップ型或いはノート側のパーソナルコンピュータを用いるものを主に想定している。しかしながら、採点用端末2は、これに限定されるものではなく、例えば、タブレット型端末やスマートホン等を使用するものであっても構わない。なお、パーソナルコンピュータ、タブレット型端末、及びスマートホン等の情報通信機器に係る構成については既に周知のものであるため、ここでは詳細な説明は省略する。また、各種操作及び情報等の入力を行うための上記のマウス3以外の周知の操作入力手段(キーボード、或いはタッチパネル等)が採点用端末2と接続されているものであっても構わない(図示しない)。
【0039】
以下、採点用端末2の機能的構成について詳述する。採点用端末2のテスト情報記憶手段7には、採点対象となるテストを構成する設問を特定するための設問番号29(例えば、問1(1)、或いは問1-1等)に係る設問データ30、及び、設問(設問番号29)が正答の場合に割り当てられた配点(例えば、“問1(1)に対して5点”等)に係る配点データ31を含むテスト情報4が記憶されている。
【0040】
ここで、端末記憶手段22の一構成として機能するテスト情報記憶手段7には、上記の設問データ30及び配点データ31を含むテスト情報4が、学習指導を行う学年毎、学期毎、教科毎、学習単元毎、及び教科書発行会社毎等にそれぞれ分類されて複数記憶されている。すなわち、前述した教育情報総合管理ソフトウェアMPGには、授業の進捗度合いに応じて、学習単元に対する児童の理解力を確認するためのテストや、学年における総合的な理解力を理解するためのテストが予め記憶されており、本実施形態の採点集計システム1では、これらのテストに関する上記テスト情報4を備えている。
【0041】
そして、実際にテストを行い、答案用紙を回収したテストに対応するテスト情報4を選択する入力がテスト情報選択抽出手段9に基づいて行われ、テスト情報記憶手段7から抽出される。これにより、採点対象となるテストが決定される。なお、本実施形態の採点集計システム1において、採点対象として、小学校3年の算数の学習単元である“対称な図形”に関するテストが選択された例を示している(
図2参照)。
【0042】
一方、採点用端末2の受験者情報記憶手段8には、採点対象者となる児童等の氏名、クラス等に係る受験者情報5が端末記憶手段22の一機能として記憶されている。ここで、受験者情報5は、受験者(児童)の属するクラス(学級)の全員の児童に関する情報をまとめて記憶するものであっても構わない(
図3参照)。これにより、例えば、クラスの出席番号順に並んだ複数の児童に関する情報を受験者情報5として記憶することができ、当該クラスに対するテストの採点結果に係る集計をまとめて実施することができる。
【0043】
そして、予め選択及び抽出された当該クラスに属する複数の児童の中から採点対象者の選択に係る入力及び抽出を受験者情報選択抽出手段10に基づいて行うことができる。なお、採点対象者の選択は、例えば、クラスに属する複数の児童が表示された液晶ディスプレイLCDの画面上でホイールボタン27によるホイール操作を行い、児童を選択し、かつ、設問番号29が表示された画面にカーソル32を移動させ、左ボタン25をクリックすることにより、採点対象者を確定し、当該採点行う状態とすることができる(
図3参照)。この場合、選択された児童に係る受験者情報5に係る氏名や出席番号等をスピーカーSPKを通じて音声で出力することもできる(受験者音声出力手段19)。これにより、採点者は、選択した児童を聴覚を通じて確認することができる。
【0044】
なお、上記の児童選択にかかるホイール操作を必要とせず、クラスに属する複数の児童の中の1番目の児童から順番に正誤入力及び採点作業を完了するごとに次の児童に対する正誤入力及び採点作業を行うようにするものであっても構わない。この場合、採点対象者となる児童が切り替わったことを採点者が聴覚を通じて認識できるように、採点が完了した児童の合計点を音声で出力した後、次の児童の番号或いは氏名等を音声で出力するものであってもよい。
【0045】
上記操作により、採点対象のテストに係るテスト情報4及び採点対象者となる児童(受験者)に係る受験者情報5が抽出される。更に、本実施形態の採点集計システム1において、上記受験者情報選択抽出手段10による受験者の選択に係る入力及び抽出が完了した段階で、マウス3を利用した画面上のカーソル32の移動を禁止する処理が行われる(カーソル移動禁止手段17)。
【0046】
これにより、画面上からカーソル32の表示が消失し(
図3における破線表示によるカーソル32参照)、採点対象となるテストの最初の設問に対する正誤データ6の入力を受け付け可能な状態となる。
【0047】
この状態で、採点者は、通常の答案用紙の採点作業を開始する。すなわち、受験者によってテストが実施され、既に回収された紙媒体の答案用紙に対し、赤ペン等を利用して正誤の判定を行う。更に具体的に説明すると、例えば、赤ペンを右手で把持して採点するとともに、左手でマウスを把持し、答案用紙の一部を当該マウスで押さえるようにする。これにより、採点作業時における答案用紙の移動を制限することができる。
【0048】
そして、赤ペンによる採点作業に合わせ、採点した設問に対する正誤の結果をマウス3に割り当てられたボタン操作よって正誤データ6の入力を開始する。例えば、テストの設問番号29の「問1(1)」の設問に対する受験者の解答が正しい場合、右手に把持した赤ペンで当該設問また解答上に“○”を付ける採点作業を行うとともに、当該採点作業と同時に左手でマウス3を操作し、左ボタン25をクリックするボタン操作を行う。前述したように、カーソル移動禁止手段17を機能させた状態で正誤データ6の入力を待機する設問は、当該テストの最初の位置に移動している。そのため、マウス3の左ボタン25をクリックする操作のみで、「問1(1)」に対する設問に対する正誤データ6を入力することができる。なお、
図2等において、問1(1)を四角い図形で囲まれた“1”及び丸い図形で囲まれた“1”として示している。以下、問1(2)等についても同様に示している(
図3~
図5においても同じ)。
【0049】
ここで、本実施形態の採点集計システム1において、カーソル移動禁止手段17によるカーソル移動禁止に係る処理が機能した状態で、左ボタン25をクリックするボタン操作を行うことで、正誤データ6の入力対象となる設問に対し正答(○)に相当する正誤データ6を入力する“正答入力機能”を発揮するようにボタン操作が予め割り当てられている。これにより、「問1(1)」の設問に対し、“正答”を示す正誤データ6が入力され(正誤データ入力手段11)、画面上の問1(1)に対応する箇所に“○”が表示される(
図4参照)。
【0050】
このとき、正誤データ6の入力とともに、設問に対する解答が正答であることを示す音声がスピーカーSPKを介して出力される。例えば、“まる”或いは“正答“等の音声をするような制御がなされる(正誤音声出力手段12)。採点者は、設問に対する正答に係る正誤データ6の入力が確実に行われたことを、上記の画面表示による視覚を通じての認識に加え、聴覚を通じて認識することができる。
【0051】
これにより、採点者は、答案用紙から視線を移動させることなく、設問に対する正誤データ6の入力を確認することができる。特に答案用紙の採点作業において、採点者は答案用紙から視線を外すことはなく、聴覚をもって正誤データ6の入力が確認できるため、誤った入力が行われた場合等を速やかに把握することができる。なお、上述のように、正誤データ6の入力結果は、画面表示された視覚を通じても確認することができるため、かかる入力結果の確認作業を二重でチェックすることができる。テストの設問に対して入力された正誤データ6は、当該テストに係る採点情報33として記憶される(採点情報記憶手段13)。
【0052】
上記の正誤データ6の入力、正誤に係る音声の出力、及び採点情報33の記憶に係る処理が完了した後、採点用端末2は、「問1(1)」の次の設問に相当する(例えば、「問1(2)」)に対する正誤データ6の入力を待機する状態となる。この状態で、「問1(2)」の設問に対する受験者の解答が誤っている場合、右手に把持した赤ペンで当該設問また解答上に“×”或いは“チェックマーク”を付ける採点作業を行うとともに、当該採点作業と同時に左手でマウス3を操作し、右ボタン26をクリックするボタン操作を行う。
【0053】
ここで、本実施形態の採点集計システム1において、カーソル移動禁止手段17によるカーソル移動禁止に係る処理が機能した状態で、右ボタン26をクリックするボタン操作を行うことで、正誤データ6の入力対象となる設問に対し誤答(×)に相当する正誤データ6を入力する“誤答入力機能”を発揮するようにボタン操作が予め割り当てられている。これにより、「問1(2)」の設問に対し、“誤答”を示す正誤データ6が入力され(正誤データ入力手段11)、画面上の問1(2)に対応する箇所に“チェックマーク”が表示される(
図4参照)。
【0054】
このとき、正誤データ6の入力とともに、設問に対する解答が誤答であることを示す音声がスピーカーSPKを介して出力される。例えば、“ばつ”或いは“誤答“等の音声をするような制御がなされる(正誤音声出力手段12)。採点者は、設問に対する正答に係る正誤データ6の入力が確実に行われたことを、上記の画面表示による視覚を通じての認識に加え、聴覚を通じて認識することができる。
【0055】
正答時と同様、採点者は、答案用紙から視線を移動させることなく、設問に対する正誤データ6の入力を確認することができる。特に答案用紙の採点作業において、採点者は答案用紙から視線を外すことはなく、聴覚をもって正誤データ6の入力が確認できるため、誤った入力が行われた場合等を速やかに把握することができる。なお、上述のように、正誤データ6の入力結果は、画面表示された視覚を通じても確認することができるため、かかる入力結果の確認作業を二重でチェックすることができる。テストの設問に対して入力された正誤データ6は、当該テストに係る採点情報33として記憶される(採点情報記憶手段13)。
【0056】
更に、本実施形態の採点集計システム1は、上記正誤データ6の入力において、設問に対して部分点を与えることができる。例えば、問1(3)の設問に対する受験者の解答が一部正解であった場合、右手に把持した赤ペンで当該設問に△を付ける採点作業を行うとともに、マウス3を操作する左手で左ボタン25をクリックするボタン操作を行うとともに、当該ボタン操作と同時にホイールボタン27を回転させるホイール操作を行う。
【0057】
このようなボタン操作及びホイール操作の組合せによって、画面上に付与する部分点を付与する部分点入力ウインドウ34が表示され、ホイールボタン27の回転に伴って付与する部分点の値が変化する。そして、付与する部分点が決定した状態(
図4において、“3”)で、ボタン操作及びホイール操作を解除することにより、当該設問に対して部分点を示す“△”マークが表示され、更に部分点表示枠35の枠内に部分点が表示される(部分点入力機能)。
【0058】
ここで、採点集計システム1は、上記部分点入力機能に基づいて、設問に対して部分点が入力されると、入力された部分点の値を音声で出力する部分点音声出力手段20を更に具備している。これにより、採点者は、採点用紙から視線を移動させることなく、設問に対して入力された部分点の値(正誤データ6)の入力を聴覚を通じて確認することができ、採点用紙及び画面表示の間の視線移動を省略し、採点作業を効率的に行うことができる。
【0059】
正誤データ入力手段11は、上述した正答入力機能、誤答入力機能、及び部分点入力機能に加え、更に設問移動機能を備えている。具体的に説明すると、設問移動機能により、設問に対する正誤データ6の入力が完了し、次の設問に対する正誤データ6の入力を待機する状態で、ホイールボタン27のみを回転させる単独ホイール操作を行うことにより、採点対象の設問を大気中の設問から前後の設問に移動させることができる。すなわち、採点作業の途中で、既に入力した設問に対する正誤データ6の入力に誤りを発見し、修正を行う場合等に、係る設問移動機能により、正誤データ6の入力を行う設問を任意に変更することができる。
【0060】
更に、このような設問の移動に伴い、移動先の設問に相当する設問番号29を音声で出力することができる(設問移動音声出力手段21)。これにより、採点者は、採点用紙から視線を移動させることなく、移動先の設問、換言すれば、次に正誤データ6の入力を行う設問を聴覚を通じて確認することができ、採点用紙及び画面表示の間の視線移動を省略し、採点作業を効率的に行うことができる。
【0061】
上記した正答入力機能、誤答入力機能、部分点入力機能、及び設問移動機能を発揮させ、各設問に対する正誤データ6の入力を完了する。そして、全ての設問に対する正誤データの入力が完了すると、テスト情報4の配点データ31に基づいて、各設問に対する正誤及び部分点の入力結果から合計得点36を算出する(合計得点算出手段14)。なお、算出した合計得点36を、例えば、
図5に示すように画面表示するものであってもよい。加えて、算出された合計得点36の値を音声で出力する(合計得点音声出力手段15)。採点者は、出力された合計得点36の値を聴覚で認識し、視線移動することなく採点用紙に記入することができる。更に、算出された合計得点36に係る合計得点データ37が採点情報33として、正誤データ6とともに記憶される(合計得点データ記憶手段16)。
【0062】
更に、本実施形態の採点集計システム1は、合計得点算出手段、合計得点音声出力手段、及び合計得点データ記憶手段の少なくともいずれか一つに係る処理が完了すると、カーソル移動禁止手段17によって禁止制御された画面上のカーソル32の移動の禁止が解除される(カーソル移動禁止解除手段18)。これにより、新たに採点対象となる児童(受験者)の選択等が可能となる。
【0063】
以上の処理により、選択されたテストに対する採点及び採点結果の集計に係る処理が完了する。すなわち、採点対象者となる児童(受験者)を選択した後は、赤ペン等による通常の採点作業と同時に、マウス3のボタン操作やホイール操作のみでそれぞれの設問に対する正誤データ6の入力が可能となるとともに、正誤の結果や採点対象の設問、或いは採点対象者の児童の紙面等が音声で出力されることにより、採点者は視線移動することなく、採点作業に集中しつつ、かつ聴覚を通じて入力結果等を認識することができる。これにより、採点及び採点集計に係る処理を効率的に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の採点集計システム、及び採点集計プログラムは、小学校や中学校において実施されるテスト(答案用紙)の採点作業において特に利用され、採点作業における採点対象者(教師)における作業負担の軽減化のための特に有用に利用することができる。
【符号の説明】
【0065】
1:採点集計システム、2:採点用端末、3:マウス(情報入力デバイス)、4:テスト情報、5:受験者情報、6:正誤データ、7:テスト情報記憶手段、8:受験者情報記憶手段、9:テスト情報選択抽出手段、10:受験者情報選択抽出手段、11:正誤データ入力手段、12:正誤音声出力手段、13:採点情報記憶手段、14:合計得点算出手段、15:合計得点音声出力手段、16:合計得点データ記憶手段、17:カーソル移動禁止手段、18:カーソル移動禁止解除手段、19:受験者音声出力手段、20:部分点音声出力手段、21:設問移動音声出力手段、22:端末記憶手段、23:端末表示制御手段、24:音声出力制御手段、25:左ボタン、26:右ボタン、27:ホイールボタン、28:操作信号入力制御手段、29:設問番号、30:設問データ、31:配点データ、32:カーソル、33:採点情報、34:部分点入力ウインドウ、35:部分点表示枠、36:合計得点、37:合計得点データ、31:カーソル、LCD:液晶ディスプレイ、MPG:教育情報総合管理ソフトウェア、PG:採点集計プログラム、SPK:スピーカー。