(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023049751
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/66 20060101AFI20230403BHJP
B65D 5/02 20060101ALI20230403BHJP
【FI】
B65D5/66 B
B65D5/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021159687
(22)【出願日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】390022895
【氏名又は名称】株式会社トーモク
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】弁理士法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 貴史
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB02
3E060BA22
3E060BC02
3E060BC04
3E060CG23
3E060DA26
3E060EA12
(57)【要約】
【課題】板紙のコストの低減及び連結作業の増加抑制を図ることが可能な片側開閉式の包装箱を提供する。
【解決手段】包装箱100は、それぞれ1枚のシート状の紙製のブランクにより形成される本体30と蓋体40とを組み合わせてなる。本体30の外フラップ11Aは第1噛合部70を、蓋体40は第2噛合部80をそれぞれ備える。第1噛合部70は、外フラップ11Aの一側縁から間隔を隔てて形成された第1切欠き71と、各第1切欠き71から同じ方向に向かって延びる第1切目線72と、第1切欠き71から延びた各第1切目線72の先端部から、それぞれ前記外フラップ11Aの一側縁まで延びる第1折目線73とを有する。第2噛合部80は、第1噛合部70と同様の構成を有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ1枚のシート状の紙製のブランクにより形成される第1板体と第2板体とを組み合わせてなる包装箱であって、
前記第1板体は第1噛合部を、前記第2板体は第2噛合部をそれぞれ備え、
前記第1噛合部は、前記第1板体の一の側縁から間隔を隔てて形成された複数の第1切欠きと、各前記第1切欠きから同じ方向に向かって延びる第1切目線と、前記第1切欠きから延びた各前記第1切目線の先端部から、それぞれ前記第1板体の前記一の側縁まで延びる第1折目線とを有し、
前記第2噛合部は、前記第2板体の一の側縁から間隔を隔てて形成された複数の第2切欠きと、各前記第2切欠きから前記方向と同じ方向に向かって延びる第2切目線と、前記第2切欠きから延びた各前記第2切目線の先端部から、それぞれ前記第1板体の前記一の側縁まで延びる第2折目線とを有することを特徴とする包装箱。
【請求項2】
前記第1切欠きは、それぞれ、当該第1切欠きから延びる前記第1切目線が位置する方向に向かって傾斜するように、前記第1板体の前記一の側縁から延びており、
前記第2切欠きは、それぞれ、当該第2切欠きから延びる前記第2切目線が位置する方向に向かって傾斜するように、前記第2板体の前記一の側縁から延びていることを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記第1切欠き又は前記第2切欠きの少なくとも何れか一方は、切込み線であることを特徴とする請求項1又は2に記載の包装箱。
【請求項4】
前記第1折目線又は前記第1折目線の少なくとも何れか一方は、部分的に切目を有することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の包装箱。
【請求項5】
前記包装箱は、互いに対向する一対の第1側板及び該一対の第1側板の対向方向に交わる方向に互いに対向する一対の第2側板からなる角筒状の胴部と、前記胴部の下側の開放端を閉鎖する底部とを有する本体、及び、前記胴部の上側の開放端を閉鎖する蓋体を有し、前記本体と前記蓋体とがそれぞれ1枚のシート状の紙製のブランクにより形成され、
前記一対の第1側板のうちの一の第1側板の上縁に折目線を介して連接されたフラップを備え、
前記第1板体は前記フラップであり、前記第2板体は前記蓋体であり、
前記第1噛合部は、前記フラップの前記折目線とは反体側の側縁から間隔を隔てて形成された前記第1切欠きと、各前記第1切欠きから同じ方向に向かって延びる前記第1切目線と、前記第1切欠きから延びた各前記第1切目線の先端部から、それぞれ前記フラップの前記第1折目線とは反体側の側縁まで延びる前記第1折目線とを有し、
前記第2噛合部は、前記蓋体の一の側縁から前記間隔を隔てて形成された第2切欠きと、各前記第2切欠きから同じ方向に向かって延びる第2切目線と、前記第2切欠きから延びた各前記第2切目線の先端部から、それぞれ前記蓋体の一の側縁まで延びる前記第2折目線とを有することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の包装箱。
【請求項6】
前記包装箱は、複数の側板が折目線を介して又は組み付けにより連設されてなり、それぞれが1又は複数の側板からなる第1側板体及び第2側板体を有し、前記第1側板体と前記第2側板体とがそれぞれ1枚のシート状の紙製のブランクにより形成され、
前記第1板体は前記第1側板体であり、前記第2板体は前記第2側板体であり、
前記第1噛合部は、前記第1側板体の一の側板の側縁から間隔を隔てて形成された前記第1切欠きと、各前記第1切欠きから同じ方向に向かって延びる前記第1切目線と、前記第1切欠きから延びた各前記第1切目線の先端部から、それぞれ前記一の側板の側縁まで延びる前記第1折目線とを有し、
前記第2噛合部は、前記第2側板体の一の側板の側縁から前記間隔を隔てて形成された第2切欠きと、各前記第2切欠きから同じ方向に向かって延びる第2切目線と、前記第2切欠きから延びた各前記第2切目線の先端部から、それぞれ前記第2側板体の一の側板の側縁まで延びる前記第2折目線とを有することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、切り花などを輸送するための包装箱においては、蓋が開いた状態で中身が見易いように、蓋が両側から開閉する観音開き式ではなく、蓋が片側から開閉する片側開閉式の包装箱が用いられる。
【0003】
特許文献1には、正面部に切欠部が形成され、上部が開放された箱状の本体部と、本体部の背面部と接着され、本体部の上部の開口と切欠部を覆う副体部とからなり、本体部と副体部とが共に1枚の平板状のブランクにより形成された包装箱が開示されている。本体部は、その背面部において、分離部が切目線を介して分離可能となっている。切目線を破断して分離部を本体部から分離することにより、副体部を取り除くことが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の片側開閉式の包装箱は、1枚のブランクからなる場合、4つの側面が一方向に連続したものに、1の側面を構成する部分に蓋面を構成する部分が連続したブランクがなっている。そのため、1枚の段ボール紙(材料となる段ボール板紙)から複数枚のブランクを取る場合に、有効利用されない部分が大きく、効率が低下するという問題があった。
【0006】
また、2枚のブランクからなる開閉式の包装箱の場合は、例えば、1の側面を構成する部分に底面を構成する部分が連続し、2つの側面が一方向に連続したものと、1の側面を構成する部分に蓋を構成する部分が連続し、2つの側面が一方向に連続したものとからなっている。そして、これを2枚のブランクを連結するためには、側面を構成する部分同士を連結するために少なくも2つのフラップが必要となる。このように2つのフラップを設けると、2か所において連結する必要が生じ、作業効率が低下することがあるという問題があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、板紙のコストの低減及び連結作業の増加抑制を図ることが可能な片側開閉式の包装箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、それぞれ1枚のシート状の紙製のブランクにより形成される第1板体と第2板体とを組み合わせてなる包装箱であって、前記第1板体は第1噛合部を、前記第2板体は第2噛合部をそれぞれ備え、前記第1噛合部は、前記第1板体の一の側縁から間隔を隔てて形成された複数の第1切欠きと、各前記第1切欠きから同じ方向に向かって延びる第1切目線と、前記第1切欠きから延びた各前記第1切目線の先端部から、それぞれ前記第1板体の前記一の側縁まで延びる第1折目線とを有し、前記第2噛合部は、前記第2板体の一の側縁から間隔を隔てて形成された複数の第2切欠きと、各前記第2切欠きから前記方向と同じ方向に向かって延びる第2切目線と、前記第2切欠きから延びた各前記第2切目線の先端部から、それぞれ前記第1板体の前記一の側縁まで延びる第2折目線とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、第1噛合部の第1切欠きの間に位置する部分(第1中央噛合部)と第2噛合部の第2切欠きの間に位置する部分(第2中央噛合部)とが面状に当接し、かつ、第1噛合部の第1切欠きと第1板体の端部との間に位置する部分(第1側部噛合部)と第2噛合部の第2切欠きと第2板体の端部との間に位置する部分(第2側部噛合部)とが面状に当接し、さらに、中央噛合部と側部噛合部とが互い違いに位置させることにより、第1板体と第2板体とを安定的に組み付けることが可能となる。
【0010】
この組み付けは連結剤や連結機などを必要とせずに、作業者が一人で簡易に行うことができる。また、フリップを用いた連結と比較して板紙のコストの低減を図ることが可能となる。
【0011】
さらに、第1噛合部の第1切目線と第2噛合部の第2切目線とが互いに入り込むことにより、第1切目線と第2切目線が離れるように第1板体と第2板体とを相対的に摺動移動させなければ、第1板体と第2板体との噛み合わせが解除されず、これらの組み付けは安定的である。
【0012】
また、第1折目線によって容易に折れ曲がる第1板体の端部が第2板体に対して容易に乗り上がり、第2折目線によって容易に折れ曲がる第2板体の端部が第1板体に対して容易に乗り上がる。これにより、第1噛合部と第2噛合部との噛み合わせを容易に行うことが可能となる。
【0013】
本発明において、前記第1切欠きは、それぞれ、当該第1切欠きから延びる前記第1切目線が位置する方向に向かって傾斜するように、前記第1板体の前記一の側縁から延びており、前記第2切欠きは、それぞれ、当該第2切欠きから延びる前記第2切目線が位置する方向に向かって傾斜するように、前記第2板体の前記一の側縁から延びていることが好ましい。
【0014】
この場合、第1切欠き及び第2切欠きは、第1噛合部と第2噛合部とを噛み合わせる箇所において外側に広がるように開口しているので、第1板体と第2板体とを差し込む際に、第1噛合部と第2噛合部とを噛み合わせることが容易となる。なお、この噛み合わせの後に、第1板体と第2板体とを相対的に摺動移動させることによって、第1切目線と第2切目線とが互いに入り込むことにより、噛み合せが安定化する。
【0015】
また、本発明において、前記第1切欠き又は前記第2切欠きの少なくとも何れか一方は、切込み線であってもよい。
【0016】
また、本発明において、前記第1折目線又は前記第1折目線の少なくとも何れか一方は、部分的に切目を有していてもよい。
【0017】
また、本発明において、例えば、前記包装箱は、互いに対向する一対の第1側板及び該一対の第1側板の対向方向に交わる方向に互いに対向する一対の第2側板からなる角筒状の胴部と、前記胴部の下側の開放端を閉鎖する底部とを有する本体、及び、前記胴部の上側の開放端を閉鎖する蓋体を有し、前記本体と前記蓋体とがそれぞれ1枚のシート状の紙製のブランクにより形成され、前記一対の第1側板のうちの一の第1側板の上縁に折目線を介して連接されたフラップを備え、前記第1板体は前記フラップであり、前記第2板体は前記蓋体であり、前記第1噛合部は、前記フラップの前記折目線とは反体側の側縁から間隔を隔てて形成された前記第1切欠きと、各前記第1切欠きから同じ方向に向かって延びる前記第1切目線と、前記第1切欠きから延びた各前記第1切目線の先端部から、それぞれ前記フラップの前記第1折目線とは反体側の側縁まで延びる前記第1折目線とを有し、前記第2噛合部は、前記蓋体の一の側縁から前記間隔を隔てて形成された第2切欠きと、各前記第2切欠きから同じ方向に向かって延びる第2切目線と、前記第2切欠きから延びた各前記第2切目線の先端部から、それぞれ前記蓋体の一の側縁まで延びる前記第2折目線とを有する。
【0018】
この場合、第1噛合部と第2噛合部が噛み合うことにより、本体の第1フラップに蓋体が組み付けられるので、片側から蓋体を開閉することが可能な包装箱が得られる。そして、本体及び蓋体が別体のブランクから形成されるので、従来の本体と蓋体とが一体となったブランクである場合と比較して、ブランクを得るときに有効利用されずに廃棄される段ボール紙の割合を削減することが可能となる。
【0019】
また、本発明において、例えば、前記包装箱は、複数の側板が折目線を介して又は組み付けにより連設されてなり、それぞれが1又は複数の側板からなる第1側板体及び第2側板体を有し、前記第1側板体と前記第2側板体とがそれぞれ1枚のシート状の紙製のブランクにより形成され、前記第1板体は前記第1側板体であり、前記第2板体は前記第2側板体であり、前記第1噛合部は、前記第1側板体の一の側板の側縁から間隔を隔てて形成された前記第1切欠きと、各前記第1切欠きから同じ方向に向かって延びる前記第1切目線と、前記第1切欠きから延びた各前記第1切目線の先端部から、それぞれ前記一の側板の側縁まで延びる前記第1折目線とを有し、前記第2噛合部は、前記第2側板体の一の側板の側縁から前記間隔を隔てて形成された第2切欠きと、各前記第2切欠きから同じ方向に向かって延びる第2切目線と、前記第2切欠きから延びた各前記第2切目線の先端部から、それぞれ前記第2側板体の一の側板の側縁まで延びる前記第2折目線とを有する。
【0020】
この場合、従来はステッチ(鋲)などを用いて連結して胴部を形成していた包装箱を、連結具を用いることなく製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る包装箱を示す斜視図。
【
図2】蓋体を開放した状態における包装箱の斜視図。
【
図5】蓋体を第1フリップに差し込む途中の状態を示す部分拡大図。
【
図6】本発明の第2の実施形態に係る包装箱を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の第1の実施形態に係る包装箱100は、
図1及び
図2に示すように、4つの側板11~14からなる四角筒状の胴部10と、胴部10の下側の開放端を閉鎖する底部20とを有する本体30、及び、胴部10の上側の開放端を閉鎖する蓋体40とから構成されている。包装箱100は、本体30と蓋体40とが組み付けられることにより、全体として直方体状の箱体となる。なお、ここでは、胴部10の開放端が上下方向に配置されることを例に説明したため、下側の開放端を閉鎖するものを底部20、上側の開放端を閉鎖するものを蓋体40と称しているが、本発明はこれに限られない。すなわち、胴部10を立てて用いる場合には、底部20は奥側に配置され、蓋体40は手前側に配置されるものであり、要するに、包装箱100は、第1の実施形態のように寝かして用いることも、立てて用いることもできる。
【0023】
包装箱100は、本体30に蓋体40が組み付けられることにより、片側から蓋体40を開閉することが可能な開閉式の包装箱である。本体30に切り花などの収容物を収容することができ、包装箱100は切り花などの輸送の用途に適している。
【0024】
本体30は、
図3に示す1枚のシート状の本体ブランク50を組み立てることにより形成される。蓋体40は、
図4に示す1枚のシート状の蓋体ブランク60からなる。本体ブランク50及び蓋体ブランク60は、共に、数mmの厚さを有する段ボール、厚紙などからなる紙製である。
【0025】
胴部10は、互いに対向する一対の第1側板11,12及び該一対の第1側板11,12の対向方向に交わる方向に互いに対向する一対の第2側板13,14からなっている。なお、ここでは、
図2を参照して、胴部10において、第1側板11は右側、第1側板12は左側、第2側板13は手前側、第2側板14は奥側に位置しているとする。
【0026】
本体ブランク50においては、第1側板11と第2側板13とは胴部折目線51を介して連接され、第2側板13と第1側板12とは胴部折目線52を介して連接され、第1側板12と第2側板14とは胴部折目線53を介して連接されている。そして、第2側板14の一の側縁には折目線54を介して接着片15が連設されている。
【0027】
各第1側板11,12の上端縁には、それぞれフラップ折目線11a,12aを介して外フラップ11A,12Aが連設されている。フラップ折目線11aの中間部には、スリット16が形成されている。フラップ折目線11aは本発明の折目線に相当する。
【0028】
そして、外フラップ11Aには、フラップ折目線11aとは反対側の側縁部(本体ブランク50を組み立てて本体30として状態においては、胴部10の内側に位置する先端縁部となる)に第1噛合部70を備えている。外フラップ11Aは、本発明の第1板体及びフラップに相当する。
【0029】
第1噛合部70は、外フラップ11Aの先端縁部に間隔を隔てて形成された第1切欠き71,71と、各第1切欠き71から同じ方向に延びる第1切目線72,72と、各第1切欠き71から延びた第1切目線72の先端部から、それぞれ外フラップ11Aの先端縁まで延びる第1折目線73,73を有している。
【0030】
第1切欠き71,71は、ここでは、2つ存在しており、同じ形状となっている。
【0031】
各第1切欠き71は、外フラップ11Aの先端縁から基端縁(第1折目線11aが位置する方向)に向かうとともに、右から左に向かって若干斜めに延びており、ここでは、矩形状であり、より具体的には略平行四辺形状となっている。この略平行四辺形は、第1切目線72が第1切欠き71から延びる方向(第1折目線11aに沿って平行な方向)に向かって傾斜する斜辺71a,71bを有している。
【0032】
ただし、ここでは、第1切目線72の始点から外フラップ11Aの先端縁に向かって延びる略平行四辺形の斜辺71bは、この斜辺71bと対向する斜辺71aよりも傾斜が大きく、すなわち、斜辺71bは外フラップ11Aの先端縁に向かってより垂直に近く傾斜している。そして、底辺71cは、外フラップ11Aの先端縁と平行になっている。
【0033】
第1切目線72,72は、ここでは、各第1切欠き71の底辺71cから連続するように、外フラップ11Aの先端縁と平行に延びている。第1切目線72,72の長さも同じである。なお、各第1切欠き71の斜辺71aと第1切目線72との連結部は丸みを帯びている。
【0034】
第1折目線73,73は、斜辺71bと反対方向に傾斜している。ただし、ここでは、第1折目線73と斜辺71bは線対称となっているが、これには限定されない。
【0035】
第1折目線73が存在することにより、第1折目線73、第1切目線72、斜辺71a及び外フラップ11Aの先端縁の4辺で囲まれた略台形状の可動片74が、外フラップ11Aの本体に対して、第1折目線73を介して、その厚み方向の両方向に容易に折れ曲がる。
【0036】
以上に説明した構造により、第1噛合部70は、手前側の第1折目線73と奥側の第1切欠き71の斜辺71bとに挟まれた略台形片状である第1中央噛合部75と、手前側の外フラップ11Aの端縁と手前側の第1切欠き71の斜辺71bとに挟まれた略台形片状である第1側部噛合部76と、奥側の外フラップ11Aの端縁と奥側の第1折目線73とに挟まれた略台形片状である第1側部噛合部77を有している。
【0037】
また、各第2側板13,14の上端縁には、フラップ折目線13a,14aを介して内フラップ13A,14Aが連設されている。外フラップ11A,12A及び内フラップ13A,14Aは、後述するように、本体30の天部を構成する。
【0038】
そして、各第1側板11,12の下端縁には、それぞれフラップ折目線11b,12bを介して外フラップ11B,12Bが連設されている。また、各第2側板13,14の下端縁には、フラップ折目線13b、14bを介して内フラップ13B,14Bが連設されている。外フラップ11B,12B及び内フラップ13B,14Bは、後述するように、本体30の底部20を構成する。
【0039】
一方、蓋体ブランク60においては、蓋板41と、蓋板41に折目線42を介して連接された挿入片43を有している。
そして、蓋板41には、挿入片43とは反対側の側縁部において、第1噛合部70が噛み合う第2噛合部80が形成されている。
【0040】
第2噛合部80は、蓋板41の一方の側部(右側縁部)に間隔を隔てて形成された第2切欠き81,81と、各第2切欠き81から同じ方向に延びる第2切目線82,82と、各第2切欠き81から延びた第2切目線82の先端部から、それぞれ蓋板41の右側縁まで延びる第2折目線83,83とを有している。
【0041】
第2切欠き81,81は、外フラップ11Aの第1切欠き71,71と同一の個数だけ存在しており、ここでは、2つであり、同じ形状となっている。
【0042】
各第2切欠き81は、蓋板41の右側縁から反対側の方向(左側縁に位置する方向)に向かって、すなわち、右から左に向かって延びており、ここでは、第1切欠き71,71と同様に矩形状、具体的には略平行四辺形状となっている。この略平行四辺形は、第2切目線82が第2切欠き81から延びる方向に向かって傾斜する斜辺81a,81bを有している。
【0043】
ただし、ここでは、第2切目線82の始点から蓋板41の右側縁に向かって延びる略平行四辺形の斜辺81aは、この斜辺81aと対向する斜辺81bよりも傾斜が大きく、すなわち、蓋板41の右側縁に向かってより垂直に近く傾斜している。そして、底辺81cは、蓋板41の右側縁と平行になっている。
【0044】
第2切目線82,82は、ここでは、各第2切欠き81の底辺81cから連続するように、蓋板41の右側縁と平行に延びている。第2切目線82,82の長さも同じである。なお、各第2切欠き81の斜辺81aと第2切目線82との連結部は丸みを帯びている。
【0045】
第2折目線83,83は、斜辺81bと反対方向に傾斜している。ただし、ここでは、第2折目線83と斜辺81bは線対称となっているが、これには限定されない。
【0046】
第2折目線83が存在することにより、第2折目線83、第2切目線82、斜辺81a及び蓋板41の右側縁の4辺で囲まれた略台形状の可動片84が、蓋板41の本体に対して、第2折目線83を介して、その厚み方向の両方向に容易に折れ曲がる。
【0047】
以上に説明した構造により、第2噛合部80は、手前側の第2折目線83と奥側の第2切欠き81の斜辺81bとに挟まれた略台形片状である第2中央噛合部85と、手前側の蓋板41の端縁と手前側の第2切欠き81の斜辺81bとに挟まれた略台形片状である第2側部噛合部86と、奥側の蓋板41の端縁と奥側の第2折目線83とに挟まれた略台形片状である第2側部噛合部87を有している。
【0048】
次に、本体ブランク50から本体30を組み立てる作業について説明する。
【0049】
まず、第1側板11,12及び第2側板13,14を、それぞれ胴部折目線51~53及び折目線54に沿って直角に順次折り曲げ、次いで、接着片15が第1側板11の側縁部に接着することにより、
図3に示すように、胴部10を形成する。
【0050】
次いで、本体30の底部20を形成する。具体的には、まず、各内フラップ13B,14Bを第2側板13,14に対してそれぞれ直角となるようにフラップ折目線13b、14bに沿って内方に折り曲げる。次に、各外フラップ11B,12Bを第1側板11,12に対して直角になるようにフラップ折目線11b,12bに沿って内方に折り曲げて内フラップ13B,14Bの外表面に重ね合せる。これにより、底部20が形成され、胴部10の下端の開放端が閉鎖される。
【0051】
さらに、本体30の天部を形成する。具体的には、まず、各内フラップ13A,14Aを第2側板13,14に対してそれぞれ直角となるようにフラップ折目線13a,14aに沿って内方に折り曲げる。次に、各外フラップ11A,12Aを第1側板11,12に対して直角になるようにフラップ折目線11a,12aに沿って内方に折り曲げて内フラップ13A,14Aの外表面に重ね合せる。
【0052】
これにより、本体30の天部が形成され、胴部10の上端の開放端は部分的に閉鎖される。外フラップ12A及び内フラップ13A,14Aが存在することにより、後述するように外フラップ11Aに組み付けられる蓋体40が胴部10の天部から落ち込むことを防止することが可能となる。
【0053】
次に、以上のようにして組み立てた本体30に蓋体40を組み付ける作業について説明する。
【0054】
まず、本体30の外フラップ11Aを上方に向けて真っ直ぐ又は傾斜して立てた状態で、外フラップ11Aの第1噛合部70と蓋板41の第2噛合部80とを噛み合わせる。
【0055】
具体的には、本体30の外フラップ11Aの第1噛合部70が形成されている部分である左側縁部に対して、蓋板41の第2噛合部80が形成されている部分である右側縁部を、第1切欠き71と第2切欠き81とが重なり合うようにして、フラップ折目線11aが形成されている部分に向かって(左方から右方向に向かって)差し込む。
【0056】
このとき、外フラップ11Aの第1中央噛合部75が上側に蓋板41の第2中央噛合部85が下側になってこれら中央噛合部75,85同士が面状に当接し、かつ、外フラップ11Aの2つの第1側部噛合部76,77が下側に蓋板41の2つの第2側部噛合部86,87が上側になってこれら2つの側部噛合部76,77,86,87同士が面状に当接するにようにする。
【0057】
あるいは、逆に、外フラップ11Aの第1中央噛合部75が下側に蓋板41の第2中央噛合部85が上側になってこれら中央噛合部75,85同士が面状に当接し、かつ、外フラップ11Aの2つの第1側部噛合部76,77が上側に蓋板41の2つの第2側部噛合部86,87が下側になってこれら2つの側部噛合部76,77,86,87同士が面状に当接するにようにする。
【0058】
このとき、第1切欠き71及び第2切欠き81は、外側に向かって広がるように開口しているので、上記のように差し込むことが容易である。
【0059】
上記の状態では、まだ、外フラップ11Aの端部と蓋板41との端部とは一致しておらず、蓋板41の手前側の端部が外フラップ11Aから手前側に飛び出している。
【0060】
そこで、この場合、外フラップ11Aに対して蓋板41を、第1切欠き71と第2切欠き81が形成された部分の端部同士が当接して状態を保ちながら、蓋板41を奥側に平行に移動させ、第1切目線72と第2切目線82とを互いに入り込ませる。これにより、蓋板41の手前側及び奥側の端部を外フラップ11Aの手前側及び奥側の端部に一致又はほぼ一致する。このようにして、外フラップ11Aの第1噛合部70と蓋板41の第2噛合部80とがしっかりと噛み合い、本体30に蓋体40が安定的に組み付けられる。
【0061】
このとき、可動片74は蓋板41に対して容易に乗り上がり、可動片84は第1フラップ11Aに対して容易に乗り上がる。これにより、第1噛合部70と第2噛合部80との噛み合わせを容易に行うことができる。なお、外フラップ11Aに形成されている第1切目線72の先端部と蓋板41に形成されている第2切目線82との先端部が接触してもよいし、離れていてもよい。
【0062】
そして、本体30の内部に切り花などの収容物を必要に応じて収容した後、蓋体40の挿入片43を本体30のスリット16に差し込む。これにより、本体30の上方の開放端が蓋体40により閉鎖される。これにより、包装箱100が完成する。
【0063】
以上に説明した本実施形態に係る包装箱100によれば、第1噛合部70と第2噛合部80とを噛み合わせることにより、本体30の第1フラップ11Aに蓋体40を組み付けることができるので、片側から蓋体40を開閉することが可能な簡易な作業で包装箱100を得ることができる。
【0064】
そして、本体30及び蓋体40が別体のブランク50,60から形成されるので、従来の本体と蓋体とが一体となったブランクである場合と比較して、ブランク50,60を得るときに有効利用されずに廃棄される段ボール紙の割合を削減することが可能となる。
【0065】
また、例えば、蓋体40に収容物の種別(収容物が切り花のとき、カスミソウ、カーネーションなど)を記載する場合、記載が異なる蓋体40であっても組み付けられる本体30を共通化することが可能となる。これにより、包装箱100の資材管理の容易化及び資材コストの削減を図ることが可能となる。
【0066】
さらに、蓋体40を本体30から分離することにより、本体30に収容されている収容物を簡易に展示することが可能である。
【0067】
さらに、中央噛合部75,85と側部噛合部76,86と面状に当接し、かつ互い違いに位置させるように噛み合わせることにより、蓋体40を本体30に安定的に組み付けることが可能となる。
【0068】
この組み付けは連結剤や連結機などを必要とせずに、作業者が一人で簡易に行うことができる。また、フリップを用いた連結と比較して板紙のコストの低減を図ることが可能となる。
【0069】
さらに、第1切目線72と第2切目線82とが互いに入り込むことにより、第1切目線72と第2切目線82が離れるように蓋体40を本体に対して摺動させなければ、蓋体40と本体30との噛み合わせが解除されず、これらの組み付けは安定的である。
【0070】
以上の説明したように、従来はステッチ(鋲)などの連結具を用いて胴部を形成していた包装箱を、連結具を用いることなく製造することが可能となる。
【0071】
次に、本発明の第2の実施形態に係る包装箱200は、
図6に示すように、4つの側板111~114からなる四角筒状の胴部からなる本体110から構成されている。包装箱200は、例えば、四角筒状の重量物などの周囲と取り囲むようにして梱包する際に好適に使用される。包装箱200は、また、災害時パーティション用ドアなどの厚板状のものを梱包する際にも好適に使用される。
【0072】
包装箱200は、ここでは、
図7に示すように、2つの側板111,112が胴部折目線115を介して連接されてなる第1側板ブランク121と、2つの側板113,114が胴部折目線116を介して連接されてなる第2側板ブランク122とが組み付けられることにより形成される。これら側板ブランク121,122は、共に、数mmの厚さを有する段ボール、厚紙などからなる紙製である。なお、側板ブランク121,122は同一形状である。
【0073】
第1側板ブランク121には、側板111の側縁にはフラップ折目線111aを介してフラップ111Aが連設され、側板112の側縁にはフラップ折目線112aを介してフラップ112Aが連設されている。第2側板ブランク122には、側板113の側縁にはフラップ折目線113aを介してフラップ113Aが連設され、側板114の側縁にはフラップ折目線114aを介してフラップ114Aが連設されている。
【0074】
そして、フラップ111Aの側縁部に前述した第1噛合部70を、フラップ112Aの側縁部に前述した第2噛合部80を備えている。フラップ113Aの側縁部に前述した第1噛合部70を、フラップ114Aの側縁部に前述した第2噛合部80を備えている。フラップ111A、113Aは本発明の第1板体に相当し、フラップ112A、114Aは本発明の第2板体に相当する。
【0075】
次に、2枚の側板ブランク121,122から包装箱200を組み立てる作業について説明する。
【0076】
まず、例えば、第1側板ブランク121の第1噛合部70と第2側板ブランク122の第2噛合部80とを噛み合わせる。これにより、第1側板ブランク121と第2側板ブランク122とが噛合部70,80を介して側板111と側板114とが連設された状態となる。
【0077】
その後、側板111,112及び側板113,114を、それぞれ胴部折目線115,116に沿って直角に順次折り曲げ、次いで、第1側板ブランク121の第2噛合部80と第2側板ブランク122の第1噛合部70とを噛み合わせる。噛合部70,80を介して側板112と側板113とが連設された状態となり、包装箱200が完成する。
【0078】
以上に説明した本実施形態に係る包装箱200によれば、第1噛合部70と第2噛合部80とを噛み合わせることにより、第1側板ブランク121と第2側板ブランクを組み付けているので、上述した包装箱100と同様の作用効果を奏する。
【0079】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、包装箱100,200を例に挙げて説明したが、本発明の包装箱はこれらに限定されない。本発明の包装箱は、それぞれ1枚のシート状の紙製のブランクにより形成される第1板体と第2板体とを組み合わせてなる包装箱であって、第1板体が第1噛合部70を、第2板体が第2噛合部80をそれぞれ備えるものであればよい。
【0080】
さらに、第1噛合部70及び第2噛合部80も上述したものに限定されない。例えば、第1切欠き71は、それぞれ、当該第1切欠き71から延びる第1切目線72が位置する方向に向かって傾斜するように、外フラップ11Aの左側縁から延び、第2切欠き81は、それぞれ、当該第2切欠き81から延びる第2切目線82が位置する方向に向かって傾斜するように、蓋板41の右側縁から延びている場合について説明した。
【0081】
この場合、第1切欠き71及び第2切欠き81は、蓋板41を外フリップ11Aに差し込む箇所において外側に広がるように開口しているので、この差し込みの際に、第1噛合部70と第2噛合部80とを噛み合わせることが容易となるので、好ましい。しかし、第1切欠き71及び第2切欠き81の傾斜はこのようなものに限定されず、反対側に傾斜しているものであっても、垂直に延びるものであってもよい。
【0082】
さらに、第1切欠き71及び第2切欠き81は、その形状が略平行四辺形である場合について説明した。しかし、第1切欠き71及び第2切欠き81の形状は、これに限定されず、長方形、台形などであってもよく、斜辺71a,71b,81a,81bの傾斜角度が大きく相違していてもよい。また、第1切欠き71と第2切欠き81との形状が同じである場合について説明したが、相違していてもよい。
【0083】
さらに、第1切欠き71及び第2切欠き81は、側縁の延びる方向に幅を有するものとして説明したが、この方向に幅を有さない、すなわち線状の切込み線であってもよく、また、幅が小さな切込みであってもよい。
【0084】
さらに、第1折目線73又は第2折目線83の少なくとも何れか一方に部分的に切目を有していてもよい。これにより、これら折目線73,83に沿って可動片74,84をさらに容易に可動させることが可能となる。
【0085】
さらに、第1切目線72は共に外フラップ11Aなどの側縁と平行であり、第2切目線82は共に蓋板41の側縁と平行である場合について説明した。しかし、これら第1切目線72及び第2切目線82は、互いに平行であれば、外フラップ11Aや蓋板41などの側縁と平行でなくともよい。
【0086】
さらに、外フラップ11Aなどに第1噛合部70として2組の第1切欠き71、第1切目線72及び第1折目線73を備え、蓋板41などに第2噛合部80として2組の第2切欠き81、第2切目線82及び第2折目線83を備える場合について説明した。しかし、外フラップ11Aや蓋板41などに、前記の組み合わせを3組以上備えるものであってもよい。
【符号の説明】
【0087】
10…胴部、 11,12…第1側板、 11A…外フラップ(第1板体、フラップ)、 11a…フラップ折目線(折目線)、 12A…外フラップ(フラップ)、 12a…フラップ折目線、 11B,12B…外フラップ、 11b,12b…フラップ折目線、 13,14…第2側板、 13A,14A…内フラップ、 13a,14a…フラップ折目線、 13B,13B…内フラップ、 13b,14b…フラップ折目線、 15…接着片、 16…スリット、 20…底部、 30…本体、 40…蓋体、 41…蓋板(第2板体)、 42…折目、 43…挿入片、 50…本体ブランク(本体30を形成するブランク)、 51~53…胴部折目線、 54…折目線、 60…蓋体ブランク(蓋体40を形成するブランク)、 70…第1噛合部、 71…第1切欠き、 71a,71b…斜辺、 71c…底辺、 72…第1切目線、 73…第1折目線、 74…可動片、 75…第1中央噛合部、 76,77…第1側部噛合部、 80…第2噛合部、 81…第2切欠き、 81a,81b…斜辺、 81c…底辺、 82…第2切目線、 83…第2折目線、 84…可動片、 100…包装箱、 110…本体、 111~114…側板、 111A,113A…フラップ(第1板体)、112A,114A…フラップ(第2板体)、 111a~114a…フラップ折目線、 フラップ115,116…胴部折目線、 121…第1側板ブランク、 122…第2側板ブランク、200…包装箱。