(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023049765
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】モータユニット及び電動自転車
(51)【国際特許分類】
B62M 6/40 20100101AFI20230403BHJP
【FI】
B62M6/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021159711
(22)【出願日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井戸 滋
(72)【発明者】
【氏名】川上 将史
(72)【発明者】
【氏名】中野 孝紀
(57)【要約】
【課題】モータユニットが備えるスイッチング素子からの放熱量を更に増大させ、モータユニットの信頼性を高める。
【解決手段】電動自転車用のモータユニット2は、モータ4と、モータ4を駆動させるためのスイッチング素子62と、スイッチング素子62を実装するための実装面613を含んだ面と、該面とは反対を向く反対面とを有する基板61と、基板61を収容するケース3と、を備える。基板61は、実装面613と反対面との間で貫通した貫通孔614と、貫通孔614の内周面の少なくとも一部を覆う金属箔64と、を更に有する。金属箔64に対して、スイッチング素子62が熱的に接続され、かつ、金属箔64に対して、ケース3のうち基板61を挟んでスイッチング素子62とは反対側の部分が、熱的に接続されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動自転車に用いられるモータユニットであって、
モータと、
前記モータを駆動させるためのスイッチング素子と、
前記スイッチング素子を実装するための実装面を含んだ面と、前記面とは反対を向く反対面とを有する基板と、
前記基板を収容するケースと、を備え、
前記基板は、前記実装面と前記反対面との間で貫通した貫通孔と、前記貫通孔の内周面の少なくとも一部を覆う金属箔と、を更に有し、
前記金属箔に対して、前記スイッチング素子が熱的に接続され、かつ、
前記金属箔に対して、前記ケースのうち前記基板を挟んで前記スイッチング素子とは反対側の部分が、熱的に接続されている、
モータユニット。
【請求項2】
前記スイッチング素子を前記実装面に固定する半田を、更に備え、
前記スイッチング素子は、前記半田を介して、前記金属箔に対して熱的に接続されている、
請求項1のモータユニット。
【請求項3】
前記貫通孔の少なくとも一部を覆うように前記反対面に設けられた絶縁部材を、更に備える、
請求項2のモータユニット。
【請求項4】
前記貫通孔の直径は、0.2mmから0.4mmの範囲内である、
請求項1から3のいずれか一項のモータユニット。
【請求項5】
前記貫通孔の直径は、0.2mmから0.35mmの範囲内である、
請求項1から3のいずれか一項のモータユニット。
【請求項6】
前記モータは、前記基板に対して前記スイッチング素子と同じ側に位置する、
請求項1から5のいずれか一項のモータユニット。
【請求項7】
前記スイッチング素子は、単一の電界効果トランジスタと、前記単一の電界効果トランジスタを覆うパッケージと、を含む、
請求項1から6のいずれか一項のモータユニット。
【請求項8】
前記スイッチング素子は、複数の電界効果トランジスタと、前記複数の電界効果トランジスタを覆うパッケージと、を含む、
請求項1から6のいずれか一項のモータユニット。
【請求項9】
前記金属箔の厚さは、10μmから30μmの範囲内である、
請求項1から8のいずれか一項のモータユニット。
【請求項10】
前記実装面は、前記基板の端部領域に位置する、
請求項1から9のいずれか一項のモータユニット。
【請求項11】
前記基板は、熱伝導性の材料で形成された基材を含む、
請求項1から10のいずれか一項のモータユニット。
【請求項12】
前記スイッチング素子に対して、前記ケースのうち前記基板を基準として前記スイッチング素子と同じ側の部分が、熱的に接続されている、
請求項1から11のいずれか一項のモータユニット。
【請求項13】
前記基板は、金属層とこれを覆うレジスト層とを含み、
前記金属層は、前記金属箔に熱的に接続され、
前記レジスト層は、前記金属層の一部を露出させるように形成されており、
前記金属層の前記一部には、放熱用の半田部が固定されている、
請求項1から12のいずれか一項のモータユニット。
【請求項14】
前記貫通孔は開口を有し、前記スイッチング素子は前記開口に面する、
請求項1から13のいずれか一項のモータユニット。
【請求項15】
前記基板に実装された2以上の電界コンデンサを、更に備える、
請求項1から14のいずれか一項のモータユニット。
【請求項16】
前記基板の第1半部に実装された慣性センサを、更に備え、
前記実装面は、前記基板の第2半部に位置している、
請求項1から15のいずれか一項のモータユニット。
【請求項17】
前記基板の第1半部に実装されたマイクロコントローラを、更に備え、
前記実装面は、前記基板の第2半部に位置している、
請求項1から15のいずれか一項のモータユニット。
【請求項18】
前記基板に実装されたマイクロコントローラを、更に備え、
前記マイクロコントローラは、前記モータの回転中心軸に沿って見たときに、前記モータと重ならない、
請求項1から16のいずれか一項のモータユニット。
【請求項19】
前記モータに連結された1段減速の減速機構を、更に備える、
請求項1から18のいずれか一項のモータユニット。
【請求項20】
前記モータに連結された2段減速の減速機構を、更に備える、
請求項1から18のいずれか一項のモータユニット。
【請求項21】
前記モータに連結された3段減速の減速機構を、更に備える、
請求項1から18のいずれか一項のモータユニット。
【請求項22】
クランクアームが連結される回転可能な入力軸と、
第1スプロケットが連結される回転可能な第1出力体と、
第2スプロケットが連結される回転可能な第2出力体と、を備え、
前記第1出力体は、前記入力軸の回転力が伝達されるように構成され、
前記第2出力体は、前記モータの回転力が伝達されるように構成されている、
請求項1から21のいずれか一項のモータユニット。
【請求項23】
クランクアームが連結される回転可能な入力軸と、
スプロケットが連結される回転可能な出力体と、を備え、
前記出力体は、前記入力軸の回転力と前記モータの回転力とが伝達されるように構成されている、
請求項1から21のいずれか一項のモータユニット。
【請求項24】
請求項1から23のいずれか一項のモータユニットと、
前記モータの回転力が伝えられる車輪と、
前記モータユニット及び前記車輪を支持するフレームと、を具備する、
電動自転車。
【請求項25】
請求項22又は23のモータユニットと、
前記モータの回転力が伝えられる車輪と、
前記モータユニット及び前記車輪を支持するフレームと、を具備し、
前記ケースのうち前記スイッチング素子に対して熱的に接続された放熱部分は、側面視において、前記入力軸の回転中心軸と前記モータの回転中心軸とを結んだ線よりも、下方に位置する、
電動自転車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、モータユニット及び電動自転車に関する。
【背景技術】
【0002】
モータユニットを備えた電動自転車が知られている。モータユニットは、モータと、これを制御するための各種電子部品が実装された基板と、モータ及び基板を収容するケースとを備える。
【0003】
この種の電動自転車においては、各種電子部品のうち特に発熱量が大きなスイッチング素子等の電子部品を、ケースに対して熱的に接続させることが、従来提案されている(例えば特許文献1等参照)。これにより、電子部品の放熱量が増大する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、モータユニットが備えるスイッチング素子からの放熱量を更に増大させ、モータユニットの信頼性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るモータユニットは、電動自転車に用いられるモータユニットであって、モータと、前記モータを駆動させるためのスイッチング素子と、前記スイッチング素子を実装するための実装面を含んだ面と、前記面とは反対を向く反対面とを有する基板と、前記基板を収容するケースと、を備える。前記基板は、前記実装面と前記反対面との間で貫通した貫通孔と、前記貫通孔の内周面の少なくとも一部を覆う金属箔と、を更に有する。前記金属箔に対して、前記スイッチング素子が熱的に接続され、かつ、前記金属箔に対して、前記ケースのうち前記基板を挟んで前記スイッチング素子とは反対側の部分が、熱的に接続されている。
【0007】
本開示の一態様に係る電動自転車は、前記モータユニットと、前記モータの回転力が伝えられる車輪と、前記モータユニット及び前記車輪を支持するフレームと、を具備する。
【発明の効果】
【0008】
本開示は、モータユニットが備えるスイッチング素子からの放熱量を更に増大させ、モータユニットの信頼性を高めることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態の電動自転車の側面図である。
【
図2】
図2は、同上の電動自転車の要部側面図である。
【
図3】
図3は、同上の電動自転車が備えるモータユニットの概略的な断面図である。
【
図5】
図5は、同上のモータユニットが備える基板の側面図である。
【
図7】
図7は、同上のモータユニットの一部を取り外した側面図である。
【
図8】
図8は、同上のモータユニットが備えるケースの第2分割体の側面図である。
【
図9】
図9は、同上のモータユニットの第1変形例の要部断面図である。
【
図10】
図10は、同上のモータユニットの第2変形例の要部断面図である。
【
図11】
図11は、同上のモータユニットの第3変形例の要部側面図である。
【
図12】
図12は、同上のモータユニットの第4変形例の概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1)一実施形態
一実施形態の電動自転車1は、電動アシスト自転車である。
図1に示すように、電動自転車1は、フレーム10と、フレーム10に支持固定されたモータユニット2と、フレーム10に回転自在に支持された二つの車輪11とを具備する。二つの車輪11は、前輪111と後輪112である。このうち後輪112が、モータユニット2から出力される駆動力によって(つまりモータユニット2に含まれるモータ4の回転力が伝えられることで)、回転駆動される。
【0011】
本文において用いる前後、左右、上下の各方向は、電動自転車1の運転者を基準として定義される。運転者が電動自転車1に乗って進行する方向が前方、これの反対側が後方であり、運転者から見て左の方向が左方、運転者から見て右の方向が右方である。以下、各構成について詳しく説明する。
【0012】
(1.1)フレーム
フレーム10は、ヘッドパイプ101、ダウンチューブ103、シートチューブ104、シートステー105、チェーンステー106及びブラケット108を有する。
【0013】
フレーム10(つまりフレーム10を構成する上記の各部)は、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属で形成されるが、非金属を一部に含んでもよい。フレーム10全体が非金属で形成されてもよく、フレーム10の材質は特に限定されない。
【0014】
ヘッドパイプ101には、ハンドルポスト12が回転自在に挿通されている。ハンドルポスト12の下端部には、フロントフォーク121が形成されている。フロントフォーク121には、前輪111が回転可能に取り付けられている。ハンドルポスト12の上端部には、ハンドルバー122が固定されている。
【0015】
シートチューブ104の上端開口には、サドル13から下方に延びるパイプ132が挿入されている。このパイプ132がシートチューブ104に固定されることで、サドル13が固定される。シートチューブ104の下端部は、ブラケット108に固定されている。
【0016】
ヘッドパイプ101には、ダウンチューブ103の前端部が固定されている。ダウンチューブ103の後端部は、ブラケット108に固定されている。
【0017】
ブラケット108には、モータユニット2が固定されている。ブラケット108の後部には、チェーンステー106の前端部が固定されている。
【0018】
シートチューブ104の上端部には、シートステー105の前端部が固定されている。シートステー105の後端部は、チェーンステー106の後端部に連結されており、この連結部分に後輪112が回転自在に装着されている。シートチューブ104には、モータユニット2に電力を供給するためのバッテリ15が、着脱自在に装着されている。
【0019】
(1.2)モータユニット
図2、
図3等に示すように、モータユニット2の外殻の大部分は、ケース3で構成されている。ケース3には、車輪11を回転駆動させるための駆動源であるモータ4が、取り付けられている。ケース3には、モータ4に対して動力伝達可能に連結された減速機構5と、モータ4の回転を制御する制御基板6とに加えて、入力軸71、入力体72、出力体81,82等の各部材が収容されている。
【0020】
ケース3は、ケース3の第1側の半部を構成する第1分割体31と、ケース3の第2側の半部を構成する第2分割体32とを含む。第1側は、一実施形態の電動自転車1においては右側である。第2側は、第1側とは反対の側であり、一実施形態の電動自転車1においては左側である。右側の第1分割体31と、左側の第2分割体32とが組み合わさることで、中空のケース3が形成される。
【0021】
第1分割体31は、左側に開放された空間を有する。この空間が、ケース3の収納空間の右側の半部を構成する。第2分割体32は、右側に向けて開放された空間を有する。この空間が、ケース3の収納空間の左側の半部を構成する。第2分割体32には、モータ4を配置するための凹部322が形成されている。第1分割体31と第2分割体32は、それぞれの空間が連通するように互いに固定される。
【0022】
モータ4は、円柱状の回転軸41と、回転軸41と一体に回転するように回転軸41に結合されたロータ42と、ロータ42を囲んで位置する円筒状のステータ43とを有する。
【0023】
凹部322の内底面には、軸受45が配置されている。軸受45は、回転軸41の軸方向の一端部を回転自在に支持する軸受である。回転軸41の軸方向の別の端部は、第1分割体31の内面に配置された軸受46に、回転自在に支持されている。回転軸41のうちロータ42から突出した部分の外周面には、減速機構5と噛み合うための歯部415が形成されている。
【0024】
ケース3には、入力軸71がその軸線710まわりに回転可能に収納される。第1分割体31と第2分割体32には、入力軸71が挿し通される貫通孔311,321が形成されている。
【0025】
入力軸71の両端部には、クランクアーム18が固定される(
図2等参照)。クランクアーム18の先端部には、ペダル181が回転可能に取り付けられる。運転者は、ペダル181を漕ぐことにより、入力軸71に対して人力の回転力を与えることができる。
【0026】
ケース3内において、入力体72は、入力軸71の外周面に沿って配置されている。入力体72は筒状の部材であり、入力軸71と一体に回転する。
【0027】
入力体72は、第1入力体721と第2入力体722とに分割されている。第1入力体721は、入力軸71に連結されている。第2入力体722は、第1入力体721に連結されており、出力体81に回転力を伝達するように構成されている。
【0028】
出力体81は筒状の部材であり、入力軸71の外周面に沿って回転可能に配置されている。出力体81の一端部は、第1分割体31の貫通孔311を通ってケース3の外に突出している。出力体81のうちケース3から突出した部分には、前側のスプロケット191が固定される(
図2参照)。スプロケット191は、出力体81と一体に回転する。
【0029】
一実施形態の電動自転車1において、モータユニット2は、出力体81とは別の出力体82を備える。出力体82は、モータ4の回転力によって回転駆動される部材である。以下においては区別のため、人力によって回転駆動される出力体81を第1出力体81と称し、モータ4の回転力によって回転駆動される出力体82を第2出力体82と称する。
【0030】
第2出力体82の第1端部は、ケース3内に位置している。第2出力体82は、第2分割体32に配置された軸受85と、リテーナ75に配置された軸受86とで、回転可能に支持されている。
【0031】
リテーナ75は、ケース3内に収容された金属製の部材である。リテーナ75は、アルミニウム又はアルミニウム合金で形成されていることが好ましいが、マグネシウム合金、鉄系金属又は樹脂で形成されてもよい。リテーナ75は、モータ4の回転軸41の軸線410に沿って見たときに、少なくとも一部がモータ4と重なるように配置されている。
【0032】
第2出力体82の第2端部は、ケース3の外に突出している。第2出力体82の第2端部には、前側の別のスプロケット192が固定されている。スプロケット192は、第2出力体82と一体に回転する。以下においては区別のため、スプロケット191を第1スプロケット191と称し、スプロケット192を第2スプロケット192と称する。
【0033】
第2出力体82とモータ4の回転軸41との間には、モータ4の回転を減速して第2出力体82に伝達する減速機構5が配置されている。減速機構5は、いわゆる1段減速の機構であって、具体的には、第2出力体82の外周面に、ワンウェイクラッチ58を介して伝達歯車51が取り付けられている。伝達歯車51は、モータ4の回転軸41の歯部415と噛み合っている。
【0034】
チェーン195は、前側の第1及び第2スプロケット191,192と、後ろ側のスプロケット193とに掛け回される。第2出力体82の回転力は、第2スプロケット192、チェーン195及び後ろ側のスプロケット193を介して、最終的に後輪112に伝達される。
【0035】
一実施形態の電動自転車1では、運転者がペダル181を漕いで進行している最中に、モータ4の回転軸41が回転すると、これに連動して伝達歯車51が回転し、この回転力がワンウェイクラッチ58を介して第2出力体82に伝達され、更にチェーン195に伝達される。
【0036】
(1.3)制御基板
モータユニット2のケース3内に収容された制御基板6について、更に詳しく説明する。
【0037】
制御基板6は、平板状の基板61に各種の電子部品を実装することによって構成されている。各種の電子部品は、複数のスイッチング素子62、電界コンデンサ68、マイクロコントローラ69等を含む(
図5、
図6等参照)。複数のスイッチング素子62は、マイクロコントローラ69によって制御される。
【0038】
基板61は、右側(つまり第1側)を向く第1面611と、左側(つまり第2側)を向く第2面612とを有する。第1面611と第2面612は、互いに反対向きの一対の面であり、言い換えれば、基板61において裏表の位置にある一対の面である。第1面611と第2面612は、互いに平行な一対の平坦な面である。
【0039】
図4に示すように、基板61は、第1面611を形成する最外層のレジスト層6191と、これに覆われる金属層6181と、第2面612を形成する最外層のレジスト層6192と、これに覆われる金属層6182とを含む。
【0040】
第2面612には、スイッチング素子62を実装するための実装面613が含まれている。つまり、第1実施形態のモータユニット2では、第2面612が、スイッチング素子62を実装するための実装面613を含んだ面であり、第1面611が、実装面613を含んだ面とは反対を向く反対面である。
【0041】
実装面613は、第2面612の端部領域に位置する。スイッチング素子62は、熱伝導性を有する半田63を介して、実装面613に固定されている(
図4参照)。基板61にスイッチング素子62が実装された状態(以下、単に実装状態という。)において、半田63は、スイッチング素子62に対して全面的に接触し、スイッチング素子62に対して熱的に接続されている。
【0042】
なお、2つの部材が熱的に接続されているというのは、2つの部材が熱伝達可能な状態にあることを意味する。2つの部材が熱的に接続されていることには、2つの部材の間に別部材が介在している場合(例えば、2つの部材の間に膜状の絶縁部材が介在している場合や、2つの部材の間にレジスト層が介在している場合や、2つの部材の間に膜状の絶縁部材とレジスト層が介在している場合)も含まれる。
【0043】
スイッチング素子62は、電界効果トランジスタ621と、電界効果トランジスタ621を覆うパッケージ625とを含む。パッケージ625は、電界効果トランジスタ621を封止する樹脂モールドで構成されているが、これに限定されず、パッケージ625を金属ケースで構成することも可能である。
【0044】
更に、基板61は、スイッチング素子62の放熱性を高める複数の貫通孔614と、各貫通孔614の内周面を覆う金属箔64とを有する。
【0045】
貫通孔614は、基板61の第1面611と第2面612との間で貫通するように設けられており、より具体的には、第2面612の端部領域にある実装面613と第1面611の端部領域との間を最短距離で貫通するように設けられている。貫通孔614は、円形の貫通孔であって、実装面613に形成された円形状の開口と、第1面611に形成された円形状の開口とを有する。
【0046】
貫通孔614の直径は、0.2mmから0.4mmの範囲内にあることが好ましく、0.2mmから0.35mmの範囲内にあることが更に好ましい。つまり、貫通孔614の実装面613上の開口は、0.2mmから0.4mmの範囲内の直径を有することが好ましく、0.2mmから0.35mmの範囲内の直径を有することが更に好ましい。また、貫通孔614の第1面611上の開口は、0.2mmから0.4mmの範囲内の直径を有することが好ましく、0.2mmから0.35mmの範囲内の直径を有することが更に好ましい。
【0047】
金属箔64は、例えば銅箔で構成されており、高い熱伝導性を有する。金属箔64の厚さは、10μmから30μmの範囲内にあることが好ましい。金属箔64は、貫通孔614の内周面の少なくとも一部を覆っている。金属箔64は、貫通孔614の内周面の全部を覆うことが好ましいが、貫通孔614の内周面の一部だけを覆うことも有り得る。実装状態において、スイッチング素子62は、貫通孔614の実装面613上の開口に、面している。また、実装状態において、スイッチング素子62は、半田63を介して、金属箔64に対して熱的に接続されている。実装状態において、半田63は、金属箔64に接触することが好ましい。
【0048】
一実施形態の電動自転車1が備えるモータユニット2において、ケース3の第1分割体31と第2分割体32は、それぞれスイッチング素子62の放熱を促進させるための部分315,325を、一体に有している。両部分315,325は、外気に接触して放熱可能な部分である。以下において、両部分315,325をそれぞれ放熱部分315,325と称する。
【0049】
第1分割体31の放熱部分315は、第1分割体31のうち内側に向けて(つまり左側に向けて)凹んだ部分の底部で構成されている。
【0050】
ケース3内には、放熱部分315と基板61との間に介在するように、熱伝導性シート76が収容されている。熱伝導性シート76は、放熱部分315に対してその左側から接触することが好ましく、また、基板61の第1面611のうち実装面613の裏側の部分に対して、その右側から接触することが好ましい。基板61に設けられた各貫通孔614の金属箔64は、熱伝導性シート76を介して、放熱部分315に対して熱的に接続されている。金属箔64は、熱伝導性シート76に接触することが好ましい。第1実施形態のモータユニット2では、放熱部分315が、基板61を挟んでスイッチング素子62とは反対側に位置するとともに金属箔64に対して熱的に接続される部分である。
【0051】
第2分割体32の放熱部分325は、第2分割体32のうち内側に向けて(つまり右側に向けて)凹んだ部分の底部で構成されている。
【0052】
ケース3内には、放熱部分325とスイッチング素子62との間に介在するように、熱伝導性シート77が収容されている。熱伝導性シート77は、放熱部分325に対してその右側から接触することが好ましく、また、スイッチング素子62のパッケージ625に対してその左側から接触することが好ましい。スイッチング素子62は、熱伝導性シート77を介して、放熱部分325に対して熱的に接続されている。第1実施形態のモータユニット2では、放熱部分325が、ケース3のうち基板61を基準としてスイッチング素子62と同じ側に位置するとともにスイッチング素子62に対して熱的に接続される部分である。スイッチング素子62は、基板61と放熱部分325との間に、熱伝導性シート77を介して挟み込まれている。
【0053】
したがって、一実施形態の電動自転車1が備えるモータユニット2では、基板61の各貫通孔614に設けられた金属箔64に対して、スイッチング素子62が左側(つまり第2側)から熱的に接続され、かつ、ケース3の一部を構成する放熱部分315が右側(つまり第1側)から熱的に接続されている。そのため、スイッチング素子62から発生する熱は、複数箇所に設けられた熱伝導性の金属箔64を介して放熱部分315に効率的に伝えられ、放熱部分315を通じて外気に放熱される。
【0054】
加えて、一実施形態の電動自転車1が備えるモータユニット2では、スイッチング素子62に対して、ケース3の別の一部を構成する放熱部分325が、左側(つまり第2側)から熱的に接続されている。そのため、スイッチング素子62から発生する熱は、放熱部分325にも伝えられ、放熱部分325を通じて外気に放熱される。
【0055】
また、一実施形態の電動自転車1が備えるモータユニット2では、スイッチング素子62とマイクロコントローラ69とを、互いに十分な距離をあけて位置するように基板61に実装している。そのため、スイッチング素子62の側で発生した電気的ノイズが、マイクロコントローラ69に影響を及ぼすことが抑えられている。
【0056】
具体的には、スイッチング素子62を実装する実装面613は、基板61のうち下側の半部で構成された第1半部615に、設けられている(
図6参照)。スイッチング素子62は、基板61の第1半部615に実装されている。これに対して、マイクロコントローラ69は、基板61のうち上側の半部で構成された第2半部616に、実装されている(
図5参照)。ここでの上下は、モータユニット2を備えた電動自転車1が運転される状態を基準として、定義される。上下方向におけるマイクロコントローラ69とスイッチング素子62との距離は、基板61の上下寸法の半分以上であることが好ましい。
【0057】
また、モータ4から発生した電気ノイズが、マイクロコントローラ69に影響を及ぼすことを抑えるためには、マイクロコントローラ69の全体又は少なくとも中央のチップが、モータ4の回転中心軸(つまり回転軸41の軸線410)に沿って見たときに、モータ4と重ならない位置にあることが好ましい。
【0058】
また、一実施形態の電動自転車1が備えるモータユニット2では、スイッチング素子62が、基板61の端部領域に実装されている。そのため、スイッチング素子62とケース3の一部(つまり放熱部分315,325)とを熱的に接続させることが容易であり、スイッチング素子62からケース3への放熱経路を確保することが容易である。
【0059】
また、
図2等に示すように、一実施形態の電動自転車1では、ケース3のうちスイッチング素子21に対して熱的に接続された部分(つまり放熱部分315,325)が、側面視において、入力軸71の回転中心軸とモータ4の回転中心軸とを結んだ線(
図2中の鎖線L参照)よりも、下方に位置している。そのため、スイッチング素子21からの放熱が、放熱部分315,325を通じて効率的に行われる。ここでの側面視は、モータ4の回転中心軸に沿って見たときであり、換言すると、入力軸71の回転中心軸に沿ってみたときである。
【0060】
(1.4)変形例
以下、一実施形態の電動自転車1の各種の変形例について説明する。なお、一実施形態において既述した構成と同様の構成については、同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0061】
図9には、モータユニット2の第1変形例の要部断面を示している。当該要部は、一実施形態において
図4に示した部分と対応する。モータユニット2の第1変形例は、基板61の第1面611に設けられた絶縁部材65を、更に備えている。
【0062】
第1変形例においては、熱伝導性シート76と金属層6181とが、両者の間に位置する絶縁部材65及びレジスト層6191を介して、互いに熱的に接続されている。
【0063】
絶縁部材65は、基板61に設けられた各貫通孔614の一部を覆い、第2面612側に塗布された半田63の一部が各貫通孔614を通じて第1面611の側に流出することを抑える機能を有する。半田63の一部が第1面611の側に流出した場合、回路の短絡等の原因となり得る。
【0064】
絶縁部材65は、例えば、いわゆるスクリーン印刷の手法によって有色の絶縁樹脂を第1面611上に印刷することで、形成可能である。印刷の手法はこれに限定されず、いわゆるインクジェット印刷、UV硬化型の絶縁樹脂を用いたUV印刷、熱硬化型の絶縁樹脂を用いた印刷等の他の手法を用いることも可能である。絶縁部材65を印刷により形成する場合、基板61の最外層を構成するレジスト層6191,6192の上に、印刷を行うことが好ましい。絶縁樹脂の印刷作業を、同一箇所に複数回行うことも可能である。
【0065】
第1変形例において、絶縁部材65は、複数の貫通孔614に対して一対一で連通する複数の孔653を有している。孔653は、絶縁部材65を貫通する円形状の孔である。孔653の外径は、対応する貫通孔614の外径よりも小さく設けられている。孔653の外径は、対応する貫通孔614が第1面611上に有する開口の外径よりも、小さく設けられている。孔653の開口面積は、対応する貫通孔614の開口面積よりも小さく設けられており、貫通孔614が貫通する方向に沿って見たとき、孔653の開口縁は、貫通孔614の開口縁の内側に位置する。
【0066】
なお、絶縁部材65が孔653を有することは必須でなく、絶縁部材65が孔653を有さないことも有り得る。この場合、基板61に形成された複数の貫通孔614は、絶縁部材65によって塞がれる。基板61に形成された複数の貫通孔614の一部だけが絶縁部材65によって塞がれることも有り得る。
【0067】
図10には、モータユニット2の第2変形例の要部断面を示している。当該要部は、一実施形態において
図4に示した部分と対応する。モータユニット2の第2変形例では、ケース3が放熱部分325を有しておらず、また、ケース3内に熱伝導性シート77が配されていない。スイッチング素子62は、ケース3の第2分割体32に対しては直接的な放熱経路を有さないが、ケース3の第1分割体31に対しては、複数の貫通孔614内の金属箔64等を通じた直接的な放熱経路を有する。
【0068】
加えて、モータユニット2の第2変形例では、スイッチング素子62が、複数の電界効果トランジスタ621と、これら複数の電界効果トランジスタ621を覆うパッケージ625とを有する。このタイプのスイッチング素子62は、
図4に示すような単一の電界効果トランジスタ621を有するタイプのものと比較して、放熱性に優れる。
【0069】
図11には、モータユニット2の第3変形例が備える基板61を示している。基板61は、第1面611の側の最外層を構成するレジスト層6191と、レジスト層6191によって覆われる金属層6181とを含み、金属層6181は、複数の貫通孔614内の金属箔64に対して熱的に接続されている。レジスト層6191は、金属層6181の一部を露出させるようにパターニングされており、この露出した一部に対して放熱用の半田部67が固定されている。
【0070】
半田部67は、金属層6181を介して、複数の貫通孔614内の金属箔64に対して熱的に接続されており、ひいては、スイッチング素子62に対して熱的に接続されている。第3変形例では、基板61の第1面611のうち、実装面613の裏側の部分の周囲に、複数の半田部67がマトリクス状に配列されていることで、放熱性が更に高められている。これら複数の半田部67は、ケース3の放熱部分315に対して、熱伝導性シート76を介して熱的に接続されることが好ましいが、放熱部分315に直接当たってもよい。
【0071】
図12には、モータユニット2の第4変形例を示している。第4変形例では、軸受86等を保持する金属製のリテーナ75が、ケース3の第2分割体32と熱伝導性シート76との間に介在する熱伝導部751を、一体に有している。つまり、ケース3内に収容されたリテーナ75の一部である熱伝導部751が、第2分割体32と熱伝導性シート76との間に介在し、第2分割体32と熱伝導性シート77とを熱的に接続させている。
【0072】
第4変形例では、第2分割体32のうち、リテーナ75から熱が伝達される部分323の周囲の部分が、外気に接触可能な放熱部分325を構成している。
【0073】
なお、第4変形例では、スイッチング素子62は、基板61の第1面611の側に実装されている。つまり、第4変形例では、第1面611が、スイッチング素子62を実装するための実装面613を含んだ面であり、第2面612が、実装面613を含んだ面とは反対を向く反対面である。
【0074】
第4変形例では、放熱部分325が、基板61を挟んでスイッチング素子62とは反対側に位置するとともに金属箔64に対してリテーナ75等を介して熱的に接続される部分である。そして、放熱部分315が、ケース3のうち基板61を基準としてスイッチング素子62と同じ側に位置するとともにスイッチング素子62に対して熱的に接続される部分である。スイッチング素子62は、基板61と放熱部分315との間に、挟み込まれている。
【0075】
一実施形態の電動自転車1が備えるモータユニット2において、上記した各種の変形例の他に、下記の構成を備えることも可能である。
【0076】
例えば、一実施形態のモータユニット2が、基板61に実装された電界コンデンサ68を、2つ以上備えることも好ましい。2つ以上の電界コンデンサ68は、基板61の第1面611と第2面612の一方にだけ実装されてもよいし、両方に分散して配置されてもよい。電界コンデンサ68が2つ以上あることで、基板61上における電界コンデンサ68の配置の自由度が高まり、ケース3内の空間を有効利用することができる。
【0077】
また、一実施形態のモータユニット2が、基板61に実装された慣性センサ(図示略)を更に備えることも好ましい。慣性センサは、例えば加速度センサ、傾斜センサ又はジャイロセンサであり、マイクロコントローラ69は、慣性センサからの出力に基づいてモータ4を制御することができる。慣性センサは、基板61の第2半部616に実装されることが好ましい。上記したように、第2半部616は基板61の上側の半部であり、実装面613は、基板61の下側の半部(つまり第1半部615)に設けられている。
【0078】
また、一実施形態のモータユニット2において、モータ4は、基板61よりも左側(つまり第2側)に位置しているが、モータ4が、基板61よりも右側(つまり第1側)に位置することも有り得る。
【0079】
また、一実施形態のモータユニット2において、基板61のうちレジスト層6191,6192で覆われる基材が、熱伝導性の材料で形成されていることも好ましい。熱伝導性の材料は、例えばアルミニウム、銅等の金属であるか、又はセラミックである。この場合、基板61の基材を通じてスイッチング素子62の放熱性が更に高められる。
【0080】
また、一実施形態のモータユニット2において、減速機構5は1段減速の機構であるが、減速機構5が2段減速又は3段減速であってもよい。
【0081】
また、一実施形態のモータユニット2は、いわゆる2軸式のモータユニットであって、第1スプロケット191が連結される回転可能な出力体81と、第2スプロケット192が連結される回転可能な出力体82とを別々に備えているが、モータユニット2をいわゆる1軸式で構成することも可能である。モータユニット2を1軸式で構成する場合には、減速機構5を、モータ4の回転力を出力体81の側に伝達するように構成すればよい。これにより、出力体81には、入力軸71の回転力とモータ4の回転力の両方が伝達される。この場合も、減速機構5は1段減速、2段減速又は3段減速で構成可能である。
【0082】
また、一実施形態の電動自転車1は、いわゆる電動アシスト自転車であるが、これに限定されず、人力を用いずに車輪11を回転駆動させることのできる電動自転車でもよい。また、一実施形態の電動自転車は、車輪11を2つ備えているが、車輪11の数は特に限定されず、例えば車輪11を3つ備えてもよい。
【0083】
以上、本開示を添付図面に示す一実施形態と各種の変形例に基づいて説明したが、本開示は前記の実施形態や変形例に限定されない。本開示の意図する範囲内であれば、一実施形態や各種の変形例において適宜の設計変更を行うことや、各変形例の構成を適宜に組み合わせて適用することが可能である。
【0084】
(2)態様
以上、述べた一実施形態及び各種の変形例から明らかなように、第1の態様のモータユニット(2)は、電動自転車に用いられるモータユニット(2)であって、モータ(4)と、モータ(4)を駆動させるためのスイッチング素子(62)と、スイッチング素子(62)を実装するための実装面(613)を含んだ面と、該面とは反対を向く反対面とを有する基板(61)と、基板(61)を収容するケース(3)と、を備える。基板(61)は、実装面(613)と反対面との間で貫通した貫通孔(614)と、貫通孔(614)の内周面の少なくとも一部を覆う金属箔(64)と、を更に有する。金属箔(64)に対して、スイッチング素子(62)が熱的に接続され、かつ、金属箔(64)に対して、ケース(3)のうち基板(61)を挟んでスイッチング素子(62)とは反対側の部分が、熱的に接続されている。
【0085】
第1の態様のモータユニット(2)によれば、モータユニット(2)が備えるスイッチング素子(62)からの放熱量を更に増大させ、モータユニット(2)の信頼性を高めることができる。
【0086】
第2の態様は、第1の態様との組み合わせにより実現され得る。第2の態様のモータユニット(2)は、スイッチング素子(62)を実装面(613)に固定する半田(63)を、更に備える。スイッチング素子(62)は、半田(63)を介して、金属箔(64)に対して熱的に接続されている。
【0087】
第2の態様のモータユニット(2)によれば、熱伝導性を有する半田(63)を介して、スイッチング素子(62)が発した熱を効率的に伝えることができる。
【0088】
第3の態様は、第2の態様との組み合わせにより実現され得る。第3の態様のモータユニット(2)は、貫通孔(614)の少なくとも一部を覆うように反対面に設けられた絶縁部材(65)を、更に備える。
【0089】
第3の態様のモータユニット(2)によれば、半田(63)が貫通孔(614)を通じて流出することを抑えることができる。
【0090】
第4の態様は、第1から第3のいずれか1つの態様との組み合わせにより実現され得る。第4の態様のモータユニット(2)では、貫通孔(614)の直径は、0.2mmから0.4mmの範囲内である。
【0091】
第4の態様のモータユニット(2)によれば、スイッチング素子(62)が発した熱を、貫通孔(614)内の金属箔(64)を通じて効率的に伝えることができる。
【0092】
第5の態様は、第1から第3のいずれか1つの態様との組み合わせにより実現され得る。第5の態様のモータユニット(2)では、貫通孔(614)の直径は、0.2mmから0.35mmの範囲内である。
【0093】
第5の態様のモータユニット(2)によれば、スイッチング素子(62)が発した熱を、貫通孔(614)内の金属箔(64)を通じて効率的に伝えることができる。
【0094】
第6の態様は、第1から第5のいずれか1つの態様との組み合わせにより実現され得る。第6の態様のモータユニット(2)では、モータ(4)は、基板(61)に対してスイッチング素子(62)と同じ側に位置する。
【0095】
第6の態様のモータユニット(2)によれば、スイッチング素子(62)が発した熱を、基板(61)に対してモータ(4)が位置する側と反対側に、放熱することができる。
【0096】
第7の態様は、第1から第6のいずれか1つの態様との組み合わせにより実現され得る。第7の態様のモータユニット(2)では、スイッチング素子(62)は、単一の電界効果トランジスタ(621)と、単一の電界効果トランジスタ(621)を覆うパッケージ(625)と、を含む。
【0097】
第7の態様のモータユニット(2)によれば、放熱性に優れたスイッチング素子(62)を得ることができる。
【0098】
第8の態様は、第1から第6のいずれか1つの態様との組み合わせにより実現され得る。第8の態様のモータユニット(2)では、スイッチング素子(62)は、複数の電界効果トランジスタ(621)と、複数の電界効果トランジスタ(621)を覆うパッケージ(625)と、を含む。
【0099】
第8の態様のモータユニット(2)によれば、スイッチング素子(62)をコンパクトに構成することができる。
【0100】
第9の態様は、第1から第8のいずれか1つの態様との組み合わせにより実現され得る。第9の態様のモータユニット(2)では、金属箔(64)の厚さは、10μmから30μmの範囲内である。
【0101】
第9の態様のモータユニット(2)によれば、スイッチング素子(62)が発した熱を、金属箔(64)を通じて効率的に伝えることができる。
【0102】
第10の態様は、第1から第9のいずれか1つの態様との組み合わせにより実現され得る。第10の態様のモータユニット(2)では、実装面(613)は、基板(61)の端部領域に位置する。
【0103】
第10の態様のモータユニット(2)によれば、スイッチング素子(62)とケース(3)の一部とを熱的に接続させることが容易であり、スイッチング素子(62)からケース(3)への放熱経路を確保することが容易である。
【0104】
第11の態様は、第1から第10のいずれか1つの態様との組み合わせにより実現され得る。第11の態様のモータユニット(2)では、基板(61)は、熱伝導性の材料で形成された基材を含む。
【0105】
第11の態様のモータユニット(2)によれば、スイッチング素子(62)が発した熱を、基材を通じて効率的に伝えることができる。
【0106】
第12の態様は、第1から第11のいずれか1つの態様との組み合わせにより実現され得る。第12の態様のモータユニット(2)では、スイッチング素子(62)に対して、ケース(3)のうち基板(61)を基準としてスイッチング素子(62)と同じ側の部分が、熱的に接続されている。
【0107】
第12の態様のモータユニット(2)によれば、スイッチング素子(62)を挟んだ両側から、ケース(3)を熱的に接続させることができ、スイッチング素子(62)からの放熱量を更に増大させることができる。
【0108】
第13の態様は、第1から第12のいずれか1つの態様との組み合わせにより実現され得る。第13の態様のモータユニット(2)では、基板(61)は、金属層(6181)とこれを覆うレジスト層(6191)とを含む。金属層(6181)は、金属箔(64)に熱的に接続され、レジスト層(6191)は、金属層(6181)の一部を露出させるように形成されている。金属層(6181)の一部には、放熱用の半田部(67)が固定されている。
【0109】
第13の態様のモータユニット(2)によれば、スイッチング素子(62)からの放熱量を更に増大させることができる。
【0110】
第14の態様は、第1から第13のいずれか1つの態様との組み合わせにより実現され得る。第14の態様のモータユニット(2)では、貫通孔(614)は開口を有し、スイッチング素子(62)は前記開口に面する。
【0111】
第14の態様のモータユニット(2)によれば、スイッチング素子(62)が発した熱を、貫通孔(614)内の金属箔(64)を通じて効率的に伝えることができる。
【0112】
第15の態様は、第1から第14のいずれか1つの態様との組み合わせにより実現され得る。第15の態様のモータユニット(2)は、基板(61)に実装された2以上の電界コンデンサ(68)を、更に備える。
【0113】
第15の態様のモータユニット(2)によれば、電界コンデンサ(68)が2つ以上あることで、基板(61)上における電界コンデンサ(68)の配置の自由度が高まり、ケース(3)内の空間を有効利用することができる。
【0114】
第16の態様は、第1から第15のいずれか1つの態様との組み合わせにより実現され得る。第16の態様のモータユニット(2)は、基板(61)の第1半部(615)に実装された慣性センサを、更に備える。実装面(613)は、基板(61)の第2半部(616)に位置している。
【0115】
第16の態様のモータユニット(2)によれば、慣性センサからの出力に基づいてモータ(4)を制御することが可能である。
【0116】
第17の態様は、第1から第15のいずれか1つの態様との組み合わせにより実現され得る。第17の態様のモータユニット(2)は、基板(61)の第1半部(615)に実装されたマイクロコントローラ(69)を、更に備える。実装面(613)は、基板(61)の第2半部(616)に位置している。
【0117】
第17の態様のモータユニット(2)によれば、スイッチング素子(62)の側で発生した電気的ノイズが、マイクロコントローラ(69)に影響を及ぼすことが抑えられる。
【0118】
第18の態様は、第1から第16のいずれか1つの態様との組み合わせにより実現され得る。第18の態様のモータユニット(2)は、基板(61)に実装されたマイクロコントローラ(69)を、更に備える。マイクロコントローラ(69)は、モータ(4)の回転中心軸に沿って見たときに、モータ(4)と重ならない。
【0119】
第18の態様のモータユニット(2)によれば、モータ(4)から発生した電気ノイズが、マイクロコントローラ(69)に影響を及ぼすことが抑えられる。
【0120】
第19の態様は、第1から第18のいずれか1つの態様との組み合わせにより実現され得る。第19の態様のモータユニット(2)は、モータ(4)に連結された1段減速の減速機構(5)を、更に備える。
【0121】
第19の態様のモータユニット(2)によれば、モータ(4)の回転力を、1段減速して出力することができる。
【0122】
第20の態様は、第1から第18のいずれか1つの態様との組み合わせにより実現され得る。第20の態様のモータユニット(2)は、モータ(4)に連結された2段減速の減速機構(5)を、更に備える。
【0123】
第20の態様のモータユニット(2)によれば、モータ(4)の回転力を、2段減速して出力することができる。
【0124】
第21の態様は、第1から第18のいずれか1つの態様との組み合わせにより実現され得る。第21の態様のモータユニット(2)は、モータ(4)に連結された3段減速の減速機構(5)を、更に備える。
【0125】
第21の態様のモータユニット(2)によれば、モータ(4)の回転力を、3段減速して出力することができる。
【0126】
第22の態様は、第1から第21のいずれか1つの態様との組み合わせにより実現され得る。第22の態様のモータユニット(2)は、クランクアーム(18)が連結される回転可能な入力軸(71)と、第1スプロケット(191)が連結される回転可能な第1出力体(81)と、第2スプロケット(192)が連結される回転可能な第2出力体(82)と、を備える。第1出力体(81)は、入力軸(71)の回転力が伝達されるように構成されている。第2出力体(82)は、モータ(4)の回転力が伝達されるように構成されている。
【0127】
第22の態様のモータユニット(2)によれば、いわゆる2軸式のモータユニット(2)が得られる。
【0128】
第23の態様は、第1から第21のいずれか1つの態様との組み合わせにより実現され得る。第23の態様のモータユニット(2)は、クランクアーム(18)が連結される回転可能な入力軸(71)と、スプロケット(191)が連結される回転可能な出力体(81)と、を備える。出力体(81)は、入力軸(71)の回転力とモータ(4)の回転力とが伝達されるように構成されている。
【0129】
第23の態様のモータユニット(2)によれば、いわゆる1軸式のモータユニット(2)が得られる。
【0130】
第24の態様の電動自転車(1)は、第1から第23のいずれか1つの態様のモータユニット(2)と、モータ(4)の回転力が伝えられる車輪(11)と、モータユニット(2)及び車輪(11)を支持するフレーム(10)と、を具備する。
【0131】
第24の態様の電動自転車(1)によれば、モータユニット(2)が備えるスイッチング素子(62)からの放熱量を更に増大させ、モータユニット(2)の信頼性を高めることができる。
【0132】
第25の態様の電動自転車(1)は、第22又は第23の態様のモータユニット(2)と、モータ(4)の回転力が伝えられる車輪(11)と、モータユニット(2)及び車輪(11)を支持するフレーム(10)と、を具備する。ケース(3)のうちスイッチング素子(62)に対して熱的に接続された放熱部分は、側面視において、入力軸(71)の回転中心軸とモータ(4)の回転中心軸とを結んだ線(L)よりも、下方に位置する。
【0133】
第25の態様の電動自転車(1)によれば、モータユニット(2)が備えるスイッチング素子(62)からの放熱量を更に増大させ、モータユニット(2)の信頼性を高めることができる。
【符号の説明】
【0134】
1 電動自転車
10 フレーム
11 車輪
18 クランクアーム
191 第1スプロケット(スプロケット)
192 第2スプロケット
2 モータユニット
3 ケース
4 モータ
5 減速機構
61 基板
613 実装面
614 貫通孔
615 第1半部
616 第2半部
6181 金属層
6191 レジスト層
62 スイッチング素子
621 電界効果トランジスタ
625 パッケージ
63 半田
64 金属箔
65 絶縁部材
653 孔
67 半田部
68 電界コンデンサ
69 マイクロコントローラ
71 入力軸
81 第1出力体(出力体)
82 第2出力体(出力体)