(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023049769
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】積層型研磨パッド
(51)【国際特許分類】
B24B 37/22 20120101AFI20230403BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20230403BHJP
【FI】
B24B37/22
H01L21/304 622F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021159716
(22)【出願日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005359
【氏名又は名称】富士紡ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100081385
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 修治
(72)【発明者】
【氏名】柏田 太志
(72)【発明者】
【氏名】徳重 伸
(72)【発明者】
【氏名】高木 正孝
【テーマコード(参考)】
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C158AA07
3C158CB01
3C158CB10
3C158DA12
3C158DA17
3C158EA11
3C158EB01
3C158EB04
5F057AA24
5F057BA11
5F057DA03
5F057EB04
5F057EB06
(57)【要約】
【課題】 複数の支持層片の組み合わせにより支持層を構成する研磨パッドにおいて、各支持層片同士の研磨中のずれを抑制したり、或いは貼り合わされるときの各支持層片同士のずれを抑制すること。
【解決手段】 研磨層を支持層20の上に支持してなる積層型研磨パッド10であって、複数の隣接させた支持層片21、22の組み合わせにより支持層20を構成するものであり、隣接する支持層片21、22が、始点Pと、該始点Pと異なる終点Qとをつないで形成される1つ以上の境界線31を有し、少なくとも1つの境界線31を挟む一方の支持層片21と他方の支持層片22とが互いに隙間なく嵌合して形成される嵌合部41を備える
もの。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨層を支持層の上に支持してなる積層型研磨パッドであって、
複数の隣接させた支持層片の組み合わせにより支持層を構成するものであり、
隣接する支持層片が、始点と、該始点と異なる終点とをつないで形成される1つ以上の境界線を有し、
少なくとも1つの境界線を挟む一方の支持層片と他方の支持層片とが互いに隙間なく嵌合して形成される嵌合部を備える積層型研磨パッド。
【請求項2】
前記境界線の長さが、始点と終点をつなぐ仮想直線の長さの1.1倍以上乃至2.0倍以下の範囲内にある請求項1に記載の積層型研磨パッド。
【請求項3】
前記始点と終点をつなぐ仮想直線上の各点と、それらの各点から該仮想直線に対して引いた垂線が境界線に交わる各点との距離のうちの最大距離が、仮想直線の長さの10%以上乃至50%以下の範囲内にある請求項1又は2に記載の積層型研磨パッド。
【請求項4】
前記境界線が曲線のみで構成される請求項1乃至3のいずれかに記載の積層型研磨パッド。
【請求項5】
前記境界線が研磨パッドの中心に関して点対称をなす請求項1乃至4のいずれかに記載の積層型研磨パッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体材料や光学材料、金属、セラミック等の平坦化に用いる化学的機械研磨法(CMP)用の積層型研磨パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
被研磨物を研磨する研磨層の表面積が大きい大型研磨パッドの需要に伴って、特許文献1に記載の如く、1枚の研磨パッドの研磨層を、複数の隙間なく隣接させた研磨層片の組み合わせにより構成し、材料歩留り等の向上を図ったものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、研磨層を支持層の上に支持してなる積層型研磨パッドにおいても、大型研磨パッドにおける材料歩留り等の向上を図るべく、1枚の研磨パッドの支持層を、複数の隙間なく隣接させた支持層片の組み合わせにより構成することが考えられる。その場合、1枚の研磨パッドの支持層を構成する複数の支持層片同士が研磨中にずれ、下記(i)の不都合を生ずるおそれがある。
【0005】
(i)支持層片の剥離を生じたり、相隣る一方の支持層片が相隣る他方の支持層片の上に乗り上げて支持層の一部に盛り上がりを生じ、これらが当該支持層片の上の研磨層に及び、これによって研磨層上に生ずる該研磨層の変形部分が被研磨物に当たって当該被研磨物にスクラッチを生じさせるおそれがある。
【0006】
また、1枚の研磨パッドの支持層を構成するように複数の支持層片を研磨装置の定盤、両面テープや面ファスナー等の固定手段、積層型の研磨パッドにおける研磨層等に貼り合わせるとき、複数の支持層片を適正位置に正確に貼り合わせる工程に困難があり、貼り合わされた研磨パッドの支持層片同士がずれて貼り付けられ、下記(ii)の不都合を生ずるおそれがある。
【0007】
(ii)相隣る支持層片の境界線が互いに斜交して密接できなかったり、相隣る一方の支持層片が相隣る他方の支持層片の上に乗り上げて支持層の一部に盛り上がりを生じ、これらが当該支持層片の上の研磨層に及び、これによって研磨層上に生ずる当該研磨層の変形部分が被研磨物に当たって当該被研磨物にスクラッチを生じさせるものになる。
【0008】
本発明の課題は、複数の支持層片の組み合わせにより支持層を構成する研磨パッドにおいて、各支持層片同士の研磨中のずれを抑制したり、或いは貼り合わされるときの各支持層片同士のずれを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、研磨層を支持層の上に支持してなる積層型研磨パッドであって、複数の隣接させた支持層片の組み合わせにより支持層を構成するものであり、隣接する支持層片が、始点と、該始点と異なる終点とをつないで形成される1つ以上の境界線を有し、少なくとも1つの境界線を挟む一方の支持層片と他方の支持層片とが互いに隙間なく嵌合して形成される嵌合部を備えるようにしたものである。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において更に、前記境界線の長さが、始点と終点をつなぐ仮想直線の長さの1.1倍以上乃至2.0倍以下の範囲内にあるようにしたものである。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明において更に、前記始点と終点をつなぐ仮想直線上の各点と、それらの各点から該仮想直線に対して引いた垂線が境界線に交わる各点との距離のうちの最大距離が、仮想直線の長さの10%以上乃至50%以下の範囲内にあるようにしたものである。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれかに係る発明において更に、前記境界線が曲線のみで構成されるようにしたものである。
【0013】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれかに係る発明において更に、前記境界線が研磨パッドの中心に関して点対称をなすようにしたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、積層型研磨パッドの支持層を構成する一方の支持層片と他方の支持層片とが互いに嵌合して形成される嵌合部を備える。
【0015】
即ち、相隣る支持層片同士が少なくとも1組の凹凸を有する嵌合部を備えることで、各支持層片の研磨中のずれを抑制でき、下記(i)の効果を奏する。
【0016】
(i)支持層片の剥離が生ずることを抑制し、相隣る一方の支持層片が相隣る他方の支持層片の上に乗り上げて支持層の一部に盛り上がりが生ずることを抑制し、結果としてそれらの剥離や盛り上がりが当該支持層片の上の研磨層に及び、これによって研磨層上に生ずる当該研磨層の変形部分が被研磨物に当たって当該被研磨物にスクラッチを生じさせることを抑制できる。
【0017】
また、相隣る支持層片同士が少なくとも1組の凹凸を有する嵌合部を備えることで、複数の支持層片を貼り合わせて1枚の研磨パッドを構成するとき、それらの研磨パッドを構成する複数の支持層片をパズルの各ピースのように定盤や研磨層の下の適正位置に正確に貼り合わせることができ、貼り合わされた研磨パッドの支持層片同士がずれて貼り付けられることがなく、下記(ii)の効果を奏する。
【0018】
(ii)相隣る支持層片の境界線が互いに斜交して密接できなかったり、相隣る一方の支持層片が相隣る他方の支持層片の上に乗り上げて支持層の一部に盛り上がりを生ずることを抑制でき、結果としてそれらが当該支持層片の上の研磨層に及び、これによって研磨層上に生ずる当該研磨層の変形部分が被研磨物に当たって当該被研磨物にスクラッチを生じさせることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は本発明の一実施例に係る研磨パッドの相隣る支持層片の境界線を示す模式平面図である。
【
図2】
図2(A)乃至(D)は本発明の変形例に係る研磨パッドの相隣る支持層片の境界線を示す模式平面図である。
【
図3】
図3は本発明の変形例に係る研磨パッドを示す模式平面図である。
【
図4】
図4は本発明の変形例に係る研磨パッドを示す模式平面図である。
【
図5】
図5は本発明の効果を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る積層型研磨パッド10は、半導体ウエハ等の被研磨物を研磨する研磨層(図示せず)を例えば
図1に示す如くの支持層20の上に支持して構成される。研磨パッド10は、研磨装置を構成する定盤の上に接着剤、両面テープ、面ファスナー等の固定手段を介して貼り付けられた状態で、研磨層の表面に砥粒等を含む研磨スラリーを供給しながら、当該研磨層の表面に押圧されながら摺動する被研磨物の被研磨面を研磨する。支持層は研磨層の特性を補い、被研磨物と研磨層の表面との密着性を向上させる等の効果が得られる。
【0021】
研磨パッド10の支持層20は、互いに隙間なく隣接される各支持層片の組み合わせにより構成され、支持層が唯1個の支持シートのみからなる従来の研磨パッドに比して、研磨パッド10の表面積の大型化や材料歩留りの向上を図るものである。
【0022】
研磨パッド10は、複数の支持層片の組み合わせにより構成された支持層20の上に接着剤、両面テープ等の固定手段を介して研磨層を支持させたものとなる。この場合、支持層20の上に支持される研磨層は、単体からなるものでも良く、支持層片と同様に複数の隣接させた研磨層片の組み合わせにより構成されるものでも良い。
【0023】
しかるに、研磨パッド10にあっては、隣接する支持層片21、22が、
図1に示す如く、始点P、該始点Pと異なる終点Qとをつないで形成される1つ以上の境界線31を有し、少なくとも1つの境界線31を挟む一方の支持層片21と他方の支持層片22とが互いに嵌合して形成される嵌合部41を備える。研磨パッド10が上述の嵌合部41を備えることで、前述した如く、各支持層片21、22同士の研磨中のずれを抑制したり、或いは1枚の研磨パッドとして貼り合わされるときの各支持層片21、22同士のずれを抑制することができる。
【0024】
図1に示した研磨パッド10は、2つの隣接させた支持層片21、22の組み合わせにより支持層20を構成し、それらの支持層片21、22がS字曲線状をなす1つの境界線31を有し、当該1つの境界線31を挟む一方の支持層片21と他方の支持層片22とが互いに隙間なく凹凸嵌合して形成される嵌合部41を備えるものである。
【0025】
研磨パッド10の支持層20を構成する境界線31は、
図1に示したS字曲線状をなすものに限らず、例えば
図2(A)乃至(D)の如くに変形できる。
図1及び
図2は境界線部を説明するために輪郭形状を矩形状として示しているが、研磨パッド10及び支持層20の輪郭形状は、矩形状に限らず、
図3に示す如くの円形状等であっても良い。
【0026】
尚、本発明の研磨パッド10の支持層20は複数の境界線を有しても良く、それらの複数の境界線のうちの少なくとも1つの境界線を挟む一方の支持層片と他方の支持層片とが互いに嵌合して形成される嵌合部を備えるものであれば良いが、すべての境界線に嵌合部を備えることが好ましい。例えば
図3に示した研磨パッド10は、4つの隣接させた支持層片21乃至24の組み合わせにより支持層20を構成し、隣接する支持層片21、22が始点Pと、該始点Pと異なる終点Q1とをつないで形成される境界線31、隣接する支持層片22、23が始点Pと、該始点Pと異なる終点Q2とをつないで形成される境界線32、隣接する支持層片23、24が始点Pと、該始点Pと異なる終点Q3とをつないで形成される境界線33、及び隣接する支持層片24、21が始点Pと、該始点Pと異なる終点Q4とをつないで形成される境界線34の4つの境界線31乃至34を有し、境界線31乃至34のいずれにも隙間なく凹凸嵌合した嵌合部41乃至44を備えたものである。
【0027】
研磨パッド10の輪郭形状は、支持層20が支持層片21、22から構成される2分割ドーナツ形状であっても良い。例えば
図4に示した研磨パッド10は、2つの隣接させた支持層片21及び22の組み合わせにより支持層20を構成し、始点P1と、該始点P1とは異なる終点Q1とをつないで形成される境界線31と、始点P2と、該始点P2とは異なる終点Q2とをつないで形成される境界線32を有し、境界線31と32のいずれにも隙間なく凹凸嵌合した嵌合部41と42を備えたものである。
【0028】
また、研磨パッド10の支持層20にあっては、
図1に示す如く、境界線31の長さが、始点Pと終点Qをつなぐ仮想直線Lの長さの1.1倍以上乃至2.0倍以下の範囲内にあることが好ましい。境界線31の長さを1.1倍以上とすることによって、研磨パッド10の研磨中や定盤等への貼り合わせ時における各支持層片21、22のずれを確実に抑制できる。境界線31の長さを2.0倍以下とすることによって、境界線31自体が存在することによる不都合を招くことなく、支持層20の表面平坦性を維持できる。
【0029】
また、研磨パッド10の支持層20にあっては、
図1に示す如く、仮想直線L上の各点Liと、それらの各点Liから該仮想直線Lに対して引いた垂線Vが境界線31に交わる各点Viとの距離のうちの最大距離Kが、仮想直線Lの長さの10%以上乃至50%以下の範囲内にあることが好ましい。最大距離Kを10%以上とすることによって、研磨パッド10の研磨中や定盤等への貼り合わせ時におけるずれを確実に抑制できる。最大距離Kを50%以下とすることによって、研磨パッド10の定盤等への貼り合わせ作業性を向上できる。
【0030】
また、研磨パッド10の支持層20にあっては、境界線31が少なくとも一部に曲線を有することが好ましく、境界線31は曲線のみから構成されても良い。これにより、境界線31が直線状をなして折れ曲がり部を備えるような場合における該境界線31の鋭角をなす中間部に生ずる鋭角状エッジが被研磨物に接して被研磨物にスクラッチを生じさせる如くを回避できる。また、被研磨物と接触する箇所は曲線のみから構成され、研磨パッド10の外縁部や中央部などの被研磨物と接触しない箇所は直線の組み合わせから構成される角部や曲線の突出部を有する境界線31としても良く、より正確な位置に貼り合わせ易くすることができる。
【0031】
また、研磨パッド10にあっては、境界線31が研磨パッド10(支持層20)の中心に関して点対称をなすことが好ましい。一般的な化学機械研磨法では、研磨パッド10と被研磨物は自転かつ相対回転しながら接触して該被研磨物を研磨しており、この観点から、境界線31は研磨パッド10の全体に対して点対称(180度回転対称)形状とすることにより、被研磨物をより均一に研磨できる。
【0032】
本発明はその主旨を損なわない範囲で任意の研磨パッドに適用できる。モールド法タイプ、湿式成膜タイプ、不織布(樹脂含浸不織布を含む)タイプ等いずれも適用できる。研磨層と支持層とを貼り合わせる手段としては、接着剤、両面テープ等の固定手段を採用できる。
【0033】
本発明の研磨パッドを構成する支持層(支持層片)の形成材料としては、例えばポリエステル不織布、ナイロン不織布、アクリル不織布等の繊維不織布、ポリウレタンを含浸したポリエステル不織布のような樹脂含浸不織布、ポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム等の高分子樹脂発泡体、ブタジエンゴム、イソプレンゴム等のゴム性樹脂、及び感光性樹脂等を採用できるが、不織布タイプの支持層はその硬度や密度等の特性から、分割支持層とすると研磨層や研磨装置等への貼り付け作業がより煩雑となる傾向にあるため、より本発明の効果が得られ易い。
【0034】
また、本発明の研磨パッドは任意の大きさとすることができるが、大型の、例えば最長の対角線長さが1400mm以上の支持シートを2以上に分割して製造された支持層片の組み合わせにより1枚の研磨パッド10(支持層20)を形成するものであれば、より本発明の効果が得られ易い。
【0035】
また、本発明の研磨パッド10は、研磨装置における定盤側の面に接着剤、両面テープ、面ファスナー等の固定手段を介して固定して使用される。研磨層が支持層同様に分割された積層型研磨パッドとする場合、固定手段は研磨パッド10の各支持層片21、22のそれぞれに設けても良く、その場合は、研磨装置上で1つの研磨パッド10(支持層20)を構成して使用されるものになる。
【0036】
また、本発明の研磨パッド10の定盤への固定手段は、1つの固定手段の上に複数の支持層片21、22のそれぞれを組み合わせて構成されても良い。具体的には、1枚の両面テープ上に複数の支持層片21、22を貼り合わせて研磨パッド10とする例が挙げられる。その場合は、研磨層が支持層20と同様に分割された研磨パッドであっても研磨装置上で支持層片同士を組み合わせる必要がないため作業性が高く、また研磨パッド10を持ち上げたときに境界線31で折れにくくなり、これらの観点からより多く本発明の利点が得られる。
図5に示す如く、1枚の両面テープ上に複数の支持層片を貼った状態で持ち上げると、隣接する支持層片の境界線で当該研磨パッドが折れ線Jの如く折れ曲がり、両面テープに折り目や破れ、シワ、エア噛み等の不良を生じ易い。本発明の適用により、境界線31が単一直線状ではなくなり、研磨パッドの持ち上げによる折れ曲がりを生じにくく、研磨層の平坦性と運搬及び貼り付け作業性を向上できる。特に研磨パッドの輪郭形状をドーナツ形状とするとき、研磨パッドの中心が空洞であるために容易に折れ曲がり両面テープに不良を生じ易いところ、本発明の研磨パッドとすることで大きく改善できるため、より平坦性向上効果が得られ易い。更に、研磨パッドの支持層片が樹脂含浸不織布等からなる不織布タイプであるとき、支持層片と両面テープとの間に、熱融着型接着剤をシート状にした熱接着テープ(一枚物)を設ける構成とすることが当該不織布の折れ曲がりや剥離による不具合を改善するために好ましく、支持層片がより強固に固定されて研磨中のずれをより確実に防止できる。ここで、両面テープとして支持層側の面に感熱型接着剤を配し、支持層側の面と反対の面に感圧型接着剤を配したものを用いることがより好ましく、前述の熱接着テープを介して当該不織布をより強固に熱接着でき、定盤等へ貼り合わせる際の折れ曲がりや研磨中のずれをさらに確実に防止できる。研磨層と支持層片とを貼り合わせる固定手段についても同様に、1つの固定手段を介して貼り合わせて構成されることが好ましい。例えば、1枚の熱接着テープを介して貼り合わせることで、研磨中のずれをより確実に防止できる。
【0037】
本発明の研磨パッドを構成する支持層片は、支持層の構成材料を支持シートの形態で作製し、この支持シートを任意の打ち抜き型を用いる打ち抜き、ダイヤモンドカッター等を用いる切断等によって各支持層片に切断することで製造される。
【0038】
本発明の研磨パッドは、半導体ウエハ等の被研磨物の表面を研磨する工程に用いることができる。研磨方法は、例えば研磨パッドを支持する定盤と、被研磨物を支持する支持台(ポリシングヘッド)とウエハへの均一加圧を行なうためのバッキング材と、研磨剤供給機構を備えた研磨装置等を用いる。研磨パッドは、例えば両面テープで定盤に貼り付けられる。定盤と支持台とは、研磨パッドと被研磨物のそれぞれを支持してそれらを対向配置し、それぞれに研磨パッドと被研磨物を回転させる回転軸を備える。また、支持台側には被研磨物を研磨パッドに押し付ける加圧機構が備えられている。定盤と支持台とを自転させつつ相対回転しながら被研磨物を研磨パッドに押し付け、研磨スラリーを供給しながら被研磨物を研磨する。これにより、被研磨物の表面の突出した部分が除去されて平坦状に研磨される。
【0039】
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明によれば、複数の支持層片の組み合わせにより支持層を構成する積層型研磨パッドにおいて、各支持層片同士の研磨中のずれを抑制したり、或いは1枚の研磨パッドとして貼り合わされるときの各支持層片同士のずれを抑制することができる。
【符号の説明】
【0041】
10 研磨パッド
20 支持層
21、22、23、24 支持層片
31、32、33、34 境界線
41、42 嵌合部
A 始点
B 終点
L 仮想直線
V 垂線