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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023049819
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】移乗支援装置
(51)【国際特許分類】
   A61G 1/003 20060101AFI20230403BHJP
   A61G 1/02 20060101ALI20230403BHJP
   A61G 5/14 20060101ALI20230403BHJP
【FI】
A61G1/003 702
A61G1/02 703
A61G5/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021159799
(22)【出願日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】519058952
【氏名又は名称】松嶋 哲哉
(71)【出願人】
【識別番号】519058963
【氏名又は名称】松嶋 圭司
(74)【代理人】
【識別番号】110003122
【氏名又は名称】弁理士法人タナベ・パートナーズ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松嶋 哲哉
(72)【発明者】
【氏名】松嶋 圭司
(57)【要約】
【課題】低床ベッドや柔らかい床材に対して高い適用性を有する移乗支援装置を提供することを目的とする。
【解決手段】低床部に着座した使用者の移乗を支援する移乗支援装置であって、低床部に対向して配置され、使用者が移乗の際に足を載置させる基台部と、基台部の裏面に取り付けられ、各々が直径60mm以上の車輪を有する複数のキャスターと、基台部の低床部側に取り付けられ、使用時に低床部と床との間に床に当接するよう挿入されることで基台部にかかる荷重を支えるフォーク部と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低床部に着座した使用者の移乗を支援する移乗支援装置であって、
前記低床部に対向して配置され、使用者が移乗の際に足を載置させる基台部と、
前記基台部の裏面に取り付けられ、各々が直径60mm以上の車輪を有する複数のキャスターと、
前記基台部の前記低床部側に取り付けられ、使用時に前記低床部と床との間に該床に当接するよう挿入されることで当該基台部にかかる荷重を支えるフォーク部と、
を備えたことを特徴とする移乗支援装置。
【請求項2】
前記フォーク部は、板厚が6mm~12mmの平板状部材であることを特徴とする請求項1に記載の移乗支援装置。
【請求項3】
前記基台部上において鉛直上方に立設する第一脚部と、
前記第一脚部の上端において前記第一脚部と異なる第二脚部を回動可能に連結する回動部と、
前記第二脚部の上端に連結され、使用者の胸部を保持可能な胸部保持部と、
前記胸部保持部に取り付けられ、使用者の腋下を下方から支持可能な腋下支持部と、
を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の移乗支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移乗支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高齢者や身体障碍者等の着座動作や起立動作を補助することを目的とした各種機器が知られている。この中でも、特に、車椅子とベッドとの間のように異なる機器間の移動を補助することを目的とする各種発明がなされてきた(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1には、車椅子に乗車した人体を目的地に着座するように移動させる装置において、車椅子に対向して設置される基台部と、該基台部に対して上下方向と水平方向に移動可能に設けられた移動基台と、該移動基台に設けられた案内バーを具備し、該案内バーが上記人体と上記車椅子の間に挿入され、該人体を上下方向に移動させて該車椅子から浮上させ、且つ上記人体を水平方向に移動させて上記目的地に着座させるように、上記移動基台は上記基台に対して可動可能に設けた技術が開示されている。特許文献1に係る技術によれば、自力での移乗を単純な機構で実現することができる。
【0004】
また特許文献2には、被介護者の上半身を支持する上半身保持部と、上半身保持部が上端に取り付けられた旋回アームを回動し、上半身保持部の傾斜角を可変とする回動装置と、上半身保持部の下方に取り付けられ、腸骨張り出し部両側を起点に、被介護者の下腹部を保持する下腹部保持用スリングとを備えた体幹支持装置に関する技術が開示されている。特許文献2に係る技術によれば、負ぶさり型の移動支援装置の可搬性、低コスト性を活かしつつ、安全性の向上、介護者の負担低減、被介護者の胸への圧迫を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-150403号公報
【特許文献2】特開2016-189967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のような着座動作や起立動作を補助する装置は、主に高齢者施設や障碍者施設等において必要性が高いものである。そして、これら高齢者施設や障碍者施設等では、転倒等による怪我防止のために塩化ビニールの長尺シート等のクッション性を持つ素材が床材として用いられていたり、ベッド床面の床からの高さが50mm以下の低床ベッドが用いられたりする場合が多い。
【0007】
しかしながら、上記のような従来技術では、低床ベッドに対応するために車輪の大きさを小さくしているために、荷重により車輪が床にめり込んだり、使用者である被介助者が装置に乗った状態で装置全体を移動させようとすると大きく揺れたりする問題があった。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、低床ベッドや柔らかい床材に対して高い適用性を有する移乗支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明に係る移乗支援装置は、低床部に着座した使用者の移乗を支援する移乗支援装置であって、前記低床部に対向して配置され、使用者が移乗の際に足を載置させる基台部と、前記基台部の裏面に取り付けられ、各々が直径60mm以上の車輪を有する複数のキャスターと、前記基台部の前記低床部側に取り付けられ、使用時に前記低床部と床との間に該床に当接するよう挿入されることで当該基台部にかかる荷重を支えるフォーク部と、を備えたことを特徴とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、低床ベッドや柔らかい床材に対して高い適用性を有する移乗支援装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第一実施形態に係る移乗支援装置の一例を示す概略斜視図である。
図2】本発明の第一実施形態に係るフォーク部の取付構造の一例を示す図である。
図3】本発明の第一実施形態に係るフォーク部の収納態様の一例を示す図である。
図4】本発明の第一実施形態に係る移乗支援装置の使用例を説明する側面図である。
図5】本発明の第二実施形態に係る移乗支援装置の一例を示す概略斜視図である。
図6】本発明の第二実施形態に係るフォーク部の移動動作の一例を説明する平面図である。
図7】本発明の第二実施形態に係る移乗支援装置の使用例を説明する側面図である。
図8】本発明の第二実施形態に係るフォーク部の変形例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本実施形態に係る移乗支援装置は、特にベッド床面の床からの高さが50mm以下の低床ベッドと車椅子等の他の装置との間の移乗動作に対して好適である。更には、高齢者施設や障碍者施設等のように、転倒等による怪我防止のために塩化ビニールの長尺シート等のクッション性を持つ素材が床材として用いられる施設での移乗動作に対して特に好適である。
【0013】
[第一の実施形態]
図1は、本発明の第一実施形態に係る移乗支援装置の一例を示す概略斜視図である。
【0014】
図1に示す移乗支援装置1は、基台部2、キャスター3、フォーク部4、第一脚部5、回動部6、第二脚部7、胸部保持部8、腋下支持部9等を備える。この移乗支援装置1は、例えば低床ベッドと車椅子との間の移乗動作(移動動作)を支援する簡易移動式の移乗支援装置である。
【0015】
なお、説明の便宜上、図1に示す3次元座標系においてX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向をそれぞれ左右方向、前後方向、上下方向と称する。また、使用者である被介助者は、当該移乗支援装置1の前方に配置された不図示の低床ベッド等から当該移乗支援装置1に乗降するものである。
【0016】
基台部2は、不図示の低床ベッド等に対向して配置され、使用者が移乗の際に足を載置させる上面視四角形状の台座部分である。この基台部2は、例えば20mm程度の厚みを有する平らな鋼板が4か所の直線部L1、L2、L3、L4においてそれぞれ折曲された形状を含むよう形成される。直線部L2とL3の間の凹部を内底部2aと称し、内底部2aより外側の凸部を左右側縁部2b、2cと称する。左右側縁部2b、2cの前端側及び後端側において、当該左右側縁部2b、2cの裏面にはキャスター3が取付けられる。
【0017】
この基台部2において、内底部2aの床(地面)からの高さは40mm~60mm程度であり、左右側縁部2b、2cの内底部2aからの高さは100mm程度である。なお、左右側縁部2b、2cの床からの高さは、左右側縁部2b、2cの裏面にキャスター3を取り付け可能な高さとなるよう形成される。
【0018】
キャスター3は、基台部2の四隅の裏面に取り付けられ、当該移乗支援装置1が移動するための車輪を有する。本実施形態に係るキャスター3は、特に直径60mm程度の車輪を用いるものとする。なお、キャスター3の車輪径は直径60mm以上であることが好ましい。これは、床材が塩化ビニールの長尺シート等のクッション性を持つ素材である場合に、荷重により車輪が床にめり込んだり、使用者が当該移乗支援装置1に乗った状態で大きく揺れたりするのを回避するためである。本実施形態に係る移乗支援装置1は、一定以上の大きさの車輪を使用する。
【0019】
フォーク部4は、基台部2の前方の二隅に取り付けられ、使用時には図1に示すように床に配置されることで、使用者が基台部2に乗降する際にかかる荷重を支える爪部分である。このフォーク部4は、6~12mm、例えば9mm程度の板厚を有する平らな鋼板等の平板状部材が2か所の直線部L11、L12においてそれぞれ折曲された形状を含むよう形成される。特に、直線L12より前方の床に当接する部分を爪部4aと称する。
【0020】
このフォーク部4は、基台部2に対して移動可能に取付けられる。具体的には、フォーク部4の使用時と不使用時の爪部4aの配置が切り替わるよう取り付けられる。このフォーク部4の取付構造については図2を用いて後述する。
【0021】
第一脚部5は、基台部2の略中央に立設され、鉛直上方に伸びる直方体状の柱材である。この第一脚部5は使用者の体重を支える程度の剛性を有するものであり、当該第一脚部5の上端には、第二脚部7がX軸に平行な軸X1周りに回動可能に回動部6を介して取付けられる。この第一脚部5の長さは250mm~350mm程度であり、使用者の膝下の長さ程度である。
【0022】
回動部6は、第一脚部5と第二脚部7との間に介設され、第一脚部5の上端において第二脚部7を軸X1周りに回動可能に連結する機構である。
【0023】
この回動部6は、例えばラチェット式のワンウェイクラッチであり、この場合の詳細構造については図示を省略するが、第二脚部7が軸X1周りに前方から後方に向かって所定角度(例えば10度)毎に段階的に安全に回動させることが可能となる。なお、回動領域は使用者の当該移乗支援装置1への乗降動作が可能な領域であり、例えば図中の領域Rで示されるY≧0、Z≧0の領域である。特にラチェット式である場合には、前方から後方まで逆戻り防止で回動させた後に、手動で操作レバー(不図示)を動作させる等により前方の初期位置に戻すものとする。なお、この回動部6の動作は不図示のコンピュータ等により制御してもよい。
【0024】
第二脚部7は、一端が胸部保持部8の裏面に固設され、他端が回動部6を介して第一脚部5に連結される直方体状の柱材である。この第二脚部7は、後述する胸部保持部8と一体的に軸X1周りに回動する。
【0025】
胸部保持部8は、移乗の際に使用者の胸部を保持するための台である。胸部保持部8の胸当て面8aは、使用者の胸部にかかる負荷を軽減するために適度なクッション性を有することが望ましく、この胸当て面8aは、胸部形状に応じた形状とすることが望ましい。
【0026】
腋下支持部9は、使用者が移乗の際に腋(脇)下を下方から支持するための機構である。図1に示す例では、この腋下支持部9は、胸部保持部8の左右両側部において胸当て面8aに対して略垂直に伸びるよう設けられる。使用者は胸部保持部8に胸部を保持させて当該腋下支持部9が腋下で挟むよう姿勢を取る(図4(b)参照)。これにより、例えば使用者が座位の状態から当該移乗支援装置1によって強制的に立ち上がらされる際に、この腋下支持部9は身体を容易に浮き上がらせるよう機能する。
【0027】
以上に示す構成により、本発明の第一実施形態に係る移乗支援装置1では、使用者が移乗の際に足を載置させる基台部2と、基台部2の裏面に取り付けられ、各々が直径60mm以上の車輪を有する複数のキャスター3と、基台部2の低床ベッド等の低床部側に取り付けられ、使用時に低床部と床との間に床に当接するよう挿入されることで基台部2にかかる荷重を支えるフォーク部4とを備え、例えば低床ベッドと車椅子との間の移乗動作(移動動作)を支援する。
【0028】
[フォーク部の取付構造の一例]
図2は、本発明の第一実施形態に係るフォーク部の取付構造の一例を示す図である。図3は、本発明の第一実施形態に係るフォーク部の収納態様の一例を示す図である。以下では、前述と同様の構成要素については同一の符号を付して適宜重複する説明を省略する。
【0029】
図2では、フォーク部4の取付構造の一例として、図1のフォーク部4と基台部2の左側縁部2bとの取り付け部分を拡大して示している。
【0030】
左側縁部2bの前端側の上面には、フォーク部4を取り付けるための円柱管状の基台管部21が垂設される。一方、フォーク部4には当該基台管部21と嵌合する中空のフォーク管部41が垂設される。フォーク管部41の内面の径は、基台管部21の外面と嵌合可能な長さであり、基台管部21にフォーク管部41を差し込むことで両者を嵌合させる。
【0031】
使用者が当該移乗支援装置1に乗降する際、これら基台管部21及びフォーク管部41には、使用者の体重によって前方且つ下方向に力がかかる。これにより、これら基台管部21及びフォーク管部41は事実上ロックされた状態となる。そのため、フォーク部4は取り外れることなく安全に使用者の体重を支えることができる。なお、フォーク部4を不使用時に収納する際には、例えば図3に示すように、フォーク部4を回転させて左側部2b上に載せる。
【0032】
[移乗支援装置の使用例]
図4は、本発明の第一実施形態に係る移乗支援装置の使用例を説明する側面図である。
【0033】
図4(a)では、基台部2の低床ベッドB側に取り付けられたフォーク部4が、低床ベッドBと床との間に床に当接するよう挿入され、低床ベッドBに着座した使用者である被介助者が当該移乗支援装置1への移動を開始する状態を示している。図4(b)では、使用者が胸部保持部8に胸部を保持させて腋下支持部9を腋下で挟んだ状態で回動部6が回動させて使用者を持ち上げた状態を示している。
【0034】
まず、フォーク部4は前記の通り、6~12mm、例えば9mm程度の板厚であるため、図4(a)や図4(b)に示すように、低床ベッドBの下方に挿入させることができる。一方で、キャスター3は前記の通り、直径60mm以上の車輪であるため、高齢者施設や障碍者施設等のようにクッション性を持つ素材が床材として用いられる施設において、荷重により車輪が床にめり込んだりさせることなく安全に移乗動作を実現することができる。
【0035】
なお、図4(b)に示すように、使用者を持ち上げた状態で移乗先の例えば車椅子の前に移動させた後に、回動部6を図4(a)に示す位置に戻すことで移乗先に移乗させる。
【0036】
[第二の実施形態]
図5は、本発明の第二実施形態に係る移乗支援装置の一例を示す概略斜視図である。
【0037】
図5に示す移乗支援装置100は、前輪支持基台部210、後輪支持基台部220、基台連結部230(以下、前輪支持基台部210、後輪支持基台部220、基台連結部230を総称する場合、「基台部200」ともいう。)、着座部240、キャスター300、フォーク部400、第一脚部500、回動部600、第二脚部700、胸部保持部800、腋下支持部900等を備える。なお、説明の便宜上、着座部240、第一脚部500、回動部600、第二脚部700、胸部保持部800、腋下支持部900は破線で示している。この移乗支援装置100は、例えばベッドと車椅子との間の移乗動作(移動動作)を支援する簡易移動式の移乗支援装置である。
【0038】
なお、説明の便宜上、図5に示す3次元座標系においてX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向をそれぞれ左右方向、前後方向、上下方向と称する。使用者である被介助者は、当該移乗支援装置100の後方に配置された不図示の低床ベッド等から当該移乗支援装置100に乗降するものである。
【0039】
また、キャスター300、第一脚部500、回動部600、第二脚部700、胸部保持部800,腋下支持部900は、それぞれ図1のキャスター3、第一脚部5、回動部6、第二脚部7、胸部保持部8、腋下支持部9と同様であるとして、ここでは説明を省略する。
【0040】
前輪支持基台部210は、使用者が移乗の際に足を載置させる連結板210aを有する上面視コの字状のフレーム体(枠体)からなる基台部分である。この前輪支持基台部210の左右の底面間には、左右を連結する平板状の連結板210aが横設されており、この連結板210aの略中央に第一脚部500が立設する。この前輪支持基台部210の前端側の二隅の裏面にはキャスター300が取付けられる。
【0041】
後輪支持基台部220は、前輪支持基台部210の左右の奥端側面において基台連結部230を介して連結される四角形状のフレーム体(枠体)からなる基台部分である。それぞれの後輪支持基台部220の奥端側の裏面には、キャスター300が取付けられる。
【0042】
基台連結部230は、前輪支持基台部210と後輪支持基台部220とを連結する。特に前輪支持基台部210の後端において、後輪支持基台部220をZ軸に平行な軸Z1、軸Z2周りに回転可能に連結する。例えばボールねじ等である。基台連結部230の動作例については図6を用いて後述する。
【0043】
着座部240は、左右の後輪支持基台部220の上方に取付・取外し可能に配置され、使用者が着座するための略L字状の座席部分である。この座席部240は、使用者が着座する場合にのみ使用され、当該移乗支援装置100への使用者の乗降時には取り外される。
【0044】
フォーク部400は、左右の後輪支持基台部220のそれぞれの前端側において、後輪支持基台部220の内側面に対して垂直方向に伸びるよう固設され、使用時には図6の実線に示すように床に配置されることで、使用者が乗降する際にかかる荷重を支える爪部分である。このフォーク部400は、6~12mm、例えば9mm程度の板厚を有する平板状部材によって形成される。
【0045】
以上に示す構成により、本発明の第二実施形態に係る移乗支援装置1では、使用者が移乗の際に足を載置させる基台部200と、基台部200の裏面に取り付けられ、各々が直径80mm以上の車輪を有する複数のキャスター300と、基台部200の低床ベッド等の低床部側に取り付けられ、使用時に低床部と床との間に床に当接するよう挿入されることで基台部200にかかる荷重を支えるフォーク部400とを備え、例えば低床ベッドと車椅子との間の移乗動作(移動動作)を支援する。
【0046】
[フォーク部の移動動作の一例]
図6は、本発明の第二実施形態に係るフォーク部の移動動作の一例を説明する平面図である。
【0047】
図6では、フォーク部400の移動動作の一例を説明するために、図5のフォーク部400、前輪支持基台部210、後輪支持基台部220及び基台連結部230を上面から見た図を示している。なお、基台連結部230がボールねじ機構であるものとして説明を行う。
【0048】
フォーク部400を不使用時には、図中破線で示すように、各フォーク部400は互いに対向するよう配置される(図5参照)。一方、フォーク部400を使用時には、図中矢印方向に後輪支持基台部220を回転させることで、フォーク部400は共に回転し、前輪支持基台部210の左右フレームの延長位置に配置される。
【0049】
また、基台連結部230がボールねじ機構である場合、不使用時にはフォーク部400が床から浮いた状態となり、使用時にフォーク部400が床に当接する状態となるようにフォーク部400が上下移動すべく調整することが望ましい。これにより、不使用時にフォーク部400が床に当接することなく当該移乗支援装置100を安全に移動させることができる。
【0050】
[移乗支援装置の使用例]
図7は、本発明の第二実施形態に係る移乗支援装置の使用例を説明する側面図である。
【0051】
図7(a)では、基台部200の低床ベッドB側に取り付けられたフォーク部4が、低床ベッドBと床との間に床に当接するよう挿入され、低床ベッドBに着座した使用者である被介助者が当該移乗支援装置100への移動を開始する状態を示している。図7(b)では、使用者が胸部保持部800に胸部を保持させて腋下支持部900を腋下で挟んだ状態で回動部600が回動させて使用者を持ち上げた状態を示している。
【0052】
まず、フォーク部400は前記の通り、6~12mm、例えば9mm程度の板厚であるため、図7(a)や図7(b)に示すように、低床ベッドBの下方に挿入させることができる。一方で、キャスター300は直径80mm以上の車輪であるため、高齢者施設や障碍者施設等のようにクッション性を持つ素材が床材として用いられる施設において、荷重により車輪が床にめり込んだりさせることなく安全に移乗動作を実現することができる。
【0053】
なお、図7(b)に示すように使用者を持ち上げた状態で、後輪支持基台部220を元の位置(図5参照)に戻して着座部240(同図参照)を取り付け、更に回動部600を図7(a)に示す位置に戻すことで、使用者を着座部240に着座させることができる。すなわち、当該移乗支援装置100を車椅子として使用することもできる。
【0054】
[フォーク部の変形例]
図8は、本発明の第二実施形態に係るフォーク部の変形例を示す側面図である。
【0055】
上記説明においては、フォーク部400が後輪支持基台部220に固設される場合について説明を行ったが、フォーク部の取付態様はこの場合に限定されるものではない。例えば図8のフォーク部400Aに示すように、側面視L字状の鋼板等によって形成されるとともに、後輪支持基台部220の後端に設けられたラチェット機構等の回動機構410により図中矢印方向の範囲で回転移動するように構成してもよい。また、図示しないが、フォーク部は後輪支持基台部220の後端において上下に移動するように構成してもよい。
【0056】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、上記各実施形態は本発明の適用例の一つを示したものであり、本発明の技術的範囲を上記各実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0057】
例えば、上記各実施形態の説明においては、移乗支援装置1、100が低床ベッドBからの使用者の移乗を支援する場合について説明してきたが、低床ベッドBに限定されるものではない。例えば玄関の式台等の他の低床部であってもよい。
【0058】
また例えば、上記第一実施形態図1の説明においては、基台部2が、直線部L1、L2、L3、L4においてそれぞれ折曲された形状を含むよう形成される場合について説明を行ったが、この形状に限定されるものではない。例えば平板状の形状であってもよい。
【符号の説明】
【0059】
1、l00 移乗支援装置
2、200 基台部
3、300 キャスター
4、400、400A フォーク部
5、500 第一脚部
6、600 回動部
7、700 第二脚部
8、800 胸部保持部
9、900 腋下支持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8