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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023049846
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】撮像システムおよび外観検査システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/952 20060101AFI20230403BHJP
【FI】
G01N21/952
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021159835
(22)【出願日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】石川 博一
(72)【発明者】
【氏名】榎原 次朗
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA44
2G051AA90
2G051AB02
2G051CA04
2G051DA08
2G051EA12
2G051EA14
2G051ED04
2G051ED08
2G051FA03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】撮像対象物の外周の展開画像を簡便なシステムで得ることを目的とする。
【解決手段】撮像システムの一態様は、撮像対象物を、当該撮像対象物周りの複数方向それぞれから撮影する撮像部と、各撮影時における上記撮像部と上記撮像対象物との相対位置の変化を表した変化情報を入手する情報入手部と、上記撮像対象物との区別が容易な特徴画像を、当該撮像対象物の撮影画像中における上記相対位置の変化に対応した箇所に追加する画像追加部と、上記特徴画像に基づいて複数の上記撮影画像を合成する画像合成部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像対象物を、当該撮像対象物周りの複数方向それぞれから撮影する撮像部と、
各撮影時における前記撮像部と前記撮像対象物との相対位置の変化を表した変化情報を入手する情報入手部と、
前記撮像対象物との区別が容易な特徴画像を、当該撮像対象物の撮影画像中における前記相対位置の変化に対応した箇所に追加する画像追加部と、
前記特徴画像に基づいて複数の前記撮影画像を合成する画像合成部と、
を備える撮像システム。
【請求項2】
前記画像合成部は、複数の前記撮影画像それぞれに設定された対象領域同士を繋ぐように複数の当該撮影画像を合成し、
前記画像追加部は、前記撮影画像中における前記対象領域の外側に前記特徴画像を追加する請求項1に記載の撮像システム。
【請求項3】
前記画像合成部は、複数の前記撮影画像を合成した後に、前記特徴画像が追加された前記外側を削除する請求項2に記載の撮像システム。
【請求項4】
前記画像合成部は、複数の前記撮影画像それぞれから部分領域を切り出し、当該部分領域同士を合成する請求項1から3のいずれか1項に記載の撮像システム。
【請求項5】
前記画像合成部は、前記部分領域として、隣の部分領域と重なり合う範囲を含んだ部分領域を切り出す請求項4に記載の撮像システム。
【請求項6】
前記画像合成部は、複数の前記撮影画像を合成するに当たり、前記重なり合う範囲に基づいて、撮影画像同士の連続性を向上させる画像処理を施す請求項5に記載の撮像システム。
【請求項7】
前記撮像部は、回転する前記撮像対象物を撮影し、
前記情報入手部は、前記撮像対象物の回転速度を入手し、
前記画像追加部は、前記特徴画像を、前記回転速度から得られる回転角度に応じてシフトさせた各箇所に追加する請求項1から6のいずれか1項に記載の撮像システム。
【請求項8】
前記画像追加部は、前記特徴画像として文字列画像を追加する請求項1から7のいずれか1項に記載の撮像システム。
【請求項9】
前記撮像部は、回転する前記撮像対象物について、回転方向に分割された各角度で撮影する請求項1から8のいずれか1項に記載の撮像システム。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の撮像システムと、
複数の前記撮影画像の合成で得られた合成画像で前記撮像対象物の外観を検査する検査装置と、
を備える外観検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像システムおよび外観検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、円筒状の撮像対象物について外周の展開画像を得る撮像システムや、得られた展開画像を用いて外観検査を行う外観検査システムが知られる。
【0003】
例えば特許文献1では、撮像対象物に回転運動と並進運動を同時に行わせ、撮像対象物が撮影範囲内で少なくとも1回転するエリアセンサにより時系列に沿って撮影された複数の画像を繋ぎ合わせて、撮像対象物の外周の展開画像を作成する撮像方法が提案される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-135872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の撮像方法では、撮像対象物に精度良く回転運動と並進運動を行わせるために撮像対象物毎の専用装置が必要となり、導入コストが高い。このため、種々の対象における外観検査などのために広く導入することが難しい。
そこで、本開示は、撮像対象物の外周の展開画像を簡便なシステムで得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る撮像システムの一態様は、撮像対象物を、当該撮像対象物周りの複数方向それぞれから撮影する撮像部と、各撮影時における上記撮像部と上記撮像対象物との相対位置の変化を表した変化情報を入手する情報入手部と、上記撮像対象物との区別が容易な特徴画像を、当該撮像対象物の撮影画像中における上記相対位置の変化に対応した箇所に追加する画像追加部と、上記特徴画像に基づいて複数の上記撮影画像を合成する画像合成部と、を備える。
【0007】
本開示に係る外観検査システムの一態様は、上記撮像システムと、複数の上記撮影画像の合成で得られた合成画像で上記撮像対象物の外観を検査する検査装置と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、撮像対象物の外周の展開画像を簡便なシステムで得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態の外観検査システムを示す図である。
図2図2は、外観検査システムの機能構造を示すブロック図である。
図3図3は、外観検査システムにおける処理手順を示すフローチャートである。
図4図4は、検査対象に対する撮影の例を示す図である。
図5図5は、一端側の切り出し画像と周面展開画像を示す図である。
図6図6は、2つの切り出し画像の上部拡大図である。
図7図7は、特徴情報で位置合わせされた切り出し画像を示す図である。
図8図8は、他端側の切り出し画像と周面展開画像を示す図である。
図9図9は、検査対象に対する撮影の別例を示す図である。
図10図10は、縦方向の合成結果を示す図である。
図11図11は、縦合成後の切り出し画像と周面展開画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付の図面を参照しながら、本開示の撮像システムおよび外観検査システムの実施形態を詳細に説明する。但し、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするため、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。また、先に説明した図に記載の要素については、後の図の説明において適宜に参照する場合がある。
図1は、本実施形態の外観検査システムを示す図である。
【0011】
外観検査システム100は、一例として、スマートフォンにアプリケーションプログラムが組み込まれたシステムである。外観検査システム100は、本開示の外観検査システムの一実施形態であると共に、本開示の撮像システムの一実施形態としても機能する。
外観検査システム(スマートフォン)100は、カメラ101とタッチパネル付きのディスプレイ102とを備える。
カメラ101は撮影画角Rを有し、検査対象200を撮影する。カメラ101は連写機能を有する。検査対象200の撮影には、一例として連写機能が用いられる。
【0012】
検査対象200は、一例として円筒状の周面を有し、図示が省略された機構によって一定の回転速度で回転される。ディスプレイ102のタッチパネルを介して外観検査システム100に、検査対象200の回転速度が入力される。以下の説明では、検査対象200の回転軸を基準として、回転軸に沿った方向を「上下方向」「縦方向」などと称し、回転に沿った周方向が平面的に展開された方向を「左右方向」「横方向」などと称する場合がある。
外観検査システム100は、検査対象200が撮影されて得られた画像を用いて外観検査を行い、検査結果をディスプレイ102上に表示する。
図2は、外観検査システム100の機能構造を示すブロック図である。
外観検査システム100は、制御部110と、カメラ部120と、入力部130と、出力部140とを備える。
制御部110は、スマートフォンに組み込まれたCPUなどによって担われ、外観検査システム100全体を制御する。
カメラ部120は、図1に示すカメラ101によって担われ、検査対象200を撮影する。
入力部130は図1に示すディスプレイ102のタッチパネルによって担われ、入力部130により検査対象200の回転速度などの情報が入力される。
出力部140は、ディスプレイ102の表示機能に相当し、出力部140により撮影画像の表示や検査結果の表示などが行われる。
【0013】
制御部110は、カメラ制御部111と、角度算出部112と、特徴追加部113と、画像合成部114と、外観検査部115とを備える。カメラ制御部111~画像合成部114の機能により、本開示の撮像システムの一実施形態としての機能が実現される。外観検査部115により、本開示にいう検査装置の一例としての機能が実現される。
【0014】
カメラ制御部111は、カメラ部120を制御して検査対象200の撮影画像を得る。カメラ部120による連写の制御もカメラ制御部111が行い、検査対象200の例えば1回転以上に亘って連写撮影を続けさせる。回転する検査対象200の1回転以上に亘る連写撮影によりカメラ部120は、検査対象200を1周に亘る複数の角度から撮影することになる。カメラ部120は、本開示にいう撮像部の一例に相当し、撮像対象物(である例えば検査対象200)を、当該撮像対象物周りの複数方向それぞれから撮影する。より具体的には、カメラ部120は、回転する検査対象200について、回転方向に分割された各角度で撮影する。このように撮影された各角度の撮影画像は、画像合成部114における画像処理が容易であり、画像処理が高速化できる。また、カメラ制御部111は連写間隔の情報を出力する。
【0015】
角度算出部112は、入力部130を介して検査対象200の回転速度を入手し、カメラ制御部111から連写間隔の情報を入手する。つまり、角度算出部112は、本開示にいう情報入手部の一例に相当し、各撮影時におけるカメラ部120と撮像対象物(である検査対象200)との相対位置の変化を表した変化情報を入手する。そして、角度算出部112は、カメラ部120による複数回撮影の相互間における検査対象200の回転角度を、連写間隔の情報と検査対象200の回転速度とに基づいて算出する。
【0016】
特徴追加部113は、カメラ制御部111によって得られた複数の撮影画像それぞれに対し、画像中の回転角度に応じた位置に特徴情報を追加する。つまり、特徴追加部113は、本開示にいう画像追加部の一例に相当し、撮像対象物(である検査対象200)との区別が容易な特徴画像を、当該撮像対象物の撮影画像中における上記相対位置の変化に対応した箇所に追加する。特徴情報としては、検査対象200(の像)との区別が容易な画像であればよいが、本実施形態では特徴追加部113が特徴情報として文字列画像を追加する。文字列画像は検査対象200との区別が容易であるとともに、撮影画像中への追加も容易である。
【0017】
画像合成部114は、撮影画像に追加された特徴画像に基づいて複数の撮影画像を合成する。画像合成部114は、本開示にいう画像合成部の一例に相当する。撮影画像の合成により、検査対象200の周面を平面的に展開した周面展開画像が得られる。特徴情報の追加と撮影画像の合成については後で詳述する。
【0018】
外観検査部115は、複数の撮影画像の合成で得られた合成画像である周面展開画像に基づいて検査対象200の外観を検査する。外観検査部115における外見検査は画像処理などで実行され、具体的な処理方法としては任意の周知技術が用いられるものとして詳細説明は省略するが、精度のよい検査のためには精度のよい周面展開画像が必要とされる。
図3は、外観検査システム100における処理手順を示すフローチャートである。
以下、図4図11を適宜参照しながら、図3のフローチャートが示す処理手順について説明する。
【0019】
図3のステップS101では、回転軸に沿った方向に長く延びた検査対象200について、回転軸に沿った分割撮影と結合を行うか否かが、入力部130を介して指示される。検査対象200が回転軸方向の全長について撮影画角R内に収まる場合には、分割撮影と結合は不要である。高精度な外観検査のために高い解像度が必要で検査対象200に接近して撮影する場合など、撮影画角R内に検査対象200が収まらず、かつ、回転軸方向について途切れのない周面展開画像が求められる場合には、分割撮影と結合が必要とされる。また、撮影画角R内に検査対象200が収まらなくても、回転軸方向の複数区間それぞれの周面展開画像で個別に外観検査が可能である場合には、分割撮影と結合は不要である。
【0020】
図4図8では、分割撮影と結合が不要である場合(ステップS101:NO)における一例が示され、図9図11では、分割撮影と結合が求められる場合(ステップS101:YES)における一例が示される。
【0021】
分割撮影と結合が不要である場合(ステップS101:NO)は、ステップS102で、カメラ制御部111によるカメラ部120の制御で検査対象200の連写撮影が行われる。上述したように、検査対象200は回転軸回りに一定速度で回転する。
図4に示すように、検査対象200が例えば一部分重なった2分割で撮影され、一端側(図の上端側)に対する撮影と他端側(図の下端側)に対する撮影とが各々実行される。
【0022】
検査対象200の一端側に対する撮影により、検査対象200の一端側の撮影像250が含まれた撮影画像210_1が得られる。検査対象200の一端側の撮影画像210_1としては、連写撮影に伴う複数の撮影画像210_1が得られる。同様に、検査対象200の他端側に対する撮影により、検査対象200の他端側の撮影像250が含まれた複数の撮影画像210_2が得られる。
【0023】
図3のステップS103では、角度算出部112による角度の算出と特徴追加部113による特徴情報の追加が行われる。角度算出部112は、連写間隔1つ分で検査対象200が回転する回転角度を検査対象200の回転速度に基づいて算出し、特徴追加部113は、撮影画像210_1,210_2に対し、回転角度に相当する位置に特徴情報240を追加する。ステップS103では、特徴情報240として、横方向に文字が連なった文字列画像が追加される。本実施形態で特徴情報240として用いられる文字列画像は、撮影画像210_1,210_2中に含まれる撮影像250とは容易に区別される特徴的な画像である。従って、任意の周知技術により、撮影画像210_1,210_2中から特徴情報240を容易に識別することができる。
【0024】
また、本実施形態では、カメラ部120は、回転する検査対象200を撮影し、角度算出部112は、検査対象200の回転速度を入手して回転角度を算出し、特徴追加部113は、特徴情報240を、回転速度から得られる回転角度に応じてシフトさせた各箇所に追加する。検査対象200が例えば円筒形の場合、特徴情報240の追加位置が効率よくかつ精度良く得られるので、精度のよい周面展開画像が容易に得られる。
【0025】
特徴情報240は、一端側の複数の撮影画像210_1それぞれと、他端側の複数の撮影画像210_2それぞれとに対し、回転角度に相当するシフト量だけ図4の左右方向にシフトした各位置に追加される。検査対象200が例えば図1に示す方向に回転する場合には、特徴情報240は、図4の右方向にシフトした各位置に追加される。つまり、各撮影画像210_1,210_2に追加された特徴情報240は、各撮影像250の相対位置関係を示した目盛りとしての役割を果たす。
【0026】
本実施形態では、特徴情報240が各撮影画像210_1,210_2中の上下2箇所に追加される。各撮影画像210_1,210_2に対し、予め、中央付近の歪みが小さい箇所に、検査エリア220と重複エリア230が設定され、これらのエリアが検査や合成の対象となり、検査や合成の際に画像処理が施される。特徴情報240は、検査や合成における画像処理を妨げないように、検査エリア220と重複エリア230に対して上下に外れた箇所に追加される。言い換えると、特徴追加部113は、撮影画像210_1,210_2中の検査エリア220の外側に特徴情報240を追加する。なお、特徴情報240は、上下の一方のみが追加されてもよい。
【0027】
検査エリア220は、外観検査の対象となるエリアであり、一端側の撮影画像210_1同士(および他端側の撮影画像210_2同士)では重なりを有さない。一方、重複エリア230は、連写撮影の順で隣り合う撮影画像210_1(210_2)同士で、隣の重複エリア230と一部が重なり合う。
【0028】
図3のステップS104では、画像合成部114により、各撮影画像210_1,210_2の合成における前処理として、各撮影画像210_1,210_2から、検査エリア220と重複エリア230を含んだ部分が切り出される。
図5には、一端側の各撮影画像210_1から切り出された複数の切り出し画像260が示される。
【0029】
各切り出し画像260は、重複エリア230の幅で各撮影画像210_1から切り出された画像である。各切り出し画像260の上下には特徴情報240が含まれる。
【0030】
図3のステップS105では、画像合成部114により、図5に示す複数の切り出し画像260が横方向に繋がるように合成されて周面展開画像270が作成される。言い換えると画像合成部114は、複数の撮影画像210_1それぞれから部分領域(である切り出し画像260)を切り出し、当該切り出し画像260同士を合成する。検査対象200が例えば円筒形の場合、歪みの少ない中央部分が切り出されることで精度の高い周面展開画像270が得られる。
図6および図7は、画像合成部114による合成処理の詳細を示す図である。
【0031】
図6には2つの切り出し画像260の上部が拡大されて示される。2つの切り出し画像260の上部には特徴情報240が含まれ、図6では各特徴情報240の左右位置が揃った状態で切り出し画像260が示される。各切り出し画像260は検査エリア220と重複エリア230を含み、検査エリア220の幅は、連写撮影の撮影間隔における検査対象200の回転角に相応する幅である。検査エリア220の外縁221が検査エリア220の幅を規定する。従って、各特徴情報240の左右位置が揃うように各切り出し画像260が位置合わせされることで、検査エリア220同士が外縁221の位置で互いに繋がることになる。画像合成部114は、複数の撮影画像210_1,210_2それぞれに設定された検査エリア220(即ち対象領域の例)同士を繋ぐように複数の当該撮影画像210_1,210_2を合成する。
【0032】
特徴情報240は、検査対象200の撮影像250との区別が容易な画像であるため、特徴情報240の識別は任意の周知技術により容易に実現される。従って、特徴情報240の追加により撮影画像210_1,210_2の合成が容易となり、スマートフォンなどが用いられた簡便なシステムであっても検査対象200などの撮像対象物における外周の展開画像が容易に得られる。
【0033】
図7には、特徴情報240の文字同士が重なるように位置合わせされた切り出し画像260が示される。特徴情報240の文字同士が重なるように切り出し画像260が位置合わせされ、切り出し画像260同士が合成される。切り出し画像260同士の合成方法としては、単純に検査エリア220のみが繋ぎ合わされてもよい。
【0034】
但し、検査エリア220の画像には、撮影における歪みや検査対象200の周面形状に伴う歪みなどが含まれているため、本実施形態では、重複エリア230の情報が用いられて、検査エリア220の画像の連続性を向上させる画像処理が施される。具体的には、重複エリア230は切り出し画像260の相互間で互いに3分の1程度重複し、重複エリア230の重複縁部231の画像と検査エリア220の画像との形状や色における差分が減少するように、各切り出し画像260に対して形状や色を修正する画像処理が施される。画像処理に伴う画像の修正量は、各切り出し画像260の縁側に行くほど大きい。
【0035】
つまり、画像合成部114は、部分領域(である切り出し画像260)として、隣の重複エリア230と重なり合う範囲(即ち重複縁部231)を含んだ重複エリア230を切り出す。そして、画像合成部114は、複数の撮影画像210_1,210_2(の一部である切り出し画像260)を合成するに当たり、重なり合う範囲(即ち重複縁部231)に基づいて、撮影画像同士の連続性を向上させる画像処理を施す。この結果、重なり合う重複縁部231に基づいて変形や色修正が行われて連続性の高い周面展開画像が得られる。
【0036】
画像の連続性を向上させる画像処理が施された後、重複エリア230の重複縁部231は検査エリア220の外縁221で削除され、修正された検査エリア220同士が繋ぎ合わされる。この結果、検査エリア220の画像が滑らかに繋がった周面展開画像270が得られる。なお、重複縁部231は、削除されずに検査エリア220の画像とマージされてもよい。
【0037】
図3のステップS104,S105は、合成する切り出し画像260が残っている間(ステップS106:YES)、繰り返し実行されて切り出し画像260が繋げられる。連写撮影で得られた一連の撮影画像から切り出された一連の切り出し画像260が全て繋がると(ステップS106:NO)、ステップS107では、画像合成部114により、後処理が行われる。後処理では、特徴情報240が外観検査における画像処理の妨げとならないように、ステップS105で繋げられた切り出し画像260における検査エリア220外の上下箇所を削除する。言い換えると、画像合成部114は、複数の撮影画像210_1,210_2を合成した後に、特徴情報240が追加された上記外側を削除する。
【0038】
この結果、特徴情報240を含まない周面展開画像270が得られ、ステップS108では、外観検査部115により周面展開画像270に基づいた外観検査が検査対象200の一端側に対して行われる。周面展開画像270に特徴情報240が含まれないので外観検査における画像処理を妨げず、外観検査が高速化される。
【0039】
図5図7では、検査対象200の一端側の撮影で得られた撮影画像210_1(からの切り出し画像260)を横方向に繋ぐ例について説明したが、検査対象200の他端側の撮影で得られた撮影画像210_2についても同様の処理が行われる。即ち、図8に示すように、他端側の各撮影画像210_2からも複数の切り出し画像260が切り出され、各切り出し画像260に含まれた特徴情報240に基づいて複数の切り出し画像260が上記と同様に合成される。その結果、他端側の撮影画像210_2に基づいた他端側の周面展開画像270が得られ、周面展開画像270に基づいた外観検査が検査対象200の他端側に対して行われる。
【0040】
次に、図3のステップS101で分割撮影と結合が求められる場合(ステップS101:YES)について説明する。この場合は、ステップS109で、検査対象200の回転軸に沿った方向の複数位置それぞれで連写撮影が実行される。また、回転軸に沿った方向の複数位置相互の位置変化について、例えばスマートフォンに内蔵されたセンサなどによる計測が行われる。
【0041】
図9には、分割撮影と結合が求められる場合の撮影画像が示され、検査対象200の一端側の撮影画像210_3と、他端側の撮影画像210_4とが示される。
【0042】
ステップS110では、特徴追加部113により、これらの撮影画像210_3,210_4に対して特徴情報241,242が追加される。撮影画像210_3,210_4には、ステップS105の横方向の合成に用いられる特徴情報241が追加されると共に、後述する縦方向の合成に用いられる特徴情報242も追加される。横方向の合成に用いられる特徴情報241は、ステップS103で説明した特徴情報240と同様の処理で追加される。
【0043】
縦方向の合成に用いられる特徴情報242は、ステップS109で計測された位置変化に相当するシフト量だけ上下にシフトした箇所に追加される。本実施形態では、縦方向の特徴情報242として、縦方向に文字が連なった文字列画像が用いられる。縦方向の特徴情報242は、一端側の撮影画像210_3と他端側の撮影画像210_4との相互間で位置がシフトし、一端側の一連の撮影画像210_3における相互間では同じ位置に追加される。
【0044】
図3のステップS111では、画像合成部114が、縦方向の合成に必要な部分を撮影画像210_3,210_4から切り出す。具体的には、画像合成部114は、一端側の撮影画像210_3から図9の下側の部分で検査エリア220および重複エリア230から食み出した部分を削除する。また、画像合成部114は、他端側の撮影画像210_4から図9の上側の部分で検査エリア220および重複エリア230から食み出した部分を削除する。
【0045】
そして、図3のステップS112で画像合成部114が、一端側の撮影画像210_3と他端側の撮影画像210_4を、縦方向に繋がるように1対1に対応させて合成する。縦方向の合成では、縦方向の特徴情報242が繋がるように撮影画像210_3,210_4が位置合わせされる。
図10は、縦方向の合成結果を示す図である。
【0046】
撮影画像210_3,210_4が縦方向に合成された結果、検査対象200の撮影像250が縦方向に繋がると共に、検査エリア220および重複エリア230も縦方向に繋がった縦結合画像211が得られる。
【0047】
図3のステップS111,S112は、結合対象となる一端側の撮影画像210_3と他端側の撮影画像210_4の対が残っている間(ステップS113:YES)、繰り返し実行され、一連の縦結合画像211が得られる。
【0048】
一端側の撮影画像210_3と他端側の撮影画像210_4が全て縦方向に結合されると、上述したステップS104に進み、画像合成部114により横方向の結合のために上述した切り出しが行われる。
【0049】
図11に示すように、一連の縦結合画像211から一連の切り出し画像260が切り出される。縦方向の合成を経た後のステップS104における切り出しでは、縦結合画像211から縦方向の特徴情報242が削除される。つまり、図11に示す一連の切り出し画像260には、横方向の特徴情報241が含まれるが縦方向の特徴情報242は含まれない。この結果、縦方向の特徴情報242は横方向の合成における画像処理の妨げとならず、横方向の合成が精度良く実行され、周面展開画像270が得られる。
【0050】
なお、上記では、本開示の撮像システムおよび外観検査システムの適用例として、スマートフォンが用いられたシステムが示されるが、本開示の撮像システムおよび外観検査システムは、例えば工業用カメラとパーソナルコンピュータとの組み合わせによるシステムに適用されてもよい。また、本開示の撮像システムは、外観検査システム以外の、周面展開画像が求められるシステムに適用されてもよい。
【0051】
上述した実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した実施の形態ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0052】
100 :外観検査システム
101 :カメラ
102 :タッチパネル付きディスプレイ
110 :制御部
120 :カメラ部
130 :入力部
140 :出力部
111 :カメラ制御部
112 :角度算出部
113 :特徴追加部
114 :画像合成部
115 :外観検査部
200 :検査対象
210_1,210_2 :撮影画像
211 :縦結合画像
220 :検査エリア
221 :検査エリアの外縁
230 :重複エリア
231 :重複エリアの重複縁部
240,241,242 :特徴情報
250 :撮影像
260 :切り出し画像
270 :周面展開画像
図1
図2
図3
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図11