(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023049850
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】業務支援装置、業務支援方法、業務支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0639 20230101AFI20230403BHJP
G16H 10/00 20180101ALI20230403BHJP
【FI】
G06Q10/06 332
G16H10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021159840
(22)【出願日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】519387988
【氏名又は名称】株式会社wellday
(74)【代理人】
【識別番号】100134706
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】中村 圭宏
(72)【発明者】
【氏名】牟田 吉昌
【テーマコード(参考)】
5L049
5L099
【Fターム(参考)】
5L049AA08
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】組織における被管理者をより的確にサポートし、よって組織の業務を支援する業務支援装置、業務支援方法、業務支援プログラムを提案する。
【解決手段】支援サーバ15は、アラート情報生成部23と、課題予測演算部とを備える。アラート情報生成部23は、被管理者の業務ツールの利用情報に基づいて求められたメンタルスコアが閾値を超えた場合に、被管理者に関するアラート情報を生成する。課題予測演算部は、閾値を超えるメンタルスコアを示した複数の被管理者のタルスコアである履歴メンタルスコアと、前記複数の被管理者の各々が有していた課題である履歴課題との学習により構築された課題予測モデルにより、アラート情報が生成された被管理者が有する課題をアラート情報が生成されたときのメンタルスコアに基づいて特定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被管理者の業務ツールの利用情報に基づいて求められたメンタルスコアが閾値を超えた場合に前記被管理者に関するアラート情報を生成するアラート情報生成部と、
前記閾値を超える前記メンタルスコアを示した複数の被管理者の前記メンタルスコアである履歴メンタルスコアと、前記複数の被管理者の各々が有していた課題である履歴課題との学習により構築された課題予測モデルにより、前記アラート情報が生成された前記被管理者が有する課題を前記アラート情報が生成されたときの前記メンタルスコアに基づいて特定する課題予測演算部と
を備える業務支援装置。
【請求項2】
前記履歴メンタルスコアを示した前記複数の被管理者の各々が有していた課題である履歴課題と、前記複数の被管理者の各々について実施された対応策である履歴対応策との学習により構築された対応策予測モデルにより、前記アラート情報が生成された前記被管理者について実施する対応策を前記課題予測演算部により特定された課題に基づいて特定する対応策予測演算部をさらに備える請求項1に記載の業務支援装置。
【請求項3】
被管理者が有する課題と、前記アラート情報が生成された被管理者に前記課題について問い合わせるアンケートデータとを関連付けて記憶するアンケート記憶部と、
前記課題予測演算部により特定された前記課題に関連付けられた前記アンケートデータを、前記アンケート記憶部から特定して、前記アラート情報が生成された前記被管理者に送信するアンケート処理ユニットをさらに備える請求項1または2に記載の業務支援装置。
【請求項4】
前記利用情報は、前記被管理者が前記業務ツールにおいて入力することにより取得されたテキストデータと、前記被管理者の前記業務ツールの利用ログとの少なくともいずれか一方を有する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の業務支援装置。
【請求項5】
被管理者の業務ツールの利用情報に基づいて求められたメンタルスコアが閾値を超えた場合に前記被管理者に関するアラート情報を生成するアラート情報生成ステップと、
前記閾値を超える前記メンタルスコアを示した複数の被管理者の前記メンタルスコアである履歴メンタルスコアと、前記複数の被管理者の各々が有していた課題である履歴課題との学習により構築された課題予測モデルにより、前記アラート情報が生成された前記被管理者が有する課題を前記アラート情報が生成されたときの前記メンタルスコアに基づいて特定する課題予測演算ステップと
を有する業務支援方法。
【請求項6】
被管理者の業務ツールの利用情報に基づいて求められたメンタルスコアが閾値を超えた場合に前記被管理者に関するアラート情報を生成するアラート情報生成ステップと、
前記閾値を超える前記メンタルスコアを示した複数の被管理者の前記メンタルスコアである履歴メンタルスコアと、前記複数の被管理者の各々が有していた課題である履歴課題との学習により構築された課題予測モデルにより、前記アラート情報が生成された前記被管理者が有する課題を前記アラート情報が生成されたときの前記メンタルスコアに基づいて特定する課題予測演算ステップと
をコンピュータに実行させる業務支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、業務支援装置、業務支援方法、業務支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、企業や団体等の組織において、その構成員の多くが電子メールやチャット、メッセンジャなどのコミュニケーションツールや、勤怠管理ツールやカレンダツール等、通信ネットワークを用いた業務ツールを用いている場合が多い。こうした業務ツールにおいては、利用した者のメンタル状態が、例えばチャットで使用される語彙や言い回しなどに現れる傾向がある。
【0003】
また、組織の構成員同士のコミュニケーションの状態が、組織の業務の進行や達成を左右することがある。また、通信ネットワークを利用したチャットには、チャットの主体たるユーザの感情が反映されている傾向があり、ユーザ間のチャットによるコミュニケーションを分析する技術が開示されている。
【0004】
例えば特許文献1には、コミュニケーションに関するスコアを含む分析結果を取得する分析部と、分析結果を出力する出力部とを備えるチャット分析装置が開示されている。分析部は、チャットのテキストとテキストの送信者のユーザ識別子と受信者のユーザ識別子とを含む複数のチャット情報と、チームのチーム識別子と、チームに属する2以上のユーザのユーザ識別子とを対応付けるチーム管理情報とを用いて、上記分析結果を取得する。分析部は、他者に与えた影響の大きさに関するスコアであるエンゲージメントスコアを、エンゲージメントスコア=投稿インパクト数/全投稿数によって算出する。
【0005】
また、学習モデルを用いて、組織の構成員について特定の行動等を予測する技術もある。特許文献2は、社員の日々の出勤、退勤時間、休暇取得、出張などの状況を含む出勤簿データを機械学習して学習モデルを生成し、学習後の学習モデルを用いて、予測対象のある社員の出勤簿データから、当該社員が療養(休職)するかしないかを予測する学習装置を開示している。この学習装置は、生成部と学習部とを備え、生成部は、複数の項目を有し、カレンダーに対応した複数のレコードを有する時系列データから、カレンダー情報、および、上記の複数の項目それぞれを別次元としてテンソル化した、テンソルデータを生成する。学習部は、テンソルデータを入力テンソルデータとしてテンソル分解してニューラルネットワークに入力する学習モデルに対し、ニューラルネットワークの深層学習およびテンソル分解の方法の学習を行う。
【0006】
さらに、特許文献3には、ユーザのパフォーマンスを定期的に取得する調査部と、取得されたユーザのパフォーマンスの履歴に基づいて、パフォーマンスの向上度合を示すレジリエンス値を算出するレジリエンス値算出部と、レジリエンス値に対するユーザの状態の影響度合いを解析する解析処理部と、解析処理部による解析結果を表示する表示部とを備える情報表示装置が開示されている。調査部は、ユーザのパフォーマンスおよび状態を判定するための質問を表示し、質問に対するユーザによる回答の入力を受け付け、回答に基づいてパフォーマンスおよび状態を判定する。この情報処理装置は、ユーザの状態を示す情報に対応付けて、ユーザの状態に関するアドバイスを記憶するアドバイス記憶部をさらに備えており、表示部は、ユーザの状態に対応するアドバイスをアドバイス記憶部から読み出して、ユーザの状態に対応するアドバイスを表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第6559861号公報
【特許文献2】特開2019-191783号公報
【特許文献3】特許第6651154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載される装置は、組織の構成員のエンゲージメントスコア以外のメンタル面については把握できない。また、特許文献2は、出勤簿データを機械学習した学習モデルを用いて、社員が療養(休職)するかしないかを予測しているにすぎない。そこで、組織の構成員、例えば組織の中でも管理されている立場にある被管理者を、より的確にサポートすることができる手法が望まれる。また、特許文献3は、ユーザのパフォーマンスの履歴に基づいた解析結果を基に、アドバイス等を表示するにすぎず、パフォーマンスよりもより短いサイクルで変動しやすく、また、周囲の環境等によって変動しやすいメンタルな側面は考慮されず、そのため被管理者を十分にサポートすることはできない。
【0009】
そこで、本発明は、組織における被管理者をより的確にサポートし、よって組織の業務を支援する業務支援装置、業務支援方法、業務支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の業務支援装置は、アラート情報生成部と、課題予測演算部とを備える。アラート情報生成部は、被管理者の業務ツールの利用情報に基づいて求められたメンタルスコアが閾値を超えた場合に被管理者に関するアラート情報を生成する。課題予測演算部は、上記閾値を超えるメンタルスコアを示した複数の被管理者のメンタルスコアである履歴メンタルスコアと、複数の被管理者の各々が有していた課題である履歴課題との学習により構築された課題予測モデルにより、アラート情報が生成された被管理者が有する課題をアラート情報が生成されたときのメンタルスコアに基づいて特定する。
【0011】
業務支援装置は、対応策予測演算部をさらに備えることが好ましい。対応策予測演算部は、履歴メンタルスコアを示した複数の被管理者の各々が有していた課題である履歴課題と、複数の被管理者の各々について実施された対応策である履歴対応策との学習により構築された対応策予測モデルにより、アラート情報が生成された被管理者について実施する対応策を課題予測演算部により特定された課題に基づいて特定する。
【0012】
業務支援装置は、アンケート記憶部と、アンケート処理ユニットをさらに備えることが好ましい。アンケート記憶部は、被管理者が有する課題と、アラート情報が生成された被管理者に課題について問い合わせるアンケートデータとを関連付けて記憶するアンケート記憶部と、課題予測演算部により特定された課題に関連付けられたアンケートデータを、アンケート記憶部から特定して、アラート情報が生成された被管理者に送信する。
【0013】
上記利用情報は、被管理者が業務ツールにおいて入力することにより取得されたテキストデータと、被管理者の業務ツールの利用ログとの少なくともいずれか一方を有することが好ましい。
【0014】
本発明の業務支援方法は、アラート情報生成ステップと、課題予測演算ステップとを有する。アラート情報生成ステップは、被管理者の業務ツールの利用情報に基づいて求められたメンタルスコアが閾値を超えた場合に被管理者に関するアラート情報を生成する。課題予測演算ステップは、上記閾値を超えるメンタルスコアを示した複数の被管理者のメンタルスコアである履歴メンタルスコアと、複数の被管理者の各々が有していた課題である履歴課題との学習により構築された課題予測モデルにより、アラート情報が生成された被管理者が有する課題をアラート情報が生成されたときのメンタルスコアに基づいて特定する。
【0015】
本発明の業務支援プログラムは、上記のアラート情報生成ステップと課題予測演算ステップとをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、組織の被管理者を、より的確にサポートし、よって、組織の業務を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態である業務支援サーバを用いたネットワーク構成の説明図である。
【
図4】課題予測モデルの構築及び課題の特定の説明図である。
【
図5】課題予測モデルの構築及び課題の特定の説明図である。
【
図6】対応策予測モデルの構築及び対応策の特定の説明図である。
【
図7】対応策予測モデルの構築及び対応策の特定の説明図である。
【
図8】支援サーバを用いた処理のシーケンス図である。
【
図9】利用情報記憶部におけるテキストデータの記憶態様の一例である。
【
図10】利用情報記憶部における利用ログの記憶態様の一例である。
【
図11】被管理者とメンタルスコアとの関連付けの態様を示す一例である。
【
図16】管理者端末における対応策の表示態様の一例である。
【
図17】管理者端末における表示態様の一例である。
【
図18】管理者端末における第1画面の一例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1において、業務支援システム11は、組織において管理される立場にある被管理者と被管理者を管理する立場にある管理者とを含む組織の業務を支援するためのものである。業務支援システム11は、被管理者端末13A,13B,13C,・・・のそれぞれと、管理者端末14A,14B,・・・のそれぞれと、業務支援サーバ(以下、支援サーバと称する)15とは、通信ネットワーク18を介して互いに接続しており、これにより通信、すなわち情報(データ)の送受信ができるようになっている。なお、以下の説明においては、被管理者端末13A,13B,13C,・・・のそれぞれを区別しない場合には被管理者端末13と記載し、管理者端末14A,14B,・・・のそれぞれを区別しない場合には管理者端末14と記載する。
【0019】
通信ネットワーク18には、支援サーバ15と異なる他のサーバが接続していてもよく、本例では業務ツールサーバ(以下、ツールサーバと称する)19が接続している。これにより、業務支援システム11を構成している被管理者端末13、管理者端末14、及び支援サーバ15のそれぞれは、ツールサーバ19と通信できるようになっている。
【0020】
通信ネットワーク18には、被管理者端末13及び管理者端末14と異なる他の端末が接続していてもよい。例としては、支援サーバ15を管理(設定、メンテナンス等を含む)する支援サーバ管理端末(図示無し)が挙げられる。ただし、被管理者端末13と管理者端末14とのいずれか一方を支援サーバ管理端末として用いてもよい。
【0021】
被管理者端末13は被管理者が使用する端末であり、管理者端末14は管理者が使用する端末である。被管理者は企業の従業員のように、管理者としての例えば上司により管理される者である。被管理者と管理者とは、特定の観点において相対的な管理関係にある者であり、組織の構造、業務毎等に応じて管理関係が変わってもよい。例えば組織の構造が複数の階層を有する階層構造である場合には、下位の階層の組織長は、当該組織の他の構成員を管理する管理者であるが、上位の階層の組織長との関係においては被管理者である。また、組織における例えば役職等が同じであり、階層組織においては管理と被管理との相対的な管理関係に無い第1構成員と第2構成員とが、特定の業務において一方が当該業務の責任者となって、他方を管理する管理者となる場合もある。
【0022】
被管理者端末13及び管理者端末14は、パーソナルコンピュータである。しかし被管理者端末13及び管理者端末14はパーソナルコンピュータに限られず、タブレット端末、スマートフォンなど公知のものを用いることができる。被管理者端末13と管理者端末14とは、入力部と、画像を表示する表示部とを備え、入力部は、例えば、キーボードや、タッチパネルディスプレイなどである。また、表示部は液晶ディスプレイなどであり、入力部としてタッチパネルディスプレイを用いた場合にはこれを表示部として用いてよい。
【0023】
被管理者端末13と管理者端末14とには、支援サーバ15及びツールサーバ19と送受信するための共通のアプリケーションソフトウェア(以下、単に「アプリ」と称する)がインストールされている。
【0024】
図1においては被管理者端末13の数を3つとし、管理者端末14の数を2つとして便宜上描いているが、被管理者端末13及び管理者端末14の各数はこの例に限られず、本例でも多数の被管理者端末13と管理者端末14とを用いている。
【0025】
ツールサーバ19は、業務に用いられ、通信ネットワーク18を介して情報を送受信することができる業務ツールの処理プログラムを記憶している。業務ツールは、数値化可能な例えばテキストデータ及び画像データとの少なくともいずれか一方の情報を送受信する。業務ツールとしては、例えばコミュニケーションツール、業務管理ツール、データ管理ツール、人事労務管理ツール等があり、これらのうちの複数のツール機能を併せもつものでもよい。
【0026】
コミュニケーションツールは、利用者の入力により取得したテキストデータを送受信する業務ツールの一例であり、テキストデータに加えてテキストデータ以外のデータ(例えば数値データや画像データ)を送受信できるものでもよい。
【0027】
業務管理ツールは、組織及び組織を構成する各人の業務を管理するためのデータを送受信する業務ツールであり、テキストデータと数値データと画像データとの少なくともいずれかひとつを送受信する。業務管理データとしては、例えばスケジュール管理ツール等がある。スケジュール管理ツールは、カレンダ機能、すなわち日時や、会議、行事、業務等の各予定、参加者等を管理する業務ツールである。なお、コミュニケーションツールと業務管理ツールとの両方の機能をもった業務ツールでもよい。データ管理ツールは、種々の形式のデータを取り出し可能に保存するものである。データ管理ツールは、例えば利用者間でデータを共有したり互いに送受するために用いられる。
【0028】
人事労務管理ツールは、組織の構成及び構造、組織に属する者のプロフィール(名前、性別、生年月日、年齢、職種、組織に入った年、継続年数、休職経験、組織での所属部署、関連する業務、所属部署及び関連する業務における例えば上司などの管理者、勤怠情報等)等を管理するためのデータを送受信する業務ツールである。人事労務管理ツールも、テキストデータと数値データと画像データとの少なくともいずれかひとつを送受信する。
【0029】
業務ツールは、市販されているものでもよく、例えば、slack(登録商標)、Microsoft Teams、Outlook(登録商標)、特定の組織内で用いられるメール機能をもったメールツール、G Suite(登録商標)、GitHub、SmartHR(登録商標)等が挙げられる。また、複数の業務ツールを併用してもよい。複数の業務ツールを用いる場合には、ツールサーバ19を複数の業務ツールのサーバ装置で構成してこれらを統括的に制御する制御部(図示無し)を介して通信ネットワークに接続させてもよいし、複数の業務ツールのサーバ装置の各々をツールサーバ19として、それぞれを独立して通信ネットワークに接続させてもよく、本例でもそのようにしている。
【0030】
ツールサーバ19は、リアルタイムサーバとして機能し、被管理者端末13と管理者端末14とが通信する場合に、被管理者端末13と管理者端末14との間で通信される各種情報を送受信する。ツールサーバ19は、さらに、複数の被管理者端末13の間で通信される各種情報、及び、複数の管理者端末14の間で通信される各種情報についても、同様に送受信する。送受信した情報は、利用情報として利用情報記憶部19a(
図2参照)に記憶する。利用情報は、テキストデータと利用ログとの少なくともいずれか一方を有することが好ましく、本例ではこれらの両方を利用情報として利用情報記憶部19aに記憶している。
【0031】
テキストデータは、被管理者が被管理者端末13において入力することにより取得されたものである。なお、管理者が管理者端末14において入力することにより取得されたテキストデータも利用情報として利用情報記憶部19aに記憶してもよく、本例でもそのようにしている。ツールサーバ19の処理プログラムの業務ツールとしてコミュニケーションツールであるslack(登録商標)が用いられる場合には、被管理者や管理者が入力したメッセージ等がテキストデータの例である。利用ログとしては、ログイン情報(日時等)、アクション(送受信したテキストデータや画像データ及びこれらの種別等)、送信先の識別情報(送信先ID)、受信した受信情報の送信元の識別情報(送信元ID)、コメント(テキストデータや画像データの送受信)の回数、コメントのデータマイニング、リアクションタイム(受信から当該受信に対する応答としての送信までの時間、及び/または送信日時)等がある。
【0032】
支援サーバ15は、被管理者及び管理者が関与する業務を支援する業務支援装置の一例である。支援サーバ15は、被管理者端末13と管理者端末14との少なくともいずれか一方と、ツールサーバ19とのそれぞれと各種情報の送受信を行う。この例では、被管理者端末13と管理者端末14との両方と、ツールサーバ19とのそれぞれと各種情報の送受信を行っている。
【0033】
支援サーバ15は、リアルタイムサーバとして機能し、被管理者端末13と管理者端末14とツールサーバ19との少なくともいずれか2つの間、複数の被管理者端末13間、複数の管理者端末14間とのそれぞれで通信を行う場合に、これら各間で通信される各種情報を送受信する。
【0034】
ツールサーバ19及び支援サーバ15はコンピュータで構成されており、ハードディスクなどの記憶部(図示無し)に記憶された情報処理プログラムを実行することにより、後述の各部などとして機能する。
【0035】
例えば、被管理者の業務ツールの利用情報に基づいて求められたメンタルスコアが閾値を超えた場合に被管理者に関するアラート情報を生成するアラート情報生成ステップと、閾値を超えるメンタルスコアを示した複数の被管理者のメンタルスコアである履歴メンタルスコアと、複数の被管理者の各々が有していた課題である履歴課題との学習により構築された課題予測モデルにより、アラート情報が生成された被管理者が有する課題をアラート情報が生成されたときのメンタルスコアに基づいて特定する課題予測演算ステップの処理をコンピュータに実行させる情報処理プログラム(業務支援プログラム)をコンピュータに実行させることで、コンピュータが支援サーバ15として機能する。
【0036】
図2において、ツールサーバ19は前述の利用情報記憶部19aを備える。ツールサーバ19は、利用情報記憶部19aへの記憶に加えて、被管理者が被管理者端末13から被管理者の識別情報(以下、被管理者IDと称する)と被管理者が利用した業務ツールにおいて用いている識別情報(ユーザID)と利用情報とを取得した場合に、被管理者IDと被管理者の利用情報とを紐付けて(関連付けて)、利用情報記憶部19aに記憶するとともに、支援サーバ15に送信する。なお、各業務ツールにおいて利用者毎に識別情報が設定されている場合には、ツールサーバ19は、その識別情報をユーザIDとしてさらに紐付けて記憶している。
【0037】
支援サーバ15は、予測演算ユニット22と、アラート情報生成部23と、メッセージ処理ユニット24とを備えており、さらに特定部27を備えることが好ましく、本例でも特定部27を備えている。
【0038】
管理者端末14を使用する管理者は、被管理者端末13を使用した被管理者が業務ツールを利用した利用情報に基づいて特定される関係者の一例である。特定部27は、被管理者が利用した業務ツールの利用情報に基づいて、被管理者の関係者を特定する。特定部27は、関係者を特定する基準値として、利用情報の種類毎に設定された閾値が記憶されている第1記憶部(図示無し)を有する。例えば、利用情報の種類を、特定のコミュニケーションツール(slack等)におけるメッセージの過去の送受信回数とし、閾値を100回として設定した場合には、これら送受信回数と閾値とが第1記憶部に記憶されている。また、利用情報の種類を、業務管理ツールでの会議での過去の同席回数とし、閾値を10回として設定した場合には、これら同席回数と閾値とが同様に第1記憶部に記憶されている。また、利用情報の種類を、人事労務管理ツールで取得されている所属部署の上司とし、閾値として上司である場合を閾値1として、上司ではない場合を0(ゼロ)などの1未満の値としてもよい。これらの利用情報の種類と閾値とは、支援サーバ15における初期設定として予め設定されていてもよいし、支援サーバ15を管理する支援サーバ管理端末により設定したり、再設定してもよい。
【0039】
特定部27は、ツールサーバ19から、被管理者IDを含む情報を取得した場合に、被管理者IDの利用情報の種類毎にその閾値を第1記憶部から取得して、閾値と比較し、閾値を超えた者の識別番号を関係者の識別番号(関係者ID)として特定する。特定部27は、被管理者IDと特定した関係者IDとを紐付けて、特定部27に備えられた第2記憶部(図示無し)に記憶する。この例の特定部27は、支援サーバ15に設けてあるが、支援サーバ15の代わりにツールサーバ19に設けてもよい。
【0040】
予測演算ユニット22は、各種データの学習により構築された複数の予測モデルにより、メンタルスコアと課題との各予測を行うためのものであり、本例ではさらに対応策の予測も行う。メンタルスコアは、被管理者の精神的な不良をきたすリスク(以下、メンタルリスクと称する)の程度を数値(点数)化したものであり、上記の複数の予測モデルのひとつであるスコア予測モデルにより求める(予測する)。予測演算ユニット22は、ツールサーバ19に接続するように構成されており、被管理者IDに紐付けられた利用情報を利用情報記憶部19aから取得した場合に、利用情報をスコア予測モデルに適用して被管理者のメンタルスコアを求め、アラート情報生成部23に被管理者IDとメンタルスコアとを出力する。
【0041】
予測演算ユニット22は、互いに異なる種別の第1メンタルスコアと第2メンタルスコアとを求めることが好ましく、本例でもそのようにしている。互いに異なる種別とは、精神的な観点で異なる種類にわけられたものであり、例えば、ストレスを感じている程度であるストレススコア、組織に対する思い入れや愛着心の程度であるエンゲージメントスコア、幸福感の程度を示す幸福度スコアなどの種別がある。本例の予測演算ユニット22は、第1メンタルスコアと第2メンタルスコアとに加えて、さらに種別が異なる第3メンタルスコアも求めている。このように、第1メンタルスコアと第2メンタルスコアに加えて、第3,第4,第5・・・というようにさらなる他の種別のメンタルスコアを求めてもよい。
【0042】
予測演算ユニット22は、第1メンタルスコアと第2メンタルスコアとを、取得した利用情報を機械学習により学習したスコア予測モデルにより求める。例えば、過去に業務ツールへのログイン時間が長く、ネガティブ(否定的、悲観的など)な語彙や単語等を高い頻度で入力した被管理者がストレスが高いと判定されていて、これらの情報をスコア予測モデルが学習していたとする。この場合には、スコア予測モデルは同様の利用情報を有する被管理者に対しても第1メンタルスコアとしてのストレススコアを高く出力する。例えばまた、過去にポジティブ(肯定的、前向きなど)な語彙や単語等を高い頻度で入力した被管理者のエンゲージメントが高いと判定されており、これらの情報を予測モデルが学習していたとする。この場合には、予測モデルは同様の利用情報を有する被管理者に対しても第1メンタルスコアとしてのエンゲージメントスコアを高く出力する。
【0043】
予測演算ユニット22は、アラート情報生成部23から後述のアラート情報が入力された場合に、課題予測モデルにより、被管理者が有している可能性がある課題を、複数の課題の候補の中から抽出して特定(予測)する。予測演算ユニット22はさらに、特定した課題を解消及び/または軽減するための対応策を、複数の対応策の候補の中から抽出して特定(予測)し、被管理者IDとともに対応策情報としてメッセージ処理ユニット24に出力する。なお、アラート情報生成部23からのアラート情報に関係者IDが含まれている場合には、メッセージ処理ユニット24に出力する対応策情報は、特定した対応策及び被管理者IDとともに関係者IDを含んでもよい。なお、この例では課題予測モデルにより特定した課題に基づいて、対応策予測モデルにより対応策を特定しているが、特定した課題を被管理者IDとともに課題情報としてメッセージ処理ユニット24に出力してもよい。なお、予測演算ユニット22については別の図面を用いて後述する。
【0044】
アラート情報生成部23は、メンタルスコアが閾値を超えた場合に被管理者に関するアラート情報を生成する。本例のアラート情報生成部23は、メンタルスコアについて設定された閾値を記憶するスコア閾値記憶部(図示無し)を備えている。アラート情報生成部23は、予測演算ユニット22と接続しており、予測演算ユニット22から被管理者IDとメンタルスコアとを取得した場合に、スコア閾値記憶部から閾値を読み出して、取得したメンタルスコアと比較する。そして、メンタルスコアが閾値を超えた場合には、被管理者IDと精神的な不良をきたすリスクが有ることを示すアラートを生成し、生成したアラートと関係者IDとを含む情報をアラート情報として、予測演算ユニット22に出力する。本例のアラート情報生成部23は、特定部27とも接続しており、被管理者IDを取得した場合に、特定部27の第2記憶部(図示無し)から被管理者IDに紐付けられた関係者IDを特定し、特定した関係者ID(この例では管理者のIDである)を取得している。なお、メンタルスコアの閾値は、支援サーバ15における初期設定として予め設定されていてもよいし、支援サーバ15を管理する支援サーバ管理端末により設定したり、再設定してもよい。
【0045】
予測演算ユニット22が第1メンタルスコアと第2メンタルスコアとを求める場合には、アラート情報生成部23は、第1メンタルスコアと第2メンタルスコアとのうち少なくともいずれか一方が閾値を超えた場合に、閾値を超えた少なくともいずれか一方に基づいてアラート情報を発生する。
【0046】
アラート情報生成部23は、アラート情報が発生した被管理者のメンタルスコアを管理者に送信することが好ましく、本例でもそのようにしている。すなわち、アラート情報生成部23は、アラート情報を、関係者IDの管理者が用いる管理者端末14にも出力し、関係者IDの管理者がアラート情報を取得できるようにしている。アラート情報生成部23は、管理者へメールやコミュニケーションツール(例えばslack等)でアラート情報を送信してもよいが他の方法でもよい。例えば、アラート情報を、メッセージの送信先(被管理者と管理者との少なくともいずれか一方)がアクセスできる所定のデータ格納場所に格納し、メールやコミュニケーションツールにアラート情報の所在をURL等で案内する手法でもよく、本例でもこの手法を用いている。
【0047】
メッセージ処理ユニット24は、予測演算ユニット22から対応策情報を取得した場合に、アラート情報が発生した被管理者と、被管理者の利用情報に基づいて特定される関係者との少なくともいずれか一方に対して、対応策を示すメッセージをメッセージデータとして送信する。アラート情報が発生した被管理者にメッセージデータを送信する場合には、アラート情報に含まれる被管理者IDから送信先である被管理者を特定してメッセージデータを送信する。被管理者に送信するメッセージデータは、被管理者に対するメッセージを含む情報である。管理者にメッセージデータを送信する場合には、アラート情報に含まれる関係者IDから送信先である関係者としての管理者を特定してメッセージデータを送信する。管理者に送信する場合には、アラート情報に含まれる被管理者IDから特定した被管理者に関するメッセージ、かつ、管理者に対するメッセージを含む情報をメッセージデータとして管理者に送信することが好ましい。
【0048】
メッセージデータの送信は、メールやコミュニケーションツール(例えばslack等)で行ってもよいが他の方法でもよい。例えば、メッセージを、メッセージの送信先(被管理者と管理者との少なくともいずれか一方)がアクセスできる所定のデータ格納場所に格納し、メールやコミュニケーションツールにメッセージの所在をURL等で案内する手法でもよい。
【0049】
対応策を示すメッセージは、例えば、「業務の進め方において自分でコントロールできないというストレスを感じている可能性があります。仕事の順序や優先順位を見直してみましょう」、「あなたが任されている仕事の内容を上司や同僚に相談してみましょう」、「リラックスしてください」、「休日にゆっくり休養することがおすすめです」など、回答を求めない(回答を非要求とする)アドバイス(助言)が挙げられる。
【0050】
本例のメッセージ処理ユニット24は、メッセージ記憶部24aと、処理制御部24bとを備え、メッセージ記憶部24aには、メッセージを構成する複数のメッセージ要素が対応策に紐付けられて記憶されている。メッセージ要素は、メッセージを構成する単位であり、例えば「業務の進め方において自分でコントロールできないというストレスを感じている可能性があります」、「仕事の順序や優先順位を見直してみましょう」等である。メッセージ要素は、支援サーバ15の初期設定として予め設定されてメッセージ記憶部24aに記憶されていてもよいし、支援サーバ15を管理する支援サーバ管理端末により設定、あるいは再設定してメッセージ記憶部24aに記憶してもよい。
【0051】
処理制御部24bは、対応策情報を取得した場合に、メッセージ記憶部24aから、取得した対応策に紐付けられたメッセージ単位を特定して読み出す。読み出したメッセージ単位がひとつの場合にはそのメッセージ単位をメッセージとして、出力する。本例では、読み出したメッセージ単位が複数である場合には、それら複数を組み合わせてひとつのメッセージとしている。例えば、「睡眠をとりましょう」と「休養をとりましょう」の2つのメッセージ単位が読み出された場合には、これらを組み合わせて「睡眠・休養がとれていますか」というひとつのメッセージにする。ただし、読み出したメッセージ単位が複数である場合には、複数のメッセージ単位のそれぞれをメッセージとしてもよい。
【0052】
処理制御部24bは、対応策を示すメッセージデータを被管理者に送信する場合には、対応策情報に含まれる被管理者IDから被管理者を特定し、特定した被管理者を送信先にして出力する。管理者に送信する場合も同様に、対応策情報に含まれる関係者IDから特定した管理者を送信先にして出力する。メッセージデータを、被管理者と管理者とのうちいずれに送信するか、または、両方に送信するかは、対応策に応じて、支援サーバ15の初期設定として予め設定されていてもよいし、支援サーバ15を管理する支援サーバ管理端末により設定、あるいは再設定してもよく、処理制御部24bは設定された送信先に送信する。
【0053】
予測演算ユニット22が第1メンタルスコアと第2メンタルスコアとを求めてアラート情報生成部23がそれら各メンタルスコアに応じたアラート情報を発生する場合には、メッセージ記憶部24aには、複数のメッセージのそれぞれが第1メンタルスコアの課題に対する対応策の種別(以下、第1対応策種別と称する)と第2メンタルスコアの課題に対する対応策の種別(以下、第2対応策種別と称する)とのいずれか一方に紐付けられて記憶されていることが好ましく、本例でもそのようにしている。この場合、メッセージ処理ユニット24の処理制御部24bは、第1メンタルスコアを含むアラート情報を取得した場合に、第1対応策種別に紐付けられたメッセージ要素をメッセージ記憶部から取得し、メッセージデータを送信する。
【0054】
支援サーバ15は、さらに、利用ログを時間毎に集計して管理者に送信する集計部28をさらに備えることが好ましく、本例でもそのようにしている。集計部28は、予め設定されたタイミングで、利用情報記憶部19aにアクセスし、集計の対象期間に対応する所定の利用ログを取得して集計する。ただし、集計部28は、予め設定されたタイミングの代わりに、管理者により管理者端末14から送信される集計要求に応じて集計してもよい。集計部28は、集計して求めた利用ログの集計結果を、管理者へ送信する。集計部28はさらに、予測演算ユニット22で予測されたメンタルスコアと課題と対応策とを予測演算ユニット22から取得することが好ましく、これらメンタルスコアと課題と対応策とを関連付けて記憶する集計記憶部28aを有することが好ましい。集計記憶部28aに記憶されているメンタルスコアと課題と対応策とは、過去のメンタルスコアである履歴メンタルスコア、過去の課題である履歴課題、過去の対応策である履歴対応策として、予測演算ユニット22において、その後の予測モデルの構築のために学習される。履歴メンタルスコアと履歴課題と履歴対応策とは、管理者端末14に送信されてもよい。
【0055】
図3において、予測演算ユニット22は、自然言語処理部31と、数値解析部33と、スコア予測演算部35と、課題予測演算部37とを備え、さらに対応策予測演算部39を備えることが好ましく、本例でもそのようにしている。自然言語処理部31は、ツールサーバ19からの被管理者IDと関係者IDと利用情報とを取得した場合に、利用情報に含まれる言語データを数値データに変換する変換処理を行い、数値解析部33に出力する。言語データは、業務ツールの利用によって入力されたテキストデータや、会議の参加者名や開催日時のデータ等、利用ログの日時データ、送信先ID等である。テキストデータからの特徴の抽出は、Transformer、topic model、Bag-of-Wordsなどの自然言語処理手法により行うことができる。数値解析部33は、自然言語処理部31から数値データを取得した場合に、数値データを解析して、スコア予測演算部35に構築されたスコア予測モデルに適用する演算用データとする。なお、数値データについては、自然言語処理部31で変換処理がなされることなく数値解析部33での処理に供されてよい。
【0056】
スコア予測演算部35は、演算用データを取得して、構築されているスコア予測モデルに適用して、メンタルスコアを求め、アラート情報生成部23に出力する。さらに、本例では、求めたメンタルスコアを集計部28にも出力して集計記憶部28a(
図2参照)にも記憶させている。スコア予測モデルは、被管理者の過去の利用情報を学習させて構築されたものである。ツールサーバ19からの被管理者の利用情報がスコア予測モデルに適用されることにより、スコア予測演算部35は学習を繰り返し、これにより予測モデルの構築を繰り返す。なお、アラート情報生成部23によりアラートが生成された被管理者に対してメンタル状態等を問い合わせるアンケートを行ってもよく、そのようにアンケートを行った場合には、アンケートに対する被管理者の回答を被管理者端末13からメッセージ処理ユニット24が回答情報として取得し、その回答情報をスコア予測演算部35においてメンタルスコアとともに学習させてもよい。
【0057】
課題予測演算部37の課題予測モデルは、履歴メンタルスコアと、履歴メンタルスコアを示していたときの被管理者が有していた課題である履歴課題との学習により構築されたものであり、複数の被管理者の各々の履歴メンタルスコア及び履歴課題を学習する。課題予測演算部37は、課題予測モデルにより、アラート情報が生成された被管理者が有する少なくともひとつの課題をアラート情報が生成されたときのメンタルスコアに基づいて特定する。特定した課題は、対応策予測演算部39に出力するとともに、本例では集計部28に出力して集計記憶部28aに記憶させている。集計記憶部28aに記憶された課題は履歴課題として、その後、学習されて課題予測モデルの再構築に用いられる。課題予測演算部37は前処理モジュール37aを有し、前処理モジュール37aは、課題予想モデルを構築するための学習と、課題の特定(予想)とのそれぞれにおいて、前処理を行う。前処理の詳細は別の図面を用いて後述する。
【0058】
対応策予測演算部39の対応策予測モデルは、履歴課題と、履歴課題を有していた被管理者について実施された過去の対応策である履歴対応策との学習により構築されたものであり、複数の被管理者の各々の履歴課題及び履歴対応策を学習する。対応策予測演算部39は、対応策予測モデルにより、アラート情報が生成された被管理者について実施する少なくともひとつの対応策を課題予測演算部37により特定された課題に基づいて特定する。特定した対応策は、メッセージ処理ユニット24に出力するとともに、本例では集計部28に出力して集計記憶部28aに記憶させている。集計記憶部28aに記憶された対応策は履歴対応策として、その後、学習されて対応策予測モデルの再構築に用いられる。対応策予測演算部39は前処理モジュール39aを有し、前処理モジュール39aは、対応策予想モデルを構築するための学習と、課題の特定(予想)とのそれぞれにおいて、前処理を行う。前処理の詳細は別の図面を用いて後述する。
【0059】
本例では、課題予測演算部37で特定した少なくともひとつの課題を、対応策予測演算部39に出力している。しかし、対応策予測演算部39へ出力する代わりに、メッセージ処理ユニット24に出力してもよい。すなわち、課題予測演算部37で特定した課題を課題の候補としてメッセージ処理ユニット24に出力し、当該課題の候補が被管理者が有する課題であるか否かを被管理者に確認するアンケートをメッセージ処理ユニット24の処理制御部24bで作成し、メッセージデータとして被管理者端末13に送信してもよい。この場合には、被管理者端末13からのアンケートに対する回答を示す回答情報、すなわち課題予測演算部37で特定した課題が被管理者が有する課題であるか否かを示す回答情報を処理制御部24bが取得する。そして、処理制御部24bは、取得した回答情報に示される課題を対応策予測演算部39に出力するとともに、集計部28に出力して、課題予測演算部37からの入力により集計記憶部28aに記憶されていた課題を書き換えて記憶する。対応策予測演算部39は、処理制御部24bから取得した課題に基づいて、対応策を特定する。なお、課題予測演算部37で特定した少なくともひとつの課題をメッセージ処理ユニット24に出力する場合には、被管理者が有する課題と、アラート情報が生成された被管理者に課題について問い合わせるアンケートデータとを関連付けて記憶するアンケート記憶部を備えてもよく、例えば集計部28とメッセージ記憶24aとの少なくともいずれか一方をアンケート記憶部として機能させることができる。アンケート記憶部が備えられる場合には、メッセージ処理ユニット24は、課題予測演算部37により特定された課題に関連付けられたアンケートデータを、アンケート記憶部から特定して、アラート情報が生成された被管理者が使用する被管理者端末13に送信してもよい。
【0060】
スコア予測演算部35と課題予測演算部37と対応策予測演算部39とには、流通しているソフトウェアを用いることができ、市販されているソフトウェア、オープンソースソフトウェア(OSS)でもよい。例えば、TensorFlow(Google社が中心となって開発しているOSSである)、PyTorch(Facebook社が中心となって開発しているOSSである)、Scikit-learn(コミュニティが中心となって開発しているOSSである)等が挙げられる。
【0061】
課題予測演算部37での学習及び課題の特定について、
図4及び
図5を参照しながら説明する。課題予測モデルは、前述のように履歴メンタルスコア及び履歴課題を前処理して学習することにより構築され、前処理は、履歴メンタルスコア及び履歴課題を、学習することができる数値データにする処理である。学習させる対象は、履歴メンタルスコア及び履歴課題のみでもよいが、課題がより的確なものとして特定される観点で、
図4に示すように、被管理者の過去の利用ログである履歴利用ログ、被管理者のプロフィールなどを含む被管理者情報を含むことが好ましい。課題の特定の際の前処理も同様に、学習の対象とされた履歴メンタルスコア、履歴課題、履歴利用ログ、被管理者情報について行う。
【0062】
例えば、
図5に示すように、メンタルスコアを予め設定した時間α毎に取得するものとする。取得されたメンタルスコアのうち直近(最新)のメンタルスコアが取得された時点を日時tとし、時間軸をさかのぼる順序でt-α、t-2α、t-3α、・・・とする。すなわち、日時t-α、t-2α、t-3α、・・・の各メンタルスコア、課題、利用ログは、履歴メンタルスコア、履歴課題、履歴利用ログである。日時t-αの履歴メンタルスコアは前回、t-2αの履歴メンタルスコアは前々回、t-3αはさらにその1回前に、それぞれ取得されたメンタルスコアである。そして日時tのメンタルスコアについてアラートが生成した場合を例にして以下説明する。課題予測モデルでは、日時tにおける課題を、それ以外の履歴から予測するモデルである。例えば、日時t、t-1α、t-2α、t-3α、・・・、t-Nα(ただし、Nは任意の自然数)の履歴メンタルスコア、履歴利用ログと、日時t-1α、t-2α、t-3α、・・・、t-Nαの履歴課題と、被管理者情報とを入力データとして、日時tの課題を出力する予測モデルである。
【0063】
学習の際は、各被管理者の過去のアラートが生成した日時tを基準にした履歴メンタルスコア、履歴課題、履歴利用ログ、被管理者情報のそれぞれを、前処理により数値化してデータ化(ベクトルユニットを生成)し、これら数値化された各データ(ベクトルユニット)を並べて統合させた入力データ(入力ベクトル)を、各被管理者の過去のアラートが生成実績毎に生成する。履歴メンタルスコアについては、各履歴メンタルスコアの分布を統計処理することにより、データ化された統計量を求める。例えば、t-3α、t-2α、t-α、tの各日時で取得されたメンタルスコアを、40.5、37.2、42.5、48.3とする。学習を行うための前処理は、これらの分布を求め、平均や分散等の手法により統計量(ベクトルユニット)を求める。
【0064】
履歴課題については、履歴課題毎にカウントし、正規化することでデータ化する。例えば、「成長機会の有無」が2回、「レジリエンス(立ち直る力)」が4回、「仕事のフィット度」が1回、履歴課題に含まれる場合には、これら各回数を度数とし、これらの個数の和(4+2+1)を1に置き換えて正規化し、正規化したデータ(ベクトルユニット)を求める。本例では各次元が各課題に対応したベクトルを生成しており、そのため、ベクトルは、課題の全数をn(nは自然数)個とすると、n次元で表される。出力としての課題も同様にn次元であるが、課題として出ていた次元には1を、出ていなかった次元には0を割り当てる。
【0065】
履歴利用ログについては、利用ログのうちの少なくともテキストデータ(例えば、コミュニケーションツールにおいて被管理者が入力したメッセージデータ)は、自然言語処理部31(
図3参照)により特徴を抽出して、数値化された特徴量とし、これら特徴量の分布を求めた(推定を含んでもよい)後、分布の特徴を抽出した特徴ベクトルをベクトルユニットとして生成する。分布の特徴ベクトルは、平均、分散、フィッシャーベクトルなどの公知の特徴ベクトル抽出手法により生成することができる。
【0066】
被管理者情報については、性別、職種、継続年数、休職経験等の各種別を数値化することによりベクトルユニットを求める。以上のようにして求めた複数のベクトルユニットを並べて統合させて、前述の入力データ(入力ベクトル)を生成する。このように、入力ベクトルはベクトルユニットを並べて統合されたベクトルである。
【0067】
また、課題の特定の際は、例えば、現在ある被管理者に対してアラートが発生し、その被管理者に対して課題を特定する場合には、現在を日時tとした履歴メンタルスコア、履歴課題、履歴利用ログ及び被管理者情報から学習の際と同様の前処理を同様に行い入力ベクトルを生成するとよい。
【0068】
課題予測モデルにおいては、各次元が各課題に対応したベクトルを出力し、各次元が課題に対するスコアを示す。そして、スコアが最も高いものからn(ただしnは自然数)個を課題として特定する。なお、特定する課題は少なくともひとつであり、複数を特定してもよく、本例でも複数の課題を特定している。
【0069】
対応策予測演算部39での学習及び対応策の特定について、
図6及び
図7を参照しながら説明する。対応策予測モデルは、前述のように履歴課題と履歴対応策とを前処理して学習することにより構築され、前処理は、履歴課題及び履歴対応策(本例では、
図6、
図7における対応策実施ログと対応策内容とが履歴対応策に相当)を、学習することができる数値データにする処理である。学習させる対象は、履歴課題及び履歴対応策のみでもよいが、対応策がより的確なものとして特定される観点で、
図6に示すように、履歴メンタルスコア、履歴利用ログ、被管理者情報を含むことが好ましい。対応策の特定の際の前処理も同様に、履歴課題、履歴対応策、履歴メンタルスコア、履歴利用ログ、被管理者情報について行う。
【0070】
対応策予測モデルでは、日時tにおける対応策を、それ以外の履歴から予測するモデルである。例えば、日時t、t-1α、t-2α、t-3α、・・・、t-Nαの履歴課題と、履歴メンタルスコアと、履歴利用ログと、日時t-1α、t-2α、t-3α、・・・、t-Nαの履歴対応策と、被管理者情報を入力データとして、日時tにおける対応策を出力する予測モデルである。
【0071】
学習の前処理は、課題予測モデルの構築のための学習と同様に、数値化してデータ化(ベクトルユニットを生成)し、これら数値化された各データ(ベクトルユニット)を統合させた入力データ(入力ベクトル)を生成する。履歴対応策については、履歴課題に対して効果があった履歴対応策について、当該履歴対応策の属性情報を数値化した対応策情報ベクトルの分布を求めた(推定を含んでもよい)後、分布の特徴を抽出した特徴ベクトルをベクトルユニットとして生成する。履歴対応策の数値化は、履歴対応策を特徴付ける要素(対応策の属性)の各々を次元として数値化することで行うことができる。分布の特徴ベクトルは、平均、分散、フィッシャーベクトルなどの公知の特徴ベクトル抽出手法により生成することができる。
【0072】
また、対応策の特定の際の前処理も同様に行うとよい。なお、この際、課題の前処理は、履歴課題と課題予測演算部37で特定された課題とを含めてカウントし、正規化することでデータ化を行い、ベクトルユニットを求める。
【0073】
対応策予測演算部39は、対応策予測モデルを用いた予測演算により出力(予測)された対応策情報ベクトルと、各対応策の対応策情報ベクトルとの距離を求め、距離が最も小さい、すなわち近い距離の対応策を特定する。なお、特定する対応策は少なくともひとつであり、距離の小さいものから順に複数抽出して、これら複数を特定してもよく、本例でも複数の対応策を特定している。
【0074】
上記構成の作用を説明する。被管理者が被管理者端末13を用いて業務ツールを利用すると、ツールサーバ19は、
図8に示すように、被管理者のログイン時刻などの利用ログと入力部により入力したテキストデータ等を取得し、利用情報記憶部19aに記憶する。なお、業務ツール毎に前述のユーザIDがある場合には、利用情報がユーザIDと関連付けられて記憶されてもよい(
図9,
図10参照)。ツールサーバ19は、また、被管理者IDと被管理者の利用情報と関係者IDとを予測演算ユニット22のスコア予測演算部35へ送信する。ツールサーバ19は、被管理者IDに加えて、業務ツールでのユーザIDを予測演算ユニット22へ送信してもよい。
【0075】
予測演算ユニット22のスコア予測演算部35は、被管理者IDと被管理者の利用情報と関係者IDとを取得すると、学習によって構築されたスコア予測モデルに利用情報を適用し、メンタルスコアを被管理者IDに対応させて求める(
図11参照)。予測演算ユニット22のスコア予測演算部35が業務ツールのユーザIDを取得した場合には、メンタルスコアをユーザIDに対応させて求めてもよい。求めたメンタルスコアは、被管理者IDとともにアラート情報生成部23に送られる。スコア予測モデルに適用する利用情報が、被管理者の入力により取得されたテキストデータの場合には、テキストデータに反映されている被管理者のメンタル面が予測モデルに適用されるから、メンタルスコアの精度がよい。
【0076】
一例として、コミュニケーションツールで入力するテキストの末尾が「しました!」や「しました!!!」のように「!」となっている場合が多い被管理者は、これらのデータが予測モデルの構築の際の学習データとなっている。この予測モデルに対して、当該被管理者が、同じコミュニケーションツールでのテキストの入力において、末尾が「しました。」「しました・・・」などのように「。」や「・・・」である利用情報を適用した場合には、メンタルスコアが閾値に近づくように増加した値となり、場合によっては閾値を超えた値として求められる。また、利用ログとして例えば受信したテキストに対してレスポンスを送信するまでの時間が数秒である被管理者は、それらのデータが予測モデルの構築の際の学習データとなっている。この予測モデルに対して、当該被管理者が、レスポンスを送信するまでの時間が3時間あるいは1日である利用情報を適用した場合には、同様に、メンタルスコアが閾値に近づくように増加した値となり、場合によっては閾値を超えた値として求められる。
【0077】
アラート情報生成部23は、予測演算ユニット22のスコア予測演算部35から被管理者IDとメンタルスコアとを受信すると、スコア閾値記憶部(図示無し)から読み出した閾値と取得したメンタルスコアとを比較する。取得したメンタルスコアが閾値を超えた場合には、アラート情報を、本例では予測演算ユニット22の課題予測演算部37と管理者端末14とに送信する。管理者が管理者端末14においてアラート情報を受信すると、被管理者について発生したメンタル状態のアラートが表示部に表示される。これにより、管理者は、被管理者のメンタル状態を把握することができるから、被管理者の業務態様や被管理者とのコミュニケーションの態様を検討して、被管理者をよりサポートすることができる。
【0078】
本例では予測演算ユニット22のスコア予測演算部35が互いに異なる複数の種類のメンタルスコアを求め、それらメンタルスコアのそれぞれについて、アラート情報生成部23が閾値を超えたか否かを判定し、閾値を超えた種別のメンタルスコアに基づいてアラート情報を発生するから、被管理者のメンタルリスクがより精緻に把握され、被管理者のメンタル状態に応じたサポートが的確になされる。
【0079】
予測演算ユニット22の課題予測演算部37は、アラート情報を取得すると、課題予測モデルにより、アラート情報に含まれる被管理者IDをもつ被管理者が有する課題を少なくともひとつ特定する。課題は、課題の種別に関連付けられており、課題の種別はメンタルスコアの種別に関連付けられている(
図12参照)。課題予測モデルは、履歴メンタルスコアと履歴課題との学習により構築されているから、アラートが生成している被管理者が有する課題は、的確に特定される。また、本例の課題予測モデルは、性別や職種などのプロフィールを含む被管理者情報等も履歴課題とともに学習している(
図13参照)から、特定される課題はより的確なものとなっている。そのため、被管理者のより的確なサポートに寄与する。
【0080】
特定された少なくともひとつの課題は予測演算ユニット22の対応策予測演算部39に出力され、対応策予測演算部39は当該少なくともひとつの課題が入力されると、対応策予測モデルにより、被管理者IDをもつ被管理者について実施する対応策を特定する。対応策予測モデルは、履歴課題及び履歴対応策(
図14、
図15参照)との学習により構築されており、上記のように特定された課題に基づいて対応策が特定されるから、特定される対応策は、課題を有する被管理者について実施するものとして的確なものとなる。さらに、本例では、履歴対応策(対応策実施ログ及び対応策内容)については、当該対応策を実施する前の履歴メンタルスコアと実施した後の履歴メンタルスコアとが対応策実施ログを構成する要素データとして含んでいる。そのため、各履歴対応策の効果を対応策予測モデルは学習しており、特定される対応策は被管理者について実施するものとしてより的確なものとなっている。なお、
図15における「属性1」、「属性2」、・・・の各々は、対応策を特徴付ける属性であり、例えばカウンセリングの場合におけるカウンセラの特徴などである。属性を用いて対応策を一般化することにより、類似する対応策が抽出されやすくなっている。対応策の詳細の例としては、以下のものがある。
(1)組織内サポート(マネージャなどの管理者や人事部門の者が実践することができるもの)の観点での例
・コミュニケーションのやり方の指南
・1on1(1対1)ミーティングのやり方の指南
(2)社外サポート(組織が提供しているサポートや組織が連携しているサービスから提示することができるもの)の観点での例
・産業医連携
・カウンセリング
・コーチング
・福利厚生サービス
(3)個人対応策(従業員が自身で行うことができるもの)の例
・認知行動療法
・ワークエンゲージメントやレジリエンス等を上げるための考え方の指南
・ストレスへの対処方法についての指南
【0081】
また、本例の対応策予測モデルは、性別や職種などのプロフィールを含む被管理者情報等も履歴課題とともに学習しているから、特定される対応策は被管理者が課題を解消あるいは軽減するためにさらに的確なものとなっている。その結果、被管理者のより的確なサポートに寄与する。
【0082】
予測演算ユニット22の対応策予測演算部39は、特定した対応策を示す対応策情報をメッセージ処理ユニット24に出力する。本例では、特定される対応策は、被管理者にリコメンド(提示)するものと管理者にリコメンドするものとに予め区別して設定されている。メッセージ処理ユニット24は、対応策予測演算部39から取得した対応策が被管理者にリコメンドするものと設定されている場合には、当該対応策を、被管理者端末13に表示することができるメッセージデータにして、被管理者端末13に送信するとともに集計部28に出力する。集計部28は、入力されたメッセージデータを、被管理者端末13に送信したメッセージデータとして被管理者IDに関連付けて集計記憶部28aに記憶するとともに、管理者端末14に送信する。一方、対応策が管理者にリコメンドするものと設定されている場合には、メッセージ処理ユニット24は当該対応策を、管理者端末14に表示することができるメッセージデータにして、集計部28に出力し、集計部28は集計記憶部28aに記憶するとともに管理者端末14に送信する。例えば、
図16に一例を示すように、管理者にリコメンドされる対応策は、「仕事のコントロールの課題を解消するアクション」というように、「仕事のコントロール」という課題を有している被管理者に対して、管理者が当該被管理者に実施するとよいと予測される候補が具体化されたものであり、これがメッセージデータとして管理者端末14に送信され、管理者に提示される。
【0083】
前述のように、課題予測演算部37で特定された課題について、対応策を特定する前に、被管理者にアンケートを実施した場合には、
図17に一例を示すように、管理者端末にアンケートを実施した結果を「サーベイを実施した結果」として、対応策とともにメッセージ処理ユニット24から管理者端末14に送信されて表示される。なお、
図17に示す例では、表示された「課題」に対応する対応策を管理者がみるためのボタンとして「アクションを見る」が表示されており、このボタンをクリックすることで、
図16に示す対応策が管理者端末14に表示されるようになっている。
【0084】
なお、管理者端末14の表示部には、
図18に示すように、被管理者としての従業員名と、従業員毎の各種データが表示されるようにてもよい。表示される画像G11は、管理者端末14に設けた画像生成部(図示無し)より生成してもよいし、支援サーバ15に設けた画像生成部(図示無し)で生成して、支援サーバ15から管理者端末14に、生成した画像データを送っても構わない。従業員毎の各種データとしては、
図18に示す一例では、メンタルスコアと、業務関連指標データと、対人関係指標データとしている。このように、メンタルスコアが被管理者の一覧表示に表示されるから、管理者はメンタルスコアに問題有る被管理者を迅速に見つけられる。
【0085】
業務関連指標データは、業務に関連する指標のデータであり、例えば業務時間または業務負荷に関連する指標のデータである。業務関連指標データとしては、利用ログの集計結果としての業務ツール解析結果、アンケートに対する被管理者の回答結果が含まれている。また、対人関連指標データは、コミュニケーションまたは人間関係に関する指標のデータである。対人関連指標データとしては、業務ツール解析結果やアンケートに対する回答結果が含まれている。
【0086】
また、
図18に示すように一覧表示された被管理者の中から特定のひとりの表示部分を選択することにより、
図17に示すように、選択された被管理者の課題等を表示することができるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0087】
11 業務支援システム
13,13A,13B,13C 被管理者端末
14,14A,14B 管理者端末
15 支援サーバ
18 通信ネットワーク
19 ツールサーバ
22 予測演算ユニット
23 アラート情報発生部
24 メッセージ処理ユニット
24a メッセージ記憶部
24b 処理制御部
27 特定部
28 集計部
31 自然言語処理部
33 数値解析部
35 予測演算部
37 課題予測演算部
39 対応策予測演算部