(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023049874
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】運搬用台車
(51)【国際特許分類】
B62B 3/02 20060101AFI20230403BHJP
【FI】
B62B3/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021159877
(22)【出願日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】520427815
【氏名又は名称】トヨタモビリティパーツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140671
【弁理士】
【氏名又は名称】大矢 正代
(72)【発明者】
【氏名】松田 雄吾
【テーマコード(参考)】
3D050
【Fターム(参考)】
3D050AA41
3D050BB06
3D050BB29
3D050EE08
3D050EE15
3D050EE18
3D050HH02
(57)【要約】
【課題】作業者の負担を軽減させると共にコストの増加を抑制させることが可能な運搬用台車を提供する。
【解決手段】スキッド梱包物2を運搬するための運搬用台車1に、一対のフォーク部11の前端及び後端に夫々取付けられているフォーク前車輪12及びフォーク後車輪13を有する台車本体10と、一対の縦フレーム21の上端及び下端に夫々取付けられているハンドルフレーム22及びハンドル車輪23を有するハンドル本体20と、フォーク前車輪12及びフォーク後車輪13が床面に接する第一姿勢と、フォーク前車輪12及びハンドル車輪23が床面に接すると共にフォーク後車輪13が上方へ移動して後端側が高くなるように一対のフォーク部が傾斜している第二姿勢との間で、台車本体10の後部にハンドル本体20を回動可能に取付けているヒンジ機構30と、第二姿勢の時に回動不能にロック可能なロック機構40と、を具備させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキッド梱包物を運搬するための運搬用台車であって、
前後に延出していると共に左右に離隔して設けられている一対のフォーク部、一対の該フォーク部の前端に夫々取付けられているフォーク前車輪、一対の前記フォーク部の後端に夫々取付けられているフォーク後車輪、を有している台車本体と、
上下に延出していると共に左右に離隔して設けられている一対の縦フレーム、一対の該縦フレームの上端同士を繋ぐように左右に延出しているハンドルフレーム、一対の前記縦フレームの下端に夫々取付けられているハンドル車輪、を有しているハンドル本体と、
前記フォーク前車輪及び前記フォーク後車輪が床面に接する第一姿勢と、前記フォーク前車輪及び前記ハンドル車輪が床面に接すると共に前記フォーク後車輪が床面よりも上方へ移動して後端側が高くなるように一対の前記フォーク部が傾斜している第二姿勢との間で、前記台車本体の後部に前記ハンドル本体を左右方向の軸周りに回動可能に取付けているヒンジ機構と、
該ヒンジ機構により前記ハンドル本体が前記第二姿勢の時に前記台車本体に対して回動不能にロック可能なロック機構と
を具備していることを特徴とする運搬用台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキッド梱包物を運搬するための運搬用台車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
運搬する荷物(梱包物)の重量が大きくなると、作業者による重筋作業の負担が増加し、重筋作業が20kg以上になると一人で作業することが難しくなるため、一つの荷物を複数の作業者により持上げて運搬するようにしていた。そのため、重量の大きい荷物を運搬する時には、補助の作業者を確保する必要があった。
【0003】
これに対して、下面に下駄のようなスキッドが設けられている梱包物(スキッド梱包物)を運搬する運搬用台車として、梱包物の下に挿入されると共に昇降可能に設けられている一対のフォークを備えたものが提案されている(特許文献1)。この特許文献1の技術によれば、一人の作業者でも重量の大きい荷物を運搬することが可能である。
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、一対のフォークを昇降させるための昇降機構として手動式の巻き上げ機や油圧シリンダを備えているため、運搬用台車にかかるコストが増加する問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、上記の実情に鑑み、作業者の負担を軽減させると共にコストの増加を抑制させることが可能な運搬用台車の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係る運搬用台車は、
「スキッド梱包物を運搬するための運搬用台車であって、
前後に延出していると共に左右に離隔して設けられている一対のフォーク部、一対の該フォーク部の前端に夫々取付けられているフォーク前車輪、一対の前記フォーク部の後端に夫々取付けられているフォーク後車輪、を有している台車本体と、
上下に延出していると共に左右に離隔して設けられている一対の縦フレーム、一対の該縦フレームの上端同士を繋ぐように左右に延出しているハンドルフレーム、一対の前記縦フレームの下端に夫々取付けられているハンドル車輪、を有しているハンドル本体と、
前記フォーク前車輪及び前記フォーク後車輪が床面に接する第一姿勢と、前記フォーク前車輪及び前記ハンドル車輪が床面に接すると共に前記フォーク後車輪が床面よりも上方へ移動して後端側が高くなるように一対の前記フォーク部が傾斜している第二姿勢との間で、前記台車本体の後部に前記ハンドル本体を左右方向の軸周りに回動可能に取付けているヒンジ機構と、
該ヒンジ機構により前記ハンドル本体が前記第二姿勢の時に前記台車本体に対して回動不能にロック可能なロック機構と」
を具備していることを特徴とする。
【0008】
本構成の運搬用台車は、ヒンジ機構により台車本体の後部において左右方向の軸周りに回動可能に取付けられているハンドル本体を、第一姿勢の状態にすると、一対のフォーク部の前後両端に取付けられているフォーク前車輪とフォーク後車輪とが共に床面に接するため、一対のフォーク部が床面に対して可及的に接近している状態となり、一対のフォーク部をスキッド梱包物の下に挿入することが可能となる。そして、一対のフォーク部をスキッド梱包物の下に挿入した状態で、台車本体の後部に取付けられているハンドル本体を第二姿勢へ回動させる。第二姿勢の状態では、フォーク前車輪とハンドル車輪とが床面に接していると共に、フォーク後車輪が床面から上方へ移動して後端側が高くなるように一対のフォーク部が傾斜している。これにより、スキッド梱包物が一対のフォーク部により斜めに持ち上げられて床面から離れた状態となる。その後、ロック機構により回動不能にロックすることで、第二姿勢の状態を維持することができる。
【0009】
なお、第二姿勢の状態からスキッド梱包物を床面に下ろす場合は、上記とは逆の動作をして第一姿勢へ回動させることにより、床面に下ろすことができる。
【0010】
このように、本構成によれば、第二姿勢の状態にすると、前端側ではフォーク前車輪が床面に接し、後端側ではハンドル車輪が床面に接しているため、作業者がハンドル本体のハンドルフレームを押したり引いたりすることによりそれら車輪が回転し、一対のフォーク部に載置されているスキッド梱包物を楽に運搬することができ、作業者の負担を軽減させることができる。また、手動式の巻き上げ機や油圧シリンダを備えていないため、運搬用台車にかかるコストの増加を抑制させることができる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明の効果として、作業者の負担を軽減させると共にコストの増加を抑制させることが可能な運搬用台車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態である運搬用台車を第二姿勢の状態で示す斜視図である。
【
図3】(a)はロック機構により回動不能にロックしている状態を示す説明図であり、(b)はロック機構によるロックを解除して回動可能な状態を示す説明図である。
【
図4】
図1の運搬用台車を第一姿勢の状態で示す右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態である運搬用台車1について、
図1乃至
図4を参照して詳細に説明する。なお、
図2及び
図4では、後述する伝達ワイヤ49を省略して示している。本実施形態の運搬用台車1は、スキッド梱包物2を運搬するためのものである。スキッド梱包物2とは、
図1等において二点鎖線で示すように、梱包物の下に角材からなる複数(ここでは二つ)のスキッド2aが下駄のように間隔をあけて取付けられているものであり、スキッド2aにより梱包物が床面Wよりも上方に浮いているものである。
【0014】
本実施形態の運搬用台車1は、スキッド梱包物2を載置可能な台車本体10と、台車本体10を押したり引いたりするためのハンドル本体20と、台車本体10の後部にハンドル本体20を左右方向の軸周りに回動可能に取付けているヒンジ機構30と、ハンドル本体20を台車本体10に対して回動不能にロックするロック機構40と、を備えている。
【0015】
台車本体10は、前後に延出していると共に左右に離隔して設けられている一対のフォーク部11と、一対のフォーク部11の前端に夫々取付けられているフォーク前車輪12と、一対のフォーク部11の後端に夫々取付けられているフォーク後車輪13と、を有している。
【0016】
フォーク部11は、前後に延出している本体フレーム11aと、本体フレーム11aの上部に取付けられており上面が一定の幅で前後に長く平坦な載置面部11bと、を有している。フォーク前車輪12は、フォーク部11の前端よりも前方へ突出するように取付けられている。フォーク前車輪12は、一つのフォーク部11に対して左右に並べて二つ取付けられている。フォーク後車輪13は、フォーク部11の後端よりも後方へ突出するように取付けられている。フォーク後車輪13は、一つのフォーク部11に対して一つ取付けられている。
【0017】
フォーク前車輪12及びフォーク後車輪13は、車輪の直径が同じである。また、フォーク前車輪12及びフォーク後車輪13は、いわゆる固定キャスターであり、回転軸が左右方向へ延びるようにフォーク部11に取付けられている。
【0018】
また、台車本体10は、一対のフォーク部11の後端付近同士を連結している第一連結フレーム14と、一対のフォーク部11の後端付近から夫々上方へ延出している一対の立フレーム15と、一対の立フレーム15の上端同士を連結している第二連結フレーム16と、を有している。
【0019】
台車本体10は、フォーク前車輪12及びフォーク後車輪13を床面Wに接するようにした時に、それらの車輪よりも載置面部11bの上面が高くなるように形成されている(
図4を参照)。
【0020】
ハンドル本体20は、上下に延出していると共に左右に離隔して設けられている一対の縦フレーム21と、一対の縦フレーム21の上端同士を繋ぐように左右に延出しているハンドルフレーム22と、一対の縦フレーム21の下端に夫々取付けられているハンドル車輪23と、を有している。
【0021】
また、ハンドル本体20は、一対の縦フレーム21同士を繋いでおり上下に離隔して設けられている複数の横フレーム24と、最も下方に設けられている横フレーム24の左右方向中央に取付けられている平板状の踏板25と、を有している。
【0022】
一対の縦フレーム21は、図示するように、上下方向の途中(ここでは、全長に対して下から約3/5の部位)において、上端が後方へ移動するようにく字状に折れ曲がっている。詳述すると、縦フレーム21は、折れ曲がっている部位を境にして下部側を垂直にした時に、上部側が垂直線に対して45度の角度で後方へ折れ曲がっている。縦フレーム21は、全長が立フレーム15の長さの4~5倍である。また、一対の縦フレーム21の左右の間隔は、一対のフォーク部11の間に挿入可能な間隔である。
【0023】
ハンドルフレーム22は、一対の縦フレーム21の上端同士を繋いでいる横フレーム24(後述する第四横フレーム24d)に取付けられている。このハンドルフレーム22は、一対の縦フレーム21の間隔よりも長く、左右両端が縦フレーム21よりも左右方向の外方へ延出している。
【0024】
ハンドル車輪23は、いわゆる自在キャスターである。ハンドル車輪23の車輪の直径は、フォーク前車輪12及びフォーク後車輪13の車輪の直径よりも大きい(ここでは、2倍の直径)。なお、本実施形態では、ハンドル車輪23にストッパを備えていないが、ストッパ付きとしても良い。
【0025】
複数の横フレーム24は、一対の縦フレーム21の下端同士を繋いでいる第一横フレーム24aと、一対の縦フレーム21の途中における折れ曲がっている部位の下方付近同士を繋いでいる第二横フレーム24bと、一対の縦フレーム21の途中における折れ曲がっている部位の上方付近同士を繋いでいる第三横フレーム24cと、一対の縦フレーム21の上端同士を繋いでいる第四横フレーム24dと、から構成されている。
【0026】
第一横フレーム24aと第二横フレーム24bとの上下の間隔は、第一連結フレーム14と第二連結フレーム16との上下の間隔と略同じである。
【0027】
踏板25は、左右が一定の幅で前後に長い長方形の平板状である。踏板25は、第一横フレーム24aと同じ高さの部位から、第一横フレーム24aよりも後方且つ下方へ斜めに延出するように、第一横フレーム24aに取付けられている。
【0028】
ヒンジ機構30は、左右方向に延出している回動軸31と、台車本体10の第二連結フレーム16に取付けられており回動軸31を回動可能に支持している台車側軸受部32と、ハンドル本体20の第二横フレーム24bに取付けられており回動軸31を回動可能に支持しているハンドル側軸受部33と、を備えている。ヒンジ機構30は、左右に離隔して二つ(一対)設けられている。一対のヒンジ機構30は、一対の台車側軸受部32の間に一対のハンドル側軸受部33が配置されている。
【0029】
回動軸31は、第二連結フレーム16よりも上方且つ後方の部位に位置するように設けられていると共に、第二横フレーム24bよりも上方且つ前方の部位に位置するように設けられている。つまり、ヒンジ機構30は、台車本体10の第一連結フレーム14及び第二連結フレーム16よりも後方にハンドル本体20が位置できるように、台車本体10にハンドル本体20を回動可能に取付けている。
【0030】
このヒンジ機構30により、ハンドル本体20は、台車本体10に対して、縦フレーム21が第一連結フレーム14に当接する位置(後述する第一姿勢)と、縦フレーム21が第二連結フレーム16に当接する位置との間で、回動可能とされている。
【0031】
ロック機構40は、第一連結フレーム14から上方へ延出していると共に左右に離隔して設けられている一対の支持フレーム41と、一対の支持フレーム41の上端同士を繋いでおり左右に延出している円筒状のロックバー42と、を備えている。
【0032】
また、ロック機構40は、下端が第一横フレーム24aに取付けられていると共に上端が第二横フレーム24bに取付けられており上下に延出しているレールフレーム43と、レールフレーム43により上下方向へスライド可能に取付けられているスライダ44と、スライダ44に取付けられておりロックバー42に対して上方から係止可能な平板状のロックプレート45と、を更に備えている。
【0033】
ロックプレート45は、板面を左右方向へ向けてスライダ44に取付けられている。ロックプレート45は、下辺から上方へ向かって半円弧状に切欠かれるように凹んでいる係止溝45aと、下辺における係止溝45aの前端側から前方且つ上方へ傾斜している案内部45bと、を有している。係止溝45aは、円弧状の径が円筒状のロックバー42の外径と同じであり、ロックバー42を挿入可能である。案内部45bは、ロックバー42に対して後方からロックプレート45を接近させて当接させると、その傾斜の作用によりロックプレート45を上方へスライドさせることができるものである。
【0034】
ロックプレート45は、スライダ44及びレールフレーム43により、係止溝45aにロックバー42が挿入されて係止されるロック位置と、ロック位置よりも上方でロックバー42に係止溝45aが係止されない解除位置と、の間でスライド可能に設けられている。
【0035】
また、ロック機構40は、スライダ44を下方へ付勢しているロックバネ46と、レールフレーム43に取付けられておりスライダ44と当接することでロックプレート45がロック位置よりも下方へスライドすることを阻止するストッパ47と、ハンドルフレーム22に取付けられており操作することでロックプレート45をロックバネ46の付勢力に抗して解除位置へスライドさせるためのロック解除レバー48と、ロック解除レバー48の操作をスライダ44に伝達させるための伝達ワイヤ49と、を備えている。
【0036】
ロックバネ46は、下端が第一横フレーム24aに取付けられており、上端がスライダ44に取付けられている。ロック解除レバー48は、
図1に示すように、ハンドルフレーム22における一対の縦フレーム21の間よりも外側(ここでは、左外側)の部位に取付けられている。このロック解除レバー48は、自転車のブレーキレバーと同様の構成である。
【0037】
伝達ワイヤ49は、チューブ状のアウターケーブル49aと、アウターケーブル49a内を摺動可能に挿入されているインナーケーブル49bと、で構成されている。伝達ワイヤ49のインナーケーブル49bは、一端がロック解除レバー48側に取付けられており、反対側の他端が上方からスライダ44に取付けられている。これにより、ロック解除レバー48を操作する、つまり、ハンドルフレーム22へ接近するように、ハンドルフレーム22と一緒にロック解除レバー48を握ると、伝達ワイヤ49のインナーケーブル49bがロック解除レバー48側へ引っ張られ、スライダ44を上方へ引っ張ることができる。
【0038】
この運搬用台車1は、回動軸31を中心にしてフォーク後車輪13が内接する円の半径よりも、ハンドル車輪23が内接する円の半径の方が大きい。これにより、
図2に示すように、ハンドル本体20の縦フレーム21を台車本体10の第一連結フレーム14に当接させて、縦フレーム21の下部側を垂直にした状態で床面Wに載置すると、フォーク前車輪12及びハンドル車輪23が床面Wに接し、フォーク後車輪13が床面Wよりも上方に移動して接しておらず後端側が高くなるように一対のフォーク部11が傾斜している状態となる。本実施形態では、この状態を第二姿勢としている。
【0039】
一方、縦フレーム21の下部側が垂直な状態から、回動軸31よりもハンドル車輪23が後方へ移動するようにハンドル本体20を回動させる(
図2では反時計回りの方向に回動させる)と、ハンドル車輪23の後方への移動に伴って回動軸31が下方へ移動する。この回動軸31が下方へ移動すると、フォーク後車輪13も下方へ移動する。この際に、床面Wに接しているフォーク前車輪12が回転し、フォーク前車輪12(一対のフォーク部11の前端側)が回動軸31に対して相対的に前方へ移動する。そして、ハンドル本体20がある程度(ここでは、約45度の角度)回動すると、フォーク後車輪13が床面Wに接し、フォーク前車輪12とフォーク後車輪13とが床面Wに接している状態となる(
図4を参照)。この状態では、一対のフォーク部11が床面Wに対して平行となる。また。縦フレーム21の上部側が、第二連結フレーム16の上方において略垂直な状態となる。
【0040】
更にハンドル本体20を回動させると、ハンドル車輪23が床面Wから離れて上方へ移動し、縦フレーム21が第二連結フレーム16に当接してこれ以上の回動が規制される(
図4において一点鎖線で示す状態)。本実施形態では、フォーク前車輪12及びフォーク後車輪13が床面Wに接している状態を第一姿勢としている。このように、本実施形態の運搬用台車1は、ハンドル本体20を回動させることで、第二姿勢と第一姿勢との間で変形させることができる。
【0041】
本実施形態では、本体フレーム11aや縦フレーム21のようなフレームと称している部材は、アルミニウム合金からなる中空の押出型材により形成されている。これにより、運搬用台車1が軽量化されている。
【0042】
因みに、本実施形態の運搬用台車1は、フォーク部11の長さが600~800mm、一対のフォーク部11の間隔が350~600mm、フォーク前車輪12及びフォーク後車輪13の車輪の直径が30~75mm、ハンドル車輪23の車輪の直径が75~150mm、全高が800~1000mm、としている。
【0043】
続いて、本実施形態の運搬用台車1の使用方法について説明する。床面Wに載置されているスキッド梱包物2を運搬する場合、運搬用台車1を第一姿勢の状態にする。運搬用台車1が第二姿勢の状態の場合は、ロック解除レバー48をハンドルフレーム22と一緒に握って、伝達ワイヤ49のインナーケーブル49bを介してロックプレート45を、ロックバネ46の付勢力に抗してロック位置から上方の解除位置へスライドさせる。そして、ハンドル車輪23が後方へ移動するように、ハンドル本体20を回動軸31を中心に回動させて、第二姿勢から第一姿勢へ変形させる。
【0044】
第一姿勢の状態では、フォーク前車輪12及びフォーク後車輪13が床面Wに接しており、フォーク部11が床面Wに対して可及的に接近している状態となっている。この状態で、ハンドルフレーム22を押したり引いたりすると、フォーク前車輪12及びフォーク後車輪13が回転して運搬用台車1をスムーズに移動させることができるため、運搬用台車1を移動させて一対のフォーク部11をスキッド梱包物2の下に挿入する(
図4を参照)。
【0045】
そして、一対のフォーク部11をスキッド梱包物2の下に挿入した状態で、台車本体10の後部に取付けられているハンドル本体20を第二姿勢へ回動させる。詳述すると、ハンドルフレーム22を後方へ引くようにしてハンドル本体20を、回動軸31を中心に第二姿勢の方向(
図4において時計回りの方向)へ回動させる。これにより、ハンドル車輪23が第一連結フレーム14へ接近するに従って、一対のフォーク部11の後端側(フォーク後車輪13)が上方へ移動することとなり、後端側が高くなるように一対のフォーク部11が傾斜することとなる。
【0046】
一対のフォーク部11が傾斜することにより、一対のフォーク部11が下方からスキッド梱包物2を押し上げ、スキッド梱包物2が載置面部11bに載置されると共に、斜めに持ち上げられて床面Wから離れた状態となる。この際に、踏板25を踏みながらハンドル本体20を回動させると、踏板25が支点のように作用し、テコの原理によって弱い力でハンドルフレーム22を後方へ引いても、フォーク部11の後端側を強い力で上方へ移動させることができる。つまり、弱い力でも重いスキッド梱包物2を持ち上げることができる。
【0047】
また、この際に、ハンドル本体20の回動に伴ってロック機構40のロックプレート45がロックバー42へ接近する。そして、ロックプレート45の案内部45bがロックバー42に当接すると、ロックプレート45がロックバネ46の付勢力に抗してロック位置から上方の解除位置へスライドする。更に、ハンドル本体20が回動して、ロックバー42と当接している部位が案内部45bから係止溝45a側へ移動すると、ロックバネ46の付勢力によりロックプレート45がロック位置へスライドし、係止溝45aにロックバー42が挿入・係止されてハンドル本体20が回動不能な状態となる。これにより、ハンドル本体20が第二姿勢でロックされた状態となり、第二姿勢の状態を維持することができ、第一姿勢の方向へ勝手に回動することはない。
【0048】
なお、ハンドル本体20を第二姿勢へ回動させる際に、ロック解除レバー48を握ってロックプレート45を解除位置へスライドさせた状態で、ハンドル本体20を回動させるようにしても良い。この場合、一対の縦フレーム21が第一連結フレーム14に当接したら、ロック解除レバー48を放すことでロックバネ46の付勢力によりロックプレート45をロック位置へスライドさせ、ハンドル本体20を第二姿勢でロックする。
【0049】
一方、第二姿勢の状態からスキッド梱包物2を床面Wに下ろす場合は、ロック解除レバー48を握ってロックプレート45によるロックを解除した上で、上記とは逆の動作をして第一姿勢へ回動させることにより、床面Wに下ろすことができる。
【0050】
このように、本実施形態の運搬用台車1によれば、第二姿勢の状態にすると、前端側ではフォーク前車輪12が床面Wに接し、後端側ではハンドル車輪23が床面Wに接しているため、作業者がハンドル本体20のハンドルフレーム22を押したり引いたりすることによりそれら車輪が回転し、一対のフォーク部11に載置されているスキッド梱包物2を楽に運搬することができ、作業者の負担を軽減させることができる。
【0051】
また、本実施形態の運搬用台車1によれば、手動式の巻き上げ機や油圧シリンダを備えていないため、運搬用台車1にかかるコストの増加を抑制させることができる。
【0052】
更に、本実施形態の運搬用台車1によれば、ハンドル本体20の一対の縦フレーム21を、く字状に折れ曲がった形態としているため、第二姿勢と第一姿勢との間の回動角度を小さくすることができる。従って、スキッド梱包物2を積み下ろしする際に、ハンドル本体20を大きく回動させる必要はないため、作業者が立ったままでも積み下ろしすることができ、作業者の負担を軽減させることができる。
【0053】
また、本実施形態の運搬用台車1によれば、一対のフォーク部11の左右両外側には上方へ立ち上がっているような部材を設けていないため、左右の幅の広いスキッド梱包物2も運搬することができる。
【0054】
更に、本実施形態の運搬用台車1によれば、第二姿勢の時に床面Wに接しているフォーク前車輪12を、一つのフォーク部11に二つずつ取付けているため、フォーク部11の前端側における耐荷重性が高められており、重いスキッド梱包物2にも対応することができる。
【0055】
また、本実施形態の運搬用台車1によれば、ハンドル車輪23を自在キャスターとしているため、運搬用台車1の取り回しを良くすることができる。
【0056】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0057】
例えば、上記の実施形態では、ロック機構40として、第二姿勢の時に回動不能にロックするものを示したが、これに限定するものではなく、第一姿勢の時にも回動不能にロックできるようにしても良い。これにより、一対のフォーク部11をスキッド梱包物2の下に挿入したり抜いたりするために運搬用台車1を移動させる時に、ハンドル本体20の無用な回動を防止することができ、作業性を高めることができる。
【符号の説明】
【0058】
1 運搬用台車
2 スキッド梱包物
10 台車本体
11 フォーク部
12 フォーク前車輪
13 フォーク後車輪
20 ハンドル本体
21 縦フレーム
22 ハンドルフレーム
23 ハンドル車輪
30 ヒンジ機構
40 ロック機構