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特開2023-499加飾シート、シートセット、及び、加飾シートの形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023000499
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】加飾シート、シートセット、及び、加飾シートの形成方法
(51)【国際特許分類】
   A63F 1/02 20060101AFI20221222BHJP
   B32B 3/14 20060101ALI20221222BHJP
   B32B 33/00 20060101ALI20221222BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
A63F1/02 M
B32B3/14
B32B33/00
B32B15/08 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021101359
(22)【出願日】2021-06-18
(71)【出願人】
【識別番号】314001542
【氏名又は名称】日本カードプロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 裕之
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AB01E
4F100AB33E
4F100AK07A
4F100AK15A
4F100AK42A
4F100AT00A
4F100BA05
4F100DC21B
4F100DC21C
4F100EC182
4F100EH46D
4F100EH46E
4F100EJ65D
4F100EJ65E
4F100GB84
4F100HB00B
4F100HB00C
4F100HB31B
4F100HB31C
4F100HB31E
4F100JB14B
4F100JB14C
4F100JB14D
4F100JB14E
4F100JL10B
4F100JL10C
4F100JN01A
4F100JN02E
4F100JN24E
(57)【要約】
【課題】透視部が設けられた第1図柄及び第2図柄の視認性の良い加飾シート等を提供する。
【解決手段】加飾シート20は、表側から視認される第1図柄Z1と裏側から視認される第2図柄Z2とにより加飾されている。第1図柄Z1は、「A」~「K」のうちのいずれかと、ダイヤ、ハート、スペード、クラブのうちのいずれかと、の組み合わせを含む図柄か、ジョーカーの図柄である。従って、第1図柄Z1は、加飾シート20ごとに異なる非共通図柄である。第2図柄Z2は、加飾シート20間で共通の共通図柄である。加飾シート20は、基材となる透明シート21と、透明シート21の表面21Aに形成され、それぞれが第1図柄Z1の要素となる複数の第1図柄要素22と、透明シート21の裏面21Bに形成され、それぞれが第2図柄Z2の要素となる複数の第2図柄要素23と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面の側から視認される第1図柄と、前記第1面と反対側の第2面の側から視認される第2図柄とにより加飾された加飾シートであって、
透明シートと、
互いに間隔を空けて前記透明シートの前記第1面に形成され、全体で前記第1図柄を表す複数の第1図柄要素と、
互いに間隔を空けて前記透明シートの前記第2面に形成され、全体で前記第2図柄を表す複数の第2図柄要素と、を備え、
前記複数の第1図柄要素と前記複数の第2図柄要素とが、前記透明シートの厚み方向から見てそれぞれ互いに重なり、
前記複数の第1図柄要素の間の第1領域と前記複数の第2図柄要素の間の第2領域とが、前記厚み方向から見て前記第1図柄及び前記第2図柄の中に設けられユーザにより前記透明シートを介して透視される透視部を構成している、
加飾シート。
【請求項2】
前記複数の第1図柄要素のそれぞれは、前記第1図柄を構成する第1着色層を有し、
前記複数の第2図柄要素のそれぞれは、前記第2図柄を構成する第2着色層と、前記第2着色層と前記透明シートとの間に位置する遮光層と、を有する、
請求項1に記載の加飾シート。
【請求項3】
前記遮光層は、金属製で金属光沢を有する、
請求項2に記載の加飾シート。
【請求項4】
前記複数の第1図柄要素のそれぞれは、前記第1着色層と前記透明シートとの間に前記第1着色層の下地となる第1下地層を有し、
前記複数の第2図柄要素のそれぞれは、前記第2着色層と前記遮光層との間に前記第2着色層の下地となる第2下地層を有する、
請求項2又は3に記載の加飾シート。
【請求項5】
前記第2面の側から見て、前記複数の第2図柄要素のうちの少なくとも一部の第2図柄要素の前記遮光層は、当該第2図柄要素に重なる前記第1図柄要素の前記第1着色層よりも大きく、前記第1着色層の全体を覆っている、
請求項2から4のいずれか1項に記載の加飾シート。
【請求項6】
それぞれが請求項5に記載の加飾シートからなる複数のシートを備えるシートセットであって、
前記第1図柄は、前記複数のシートのうちの少なくとも一部のシート同士で異なる非共通図柄である、
シートセット。
【請求項7】
前記第2図柄は、前記複数のシート間で共通の共通図柄である、
請求項6に記載のシートセット。
【請求項8】
請求項2から7のいずれかに記載の加飾シートの形成方法であって、
前記透明シートに前記遮光層をコールドフォイル印刷により形成するステップを有する、
加飾シートの形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランプカード等の加飾シート、トランプ等のシートセット、及び、加飾シートの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トランプカードとして、特許文献1には、透明シート(1)の裏面に、互いに間隔を空けて配置された複数の積層着色層(2)を設けた加飾シートが開示されている(括弧書きは、特許文献1で付された符号を示す)。複数の積層着色層それぞれは、数字などを含み表側から視認される第1図柄を表す第1着色層(3)、隠蔽層(4)、及び、加飾シート間で共通で裏側から視認される第2図柄を表す第2着色層(5)を備える。さらに、この加飾シートには、積層着色層の間、つまりシートの厚み方向から見て第1図柄及び第2図柄の中に、ユーザにより透視される透視部(8)が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平5-46786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1が開示する加飾シートでは、表側の第1図柄が透明シートを介してユーザに視認されるため、この透明シートにより第1図柄の視認性が悪いことがある。
【0005】
本発明は、上記点に鑑みてなされたものであり、透視部が設けられた第1図柄及び第2図柄の視認性の良い加飾シート、シートセット、及び、加飾シートの形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る加飾シートは、第1面の側から視認される第1図柄と、前記第1面と反対側の第2面の側から視認される第2図柄とにより加飾された加飾シートであって、透明シートと、互いに間隔を空けて前記透明シートの前記第1面に形成され、全体で前記第1図柄を表す複数の第1図柄要素と、互いに間隔を空けて前記透明シートの前記第2面に形成され、全体で前記第2図柄を表す複数の第2図柄要素と、を備え、前記複数の第1図柄要素と前記複数の第2図柄要素とが、前記透明シートの厚み方向から見てそれぞれ互いに重なり、前記複数の第1図柄要素の間の第1領域と前記複数の第2図柄要素の間の第2領域とが、前記厚み方向から見て前記第1図柄及び前記第2図柄の中に設けられユーザにより前記透明シートを介して透視される透視部を構成している。
【0007】
前記複数の第1図柄要素のそれぞれは、前記第1図柄を構成する第1着色層を有し、前記複数の第2図柄要素のそれぞれは、前記第2図柄を構成する第2着色層と、前記第2印刷層と前記透明シートとの間に位置する金属製の遮光層と、を有する、ようにしてもよい。
【0008】
前記遮光層は、金属製で金属光沢を有する、ようにしてもよい。
【0009】
前記複数の第1図柄要素のそれぞれは、前記第1着色層と前記透明シートとの間に前記第1印刷層の下地となる第1下地層を有し、前記複数の第2図柄要素のそれぞれは、前記第2着色層と前記遮光層との間に前記第2印刷層の下地となる第2下地層を有する、ようにしてもよい。
【0010】
前記第2面の側から見て、前記複数の第2図柄要素のうちの少なくとも一部の第2図柄要素の前記遮光層は、当該第2図柄要素に重なる前記第1図柄要素の前記第1着色層よりも大きく、前記第1着色層全体を覆っている、ようにしてもよい。
【0011】
本発明に係るシートセットは、それぞれが上記加飾シートからなる複数のシートを備えるシートセットであって、前記第1図柄は、前記複数のシートのうちの少なくとも一部のシート同士で異なる非共通図柄である。
【0012】
上記シートセットにおいて、前記第2図柄は、前記複数のシート間で共通の共通図柄である、ようにしてもよい。
【0013】
本発明に係る加飾シートの形成方法は、上記加飾シートの形成方法であって、前記透明シートに前記遮光層をコールドフォイル印刷により形成するステップを有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、第1図柄を表す第1図柄要素と第2図柄を表す第2図柄要素とが透明シートの両面にそれぞれ形成されているので、透視部が設けられた第1図柄及び第2図柄が透明シートを介して視認されないので、第1図柄及び第2図柄の視認性が良い。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るシートセットの構成図である。
図2図2は、図1の加飾シートを表側から見た平面図である。
図3図3は、図1の加飾シートを裏側から見た底面図である。
図4図4は、図2のA-A断面図である。
図5図5は、第2図柄要素を裏側から見た図であり、第1図柄要素(特に着色層)と第2図柄要素の遮光層との位置関係を示す図である。
図6図6は、加飾シートの形成方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0017】
図1に示すように、本実施の形態に係るシートセット10は、トランプのカードとして形成された複数の加飾シート20により構成されている。複数の加飾シート20は、絵札(各マークの「A」、「J」、「Q」、「K」)、数札(各マークの「2」~「10」)、及び、ジョーカー札を含む。
【0018】
加飾シート20は、表側(第1面の側)から視認される第1図柄Z1と裏側(第2面の側)から視認される第2図柄Z2とにより加飾されている。第1図柄Z1は、「A」~「K」のうちのいずれかと、ダイヤ、ハート、スペード、クラブのうちのいずれかと、の組み合わせを含む図柄か、ジョーカーの図柄である。従って、第1図柄Z1は、加飾シート20ごとに異なる非共通図柄である。第2図柄Z2は、加飾シート20間で共通の共通図柄である。
【0019】
以下、加飾シート20の構造を、「ダイヤ」の「A」の絵札を例示した図2図5を参照して説明する。
【0020】
図2図4に示すように、加飾シート20は、基材となる透明シート21と、透明シート21の表面21A(第1面)に形成され、それぞれが第1図柄Z1の要素となる複数の第1図柄要素22と、透明シート21の裏面21B(第2面)に形成され、それぞれが第2図柄Z2の要素となる複数の第2図柄要素23と、を備える。
【0021】
複数の第1図柄要素22は、複数のドット状に形成されている。より具体的に、複数の第1図柄要素22は、それぞれが矩形状で、互いに間隔を空けてマトリクス状に配置され、全体で第1図柄Z1を表す。同様に、複数の第2図柄要素23も、複数のドット状に形成されている。より具体的に、複数の第2図柄要素23は、それぞれが矩形状で、互いに間隔を空けてマトリクス状に配置され、全体で第2図柄Z2を表す。図4及び図5に示すように、複数の第1図柄要素22と複数の第2図柄要素23とは、透明シート21の厚み方向から見てそれぞれ重なっている。なお、各図柄要素22及び23の形状は任意であり、ひし形、丸などのドット形状であってもよい。
【0022】
図4に示すように、複数の第1図柄要素22の間の第1領域R1と、複数の第2図柄要素23の間の第2領域R2とは、空間となっている。また、第1領域R1と第2領域R2とは、透明シート21の厚み方向から見て重なっている。第1領域R1から透明シート21を介して第2領域R2に至る部分Xは、全体として透明である。従って、部分Xは、加飾シート20を表側又は裏側を見るユーザが、透明シート21を介してその反対側の裏側又は表側を透視することができる透視部でもある。以下、この部分Xを透視部Xともいう。第1領域R1及び第2領域R2は、透視部Xを構成している。図2及び図3に示すように、透視部Xは、透明シート21の厚み方向から見て、第1図柄Z1及び第2図柄Z2の中に配置されている。この透視部Xは、透明シート21の厚み方向から見て、複数の縦線及び複数の横線が交差した格子状に形成されている。
【0023】
図4に示すように、複数の第1図柄要素22のそれぞれは、第1図柄Z1を構成する第1着色層22Aと、第1着色層22Aと透明シート21との間に形成され、第1着色層22Aの下地となる第1下地層22Bと、を備える。複数の第2図柄要素23のそれぞれは、第2図柄Z2を構成する第2着色層23Aと、第2着色層23Aと透明シート21との間に形成された第2下地層23B及び遮光層23Cと、を備える。以下、第2図柄要素23を先に説明してから、第1図柄要素22を説明する。
【0024】
第2図柄要素23の遮光層23Cは、金属光沢を有する金属箔、例えば、アルミフォイルなどにより形成され、第1図柄要素22の各層22A及び22Bと、第2図柄要素23の各層23A及び23Bと、の一方が他方に対して透けないように遮光している。遮光層23Cは、例えばコールドフォイル印刷により印刷される。遮光層23Cは、金属以外の材料によって形成されてもよい。
【0025】
第2下地層23Bは、例えば白色の層であり、遮光層23Cの色を隠蔽して第2着色層23Aへの色影響を低減する。第2下地層23Bは、遮光層23Cの上に印刷された第2-1下地層23BAと、第2-1下地層23BAの上に印刷された第2-2下地層23BBと、を含む。この2層構造により、上記隠蔽の機能が強化されている。
【0026】
第2着色層23Aは、第2―2下地層23BBの上にカラー印刷される。マトリクス状に配置された個々の第2着色層23Aは、第2図柄Z2の各一部をそれぞれ構成している。これにより、複数の第2着色層23A全体で第2図柄Z2が表される。
【0027】
第2下地層23Bの各層23BA及び23BBと、遮光層23Cとは、透明シート21の厚み方向から見て、同じ形状に形成されており一致している。第2着色層23Aは、第2下地層23Bがユーザに視認され難くなるよう、透明シート21の厚み方向から見て第2下地層23B及び遮光層23Cよりも若干大きく形成されている。図4において、第2着色層23Aの縁は、模式的に描かれているため、透明シート21に対して浮いて描かれているが、実際の縁は、第2下地層23B及び遮光層23Cの側部を覆う。
【0028】
第1図柄要素22の第1下地層22Bは、例えば白色の層であり、透明シート21の厚み方向で透明シート21を介して重なる遮光層23Cの色を隠蔽して第1着色層22Aへの色影響を低減する。第1下地層22Bは、透明シート21の表面21Aの上に印刷された第1-1下地層22BAと、第1-1下地層22BAの上に印刷された白色の第1-2下地層22BBと、を含む。この2層構造により、上記隠蔽の機能が強化されている。
【0029】
第1着色層22Aは、第1―2下地層22BBの上にカラー印刷される。マトリクス状に配置された個々の第1着色層22Aは、第1図柄Z1の各一部をそれぞれ構成している。これにより、複数の第1着色層22A全体で第1図柄Z1が表される。
【0030】
第1下地層22Bの各層22BA及び22BBは、透明シート21の厚み方向から見て、同じ形状に形成されており一致している。第1着色層22Aは、第1下地層22Bがユーザに視認され難くなるよう、透明シート21の厚み方向から見て第1下地層22Bよりも若干大きく形成されている。なお、図4において、第1着色層22Aの縁も、模式的に描かれており、実際の縁は、第1下地層22Bの側部を覆う。
【0031】
図5に示すように、第1着色層22Aは、透明シート21の厚み方向から見て、この第1着色層22Aに重なる第2図柄要素23の遮光層23Cよりも小さく形成され、かつ、この遮光層23Cにより全体が覆われている。換言すると、加飾シート20の裏側から見たときに、第2図柄要素23の遮光層23Cが第1着色層22A全体を覆っている。このため、加飾シート20を裏側から見たときに、第1着色層22Aが遮光層23Cからはみ出すことが抑制されている。
【0032】
以上説明したように、加飾シート20では、透明シート21の厚み方向から見たときに、第1図柄Z1及び第2図柄Z2内に、ユーザにより透明シート21を介して透視される格子状の透視部Xが設けられている。これにより、各図柄Z1及びZ2が透視部Xとともに表現されるので、加飾シート20のデザイン性が向上している。そして、このような加飾シート20において、第1図柄Z1及び第2図柄Z2をそれぞれ表す第1図柄要素22及び第2図柄要素23が、透明シート21の表面21A及び裏面21Bにそれぞれ形成されている。従って、第1図柄Z1及び第2図柄Z2が透明シート21を介して視認されないので、第1図柄Z1及び第2図柄Z2の視認性が良くなっている。
【0033】
さらに、第1着色層22Aと第2着色層23Aとの間に遮光層23Cを設けたので、各着色層22A及び23Aのうちの一方が他方に透けて見え難くすることができる。これにより、第1図柄Z1と第2図柄Z2とが互いに干渉しにくく、これにより、両者を別図柄として形成できる。
【0034】
さらに、第1下地層22Bにより、透明シート21を介して重なる遮光層23Cを表側に隠蔽することができ、これにより、遮光層23Cの金属光沢の第1着色層22Aへの色影響が軽減される。同様に、第2下地層23Bにより、遮光層23Cの金属光沢の第2着色層23Aへの色影響が軽減される。色影響の軽減の代わりに、第1下地層22Bを薄くすることなどにより、第1着色層22Aに金属光沢を付与してもよい。同様に、第2下地層23Bを薄くすることなどにより、第2着色層23Aに金属光沢を付与してもよい。下地層22B及び23Bは、白色以外であってもよく、また、2層構造でなくてもよい。
【0035】
さらに、加飾シート20の裏側から見て、第2図柄要素23の遮光層23Cは、この第2図柄要素23と重なる第1図柄要素22、特に、第1着色層22Aよりも大きく形成され、この第1着色層22A全体を覆っている。これにより、加飾シート20の形成時に、第1着色層22Aに多少の位置ずれが生じても、透明シート21の厚み方向から見たときの第1着色層22Aが遮光層23Cからはみ出し難く、当該はみ出しにより第1着色層22Aが裏側から視認され、その結果、第1着色層22Aにより構成される第1図柄Z1が裏側に透ける不都合が抑制される。この実施の形態では、加飾シート20がトランプカードであり、第1図柄Z1が数字及びマークなどを表す非共通図柄である。従って、仮に第1図柄Z1が裏側に透けると、ユーザに非共通図柄の内容が知れてしまうので、ゲームの公平性が失われてしまう。他方、共通図柄である第2図柄Z2が表側に透けたとしてもゲームの公平性に影響はない。上記のように遮光層23Cが第1着色層22A全体を覆うことで、第2図柄Z2が表側に透ける虞があったとしても、第1図柄Z1が裏側に透けることは少なくとも抑制されるので、ゲームの公平性が保たれる。
【0036】
さらに、上記のように透明シート21の厚み方向から見て遮光層23Cが第1着色層22Aよりも大きく第1着色層22A全体を覆うことで、厚み方向から見たときに、金属製の遮光層23Cが第1着色層22Aつまり第1図柄要素22からはみ出し、はみ出した部分が第1着色層22Aとともに表側からユーザに視認される。この場合、複数の第1着色層22A全体により表される第2図柄Z2に、遮光層23Cのはみ出し部分の金属光沢が付与され、第2図柄Z2が独特なタッチで表現される。これにより、加飾シート20について高いデザイン性が得られる。
【0037】
透明シート21の厚み方向から見て遮光層23Cが第1着色層22A全体を覆う態様は、透明シート21の厚み方向から見て遮光層23Cの輪郭が第1着色層22Aの輪郭の内側に収まっている態様(図5参照)であっても、前者の輪郭と後者の輪郭との一部同士が重なっている態様であってもよい。また、複数の遮光層23Cのうち、一部の遮光層23Cのみが、透明シート21の厚み方向から見て第1着色層22Aよりも大きく全体を覆うように形成されてもよい。
【0038】
次に、加飾シート20の形成方法を、図6を参照して説明する。加飾シート20の形成方法では、まず、透明シート21を用意する(ステップS11)。透明シート21は、例えば、塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラートなどの透明樹脂を材料として形成される。
【0039】
その後、透明シート21の裏面21Bに遮光層23Cをコールドフォイル印刷により形成する(ステップS12)。例えば、透明シート21の裏面21Bの、遮光層23Cを形成する領域のみに接着剤を塗布する。接着剤は、プリンタなどによる印刷(例えば、オフセット印刷)により塗布されてもよい。その後、遮光層23Cの材料となる金属箔(例えば、アルミ箔)を透明シート21の裏面21B全体に当て、剥がすことにより、金属箔のうち前記の接着剤により透明シート21に貼り付けられた部分が遮光層23Cとして残留する。これにより、複数の遮光層23Cが同時に印刷される。なお、コールドフォイル印刷で印刷される箔(フォイル)は、金属箔以外の材料の箔であってもよい。
【0040】
その後、遮光層23Cの上に、第2-1下地層23BA、第2-2下地層23BB、及び、第2着色層23Aを順次印刷する(ステップS13)。その後、透明シート21の裏面21Bの上に、第1-1下地層22BA、第1-2下地層22BB、及び、第1着色層22Aを順次印刷する(ステップS14)。各下地層の印刷は、白色インクにより行われ、各着色層の印刷は、カラーインクにより行われる。印刷は、オフセット印刷などが採用される。印刷に用いられるインク及び接着剤は、UV(紫外線)硬化性のものであってもよい。この場合、適宜のタイミングで紫外線の照射が行われる。
【0041】
各第2図柄要素23の遮光層23Cを、コールドフォイル印刷により形成することで、圧着などとは異なり透明シート21を高温で加熱するステップが不要となる。これにより、透明シート21の材料の選択の幅が広がる。
【0042】
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明には、本発明の技術思想の範囲内で当業者が理解し得る、上記の実施の形態に対する様々な変更が含まれる。
【0043】
透明シート21は、透明であればよく、透明は、無色透明、有色透明、及び半透明を含む。透視部Xを介した透視は、加飾シート20の反対側をはっきりと視認させる透視の他、ぼんやりと視認させる透視も含む。加飾シート20は、第1図柄要素22を覆う無色透明又は有色透明の保護層と、第2図柄要素23を覆う無色透明又は有色透明の保護層との少なくとも一方を備えてもよい。この場合、図4の領域R1及びR2は、その領域に入り込んだ保護層の一部を含む。図柄の内容は任意である。複数の第1図柄要素22及び複数の第2図柄要素23は、ドット状ではなく、同心円状に形成されてもよい。
【0044】
本発明は、トランプ以外のゲーム用カード、トレーディングカード(コレクションカードなどを含む)などの各種カードに適用してもよい。特に、本発明に係る加飾シートは、透明シートに第1図柄及び第2図柄が形成されており、通常の非透明のカードよりも全体的に特別感を付与できるので、トレーディングカードの当たりのカードに好適である。第1図柄と第2図柄との両者が非共通図柄であってもよい。この場合、表裏2つの非共通図柄のうち透けてほしくない方の非共通図柄を、第2図柄にするとよい。また、本発明は、カード以外のシート、例えばカレンダーに適用されてもよい。非共通図柄としての第1図柄は、1つのシートセットを構成する複数の加飾シートのうちの一部の加飾シート同士で異なればよく、複数の加飾シートのうちの他の一部では同じであってもよい。
【符号の説明】
【0045】
10…シートセット、20…加飾シート、21…透明シート、21A…表面、21B…裏面、22…第1図柄要素、22A…第1着色層、22B…第1下地層、23…第2図柄要素、23A…第2着色層、23B…第2下地層、23C…遮光層、R1…第1領域、R2…第2領域、X…透視部(部分)、Z1…第1図柄、Z2…第2図柄。
図1
図2
図3
図4
図5
図6