IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 靜甲株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-センタリング機構 図1
  • 特開-センタリング機構 図2
  • 特開-センタリング機構 図3
  • 特開-センタリング機構 図4
  • 特開-センタリング機構 図5
  • 特開-センタリング機構 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023049916
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】センタリング機構
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/08 20060101AFI20230403BHJP
【FI】
B25J15/08 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021159939
(22)【出願日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】390029090
【氏名又は名称】靜甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117190
【弁理士】
【氏名又は名称】前野 房枝
(72)【発明者】
【氏名】秋山 圭祐
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707DS01
3C707ES03
3C707ET02
3C707EU07
3C707EU09
3C707EV21
3C707EW01
3C707EW03
3C707HS14
(57)【要約】      (修正有)
【課題】センタリングを行う機構をコンパクトに1つにまとめて1駆動で動作する様に構成し、ワークのセンタリングのズレの発生を解消でき、径寸法の異なるワークに対しても型替えを要せず、汎用性を備えたセンタリング機構を提供すること。
【解決手段】直動駆動源4の駆動によるスライド部材11の前進動作により、一対のサイドガイドアーム6,6を閉動作させるとともに、常には付勢部材10によって一対のサイドガイドアーム6,6の後端側へ付勢されたセンターガイドブロック7の先端側を一対のサイドガイドアーム6,6間に前進させ、ワークを一対のサイドガイドアーム6,6とセンターガイドブロック7とで把持し、スライド部材11の後退動作により、一対のサイドガイドアーム6,6を閉動作させるとともに、センターガイドブロック7の先端側を一対のサイドガイドアーム6,6間から後退させてワークの把持を解除するカム機構を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボトル容器やキャップなどのワークを把持しながらセンタリング位置に位置調整するセンタリング機構であって、
前記センタリング位置へ向かう直線上を進退移動するスライド部材と、
シャフトを進退させる直動駆動源と、
ベースプレートから延出させた先端側の対向面にワークの被把持部を把持可能な矢弦形状の把持部が形成され、回動軸をもって前記把持部を円弧軌道で開閉動作可能に配設された一対のサイドガイドアームと、
常には、付勢部材によって前記一対のサイドガイドアームの後端側へ付勢され、前記一対のサイドガイドアームの開閉動作に合わせて、平面視における前記一対のサイドガイドアーム間の前記ベースプレート外方で進退可能に配設されたセンターガイドブロックと、
前記スライド部材の前進動作により、前記一対のサイドガイドアームを閉動作させるとともに、前記センターガイドブロックの先端側を前記ベースプレート外で前進させ、ワークの被把持部を一対のサイドガイドアームとセンターガイドブロックとで把持し、
前記スライド部材の後退動作により、前記一対のサイドガイドアームを閉動作させるとともに、前記センターガイドブロックを後退させてワークの把持を解除するカム機構と、
を備えることを特徴とするセンタリング機構。
【請求項2】
前記センターガイドブロックの後端側はその中央を突出させた平面視山型に形成されており、
前記カム機構は、
前記スライド部材に、前記直線対称に配設された一対の第1カムピンと、
前記直線対称かつ水平に接離可能とされ、先端側対向辺部にはそれぞれ前記センターガイドブロックの後端側に突出する頂部から両側へ伸びる傾斜部と摺接する傾斜部が形成された一対の開閉プレートに形成され、前記第1カムピンがそれぞれ係合する円弧状の一対の第1カム溝とからなる第1カム機構、
並びに、
前記スライド部材に前記直線対称に配設された一対の第2カムピンと、
前記一対のサイドガイドアームに形成され、前記第2カムピンがそれぞれ係合する直線状の一対の第2カム溝とからなる第2カム機構
により構成されていることを特徴とする請求項1に記載のセンタリング機構。
【請求項3】
前記ワークの被把持部は平面視円形状とされており、前記カム機構は、前記センターガイドブロックと前記ワークの被把持部との当接点並びに前記一対のサイドガイドアームと前記ワークの被把持部との当接点のそれぞれからセンタリング位置までの距離が等しい値となるように構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセンタリング機構。
【請求項4】
前記スライド部材には、前記センターガイドブロックの進退移動を案内するスライドガイドが配設されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のセンタリング機構。
【請求項5】
前記スライド部材は、シャフトをベースプレート上面に対して並行に配置し、前記シャフトの進退移動量を制御可能とされたエアシリンダに固定されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のセンタリング機構。
【請求項6】
前記ワークは被把持部であるネック部を有するボトル容器であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のセンタリング機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトル容器やキャップなどのワークを把持しながらセンタリング(芯出し・位置調整)するセンタリング機構であって、特に、径寸法の異なるワークに対しても型替えを要せず、兼用可能なセンタリング機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ボトル容器を搬送する際の受け渡し時、ボトル容器に液体を充填する時、ボトル容器にキャップを施す時など、一連の充填工程においてそれぞれの作業を確実に実行するために、ボトル容器やキャップなどのワークを把持しながらセンタリングを行う機構が採用されている(特許文献1, 2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-168047号公報
【特許文献2】特開平6-183551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの機構は、ワーク形状に合わせた把持部を有する一対のクランプアーム(グリッパ)を同時に正逆方向に回動するように一軸で支持しておき、ワークの供給に合わせて前記一軸をエアシリンダもしくはカム機構にて回転させることで、一対のクランプアームを閉じる方向に回動させ、ワークの被把持部の両側方から把持部を円弧軌道で近・当接させて把持するように構成されている。
【0005】
このクランプアームは、ワークを把持することでセンタリングがなされるように、前記把持部がワークの被把持部の断面形状に合ったものを使用することが望ましいが、それでは、ワークの把持被把持部の断面形状、例えば、ボトル容器のネックの径寸法が変更となる毎にクランプアームの型替えを要することとなる。
【0006】
また、クランプアームに汎用性を持たせるために、把持部が矢弦形状をしたクランプアームが多く使用されているが、その場合には、ワークとクランプアームとのあたりがワークの被把持部の径によって異なるため、大凡のセンタリングはできても、正確なセンタリングが叶わない場合があるという問題があった。
【0007】
特許文献2には、一対のクランプアームのほかに、把持したワークの内方側の外周部を支持する位置決め部材を配設し、ワークの被把持部を一対のクランプアームと位置決め部材との3か所の当接で支持する機構が開示されている。
【0008】
この特許文献2に開示された機構は、回転自在に設けた回転体と、この回転体の円周方向等間隔位置に配設されるとともに開閉可能に構成されて、容器を把持して移送する各一対のクランプアームと、上記各クランプアームの開閉位置を回転体の円周方向に移動調整する開閉位置調整手段とを備え、上記回転体の回転に伴って各クランプアームによって容器を把持するようにしたクランプ式容器搬送装置において、上記各クランプアームに上記回転体の半径方向に移動可能な位置決め部材を設け、各クランプアームが把持した容器における回転体の回転中心側の外周部を上記位置決め部材に係合させて、各クランプアームが把持した容器の回転体上における半径方向の位置決め行うとともに、上記位置決め部材を、上記各クランプアームの開閉作動とは独立して回転体の半径方向に移動させる支持位置調整手段を設け、さらに上記支持位置調整手段は、上記回転体に回転可能に設けられて上記各位置決め部材に連動するカム部材と、このカム部材を上記回転体に対して回転させて各位置決め部材を回転体の半径方向に移動させる回転駆動手段とを備えている(請求項1)。
【0009】
すなわち、上記位置決め部材は、クランプアームの開閉作動とは独立して駆動する構成とされているため、各クランプアームの開閉位置と位置決め部材の半径方向への停止位置や、ワークの把持に寄与するクランプアームと位置決め部材のそれぞれの駆動タイミングを個別に調整する必要があり、また、そのクランプアームや位置決め部材を駆動させるための機構そのものも大がかりなものとなっていた。
【0010】
本発明は、このような問題点に鑑みなされたものであり、ワークの被把持部を把持してセンタリングを行う機構をコンパクトにまとめて、各部材が1つの駆動源の駆動で動作する様に構成し、ワークのセンタリングのズレの発生を解消でき、径寸法の異なるワークに対しても型替えを要せず、汎用性を備えたセンタリング機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した目的を達成するため、本発明のセンタリング機構は、ボトル容器やキャップなどのワークを把持しながらセンタリング位置に位置調整するセンタリング機構であって、前記センタリング位置へ向かう直線上を進退移動するスライド部材と、シャフトを進退させる直動駆動源と、ベースプレートから延出させた先端側の対向面にワークの被把持部を把持可能な矢弦形状の把持部が形成され、回動軸をもって前記把持部を円弧軌道で開閉動作可能に配設された一対のサイドガイドアームと、常には、付勢部材によって前記一対のサイドガイドアームの後端側へ付勢され、前記一対のサイドガイドアームの開閉動作に合わせて、平面視における前記一対のサイドガイドアーム間の前記ベースプレート外方で進退可能に配設されたセンターガイドブロックと、前記スライド部材の前進動作により、前記一対のサイドガイドアームを閉動作させるとともに、前記センターガイドブロックの先端側を前記ベースプレート外で前進させ、ワークの被把持部を一対のサイドガイドアームとセンターガイドブロックとで把持し、前記スライド部材の後退動作により、前記一対のサイドガイドアームを閉動作させるとともに、前記センターガイドブロックを後退させてワークの把持を解除するカム機構と、を備えることを特徴とする。
【0012】
より具体的には、前記センターガイドブロックの後端側はその中央を突出させた平面視山型に形成されており、前記カム機構は、前記スライド部材に、前記直線対称に配設された一対の第1カムピンと、前記直線対称かつ水平に接離可能とされ、先端側対向辺部にはそれぞれ前記センターガイドブロックの後端側に突出する頂部から両側へ伸びる傾斜部と摺接する傾斜部が形成された一対の開閉プレートに形成され、前記第1カムピンがそれぞれ係合する円弧状の一対の第1カム溝とからなる第1カム機構、並びに、前記スライド部材に前記直線対称に配設された一対の第2カムピンと、前記一対のサイドガイドアームに形成され、前記第2カムピンがそれぞれ係合する直線状の一対の第2カム溝とからなる第2カム機構により構成されていることを特徴とする。
【0013】
このような構成を備えるセンタリング機構は、前記スライド部材が前進すると、第1カム機構においては、第1カムピンのそれぞれが一対の開閉プレートに形成された対応する第1カム溝内でスライド移動し、一つの開閉プレート間を閉じる方向へ移動させる。この開閉プレートの水平移動動作により、開閉プレートの先端側対向辺部に形成された傾斜部に平面視山型とされた後端側の傾斜部を摺接させた前記センターガイドブロックは先端側を前記一対のサイドガイドアームの間に押し出されることとなる。それと同時に、第2カム機構においては、一対の第2カムピンが、前記一対のサイドガイドアームに形成された直線状の一対の第2カム溝内でスライド移動し、各サイドガイドアームを回動軸(シャフト)を中心として円弧軌道で閉じる方向へ移動する。そして、一対のサイドガイドアームとセンターガイドブロックとによりワークを把持する。
【0014】
また、前記ワークの被把持部は平面視円形状とされており、前記カム機構は、センターガイドブロックとワークの被把持部との当接点並びに一対のサイドガイドアームとワークの被把持部との当接点のそれぞれからセンタリング位置までの距離が等しい値となるようにして構成されていることを特徴とする。
【0015】
このように構成されたカム機構は、サイドガイドアームが大きく回動して小径のワークを把持するときは、センターガイドブロックも大きく突出して該ワークに当接するし、サイドガイドアームが小さく回動して大径のワークを把持するときは、センターガイドブロックの突出も小さく突出して該ワークに当接する。
【0016】
その場合において、サイドガイドアームの円弧軌道での回動やセンターガイドブロック7の突出はワークの中心を配置するセンタリング位置を基準とし、センターガイドブロックとワークとの当接点並びに一対のサイドガイドアームとワークとの当接点のそれぞれからセンタリング位置までの距離が等しい値となるようにして構成されているので、寸法の異なるワークに対してもワークの中心を常に同じ位置に配置した状態で把持することが可能となる。
【0017】
また、前記シャフトが後退すると、第1カム機構においては、第1カムピンのそれぞれが一対の開閉プレートに形成された対応する第1カム溝内でスライド移動し、一つの開閉プレート間を開く方向へ移動させる。この開閉プレートの水平移動動作により、開閉プレートの先端側対向辺部に形成された傾斜部に平面視山型とされた後端側の傾斜部を摺接させた前記センターガイドブロック7は、前記付勢部材により付勢され、平面視において前記一対のサイドガイドアームの後端側へ位置することとなる。それと同時に、第2カム機構においては、一対の第2カムピンが、前記一対のサイドガイドアームに形成された直線状の一対の第2カム溝内でスライド移動し、各サイドガイドアームを回動軸(シャフト)を中心として円弧軌道で開く方向へ移動させる。そして、一対のサイドガイドアームとセンターガイドブロックとによりワークを開放することとなる。
【0018】
また、前記スライド部材には、前記センターガイドブロックの進退移動を案内するスライドガイドが配設されていることを特徴とする。
【0019】
このスライドガイドに沿うことにより、センターガイドブロックは、前記シャフトの進退による前記第2カム機構における前記開閉プレートの開閉と前記付勢部材の付勢力とによって安定してスライド移動することができる。
【0020】
さらに、前記スライド部材は、シャフトをベースプレート上面に対して並行に配置し、前記シャフトの進退移動量を制御可能とされたエアシリンダに固定されていることを特徴とする。
【0021】
エアシリンダを駆動させてシャフトをワークの被把持部の径寸法に応じた移動量で進退させることのみで供給されるワークのセンタリングを行いながら把持することができ、従来のようなワークの把持に寄与する部材の駆動タイミングの調整が不要となる。
【0022】
前記ワークは被把持部であるネック部を有するボトル容器であることを特徴とする。
【0023】
ボトル容器のネック部分を被把持部とする場合には、ボトル容器に充填液を充填する充填装置、ボトル容器の口部にキャップを施す施蓋装置、搬送途中のボトル容器の受け渡し装置などにおいて該センタリング機構を用いることができ、各装置においてボトル容器のセンタリング不良を原因として生じていた問題、例えば、充填液の液漏れや施蓋不良などの問題の発生を防止することができる。
【発明の効果】
【0024】
このように、本発明のセンタリング機構によれば、コンパクトな構成で1つの駆動源の駆動で動作させることができ、ワークのセンタリングのズレの発生を防ぎ、径寸法の異なるワークに対しても汎用性を備えることができる。該センタリング機構を各種装置に採用することで、各装置におけるセンタリング不良を原因とする問題の発生を確実に抑止することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態の要部構成を説明する分解斜視図
図2】本発明の実施形態の正面側上方視野斜視図
図3】本発明の実施形態の背面側視野斜視図
図4】本発明の実施形態の構成を説明するための(A)平面(透過)図、(B)B-B断面図
図5】センタリングを行うべく、ワークを把持する際の(A)第1カム機構と(B)第2カム機構を説明する一部省略平面(透過)図
図6】ワークを開放する際の(A)第1カム機構と(B)第2カム機構を説明する一部省略平面(透過)図
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明に係るセンタリング機構1の一実施形態の構成について、図1乃至図4を参照して説明する。
【0027】
本実施形態のセンタリング機構1は、不図示の供給手段により供給されるボトル容器Wの被把持部となるネック部を把持してボトル容器Wの口部のセンタリングを行ない、充填液の充填ノズルとの位置合わせを行うべく、充填装置に組み込まれて用いられる。
【0028】
本実施形態のセンタリング機構1は、ベースプレート2の上面にブラケット3で固定された直動駆動源としてのエアシリンダ4の駆動によるシャフト5の水平方向への進退動作によって、後述するスライド部材11をセンタリング位置へ向かう直線上で進退させることで、ボトル容器Wのネック部を3点で把持し、また、その把持を開放する一対のサイドガイドアーム6,6と、センターガイドブロック7とを有している。
【0029】
一対のサイドガイドアーム6,6のそれぞれは、スライド部材11がセンタリング位置へ向かう直線、すなわち、本実施形態においては、後述するように、エアシリンダ4のシャフト5の移動線をもって平面視において対称位置に配設されている。一対のサイドガイドアーム6,6のそれぞれは薄板片状の部材であり、先端側の対向部にボトル容器Wのネック部の外周を把持可能な矢弦形状とされた把持部6aが形成されており、その把持部6aをベースプレート2の一端辺から延出させた状態で、長手方向中央部に設けた軸孔6bにベースプレート2から立設させた回動軸(シャフト)8を通して軸支し、把持部6aを円弧軌道で開閉動作可能とされている(以下、サイドガイドアーム6,6の先端側を位置させるベースプレート2の辺方向を「先(前)」と概念し、反対方向を「後」と概念する)。また、この一対のサイドガイドアーム6,6の回動軸(シャフト)8よりも後端側の対向部は、開動作時に干渉しないように切り欠かれている。そして、その切り欠かれた後端側には、後述する第2カム機構55を構成する第2カム溝55aが切り欠かれた辺に沿うようにして形成されている。
【0030】
また、本実施形態のセンタリング機構1は、一対のサイドガイドアーム6,6の軸孔6b,6bに配設された回動軸(シャフト)8をベースプレート2との間に軸支する軸孔9aが形成された脚部9bとその脚部9bから折曲してベースプレート2の先端辺上方に延びる壁面部9cとからなるブラケット状のばね受け部材9を備えている。
【0031】
センターガイドブロック7は、常には、ばね受け部材9の壁面部9cとの間に挟持したスプリング10によって一対のサイドガイドアーム6,6の後端側へ付勢されており、一対のサイドガイドアーム6,6の開閉動作に合わせ、その一対のサイドガイドアーム6,6間のベースプレート2の外方を進退可能に配設されている。
【0032】
詳しくは、本実施形態において、センターガイドブロック7は、後端側中央を山型に後方へ突出させ、平面視五角形のホームベース形とされた厚板状の上部ブロック7aと、矩形厚板状の下部ブロック7bと、上部ブロック7aの先端面と下部ブロック7bの後端面とをつなぐ竪板状の連結部7cとから構成されており、スプリング10は上部ブロック7aとばね受け部材9の壁面部9cとの間に配設され、下部ブロック7bは、ばね受け部材9の下方において、一対のサイドガイドアーム6,6間を進退した際にベースプレート2の外方に臨むように配設されている。
【0033】
そして、本実施形態のセンタリング機構1は、エアシリンダ4のシャフト5の前進動作により、一対のサイドガイドアーム6,6を閉動作させるとともに、センターガイドブロック7を前進させて、下部ブロック7bの先端側をベースプレート2の外方へ延出させ、ボトル容器Wのネック部を一対のサイドガイドアーム6,6とセンターガイドブロック7とで、センターガイドブロック7とネック部との当接点並びに一対のサイドガイドアーム6,6とネック部との当接点からセンタリング位置までの距離を等しくして把持し、シャフト5の後退動作により、一対のサイドガイドアーム6,6を閉動作させるとともに、センターガイドブロック7を後退させてボトル容器Wのネック部の把持を解除するカム機構50を備えている。より具体的には、カム機構50は、センターガイドブロック7を進退させるための第1カム機構51と、一対のサイドガイドアーム6,6を開閉させるための第2カム機構55とから構成されている。
【0034】
ここで、カム機構50の説明に先立ち、本実施形態のセンタリング機構1のその他の構成部材について説明すると、エアシリンダ4のシャフト5の先端にはシャフト5の進退とともに進退移動するスライド部材11がジョイントブロック14を介して連設されている。本実施形態において、スライド部材11は、シャフト5の進退方向に直交させて長手方向中央部をジョイントブロック14を介して固定された(つまり、本実施形態においては、シャフト5はスライド部材11がセンタリング位置へ向かう直線上において進退移動することとなる。)長方形薄板状の第1プレート12と、その第1プレート12の上に積層させて配設され、後端側両隅部から後方へ突出する一対の袖部13a,13aが形成された略矩形薄板状の第2プレート13とを有している。
【0035】
第1プレート12には、エアシリンダ4のシャフト5の移動線をもって対称となる近接位置に一対の第1ピン孔12a,12aが形成されているとともに、離間させて一対の第2ピン孔12b,12bが形成されている。また、第2プレート13には、エアシリンダ4のシャフト5の移動線をもって対称となる近接位置であって、第1プレート12の第1ピン孔12a,12aと対応させて同軸に位置させる一対の第3ピン孔13b,13bが形成されているとともに、袖部13a,13aには一対の第4ピン孔13c,13cが形成されている。
【0036】
また、第2プレート13の上には、エアシリンダ4のシャフト5の移動線をもって対称かつ水平に接離可能とされた一対の開閉プレート15,15が配設されている。一対の開閉プレート15,15にはそれぞれ、その先端側対向辺部に、センターガイドブロック7の上部ブロック7aの後端側に突出する頂部から両側へ伸びる傾斜部7d、7dと摺接する傾斜部15a,15aが形成されている。またさらに、一対の開閉プレート15,15にはそれぞれ、第1カム機構51を構成する、後方から先端方向に向かうに従って間隔寸法が広がる平面視八の字とされた円弧状の第1カム溝51aが形成されている。そして、一対の開閉プレート15,15はそれぞれ、ベースプレート2の後方に配設されたブラケット16のエアシリンダ4の上方に横架する壁部16aとその厚さ方向に重ねたガイドプレート17とに開口させたスライド孔16b,17aに後方から挿入させたボルト18で固定され、水平が維持されている。その際、カラー19を用いて幅決めをし、ブラケット16との間にクリアランスを持たせてスライド移動可能に支持されている。
【0037】
さらに、本実施形態においては、一対の開閉プレート15,15の上には、シャフト5の進退方向に直交させた長方形薄板状の第3プレート21が配設されている。第3プレート21のシャフト5の移動線をもって対称となる位置には、一対の第4ピン孔13c,13cと対応させて同軸に位置させる一対の第5ピン孔21a,21aが幅方向に形成されている。
【0038】
第3プレート21の長さ方向寸法はセンターガイドブロック7の上部ブロック7aの幅方向寸法よりも長寸法とされており、長さ方向両端には、先端方向へ延出させて、薄板状のサイドプレート22がそれぞれ接続されている。そして、第3プレート21と一対のサイドプレート22,22によりコ字枠状とされた空間内における両側には、平面視においてホームベース型とされた上部ブロック7aの上面側辺部分を摺接させ、センターガイドブロック7のスライドをガイドする一対のガイドプレート23,23が固定されている。
【0039】
そして、スライド部材11の第1プレート12は第2ピン孔12b,12bと一対のサイドガイドアーム6,6の下方に配設した薄板の第5プレート25との間に、一対のサイドガイドアーム6,6にそれぞれ形成された第2カム溝55a,55a内で移動する一対の第2カムピン55b,55bを支承している。
【0040】
また、第1プレート12の一対の第1ピン孔12a,12aとそれに対応する第2プレート13の第3ピン孔13b,13bには固定ピン26が挿入され、第1プレート12と第2プレート13がスライド部材11として一体に構成されており、第2プレート13は第4ピン孔13c,13cと第3プレート21の第5ピン孔21a、21aとの間に、一対の開閉プレート15,15に形成された第1カム溝51a,51a内で移動する一対の第1カムピン51b、51bを支承している。
【0041】
このように、本実施形態のセンタリング機構1においては、第1カム機構51は、第2プレート13の第4ピン孔13c,13cに配設された一対の第1カムピン51b、51bと、一対の開閉プレート15,15に形成され、第1カムピン51b、51bがそれぞれ係合する円弧状の一対の第1カム溝51a,51aから構成されている。また、第2カム機構55は、第1プレート12の第2ピン孔12b,12bに配設された一対の第2カムピン55b、55bと、一対のサイドガイドアーム6,6に形成され、第2カムピン55b、55bがそれぞれ係合する直線状の一対の第2カム溝55a,55aとから構成されている。
【0042】
また、本実施形態のセンタリング機構1は、不図示の制御部を備え、ボトル容器Wの被把持部となるネック部の径寸法に応じて予め設定されたシャフト5の進退量でシャフト5を進出させ、充填作業中はその状態を保持し、充填後は再び前記進退量でシャフト5を後退させるように、エアシリンダ4の駆動が制御されている。なお、シャフト5を進退させるタイミングは、不図示のボトル容器Wの供給手段の供給動作(タイミング)に同期させるものとして、以下説明する。
【0043】
続いて、本実施形態のセンタリング機構1の動作と作用について図5図6により説明する。
【0044】
本実施形態のセンタリング機構1においては、充填装置の充填ノズルの降下位置にボトル容器Wが不図示の供給手段によって配置されると、そのタイミングでエアシリンダ4のシャフト5を前進させる。そのシャフト5の前進量は、把持するボトル容器Wのネック部の径寸法を勘案して予め定められた量とする。
【0045】
制御部の制御によりシャフト5が前進すると、第1プレート12並びに第2プレート13を備えるスライド部材11も前進する。
【0046】
その際、第1カム機構51においては、図5(A)に示すように、第1カムピン51b,51bのそれぞれが一対の開閉プレート15,15に形成された第1カム溝51a,51a内で前方へスライド移動することで一対の開閉プレート15,15は閉じる方向へ移動する。
【0047】
このときの一対の開閉プレート15,15の水平移動動作により、各開閉プレート15,15の先端側対向辺部に形成された傾斜部15a,15aに、平面視山型とされた上部ブロック7aの後端側の傾斜部7d,7dを摺接させたセンターガイドブロック7は、スプリング10による付勢に抗しつつガイドプレート23に沿って移動し、前方へ押し出され、下部ブロック7bの先端をベースプレート2の外方において一対のサイドガイドアーム6,6の間に位置させる。
【0048】
それと同時に、第2カム機構55においては、図5(B)に示すように、一対の第2カムピン55b、55bが一対のサイドガイドアーム6,6に形成された直線状の一対の第2カム溝55a,55a内で前方にスライド移動することで、各サイドガイドアーム6,6は回動軸(シャフト)8を中心として矢弦形状とされた先端側を円弧軌道で閉じる方向へ回動する。
【0049】
これにより、ボトル容器Wのネック部は一対のサイドガイドアーム6,6とセンターガイドブロック7とにより把持される。その際、矢弦形状とされたサイドガイドアーム6,6の把持部6a,6aは、円形状のネック部の形状に沿いつつネック部の前方の2点に当接し、センターガイドブロック7の下部ブロック7bは、ネック部の後方の1点に当接する。
【0050】
そして、本実施形態のセンタリング機構1は、カム機構50により、センターガイドブロック7とボトル容器Wのネック部との当接点並びに一対のサイドガイドアーム6,6とボトル容器Wのネック部との当接点のそれぞれからセンタリング位置までの距離を等しくするように構成されているので、把持した時点で、ボトル容器Wのセンタリングを確実に行うことができる。
【0051】
本実施形態のカム機構は、小径のネック部を把持するときは、サイドガイドアーム6,6が大きく回動し、センターガイドブロック7も大きく突出してネック部に当接し、大径のネック部を把持するときは、サイドガイドアーム6,6が小さく回動し、センターガイドブロック7も小さく突出してネック部に当接するので、径が異なるボトル容器Wであっても、センタリング位置に被把持部としてのネック部の中心を位置させることができる。
【0052】
つまり、1つのセンタリング機構1のセッティングでセンタリング可能なネック部の径寸法は1サイズに限られず、幅広い径サイズのボトル容器Wのネック部に対応することができる。例えば、径寸法25mmのネック部の把持を想定したセッティングであっても、径寸法20mmから35mmのネック部を有するボトル容器Wのセンタリングを可能とする。
【0053】
そして、センタリングを行った状態で充填作業が終了し、制御部の制御により、シャフト5が後退すると、第1カム機構51においては、図6(A)に示すように、第1カムピン51b、51bのそれぞれが一対の開閉プレート15,15に形成された、対応する第1カム溝51a,51a内で後方にスライド移動することで一対の開閉プレート15,15は開く方向へ移動する。
【0054】
このときの一対の開閉プレート15,15の水平移動動作により、一対の開閉プレート15,15の先端側対向辺部に形成された傾斜部に平面視山型とされた上部ブロック7aの後端側の傾斜部を摺接させたセンターガイドブロック7はスプリング10の付勢によりガイドプレート23に沿って後方へ移動し、下部ブロック7bの先端を平面視において一対のサイドガイドアーム6,6間における後方へ位置させる。
【0055】
それと同時に、第2カム機構55においては、図6(B)に示すように、一対の第2カムピン55b,55bが一対のサイドガイドアーム6,6に形成された直線状の一対の第2カム溝55a、55a内で後方へスライド移動することで、各サイドガイドアーム6,6は回動軸(シャフト)8を中心として円弧軌道で把持部6aが形成された先端側を開く方向へ回動する。
【0056】
これにより、一対のサイドガイドアーム6,6とセンターガイドブロック7とによる把持を解除し、ボトル容器Wを開放することが可能となる。
【0057】
なお、前述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の特徴を損なわない限度において種々変更することができる。
【0058】
例えば、スライド部材を進退移動させる機構はエアシリンダとそのシャフトに限られないし、エアシリンダの数やシャフトとスライド部材との連結位置なども、スライド部材がセンタリング位置へ向かう直線上を進退するものであれば、本実施形態の構成に限るものではない。
【0059】
また、本実施形態においては、スライド部材を第1プレートと第2プレートとを連結させて構成したが、1つのブロック体のように形成することもできる。
【0060】
上述の実施形態においては、ワークとしてのボトル容器に充填液を充填する充填装置に該センタリング機構を組み込んだ場合を説明したが、本発明のセンタリング機構は、ボトル容器Wの口部にキャップを施す施蓋装置、搬送途中のボトル容器の受け渡し装置などにおいて用いることができ、その場合においても、各装置でボトル容器のセンタリング不良を原因として生じていた問題、例えば、充填液の液漏れや施蓋不良などの問題の発生を防止することができる。
【0061】
シャフトを進退させるタイミングも、前述のように、不図示のボトル容器の供給手段のボトル容器供給動作(タイミング)に同期させずに、センタリング位置に配設したセンサがボトル容器を検出したタイミングに応じてエアシリンダを駆動させてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 センタリング機構
2 ベースプレート
3 ブラケット
4 エアシリンダ
5 シャフト
6 サイドガイドアーム
6a 把持部
6b 軸孔
7 センターガイドブロック
7a 上部ブロック
7b 下部ブロック
7c 連結部
7d 傾斜部
8 回動軸(シャフト)
9 ばね受け部材
9a 軸孔
9b 脚部
9c 壁面部
10 スプリング
11 スライド部材
12 第1プレート
12a 第1ピン孔
12b 第2ピン孔
13 第2プレート
13a 袖部
13b 第3ピン孔
13c 第4ピン孔
14 ジョイントブロック
15 開閉プレート
15a 傾斜部
16 ブラケット
16a 壁部
16b スライド孔
17 ガイドプレート
17a スライド孔
18 ボルト
19 カラー
21 第3プレート
21a 第5ピン孔
22 サイドプレート
23 ガイドプレート
25 第5プレート
26 固定ピン
50 カム機構
51 第1カム機構
51a 第1カム溝
51b 第1カムピン
55 第2カム機構
55a 第2カム溝
55b 第2カムピン
W ボトル容器(ワーク)
図1
図2
図3
図4
図5
図6