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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023049955
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】架台
(51)【国際特許分類】
   F16M 13/00 20060101AFI20230403BHJP
   F16M 11/16 20060101ALI20230403BHJP
   F16M 11/20 20060101ALI20230403BHJP
【FI】
F16M13/00 P
F16M11/16
F16M11/20 Z
F16M13/00 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021160032
(22)【出願日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】521427128
【氏名又は名称】富双ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱崎 守孝
(72)【発明者】
【氏名】香田 淳也
(72)【発明者】
【氏名】中島 信一
(72)【発明者】
【氏名】阿部 重人
(57)【要約】
【課題】建物の機器室内で機器を置き換える際の作業性を改善する。
【解決手段】架台22は、建物の機器室(PS12)内に配置される機器(燃料電池ユニット20)を支持する架台であり、機器の配管の高さ位置が、機器室の扉の貫通孔の高さ位置と一致するように、その高さが設定されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の機器室内に配置される機器を支持する架台であり、
前記機器から前記機器室の扉側に突出する配管の高さ位置が、前記扉の貫通孔の高さ位置と一致するように高さが設定されている架台。
【請求項2】
内部が中空の中空部とされた架台本体と、
前記架台本体が前記機器室内に設置された状態で上側に位置する上面に形成され前記中空部に連続する上面開口部と、
前記架台本体が前記機器室内に設置された状態で前記扉側に位置する前面に形成され前記中空部に連続する前面開口部と、
を有する請求項1に記載の架台。
【請求項3】
前記上面開口部と前記前面開口部とが連続している請求項2に記載の架台。
【請求項4】
前記前面開口部が前記前面の下端に至っている請求項2又は請求項3に記載の架台。
【請求項5】
前記架台本体が前記機器室内に設置された状態で下側に位置する下面に形成され前記中空部に連続する下面開口部と、
前記架台本体が前記機器室内に設置された状態で前記扉の反対側に位置する後面に形成され前記中空部に連続する後面開口部と、
前記架台本体が前記機器室内に設置された状態で側方に位置する側面に形成され前記中空部に連続する側面開口部と、
を有する請求項2~請求項4の何れか一項に記載の架台。
【請求項6】
前記機器を前記架台に固定するために固定部を有する請求項2~請求項5のいずれか一項に記載の架台。
【請求項7】
前記架台を前記機器室に固定するための被固定部を有する請求項2~請求項6の何れか一項に記載の架台。
【請求項8】
前記架台本体が前記機器室内に設置された状態で上側に位置する上面に、前記機器を前記架台本体の幅方向に位置決めすると共に奥行方向への移動をガイド部材、を有する請求項2~請求項7の何れか一項に記載の架台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の開示する技術は、架台に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、1又は複数の貯湯タンクと配管ユニットとを、貯湯タンク用架台に一体的に配置固定した貯湯タンクユニットが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-108734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
建物の所定の機器室には、各種の機器が設置される。たとえば集合住宅のパイプスペース(以下「PS」と略す)を機器室として用い、このPSに、燃料電池ユニット、貯湯ユニット及びバックアップ熱源等の各種機器が設置されることがある。そして、これらの機器には機器室の扉側に突出する配管(以下、「扉側配管」という)を有しており、この扉側配管は、PSの扉の貫通孔を通って、PSの外部に至るようになっていることがある。すなわち、PSの扉の貫通孔は、機器からの扉側配管の高さ位置(PSの床からの高さ)に合せて形成される。
【0005】
特許文献1に記載の貯湯タンク用架台に貯湯タンクを設置した構成において、貯湯タンクの置き換えを行った場合、置き換え後の機器の扉側配管の高さ位置が、置き換え前の貯湯タンクに合せて形成された貫通孔の高さ位置と一致しない事態が生じることがある。この場合、あらたにPSの扉の貫通孔を形成すると、作業工数が増え、作業性が悪い。
【0006】
このような課題は、PS内に設置される貯湯タンクに限らず、機器室内に設置される各種の機器において、置き換えを行う際に生じることがある。
【0007】
本発明は上記事実を考慮し、建物の機器室内で機器を置き換える際の作業性を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第一態様の架台は、建物の機器室内に配置される機器を支持する架台であり、前記機器から前記機器室の扉側に突出する配管の高さ位置が、前記扉の貫通孔の高さ位置と一致するように高さが設定されている。
【0009】
したがって、機器を置き換えた場合の置き換え後の機器の扉側配管の高さ位置が、機器室の扉に形成されていた貫通孔と一致する。この貫通孔は、置き換え前の機器の扉側配管の高さ位置に合せて扉に形成されていた貫通孔である。機器室の扉の貫通孔を、置き換え後の機器の扉側配管に合せて再形成したり、高さの差を解消したりする工事が不要なので、建物の機器室内で機器を置き換える際の作業性が改善される。
【0010】
第二態様では、内部が中空の中空部とされた架台本体と、前記架台本体が前記機器室内に設置された状態で上側に位置する上面に形成され前記中空部に連続する上面開口部と、前記架台本体が前記機器室内に設置された状態で前記扉側に位置する前面に形成され前記中空部に連続する前面開口部と、を有する。
【0011】
架台本体の中空部に上面開口部が連続しているので、架台本体に設置された機器から下方に延出される各種配管や各種配線等を、上面開口部を通じて中空部に配置することが可能である。中空部にはまた、前面開口部が連続しているので、中空部に前面開口部から工具等を差し入れて、中空部内の各種配管や各種配線に対し各種の作業を行うことが可能である。このように、機器から下方に延出される各種配管や各種配線に対する作業の作業性が向上する。
【0012】
第三態様では、前記上面開口部と前記前面開口部とが連続している。
【0013】
これにより、上面開口部と前面開口部とが連続していない(上面開口部と前面開口部との間の他の部材がある)構造と比較して、中空部が見やすくなり、作業性が向上する。
【0014】
また、たとえば、中空部から前面開口部を通って前側に延在する各種配管や各種配線を、中空部内、すなわち架台本体の内側に退避させることなく架台本体の外側に突出した状態のまま変形して(立ち上がるように曲がり具合を調整して)、上面開口部を通る状態にできる。各種配管や各種配線を立ち上げる際に中空部内に退避させる必要がないので、作業性が向上する。
【0015】
第四態様では、前記前面開口部が前記前面の下端に至っている。
【0016】
したがって、前面開口部が前面の下端に至っていない構成と比較して、前面開口部が下側に広いので、中空部が見やすくなり、作業性が向上する。
【0017】
また、中空部に前面開口部から工具等を差し入れて行う各種作業の作業性が向上する。
【0018】
第五態様では、前記架台本体が前記機器室内に設置された状態で下側に位置する下面に形成され前記中空部に連続する下面開口部と、前記架台本体が前記機器室内に設置された状態で前記扉の反対側に位置する後面に形成され前記中空部に連続する後面開口部と、前記架台本体が前記機器室内に設置された状態で側方に位置する側面に形成され前記中空部に連続する側面開口部と、を有する。
【0019】
架台本体の中空部には、下面開口部、後面開口部及び側面開口部が連続しているので、これらの開口部から中空部に工具等を差し入れて中空部内の各種配管や各種配線に対し各種の作業を行うことが可能であり、作業性が向上する。
【0020】
第六態様では、前記機器を前記架台に固定するために固定部を有する。
【0021】
固定部を用いて、機器を架台に固定できる。
【0022】
第七態様では、前記架台を前記機器室に固定するための被固定部を有する。
【0023】
被固定部を用いて、機器室に架台を固定できる。
【0024】
第八態様では、前記架台本体が前記機器室内に設置された状態で上側に位置する上面に、前記機器を前記架台本体の幅方向に位置決めすると共に奥行方向への移動をガイド部材、を有する。
【0025】
ガイド部材を用いて、機器を架台本体の上面において幅方向に位置決めできる。そして、機器を奥側に押し込む際に、幅方向に不用意に移動したり蛇行したりすることなくガイドされるので、機器の設置作業が容易となる。
【発明の効果】
【0026】
本願では、建物の機器室内で機器を置き換える際の作業性が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は第一実施形態の架台により支持された燃料電池ユニットを収容するPSを、扉を閉めた状態で示す正面図である。
図2図2は第一実施形態の架台により支持された燃料電池ユニットを収容するPSを、右扉を開けた状態で示す正面図である。
図3図3は第一実施形態の架台を示す斜視図である。
図4図4は第一実施形態の架台の前面を示す図である。
図5図5は第一実施形態の架台の上面を示す図である。
図6図6は第一実施形態の架台の下面を示す図である。
図7図7は第一実施形態の架台の後面を示す図である。
図8図8は第一実施形態の架台の左側面を示す図である。
図9図9は第一実施形態の架台に燃料電池ユニットを載せた状態を示す図である。
図10図10は第一実施形態の架台に燃料電池ユニットを載せて後方側に移動させた状態を示す部分拡大図である。
図11図11は第一実施形態の架台と配管及び配線の関係を前面側から示す図である。
図12図12は第一実施形態の架台と配管及び配線の関係を左側面側から示す図である。
図13図13は第一実施形態の架台において配線を立ち上げる状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本願の実施形態の一例を詳細に説明する。
【0029】
図1及び図2には、第一実施形態の架台22を用いて、集合住宅のPS12内に燃料電池ユニット20を設置した例が示されている。また、図3図8には、架台22及びガイド部材34が示されている。集合住宅は、建物の一例であり、PS12は機器室の一例であり、燃料電池ユニット20は機器の一例である。
【0030】
PS12は、集合住宅において、上下水道やガス配管等の各種の配管及び配線を収容するスペースである。本実施形態では、上記した燃料電池ユニット20(図2参照)を収容しており、さらに、貯湯ユニットやバックアップ熱源を収容することも可能である。たとえば、燃料電池ユニット20、貯湯ユニット及びバックアップ熱源によっていわゆるコジェネレーションシステムが構成されている場合は、燃料電池ユニット20、貯湯ユニット及びバックアップ熱源が一体的にPS12内に設置されることが多い。そして、貯湯ユニットやバックアップ熱源を、架台22を用いてPS12内に設置することも可能である。この場合は、貯湯ユニットやバックアップ熱源が、本願の開示の技術における機器の一例である。
【0031】
図1及び図2に示すように、PS12には、扉14が設けられている。本実施形態ではヒンジによって回転可能な右扉14R及び左扉14Lを有している。図示の例では、右扉14Rに対応する範囲に燃料電池ユニット20が配置され、左扉14Lに対応する範囲に図示を省略しているが貯湯ユニット及びバックアップ熱源が配置される。
【0032】
図2に示すように、PS12の内部には台座16が設置されている。本実施形態では、台座16はPS内に固定されており、実質的にPS12の一部を成している。そして、この台座16に、架台22によって燃料電池ユニット20が支持されてPS12内に設置されている。
【0033】
燃料電池ユニット20は、下部に支持脚20Lを有している。支持脚20Lは、図2に示す例では正面視にて長方形の枠状に形成されている。この支持脚20Lが、後述するように架台22の上面22UPに設置される。
【0034】
燃料電池ユニット20には、閉めた状態の扉14側に向かって突出する排気管20Pが設けられている。排気管20Pは、本願の開示の技術における扉側配管の一例である。
【0035】
右扉14Rには、貫通孔14Hが形成されている。貫通孔14Hは、右扉14Rを閉めた状態で、排気管20Pが通る開口部である。すなわち、右扉14Rを閉めた状態であっても、排気管20Pの先端はPS12の外側に出る。
【0036】
図2に示される燃料電池ユニット20は、PS12内に当初設置されていた燃料電池ユニットから置き換えられた後のものである。置き換え後の燃料電池ユニット20は、置き換え前の燃料電池ユニットと比較して、寸法高さが低くされている。そして、排気管の高さ位置(それぞれのユニットの下端から測った高さ)も、置き換え後の燃料電池ユニット20では、置き換え前の燃料電池ユニットよりも低い。
【0037】
図3図8に示すように、架台22は、架台本体22Hと、一対のガイド部材34とを有している。架台本体22Hは、全体として直方体の枠状で、上面22UP、下面22DO、前面22FR、後面22RR、右側面22RH及び左側面22LHの6面が形成された形状である。上面22UPは、燃料電池ユニット20を支持する支持面でもある。
【0038】
図面において、架台22の上方を矢印UPで、下方を矢印DOで、右方を矢印RHで、左方を矢印LHで、前方を矢印FRで、後方を矢印RRでそれぞれ示す。本願の開示の技術では、架台22のこれらの方向は、架台本体22H、燃料電池ユニット20の各方向、及びPS12の各方向と一致する。なお、図中の「○」の中に「×」が記載された記号は、紙面の手前から奥へ向かう矢印を意味する。また、図中の「○」の中に「・」が記載された記号は、紙面の奥から手前へ向かう矢印を意味する。
【0039】
また、図面において、架台本体22Hの外寸幅(左右方向の外寸)をW1、外寸高さ(上下方向の外寸)をH1、外寸奥行(前後方向の外寸)をD1で示す。架台本体22Hの外寸高さH1は、燃料電池ユニット20を支持した場合における実質的な架台22の高さである。また、本実施形態の架台22では、架台本体22Hと外寸幅及び外寸奥行は等しい。
【0040】
本実施形態の架台22では、架台本体22Hにおける上記の6面を、いずれも金属製の板材によって形成することが可能である。たとえば、1枚の板材を所定形状(展開図の形状)に打ち抜き、所定箇所で折り曲げて組み立てることで、6面を有する直方体状の架台本体22Hを形成できる。あるいは、複数枚の板材を所定箇所で接合し、6面を有する直方体状の架台本体22Hを形成してもよい。
【0041】
架台本体22Hの外寸幅W1及び外寸奥行D1は、上面22UPに燃料電池ユニット20を支持することができる大きさとされている。具体的には、燃料電池ユニット20の下部、すなわち架台本体22Hの上面22UPに設置される部分である支持脚20Lよりも長い外寸幅W1及び外寸奥行D1を有していればよい。
【0042】
架台本体22Hの外寸高さH1は、上面22UPに燃料電池ユニット20が設置された状態で、排気管20Pの高さ位置が、PS12の右扉14Rの貫通孔14Hの高さ位置と一致するように設定されている。
【0043】
架台22はこのように枠状に形成された架台本体22Hを有しているため、内部は中空状の中空部24である。そして、架台22の6面のそれぞれには、中空部24に連続する開口部が形成されている。具体的には、前面22FRに前面開口部26FR、後面22RRに後面開口部26RR、上面22UPに上面開口部26UP、下面22DOに下面開口部26DO、右側面22RHに右側面開口部26RH、左側面22LHに左側面開口部26LHがそれぞれ形成されている。以下において、これら6つの開口部を区別しない場合は、開口部26とする。
【0044】
6つの開口部26はいずれも、中空部24と連通している。したがって、6つの開口部26のいずれにおいても、架台22の外側から開口部26を通じて中空部24にアクセスし、工具等を差し入れることが可能である。
【0045】
図4に示すように、前面開口部26FRの開口幅W2は、架台本体22Hの外寸幅W1よりも狭く、前面開口部26FRの開口高さH2は、架台22の外寸高さH1と等しい。このため、前面開口部26FRは、前面22FRにおいて幅方向の中央に位置し、上下方向には上端から下端まで形成されている。
【0046】
図5に示すように、上面開口部26UPの開口幅W3は、架台本体22Hの外寸幅W1よりも狭く、前面開口部26FRの開口幅W2よりも広いが、奥行方向の手前側及び奥側では、前面開口部26FRの開口幅W2と等しい開口幅(したがって開口幅W3よりも狭い)に形成されている。また、上面開口部26UPの開口奥行D3は、架台22の外寸奥行D1よりも短く、特に、前面22FR(図3参照)まで上面開口部26UPが形成されている。
【0047】
このように、前面開口部26FRが上面22UPまで形成され、上面開口部26UPが前面22FRまで形成されることで、前面開口部26FRと上面開口部26UPとが連続している形状が実現されている。換言すれば、前面開口部26FRと上面開口部26UPとの間に、これらを隔てる部分がない構造である。
【0048】
上面開口部26UPにおいて、開口部W3を有する部分の手前側及び奥側に、この開口幅W3よりも狭い開口幅W2の部分が形成されることで、上面22UPの四隅に、平面視にて長方形状の支持領域28が形成されている。支持領域28は、燃料電池ユニット20が支持される部分である。
【0049】
支持領域28のそれぞれには、上面22UPを板厚方向に貫通する上ボルト孔32UPが形成されている。上ボルト孔32UPは固定部の一例である。上ボルト孔32UPに、たとえばボルトを挿通し、このボルトを燃料電池ユニット20に形成された雌ねじにねじ込むことで、燃料電池ユニット20を架台22の上面22UPに固定できる。本実施形態では、上ボルト孔32UPは架台22の奥行方向を長手方向とする長孔状に形成されており、燃料電池ユニット20の固定位置を奥行方向に調整することが可能である。
【0050】
上面開口部26UPにおいて奥行方向の中央部分(開口幅W3を有する部分)は、4つの上ボルト孔32UPの幅方向の間隔L3よりも広くなっており、前後の上ボルト孔32UPの間の部分まで幅方向に広く開口されている。
【0051】
また、上面開口部26UPにおいて幅方向の中央部分(開口奥行D3を有する部分)は、4つの上ボルト孔32UPの奥行方向の間隔L2よりも広くなっており、左右の上ボルト孔32UPの間の部分まで手前側及び奥側に開口されている。
【0052】
図6に示すように、下面開口部26DOの開口幅W4は、架台本体22Hの外寸幅W1よりも狭く、開口奥行D4は、架台本体22Hの外寸奥行D1よりも短い。そして、下面開口部26DOは下面22DOの幅方向及び奥行方向の中央に位置しており、下面22DOにおいて下面開口部26DOの周囲には、平面視にて長方形の下面枠領域30DOが形成されている。下面枠領域30DOは、架台22をPS12内に設置した場合にPS12の床面に接触する部分である。
【0053】
下面枠領域30DOには、下面22DOの四隅の近傍に、下面22DOを板厚方向に貫通する下ボルト孔32DOが形成されている。下ボルト孔32DOは、被固定部の一例である。下ボルト孔32DOに、PS12の床面から突出するボルトを挿通し、このボルトにナットを締結することで、架台22をPS12の床面に固定できる。本実施形態では下ボルト孔32DOは架台22の奥行方向を長手方向とする長孔状に形成されており、架台22の固定位置を奥行方向に調整することが可能である。
【0054】
図7に示すように、後面開口部26RRの開口幅W5は、架台本体22Hの外寸幅W1よりも狭く、開口高さH5は、架台本体22Hの外寸高さH1よりも短い。そして、後面開口部26RRは後面22RRの幅方向及び高さ方向の中央に位置しており、後面22RRにおいて後面開口部26RRの周囲には、正面視にて長方形の後面枠領域30RRが形成されている。
【0055】
図8に示すように、右側面開口部26RH及び左側面開口部26LHの開口奥行D6(実質的には開口幅)は、架台本体22Hの外寸奥行D1よりも短く、開口高さH6は、架台本体22Hの外寸高さH1よりも短い。そして、右側面開口部26RH及び左側面開口部26LHはそれぞれ、右側面22RH及び左側面22LHの中央に位置している。右側面22RHには、側面視にて右側面開口部26RHの周囲に、右側面枠領域30RHが形成され、左側面22LHにも、側面視にて左側面開口部26LHの周囲に、左側面枠領域30LHが形成されている。
【0056】
なお、図8では左側面22LHを示しているが、右側面22RHにおいても、同一形状が架台22の前後方向で対称に現れる。
【0057】
本実施形態では、架台本体22Hは、幅方向の中心線CL(厳密には中心面)を中心として左右対称の形状である。
【0058】
架台本体22Hの上面22UPには、一対のガイド部材34が配置される。ガイド部材34は、架台本体22Hの幅方向の中心線CLを中心として、左右対称の形状及び配置である。
【0059】
ガイド部材34は、架台本体22Hの奥行方向を長手方向として配置される長尺状の部材であり、正面視で、上面22UPに接触される横板部34Hと、この横板部34Hにおいて、幅方向の中央寄り(中心線CLに近い端辺)から上方に立ち上がる縦板部34Vと、を有している。
【0060】
ガイド部材34は、図示しない締結具(ボルト、ピン及びクリップ等)又は接着剤を用いて、架台本体22Hの上面22UPに固定される。ここで、図4及び図7に示すようにん、左右のガイド部材34において、縦板部34Vの間隔W7は、燃料電池ユニット20の下端部(架台本体22Hに設置される部分)の外寸幅W11と等しく、またはわずかに長い程度とされる。
【0061】
ガイド部材34の奥行方向の端部には、横板部34Hの下側に位置する位置決め片36と、横板部34Hの上側に位置する位置決めストッパ38と、が形成されている。
【0062】
ガイド部材34が架台22の上面に配置された状態で、位置決め片36が架台22の後面22RRに接触すると、ガイド部材34は架台22に対しそれ以上は前側に移動できなくなり、ガイド部材34が奥行方向に位置決めされる。
【0063】
架台本体22Hの上面22UPに燃料電池ユニット20が設置された状態で、燃料電池ユニット20が位置決めストッパ38に接触すると、燃料電池ユニット20は位置決めストッパ38に対しそれ以上は後側に移動できなくなす。すなわち、燃料電池ユニット20が位置決めストッパ38に接触することで、燃料電池ユニット20は奥行方向に位置決めされる。
【0064】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0065】
PS12内で、燃料電池ユニットの置き換えを行うことがある。PS12の右扉14Rの貫通孔14Hは、置き換え前の燃料電池ユニットの排気管の高さ位置に合せて形成されている。
【0066】
ところが、置き換え後の燃料電池ユニット20では、置き換え前の燃料電池ユニットよりもその外寸高さが低くされている等の理由で、排気管20Pの高さ位置が、置き換え前の燃料電池ユニットの排気管の高さ位置よりも低い場合がある。
【0067】
したがって、置き換え後の燃料電池ユニット20を単にPS12内に設置すると、排気管20Pが右扉14Rの貫通孔14Hよりも低い位置となる。そして、排気管20PをPS12の外側に出すためには、たとえば右扉14Rに再度貫通孔を形成したり、排気管20Pの高さを調整したりする作業が生じたりするため、作業工数が増え、作業性が悪い。
【0068】
これに対し、本実施形態の架台22では、置き換え後の燃料電池ユニット20が上面22UPに設置された状態で、排気管20Pの高さ位置が、PS12の右扉14Rの貫通孔14Hの高さ位置と一致するように、架台本体22Hの外寸高さH1が設定されている。
【0069】
これにより、本実施形態の架台22を用いてPS12内に燃料電池ユニット20を設置すると、PS12の右扉14Rの貫通孔14Hの再形成や、排気管20Pの高さ位置の調整等の作業を行うことなく、排気管20Pが貫通孔14Hに挿通される状態を実現できる。貫通孔14Hの再形成や、排気管20Pの高さ位置の調整等の作業が不要であるので、これらの作業が必要な場合と比較して、作業性が改善されている。
【0070】
架台本体22Hの上面22UPには、一対のガイド部材34が設けられている。ガイド部材34は位置決め片36を有しており、この位置決め片36は、架台本体22Hの後面22RRに接触する。これにより、ガイド部材34は架台本体22Hに対し前後方向に位置決めされる。そして、位置決めされた状態で、架台本体22Hの上面22UPに固定されている。
【0071】
左右のガイド部材34の間隔W7は、燃料電池ユニット20の下端部の幅W11と等しいか、わずかに長い程度である。このため、燃料電池ユニット20をガイド部材34の間で上面22UPに設置した状態で、燃料電池ユニット20は幅方向に位置決めされる。燃料電池ユニット20を架台本体22Hの上面22UPにおいて幅方向に位置合わせする必要がないので、設置作業に優れる。
【0072】
そして、燃料電池ユニット20が幅方向に位置合わせされた状態で、燃料電池ユニット20を、図9に矢印A1で示すように、奥側に押し込むことができる。燃料電池ユニット20は幅方向でガイド部材34にガイドされているので、奥側に押し込む際に、幅方向に不用意に移動したり蛇行したりすることなくガイドされ、燃料電池ユニット20の設置作業が容易となる。
【0073】
ガイド部材34は位置決めストッパ38を有しており、燃料電池ユニット20が位置決めストッパ38に接触することで、奥行方向にも位置決めされる。燃料電池ユニット20を架台本体22Hの上面22UPにおいて奥行方向に位置合わせする必要がなく、奥行方向に押し込むことで燃料電池ユニット20を所定位置に設置できるので、作業性に優れる。
【0074】
特に、PS12では扉14を開放した状態で燃料電池ユニット20の設置作業を行う。このように扉14側から設置作業を行う場合に、燃料電池ユニット20を架台本体22Hの上面22UPで幅方向及び奥行方向に位置合わせできることで、設置作業の作業性が向上している。
【0075】
架台本体22Hは上面22UPの四隅の位置に支持領域28が形成されている。この支持領域28を用いて、燃料電池ユニット20を確実に指示できる。
【0076】
図11及び図12に示すように、燃料電池ユニット20の下部には、各種の配管42(ガス配管、給水配管、貯湯配管等)や、配線44(電源線、変流器配線、通信線等)が配設されている。架台本体22Hには中空部24が設けられており、上面開口部26UPを通じて、これらの配管42及び配線44を中空部24に配設し、各種の作業(他の配管や配線との接続作業等)を行うことが可能である。このように、中空部24を配管42及び配線44の配設スペースとして利用できるので、中空部24がない構造と比較して、作業性が高い。
【0077】
架台本体22Hは、複数(本実施形態では6面それぞれに設けられた)開口部26を有している。開口部26から、工具等を中空部24に差し入れて、中空部24において各種の作業を行うことが可能であるため、作業性が高い。
【0078】
たとえば、開口部26のいずれかから、たとえば前面開口部26FRや上面開口部26UP等から中空部24にアクセスし、架台22に対する燃料電池ユニット20の固定作業を行うことができる。換言すれば、開口部26及び中空部24が、燃料電池ユニット20の固定作業の作業スペースとして機能する。
【0079】
特に、前面開口部26FRは、PS12において扉14側に位置する前面22FRの開口部である。したがって、図2に示すように、扉14(図2の例では右扉14RF)を開けた状態で、前面22FR側からの中空部24へのアクセスが容易になるので、作業性に優れる。
【0080】
また、上面開口部26UPは、たとえば支持脚20Lを有する燃料電池ユニット20を支持している場合に、支持脚20Lの間から上面開口部26UPを通じて中空部24にアクセスが可能となるので、作業性に優れる。
【0081】
さらに、PS12内で燃料電池ユニット20を右側に設置した場合には、左側に設置される他の機器(たとえば貯湯ユニットやバックアップ熱源)との間に隙間が生じることがあるが、この隙間から、左側面開口部26LHを通じて中空部24にアクセスできるので、作業性が高い。架台22は右側面開口部26RHも有しているので、たとえばPS12内で燃料電池ユニット20を左側に配置した場合には、右側の他機器との隙間から右側面開口部26RHを通じて中空部24にアクセスできる。
【0082】
また、PS12の内寸サイズによっては、PS12の内面と架台22との間に隙間が生じることがある。これらの隙間から、後面開口部26RR、右側面開口部26RHを通じて中空部24にアクセス可能となる場合もあり、この場合にも架台22を使用していることで、世知作業の作業性向上に寄与する。
【0083】
6つの開口部26のうち、特に前面開口部26FRは、架台22の前面22FRにおいて幅方向の中央に位置し、上下方向には上端から下端まで形成されている。前面開口部26FRの開口高さH2が上下方向に広いので、前面22FR側から中空部24にアクセスしやすく、作業性が高い。
【0084】
さらに、図13に示すように、前面開口部26FRと上面開口部26UPとが連続しており、前面開口部26FRと上面開口部26UPとの間に、これらを隔てる部分がない。このため、架台22の外側から中空部24を見る場合に、前面開口部26FRと上面開口部26UPとの間の部材が邪魔にならず、作業性に優れる。
【0085】
たとえば、先端部分が前面開口部26FRから前面22FR側へ突出している状態の配管42Aを、中空部24内に一時的に退避させる(奥側へ押し込む)ことなく、矢印A2で示すようにそのまま立ち上げて、上面開口部26UPを通る状態にすることが可能である。配管42Aを中空部24に退避させることなく立ち上げることができるので、この点においても作業性に優れる。
【0086】
上面開口部26UPにおいて開口幅W3を有する部分は、4つの上ボルト孔32UPの幅方向の間隔L3よりも広くなっている。すなわち、前後の上ボルト孔32UPの間の部分まで幅方向に広く開口されているので、このように広く開口されていない形状と比較して、中空部24へのアクセスが容易であり、作業性が高い。
【0087】
また、上面開口部26UPにおいて幅方向の中央部分は、4つの上ボルト孔32UPの奥行方向の間隔L2よりも広くなっている。左右の上ボルト孔32UPの間の部分まで手前側及び奥側に開口されているので、このように広く開口されていない形状と比較して、中空部24へのアクセスが容易であり、作業性が高い。
【0088】
なお、上記では、固定部の例として上ボルト孔32UPを挙げたが、固定部はこれに限定されない。たとえば、クリップやクランプ等を固定部として用いることも可能である。固定部として上ボルト孔32UPを設けた構造とすることで、ボルトとナットを用いて燃料電池ユニット20を架台22に固定できるので、固定構造の簡素化を図ることができる。
【0089】
同様に、上記では、被固定部の例として下ボルト孔32DOを挙げたが、被固定部はこれに限定されない。固定部と同様に、クリップやクランプ等を被固定部として用いることも可能である。被固定部として下ボルト孔32DOを設けた構造とすることで、ボルトとナットを用いて架台22をPS12に固定できるので、固定構造の簡素化を図ることができる。
【0090】
架台本体の形状としても、上記では直方体の枠状に形成された架台本体22Hを挙げたが、これに限定されない。たとえば、平面視(上側から見た状態)にて長方形以外の形状であってもよい。
【0091】
さらには、架台が、上部の枠部材と下部の枠部材とを含み、これらが、接離可能に連結された構造として、架台の寸法高さを調整可能とした構造でもよい。たとえば、上部の枠部材と下部の枠部材との間に、上下方向の長孔を有するアングルを配置し、長孔にボルトを挿通してナットを締結することで、長孔の長さの範囲内で高さ寸法を調整可能な架台の構造を実現できる。
【0092】
また、各種の配管や配線を架台22に留める結束具(結束バンド、結束ゴム等)用の孔やフックを架台22に設けてもよい。結束具を用いて配管や配線を架台22に留めることで、配管や配線のばたつきを抑制して所定位置に維持できるので、作業性に優れる。
【0093】
架台22を用いて支持する機器としても、上記の燃料電池ユニット20に限定されない。たとえば、燃料電池ユニット20と同様にコジェネレーションシステムを構成する貯湯ユニットやバックアップ熱源であってもよい。さらには、PS12の外部に向けて扉側配管を有する機器であれば、貫通孔14H(図1及び図2参照)の位置が置き換え後の機器における扉側配管と一致しない場合が想定される。このような場合に、本願の開示の技術の架台22を用いることで、特別な作業等を行うことなく置き換え後の機器の扉側配管の高さ位置を貫通孔14Hの高さ位置と一致させることができ、作業性を向上させることができる。
【0094】
機器を設置するスペースとしても、上記のPSに限定されず、各種の機器に対応して設けられた建物内の機器室であればよい。
【0095】
機器を機器室に配置する建物としても、上記の集合住宅に限定されず、オフィスビル、商業施設、工場等であってもよい。
【符号の説明】
【0096】
12 PS(機器室の一例)
14 扉
14H 貫通孔
14L 左扉
14R 右扉
16 台座
20 燃料電池ユニット(機器の一例)
20L 支持脚
20P 排気管(扉側配管の一例)
22 架台
22DO 下面
22FR 前面
22LH 左側面
22RH 右側面
22RR 後面
22UP 上面
24 中空部
26 開口部
26DO 下面開口部
26FR 前面開口部
26LH 左側面開口部
26RH 右側面開口部
26RR 後面開口部
26UP 上面開口部
32UP 上ボルト孔(固定部の一例)
32DO 下ボルト孔(被固定部の一例)
34 ガイド部材
34H 横板部
34V 縦板部
36 位置決め片
38 位置決めストッパ
42 配管
44 配線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13