(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023049995
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】温度管理インジケーター及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
G01K 11/12 20210101AFI20230403BHJP
【FI】
G01K11/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021160099
(22)【出願日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000111890
【氏名又は名称】パイロットインキ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】三田 真之
【テーマコード(参考)】
2F056
【Fターム(参考)】
2F056VA02
2F056VA05
2F056VA10
(57)【要約】
【課題】 低温域に適正温度範囲を有し、適正温度範囲が狭い生鮮食品、冷凍食品、医薬品等の物品等が、流通時及び保存時において、一度も適正温度範囲を逸脱することなく保管されていたか否かを、感温変色性色彩記憶性材料の色変化によって不可逆的に判別できる温度管理インジケーター及びその使用方法を提供する。
【解決手段】 感温変色性色彩記憶性材料を備えた第一の可逆熱変色体(20)と、感温変色性色彩記憶性材料を備えた第二の可逆熱変色体(30)とから構成され、前記感温変色性色彩記憶性材料は8~100℃のヒステリシス幅を示して変色し、一方の感温変色性色彩記憶性材料は発色状態で、且つ、(ハ)成分が特定の化合物であり、完全消色温度t
4が-25℃以上、15℃以下の範囲にあり、他方の感温変色性色彩記憶性材料は消色状態で、且つ、完全発色温度t
1が-30℃を超え、10℃以下の範囲にある温度管理インジケーター(10)。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感温変色性色彩記憶性材料を備えた第一の可逆熱変色体と、感温変色性色彩記憶性材料を備えた第二の可逆熱変色体とから構成される温度管理インジケーターであって、前記感温変色性色彩記憶性材料は、(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)成分及び(ロ)成分の呈色反応をコントロールする反応媒体とから少なくともなる感温変色性色彩記憶性組成物を内包した感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料、又は、前記感温変色性色彩記憶性組成物を熱可塑性樹脂若しくは熱硬化性樹脂中に分散させた感温変色性色彩記憶性樹脂粒子であり、色濃度-温度曲線に関してヒステリシス特性を示して発色状態と消色状態の互変性を呈し、発色状態から温度が上昇する過程では、消色開始温度t
3に達すると消色し始め、温度t
3より高い完全消色温度t
4以上の温度域で完全に消色状態となり、消色状態から温度が下降する過程では、発色開始温度t
2に達すると発色し始め、温度t
2より低い完全発色温度t
1以下の温度域で完全に発色状態となるヒステリシス特性を示し、色濃度-温度曲線に関して、8~100℃のヒステリシス幅(ΔH)を示して変色し、且つ、前記感温変色性色彩記憶性材料の一方は発色状態、他方は消色状態であり、消色状態の感温変色性色彩記憶性材料の完全消色温度t
4は、発色状態の感温変色性色彩記憶性材料の完全消色温度t
4より大きく、消色状態の感温変色性色彩記憶性材料の完全発色温度t
1は、発色状態の感温変色性色彩記憶性材料の完全発色温度t
1より大きく、前記発色状態の感温変色性色彩記憶性材料は、(ハ)成分が下記式(C)で示される化合物であり、完全消色温度t
4が-25℃以上、15℃以下の範囲にあり、前記消色状態の感温変色性色彩記憶性材料は、完全発色温度t
1が-30℃を超え、10℃以下の範囲にあることを特徴とする温度管理インジケーター。
【化1】
〔式中、R
1は、下記式(*)で示される基、又は、シクロアルキル基を示し、R
2は、炭素数1~13の直鎖又は分岐のアルキル基を示す〕
【化2】
(式中、Xは、水素原子、又は、炭素数1~3の直鎖若しくは分岐のアルキル基を示す)
【請求項2】
前記R1が、Xが水素原子若しくはメチル基である基、又は、シクロヘキシル基である請求項1記載の温度管理インジケーター。
【請求項3】
前記R2が、炭素数3~11の直鎖又は分岐のアルキル基である請求項1又は2記載の温度管理インジケーター。
【請求項4】
前記発色状態の感温変色性色彩記憶性材料の完全発色温度t1が-30℃以下である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の温度管理インジケーター。
【請求項5】
前記消色状態の感温変色性色彩記憶性材料の完全消色温度t4が40℃以上である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の温度管理インジケーター。
【請求項6】
前記第一の可逆熱変色体及び第二の可逆熱変色体に備えられる各感温変色性色彩記憶性材料は、発色状態で互いに異なる色を呈する請求項1乃至5のいずれか記載の温度管理インジケーター。
【請求項7】
前記第一の可逆熱変色体と第二の可逆熱変色体を並設してなる請求項1乃至6のいずれか一項に記載の温度管理インジケーター。
【請求項8】
前記第一の可逆熱変色体上に前記第二の可逆熱変色体を積層してなる請求項1乃至6のいずれか一項に記載の温度管理インジケーター。
【請求項9】
前記第二の可逆熱変色体が透明性を有してなる請求項8記載の温度管理インジケーター。
【請求項10】
前記第一の可逆熱変色体又は第二の可逆熱変色体の少なくとも一方が、支持体上に感温変色性色彩記憶性材料を含有してなる可逆熱変色層を設けてなる可逆熱変色性積層体である請求項1乃至9のいずれか一項に記載の温度管理インジケーター。
【請求項11】
前記可逆熱変色体の、対象物と接する面に粘着層を設けてなる請求項1乃至10のいずれか一項に記載の温度管理インジケーター。
【請求項12】
前記支持体が、対象物に貼着後剥がすと剥がしたことが判別できる、粘着層を設けた改ざん防止用部材である請求項10記載の温度管理インジケーター。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の温度管理インジケーターを、対象物に設けて使用することを特徴とする温度管理インジケーターの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は温度管理インジケーター及びその使用方法に関する。さらに詳細には、適正温度範囲内で保存されることを必要とする物品等の温度管理を、感温変色性色彩記憶性材料の色変化によって行うことのできる温度管理インジケーター及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、温度上昇又は温度低下によって可逆熱変色層が色変化することにより偽造を判別可能な、偽造防止媒体が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
上記の偽造防止媒体は、一方が有色状態、他方が無色状態であり、大きなヒステリシス特性を示す各感温変色性色彩記憶性組成物を含有する可逆熱変色層を備えてなり、温度が上昇又は低下すると、各感温変色性色彩記憶性組成物が共に無色状態又は有色状態となり、一方の感温変色性色彩記憶性組成物が有色である変色前の状態に戻すことが困難となり、所定の温度範囲を逸脱したか否かを不可逆的に判別できる温度管理インジケーターとしての機能を有するものである。
【0003】
また近年、生鮮食品、冷凍食品、医薬品等の適正温度範囲が低い物品を、生産、輸送、消費の流通過程の間で適正温度範囲を保ち続け、物品の品質を劣化させることなく、広域に流通させることが可能である物流方式、いわゆるコールドチェーンが普及している。コールドチェーンでは、流通過程の間で物品が適正温度範囲外の温度環境下に一度も逸脱することなく保持されていたか否かを確実に判別できるように温度を管理する必要があり、所定の温度範囲を逸脱すると色変化する材料を用いることにより、簡便に、物品が適正温度範囲を逸脱したことを検知することができる。上記した偽造防止媒体は、物品が常温域を逸脱したか否かを、感温変色性色彩記憶性材料によって不可逆的に判別できる温度管理インジケーターとしての機能を有するものの、低温域に適正温度範囲を有し、さらに適正温度範囲が狭い物品に対して使用する場合には、感温変色性色彩記憶性材料が択一的に色彩を記憶保持することができ難く、物品が適正温度範囲を超える温度環境下に逸脱したか否かを不可逆的に判別することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、低温域に適正温度範囲を有し、適正温度範囲が狭い生鮮食品、冷凍食品、医薬品等の物品又はその保存容器が、流通時及び保存時において、一度も適正温度範囲を逸脱することなく保管されていたか否かを、感温変色性色彩記憶性材料の色変化によって不可逆的に判別可能な温度管理インジケーター及びその使用方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、感温変色性色彩記憶性材料を備えた第一の可逆熱変色体と、感温変色性色彩記憶性材料を備えた第二の可逆熱変色体とから構成される温度管理インジケーターであって、前記感温変色性色彩記憶性材料は、(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)成分及び(ロ)成分の呈色反応をコントロールする反応媒体とから少なくともなる感温変色性色彩記憶性組成物を内包した感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料、又は、前記感温変色性色彩記憶性組成物を熱可塑性樹脂若しくは熱硬化性樹脂中に分散させた感温変色性色彩記憶性樹脂粒子であり、色濃度-温度曲線に関してヒステリシス特性を示して発色状態と消色状態の互変性を呈し、発色状態から温度が上昇する過程では、消色開始温度t
3に達すると消色し始め、温度t
3より高い完全消色温度t
4以上の温度域で完全に消色状態となり、消色状態から温度が下降する過程では、発色開始温度t
2に達すると発色し始め、温度t
2より低い完全発色温度t
1以下の温度域で完全に発色状態となるヒステリシス特性を示し、色濃度-温度曲線に関して、8~100℃のヒステリシス幅(ΔH)を示して変色し、且つ、前記感温変色性色彩記憶性材料の一方は発色状態、他方は消色状態であり、消色状態の感温変色性色彩記憶性材料の完全消色温度t
4は、発色状態の感温変色性色彩記憶性材料の完全消色温度t
4より大きく、消色状態の感温変色性色彩記憶性材料の完全発色温度t
1は、発色状態の感温変色性色彩記憶性材料の完全発色温度t
1より大きく、前記発色状態の感温変色性色彩記憶性材料は、(ハ)成分が下記式(C)で示される化合物であり、完全消色温度t
4が-25℃以上、15℃以下の範囲にあり、前記消色状態の感温変色性色彩記憶性材料は、完全発色温度t
1が-30℃を超え、10℃以下の範囲にあることを特徴とする温度管理インジケーターを要件とする。
【化1】
〔式中、R
1は、下記式(*)で示される基、又は、シクロアルキル基を示し、R
2は、炭素数1~13の直鎖又は分岐のアルキル基を示す〕
【化2】
(式中、Xは、水素原子、又は、炭素数1~3の直鎖若しくは分岐のアルキル基を示す)
さらには、前記R
1が、Xが水素原子若しくはメチル基である基、又は、シクロヘキシル基であること、前記R
2が、炭素数3~11の直鎖又は分岐のアルキル基であること、前記発色状態の感温変色性色彩記憶性材料の完全発色温度t
1が-30℃以下であること、前記消色状態の感温変色性色彩記憶性材料の完全消色温度t
4が40℃以上であることを要件とする。
さらには、前記第一の可逆熱変色体及び第二の可逆熱変色体に備えられる各感温変色性色彩記憶性材料は、発色状態で互いに異なる色を呈すること、前記第一の可逆熱変色体と第二の可逆熱変色体を並設してなること、前記第一の可逆熱変色体上に前記第二の可逆熱変色体を積層してなること、前記第二の可逆熱変色体が透明性を有してなること、前記第一の可逆熱変色体又は第二の可逆熱変色体の少なくとも一方が、支持体上に感温変色性色彩記憶性材料を含有してなる可逆熱変色層を設けてなる可逆熱変色性積層体であること、前記可逆熱変色体の、対象物と接する面に粘着層を設けてなること、前記支持体が、対象物に貼着後剥がすと剥がしたことが判別できる、粘着層を設けた改ざん防止用部材であることを要件とする。
さらには、前記温度管理インジケーターを、対象物に設けて使用することを特徴とする温度管理インジケーターの使用方法を要件とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、低温域に適正温度範囲を有し、適正温度範囲が狭い生鮮食品、冷凍食品、医薬品等の物品又はその保存容器が、流通時及び保存時において、一度も適正温度範囲を逸脱することなく保管されていたか否かを、感温変色性色彩記憶性材料の色変化によって検知可能であり、一度適正温度範囲を逸脱すると元の色に戻すことが困難な不可逆性を有する温度管理インジケーター及びその使用方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に適用される感温変色性色彩記憶性組成物の色濃度-温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフである。
【
図2】本発明における初期状態の温度管理インジケーターの色変化挙動の一例を説明するグラフである。
【
図3】本発明における初期状態の温度管理インジケーターの色変化挙動の他の例を説明するグラフである。
【
図4】本発明の温度管理インジケーターの一例の縦断面説明図である。
【
図5】本発明の温度管理インジケーターの他の例の縦断面説明図である。
【
図6】
図4の温度管理インジケーターの色変化の説明図である。
【
図7】
図5の温度管理インジケーターの色変化の説明図である。
【
図8】本発明の温度管理インジケーターの他の例の縦断面説明図である。
【
図9】
図8の温度管理インジケーターの色変化の説明図である。
【
図10】第一の可逆熱変色体の一例の縦断面説明図である。
【
図11】第二の可逆熱変色体の一例の縦断面説明図である。
【
図12】本発明の温度管理インジケーターの他の例の縦断面説明図である。
【
図13】本発明の温度管理インジケーターの他の例の縦断面説明図である。
【
図14】本発明の温度管理インジケーターの他の例の縦断面説明図である。
【
図15】本発明の温度管理インジケーターの他の例の縦断面説明図である。
【
図16】本発明の温度管理インジケーターの他の例の縦断面説明図である。
【
図17】本発明の温度管理インジケーターの他の例の縦断面説明図である。
【
図18】本発明の温度管理インジケーターの他の例の縦断面説明図である。
【
図19】本発明の温度管理インジケーターの他の例の縦断面説明図である。
【
図20】本発明の温度管理インジケーターの他の例の縦断面説明図である。
【
図21】本発明の温度管理インジケーターの他の例の縦断面説明図である。
【
図22】本発明の温度管理インジケーターの他の例の縦断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明における「低温域」とは、コールドチェーンが適用される生鮮食品、冷凍食品、医薬品等の物品の適正温度範囲を含む温度範囲であり、冷蔵庫や冷凍庫等の日常の生活環境下で一般的に使用される冷却具により到達可能な温度範囲、具体的には-30℃を超え、10℃以下の温度範囲を表す。
また、「超低温域」とは、低温域よりも低い温度範囲であり、日常の生活環境下で一般的に使用される冷却具では到達し難い温度範囲、具体的には-30℃以下の温度範囲を表す。
【0010】
以下に、本発明に適用される感温変色性色彩記憶性組成物(色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物)の色濃度-温度曲線におけるヒステリシス特性について説明する。
図1において、縦軸に色濃度、横軸に温度が表されている。温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。ここで、Aは完全消色状態に達する温度t
4(以下、完全消色温度と称す)における濃度を示す点であり、Bは完全発色状態を保持できる温度t
3(以下、消色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Cは完全消色状態を保持できる温度t
2(以下、発色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Dは完全発色状態に達する温度t
1(以下、完全発色温度と称す)における濃度を示す点である。
変色温度領域は完全発色温度t
1と完全消色温度t
4間の温度域であり、発色状態と消色状態のいずれかの状態を保持でき、色濃度の差の大きい領域である発色開始温度t
2と消色開始温度t
3の間の温度域が実質変色温度域である。
具体的には、消色状態にある感温変色性色彩記憶性組成物を、発色開始温度t
2以下の温度まで冷却することにより発色状態への変化を開始させることができ、完全発色温度t
1以下の温度に冷却することにより完全な発色状態とすることができ、感温変色性色彩記憶性組成物の温度を消色開始温度t
3まで上げない限り、その状態を維持することができる。
また、発色状態にある感温変色性色彩記憶性組成物に熱を加え、消色開始温度t
3以上の温度まで加熱することにより消色状態への変化を開始させることができ、完全消色温度t
4以上の温度まで加熱することにより完全な消色状態とすることができ、感温変色性色彩記憶性組成物の温度を発色開始温度t
2まで下げない限り、その状態を維持することができる。
また、線分EFの長さが変色のコントラストを示す尺度であり、線分EFの中点を通る線分HGの長さがヒステリシスの程度を示す温度幅〔以下、ヒステリシス幅(ΔH)と称す〕であり、このΔHが大きい程、変色前後の各状態の保持が容易である。変色前後の各状態を保持できるΔHは8℃以上であり、具体的には8~100℃の範囲である。変色前後の各状態の保持がよりいっそう容易であることから、ΔHは、20~100℃であることが好ましく、30~100℃であることがより好ましい。ここで、完全消色温度t
4と消色開始温度t
3の差、或いは、発色開始温度t
2と完全発色温度t
1の差であるΔtが変色の鋭敏性を示す尺度であり、Δt=1~20℃の範囲が実用的であり、さらに、Δt=1~15℃であることが好ましく、Δt=1~10℃であることがより好ましい。
なお、本発明において感温変色性色彩記憶性材料は、感温変色性色彩記憶性組成物を用いるものであり、感温変色性色彩記憶性材料の色濃度-温度曲線におけるヒステリシス特性は、感温変色性色彩記憶性組成物の色濃度-温度曲線におけるヒステリシス特性と同じものである。
【0011】
以下に、本発明に適用される感温変色性色彩記憶性組成物の(イ)、(ロ)、(ハ)成分について具体的に説明する。
【0012】
(イ)成分、即ち電子供与性呈色性有機化合物は色を決める成分であって、顕色剤である(ロ)成分に電子を供与し、発色する化合物である。
電子供与性呈色性有機化合物としては、フタリド化合物、フルオラン化合物、スチリノキノリン化合物、ジアザローダミンラクトン化合物、ピリジン化合物、キナゾリン化合物、及びビスキナゾリン化合物等が挙げられ、これらの中でもフタリド化合物及びフルオラン化合物が好ましい。
フタリド化合物としては、ジフェニルメタンフタリド化合物、フェニルインドリルフタリド化合物、インドリルフタリド化合物、ジフェニルメタンアザフタリド化合物、フェニルインドリルアザフタリド化合物、及びそれらの誘導体等が挙げられ、これらの中でも、フェニルインドリルアザフタリド化合物及びその誘導体が好ましい。
また、フルオラン化合物としては、アミノフルオラン化合物、アルコキシフルオラン化合物、及びそれらの誘導体等が挙げられる。
【0013】
電子供与性呈色性有機化合物としては、例えば、
3,3-ビス(4-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、
3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、
3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、
3,3-ビス(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、
3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-(2-n-ヘキシルオキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-〔2-エトキシ-4-(N-エチルアニリノ)フェニル〕-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-(2-アセトアミド-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-プロピル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3,6-ビス(ジフェニルアミノ)フルオラン、
3,6-ビス(N-フェニル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
3,6-ジメトキシフルオラン、
3,6-ジ-n-ブトキシフルオラン、
2-メチル-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
3-クロロ-6-シクロヘキシルアミノフルオラン、
2-メチル-6-シクロヘキシルアミノフルオラン、
2-クロロアミノ-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-(2-クロロアニリノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジ-n-ペンチルアミノフルオラン、
2-ジベンジルアミノ-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(N-メチルアニリノ)-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
1,3-ジメチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-クロロ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メトキシ-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メトキシ-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-キシリジノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
6-ジエチルアミノ-1,2-ベンゾフルオラン、
6-(N-エチル-N-イソブチルアミノ)-1,2-ベンゾフルオラン、
6-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)-1,2-ベンゾフルオラン、
2-(3-メトキシ-4-ドデコキシスチリル)キノリン、
2-ジエチルアミノ-8-ジエチルアミノ-4-メチルスピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1′(3′H)-イソベンゾフラン]-3′-オン、
2-ジ-n-ブチルアミノ-8-ジ-n-ブチルアミノ-4-メチルスピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1′(3′H)-イソベンゾフラン]-3′-オン、
2-ジ-n-ブチルアミノ-8-ジエチルアミノ-4-メチルスピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1′(3′H)-イソベンゾフラン]-3′-オン、
2-ジ-n-ブチルアミノ-8-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)-4-メチルスピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1′(3′H)-イソベンゾフラン]-3′-オン、
2-ジ-n-ブチルアミノ-8-ジ-n-ペンチルアミノ-4-メチルスピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1′(3′H)-イソベンゾフラン]-3′-オン、
9-エチル-(3-メチルブチル)アミノ-スピロ[12H-ベンゾ[a]キサンテン-12,1′(3′H)-イソベンゾフラン]-3′-オン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-(4-ジメチルアミノ-2-メトキシフェニル)-3-(1-n-ブチル-2-メチルインドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-n-ペンチル-2-メチルインドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
3′,6′-ビス〔フェニル(2-メチルフェニル)アミノ〕スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-[9H]キサンテン]-3-オン、
3′,6′-ビス〔フェニル(3-メチルフェニル)アミノ〕スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-[9H]キサンテン]-3-オン、
3′,6′-ビス〔フェニル(3-エチルフェニル)アミノ〕スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-[9H]キサンテン]-3-オン、
2,6-ビス(2′-エチルオキシフェニル)-4-(4′-ジメチルアミノフェニル)ピリジン、
2,6-ビス(2′,4′-ジエチルオキシフェニル)-4-(4′-ジメチルアミノフェニル)ピリジン、
2-(4′-ジメチルアミノフェニル)-4-メトキシキナゾリン、
4,4′-エチレンジオキシ-ビス〔2-(4-ジエチルアミノフェニル)キナゾリン〕
等を例示できる。
なお、フルオラン類としては、キサンテン環を形成するフェニル基に置換基を有する化合物のほか、キサンテン環を形成するフェニル基に置換基を有すると共に、ラクトン環を形成するフェニル基にも置換基(例えば、メチル基等のアルキル基、塩素原子等のハロゲン原子)を有する青色又は黒色を呈する化合物等であってもよい。
【0014】
(ロ)成分、即ち電子受容性化合物は、(イ)成分から電子を受け取り、(イ)成分の顕色剤として機能する化合物である。
電子受容性化合物としては、活性プロトンを有する化合物群、偽酸性化合物群〔酸ではないが、感温変色性色彩記憶性組成物中で酸として作用して(イ)成分を発色させる化合物群〕、及び電子空孔を有する化合物群等から選択される化合物が挙げられる。上記の(ロ)成分の中でも、活性プロトンを有する化合物群から選択される化合物が好ましい。
【0015】
活性プロトンを有する化合物群としては、フェノール性水酸基を有する化合物及びその誘導体、カルボン酸及びその誘導体、酸性リン酸エステル及びその誘導体、アゾ-ル系化合物及びその誘導体、1,2,3-トリアゾール及びその誘導体、環状カルボスルホイミド類、炭素数2~5のハロヒドリン類、スルホン酸及びその誘導体、並びに無機酸類等が挙げられる。カルボン酸及びその誘導体としては、芳香族カルボン酸及びその誘導体、又は、炭素数2~5の脂肪族カルボン酸及びその誘導体が好ましい。
偽酸性化合物群としては、フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩、カルボン酸の金属塩、酸性リン酸エステルの金属塩、スルホン酸の金属塩、芳香族カルボン酸無水物、脂肪族カルボン酸無水物、芳香族カルボン酸とスルホン酸の混合無水物、シクロオレフィンジカルボン酸無水物、尿素及びその誘導体、チオ尿素及びその誘導体、グアニジン及びその誘導体、並びにハロゲン化アルコール類等が挙げられる。
電子空孔を有する化合物群としては、硼酸塩類、硼酸エステル類、及び無機塩類等が挙げられる。
【0016】
上記の(ロ)成分の中でも、より有効に熱変色特性を発現させることができることから、フェノール性水酸基を有する化合物が好ましい。
フェノール性水酸基を有する化合物には、モノフェノール化合物からポリフェノール化合物まで広く含まれ、さらに、ビスフェノール化合物及びトリスフェノール化合物、フェノール-アルデヒド縮合樹脂等もこれに含まれる。フェノール性水酸基を有する化合物は、少なくともベンゼン環を2以上有することが好ましい。また、フェノール性水酸基を有する化合物は、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基及びそのエステル又はアミド基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。
【0017】
フェノール性水酸基を有する化合物等の金属塩が含む金属としては、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛、ジルコニウム、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、コバルト、スズ、銅、鉄、バナジウム、チタン、鉛、及びモリブデン等を例示できる。
【0018】
以下に(ロ)成分の化合物を例示する。
フェノール性水酸基を1有する化合物としては、例えば、
フェノール、
o-クレゾール、
m-クレゾール、
p-クレゾール、
4-エチルフェノール、
4-n-プロピルフェノール、
4-n-ブチルフェノール、
2-tert-ブチルフェノール、
3-tert-ブチルフェノール、
4-tert-ブチルフェノール、
4-n-ペンチルフェノール、
4-tert-ペンチルフェノール、
4-n-オクチルフェノール、
4-tert-オクチルフェノール、
4-n-ノニルフェノール、
4-n-ドデシルフェノール、
3-n-ペンタデシルフェノール、
4-n-ステアリルフェノール、
1-(4-ヒドロキシフェニル)デカン-1-オン、
4-クロロフェノール、
4-ブロモフェノール、
4-トリフルオロメチルフェノール、
4-メチルチオフェノール、
4-ニトロフェノール、
2-フェニルフェノール、
4-フェニルフェノール、
2-ベンジルフェノール、
2-ベンジル-4-クロロフェノール、
4-クミルフェノール、
4-ヒドロキシベンゾフェノン、
4-クロロ-4′-ヒドロキシベンゾフェノン、
4-フルオロ-4′-ヒドロキシベンゾフェノン、
4-シクロヘキシルフェノール、
2-ヒドロキシベンジルアルコール、
3-ヒドロキシベンジルアルコール、
4-ヒドロキシベンジルアルコール、
4-(2-ヒドロキシエチル)フェノール、
3-メトキシフェノール、
4-エトキシフェノール、
4-n-プロポキシフェノール、
4-n-ブトキシフェノール、
4-n-ヘプチルオキシフェノール、
4-(2-メトキシエチル)フェノール、
α-ナフトール、
β-ナフトール、
2,3-ジメチルフェノール、
2,4-ジメチルフェノール、
2,6-ジメチルフェノール、
2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、
2,4-ジクロロフェノール、
2,4-ジフルオロフェノール、
チモール、
3-メチル-4-メチルチオフェノール、
2-tert-ブチル-5-メチルフェノール、
2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-4-メチルフェノール、
2,3,5-トリメチルフェノール、
2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-4-tert-オクチルフェノール、
6-ヒドロキシ-1,3-ベンゾオキサチオール-2-オン、
2,4-ビス(フェニルスルホニル)フェノール、
2,4-ビス(フェニルスルホニル)-5-メチルフェノール、
2,4-ビス(4-メチルフェニルスルホニル)フェノール、
2-フェニルフェノール、
4-フェニルフェノール、
2,6-ジフェニルフェノール、
3-ベンジルビフェニル-2-オール、
3,5-ジベンジルビフェニル-4-オール、
4-シアノ-4′-ヒドロキシビフェニル、
1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-メチルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-クロロベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-メトキシベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-4-ベンゾイルアミノベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-4,5,6,7-テトラクロロベンゾトリアゾール、
1,4-ヒドロキシベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-ニトロベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-フェニルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-ベンジルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-エチルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-n-オクチルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-n-ブチルベンゾトリアゾール、
4-ヒドロキシ安息香酸n-ブチル、
4-ヒドロキシ安息香酸n-オクチル、
4-ヒドロキシ安息香酸2-ヘプタデカフルオロオクチルエタン、
4-ヒドロキシ安息香酸ベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸ベンジルエステル、
4-ヒドロキシ安息香酸-o-メチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-m-メチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-メチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-エチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-プロピルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-tert-ブチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸フェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-o-メチルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-m-メチルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-メチルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-エチルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-プロピルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-tert-ブチルフェニルエチル
等を例示できる。
【0019】
フェノール性水酸基を2有する化合物としては、例えば、
レゾルシン、
2-メチルレゾルシン、
4-n-ヘキシルレゾルシン、
4-n-オクチルレゾルシン、
4-tert-オクチルレゾルシン、
4-ベンゾイルレゾルシン、
4-ニトロレゾルシン、
β-レゾルシン酸メチル、
β-レゾルシン酸ベンジル、
2-クロロ-4-ペンタノイルレゾルシン、
6-クロロ-4-ペンタノイルレゾルシン、
2-クロロ-4-ヘキサノイルレゾルシン、
6-クロロ-4-ヘキサノイルレゾルシン、
2-クロロ-4-プロパノイルレゾルシン、
6-クロロ-4-プロパノイルレゾルシン、
2,6-ジクロロ-4-プロパノイルレゾルシン、
6-フルオロ-4-プロパノイルレゾルシン、
2-クロロ-4-フェニルアセチルレゾルシン、
6-クロロ-4-フェニルアセチルレゾルシン、
2-クロロ-4-β-フェニルプロパノイルレゾルシン、
6-クロロ-4-β-フェニルプロパノイルレゾルシン、
2-クロロ-4-フェノキシアセチルレゾルシン、
6-クロロ-4-フェノキシアセチルレゾルシン、
4-ベンゾイル-2-クロロレゾルシン、
6-クロロ-4-m-メチルベンゾイルレゾルシン、
4-〔1′,3′,4′,9′a-テトラヒドロ-6′-ヒドロキシスピロ(シクロヘキサン-1,9′-[9H]-キサンテン)-4′a-[2H]-イル〕-1,3-ベンゼンジオール、
ヒドロキノン、
メチルヒドロキノン、
トリメチルヒドロキノン、
カテコール、
4-tert-ブチルカテコール、
1,6-ジヒドロキシナフタレン、
2,7-ジヒドロキシナフタレン、
1,5-ジヒドロキシナフタレン、
2,6-ジヒドロキシナフタレン、
2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、
4,4′-ジヒドロキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′-メチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′-メチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-メチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-エチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-プロピルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-イソプロピルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ブチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-イソブチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-tert-ブチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ペンチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ヘキシルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ヘプチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-オクチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-デシルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,3′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,4′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,5′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,6′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,5′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,4′,6′-トリメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′-メトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′-メトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-メトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′-エトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-エトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-プロポキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-イソプロポキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ブトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-イソブトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ペンチルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ヘキシルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ヘプチルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-オクチルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ノニルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,3′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,4′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,5′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,6′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,5′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′-ジエトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,3′,4′-トリメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,3′,6′-トリメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′,5′-トリメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′,5′-トリエトキシベンゾフェノン
等を例示できる。
【0020】
さらにビスフェノール化合物としては、例えば、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ブタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ペンタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘプタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-オクタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ノナン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)デカン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ドデカン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチルプロパン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルブタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルペンタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2,3-ジメチルペンタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルブタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,7-ジメチルオクタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチル)シクロヘキサン、
ジフェノール酸、
1-フェニル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ブタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ペンタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘキサン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-へプタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-オクタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ノナン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ドデカン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-6,10,14-トリメチルペンタデカン、
1-フェニル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)メチルプロピオネート、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブチルプロピオネート、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチルプロピオネート、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルペンタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルヘキサン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2-ビス(3,5-ジヒドロキシメチル-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)ブタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-sec-ブチルフェニル-4-ヒドロキシ)プロパン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3,5-ジヒドロキシメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、
1,3-ビス〔2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル〕ベンゼン、
1,4-ビス〔2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル〕ベンゼン、
3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オキシインドール、
3,3-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)オキシインドール、
ビス(2-ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メタン、
ビス(2-ヒドロキシ-3-ヒドロキシメチル-5-メチル)メタン、
4,4′-〔1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)〕ビス(2-メチルフェノール)、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)シクロヘキサン、
3,3-エチレンオキシジフェノール、
1,4-ビス(4-ヒドロキシベンゾアート)-3-メチルベンゼン、
4,4″-ジヒドロキシ-3″-メチル-p-ターフェニル、
4,4″-ジヒドロキシ-3″-イソプロピル-p-ターフェニル、
2,2-ジメチル-1,3-ビス(4-ヒドロキシベンゾイルオキシ)プロパン、
2,2′-ビフェノール、
4,4′″-ジヒドロキシ-p-クアテルフェニル、
4,4-ジヒドロキシジフェニルエーテル、
ビス(4-ヒドロキシフェニルチオエチル)エーテル、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、
4-ベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-メチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-エチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-n-プロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-イソプロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-n-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-イソブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-sec-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-tert-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-メチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-エチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-n-プロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-イソプロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-n-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-イソブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-sec-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-tert-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-メチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-エチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-n-プロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-イソプロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-n-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-イソブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-sec-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-tert-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
2,4′-ジヒドロキシジフェニルスルホン、
3,4′-ジヒドロキシジフェニルスルホン、
4-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-メチル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-エチル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-プロピル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソプロピル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-クロロ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-フルオロ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-クロロ-2-メチル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-メトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-エトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-プロポキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソプロポキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-ブトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソブトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-sec-ブトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-tert-ブトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-ペンチルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソペンチルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(1-プロペニルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-プロペニルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-ベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(β-フェノキシエトキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(β-フェノキシプロポキシル)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
ビス(2-アリル-4-ヒドロキシジフェニル)スルホン、
ビス〔4-ヒドロキシ-3-(2-プロペニル)フェニル〕スルホン、
ビス(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、
ビス(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、
ビス(3-フェニル-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、
ビス(4-ヒドロキシ-3-n-プロピルフェニル)スルホン、
ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)スルホン、
3,4-ジヒドロキシジフェニルスルホン、
3′,4′-ジヒドロキシ-4-メチルジフェニルスルホン、
3,4,4′-トリヒドロキシジフェニルスルホン、
ビス(3,4-ジヒドロキシフェニル)スルホン、
2,3,4-トリヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソプロポキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-プロポキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-アリルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-ベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-プロペニルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
3-ベンジル-4-ベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
3-フェネチル-4-フェネチルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
3-メチルベンジル-4-メチルベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-ベンジルオキシ-3′-ベンジル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-フェネチルオキシ-3′-フェネチル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-メチルベンジルオキシ-3′-メチルベンジル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
α,α′-ビス{4-(p-ヒドロキシフェニルスルホン)フェノキシ}-p-キシレン、
4,4′-{オキシビス(エチレンオキシド-p-フェニレンスルホニル)}ジフェノール、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)スルフィド、
ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3-エチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3,5-ジエチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(4-ヒドロキシ-3-n-プロピルフェニル)スルフィド、
ビス(3,5-ジ-n-プロピル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(4-ヒドロキシ-3-n-ペンチルフェニル)スルフィド、
ビス(3-n-ヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3-n-ヘプチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(5-tert-オクチル-2-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(2-ヒドロキシ-3-tert-オクチルフェニル)スルフィド、
ビス(2-ヒドロキシ-5-n-オクチルフェニル)スルフィド、
ビス(5-クロロ-2-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(4-ヒドロキシフェニルチオエトキシ)メタン、
1,5-(4-ヒドロキシフェニルチオ)-3-オキシペンタン、
1,8-ビス(4-ヒドロキシフェニルチオ)-3,6-ジオキサオクタン
等を例示できる。
【0021】
フェノール性水酸基を3有する化合物としては、例えば、ピロガロール、フロログルシノール、フロログルシノールカルボン酸、没食子酸、没食子酸オクチル、没食子酸ドデシル等を例示できる。
【0022】
さらにトリスフェノール化合物としては、例えば、
4,4′,4″-メチリジントリスフェノール、
4,4′,4″-メチリジントリス(2-メチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,5-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-メチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビスフェノール、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′,4″-エチリジントリスフェノール、
4,4′,4″-エチリジントリス(2-メチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
2,6-ビス〔(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,4-ビス〔(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}メチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}プロピリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ブチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ペンチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ヘキシリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ヘプチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}イソブチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ネオペンチリデン]ビスフェノール、
2,2′-[1-{4-〔1-(2-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビスフェノール、
3,3′-[1-{4-〔1-(3-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-フルオロフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-クロロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-クロロフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-ブロモフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-メチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-エチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-エチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-tert-ブチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシ-3-トリフルオロメチルフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-トリフルオロメチルフェノール)、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-(4-ヒドロキシ-α-エチル)ベンジルシクロヘキサン、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビスフェノール、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル-3-メトキシ)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
1,1-ビス(4-ヒドロキシルフェニル)-4-ヒドロキシフェニルシクロヘキサン、
4,4′-〔3-(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-3-フェニル)プロピリデン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-メチルフェノール)、
2,4′,4″-メチリジントリスフェノール、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3-メチルフェノール)、
4,4′-〔4-(4-ヒドロキシフェニル)-sec-ブチリデン〕ビス(4-ヒドロキシフェノール)、
2,2′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2,5-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
2,2′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-エトキシ-3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-4-(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
4,4′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
2,2′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
2,2′-〔(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
2,2′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、
1,1-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
4,4′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-tert-ブチル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-tert-ブチル-6-メチルフェノール)、
4,4′-〔(3-メトキシ-2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシロフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-tert-ブチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)エチリデン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-〔(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メトキシフェニル)エチリデン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-メチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
2,6-ビス〔(5-フルオロ-2-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,4-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-6-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,6-ビス〔(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,6-ビス〔(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(2,4-ジメチル-6-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,4-ビス〔(4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-3,4-ジメチルフェノール、
2,6-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチルフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,4-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-4-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル〕-4-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,4-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
4,4′,4″-メチリジントリス(2,6-ジメチルフェノール)、
α-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-α,α′-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、
α′-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-α,α-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、
α,α-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-α′-(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、
α,α′-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-α-(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルプロピル〕シクロヘキサン、
2,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
1,1′-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル〕シクロヘキサン、
1,1′-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル〕シクロヘキサン、
1,1′-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル〕シクロヘキサン、
1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-〔4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕-4-イソプロピルシクロヘキサン、
4,4′-〔3-(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ブチレン〕ビス(2,5-ジメチルフェノール)、
1,3,5-トリ(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)アダマンタン、
1,3,5-トリ(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)アダマンタン、
2,4-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-シクロヘキシルフェノール、
2,4-ビス〔(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-メチルフェノール、
2,4-ビス〔(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(5-フルオロ-2-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-フルオロフェノール、
2,6-ビス〔(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-フルオロフェノール、
2,4-ビス〔(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-メチルフェノール、
4,4′-〔3-(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-3-ビフェニルプロピリデン〕ビス(5-シクロヘキシル-2-メチルフェノール)、
4,4′-〔3-(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-3-フェニルプロピリデン〕ビス(2,5-ジメチルフェノール)、
2,4-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-メチルフェノール、
1,1,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)へプタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルブタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ジメチルブタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-4,4-ジメチルペンタン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)へプタン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ノナン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)へプタン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ノナン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)デカン、
1,2,2-トリス(2-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1,2-トリス(3-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1-(4-ヒドロキシフェニル)-2,2-ビス(2-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,2,2-トリス(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,2,2-トリス(3-クロロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,2,2-トリス(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-エチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(2-ヒドロキシ-3-ビフェニリル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-トリフルオロメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
3-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
4-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-2-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
3,3-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,3-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-3-(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
4,4-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,4-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,1,2-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,2,2-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1,3-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,3,3-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,1,4-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,4,4-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
4,4′-〔4-(4-ヒドロキシフェニル)-sec-ブチリデン〕ビス(2-メチルフェノール)
等を例示できる。
【0023】
フェノール性水酸基を4以上有する化合物としては、例えば、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
4,6-ビス〔(4-ヒドロキシフェニル)メチル)-1,3-ベンゼンジオール、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-メチルフェノール)、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、
1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
4,4′,4″,4′″-(1,1,2,2-エタンテトライル)テトラキス(2-メチルフェノール)、
4,4′,4″,4′″-(1,1,2,2-エタンテトライル)テトラキス(2,6-ジメチルフェノール)、
4,4′,4″,4′″-(1,4-フェニレン)ビス(メチリジン)テトラキス(2,6-ジメチルフェノール)、
2,2′-ビス〔4,4-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル〕プロパン、
2,2′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
4,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル)-1,3-ベンゼンジオール、
2,2′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
ビス〔4-ヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔4-ヒドロキシ-3-(3-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔4-ヒドロキシ-3-(4-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(3-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(4-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(3-ヒドロキシ-4-メチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
α,α′,α″,α′″-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)-p-キシレン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(2,5-ジメチル-3-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(2,5-ジメチル-5-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシ-3,4,6-トリメチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
4,4′,4″,4′″-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキシル、
ビス〔4-ヒドロキシ-3-(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
4,4′,4″,4′″-テトラキス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)ビシクロヘキシル、
4,6-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,2-ベンゼンジオール、
4,4′,4″,4′″-テトラキス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキシル、
1,1-ビス〔5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)フェニル〕シクロヘキサン、
1,1-ビス〔5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-3-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)フェニル〕シクロヘキサン、
1,1-ビス〔5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-3-(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)フェニル〕シクロヘキサン、
4,6-ビス〔1-(4-ヒドロキシフェニル)エチル-1,3-ベンゼンジオール、
2,2-ビス〔4-ヒドロキシ-3-(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-5-メチルフェニル〕プロパン、
2,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ベンジル〕-4-〔α-メチル-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ベンジル〕フェノール、
4,4′,4″,4′″-テトラキス(3-イソプロピル-4-ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキシル、
4,4′-ビス〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
2,2′-ビス〔4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕プロパン、
2,4,6-トリス(4-ヒドロキシベンジル)-1,3-ベンゼンジオール、
4,6-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,2,3-ベンゼントリオール、
3,3′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(5-メチル-1,2-ベンゼンジオール)、
2,6-ビス(2,4-ジヒドロキシベンジル)-4-エチルフェノール、
2,4-ビス(2,4-ジヒドロキシベンジル)-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス(5-tert-ブチル-2,3-ジヒドロキシベンジル)-4-メチルフェノール、
2,4,6-トリス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,2-ベンゼンジオール、
2,4,6-トリス(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシベンジル)-1,2-ベンゼンジオール、
2,6-ビス(2,4-ジヒドロキシベンジル)-3,4-ジメチルフェノール、
2,6-ビス〔3-(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル〕-3,4-ジメチルフェノール、
4,6-ビス(α-メチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,2,3-ベンゼントリオール、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチルベンジル)フェノール〕、
ビス〔5-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2,4-ジヒドロキシ-3-メチルベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔5-(4-ヒドロキシベンジル)-2,3,4-トリヒドロキシフェニル〕メタン、
1,1-ビス〔5-(4-ヒドロキシベンゾイル)-2,3,4-トリヒドロキシフェニル〕エタン、
3,3′,5,5′-テトラキス(4-ヒドロキシベンジル)-4,4′-ジヒドロキシビフェニル、
3,3′,5,5′-テトラキス(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-4,4′-ジヒドロキシビフェニル、
3,3′,5,5′-テトラキス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4,4′-ジヒドロキシビフェニル、
3,3′,5,5′-テトラキス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-4,4′-ジヒドロキシビフェニル、
ビス{3-〔α,α-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-4-ヒドロキシフェニル}メタン、
ビス〔3,5-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
4,4′,4″-エチリジントリス{〔2-(2-ヒドロキシ-5-メチル)ベンジル〕-6-メチルフェノール}、
2,2-ビス〔3,5-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニルメチル)フェニル〕プロパン、
ビス{3-〔α,α-ビス(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-ヒドロキシフェニル}メタン、
ビス〔5-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,3,4-トリヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2,3,4-トリヒドロキシベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
1,1-ビス〔3-(2,3,4-トリヒドロキシベンジル)-5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
1,8,15,22-テトラノニル-3,5,10,12,17,19,24,26-オクタヒドロキシ[1,1,1,1]-メタシクロファン、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3-エチル-4-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3-エチル-4-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシフェニル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)フェノール〕、
ビス{3-〔α,α-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-ヒドロキシフェニル}メタン、
ビス{3-〔α,α-ビス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)メチル〕-4-ヒドロキシフェニル}メタン、
4,4′-〔4-ヒドロキシ-3,5-ビス(2-ヒドロキシベンジル)メチレン〕ビス〔2,6-ビス(2-ヒドロキシベンジル)〕フェノール、
4,4′-〔4-ヒドロキシ-3,5-ビス(4-ヒドロキシベンジル)メチレン〕ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシベンジル)〕フェノール、
4,4′,4″-エチリジントリス〔2,6-ビス(2-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
4,4′,4″-エチリジントリス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
2,2-ビス〔3,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル〕プロパン、
1,8,15,22-テトラエチル-3,5,10,12,17,19,24,26-オクタヒドロキシ[1,1,1,1]-メタシクロファン、
α,α′,α″,α′″-テトラキス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,4-ジメチルベンゼン、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(2-ヒドロキシ-5-イソプロピルフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(2-ヒドロキシ-5-イソプロピルフェニル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3-sec-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3-sec-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)フェノール〕、
2,6-ビス{〔3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ〕ベンジル}-4-メチルフェノール、
1,1-ビス〔5-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
1,1-ビス〔5-(2,3,4-トリヒドロキシベンジル)-3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
2,2-ビス〔4,4′,4″,4′″-テトラキス(3,5-ジヒドロキシメチル-4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕プロパン
等を例示できる。
【0024】
カルボン酸及びその誘導体としては、例えば、
3,5-ジ(α-メチルベンジル)サリチル酸、
4-(2-p-メトキシフェニルオキシエトキシ)サリチル酸、
4-ヒドロキシフェニル安息香酸、
4-クロロ安息香酸、
4-〔2-(p-メトキシフェノキシ)エチルオキシ〕サリチル酸、
4-〔3-(p-トリルスルホニル)プロピルオキシ〕サリチル酸、
5-〔p-(2-p-メトキシフェノキシエトキシ)クミル〕サリチル酸、
4-オクチルオキシカルボニルアミノサリチル酸、
3,5-ジスチレン化サリチル酸、
N-(p-トルエンスルホニル)-グリシン、
N-(p-トルエンスルホニル)-アラニン、
N-(p-トルエンスルホニル)-β-アラニン、
N-フェニルアミノカルボニル-グリシン、
N-フェニルアミノカルボニル-バリン、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-フェニルアラニン、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-システイン-S-ベンジル、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-メチオニン、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-チロシン、
N-(p-トリルアミノカルボニル)-フェニルアラニン、
N-(p-トリルアミノカルボニル)-システイン-S-ベンジル、
N-(p-トリルアミノカルボニル)-メチオニン、
N-(フェニルアミノカルボニル)-メチオニン、
N-(p-トリルアミノカルボニル)-チロシン、
2-O-(フェニルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(p-トリルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(m-トリルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(o-トリルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(1-ナフチルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(3-イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(ベンジルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(フェネチルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(フェニルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(p-トリルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(m-トリルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(o-トリルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(1-ナフチルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(3-イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(ベンジルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(フェネチルアミノカルボニル)-乳酸
等を例示できる。
【0025】
酸性リン酸エステル化合物としては、例えば、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、2-エチルヘキシルアシッドホスフェート、イソデシルアシッドホスフェート、イソトリデシルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、テトラコシルアシッドホスフェート、モノブチルホスフェート、ジブチルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、ビス(2-エチルヘキシル)ホスフェート等を例示できる。
【0026】
(ロ)成分として、より有効に熱変色特性を発現させることができることから、フェノール性水酸基を有する化合物が好ましいが、芳香族カルボン酸、炭素数2~5の脂肪族カルボン酸、カルボン酸金属塩、酸性リン酸エステル及びその金属塩、又は1,2,3-トリアゾール及びその誘導体から選ばれる化合物等であってもよい。
【0027】
上記(イ)成分及び(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体の(ハ)成分について説明する。
本発明に適用される各感温変色性色彩記憶性材料は熱変色特性が異なる、即ち色濃度-温度曲線は互いに異なるものであり、一方が発色状態、他方が消色状態である。つまり、各感温変色性色彩記憶性材料(感温変色性色彩記憶性組成物)に適用される(ハ)成分も互いに異なるものである。
【0028】
本発明に適用される発色状態の感温変色性色彩記憶性材料は、前述のヒステリシス特性を示し、ヒステリシス幅(ΔH)が8~100℃であり、完全発色温度t
4が-25℃以上、15℃以下の範囲にある。そして、発色状態の感温変色性色彩記憶性材料の(ハ)成分としては、式(C)で示される特定構造のエステル化合物が用いられる。
式(C)で示されるエステル化合物について説明する。
【化3】
〔式中、R
1は、下記式(*)で示される基、又は、シクロアルキル基を示し、R
2は、炭素数1~13の直鎖又は分岐のアルキル基を示す〕
【化4】
(式中、Xは、水素原子、又は、炭素数1~3の直鎖若しくは分岐のアルキル基を示す)
【0029】
式(C)で示されるエステル化合物は、ベンジルアルコール、炭素数1~3の直鎖若しくは分岐のアルキル基を有するアルキルベンジルアルコール、又は、シクロアルキルメタノールのいずれかから選ばれるアルコールと、炭素数2~14のカルボン酸とのエステル化反応によって得ることができる。
【0030】
炭素数1~3の直鎖又は分岐のアルキル基を有するアルキルベンジルアルコールとして具体的には、2-メチルベンジルアルコール、3-メチルベンジルアルコール、4-メチルベンジルアルコール、2-エチルベンジルアルコール、3-エチルベンジルアルコール、4-エチルベンジルアルコール、2-n-プロピルベンジルアルコール、3-n-プロピルベンジルアルコール、4-n-プロピルベンジルアルコール、2-イソプロピルベンジルアルコール、3-イソプロピルベンジルアルコール、4-イソプロピルベンジルアルコール等を例示できる。
なお、炭素数1~3の直鎖又は分岐のアルキル基を有するアルキルベンジルアルコールにおいて、アルキル基の置換位置としては特に限定されるものではないが、入手性及び価格の面から、4位(パラ位)にアルキル基が置換されたアルキルベンジルアルコールが好適に用いられる。
【0031】
シクロアルキルメタノールとして具体的には、シクロプロパンメタノール、シクロブタンメタノール、シクロペンタンメタノール、シクロヘキサンメタノール、シクロヘプタンメタノール、シクロオクタンメタノール等を例示できる。
【0032】
炭素数2~14のカルボン酸として具体的には、酢酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸等を例示できる。
【0033】
式(C)で示されるエステル化合物のうち、ベンジルアルコールと、炭素数2~14のカルボン酸とのエステル化反応によって得られるエステル化合物として具体的には、酢酸ベンジル、酪酸ベンジル、カプロン酸ベンジル、カプリル酸ベンジル、カプリン酸ベンジル、ラウリン酸ベンジル、ミリスチン酸ベンジル等を例示できる。
また、炭素数1~3の直鎖又は分岐のアルキル基を有するアルキルベンジルアルコールと、炭素数2~14のカルボン酸とのエステル化反応によって得られるエステル化合物として具体的には、酢酸4-メチルベンジル、酢酸4-エチルベンジル、酢酸4-n-プロピルベンジル、酪酸4-メチルベンジル、酪酸4-エチルベンジル、酪酸4-n-プロピルベンジル、カプロン酸4-メチルベンジル、カプロン酸4-エチルベンジル、カプロン酸4-n-プロピルベンジル、カプリル酸4-メチルベンジル、カプリル酸4-エチルベンジル、カプリル酸4-n-プロピルベンジル、カプリン酸4-メチルベンジル、カプリン酸4-エチルベンジル、カプリン酸4-n-プロピルベンジル、ラウリン酸4-メチルベンジル、ラウリン酸4-エチルベンジル、ラウリン酸4-n-プロピルベンジル、ミリスチン酸4-メチルベンジル、ミリスチン酸4-エチルベンジル、ミリスチン酸4-n-プロピルベンジル等を例示できる。
また、シクロアルキルメタノールと、炭素数2~14のカルボン酸とのエステル化反応によって得られるエステル化合物として具体的には、酢酸シクロプロピルメチル、酢酸シクロブチルメチル、酢酸シクロペンチルメチル、酢酸シクロヘキシルメチル、酢酸シクロへプチルメチル、酢酸シクロオクチルメチル、酪酸シクロプロピルメチル、酪酸シクロブチルメチル、酪酸シクロペンチルメチル、酪酸シクロヘキシルメチル、酪酸シクロへプチルメチル、酪酸シクロオクチルメチル、カプロン酸シクロプロピルメチル、カプロン酸シクロブチルメチル、カプロン酸シクロペンチルメチル、カプロン酸シクロヘキシルメチル、カプロン酸シクロへプチルメチル、カプロン酸シクロオクチルメチル、カプリル酸シクロプロピルメチル、カプリル酸シクロブチルメチル、カプリル酸シクロペンチルメチル、カプリル酸シクロヘキシルメチル、カプリル酸シクロへプチルメチル、カプリル酸シクロオクチルメチル、カプリン酸シクロプロピルメチル、カプリン酸シクロブチルメチル、カプリン酸シクロペンチルメチル、カプリン酸シクロヘキシルメチル、カプリン酸シクロへプチルメチル、カプリン酸シクロオクチルメチル、ラウリン酸シクロプロピルメチル、ラウリン酸シクロブチルメチル、ラウリン酸シクロペンチルメチル、ラウリン酸シクロヘキシルメチル、ラウリン酸シクロへプチルメチル、ラウリン酸シクロオクチルメチル、ミリスチン酸シクロプロピルメチル、ミリスチン酸シクロブチルメチル、ミリスチン酸シクロペンチルメチル、ミリスチン酸シクロヘキシルメチル、ミリスチン酸シクロへプチルメチル、ミリスチン酸シクロオクチルメチル等を例示できる。
【0034】
R1に関して、ヒステリシス幅(ΔH)をより大きい化合物とし易いことから、Xが水素原子若しくはメチル基である基、又は、シクロヘキシル基であることが好ましい。
R2に関して、変色温度がより低温域にある化合物とし易いことから、炭素数3~11の直鎖又は分岐のアルキル基であることが好ましい。
【0035】
式(C)において、変色温度がより低温域にあると共に、ヒステリシス幅をより大きい化合物とし易いことから、R1が、式(*)で示される基、又は、シクロアルキル基であり、且つ、R2が、炭素数3~11の直鎖又は分岐のアルキル基であることが好ましく、上記構造において、R1が、Xが水素原子若しくはメチル基である基、又は、シクロヘキシル基であることが好ましい。
【0036】
発色状態の感温変色性色彩記憶性材料に適用される(ハ)成分は、式(C)で示されるエステル化合物を二種以上、適宜併用して用いることもできる。また、式(C)以外の、後述するアルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、及び酸アミド類等の、従来公知の(ハ)成分をさらに含んでなるものであってもよい。
(ハ)成分が式(C)以外の化合物を含んでなる場合、式(C)以外の化合物の配合割合は、(ハ)成分全量中に1~30質量%であることが好ましく、2~25質量%であることがより好ましく、3~20質量%であることがさらに好ましい。
【0037】
本発明に適用される消色状態の感温変色性色彩記憶性材料は、前述のヒステリシス特性を示し、ヒステリシス幅(ΔH)が8~100℃であり、完全発色温度t1が-30℃を超え、10℃以下の範囲にある。そして、消色状態の感温変色性色彩記憶性材料に用いられる(ハ)成分としては、上記したヒステリシス幅、及び完全発色温度t1を満たすものであれば特に限定されるものではなく、従来公知のアルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、酸アミド類が挙げられる。
【0038】
感温変色性色彩記憶性組成物をマイクロカプセルに内包して二次加工に応用する場合は、低分子量のものは高熱処理を施すとカプセル外に蒸散するので、安定的にカプセル内に保持させるために炭素数10以上の化合物が好適に用いられる。
【0039】
アルコール類としては、炭素数10以上の脂肪族一価の飽和アルコールが有効であり、例えば、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール、エイコシルアルコール、ドコシルアルコール等を例示できる。
【0040】
エステル類としては、式(C)で示される化合物以外であって、炭素数10以上のエステル類が有効であり、脂肪族及び脂環あるいは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族及び脂環あるいは芳香環を有する一価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族及び脂環あるいは芳香環を有する多価カルボン酸と、脂肪族及び脂環あるいは芳香環を有する一価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族及び脂環あるいは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族及び脂環あるいは芳香環を有する多価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類が挙げられ、例えば、カプリル酸エチル、カプリル酸オクチル、カプリル酸ステアリル、カプリン酸ミリスチル、カプリン酸ドコシル、ラウリン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸n-デシル、ミリスチン酸3-メチルブチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ネオペンチル、パルミチン酸ノニル、パルミチン酸シクロヘキシル、ステアリン酸n-ブチル、ステアリン酸2-メチルブチル、ステアリン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、ステアリン酸n-ウンデシル、ステアリン酸ペンタデシル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸シクロヘキシルメチル、ベヘン酸イソプロピル、ベヘン酸ヘキシル、ベヘン酸ラウリル、ベヘン酸ベヘニル、安息香酸セチル、4-tert-ブチル安息香酸ステアリル、フタル酸ジミリスチル、フタル酸ジステアリル、シュウ酸ジミリスチル、シュウ酸ジセチル、マロン酸ジセチル、コハク酸ジラウリル、グルタル酸ジラウリル、アジピン酸ジウンデシル、アゼライン酸ジラウリル、セバシン酸ジ-(n-ノニル)、1,18-オクタデシルメチレンジカルボン酸ジネオペンチル、エチレングリコールジミリステート、プロピレングリコールジラウレート、プロピレングリコールジステアレート、ヘキシレングリコールジパルミテート、1,5-ペンタンジオールジステアレート、1,2,6-ヘキサントリオールトリミリステート、1,4-シクロヘキサンジオールジデシル、1,4-シクロヘキサンジメタノールジミリステート、キシレングリコールジカプリネート、キシレングリコールジステアレート等を例示できる。
【0041】
また、飽和脂肪酸と分枝脂肪族アルコールとのエステル化合物、不飽和脂肪酸または分枝もしくは置換基を有する飽和脂肪酸と、分岐状であるか又は炭素数16以上の脂肪族アルコールとのエステル化合物も有効であり、例えば、酪酸2-エチルヘキシル、ベヘン酸2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-エチルヘキシル、カプリン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、パルミチン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、ステアリン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、カプロン酸2-メチルブチル、カプリル酸2-メチルブチル、カプリン酸2-メチルブチル、パルミチン酸1-エチルプロピル、ステアリン酸1-エチルプロピル、ベヘン酸1-エチルプロピル、ラウリン酸1-エチルヘキシル、ミリスチン酸1-エチルヘキシル、パルミチン酸1-エチルヘキシル、カプロン酸2-メチルペンチル、カプリル酸2-メチルペンチル、カプリン酸2-メチルペンチル、ラウリン酸2-メチルペンチル、ステアリン酸2-メチルブチル、ステアリン酸2-メチルブチル、ステアリン酸3-メチルブチル、ステアリン酸1-メチルヘプチル、ベヘン酸2-メチルブチル、ベヘン酸3-メチルブチル、ステアリン酸1-メチルヘプチル、ベヘン酸1-メチルヘプチル、カプロン酸1-エチルペンチル、パルミチン酸1-エチルペンチル、ステアリン酸1-メチルプロピル、ステアリン酸1-メチルオクチル、ステアリン酸1-メチルヘキシル、ラウリン酸1,1-ジメチルプロピル、カプリン酸1-メチルペンチル、パルミチン酸2-メチルヘキシル、ステアリン酸2-メチルヘキシル、ベヘン酸2-メチルヘキシル、ラウリン酸3,7-ジメチルオクチル、ミリスチン酸3,7-ジメチルオクチル、パルミチン酸3,7-ジメチルオクチル、ステアリン酸3,7-ジメチルオクチル、ベヘン酸3,7-ジメチルオクチル、オレイン酸ステアリル、オレイン酸ベヘニル、リノール酸ステアリル、リノール酸ベヘニル、エルカ酸3,7-ジメチルオクチル、エルカ酸ステアリル、エルカ酸イソステアリル、イソステアリン酸セチル、イソステアリン酸ステアリル、12-ヒドロキシステアリン酸2-メチルペンチル、18-ブロモステアリン酸2-エチルヘキシル、2-ケトミリスチン酸イソステアリル、2-フルオロミリスチン酸2-エチルヘキシル、酪酸セチル、酪酸ステアリル、酪酸ベヘニル等を例示できる。
【0042】
また、炭素数9以上の奇数の脂肪族一価アルコールと炭素数が偶数の脂肪族カルボン酸から得られる脂肪酸エステル化合物、n-ペンチルアルコール又はn-ヘプチルアルコールと、炭素数10~16の偶数の脂肪族カルボン酸より得られる総炭素数17~23の脂肪酸エステル化合物も有効であり、例えば、酢酸n-ペンタデシル、酪酸n-トリデシル、酪酸n-ペンタデシル、カプロン酸n-ウンデシル、カプロン酸n-トリデシル、カプロン酸n-ペンタデシル、カプリル酸n-ノニル、カプリル酸n-ウンデシル、カプリル酸n-トリデシル、カプリル酸n-ペンタデシル、カプリン酸n-ヘプチル、カプリン酸n-ノニル、カプリン酸n-ウンデシル、カプリン酸n-トリデシル、カプリン酸n-ペンタデシル、ラウリン酸n-ペンチル、ラウリン酸n-ヘプチル、ラウリン酸n-ノニル、ラウリン酸n-ウンデシル、ラウリン酸n-トリデシル、ラウリン酸n-ペンタデシル、ミリスチン酸n-ペンチル、ミリスチン酸n-ヘプチル、ミリスチン酸n-ノニル、ミリスチン酸n-ウンデシル、ミリスチン酸n-トリデシル、ミリスチン酸n-ペンタデシル、パルミチン酸n-ペンチル、パルミチン酸n-ヘプチル、パルミチン酸n-ノニル、パルミチン酸n-ウンデシル、パルミチン酸n-トリデシル、パルミチン酸n-ペンタデシル、ステアリン酸n-ノニル、ステアリン酸n-ウンデシル、ステアリン酸n-トリデシル、ステアリン酸n-ペンタデシル、エイコサン酸n-ノニル、エイコサン酸n-ウンデルシ、エイコサン酸n-トリデシル、エイコサン酸n-ペンタデシル、ベヘニン酸n-ノニル、ベヘニン酸n-ウンデシル、ベヘニン酸n-トリデシル、ベヘニン酸n-ペンタデシル等を例示できる。
【0043】
ケトン類としては、総炭素数が10以上の脂肪族ケトン類が有効であり、例えば、2-デカノン、3-デカノン、4-デカノン、2-ウンデカノン、3-ウンデカノン、4-ウンデカノン、5-ウンデカノン、2-ドデカノン、3-ドデカノン、4-ドデカノン、5-ドデカノン、2-トリデカノン、3-トリデカノン、2-テトラデカノン、2-ペンタデカノン、8-ペンタデカノン、2-ヘキサデカノン、3-ヘキサデカノン、9-ヘプタデカノン、2-ペンタデカノン、2-オクタデカノン、2-ノナデカノン、10-ノナデカノン、2-エイコサノン、11-エイコサノン、2-ヘンエイコサノン、2-ドコサノン、ラウロン、ステアロン等を例示できる。
【0044】
さらには、総炭素数が12~24のアリールアルキルケトン類、例えば、n-オクタデカノフェノン、n-ヘプタデカノフェノン、n-ヘキサデカノフェノン、n-ペンタデカノフェノン、n-テトラデカノフェノン、4-n-ドデカアセトフェノン、n-トリデカノフェノン、4-n-ウンデカノアセトフェノン、n-ラウロフェノン、4-n-デカノアセトフェノン、n-ウンデカノフェノン、4-n-ノニルアセトフェノン、n-デカノフェノン、4-n-オクチルアセトフェノン、n-ノナノフェノン、4-n-ヘプチルアセトフェノン、n-オクタノフェノン、4-n-ヘキシルアセトフェノン、4-n-シクロヘキシルアセトフェノン、4-tert-ブチルプロピオフェノン、n-ヘプタフェノン、4-n-ペンチルアセトフェノン、シクロヘキシルフェニルケトン、ベンジル-n-ブチルケトン、4-n-ブチルアセトフェノン、n-ヘキサノフェノン、4-イソブチルアセトフェノン、1-アセトナフトン、2-アセトナフトン、シクロペンチルフェニルケトン等を例示できる。
【0045】
エーテル類としては、総炭素数10以上の脂肪族エーテル類が有効であり、例えば、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテル、ジノニルエーテル、ジデシルエーテル、ジウンデシルエーテル、ジドデシルエーテル、ジトリデシルエーテル、ジテトラデシルエーテル、ジペンタデシルエーテル、ジヘキサデシルエーテル、ジオクタデシルエーテル、デカンジオールジメチルエーテル、ウンデカンジオールジメチルエーテル、ドデカンジオールジメチルエーテル、トリデカンジオールジメチルエーテル、デカンジオールジエチルエーテル、ウンデカンジオールジエチルエーテル等を例示できる。
【0046】
酸アミド類としては、例えば、アセトアミド、プロピオン酸アミド、酪酸アミド、カプロン酸アミド、カプリル酸アミド、カプリン酸アミド、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベンズアミド、カプロン酸アニリド、カプリル酸アニリド、カプリン酸アニリド、ラウリン酸アニリド、ミリスチン酸アニリド、パルミチン酸アニリド、ステアリン酸アニリド、ベヘニン酸アニリド、オレイン酸アニリド、エルカ酸アニリド、カプロン酸N-メチルアミド、カプリル酸N-メチルアミド、カプリン酸N-メチルアミド、ラウリン酸N-メチルアミド、ミリスチン酸N-メチルアミド、パルミチン酸N-メチルアミド、ステアリン酸N-メチルアミド、ベヘニン酸N-メチルアミド、オレイン酸N-メチルアミド、エルカ酸N-メチルアミド、ラウリン酸N-エチルアミド、ミリスチン酸N-エチルアミド、パルミチン酸N-エチルアミド、ステアリン酸N-エチルアミド、オレイン酸N-エチルアミド、ラウリン酸N-ブチルアミド、ミリスチン酸N-ブチルアミド、パルミチン酸N-ブチルアミド、ステアリン酸N-ブチルアミド、オレイン酸N-ブチルアミド、ラウリン酸N-オクチルアミド、ミリスチン酸N-オクチルアミド、パルミチン酸N-オクチルアミド、ステアリン酸N-オクチルアミド、オレイン酸N-オクチルアミド、ラウリン酸N-ドデシルアミド、ミリスチン酸N-ドデシルアミド、パルミチン酸N-ドデシルアミド、ステアリン酸N-ドデシルアミド、オレイン酸N-ドデシルアミド、ジラウリン酸アミド、ジミリスチン酸アミド、ジパルミチン酸アミド、ジステアリン酸アミド、ジオレイン酸アミド、トリラウリン酸アミド、トリミリスチン酸アミド、トリパルミチン酸アミド、トリステアリン酸アミド、トリオレイン酸アミド、コハク酸アミド、アジピン酸アミド、グルタル酸アミド、マロン酸アミド、アゼライン酸アミド、マレイン酸アミド、コハク酸N-メチルアミド、アジピン酸N-メチルアミド、グルタル酸N-メチルアミド、マロン酸N-メチルアミド、アゼライン酸N-メチルアミド、コハク酸N-エチルアミド、アジピン酸N-エチルアミド、グルタル酸N-エチルアミド、マロン酸N-エチルアミド、アゼライン酸N-エチルアミド、コハク酸N-ブチルアミド、アジピン酸N-ブチルアミド、グルタル酸N-ブチルアミド、マロン酸N-ブチルアミド、アジピン酸N-オクチルアミド、アジピン酸N-ドデシルアミド等を例示できる。
【0047】
また、消色状態の感温変色性色彩記憶性材料の(ハ)成分として下記式(1)で示される化合物であってもよい。
【化5】
〔式中、R
1は水素原子又はメチル基を示し、mは0~2の整数を示し、X
1及びX
2のいずれか一方は-(CH
2)
nOCOR
2又は(CH
2)
nCOOR
2、他方は水素原子を示し、nは0~2の整数を示し、R
2は炭素数4以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、Y
1及びY
2はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、メトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、r及びpはそれぞれ独立して、1~3の整数を示す〕
【0048】
式(1)で示される化合物のうち、R1が水素原子の場合、より広いヒステリシス幅を有する可逆熱変色性組成物が得られるため好ましく、さらにR1が水素原子であり、且つ、mが0の場合がより好ましい。
【0049】
なお、式(1)で示される化合物のうち、より好ましくは下記式(2)で示される化合物である。
【化6】
(式中、Rは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、好ましくは炭素数10~24のアルキル基であり、より好ましくは炭素数12~22のアルキル基である)
【0050】
式(2)で示される化合物としては、例えば、オクタン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ノナン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、デカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ウンデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ドデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、トリデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、テトラデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ペンタデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ヘキサデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ヘプタデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、オクタデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル等を例示できる。
【0051】
さらに、(ハ)成分として下記式(3)で示される化合物であってもよい。
【化7】
(式中、Rは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、m及びnはそれぞれ独立して、1~3の整数を示し、X及びYはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示す)
【0052】
式(3)で示される化合物としては、例えば、オクタン酸ジフェニルメチル、ノナン酸ジフェニルメチル、デカン酸ジフェニルメチル、ウンデカン酸ジフェニルメチル、ドデカン酸ジフェニルメチル、トリデカン酸ジフェニルメチル、テトラデカン酸ジフェニルメチル、ペンタデカン酸ジフェニルメチル、ヘキサデカン酸ジフェニルメチル、ヘプタデカン酸ジフェニルメチル、オクタデカン酸ジフェニルメチル等を例示できる。
【0053】
さらに、(ハ)成分として下記式(4)で示される化合物であってもよい。
【化8】
(式中、Xは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、メトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、mは1~3の整数を示し、nは1~20の整数を示す)
【0054】
式(4)で示される化合物としては、例えば、マロン酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、こはく酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、こはく酸と2-〔4-(3-メチルベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、グルタル酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、グルタル酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、アジピン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、ピメリン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(3-メチルベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(2,4-ジクロロベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、アゼライン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、セバシン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,10-デカンジカルボン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-〔4-(2-メチルベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル等を例示できる。
【0055】
さらに、(ハ)成分として下記式(5)で示される化合物であってもよい。
【化9】
(式中、Rは炭素数1~21のアルキル基又はアルケニル基を示し、nは1~3の整数を示す)
【0056】
式(5)で示される化合物としては、例えば、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとウンデカン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステル、1,4-ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンと酪酸とのジエステル、1,4-ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンとイソ吉草酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと酢酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとプロピオン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと吉草酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプロン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリル酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステル等を例示できる。
【0057】
さらに、(ハ)成分として下記式(6)で示される化合物であってもよい。
【化10】
(式中、Xは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、mは1~3の整数を示し、nは1~20の整数を示す)
【0058】
式(6)で示される化合物としては、例えば、こはく酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、スベリン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、セバシン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、1,10-デカンジカルボン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル等を例示できる。
【0059】
さらに、(ハ)成分として下記式(7)で示される化合物であってもよい。
【化11】
(式中、Rは炭素数4~22のアルキル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルキル基、炭素数4~22のアルケニル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、nは0又は1を示す)
【0060】
式(7)で示される化合物としては、例えば、4-フェニル安息香酸デシル、4-フェニル安息香酸ラウリル、4-フェニル安息香酸ミリスチル、4-フェニル安息香酸シクロヘキシルエチル、4-ビフェニル酢酸オクチル、4-ビフェニル酢酸ノニル、4-ビフェニル酢酸デシル、4-ビフェニル酢酸ラウリル、4-ビフェニル酢酸ミリスチル、4-ビフェニル酢酸トリデシル、4-ビフェニル酢酸ペンタデシル、4-ビフェニル酢酸セチル、4-ビフェニル酢酸シクロペンチル、4-ビフェニル酢酸シクロヘキシルメチル、4-ビフェニル酢酸ヘキシル、4-ビフェニル酢酸シクロヘキシルメチル等を例示できる。
【0061】
さらに、(ハ)成分として下記式(8)で示される化合物であってもよい。
【化12】
(式中、Rは炭素数3~18のアルキル基又は炭素数3~18の脂肪族アシル基を示し、Xは水素原子、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1又は2のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子又はメチル基を示し、Zは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1又は2のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示す)
【0062】
式(8)で示される化合物としては、例えば、4-ブトキシ安息香酸フェノキシエチル、4-ペンチルオキシ安息香酸フェノキシエチル、4-テトラデシルオキシ安息香酸フェノキシエチル、4-ヒドロキシ安息香酸フェノキシエチルとドデカン酸とのエステル、バニリン酸フェノキシエチルのドデシルエーテル等を例示できる。
【0063】
さらに、(ハ)成分として下記式(9)で示される化合物であってもよい。
【化13】
(式中、Rは炭素数4~22のアルキル基、炭素数4~22のアルケニル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルキル基のいずれかを示し、Xは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、nは0又は1を示す)
【0064】
式(9)で示される化合物としては、例えば、4-ヒドロキシ安息香酸オクチルの安息香酸エステル、4-ヒドロキシ安息香酸デシルの安息香酸エステル、4-ヒドロキシ安息香酸ヘプチルの4-メトキシ安息香酸エステル、4-ヒドロキシ安息香酸ドデシルの2-メトキシ安息香酸エステル、4-ヒドロキシ安息香酸シクロヘキシルメチルの安息香酸エステル等を例示できる。
【0065】
さらに、(ハ)成分として下記式(10)で示される化合物であってもよい。
【化14】
(式中、Rは炭素数3~18のアルキル基、炭素数6~11のシクロアルキルアルキル基、炭素数5~7のシクロアルキル基、炭素数3~18のアルケニル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示す)
【0066】
式(10)で示される化合物としては、例えば、4-ヒドロキシ安息香酸ノニルのフェノキシエチルエーテル、4-ヒドロキシ安息香酸デシルのフェノキシエチルエーテル、4-ヒドロキシ安息香酸ウンデシルのフェノキシエチルエーテル、バニリン酸ドデシルのフェノキシエチルエーテル等を例示できる。
【0067】
さらに、(ハ)成分として下記式(11)で示される化合物であってもよい。
【化15】
(式中、Rは炭素数3~8のシクロアルキル基又は炭素数4~9のシクロアルキルアルキル基を示し、nは1~3の整数を示す)
【0068】
式(11)で示される化合物としては、例えば、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンプロピオン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンプロピオン酸とのジエステル等を例示できる。
【0069】
さらに、(ハ)成分として下記式(12)で示される化合物であってもよい。
【化16】
(式中、Rは炭素数3~17のアルキル基、炭素数3~8のシクロアルキル基、炭素数5~8のシクロアルキルアルキル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1~5のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、nは1~3の整数を示す)
【0070】
式(12)で示される化合物としては、例えば、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールジエチレングリコールエーテルとラウリン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールトリエチレングリコールエーテルとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとオクタン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとノナン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとデカン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとミリスチン酸とのジエステル等を例示できる。
【0071】
感温変色性色彩記憶性組成物における(イ)、(ロ)、及び(ハ)成分の構成割合は、濃度、変色温度、変色形態や各成分の種類に左右されるが、一般的に所望の特性が得られる成分比は、(イ)成分1に対して、(ロ)成分は、好ましくは0.1~100、より好ましくは0.1~50、さらに好ましくは0.5~20、特に好ましくは2~20、(ハ)成分は、好ましくは1~800、より好ましくは5~200、さらに好ましくは5~100、特に好ましくは10~100の範囲である(上記した割合はいずれも質量部である)。
【0072】
感温変色性色彩記憶性組成物は、マイクロカプセルに内包させて感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料(以下、「マイクロカプセル顔料」と表すことがある)を形成したり、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂中に分散させて、感温変色性色彩記憶性樹脂粒子(以下、「樹脂粒子」と表すことがある)を形成したりすることにより、感温変色性色彩記憶性材料として使用することができるが、感温変色性色彩記憶性組成物は、マイクロカプセルに内包させてマイクロカプセル顔料として使用することが好ましい。これは、マイクロカプセルに内包させることにより、化学的、物理的に安定な顔料を構成することができ、さらに、種々の使用条件において、感温変色性色彩記憶性組成物は同一の組成に保たれ、同一の作用効果を奏することができるからである。
【0073】
マイクロカプセル化は、公知の界面重合法、in Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。さらにマイクロカプセルの表面には、目的に応じてさらに二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与させたり、表面特性を改質させて実用に供したりすることもできる。
なお、マイクロカプセル化の際に、一般の染料や顔料等の非熱変色性着色剤を配合することにより、有色(1)から有色(2)への互変的色変化をもたらすことができる。
感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料は、内包物:壁膜の質量比が7:1~1:1であることが好ましく、内包物と壁膜の質量比が上記の範囲内にあることにより、発色時の色濃度及び鮮明性の低下を防止することができる。より好ましくは、内包物:壁膜の質量比は6:1~1:1である。
【0074】
マイクロカプセル顔料又は樹脂粒子の平均粒子径は、0.1~50μmであることが好ましく、0.1~30μmであることがより好ましく、0.5~20μmであることがさらに好ましい。マイクロカプセル顔料又は樹脂粒子の平均粒子径が50μmを超えると、分散安定性や加工適性に乏しくなり易くなる。一方、平均粒子径が0.1μm未満では、高濃度の発色性を示し難くなる。
また、マイクロカプセル顔料又は樹脂粒子を微粒子化することにより、ΔHを、三成分の組成物のΔHに対して大きくすることができる。
なお、平均粒子径の測定は、画像解析式粒度分布測定ソフトウェア〔(株)マウンテック製、製品名:マックビュー〕にて粒子の領域を判定し、粒子の領域の面積から投影面積円相当径(Heywood径)を算出し、その値による等体積球相当の粒子の平均粒子径として測定した値である。
また、全ての粒子或いは大部分の粒子の粒子径が0.2μmを超える場合は、粒度分布測定装置〔ベックマン・コールター(株)製、製品名:Multisizer 4e〕にて、コールター法により等体積球相当の粒子の平均粒子径として測定することも可能である。
さらに、上記のソフトウェア又はコールター法による測定装置を用いて計測した数値を基にして、キャリブレーションを行ったレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置〔(株)堀場製作所製、製品名:LA-300〕にて、体積基準の粒子径及び平均粒子径を測定してもよい。
【0075】
本発明の温度管理インジケーターは、コールドチェーンが適用される生鮮食品、冷凍食品、医薬品等の、温度管理を必要とする物品に適用される。これらの物品の適正温度範囲は低温域にあり、衛生管理の面から生鮮食品は0~10℃に設定され、冷凍食品は-18℃以下、好ましくは-25℃以下に設定される。また、医薬品は主に10℃以下、特に2~8℃に設定される。適正温度範囲は物品により異なるものであるが、コールドチェーンが適用される主な物品の適正温度範囲は-30℃を超え、10℃以下の低温域にあり、冷蔵或いは冷凍状態で流通及び保管される。適正温度範囲が低温域にある上記物品又はその保存容器は、倉庫業法に基づくF1級(-30℃を超え、-20℃以下の温度域)、C1級(-20℃を超え、-10℃以下の温度域)、C2級(-10℃を超え、0℃以下の温度域)、C3級(0℃を超え、10℃以下の温度域)に分類される冷蔵庫や冷凍庫等の倉庫或いは冷却装置で保管され、例えば、ペルチエ素子を利用した冷熱具、冷水や氷片等の冷媒を充填した冷熱具、冷蔵庫、及び冷凍庫等の日常の生活環境下で一般的に使用される冷却具の中から、物品の適正温度範囲に応じて適宜選択することにより、適正温度範囲で保管することが可能である。
【0076】
本発明の温度管理インジケーターは、二種類の感温変色性色彩記憶性材料を用いるものである。二種類の感温変色性色彩記憶性材料のうち、(ハ)成分が上記式(C)で示される化合物であり、完全消色温度t4が-25℃以上、15℃以下の範囲にある感温変色性色彩記憶性材料(以下、「一方の感温変色性色彩記憶性材料」と表すことがある)が発色状態であり、完全発色温度t1が-30℃を超え、10℃以下の範囲にある感温変色性色彩記憶性材料(以下、「他方の感温変色性色彩記憶性材料」と表すことがある)が消色状態である。そして、発色状態の感温変色性色彩記憶性材料が完全消色温度t4で完全に消色する、或いは、消色状態の感温変色性色彩記憶性材料が完全発色温度t1で完全に発色することにより、温度管理インジケーターに色変化が生じ、温度管理を必要とする物品が適正温度範囲を逸脱したか否かを判別することができる。
ここで、発色状態の感温変色性色彩記憶性材料の完全消色温度t4は、適正温度範囲の上限温度より高い温度であり、消色状態の感温変色性色彩記憶性材料の完全発色温度t1は適正温度範囲の下限温度より低い温度であることにより、本発明の温度管理インジケーターを、物品の適正温度範囲における温度管理に有効に機能させることができる。
つまり、発色状態の感温変色性色彩記憶性材料の完全消色温度t4と、物品の適正温度範囲の上限温度TMAXはTMAX<t4を満たすことにより、物品又はその保存容器が適正温度範囲より高い温度環境下に逸脱したことを、温度管理インジケーターの色変化によって判別することができる。温度管理を厳密に行うために、温度t4と温度TMAXの差(ΔTMAX)〔=(発色状態の感温変色性色彩記憶性材料の完全消色温度t4)-(適正温度範囲の上限温度TMAX)〕は、0<ΔTMAX≦3であることが好ましく、0<ΔTMAX≦2であることがより好ましく、0<ΔTMAX≦1であることがさらに好ましい。
同様に、消色状態の感温変色性色彩記憶性材料の完全発色温度t1と、物品の適正温度範囲の下限温度Tminは、t1<Tminを満たすことにより、物品又はその保存容器が適正温度範囲より低い温度環境下に逸脱したことを、温度管理インジケーターの色変化によって判別することができる。温度管理を厳密に行うために、温度t1と温度Tminの差(ΔTmin)〔=(適正温度範囲の下限温度Tmin)-(消色状態の感温変色性色彩記憶性材料の完全発色温度t1)〕は、0<ΔTmin≦3であることが好ましく、0<ΔTmin≦2であることがより好ましく、0<ΔTmin≦1であることがさらに好ましい。
【0077】
消色状態の感温変色性色彩記憶性材料の完全消色温度t4は、発色状態の感温変色性色彩記憶性材料の完全消色温度t4より大きく、且つ、消色状態の感温変色性色彩記憶性材料の完全発色温度t1は、発色状態の感温変色性色彩記憶性材料の完全発色温度t1より大きい。これにより、温度管理インジケーターが一度でも物品の適正温度範囲を逸脱すると、初期の一方の感温変色性色彩記憶性材料が発色状態である、変色前の温度管理インジケーターに戻ることが困難となるため、温度管理を必要とする物品又はその保存容器が一度も適正温度範囲を逸脱することなく保管されていたか否かを、温度管理インジケーターにより不可逆的に判別することが可能となる。
【0078】
本発明の温度管理インジケーターは、発色状態の感温変色性色彩記憶性材料が完全消色温度t4以上の温度域で消色状態となる、或いは、消色状態の感温変色性色彩記憶性材料が完全発色温度t1の温度域で発色状態となることによって、物品又はその保存容器が適正温度範囲を逸脱したか否かを判別できるものであって、適正温度範囲の上限温度と発色状態の感温変色性色彩記憶性材料の完全消色温度t4、適正温度範囲の下限温度と消色状態の感温変色性色彩記憶性材料の完全発色温度t1がそれぞれ対応する。
ここで、一種類の感温変色性色彩記憶性材料を温度管理インジケーターとして用いる場合、完全消色温度t4を適正温度範囲の上限温度に、完全発色温度t1を適正温度範囲の下限温度にそれぞれ対応させる必要があるが、感温変色性色彩記憶性材料に用いる(ハ)成分の種類によって完全消色温度t4と完全発色温度t1が決まるため、温度t4と温度t1の両方を適正温度範囲の上限温度と下限温度に対応させることが困難となる場合がある。つまり、物品の適正温度範囲によっては、感温変色性色彩記憶性材料を用いた温度管理インジケーターにより温度管理を行うことが困難な場合があった。
本発明の温度管理インジケーターも、各感温変色性色彩記憶性材料の(ハ)成分の種類によって完全消色温度t4と完全発色温度t1が決まるものであるが、感温変色性色彩記憶性材料を二種類用いることにより、各感温変色性色彩記憶性材料の温度t4と温度t1をそれぞれ、適正温度範囲の上限温度と下限温度に対応させることが不要となる。つまり、発色状態の感温変色性色彩記憶性材料の完全消色温度t4を適正温度範囲の上限温度に、消色状態の感温変色性色彩記憶性材料の完全発色温度t1を適正温度範囲の下限温度に対応させればよく、物品の適正温度範囲によらず、感温変色性色彩記憶性材料を用いた温度管理インジケーターにより温度管理を行うことが容易となる。
さらに、各感温変色性色彩記憶性材料に用いる(ハ)成分の種類を変えることによって、発色状態の感温変色性色彩記憶性材料の完全消色温度t4と、消色状態の感温変色性色彩記憶性材料の完全発色温度t1は任意の温度に調整されるため、適正温度範囲の狭い物品に対しても、本発明の温度管理インジケーターを用いて温度管理を行うことが容易となる。
【0079】
本発明の温度管理インジケーターは初期状態では、一方の感温変色性色彩記憶性材料(感温変色性色彩記憶性材料A)が発色状態であり、他方の感温変色性色彩記憶性材料(感温変色性色彩記憶性材料B)が消色状態であり、温度管理を必要とする物品の適正温度範囲内では、発色状態の感温変色性色彩記憶性材料の色のみが視認される。
初期状態の温度管理インジケーターの色変化挙動の一例を
図2に、他の例を
図3に示す。
図2及び
図3において、縦軸に色濃度、横軸に温度が表されており、温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。実線は発色状態の感温変色性色彩記憶性材料の色濃度-温度曲線であり、破線は消色状態の感温変色性色彩記憶性材料の色濃度-温度曲線である。ここで、t
1、t
2、t
3、t
4はそれぞれ、発色状態の感温変色性色彩記憶性材料の完全発色温度、発色開始温度、消色開始温度、完全消色温度を表し、t
1′、t
2′、t
3′、t
4′はそれぞれ、消色状態の感温変色性色彩記憶性材料の完全発色温度、発色開始温度、消色開始温度、完全消色温度を表している。以下、消色状態の感温変色性色彩記憶性材料の完全発色温度t
1、発色開始温度t
2、消色開始温度t
3、完全消色温度t
4をそれぞれ、「完全発色温度t
1′」、「発色開始温度t
2′」、「消色開始温度t
3′」、「完全消色温度t
4′」と表すことがある。
aは、初期状態の温度管理インジケーターにおいて、発色状態の感温変色性色彩記憶性材料が適正温度範囲内のある温度tで示す濃度を表す点であり、bは、初期状態の温度管理インジケーターにおいて、消色状態の感温変色性色彩記憶性材料が温度tで示す濃度を表す点である。
【0080】
初期状態の温度管理インジケーターが適正温度範囲(温度t
1′を超え、温度t
4未満の温度域)より高い温度環境下に置かれた場合の色変化挙動について、
図2により説明する。
初期状態の温度管理インジケーターは、適正温度範囲より高い温度環境下(温度t
4以上の温度域)に置かれると、発色状態の感温変色性色彩記憶性材料が消色し(矢印1)、各感温変色性色彩記憶性材料が消色状態となる(状態1)。この状態から感温変色性色彩記憶性材料を発色状態に戻すためには冷却が必要とされるが、適正温度範囲より低い特定の温度環境下(温度t
1を超え、温度t
1′以下の温度域)に置かれると、他方の感温変色性色彩記憶性材料(初期状態で消色状態の感温変色性色彩記憶性材料)が発色し(矢印2)、他方の感温変色性色彩記憶性材料のみが発色状態となる(状態2)。また、温度t
1以下の温度域に置かれると、一方の感温変色性色彩記憶性材料が発色し(矢印3)、各感温変色性色彩記憶性材料が発色状態となる(状態3)。
【0081】
また、初期状態の温度管理インジケーターが適正温度範囲(温度t
1′を超え、温度t
4未満の温度域)より低い温度環境下に置かれた場合の色変化挙動について、
図3により説明する。
初期状態の温度管理インジケーターは、適正温度範囲より低い温度環境下(温度t
1′以下の温度域)に置かれると、消色状態の感温変色性色彩記憶性材料が発色し(矢印1′)、各感温変色性色彩記憶性材料が発色状態となる(状態3′)。この状態から感温変色性色彩記憶性材料を消色状態に戻すためには加温が必要とされるが、適正温度範囲より高い特定の温度環境下(温度t
4以上、温度t
4′未満の温度域)に置かれると、一方の感温変色性色彩記憶性材料(初期状態で発色状態の感温変色性色彩記憶性材料)が消色し(矢印2′)、他方の感温変色性色彩記憶性材料(初期状態で消色状態の感温変色性色彩記憶性材料)が発色状態である(状態2′)。また、温度t
4′以上の温度域に置かれると、他方の感温変色性色彩記憶性材料が消色し(矢印3′)、各感温変色性色彩記憶性材料が共に消色状態となる(状態1′)。
以上より、本発明の温度管理インジケーターは、初期状態から一度でも物品の適正温度範囲より高い温度環境下、或いは適正温度範囲より低い温度環境下に置かれると、初期の一方の感温変色性色彩記憶性材料が発色状態の、変色前の温度管理インジケーターに戻ることが困難となるため、温度管理を必要とする物品又はその保存容器が一度も適正温度範囲を逸脱することなく保管されていたか否かを、不可逆的に判別することが可能となる。
【0082】
本発明の温度管理インジケーターは、各感温変色性色彩記憶性材料が共に消色状態となることで物品が適正温度範囲より高い温度環境下に逸脱したことを、各感温変色性色彩記憶性材料が共に発色状態となることで適正温度範囲より低い温度環境下に逸脱したことを判別できるものであるが、これに加えて、他方の感温変色性色彩記憶性材料(初期状態で消色状態の感温変色性色彩記憶性材料)のみが発色状態である状態を保持させておくことで、物品が適正温度範囲より高い温度環境下と適正温度範囲より低い温度環境下にそれぞれ逸脱したことを判別することができる。
これは、消色状態の感温変色性色彩記憶性材料の完全消色温度t4(完全消色温度t4′)が、発色状態の感温変色性色彩記憶性材料の完全消色温度t4より大きく、且つ、消色状態の感温変色性色彩記憶性材料の完全発色温度t1(完全発色温度t1′)は、発色状態の感温変色性色彩記憶性材料の完全発色温度t1よりも大きいためである。
温度t4′が温度t4より大きいことにより、初期状態から適正温度範囲より低い温度環境下に逸脱し、各感温変色性色彩記憶性材料が共に発色している状態(状態3′)から適正温度範囲より高い温度環境下に逸脱した際に、特定の温度環境下(温度t4以上、温度t4′未満の温度域)で、他方の感温変色性色彩記憶性材料のみが発色した状態となる。この状態は、初期状態から適正温度範囲より低い温度環境下に逸脱後、適正温度範囲より高い温度環境下に逸脱した場合にのみ発現されるため、適正温度範囲より高い温度環境下と低い温度環境下にそれぞれ逸脱したことを判別することができる。
温度管理インジケーターが適正温度範囲より高い温度環境下と低い温度環境下にそれぞれ逸脱したことを判別し易くなることから、温度t4′と温度t4との差(Δt4)〔=(完全消色温度t4′)-(完全消色温度t4)〕は、Δt4≧5であることが好ましく、Δt4≧10であることがより好ましい。Δt4が上記の範囲を満たすことにより、各感温変色性色彩記憶性材料が共に発色した状態(状態3′)から加温される過程において、一方の感温変色性色彩記憶性材料(初期状態で発色状態の感温変色性色彩記憶性材料)が温度t4で消色した際に、他方の感温変色性色彩記憶性材料が完全に発色した状態で保持され易くなる。
【0083】
また同様に、温度t1′が温度t1よりも大きいことにより、初期状態から適正温度範囲より高い温度環境下に逸脱し、各感温変色性色彩記憶性材料が共に消色している状態(状態1)から適正温度範囲より低い温度環境下に逸脱した際に、特定の温度環境下(温度t1を超え、温度t1′以下の温度域)で、他方の感温変色性色彩記憶性材料のみが発色した状態となる。この状態は、初期状態から適正温度範囲より高い温度環境下に逸脱後、適正温度範囲より低い温度環境下に逸脱した場合にのみ発現されるため、適正温度範囲より高い温度環境下と低い温度環境下にそれぞれ逸脱したことを判別することができる。
温度管理インジケーターが適正温度範囲より高い温度環境下と低い温度環境下にそれぞれ逸脱したことを判別し易くなることから、温度t1′と温度t1との差(Δt1)〔=(完全発色温度t1′)-(完全発色温度t1)〕は、Δt1≧5であることが好ましく、Δt1≧10であることがより好ましい。Δt1が上記の範囲を満たすことにより、各感温変色性色彩記憶性材料が共に消色した状態(状態1)から冷却される過程において、他方の感温変色性色彩記憶性材料が温度t1′で発色した際に、一方の感温変色性色彩記憶性材料が完全に消色した状態で保持され易くなる。
【0084】
温度管理インジケーターが適正温度範囲より高い温度環境下と低い温度環境下にそれぞれ逸脱したことを判別し易くなることから、消色状態の感温変色性色彩記憶性材料の消色開始温度t3(消色開始温度t3′)が、発色状態の感温変色性色彩記憶性材料の完全消色温度t4より大きい(t3′>t4)ことが好ましい。これにより、各感温変色性色彩記憶性材料が共に発色した状態(状態3′)から加温される過程において、一方の感温変色性色彩記憶性材料(初期状態で発色状態の感温変色性色彩記憶性材料)が温度t4で完全に消色した際に、他方の感温変色性色彩記憶性材料(初期状態で消色状態の感温変色性色彩記憶性材料)が完全に発色した状態で保持され易くなる。よって、物品が適正温度範囲より低い温度環境下と高い温度環境下に逸脱したか否かを明瞭に判別し易くなる。
そして、他方の感温変色性色彩記憶性材料が完全に発色した状態でよりいっそう保持され易くなることから、温度t3′と温度t4との差(t3′-t4)〔=(消色開始温度t3′)-(完全消色温度t4)〕は、(t3′-t4)≧1であることが好ましく、(t3′-t4)≧3であることがより好ましく、(t3′-t4)≧5であることがさらに好ましい。
【0085】
温度管理インジケーターが適正温度範囲より高い温度環境下と低い温度環境下にそれぞれ逸脱したことを判別し易くなることから、消色状態の感温変色性色彩記憶性材料の完全発色温度t1(完全発色温度t1′)が、発色状態の感温変色性色彩記憶性材料の発色開始温度t2より大きい(t1′>t2)ことが好ましい。これにより、各感温変色性色彩記憶性材料が共に消色した状態(状態1)から冷却される過程において、他方の感温変色性色彩記憶性材料(初期状態で消色状態の感温変色性色彩記憶性材料)が温度t1′で完全に発色した際に、一方の感温変色性色彩記憶性材料(初期状態で発色状態の感温変色性色彩記憶性材料)が完全に消色した状態で保持され易くなる。よって、物品が適正温度範囲より低い温度環境下と高い温度環境下に逸脱したか否かを明瞭に判別し易くなる。
そして、一方の感温変色性色彩記憶性材料が完全に消色した状態でよりいっそう保持され易くなることから、温度t1′と温度t2との差(t1′-t2)〔=(完全発色温度t1′)-(発色開始温度t2)〕は、(t1′-t2)≧1であることが好ましく、(t1′-t2)≧3であることがより好ましく、(t1′-t2)≧5であることがさらに好ましい。
【0086】
温度管理インジケーターが適正温度範囲より高い温度環境下と低い温度環境下にそれぞれ逸脱したことを判別し易くなることから、消色状態の感温変色性色彩記憶性材料の完全消色温度t4(完全消色温度t4′)は40℃以上である(t4′≧40)ことが好ましい。これにより、日常の生活環境下(例えば、常温域)において発色状態の他方の感温変色性色彩記憶性材料(初期状態で消色状態の感温変色性色彩記憶性材料)は消色し難くなり、各感温変色性色彩記憶性材料が共に発色した状態(状態3′)から加温される過程において、他方の感温変色性色彩記憶性材料が完全に発色した状態で保持され易くなる。よって、物品が適正温度範囲より低い温度環境下と高い温度環境下に逸脱したか否かを容易に判別することができる。なお常温は、JIS Z 8703で規定される20±15℃を基準とし、常温域とは、5℃以上35℃以下の温度域である。
完全消色温度t4′は50℃以上であることがより好ましく、60℃以上であることがさらに好ましい。温度t4′が上記の範囲を満たすことにより、発色状態の他方の感温変色性色彩記憶性材料が、日常の生活環境下ではよりいっそう消色し難くなり、状態3′から加温される過程において完全に発色した状態でよりいっそう保持され易くなる。
【0087】
温度管理インジケーターが適正温度範囲より高い温度環境下と低い温度環境下にそれぞれ逸脱したことを判別し易くなることから、発色状態の感温変色性色彩記憶性材料の完全発色温度t1は-30℃以下である(t1≦-30)ことが好ましい。
-30℃以下の温度域は、日常の生活環境下で一般的に使用される冷却具では到達し難い温度域であり、完全発色温度t1が-30℃以下であると、日常の生活環境下で一般的に使用される冷却具では、消色状態の感温変色性色彩記憶性材料が発色し難くなり、各感温変色性色彩記憶性材料が共に消色した状態(状態1)から冷却される過程において、一方の感温変色性色彩記憶性材料(初期状態で発色状態の感温変色性色彩記憶性材料)が消色状態で保持され易くなる。よって、他方の感温変色性色彩記憶性材料(初期状態で消色状態の感温変色性色彩記憶性材料)のみが完全に発色した状態であり、物品が適正温度範囲より高い温度環境下と低い温度環境下に逸脱したか否かを容易に判別することができる。
完全発色温度t1は-40℃以下であることがより好ましく、-50℃以下であることがさらに好ましい。完全発色温度t1が上記の範囲を満たすことにより、消色状態の一方の感温変色性色彩記憶性材料が、日常の生活環境下で一般的に使用される冷却具ではよりいっそう発色し難くなり、他方の感温変色性色彩記憶性材料のみが完全に発色した状態で保持され易くなる。
【0088】
本発明の温度管理インジケーターは、発色状態の感温変色性色彩記憶性材料の消色開始温度t3が、消色状態の感温変色性色彩記憶性材料の発色開始温度t2(発色開始温度t2′)よりも大きい(t3>t2′)ことが好ましい。これにより、初期状態の温度管理インジケーターは適正温度範囲内のある温度において、発色状態の感温変色性色彩記憶性材料は完全に発色した状態を、消色状態の感温変色性色彩記憶性材料は完全に消色した状態を保持し易くなり、一方の感温変色性色彩記憶性材料の色のみが視認され易くなる。よって、温度管理インジケーターが適正温度範囲を逸脱して色変化が生じた際に、温度管理インジケーターは初期状態からの色変化が明瞭であり、適正温度範囲を逸脱したか否かを容易に判別することができる。
【0089】
本発明に適用される各感温変色性色彩記憶性材料は、消色開始温度t3が発色開始温度t2′よりも大きく、さらに、消色開始温度t3′が完全消色温度t4より大きく、且つ、完全発色温度t1′が発色開始温度t2より大きいことが好適である。また、完全消色温度t4′は40℃以上であり、且つ、完全発色温度t1は-30℃以下であることが好適である。
【0090】
本発明の温度管理インジケーターは、感温変色性色彩記憶性材料を備えた第一の可逆熱変色体と、感温変色性色彩記憶性材料を備えた第二の可逆熱変色体から構成されるものである。ここで、温度管理インジケーター(10)の構成としては、例えば、
図4及び
図5に示されるような、第一の可逆熱変色体(20)と第二の可逆熱変色体(30)を並設してなる構成のものや、第一の可逆熱変色体(20)上に第二の可逆熱変色体(30)を積層してなる構成のものが挙げられる。温度管理インジケーターが積層構成である場合、第二の可逆熱変色体の大きさは第一の可逆熱変色体より小さいことが好ましい。
二つの可逆熱変色体を並設してなる場合の色変化の一例を
図6により、積層してなる場合の色変化の一例を
図7により説明する。
【0091】
図6及び
図7において、温度管理インジケーターは初期状態では、一方の感温変色性色彩記憶性材料が発色状態であるため、適正温度範囲内のある温度tでは、発色状態の感温変色性色彩記憶性材料による色のみが視認される(状態a)。温度管理インジケーターが適正温度範囲より高い温度環境下(温度t
4以上の温度域)に置かれると、各感温変色性色彩記憶性材料が消色状態で示す色がそれぞれ視認される(状態b)。この状態から、適正温度範囲より低い特定の温度環境下(温度t
1を超え、温度t
1′以下の温度域)に置かれると、他方の感温変色性色彩記憶性材料(初期状態で消色状態の感温変色性色彩記憶性材料)が発色状態で示す色が視認される(状態c)。さらに、温度t
1以下の温度域に置かれると、各感温変色性色彩記憶性材料が発色状態で示す色がそれぞれ視認される(状態d)。
同様に、状態aの温度管理インジケーターが適正温度範囲より低い温度環境下(温度t
1′以下の温度域)に置かれると、各感温変色性色彩記憶性材料が発色状態で示す色がそれぞれ視認される(状態d′)。この状態から、適正温度範囲より高い特定の温度環境下(温度t
4以上、温度t
4′未満の温度域)に置かれると、他方の感温変色性色彩記憶性材料(初期状態で消色状態の感温変色性色彩記憶性材料)が発色状態で示す色が視認される(状態c′)。さらに、温度t
4′以上の温度域に置かれると、各感温変色性色彩記憶性材料が消色状態で示す色がそれぞれ視認される(状態b′)。
つまり、本発明の温度管理インジケーターは、初期状態から一度でも適正温度範囲を逸脱すると、初期の一方の感温変色性色彩記憶性材料が発色状態の、変色前の温度管理インジケーターに戻すことが困難となるため、温度管理を必要とする物品又はその保存容器が一度も適正温度範囲を逸脱することなく保管されていたか否かを、不可逆的に判別することができる。
【0092】
ここで、温度管理インジケーターが、第一の可逆熱変色体上に第二の可逆熱変色体を積層してなる構成の場合、例えば
図8に示すように、第二の可逆熱変色体は透明性を有していてもよい。この場合、第一の可逆熱変色体と第二の可逆熱変色体は、同一の大きさのものを用いてもよい。
この場合の温度管理インジケーターの色変化の一例を
図9により説明する。
【0093】
温度管理インジケーターは初期状態では、一方の感温変色性色彩記憶性材料が発色状態であり、他方の感温変色性色彩記憶性材料が消色状態であるため、適正温度範囲内のある温度tでは、発色状態の感温変色性色彩記憶性材料が示す色と消色状態の感温変色性色彩記憶性材料が示す色が混色となった色が視認される(状態a)。温度管理インジケーターが適正温度範囲より高い温度環境下(温度t4以上の温度域)に置かれると、各感温変色性色彩記憶性材料が消色状態で示す色が混色となった色が視認される(状態b)。この状態から、適正温度範囲より低い特定の温度環境下(温度t1を超え、温度t1′以下の温度域)に置かれると、他方の感温変色性色彩記憶性材料(初期状態で消色状態の感温変色性色彩記憶性材料)が発色状態で示す色と、一方の感温変色性色彩記憶性材料(初期状態で発色状態の感温変色性色彩記憶性材料)が消色状態で示す色が混色となった色が視認される(状態c)。さらに、温度t1以下の温度域に置かれると、各感温変色性色彩記憶性材料が発色状態で示す色が混色となった色が視認される(状態d)。
同様に、状態aの温度管理インジケーターが適正温度範囲より低い温度環境下(温度t1′以下の温度域)に置かれると、各感温変色性色彩記憶性材料が発色状態で示す色が混色となった色が視認される(状態d′)。この状態から、適正温度範囲より高い特定の温度環境下(温度t4以上、温度t4′未満の温度域)に置かれると、他方の感温変色性色彩記憶性材料(初期状態で消色状態の感温変色性色彩記憶性材料)が発色状態で示す色と、一方の感温変色性色彩記憶性材料(初期状態で発色状態の感温変色性色彩記憶性材料)が消色状態で示す色が混色となった色が視認される(状態c′)。さらに、t4′以上の温度域に置かれると、各感温変色性色彩記憶性材料が消色状態で示す色が混色となった色が視認される(状態b′)。
つまり、上記の温度管理インジケーターは、初期状態から一度でも適正温度範囲を逸脱すると、初期の一方の感温変色性色彩記憶性材料が発色状態の、変色前の温度管理インジケーターに戻すことが困難となるため、温度管理を必要とする物品又はその保存容器が一度も適正温度範囲を逸脱することなく保管されていたか否かを、不可逆的に判別することができる。
さらに、上記構成の温度管理インジケーターは、第二の可逆熱変色体が透明性を有するため、第二の可逆熱変色体を通して第一の可逆熱変色体が視認され、各感温変色性色彩記憶性材料が示す色が混色となった色が視認されるものとなる。よって、温度管理インジケーターが示す色変化を多彩なものとすることができ、温度管理インジケーターが適正温度範囲を逸脱したか否かを判別することが容易となるため、第二の可逆熱変色体は透明性を有することが好適である。
【0094】
本発明に適用される各感温変色性色彩記憶性材料は発色状態で互いに異なる色を呈する、即ち、各感温変色性色彩記憶性材料の(イ)成分が互いに異なることが好ましい。
この場合、一方の感温変色性色彩記憶性材料が発色状態で視認される色と、他方の感温変色性色彩記憶性材料が発色状態で視認される色がそれぞれ異なるため、初期状態の温度管理インジケーターが、適正温度範囲を逸脱したか否かを判別することが容易となる。
特に、温度管理インジケーターが、第一の可逆熱変色体上に透明性を有する第二の可逆熱変色体を積層してなる構成において、各感温変色性色彩記憶性材料が共に発色状態である場合、発色状態の各感温変色性色彩記憶性材料が示す色が混色となった色が視認されるため、初期の一方の感温変色性色彩記憶性材料のみが発色状態である場合に視認される色と、各感温変色性色彩記憶性材料が共に発色状態である場合に視認される色と、他方の感温変色性色彩記憶性材料のみが発色状態である場合に視認される色とがそれぞれ異なるため、温度管理インジケーターが初期状態から、適正温度範囲より低い温度環境下、適正温度範囲より高い温度環境下、及び、適正温度範囲より低い温度環境下と高い温度環境下に逸脱したか否かを、容易且つ明瞭に判別することができる。
【0095】
各感温変色性色彩記憶性材料のヒステリシス幅(ΔH)は8~100℃であり、20~100℃であることが好ましく、30~100℃であることがより好ましく、30~80℃であることがさらに好ましく、30~60℃であることが特に好ましい。ヒステリシス幅(ΔH)が上記の範囲内にあることにより、温度管理インジケーターを、適正温度範囲が低温域にある物品の温度管理に有効に機能させ易くなる。
【0096】
本発明に適用される発色状態の感温変色性色彩記憶性材料は、完全消色温度t4が、-25℃以上、15℃以下の範囲(-25≦t4≦15)にあり、消色状態の感温変色性色彩記憶性材料は、完全発色温度t1(完全発色温度t1′)が、-30℃を超え、10℃以下の範囲〔-30<t1(t1′)≦10〕にある。これにより、本発明の温度管理インジケーターを、低温域に適正温度範囲を有する物品の温度管理に有効に機能させることができる。
本発明の温度管理インジケーターを、より低温域に適正温度範囲を有する物品に有効に機能させることができることから、発色状態の感温変色性色彩記憶性材料の完全消色温度t4は、-25℃以上、10℃以下の範囲(-25≦t4≦10)にあることが好ましく、-25℃以上、5℃以下の範囲(-25≦t4≦5)にあることがより好ましい。また、消色状態の感温変色性色彩記憶性材料の完全発色温度t1(t1′)は、-30℃を超え、5℃以下の範囲〔-30<t1(t1′)≦5〕にあることが好ましく、-30℃を超え、0℃以下の範囲〔-30<t1(t1′)≦0〕にあることがより好ましい。
【0097】
第一の可逆熱変色体(20)としては、
図10に示す通り、支持体(201)上に、感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料又は樹脂粒子等の感温変色性色彩記憶性材料を含有してなる可逆熱変色層〔第一の可逆熱変色層(202)〕を設けてなる構成の可逆熱変色性積層体〔第一の可逆熱変色性積層体(20′)〕を用いるほか、支持体中に感温変色性色彩記憶性材料を含有してなる構成の可逆熱変色性成形体〔第一の可逆熱変色性成形体(20″)を用いることもできる。
【0098】
第二の可逆熱変色体(30)としては、
図11に示す通り、支持体(301)上に、感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料又は樹脂粒子等の感温変色性色彩記憶性材料を含有してなる可逆熱変色層〔第二の可逆熱変色層(302)〕を設けてなる構成の可逆熱変色性積層体〔第二の可逆熱変色性積層体(30′)〕を用いるほか、支持体中に感温変色性色彩記憶性材料を含有してなる構成の可逆熱変色性成形体〔第二の可逆熱変色性成形体(30″)〕を用いることもできる。
【0099】
第一の可逆熱変色体及び第二の可逆熱変色体はいずれも、透明性を有するものであってもよく、この場合、感温変色性色彩記憶性材料は可逆熱変色体の透明性を損なわない範囲で配合される。
【0100】
温度管理インジケーター(10)の構成としては特に限定されるものではなく、例えば、
図12に示す通り、第一の可逆熱変色性積層体(20′)と第二の可逆熱変色性積層体(30′)を並設、或いは積層させた構成のものを例示できる。また、例えば
図13に示す通り、第一の可逆熱変色性成形体(20″)と第二の可逆熱変色性成形体(30″)を並設、或いは積層させた構成のものも例示できる。また、第一の可逆熱変色性積層体と第二の可逆熱変色性成形体を並設、或いは積層させた構成のものや、第一の可逆熱変色性成形体と第二の可逆熱変色性積層体を並設、或いは積層させた構成のものであってもよい。
【0101】
支持体上に可逆熱変色層を設けてなる可逆熱変色性積層体は、感温変色性色彩記憶性材料を、バインダー樹脂を含むビヒクル中に分散させたインキや塗料等の感温変色性色彩記憶性液状組成物を、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビヤ印刷、コーター、及び転写印刷等の印刷方法、又は、刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、流し塗り、ローラー塗り、及び浸漬塗装等の塗布方法により、印刷又は塗布して得ることができる。
【0102】
支持体としては特に限定されるものではなく、例えば、紙、合成紙、繊維、編布、織布、及び不織布等の布帛、合成皮革、レザー、プラスチック、ガラス、エラストマー、ゴム、陶磁器、金属、木材、石材等を例示できる。形態としては凹凸状であってもよいが、平面状、シート状、フィルム状のものが好適である。
可逆熱変色性積層体が透明性を有する場合、透明性を有する支持体が用いられる。透明性を有する支持体は、無色透明又は有色透明で、隣接する対象物の図柄や文字等が視認可能であり、対象物が可逆熱変色体である場合、可逆熱変色体の図柄や文字、色変化等が視認可能であれば特に限定されるものではない。
透明性を有する支持体としては、例えば、プラスチック、ガラス、エラストマー、ゴム等を例示できる。
取り扱い性に優れることから支持体としてはプラスチックが好ましい。また、本発明の温度管理インジケーターが低温域又は超低温域で使用されることを考慮すると、支持体は低温域又は超低温域で脆化し難いものであることが好ましく、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂からなるプラスチックが好適である。
【0103】
バインダー樹脂としては、感温変色性色彩記憶性材料の発色、消色、変色等に影響を及ぼさなければ特に限定されず、汎用の樹脂、例えば、アイオノマー樹脂、イソブチレン-無水マレイン酸系共重合樹脂、アクリロニトリル-アクリリックスチレン共重合樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル-塩素化ポリエチレン-スチレン共重合樹脂、エチレン-塩化ビニル共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル-塩化ビニルグラフト共重合樹脂、塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩素化塩化ビニル樹脂、塩化ビニル-塩化ビニリデン共重合樹脂、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、ポリプロピレン、ポリメチルスチレン、ポリアクリル酸エステル、ポリメチルメタクリレート、エポキシアクリレート樹脂、アルキルフェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性アルキド樹脂、フェノール樹脂変性アルキド樹脂、エポキシ樹脂変性アルキド樹脂、スチレン変性アルキド樹脂、アクリル変性アルキド樹脂、アミノアルキド樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル樹脂、スチレン-ブタジエン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、飽和ポリエステル、ポリウレタン、アルキッド樹脂、天然ゴム、ポリイソブチレン、ブチルゴム、ポリビニルアルキルエーテル、ロジン、ロジンエステル、ロジン誘導体、ポリテルペン、油溶性フェノール樹脂、石油系炭化水素樹脂、シェラック、環化ゴム、酢酸ビニル系エマルジョン樹脂、スチレン-ブタジエン系エマルジョン樹脂、アクリル酸エステル系エマルジョン樹脂、水溶性アルキド樹脂、水溶性メラミン樹脂、水溶性尿素樹脂、水溶性フェノール樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性ポリブタジエン、酢酸セルロース、硝酸セルロース、エチルセルロース等を例示できる。
【0104】
可逆熱変色性積層体において、さらに一般の染料や顔料等の非熱変色性着色剤を併用させることにより、有色(1)から有色(2)の互変的色変化をもたらすことができる。具体的には、支持体と可逆熱変色層の間に、非熱変色性着色剤を含有してなる非熱変色層を設けてなる構成や、可逆熱変色層中に非熱変色性着色剤を含有してなる構成を例示できる。可逆熱変色性積層体が透明性を有する場合、非熱変色性着色剤は透明性を損なわない範囲で配合される。
【0105】
支持体中に感温変色性色彩記憶性材料を含有してなる可逆熱変色性成形体は、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂から選ばれる成形用樹脂中に、上記の感温変色性色彩記憶性材料を溶融ブレンドした感温変色性色彩記憶性成形用樹脂組成物を、汎用の射出成形、押出成形、ブロー成形、又は注型成形等の成形方法により成形して得ることができる。
【0106】
支持体を形成する成形用樹脂としては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中高密度ポリエチレン、超高密度ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロへキシレン-ジメチレン-テレフタレート、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリアミド、共重合ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアセタール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリスルホン、フッ素樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン-プロピレン共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合樹脂、エチレン-アクリル酸エステル共重合樹脂、エチレン-メタクリル酸エステル共重合樹脂、エチレン-塩化ビニル共重合樹脂、塩化ビニル-プロピレン共重合樹脂、塩化ビニル-塩化ビニリデン共重合樹脂、スチレン-ブタジエン共重合樹脂、アクリロニトリル-塩化ビニリデン共重合樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル-エチレン-スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル-塩素化ポリエチレン-スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル-アクリル酸エステル-スチレン共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル樹脂-塩化ビニルグラフト共重合樹脂、メタクリル酸メチル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、1,2-ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、石油系炭化水素樹脂、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ニトロセルロース、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリブテン、クマロン-インデン共重合物、フェノキシプラスチック等の熱可塑性樹脂、
エポキシ樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂、グアナミン樹脂、エポキシアクリレート、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル、フラン樹脂、ポリイミド、ポリ(p-ヒドロキシ安息香酸)、ポリウレタン、尿素樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂を例示できる。
【0107】
可逆熱変色性成形体が透明性を有する場合、透明性を有する支持体を形成する成形用樹脂が用いられる。透明性を有する支持体を形成する成形用樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロへキシレン-ジメチレン-テレフタレート、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、アイオノマー樹脂、エチレン-プロピレン共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合樹脂、エチレン-アクリル酸エステル共重合樹脂、エチレン-メタクリル酸エステル共重合樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合樹脂、シクロオレフィンコポリマー等の熱可塑性樹脂、
エポキシ樹脂、エポキシアクリレート、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、尿素樹脂、アリール樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂を例示できる。
【0108】
可逆熱変色性成形体において、さらに一般の染料や顔料等の非熱変色性着色剤を併用させることにより、有色(1)から有色(2)の互変的色変化をもたらすことができる。具体的には、支持体中に非熱変色性着色剤を含有してなる構成を例示できる。なお、可逆熱変色性成形体が透明性を有する場合、非熱変色性着色剤は透明性を損なわない範囲で配合される。
【0109】
可逆熱変色性積層体の可逆熱変色層上、又は可逆熱変色性成形体上には、透明性保護層を設けて耐久性を付与したり、光安定剤又は透明性金属光沢顔料を含む層を設けて耐光性を付与したりすることができる。
透明性保護層は、隣接する可逆熱変色層又は可逆熱変色性成形体に含有される感温変色性色彩記憶性材料を物理的な衝撃から保護する役割を有し、樹脂又は樹脂エマルジョンを含む溶液を印刷又は塗布したり、平面状、シート状、フィルム状等の形態のプラスチック、エラストマー、又はゴム等を貼着したりして、透明性保護層を設けることができる。
本発明の温度管理インジケーターが低温域又は超低温域で使用されることを考慮すると、透明性保護層は低温域又は超低温域で脆化し難いものであることが好ましく、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂等の樹脂により構成されることが好適である。
透明性保護層は、通常のラミネート加工、例えば、ドライラミネート加工、ホットメルトラミネート加工により設けたり、或いは、透明性保護層と、隣接する可逆熱変色層又は可逆熱変色性成形体との間に熱融着フィルムを介在させて加熱圧着することにより設けたりすることができる。
【0110】
光安定剤としては、紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、一重項酸素消光剤、スーパーオキシドアニオン消光剤、オゾン消光剤、可視光線吸収剤、赤外線吸収剤等が挙げられる。
透明性金属光沢顔料としては、芯物質として天然雲母、合成雲母、ガラス片、アルミナ、透明性フィルム片の表面を酸化チタン等の金属酸化物で被覆した顔料等が挙げられる。
これらの光安定剤又は透明性金属光沢顔料を分散状態に固着した層を設けることによって耐光性を付与することができる。
【0111】
可逆熱変色体には、対象物に接する面に粘着層を設けることにより、対象物への接着性を容易なものとすることができる。
第一の可逆熱変色体上に第二の可逆熱変色体を積層してなる構成において、例えば、
図14に示す通り、第一の可逆熱変色体の、第二の可逆熱変色体が設けられる反対側の面〔対象物(物品又はその保存容器等)に接する面〕に粘着層〔第一の粘着層(203)〕を設けてなる構成が挙げられ、対象物に第一の可逆熱変色体を貼着し、第一の可逆熱変色体上に第二の可逆熱変色体を積層して温度管理インジケーターとして使用することができる。また、例えば
図15に示す通り、第二の可逆熱変色体の、対象物(第一の可逆熱変色体)に接する面に粘着層〔第二の粘着層(303)〕を設けてなる構成も挙げられ、第一の可逆熱変色体に第二の可逆熱変色体を貼着し、対象物に積層して使用することができる。
さらに、第一の可逆熱変色体の、第二の可逆熱変色体が設けられる反対側の面に第一の粘着層を設けてなり、且つ、第二の可逆熱変色体の、第一の可逆熱変色体に接する面に第二の粘着層を設けてなる構成とすることにより、物品又はその保存容器等の対象物に第一の可逆熱変色体を貼着すると共に、第一の可逆熱変色体に第二の可逆熱変色体を貼着して使用することもできる。
ここで、可逆熱変色体が可逆熱変色性積層体である場合、粘着層は支持体の、可逆熱変色層が設けられる反対側の面に設けることができる。
また、第一の可逆熱変色体の、対象物(物品又はその保存容器等)に接する面に第一の粘着層を設けてなると共に、第二の可逆熱変色体の、対象物(物品又はその保存容器等)に接する面に第二の粘着層を設けてなる構成とし、第一の可逆熱変色体と第二の可逆熱変色体を共に対象物に貼着することにより、第一の可逆熱変色体と第二の可逆熱変色体を並設させた温度管理インジケーターとして使用することもできる。
【0112】
粘着層としては、可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料の発色、消色、変色等に影響がなく、対象物に貼着可能であれば特に限定されるものではない。可逆熱変色体が透明性を有する場合、隣接する対象物の図柄や文字等が視認可能であり、対象物が可逆熱変色体である場合、可逆熱変色体の図柄や文字、色変化等が視認可能であれば特に限定されるものではない。
粘着層に用いられる粘着剤としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、スチレン-ブタジエン共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、ビニルエーテル共重合樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ樹脂等を例示できる。
本発明の温度管理インジケーターが低温域又は超低温域で使用されることを考慮すると、粘着剤は低温域又は超低温域において粘着性が低下し難いものであることが好ましく、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ樹脂が好適である。
粘着層には、使用時の利便性や、粘着層を設けた可逆熱変色体の加工性を向上させるために、離型層を設けてもよい
【0113】
また、可逆熱変色体が可逆熱変色性積層体であり、支持体が透明性を有する場合、透明性を有する支持体上に可逆熱変色層を設け、可逆熱変色層の、透明性を有する支持体が設けられる反対側の面に粘着層を設けてなる構成とすることもできる。上記構成の可逆熱変色性積層体は、貼着する際に透明性を有する支持体が最外層にあるため可逆熱変色層の保護層として機能し、可逆熱変色層上に透明性保護層を設けることなく可逆熱変色層に耐久性を付与することができる。
【0114】
第一の可逆熱変色性積層体及び第二の可逆熱変色性積層体は、改ざん防止用部材を支持体として用いることができる。例えば
図16に示す通り、第一の可逆熱変色性積層体〔20(20′)〕の支持体を、粘着層を設けた改ざん防止用部材(204)とする構成が挙げられる。上記構成の第一の可逆熱変色体を対象物に貼着し、第一の可逆熱変色体上に第二の可逆熱変色体を積層させることにより、物品又はその保存容器が適正温度範囲外の温度環境下に逸脱した場合に、第一の可逆熱変色体を剥がして、再度冷却又は加温して貼り直すことや、新しい温度管理インジケーターと交換する等の改ざん行為を防止することができる。
また、第二の可逆熱変色性積層体の支持体を、粘着層を設けた改ざん防止用部材とすることもできる。上記構成の第二の可逆熱変色体を第一の可逆熱変色体に貼着した温度管理インジケーターを対象物に積層、或いは貼着させることにより、物品又はその保存容器が適正温度範囲外の温度環境下に逸脱した場合に、第二の可逆熱変色体を剥がして、再度冷却又は加温して貼り直すことや、新しい温度管理インジケーターと交換する等の改ざん行為を防止することができる。
さらに、第一の可逆熱変色体の支持体と第二の可逆熱変色体の支持体を、粘着層を設けた改ざん防止用部材とすることもできる。上記構成の第一の可逆熱変色体を対象物に貼着すると共に、第一の可逆熱変色体に上記構成の第二の可逆熱変色体を貼着することにより、改ざん行為をよりいっそう防止することができる。
また、
図17に示す通り、透明性を有する第二の可逆熱変色性積層体〔31(31′)〕の支持体を、粘着層を設けた透明性を有する改ざん防止用部材(314)とすることもできる。上記構成の第二の可逆熱変色体を第一の可逆熱変色体に貼着した温度管理インジケーターを、対象物に積層、或いは貼着させることにより、物品又はその保存容器が適正温度範囲外の温度環境下に逸脱した場合に、第二の可逆熱変色体を剥がして、再度冷却又は加温して貼り直すことや、新しい温度管理インジケーターと交換する等の改ざん行為を防止することができる。
【0115】
改ざん防止用部材は、積層構造の部材の最外層に粘着層を設ける構成とすることで改ざん防止機能が発揮されるものである。
改ざん防止用部材としては、改ざん防止用ラベル、テープ、又はシール等を用いることができ、例えば、対象物に貼着後剥がすと、積層構造の層内剥離によって、粘着層が文字の形として対象物に転写されるタイプの改ざん防止機能を有する改ざん防止用部材を例示できる。
また、対象物に貼着後剥がすと、積層構造の界面で分離が生じ、層の変形によって対象物に残留物が残らず改ざん防止用部材に文字が浮き出るタイプや、脆弱な材質の基材を用いることによって、対象物に貼着後剥がすと基材が破壊され、剥がした跡が被着体上に残るタイプ等の改ざん防止性を有する改ざん防止用部材を例示できる。
【0116】
本発明における透明性とは、可視光領域(JIS B 7079で規定される380~780nmの波長領域)の波長の光を透過する性質のことである。
上記の第一の可逆熱変色体、或いは第二の可逆熱変色体が透明性を有する場合、可視光領域における光透過率(可視光透過率)は、5%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましく、20%以上であることがさらに好ましい。可視光透過率が上記の範囲を満たすことにより、隣接する可逆熱変色体の図柄や文字、色変化等、或いは隣接する対象物の図柄や文字等を明瞭に視認し易くなる。
また、透明性保護層の可視光領域における光透過率(可視光透過率)は、5%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましく、20%以上であることがさらに好ましい。可視光透過率が上記の範囲を満たすことにより、隣接する可逆熱変色層又は可逆熱変色性成形体の図柄や文字、色変化等を明瞭に視認し易くなる。
可視光透過率は、例えば、分光光度計〔(株)日立製作所製、製品名:U-3210〕を用いて測定することができ、可視光領域の波長の光を透過する透明基材上に可逆熱変色体、或いは透明性保護層を設け、分光光度計を用いて380nmから780nmの波長領域で測定し、最大値と最小値の中間値とすることで求めることができる。
【0117】
本発明の温度管理インジケーターは、例えば次のように使用することができる。
まず、(ハ)成分が上記式(C)で示される化合物であり、完全消色温度t4が-25℃以上、15℃以下の範囲にある感温変色性色彩記憶性材料(一方の感温変色性色彩記憶性材料)が備えられる可逆熱変色体を第一の可逆熱変色体とし、上記の感温変色性色彩記憶性材料を発色状態とするために、第一の可逆熱変色体を完全発色温度t1以下の温度で冷却し、発色状態を保持させる。また、完全発色温度t1
′が-30℃を超え、10℃以下の範囲にある感温変色性色彩記憶性材料(他方の感温変色性色彩記憶性材料)が備えられる可逆熱変色体を第二の可逆熱変色体とし、上記の感温変色性色彩記憶性材料を消色状態とするために、第二の可逆熱変色体を完全消色温度t4′以上の温度で加温し、消色状態を保持させる。
次いで、第一の可逆熱変色体の冷却、第二の可逆熱変色体の加温を止め、適正温度範囲内の温度環境下で、物品又は保存容器上に第一の可逆熱変色体と第二の可逆熱変色体を並設して温度管理インジケーターとする。或いは、適正温度範囲内の温度環境下で、第一の可逆熱変色体上に第二の可逆熱変色体を積層して温度管理インジケーターとし、これを物品又は保存容器上に積層する。この初期状態の温度管理インジケーターは、一方の感温変色性色彩記憶性材料が発色状態、他方の感温変色性色彩記憶性材料が消色状態であり、温度管理を必要とする物品又はその保存容器の温度変化を検知可能な状態となる。この状態から、温度管理インジケーターの色が変化することによって、物品又はその保存容器が適正温度範囲を逸脱したことを不可逆的に判別することが可能となる。
ここで、温度管理インジケーターが使用前に誤って適正温度範囲より高い温度環境下に置かれ、各可逆熱変色体が共に消色状態となった場合には、温度管理インジケーターから第一の可逆熱変色体を外し、再度温度t1以下の温度で冷却し、発色状態で保持させる。次いで、第一の可逆熱変色体の冷却を止め、適正温度範囲内の温度環境下で再度、第一の可逆熱変色体と第二の可逆熱変色体を並設させる、或いは、第一の可逆熱変色体上に第二の可逆熱変色体を積層させることで、温度管理インジケーターを初期状態とすることができる。
また、温度管理インジケーターが使用前に誤って適正温度範囲より低い温度環境下に置かれ、各可逆熱変色体が共に発色状態となった場合には、温度管理インジケーターから第二の可逆熱変色体を外し、再度温度t4′以上の温度で加温し、消色状態で保持させる。次いで、第二の可逆熱変色体の加温を止め、適正温度範囲内の温度環境下で再度、第一の可逆熱変色体と第二の可逆熱変色体を並設させる、或いは、第一の可逆熱変色体上に第二の可逆熱変色体を積層させることで、温度管理インジケーターを初期状態とすることができる。
なお、完全発色温度t1
′が-30℃を超え、10℃以下の範囲にある感温変色性色彩記憶性材料(他方の感温変色性色彩記憶性材料)が備えられる可逆熱変色体を第一の可逆熱変色体とし、(ハ)成分が上記式(C)で示される化合物であり、完全消色温度t4が-25℃以上、15℃以下の範囲にある感温変色性色彩記憶性材料(一方の感温変色性色彩記憶性材料)が備えられる可逆熱変色体を第二の可逆熱変色体とすることもできる。この場合、消色状態の第一の可逆熱変色体と発色状態の第二の可逆熱変色体を並設する、或いは、消色状態の第一の可逆熱変色体上に、発色状態の第二の可逆熱変色体を積層して温度管理インジケーターとし、上記した方法と同様の方法で使用することができる。
【実施例0118】
以下に実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例中の部は、質量部を示す。
【0119】
実施例1
感温変色性色彩記憶性材料A(感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料A)の調製
(イ)成分として、3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド1.5部と、(ロ)成分として、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5部と、(ハ)成分として、カプリル酸4-メチルベンジル50部とからなる感温変色性色彩記憶性組成物を均一に加温溶解し、壁膜材料として芳香族イソシアネートプレポリマー30部と、助溶剤50部とからなる混合溶液に投入した後、6%ポリビニルアルコール水溶液中で乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5部を加え、さらに攪拌を続けてマイクロカプセル分散液を調製した。上記のマイクロカプセル分散液から遠心分離法により、マイクロカプセル顔料Aを得た。
マイクロカプセル顔料Aは、平均粒子径が4.6μmであり、完全発色温度t1:-55℃、発色開始温度t2:-45℃、消色開始温度t3:-10℃、完全消色温度t4:-6℃、ΔH:42℃であり、温度変化により青色から無色に可逆的に変化した。
【0120】
感温変色性色彩記憶性材料B(感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料B)の調製
(イ)成分として、6-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)-1,2-ベンゾフルオラン2部と、(ロ)成分として、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5部、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン10部と、(ハ)成分として、カプリン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル50部とからなる感温変色性色彩記憶性組成物を均一に加温溶解し、壁膜材料として芳香族イソシアネートプレポリマー30部と、助溶剤50部とからなる混合溶液に投入した後、8%ポリビニルアルコール水溶液中で乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5部を加え、さらに攪拌を続けてマイクロカプセル分散液を調製した。上記のマイクロカプセル分散液から遠心分離法により、マイクロカプセル顔料Bを得た。
マイクロカプセル顔料Bは、平均粒子径が2.0μmであり、完全発色温度t1′:-21℃、発色開始温度t2′:-13℃、消色開始温度t3′:38℃、完全消色温度t4′:60℃、ΔH:66℃であり、温度変化によりマゼンタ色から無色に可逆的に変化した。
【0121】
温度管理インジケーターの作製(
図12参照)
支持体(201)として厚さ25μmの白色ポリエステルフィルム上に、上記のマイクロカプセル顔料A30部と、ウレタン系エマルジョン62部と、増粘剤2部と、レベリング剤0.5部と、消泡剤0.5部と、架橋剤5部とを均一に分散してなる感温変色性色彩記憶性インキを120メッシュのスクリーン版を用いてベタ印刷を行い、乾燥硬化させて第一の可逆熱変色層(202)を設けて、第一の可逆熱変色体(20)〔第一の可逆熱変色性積層体(20′)〕を得た。次いで、第一の可逆熱変色体を裁断して、全面に可逆熱変色層が視認される、直径5cmの真円状の第一の可逆熱変色体を作製した。
支持体(301)として厚さ25μmの白色ポリエステルフィルム上に、上記のマイクロカプセル顔料B30部と、ウレタン系エマルジョン62部と、増粘剤2部と、レベリング剤0.5部と、消泡剤0.5部と、架橋剤5部とを均一に分散してなる感温変色性色彩記憶性インキを120メッシュのスクリーン版を用いてベタ印刷を行い、乾燥硬化させて第二の可逆熱変色層(302)を設けて、第二の可逆熱変色体(30)〔第二の可逆熱変色性積層体(30′)〕を得た。次いで、第二の可逆熱変色体を裁断して、全面に可逆熱変色層が視認される、直径3cmの真円状の第二の可逆熱変色体を作製した。
第一の可逆熱変色体は-55℃以下で冷却して発色状態を保持させ、第二の可逆熱変色体は60℃以上で加温して消色状態を保持させて保管した。次いで、第一の可逆熱変色体の冷却及び第二の可逆熱変色体の加温を止め、-12℃の温度環境下で、第一の可逆熱変色体上に第二の可逆熱変色体を積層して、温度管理インジケーター(10)を作製した。
【0122】
鮮魚の流通、保管過程の温度管理(-20℃以上、-7℃以下の適正温度範囲を逸脱したか否かを判別する)
-12℃の温度環境下で、適正温度範囲が-20℃以上、-7℃以下の範囲にある鮮魚を収容する保管容器に温度管理インジケーターを積層させると、第一の可逆熱変色体による青色がドーナツ状に視認された(初期状態)。
【0123】
保管容器が-6℃以上の温度環境下に置かれると、第一の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料Aが消色して温度管理インジケーターは色変化し、第一の可逆熱変色体の支持体と第二の可逆熱変色体の支持体により、白色が真円状に視認された(状態1)。
状態1の温度管理インジケーターは-55℃を超え、-21℃以下の温度環境下に置かれると、第二の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料Bが発色して、第二の可逆熱変色体によるマゼンタ色が真円状に視認された(状態2)。
状態2の温度管理インジケーターは-55℃以下の温度環境下に置かれると、第一の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料Aが発色して、第二の可逆熱変色体によるマゼンタ色が真円状に視認されると共に、マゼンタ色の真円の周囲を囲むように、第一の可逆熱変色体による青色がドーナツ状に視認された(状態3)。
【0124】
また、保管容器が-21℃以下の温度環境下に置かれると、第二の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料Bが発色して温度管理インジケーターは色変化し、第二の可逆熱変色体によるマゼンタ色が真円状に視認されると共に、マゼンタ色の真円の周囲を囲むように、第一の可逆熱変色体による青色がドーナツ状に視認された(状態3′)。
状態3′の温度管理インジケーターは-6℃以上、60℃未満の温度環境下に置かれると、第一の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料Aが消色して、第二の可逆熱変色体によるマゼンタ色が真円状に視認された(状態2′)。
状態2′の温度管理インジケーターは60℃以上の温度環境下に置かれると、第二の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料Bが消色して、第一の可逆熱変色体の支持体と第二の可逆熱変色体の支持体により、白色が真円状に視認された(状態1′)。
【0125】
鮮魚を収容した保管容器は、適正温度範囲外の温度環境下に置かれると温度管理インジケーターが色変化し、その後、初期の一方の感温変色性色彩記憶性材料(感温変色性色彩記憶性材料A)が発色状態の、変色前の温度管理インジケーターに戻すことが困難であるため、保管容器が適正温度範囲を逸脱したことを不可逆的に判別することできた。ここで、温度t3は温度t2′より大きいことから、保管容器が適正温度範囲を逸脱したことが判別し易いものであった。
また、適正温度範囲より高い温度環境下と低い温度環境下に逸脱した際、特定の温度環境下で他方の感温変色性色彩記憶性材料(感温変色性色彩記憶性材料B)のみが発色した状態を保持するため、保管容器が適正温度範囲より高い温度環境下と低い温度環境下にそれぞれ逸脱したことも不可逆的に判別することができた。ここで、温度t4′は60℃で常温域より高い温度域にあり、温度t1は-55℃で超低温域にあり、さらに、Δt4(t4′-t4):66℃、Δt1(t1′-t1):34℃、(t3′-t4):44℃、(t1′-t2):24℃であることから、保管容器が適正温度範囲より高い温度環境下と低い温度環境下にそれぞれ逸脱したことが判別し易いものであった。
また、温度t4と保管容器の適正温度範囲の上限温度TMAXとの差(ΔTMAX)は、0<ΔTMAX≦1を満たし、温度t1′と保管容器の適正温度範囲の下限温度Tminとの差(ΔTmin)は、0<ΔTmin≦1を満たすことから、鮮魚の温度管理をよりいっそう厳密に行うことができた。
【0126】
実施例2
温度管理インジケーターの作製(
図12参照)
支持体(201)として白色合成紙上に、実施例1のマイクロカプセル顔料A30部と、ウレタン系エマルジョン62部と、増粘剤2部と、レベリング剤0.5部と、消泡剤0.5部と、架橋剤5部とを均一に分散してなる感温変色性色彩記憶性インキを120メッシュのスクリーン版を用いてベタ印刷を行い、乾燥硬化させて第一の可逆熱変色層(202)を設けて、第一の可逆熱変色体(20)〔第一の可逆熱変色性積層体(20′)〕を得た。次いで、第一の可逆熱変色体を裁断して、全面に可逆熱変色層が視認される、半径5cmの半円状の第一の可逆熱変色体を作製した。
支持体(301)として白色合成紙上に、実施例1のマイクロカプセル顔料B30部と、ウレタン系エマルジョン62部と、増粘剤2部と、レベリング剤0.5部と、消泡剤0.5部と、架橋剤5部とを均一に分散してなる感温変色性色彩記憶性インキを120メッシュのスクリーン版を用いてベタ印刷を行い、乾燥硬化させて第二の可逆熱変色層(302)を設けて、第二の可逆熱変色体(30)〔第二の可逆熱変色性積層体(30′)〕を得た。次いで、第二の可逆熱変色体を裁断して、全面に可逆熱変色層が視認される、半径5cmの半円状の第二の可逆熱変色体を作製した。
第一の可逆熱変色体は-55℃以下で冷却して発色状態を保持させ、第二の可逆熱変色体は60℃以上で加温して消色状態を保持させて保管した。
【0127】
鮮魚の流通、保管過程の温度管理(-20℃以上、-7℃以下の適正温度範囲を逸脱したか否かを判別する)
-12℃の温度環境下で、適正温度範囲が-20℃以上、-7℃以下の範囲にある鮮魚を収容する保管容器に、第一の可逆熱変色体と第二の可逆熱変色体を、直径5cmの真円状になるように並設させて温度管理インジケーター(10)とした。温度管理インジケーターは、右半分に第一の可逆熱変色体による青色が半円状に視認された(初期状態)。
【0128】
保管容器が-6℃以上の温度環境下に置かれると、第一の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料Aが消色して温度管理インジケーターは色変化し、第一の可逆熱変色体による支持体と第二の可逆熱変色体の支持体により、白色が真円状に視認された(状態1)。
状態1の温度管理インジケーターは-55℃を超え、-21℃以下の温度環境下に置かれると、第二の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料Bが発色して、温度管理インジケーターの左半分に、第二の可逆熱変色体によるマゼンタ色が半円状に視認された(状態2)。
状態2の温度管理インジケーターは-55℃以下の温度環境下に置かれると、第一の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料Aが発色して、温度管理インジケーターの左半分に第二の可逆熱変色体によるマゼンタ色が半円状に視認されると共に、右半分に第一の可逆熱変色体による青色が半円状に視認された(状態3)。
【0129】
また、保管容器が-21℃以下の温度環境下に置かれると、第二の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料Bが発色して温度管理インジケーターは色変化し、温度管理インジケーターの左半分に第二の可逆熱変色体によるマゼンタ色が半円状に視認されると共に、右半分に第一の可逆熱変色体による青色が半円状に視認された(状態3′)。
状態3′の温度管理インジケーターは-6℃以上、60℃未満の温度環境下に置かれると、第一の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料Aが消色して、温度管理インジケーターの左半分に第二の可逆熱変色体によるマゼンタ色が半円状に視認された(状態2′)。
状態2′の温度管理インジケーターは60℃以上の温度環境下に置かれると、第二の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料Bが消色して、第一の可逆熱変色体の支持体と第二の可逆熱変色体の支持体により、白色が真円状に視認された(状態1′)。
【0130】
鮮魚を収容した保管容器は、適正温度範囲外の温度環境下に置かれると温度管理インジケーターが色変化し、その後、初期の一方の感温変色性色彩記憶性材料(感温変色性色彩記憶性材料A)が発色状態の、変色前の温度管理インジケーターに戻すことが困難であるため、保管容器が適正温度範囲を逸脱したことを不可逆的に判別することできた。ここで、温度t3は温度t2′より大きいことから、保管容器が適正温度範囲を逸脱したことが判別し易いものであった。
また、適正温度範囲より高い温度環境下と低い温度環境下に逸脱した際、特定の温度環境下で他方の感温変色性色彩記憶性材料(感温変色性色彩記憶性材料B)のみが発色した状態を保持するため、保管容器が適正温度範囲より高い温度環境下と低い温度環境下にそれぞれ逸脱したことも不可逆的に判別することができた。ここで、温度t4′は60℃で常温域より高い温度域にあり、温度t1は-55℃で超低温域にあり、さらに、Δt4(t4′-t4):66℃、Δt1(t1′-t1):34℃、(t3′-t4):44℃、(t1′-t2):24℃であることから、保管容器が適正温度範囲より高い温度環境下と低い温度環境下にそれぞれ逸脱したことが判別し易いものであった。
また、温度t4と保管容器の適正温度範囲の上限温度TMAXとの差(ΔTMAX)は、0<ΔTMAX≦1を満たし、温度t1′と保管容器の適正温度範囲の下限温度Tminとの差(ΔTmin)は、0<ΔTmin≦1を満たすことから、鮮魚の温度管理をよりいっそう厳密に行うことができた。
【0131】
実施例3
感温変色性色彩記憶性材料A(感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料A)の調製
(イ)成分として、1,3-ジメチル-6-ジエチルアミノフルオラン2.5部と、(ロ)成分として、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5部と、(ハ)成分として、カプリン酸シクロヘキシルメチル49部、パルミチン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル1部とからなる感温変色性色彩記憶性組成物を均一に加温溶解し、壁膜材料として芳香族イソシアネートプレポリマー30部と、助溶剤50部とからなる混合溶液に投入した後、6%ポリビニルアルコール水溶液中で乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5部を加え、さらに攪拌を続けてマイクロカプセル分散液を調製した。上記のマイクロカプセル分散液から遠心分離法により、マイクロカプセル顔料Aを得た。
マイクロカプセル顔料Aは、平均粒子径が3.9μmであり、完全発色温度t1:-44℃、発色開始温度t2:-31℃、消色開始温度t3:-15℃、完全消色温度t4:-9℃、ΔH:25.5℃であり、温度変化により橙色から無色に可逆的に変化した。
【0132】
感温変色性色彩記憶性材料B(感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料B)の調製
(イ)成分として、3,3-ビス(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド1部と、(ロ)成分として、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン4部、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン4部と、(ハ)成分として、ヘキサデカン酸ビス(4-メトキシフェニル)メチル50部とからなる感温変色性色彩記憶性組成物を均一に加温溶解し、壁膜材料として芳香族イソシアネートプレポリマー30部と、助溶剤50部とからなる混合溶液に投入した後、8%ポリビニルアルコール水溶液中で乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5部を加え、さらに攪拌を続けてマイクロカプセル分散液を調製した。上記のマイクロカプセル分散液から遠心分離法により、マイクロカプセル顔料Bを得た。
マイクロカプセル顔料Bは、平均粒子径が2.0μmであり、完全発色温度t1′:-21℃、発色開始温度t2′:-16℃、消色開始温度t3′:41℃、完全消色温度t4′:52℃、ΔH:65℃であり、温度変化により青緑色から無色に可逆的に変化した。
【0133】
温度管理インジケーターの作製(
図18参照)
支持体(201)として白色合成紙上に、上記のマイクロカプセル顔料A30部と、ウレタン系エマルジョン62部と、増粘剤2部と、レベリング剤0.5部と、消泡剤0.5部と、架橋剤5部とを均一に分散してなる感温変色性色彩記憶性インキを120メッシュのスクリーン版を用いてベタ印刷を行い、乾燥硬化させて第一の可逆熱変色層(202)を設けて、第一の可逆熱変色体(20)〔第一の可逆熱変色性積層体(20′)〕を得た。次いで、第一の可逆熱変色体を裁断して、全面に可逆熱変色層が視認される、5cm四方の正方形の第一の可逆熱変色体を作製した。
透明性を有する支持体(311)として、厚さ25μmの透明ポリエステルフィルム上に、上記のマイクロカプセル顔料B30部と、ウレタン系エマルジョン62部と、増粘剤2部と、レベリング剤0.5部と、消泡剤0.5部と、架橋剤5部とを均一に分散してなる感温変色性色彩記憶性インキを120メッシュのスクリーン版を用いてベタ印刷を行い、乾燥硬化させて第二の可逆熱変色層(302)を設けて、透明性を有する第二の可逆熱変色体(31)〔透明性を有する第二の可逆熱変色性積層体(31′)〕を得た。次いで、第二の可逆熱変色体を裁断して、全面に可逆熱変色層が視認される、5cm四方の正方形の第二の可逆熱変色体を作製した。
第一の可逆熱変色体は-44℃以下で冷却して発色状態を保持させ、第二の可逆熱変色体は52℃以上で加温して消色状態を保持させて保管した。次いで、第一の可逆熱変色体の冷却及び第二の可逆熱変色体の加温を止め、第一の可逆熱変色体上に第二の可逆熱変色体を積層して温度管理インジケーター(10)を作製したが、誤って18℃の温度環境下で積層させてしまい、発色状態の第一の可逆熱変色体が消色してしまったため、温度管理インジケーターから第一の可逆熱変色体を外し、再度-44℃以下に冷却して発色状態を保持させて保管した。
第一の可逆熱変色体の冷却を止め、-18℃の温度環境下で、第一の可逆熱変色体上に第二の可逆熱変色体を積層したところ、所望の温度管理インジケーターを作製することができた。
【0134】
パン生地の流通、保管過程の温度管理(-20℃以上、-10℃以下の適正温度範囲を逸脱したか否かを判別する)
-18℃の温度環境下で、適正温度範囲が-20℃以上、-10℃以下の範囲にあるパン生地を収容する保存容器に温度管理インジケーターを積層させると、感温変色性色彩記憶性材料Bは発色を開始するため、第一の可逆熱変色体による橙色と第二の可逆熱変色体による薄青緑色が混色となった薄茶色が正方形状に視認された(初期状態)。
【0135】
保存容器が-9℃以上の温度環境下に置かれると、第一の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料A及び第二の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料Bが消色して、温度管理インジケーターは色変化し、第一の可逆熱変色体の支持体による白色が正方形状に視認された(状態1)。
状態1の温度管理インジケーターは-44℃を超え、-21℃以下の温度環境下に置かれると、第二の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料Bが発色して、第二の可逆熱変色体による青緑色が正方形状に視認された(状態2)。
状態2の温度管理インジケーターは-44℃以下の温度環境下に置かれると、第一の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料Aが発色して、第一の可逆熱変色体による橙色と第二の可逆熱変色体による青緑色が混色となった茶色(濃茶色)が正方形状に視認された(状態3)。
【0136】
また、保存容器が-21℃以下の温度環境下に置かれると、第二の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料Bが発色して温度管理インジケーターは色変化し、第一の可逆熱変色体による橙色と第二の可逆熱変色体による青緑色が混色となった茶色(濃茶色)が正方形状に視認された(状態3′)。
状態3′の温度管理インジケーターは-9℃以上、52℃未満の温度環境下に置かれると、第一の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料Aが消色して、第二の可逆熱変色体による青緑色が正方形状に視認された(状態2′)。
状態2′の温度管理インジケーターは52℃以上の温度環境下に置かれると、第二の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料Bが消色して、第一の可逆熱変色体の支持体による白色が正方形状に視認された(状態1′)。
【0137】
パン生地を収容した保存容器は、適正温度範囲外の温度環境下に置かれると温度管理インジケーターが色変化し、その後、初期の一方の感温変色性色彩記憶性材料(感温変色性色彩記憶性材料A)が発色状態であり、他方の感温変色性色彩記憶性材料(感温変色性色彩記憶性材料B)が僅かに発色した状態である、変色前の温度管理インジケーターに戻すことが困難であるため、保存容器が適正温度範囲を逸脱したことを不可逆的に判別することできた。ここで、温度t3は温度t2′より大きいことから、保存容器が適正温度範囲を逸脱したことが判別し易いものであった。
また、適正温度範囲より高い温度環境下と低い温度環境下に逸脱した際、特定の温度環境下で他方の感温変色性色彩記憶性材料(感温変色性色彩記憶性材料B)のみが発色した状態を保持するため、保存容器が適正温度範囲より高い温度環境下と低い温度環境下にそれぞれ逸脱したことも不可逆的に判別することができた。ここで、温度t4′は52℃で常温域より高い温度域にあり、温度t1は-44℃で超低温域にあり、さらに、Δt4(t4′-t4):61℃、Δt1(t1′-t1):23℃、(t3′-t4):50℃、(t1′-t2):10℃であることから、保存容器が適正温度範囲より高い温度環境下と低い温度環境下にそれぞれ逸脱したことが判別し易いものであった。
また、温度t4と保存容器の適正温度範囲の上限温度TMAXとの差(ΔTMAX)は、0<ΔTMAX≦1を満たし、温度t1′と保存容器の適正温度範囲の下限温度Tminとの差(ΔTmin)は、0<ΔTmin≦1を満たすことから、パン生地の温度管理をよりいっそう厳密に行うことができた。
【0138】
実施例4
温度管理インジケーターの作製(
図19参照)
透明性を有する支持体(211)として、厚さ25μmの透明ポリエステルフィルム上に、実施例3のマイクロカプセル顔料B30部と、ウレタン系エマルジョン62部と、増粘剤2部と、レベリング剤0.5部と、消泡剤0.5部と、架橋剤5部とを均一に分散してなる感温変色性色彩記憶性インキを120メッシュのスクリーン版を用いてベタ印刷を行い、乾燥硬化させて第一の可逆熱変色層(202)を設けて、透明性を有する第一の可逆熱変色体(21)〔透明性を有する第一の可逆熱変色性積層体(21′)〕を得た。次いで、第一の可逆熱変色体を裁断して、全面に可逆熱変色層が視認される、3cm×5cmの長方形の第一の可逆熱変色体を作製した。
透明性を有する支持体(311)として、厚さ25μmの透明ポリエステルフィルム上に、実施例3のマイクロカプセル顔料A30部と、ウレタン系エマルジョン62部と、増粘剤2部と、レベリング剤0.5部と、消泡剤0.5部と、架橋剤5部とを均一に分散してなる感温変色性色彩記憶性インキを120メッシュのスクリーン版を用いてベタ印刷を行い、乾燥硬化させて第二の可逆熱変色層(302)を設けて、透明性を有する第二の可逆熱変色体(31)〔透明性を有する第二の可逆熱変色性積層体(31′)〕を得た。次いで、支持体の、第二の可逆熱変色層が設けられる反対側の面に、第二の粘着層(303)を設け、さらに、粘着層の外面に離型層を設けた。次いで、第二の可逆熱変色体を裁断して、全面に可逆熱変色層が視認される、3cm×5cmの長方形の第二の可逆熱変色体を作製した。
第一の可逆熱変色体は52℃以上で加温して消色状態を保持させ、第二の可逆熱変色体は-44℃以下で冷却して発色状態を保持させて保管した。次いで、第一の可逆熱変色体の加温及び第二の可逆熱変色体の冷却を止め、-15.5℃の温度環境下で、第二の可逆熱変色体の離型層を除去して第一の可逆熱変色体に第二の可逆熱変色体を貼着して、温度管理インジケーター(10)を作製した。
【0139】
パン生地の流通、保管過程の温度管理(-20℃以上、-10℃以下の適正温度範囲を逸脱したか否かを判別する)
-15.5℃の温度環境下で、適正温度範囲が-20℃以上、-10℃以下の範囲にあるパン生地を収容する保存容器に温度管理インジケーターを積層させると、第二の可逆熱変色体による橙色が長方形状に視認された(初期状態)。
【0140】
保存容器が-9℃以上の温度環境下に置かれると、第二の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料Aが消色して温度管理インジケーターは色変化し、保存容器による色が視認された(状態1)。
状態1の温度管理インジケーターは-44℃を超え、-21℃以下の温度環境下に置かれると、第一の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料Bが発色して、第一の可逆熱変色体による青緑色が長方形状に視認された(状態2)。
状態2の温度管理インジケーターは-44℃以下の温度環境下に置かれると、第二の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料Aが発色して、第一の可逆熱変色体による青緑色と第二の可逆熱変色体による橙色が混色となった茶色が長方形状に視認された(状態3)。
【0141】
また、保存容器が-21℃以下の温度環境下に置かれると、第一の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料Bが発色して温度管理インジケーターは色変化し、第一の可逆熱変色体による青緑色と第二の可逆熱変色体による橙色が混色となった茶色が長方形状に視認された(状態3′)。
状態3′の温度管理インジケーターは-9℃以上、52℃未満の温度環境下に置かれると、第二の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料Aが消色して、第一の可逆熱変色体による青緑色が長方形状に視認された(状態2′)。
状態2′の温度管理インジケーターは52℃以上の温度環境下に置かれると、第一の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料Bが消色して、保存容器による色が視認された(状態1′)。
【0142】
パン生地を収容した保存容器は、適正温度範囲外の温度環境下に置かれると温度管理インジケーターが色変化し、その後、初期の一方の感温変色性色彩記憶性材料(感温変色性色彩記憶性材料A)が発色状態の、変色前の温度管理インジケーターに戻すことが困難であるため、保存容器が適正温度範囲を逸脱したことを不可逆的に判別することできた。ここで、温度t3は温度t2′より大きいことから、保存容器が適正温度範囲を逸脱したことが判別し易いものであった。
また、適正温度範囲より高い温度環境下と低い温度環境下に逸脱した際、特定の温度環境下で他方の感温変色性色彩記憶性材料(感温変色性色彩記憶性材料B)のみが発色した状態を保持するため、保管容器が適正温度範囲より高い温度環境下と低い温度環境下にそれぞれ逸脱したことも不可逆的に判別することができた。ここで、温度t4′は52℃で常温域より高い温度域にあり、温度t1は-44℃で超低温域にあり、さらに、Δt4(t4′-t4):61℃、Δt1(t1′-t1):23℃、(t3′-t4):50℃、(t1′-t2):10℃であることから、保存容器が適正温度範囲より高い温度環境下と低い温度環境下にそれぞれ逸脱したことが判別し易いものであった。
また、温度t4と保存容器の適正温度範囲の上限温度TMAXとの差(ΔTMAX)は、0<ΔTMAX≦1を満たし、温度t1′と保存容器の適正温度範囲の下限温度Tminとの差(ΔTmin)は、0<ΔTmin≦1を満たすことから、パン生地の温度管理をよりいっそう厳密に行うことができた。
【0143】
実施例5
感温変色性色彩記憶性材料A(感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料A)の調製
(イ)成分として、3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド1.5部と、(ロ)成分として、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5部と、(ハ)成分として、ラウリン酸シクロヘキシルメチル50部とからなる感温変色性色彩記憶性組成物を均一に加温溶解し、壁膜材料として芳香族イソシアネートプレポリマー30部と、助溶剤50部とからなる混合溶液に投入した後、6%ポリビニルアルコール水溶液中で乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5部を加え、さらに攪拌を続けてマイクロカプセル分散液を調製した。上記のマイクロカプセル分散液から遠心分離法により、マイクロカプセル顔料Aを得た。
マイクロカプセル顔料Aは、平均粒子径が4.9μmであり、完全発色温度t1:-36℃、発色開始温度t2:-32℃、消色開始温度t3:4℃、完全消色温度t4:8℃、ΔH:40℃であり、温度変化により青色から無色に可逆的に変化した。
【0144】
感温変色性色彩記憶性材料B(感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料B)の調製
(イ)成分として、6-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)-1,2-ベンゾフルオラン2部と、(ロ)成分として、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5部と、(ハ)成分として、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプロン酸とのジエステル50部とからなる感温変色性色彩記憶性組成物を均一に加温溶解し、壁膜材料として芳香族イソシアネートプレポリマー20部と、助溶剤40部とからなる混合溶液に投入した後、15%ゼラチン水溶液中で乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2部を加え、さらに攪拌を続けてマイクロカプセル分散液を調製した。上記のマイクロカプセル分散液から遠心分離法により、マイクロカプセル顔料Bを得た。
マイクロカプセル顔料Bは、平均粒子径が5.0μmであり、完全発色温度t1′:-3℃、発色開始温度t2′:3℃、消色開始温度t3′:58℃、完全消色温度t4′:80℃、ΔH:69℃であり、温度変化によりマゼンタ色から無色に可逆的に変化した。
【0145】
温度管理インジケーターの作製(
図20参照)
上記のマイクロカプセル顔料A10部と、分散剤1部と、ポリプロピレンホモポリマー89部とをエクストルーダーにて180℃で溶融混合して、可逆熱変色性ペレットを得た。可逆熱変色性ペレットを用いて、射出成形機にて180℃のシリンダー温度で、縦3cm、横5cm、高さ0.5cmの板状に成形して、透明性を有する第一の可逆熱変色体(21)〔透明性を有する第一の可逆熱変色性成形体(21″)〕を得た。
上記のマイクロカプセル顔料B10部と、分散剤1部と、ポリプロピレンホモポリマー89部とをエクストルーダーにて180℃で溶融混合して、可逆熱変色性ペレットを得た。可逆熱変色性ペレットを用いて、射出成形機にて180℃のシリンダー温度で、縦3cm、横5cm、高さ0.5cmの板状に成形して、透明性を有する第二の可逆熱変色体(31)〔透明性を有する第二の可逆熱変色性成形体(31″)〕を得た。
第一の可逆熱変色体は-36℃以下で冷却して発色状態を保持させ、第二の可逆熱変色体は80℃以上で加温して消色状態を保持させて保管した。次いで、第一の可逆熱変色体の冷却及び第二の可逆熱変色体の加温を止め、3.5℃の温度環境下で、第一の可逆熱変色体上に第二の可逆熱変色体を積層して温度管理インジケーター(10)を作製した。
【0146】
野菜の流通、保管過程の温度管理(0℃以上、5℃以下の適正温度範囲を逸脱したか否かを判別する)
3.5℃の温度環境下で、適正温度範囲が0℃以上、5℃以下の範囲にある野菜を収容する保管容器に温度管理インジケーターを積層させると、第一の可逆熱変色体による青色が長方形状に視認された(初期状態)。
【0147】
保管容器が8℃以上の温度環境下に置かれると、第一の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料Aが消色して温度管理インジケーターは色変化し、保管容器による色が視認された(状態1)。
状態1の温度管理インジケーターは-36℃を超え、-3℃以下の温度環境下に置かれると、第二の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料Bが発色して、第二の可逆熱変色体によるマゼンタ色が長方形状に視認された(状態2)。
状態2の温度管理インジケーターは-36℃以下の温度環境下に置かれると、第一の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料Aが発色して、第一の可逆熱変色体による青色と第二の可逆熱変色体によるマゼンタ色が混色となった紫色が長方形状に視認された(状態3)。
【0148】
また、保管容器が-3℃以下の温度環境下に置かれると、第二の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料Bが発色して温度管理インジケーターは色変化し、第一の可逆熱変色体による青色と第二の可逆熱変色体によるマゼンタ色が混色となった紫色が長方形状に視認された(状態3′)。
状態3′の温度管理インジケーターは8℃以上、80℃未満の温度環境下に置かれると、第一の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料Aが消色して、第二の可逆熱変色体によるマゼンタ色が長方形状に視認された(状態2′)。
状態2′の温度管理インジケーターは80℃以上の温度環境下に置かれると、第二の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料Bが消色して、保管容器による色が視認された(状態1′)。
【0149】
野菜を収容した保管容器は、適正温度範囲外の温度環境下に置かれると温度管理インジケーターが色変化し、その後、初期の一方の感温変色性色彩記憶性材料(感温変色性色彩記憶性材料A)が発色状態の、変色前の温度管理インジケーターに戻すことが困難であるため、保管容器が適正温度範囲を逸脱したことを不可逆的に判別することできた。ここで、温度t3は温度t2′より大きいことから、保管容器が適正温度範囲を逸脱したことが判別し易いものであった。
また、適正温度範囲より高い温度環境下と低い温度環境下に逸脱した際、特定の温度環境下で他方の感温変色性色彩記憶性材料(感温変色性色彩記憶性材料B)のみが発色した状態を保持するため、保管容器が適正温度範囲より高い温度環境下と低い温度環境下にそれぞれ逸脱したことも不可逆的に判別することができた。ここで、温度t4′は80℃で常温域より高い温度域にあり、温度t1は-36℃で超低温域にあり、さらに、Δt4(t4′-t4):72℃、Δt1(t1′-t1):33℃、(t3′-t4):50℃、(t1′-t2):29℃であることから、保管容器が適正温度範囲より高い温度環境下と低い温度環境下にそれぞれ逸脱したことが判別し易いものであった。
また、温度t4と保管容器の適正温度範囲の上限温度TMAXとの差(ΔTMAX)は、0<ΔTMAX≦3を満たし、温度t1′と保管容器の適正温度範囲の下限温度Tminとの差(ΔTmin)は、0<ΔTmin≦3を満たすことから、野菜の温度管理を厳密に行うことができた。
【0150】
実施例6
感温変色性色彩記憶性材料A(感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料A)の調製
(イ)成分として、2-ジ-n-ブチルアミノ-8-ジ-n-ペンチルアミノ-4-メチルスピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1′(3′H)-イソベンゾフラン]-3′-オン1部と、(ロ)成分として、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5部と、(ハ)成分として、ラウリン酸シクロヘキシルメチル50部とからなる感温変色性色彩記憶性組成物を均一に加温溶解し、壁膜材料として芳香族イソシアネートプレポリマー30部と、助溶剤50部とからなる混合溶液に投入した後、6%ポリビニルアルコール水溶液中で乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5部を加え、さらに攪拌を続けてマイクロカプセル分散液を調製した。上記のマイクロカプセル分散液から遠心分離法により、マイクロカプセル顔料Aを得た。
マイクロカプセル顔料Aは、平均粒子径が5.5μmであり、完全発色温度t1:-37℃、発色開始温度t2:-31℃、消色開始温度t3:4℃、完全消色温度t4:9℃、ΔH:40.5℃であり、温度変化により桃色から無色に可逆的に変化した。
【0151】
感温変色性色彩記憶性材料B(感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料B)の調製
(イ)成分として、3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド2部と、(ロ)成分として、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5部と、(ハ)成分として、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとラウリン酸とのジエステル50部とからなる感温変色性色彩記憶性組成物を均一に加温溶解し、壁膜材料として芳香族イソシアネートプレポリマー20部と、助溶剤40部とからなる混合溶液に投入した後、15%ゼラチン水溶液中で乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2部を加え、さらに攪拌を続けてマイクロカプセル分散液を調製した。上記のマイクロカプセル分散液から遠心分離法により、マイクロカプセル顔料Bを得た。
マイクロカプセル顔料Bは、平均粒子径が2.5μmであり、完全発色温度t1′:1℃、発色開始温度t2′:6℃、消色開始温度t3′:39℃、完全消色温度t4′:48℃、ΔH:40℃であり、温度変化により青色から無色に可逆的に変化した。
【0152】
温度管理インジケーターの作製(
図21参照)
支持体(201)として厚さ25μmの白色ポリエステルフィルム上に、黄色の非熱変色性着色剤0.5部と、ウレタン系エマルジョン91.5部と、増粘剤2部と、レベリング剤0.5部と、消泡剤0.5部と、架橋剤5部とを均一に分散してなる非熱変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いてベタ印刷を行い、乾燥硬化させて非熱変色層(401)を設けた。さらに非熱変色層上に、上記のマイクロカプセル顔料B30部と、ウレタン系エマルジョン62部と、増粘剤2部と、レベリング剤0.5部と、消泡剤0.5部と、架橋剤5部とを均一に分散してなる感温変色性色彩記憶性インキを120メッシュのスクリーン版を用いてベタ印刷を行い、乾燥硬化させて第一の可逆熱変色層(202)を設けて、第一の可逆熱変色体(20)〔第一の可逆熱変色性積層体(20′)〕を得た。次いで、支持体の、非熱変色層及び第一の可逆熱変色層が設けられる反対側の面に、第一の粘着層(203)を設け、さらに、粘着層の外面に離型層を設けた。次いで、、第一の可逆熱変色体を裁断して、全面に可逆熱変色層が視認される、3cm×5cmの長方形の第一の可逆熱変色体を作製した。
透明性を有する支持体(311)として、厚さ25μmの透明ポリエステルフィルム上に、上記のマイクロカプセル顔料A30部と、ウレタン系エマルジョン62部と、増粘剤2部と、レベリング剤0.5部と、消泡剤0.5部と、架橋剤5部とを均一に分散してなる感温変色性色彩記憶性インキを120メッシュのスクリーン版を用いてベタ印刷を行い、乾燥硬化させて第二の可逆熱変色層(302)を設けて、透明性を有する第二の可逆熱変色体(31)〔透明性を有する第二の可逆熱変色性積層体(31′)〕を得た。次いで、支持体の、第二の可逆熱変色層が設けられる反対側の面に、第二の粘着層(303)を設け、さらに、粘着層の外面に離型層を設けた。次いで、第二の可逆熱変色体を裁断して、3cm×5cmの長方形の第二の可逆熱変色体を作製した。
第一の可逆熱変色体は48℃以上で加温して消色状態を保持させ、第二の可逆熱変色体は-37℃以下で冷却して発色状態を保持させて保管した。次いで、第一の可逆熱変色体の加温及び第二の可逆熱変色体の冷却を止め、5℃の温度環境下で、第二の可逆熱変色体の離型層を除去して第一の可逆熱変色体に第二の可逆熱変色体を貼着して、温度管理インジケーター(10)を作製した。
【0153】
医薬品の流通、保管過程の温度管理(2℃以上、8℃以下の適正温度範囲を逸脱したか否かを判別する)
5℃の温度環境下で、適正温度範囲が2℃以上、8℃以下の範囲にある医薬品を収容する保管容器に、第一の可逆熱変色体の離型層を除去して温度管理インジケーターを貼着させると、感温変色性色彩記憶性材料Aは消色を開始し、感温変色性色彩記憶性材料Bは発色を開始するため、第一の可逆熱変色体の第一の可逆熱変色層による薄青色と非熱変色層による黄色と、第二の可逆熱変色体による薄桃色が混色となった黄土色が長方形状に視認された(初期状態)。
【0154】
保管容器が9℃以上の温度環境下に置かれると、第二の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料A及び第一の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料Bが消色して温度管理インジケーターは色変化し、第一の可逆熱変色体の非熱変色層による黄色が長方形状に視認された(状態1)。
状態1の温度管理インジケーターは-37℃を超え、1℃以下の温度環境下に置かれると、第一の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料Bが発色して、第一の可逆熱変色体の第一の可逆熱変色層による青色と非熱変色層による黄色が混色となった緑色が長方形状に視認された(状態2)。
状態2の温度管理インジケーターは-37℃以下の温度環境下に置かれると、第二の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料Aが発色して、第一の可逆熱変色体の第一の可逆熱変色層による青色と非熱変色層による黄色と、第二の可逆熱変色体による桃色が混色となった茶色が長方形状に視認された(状態3)。
【0155】
また、保管容器が1℃以下の温度環境下に置かれると、第一の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料Bが発色して温度管理インジケーターは色変化し、第一の可逆熱変色体の第一の可逆熱変色層による青色と非熱変色層による黄色と、第二の可逆熱変色体による桃色が混色となった茶色が長方形状に視認された(状態3′)。
状態3′の温度管理インジケーターは9℃以上、48℃未満の温度環境下に置かれると、第二の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料Aが消色して、第一の可逆熱変色体の第一の可逆熱変色層による青色と非熱変色層による黄色が混色となった緑色が長方形状に視認された(状態2′)。
状態2′の温度管理インジケーターは48℃以上の温度環境下に置かれると、第一の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料Bが消色して、第一の可逆熱変色体の非熱変色層による黄色が長方形状に視認された(状態1′)。
【0156】
医薬品を収容した保管容器は適正温度範囲外の温度環境下に置かれると温度管理インジケーターが色変化し、その後、初期の一方の感温変色性色彩記憶性材料(感温変色性色彩記憶性材料A)が僅かに消色した状態であり、他方の感温変色性色彩記憶性材料(感温変色性色彩記憶性材料B)が僅かに発色した状態である、変色前の温度管理インジケーターに戻すことが困難であるため、保管容器が適正温度範囲を逸脱したことを不可逆的に判別することできた。
また、適正温度範囲より高い温度環境下と低い温度環境下に逸脱した際、特定の温度環境下で他方の感温変色性色彩記憶性材料(感温変色性色彩記憶性材料B)のみが発色した状態を保持するため、保管容器が適正温度範囲より高い温度環境下と低い温度環境下にそれぞれ逸脱したことも不可逆的に判別することができた。ここで、温度t4′は48℃で常温域より高い温度域にあり、温度t1は-37℃で超低温域にあり、さらに、Δt4(t4′-t4):39℃、Δt1(t1′-t1):38℃、(t3′-t4):30℃、(t1′-t2):32℃であることから、保管容器が適正温度範囲より高い温度環境下と低い温度環境下にそれぞれ逸脱したことが判別し易いものであった。
また、温度t4と保管容器の適正温度範囲の上限温度TMAXとの差(ΔTMAX)は、0<ΔTMAX≦1を満たし、温度t1′と保管容器の適正温度範囲の下限温度Tminとの差(ΔTmin)は、0<ΔTmin≦1を満たすことから、医薬品の温度管理をよりいっそう厳密に行うことができた。
【0157】
実施例7
感温変色性色彩記憶性材料A(感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料A)の調製
(イ)成分として、9-エチル-(3-メチルブチル)アミノ-スピロ[12H-ベンゾ[a]キサンテン-12,1′(3′H)-イソベンゾフラン]-3′-オン3部と、(ロ)成分として、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5部と、(ハ)成分として、ラウリン酸シクロヘキシルメチル50部とからなる感温変色性色彩記憶性組成物を均一に加温溶解し、壁膜材料として芳香族イソシアネートプレポリマー30部と、助溶剤50部とからなる混合溶液に投入した後、6%ポリビニルアルコール水溶液中で乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5部を加え、さらに攪拌を続けてマイクロカプセル分散液を調製した。上記のマイクロカプセル分散液から遠心分離法により、マイクロカプセル顔料Aを得た。
マイクロカプセル顔料Aは、平均粒子径が5.5μmであり、完全発色温度t1:-37℃、発色開始温度t2:-30℃、消色開始温度t3:3℃、完全消色温度t4:8℃、ΔH:39℃であり、温度変化によりマゼンタ色から無色に可逆的に変化した。
【0158】
感温変色性色彩記憶性材料B(感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料B)の調製
(イ)成分として、2-(2-クロロアニリノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン4.5部と、(ロ)成分として、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン5部、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5部と、(ハ)成分として、パルミチン酸4-メチルベンジル50部とからなる感温変色性色彩記憶性組成物を均一に加温溶解し、壁膜材料として芳香族イソシアネートプレポリマー35部と、助溶剤40部とからなる混合溶液に投入した後、8%ポリビニルアルコール水溶液中で乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5部を加え、さらに攪拌を続けてマイクロカプセル分散液を調製した。上記のマイクロカプセル分散液から遠心分離法により、マイクロカプセル顔料Bを得た。
マイクロカプセル顔料Bは、平均粒子径が2.4μmであり、完全発色温度t1′:-3℃、発色開始温度t2′:6℃、消色開始温度t3′:37℃、完全消色温度t4′:45℃、ΔH:39.5℃であり、温度変化により黒色から無色に可逆的に変化した。
【0159】
改ざん防止機能を有する温度管理インジケーターの作製(
図22参照)
粘着層を設けた改ざん防止用部材(支持体)(204)として、白色ポリプロピレンフィルムからなる厚さ80μmの改ざん防止用ラベル〔リンテック(株)製、製品名:TE80W PAT1 8K〕の粘着層が設けられる反対側の面に、上記のマイクロカプセル顔料A30部と、ウレタン系エマルジョン62部と、増粘剤2部と、レベリング剤0.5部と、消泡剤0.5部と、架橋剤5部とを均一に分散してなる感温変色性色彩記憶性インキを120メッシュのスクリーン版を用いて、改ざん防止用ラベルの全面にベタ印刷を行い、乾燥硬化させて可逆熱変色層(202)を設けて、第一の可逆熱変色体(20)〔第一の可逆熱変色性積層体(20′)〕を得た。
透明性を有する支持体(311)として、厚さ25μmの透明ポリエステルフィルム上に、上記のマイクロカプセル顔料B30部と、ウレタン系エマルジョン62部と、増粘剤2部と、レベリング剤0.5部と、消泡剤0.5部と、架橋剤5部とを均一に分散してなる感温変色性色彩記憶性インキを120メッシュのスクリーン版を用いてベタ印刷を行い、乾燥硬化させて第二の可逆熱変色層(302)を設けて、透明性を有する第二の可逆熱変色体(31)〔透明性を有する第二の可逆熱変色性積層体(31′)〕を得た。次いで、支持体の、第二の可逆熱変色層が設けられる反対側の面に、第二の粘着層(303)を設け、さらに、粘着層の外面に離型層を設けた。次いで、第二の可逆熱変色体を第一の可逆熱変色体と同じ大きさに裁断して、全面に可逆熱変色層が視認される、長方形状の第二の可逆熱変色体を作製した。
第一の可逆熱変色体は-37℃以下で冷却して発色状態を保持させ、第二の可逆熱変色体は45℃以上に加温して消色状態を保持させて保管した。次いで、第一の可逆熱変色体の冷却及び第二の可逆熱変色体の加温を止め、2℃の温度環境下で、第二の可逆熱変色体の離型層を除去して第一の可逆熱変色体に第二の可逆熱変色体を貼着して、温度管理インジケーター(10)を作製した。
【0160】
野菜の流通、保管過程の温度管理(0℃以上、5℃以下の適正温度範囲を逸脱したか否かを判別する)
2℃の温度環境下で、適正温度範囲が0℃以上、5℃以下の範囲にある野菜を収容する保管容器に、改ざん防止用ラベルの離型シートを除去して温度管理インジケーターを貼着させると、感温変色性色彩記憶性材料Bは発色を開始するため、第一の可逆熱変色体によるマゼンタ色と第二の可逆熱変色体による薄黒色が混色となった赤茶色が長方形状に視認された(初期状態)。
【0161】
保管容器が8℃以上の温度環境下に置かれると、第一の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料A及び第二の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性Bが消色して温度管理インジケーターは色変化し、支持体による白色が長方形状に視認された(状態1)。
状態1の温度管理インジケーターは-37℃を超え、-3℃以下の温度環境下に置かれると、第二の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料Bが発色して、第二の可逆熱変色体による黒色が長方形状に視認された(状態2)。
状態2の温度管理インジケーターは-37℃以下の温度環境下に置かれると、第一の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料Aが発色して、第一の可逆熱変色体によるマゼンタ色と第二の可逆熱変色体による黒色が混色となった茶色が長方形状に視認された(状態3)。
【0162】
また、保管容器が-3℃以下の温度環境下に置かれると、第二の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料Bが発色して温度管理インジケーターは色変化し、第一の可逆熱変色体によるマゼンタ色と第二の可逆熱変色体による黒色が混色となった茶色が長方形状に視認された(状態3′)。
状態3′の温度管理インジケーターは8℃以上、45℃未満の温度環境下に置かれると、第一の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料Aが消色して、第二の可逆熱変色体による黒色が長方形状に視認された(状態2′)。
状態2′の温度管理インジケーターは45℃以上の温度環境下に置かれると、第二の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料Bが消色して、支持体による白色が長方形状に視認された(状態1′)。
【0163】
野菜を収容した保管容器は適正温度範囲外の温度環境下に置かれると温度管理インジケーターが色変化し、その後、初期の一方の感温変色性色彩記憶性材料(感温変色性色彩記憶性材料A)が発色状態であり、他方の感温変色性色彩記憶性材料(感温変色性色彩記憶性材料B)が僅かに発色した状態である、変色前の温度管理インジケーターに戻すことが困難であるため、保管容器が適正温度範囲を逸脱したことを不可逆的に判別することできた。
また、適正温度範囲より高い温度環境下と低い温度環境下に逸脱した際、特定の温度環境下で他方の感温変色性色彩記憶性材料(感温変色性色彩記憶性材料B)のみが発色した状態を保持するため、保管容器が適正温度範囲より高い温度環境下と低い温度環境下にそれぞれ逸脱したことを不可逆的に判別することができた。ここで、温度t4′は45℃で常温域より高い温度域にあり、温度t1は-37℃で超低温域にあり、さらに、Δt4(t4′-t4):37℃、Δt1(t1′-t1):34℃、(t3′-t4):29℃、(t1′-t2):27℃であることから、保管容器が適正温度範囲より高い温度環境下と低い温度環境下にそれぞれ逸脱したことが判別し易いものであった。
また、温度t4と保管容器の適正温度範囲の上限温度TMAXとの差(ΔTMAX)は、0<ΔTMAX≦3を満たし、温度t1′と保管容器の適正温度範囲の下限温度Tminとの差(ΔTmin)は、0<ΔTmin≦3を満たすことから、野菜の温度管理を厳密に行うことができた。
野菜が適正温度範囲を逸脱した履歴を残さないよう、第一の可逆熱変色体を、別の発色状態の第一の可逆熱変色体に交換しようと、保管容器から温度管理インジケーターを剥がしたところ、第一の可逆熱変色体の改ざん防止用ラベルの表面基材が破壊され剥がした跡が保管容器上に残った。よって、温度管理インジケーターは、交換又は貼り直し等の改ざん行為を防止する機能を有していた。
【0164】
応用例1
偽造防止媒体の作製
支持体として白色ポリエステルフィルム上に、実施例1のマイクロカプセル顔料A30部と、ウレタン系エマルジョン樹脂62部と、増粘剤2部と、レベリング剤0.5部と、消泡剤0.5部と、架橋剤5部とを均一に分散してなる感温変色性色彩記憶性インキを120メッシュのスクリーン版を用いてベタ印刷を行い、乾燥硬化させて第一の可逆熱変色層を設けて、第一の可逆熱変色体(第一の可逆熱変色性積層体)を得た。次いで、第一の可逆熱変色体を裁断して、全面に可逆熱変色層が視認される、3cm×5cmの長方形の第一の可逆熱変色体を作製した。
透明性を有する支持体として、厚さ25μmの透明ポリエステルフィルム上に、実施例1のマイクロカプセル顔料B30部と、ウレタン系エマルジョン62部と、増粘剤2部と、レベリング剤0.5部と、消泡剤0.5部と、架橋剤5部とを均一に分散してなる感温変色性色彩記憶性インキを120メッシュのスクリーン版を用いてベタ印刷を行い、乾燥硬化させて第二の可逆熱変色層を設けて、透明性を有する第二の可逆熱変色体(透明性を有する第二の可逆熱変色性積層体)を得た。次いで、支持体の、第二の可逆熱変色層が設けられる反対側の面に、第二の粘着層を設け、さらに、粘着層の外面に離型層を設けた。次いで、第二の可逆熱変色体を裁断して、全面に可逆熱変色層が視認される、3cm×5cmの長方形の第二の可逆熱変色体を作製した。
第一の可逆熱変色体は-55℃以下で冷却して発色状態を保持させ、第二の可逆熱変色体は60℃以上で加温して消色状態を保持させて保管した。次いで、第一の可逆熱変色体の冷却及び第二の可逆熱変色体の加温を止め、-12℃の温度環境下で、第二の可逆熱変色体の離型層を除去して第一の可逆熱変色体に第二の可逆熱変色体を貼着して、偽造防止媒体を作製した。
【0165】
偽造防止媒体は-12℃の温度環境下で、第一の可逆熱変色体による青色が長方形状に視認された(初期状態)。
偽造防止媒体が-6℃以上の温度環境下に置かれると、第一の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料Aが消色して、第一の可逆熱変色体の支持体による白色が長方形状に視認された(状態1)。
状態1の偽造防止媒体は-55℃を超え、-21℃以下の温度環境下に置かれると、第二の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料Bが発色して、第二の可逆熱変色体によるマゼンタ色が長方形状に視認された(状態2)。
次いで、-55℃以下の温度環境下に置かれると、第一の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料Aが発色して、第一の可逆熱変色体による青色と第二の可逆熱変色体によるマゼンタ色が混色となった紫色が長方形状に視認された(状態3)。
また、偽造防止媒体が-21℃以下の温度環境下に置かれると、第二の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料Bが発色して、第一の可逆熱変色体による青色と第二の可逆熱変色体によるマゼンタ色が混色となった紫色が長方形状に視認された(状態3′)。
状態3′の偽造防止媒体は-6℃以上、60℃未満の温度環境下に置かれると、第一の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料Aが消色して、第二の可逆熱変色体によるマゼンタ色が長方形状に視認された(状態2′)。
次いで、60℃以上の温度環境下に置かれると、第二の可逆熱変色体に備えられる感温変色性色彩記憶性材料Bが消色して、第一の可逆熱変色体の支持体による白色が長方形状に視認された(状態1′)。
よって、上記の偽造防止媒体は、特定の温度域(-21℃を超え、-6℃未満の温度環境下)を逸脱すると色変化し、その後、初期の一方の感温変色性色彩記憶性材料(感温変色性色彩記憶性材料A)が発色状態の、変色前の偽造防止媒体に戻すことが困難であるため、偽造防止機能を有していた。