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特開2023-50042情報処理装置、情報処理方法、プログラムおよび記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023050042
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、プログラムおよび記録媒体
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/04 20060101AFI20230403BHJP
   A42B 3/30 20060101ALI20230403BHJP
   H04R 1/00 20060101ALI20230403BHJP
   H04R 7/12 20060101ALI20230403BHJP
   G10K 15/00 20060101ALI20230403BHJP
【FI】
H04R3/04
A42B3/30
H04R1/00 310F
H04R1/00 318D
H04R7/12 Z
G10K15/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021160195
(22)【出願日】2021-09-29
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】田上 宣昭
(72)【発明者】
【氏名】河内 洋人
(72)【発明者】
【氏名】三ツ井 哲也
【テーマコード(参考)】
3B107
5D016
5D017
5D220
【Fターム(参考)】
3B107CA02
3B107EA08
3B107EA13
5D016AA07
5D017AC17
5D220AA02
5D220AA03
5D220AB01
5D220DD03
(57)【要約】
【課題】ヘルメットの状態変化を検出し、ヘルメットの状態変化が大きい場合に、運転者に対して音の調整量の算出実行を提案する情報処理装置を提供する。
【解決手段】検出用信号に基づいた振動子30の振動によりヘルメットの内部に放射された音の周波数特性を算出する周波数特性算出部60と、ヘルメットの周辺の騒音レベルを検出する騒音検出部70と、検出用信号または調整用信号に基づいた振動によりヘルメットの内部に放射された音の周波数特性と目標周波数特性とを比較し、調整量を算出する調整量算出部50と、調整量に従って、ヘルメットの内部に放射する音の周波数特性を調整する調整部20と、騒音レベルが所定レベルより小さいときに、周波数特性算出部60から取得した周波数特性と、前回取得した周波数特性との変化量を確認し、変化量が所定値より大きい場合には、調整量の算出実行をユーザに提案する制御部80と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音信号に基づいた振動子の振動をヘルメットに伝達して前記ヘルメットの内部に音を放射する情報処理装置であって、
検出用信号に基づいた前記振動子の振動により前記ヘルメットの内部に放射された音の周波数特性を算出する周波数特性算出部と、
前記ヘルメットの周辺の騒音レベルを検出する騒音検出部と、
前記検出用信号または調整用信号に基づいた前記振動子の振動により前記ヘルメットの内部に放射された音の周波数特性と目標周波数特性とを比較し、調整量を算出する調整量算出部と、
前記調整量に従って、前記ヘルメットの内部に放射する音の周波数特性を調整する調整部と、
前記騒音検出部で検出された前記騒音レベルが所定レベルより小さいときに、前記周波数特性算出部から取得した前記周波数特性と、前回取得した前記周波数特性との変化量を確認し、前記変化量が所定値より大きい場合には、前記調整量の算出を前記調整量算出部において実行させることをユーザに提案する制御部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記周波数特性算出部は、前記ヘルメットの内部に放射された音が走行騒音に埋もれにくい周波数帯域の周波数特性を算出することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
周波数特性算出部と、騒音検出部と、調整量算出部と、調整部と、制御部と、を備えた、音信号に基づいた振動子の振動をヘルメットに伝達して前記ヘルメットの内部に音を放射する情報処理装置における情報処理方法であって、
前記周波数特性算出部が、検出用信号に基づいた前記振動子の振動により前記ヘルメットの内部に放射された音の周波数特性を算出する第1の工程と、
前記騒音検出部が、前記ヘルメットの周辺の騒音レベルを検出する第2の工程と、
前記調整量算出部が、前記検出用信号または調整用信号に基づいた前記振動子の振動により前記ヘルメットの内部に放射された音の周波数特性と目標周波数特性とを比較し、調整量を算出する第3の工程と、
前記調整部が、前記調整量に従って、前記ヘルメットの内部に放射する音の周波数特性を調整する第4の工程と、
前記騒音検出部で検出された前記騒音レベルが所定レベルより小さいときに、前記周波数特性算出部から取得した前記周波数特性と前回取得した前記周波数特性との変化量を確認し、前記変化量が所定値より大きい場合には、前記調整量の算出を前記調整量算出部において実行させることをユーザに提案する第5の工程と、を備える情報処理方法。
【請求項4】
周波数特性算出部と、騒音検出部と、調整量算出部と、調整部と、制御部と、を備えた、音信号に基づいた振動子の振動をヘルメットに伝達して前記ヘルメットの内部に音を放射する情報処理装置における情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記周波数特性算出部が、検出用信号に基づいた前記振動子の振動により前記ヘルメットの内部に放射された音の周波数特性を算出する第1の工程と、
前記騒音検出部が、前記ヘルメットの周辺の騒音レベルを検出する第2の工程と、
前記調整量算出部が、前記検出用信号または調整用信号に基づいた前記振動子の振動により前記ヘルメットの内部に放射された音の周波数特性と目標周波数特性とを比較し、調整量を算出する第3の工程と、
前記調整部が、前記調整量に従って、前記ヘルメットの内部に放射する音の周波数特性を調整する第4の工程と、
前記騒音検出部で検出された前記騒音レベルが所定レベルより小さいときに前記周波数特性算出部から取得した前記周波数特性と前回取得した前記周波数特性との変化量を確認し、前記変化量が所定値より大きい場合には、前記調整量の算出を前記調整量算出部において実行させることをユーザに提案する第5の工程と、を備える情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項5】
周波数特性算出部と、騒音検出部と、調整量算出部と、調整部と、制御部と、を備えた、音信号に基づいた振動子の振動をヘルメットに伝達して前記ヘルメットの内部に音を放射する情報処理装置における情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な非一過性の記録媒体であって、
前記周波数特性算出部が、検出用信号に基づいた前記振動子の振動により前記ヘルメットの内部に放射された音の周波数特性を算出する第1の工程と、
前記騒音検出部が、前記ヘルメットの周辺の騒音レベルを検出する第2の工程と、
前記調整量算出部が、前記検出用信号または調整用信号に基づいた前記振動子の振動により前記ヘルメットの内部に放射された音の周波数特性と目標周波数特性とを比較し、調整量を算出する第3の工程と、
前記調整部が、前記調整量に従って、前記ヘルメットの内部に放射する音の周波数特性を調整する第4の工程と、
前記騒音検出部で検出された前記騒音レベルが所定レベルより小さいときに前記周波数特性算出部から取得した前記周波数特性と前回取得した前記周波数特性との変化量を確認し、前記変化量が所定値より大きい場合には、前記調整量の算出を前記調整量算出部において実行させることをユーザに提案する第5の工程と、を備える情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録した非一過性の記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、プログラムおよび記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォン等の携帯端末からのナビゲーションの音声案内や音楽を聞くためのスピーカや、ツーリングを行う仲間同士間のコミュニケーションを取るためのインターカム等をヘルメットに装着し、二輪車の走行を楽しむ人が増加している。
ここで、ヘルメットを装着した運転者に対して音情報を伝達する技術としては、例えば、ヘルメット内部にスピーカを配設する技術や、振動子によりヘルメット表面を振動させ、音情報を運転者に伝達する技術等が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2019-151510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
振動子を用いて音情報を運転者に伝達する装置では、走行中の風切り音やエンジン音等の騒音により、運転者は音情報が聞こえにくくなるために、音を調整して聞こえやすくしている。
しかしながら、振動子を用いて音情報を運転者に伝達する装置では、ヘルメットの形状等の影響により、運転者に伝達される音の特性が変化する可能性があるため、装置を装着するヘルメットが変わった場合には、音の調整値の算出処理を再度実行しなければならないという課題が一例として挙げられる。
また、ヘルメットの経時変化により、運転者に伝達される音の特性が変化する可能性があるため、運転者は定期的に調整値の算出処理を実行しなければならないという課題が一例として挙げられる。
【0005】
本発明は、上述の一例として挙げられた課題に鑑みてなされたものであり、ヘルメットの状態変化を検出し、ヘルメットの状態変化が大きい場合に、運転者に対して音の調整値の算出実行を提案する情報処理装置、情報処理方法、プログラムおよび記録媒体を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、音信号に基づいた振動子の振動をヘルメットに伝達して前記ヘルメットの内部に音を放射する情報処理装置であって、検出用信号に基づいた前記振動子の振動により前記ヘルメットの内部に放射された音の周波数特性を算出する周波数特性算出部と、前記ヘルメットの周辺の騒音レベルを検出する騒音検出部と、前記検出用信号または調整用信号に基づいた前記振動子の振動により前記ヘルメットの内部に放射された音の周波数特性と目標周波数特性とを比較し、調整量を算出する調整量算出部と、前記調整量に従って、前記ヘルメットの内部に放射する音の周波数特性を調整する調整部と、前記騒音検出部で検出された前記騒音レベルが所定レベルより小さいときに、前記周波数特性算出部から取得した前記周波数特性と、前回取得した前記周波数特性との変化量を確認し、前記変化量が所定値より大きい場合には、前記調整量の算出を前記調整量算出部において実行させることをユーザに提案する制御部と、を備える情報処理装置である。
【0007】
また、請求項3に記載の発明は、周波数特性算出部と、騒音検出部と、調整量算出部と、調整部と、制御部と、を備えた、音信号に基づいた振動子の振動をヘルメットに伝達して前記ヘルメットの内部に音を放射する情報処理装置における情報処理方法であって、前記周波数特性算出部が、検出用信号に基づいた前記振動子の振動により前記ヘルメットの内部に放射された音の周波数特性を算出する第1の工程と、前記騒音検出部が、前記ヘルメットの周辺の騒音レベルを検出する第2の工程と、前記調整量算出部が、前記検出用信号または調整用信号に基づいた前記振動子の振動により前記ヘルメットの内部に放射された音の周波数特性と目標周波数特性とを比較し、調整量を算出する第3の工程と、前記調整部が、前記調整量に従って、前記ヘルメットの内部に放射する音の周波数特性を調整する第4の工程と、前記騒音検出部で検出された前記騒音レベルが所定レベルより小さいときに、前記周波数特性算出部から取得した前記周波数特性と、前回取得した前記周波数特性との変化量を確認し、前記変化量が所定値より大きい場合には、前記調整量の算出を前記調整量算出部において実行させることをユーザに提案する第5の工程と、を備える情報処理方法である。
【0008】
また、請求項4に記載の発明は、周波数特性算出部と、騒音検出部と、調整量算出部と、調整部と、制御部と、を備えた、音信号に基づいた振動子の振動をヘルメットに伝達して前記ヘルメットの内部に音を放射する情報処理装置における情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記周波数特性算出部が、検出用信号に基づいた前記振動子の振動により前記ヘルメットの内部に放射された音の周波数特性を算出する第1の工程と、前記騒音検出部が、前記ヘルメットの周辺の騒音レベルを検出する第2の工程と、前記調整量算出部が、前記検出用信号または調整用信号に基づいた前記振動子の振動により前記ヘルメットの内部に放射された音の周波数特性と目標周波数特性とを比較し、調整量を算出する第3の工程と、前記調整部が、前記調整量に従って、前記ヘルメットの内部に放射する音の周波数特性を調整する第4の工程と、前記騒音検出部で検出された前記騒音レベルが所定レベルより小さいときに前記周波数特性算出部から取得した前記周波数特性と、前回取得した前記周波数特性との変化量を確認し、前記変化量が所定値より大きい場合には、前記調整量の算出を前記調整量算出部において実行させることをユーザに提案する第5の工程と、を備える情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0009】
また、請求項5に記載の発明は、周波数特性算出部と、騒音検出部と、調整量算出部と、調整部と、制御部と、を備えた、音信号に基づいた振動子の振動をヘルメットに伝達して前記ヘルメットの内部に音を放射する情報処理装置における情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な非一過性の記録媒体であって、前記周波数特性算出部が、検出用信号に基づいた前記振動子の振動により前記ヘルメットの内部に放射された音の周波数特性を算出する第1の工程と、前記騒音検出部が、前記ヘルメットの周辺の騒音レベルを検出する第2の工程と、前記調整量算出部が、前記検出用信号または調整用信号に基づいた前記振動子の振動により前記ヘルメットの内部に放射された音の周波数特性と目標周波数特性とを比較し、調整量を算出する第3の工程と、前記調整部が、前記調整量に従って、前記ヘルメットの内部に放射する音の周波数特性を調整する第4の工程と、前記騒音検出部で検出された前記騒音レベルが所定レベルより小さいときに前記周波数特性算出部から取得した前記周波数特性と、前回取得した前記周波数特性との変化量を確認し、前記変化量が所定値より大きい場合には、前記調整量の算出を前記調整量算出部において実行させることをユーザに提案する第5の工程と、を備える情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録した非一過性の記録媒体である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例に係る情報処理装置の構成を示す図である。
図2】実施例に係る情報処理装置の調整量算出部において算出する調整量を示す図である。
図3】実施例に係る情報処理装置の制御部の処理フローを示す図である。
図4】実施例に係る情報処理装置の制御部における周波数特性の変化量を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施形態に係る情報処理装置は、音信号に基づいた振動子の振動をヘルメットに伝達してヘルメットの内部に音を放射する情報処理装置であって、検出用信号に基づいた振動子の振動によりヘルメットの内部に放射された音の周波数特性を算出する周波数特性算出部と、ヘルメットの周辺の騒音レベルを検出する騒音検出部と、検出用信号または調整用信号に基づいた振動子の振動によりヘルメットの内部に放射された音の周波数特性と目標周波数特性とを比較し、調整量を算出する調整量算出部と、調整量に従って、ヘルメットの内部に放射する音の周波数特性を調整する調整部と、騒音検出部で検出された騒音レベルが所定レベルより小さいときに周波数特性算出部から取得した周波数特性と、前回取得した周波数特性との変化量が所定値より大きい場合には、調整量の算出を調整量算出部において実行させることをユーザに提案する制御部と、を備えている。
制御部は騒音検出部において検出した騒音が所定レベルより小さいときに、周波数特性算出部が算出した周波数特性と、前回算出した周波数特性との変化量を確認する。
周波数特性の変化量が所定値より大きい場合には、検出用信号に基づいて放射された音の周波数特性、または、調整用信号に基づいて放射された音の周波数特性に基づいて調整量を調整量算出部において算出させることをユーザに提案する。
すなわち、ヘルメット周辺の騒音が静かなときに、検出用信号を用いて周波数特性を算出し、前回算出した周波数特性と比較することにより、ヘルメットの状態変化を検出する。
なお、ここで検出されるヘルメットの状態変化とは、例えば、ヘルメットに対する振動子の取り付け状態の変化、ヘルメットの交換、ヘルメットの割れ、変形等を例示することができる。
上述したようなヘルメットの状態変化が発生すると、振動子の振動の伝わり方が変化し、ヘルメットの内部に放射される音の特性が変化する。
ヘルメットの状態変化を検出した場合には、調整量算出部において調整量の算出を実行させることを提案する。
これにより、ヘルメットの状態変化を自動で検出し、ヘルメットの状態変化が大きい場合にのみ、現在のヘルメットの状態に最適な調整量の算出の実行をユーザに対して提案することができる。
また、ヘルメットの状態変化の検出は、騒音レベルが小さいときに実行されるため、精度よくヘルメットの状態変化を検出することができる。
【0012】
<実施例>
図1から図4を用いて、本実施例に係る情報処理装置1について説明する。
【0013】
<情報処理装置1の構成>
図1を用いて、本実施例に係る情報処理装置1の構成について説明する。
情報処理装置1は、音声情報生成部10と、調整部20と、振動子30と、マイク40と、調整量算出部50と、周波数特性算出部60と、騒音検出部70と、制御部80と、を含んで構成されている。
情報処理装置1はヘルメットに装着され、ヘルメットを装着したユーザに、携帯端末装置100からの音情報を伝達する。
【0014】
音声情報生成部10は、例えば、BT(Bluetooth)を用いて携帯端末装置100と接続し、携帯端末装置100からの音信号を受信し、その音信号を調整部20に出力する。
ここで、携帯端末装置100としては、例えば、スマートフォン、タブレット、携帯音楽プレーヤ等を例示することができる。
また、音声情報生成部10が受信する音信号としては、例えば、携帯端末装置100で再生された音楽や、携帯端末装置100にインストールされたナビゲーションアプリからのルート案内音声等を例示することができる。
また、後述する調整量算出部50が調整量を算出するとき、音声情報生成部10は、制御部80からの指示に従い、調整用信号を調整部20に出力する。
さらに、後述する周波数特性算出部60において周波数特性を取得するとき、音声情報生成部10は、後述する制御部80からの指示に従い、検出用信号を調整部20に出力する。
【0015】
調整部20は、音声情報生成部10から受信した音信号の周波数特性を調整する。
具体的には、調整部20は、後述する調整量算出部50から受信した調整量に基づいて、音声情報生成部10から受信した音信号の周波数特性を変更する処理を実行し、当該音信号を振動子30に出力する。
【0016】
振動子30は、調整部20から入力された音信号に基づいた振動を発生する。
調整部20から入力された音信号に基づいた振動子30の振動を、ヘルメットに伝達させることにより、ヘルメット内部に音が放射される。
なお、振動子30は、発生させた振動をヘルメットに伝達できる位置に配置する必要があるため、振動子30は、情報処理装置1とは別体であってもよい。
【0017】
マイク40は、例えば、ヘルメットの内部に配設されたマイクであり、振動子30の振動によりヘルメット内部に放射された音を収音する。
マイク40において収音された音は、後述する調整量算出部50、周波数特性算出部60および騒音検出部70に入力される。
【0018】
調整量算出部50は、後述する制御部80からの指示に従い、検出用信号または調整用信号に基づいた振動子30の振動によりヘルメット内部に放射された音の周波数特性に基づいて、ヘルメットの内部に放射する音の周波数特性を調整する調整量を算出する。
具体的には、調整量算出部50は、後述する周波数特性算出部60において、算出された周波数特性と、目標周波数特性とを比較して、調整量を算出する。
また、調整量算出部50は、マイク40において収音した調整用信号の音の周波数特性を算出し、その算出した周波数特性と目標周波数特性とを比較して、調整量を算出する。
ここで、調整量の算出が実行されるとき、調整量算出部50は、後述する制御部80の指示に従い、検出用信号に基づいた音の周波数特性または調整用信号に基づいた音の周波数特性のいずれかの周波数特性を選択し、その選択した周波数特性と目標周波数特性とを比較し調整量を算出する。
調整量算出部50は、図2に示すような、例えば、ヘルメットの内部に放射された音が走行時の騒音に埋もれずに聞こえやすい周波数帯域である1KHz以上の周波数帯域の音が強調されるような特性を示す目標周波数特性と、ヘルメット内部に放射された音の周波数特性との差を調整量として算出する。
なお、調整量算出部50において算出された調整量は、調整部20に送信される。
【0019】
周波数特性算出部60は、制御部80からの指示に従い、マイク40において収音した音の周波数特性を算出し、算出した周波数特性を制御部80に送信する。
具体的には、周波数特性算出部60は、音声情報生成部10から出力された検出用信号に基づいた振動子30の振動によって放射された音をマイク40から受信して、当該音の周波数特性を算出する。
より具体的には、周波数特性算出部60は、例えば、ヘルメットの内部に放射された音が走行騒音によって埋もれにくい周波数帯域である1KHz以上の周波数における周波数特性を算出する。
なお、周波数特性算出部60において算出する周波数特性の算出処理の詳細に関しては、後述する。
【0020】
騒音検出部70は、ヘルメット周辺の騒音レベルを検出する。
具体的には、騒音検出部70は、マイク40において収音した音の騒音レベルを検出し、制御部80に送信する。
【0021】
制御部80は、騒音検出部70で検出された騒音レベルが所定レベルより小さいときに、音声情報生成部10から検出用信号を出力させ、周波数特性算出部60から周波数特性を取得する。
制御部80は、取得した周波数特性と、周波数特性算出部60から前回取得した周波数特性とを比較し、周波数特性の変化量が所定値より大きい場合には、情報処理装置1が取り付けられているヘルメットの状態に変化があったと判断し、ユーザに対して、調整量算出部50における調整量の算出を実行するように提案する。
つまり、制御部80は、ヘルメットの状態等の変化を検出した場合には、ヘルメットの内部に放射される音が聞こえにくくなっている可能性があるため、音質調整(調整量の算出)を行うように、ユーザに対して提案する。
ここで、制御部80は、ユーザに対して音質調整の提案を行うとき、検出用信号を用いた調整(簡易EQ調整)、または、調整用信号を用いた調整(高精度EQ調整)の実行を提案する。
簡易EQ調整では、音声情報生成部10から検出用信号を出力させて取得した周波数特性と、目標周波数特性とを比較し、調整量を算出する。
また、高精度EQ調整では、音声情報生成部10から調整用信号を出力させて取得した周波数特性と、目標周波数特性とを比較し、調整量を算出する。
なお、制御部80の処理の詳細については、後述する。
【0022】
ここで、上述した検出用信号の特徴について説明する。
検出用信号は、ヘルメットの状態変化の有無を検出するために、ヘルメットの内部に放射される音声信号である。
騒音検出部70で検出された騒音レベルが所定レベルより小さい判定したとき、制御部80は、ユーザの意思に関係なく、検出用信号の音をヘルメット内部に放射するため、検出用信号は、できる限りユーザに対して、違和感、ストレス等を与えないような短い時間の信号であることが望ましい。
具体的には、情報処理装置1の起動時の挨拶音声、起動時の通知音等を検出用信号として利用することができる。
また、検出用信号は、信号に含まれる音の周波数帯域を限定した、短い時間の音声、音楽等であってもよい。
なお、上述した周波数帯域を限定した音とは、走行中のユーザが騒音下でも音を聞くことができる周波数帯域の音であり、具体的には、1KHzから10KHzの周波数帯域の音を検出用信号として出力する。
ここで、上述した簡易EQ調整では、ヘルメットの状態変化を判定するときに取得した検出用信号の音の周波数特性と、目標周波数特性とが比較され、調整量が算出される。
【0023】
ここで、上述した調整用信号の特徴について説明する。
調整用信号は、ヘルメットの内部に出力される音の音質調整を行うときに、ヘルメットの内部に放射される音である。
情報処理装置1は、ヘルメットの状態変化を検出したときに、音質調整の実行をユーザに提案し、ユーザから上述した高精度EQ調整の実行をする旨の指示を受けた場合に、調整用信号を用いた音質調整を実行する。
すなわち、ユーザの意思を確認した上で音が放射されるため、精度のよい音質調整を実現するために必要な音を調整用信号として出力する。
調整用信号は、調整精度をあげるために、検出用信号より広い周波数帯域の音であって、例えば、20Hzから20KHzの周波数帯域の音楽、ノイズ等を例示することができる。
また、調整用信号は、調整精度をあげるために、検出用信号の出力時間より長い出力時間であってもよい。
【0024】
<制御部80の処理>
図3を用いて、制御部80が実行する処理のフローについて説明する。
制御部80は、情報処理装置1の電源がオンされたか否かを判定する(ステップS100)。
電源がオンになっていないと判定した場合(ステップS100の「NO」)には、処理をステップS100に戻し、待機モードに移行する。
一方で、電源がオンになっていると判定した場合(ステップS100の「YES」)には、処理をステップS110に移行させる。
【0025】
制御部80は、騒音検出部70から騒音レベルを取得する(ステップS110)。
制御部80は、騒音検出部70から取得した騒音レベルが所定値以下か否かを判定する(ステップS120)。
騒音レベルが所定値以下ではないと判定した場合(ステップS120の「NO」)には、処理をステップS110に戻す。
一方で、騒音レベルが所定値以下であると判定した場合(ステップS120の「YES」)には、処理をステップS130に移行させる。
【0026】
騒音レベルが所定値以下であると判定した場合(ステップS120の「YES」)には、周波数特性算出部60から周波数特性を取得する(ステップS130)。
つまり、制御部80は、騒音レベルが小さいときには、周波数特性算出部60において周波数特性が正しく算出できると判断し、音声情報生成部10から検出用信号を出力させ、周波数特性算出部60において算出した周波数特性を取得する。
ここで、騒音レベルが小さいか否かを判定する所定値は、周波数特性算出部60において算出する周波数特性に影響を与えない騒音レベルが設定される。
【0027】
ステップS130において取得した周波数特性と、前回取得した周波数特性との変化量が、所定値以上であるか否かを判定する(ステップS140)。
制御部80は、ステップS130において取得した周波数特性と、図示しないメモリに格納されている、前回取得した周波数特性との変化量を算出し、その変化量が所定値以上であるか否かを判定する。
ここで、図4に示すように、周波数特性算出部60は、ヘルメットの内部に放射された音が走行騒音によって埋もれにくい周波数帯域である1KHz以上の周波数(例えば、1KHz、2KHz、3KHz、5KHz、8KHz)における周波数特性を算出し、制御部80に送信する。
制御部80は、各周波数における変化量の絶対値が、例えば、6dB以上であったときに、周波数特性の変化量が所定値以上であると判定する。
ステップS130において取得した周波数特性と前回取得した周波数特性との変化量が、所定値以上であると判定した場合(ステップS140の「YES」)には、処理をステップS150に移行させる。
一方で、ステップS130において取得した周波数特性と前回取得した周波数特性との変化量が、所定値以上ではないと判定した場合(ステップS140の「NO」)には、処理を終了させる。
つまり、ヘルメットの状態に変化がないと判定した場合には、音質調整(調整量の算出)の実行は不要であるため、処理を終了させる。
【0028】
ステップS130において取得した周波数特性と、前回取得した周波数特性との変化量が、所定値以上であると判定した場合(ステップS140の「YES」)には、調整量算出の実行をユーザに提案する(ステップS150)。
つまり、周波数特性の変化量が大きいときには、ヘルメットの状態変化が発生し、音が聞こえにくくなっている可能性が高いと判断し、現在のヘルメットの状態に最適な調整量の算出実行をユーザに提案する。
制御部80は、ユーザに対して調整量の算出実行の提案を行うとき、検出用信号を用いた調整(簡易EQ調整)、または、調整用信号を用いた調整(高精度EQ調整)の実行を提案する。
ここで、ユーザに対する提案の実施方法は、例えば、音声情報生成部10から音声信号を出力し、音声案内をヘルメット内部に出力して提案する方法や、携帯端末装置100の画面に表示して提案する方法等を例示することができる。
【0029】
ユーザから調整量算出を実行する旨の指示があったか否かを判定する(ステップS160)。
制御部80は、例えば、図示しない情報処理装置1のスイッチ操作情報や、携帯端末装置100からの入力情報を参照し、ユーザから調整量算出を実行する旨の指示があったか否かを判定する。
ユーザから調整量算出を実行する旨の指示があったと判定した場合(ステップS160の「YES」)には、処理をステップS170に移行させる。
一方で、ユーザから調整量算出の実行しない旨の指示があった判定した場合(ステップS160の「NO」)には、処理を終了させる。
【0030】
ユーザから調整量算出を実行する旨の指示があったと判定した場合(ステップS160の「YES」)には、ユーザからの指示が簡易EQ調整であったか否かを判定する(ステップS170)。
ユーザからの指示が簡易EQ調整であった場合(ステップS170の「YES」)には、処理をステップS180に移行させる。
一方で、ユーザからの指示が簡易EQ調整でなかった場合(ステップS170の「YES」)には、処理をステップS190に移行させる。
【0031】
ユーザからの指示が簡易EQ調整であった場合(ステップS170の「YES」)には、調整量算出部50に対して、検出用信号を用いた調整量の算出実行の指示を送信する(ステップS180)。
具体的には、ステップS130において取得した周波数特性を調整量算出部50に送信し、その周波数特性と目標周波数特性とを比較して調整量を算出させる。
そして、調整量算出部50は、算出した調整量を調整部20に送信する。
【0032】
ユーザからの指示が簡易EQ調整でなかった場合(ステップS170の「NO」)には、調整量算出部50に対して、調整用信号を用いた調整量の算出実行の指示を送信する(ステップS190)。
すなわち、ユーザから高精度EQ設定を実行する旨の指示を受信した場合には、調整量算出部50に対して、調整用信号を用いた調整量の算出実行の指示を送信し、調整量を算出させる。
そして、調整量算出部50は、算出した調整量を調整部20に送信する。
【0033】
制御部80は、検出用信号を用いて取得した周波数特性を図示しないメモリに格納して(ステップS200)、処理を終了させる。
具体的には、制御部80は、ステップS130において取得した周波数特性を、前回取得した周波数特性として、図示しないメモリに格納する。
【0034】
本実施例に係る情報処理装置1は、音信号に基づいた振動子30の振動をヘルメットに伝達してヘルメットの内部に音を放射する情報処理装置であって、検出用信号に基づいた振動子30の振動によりヘルメットの内部に放射された音の周波数特性を算出する周波数特性算出部60と、ヘルメットの周辺の騒音レベルを検出する騒音検出部70と、検出用信号または調整用信号に基づいた振動子30の振動によりヘルメットの内部に放射された音の周波数特性と目標周波数特性とを比較し、調整量を算出する調整量算出部50と、調整量に従って、ヘルメットの内部に放射する音の周波数特性を調整する調整部20と、騒音検出部70で検出された騒音レベルが所定レベルより小さいときに、周波数特性算出部60から取得した周波数特性と、前回取得した周波数特性との変化量を確認し、変化量が所定値より大きい場合には、調整量の算出を調整量算出部50において実行させることをユーザに提案する制御部80と、を備えている。
すなわち、騒音が所定レベルより小さいときに、検出用信号を用いて周波数特性算出部60が算出した周波数特性と、前回取得した周波数特性との変化量を確認し、周波数特性の変化量が所定値より大きい場合には、調整量の算出を調整量算出部50において実行させることをユーザに提案する。
これにより、ヘルメットの状態変化が検出されたときのみ、調整量の算出を実行すればよいため、無駄な調整量算出の実行をなくすことができる。
また、ヘルメットの状態変化の検出は、騒音レベルが小さいときに実行されるため、精度よくヘルメットの状態変化を検出することができる。
また、長期間かけて起こるヘルメットの状態変化をユーザが検出することは困難であるが、検出用信号を用いて算出した周波数特性と前回取得した周波数特性との変化量を確認することにより、確実にヘルメットの状態変化を検出することができる。
【0035】
本実施例に係る情報処理装置1の周波数特性算出部60は、ヘルメットの内部に放射された音が走行騒音に埋もれにくい周波数帯域の周波数特性を算出する。
すなわち、ヘルメットの内部に放射された音が走行騒音に埋もれにくい周波数帯域である、例えば、1KHz以上の周波数帯域の周波数特性を周波数特性算出部60において算出し、その算出結果に基づいて、制御部80はヘルメットの状態に変化があったか否かを判定する。
これにより、ユーザが聞こえやすい周波数帯域の音の変化量に基づいて、ヘルメットの状態変化を検出し、調整量算出を提案するため、ユーザは音質調整の効果を確実に体感することができる。
また、検出用信号を用いた周波数特性の算出において、算出する周波数特性の周波数帯域が限定されるため、周波数特性の算出時間が短縮され、短時間でヘルメットの状態変化の有無を検出することができる。
【0036】
また、制御部80は、ユーザに対して調整量の算出実行の提案を行うとき、検出用信号を用いた調整(簡易EQ調整)の実行、調整用信号を用いた調整(高精度EQ調整)の実行および音質調整の実行中止を提案する。
調整用信号を用いた調整(高精度EQ調整)は、検出用信号を用いた調整(簡易EQ調整)に比べ、より高精度な音質調整を行うことができる。
つまり、調整用信号は検出用信号に比べ、ヘルメット内部に放射される音の周波数帯域が広いため、より高精度な音質調整を行うことができる。
さらに、調整用信号は検出用信号に比べ、音の出力時間が長いため、ヘルメット内部に放射された音のばらつきを平均化することができるため、ばらつきの少ない高精度な音質調整を行うことができる。
また、ユーザが急用等で音質調整を実行するための時間が取れない場合には、検出用信号を用いた調整(簡易EQ調整)または、音質調整の実行中止を選択することができる。
【0037】
以上、この発明の実施例につき、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0038】
1;情報処理装置
10;音声情報生成部
20;調整部
30;振動子
40;マイク
50;調整量算出部
60;周波数算出部
70;騒音検出部
80;制御部
100;携帯端末装置
図1
図2
図3
図4