(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023050121
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】半導体回路、半導体回路の制御方法及びブリッジ回路
(51)【国際特許分類】
H03K 17/16 20060101AFI20230403BHJP
H03K 17/687 20060101ALI20230403BHJP
H03K 17/695 20060101ALN20230403BHJP
【FI】
H03K17/16 H
H03K17/687 A
H03K17/687 E
H03K17/695
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142750
(22)【出願日】2022-09-08
(31)【優先権主張番号】202111149424.0
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】000106276
【氏名又は名称】サンケン電気株式会社
(72)【発明者】
【氏名】町田 修
【テーマコード(参考)】
5J055
【Fターム(参考)】
5J055AX25
5J055BX16
5J055DX22
5J055DX61
5J055EX07
5J055EY01
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5J055EY29
5J055EZ63
5J055GX01
5J055GX04
5J055GX05
(57)【要約】
【課題】本出願の実施形態は、半導体回路、半導体回路の制御方法およびブリッジ回路を提供する。
【解決手段】半導体回路は、スイッチング素子のドレインに接続された第1の回路を有する。第2の回路は、スイッチング素子のゲート電極に接続する。スイッチング素子のソースを接続する第3の回路と、さらにスイッチング素子のソースを接続する第4の回路とを備える。ここで、スイッチング素子がオンの場合、第4の回路は半導体回路を4端子構造とすることができ、スイッチング素子がオフの場合、第4の回路は半導体回路を3端子構造とすることができるようにすることができる。これにより、スイッチング損失を低減するだけでなく、ノイズを抑制することができ、逆回復時の誤動作の発生を抑制することができる。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング素子を含む半導体回路であって、
前記スイッチング素子のドレインに接続される第1回路と、
前記スイッチング素子のゲートに接続される第2回路と、
前記スイッチング素子のソースに接続される第3回路と、
前記スイッチング素子の前記ソースに接続される第4回路と、を備え、
前記スイッチング素子がオンとされた場合、前記第4回路はイネーブルされて、前記半
導体回路が4端子構造となり、
前記スイッチング素子がオフとされた場合、前記第4回路はディスエーブルされて、前
記半導体回路が3端子構造となる、ことを特徴とする半導体回路。
【請求項2】
前記第1回路は第1インダクタンス(Ld)を含み、
前記第2回路は第2インダクタンス(Lg1)を含み、
前記第3回路は第3インダクタンス(Ls)を含み、
前記第4回路は第4インダクタンス(Lg2)を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の半導体回路。
【請求項3】
前記第2回路(Lg1含む)と前記第4回路(Lg2含む)とに接続される第1のスイッチング回路(S1含む)と、
前記第2回路(Lg1含む)と前記第3回路(Ls含む)とに接続される第2のスイッチング回路(S2含む)と、をさらに含む、ことを特徴とする請求項2に記載の半導体回路。
【請求項4】
前記第3回路(Ls含む)の一端が前記スイッチング素子のソースに接続され、
前記第4回路(Lg2含む)の一端が前記スイッチング素子のソースに接続され、
前記第3回路(Ls含む)の他端が前記第4回路(Lg2含む)の他端に接続される、ことを特徴とする請求項1に記載の半導体回路。
【請求項5】
前記第4回路(Lg2含む)は、第4インダクタンス(Lg2)と第1ダイオードを含み、
前記第4インダクタンス(Lg2)は、一端が前記スイッチング素子のソースに接続され、他端が前記第1ダイオードの正極に接続され、前記第1ダイオードの負極が前記第4回路(Lg2)の他端に接続される、ことを特徴とする請求項4に記載の半導体回路。
【請求項6】
前記第3回路(Ls含む)は、第3インダクタンス(Ls)、第5インダクタンス、および、第2ダイオードを含み、
前記第3インダクタンス(Ls)は、一端が前記スイッチング素子のソースに接続され、他端が前記第5インダクタンス(配線パターン)の一端に接続され、
前記第5インダクタンス(配線パターン)の他端が前記第2ダイオードの負極に接続され、前記第2ダイオードの正極が前記第1ダイオードの負極に接続される、ことを特徴とする請求項5に記載の半導体回路。
【請求項7】
前記第3回路(Ls含む)は、第3インダクタンス(Ls)と第5インダクタンス(配線パターン)を含み、
前記第3インダクタンス(Ls)は、一端が前記スイッチング素子のソースに接続され、他端が前記第5インダクタンス(配線パターン)の一端に接続され、前記第5インダクタンス(配線パターン)の他端が前記第1ダイオードの負極に接続される、ことを特徴とする請求項5に記載の半導体回路。
【請求項8】
前記スイッチング素子がオンとされた場合、前記第4回路(Lg2含む)において、前記スイッチング素子のソースから前記第4インダクタンスと前記第1ダイオードを介して前記第4回路(Lg2含む)の他端に流れる電流があり、前記第1ダイオードによって、第4回路(Lg2含む)がイネーブルされるようになり、
前記スイッチング素子がオフとされた場合、前記第4回路(Lg2含む)において、前記スイッチング素子のソースから前記第4インダクタンス(Lg2)と前記第1ダイオードを介して前記第4回路(Lg2含む)の他端に流れる電流がなく、前記第1ダイオードによって、第4回路(Lg2含む)がディスエーブルされるようになる、ことを特徴とする請求項5~7のいずれか1項に記載の半導体回路。
【請求項9】
前記第4回路(Lg2含む)は、第4インダクタンス(Lg2)と第4のスイッチング回路を含み、
前記第4インダクタンス(Lg2)は、一端が前記スイッチング素子のソースに接続され、他端が前記第4のスイッチング回路の一端に接続され、前記第4のスイッチング回路の他端が前記第4回路(Lg2含む)の他端に接続される、ことを特徴とする請求項4に記載の半導体回路。
【請求項10】
前記第3回路は、第3インダクタンス(Ls)、第5インダクタンス(配線パターン)、および、第5のスイッチング回路を含み、
前記第3インダクタンス(Ls)は、一端が前記スイッチング素子のソースに接続され、他端が前記第5インダクタンス(配線パターン)の一端に接続され、前記第5インダクタンス(配線パターン)の他端が前記第5のスイッチング回路の他端に接続され、前記第5のスイッチング回路の一端が前記第4のスイッチング回路の他端に接続される、ことを特徴とする請求項9に記載の半導体回路。
【請求項11】
前記第3回路(Ls含む)は、第3インダクタンス(Ls)と第5インダクタンス(配線パターン)を含み、
前記第3インダクタンス(Ls)は、一端が前記スイッチング素子のソースに接続され、他端が前記第5インダクタンス(配線パターン)の一端に接続され、前記第5インダクタンス(配線パターン)の他端が前記第4のスイッチング回路の他端に接続される、ことを特徴とする請求項9に記載の半導体回路。
【請求項12】
前記スイッチング素子がオンとされた場合、前記第4回路(Lg2含む)において、前記スイッチング素子のソースから前記第4インダクタンス(Lg2)と前記第4のスイッチング回路を介して前記第4回路の他端に流れる電流があり、前記第4のスイッチング回路によって、第4回路がイネーブルされるようになり、
前記スイッチング素子がオフとされた場合、前記第4回路(Lg2含む)において、前記スイッチング素子のソースから前記第4インダクタンス(Lg2)と前記第4のスイッチング回路を介して前記第4回路の他端に流れる電流がなく、前記第4のスイッチング回路によって、第4回路がディスエーブルされるようになる、ことを特徴とする請求項9~11のいずれか1項に記載の半導体回路。
【請求項13】
前記第2回路(Lg1含む)と前記第4回路(Lg2含む)とに接続される第1のスイッチング回路と、
前記第2回路(Lg1含む)と前記第3回路とに接続される第2のスイッチング回路と、
前記第2回路(Lg1含む)と前記第4回路とに接続される第3のスイッチング回路と、をさらに備える、ことを特徴とする請求項2に記載の半導体回路。
【請求項14】
前記スイッチング素子がオンとされ、又は、前記スイッチング素子におけるドレイン電流が正方向のものである場合、前記第4回路(Lg2含む)がイネーブルされるようになり、
前記スイッチング素子がオフとされ、及び、前記スイッチング素子におけるドレイン電流が負方向のものである場合、第4回路(Lg2含む)がディスエーブルされるようになる、ことを特徴とする請求項13に記載の半導体回路。
【請求項15】
請求項1~14の何れか1項に記載の半導体回路を複数含むブリッジ回路であって、
前記半導体回路は、
非回生電流があり、又は、ドレイン電圧が正の電圧である場合に、スイッチング素子のソースに接続される第4回路(Lg2含む)がイネーブルされて、前記半導体回路が4端子構造となり、
回生電流があり、又は、ドレイン電圧が負の電圧である場合、スイッチング素子のソースの第4回路(Lg2含む)がディスエーブルされて、前記半導体回路が3端子構造となる、ことを特徴とするブリッジ回路。
【請求項16】
スイッチング素子のドレインに接続される第1回路(Ld含む)と、前記スイッチング素子のゲートに接続される第2回路(Lg1含む)と、前記スイッチング素子のソースに接続される第3回路(Ls含む)と、前記スイッチング素子の前記ソースに接続される第4回路(Lg2含む)と、を備える半導体回路の制御方法であって、
前記スイッチング素子がオンとされた場合、前記第4回路(Lg2含む)はイネーブル(enabled)されて、前記半導体回路を4端子構造にさせること、および、
前記スイッチング素子がオフとされた場合、前記第4回路(Lg2含む)はディスエーブル(disabled)されて、前記半導体回路を3端子構造にさせることを含む、ことを特徴とする半導体回路の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、特に、半導体回路、半導体回路の制御方法およびブリッジ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
電界効果トランジスタ(FET、Field Effect Transistor)などのスイッチング素子は、ドレイン(D)、ゲート電極(G、ゲートとも称する)、ソース(S)を有することができる。ドレイン(D)、ゲート電極(G)およびソース(S)はそれぞれ対応する回路を接続し、3端子構造を形成することができる。
図1は、第1の回路102、第2の回路103、および第3の回路104にそれぞれ接続された3端子構成の半導体回路100を示す図である。この半導体回路は、
図1に示すように、第1スイッチ回路105と第2スイッチ回路106とをさらに有する。
近年では、3端子構造に加えて駆動用の独立ソース端子を追加し、4端子構造を形成することができる。4端子構造を有する半導体回路は、駆動回路から寄生インダクタンスの影響を除去することにより、スイッチング速度を向上させてスイッチング損失を低減する効果がある。(特許文献1参照)
図2に示すのは4端子構造の半導体回路200の一例であり、スイッチ素子201は、ドレイン(D)、ゲート電極(G)、ソース(S)を有し、それぞれ第1回路202、第2回路203、および第3回路204に接続されている。
図2に示すように、ソース(S)は、第4の回路205にも接続されている。この半導体回路は、
図2に示すように、第1スイッチ回路206と第2スイッチ回路207をさらに有する。
上述した技術背景の紹介は、本出願の技術案を明確にし、完全に説明するためだけでなく、当業者の理解を容易にするために述べられたものであり、これらの方案が本出願の背景技術部分で説明されただけでは、上記技術案は当業者に知られているとは言えないことに留意すべきである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、発明者は、4端子構造はスイッチング素子がオン(Turn ON)してもオフ(Turn OFF)しても損失低減に有効であるが、明らかに損失低減効果があるオン(Turn ON)の場合に比べて、オフ(Turn OFF)の場合は損失効果が小さいが、そのノイズ(noise)は増加することを発見した。また、回生動作後の逆回復時には、4端子構造に誤動作が発生する可能性があり、損失増大に対する抑制効果が減少してしまう。
【0005】
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、その課題を解決し、半導体回路、半導体回路の制御方法およびブリッジ回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態の一態様によれば、スイッチング素子を含む半導体回路であって、スイッチング素子のドレインに接続される第1回路と、スイッチング素子のゲートに接続される第2回路と、スイッチング素子のソースに接続される第3回路と、スイッチング素子のソースに接続される第4回路と、を備え、スイッチング素子がオンとされた場合、第4回路はイネーブル(enabled)されて、半導体回路が4端子構造となり、スイッチング素子がオフとされた場合、第4回路はディスエーブル(disabled)されて、半導体回路が3端子構造となる、ことを特徴とする。すなわち第4の回路は、半導体回路が4端子構造だが、スイッチング素子がオフされた場合には、半導体回路が3端子構造となるように機能させることができる。
いくつかの実施形態では、第1回路は第1インダクタンス(Ld)を含み、第2回路は第2インダクタンス(Lg1)を含み、第3回路は第3インダクタンス(Ls)を含み、第4回路は第4インダクタンス(Lg2)を含む。
いくつかの実施形態において、半導体回路は、第2回路(Lg1含む)と第4回路(Lg2含む)とに接続される第1のスイッチング回路(S1含む)と、第2回路(Lg1含む)と第3回路(Ls含む)とに接続される第2のスイッチング回路(S2含む)と、をさらに含む、ことを特徴とする。
いくつかの実施形態では、第3回路(Ls含む)の一端がスイッチング素子のソースに接続され、第4回路(Lg2含む)の一端が前記スイッチング素子のソースに接続され、第3回路(Ls含む)の他端が第4回路(Lg2含む)の他端に接続される、ことを特徴とする。
ある実施形態では、第4回路(Lg2含む)は、第4インダクタンス(Lg2)と第1ダイオードを含み、第4インダクタンス(Lg2)は、一端がスイッチング素子のソースに接続され、他端が第1ダイオードの正極に接続され、第1ダイオードの負極が第4回路(Lg2)の他端に接続される、ことを特徴とする。
いくつかの実施形態において、第3回路(Ls含む)は、第3インダクタンス(Ls)、第5インダクタンス、および、第2ダイオードを含み、第3インダクタンス(Ls)は、一端がスイッチング素子のソースに接続され、他端が第5インダクタンス(配線パターン)の一端に接続され、第5インダクタンス(配線パターン)の他端が第2ダイオードの負極に接続され、第2ダイオードの正極が第1ダイオードの負極に接続される。
ある実施形態では、第3回路(Ls含む)は、第3インダクタンス(Ls)と第5インダクタンス(配線パターン)を含み、第3インダクタンス(Ls)は、一端がスイッチング素子のソースに接続され、他端が第5インダクタンス(配線パターン)の一端に接続され、第5インダクタンス(配線パターン)の他端が第1ダイオードの負極に接続される。
いくつかの実施形態では、スイッチング素子がオンとされた場合、第4回路(Lg2含む)において、スイッチング素子のソースから第4インダクタンスと第1ダイオードを介して第4回路(Lg2含む)の他端に流れる電流があり、第1ダイオードによって、第4回路(Lg2含む)がイネーブルされるようになり、スイッチング素子がオフとされた場合、第4回路(Lg2含む)において、スイッチング素子のソースから第4インダクタンス(Lg2)と第1ダイオードを介して第4回路(Lg2含む)の他端に流れる電流がなく、第1ダイオードによって、第4回路(Lg2含む)がディスエーブルされるようになる。
いくつかの実施形態において、第4回路(Lg2含む)は、第4インダクタンス(Lg2)と第4のスイッチング回路を含み、第4インダクタンス(Lg2)は、一端がスイッチング素子のソースに接続され、他端が第4のスイッチング回路の一端に接続され、第4のスイッチング回路の他端が第4回路(Lg2含む)の他端に接続される。
いくつかの実施形態では、第3回路は、第3インダクタンス(Ls)、第5インダクタンス(配線パターン)、および、第5のスイッチング回路を含み、第3インダクタンス(Ls)は、一端がスイッチング素子のソースに接続され、他端が第5インダクタンス(配線パターン)の一端に接続され、第5インダクタンス(配線パターン)の他端が第5のスイッチング回路の他端に接続され、第5のスイッチング回路の一端が第4のスイッチング回路の他端に接続される。
いくつかの実施形態において、第3回路(Ls含む)は、第3インダクタンス(Ls)と第5インダクタンス(配線パターン)を含み、第3インダクタンス(Ls)は、一端がスイッチング素子のソースに接続され、他端が第5インダクタンス(配線パターン)の一端に接続され、第5インダクタンス(配線パターン)の他端が第4のスイッチング回路の他端に接続される。
いくつかの実施形態では、スイッチング素子がオンとされた場合、第4回路(Lg2含む)において、スイッチング素子のソースから第4インダクタンス(Lg2)と第4のスイッチング回路を介して第4回路の他端に流れる電流があり、第4のスイッチング回路によって、第4回路がイネーブルされるようになり、スイッチング素子がオフとされた場合、第4回路(Lg2含む)において、スイッチング素子のソースから第4インダクタンス(Lg2)と第4のスイッチング回路を介して第4回路の他端に流れる電流がなく、第4のスイッチング回路によって、第4回路がディスエーブルされるようになる。
ある実施形態では、第2回路(Lg1含む)と第4回路(Lg2含む)とに接続される第1のスイッチング回路と、第2回路(Lg1含む)と第3回路とに接続される第2のスイッチング回路と、第2回路(Lg1含む)と第4回路とに接続される第3のスイッチング回路と、をさらに備える。
いくつかの実施形態において、スイッチング素子がオンとされ、又は、スイッチング素子におけるドレイン電流が正方向のものである場合、第4回路(Lg2含む)がイネーブルされるようになり、スイッチング素子がオフとされ、及び、スイッチング素子におけるドレイン電流が負方向のものである場合、第4回路(Lg2含む)がディスエーブルされるようになる。
本発明の実施の形態の他の態様によれば、半導体回路を4端子構造とするように構成された複数の前述の半導体回路を含むブリッジ回路であって、半導体回路は、非回生電流があり、又は、ドレイン電圧が正の電圧である場合に、スイッチング素子のソースに接続される第4回路(Lg2含む)がイネーブルされて、半導体回路が4端子構造となり、回生電流があり、又は、ドレイン電圧が負の電圧である場合、スイッチング素子のソースの第4回路(Lg2含む)がディスエーブルされて、半導体回路が3端子構造となる。
本発明の実施形態の他の態様によれば、半導体回路は、スイッチング素子のドレインに接続される第1回路(Ld含む)と、スイッチング素子のゲートに接続される第2回路(Lg1含む)と、スイッチング素子のソースに接続される第3回路(Ls含む)と、スイッチング素子のソースに接続される第4回路(Lg2含む)と、を備える半導体回路の制御方法を提供する。制御方法は、スイッチ素子をオンにした場合に、半導体回路が4端子構造となるように、第4の回路をイネーブルする工程を備える。また、スイッチ素子がオフされた場合、半導体回路を3端子構造とするように、第4の回路を使用することができる。
後文の説明及び図面を参照して、本出願の特定の実施形態を詳細に開示し、本出願の原理が採用されることができる形態を指定した。本出願の実施形態は、範囲的には限定されないことが理解されるべきである。本出願の実施形態は、特許請求の精神及び条項の範囲内において、多くの変更、修正、及び同等を含む。
一実施形態について説明および/または図示した特徴を同じまたは同様の方法で1つまたは複数の他の実施形態で使用してもよく、他の実施形態における特徴と組み合わせてもよく、または他の実施形態における特徴を代替してもよい。
用語「包括/包含」は、本明細書で使用される際に、特徴、全体、ステップ、またはコンポーネントの存在を指すが、1つ以上の他の特徴、全体、ステップ、またはコンポーネントの存在または追加を除外するものではない。
図面は、本発明の実施形態の1つの図面または1つの実施形態において記載された要素および特徴を、1つまたは複数の他の図面または実施形態に示された要素および特徴と関連付けることができることを示している。また、添付図面においても、同様の符号はいくつかの図面に対応する部品を示し、複数の実施形態において使用される対応する構成要素を示すために使用されてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施の形態の有益な効果の一つは、半導体回路を4端子構造とするために、スイッチング素子がオンされた場合に、第4の回路を使用することである。スイッチング素子がオフされている場合、第4の回路は半導体回路を3端子構造とするように動作可能にされる。これにより、スイッチング損失を低減するだけでなく、ノイズを抑制することができ、逆回復時の誤動作の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】本発明の実施の形態における3端子構造と4端子構造におけるスイッチング素子のオン(Turn ON)を示す図である。
【
図4】本発明の実施の形態における3端子構造と4端子構造におけるスイッチング素子のオフ(Turn OFF)を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態における3端子構造および4端子構造における逆回復を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態における3端子構造と4端子構造とを比較するためのスイッチング波形図である。
【
図7】本発明の実施形態における3端子構造と4端子構造とを比較するための別のスイッチング波形図である。
【
図8】本発明の実施形態における3端子構造と4端子構造とを比較するための別のスイッチング波形図である。
【
図9】本発明の第1の実施形態に係る半導体回路の一例を示す図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る半導体回路の別の概略図である。
【
図11】本発明の実施形態に係る半導体回路の他の概略図である。
【
図12】本発明の実施形態に係る半導体回路の別の概略図である。
【
図13】本発明の実施形態の駆動シーケンスの一例を示す図である。
【
図14】本発明の実施形態の駆動シーケンスの別の概略図である。
【
図15】本発明の実施形態に係る半導体回路の他の概略図である。
【
図16】
図15に示す実施形態の駆動シーケンスを示す図である。
【
図17】本発明の第2の実施形態に係るブリッジ回路の図である。
【
図18】本発明の一実施形態のブリッジ回路制御タイミングの一例を示す図である。
【
図19】本発明の第3の実施形態に係る半導体回路の制御方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照すると、以下の説明書により、本出願の前述および他の特徴が明らかになるであろう。明細書および図面において、本出願の特定の実施形態が具体的に開示されており、本出願は、本願の原則を適用することができる一部の実施形態を示しているが、本明細書は、記載の実施形態に限定されるものではなく、むしろ、本願は、添付の権利が求める範囲に含まれる全ての修正、変形、及び均等物を含むことを理解されたい。
本発明の実施形態では、用語「第1」、「第2」などは、異なる要素を呼称から区別するために使用されるが、これらの要素の空間的な配置または時間的順序などを表すものではなく、これらの要素はこれらの用語によって制限されるべきではない。用語「および/または」は、関連付けられて記載された用語のうちのいずれかまたは複数の組み合わせを含む。用語「含む」、「持つ」などは、記載された特徴、要素またはコンポーネントの存在を意味するが、1つまたは複数の他の特徴、要素、またはコンポーネントの存在または追加は除外されない。
本発明の実施形態では、単一の数の形式「一」、「該」などは複数の形式を含み、文脈では別に明示的に示されない限り、一般的に「一種類」として理解されるべきである。さらに、用語「根拠」は、「少なくとも部分的には…による」と理解されるべきである。「基本」という用語は、「少なくとも部分的には…に基づく」と理解されるべきである。
【0010】
図3は、本出願の実施の形態の3端子構造と4端子構造の中で、スイッチング素子のオン(Turn ON)を示す図である。左に4端子構造を示しており、右に3端子構造の場合を示す。
図4は、本発明の実施の形態における3端子構造と4端子構造におけるスイッチング素子のオフ(Turn OFF)を示す図である。左に4端子構造を示しており、右に3端子構造の場合を示す。
図5は、本発明の実施形態における3端子構造および4端子構造における逆回復を示す図である。左に4端子構造を示しており、右に3端子構造の場合を示す。
図3~
図5において、Vonはスイッチング素子(例えばFET)がオンしたときの外部ゲートバイアス電圧を示し、VoffはOFF時の外部ゲートバイアス電圧を示す。Vgsはスイッチング素子のゲートとソース間の電圧を表し、この電圧はスイッチング素子のON/OFF状態を決定する。Lgxは、各端子に寄生インダクタンスがあることを示し、以下では簡単な説明のため、Lg1、Lg2を無視する。igはCgs、Cgdを充電し、放電する電流を表します。Lsはソースの寄生インダクタンスを表す。VLsは、Lsによって生成される逆起電力、例えばVLs=Ls*dId・dtを表している。
例えばVgsを以下のように表現することができる。
(1)ON: Vgs = +Von-Rg*ig-VLs;
(2)OFF:Vgs = -Voff-Rg*ig-VLs;
(3)逆回復:Vgs = -Voff-Rg*ig-VLs;
なお、右側のVLsは3端子構造の場合のみ有効で、4端子構造の場合はゼロとなる。
【0011】
図6は、本発明の実施の形態における3端子構造と4端子構造とを比較するためのスイッチング波形図であり、スイッチング素子のオン(Turn ON)の場合を模式的に示している。
スイッチング素子がオン(Turn ON)している時に、上式(1)の右第2項(Rg*ig)と第3項(VLs)の役割は、正の値でVgsを下げて、オンを遅らせることである。ただし、4端子構造の場合は、VLsはゼロであるため、3端子構造の場合に比べてVgsが高く開放が速いため、スイッチング損失が低減される。
3端子構造の場合は、Rg=0Ωの最高速状態を想定しても、Vgs≒Vth(閾値電圧)の期間内に、VLs=Von-Vthは、di/dt=(Von-Vth)/Lsによりdi/dtの上限が決定され、スイッチング時間を短くすることができず、スイッチング損失の低減には一定の限界がある。
【0012】
図7は、本発明の実施の形態の3端子構造と4端子構造を比較する他のスイッチング波形図であり、スイッチング素子のオフ(Turn OFF)の場合を示す。
スイッチング素子がオフ(Turn OFF)した時に、上式(2)の右第2項(Rg*ig)と第3項(VLs)の役割は負の値でVgsを上げ、遅延してクローズする。しかし、4端子構造の場合は、VLsはゼロであるため、3端子構造の場合に比べてVgsは低く抑えられ、クローズが速いため、スイッチング損失が低減される。
図6および
図7から、3端子構造に比べて、4端子構造の場合、スイッチング速度が速く、スイッチング損失が少ないことが分かるが、スイッチング速度としてのトレードオフは、電圧、電流のノイズ、サージも増大する。
【0013】
図8は、本発明の実施の形態における3端子構造と4端子構造を比較するための別のスイッチング波形図であり、逆回復の様子を示す。
逆回復時には、上式(3)の右側のig成分に基づく第2項(Rg*ig)の役割は負の値でVgsを高めることにある。一方、第3項(VLs)は正の値でVgsを下げる。つまり、3端子構造の場合、第2項と第3項は互いに相殺されます。ただし、4端子構造の場合は、第3項がゼロで第2項のみが機能するため、3端子構造の場合に比べて、4端子構造は誤って開いた状態となりやすい。
Vthについては、「-Voff」が十分低い場合には誤動作にはならないが、コスト面と利便性の観点から、-Voffの負電圧を用意できないシステム(Voff=0V)でVthが低い素子が使用されると、誤動作の危険性が増大する。
【0014】
以上の分析を総合して、発明者は、スイッチング素子のオン(Turn ON)の場合、4端子構造は、3端子構造に比べて、例えば、スイッチング損失は50%または80%減少することができることを発見した。スイッチング素子がオフ(Turn OFF)の場合、4端子構造は、3端子構造に比べて、例えば、スイッチング損失は20%または10%だけ減少する。
また、
図7に示すように、スイッチング素子がオフ(OFF)している場合には、4端子構造は、3端子構造に比べて、ノイズ(レベル)が著しく増加し、ピーク電圧が著しく増加している。また、回生動作の逆回復時には、4端子構造の逆電流(Isd)が増大し、誤動作が発生する可能性があり、損失増加に対する抑制効果が減少している。
発明者の上記の発見および分析に基づき、以下に本発明の実施形態について説明する。
【0015】
(第1の実施の形態)
図9に示す半導体回路900は、スイッチング素子901を含む本発明の実施形態の半導体回路の図である。半導体回路900はまた、スイッチング素子901のドレイン(D)に接続された第1の回路902を有する。
第2の回路903は、スイッチング素子901のゲート電極(G、またはゲートとも称される)に接続されている。
第3の回路904は、スイッチング素子901のソース(S)に接続されている。スイッチング素子901のソース(S)に接続された第4の回路905とを備える。
本出願の実施の形態では、スイッチング素子901がオン(ON)された場合には、半導体回路900を4端子構造とし、スイッチング素子901がオフ(OFF)された場合には、第4回路905により半導体回路900を3端子構造とするように機能させることができる。
いくつかの実施形態では、
図9に示すように、第1の回路902は第1のインダクタ9021を含み、第2の回路903は第2のインダクタ9031を含み、第3の回路904は第3のインダクタ9041を含み、第4の回路905は第4のインダクタ9051を含む。しかし、本出願はこれに限定されず、各回路は、実際の状況に応じて他の要素または部品を含むこともできる。
いくつかの実施形態において、
図9に示すように、半導体回路900は、第1のスイッチ回路S1をさらに備え、第2の回路903および第4の回路905に接続されている。
第2のスイッチ回路S2は、第2の回路903および第3の回路904に接続されている。
いくつかの実施形態では、第1の回路902は、第1のインダクタ9021を含み、第2の回路903は第2のインダクタ9031を含み、第3の回路904は第3のインダクタ9041を含み、第4の回路905は第4のインダクタ9051を含む。しかし、本出願はこれに限定されず、各回路は、実際の状況に応じて他の要素または部品を含むこともできる。
いくつかの実施形態では、
図9に示すように、半導体回路900は、第2の回路903および第4の回路905に接続された第1のスイッチ回路S1をさらに含む。
第2のスイッチ回路S2は、第2の回路903および第3の回路904に接続されている。
上述の
図9において、本出願の実施形態の半導体回路のみを概略的に説明したが、本出願はこれに限定されないことに留意されたい。例えば、様々なモジュールまたはコンポーネント間の接続関係を適切に調整することができ、さらに他のモジュールまたはコンポーネントを追加したり、いくつかのモジュールまたはコンポーネントを低減したりすることができる。当業者は、上記の内容に基づいて適宜変形することができ、上記図面9の記載に限らない。
これにより、スイッチング素子がオンされた場合には、第4の回路を半導体回路を4端子構造とするように機能させることができる。スイッチング素子がオフされている場合、第4の回路は半導体回路を3端子構造とするように動作可能にされる。スイッチング損失を低減し、ノイズを抑制することができるだけでなく、逆回復時の誤動作の発生を抑制することもできる。
【0016】
以下、第4の回路及び関連する構造について概略的に説明する。
図10は、本発明の実施形態の半導体回路の他の概略図であり、
図10に示すように、半導体回路1000は、スイッチング素子901と、第1のスイッチ回路S1と、第2のスイッチ回路S2とを含む。
図10に示すように、第3の回路904の一端はスイッチング素子901のソース(S)に接続され、第4の回路905の一端はスイッチング素子901のソース(S)に接続され、第3の回路904の他端は第4の回路905の他端に接続されている(例えば
図10のH1において)。
図10に示すように、第4の回路905は、第4のインダクタ9051と第1のダイオード9052とを含む。第4のインダクタ9051の一端は、スイッチング素子901のソース(S)と接続され、他端は第1のダイオード9052のアノードと接続されている。第1のダイオード9052のカソードは、第4の回路905の他端に接続されている。
図10に示すように、第3の回路904は、第3のインダクタ9041、第5のインダクタ9042、および第2のダイオード9043を含む。第3のインダクタ9041の一端は、スイッチング素子901のソース(S)と接続され、他端は第5のインダクタ9042の一端と接続され、第5のインダクタ9042の他端は第2のダイオード9043のカソードと接続されている。第2のダイオード9043のアノードは、第1のダイオード9052のカソードに接続されている。
これにより、駆動電源のGNDは共用化されてもよく、ダイオードのノードを仮想GNDとして直列に接続することができ、4端子構造と3端子構造を結合する場合には、回路の安定性と信頼性を保証することができ、さらに回路構造を簡略化することができる。
いくつかの実施形態において、スイッチング素子901がオンされた場合、
図10のL1(明るい点線矢印)に示すように、第4の回路905は、スイッチング素子901のソース(S)から第4のセンス9051および第1のダイオード9052を介して第4の回路905の他端に流れる電流を有し、第1のダイオード9052は、第4の回路905を使用することができる。
スイッチング素子901をオフにした場合、
図10のL2(濃い点線矢印)に示すように、第4の回路905には、スイッチング素子901のソース(S)から第4のインダクタ9051および第1のダイオード9052を介して第4の回路905の他端に流れる電流を持たず、第1のダイオード9052は、第4の回路905をイネーブルにする。
【0017】
いくつかの実施形態では、
図10の第2のダイオード9043は省略されてもよい。第3の回路904は、第3のインダクタ9041と第5のインダクタ9042とを含む。第3のインダクタ9041の一端は、スイッチ素子901のソース(S)に接続され、他端は第5のインダクタ9042の一端に接続され、第5のインダクタ9042の他端は第1のダイオード9052の負極に接続されている。
以上、ダイオードを例に説明したが、ダイオードをスイッチ回路に置き換えることもできる。
【0018】
図11は、本発明の実施形態に係る半導体回路の他の概略図であり、
図12は、本発明の実施形態に係る半導体回路の他の概略図である。
図11および
図12に示すように、半導体回路1100は、スイッチング素子901と、第1のスイッチ回路S1と、第2のスイッチ回路S2とを含む。
図11に示すように、第3の回路904の一端はスイッチング素子901のソース(S)に接続され、第4の回路905の一端はスイッチング素子901のソース(S)に接続され、第3の回路904の他端は第4の回路905の他端に接続されている(例えば
図11または12のH2において)。
図11および
図12に示すように、第4の回路905は、第4のインダクタンス9051および第4のスイッチ回路S4を含む。第4のインダクタ9051の一端は、スイッチング素子901のソース(S)と接続され、他端は第4のスイッチ回路S4の一端と接続されている。第4スイッチ回路S4の他端は、第4の回路905の他端に接続されている。
図11および
図12に示すように、第3の回路904は、第3のインダクタ9041、第5のインダクタ9042、および第5のスイッチ回路S5を含む。第3のインダクタ9041の一端は、スイッチング素子901のソース(S)と接続され、他端は第5のインダクタ9042の一端と接続され、第5のインダクタ9042の他端は第5のスイッチ回路S5の他端と接続されている。第5スイッチ回路S5の一端は、第4スイッチ回路S4の他端に接続されている。
いくつかの実施形態において、スイッチング素子901がオンされた場合、第4の回路905は、スイッチング素子901のソース(S)から第4のインダクタ9051および第4のスイッチ回路S4を介して第4の回路905の他端に流れる電流を有し、第4のスイッチ回路S4は、第4の回路905をイネーブルする。
スイッチング素子901がオフされている場合、第4の回路905には、スイッチング素子901のソース(S)が第4のインダクタ9051および第4のスイッチ回路S4を介して第4の回路905の他端に流れる電流がないので、第4のスイッチ回路S4は、第4の回路905を動作させる。
いくつかの実施形態では、
図11および
図12の第5スイッチ回路S5を省略してもよい。第3の回路904は、第3のインダクタ9041と第5のインダクタ9042とを含む。第3のインダクタ9041の一端はスイッチング素子901のソース(S)に接続され、他端は第5のインダクタ9042の一端に接続され、第5のインダクタ9042の他端は第4のスイッチ回路S4の他端に接続されている。
【0019】
図13は、本発明の実施形態の駆動シーケンスの一例を示し、
図11または
図12の半導体回路の制御タイミングの一例を模式的に示す図である。
図14は、本発明の実施形態の駆動シーケンスの他の概略図であり、
図11または
図12の半導体回路の制御タイミングの他の状況を概略的に示す。
図13及び
図14に示すように、Vdsはスイッチング素子におけるドレインとソース間の電圧を表し、Vgsはスイッチング素子におけるゲート電極とソース間の電圧を表し、Idはスイッチング素子におけるドレイン電流を表している。
図13及び
図14に示すように、S4及びS5等の部品の作用により、本出願の実施の形態の3端子構造と4端子構造を組み合わせた半導体回路を実現することができる。
図13および
図14は、本発明の実施形態の駆動シーケンスの一例を示しているが、本明細書はこれに限定されない。なお、
図10~
図12は、ダイオードおよびスイッチ回路を例に説明したが、本出願はこれに限定されず、第4の回路を具体的にどのようにイネーブル(enabled)あるいはディスエブル(disabled)するかについては、他の実施形態を採用することもできる。
以上、ONドライバとOFFドライバを独立して行う例で、本出願の実施例について説明した。上記構成に加えて、4端子構造のOFF駆動回路を追加し、3端子構造のOFF動作後に4端子構造のOFF動作を行うことも可能である。
【0020】
図15は、本発明の実施形態に係る半導体回路の他の概略図であり、
図15に示すように、半導体回路1500はスイッチング素子901を含む。半導体回路900はまた、スイッチング素子901のドレイン(D)に接続された第1の回路902を有する。
第2の回路903は、スイッチング素子901のゲート電極(G、またはゲートとも称される)に接続されている。
第3の回路904は、スイッチング素子901のソース(S)に接続されている。スイッチング素子901のソース(S)に接続された第4の回路905とを備える。
図15に示すように、半導体回路1500は、第2の回路903および第4の回路905に接続された第1のスイッチ回路S1をさらに含む。
第2のスイッチ回路S2は、第2の回路903および第3の回路904に接続されている。
第3のスイッチ回路S3は、第2の回路903および第4の回路905に接続されている。
なお、上記
図15は、本出願の実施形態の半導体回路のみを概略的に説明したが、本出願はこれに限定されない。例えば、様々なモジュールまたはコンポーネント間の接続関係を適切に調整することができ、さらに他のモジュールまたはコンポーネントを追加したり、いくつかのモジュールまたはコンポーネントを低減したりすることができる。当業者は、上記の内容に基づいて適宜変形することができ、上記
図15の記載に限らない。
いくつかの実施形態において、スイッチング素子901がオンまたはスイッチング素子901のドレイン電流を順方向にしている場合、第4の回路905は、半導体回路を4端子構造とすることができるようにしている。スイッチング素子901がオフされ、かつ、スイッチング素子901のドレイン電流が逆方向の場合、第4の回路905は、半導体回路を3端子構造とすることができるように動作させる。これにより、スイッチング損失をさらに低減し、ノイズを抑制することができるだけでなく、逆回復時の誤動作の発生を抑制することができる。
【0021】
図16は、
図15の半導体回路の制御タイミングの一例を示す図である。
図16に示すように、第3のスイッチ回路S3などの部品の役割により、本出願の実施形態の3端子構造と4端子構造を組み合わせた半導体回路をさらに実現することができる。また、3端子構造のオフ動作後に4端子構造のオフ動作を行うことで、さらに誤動作を防止することができる。
以上の様々な実施形態は、本願の実施形態の一例だけを説明したが、本明細書はこれに限定されず、上述の様々な実施形態に基づいて適切な変形も可能である。例えば、上記の各実施形態を単独で使用しても良いし、上記の各実施形態のうちの1つまたは複数を組み合わせても良い。
上記の実施形態から分かるように、第4の回路は、半導体回路を4端子構造とするように、スイッチング素子がオンされている場合に、エネルギーを供給している。スイッチング素子がオフされている場合、第4の回路は半導体回路を3端子構造とするように動作可能にされる。これにより、スイッチング損失を低減するだけでなく、ノイズを抑制することができ、逆回復時の誤動作の発生を抑制することができる。
【0022】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態は、第1の態様の実施の形態で説明したような複数の半導体回路を含むブリッジ回路をさらに提供し、個々の半導体回路の動作は第1の実施の形態と同じ内容であり、ここでは説明を省略する。
図17に示すように、ブリッジ回路1700は、例えば4つの半導体回路を含み、それぞれQ1、Q2、Q3、Q4で表され、各半導体回路は、第1の態様の実施形態で説明される。しかし、本出願はこれに限定されず、他の数の半導体回路を含んでもよい。また、
図17に示されていない各要素は、関連技術を参照してもよく、ここでは説明を省略する。
いくつかの実施形態において、半導体回路が非回生電流またはドレイン電圧が正電圧である場合、スイッチング素子に接続されたソース電極の第4の回路を、半導体回路を4端子構造とし、回生電流またはドレイン電圧を負電圧とする場合に、スイッチング素子に接続されたソース電極の第4の回路は、半導体回路を3端子構造とするように動作可能である。
以下、制御動作をさらに説明するが、以下の内容は本出願の一例であり、これに限定されない。
【0023】
図18は、本発明の実施形態のブリッジ回路制御タイミングの一例を示す図である。ブリッジ回路は、負荷Lにスイッチング周波数より低い正弦波電流が流れるように制御することができる。例えば、スイッチング周波数は10KHz、L負荷の電流は50Hzである。短い時間スパンから、L負荷にある目標電流値を流す制御を行います。
図18に示すように、例えばQ2とQ3は回生動作を行い、逆回復のタイミングは、
Q2:時刻D、(3)→(4)の時刻=Q1がオン、
Q3:時刻A、(4)→(1)のタイミング=Q4がオン;
上記瞬間ごとに、3端子駆動がオフ状態となる。それぞれ復帰の直前にオン→オフ制御を行うが、デッドタイムを確保するのが目的である。同期整流特性の回生からダイオード特性の回生に切り替わり、実質的なスイッチングは発生しない。ここでは、スイッチング損失が発生しないため、4端子駆動と3端子駆動の両方が可能である。
また、例えば、Q1、Q4に着目すると、スイッチングを閉じるタイミングは、Q1:時刻B、(1)→(2)のタイミングでスイッチング損失が発生することである。
Q4:時刻C、(2)→(3)のタイミングでスイッチング損失が発生する;
上記の瞬間を、スイッチング損失低減を優先して4端子駆動としても良いし、ノイズ抑制を優先して3端子駆動としても良い。
上記の動作は、ILが左→右に流れる期間内の説明であり、ILの向きが反転された期間内の制御では、Q1/Q4とQ2/Q3の作用が置き換えられる。スイッチング素子がオン(Turn ON)するとスイッチング損失が低減するため、4端子駆動の状態を維持することができる。
以上の様々な実施形態は、本願の実施形態の一例だけを説明したが、本明細書はこれに限定されず、上述の様々な実施形態に基づいて適切な変形も可能である。例えば、上記の各実施形態を単独で使用しても良いし、上記の各実施形態のうちの1つまたは複数を組み合わせても良い。
上記の実施形態から分かるように、第4の回路は、半導体回路を4端子構造とするように、スイッチング素子がオンされている場合に、エネルギーを供給している。スイッチング素子がオフされている場合、第4の回路は半導体回路を3端子構造とするように動作可能にされる。これにより、スイッチング損失を低減するだけでなく、ノイズを抑制することができ、逆回復時の誤動作の発生を抑制することができる。
【0024】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態は、スイッチング素子のドレインを接続する第1の回路と、スイッチング素子のゲート電極を接続する第2の回路と、スイッチング素子のソース電極を接続する第3の回路と、スイッチング素子を接続するソース電極を有する半導体回路の制御方法をさらに提供する。本明細書では、第1の実施形態と同じ内容は説明しない。
図19は、本発明の一実施形態に係る半導体回路の制御方法の一例であり、
図19に示すように、半導体回路の制御方法は、1901がスイッチ素子をオンにした場合に、半導体回路を4端子構造とするように、第4の回路をイネーブルすることと、1902は、スイッチ素子がオフされた場合、半導体回路を3端子構造にするために、第4の回路を使用することができる。
なお、以上の
図19は、本出願の実施形態のみを概略的に説明したが、本出願はこれに限定されない。例えば、各動作間の実行順序を適切に調整することができ、さらに他のいくつかの動作を追加することができ、またはその中のいくつかの動作を低減することができる。当業者は、上記の内容に基づいて適宜変形することができ、上記
図19の記載に限らない。
【0025】
本発明の実施形態以上の装置および方法は、ハードウェアによって実装されてもよく、ハードウェアによってソフトウェアに結合されて実現されてもよい。本明細書は、論理構成要素によって実行されると、論理構成要素が上記のような装置または構成要素を実現するか、または論理構成要素が上記の様々な方法またはステップを実現することができるコンピュータ読み取り可能プログラムに関する。本出願は、ハードディスク、磁気ディスク、光ディスク、DVD、フラッシュメモリなど、上記のプログラムを記憶するための記憶媒体にも関する。
本発明の実施形態に関連して説明された方法/装置は、ハードウェアとして直接的に具現化されてもよく、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールとして、または、2つの組み合わせとして具現化されてもよい。例えば、図に示されている機能ブロック図のうちの1つまたは複数および/または機能ブロックの1つまたは複数の組み合わせは、コンピュータプログラムフローの各ソフトウェアモジュールに対応してもよく、また、各ハードウェアモジュールに対応してもよい。これらのソフトウェアモジュールは、それぞれ図に示す各ステップに対応することができる。これらのハードウェアモジュールは、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を用いてこれらのソフトウェアモジュールを硬化させて実装することができる。
ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD-ROM、または当技術分野で知られている他の任意の形態の記憶媒体に存在してもよい。プロセッサが記憶媒体から情報を読み取り、記憶媒体に情報を書き込むことができるように、記憶媒体をプロセッサに結合することができる。あるいは、記憶媒体はプロセッサの構成部分であってもよい。プロセッサおよび記憶媒体は、ASIC内に存在することができる。
このソフトウェアモジュールは、携帯端末のメモリに記憶されてもよく、携帯端末に挿入可能なメモリカードに記憶されてもよい。例えば、モバイル端末などの装置が大容量のMEGA-SIMカードまたは大容量のフラッシュメモリ装置を採用する場合、このソフトウェアモジュールは、MEGA-SIMカードまたは大容量のフラッシュメモリ装置に記憶されてもよい。
添付図面に記載された機能ブロックのうちの1つまたは複数および/または機能ブロックの1つまたは複数の組み合わせについて、本明細書で説明された機能を実行するための汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、専用集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または他のプログラマブル論理デバイス、分立ゲートまたはトランジスタ論理デバイス、ハードウェアコンポーネントまたはそれらの任意の適切な組み合わせを分割してもよい。添付の図面について説明した機能ブロックのうちの1つ以上と/または機能ブロックの1つ以上の組み合わせは、計算装置の組合せ、例えばDSPとマイクロプロセッサの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、DSPとの通信に関連した1つ以上のマイクロプロセッサ、または他のこのような構成として実現されてもよい。
【0026】
以上、具体的な実施形態に関連して本明細書について説明したが、これらの説明は全て例示的であり、本明細書の保護範囲に対する制限ではないことを当業者は理解するであろう。当業者は、本願の精神および原理に基づいて、本出願に対して様々な変形および修正を行うことができ、これらの変形および修正も本出願の範囲内にある。
【符号の説明】
【0027】
101、201、901 スイッチング素子
902 第1の回路
903 第2の回路
904 第3の回路
905 第4の回路
9043 第2のダイオード
9052 第1のダイオード
Ld スイッチング素子のドレインの寄生インダクタンス、第1インダクタンス
Lg1 スイッチング素子のゲートの寄生インダクタンス、第2インダクタンス
Lg2 スイッチング素子のゲートの寄生インダクタンス、第4インダクタンス
Ls スイッチング素子のソースの寄生インダクタンス、第3インダクタンス
S1 第1のスイッチ回路
S2 第2のスイッチ回路
S3 第3のスイッチ回路
S4 第4のスイッチ回路
S5 第5のスイッチ回路