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特開2023-50158DUPAN-2抗原の測定方法、測定試薬及び測定キット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023050158
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】DUPAN-2抗原の測定方法、測定試薬及び測定キット
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/545 20060101AFI20230403BHJP
   G01N 33/531 20060101ALI20230403BHJP
【FI】
G01N33/545 A
G01N33/531 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152719
(22)【出願日】2022-09-26
(31)【優先権主張番号】P 2021159287
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000162478
【氏名又は名称】ミナリスメディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100126653
【弁理士】
【氏名又は名称】木元 克輔
(72)【発明者】
【氏名】清水 明
(72)【発明者】
【氏名】山口 雄平
(72)【発明者】
【氏名】小野 仁
(57)【要約】
【課題】高感度で、正確な、試料中のDUPAN-2抗原の測定方法、測定試薬及び測定キットを提供する。
【解決手段】(1)DUPAN-2抗原を含む試料を、水性媒体と混合する工程;及び(2)水性媒体中で、試料中のDUPAN-2抗原を、DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子と反応させる工程、を含み、工程(1)及び/又は(2)がアルキレンオキシド誘導体の存在下で行われる、試料中のDUPAN-2抗原のラテックス凝集免疫測定方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性媒体中で、アルキレンオキシド誘導体の存在下で、試料中のDUPAN-2抗原を、DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子と反応させる、試料中のDUPAN-2抗原のラテックス凝集免疫測定方法。
【請求項2】
(1)DUPAN-2抗原を含む試料を、水性媒体と混合する工程;及び
(2)水性媒体中で、試料中のDUPAN-2抗原を、DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子と反応させる工程、
を含み、工程(1)及び/又は(2)がアルキレンオキシド誘導体の存在下で行われる、試料中のDUPAN-2抗原のラテックス凝集免疫測定方法。
【請求項3】
(1)DUPAN-2抗原を含む試料を、水性媒体を混合する工程;並びに
(2)水性媒体中で、試料中のDUPAN-2抗原を、DUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子、及び、DUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子と反応させる工程、
を含み、工程(1)及び/又は(2)がアルキレンオキシド誘導体の存在下で行われる、試料中のDUPAN-2抗原のラテックス凝集免疫測定方法。
【請求項4】
アルキレンオキシド誘導体の濃度が0.0002%(w/v)~20%(w/v)である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
アルキレンオキシド誘導体の濃度が0.01%(w/v)~3%(w/v)である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
アルキレンオキシド誘導体がポリオキシエチレン誘導体又はポリオキシプロピレン誘導体である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
ポリオキシエチレン誘導体が、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレン多環フェニルエーテルからなる群より選択される少なくとも1つである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ポリオキシプロピレン誘導体が、ポリプロピレングリコールである請求項6に記載の方法。
【請求項9】
ポリプロピレングリコールが、ジプロピレングリコールである請求項8に記載の方法。
【請求項10】
DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子、及び、アルキレンオキシド誘導体を含む、試料中のDUPAN-2抗原のラテックス凝集免疫測定試薬。
【請求項11】
DUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子、DUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子、及び、アルキレンオキシド誘導体を含む、試料中のDUPAN-2抗原のラテックス凝集免疫測定試薬。
【請求項12】
アルキレンオキシド誘導体の濃度が0.01%(w/v)~3%(w/v)である、請求項10又は11に記載の試薬。
【請求項13】
アルキレンオキシド誘導体がポリオキシエチレン誘導体又はポリオキシプロピレン誘導体である、請求項10又は11に記載の試薬。
【請求項14】
ポリオキシエチレン誘導体が、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレン多環フェニルエーテルからなる群より選択される少なくとも1つである、請求項13に記載の試薬。
【請求項15】
ポリオキシプロピレン誘導体が、ポリプロピレングリコールである請求項13に記載の試薬。
【請求項16】
ポリプロピレングリコールが、ジプロピレングリコールである請求項15に記載の試薬。
【請求項17】
水性媒体を含む第1試薬と、DUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子、及び、DUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子を含む第2試薬と、を含み、当該第1試薬及び/又は当該第2試薬にアルキレンオキシド誘導体を含む、試料中のDUPAN-2抗原のラテックス凝集免疫測定キット。
【請求項18】
アルキレンオキシド誘導体の濃度が0.01%(w/v)~3%(w/v)である、請求項17に記載のキット。
【請求項19】
アルキレンオキシド誘導体がポリオキシエチレン誘導体又はポリオキシプロピレン誘導体である、請求項17又は18に記載のキット。
【請求項20】
ポリオキシエチレン誘導体が、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレン多環フェニルエーテルからなる群より選択される少なくとも1つである、請求項19に記載のキット。
【請求項21】
ポリオキシプロピレン誘導体が、ポリプロピレングリコールである請求項19に記載のキット。
【請求項22】
ポリプロピレングリコールが、ジプロピレングリコールである請求項21に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DUPAN-2抗原の測定方法、測定試薬及び測定キットに関する。
【背景技術】
【0002】
モノクローナル抗体DUPAN-2は、ヒト膵癌培養細胞HPAFを免疫原として用いて作製されたモノクローナル抗体であり、膵癌細胞から高率に産生されるムチン様タンパク質(抗原)に反応することが報告されている(非特許文献1、2)。この抗原は、DUPAN-2抗原と呼ばれており、膵癌及び胆道系癌などの癌マーカーとして用いられている。
【0003】
DUPAN-2抗原の測定方法としては、competition radioimmunoassay(非特許文献1)及びEnzyme-Linked ImmunoSorbent Assay(特許文献1)が報告されている。
前述の測定方法は、試料中のDUPAN-2抗原と、DUPAN-2抗原に結合する抗体と、を抗原抗体反応させ免疫複合体を形成させたのち、免疫複合体中の標識の量を測定することにより、DUPAN-2抗原を測定することを原理とする標識法が用いられている。しかしながら、これらの標識法は、一般的に、免疫複合体中の標識の量を測定する前に、試料中に含まれるDUPAN-2抗原以外の物質を取り除くために、洗浄液を用いて洗浄(B/F分離)を行う必要があり、測定に時間を要する。
【0004】
一方、標識を使用しない免疫測定法の1つにラテックス凝集免疫測定方法がある(特許文献2、3)。ラテックス凝集免疫測定方法は、測定対象成分に結合する抗体、又は抗原を結合したラテックス粒子を用いて、試料中の測定対象成分と抗原抗体反応を起こさせ、ラテックス粒子の凝集による濁度変化を吸光度として測定する方法であり、B/F分離が不要な方法であるため、生化学検査用の汎用自動分析機での測定にも適用されている。しかしながら、ラテックス凝集免疫測定方法は測定感度が悪いという問題があり、高感度が必要とされる測定対象成分の測定には適用が難しい。また、ラテックス凝集免疫測定方法にはB/F分離工程が含まれないため、試料に含まれる夾雑物に起因する非特異反応の影響を受けやすく、正確な測定が難しいという課題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2019/189874号パンフレット
【特許文献2】特開2006-017745号公報
【特許文献3】特開2014-153102号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Metzgarら、“Detection of a pancreatic cancer-associated antigen (DU-PAN-2antigen) in serum and ascites of patients with adenocarcinoma”、Proceedings of the National Academy of Sciences of the United Statesof America、1984年,Vol.81,pp.5242-5246
【非特許文献2】櫻林ら、「膵癌関連糖蛋白抗原,DU-PAN-2に関する研究I.酵素免疫測定法における基礎的検討および健常人の測定値の分布」、臨床病理、1986年,Vol.34,pp.705-710
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
DUPAN-2抗原は、膵癌及び胆道系癌などの癌マーカーとして用いられているため、より感度が高く、正確な測定ができる測定試薬及び測定キットが必要とされていた。
本発明の課題は、高感度で、正確な、試料中のDUPAN-2抗原の測定方法、測定試薬及び測定キットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、水性媒体中で、アルキレンオキシド誘導体の存在下で、試料中のDUPAN-2抗原を、DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子と反応させるラテックス凝集免疫測定方法により、高感度で、正確な、DUPAN-2抗原の測定が可能となる、という知見を見出し、本開示内容の発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本開示は一態様において以下を提供する。
[1] 水性媒体中で、アルキレンオキシド誘導体の存在下で、試料中のDUPAN-2抗原を、DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子と反応させる、試料中のDUPAN-2抗原のラテックス凝集免疫測定方法。
【0010】
[2] (1)DUPAN-2抗原を含む試料を、水性媒体と混合する工程;及び(2)水性媒体中で、試料中のDUPAN-2抗原を、DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子と反応させる工程、
を含み、工程(1)及び/又は(2)がアルキレンオキシド誘導体の存在下で行われる、試料中のDUPAN-2抗原のラテックス凝集免疫測定方法。
【0011】
[3] (1)DUPAN-2抗原を含む試料を、水性媒体を混合する工程;並びに
(2)水性媒体中で、試料中のDUPAN-2抗原を、DUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子、及び、DUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子と反応させる工程、
を含み、工程(1)及び/又は(2)がアルキレンオキシド誘導体の存在下で行われる、試料中のDUPAN-2抗原のラテックス凝集免疫測定方法。
[4] アルキレンオキシド誘導体の濃度が0.0002%(w/v)~20%(w/v)である、[1]~[3]のいずれか1に記載の方法。
[5] アルキレンオキシド誘導体の濃度が0.01%(w/v)~3%(w/v)である、[1]~[3]のいずれか1に記載の方法。
[6] アルキレンオキシド誘導体がポリオキシエチレン誘導体又はポリオキシプロピレン誘導体である、[1]~[5]のいずれか1に記載の方法。
[7] ポリオキシエチレン誘導体が、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレン多環フェニルエーテルからなる群より選択される少なくとも1つである、[6]に記載の方法。
[8] ポリオキシプロピレン誘導体が、ポリプロピレングリコールである[6]に記載の方法。
[9] ポリプロピレングリコールが、ジプロピレングリコールである[8]に記載の方法。
【0012】
[10] DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子、及び、アルキレンオキシド誘導体を含む、試料中のDUPAN-2抗原のラテックス凝集免疫測定試薬。
【0013】
[11] DUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子、DUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子、及び、アルキレンオキシド誘導体を含む、試料中のDUPAN-2抗原のラテックス凝集免疫測定試薬。
[12] アルキレンオキシド誘導体の濃度が0.01%(w/v)~3%(w/v)である、[10]又は[11]に記載の試薬。
[13] アルキレンオキシド誘導体がポリオキシエチレン誘導体又はポリオキシプロピレン誘導体である、[10]~[12]のいずれか1に記載の試薬。
[14] ポリオキシエチレン誘導体が、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレン多環フェニルエーテルからなる群より選択される少なくとも1つである、[13]に記載の試薬。
[15] ポリオキシプロピレン誘導体が、ポリプロピレングリコールである[13]に記載の試薬。
[16] ポリプロピレングリコールが、ジプロピレングリコールである[15]に記載の試薬。
【0014】
[17] 水性媒体を含む第1試薬と、DUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子、及び、DUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子を含む第2試薬と、を含み、当該第1試薬及び/又は当該第2試薬にアルキレンオキシド誘導体を含む、試料中のDUPAN-2抗原のラテックス凝集免疫測定キット。
[18] アルキレンオキシド誘導体の濃度が0.01%(w/v)~3%(w/v)である、[17]に記載のキット。
[19] アルキレンオキシド誘導体がポリオキシエチレン誘導体又はポリオキシプロピレン誘導体である、[17]又は[18]に記載のキット。
[20] ポリオキシエチレン誘導体が、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレン多環フェニルエーテルからなる群より選択される少なくとも1つである、[19]に記載のキット。
[21] ポリオキシプロピレン誘導体が、ポリプロピレングリコールである[19]に記載のキット。
[22] ポリプロピレングリコールが、ジプロピレングリコールである[21]に記載のキット。
【0015】
[23] 水性媒体中で、アルキレンオキシド誘導体の存在下で、試料中のDUPAN-2抗原を、DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子と反応させる、試料中のDUPAN-2抗原のラテックス凝集免疫測定方法におけるマトリックス効果を抑制する方法。
【0016】
[24] (1)DUPAN-2抗原を含む試料を、水性媒体と混合する工程;及び(2)水性媒体中で、試料中のDUPAN-2抗原を、DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子と反応させる工程、
を含み、工程(1)及び/又は(2)がアルキレンオキシド誘導体の存在下で行われる、試料中のDUPAN-2抗原のラテックス凝集免疫測定方法におけるマトリックス効果を抑制する方法。
[25] マトリックス効果が、生体試料に含まれる脂質、フィブリン及び脂溶性の低分子化合物からなる群より選択される少なくとも1つの夾雑物に起因する非特異反応である、[23]又は[24]に記載の方法。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、高感度で、正確な、試料中のDUPAN-2抗原の測定方法、測定試薬及び測定キットを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示を実施するための形態ついて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本開示の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより開示の範囲が狭く解釈されることはない。
なお、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。また、溶液中の各成分の量は、溶液中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、反応中又は試薬中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
【0019】
本開示において、「%(w/v)」とは、体積(100mL)を基準とする質量(g)の百分率を意味する。
【0020】
本開示において、抗体とDUPAN-2抗原とが「結合する」、「反応する」、あるいは抗体がDUPAN-2抗原を「認識する」と表現する場合、本開示の分野で通常使用される意味を含み、いずれも同義で用いる。抗体とDUPAN-2抗原とが「結合する」ことを確認する方法としては、当業者に周知の抗原固相化ELISA法、競合ELISA法、サンドイッチELISA法、表面プラズモン共鳴法、免疫クロマトグラフィー法、水晶振動子マイクロバランス法等の原理を利用した方法などにより行うことができる。
【0021】
「水性媒体」
本開示における水性媒体としては、脱イオン水、蒸留水、緩衝液等が挙げられ、緩衝液が好ましい。緩衝液の調製に使用される緩衝剤としては、酢酸緩衝液、グッド緩衝剤等が挙げられる。緩衝剤は、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
水性媒体には、塩類、金属イオン、糖類、蛋白質、界面活性剤等が含有されてもよい。
塩類としては、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等が挙げられる。金属イオンとしては、ナトリウムイオン、マグネシウムイオン、マンガンイオン、亜鉛イオン等が挙げられる。糖類としては、マンニトール、ソルビトール等が挙げられる。蛋白質としては、ウシ血清アルブミン(以下、BSAと記す)等が挙げられる。界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
【0022】
「試料」
本開示における試料としては、DUPAN-2抗原を含有する可能性がある試料であれば特に制限はなく、全血、血漿、血清、尿、腹水、髄液、唾液、羊水、尿、汗及び膵液からなる群から選択されるいずれか1以上の生体試料等が挙げられ、好ましくは全血、血漿、血清、腹水等が挙げられる。また、ヒト膵癌培養細胞HPAFの細胞可溶化物(cell lysate)、ヒト膵癌培養細胞HPAFを培養した際に得られる培養上清であってもよい。
本開示における試料は、DUPAN-2抗原を含む水性媒体であってもよく、例えば、リン酸緩衝化生理食塩水(0.15mol/Lの塩化ナトリウムを含有する10mmol/Lリン酸緩衝液、pH7.2、以下、PBSと記す)等で希釈されたDUPAN-2抗原が挙げられる。水性媒体に含まれるDUPAN-2抗原は、上記生体試料、上記細胞可溶化物、又は上記培養上清から精製されたDUPAN-2抗原等を用いることができる。
【0023】
「ラテックス凝集免疫測定方法」
本開示において、ラテックス凝集免疫測定方法は、水性媒体中で、DUPAN-2抗原を含む試料と、DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子と、を反応させ、DUPAN-2抗原と、DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子と、を含む複合体を形成させ、ラテックス粒子を選択的に凝集させる方法であり得る。当該凝集は、吸光度や散乱光等を測定することにより検出することができる。
【0024】
「ラテックス粒子」
本開示において、ラテックス粒子としては、本開示のDUPAN-2抗原の測定方法を可能とし、又は本開示の測定試薬若しくは測定キットに使用可能なラテックス粒子であれば特に制限はなく、例えば、有機高分子物質の微粒子、無機酸化物の微粒子、核となる上記微粒子の表面を有機物等で表面処理した微粒子等が挙げられる。具体的には、例えば、ポリスチレン、スチレンを主成分とする共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、(メタ)アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート等の合成樹脂等が挙げられる。上記ラテックス粒子は、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。これらの中でも、特にポリスチレン系の合成高分子、電荷を与える為に成分としてアクリル酸系のモノマー、スルホン酸を有するモノマー等を共重合したポリスチレン系の合成高分子が好ましい。
【0025】
上記ラテックス粒子は、ポリスチレンラテックス粒子が特に好ましく用いられる。ポリスチレンラテックス粒子等の表面の疎水性が強いラテックスを用いると、タンパク質やペプチドの吸着をスムーズにすることができる。また、乳化剤として界面活性剤を用いないソープフリー重合によって得られるポリスチレンラテックス粒子は、表面の負電荷同士の反発に基づき、界面活性剤なしでも安定に存在できるので特に好ましい。その他、種々の変性ラテックス(例えば、カルボン酸変性ラテックス)、磁性ラテックス(磁性粒子を内包させたラテックス)等を必要に応じて用いることもできる。
【0026】
上記ラテックス粒子の形状としては、特に制限はなく、例えば、球状、楕円上、凹凸形状等が挙げられる。平均粒径(D50)としては、例えば、0.03~0.8μm、0.05~0.4μm、0.1~0.35μmであってもよい。平均粒径(D50)は、例えば、レーザー回折式粒度分布計にて測定することができる。平均粒径(D50)は、粒度分布における積算値50%(体積基準)での粒径を平均粒径とする。
【0027】
「DUPAN-2抗原」
本開示におけるDUPAN-2抗原は、モノクローナル抗体「DUPAN-2」(Metzgarら、“Antigens of Human Pancreatic Adenocarcinoma Cells Defined by Murine Monoclonal Antibodies”、CANCER RESEARCH(1982),42:601-608)が結合するムチン様タンパク質(糖タンパク質)、モノクローナル抗体「DUPAN-2」が結合する糖鎖、又は当該糖鎖を含むペプチドをいう。具体的には、DUPAN-2抗原は、モノクローナル抗体「DUPAN-2」が結合すると報告されているシアリルルイスC糖鎖(Kawaら、“Epitope Analysis of Span-1 and DUPAN-2 using Synthesized Glycoconjugates Sialyllact-N-Fucopentaose II and Sialyllact-N-Tetraose”、Pancreas (1994),9(6):692-697)、当該糖鎖を有するタンパク質、又は当該糖鎖を有するペプチドをいう。DUPAN-2抗原は、ヒト膵癌患者の腹水、又はヒト膵癌培養細胞HPAFの培養上清に含まれるDUPAN-2抗原を使用することができる。ヒト膵癌培養細胞HPAFは、「HPAF-II」という名称でATCC(American Type Culture Collection)から入手することができる。
【0028】
「DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片」
本開示において、DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片(DUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片、及び、DUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片を含む)とは、DUPAN-2抗原のシアリルルイスCを認識し、DUPAN-2抗原に結合することができる抗体をいう。
一実施形態において、DUPAN-2抗原に結合する抗体又はその抗体断片は、国際公開第2019/189874号パンフレットに開示される、
下記糖鎖構造を有するDUPAN-2抗原
【0029】
【化1】
【0030】
と反応し、かつ、
下記糖鎖構造を有するNCC-ST-439抗原
【0031】
【化2】
【0032】
と反応しない抗体又はその抗体断片であってよく、上記NCC-ST-439抗原に対する反応性が上記DUPAN-2抗原に対する反応性の10%未満である抗体又はその抗体断片であってよく、上記NCC-ST-439抗原に対する反応性が上記DUPAN-2抗原に対する反応性の1%未満である抗体又はその抗体断片であってよく、また、これらの抗体はラット抗体であってよい。
【0033】
DUPAN-2抗原を認識する抗体は、マウス抗体、ラット抗体、ウサギ抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体若しくはキメラ抗体であってよく、又は他の種由来抗体であってもよい。また、DUPAN-2抗原を認識する抗体は、免疫グロブリン分子の任意のクラス(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD及びIgA)、任意のサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)であり得る。
【0034】
DUPAN-2抗原を認識する抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、二量体、多量体等が挙げられ、均質性及び安定性の観点からはモノクローナル抗体が好ましい。
【0035】
本開示において、抗体断片とは、上記DUPAN-2抗原を認識する抗体の一部であって、抗体の可変ドメインを含むか、少なくとも抗原結合領域を含むものをいう。本開示における抗体断片としては、例えばFab、Fab’、F(ab’)、Fv断片、線状抗体、一本鎖抗体(scFv)、sc(Fv)、Fab、ドメイン抗体(dAb)、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ及びミニボディが挙げられる。「Fv断片」は最小の抗体断片であり、完全な抗原認識領域と抗原結合領域を含む。
【0036】
本開示のDUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片と、DUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片とは、それぞれの抗体が結合するDUPAN-2抗原の部位(エピトープ)は同じであっても、異なっていてもよい。また、DUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片と、DUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片とは同一の抗体であってもよいし、異なる抗体であってもよい。
【0037】
本開示におけるDUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片は、DUPAN-2抗原、又はDUPAN-2抗原を産生する癌細胞を免疫原として用いて、通常の抗体の作製方法により取得することができる。例えば、上記免疫原を動物に免疫することで得られる抗体産生細胞と、ミエローマ細胞とを融合した細胞(ハイブリドーマ)を作製し、上記ハイブリドーマが産生するモノクローナル抗体を得ることにより取得することができる。DUPAN-2抗原を認識するモノクローナル抗体としては、前述のモノクローナル抗体「DUPAN-2」(Metzgarら、“Antigens of Human Pancreatic Adenocarcinoma Cells Defined by Murine Monoclonal Antibodies”、CANCER RESEARCH(1982),42:601-608)等が挙げられる。なお、本開示において、当該モノクローナル抗体DUPAN-2を「DUPAN-2抗体」とも記載する。
【0038】
「DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子」
本開示において、DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子とは、ラテックス粒子に、DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片(後述の、DUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片、及び、DUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片を含む)が結合しているラテックス粒子をいう。
【0039】
DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片の、ラテックス粒子への結合方法としては、本開示のDUPAN-2抗原の測定方法を可能とし、又は、本開示の測定試薬若しくは測定キットに使用可能な結合方法であれば特に制限はなく、物理吸着による結合、化学結合による結合等が挙げられる。物理吸着としては、静電的結合、水素結合、疎水結合等が挙げられる。化学結合としては、共有結合、配位結合等が挙げられる。
【0040】
DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片は、前述の物理吸着及び/又は化学結合を利用して、直接、ラテックス粒子に結合させてもよいし、間接的にラテックス粒子に結合させてもよい。間接的な結合方法としては、ビオチンとアビジン類(アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン等)等の一組の親和性物質の特異的結合を利用して、DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片をラテックス粒子に結合する方法、リンカーを介した共有結合によりラテックス粒子に結合する方法等が挙げられる。
【0041】
一組の親和性物質を用いる場合、一組の親和性物質の一方(A)が結合したDUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片と、一組の親和性物質の他方(a)が結合したラテックス粒子とを、結合させることにより、DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子を生成させることができる。
【0042】
A-aの組み合わせとしては、以下の組み合わせ等が挙げられる。
・ビオチンとアビジン類(アビジン、ニュートラアビジン、ストレプトアビジン等)との組み合わせ;
・アビジン類(アビジン、ニュートラアビジン、ストレプトアビジン等)とビオチンとの組み合わせ;
・DUPAN-2抗原を認識する抗体のFc領域と、Fc領域と結合する抗体との組み合わせ。
【0043】
リンカーとしては、ラテックス粒子表面の官能基と、DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が有する官能基との両者を共有結合できる分子等が挙げられ、例えば、DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が有する官能基と反応することができる第1の反応活性基と、ラテックス粒子表面の官能基と反応することができる第2の反応活性基とを同時に持つ分子であって、第1の反応活性基と第2の反応活性基とが異なる基である分子が好ましく用いられる。
DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が有する官能基、及びラテックス粒子がその表面に保持している官能基としては、カルボキシル基、アミノ基、グリシジル基、スルフヒドリル基、水酸基、アミド基、イミノ基、N-ヒドロキシサクシニル基、マレイミド基等が挙げられる。リンカーにおける反応活性基としては、アリルアジド、カルボジイミド、ヒドラジド、アルデヒド、ヒドロキシメチルホスフィン、イミドエステル、イソシアネート、マレイミド、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、ペンタフルオロフェニル(PFP)エステル、ソラレン、ピリジルジスルフィド、ビニルスルホン等の基が挙げられる。
【0044】
「アルキレンオキシド誘導体」
本開示おいて、アルキレンオキシド誘導体とは、本開示のDUPAN-2抗原の測定方法を可能とし、又は本開示の測定試薬若しくは測定キットに使用可能なアルキレンオキシド誘導体であれば特に制限はなく、例えば、ポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシプロピレン誘導体等が挙げられる。
アルキレンオキシド誘導体の存在下でDUPAN-2抗原の測定を行うと、DUPAN-2抗原の検出感度が向上する。また、アルキレンオキシド誘導体の存在下でDUPAN-2抗原の測定を行うと、非特異反応を抑制することができる。
【0045】
本開示おいて、ポリオキシエチレン誘導体としては、本開示のDUPAN-2抗原の測定方法を可能とし、又は、本開示の測定試薬若しくは測定キットに使用可能なポリオキシエチレン誘導体であれば特に制限はなく、例えば、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル等が挙げられる。
【0046】
ポリエチレングリコールとしては、例えば数平均分子量100~25,000のポリエチレングリコール等が挙げられ、数平均分子量200~20,000のポリエチレングリコールが好ましく、数平均分子量6,000~20,000のポリエチレングリコールが特に好ましい。ポリエチレングリコールは、ジオール型であっても、トリオール型であってもよい。
ジオール型のポリエチレングリコールの市販品としては、例えば、ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール1,000、ポリエチレングリコール2,000、ポリエチレングリコール4,000、ポリエチレングリコール6,000、ポリエチレングリコール10,000、ポリエチレングリコール20,000(以上、富士フイルム和光純薬株式会社製)等が挙げられ、トリオール型のポリエチレングリコールの市販品としては、例えば、ユニオックス(登録商標)G-450、ユニオックス(登録商標)G-750(以上、日油株式会社製)等が挙げられる。
なお、本開示において、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリエチレンオキシドを用いた検量線から換算した値である。標準ポリエチレンオキシドとしては、例えば、TSKgel標準ポリエチレンオキシド(東ソー株式会社製)が挙げられる。
【0047】
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルにおける脂肪酸としては、例えば炭素数8~24の飽和又は不飽和脂肪酸が挙げられ、炭素数12~18の飽和又は不飽和脂肪酸が好ましい。炭素数8~24の飽和又は不飽和脂肪酸としては、例えばオクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコサトリエン酸、アラキドン酸、イコサン酸、エイコサテトラエン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサン酸、ドコサヘキサエン酸、テトラドコサン酸、テトラコサペンタエン酸等が挙げられる。炭素数12~18の飽和又は不飽和脂肪酸としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート等が挙げられる。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの市販品としては、例えばTween(登録商標)20(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート)(シグマアルドリッチジャパン合同会社製)、Tween(登録商標)40(ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート)(富士フイルム和光純薬株式会社製)、Tween(登録商標)60(ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート)(シグマアルドリッチジャパン合同会社製)、Tween(登録商標)80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)(富士フイルム和光純薬株式会社製)、レオドール(登録商標)TW-L106(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート)、レオドール(登録商標)TW-L120(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート)、レオドール(登録商標)TW-O106V(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)、レオドール(登録商標)TW-O120V(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)、レオドール(登録商標)TW-P120(ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート)、レオドール(登録商標)TW-S106V(ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート)、レオドール(登録商標)TW-S120V(ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート)(以上、花王株式会社製)、BLAUNON(登録商標)OT-106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)、BLAUNON(登録商標)OT-21(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)(以上、青木油脂工業株式会社製)、ニューコール(登録商標)25(ポリオキシエチレンソルビタンラウレート)、ニューコール(登録商標)65(ポリオキシエチレンソルビタンステアレート)、ニューコール(登録商標)85(ポリオキシエチレンソルビタンオレエート)(以上、日本乳化剤株式会社製)等が挙げられる。
【0048】
ポリオキシエチレン脂肪酸エステルにおける脂肪酸としては、例えば炭素数8~24の飽和又は不飽和脂肪酸が挙げられ、炭素数12~18の飽和又は不飽和脂肪酸が好ましい。炭素数8~24の飽和又は不飽和脂肪酸としては、例えばオクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコサトリエン酸、アラキドン酸、イコサン酸、エイコサテトラエン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサン酸、ドコサヘキサエン酸、テトラドコサン酸、テトラコサペンタエン酸等が挙げられる。炭素数12~18の飽和又は不飽和脂肪酸としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。ポリオキシエチレン脂肪酸エステルとしては、例えばポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンジステアレート等が挙げられる。ポリオキシエチレン脂肪酸エステルの市販品としては、例えばエマノーン(登録商標)1112(ポリオキシエチレンモノラウレート)、エマノーン(登録商標)4110(ポリオキシエチレンモノオレエート)、エマノーン(登録商標)3199V(ポリオキシエチレンモノステアレエート)、エマノーン(登録商標)3299V(ポリオキシエチレンジステアレエート)(以上、花王株式会社製)、BLAUNON(登録商標)L-400(ポリオキシエチレンモノラウレート)、BLAUNON(登録商標)S-300A(ポリオキシエチレンモノステアレート)、BLAUNON(登録商標)O-600SA(ポリオキシエチレンモノオレエート)(以上、青木油脂工業株式会社製)等が挙げられる
【0049】
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルにおけるアルキルとしては、例えば炭素数8~9のアルキル等が挙げられる。炭素数8~9のアルキルとしては、例えばオクチル、ノニル等が挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの市販品としては、例えばトリトン(登録商標)X-100(ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル)(シグマアルドリッチジャパン合同会社製)、エマルゲン(登録商標)810(ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル)、エマルゲン(登録商標)910、エマルゲン(登録商標)930(以上、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)(以上、花王株式会社製)、ニッコール(登録商標)OP-10(ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル)、ニッコール(登録商標)NP-10(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)(以上、日光ケミカルズ株式会社製)、ノニオンHS-210、ノニオンHS-215、ノニオンHS-220(以上、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル)、ノニオンNS-210、ノニオンNS-215、ノニオンNS-220(以上、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)(以上、日油株式会社製)、BLAUNON(登録商標)NK-810(青木油脂工業株式会社製)等が挙げられる。
【0050】
ポリオキシエチレンアルキルアミンにおけるアルキルとしては、例えば炭素数8~24のアルキルが挙げられ、炭素数10~20のアルキルが好ましい。炭素数8~24のアルキルとしては、例えばオクチル、イソオクチル、ノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル(ラウリル)、トリデシル、テトラデシル(ミリスチル)、ペンタデシル、ヘキサデシル(セチル)、ヘプタデシル、オクタデシル(ステアリル)、オレイル、ノナデシル、イコシル、ヘネイコシル、ドコシル(ベヘニル)、トリコシル、テトラコシル等が挙げられる。炭素数10~20のアルキルとしては、例えばデシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル(ラウリル)、トリデシル、テトラデシル(ミリスチル)、ペンタデシル、ヘキサデシル(セチル)、ヘプタデシル、オクタデシル(ステアリル)、オレイル、ノナデシル、イコシル等が挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルアミンの市販品としては、例えばナイミーン(登録商標)L-201(オキシエチレンドデシルアミン;日油株式会社製)、ナイミーン(登録商標)L-202、ナイミーン(登録商標)L-207、ナイミーン(登録商標)L-215(以上、ポリオキシエチレンドデシルアミン;日油株式会社製)、アミート(登録商標)102、アミート(登録商標)105(以上、ポリオキシエチレンドデシルアミン;花王株式会社製)、ナイミーン(登録商標)S-202、ナイミーン(登録商標)S-204、ナイミーン(登録商標)S-210、ナイミーン(登録商標)S-215、ナイミーン(登録商標)S-220(以上、ポリオキシエチレンオクタデシルアミン;日油株式会社製)、ナイミーン(登録商標)T2-202、ナイミーン(登録商標)T2-210、ナイミーン(登録商標)T2-230[以上、ポリオキシエチレンアルキル(牛脂)アミン;日油株式会社製]、ナイミーン(登録商標)F-202、ナイミーン(登録商標)F-203、ナイミーン(登録商標)F-205、ナイミーン(登録商標)F-210、ナイミーン(登録商標)F-215[以上、ポリオキシエチレンアルキル(ヤシ油)アミン;日油株式会社製]、ブラウノン(登録商標)L-202、ブラウノン(登録商標)L-205、ブラウノン(登録商標)L-207、ブラウノン(登録商標)L-210、ブラウノン(登録商標)L-230(以上、ポリオキシエチレンドデシルアミン;青木油脂工業株式会社製)、ブラウノン(登録商標)S-207、ブラウノン(登録商標)S-210、ブラウノン(登録商標)S-215、ブラウノン(登録商標)S-220、ブラウノン(登録商標)S-230(以上、ポリオキシエチレンオクタデシルアミン;青木油脂工業株式会社製)、ブラウノン(登録商標)S-205T、ブラウノン(登録商標)S-208T、ブラウノン(登録商標)S-210T、ブラウノン(登録商標)S-215T、ブラウノン(登録商標)S-230T[以上、ポリオキシエチレンアルキル(牛脂)アミン;青木油脂工業株式会社製]、ニューコール(登録商標)OD420(ポリオキシエチレンオクタデシルアミン;日本乳化剤株式会社製)、パイオニンD3104(ポリオキシエチレンドデシルアミン;竹本油脂株式会社製)、パイオニンD3110(ポリオキシエチレンドデシルアミン;竹本油脂株式会社製)、パイオニンD3605[ポリオキシエチレンアルキル(大豆)アミン;竹本油脂株式会社製]、パイオニンD3615T[ポリオキシエチレンアルキル(牛脂)アミン;竹本油脂株式会社製]、BLAUNON O209(ポリオキシエチレンオレイルアミン;青木油脂工業株式会社製)等が挙げられる。
【0051】
ポリオキシエチレンアルキルエーテルにおけるアルキルとしては、例えば炭素数8~24のアルキルが挙げられ、これらの中では炭素数10~20のアルキルが好ましい。炭素数8~24のアルキルとしては、例えばオクチル、イソオクチル、ノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル(ラウリル)、トリデシル、テトラデシル(ミリスチル)、ペンタデシル、ヘキサデシル(セチル)、ヘプタデシル、オクタデシル(ステアリル)、オレイル、ノナデシル、イコシル、ヘネイコシル、ドコシル(ベヘニル)、トリコシル、テトラコシル等が挙げられる。炭素数10~20のアルキルとしては、例えばデシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル(ラウリル)、トリデシル、テトラデシル(ミリスチル)、ペンタデシル、ヘキサデシル(セチル)、ヘプタデシル、オクタデシル(ステアリル)、オレイル、ノナデシル、イコシル等が挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルエーテルの市販品としては、例えばBrij(登録商標)35(ポリオキシエチレンラウリルエーテル)、Brij(登録商標)99(ポリオキシエチレンオレイルエーテル)、Brij(登録商標)56(ポリオキシエチレンセチルエーテル)、Brij(登録商標)78(ポリオキシエチレンステアリルエーテル)(以上、シグマアルドリッチジャパン合同会社製)、ニッコール(登録商標)BC-23(ポリオキシエチレンセチルエーテル)(日光ケミカルズ株式会社製)、ノニオンP-210、ノニオンP-213(以上、ポリオキシエチレンセチルエーテル)、ノニオンK-220(ポリオキシエチレンラウリルエーテル)、ノニオンE-205、ノニオンE-215、ノニオンE-230(以上、ポリオキシエチレンオレイルエーテル)、ノニオンS-215、ノニオンS-220(以上、ポリオキシエチレンステアリルエーテル)(以上、日油株式会社製)、エマルゲン(登録商標)120(ポリオキシエチレンラウリルエーテル)、エマルゲン(登録商標)220(ポリオキシエチレンセチルエーテル)、エマルゲン(登録商標)320P(ポリオキシエチレンステアリルエーテル)、エマルゲン(登録商標)420(ポリオキシエチレンオレイルエーテル)(以上、花王株式会社製)、アデカトールLA-875、アデカトールLA-975(以上、ポリオキシエチレンラウリルエーテル)(以上、株式会社ADEKA製)、エマルミンNL-100、エマルミンNL-110、エマルミンLS-80、エマルミンLS-90、(以上、ポリオキシエチレンラウリルエーテル)(以上、三洋化成工業株式会社製)、BLAUNON(登録商標)EL-1509、BLAUNON(登録商標)EL-1512P、BLAUNON(登録商標)EL-1515、BLAUNON(登録商標)EL-1521(以上、ポリオキシエチレンラウリルエーテル)、BLAUNON(登録商標)CH-310、BLAUNON(登録商標)CH-310L、BLAUNON(登録商標)CH-313(以上、ポリオキシエチレンセチルエーテル)、BLAUNON(登録商標)SR-711(ポリオキシエチレンステアリルエーテル)(以上、青木油脂工業株式会社製)、ノイゲンSD-70、ノイゲンSD-80、ノイゲンSD-110、ノイゲンSD-150(以上、ポリオキシエチレンイソデシルエーテル)、ノイゲンTDS-80、ノイゲンTDS-100、ノイゲンTDS-200D(以上、ポリオキシエチレントリデシルエーテル)(第一工業製薬株式会社製)等が挙げられる。
【0052】
ポリオキシエチレン多環フェニルエーテルにおける多環フェニルとは、基内に1つの芳香環を有する基(置換基)が2つ以上置換したフェニル基、基内に2つ以上の芳香環を有する基(置換基)が1つ又は複数置換したフェニル基等が挙げられる。基内に1つの芳香環を有する基としては、例えばベンジル、1-(フェニル)エチル等が挙げられる。基内に2つ以上の芳香環を有する基としては、例えばナフチル等が挙げられる。ポリオキシエチレン多環フェニルエーテルの市販品としては、例えばニューコール(登録商標)704、ニューコール(登録商標)706、ニューコール(登録商標)707、ニューコール(登録商標)708、ニューコール(登録商標)709、ニューコール(登録商標)710、ニューコール(登録商標)711、ニューコール(登録商標)712、ニューコール(登録商標)714、ニューコール(登録商標)740、ニューコール(登録商標)610、ニューコール(登録商標)2607、ニューコール(登録商標)2609、ニューコール(登録商標)2614(以上、日本乳化剤株式会社製)等が挙げられる。
【0053】
本開示おいて、ポリオキシプロピレン誘導体としては、本開示のDUPAN-2抗原の測定方法を可能とし、又は本開示の測定試薬若しくは測定キットに使用可能なポリオキシプロピレン誘導体であれば特に制限はなく、例えば、ポリプロピレングリコール、前述のポリオキシエチレン誘導体とポリプロピレングリコールとの重合体等が挙げられる。
【0054】
ポリプロピレングリコールとしては、例えば数平均分子量100~10,000のポリプロピレングリコール等が挙げられ、数平均分子量110~5,000のポリプロピレングリコールが好ましく、数平均分子量130~1,000のポリプロピレングリコールが特に好ましい。ポリプロピレングリコールは、ジオール型であっても、トリオール型であってもよい。
ジオール型のポリプロピレングリコールの市販品としては、例えば、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール(以上、東京化成工業株式会社製)、ユニオール(登録商標)D-250、ユニオール(登録商標)D-1000、ユニオール(登録商標)D-2000、ユニオール(登録商標)D-4000(以上、日油株式会社製)等が挙げられ、トリオール型のポリプロピレングリコールの市販品としては、例えば、ユニオール(登録商標)TG-330、ユニオール(登録商標)TG-1000R、ユニオール(登録商標)TG-3000、ユニオール(登録商標)TG-4000(以上、日油株式会社製)等が挙げられる。
【0055】
「非特異反応」
ラテックス凝集免疫測定方法において、生体試料中の夾雑物に起因する非特異反応が生じ、正確な測定値が得られないことがある。生体試料中の夾雑物に起因する非特異反応のことをマトリックス効果ともいう。
非特異反応を生じさせる夾雑物としては、脂質、フィブリン、脂溶性の低分子化合物(分子量500以下)等が挙げられる。
【0056】
生体試料から夾雑物は公知の方法により取り除くこと可能である。脂質については、例えばシリカに脂質を吸着させることで除去することができる。フィブリンについては、生体試料を遠心分離することでフィブリンを沈降させて上清のみを回収することができる。遠心分離の前に、生体試料に、フィブリン生成促進剤(例えば、カルシウムイオン及び/又はウシトロンビン)を添加してフィブリンを生成させ、その後、上記遠心分離をすることもできる。脂溶性の低分子については、チャコール(活性炭)に脂溶性の低分子を吸着させることで除去することができる。
上記のように、生体試料を前処理することで夾雑物を除去し非特異反応を低減することは可能であるが、前処理操作は煩雑である。そこで、上記のような前処理操作無しに、非特異反応を低減できるラテックス凝集免疫測定方法が好ましい。
【0057】
「試料中のDUPAN-2抗原の測定方法」
本開示における試料中のDUPAN-2抗原のラテックス凝集免疫測定方法は、水性媒体中で、アルキレンオキシド誘導体の存在下で、試料中のDUPAN-2抗原を、DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子と反応させる、方法である。
【0058】
試料中のDUPAN-2抗原を、DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片と反応させる時間は、本開示のDUPAN-2抗原の測定方法を可能とする時間であれば特に制限はなく、例えば、10秒間以上、20秒間以上、30秒間以上、1分間以上、2分間以上、3分間以上、4分間以上、又は5分間以上であってよい。また、上記の反応時間は、例えば、1時間以下、50分間以下、40分間以下、30分間以下、20分間以下、10分間以下、9分間以下、7分間以下、又は6分間以下であってよい。
【0059】
上記の数値は自由に組み合わせることができる。例えば、上記の反応時間は、10秒間~1時間であってもよく、1分間~10分間であってもよく、3分間~6分間であってもよい。
【0060】
試料中のDUPAN-2抗原を、DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片と反応させる温度は、本開示のDUPAN-2抗原の測定方法を可能とする温度であれば特に制限はなく、0℃以上、4℃以上、10℃以上、15℃以上、20℃以上、25℃以上、又は30℃以上であってよく、50℃以下、45℃以下又は40℃以下であってよい。
【0061】
上記の数値は自由に組み合わせることができる。例えば、上記の反応温度は、4℃~50℃あってもよく、10℃~45℃であってもよく、25℃~40℃であってもよい。
【0062】
上記反応におけるDUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子の濃度は、本開示のDUPAN-2抗原の測定方法を可能とする濃度であれば特に制限はなく、例えば、0.001%(w/v)以上、0.003%(w/v)以上、0.005%(w/v)以上、0.01%(w/v)以上、0.011%(w/v)以上、0.012%(w/v)以上、又は0.013%(w/v)以上であってよい。また、上記反応におけるDUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子の濃度は、例えば、0.1%(w/v)以下、0.08%(w/v)以下、0.06%(w/v)以下、0.05%(w/v)以下、0.04%(w/v)以下、0.03%(w/v)以下、0.025%(w/v)以下、0.02%(w/v)以下、又は0.015%(w/v)以下であってよい。
【0063】
上記の数値は自由に組み合わせることができる。例えば、上記反応におけるDUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子の濃度は、0.001%(w/v)~0.1%(w/v)であってもよく、0.003%(w/v)~0.08%(w/v)であってもよく、0.005%(w/v)~0.05%(w/v)であってもよく、0.01%(w/v)~0.02%(w/v)であってもよい。
【0064】
上記反応におけるアルキレンオキシド誘導体の濃度としては、本開示のDUPAN-2抗原の測定方法を可能とする濃度であれば特に制限はなく、例えば、0.0002%(w/v)以上、0.0005%(w/v)以上、0.001%(w/v)以上、0.002%(w/v)以上、0.003%(w/v)以上、0.004%(w/v)以上、0.005%(w/v)以上、0.006%(w/v)以上、0.007%(w/v)以上、0.008%(w/v)以上、0.009%(w/v)以上、0.01%(w/v)以上、0.02%(w/v)以上、0.03%(w/v)以上、0.04%(w/v)以上、0.05%(w/v)以上、0.06%(w/v)以上、0.07%(w/v)以上、0.08%(w/v)以上、0.09%(w/v)以上、0.1%(w/v)以上、0.2%(w/v)以上、0.3%(w/v)以上、0.4%(w/v)以上、0.5%(w/v)以上、又は0.6%(w/v)以上であってよい。また、上記反応におけるアルキレンオキシド誘導体の濃度は、例えば、20%(w/v)以下、10%(w/v)以下、9%(w/v)以下、8%(w/v)以下、7%(w/v)以下、6%(w/v)以下、5%(w/v)以下、4%(w/v)以下、3%(w/v)以下、2%(w/v)以下、1%(w/v)以下、0.9%(w/v)以下、0.8%(w/v)以下、又は0.9%(w/v)以下であってよい。
【0065】
上記の数値は自由に組み合わせることができる。例えば、上記反応におけるアルキレンオキシド誘導体の濃度は、0.0002%(w/v)~20%(w/v)であってもよく、0.003%(w/v)~10%(w/v)であってもよく、0.01%(w/v)~3%(w/v)であってもよく、0.1%(w/v)~2%(w/v)であってもよい。
なお、上記反応において、1種類のアルキレンオキシド誘導体が存在していてもよいし、2種類以上のアルキレンオキシド誘導体が存在していてもよい。2種類以上のアルキレンオキシド誘導体が存在する場合、上記濃度は、当該2種類以上のアルキレンオキシド誘導体の濃度の合計を意味する。
【0066】
本開示における試料中のDUPAN-2抗原の測定方法の一つの態様は、
(1)DUPAN-2抗原を含む試料を、水性媒体と混合する工程;及び
(2)水性媒体中で、試料中のDUPAN-2抗原を、DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子と反応させる工程、
を含み、工程(1)及び/又は(2)がアルキレンオキシド誘導体の存在下で行われる、試料中のDUPAN-2抗原のラテックス凝集免疫測定方法である。
【0067】
本開示における測定方法は、上記工程(2)の後に、以下の工程(3)を含むこともできる。
(3)DUPAN-2抗原と、DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子との結合により生じる、ラテックス粒子の凝集を測定し、測定値を得る工程。
【0068】
<工程(1)>
工程(1)は、DUPAN-2抗原を含む試料を、水性媒体と混合する工程である。
工程(1)において、水性媒体にDUPAN-2抗原を含む試料を添加して混合させてもよいし、DUPAN-2抗原を含む試料に水性媒体を添加して混合させてもよい。
工程(1)における水性媒体としては、特に制限はなく、例えば前述の水性媒体が挙げられる。
【0069】
工程(1)は、アルキレンオキシド誘導体の存在下で行われてもよい。アルキレンオキシド誘導体としては、特に制限はなく、例えば前述のアルキレンオキシド誘導体が挙げられる。
工程(1)におけるアルキレンオキシド誘導体の濃度としては、本開示のDUPAN-2抗原の測定方法を可能とする濃度であれば特に制限はなく、例えば、0.0002%(w/v)以上、0.0003%(w/v)以上、0.0005%(w/v)以上、0.001%(w/v)以上、0.002%(w/v)以上、0.003%(w/v)以上、0.004%(w/v)以上、0.005%(w/v)以上、0.006%(w/v)以上、0.007%(w/v)以上、0.008%(w/v)以上、0.009%(w/v)以上、0.01%(w/v)以上、0.02%(w/v)以上、0.03%(w/v)以上、0.04%(w/v)以上、0.05%(w/v)以上、0.06%(w/v)以上、0.07%(w/v)以上、0.08%(w/v)以上、0.09%(w/v)以上、0.1%(w/v)以上、0.2%(w/v)以上、0.3%(w/v)以上、0.4%(w/v)以上、0.5%(w/v)以上、0.6%(w/v)以上、0.7%(w/v)以上、0.8%(w/v)以上、又は0.9%(w/v)以上であってよい。また、上記工程(1)におけるアルキレンオキシド誘導体の濃度は、例えば、20%(w/v)以下、10%(w/v)以下、9%(w/v)以下、8%(w/v)以下、7%(w/v)以下、6%(w/v)以下、5%(w/v)以下、4%(w/v)以下、3%(w/v)以下、2%(w/v)以下、又は1%(w/v)以下であってよい。
【0070】
上記の数値は自由に組み合わせることができる。例えば、上記工程(1)におけるアルキレンオキシド誘導体の濃度は、0.0002%(w/v)~20%(w/v)であってもよく、0.003%(w/v)~4%(w/v)であってもよく、0.01%(w/v)~3%(w/v)であってもよく、0.1%(w/v)~2%(w/v)であってもよい。
なお、上記工程(1)において、1種類のアルキレンオキシド誘導体が存在していてもよいし、2種類以上のアルキレンオキシド誘導体が存在していてもよい。2種類以上のアルキレンオキシド誘導体が存在する場合、上記濃度は、当該2種類以上のアルキレンオキシド誘導体の濃度の合計を意味する。
【0071】
工程(1)において、DUPAN-2抗原を含む試料を、水性媒体と混合した後、一定時間、一定温度で保持してもよい。
上記混合液を保持する時間は、本開示のDUPAN-2抗原の測定方法を可能とする時間であれば特に制限はなく、例えば、10秒間以上、20秒間以上、30秒間以上、1分間以上、2分間以上、3分間以上、4分間以上、又は5分間以上であってよく、1時間以下、50分間以下、40分間以下、30分間以下、20分間以下、10分間以下、9分間以下、7分間以下、又は6分間以下であってよい。
【0072】
上記の数値は自由に組み合わせることができる。例えば、記混合液を保持する時間は、10秒間~1時間であってもよく、1分間~10分間であってもよく、3分間~6分間であってもよい。
【0073】
上記混合液を保持する温度は、本開示のDUPAN-2抗原の測定方法を可能とする温度であれば特に制限はなく、0℃以上、4℃以上、10℃以上、15℃以上、20℃以上、25度以上、30℃以上、又は37℃以上であってよく、50℃以下、45℃以下又は40℃以下であってよい。
【0074】
上記の数値は自由に組み合わせることができる。例えば、記混合液を保持する温度は、4℃~50℃あってもよく、10℃~45℃であってもよく、25℃~40℃であってもよい。
【0075】
<工程(2)>
工程(2)は、水性媒体中で、試料中のDUPAN-2抗原を、DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子と反応させる工程である。工程(2)において、DUPAN-2抗原に、DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が反応し、DUPAN-2抗原と、DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子と、を含む複合体が生じる。
なお、生体試料中のDUPAN-2抗原は、エピトープを複数有する高分子(多価抗原)であるため、1種類の抗体を使用した場合であっても、DUPAN-2抗原と、DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子とを含む複合体が生じ得る。
【0076】
工程(2)において、DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子に、DUPAN-2抗原を添加して反応させてもよいし、DUPAN-2抗原に、DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子を添加して反応させてもよい。
【0077】
工程(2)において、1種類のDUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片ではなく、2種類以上のDUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片を使用してもよい。
2種類のDUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片を用いる場合、工程(2)を以下のように行うことができる。
(2A)水性媒体中で、試料中のDUPAN-2抗原を、DUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子、及び、DUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子と反応させること。
本開示における測定方法は、工程(2A)の後に、上記工程(3)を含むこともできる。
【0078】
工程(2A)において、DUPAN-2抗原に、DUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片と、DUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片とが反応し、DUPAN-2抗原と、DUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子と、DUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子とを含む複合体が生成する。
【0079】
工程(2A)において、DUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子におけるラテックス粒子と、DUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子におけるラテックス粒子とは、同じであっても異なっていてもよい。
【0080】
工程(2A)において、DUPAN-2抗原と、DUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子と、DUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子との反応は、DUPAN-2抗原と、DUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子と、DUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子とを含む複合体が生成する反応であれば特に制限はなく、例えば、DUPAN-2抗原に、DUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子を反応させ、DUPAN-2抗原と、DUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子とを含む複合体を生成させた後に、DUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子を添加して反応させてもよいし、DUPAN-2抗原に、DUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子と、DUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子と、を混合して反応させてもよい。
【0081】
DUPAN-2抗原に、DUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子と、DUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子と、を混合して反応させる場合、DUPAN-2抗原、DUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子、及びDUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子を添加する順番に制限はなく、例えば、DUPAN-2抗原に、DUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子、及びDUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子を添加してもよいし、DUPAN-2抗原に、DUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子を添加した後に、DUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子を添加してもよいし、DUPAN-2抗原を認識する第1抗体若しくはその抗体断片が結合したラテックス粒子と、DUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子と、を混合した後に、DUPAN-2抗原を添加してもよい。
【0082】
工程(2A)は、以下の工程(2A-1)と工程(2A-2)に分けて行ってもよい。
(2A-1)水性媒体中で、試料中のDUPAN-2抗原に、DUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子を反応させ、DUPAN-2抗原と、DUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子と、を含む複合体1を生成させる工程;及び
(2A-2)水性媒体中で、工程(1)で生成した複合体1に、DUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子を反応させ、DUPAN-2抗原と、DUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子と、DUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子と、を含む複合体2を生成させる工程。
本開示における測定方法は、工程(2A-2)の後に、上記工程(3)を含むこともできる。
【0083】
上記工程(2)、工程(2A)、工程(2A-1)又は工程(2A-2)において、水性媒体中で、ラテックス粒子に、DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片を結合させてもよい。DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片の、ラテックス粒子への結合方法としては、例えば前述の結合方法が挙げられる。
【0084】
上記工程(2)、工程(2A)、工程(2A-1)又は工程(2A-2)の反応時間は、本開示のDUPAN-2抗原の測定方法を可能とする時間であれば特に制限はなく、例えば、10秒間以上、20秒間以上、30秒間以上、1分間以上、2分間以上、3分間以上、4分間以上、又は5分間以上であってよく、1時間以下、50分間以下、40分間以下、30分間以下、20分間以下、10分間以下、9分間以下、7分間以下、又は6分間以下であってよい。
【0085】
上記の数値は自由に組み合わせることができる。例えば、上記工程(2)、工程(2A)、工程(2A-1)又は工程(2A-2)の反応時間は、10秒間~1時間であってもよく、1分間~10分間であってもよく、3分間~6分間であってもよい。
【0086】
上記工程(2)、工程(2A)、工程(2A-1)又は工程(2A-2)の反応温度は、本開示のDUPAN-2抗原の測定方法を可能とする温度であれば特に制限はなく、0℃以上、4℃以上、10℃以上、15℃以上、20℃以上、25度以上、30℃以上又は37℃以上であってよく、50℃以下、45℃以下又は40℃以下であってよい。
【0087】
前記の数値は自由に組み合わせることができる。例えば、記混合液を保持する温度は、4℃~50℃あってもよく、10℃~45℃であってもよく、25℃~40℃であってもよい。
【0088】
上記工程(2)、工程(2A)、工程(2A-1)又は工程(2A-2)における、DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子の濃度は、本開示のDUPAN-2抗原の測定方法を可能とする濃度であれば特に制限はなく、例えば、0.001%(w/v)以上、0.003%(w/v)以上、0.005%(w/v)以上、0.01%(w/v)以上、0.011%(w/v)以上、0.012%(w/v)以上、又は0.013%(w/v)以上であってよい。また、上記工程(2)、工程(2A)、工程(2A-1)又は工程(2A-2)における、DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子の濃度は、例えば、0.1%(w/v)以下、0.08%(w/v)以下、0.06%(w/v)以下、0.05%(w/v)以下、0.04%(w/v)以下、0.03%(w/v)以下、0.025%(w/v)以下、0.02%(w/v)以下、又は0.015%(w/v)以下であってよい。
【0089】
上記の数値は自由に組み合わせることができる。例えば、上記工程(2)、工程(2A)、工程(2A-1)又は工程(2A-2)における、DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子の濃度は、0.001%(w/v)~0.1%(w/v)であってもよく、0.003%(w/v)~0.08%(w/v)であってもよく、0.005%(w/v)~0.05%(w/v)であってもよく、0.01%(w/v)~0.02%(w/v)であってもよい。
【0090】
上記工程(2A)又は工程(2A-2)において、DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子の濃度は、DUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子の濃度と、DUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒の濃度の合計を意味する。
【0091】
上記工程(2)、工程(2A)、工程(2A-1)又は工程(2A-2)におけるアルキレンオキシド誘導体の濃度としては、本開示のDUPAN-2抗原の測定方法を可能とする濃度であれば特に制限はなく、例えば、0.0002%(w/v)以上、0.0003%(w/v)以上、0.0005%(w/v)以上、0.001%(w/v)以上、0.002%(w/v)以上、0.003%(w/v)以上、0.004%(w/v)以上、0.005%(w/v)以上、0.006%(w/v)以上、0.007%(w/v)以上、0.008%(w/v)以上、0.009%(w/v)以上、0.01%(w/v)以上、0.02%(w/v)以上、0.03%(w/v)以上、0.04%(w/v)以上、0.05%(w/v)以上、0.06%(w/v)以上、0.07%(w/v)以上、0.08%(w/v)以上、0.09%(w/v)以上、0.1%(w/v)以上、0.2%(w/v)以上、0.3%(w/v)以上、0.4%(w/v)以上、0.5%(w/v)以上、又は0.6%(w/v)以上であってよい。また、上記工程(2)、工程(2A)、工程(2A-1)又は工程(2A-2)におけるアルキレンオキシド誘導体の濃度は、例えば、20%(w/v)以下、10%(w/v)以下、9%(w/v)以下、8%(w/v)以下、7%(w/v)以下、6%(w/v)以下、5%(w/v)以下、4%(w/v)以下、3%(w/v)以下、2%(w/v)以下、1%(w/v)以下、0.9%(w/v)以下、又は0.8%(w/v)以下、又は0.7%(w/v)以下であってよい。
【0092】
上記の数値は自由に組み合わせることができる。例えば、上記工程(2)、工程(2A)、工程(2A-1)又は工程(2A-2)におけるアルキレンオキシド誘導体の濃度、0.0002%(w/v)~20%(w/v)であってもよく、0.003%(w/v)~10%(w/v)であってもよく、0.01%(w/v)~3%(w/v)であってもよく、0.1%(w/v)~2%(w/v)であってもよい。
なお、上記工程(2)、工程(2A)、工程(2A-1)又は工程(2A-2)において、1種類のアルキレンオキシド誘導体が存在していてもよいし、2種類以上のアルキレンオキシド誘導体が存在していてもよい。2種類以上のアルキレンオキシド誘導体が存在する場合、上記濃度は、当該2種類以上のアルキレンオキシド誘導体の濃度の合計を意味する。
【0093】
上記工程(2)、工程(2A)、工程(2A-1)又は工程(2A-2)は水性媒体中で行うことが好ましい。水性媒体としては、例えば前述の水性媒体が挙げられる。
また、上記工程(2)、工程(2A)、工程(2A-1)又は工程(2A-2)には、前述の塩類、糖類、蛋白質等が含有されてもよい。
【0094】
<工程(3)>
工程(3)は、上記工程(2)の複合体、上記工程(2A)の複合体、又は上記工程(2A-2)の複合体2の生成に伴うラテックス粒子の凝集を光学的手段により測定する工程である。凝集を光学的に測定する方法としては、吸光度、散乱光強度又は透過光強度を光学機器で測定する方法等が挙げられる。
【0095】
吸光度の測定波長は、通常は340nm~1000nm、好ましくは500nm~900nmで測定すればよい。ラテックス凝集反応を測光する時間は、ラテックス凝集反応が生じている時間を時間当たりの変化速度、あるいは一定時間の変化量によって測光することができる。例えば、吸光度を測定する場合、ラテックス凝集反応が始まってから30秒後から5分後の時間当たりの吸光度変化速度、あるいは一定時間の吸光度変化量によって測光することができる。反応温度は10~50℃であることが好ましく、20~40℃であることがより好ましい。反応時間は適宜決定することができ、例えば汎用自動分析機では10~15分間の反応時間で測定することができる。
【0096】
上記工程(3)の後に、以下の工程(4)及び工程(5)を行うことにより、試料中のDUPAN-2抗原の濃度を決定することもできる。
(4)試料として既知濃度のDUPAN-2抗原を用いて、上記工程(1)から(3)を行い、DUPAN-2抗原濃度と測定値との関係を表す検量線を作成する工程;
(5)工程(4)で作成された検量線と、工程(3)の測定により得られた測定値とから、試料中のDUPAN-2抗原の濃度を決定する工程。
【0097】
既知濃度のDUPAN-2抗原としては、ヒト膵癌患者の腹水由来のDUPAN-2抗原(以下、単に「腹水由来のDUPAN-2抗原」と記す)又はヒト膵癌培養細胞HPAF由来のDUPAN-2抗原をPBSで希釈したDUPAN-2抗原溶液等が挙げられる。既知濃度のDUPAN-2抗原について、複数の濃度を用意してもよい。
【0098】
既知濃度のDUPAN-2抗原におけるDUPAN-2抗原の濃度としては、DUPAN-2抗原の測定を可能とする濃度であれば特に限定はなく、例えば、1U/mL以上、2U/mL以上、3U/mL以上、4U/mL以上、5U/mL以上、6U/mL以上、7U/mL以上、8U/mL以上、9U/mL以上、10U/mL以上、12U/mL以上、14U/mL以上、16U/mL以上、18U/mL以上、20U/mL以上、22U/mL以上、24U/mL以上、26U/mL以上、28U/mL以上、30U/mL以上、32U/mL以上、34U/mL以上、36U/mL以上、38U/mL以上、40U/mL以上、42U/mL以上、44U/mL以上、46U/mL以上、48U/mL以上、50U/mL以上、60U/mL以上、70U/mL以上、80U/mL以上、90U/mL以上、又は100U/mL以上であってよい。また、既知濃度のDUPAN-2抗原におけるDUPAN-2抗原の濃度は、例えば、15000U/mL以下、14000U/mL以下、13000U/mL以下、12000U/mL以下、11000U/mL以下、10000U/mL以下、9000U/mL以下、8000U/mL以下、7000U/mL以下、6000U/mL以下、5000U/mL以下、4000U/mL以下、3000U/mL以下、2000U/mL以下、1800U/mL以下、1600U/mL以下、1400U/mL以下、1200U/mL以下、1100U/mL以下、1000U/mL以下、900U/mL以下、800U/mL以下、700U/mL以下、600U/mL以下、500U/mL以下、400U/mL以下、350U/mL以下、300U/mL以下、又は200U/mL以下であってよい。
なお、DUPAN-2抗原の濃度単位「U/mL」について、「特定の膵癌患者の血清を競合ラジオイムノアッセイ法により測定した場合の、当該血清に含まれるDUPAN-2抗原の濃度を1000U/mLする」と定義される(Metzgarら、“Detection of a pancreatic cancer-associated antigen (DU-PAN-2 antigen) in serum and ascites of patients with adenocarcinoma”、Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America、1984年,Vol.81,pp.5242-5246)。
【0099】
上記の数値は自由に組み合わせることができる。例えば、10U/mL~10000UmLであってよく、20U/mL~5000UmLであってよく、40U/mL~1600UmLであってよく、40U/mL~400UmLであってよく、40U/mL~350UmLであってよい。
【0100】
「生体試料中の夾雑物に起因する非特異反応の抑制方法」
本開示の試料中のDUPAN-2抗原の測定方法を行うことにより、生体試料中の夾雑物に起因する非特異反応を抑制することができる。非特異反応としては、特に制限はないが、例えば前述の非特異反応が挙げられる。
生体試料中の夾雑物に起因する非特異反応の抑制方法の態様としては、例えば以下の態様が挙げられる。
【0101】
(態様1)
水性媒体中で、アルキレンオキシド誘導体の存在下で、試料中のDUPAN-2抗原を、DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子と反応させる、試料中のDUPAN-2抗原のラテックス凝集免疫測定方法における、生体試料中の夾雑物に起因する非特異反応を抑制する方法。
【0102】
(態様2)
(1)DUPAN-2抗原を含む試料を、水性媒体と混合する工程;及び
(2)水性媒体中で、試料中のDUPAN-2抗原を、DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子と反応させる工程、
を含み、工程(1)及び/又は(2)がアルキレンオキシド誘導体の存在下で行われる、試料中のDUPAN-2抗原のラテックス凝集免疫測定方法における、生体試料中の夾雑物に起因する非特異反応を抑制する方法。
【0103】
(態様3)
(1)DUPAN-2抗原を含む試料を、水性媒体を混合する工程;並びに
(2)水性媒体中で、試料中のDUPAN-2抗原を、DUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子、及び、DUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子と反応させる工程、
を含み、工程(1)及び/又は(2)がアルキレンオキシド誘導体の存在下で行われる、試料中のDUPAN-2抗原のラテックス凝集免疫測定方法における、生体試料中の夾雑物に起因する非特異反応を抑制する方法。
【0104】
上記抑制方法において、DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子、DUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子、DUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子、及びアルキレンオキシド誘導体は、例えば前述のDUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子、DUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子、DUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子、及びアルキレンオキシド誘導体を用いることができる。
【0105】
「試料中のDUPAN-2抗原の測定試薬」
本開示の試料中のDUPAN-2抗原の測定試薬は、本開示の試料中のDUPAN-2抗原の測定方法に用いられる試薬である。当該測定試薬の1つの態様(態様1)としては、ラテックス粒子、DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片、及びアルキレンオキシド誘導体を含む、試料中のDUPAN-2抗原の測定試薬である。
態様1において、ラテックス粒子と、DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片とは、2つの親和性物質を介して結合することができる。DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片の、ラテックス粒子への結合方法としては、例えば前述の結合方法等が挙げられる。
【0106】
当該測定試薬の別の態様(態様2)としては、DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子、及び、アルキレンオキシド誘導体を含む、試料中のDUPAN-2抗原の測定試薬である。
当該測定試薬の別の態様(態様3)としては、DUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子、DUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子、及び、アルキレンオキシド誘導体を含む、試料中のDUPAN-2抗原の測定試薬である。
【0107】
態様1~3の試薬において、ラテックス粒子、DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子、DUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子、DUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子、及びアルキレンオキシド誘導体は、例えば前述のラテックス粒子、DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子、DUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子、DUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子、及びアルキレンオキシド誘導体を用いることができる。
【0108】
DUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片、又はDUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片は、前述の物理吸着及び/又は化学結合を利用して、直接、ラテックス粒子に結合させてもよいし、間接的にラテックス粒子に結合させてもよい。間接的な結合方法としては、前述の一組の親和性物質の特異的結合を利用して、DUPAN-2抗原を認識する第1抗体、又はDUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片をラテックス粒子に結合する方法、リンカーを介した共有結合によりラテックス粒子に結合する方法等が挙げられる。
【0109】
一組の親和性物質を用いる場合、一組の親和性物質の一方(A)が結合したDUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片、又は、一組の親和性物質の一方(A)が結合したDUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片と、一組の親和性物質の他方(a)が結合したラテックス粒子とを結合させることにより、DUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片を結合したラテックス粒子、又は、DUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片を結合したラテックス粒子を生成させることができる。
A-aの組み合わせとしては、前述の組み合わせ等が挙げられる。
リンカーとしては、前述の分子等が挙げられる。
【0110】
態様1の試薬におけるラテックス粒子の濃度は、本開示のDUPAN-2抗原の測定方法を可能とする濃度であれば特に制限はなく、例えば、0.001%(w/v)以上、0.003%(w/v)以上、0.005%(w/v)以上、0.008%(w/v)以上、0.01%(w/v)以上、0.015%(w/v)以上、0.02%(w/v)以上、0.03%(w/v)以上0.04%(w/v)以上、又は0.05%(w/v)以上であってよい。また、態様1の試薬におけるラテックス粒子の濃度は、例えば、1%(w/v)以下、0.8%(w/v)以下、0.5%(w/v)以下、0.3%(w/v)以下、0.2%(w/v)以下、0.1%(w/v)以下、0.09%(w/v)以下、0.08%(w/v)以下、0.07%(w/v)以下、又は0.06%(w/v)以下であってよい。
【0111】
上記の数値は自由に組み合わせることができる。例えば、態様1の試薬におけるラテックス粒子の濃度は、0.001%(w/v)~1%(w/v)であってもよく、0.003%(w/v)~0.5%(w/v)であってもよく、0.01%(w/v)~0.1%(w/v)であってもよく、0.02%(w/v)~0.08%(w/v)であってもよい。
【0112】
態様2又は態様3の試薬におけるDUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子の濃度は、本開示のDUPAN-2抗原の測定方法を可能とする濃度であれば特に制限はなく、例えば、0.001%(w/v)以上、0.003%(w/v)以上、0.005%(w/v)以上、0.008%(w/v)以上、0.01%(w/v)以上、0.015%(w/v)以上、0.02%(w/v)以上、0.03%(w/v)以上0.04%(w/v)以上、又は0.05%(w/v)以上であってよい。また、態様2又は態様3の試薬におけるDUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子の濃度は、例えば、1%(w/v)以下、0.8%(w/v)以下、0.5%(w/v)以下、0.3%(w/v)以下、0.2%(w/v)以下、0.1%(w/v)以下、0.09%(w/v)以下、0.08%(w/v)以下、0.07%(w/v)以下、又は0.06%(w/v)以下であってよい。
【0113】
上記の数値は自由に組み合わせることができる。例えば、態様2又は態様3の試薬におけるDUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子の濃度は、0.001%(w/v)~1%(w/v)であってもよく、0.003%(w/v)~0.5%(w/v)であってもよく、0.01%(w/v)~0.1%(w/v)であってもよく、0.02%(w/v)~0.08%(w/v)であってもよい。
態様3の試薬において、DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子の濃度は、DUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子の濃度と、DUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒の濃度の合計を意味する。
【0114】
本開示のDUPAN-2抗原の測定試薬におけるアルキレンオキシド誘導体の濃度としては、本開示のDUPAN-2抗原の測定方法を可能とする濃度であれば特に制限はなく、例えば、0.0002%(w/v)以上、0.0003%(w/v)以上、0.0005%(w/v)以上、0.001%(w/v)以上、0.002%(w/v)以上、0.003%(w/v)以上、0.004%(w/v)以上、0.005%(w/v)以上、0.006%(w/v)以上、0.007%(w/v)以上、0.008%(w/v)以上、0.009%(w/v)以上、0.01%(w/v)以上、0.02%(w/v)以上、0.03%(w/v)以上、0.04%(w/v)以上、0.05%(w/v)以上、0.06%(w/v)以上、0.07%(w/v)以上、0.08%(w/v)以上、0.09%(w/v)以上、0.1%(w/v)以上、0.2%(w/v)以上、0.3%(w/v)以上、0.4%(w/v)以上、0.5%(w/v)以上、又は0.6%(w/v)以上であってよい。また、本開示のDUPAN-2抗原の測定試薬におけるアルキレンオキシド誘導体の濃度は、例えば、20%(w/v)以下、10%(w/v)以下、9%(w/v)以下、8%(w/v)以下、7%(w/v)以下、6%(w/v)以下、5%(w/v)以下、4%(w/v)以下、3%(w/v)以下、2%(w/v)以下、1%(w/v)以下、0.9%(w/v)以下、又は0.8%(w/v)以下、又は0.7%(w/v)以下であってよい。
【0115】
上記の数値は自由に組み合わせることができる。例えば、本開示のDUPAN-2抗原の測定試薬におけるアルキレンオキシド誘導体の濃度、0.0002%(w/v)~20%(w/v)であってもよく、0.003%(w/v)~10%(w/v)であってもよく、0.01%(w/v)~3%(w/v)であってもよく、0.1%(w/v)~2%(w/v)であってもよい。
なお、上記測定試薬において、1種類のアルキレンオキシド誘導体が存在していてもよいし、2種類以上のアルキレンオキシド誘導体が存在していてもよい。2種類以上のアルキレンオキシド誘導体が存在する場合、上記濃度は、当該2種類以上のアルキレンオキシド誘導体の濃度の合計を意味する。
【0116】
本開示の測定試薬は、凍結乾燥状態でも液状でもよい。凍結乾燥状態の測定試薬を使用する場合には、測定前に水性媒体で溶解して液状にして測定に供する。溶解に用いる水性媒体としては、特に制限はなく、例えば前述の水性媒体が挙げられる。水性媒体には、前述の塩類、糖類、蛋白質、界面活性剤等が含有されてもよい。
液状の測定試薬においては、ラテックス粒子、DUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片、及びDUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片からなる群より選ばれる少なくとも1種は、水性媒体で混合された状態となっている。水性媒体としては、特に制限はなく、例えば前述の水性媒体が挙げられる。水性媒体には、前述の塩類、糖類、蛋白質、界面活性剤等が含有されてもよい。
【0117】
「試料中のDUPAN-2抗原の測定キット」
本開示の試料中のDUPAN-2抗原の測定試薬は、保存、運搬、流通等の観点からキットの形態を取ることもできる。
以下、本開示の、試料中のDUPAN-2抗原の測定キットの好適な実施形態を例示する。なお、下記の実施形態において、DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子、DUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子、DUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子、及びアルキレンオキシド誘導体は、例えば前述のDUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子、DUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子、DUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子、及びアルキレンオキシド誘導体を用いることができる。
【0118】
[測定キット(1)]
アルキレンオキシド誘導体を含む第1A試薬;及び
DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子を含む第2A試薬
を含む、測定キット。
【0119】
[測定キット(2)]
水性媒体を含む第1B試薬;並びに
アルキレンオキシド誘導体、及び、DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子を含む第2B試薬
を含む、測定キット。
【0120】
[測定キット(3)]
アルキレンオキシド誘導体を含む第1C試薬;
DUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子を含む第2C試薬;及び
DUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子を含む第3C試薬
を含む、測定キット。
【0121】
[測定キット(4)]
水性媒体を含む第1D試薬;
アルキレンオキシド誘導体、及び、DUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子を含む第2D試薬;並びに
DUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子を含む第3D試薬
を含む、測定キット。
【0122】
[測定キット(5)]
水性媒体を含む第1E試薬;
DUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子を含む第2E試薬;並びに
アルキレンオキシド誘導体、及び、DUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子を含む第3E試薬
を含む、測定キット。
【0123】
[測定キット(6)]
アルキレンオキシド誘導体を含む第1F試薬;並びに
DUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子、及び、DUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子を含む第2F試薬
を含む、測定キット。
【0124】
[測定キット(7)]
水性媒体を含む第1G試薬;
アルキレンオキシド誘導体、DUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子、及び、DUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子を含む第2G試薬
を含む、測定キット。
【0125】
DUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片、又はDUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片は、前述の物理吸着及び/又は化学結合を利用して、直接、ラテックス粒子に結合させてもよいし、間接的にラテックス粒子に結合させてもよい。間接的な結合方法としては、前述の一組の親和性物質の特異的結合を利用して、DUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片、又はDUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片をラテックス粒子に結合する方法、リンカーを介した共有結合によりラテックス粒子に結合する方法等が挙げられる。
【0126】
一組の親和性物質を用いる場合、一組の親和性物質の一方(A)が結合したDUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片、又は、一組の親和性物質の一方(A)が結合したDUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片と、一組の親和性物質の他方(a)が結合したラテックス粒子とを、結合させることにより、DUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片を結合したラテックス粒子、又は、DUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片を結合したラテックス粒子を生成させることができる。
A-aの組み合わせとしては、前述の組み合わせ等が挙げられる。
リンカーとしては、前述の分子等が挙げられる
【0127】
第2A試薬又は第2B試薬おけるDUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子の濃度は、本開示のDUPAN-2抗原の測定方法を可能とする濃度であれば特に制限はなく、例えば、0.001%(w/v)以上、0.003%(w/v)以上、0.005%(w/v)以上、0.008%(w/v)以上、0.01%(w/v)以上、0.015%(w/v)以上、0.02%(w/v)以上、0.03%(w/v)以上0.04%(w/v)以上、又は0.05%(w/v)以上であってよい。また、第2A試薬又は第2B試薬おけるDUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子の濃度は、例えば、1%(w/v)以下、0.8%(w/v)以下、0.5%(w/v)以下、0.3%(w/v)以下、0.2%(w/v)以下、0.1%(w/v)以下、0.09%(w/v)以下、0.08%(w/v)以下、0.07%(w/v)以下、又は0.06%(w/v)以下であってよい。
【0128】
上記の数値は自由に組み合わせることができる。例えば、第2A試薬又は第2B試薬おけるDUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子の濃度は、0.001%(w/v)~1%(w/v)であってもよく、0.003%(w/v)~0.5%(w/v)であってもよく、0.01%(w/v)~0.1%(w/v)であってもよく、0.02%(w/v)~0.08%(w/v)であってもよい。
【0129】
第2C試薬、第3C試薬、第2D試薬、第3D試薬、第2E試薬、第3E試薬、第2F試薬、第3F試薬、第2G試薬又は第3G試薬におけるDUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子の濃度は、本開示のDUPAN-2抗原の測定方法を可能とする濃度であれば特に制限はなく、例えば、例えば、0.0005%(w/v)以上、0.001%(w/v)以上、0.002%(w/v)以上、0.003%(w/v)以上、0.005%(w/v)以上、0.008%(w/v)以上、0.01%(w/v)以上、0.015%(w/v)以上、0.02%(w/v)以上、又は0.025%(w/v)以上であってよい。また、上記試薬におけるDUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子の濃度は、例えば、1%(w/v)以下、0.8%(w/v)以下、0.5%(w/v)以下、0.3%(w/v)以下、0.2%(w/v)以下、0.1%(w/v)以下、0.09%(w/v)以下、0.08%(w/v)以下、0.07%(w/v)以下、0.06%(w/v)以下、0.05%(w/v)以下、0.04%(w/v)以下、又は0.03%(w/v)以下であってよい。
【0130】
上記の数値は自由に組み合わせることができる。例えば、上記試薬におけるDUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子の濃度は、0.0005%(w/v)~0.5%(w/v)であってもよく、0.002%(w/v)~0.3%(w/v)であってもよく、0.005%(w/v)~0.05%(w/v)であってもよく、0.01%(w/v)~0.04%(w/v)であってもよい。
第2F試薬又は第2G試薬において、DUPAN-2抗原を認識する抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子の濃度は、DUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒子の濃度と、DUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片が結合したラテックス粒の濃度の合計を意味する。
【0131】
第1A試薬、第2B試薬、第1C試薬、第2D試薬、第3E試薬、第1F試薬又は第2G試薬におけるアルキレンオキシド誘導体の濃度としては、本開示のDUPAN-2抗原の測定方法を可能とする濃度であれば特に制限はなく、例えば、0.0002%(w/v)以上、0.0003%(w/v)以上、0.0005%(w/v)以上、0.001%(w/v)以上、0.002%(w/v)以上、0.003%(w/v)以上、0.004%(w/v)以上、0.005%(w/v)以上、0.006%(w/v)以上、0.007%(w/v)以上、0.008%(w/v)以上、0.009%(w/v)以上、0.01%(w/v)以上、0.02%(w/v)以上、0.03%(w/v)以上、0.04%(w/v)以上、0.05%(w/v)以上、0.06%(w/v)以上、0.07%(w/v)以上、0.08%(w/v)以上、0.09%(w/v)以上、0.1%(w/v)以上、0.2%(w/v)以上、0.3%(w/v)以上、0.4%(w/v)以上、0.5%(w/v)以上、又は0.6%(w/v)以上であってよい。また、上記試薬におけるアルキレンオキシド誘導体の濃度は、例えば、20%(w/v)以下、10%(w/v)以下、9%(w/v)以下、8%(w/v)以下、7%(w/v)以下、6%(w/v)以下、5%(w/v)以下、4%(w/v)以下、3%(w/v)以下、2%(w/v)以下、1%(w/v)以下、0.9%(w/v)以下、又は0.8%(w/v)以下、又は0.7%(w/v)以下であってよい。
【0132】
上記の数値は自由に組み合わせることができる。例えば、上記試薬におけるアルキレンオキシド誘導体の濃度、0.0002%(w/v)~20%(w/v)であってもよく、0.003%(w/v)~10%(w/v)であってもよく、0.01%(w/v)~3%(w/v)であってもよく、0.1%(w/v)~2%(w/v)であってもよい。
上記試薬において、1種類のアルキレンオキシド誘導体が存在していてもよいし、2種類以上のアルキレンオキシド誘導体が存在していてもよい。2種類以上のアルキレンオキシド誘導体が存在する場合、上記濃度は、当該2種類以上のアルキレンオキシド誘導体の濃度の合計を意味する。
【0133】
本開示の測定キットの構成試薬は、凍結乾燥状態でも液状でもよい。
測定キットの構成試薬が凍結乾燥状態である場合には、測定前に水性媒体で溶解して液状にして測定に供する。水性媒体としては、例えば前述の水性媒体が挙げられる。水性媒体には、前述の塩類、糖類、蛋白質、界面活性剤等が含有されてもよい。
【0134】
測定キットの構成試薬が液状である場合には、アルキレンオキシド誘導体、DUPAN-2抗原を認識する第1抗体又はその抗体断片、及びDUPAN-2抗原を認識する第2抗体又はその抗体断片からなる群より選ばれる少なくとも1種は、水性媒体で溶解又は混合された状態となっている。水性媒体としては、例えば前述の水性媒体が挙げられる。水性媒体には、前述の塩類、糖類、蛋白質、界面活性剤等が含有されてもよい。
【0135】
上記測定キット(1)~(7)には、試料を希釈するための試薬として、水性媒体を含む試料希釈試薬を含んでいてもよい。水性媒体としては、例えば前述の水性媒体が挙げられる。水性媒体には、前述の塩類、糖類、蛋白質、界面活性剤等が含有されてもよい。また、上記測定キット(1)~(7)には、前述の洗浄液、標準物質としての既知濃度のDUPAN-2抗原を含む標準物質試薬、本開示の測定方法が記載された取扱説明書等が含まれていてもよい。
【0136】
標準物質としての既知濃度のDUPAN-2抗原としては、腹水由来のDUPAN-2抗原又はヒト膵癌培養細胞HPAF由来のDUPAN-2抗原をPBSで希釈したDUPAN-2抗原溶液等が挙げられる。本開示のキットにおいて、複数の既知濃度のDUPAN-2抗原を含んでいてもよい。
標準物質としての既知濃度のDUPAN-2抗原における、DUPAN-2抗原の濃度としては、例えば前述の濃度等が挙げられる。
【実施例0137】
以下、本開示を実施例により、更に詳細に説明するが、これらは本開示の範囲を何ら制限するものではない。なお、以下の実施例においては、次のメーカーの試薬類を使用した。
【0138】
カルボキシル基修飾ポリスチレンラテックス(粒径300nm、藤倉化成株式会社製)、Sulfo-NHS(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)、EDC(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩)(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)、PBSタブレット(規定量の蒸留水で溶解すると、塩化ナトリウム8g/L;塩化カリウム0.2g/L;無水リン酸一水素ナトリウム1.15g/L;無水リン酸二水素カリウム0.2g/L;pH7.35~7.65となる。タカラバイオ社製)、ノニオンK-220(ポリオキシエチレンラウリルエーテル;日油株式会社製)、ポリエチレングリコール6,000(富士フイルム和光純薬株式会社製)、Tween(登録商標)20(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート;シグマアルドリッチジャパン合同会社製)、エマノーン(登録商標)1112(ポリオキシエチレンモノラウレート;花王株式会社製)、エマルゲン(登録商標)930(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル;花王株式会社製)、ノニオンHS-210(ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル;日油株式会社製)、アミート(登録商標)105(ポリオキシエチレンドデシルアミン;花王株式会社製)、ニューコール(登録商標)714、ニューコール(登録商標)740、ニューコール(登録商標)610、ニューコール(登録商標)2614(以上、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル;日本乳化剤株式会社製)、ジプロピレングリコール(関東化学社製)、ユニオール(登録商標)D-250(ジオール型のポリプロピレングリコール;日油株式会社製)、ユニオール(登録商標)TG-3000(トリオール型のポリプロピレングリコール;日油株式会社製)、ウシ血清アルブミン(BSA)(Bovogen社製)、「デタミナー(登録商標)DUPAN-2 N」(ミナリスメディカル株式会社製)を使用した。
【0139】
[参考例1] DUPAN-2抗体が結合したラテックス粒子の調製
カルボキシル基修飾ポリスチレンラテックス(平均粒径300nm)、EDC、Sulfo-NHS、及びDUPAN-2抗体を用いて、定法に従い、ラテックス粒子にDUPAN-2抗体を結合させた。
【0140】
[参考例2] DUPAN-2抗原溶液の調製
「デタミナー(登録商標)DUPAN-2 N」(Lot.810A)に付属している標準試薬5(1496U/mL)を、当該キットに付属している検体希釈液で希釈し、25U/mL、50U/mL、100U/mL及び200U/mLのDUPAN-2抗原溶液を調製した。また、上記希釈液を0U/mLのDUPAN-2抗原として使用した。
【0141】
[実施例1]
以下の組成の第1試薬及び第2試薬を含む測定キット1を作製した。
【0142】
(第1試薬)
PBSタブレット 規定量の蒸留水で溶解
BSA 1%(w/v)
ノニオンK-220 1%(w/v)
(第2試薬)
PBSタブレット 規定量の蒸留水で溶解
BSA 1%(w/v)
DUPAN-2抗体結合ラテックス粒子 0.054%(w/v)
【0143】
[比較例1]
以下の組成の第1試薬及び第2試薬を含む測定キットAを作製した。
【0144】
(第1試薬)
PBSタブレット 規定量の蒸留水で溶解
BSA 1%(w/v)
(第2試薬)
PBSタブレット 規定量の蒸留水で溶解
BSA 1%(w/v)
DUPAN-2抗体結合ラテックス粒子 0.054%(w/v)
【0145】
[実施例2]
自動分析装置3500(株式会社日立ハイテク製)を使用し、測定キット1(実施例1)及び測定キットA(比較例1)を用いて、参考例2で調製したDUPAN-2抗原溶液を測定した。反応温度37℃にて、DUPAN-2抗原溶液(13μL)と第1試薬(137μL)とをセルに加えて均一攪拌した後、5分間保持した。その後、37℃で保持しながら、第2試薬(50μL)を当該反応液に加えて均一攪拌した後、30秒経過後の反応液の570nmでの吸光度と300秒経過後の反応液の570nmでの吸光度との差(ΔAbs)を測定した。ΔAbsを10000倍した数値を測定値とし、25U/mL、50U/mL、100U/mL及び200U/mLのDUPAN-2抗原溶液のそれぞれの測定値から、0U/mLのDUPAN-2抗原の測定値を差し引いた数値を表1に示した。
【0146】
【表1】
【0147】
DUPAN-2のカットオフ値は150U/mLと言われており、当該カットオフ値付近の数値、及び、当該カットオフ値より小さい数値においては、測定感度が高いことが望まれる。
表1の結果より、25~200U/mLの範囲で、アルキレンオキシド誘導体を含む測定キット1(実施例1)は、測定キットA(比較例1)と比べて測定感度が高いことが判明した。
【0148】
[比較例2] 生体試料中の夾雑物に起因する非特異反応(添加回収試験)
添加回収試験とは、試料(血漿等)に既知濃度の抗原(DUPAN-2抗原)を添加した試料を測定し、実際の添加量と一致するか否かを評価することで、測定方法の正確さを判断する方法である。
具体的には、以下の手順で評価する。
(1)生体試料(血漿等)、及び生体試料を含まない試料(上記の検体希釈液等)に、終濃度が同じになるようにDUPAN-2抗原を添加して添加検体を調製する。
(2)当該添加検体を実施例2の方法で測定し、吸光度(ΔAbs)を得る。
(3)生体試料の添加検体のΔAbsを(X)、生体試料を含まない試料の添加検体のΔAbsを(Y)としたときの、(X)/(Y)×100(%)を算出し、この値を回収率(%)とする。
回収率は、生体試料を含まない試料、すなわち生体試料に含まれる夾雑物の影響を生じない試料の測定値を基準とし、生体試料、すなわち生体試料に含まれる夾雑物の影響を生じ得る試料の測定値がどの程度かを表す指標となる。回収率が100%に近いほど、生体試料に含まれる夾雑物の影響を受けずに正確に測定できていると判断し、100%より大きな数値になるほど、又は、100%より小さな数値になるほど、生体試料に含まれる夾雑物の影響を受け、正確に測定できていないと判断する。
【0149】
生体試料として、健常人血漿「血漿1」(BioreclamationIVT社製)、及びチャコール処理血漿「血漿A」(脱フィブリン処理、脱脂処理及びチャコール処理された健常人血漿)(Golden West Biologicals社製)を用意し、生体試料を含まない試料として上記検体希釈液を用意した。
それぞれの試料に、終濃度が750U/mLになるようにDUPAN-2抗原を添加し、添加検体を調製した。測定キットA(比較例1)を用いて、実施例2の方法に従い、3種類の添加検体の吸光度(ΔAbs)を測定し、上記方法により回収率を算出した。その結果を表2に示した。
【0150】
【表2】
【0151】
表2の結果より、測定キットA(比較例1)を用いて測定した場合、血漿1では回収率が28%と低く、生体試料に含まれる夾雑物の影響を受けるが、脂質、フィブリン及び脂溶性の低分子化合物が除去された血漿Aでは回収率が100%に近い値であった。この結果より、測定キットA(比較例1)を用いて測定した場合、生体試料に含まれる脂質、フィブリン及び脂溶性の低分子化合物からなる群より選択される少なくとも1つの影響を受けることが判明した。
【0152】
[実施例3]
比較例2に記載の方法と同様に、上記検体希釈液、チャコール処理血漿「血漿A」、健常人血漿「血漿1」、健常人血漿「血漿2」(BioreclamationIVT社製)それぞれに、終濃度が750U/mLになるようにDUPAN-2抗原を添加し、添加検体を調製した。
測定キット1(実施例1)、及び測定キットA(比較例1)を用いて、実施例2の方法に従い、4種類の添加検体の吸光度(ΔAbs)を測定し、比較例2に記載の方法に従い回収率を算出した。その結果を表3に示した。
【0153】
【表3】
【0154】
表3の結果より、血漿1及び血漿2について、測定キットA(比較例1)を用いて測定した場合の回収率が25~28%であったのに対して、測定キット1(実施例1)で測定した場合の回収率は52~62%であり、回収率が向上した。この結果より、アルキレンオキシド誘導体を含む測定キットで測定した場合、生体試料に含まれる脂質、フィブリン及び脂溶性の低分子化合物からなる群より選択される少なくとも1つの夾雑物に起因する非特異反応が軽減することが判明した。
【0155】
[実施例4]
以下の組成の第1試薬及び第2試薬を含む測定キット2を作製した。
(第1試薬)
PBSタブレット 規定量の蒸留水で溶解
BSA 1%(w/v)
ポリエチレングリコール6,000 1%(w/v)
(第2試薬)
PBSタブレット 規定量の蒸留水で溶解
BSA 1%(w/v)
DUPAN-2抗体結合ラテックス粒子 0.054%(w/v)
【0156】
[実施例5]
以下の組成の第1試薬及び第2試薬を含む測定キット3を作製した。
(第1試薬)
PBSタブレット 規定量の蒸留水で溶解
BSA 1%(w/v)
Tween(登録商標)20 1%(w/v)
(第2試薬)
PBSタブレット 規定量の蒸留水で溶解
BSA 1%(w/v)
DUPAN-2抗体結合ラテックス粒子 0.054%(w/v)
【0157】
[実施例6]
以下の組成の第1試薬及び第2試薬を含む測定キット4を作製した。
(第1試薬)
PBSタブレット 規定量の蒸留水で溶解
BSA 1%(w/v)
エマノーン(登録商標)1112 0.1%(w/v)
(第2試薬)
PBSタブレット 規定量の蒸留水で溶解
BSA 1%(w/v)
DUPAN-2抗体結合ラテックス粒子 0.054%(w/v)
【0158】
[実施例7]
以下の組成の第1試薬及び第2試薬を含む測定キット5を作製した。
(第1試薬)
PBSタブレット 規定量の蒸留水で溶解
BSA 1%(w/v)
エマルゲン(登録商標)930 1%(w/v)
(第2試薬)
PBSタブレット 規定量の蒸留水で溶解
BSA 1%(w/v)
DUPAN-2抗体結合ラテックス粒子 0.054%(w/v)
【0159】
[実施例8]
以下の組成の第1試薬及び第2試薬を含む測定キット6を作製した。
(第1試薬)
PBSタブレット 規定量の蒸留水で溶解
BSA 1%(w/v)
ノニオンHS-210 1%(w/v)
(第2試薬)
PBSタブレット 規定量の蒸留水で溶解
BSA 1%(w/v)
DUPAN-2抗体結合ラテックス粒子 0.054%(w/v)
【0160】
[実施例9]
以下の組成の第1試薬及び第2試薬を含む測定キット7を作製した。
(第1試薬)
PBSタブレット 規定量の蒸留水で溶解
BSA 1%(w/v)
アミート(登録商標)105 1%(w/v)
(第2試薬)
PBSタブレット 規定量の蒸留水で溶解
BSA 1%(w/v)
DUPAN-2抗体結合ラテックス粒子 0.054%(w/v)
【0161】
[実施例10]
以下の組成の第1試薬及び第2試薬を含む測定キット8を作製した。
(第1試薬)
PBSタブレット 規定量の蒸留水で溶解
BSA 1%(w/v)
ニューコール(登録商標)714 1%(w/v)
(第2試薬)
PBSタブレット 規定量の蒸留水で溶解
BSA 1%(w/v)
DUPAN-2抗体結合ラテックス粒子 0.054%(w/v)
【0162】
[実施例11]
以下の組成の第1試薬及び第2試薬を含む測定キット9を作製した。
(第1試薬)
PBSタブレット 規定量の蒸留水で溶解
BSA 1%(w/v)
ニューコール(登録商標)740 1%(w/v)
(第2試薬)
PBSタブレット 規定量の蒸留水で溶解
BSA 1%(w/v)
DUPAN-2抗体結合ラテックス粒子 0.054%(w/v)
【0163】
[実施例12]
以下の組成の第1試薬及び第2試薬を含む測定キット10を作製した。
(第1試薬)
PBSタブレット 規定量の蒸留水で溶解
BSA 1%(w/v)
ニューコール(登録商標)610 1%(w/v)
(第2試薬)
PBSタブレット 規定量の蒸留水で溶解
BSA 1%(w/v)
DUPAN-2抗体結合ラテックス粒子 0.054%(w/v)
【0164】
[実施例13]
以下の組成の第1試薬及び第2試薬を含む測定キット11を作製した。
(第1試薬)
PBSタブレット 規定量の蒸留水で溶解
BSA 1%(w/v)
ニューコール(登録商標)2614 1%(w/v)
(第2試薬)
PBSタブレット 規定量の蒸留水で溶解
BSA 1%(w/v)
DUPAN-2抗体結合ラテックス粒子 0.054%(w/v)
【0165】
[実施例14]
表4及び表5に示されたアルキレンオキシド誘導体を含む測定キットを用い、実施例2の方法に従いDUPAN-2抗原溶液を測定した結果を表4及び表5に示す。なお、対照として、測定キットA(比較例1)で測定した結果も示す。
【0166】
【表4】
【0167】
【表5】
【0168】
表4及び5の結果より、50~200U/mLの範囲で、アルキレンオキシド誘導体を含む測定キットは、測定キットA(比較例1)と比べて測定感度が高いことが判明した。
【0169】
[実施例15]
比較例2に記載の方法と同様に、参考例2の検体希釈液、チャコール処理血漿「血漿A」、健常人血漿「血漿1」、健常人血漿「血漿2」それぞれに、終濃度が750U/mLになるようにDUPAN-2抗原を添加し、添加検体を調製した。
表6及び表7に示されたアルキレンオキシド誘導体を含む測定キット、及び、アルキレンオキシド誘導体を含まない測定キットA(比較例1)を用いて、実施例2の方法に従い、4種類の添加検体の吸光度(ΔAbs)を測定し、比較例2に記載の方法に従い回収率を算出した。その結果を表6及び表7に示した。
【0170】
【表6】
【0171】
【表7】
【0172】
表6及び表7の結果より、測定キットA(比較例1)を用いて測定した場合の回収率に比べて、測定キット2~11で測定した場合の回収率は向上した。この結果より、アルキレンオキシド誘導体を含む測定キットで測定した場合、生体試料に含まれる脂質、フィブリン及び脂溶性の低分子化合物からなる群より選択される少なくとも1つの夾雑物に起因する非特異反応が軽減することが判明した。
【0173】
[実施例16]
以下の組成の第1試薬及び第2試薬を含む測定キット12を作製した。
【0174】
(第1試薬)
PBSタブレット 規定量の蒸留水で溶解
BSA 1%(w/v)
ジプロピレングリコール 0.01%(w/v)
(第2試薬)
PBSタブレット 規定量の蒸留水で溶解
BSA 1%(w/v)
DUPAN-2抗体結合ラテックス粒子 0.054%(w/v)
ジプロピレングリコール 0.01%(w/v)
【0175】
[実施例17]
以下の組成の第1試薬及び第2試薬を含む測定キット13を作製した。
(第1試薬)
PBSタブレット 規定量の蒸留水で溶解
BSA 1%(w/v)
ジプロピレングリコール 0.1%(w/v)
(第2試薬)
PBSタブレット 規定量の蒸留水で溶解
BSA 1%(w/v)
DUPAN-2抗体結合ラテックス粒子 0.054%(w/v)
ジプロピレングリコール 0.1%(w/v)
【0176】
[実施例18]
以下の組成の第1試薬及び第2試薬を含む測定キット14を作製した。
(第1試薬)
PBSタブレット 規定量の蒸留水で溶解
BSA 1%(w/v)
ユニオール(登録商標)D-250 0.01%(w/v)
(第2試薬)
PBSタブレット 規定量の蒸留水で溶解
BSA 1%(w/v)
DUPAN-2抗体結合ラテックス粒子 0.054%(w/v)
ユニオール(登録商標)D-250 0.01%(w/v)
【0177】
[実施例19]
比較例2に記載の方法と同様に、参考例2の検体希釈液、チャコール処理血漿「血漿A」、健常人血漿「血漿1」、健常人血漿「血漿2」それぞれに、終濃度が750U/mLになるようにDUPAN-2抗原を添加し、添加検体を調製した。
測定キット12~14及び測定キットA(比較例1)を用いて、実施例2の方法に従い、4種類の添加検体の吸光度(ΔAbs)を測定し、比較例2に記載の方法に従い回収率を算出した。その結果を表8に示した。
【0178】
【表8】
【0179】
表8の結果より、測定キットA(比較例1)を用いて測定した場合の回収率に比べて、測定キット12~14で測定した場合の回収率は向上した。この結果より、ポリオキシプロピレン誘導体を含む測定キットで測定した場合、生体試料に含まれる脂質、フィブリン及び脂溶性の低分子化合物からなる群より選択される少なくとも1つの夾雑物に起因する非特異反応が軽減することが判明した。
【0180】
[実施例20]
以下の組成の第1試薬及び第2試薬を含む測定キット15を作製した。
(第1試薬)
PBSタブレット 規定量の蒸留水で溶解
BSA 1%(w/v)
ノニオンK-220 1%(w/v)
ユニオール(登録商標)D-250 0.1%(w/v)
(第2試薬)
PBSタブレット 規定量の蒸留水で溶解
BSA 1%(w/v)
DUPAN-2抗体結合ラテックス粒子 0.054%(w/v)
ユニオール(登録商標)D-250 0.1%(w/v)
【0181】
[実施例21]
以下の組成の第1試薬及び第2試薬を含む測定キット16を作製した。
(第1試薬)
PBSタブレット 規定量の蒸留水で溶解
BSA 1%(w/v)
ノニオンK-220 1%(w/v)
ユニオール(登録商標)TG-3000 0.1%(w/v)
(第2試薬)
PBSタブレット 規定量の蒸留水で溶解
BSA 1%(w/v)
DUPAN-2抗体結合ラテックス粒子 0.054%(w/v)
ユニオール(登録商標)TG-3000 0.1%(w/v)
【0182】
[実施例22]
測定キット15及び16を用い、実施例2の方法に従いDUPAN-2抗原溶液を測定した結果を表9に示す。なお、対照として、測定キットA(比較例1)で測定した結果も示す。
【0183】
【表9】
【0184】
表9の結果より、50~200U/mLの範囲で、ポリオキシエチレン誘導体及びポリオキシプロピレン誘導体を含む測定キットは、測定キットA(比較例1)と比べて測定感度が高いことが判明した。
【0185】
[実施例23]
比較例2に記載の方法と同様に、参考例2の検体希釈液、チャコール処理血漿「血漿A」、健常人血漿「血漿1」、健常人血漿「血漿2」それぞれに、終濃度が750U/mLになるようにDUPAN-2抗原を添加し、添加検体を調製した。
測定キット15及び16並びに測定キットA(比較例1)を用いて、実施例2の方法に従い、4種類の添加検体の吸光度(ΔAbs)を測定し、比較例2に記載の方法に従い回収率を算出した。その結果を表10に示した。
【0186】
【表10】
【0187】
表10の結果より、測定キットA(比較例1)を用いて測定した場合の回収率に比べて、測定キット15及び16で測定した場合の回収率は向上した。この結果より、ポリオキシエチレン誘導体及びポリオキシプロピレン誘導体を含む測定キットで測定した場合、生体試料に含まれる脂質、フィブリン及び脂溶性の低分子化合物からなる群より選択される少なくとも1つの夾雑物に起因する非特異反応が軽減することが判明した。
【産業上の利用可能性】
【0188】
本開示により、膵癌、胆道系癌などの癌診断に有効であり、高感度で正確な測定ができる、試料中のDUPAN-2抗原の測定方法、測定試薬及び測定キットが提供される。