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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023005021
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】味覚改善剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9794 20170101AFI20230111BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20230111BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20230111BHJP
   A61K 8/9771 20170101ALI20230111BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20230111BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20230111BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20230111BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20230111BHJP
   A61K 8/63 20060101ALI20230111BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20230111BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20230111BHJP
   A61K 8/55 20060101ALI20230111BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20230111BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20230111BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20230111BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20230111BHJP
   A23L 33/115 20160101ALI20230111BHJP
   A23L 33/125 20160101ALI20230111BHJP
   A23L 33/15 20160101ALI20230111BHJP
   A23L 33/17 20160101ALI20230111BHJP
【FI】
A61K8/9794
A61Q11/00
A61K8/9789
A61K8/9771
A61K8/92
A61K8/37
A61K8/34
A61K8/49
A61K8/63
A61K8/60
A61K8/36
A61K8/55
A61K8/44
A61K8/73
A23L33/105
A23L33/10
A23L33/115
A23L33/125
A23L33/15
A23L33/17
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021106684
(22)【出願日】2021-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】一柳 直希
(72)【発明者】
【氏名】柘植 杏菜
(72)【発明者】
【氏名】留岡 諭志
(72)【発明者】
【氏名】木村 茉実
【テーマコード(参考)】
4B018
4C083
【Fターム(参考)】
4B018MD08
4B018MD10
4B018MD15
4B018MD19
4B018MD34
4B018MD42
4B018MD44
4B018MD53
4B018MD61
4B018MD66
4B018ME14
4B018MF01
4C083AA111
4C083AA112
4C083AA121
4C083AA122
4C083AC311
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4C083AC341
4C083AC342
4C083AC471
4C083AC472
4C083AC581
4C083AC582
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD241
4C083AD242
4C083AD391
4C083AD392
4C083AD531
4C083AD532
4C083AD601
4C083AD602
4C083AD661
4C083AD662
4C083CC41
4C083EE31
(57)【要約】
【課題】本発明は、味蕾細胞の増殖を促し、安全性に優れた味覚改善剤及び味細胞活性化剤を提供することを目的とする。
【解決手段】カモミラエキス、トウキエキス、カンゾウエキス、ローマカミツレエキス、シノキサート、グリチルリチン酸、オイゲノール、トウキンセンカエキス、イチョウエキス、グアニン、ユリエキス、ゴボウエキス、5’-イノシン酸、水素添加ホホバ油、バニリン、ハマメリスエキス、月見草油、トウモロコシデンプン、トコフェロール酢酸エステル、トウモロコシ油、トリプトファン、β-グリチルレチン酸、メチルヘスペリジン、パラメトキシケイ皮酸、ゼニアオイエキス、及びフキタンポポエキスのうち1種以上を有効成分として含有する味覚改善剤及び味細胞活性化剤を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カモミラエキス、トウキエキス、カンゾウエキス、ローマカミツレエキス、シノキサート、グリチルリチン酸、オイゲノール、トウキンセンカエキス、イチョウエキス、グアニン、ユリエキス、ゴボウエキス、5’-イノシン酸、水素添加ホホバ油、バニリン、ハマメリスエキス、月見草油、トウモロコシデンプン、トコフェロール酢酸エステル、トウモロコシ油、トリプトファン、β-グリチルレチン酸、メチルヘスペリジン、パラメトキシケイ皮酸、ゼニアオイエキス、及びフキタンポポエキスからなる群より選ばれる1種以上を有効成分として含有する味覚改善剤。
【請求項2】
カモミラエキス、トウキエキス、カンゾウエキス、ローマカミツレエキス、シノキサート、グリチルリチン酸、オイゲノール、トウキンセンカエキス、イチョウエキス、グアニン、ユリエキス、ゴボウエキス、5’-イノシン酸、水素添加ホホバ油、バニリン、ハマメリスエキス、月見草油、トウモロコシデンプン、トコフェロール酢酸エステル、トウモロコシ油、トリプトファン、β-グリチルレチン酸、メチルヘスペリジン、パラメトキシケイ皮酸、ゼニアオイエキス、及びフキタンポポエキスからなる群より選ばれる1種以上を有効成分として含有する
味細胞活性化剤。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の剤を含む口腔用組成物。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の剤を含む、味覚改善用食品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、味覚改善剤に関する。
【背景技術】
【0002】
哺乳類にとって味は甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の5基本味があるとされている。それぞれの基本味に対する主要な受容体が同定されており、味覚受容体は味細胞に発現している。味細胞は一般的に口腔内の舌上皮に埋まっている味蕾の中の細胞を指すが、口蓋や咽頭など舌以外にも存在することが知られている。味蕾は50~150個の味細胞を内包しており、この味細胞を介して伝えられる感覚が味覚である。味蕾は10~14日間で再生を繰り返す。しかし、この味蕾のターンオーバー能が低下すると、味蕾細胞の増殖の低下と収縮が引き起こされ、味覚の低下に繋がることが広く知られている。
【0003】
味蕾のターンオーバー能は加齢とともに低下するため、味蕾の総数は若年者ほど多く、高齢者では新生児期の半分から3分の1になると言われている。このように、味覚低下は加齢に伴って起こることが知られており、味覚の低下はQOLの著しい低下を引き起こす。また味覚の低下は血圧や肥満などの身体における健康とも関連が示唆されており、高齢社会の日本における重大な問題である。従って味覚低下の発症や進行を抑える有効成分の開発が期待されている。(非特許文献1~3)
【0004】
特許文献1には、亜鉛化合物が味覚減退症に有効であることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-29950号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】田中暢明著 「味覚受容体-脳科学辞典」 2012年 https://bsd.neuroinf.jp/wiki/
【非特許文献2】岩槻健著 「味幹細胞の同定と培養」日本農芸化学会 2016年 https://katosei.jsbba.or.jp/view_html.php?aid=629
【非特許文献3】公益財団法人長寿科学振興財団 「味覚障害」 2017年 https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/jibikashikkan/mikakushogai.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1には、亜鉛化合物以外の味覚改善成分について記載も示唆もされていない。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、味覚改善を促すことができ、安全性に優れた新たな味覚改善剤及び味細胞活性化剤を提供することを目的とする。更には、これらの味覚改善剤または味細胞活性化剤が配合された口腔用組成物または食品用組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明は以下の〔1〕~〔4〕を提供する。
〔1〕カモミラエキス、トウキエキス、カンゾウエキス、ローマカミツレエキス、シノキサート、グリチルリチン酸、オイゲノール、トウキンセンカエキス、イチョウエキス、グアニン、ユリエキス、ゴボウエキス、5’-イノシン酸、水素添加ホホバ油、バニリン、ハマメリスエキス、月見草油、トウモロコシデンプン、トコフェロール酢酸エステル、トウモロコシ油、トリプトファン、β-グリチルレチン酸、メチルヘスペリジン、パラメトキシケイ皮酸、ゼニアオイエキス、及びフキタンポポエキスからなる群より選ばれる1種以上を有効成分として含有する味覚改善剤。
〔2〕カモミラエキス、トウキエキス、カンゾウエキス、ローマカミツレエキス、シノキサート、グリチルリチン酸、オイゲノール、トウキンセンカエキス、イチョウエキス、グアニン、ユリエキス、ゴボウエキス、5’-イノシン酸、水素添加ホホバ油、バニリン、ハマメリスエキス、月見草油、トウモロコシデンプン、トコフェロール酢酸エステル、トウモロコシ油、トリプトファン、β-グリチルレチン酸、メチルヘスペリジン、パラメトキシケイ皮酸、ゼニアオイエキス、及びフキタンポポエキスからなる群より選ばれる1種以上を有効成分として含有する
味細胞活性化剤。
〔3〕〔1〕又は〔2〕に記載の剤を含む口腔用組成物。
〔4〕〔1〕又は〔2〕に記載の剤を含む、味覚改善用食品組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、味覚改善を促すことができ、また、味細胞の増殖を促進できる。本発明の剤は、安全性の高い成分を有効成分とすることから、味覚改善を目的とした口腔用組成物または食品用組成物として利用できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔有効成分〕
本発明の剤は、後段で説明する各成分から選ばれる少なくとも1つを有効成分とする。これにより、味細胞を活性化し、味覚を改善できる。
【0012】
有効成分は、天然成分(例えば、植物エキス、植物油、植物由来組成物又は化合物)、人工成分(例えば、組成物又は化合物)のいずれでもよい。天然成分の場合、原料(例えば、植物)の少なくとも一部から抽出、圧搾、抽圧等の処理により得られるエキスであればよい。
【0013】
原料が植物の場合の処理対象としては、例えば、葉、茎、根、根茎、匍匐茎、花、頭花、種子、胚芽、これらから選ばれる2以上の組み合わせが挙げられ、有効成分の種類、植物、処理方法に応じて適宜選択すればよい。
【0014】
抽出方法としては、処理対象を、抽出溶媒を用いて抽出する方法、さらに抽出後に得られる抽出残渣を溶媒を用いて抽出処理する方法、処理対象を圧搾処理する方法、処理対象を抽出処理及び/又は圧搾処理する方法が挙げられる。処理前に必要に応じて、原料を粉砕、細分化してもよい。また、抽出・圧搾後、必要に応じて精製、濃縮、乾燥処理を行ってもよい。植物エキスの抽出方法は、抽出溶媒、さらに抽出後に得られる抽出残渣を溶媒を用いて抽出処理する方法を用いて抽出する方法が好ましい。植物油の抽出方法は、処理対象を、抽出溶媒を用いて抽出する方法、処理対象を圧搾処理する方法、処理対象を抽出処理及び/又は圧搾処理する方法が挙げられる。
【0015】
抽出溶媒は、例えば、水、極性溶媒、非極性溶媒、これらの混合溶媒が挙げられる。極性溶媒としては例えば、エチルエーテル、エチレンクロライド、ジオキサン、アセトン、アルコール(例えば、エタノール、メタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素原子数1~5の低級1価アルコール)、グリコール(例えば、プロピレングリコール、ブチレングリコール)、酢酸エチル、グリセリンが挙げられる。非極性溶媒としては、例えば、n-ヘキサン、石油エーテル、リグロイン、シクロヘキサン、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロルメタン、1,2-ジクロルエタン、トルエン、ベンゼン、流動パラフィンが挙げられる。有効成分が植物エキスの場合の抽出溶媒は、親水性溶媒が好ましく、水、炭素原子数1~5の低級一価アルコール、グリコール、及びこれらから選ばれる2以上を組み合わせた混合溶媒が好ましい。混合溶媒は、水と低級一価アルコール又はグリコールとの混合溶媒が好ましく、水と低級一価アルコール又はグリコールとの混合比率が10:90~90:10(質量比)の混合溶媒がより好ましい。
【0016】
―カモミラエキス―
カモミラエキスは、カミツレの抽出物である。カミツレ(ジャーマンカモミール、Matricaria chamomilla L.)は、キク科(Compositae)植物である。カモミラエキスは、カミツレの花の抽出物であることが好ましい。抽出溶媒としては、例えば、水、エタノール、メタノール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、これらの混合溶媒、尿素含有エタノール溶液(例えば、1%尿素含有エタノール溶液)、尿素含有1,3-ブチレングリコール溶液(例えば、1%尿素含有1,3-ブチレングリコール溶液)が挙げられる。中でも、水、エタノール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、これらから選ばれる2以上の混合溶媒、尿素含有エタノール溶液、尿素含有1,3-ブチレングリコール溶液が好ましく、1,3-ブチレングリコールと水の混合溶媒がより好ましい。メタノールを含む抽出溶媒を用いた場合、抽出後更に、溶媒を減圧蒸留して除去し、他の溶媒(例えば、プロピレングリコール溶液)に溶解してエキスを得てもよい。カモミラエキスは、第十七改正日本薬局方、医薬部外品原料規格2021に記載された規格に合致するものを用いることができ、好ましくは、医薬部外品原料規格2021「カモミラエキス(1)」に合致するものである。
【0017】
カモミラエキスの量は、剤100質量%に対し、通常、0.001質量%以上であり、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。これにより、有効成分の効果が十分に発揮され得る。上限は、通常、50質量%以下又は20質量%以下であり、10質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。従って、通常、0.001~50質量%又は0.001~20質量%がよく、0.01~10質量%が好ましく、0.1~1質量%がより好ましい。
【0018】
―カンゾウエキス―
カンゾウエキスは、カンゾウの抽出物である。カンゾウは、スペインカンゾウ(Glycyrrhiza glabra L.)、ウラルカンゾウ(Glycyrrhiza uralensis Fisch. ex DC.)、チョウカカンゾウ(Glycyrrhiza inflata Batalin)、ヨウカンゾウ(Glycyrrhiza glabra L.)等、カンゾウの同属植物(マメ科(Leguminosae)植物)である。カンゾウエキスは、カンゾウの根、根茎、又は匍匐茎(ストロン)の抽出物が好ましい。抽出溶媒としては、例えば、水が挙げられる。カンゾウエキスの抽出方法としては、例えば、カンゾウ(例えば、根、根茎、匍匐茎)を乾燥させる方法;カンゾウを必要に応じて細切りし、これに抽出溶媒(例えば、水)を添加して冷浸し、濃縮(例えば、布ごし)する方法;カンゾウに抽出溶媒(例えば、水)を加えて煮沸し、加圧ろ過したろ液を蒸発させる方法が挙げられる。得られる抽出物は、その後必要に応じて、再度冷浸、濃縮を行ってもよい。溶媒の添加量は、植物1kgあたり1~7L、好ましくは2~6Lである。冷浸の時間は、10時間~3日、好ましくは11時間~2.5日である。冷浸を2回以上行う場合、1回目の冷浸の方が長時間行うことが好ましく、例えば、1回目の冷浸は1~2.5日、2回目以降の冷浸は11時間~2日とすることができる。カンゾウエキスは、第十七改正日本薬局方、医薬部外品原料規格2021、第9版食品添加物公定書に記載された規格(カンゾウエキス、カンゾウ粗エキス、カンゾウ末)に合致するものを用いることができ、好ましくは第十七改正日本薬局方「カンゾウエキス」に合致するものである。
【0019】
カンゾウエキスの量は、剤100質量%に対し、通常0.0001質量%以上であり、0.001質量%以上が好ましく、0.005質量%以上がより好ましい。これにより、有効成分の効果が十分に発揮され得る。上限は、通常、50質量%以下又は20質量%以下であり、1質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましい。従って、通常、0.0001~50質量%又は0.0001~20質量%、0.001~1質量%が好ましく、0.001~0.1質量%又は0.005~0.1質量%がより好ましい。
【0020】
―ゼニアオイエキス―
ゼニアオイエキスは、ウスベニアオイの抽出物である。ウスベニアオイ(Malva sylvestris L.)は、アオイ科(Malvaceae)の植物である。ゼニアオイエキスは、ウスベニアオイの花、葉、又は両者の抽出物が好ましい。抽出溶媒としては、例えば、水、エタノール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール又はこれらから選ばれる2以上の混合溶媒が挙げられる。中でも、1,3-ブチレングリコール及び水の混合溶媒が好ましい。ゼニアオイエキスは、医薬部外品原料規格2021「ゼニアオイエキス」に記載された規格に合致するものを用いることができる。
【0021】
ゼニアオイエキスの量は、剤100質量%に対し、通常、0.0001質量%以上であり、0.001質量%以上が好ましい。これにより、有効成分の効果が十分に発揮され得る。上限は、通常、50質量%以下又は20質量%以下であり、10質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。従って、通常、0.0001~50質量%又は0.0001~20質量%であり、0.001~10質量%が好ましく、0.001~1質量%がより好ましい。
【0022】
―トウキエキス―
トウキエキスは、トウキ由来の抽出物である。トウキは、セリ科(Umbelliferae)植物であり、トウキ(Angelica acutiloba (Siebold & Zucc.) Kitag.、ホッカイトウキ Angelica acutiloba(Siebold & Zucc.) Kitag. var. sugiyamae Hikino)及びこれらの近縁植物から選ばれる1以上である。トウキエキスは、トウキの根の抽出物であることが好ましい。抽出溶媒としては、例えば、水、エタノール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1-ブタノール、n-ヘキサン又はこれらから選ばれる2以上の混合溶媒が挙げられ、水、エタノールと水の混合溶媒(例えば、エタノール濃度20~40%)、エタノール、n-ヘキサン、1-ブタノールが好ましく、水がより好ましい。抽出方法としては、例えば、トウキ(例えば根)を乾燥する方法;水中で加熱(湯通し)する方法;抽出溶媒(水、エタノール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール又はこれらから選ばれる2以上の混合溶媒)で抽出する方法;先に1-ブタノール、n-ヘキサン可溶部を除去後、抽出溶媒(例えば、水、エタノール、又はこれらの混合溶媒)で抽出する方法が挙げられ、水中で加熱(湯通し)する方法が好ましい。トウキエキスは、第十七改正日本薬局方、医薬部外品原料規格2021に合致するものを用いることができ、好ましくは第十七改正日本薬局方「トウキ」に合致するものである。
【0023】
トウキエキスの量は、剤100質量%に対し、通常、0.001質量%以上であり、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。これにより、有効成分の効果が十分に発揮され得る。上限は、通常、50質量%以下又は20質量%以下であり、10質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。従って、通常、0.001~50質量%又は0.001~20質量%がよく、0.01~10質量%が好ましく、0.1~1質量%がより好ましい。
【0024】
―トウキンセンカエキス―
トウキンセンカエキスは、トウキンセンカの抽出物である。トウキンセンカ(Calendula officinalis L.)は、キク科(Compositae)の植物である。トウキンセンカエキスは、トウキンセンカの頭花の抽出物であることが好ましい。抽出溶媒としては、例えば、水、エタノール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、及びこれらから選ばれる2つの混合溶媒が挙げられる。中でも、1,3-ブチレングリコールと水の混合溶媒が好ましい。トウキンセンカエキスは、医薬部外品原料規格2021「トウキンセンカエキス」に記載された規格に合致するものを用いることができる。
【0025】
トウキンセンカエキスの量は、剤100質量%に対し、通常、0.001質量%以上がよく、0.01質量%以上が好ましい。これにより、有効成分の効果が十分に発揮され得る。上限は、通常50質量%以下又は20質量%以下であり、10質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。従って、通常、0.001~50質量%又は0.001~20質量%であり、0.01~10質量%が好ましく、0.01~1質量%がより好ましい。
【0026】
―フキタンポポエキス―
フキタンポポエキスは、フキタンポポの抽出物である。フキタンポポ(Tussilago farfara L.)は、キク科(Compositae)の植物である。フキタンポポエキスは、フキタンポポの花、葉及びその両方の抽出物が好ましく、花の抽出物がより好ましい。抽出溶媒としては、例えば、水、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコールもしくはこれらの混液又は1%尿素含有エタノール溶液が挙げられ、特に、1,3-ブチレングリコールと水の混合溶媒(例えば、1,3-ブチレングリコールの濃度が40~60%)が好ましい。フキタンポポエキスは、医薬部外品原料規格2021「フキタンポポエキス」に記載された規格に合致するものを用いることができる。
【0027】
フキタンポポエキスの量は、剤100質量%に対し、0.001質量%以上であり、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。これにより、有効成分の効果が十分に発揮され得る。上限は、通常、50質量%以下又は20質量%以下であり、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。従って、通常、0.001~50質量%又は0.001~20質量%であり、0.01~15質量%が好ましく、0.1~10質量%がより好ましい。
【0028】
―ローマカミツレエキス―
ローマカミツレエキスは、ローマカミツレの抽出物である。ローマカミツレ(ローマンカモミール、Chamaemelum nobile (L.) All.(Anthemis nobilis L.))は、キク科(Compositae)の植物である。ローマカミツレエキスは、ローマカミツレの頭花の抽出物が好ましい。抽出溶媒としては、例えば、水、ジエチレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコール及び1,3-ブチレングリコール及びこれらから選ばれる2以上の混合溶媒が挙げられ、中でも、1,3-ブチレングリコール又はこれと水との混合溶媒が好ましい。ローマカミツレエキスは、医薬部外品原料規格2021「ローマカミツレエキス」に記載された規格に合致するものを用いることができる。
【0029】
ローマカミツレエキスの量は、剤100質量%に対し、通常、0.00001質量%以上であり、0.0001質量%以上が好ましい。これにより、有効成分の効果が十分に発揮され得る。上限は、通常、50質量%以下又は20質量%以下であり、1質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましく、0.01質量%以下が更に好ましい。従って、通常、0.00001~50質量%又は0.0001~20質量%であり、0.0001~1質量%が好ましく、0.0001~0.1質量%又は0.001~0.01質量%がより好ましい。
【0030】
―イチョウエキス―
イチョウエキスは、イチョウの抽出物である。イチョウ(Ginkgo biloba L.)は、イチョウ科(Ginkgoaceae)の植物である。イチョウエキスは、イチョウの葉の抽出物であることが好ましい。抽出溶媒としては、例えば、水、エタノール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール又はこれらから選ばれる2以上の混合溶媒が挙げられる。中でも、1,3-ブチレングリコール又はこれと水との混合溶媒が好ましい。イチョウエキスは、医薬部外品原料規格2021「イチョウエキス」に記載された規格に合致するものを用いることができる。
【0031】
イチョウエキスの量は、通常、剤100質量%に対し、0.001質量%以上がよく、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。これにより、有効成分の効果が十分に発揮され得る。上限は、通常、50質量%以下又は20質量%以下であり、10質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。従って、通常、0.001~50質量%又は0.001~20質量%であり、0.01~10質量%が好ましく、0.1~1質量%がより好ましい。
【0032】
―ユリエキス―
ユリエキスは、マドンナリリーの抽出物である。マドンナリリー(ニワシロユリ:Lilium candidum L.)は、ユリ科(Liliaceae)の植物である。ユリエキスは、マドンナリリーの球根の抽出物であることが好ましい。抽出溶媒としては、例えば、水、エタノール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、これらから選ばれる2以上の混合溶媒が挙げられる。中でも、1,3-ブチレングリコール又はこれと水との混合溶媒が好ましい。ユリエキスは、医薬部外品原料規格2021「ユリエキス」に記載された規格に合致するものを用いることができる。
【0033】
ユリエキスの量は、剤100質量%に対し、通常、0.001質量%以上であり、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。これにより、有効成分の効果が十分に発揮され得る。上限は、通常、50質量%以下又は20質量%以下であり、10質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。従って、通常、0.001~50質量%又は0.001~20質量%がよく、0.01~10質量%が好ましく、0.1~1質量%がより好ましい。
【0034】
―ゴボウエキス―
ゴボウエキスは、ゴボウの抽出物である。ゴボウ(Arctium lappa L.)は、キク科(Compositae)の植物である。ゴボウエキスは、根の抽出物が好ましい。抽出溶媒としては、例えば、水、エタノール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、又はこれらから選ばれる2以上の混合溶媒、流動パラフィンとパーシック油の混合溶媒(例えば、2:1)が挙げられる。中でも、1,3-ブチレングリコール又はこれと水との混合溶媒が好ましい。ゴボウエキスは、医薬部外品原料規格2021「ゴボウエキス」に記載された規格に合致するものを用いることができる。
【0035】
ゴボウエキスの量は、剤100質量%に対し、通常、0.001質量%以上であり、0.005質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましい。これにより、有効成分の効果が十分に発揮され得る。上限は、通常、50質量%以下又は20質量%以下であり、10質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。従って、通常、0.001~50質量%又は0.001~20質量%がよく、0.005~10質量%が好ましく、0.01~1質量%がより好ましい。
【0036】
―ハマメリスエキス―
ハマメリスエキスは、ハマメリスの抽出物である。ハマメリス(アメリカマンサク:Hamamelis virginiana L.)は、マンサク科(Hamamelidaceae)の植物である。ハマメリスエキスは、ハマメリスの葉、又は葉及び樹皮のエキスが好ましい。抽出溶媒としては、例えば、水、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エタノール、及びこれらから選ばれる2以上の混合溶媒が挙げられる。中でも、1,3-ブチレングリコール、又はこれと水との混合溶媒が好ましい。ハマメリスエキスは、医薬部外品原料規格2021「ハマメリスエキス」に記載された規格に合致するものを用いることができる。
【0037】
ハマメリスエキスの量は、剤100質量%に対し、通常、0.00001質量%以上であり、0.0001質量%以上が好ましく、0.001質量%以上がより好ましい。これにより、有効成分の効果が十分に発揮され得る。有効量であり、組成物の用途、剤形等に応じて適宜選定されるが、上限は、通常、50質量%以下又は20質量%以下であり、1質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましい。下限は、0.00001~50質量%又は0.00001~20質量%であり、0.0001~1質量%が好ましく、0.001~0.1質量%がより好ましい。
【0038】
―トウモロコシ油―
トウモロコシ油は、トウモロコシから抽出される油である。トウモロコシ(Zea mays L.)は、イネ科(Gramineae)植物である。トウモロコシ油は、トウモロコシの種子、胚芽から得た油であることが好ましく、胚芽から圧搾を含む工程を経て得た油であることがより好ましい。トウモロコシ油は、第十七改正日本薬局方、医薬部外品原料規格2021に合致するものを用いることができ、好ましくは医薬部外品原料規格2021「トウモロコシ油」に合致するものである。
【0039】
トウモロコシ油の量は、剤100質量%に対し、通常、0.00001質量%以上がよく、0.0001質量%以上が好ましい。これにより、有効成分の効果が十分に発揮され得る。有効量であり、組成物の用途、剤形等に応じて適宜選定されるが、上限は、通常、50質量%以下又は20質量%以下であり、1質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましい。従って、通常、0.00001~50質量%又は0.00001~20質量%であり、0.0001~1質量%が好ましく、0.0001~0.1質量%がより好ましい。
【0040】
―月見草油―
月見草油は、ツキミソウから抽出される油である。ツキミソウは、ツキミソウ(Oenothera tetraptera Cav.)、Oenothera elata Kunth(Oenothera hookeri Torr. & A.Gray)、これらの同属植物等、アカバナ科(Onagraceae)植物である。月見草油は、ツキミソウの種子から圧搾を経て得られる油が好ましい。月見草油は、医薬部外品原料規格2021「月見草油」に記載された規格に合致するものを用いることができる。
【0041】
月見草油の量は、剤100質量%に対し、通常、0.00001質量%以上がよく、0.0001質量%以上が好ましい。これにより、有効成分の効果が十分に発揮され得る。有効量であり、組成物の用途、剤形等に応じて適宜選定されるが、上限は、通常、50質量%以下又は20質量%以下であり、1質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましい。従って、通常、0.00001~50質量%又は0.00001~20質量%であり、0.0001~1質量%が好ましく、0.0001~0.1質量%がより好ましい。
【0042】
―水素添加ホホバ油―
水素添加ホホバ油は、ホホバから得られる(例えば、圧搾を経て得られる)油(ホホバ油)を水素添加処理(部分水素添加処理でもよい)して得られる油である。ホホバ(Simmondsia chinensis (Link) C.K.Schneid.;Simmondsia californica Nutt.)は、トウダイグサ科(Euphorbiaceae)植物である。水素添加ホホバ油は、医薬部外品原料規格2021に記載された規格に合致するものを用いることができ、好ましくは、同規格「水素添加ホホバ油」に合致するものである。
【0043】
水素添加ホホバ油の量は、剤100質量%に対し、通常、0.00001質量%以上であり、0.0001質量%以上が好ましい。これにより、有効成分の効果が十分に発揮され得る。上限は、通常、50質量%以下又は20質量%以下であり、10質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。従って、通常、0.00001~50質量%又は0.00001~20質量%がよく、0.0001~10質量%が好ましく、0.0001~1質量%がより好ましい。
【0044】
―トウモロコシデンプン―
トウモロコシデンプンは、トウモロコシ由来のデンプンである。トウモロコシ(Zea mays L.)は、イネ科(Gramineae)植物である。トウモロコシデンプンは、通常、トウモロコシの種子から得られる。例えば、トウモロコシの種子を浸漬して粉砕後、澱粉を抽出する方法により得ることができる。抽出後、必要に応じて、乾燥(例えば、加熱(例、約105℃で4~8時間))してもよい。トウモロコシデンプンは、第十七改正日本薬局方、医薬部外品原料規格2021に記載された規格に合致するものを用いることができ、好ましくは、医薬部外品原料規格2021「トウモロコシデンプン」に合致するものである。
【0045】
トウモロコシデンプンの量は、剤100質量%に対し、通常、0.0001質量%以上であり、0.0002質量%以上が好ましい。これにより、有効成分の効果が十分に発揮され得る。有効量であり、組成物の用途、剤形等に応じて適宜選定されるが、上限は、通常、50質量%以下又は20質量%以下であり、1質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましい。従って、通常、0.0001~50質量%又は0.0001~20質量%であり、0.0002~1質量%が好ましく、0.0002~0.1質量%がより好ましい。
【0046】
―オイゲノール―
オイゲノールは、医薬部外品原料規格2021、第9版食品添加物公定書に記載された規格に合致するものを用いることができ、好ましくは医薬部外品原料規格2021「オイゲノール」に合致したものである。
【0047】
オイゲノールの量は、剤100質量%に対し、通常、0.0001質量%以上であり、0.001質量%以上が好ましい。これにより、有効成分の効果が十分に発揮され得る。上限は、通常、50質量%以下又は20質量%以下であり、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましい。従って、通常、0.0001~50質量%又は0.0001~20質量%であり、0.001~10質量%が好ましく、0.001~5質量%がより好ましく、0.001~1質量%が更に好ましい。
【0048】
―グリチルリチン酸―
グリチルリチン酸は、グリチルリチン酸又はその塩である。グリチルリチン酸の塩としては、例えば、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸アンモニウムが挙げられ、グリチルリチン酸二カリウムが好ましい。グリチルリチン酸は、医薬部外品原料規格2021に記載された規格に合致するものを用いることができ、好ましくは、同規格「グリチルリチン酸ジカリウム」に合致するものである。
【0049】
グリチルリチン酸の量は、通常、0.1μM以上であり、0.5μM以上が好ましく、1μM以上がより好ましい。これにより、有効成分の効果が十分に発揮され得る。上限は、通常、1000μM以下であり、500μM以下が好ましい。従って、通常、0.1~1000μMであり、0.5~1000μMが好ましく、1~500μMがより好ましい。
【0050】
―シノキサート―
シノキサートは、医薬部外品原料規格2021「シノキサート」に記載された規格に合致するものを用いることができる。
【0051】
シノキサートの量は、剤100質量%に対し、通常、0.0001質量%以上であり、0.001質量%以上が好ましい。これにより、有効成分の効果が十分に発揮され得る。上限は、通常、50質量%以下又は20質量%以下であり、10質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。従って、通常、0.0001~50質量%又は0.0001~20質量%であり、0.001~10質量%が好ましく、0.001~1質量%がより好ましい。
【0052】
―パラメトキシケイ皮酸―
パラメトキシケイ皮酸は、パラメトキシケイ皮酸又はその塩である。パラメトキシケイ皮酸の塩としては、例えば、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、パラメトキシケイ皮酸オクチル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピルが挙げられ、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシルが好ましい。パラメトキシケイ皮酸は、医薬部外品原料規格2021に記載された規格に合致するものを用いることができ、好ましくは、同規格「パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル」に合致するものである。
【0053】
パラメトキシケイ皮酸の量は、通常、0.01μM以上であり、0.1μM以上が好ましく、1μM以上がより好ましい。これにより、有効成分の効果が十分に発揮され得る。上限は、通常、1000μM以下であり、100μM以下が好ましい。従って、通常、0.01~1000μMであり、0.1~100μMが好ましく、1~100μMがより好ましい。
【0054】
―メチルヘスペリジン―
メチルヘスペリジンは、第9版食品添加物公定書「メチルヘスペリジン」に記載された規格に合致するものを用いることができる。
【0055】
メチルヘスペリジンの量は、通常、0.001μM以上であり、0.01μM以上が好ましく、0.1μM以上がより好ましい。これにより、有効成分の効果が十分に発揮され得る。上限は、通常、1000μM以下であり、500μM以下が好ましく、100μM以下がより好ましい。従って、通常、0.001~1000μMであり、0.01~500μMが好ましく、0.1~100μMがより好ましい。
【0056】
―5’-イノシン酸―
5’-イノシン酸は、5’-イノシン酸又はその塩である。5’-イノシン酸の塩としては、例えば、5’-イノシン酸二ナトリウムが挙げられる。5’-イノシン酸は、第9版食品添加物公定書に記載された規格に合致するものを用いることができ、好ましくは、同規格「5’-イノシン酸二ナトリウム」に合致するものである。
【0057】
5’-イノシン酸の量は、通常、0.001μM以上であり、0.01μM以上が好ましく、0.1μM以上がより好ましい。これにより、有効成分の効果が十分に発揮され得る。上限は、通常、1000μM以下であり、500μM以下が好ましく、100μM以下がより好ましい。従って、通常、0.001~1000μMであり、0.01~500μMが好ましく、0.1~100μMがより好ましい。
【0058】
―バニリン―
バニリンは、医薬部外品原料規格2021、第9版食品添加物公定書に記載された規格に合致するものを用いることができ、好ましくは医薬部外品原料規格2021「バニリン」に合致するものである。
【0059】
バニリンの量は、通常、0.001μM以上であり、0.01μM以上が好ましく、0.1μM以上がより好ましい。これにより、有効成分の効果が十分に発揮され得る。上限は、通常、1000μM以下がよく、500μM以下が好ましく、100μM以下がより好ましい。従って、通常、0.001~1000μMがよく、0.01~500μMが好ましく、0.1~100μMがより好ましい。
【0060】
―グアニン―
グアニンは、医薬部外品原料規格2021「グアニン」に記載された規格に合致するものを用いることができる。
【0061】
グアニンの量は、通常、0.001μM以上であり、0.01μM以上が好ましく、0.1μM以上がより好ましい。これにより、有効成分の効果が十分に発揮され得る。上限は、通常、1000μM以下であり、500μM以下が好ましく、100μM以下がより好ましい。従って、通常、0.001~1000μMであり、0.01~500μMが好ましく、0.1~100μMがより好ましい。
【0062】
―トコフェロール酢酸エステル―
トコフェロール酢酸エステルは、D体、L体、DL体のいずれでもよいが、DL体が好ましい。トコフェロール酢酸エステルとしては、酢酸DL-α-トコフェロール、酢酸D-α-トコフェロールが好ましく、酢酸DL-α―トコフェロールがさらに好ましい。トコフェロール酢酸エステルは、第9版食品添加物公定書、医薬部外品原料規格2021、第十七改正日本薬局方に記載された規格に合致するものを用いることができ、好ましくは医薬部外品原料規格2021「酢酸DL-α-トコフェロール」、第9版食品添加物公定書「トコフェロール酢酸エステル」、第十七改正日本薬局方「トコフェロール酢酸エステル」に合致するものである。
【0063】
トコフェロール酢酸エステルの量は、剤100質量%に対し、通常、0.00001質量%以上であり、0.00005質量%以上がより好ましく、0.0001質量%以上が更により好ましい。これにより、有効成分の効果が十分に発揮され得る。上限は、10質量%以下がよく、1質量%以下が好ましく、0.01質量%以下がより好ましい。従って、通常、0.00001~10質量%であり、0.00005~1質量%がより好ましく、0.0001~0.01質量%が更により好ましい。
【0064】
―トリプトファン―
トリプトファンは、D体、L体、DL体のいずれでもよいが、DL体が好ましい。第9版食品添加物公定書、医薬部外品原料規格2021に記載された規格に合致するものを用いることができ、好ましくは第9版食品添加物公定書「DL-トリプトファン」に合致するものである。
【0065】
トリプトファンの量は、通常、0.001μM以上であり、0.01μM以上が好ましく、0.1μM以上がより好ましい。これにより、有効成分の効果が十分に発揮され得る。上限は、通常、1000μM以下であり、500μM以下が好ましく、100μM以下がより好ましい。従って、通常、0.001~1000μMであり、0.01~500μMが好ましく、0.1~100μMがより好ましい。
【0066】
―β-グリチルレチン酸―
β-グリチルレチン酸は、医薬部外品原料規格2021「β-グリチルレチン酸」に記載された規格に合致するものを用いることができる。
【0067】
β-グリチルレチン酸の量は、通常、0.001μM以上であり、0.01μM以上が好ましく、0.1μM以上がより好ましい。これにより、有効成分の効果が十分に発揮され得る。上限は、1000μM以下がよく、500μM以下が好ましく、100μM以下がより好ましい。従って、0.001~1000μMがよく、0.01~500μMが好ましく、0.1~100μMがより好ましい。
【0068】
カモミラエキス、カンゾウエキス、ゼニアオイエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、フキタンポポエキス、ローマカミツレエキス、イチョウエキス、ユリエキス、ゴボウエキス、ハマメリスエキス、トウモロコシ油、月見草油、水素添加ホホバ油は、それぞれの原料に含まれる単一成分であってこれらと同等の味覚改善作用、味細胞活性化作用を発揮する成分でもよい。グアニン、5’-イノシン酸、バニリン、トウモロコシデンプン、トコフェロール酢酸エステル、シノキサート、オイゲノール、グリチルリチン酸、トリプトファン、β-グリチルレチン酸、メチルヘスペリジン、パラメトキシケイ皮酸は、それぞれを含む天然成分であってこれらと同等の味覚改善作用、味細胞活性化作用を発揮する成分でもよい。
【0069】
有効成分は1種単独でもよいし、2種以上を組み合わせでもよい。有効成分は、トウキエキス、カモミラエキス、トウキンセンカエキス、カンゾウエキス、シノキサート、オイゲノール、グリチルリチン酸、ローマカミツレエキスから選ばれる少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0070】
〔味覚改善作用、味細胞活性化作用〕
本発明の剤は、味覚改善作用を有する。本明細書において、味覚を改善するとは、低下した味覚を改善すること、味覚の低下の進行を緩和すること又は正常な味覚を維持することをいう。味覚低下の原因としては、例えば、加齢、口腔内の乾燥、舌苔が挙げられ、代表的な原因は、加齢である。味覚改善は、味細胞の活性化によることが好ましい。本明細書において、味細胞の活性化とは、味細胞の増殖促進、味細胞のターンオーバー能の活性化(味蕾の再生)、味蕾のサイズの増大、又は、味蕾の総数の増加を意味する。
【0071】
味覚低下は、高血圧、肥満等の身体の不調の原因であることから、本発明の剤は、高血圧抑制作用、肥満抑制作用を発揮するとも言える。
【0072】
〔任意成分〕
本発明の剤が、他の任意成分を含むいわゆる組成物の形態である場合、他の成分としては、例えば、殺菌剤、防腐剤、薬効成分、界面活性剤、研磨剤、湿潤剤、粘結剤、緩衝剤、溶解補助剤、等張化剤、安定化剤、キレート剤、保湿剤、矯味剤(甘味剤、香料、酸味料)、油性成分、着色剤、pH調整剤、溶媒、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、発色剤、酸化防止剤、強化剤、膨張剤、増粘剤、清涼剤、収斂剤、紫外線吸収剤、水性溶媒、調味料、食品原料(食品添加物を含む)等の、上記有効成分以外の成分が挙げられる。任意成分の種類、含有量は、医薬品、医薬部外品、食品組成物、化粧料の各用途、及び/又は剤形、投与方法等に応じて選択すればよく、1種でもよいし2種以上の組み合わせでもよい。
【0073】
-殺菌剤-
殺菌剤としては、例えば、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、クロルヘキシジン又はその塩、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、ヒノキチオール、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化デカリニウム、ヨウ素、ヨウ化カリウム、スルファメトキサゾール、スルファメトキサゾールナトリウム、スルフイソキサゾール、スルフイソミジンナトリウムが挙げられる。殺虫剤は1種でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0074】
-防腐剤-
防腐剤としては、例えばメチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等のパラオキシ安息香酸エステル、安息香酸又はその塩、デヒドロ酢酸又はその塩、プロピオン酸又はその塩、ソルビン酸又はその塩(ソルビン酸カリウム等)、ホウ酸、ホウ砂、フェニルエチルアルコール、ベンジルアルコール、フェノール、アクリノール等のアルコール誘導体、アルキルポリアミノエチルグリシンが挙げられる。防腐剤は1種でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0075】
-薬効成分-
薬効成分としては、例えば、デキストラナーゼ、ムタナーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、リテックエンザイム等の酵素;フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化スズ等のフッ化物;トラネキサム酸、イプシロンアミノカプロン酸、アラントイン、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アズレン、ジヒドロコレステロール等の抗炎症剤;亜鉛塩、銅塩、スズ塩等の金属塩;縮合リン酸塩、エタンヒドロキシジホスフォネート等の歯石予防剤;ビタミンE(トコフェロール酢酸エステルを除く)等の血流促進剤;塩化ストロンチウム等の知覚過敏抑制剤;ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド等のコーティング剤;ビタミンC(例えば、アスコルビン酸又はその塩)、塩化リゾチーム、塩化ナトリウム等の収斂剤;銅クロロフィル等の水溶性銅化合物;アラニン、グリシン、プロリン等の、トリプトファン以外のアミノ酸類;タイム、オウゴン、チョウジ等の植物エキス(有効成分の植物エキスを除く);カロペプタイド;ポリビニルピロリドン等を挙げることができる。他の例としては、充血除去剤、消炎剤、収斂剤、抗ヒスタミン剤、ビタミン類(トコフェロール酢酸エステルを除く)、アミノ酸類、殺菌剤、局所麻酔剤、上記本発明における有効成分以外の菌叢改善作用を有する成分、これらから選ばれる2以上の組み合わせも挙げられる。充血除去剤としては、例えば、塩酸ナファゾリン、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸フェニレフリン、エピネフリン、塩酸エピネフリン、塩酸エフェドリン、DL-塩酸メチルエフェドリン、硝酸テトラヒドロゾリン、硝酸ナファゾリンが挙げられる。消炎、収斂剤としては、例えば、メチル硫酸ネオスチグミン、塩化ベルベリン、硫酸ベルベリン、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、ブロメライン、サリチル酸メチル、アズレンスルホン酸ナトリウム、クロモグリク酸ナトリウムが挙げられる。抗ヒスタミン剤としては、例えば、塩酸イプロヘプチン、塩酸ジフェンヒドラミン、ジフェンヒドラミン、塩酸イソチペンジル、マレイン酸クロルフェニラミンが挙げられる。ビタミン類としては、例えば、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、塩酸ピリドキシン、シアノコバラミン、ビタミンA類(例えば酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール)が挙げられる。アミノ酸類としては、例えば、L-アスパラギン酸カリウム、L-アスパラギン酸マグネシウム、アミノエチルスルホン酸、コンドロイチン硫酸ナトリウムが挙げられる。局所麻酔剤としては、例えば、リドカイン、塩酸リドカイン、塩酸ジブカイン、クロロブタノールが挙げられる。それぞれの薬効成分は、1種でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。薬効成分の含有量は、常法に従って有効量を適宜設定できる。
【0076】
-界面活性剤-
界面活性剤は、例えば、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。
【0077】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸塩、アシルアミノ酸塩、アシルタウリン塩、α-オレフィンスルホン酸塩、水素添加ココナッツ脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸塩、ラウリルスルホ酢酸塩が挙げられる。アルキル基、アシル基は直鎖及び分岐鎖のいずれでもよく、飽和及び不飽和のいずれでもよく、その炭素原子数は通常10~20であり、好ましくは12~18であり、より好ましくは12~14である。塩は、薬理学的に許容される塩から選択され得る。薬理学的に許容される塩としては、例えば、塩基付加塩及びアミノ酸塩が挙げられる。その具体例としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩等の無機塩基塩;トリエチルアンモニウム塩、トリエタノールアンモニウム塩、ピリジニウム塩、ジイソプロピルアンモニウム塩等の有機塩基塩;アルギニン塩等の塩基性アミノ酸塩が挙げられる。中でも、無機塩基塩が好ましく、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩)がより好ましく、ナトリウム塩が更に好ましい。アルキル硫酸塩としては、例えば、ミリスチル硫酸塩が挙げられる。アシルアミノ酸塩としては、例えば、ラウロイルグルタミン酸塩、ミリストイルグルタミン酸塩、パルミトイルグルタミン酸塩等のアシルグルタミン酸塩;N-ラウロイル-N-メチルグリシン塩、ココイルグリシン塩等のアシルグリシン塩;N-ラウロイル-β-アラニン塩、N-ミリスチル-β-アラニン塩、N-ココイル-β-アラニン塩、N-ラウロイル-N-メチル-β-アラニン塩、N-ミリストイル-N-メチル-β-アラニン塩、N-メチル-N-アシルアラニン塩等のアシルアラニン塩;ラウロイルアスパラギン酸塩等のアシルアスパラギン酸塩が挙げられる。アシルタウリン塩としては、例えば、N-メチル-N-アシルタウリン塩、N-ココイルメチルタウリン塩が挙げられる。アニオン性界面活性剤の例としては、水素添加ココナッツ脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウムも挙げられる。アニオン界面活性剤は、1種でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0078】
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート)、アルキロールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル(例、マルトース脂肪酸エステル)、糖アルコール脂肪酸エステル(例、マルチトール脂肪酸エステル、ラクチトール脂肪酸エステル)、脂肪酸ジエタノールアミド(例、ラウリル酸モノ又はジエタノールアミド)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン脂肪酸エステルが挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルエーテルのアルキル鎖の炭素原子数は、通常、14~18であり、エチレンオキサイド平均付加モル数は、通常、5~30モルである。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油のエチレンオキサイド平均付加モル数は、通常20~100モル、好ましくは20~60モルである。ソルビタン脂肪酸エステルの脂肪酸の炭素原子数は、通常12~18である。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの脂肪酸の炭素原子数は、通常16~18であり、エチレンオキサイド平均付加モル数は、通常10~40モルである。アルキロールアミドのアルキル鎖の炭素原子数は、通常12~14である。ノニオン界面活性剤は、1種でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0079】
両性界面活性剤としては、例えば、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン(例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン)、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のベタイン型両性界面活性剤;N-脂肪酸アシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルエチレンジアミン塩、ヤシ油脂肪酸イミダゾリニウムベタイン等のイミダゾリン型両性界面活性剤;ラウロアンホ酢酸ナトリウム等が挙げられる。両性界面活性剤は、1種でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0080】
界面活性剤を含む場合、アニオン性、ノニオン性、両性界面活性剤それぞれの含有量は、通常、剤全体の0.01~10質量%、好ましくは0.1~5質量%、より好ましくは0.2~3質量%である。
【0081】
-研磨剤-
研磨剤としては、例えば、無機研磨剤及び有機研磨剤のいずれでもよい。無機研磨剤としては、例えば、沈降性シリカ、アルミノシリケート、ジルコノシリケート、結晶性ジルコニウムシリケート、チタン結合性シリカ等の研磨性シリカ;第2リン酸カルシウム・2水和塩又は無水和物、第1リン酸カルシウム、第3リン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム等のリン酸カルシウム系化合物;炭酸カルシウム等の炭酸カルシウム系研磨剤;水酸化カルシウム、硫酸カルシウム等の、炭酸/リン酸以外のカルシウム系研磨剤;酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、アルミナ等のアルミニウム系材料;無水ケイ酸、ゼオライト、ケイ酸ジルコニウム等のケイ酸系材料;炭酸マグネシウム、第3リン酸マグネシウム等のマグネシウム系材料;ハイドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、カルシウム欠損アパタイト等のアパタイト系材料;二酸化チタン、雲母チタン、酸化チタン等のチタン系材料;ベントナイト等の鉱物が挙げられる。有機研磨剤としては、例えば、ポリメチルメタアクリレート、合成樹脂系研磨剤が挙げられる。これらのうち、研磨性シリカ、リン酸カルシウム系化合物が好ましく、無水ケイ酸がより好ましい。研磨剤は1種でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。研磨剤の量は、剤全体に対し、50質量%以下が好ましく、8~50質量%がより好ましい。
【0082】
-湿潤剤-
湿潤剤としては、例えば、糖アルコール、糖アルコール以外の多価アルコールが挙げられる。糖アルコールとしては、例えば、ソルビトール(ソルビット)、エリスリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトール等が挙げられる。糖アルコール以外の多価アルコールとしては、グリセリン;エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)等のグリコール;還元でんぷん糖化物が挙げられる。ポリエチレングリコールとしては、例えば、平均分子量150~6000のポリエチレングリコールが好ましく、平均分子量190~630のポリエチレングリコール(PEG200、PEG300、PEG400、PEG600)が好ましい。湿潤剤は1種でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。平均分子量は、医薬部外品原料規格2006記載の平均分子量である。湿潤剤の含有量は、剤全体に対し、通常、40質量%以下であり、好ましくは1~30質量%である。
【0083】
-粘結剤-
粘結剤としては、従来公知の任意好適な有機粘結剤、例えば、多糖類、セルロース系粘結剤(例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カチオン化セルロース等)、その他の多糖系増粘剤(例、キサンタンガム、グアガム、ジェランガム、トラガントガム、カラヤガム、アラビヤガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム)、合成水溶性高分子(例、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、アルギン酸プロピレングリコール)が挙げられる。さらには増粘性シリカ、ケイ酸アルミニウム等の無機粘結剤を含有させることもできる。粘結剤は1種でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。有機粘結剤の含有量は、剤全体に対し、0~3質量%が好ましく、0.1~2質量%がより好ましい。無機粘結剤の含有量は、0~10質量%が好ましく、1~8質量%がより好ましい。
【0084】
-緩衝剤-
緩衝剤としては、例えば、クエン酸又はその塩(例えば、クエン酸ナトリウム)、リン酸又はその塩(例えば、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸二水素カリウム)、酒石酸又はその塩(例えば、酒石酸ナトリウム)、グルコン酸又はその塩(例えば、グルコン酸ナトリウム)、酢酸又はその塩(例えば、酢酸ナトリウム)、炭酸又はその塩(例えば、炭酸水素ナトリウム)、トロメタモール、アミノ酸類(例えば、グルタミン酸、グルタミン酸ナトリウム)等が挙げられる。緩衝剤は1種でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0085】
-溶解補助剤-
溶解補助剤としては、例えば、プロピレングリコール等が挙げられる。溶解補助剤は1種でもよいし、その他の溶解補助剤と2種以上の組み合わせでもよい。
【0086】
-等張化剤-
等張化剤としては、例えば、塩化カリウム等が挙げられる。等張化剤は1種でもよいし、その他の等張化剤と2種以上の組み合わせでもよい。
【0087】
-安定化剤-
安定化剤としては、例えば、シクロデキストリン、亜硫酸塩、ジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられる。安定化剤は1種でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0088】
-キレート剤-
キレート剤としては、例えば、エデト酸ナトリウム等が挙げられる。キレート剤は1種でもよいし、その他のキレート剤との2種以上の組み合わせでもよい。
【0089】
-矯味剤-
矯味剤としては、例えば、甘味剤(例、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、ステビア、ステビオサイド、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、ペリラルチン、アスパラチルフェニルアラニンメチルエステル、ソーマチン、アセスルファムカリウム、スクラロース、マンニトール、還元水飴、還元パラチノースなどの人工甘味料など);香料(例、アニス油、カシア油、ウィンターグリーン油、マスチック油、ネロリ油(オレンジフラワー油)、レモングラス油、ジャスミン油、ローズ油、イリス油、クローブ油、セージ油、カルダモン油、ローズマリー油、ローレル油、カモミル油、バジル油、マジョラム油、レモン油、オレンジ油、ライム油、柚子油、ナツメグ油、ラベンダー油、パラクレス油、バニラ油、桂皮油、ピメント油、桂葉油、シソ油、冬緑油、ハッカ油、ライチ油等の天然精油);メントール、カルボン、シンナミックアルデヒド、アネトール、メチルサリシレート、リナロール、リモネン、メントン、メンチルアセテート、シトラール、デカナール、カンファー、ボルネオール、ピネン、スピラントール、N-デシルアルコール、シトロネロール、α-テルピネオール、シトロネリルアセテート、エチルリナロール、ワニリン等の上記天然精油中に含まれる香料成分;エチルアセテート、エチルブチレート、イソアミルアセテート、ヘキサナール、ヘキセナール、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、ベンズアルデヒド、エチルバニリン、フラネオール、N-エチル-p-メンタン-3-カルボキサミド、メンチルラクテート、エチレングリコール-l-メンチルカーボネート等の香料成分;及びいくつかの香料成分や天然精油を組み合わせてなるミント系、フルーツ系、ハーブ系等の各種調合フレーバー(例えば、ペパーミントミクロンX-8277-T、ドライコート抹茶#421)、酸味料(例、リンゴ酸)、緑茶末が挙げられる。矯味剤は1種でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0090】
-油性成分-
油性成分としては、例えば、脂肪酸エステル(例えば、グリセリン脂肪酸エステル)、炭化水素(例、パラフィン、流動パラフィン、セレシン、スクワラン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス)、高級脂肪酸(例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、イソステアリン酸等の炭素原子数8~22の脂肪酸)、高級アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール等の炭素原子数8~22のアルコール)、植物油脂(例えば、オリーブ油、ヒマシ油等の植物油;脂肪酸エステル)、蜜蝋等が挙げられる。油性成分は1種でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0091】
-着色剤-
着色剤としては例えば、ベニバナ赤色素、クチナシ黄色素、クチナシ青色素、シソ色素、紅麹色素、赤キャベツ色素、ニンジン色素、ハイビスカス色素、カカオ色素、スピルリナ青色素、タマリンド色素等の天然色素や、赤色2号、赤色3号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、赤色227号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等の法定色素、リボフラビン、銅クロロフィリンナトリウムが挙げられる。着色剤は1種でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。着色剤を含む場合、その含有量は、剤全体に対し0.00001~3質量%とすることが好ましい。
【0092】
-pH調整剤-
pH調整剤としては、例えば、フタル酸、コハク酸、フマル酸、及び乳酸等の有機酸又はそれらの塩、リン酸(オルトリン酸)等の無機酸又はそれらの塩(例えば、アンモニウム塩)、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化物が挙げられる。無機酸塩としては、例えば、リン酸水素二ナトリウムが挙げられる。pH調整剤は1種でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。pH調整剤の含有量は、通常、添加後の剤のpHが5~9、好ましくは6~8.5となる量とすることができる。本明細書において、pH値は、通常、測定開始から25℃、3分後の値をいう。pH値は、例えば、東亜電波工業社製のpHメーター(型番Hm-30S)を用いて測定することができる。
【0093】
-溶媒-
溶媒としては、例えば、水(精製水)、エタノールが挙げられ、水が好ましい。溶媒は1種でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0094】
-賦形剤-
賦形剤としては、例えば、結晶セルロース、エチルセルロース、メチルエチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース、及びその薬理学的に許容される誘導体、部分けん化ポリビニルアルコール等の合成高分子;ゼラチン、アラビアゴム末、プルラン、寒天、アルギン酸、キタンサンガム等の多糖類;バレイショデンプン、α化デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ等のスターチ、及びその薬理学的に許容される誘導体;乳糖、乳糖造粒物、果糖、ブドウ糖、白糖、グラニュウ糖、含水ブドウ糖、トレハロース、パラチノース、マルトテトラオース、イソマルト、粉末還元麦芽糖水飴;軽質無水ケイ酸、水酸化アルミニウムゲル等の無機賦形剤等が挙げられる。賦形剤は1種でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0095】
-崩壊剤-
崩壊剤としては、例えば、クロスポビドン、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスリンクドインソルブルポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルスターチ、部分α化デンプン等が挙げられる。崩壊剤は1種でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0096】
-結合剤-
結合剤としては、例えば、デキストリン、デンプン等が挙げられる。結合剤は1種でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0097】
-滑沢剤-
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、ステアリン酸等が挙げられる。滑沢剤は1種でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0098】
-他の任意成分-
上記以外の任意成分の例としては、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ウレタン、シリコン、天然ゴムが挙げられる。これらは1種でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。他の任意成分の含有量は、本発明の効果を妨げない範囲で適宜設定できる。
【0099】
〔剤形〕
本発明の味覚改善剤又は味細胞活性化剤は、味覚改善有効成分に適宜他の成分を添加して、医薬品、医薬部外品、飲料、機能性食品等として利用できる。剤形は、例えば、液剤、スプレー剤、固形剤、半固形剤(ペースト、クリーム)、粉剤、カプセル剤、散剤、錠剤、顆粒剤、フィルム剤、シート剤、ゲル剤、等、経口投与剤や口腔用製剤としての剤形が挙げられ、これらのうち、液剤、固形製剤(例えば、カプセル剤、散剤、錠剤、顆粒剤、フィルム剤)が好ましい。製造方法は特に限定されず、公知の方法でよい。
【0100】
〔製剤としての利用〕
口腔用製剤としては歯磨剤(例えば、練歯磨、ジェル状歯磨、潤製歯磨、液体歯磨)、歯肉ケア剤、洗口剤、舌磨剤、口腔内スプレー、口腔内タブレット、ガム、口中清涼剤、うがい用錠剤、口腔用パスタ、口腔用ゲル剤、口腔用軟膏剤が挙げられる。
内服用剤形(医薬品、機能性食品)としては、例えば、内服液、シロップ、クリーム、ゼリー、ペースト、錠剤、顆粒剤、細粒剤、カプセル剤(ソフトカプセル、ハードカプセル)等が挙げられる。
食品(食品組成物)としては例えば、健康食品、機能性食品、健康食品、健康補助食品(サプリメント)、栄養補助食品、特定保健用食品、栄養機能食品、医療用食品、病者用食品、乳児用食品、介護用食品、高齢者用食品等の用途を付した食品組成物が挙げられる。
【0101】
〔服用方法〕
本発明に係る味覚改善剤又は味細胞活性化剤は継続して服用することで効果を発揮する。服用期間は、1週間以上が好ましく、10日以上がより好ましく、14日以上が更に好ましい。これにより、味細胞のターンオーバー(通常、10~14日間のサイクル)にあわせて、味細胞の増殖を活性化することができ、味覚を効率的に改善できる。1日当りの用量は特に限定されず、対象者の健康状態、性別、体格等の諸条件に基づき、適宜定めることができる。
【0102】
〔対象者〕
本発明の剤の対象者は、齢による味覚低下の発症率が高い点で、高齢者が好ましい。しかし、味覚改善を意図する対象者であれば、高齢者以外の幅広い年齢層を対象者とすることができる。また、対象者は、ヒト及びヒト以外の動物(例えばイヌ、ネコ等のペット)でもよい。
【実施例0103】
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものでもない。なお、特に断らないかぎり、%は質量%を意味する。
【0104】
[試験例1:味細胞増殖活性評価]
細胞はHuman Primary Fungiform Taste Cells(Applied Biological Materials)、培地はPrigrow X series medium TM4105(Applied Biological Materials)を用いた。凍結保存細胞の融解、継代の培養条件はメーカー提示の方法に従った。細胞播種の前日に、24ウェルプレートにApplied Cell Extracellular Matrix(Applied Biological Materials)を40μl/well添加し、1時間室温で静置した後、液を除去し乾燥させ、コート済みプレートを作製した。細胞を4.0×10cells/wellでコート済みプレートに播種し、37℃、5%CO下で培養した。培養開始の翌日に各試料を添加し、48時間の培養後、Premix WST-1 Cell Proliferation Assay System(タカラバイオ)を用いて450nmの吸光度を測定し、試料非添加群を1.0とした際の相対的な生細胞数を定量した。検出にはSpectraMaxマルチプレートリーダー(Molecular Devices)を用いた。結果(n=3)を表1及び2に示す。なお、有意差として、試料非添加群に対するStudent’s t-testの結果を示した。
【0105】
【表1】
【0106】
【表2】
【0107】
[使用原料]
味細胞増殖活性評価に用いた各試料の詳細を表3及び4に示す。
【0108】
【表3】
【0109】
【表4】
【0110】
〔表の脚注〕
表3~4中、「DW」は蒸留水を、「DMSO」はジメチルスルホキシドを、「EtOH」はエタノールを、それぞれ示す。
【0111】
実施例1~75のいずれも、味細胞増殖率が1を超えた。また、実施例1~72の味細胞増殖活性評価において、各試料の濃度を変化させても、いずれの実施例も味覚改善効果を示した。これらの実施例は、本発明に係る剤の成分が、味覚改善効果を有することを示している。