(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023050235
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】撮影方法
(51)【国際特許分類】
H04N 23/60 20230101AFI20230404BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20230404BHJP
【FI】
H04N5/232 220
G03B15/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021160249
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000131326
【氏名又は名称】株式会社シグマ
(72)【発明者】
【氏名】小西 弘通
(72)【発明者】
【氏名】下村 涼太
【テーマコード(参考)】
5C122
【Fターム(参考)】
5C122EA69
5C122FA11
5C122FH10
5C122FH11
5C122FH14
5C122HA88
5C122HA89
5C122HB01
(57)【要約】
【課題】
被写体が瞬きすることにより目が閉じる方向または目が開く方向の変化を検出し、好適なシャッタータイミングで被写体を撮影できる撮影方法を提供する。
【解決手段】
光学系を介して結像した被写体像を光電変換して画像データを順次出力する撮像素子を備えた撮像装置の撮影方法であって、画像データ取得ステップと、目の全開サイズ算出ステップと、基準目領域算出ステップと、読み出し条件設定ステップと、撮影条件記憶ステップと、撮影タイミング算出ステップと、撮影タイミング判定ステップと、撮影指示ステップとを有する撮像装置の撮影方法を提供する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系を介して結像した被写体像を光電変換して連続する画像データを順次出力する撮像素子を備えた撮像装置の撮影方法であって、
画像データを取得する画像データ取得ステップと、前記画像データから被写体像の目の全開サイズを算出する目の全開サイズ算出ステップと、前記目の全開サイズを用いて撮像素子上の基準目領域を決定する基準目領域決定ステップと、前記基準目領域の読み出し条件を設定する読み出し条件設定ステップと、前記目の全開サイズと前記基準目領域と前記読み出し条件とを記憶する撮影条件記憶ステップと、前記基準目領域を読み出して得られる順次出力する画像データ上の目領域の状態を取得する撮影タイミング算出ステップと、前記撮影タイミング算出ステップにおいて取得した前記基準目領域を読み出して得られる順次出力する画像データ上の目領域の状態から前記基準目領域を読み出して得られる順次出力する画像データ上の目領域のサイズが一定時間以内に前記目の全開サイズを満たすかどうかを判定する撮影タイミング判定ステップと、前記撮影タイミング判定ステップにおいて前記基準目領域を読み出して得られる順次出力する画像データ上の目領域のサイズが一定時間以内に前記目の全開サイズを満たすと判定したときに撮像素子に全画素読み出し指示を行う撮影指示ステップと、を有する撮像装置の撮影方法。
【請求項2】
前記読み出し条件設定ステップにおいて、前記基準目領域を読み出すフレームレートが所定のフレームレート未満の時に前記基準目領域の間引き読み出し処理設定をすることで前記基準目領域を読み出すフレームレートを所定のフレームレート以上にすることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置の撮像方法。
【請求項3】
前記撮影タイミング算出ステップにおいて、前記基準目領域を読み出して得られる順次出力する画像データ上の目領域のサイズの変化量と変化率を検出し、前記基準目領域を読み出して得られる順次出力する画像データ上の目領域のサイズの変化量と変化率から瞬き時間と瞬き方向を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置の撮像方法。
【請求項4】
前記撮影タイミング判定ステップにおいて、前記基準目領域を読み出して得られる順次出力する画像データ上の目領域のサイズの変化率と瞬き方向を用いて次のフレームで順次出力する画像データ上の目領域のサイズが前記目の全開サイズを満たすかどうかを判定することを特徴とする請求項3に記載の撮像装置の撮像方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体の目の瞬きを検出して好適なタイミングで撮像可能な撮影方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スルー画像データから被写体の顔領域を検出し、その顔領域から被写体の目の画像を検出し、得られた目の画像から被写体の視線がカメラの方向を向いているかを判断し、被写体がカメラ目線であると判断された場合には即座に撮影が行われる撮影方法及び撮像装置が開示されている。
【0003】
特許文献1では、被写体の目線の推移を示す視線推移情報に基づいて撮影タイミングを決定する撮像装置が開示されている。
【0004】
特許文献1に開示された発明によれば、幼児などカメラ目線を合わせにくいような被写体でもカメラ目線の画像を自動的に撮影でき、シャッターチャンスを逃さなくなる、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、撮影された被写体の画像がカメラ目線であったとしても、被写体がカメラ目線のタイミングで瞬きをしてしまうことにより、目を閉じているもしくは目を十分に開いていない(目の開閉状態が撮影者の希望通りでない)画像データの記録が行われてしまうおそれがあった。
【0007】
一般に人間の瞬き動作(目を閉じてから開く動作)にかかる時間はおよそ100msecから200msecといわれている。撮像装置においてスルー画像データから被写体の瞬きによって目が閉じる方向または目が開く方向の変化を検出するためには、瞬きにかかる時間よりも短い時間でスルー画像データを読み出す必要がある。
【0008】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、被写体が瞬きすることによる目が閉じる方向または目が開く方向の変化を検出し、好適なシャッタータイミングで被写体を撮影できる撮影方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の課題を解決するため、本発明の第1の発明に係る撮影方法は、光学系を介して結像した被写体像を光電変換して連続する画像データを順次出力する撮像素子を備えた撮像装置の撮影方法であって、画像データを取得する画像データ取得ステップと、画像データから被写体像の目の全開サイズを算出する目の全開サイズ算出ステップと、目の全開サイズを用いて撮像素子上の基準目領域を決定する基準目領域決定ステップと、基準目領域の読み出し条件を設定する読み出し条件設定ステップと、目の全開サイズと基準目領域と読み出し条件を記憶する撮影条件記憶ステップと、基準目領域を読み出して得られる順次出力する画像データ上の目領域の状態を取得する撮影タイミング算出ステップと、撮影タイミング算出ステップにおいて取得した状態から基準目領域を読み出して得られる順次出力する画像データ上の目領域のサイズが一定時間以内に目の全開サイズを満たすかどうかを判定する撮影タイミング判定ステップと、撮影タイミング判定ステップにおいて基準目領域を読み出して得られる順次出力する画像データ上の目領域のサイズが一定時間以内に目の全開サイズを満たすと判定したときに撮像素子に全画素読み出し指示を行う撮影指示ステップとを有する。
【0010】
本発明の第2の発明に係る撮影方法は、読み出し条件設定ステップにおいて、基準目領域を読み出すフレームレートが所定のフレームレート未満の時に基準目領域の間引き読み出し処理設定をすることで基準目領域を読み出すフレームレートを所定のフレームレート以上にすることを特徴とする。
【0011】
本発明の第3の発明に係る撮影方法は、撮影タイミング算出ステップにおいて、順次出力する画像データ上の目領域のサイズの変化量と変化率を検出し、順次出力する画像データ上の目領域のサイズの変化量と変化率から瞬き時間と瞬き方向を算出することを特徴とする。
【0012】
本発明の第4の発明に係る撮影方法は、撮影タイミング判定ステップにおいて、順次出力する画像データ上の目領域のサイズの変化率と瞬き方向を用いて次のフレームで順次出力する画像データ上の目領域のサイズが目の全開サイズを満たすかどうかを判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、瞬きにより目を閉じているもしくは目を十分に開いていない画像データの記録が行われてしまうことを防止し、より好適なシャッタータイミングで被写体を撮影できる撮影方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態である撮像装置の主要な構成を示したブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態である撮像装置の撮像動作の各ステップを説明するフローチャートである。
【
図3】撮影条件算出処理を説明するフローチャートである。
【
図4】撮影タイミング算出処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を用いて、本発明の実施例について詳細に説明する。なお、本実施例により本発明が限定されるものではない。
【0016】
図1は、本実施例の撮像装置100の主要な構成を示すブロック図である。撮像装置100は、カメラ本体110と、カメラ本体110に着脱可能な交換レンズに含まれるレンズ光学系120で構成されている。
【0017】
カメラ本体110は、撮像素子130と、信号処理部141と、画像処理部142と、CPU150と、ROM161と、RAM162と、記録媒体インターフェース170と、記録媒体171と、ユーザーインターフェース180と、画像表示部190と、を備えている。
【0018】
撮像素子130は、レンズ光学系120により集光された被写体からの光線を受光して光電変換を行い、被写体像の画像信号を出力する。本実施例において、撮像素子130にはCMOSイメージセンサーが用いられている。撮像素子130の受光面は多数の画素から構成されている。
【0019】
さらに、撮像素子130は内部に不図示のバッファメモリを備え、CPU150と接続されており、CPU150から出力される撮像素子130の画素毎の水平駆動並びに垂直駆動のタイミングを決定する信号を受信し、制御を行う。
【0020】
信号処理部141は、撮像素子130から出力された画像信号に各種処理をし、画像データとして出力する。また、撮像素子130から連続して出力された画像信号は、連続する画像データとして取得される。連続する画像データはスルー画像データとして取得される。
【0021】
画像処理部142は、信号処理部141から入力された画像データに対して各種画像処理を行う。画像処理としては、例えば、ホワイトバランス補正やシェーディング補正等がある。
【0022】
CPU150は、撮像装置100全体の包括的な制御を行う。例えば、撮像素子130の読み出し制御を行う。CPU150が撮像素子130の駆動タイミングを決定する信号を出力することで、画素毎の水平駆動並びに垂直駆動が制御され、各画素から画像信号が読み出される。
【0023】
ROM161は、CPU150が実行する各種プログラムや、CPU150が処理を実行するのに使用する各種特徴情報や設定情報等が記憶される。特徴情報としては、例えば、予め決定された顔領域と目領域の大きさの比率データが含まれる。
【0024】
RAM162は、CPU150がプログラムに従った処理を実行するときの作業領域として使用される。また、各処理部が高速で読み出す必要のある検出結果や算出結果を一時的に記憶することができる。
【0025】
記録媒体インターフェース170は、記録媒体171との間で画像データの書き込み及び読み出しを行う。この記録媒体171は、半導体メモリ等の着脱可能な記録媒体である。
【0026】
ユーザーインターフェース180は、例えば、レリーズボタン、電源ボタン、コマンドダイヤル、十字キー等の操作部材を有しており、ユーザーがこれらの操作部材を操作すると、CPU150はこれらに対応する動作を行う指示を出す。
【0027】
画像表示部190は、スルー画像データや記録媒体171から読み出された画像データ等を表示する。
【0028】
レンズ光学系120は、フォーカスレンズ群やズームレンズ群を含む、複数の不図示のレンズ群で構成されている。
図1においては、例として1枚のレンズとして記載している。また、ズームレンズを有さない単焦点レンズであってもよい。
【0029】
図2は、本発明における撮像装置のカメラ本体110において瞬き検出モード設定が行われてから全画素読み出しを実行するまでのCPU150の処理の流れを説明するフローチャートである。
【0030】
まず、カメラ本体110においてユーザー操作によって瞬き検出モード設定が実行なされ、ユーザーインターフェース180からCPU150に信号が入力され、本フローチャートが開始する。
【0031】
ステップS001では、信号処理部142が出力した被写体像のスルー画像データに対して、CPU150内の撮影条件算出に係る各処理部がスルー画像データ上の被写体の顔情報を検出し、検出した顔情報から顔領域のサイズを算出し、算出した顔領域のサイズから目の全開サイズを算出し、算出した目の全開サイズから撮像素子130上の基準目領域を算出し、基準目領域の読み出し条件を設定し、それらの情報をRAM162に記憶する。
【0032】
ここで、
図3を用いてステップS001の撮影条件算出におけるCPU150内の顔検出部201、顔領域算出部202、目の全開サイズ算出部203、基準目領域決定部204、読み出し条件設定部205、ユーザー通知部206及び撮影条件記憶部207の処理ステップについて説明する。
【0033】
ステップS101では、顔検出部201が信号処理部141が順次出力するスルー画像データから被写体の顔情報を検出する。本発明における顔検出の具体的方法は公知のものが採用でき、例えば目、口、鼻などの部位を検出することや、肌色領域を検出することで行われる。顔情報は、肌色領域と目領域をスルー画像データ上の座標として検出する。スルー画像データ上の座標は、肌色領域と目領域とをそれぞれ囲う四角い領域の境界部分の座標を検出する。スルー画像データから顔情報が検出されない場合、顔検出を繰り返す。顔情報が検出されると、ステップS102に進む。
【0034】
ステップS102では、顔領域算出部202がステップS101において検出した顔情報から顔領域のサイズを算出する。顔領域のサイズは、スルー画像データ上の肌色領域を囲う四角い領域の境界部分の座標から内部の領域を横方向のピクセルサイズ及び縦方向のピクセルサイズでそれぞれ算出する。
【0035】
ステップS103では、目の全開サイズ算出部203がステップS102において算出した顔領域のサイズから目の全開サイズを算出する。本発明における目の全開サイズの算出方法は、ROM161に記憶された予め決定された顔領域と目領域の大きさの比率データを利用し、ステップS102において算出した顔領域のサイズにおける目領域が最大となる状態(瞼が完全に開いている状態)のサイズを算出し、目の全開サイズとする。これにより顔検出時の被写体の表情によらず目が全開状態であるサイズを算出することが可能となる。目の全開サイズは縦方向のピクセルサイズ及び横方向のピクセルサイズによって表される。
【0036】
ステップS104では、基準目領域決定部204がステップS103において算出した目の全開サイズから撮像素子130上の目領域を決定する。ここで決定した撮像素子130上の目領域を基準目領域と定義する。基準目領域は、ステップS103において算出した目の全開サイズの中心をステップS101において検出したスルー画像データ上の目領域の座標情報の中心に合わせた領域に対応する撮像素子130上の横方向の画素及び縦方向の画素の領域として定義する。
【0037】
ステップS105では、読み出し条件設定部205がステップS104において決定した撮像素子130上の基準目領域を読み出すフレームレートF(単位:fps)が必要フレームレートF´(単位:fps)未満か又は以上かを判定し、フレームレートFが必要フレームレートF´未満の場合、すなわちF<F´の場合は基準目領域を間引き読み出し処理することでフレームレートFを必要フレームレートF´以上となるように読み出し条件を設定する。
【0038】
本実施例では、後述する撮影タイミングを算出するステップにおいて瞬き方向を検出するために、少なくとも瞬き動作(目を閉じてから開く動作)によって目が全開状態から全閉状態になる間の時間内に3フレームを取得できるように必要フレームレートF´の初期値を設定している。例えば、瞬き動作(目を閉じてから開く動作)にかかる時間を100msec、瞬き動作によって目が全開状態から全閉状態になるまでの時間を50msecとした時、必要フレームレートF´は約60fpsとなるので、フレームレートFを60fps以上となるように設定することで、瞬き動作によって目が全開状態から全閉状態になる間の時間内に3フレームを取得可能とする。瞬き動作によって目が全開状態から全閉状態になる間の時間内に3フレームを取得可能であるから、瞬き動作の周期とスルー画像データの取得周期によらず、瞬き動作によって目を閉じる方向か目を開く方向に瞼が動く途中の2フレームを取得することが可能となり、取得した2フレームの目のサイズの変化量から瞬き方向が算出可能となる。フレームレートFは可能な限り大きく設定することで、瞬き動作中の取得可能フレーム数を多くし、後述する撮影タイミングの判定ステップにおいて撮影タイミングを推定する精度を高めることが可能となる。
【0039】
間引き読み出し処理の設定は、例えば、撮像素子130上の基準目領域を画素毎の水平方向並びに垂直方向に1ピクセルずつ間引いて読み出すもしくは画素毎の水平方向並びに垂直方向に1行1列ずつ間引いて読み出すことで基準目領域を読み出す速度を高速化し、フレームレートFを必要フレームレートF´以上となるように設定する。なお、画素毎の間引きの間隔は一定でなくても良い。
【0040】
ステップS106では、ユーザー通知部206がステップS101からステップS104において検出及び算出した顔領域および基準目領域を画像表示部190に表示されるスルー画像データ上に各領域と位置を示す枠を重ねて表示する。
【0041】
ステップS107では、撮影条件記憶部207がステップS103からステップS105において算出した目の全開サイズ、基準目領域及び読み出し条件をRAM162に記憶する。記憶が完了すると、
図2のステップS002へ進む。
【0042】
ステップS002では、レリーズ判定部208がステップS002に至るまでにユーザーインターフェース180の一つであるレリーズボタンがユーザー操作によって押されたか否かを判定する。
【0043】
ステップS002に至るまでにユーザーインターフェース180の一つであるレリーズボタンがユーザー操作によって押されていなかった場合には、ステップS001に戻りフローチャートを実行する。
【0044】
ステップS002に至るまでにユーザーインターフェース180の一つであるレリーズボタンがユーザー操作によって押された場合には、ステップS003に進む。
【0045】
ステップS003では、撮影条件設定部301がステップS001においてRAM162に記憶した目の全開サイズ算出部203が算出した目の全開サイズと基準目領域決定部204が決定した撮像素子130上の基準目領域と読み出し条件設定部205が設定した読み出し条件である間引き読み出し処理の設定情報と撮像素子130上の基準目領域を読み出すフレームレートFを取得する。
【0046】
ステップS004では、撮影条件判定部302がRAM162に後述するスルー画像データ上の目のサイズと瞬き方向と視線方向とが取得されているかを判定する。取得されていない場合にはステップS005に進み、取得されている場合にはステップS006に進む。
【0047】
ステップS005では、撮像素子130上の基準目領域から得られる信号処理部141が出力したスルー画像データに対して、CPU150内の撮影タイミング算出に係る各処理部がステップS006における撮影タイミング判定に必要となるスルー画像データ上の目領域の状態を取得する。
【0048】
ここで、
図4を用いてステップS005の撮影タイミング算出におけるCPU150内の目領域読み出し部303、目のサイズ検出部304、瞬き時間算出部305、フレームレート判定部306、フレームレート変更部307、瞬き方向検出部308、視線検出部309及び条件保存部310の処理ステップについて説明する。
【0049】
ステップS501では、目領域読み出し部303がステップS003において取得した撮像素子130上の基準目領域をフレームレートFで読み出す。目領域読み出し部303が撮像素子130上の基準目領域をフレームレートFで読み出すと、撮像素子130上の基準目領域のスルー画像データをフレームレートFで信号処理部141が出力する。
【0050】
ステップS502では、目のサイズ検出部304がステップS501においてフレームレートFで順次出力されたスルー画像データ上の目領域の座標を検出し、目領域のサイズと目領域内の黒目の位置情報を検出する。目領域のサイズは、スルー画像データ上の目領域を囲う四角い領域の境界部分の座標からその内部の領域を横方向のピクセルサイズ及び縦方向のピクセルサイズでそれぞれ検出する。黒目の位置情報はスルー画像データ上の白目領域と黒目領域の境界を座標データとして検出する。撮像素子130上の基準目領域の間引き読み出し設定をしている場合は、間引きした画素に対応するスルー画像データ上のピクセルサイズ分を付加した目領域のサイズを算出する。
【0051】
ステップS503では、瞬き時間算出部305が、ステップS502において目のサイズ検出部304が検出した現在のスルー画像データ上の目領域のサイズとRAM162に記憶された1つ前のフレームで目のサイズ検出部304が検出したスルー画像データ上の目領域のサイズとの変化量と変化率を検出し、瞬き時間を算出する。RAM162に1つ前のフレームで目のサイズ検出部304が検出したスルー画像データ上の目領域のサイズが記憶されていない場合、瞬き時間を算出せずにステップS504に進む。瞬き時間の算出方法は、目の全開サイズ算出部203が算出した目の全開サイズと瞬き時間算出部305が検出したフレームレートFで順次出力されたスルー画像データ上の目領域のサイズの変化量とフレーム間時間から実際の瞬き動作(目を閉じてから開く動作)にかかる時間を算出し、瞬き動作によって目が全開状態から全閉状態になるまでの時間を算出する。例えば、目の全開サイズの縦方向のピクセルサイズを100pxとし、現在のフレームのスルー画像データ上の目領域の縦方向のピクセルサイズが50px、前のフレームのスルー画像データ上の目領域の縦方向のピクセルサイズが10px、フレームレートFが60fpsの時、フレーム間時間16msecの間に40px変化しているので、瞬き動作(目を閉じてから開く動作)にかかる時間は80msecとなり、瞬き動作によって目が全開状態から全閉状態になるまでの時間は40msecとなる。
【0052】
ステップS504では、フレームレート判定部306が、ステップS503において算出した瞬き動作によって目が全開状態から全閉状態になるまでの時間内に読み出し条件設定部205が設定した基準目領域を読み出すフレームレートFで少なくとも3フレーム取得可能かどうかを判定する。取得可能であるもしくはステップS503で瞬き時間を算出していなかった場合ステップS506に進む。取得可能でない場合ステップS505に進む。
【0053】
ステップS105において、フレームレートFは、瞬き動作(目を閉じてから開く動作)にかかる時間を100msec、瞬き動作によって目が全開状態から全閉状態になるまでの時間を50msecとした時、必要フレームレートF´は約60fpsとなることから、フレームレートFを60fps以上となるように設定している。ステップS503において、瞬き動作によって目が全開状態から全閉状態になるまでの時間が50msec以下であることが算出された場合、必要フレームレートF´は60fpsよりも大きくなり、フレームレートFで3フレーム取得することができないことがわかる。
【0054】
ステップS505では、フレームレート変更部307が、ステップS503において算出した瞬き時間から必要フレームレートF´を算出し、必要フレームレートF´以上になるように、RAM162に記憶された読み出し条件設定部204が設定したフレームレートFを変更する。
【0055】
瞬き動作にかかる時間は個人差があるため、実際の瞬き動作にかかる時間から必要フレームレートF´を再計算し、再計算した必要フレームレートF´以上となるようにフレームレートFを変更することで瞬き動作によって目が全開状態から全閉状態になるまでの時間が初期値設定時の条件と異なる場合でも3フレーム取得することが可能となる。例えば、ステップS503において、瞬き動作(目を閉じてから開く動作)にかかる時間が80msecであると算出された時、必要フレームレートF´は約75fpsとなるので、撮像素子130上の基準目領域を間引き読み出し処理することでフレームレートFが75fps以上になるように設定する。
【0056】
ステップS506では、瞬き方向検出部308がステップS502において検出したスルー画像データ上の目領域のサイズの変化量から瞬き方向を検出する。ステップS503で瞬き時間を算出していなかった場合、瞬き方向を検出せずにステップS507へ進む。瞬き方向の検出方法は、フレーム間のスルー画像データ上の目領域サイズの変化量の符号もしくはフレーム間のスルー画像データ上の目領域のサイズの変化率の符号によって検出する。フレームレートFは必要フレームレートF´以上、すなわち瞬き動作によって目が全開状態から全閉状態になるまでの時間内に少なくとも3フレーム取得可能なフレームレートであるので、瞬き動作の周期とスルー画像データの取得周期によらず、瞬き動作によって目を閉じる方向か目を開く方向に瞼が動く途中の2フレームを取得することが可能となり、フレーム間のスルー画像データ上の目領域サイズの変化量の符号もしくはフレーム間のスルー画像データ上の目領域のサイズの変化率の符号によって瞬き方向を検出することが可能となる。例えば、目の全開サイズ算出部203によって算出した目の全開サイズの縦方向のピクセルサイズが100pxであり、スルー画像データ上の目領域の縦方向のピクセルサイズが現在のフレームで64px、前のフレームで32pxであったとすると、変化量32で増加しているため、瞬き動作によって目が開く方向に動いているということがわかる。説明のため、以下目が開く方向を+(プラス)、目が閉じる方向を-(マイナス)と表す。
【0057】
ステップS507では、視線検出部309がステップS502において検出したスルー画像データ上の目領域内の黒目の位置情報から視線方向を検出する。本発明における視線方向検出の具体的方法は公知のものが採用でき、例えば、目領域内の黒目の位置情報が目領域の座標情報の中心から上下左右いずれかの方向に偏っていることから視線方向を判断する方法などがある。
【0058】
ステップS508では、条件保存部310がステップS502において検出したスルー画像データ上の目領域のサイズとステップS503において算出した現在のフレームと一つ前のフレームの目のサイズの変化率とステップS506において検出した瞬き方向とステップS507において検出した視線方向をRAM162に記憶する。記憶が完了すると、
図2のステップS004に進む。
【0059】
ステップS005における撮影タイミング算出の各ステップは、ステップS002においてレリーズ判定部208がステップS002に至るまでにユーザーインターフェース180の一つであるレリーズボタンがユーザー操作によって押されたか否かを判定するまでのフローチャートに繰り込む処理構成としても良い。ステップS005における撮影タイミング算出の各ステップをレリーズ判定以前に繰り込むことで、ユーザーが撮影する意図を持ってレリーズボタンを押す前に瞬き時間を検出し、フレームレートFを適切に設定することが可能となる。
【0060】
ステップS006では、タイミング判定部311がステップS508においてRAM162に記憶したスルー画像データ上の目領域のサイズと瞬き方向と視線方向とが次のフレームで最適になるかどうかを判定する。最適になると判定した場合には、ステップS007に進む。最適になると判定しなかった場合は、ステップS005に戻り、再度撮影タイミング算出を実行する。
【0061】
タイミング判定部311がRAM162に記憶されたスルー画像データ上の目領域のサイズと瞬き方向と視線方向とが次のフレームで最適になるかどうかを判定する方法は次の通りである。目のサイズについては、スルー画像データ上の目領域のサイズがRAM162に記憶されたフレーム間の目のサイズの変化率で変化した時に目の全開サイズ算出部203において算出した目の全開サイズになるタイミングが次のフレームであるかどうかを判定する。瞬き方向については、瞬き方向の符号が+(プラス)であるかどうかを判定する。視線方向については、視線検出で検出した黒目の位置情報からカメラ目線になるタイミングが次のフレームであるかどうかを判定する。本発明において、視線方向が最適になるかどうかを判定する方法は公知のものを採用でき、例えば、視線の周期から視線が撮像装置100の方向を向くタイミングを予測する方法などがある。
【0062】
ステップS007では、撮影指示部312が撮像素子130内部のバッファメモリに撮像素子130の全画素を読み出すタイミングフラグの割り込み指示を行い、ステップS008へ進む。
【0063】
ステップS008では、撮影指示部312が撮像素子130内部のバッファメモリに撮像素子130の全画素読み出しの露光時間について、ユーザーが設定したシャッタースピードに変更する指示を行う。シャッタースピードがオート(自動設定)になっている場合は、撮像装置100において算出した適切なシャッタースピードに変更する指示を行う。変更が完了するとステップS009に進む。
【0064】
ステップS009では、撮像素子130が全画素読み出しを実行し、記録媒体インターフェース170を経由して記録媒体171へ画像データを保存する。
【0065】
以上で説明したように、本発明に記載の撮像方法によれば、瞬きをしておらず、適切なシャッタータイミングで目の大きさが最適な写真を撮影することが可能となる。
【符号の説明】
【0066】
100 撮像装置
110 カメラ本体
120 レンズ光学系
130 撮像素子
141 信号処理部
142 画像処理部
150 CPU
161 ROM
162 RAM
170 記録媒体インターフェース
171 記録媒体
180 ユーザーインターフェース
190 画像表示部