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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023050268
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】アッパー及びシューズ
(51)【国際特許分類】
   A43B 23/02 20060101AFI20230404BHJP
【FI】
A43B23/02 101A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021160296
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000310
【氏名又は名称】株式会社アシックス
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 千早
(72)【発明者】
【氏名】矢野 晴嗣
(72)【発明者】
【氏名】中村 浩基
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050AA01
4F050BC03
4F050BC10
4F050HA28
4F050HA30
4F050HA73
(57)【要約】
【課題】環境負荷の低減を図りながら、アッパーと足との間に発生する隙間を埋めることができるアッパーを得ること。
【解決手段】アッパー2は、足Fの甲を覆うアッパー本体20を備える。アッパー本体20は、複数本の線状体25で構成されて1層で形成された第1の部分23と、第1の部分23を構成する複数本の線状体25のうち一部が一方の層となり複数本の線状体25のうち残部が他方の層となる2層で形成された袋状の第2の部分24と、を備える。第2の部分24の内部には、緩衝材4が入れられている。第2の部分24は、第1の部分23よりも着用者の足Fに向かって突出している。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
足の甲を覆うアッパー本体を備え、
前記アッパー本体は、複数本の線状体で構成されて1層で形成された第1の部分と、前記第1の部分を構成する複数本の前記線状体のうち一部が一方の層となり複数本の前記線状体のうち残部が他方の層となる2層で形成された袋状の第2の部分と、を備え、
前記第2の部分の内部には、緩衝材が入れられており、
前記第2の部分は、前記第1の部分よりも着用者の足に向かって突出している、アッパー。
【請求項2】
前記緩衝材は、線状体、ビーズ、フォーム材のうち少なくとも1つから成る、請求項1に記載のアッパー。
【請求項3】
前記第2の部分は、前記第1の部分よりも着用者の足と反対側に向かって突出している、請求項1又は2に記載のアッパー。
【請求項4】
前記アッパー本体は、着用者の足の前足部を覆うアッパー前足部と、着用者の足の中足部を覆うアッパー中足部と、着用者の足の後足部を覆うアッパー後足部と、を備え、
前記アッパー本体には、足を挿入するための履き口が形成され、
前記第2の部分は、前記アッパー中足部及び前記アッパー後足部のうち少なくとも1つに設けられている、請求項1から3のいずれか1項に記載のアッパー。
【請求項5】
前記第2の部分は、前記アッパー中足部の内足側領域、前記アッパー中足部の外足側領域、前記履き口の前方において前記履き口と隣接する領域、前記アッパー後足部において着用者の踵部に対応する領域、前記アッパー後足部において着用者の踝よりも下方の部分に対応する領域のうち少なくとも1つに設けられている、請求項4に記載のアッパー。
【請求項6】
前記アッパー本体は、前記アッパー中足部と連続して形成されて着用者の足底を覆うアッパー足底部を備え、
前記第2の部分は、前記アッパー中足部と前記アッパー足底部とに跨って設けられている、請求項4又は5に記載のアッパー。
【請求項7】
前記第2の部分は、複数に分割されている、請求項1から6のいずれか1項に記載のアッパー。
【請求項8】
前記アッパー本体は、前記第1の部分を構成する複数本の前記線状体のうち一部が一方の層となり複数本の前記線状体のうち残部が他方の層となる2層で形成された袋状の第3の部分を備え、
前記第3の部分は、前記アッパー本体のうち着用者の踵部に対応する領域に設けられ、
前記第3の部分の内部には、保形材が入れられている、請求項1から7のいずれか1項に記載のアッパー。
【請求項9】
前記保形材は、樹脂部材、もしくは、固化された線状体である、請求項8に記載のアッパー。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載のアッパーと、
前記アッパーの下方に位置するソールと、を備える、シューズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アッパー及びこのアッパーを備えるシューズに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アッパーを備えるシューズが知られている。特許文献1に開示されているように、平面状の材料を立体状に組み立てることでアッパーを製造するのが一般的である。このように製造されたアッパーでは、足の曲率が低い箇所において、アッパーと足との間に隙間が発生しやすい。アッパーと足との間に部分的に隙間があると、シューズを履いたときに足全体に均等に圧力がかからないため、足へのフィット感が低減する。そこで、アッパーと足との間に発生する隙間を埋める技術が開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、アッパーのうち隙間が発生する部分に裏材を取り付けて袋状の部分を形成し、袋状の部分の内部に軟質なスポンジを入れることで、着用者の足に向かって突出する凸部を設けたアッパーが開示されている。裏材は、糊や縫合等によりアッパーに取り付けられている。特許文献1に開示されたアッパーでは、凸部によりアッパーと足との間に発生する隙間を埋めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6306590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたアッパーでは、糊や縫合等により裏材をアッパーに取り付けて袋状の部分を形成するため、アッパーの製造工程数や廃材量が増加してしまい、環境負荷の増大を招くという問題がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、環境負荷の低減を図りながら、アッパーと足との間に発生する隙間を埋めることができるアッパーを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るアッパーは、足の甲を覆うアッパー本体を備え、アッパー本体は、複数本の線状体で構成されて1層で形成された第1の部分と、第1の部分を構成する複数本の線状体のうち一部が一方の層となり複数本の線状体のうち残部が他方の層となる2層で形成された袋状の第2の部分と、を備えている。第2の部分の内部には、緩衝材が入れられている。第2の部分は、第1の部分よりも着用者の足に向かって突出している。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るアッパーでは、環境負荷の低減を図りながら、アッパーと足との間に発生する隙間を埋めることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施の形態1に係るシューズのアッパー本体を示した展開図である。
図2図2は、実施の形態1に係るシューズを示した斜視図である。
図3図3は、図2に示されたIII-III線に沿った断面図である。
図4図4は、図2に示されたIV-IV線に沿った断面図である。
図5図5は、図1に示されたV-V線に沿った断面図である。
図6図6は、実施の形態2に係るシューズのアッパー本体を示した展開図である。
図7図7は、図6に示されるVII-VII線に沿った断面図である。
図8図8は、実施の形態3に係るシューズのアッパー本体を示した展開図である。
図9図9は、実施の形態4に係るシューズのアッパー本体を示した展開図である。
図10図10は、図9に示されたX-X線に沿った断面図である。
図11図11は、実施の形態4の変形例に係るシューズのアッパー本体を示した断面図であって、図9に示されたX-X線断面図に相当する図である。
図12図12は、実施の形態5に係るシューズのアッパー本体を示した展開図である。
図13図13は、実施の形態6に係るシューズのアッパー本体を示した展開図である。
図14図14は、実施の形態7に係るシューズのアッパー本体を示した断面図であって、図1に示されたV-V線断面図に相当する図である。
図15図15は、実施の形態8に係るシューズのアッパー本体を示した断面図であって、図1に示されたV-V線断面図に相当する図である。
図16図16は、実施の形態9に係るシューズのアッパー本体を示した断面図であって、図1に示されたV-V線断面図に相当する図である。
図17図17は、実施の形態10に係るシューズのアッパー本体を示した断面図であって、図1に示されたV-V線断面図に相当する図である。
図18図18は、実施の形態11に係るシューズのアッパー本体を示した断面図であって、図1に示されたV-V線断面図に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係るアッパー及びシューズの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。以下の説明において、同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0011】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るシューズ1のアッパー本体20を示した展開図である。図1を含む各図には、左足用のシューズ1のみを図示している。シューズ1は、左足用と右足用とで左右対称構造であるため、本実施の形態では左足用のシューズ1のみを説明し、右足用のシューズ1の説明を省略する。また、以下の説明においては、シューズ1を平面視した状態においてシューズ1の中心を通る垂線であるシューズセンター軸Cが延在する方向を前後方向と称し、シューズ1を平面視した状態において上記前後方向と直交する方向を足幅方向と称する。
【0012】
また、前後方向のうち、シューズ1において踵から爪先に向かう方向を前方と称し、前後方向のうち、シューズ1において爪先から踵に向かう方向を後方と称する。
【0013】
また、足のうちの解剖学的正位における正中側を内足側と称し、足のうちの解剖学的正位における正中側とは反対側を外足側と称する。すなわち、解剖学的正位における正中に近い側を内足側と称し、解剖学的正位における正中に遠い側を外足側と称する。
【0014】
また、上下方向とは、他に特段の記載がない限り、前後方向及び足幅方向の両方向に直交する方向を意味する。
【0015】
アッパー2は、標準的な体型の着用者の足の前足部を覆うアッパー前足部R1と、標準的な体型の着用者の足の中足部を覆うアッパー中足部R2と、標準的な体型の着用者の足の後足部を覆うアッパー後足部R3とを備えている。アッパー前足部R1、アッパー中足部R2及びアッパー後足部R3は、この順番でアッパー2の前方から前後方向に連なっている。
【0016】
アッパー2の前端からアッパー2の前後方向の寸法の概ね25%に相当する位置を通る足幅方向に沿った線を第1境界線S1とし、アッパー2の前端からアッパー2の前後方向の寸法の概ね80%に相当する位置を通る足幅方向に沿った線を第2境界線S2とする。第1境界線S1は、標準的な体型の着用者のMP関節に概ね沿った線である。第2境界線S2は、標準的な体型の着用者のショパール関節に概ね沿った線である。アッパー前足部R1は、第1境界線S1よりも前方に位置する部分である。アッパー中足部R2は、第1境界線S1と第2境界線S2との間に位置する部分である。アッパー後足部R3は、第2境界線S2よりも後方に位置する部分である。
【0017】
図2は、実施の形態1に係るシューズ1を示した斜視図である。シューズ1は、例えば、ランニングシューズ、他のスポーツシューズ、ウォーキングシューズ、登山用シューズとして用いられる。シューズ1は、アッパー2と、ソール3とを備えている。
【0018】
アッパー2は、ソール3の上方に位置する。アッパー2は、アッパー本体20と、シュータン21と、シューレース22とを備えている。
【0019】
アッパー本体20は、足の甲側の部分を覆う。アッパー本体20の上部には、着用者の足を挿入するための履き口20aと、履き口20aに連通して履き口20aから前方に延びるスロート部20bとが形成されている。スロート部20bの足幅方向の両側の側縁には、前後方向に互いに離隔する紐通し部20cが設けられている。紐通し部20cは、シューレース22を通すことが可能であればその構成は特に制限されないが、本実施の形態ではアッパー本体20を上下方向に貫通する貫通孔である。アッパー本体20は、第1の部分23と、複数の第2の部分24とを備えている。第1の部分23及び第2の部分24の詳細については後記する。なお、図2を含む各図では、第1の部分23と第2の部分24とを区別するために、第2の部分24をドットハッチングで図示している。
【0020】
シュータン21は、着用者の足の甲を保護するための部材である。シュータン21は、アッパー本体20の内部においてスロート部20bを覆う。シュータン21は、アッパー本体20に縫合、溶着、接着又はこれらの組み合わせによって固定されている。アッパー本体20及びシュータン21の材料には、例えば、糸を鎖形状に丸め、鎖形状の部分同士を引っ掛けて布状とする編物、縦糸と横糸とを一定の角度で交差させて布状とする織物、3本以上の組糸を互いに交差させるとともに斜めに走らせて布状とする組み物等が用いられる。特に通気性及び軽量性が求められるシューズ1においては、アッパー本体20及びシュータン21の材料には、ポリエステル糸を編み込んだダブルラッセル経編地が用いられることが好ましい。なお、シュータン21の材料は、例示した材料に限定されない。
【0021】
シューレース22は、スロート部20bの足幅方向の一方の側縁に設けられた紐通し部20cと足幅方向の他方の側縁に設けられた紐通し部20cとに交互に通される紐状の部材である。シューレース22は、アッパー本体20に着脱可能に取り付けられている。
【0022】
なお、本実施の形態ではシュータン21及びシューレース22を含むアッパー2を例に説明するが、アッパー2は、シュータン21に相当する部分がアッパー本体20の足首部分と一体となったモノソック構造であってもよい。また、アッパー本体20を足に密着させるためにシューレース22の代わりに面ファスナーを用いる構造であってもよい。面ファスナーを用いてアッパー本体20を足に密着させる場合、アッパー本体20に紐通し部20cは形成されない。
【0023】
ソール3は、アッパー2の下方に位置する。ソール3は、足裏を覆う。ソール3は、アウトソール30と、ミッドソール31とを備えている。ソール3は、縫合、溶着、接着又はこれらの組み合わせによってアッパー本体20に固定される。アウトソール30の下面は、地面に設置する接地面30aとなる。ミッドソール31は、アウトソール30の上面に位置しており、クッション性を有している。なお、アウトソール30は、ミッドソール31と一体であってもよい。ミッドソール31と一体化されたアウトソール30は、「ユニソール」とも称される。
【0024】
図3は、図2に示されたIII-III線に沿った断面図である。図4は、図2に示されたIV-IV線に沿った断面図である。なお、図3及び図4では、理解の容易化のために、第1の部分23及び第2の部分24に斜線ハッチングを付して、第1の部分23及び第2の部分24を簡略化して描いている。図3及び図4に示すように、ソール3は、アッパー本体20の下側開口を覆う中底32を備えている。中底32は、アッパー本体20の下縁に縫合により固定される。また、中底32は、ミッドソール31の上面に接着又は溶着により固定される。図示は省略するが、シューズ1は、中敷きを備えてもよい。シューズ1が中敷きを備える場合、中敷きは、アッパー2の内部でソール3の上に設置される。なお、ソール3は、中底32を省略した構造であってもよい。
【0025】
次に、図1図3図4及び図5を参照して、アッパー本体20の第1の部分23及び第2の部分24の構成について詳しく説明する。図5は、図1に示されたV-V線に沿った断面図である。なお、図5では、理解の容易化のために、着用者の足Fを模式的に図示しており、第1の部分23及び第2の部分24と足Fとの比率は実際の比率とは異なっている。図5に示すように、アッパー本体20は、複数本の線状体25で構成されて1層で形成された第1の部分23と、第1の部分23を構成する複数本の線状体25のうち一部が一方の層となり複数本の線状体25のうち残部が他方の層となる2層で形成された袋状の第2の部分24とを備えている。線状体25は、例えば、複数本の繊維を束ねた糸、樹脂を線状にした物等である。
【0026】
以下の説明において、第1の部分23及び第2の部分24においてアッパー本体20の外部の方向を向く側、すなわち着用者の足Fと反対に向かう側を「表側」、第1の部分23及び第2の部分24においてアッパー本体20の内部の方向を向く側、すなわち着用者の足Fに向かう側を「裏側」とする。また、以下の説明において、表側及び裏側のうち一方から他方に向かう方向に平行な方向を「表裏方向」とする。また、以下の説明において、第2の部分24の一方の層を「表層24a」、第2の部分24の他方の層を「裏層24b」とする。
【0027】
第1の部分23は、第2の部分24よりも厚さが薄い部分である。第1の部分23では、複数本の線状体25が1層の中で絡んでいる。すなわち、第2の部分24で表層24aと裏層24bとの2層に分かれている線状体25が、第1の部分23では1層を成すように絡んでいる。本明細書において「線状体25が絡んでいる」とは、線状体25が編み込まれていること、線状体25が織り込まれていること、線状体25が組み込まれていること等を含む意味である。
【0028】
第2の部分24は、第1の部分23よりも着用者の足Fに向かって突出する凸状部である。第2の部分24は、本実施の形態では第1の部分23よりも着用者の足Fと反対側に向かっても突出している。第2の部分24では、複数本の線状体25が表層24aと裏層24bとの2層を成すように絡んでいる。表層24aと裏層24bとは、表裏方向に互いに離隔している。表層24aは、第1の部分23よりも表側に凸となる円弧形状に形成されている。裏層24bは、第1の部分23よりも裏側に凸となる円弧形状に形成されている。
【0029】
第2の部分24の内部には、緩衝材4が入れられている。緩衝材4は、本実施の形態では線状体25とは別体で形成された複数本の線状体40である。線状体40は、例えば、複数本の繊維を束ねた糸、樹脂を線状にした物等である。複数本の線状体40のそれぞれは、線状体25に絡んでいない状態で配置されていて、表裏方向と直交する方向に直線状に延びている。複数本の線状体40は、互いに平行に配置されている。本実施の形態では、線状体40の全体が第2の部分24の内部に収まっているが、線状体40の一部が第2の部分24の外部に露出して第1の部分23で線状体25に絡んでもよい。なお、線状体40は、線状体25を絡ませて第1の部分23及び第2の部分24を形成する過程で、第2の部分24に入れられる。
【0030】
図1に示すように、第2の部分24は、アッパー中足部R2及びアッパー後足部R3のうち少なくとも1つに設けられていればよいが、本実施の形態ではアッパー中足部R2及びアッパー後足部R3に形成されている。第2の部分24は、アッパー中足部R2の内足側領域に設けられた側方部分24cと、アッパー後足部R3において着用者の踝よりも下方の部分に対応する領域に設けられた踝下部分24dとを含んでいる。
【0031】
側方部分24cの数は、特に制限されないが、本実施の形態ではスロート部20bの内足側に1つ設けられている。側方部分24cは、アッパー中足部R2においてアッパー本体20の前後方向に延びている。側方部分24cの形状は、特に制限されないが、本実施の形態では角部が丸みを帯びた矩形状である。
【0032】
踝下部分24dの数は、特に制限されないが、本実施の形態では履き口20aを挟んだ足幅方向の両側に1つずつの合計2つ設けられている。踝下部分24dは、アッパー後足部R3において履き口20aの縁に沿って延びている。踝下部分24dは、履き口20aの周囲に位置する。踝下部分24dの形状は、特に制限されないが、本実施の形態では角部が丸みを帯びた矩形状である。
【0033】
アッパー本体20は、アッパー本体20が組み立てられたときに縫合される2つの縫合縁部26を有している。アッパー本体20が組み立てられた状態における縫合縁部26の位置は、本実施の形態ではアッパー本体20の踵側の末端縁である。
【0034】
次に、本実施の形態に係るシューズ1の効果について説明する。
【0035】
本実施の形態では、図5に示すように、アッパー本体20は、複数本の線状体25で構成されて1層で形成された第1の部分23と、第1の部分23を構成する複数本の線状体25のうち一部が一方の層となり複数本の線状体25のうち残部が他方の層となる2層で形成された袋状の第2の部分24とを備えている。また、第2の部分24の内部には、緩衝材4である線状体40が入れられており、第2の部分24は、第1の部分23よりも着用者の足Fに向かって突出している。これらの構成により、第2の部分24及び緩衝材4によってアッパー本体20と足Fとの間に発生する隙間を埋めることができるため、シューズ1を履いたときの足Fへの圧力を分散させ、アッパー本体20と足Fとのフィット性を高めることができる。また、本実施の形態では、線状体25を用いた単一材料で第1の部分23及び第2の部分24が形成されるため、一度の作業工程で第1の部分23及び第2の部分24を形成できる。したがって、糊や縫合等により裏材をアッパー本体20に取り付けて袋状の第2の部分24を形成する必要がなく、アッパー本体20の製造工程数や廃材量等を減らして、環境負荷の低減を図ることができる。つまり、本実施の形態では、環境負荷の低減を図りながら、アッパー本体20と足Fとの間に発生する隙間を埋めることができる。
【0036】
本実施の形態では、図5に示すように、糊を使用することなく一度の作業工程で第2の部分24を形成できるため、アッパー本体20と裏材とを糊で接着して袋状の部分を形成する場合に比べて、第2の部分24を柔らかく仕上げることができる。
【0037】
本実施の形態では、図5に示すように、緩衝材4は、線状体40から成ることにより、緩衝材4の材料を第1の部分23及び第2の部分24の材料と同一にできるため、一度の作業工程で第1の部分23、第2の部分24及び緩衝材4を形成できる。これにより、アッパー本体20の製造工程数や廃材量等を更に減らして、環境負荷の低減をより一層図ることができる。また、緩衝材4の材料を第1の部分23及び第2の部分24の材料と同一にすることで、リサイクル効率も向上させることができる。
【0038】
本実施の形態では、図5に示すように、第2の部分24は、第1の部分23よりも着用者の足Fと反対側に向かって突出していることにより、シューズ1が人や物等に接触したときの衝撃を和らげることができる。
【0039】
本実施の形態では、図1に示すように、アッパー本体20は、着用者の足Fの前足部を覆うアッパー前足部R1と、着用者の足Fの中足部を覆うアッパー中足部R2と、着用者の足Fの後足部を覆うアッパー後足部R3とを備えている。また、アッパー本体20には、足を挿入するための履き口20aが形成されている。また、第2の部分24は、アッパー中足部R2及びアッパー後足部R3に設けられている。これらの構成により、アッパー中足部R2及びアッパー後足部R3のうち足Fとの間に発生する隙間を埋めることができる。特に、本実施の形態では、第2の部分24は、アッパー中足部R2の内足側領域とアッパー後足部R3において着用者の踝よりも下方の部分に対応する領域とに設けられていることにより、足Fとの間に発生しやすい隙間を確実に埋めることができる。
【0040】
なお、本実施の形態では、図1に示すように、側方部分24cの数は、本実施の形態ではスロート部20bを挟んだ足幅方向の内足側に1つであったが、複数でもよい。また、側方部分24cは、本実施の形態ではスロート部20bを挟んだ足幅方向の内足側のみに設けられているが、スロート部20bを挟んだ足幅方向の外足側のみに設けられてもよい。
【0041】
(実施の形態2)
図6は、実施の形態2に係るシューズ1Aのアッパー本体20を示した展開図である。図7は、図6に示されるVII-VII線に沿った断面図である。実施の形態2に係るシューズ1Aは、側方部分24cがスロート部20bを挟んだ足幅方向の外足側にも設けられる点と第3の部分27を備える点とで、実施の形態1に係るシューズ1と相違する。
【0042】
図6に示すように、第2の部分24は、本実施の形態ではアッパー中足部R2及びアッパー後足部R3に形成されている。第2の部分24は、アッパー中足部R2の内足側領域に設けられた側方部分24cと、アッパー中足部R2の外足側領域に設けられた側方部分24cと、アッパー後足部R3において着用者の踝よりも下方の部分に対応する領域に設けられた踝下部分24dとを含んでいる。
【0043】
側方部分24cは、本実施の形態ではスロート部20bを挟んだ足幅方向の両側にそれぞれ設けられている。側方部分24cの数は、特に制限されないが、本実施の形態ではスロート部20bの内足側と外足側とに1つずつの合計2つ設けられている。側方部分24cは、アッパー中足部R2においてアッパー本体20の前後方向に延びている。側方部分24cの形状は、特に制限されないが、本実施の形態では角部が丸みを帯びた矩形状である。外足側の側方部分24cの面積は、内足側の側方部分24cの面積よりも小さい。外足側の側方部分24cの前後方向の中心は、内足側の側方部分24cの前後方向の中心及びスロート部20bの前後方向の中心よりも前方に位置している。
【0044】
図7に示すように、アッパー本体20は、第1の部分23を構成する複数本の線状体25のうち一部が一方の層となり複数本の線状体25のうち残部が他方の層となる2層で形成された袋状の第3の部分27を備えている。第3の部分27の内部には、保形材28が入れられている。保形材28は、樹脂部材、もしくは、固化された線状体である。線状体は、例えば、熱により溶けて固まる糸等である。保形材28は、表層24aと裏層24bとに密着していて、第3の部分27の内部の全域に亘って充填されている。第3の部分27の厚さは、第1の部分23の厚さと同一又は略同一である。
【0045】
図6に示すように、第3の部分27は、アッパー後足部R3において着用者の踵部に対応する領域に設けられている。第3の部分27は、本実施の形態では履き口20aを挟んで足幅方向の両側に1つずつの合計2つ設けられている。第3の部分27は、踝下部分24dの下方に踝下部分24dと離隔して配置されている。第3の部分27は、踝下部分24dとソール3との間に位置する。第3の部分27の形状は、特に制限されないが、本実施の形態では概ね三角形状である。
【0046】
本実施の形態では、前記した実施の形態1と同様の効果を奏することができる。また、本実施の形態では、第2の部分24は、図6に示すように、アッパー中足部R2の内足側領域とアッパー中足部R2の外足側領域とアッパー後足部R3において着用者の踝よりも下方の部分に対応する領域とに設けられていることにより、足Fとの間に発生しやすい隙間を確実に埋めることができる。
【0047】
本実施の形態では、アッパー本体20は、図7に示すように、第1の部分23を構成する複数本の線状体25のうち一部が一方の層となり複数本の線状体25のうち残部が他方の層となる2層で形成された袋状の第3の部分27を備えている。また、第3の部分27は、アッパー後足部R3において着用者の踵部に対応する領域に設けられ、第3の部分27の内部には、保形材28が入れられている。これらの構成により、保形材28の収容部を第1の部分23と同じ材料で形成できる。また、従来使用されていたプラスチック製のヒールカウンターを、固化された線状体で代用できる。なお、図6に示される第3の部分27に代えて第2の部分24を設けてもよい。すなわち、第2の部分24がアッパー後足部R3において着用者の踵部に対応する領域に設けられてもよい。
【0048】
(実施の形態3)
図8は、実施の形態3に係るシューズ1Bのアッパー本体20を示した展開図である。実施の形態3に係るシューズ1Bは、縫合縁部26の位置が実施の形態1に係るシューズ1と相違する。
【0049】
図8に示される展開状態のアッパー本体20を組み立てると、縫合縁部26の位置は、スロート部20bの側方となる。すなわち、アッパー本体20が組み立てられた状態における縫合縁部26の位置は、実施の形態1ではアッパー本体20の踵側の末端縁であったが、本実施の形態ではスロート部20bの側方である。アッパー本体20が組み立てられた状態における縫合縁部26の位置は、本実施の形態ではスロート部20bの内足側であるが外足側でもよい。アッパー本体20の内足側部分は、アッパー本体20の外足側部分よりも後方に延びている。踝下部分24dは、一塊に形成されている。踝下部分24dは、アッパー後足部R3において履き口20aの縁に沿って延びている。図8に示されるアッパー本体20が組み立てられた状態で、踝下部分24dは、アッパー後足部R3において内足側から踵側の末端縁を通って外足側に亘って隙間無く連続して形成される。踝下部分24dは、履き口20aを囲むように延びている。
【0050】
本実施の形態では、前記した実施の形態1と同様の効果を奏することができる。また、本実施の形態では、アッパー本体20が組み立てられた状態における縫合縁部26の位置がスロート部20bの側方であることにより、アッパー後足部R3において内足側から踵側の末端縁を通って外足側に亘って隙間無く連続して踝下部分24dを形成できる。そのため、シューズ1Bを履いたときの足Fの踵部への圧力を分散させ、アッパー本体20と足Fの踵部とのフィット性を高めることができる。
【0051】
(実施の形態4)
図9は、実施の形態4に係るシューズ1Cのアッパー本体20を示した展開図である。実施の形態4に係るシューズ1Cは、第2の部分24が分割されている点が実施の形態1に係るシューズ1と相違する。
【0052】
図9に示すように、第2の部分24は、スロート部20bの内足側領域に設けられた側方部分24cと、アッパー後足部R3において着用者の踝よりも下方の部分に対応する領域に設けられた踝下部分24dとを含んでいる。側方部分24cは、仕切部24eによって複数の区画24fに分割されている。側方部分24cは、本実施の形態では前後方向に複数に分割されている。側方部分24cの区画24fの数は、特に制限されないが、本実施の形態では3つである。
【0053】
踝下部分24dは、履き口20aを挟んだ足幅方向の両側にそれぞれ設けられている。各踝下部分24dは、仕切部24gによって複数の区画24hに分割されている。踝下部分24dは、本実施の形態では前後方向に複数に分割されている。踝下部分24dの区画24fの数は、特に制限されないが、本実施の形態では2つである。なお、第2の部分24は、足幅方向に複数に分割されてもよいし、前後方向かつ足幅方向に複数に分割されてもよい。
【0054】
図10は、図9に示されたX-X線に沿った断面図である。仕切部24eは、本実施の形態では第1の部分23である。隣り合う区画24fの間には、第1の部分23が配置されている。すなわち、隣り合う区画24fは、第1の部分23を間に挟んで互いに間隔を空けて配置されている。仕切部24gも、仕切部24eと同様の構成である。
【0055】
図11は、実施の形態4の変形例に係るシューズ1Cのアッパー本体20を示した断面図であって、図9に示されたX-X線断面図に相当する図である。図11に示すように、仕切部24gは、例えば、表層24aと裏層24bとを互いに交差させて閉じる部分、表層24aと裏層24bとを互いに結合する部分等でもよい。隣り合う区画24fは、互いに間隔を空けずに隣接して配置されている。
【0056】
本実施の形態では、前記した実施の形態1と同様の効果を奏することができる。また、本実施の形態では、各第2の部分24が仕切部24e,24gによって複数の区画24f,24hに分割されることにより、各仕切部24e,24gと足Fとの間に隙間が形成されるため、アッパー本体20の内部の通気性を向上させることができる。また、本実施の形態では、各第2の部分24が仕切部24e,24gによって複数の区画24f,24hに分割されることにより、区画24f,24hごとに緩衝材4を入れられるため、区画24f,24hごとに緩衝材4の量を変えられる。これにより、各第2の部分24を部分的に厚くしたり薄くしたりすることができる。
【0057】
(実施の形態5)
図12は、実施の形態5に係るシューズ1Dのアッパー本体20を示した展開図である。実施の形態5に係るシューズ1Dは、縫合縁部26の位置とアッパー本体20がアッパー足底部R4を備えている点とが実施の形態1に係るシューズ1と相違する。
【0058】
図12に示すように、縫合縁部26の位置は、前記した実施の形態3と同様である。アッパー本体20は、アッパー中足部R2と連続して形成されて標準的な体型の着用者の足底を覆うアッパー足底部R4を備えている。アッパー足底部R4は、アッパー中足部R2の内足側の下縁に繋がっている。アッパー足底部R4は、アッパー前足部R1の下縁、アッパー中足部R2の下縁及びアッパー後足部R3の下縁に囲まれて形成される下側開口を覆う中底となる。アッパー本体20がアッパー足底部R4を備えている場合には、図3及び図4に示されるソール3の中底32を省略してもよい。アッパー足底部R4は、図3及び図4に示されるミッドソール31の上面に接着又は溶着により固定される。なお、シューズ1が中敷きを備える場合、中敷きは、アッパー本体20の内部でアッパー足底部R4の上に設置される。
【0059】
第2の部分24は、アッパー中足部R2とアッパー足底部R4とに跨って設けられる側方足底部分24iを含んでいる。側方足底部分24iは、アッパー中足部R2からアッパー足底部R4にかけて連続的に設けられている。側方足底部分24iの一部は、アッパー中足部R2において上下方向かつ前後方向に延びている。側方足底部分24iの残部は、アッパー足底部R4において足幅方向かつ前後方向に延びている。側方足底部分24iのうちアッパー足底部R4に位置する部分は、着用者の土踏まずに上下方向で対応する位置に設けられている。
【0060】
本実施の形態では、前記した実施の形態1と同様の効果を奏することができる。また、本実施の形態では、アッパー本体20は、アッパー中足部R2と連続して形成されて着用者の足底を覆うアッパー足底部R4を備え、第2の部分24は、アッパー中足部R2とアッパー足底部R4とに跨って設けられていることにより、着用者の土踏まずに上下方向で対応する位置にも凸状の第2の部分24を形成することができる。そのため、アッパー本体20と足Fの土踏まずとのフィット性を高めることができる。
【0061】
なお、第2の部分24は、本実施の形態では一塊に形成されているが、前後方向又は足幅方向に複数に分割されてもよいし、前後方向かつ足幅方向に複数に分割されてもよい。側方足底部分24iを分割する場合には、図10又は図11に示される仕切部24eをアッパー中足部R2とアッパー足底部R4との境界部分R5に沿って位置させることが好ましい。すなわち、側方足底部分24iがアッパー中足部R2からアッパー足底部R4にかけて断続的に設けられてもよい。
【0062】
図12に示されるようにアッパー中足部R2とアッパー足底部R4とを連続して形成した場合には、図2に示されるソール3をアッパー本体20に取り付けるときにアッパー中足部R2とアッパー足底部R4との境界部分R5に圧力が加わりやすい。そのため、第1の部分23よりも厚い第2の部分24を境界部分R5に位置させると、境界部分R5が綺麗に折れ曲がらない可能性がある。そこで、図10又は図11に示される仕切部24eをアッパー中足部R2とアッパー足底部R4との境界部分R5に沿って位置させることで、境界部分R5の厚さを薄くできるため、境界部分R5を綺麗に折り曲げることができる。
【0063】
(実施の形態6)
図13は、実施の形態6に係るシューズ1Eのアッパー本体20を示した展開図である。実施の形態6に係るシューズ1Eは、アッパー2がモノソック構造である点と第2の部分24の位置とが実施の形態1に係るシューズ1と相違する。
【0064】
図13に示すように、アッパー2は、実施の形態1のシュータン21に相当する部分がアッパー本体20の足首部分と一体となったモノソック構造である。第2の部分24は、本実施の形態ではアッパー中足部R2に形成されている。第2の部分24は、履き口20aの前方において履き口20aと隣接する領域に設けられている。第2の部分24は、実施の形態1のシュータン21に相当する部分に設けられている。
【0065】
本実施の形態では、前記した実施の形態1と同様の効果を奏することができる。また、本実施の形態では、第2の部分24は、履き口20aの前方において履き口20aと隣接する領域に設けられていることにより、第2の部分24がシュータン21に相当する部分となるため、足Fの甲への圧力を下げることができる。なお、第2の部分24は、本実施の形態では一塊に形成されているが、前後方向又は足幅方向に複数に分割されてもよいし、前後方向かつ足幅方向に複数に分割されてもよい。また、第2の部分24は、本実施の形態では左右対称に形成されているが、左右非対称に形成されてもよい。
【0066】
(実施の形態7)
図14は、実施の形態7に係るシューズ1Fのアッパー本体20を示した断面図であって、図1に示されたV-V線断面図に相当する図である。実施の形態7に係るシューズ1Fは、緩衝材4の構成が実施の形態1に係るシューズ1と相違する。
【0067】
図14に示すように、緩衝材4は、本実施の形態では線状体25とは別体で形成された複数本の線状体40である。図14には、1本の線状体40を図示しているが、実際には複数本の線状体40が紙面奥行方向に存在する。線状体40は、例えば、複数本の繊維を束ねた糸、樹脂を線状にした物等である。複数本の線状体40のそれぞれは、線状体25に絡んでいて、表層24aと裏層24bとを繋いでいる。各線状体40は、表層24aと裏層24bとに交互に繰り返し連結されており、表層24aと裏層24bとの間でジグザグ状に延びている。本実施の形態では、線状体40の全体が第2の部分24の内部に収まっているが、線状体40の一部が第2の部分24の外部に露出して第1の部分23で線状体25に絡んでもよい。なお、線状体40は、線状体25を絡ませて第1の部分23及び第2の部分24を形成する過程で、第2の部分24に入れられる。
【0068】
本実施の形態では、前記した実施の形態1と同様の効果を奏することができる。また、本実施の形態では、緩衝材4である線状体40が第2の部分24の表層24aと裏層24bとを繋ぐことにより、表層24aと裏層24bとの間隔を保つ力が高まる。そのため、第2の部分24の過度な膨らみを抑制することができるとともに、着用者がシューズ1Fを履いたときに第2の部分24が潰れ難くなり、アッパー本体20と足Fとのフィット性を高めることができる。
【0069】
(実施の形態8)
図15は、実施の形態8に係るシューズ1Gのアッパー本体20を示した断面図であって、図1に示されたV-V線断面図に相当する図である。実施の形態8に係るシューズ1Gは、第2の部分24の構成が実施の形態1に係るシューズ1と相違する。
【0070】
図15に示すように、第2の部分24は、第1の部分23よりも着用者の足Fに向かって突出しているが、第1の部分23よりも着用者の足Fと反対側に向かって突出していない。表層24aは、平坦状に形成されている。表層24aと第1の部分23のうち最も表側に位置する部分とは、表裏方向と直交する方向における位置が一致する。表層24aは、表裏方向と直交する方向に直線状に延びている。表層24aと線状体40とは、互いに平行に配置されている。裏層24bは、第1の部分23よりも裏側に凸となる円弧形状に形成されている。
【0071】
本実施の形態では、前記した実施の形態1と同様の効果を奏することができる。また、本実施の形態では、第2の部分24が第1の部分23よりも着用者の足Fのみに向かって突出していることにより、アッパー本体20の表面側の凹凸を抑制できるため、シューズ1Gの美的外観性を高めることができる。
【0072】
(実施の形態9)
図16は、実施の形態9に係るシューズ1Hのアッパー本体20を示した断面図であって、図1に示されたV-V線断面図に相当する図である。実施の形態9に係るシューズ1Hは、緩衝材4の構成が実施の形態1に係るシューズ1と相違する。
【0073】
図16に示すように、緩衝材4は、本実施の形態では線状体25とは別体で形成された複数本の線状体40である。線状体40は、例えば、複数本の繊維を束ねた糸、樹脂を線状にした物等である。複数本の線状体40のそれぞれは、線状体25に絡んでいない状態で配置されていて、ランダムに複数回曲がっている。なお、線状体40は、線状体25を絡ませて第1の部分23及び第2の部分24を形成した後に、第2の部分24で線状体25間の隙間又は第2の部分24に設けた開口から中空形状の針を挿入して、針から第2の部分24の内部へと注入される。第2の部分24に開口を設ける場合には、第2の部分24の裏層24b等の目立ちにくい箇所に設けることが好ましい。
【0074】
本実施の形態では、前記した実施の形態1と同様の効果を奏することができる。また、本実施の形態では、第2の部分24の形成後に線状体40を第2の部分24の内部に入れられるため、緩衝材4である線状体40の量を微調整することができる。
【0075】
(実施の形態10)
図17は、実施の形態10に係るシューズ1Iのアッパー本体20を示した断面図であって、図1に示されたV-V線断面図に相当する図である。実施の形態10に係るシューズ1Iは、緩衝材4の構成が実施の形態1に係るシューズ1と相違する。
【0076】
図17に示すように、緩衝材4は、本実施の形態では線状体25とは別体で形成された複数のビーズ41である。ビーズ41は、例えば、樹脂ビーズ等である。樹脂ビーズとして、例えば、発泡スチロールビーズ等が挙げられる。ビーズ41の形状は、特に制限されないが、本実施の形態では球状である。なお、ビーズ41は、線状体25を絡ませて第1の部分23及び第2の部分24を形成した後に、第2の部分24で線状体25間の隙間又は第2の部分24に設けた開口から第2の部分24の内部へと入れられる。
【0077】
本実施の形態では、前記した実施の形態1と同様の効果を奏することができる。また、本実施の形態では、緩衝材4がビーズ41であることにより、緩衝材4の衝撃緩衝性、硬度、反発性等を容易に調整することができる。
【0078】
(実施の形態11)
図18は、実施の形態11に係るシューズ1Jのアッパー本体20を示した断面図であって、図1に示されたV-V線断面図に相当する図である。実施の形態11に係るシューズ1Jは、緩衝材4の構成が実施の形態1に係るシューズ1と相違する。
【0079】
図18に示すように、緩衝材4は、本実施の形態では線状体25とは別体で形成されたフォーム材42である。フォーム材42は、例えば、ウレタンフォーム等である。フォーム材42の形状は、特に制限されないが、本実施の形態では直方体状である。なお、フォーム材42は、線状体25を絡ませて第1の部分23及び第2の部分24を形成した後に、第2の部分24で線状体25間の隙間又は第2の部分24に設けた開口から第2の部分24の内部へと入れられる。
【0080】
本実施の形態では、前記した実施の形態1と同様の効果を奏することができる。また、本実施の形態では、緩衝材4がフォーム材42であることにより、緩衝材4の衝撃緩衝性、硬度、反発性等を容易に調整することができる。なお、緩衝材4は、線状体40、ビーズ41、フォーム材42のうち少なくとも1つから成ればよい。換言すると、緩衝材4は、線状体40、ビーズ41、フォーム材42のうちから2つ以上を組み合わせてもよい。また、緩衝材4は、アッパー本体20と足Fとのフィット性を向上させることが可能であれば、前記した線状体40、ビーズ41、フォーム材42以外の物でもよい。緩衝材4として、例えば、綿、羽毛等が使用されてもよい。これらの緩衝材4は、単独で使用されてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
【0081】
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0082】
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H,1I,1J シューズ、2 アッパー、3 ソール、4 緩衝材、20 アッパー本体、20a 履き口、20b スロート部、20c 紐通し部、21 シュータン、22 シューレース、23 第1の部分、24 第2の部分、24a 表層、24b 裏層、24c 側方部分、24d 踝下部分、24e,24g 仕切部、24f,24h 区画、24i 側方足底部分、25,40 線状体、26 縫合縁部、27 第3の部分、28 保形材、30 アウトソール、30a 接地面、31 ミッドソール、32 中底、41 ビーズ、42 フォーム材、C シューズセンター軸、F 足、R1 アッパー前足部、R2 アッパー中足部、R3 アッパー後足部、R4 アッパー足底部、R5 境界部分、S1 第1境界線、S2 第2境界線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18