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特開2023-50287店舗売上管理システムおよび有価媒体処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023050287
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】店舗売上管理システムおよび有価媒体処理装置
(51)【国際特許分類】
   G07G 1/12 20060101AFI20230404BHJP
   G07D 11/24 20190101ALI20230404BHJP
【FI】
G07G1/12 341A
G07D11/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021160322
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】諸岡 雅喜
(72)【発明者】
【氏名】多胡 隆範
【テーマコード(参考)】
3E141
3E142
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141AA08
3E141BA10
3E141CA12
3E141CA17
3E141FH05
3E141FK03
3E142EA19
3E142FA23
3E142FA39
3E142JA01
(57)【要約】
【課題】集計データと売上データとの照合に要するデベロッパ側システムの手間を軽減し、入力ミスや違算等の事象を速やかに検知可能なシステムを実現する。
【解決手段】店舗の売り上げに関するデータを処理するテナント側システム10と、処理されたデータを管理するデベロッパ側システム20と、を備える。テナント側システム10は、売上データを印字した精算ジャーナルを読み取った結果に基づいて第1の金額データを生成する精算ジャーナル処理手段と、店舗における売上を計数した計数データに基づいて第2の金額データを生成する有価媒体処理手段と、第1の金額データと第2の金額データを照合する照合手段と、照合結果をデベロッパ側システム20へ送信する送信手段と、を備える。デベロッパ側システム20は、テナント側システム10から送信された照合結果の金額データを受信する受信手段と、受信した金額データを管理する管理手段と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
店舗の売り上げに関するデータを処理する第1のシステムと、
前記第1のシステムで処理されたデータを管理する第2のシステムと、を備え、
前記第1のシステムは、
売上データを印字した精算ジャーナルに対して文字認識処理を行った結果に基づいて、予め定められた設定項目毎の金額の情報を記録した第1の金額データを生成する精算ジャーナル処理手段と、
店舗における売上を計数した計数データを取得し、前記計数データに基づいて、前記設定項目毎の金額の情報を記録した第2の金額データを生成する有価媒体処理手段と、
前記第1の金額データと前記第2の金額データを照合する照合手段と、
前記照合手段により照合された金額データを前記第2のシステムへ送信する送信手段と、を備え、
前記第2のシステムは、
前記第1のシステムから送信された前記金額データを受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した前記金額データを管理する管理手段と、を備えることを特徴とする、店舗売上管理システム。
【請求項2】
前記第1のシステムは、当該第1のシステムのユーザによる操作を受け付けて、前記第1の金額データおよび前記第2の金額データの少なくとも一方に対する修正を行う修正手段をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の店舗売上管理システム。
【請求項3】
前記第2のシステムは、当該第2のシステムのユーザによる操作を受け付けて、前記第1のシステムから送信された前記金額データを編集する編集手段をさらに備えることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の店舗売上管理システム。
【請求項4】
前記第1のシステムにおける前記精算ジャーナル処理手段および前記有価媒体処理手段の何れか一方は、他方により前記金額データが生成されたことを条件として、自身における金額データの生成処理が実行可能となることを特徴とする、請求項1乃至請求項3の何れかに記載の店舗売上管理システム。
【請求項5】
前記第1のシステムは、店舗の売上に係る有価媒体の入金を受け付ける入金機をさらに備え、
前記第1のシステムの前記有価媒体処理手段は、前記入金機に入金された有価媒体を計数して得られた計数データを取得することを特徴とする、請求項1乃至請求項4の何れかに記載の店舗売上管理システム。
【請求項6】
前記入金機は、前記精算ジャーナル処理手段により前記金額データが生成されたことを条件として、入金処理が実行可能となることを特徴とする、請求項5に記載の店舗売上管理システム。
【請求項7】
前記第2のシステムは、前記金額データにおける設定項目のうち、前記第1のシステムの前記照合手段により照合される設定項目とは異なる設定項目に関して照合を行う照合手段をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の店舗売上管理システム。
【請求項8】
前記第2のシステムは、店舗における売上に関する売上関連データを前記第1のシステムとは異なるシステムから取得するデータ取得手段をさらに備え、
前記第2のシステムの前記照合手段は、前記受信手段により受信した前記金額データと前記データ取得手段により取得した前記売上関連データとを照合することを特徴とする、請求項7に記載の店舗売上管理システム。
【請求項9】
店舗の売上に係る有価媒体の入金を受け付ける入金部と、
売上データを印字した精算ジャーナルを読み取り、文字認識処理を行う読み取り部と、
前記読み取り部による前記精算ジャーナルに対する文字認識処理の結果に基づいて、予め定められた設定項目毎の金額の情報を記録した第1の金額データを生成する第1金額データ生成部と、
前記入金部に入金された有価媒体を計数して得られた計数データに基づいて、前記設定項目毎の金額の情報を記録した第2の金額データを生成する第2金額データ生成部と、
前記第1の金額データと前記第2の金額データを照合する照合部と、
前記照合部による照合結果を外部装置へ送信する送信部と、
を備えることを特徴とする、有価媒体処理装置。
【請求項10】
前記入金部は、前記第1金額データ生成部により前記第1の金額データが生成されたことを条件として、有価媒体の入金の受け付けが可能となることを特徴とする、請求項9に記載の有価媒体処理装置。
【請求項11】
前記第2金額データ生成部の動作に関して、前記入金部に有価媒体が入金された場合に、直ちに入金された有価媒体の計数データに基づく前記第2の金額データを生成する第1の動作モードと、前記入金部に有価媒体が入金された場合に、前記第2の金額データを生成せず、入金された有価媒体の計数データを保持する第2の動作モードとを切り替える切り替え制御部をさらに備えることを特徴とする、請求項10に記載の有価媒体処理装置。
【請求項12】
前記切り替え制御部は、
前記第1金額データ生成部により前記第1の金額データが生成され、かつ前記入金部に有価媒体が入金された場合に、前記第2金額データ生成部を前記第1の動作モードで動作させ、
前記第1金額データ生成部により前記第1の金額データが生成されずに前記入金部に有価媒体が入金された場合に、前記第2金額データ生成部を前記第2の動作モードで動作させることを特徴とする、請求項11に記載の有価媒体処理装置。
【請求項13】
前記第2金額データ生成部は、前記第1の動作モードで動作する際、保持されている計数データが存在する場合は、当該保持されている計数データと前記入金部に入金された有価媒体の計数データとの累計額に基づいて前記第2の金額データを生成することを特徴とする、請求項11または請求項12に記載の有価媒体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗売上管理システムおよび有価媒体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のテナントが営業する商業施設では、各テナントの売り上げを管理するための処理が行われる。この処理は、テナントの担当者による操作を受け付けるテナント側システムと、商業施設を管理するデベロッパに管理されるデベロッパ側システムとにより実行される。まず、各テナントの売上金がテナント側システムの有価媒体処理装置に入金され計数される。また、各テナントの金銭登録機において登録された売上データがデベロッパ側システムの管理サーバに格納される。ここで、売上データは、例えば、売上データが記録された精算ジャーナル(レジ締めレシート、集計結果ジャーナル等とも呼ばれる)をテナント側システムの読み取り装置で読み取ることにより取得され、管理サーバへ送られる。精算ジャーナルは、例えば、テナントにおける閉店処理において金銭登録機から印字出力される。そして、管理サーバは、有価媒体処理装置で計数された計数データと管理サーバに格納された売上データとを照合する。
【0003】
例えば、特許文献1には、精算ジャーナル処理装置および集計データ入力装置がネットワーク5を介して管理サーバにデータ通信可能に接続された店舗売上管理システムが開示されている。同文献に記載された店舗売上管理システムにおいて、精算ジャーナル処理装置は、精算ジャーナルの画像を処理して生成した第1の報告データを管理サーバに送信する。集計データ入力装置は、操作部において入力された集計データを基に生成した第2の報告データを管理サーバに送信する。管理サーバは、第1の報告データと第2の報告データとを照合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-101531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の売上管理システムでは、テナント側システムで個別に入力された計数データおよび売上データをデベロッパ側システムで照合するため、入力ミスや違算があった場合、それらの事象が発覚するまでに時間を要する。また、複数のテナントのデータ照合をデベロッパ側システムで行うため、処理が煩雑である。
【0006】
本発明は、集計データと売上データとの照合に要するデベロッパ側システムの手間を軽減し、入力ミスや違算等の事象を速やかに検知可能なシステムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成する本発明は、店舗の売り上げに関するデータを処理する第1のシステムと、この第1のシステムで処理されたデータを管理する第2のシステムと、を備え、第1のシステムは、売上データを印字した精算ジャーナルに対して文字認識処理を行った結果に基づいて、予め定められた設定項目毎の金額の情報を記録した第1の金額データを生成する精算ジャーナル処理手段と、店舗における売上を計数した計数データを取得し、この計数データに基づいて、設定項目毎の金額の情報を記録した第2の金額データを生成する有価媒体処理手段と、第1の金額データと第2の金額データを照合する照合手段と、照合手段により照合された金額データを第2のシステムへ送信する送信手段と、を備え、第2のシステムは、第1のシステムから送信された金額データを受信する受信手段と、受信手段により受信した金額データを管理する管理手段と、を備えることを特徴とする、店舗売上管理システムである。
ここで、第1のシステムは、この第1のシステムのユーザによる操作を受け付けて、第1の金額データおよび第2の金額データの少なくとも一方に対する修正を行う修正手段をさらに備える構成としても良い。
また、第2のシステムは、この第2のシステムのユーザによる操作を受け付けて、第1のシステムから送信された金額データを編集する編集手段をさらに備える構成としても良い。
また、第1のシステムにおける精算ジャーナル処理手段および前記有価媒体処理手段の何れか一方は、他方により前記金額データが生成されたことを条件として、自身における金額データの生成処理が実行可能となる構成としても良い。
また、第1のシステムは、店舗の売上に係る有価媒体の入金を受け付ける入金機をさらに備え、第1のシステムの有価媒体処理手段は、入金機に入金された有価媒体を計数して得られた計数データを取得する構成としても良い。
また、入金機は、精算ジャーナル処理手段により金額データが生成されたことを条件として、入金処理が実行可能となる構成としても良い。
また、第2のシステムは、金額データにおける設定項目のうち、第1のシステムの照合手段により照合される設定項目とは異なる設定項目に関して照合を行う照合手段をさらに備える構成としても良い。
また、第2のシステムは、店舗における売上に関する売上関連データを第1のシステムとは異なるシステムから取得するデータ取得手段をさらに備え、第2のシステムの照合手段は、受信手段により受信した金額データとデータ取得手段により取得した売上関連データとを照合する構成としても良い。
また、上記の目的を達成する他の本発明は、店舗の売上に係る有価媒体の入金を受け付ける入金部と、売上データを印字した精算ジャーナルを読み取り、文字認識処理を行う読み取り部と、読み取り部による精算ジャーナルに対する文字認識処理の結果に基づいて、予め定められた設定項目毎の金額の情報を記録した第1の金額データを生成する第1金額データ生成部と、入金部に入金された有価媒体を計数して得られた計数データに基づいて、設定項目毎の金額の情報を記録した第2の金額データを生成する第2金額データ生成部と、第1の金額データと第2の金額データを照合する照合部と、照合部による照合結果を外部装置へ送信する送信部と、を備えることを特徴とする、有価媒体処理装置である。
ここで、入金部は、第1金額データ生成部により第1の金額データが生成されたことを条件として、有価媒体の入金の受け付けが可能となる構成としても良い。
また、第2金額データ生成部の動作に関して、入金部に有価媒体が入金された場合に、直ちに入金された有価媒体の計数データに基づく第2の金額データを生成する第1の動作モードと、入金部に有価媒体が入金された場合に、第2の金額データを生成せず、入金された有価媒体の計数データを保持する第2の動作モードとを切り替える切り替え制御部をさらに備える構成としても良い。
また、切り替え制御部は、第1金額データ生成部により第1の金額データが生成され、かつ入金部に有価媒体が入金された場合に、第2金額データ生成部を第1の動作モードで動作させ、第1金額データ生成部により第1の金額データが生成されずに入金部に有価媒体が入金された場合に、第2金額データ生成部を第2の動作モードで動作させる構成としても良い。
また、第2金額データ生成部は、第1の動作モードで動作する際、保持されている計数データが存在する場合は、当該保持されている計数データと入金部に入金された有価媒体の計数データとの累計額に基づいて第2の金額データを生成する構成としても良い。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、集計データと売上データとの照合に要するデベロッパ側システムの手間を軽減し、入力ミスや違算等の事象を速やかに検知可能なシステムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態による店舗売上管理システムの全体構成を示す図である。
図2】有価媒体処理装置の構成を示す図である。
図3】精算ジャーナルの構成を示す図である。
図4】日報管理サーバのハードウェア構成を示す図である。
図5】日報管理サーバの機能構成を示す図である。
図6】有価媒体処理装置の動作を示すフローチャートである。
図7】日報管理サーバの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<システム構成>
図1は、本実施形態による店舗売上管理システムの全体構成を示す図である。店舗売上管理システムは、複数のテナント(店舗)が営業する商業施設におけるテナントごとの売り上げを管理するシステムである。店舗売上管理システムは、テナント側システム(第1のシステム)10と、デベロッパ側システム(第2のシステム)20とを含む。テナント側システム10は、テナントの担当者による操作を受け付け、テナントごとの売り上げを処理する有価媒体処理装置100を有する。有価媒体処理装置100は、例えば、商業施設のバックヤードに設けられた入金室に設置される。デベロッパ側システム20は、商業施設を管理するデベロッパの担当者による操作を受け付け、テナント側システム10から取得されるデータを管理する日報管理サーバ200を有する。日報管理サーバ200は、例えば、商業施設のバックヤードに設けられた会計室に設置される。
【0011】
テナント側システム10において、各テナントの担当者は、有価媒体処理装置100を操作して、自テナントの売り上げを計数させる。また、各テナントの担当者は、有価媒体処理装置100を操作して、自テナントの営業終了時の操作において金銭登録機から出力される精算ジャーナルを読み取らせる。有価媒体処理装置100は、これらの動作によって得られるデータを処理し、処理結果をデベロッパ側システム20の日報管理サーバ200へ送信する。日報管理サーバ200は、有価媒体処理装置100から取得したデータを管理すると共に、店舗売上管理システムの上位のシステムに設けられた売上管理サーバ300へ送信する。
【0012】
売上管理サーバ300は、商業施設ごとの日報管理サーバ200から各商業施設、各テナントの売り上げに関する情報を収集して管理するサーバである。売上管理サーバ300は、例えば、ネットワーク上にクラウドサーバ等として設けられる。
【0013】
有価媒体処理装置100と日報管理サーバ200とは、ネットワークを介して接続されている。このネットワークは、例えば、専用回線によるLAN(Local Area Network)であっても良いし、WAN(Wide Area Network)やインターネット上に設定されたVPN(Virtual Private Network)等を用いても良い。日報管理サーバ200と売上管理サーバ300とは、ネットワークを介して接続されている。このネットワークは、例えば、インターネットであっても良いし、LANやWANであっても良い。
【0014】
<有価媒体処理装置100の構成>
図2は、有価媒体処理装置100の構成を示す図である。有価媒体処理装置100は、入金部110と、読み取り部120と、操作部130と、処理部140と、表示部150と、送信部160と、切り替え制御部170とを備える。入金部110には、収納部(図示せず)が設けられている。処理部140には、第1金額データ生成部141と、第2金額データ生成部142と、照合部143とが含まれる。
【0015】
入金部110は、テナントにおいて商品の販売等の活動により得られた有価媒体の入金を受け付け、処理する装置である。処理対象である有価媒体には、硬貨および紙幣などの貨幣の他、商品券やクーポン、ポイントサービスのポイント、電子マネーによる決済等、商品等の対価として用い得る種々の媒体が含まれる。なお、詳しくは後述するが、クレジットカードによる決済の情報は、有価媒体処理装置100を介さない別の経路で日報管理サーバ200へ送られるため、ここでは入金部110の処理対象とはしない。
【0016】
入金部110は、有価媒体を投入する投入口を有し、テナントごとに有価媒体の投入を受け付ける。入金部110は、例えば入金機により実現される。入金部110には、例えば各テナントにおける1日の営業の終了後に、テナントごとの当日の売り上げに係る有価媒体が投入される。入金部110は、投入口から投入された有価媒体を硬貨と貨幣やその他の媒体の種類に応じて仕分けし、媒体ごとに金額を計数する。そして、入金部110は、計数結果のデータを処理部140に送る。また、入金部110は、収納部を有する。収納部には、計数処理の済んだ有価媒体が収納される。
【0017】
読み取り部120は、用紙に印刷された精算ジャーナルを読み取る装置である。精算ジャーナルは、テナントにおける売り上げを集計したデータ(以下、「売上データ」と呼ぶ)を記録したジャーナル(紙片)である。精算ジャーナルは、各テナントの金銭登録機において、例えば1日の営業の終了後に当日の売上データを印字出力することにより作成される。
【0018】
読み取り部120は、いわゆるスキャナ装置を備え、読み取り位置にセットされた精算ジャーナルを光学的に読み取り、読み取り画像(画像データ)を生成する。画像の読み取り方式としては、例えば、光源から原稿に照射した光に対する反射光をレンズで縮小してCCD(Charge Coupled Devices)で受光するCCD方式や、LED(Light Emitting Diode)光源から原稿に順に照射した光に対する反射光をCIS(Contact Image Sensor)で受光するCIS方式が用いられる。
【0019】
また、読み取り部120は、OCR(Optical Character Recognition/Reader)機能を有する。このOCR機能を用いて精算ジャーナルの読み取り画像に対して文字認識処理を行うことにより、精算ジャーナルに記録された内容のテキストデータが得られる。
【0020】
操作部130は、有価媒体処理装置100の使用者が命令やデータを入力するために操作する装置である。有価媒体処理装置100の使用者は、例えば、テナントの担当者である。操作部130により入力される命令やデータには、例えば、有価媒体処理装置100の各機能による動作や各処理の実行命令や選択命令、入金部110による入金操作によっては得られない売り上げに関する情報等が含まれる。具体的には、営業日や客数等の情報を操作部130の操作により入力しても良い。操作部130としては、入力されるデータの種類や入力方法に応じて各種の入力デバイスが用いられる。例えば、使用者が入力操作を行うためのキーボード、操作画面を表示するディスプレイとタッチセンサとを組み合わせたタッチパネル、入力するデータを記録した記録媒体からデータを読み取るための読み取り装置等が用いられる。
【0021】
処理部140は、入金部110および読み取り部120により取得したデータに対するデータ処理を行う装置である。処理部140は、金額データを生成する第1金額データ生成部141および第2金額データ生成部142と、生成された金額データを照合する照合部143とを含む。
【0022】
第1金額データ生成部141は、読み取り部120により読み取った精算ジャーナルのテキストデータを解析し、解析結果に基づいて、有価媒体の種類や決済方法等の予め定められた設定項目ごとの金額の情報を記録した金額データを生成する。第1金額データ生成部141は、精算ジャーナル処理手段の一例である。精算ジャーナルの書式は、各テナントの金銭登録機により設定されるため、テナントごとに異なる場合がある。そこで、テナントごとの精算ジャーナルにおける項目の種類や位置、印字される文字種等のパラメータ情報を予め記憶しておき、処理しようとする精算ジャーナルのテナントに対応するパラメータ情報を用いて認識した精算ジャーナルのテキストを解析しても良い。
【0023】
第2金額データ生成部142は、入金部110から売り上げの計数結果のデータを取得し、取得した計数結果に基づいて、有価媒体の種類や決済方法等の予め定められた設定項目ごとの金額の情報を記録した金額データを生成する。第2金額データ生成部142は、有価媒体処理手段の一例である。決済方法の情報等、入金部110に投入された有価媒体から直接的には得られない情報については、例えば、テナントの担当者が操作部130を操作して入力しても良い。以下の説明において、第1金額データ生成部141により生成された金額データと第2金額データ生成部142により生成された金額データとを区別する場合、前者を第1の金額データと記載し、後者を第2の金額データと記載する。
【0024】
ここで、第1金額データ生成部141および第2金額データ生成部142の動作において、相互の動作状況に基づく一定の制限を課しても良い。例えば、第1金額データ生成部141および第2金額データ生成部142の何れか一方は、他方により金額データが生成されたことを条件として、自身における金額データの生成処理が実行可能となるように構成しても良い。
【0025】
金額データの生成処理の制限は、単に処理部140における処理の実行を制限するだけでなく、第1金額データ生成部141および第2金額データ生成部142による処理の前提となる構成の動作を制限することにより実現しても良い。一例として、第1金額データ生成部141により金額データが生成されたことを条件として、第2金額データ生成部142による金額データの生成が可能となる場合を考える。この場合、第2金額データ生成部142に売り上げの計数結果を提供する入金部110の動作を制限しても良い。具体的には、第1金額データ生成部141により第1の金額データが生成されたことを入金部110の動作条件とする。これにより、第1金額データ生成部141により金額データが生成された後に、入金部110への入金が可能となり、第2金額データ生成部142による金額データの生成が可能となる。
【0026】
照合部143は、第1金額データ生成部141により生成された第1の金額データと、第2金額データ生成部142により生成された第2の金額データとを照合する。照合部143は、第1の金額データおよび第2金額データに対し、設定項目ごとに一致しているか否かを判断する。照合部143による判断対象となる設定項目は、金額データにおける全ての設定項目でなくても良い。金額データは、有価媒体処理装置100で処理された後、デベロッパ側システム20の日報管理サーバ200へ送られる。そして、金額データには、設定項目によっては、デベロッパ側システム20において処理される情報が含まれる。したがって、照合部143は、少なくともテナント側システム10において処理されることが求められる設定項目に関して照合処理を行えば良い。
【0027】
処理部140は、照合部143による照合処理の結果、第1の金額データと第2の金額データとが一致しない場合、有価媒体処理装置100の使用者による修正操作を受け付けて金額データを修正する。また、処理部140は、金額データの値や情報に誤りがある場合、有価媒体処理装置100の使用者による修正操作を受け付けて、金額データにおける該当項目の値や情報を修正する。金額データの修正は、例えば、表示部150に第1の金額データおよび第2の金額データが一致しないことを示すエラーメッセージと共に、これらの金額データを、設定項目を対応させて並べて表示し、設定項目ごとに選択を受け付けて、選択された値に統一することで行っても良い。また、金額データの設定項目ごとに正しい値の入力を受け付け、金額データの値を入力された値に変更することで行っても良い。第1の金額データおよび第2の金額データを並べて表示する場合、一致していない設定項目を他の設定項目の表示態様とは異なる表示態様で表示し、視認しやすくしても良い。正しい値の選択操作や入力操作は、金額データに対応するテナントの担当者である有価媒体処理装置100の使用者により操作部130を用いて行われる。処理部140は、修正手段の一例である。
【0028】
ここで、照合部143による照合処理の結果、第1の金額データと第2の金額データとが一致しない場合であっても、予め定められた条件を満たす場合、処理部140による修正処理を省略可能としても良い。修正処理を省略する条件としては、例えば、有価媒体処理装置100の使用者により操作部130を用いて修正処理の省略を指示する操作が行われたことであっても良い。また、上記の第1の金額データおよび第2の金額データが一致しないことを示すエラーメッセージが表示部150に表示された後、有価媒体処理装置100の使用者による修正操作が行われないまま予め定められた時間が経過したこととしても良い。修正処理が省略された場合、照合結果のデータには、第1の金額データと第2の金額データとが一致していないことを示すデータ(フラグ等)が付される。
【0029】
表示部150は、各種の情報を表示する装置である。表示部150としては、液晶ディスプレイや、LED(Light Emitting Diode)表示機等が用いられる。表示部150は、操作部130としてタッチパネルが用いられる場合において操作画面を表示するディスプレイを兼ねても良い。表示部150には、有価媒体処理装置100の処理部140による処理や操作部130に対する操作に応じて、金額データやその他の情報が表示される。具体的には、例えば、入金部110に有価媒体が入金された際の計数結果、読み取り部120により読み取られた精算ジャーナルの画像やテキストデータ、第1金額データ生成部141および第2金額データ生成部142により生成された金額データ、照合部143による照合結果などが、処理の進行に応じて表示される。
【0030】
送信部160は、ネットワークを介して日報管理サーバ200に接続し、照合部143による照合結果を送信する。送信部160は、ネットワークに接続するためのネットワーク・インターフェイスを備える。照合結果には、例えば、テナントを特定する情報、そのテナントに関する照合部143の照合処理により第1の金額データと第2の金額データとが一致したことを示す情報、照合処理を経た金額データ等が含まれる。なお、第1の金額データと第2の金額データとが一致したことを示す情報と、照合処理を経た金額データとを分離して個別に送信しても良い。また、第1の金額データと第2の金額データとが一致しておらず、修正処理が省略された場合、これらの金額データが一致していないことを示す情報と、第1の金額データおよび第2の金額データの両方とを送信しても良い。
【0031】
切り替え制御部170は、第2金額データ生成部142の動作モードを切り替える制御装置である。第2金額データ生成部142の動作モードには、第1の動作モードと第2の動作モードとが含まれる。第1の動作モードは、入金部110に有価媒体が入金された場合に、第2金額データ生成部142が直ちに入金された有価媒体の計数データに基づく第2の金額データを生成する動作モードである。第2の動作モードは、入金部110に有価媒体が入金された場合に、第2金額データ生成部142が第2の金額データを生成せず、入金された有価媒体の計数データを保持する動作モードである。第2の動作モードで保持される計数データは、入金部110が管理しても良いし、第2金額データ生成部142が管理しても良い。
【0032】
切り替え制御部170は、予め定められた切り替え条件に基づいて動作モードを切り替える。切り替え条件は、例えば、有価媒体処理装置100の使用者により操作部130を用いて動作モードの切り替え操作が行われたことであっても良い。また、第1金額データ生成部141の動作状況に基づく切り替え条件を設定しても良い。具体的には、例えば、切り替え制御部170は、第1金額データ生成部141により第1の金額データが生成され、かつ入金部110に有価媒体が入金されたことを条件として、第2金額データ生成部142の動作モードを第1の動作モードとし、第1金額データ生成部141により第1の金額データが生成されずに入金部110に有価媒体が入金された場合に、第2金額データ生成部142の動作モードを第2の動作モードとするように制御しても良い。
【0033】
上記の第1の動作モードおよび第2の動作モードを用意して切り替え制御を行うことにより、例えば入金操作を、1日の営業の終了後に限らず、営業時間の途中でも行うことが可能となる。第2の動作モードでは精算ジャーナルに基づく第1の金額データが生成される必要が無いため、テナントの担当者は、営業時間の途中で、第2の動作モードで、その時点での売り上げによる有価媒体の入金処理を行い、計数データを保存しておく。そして営業終了後に、テナントの担当者は、第1の動作モードで、残りの売り上げによる有価媒体の入金処理と、精算ジャーナルの入力処理とを行う。有価媒体処理装置100は、営業終了後の入金処理で得られた計数データと保存されている計数データとを加算して1日分の売り上げに関する計数データとし、この計数データに基づく第2の金額データを生成する。また、有価媒体処理装置100は、読み取った精算ジャーナルに基づく第1の金額データを生成し、生成した第1の金額データと第2の金額データとを照合する。
【0034】
有価媒体処理装置100における上記構成において、入金部110における有価媒体の計数処理、読み取り部120のOCR処理および処理部140の各処理の実行機能と、入金部110、読み取り部120、操作部130、表示部150、送信部160および切り替え制御部170の制御機能とは、例えば、プロセッサ(図示せず)がプログラムを実行することにより実現される。プログラムは、半導体メモリや磁気ディスク装置等の記憶装置(図示せず)に格納され、プロセッサは、記憶装置からプログラムを読み込んで実行することにより、上記の機能を実現する。記憶装置には、第2金額データ生成部142の第2の動作モードで保持される第2の金額データ等、上記の各処理で生成された各種のデータを格納しても良い。また、記憶装置には、読み取り部120のOCR処理で用いられるテナントごとの精算ジャーナルのパラメータ情報を格納しても良い。
【0035】
有価媒体処理装置100による上記各種の処理は、テナントごとに行われる。有価媒体処理装置100におけるテナントの識別は、例えば、処理の開始時に各テナントに対して付与されたID等の識別情報により行われる。識別情報の入力は、例えば、各テナントの担当者が、有価媒体処理装置100を使用する際に、操作部130を操作して行っても良い。また、各テナントの担当者にテナントの識別情報を記録したIDカード等の記録媒体を貸与しておき、担当者が有価媒体処理装置100を使用する際に、有価媒体処理装置100に設けられたカードリーダ等の読み取り装置(図示せず)で識別情報を読み取らせることにより行っても良い。
【0036】
<精算ジャーナルの構成例>
図3は、精算ジャーナルの構成例を示す図である。図3に示す精算ジャーナルには、営業日付や客数などの情報と共に、純売上、純売上のうちの消費税額、純売上の決算手段別の内訳として現金売上、商品券による売上、ギフト券による売上、その他の金券による売上、電子マネーによる売上、クレジットによる売上などの項目について、決済の回数および合計金額などの情報が記録されている。また、精算ジャーナルの上部には、この精算ジャーナルを発行したテナントの情報が記録されている。図3に示す例では、精算ジャーナルの発行元のテナントは「○△□書店」である。
【0037】
精算ジャーナルは、例えば、1日の営業時間の終了後に金銭登録機(図示せず)により出力される。金銭登録機は、例えば、営業日ごとの売り上げの情報を集計し、精算ジャーナルに印字出力する。金銭登録機は、精算ジャーナルを出力すると、精算ジャーナルの集計値に反映した売り上げに関する履歴や集計結果などの情報を消去する。
【0038】
<日報管理サーバ200のハードウェア構成>
図4は、日報管理サーバ200のハードウェア構成を示す図である。日報管理サーバ200は、コンピュータにより実現される。日報管理サーバ200を実現するコンピュータは、プロセッサ201と、RAM202(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)203と、記憶装置204と、表示装置205と、入力装置206と、通信インターフェイス207とを備える。
【0039】
プロセッサ201は、演算装置であり、プログラムを実行して各種の処理および制御を実行する。RAM202は、主記憶装置(メイン・メモリ)であり、プロセッサ201が演算処理を行う際の作業用メモリとして用いられる。ROM203にはプログラムや予め用意された設定値等のデータが保持されており、プロセッサ201はROM203から直接プログラムやデータを読み込んで処理を実行することができる。
【0040】
記憶装置204は、プログラムやデータの保存手段である。記憶装置204にはプログラムが記憶されており、プロセッサ201は記憶装置204に格納されたプログラムを主記憶装置に読み込んで実行する。また、記憶装置204には、プロセッサ201による処理の結果が格納され、保存される。記憶装置204としては、例えば磁気ディスク装置やSSD(Solid State Drive)等が用いられる。
【0041】
表示装置205は、各種の情報を表示する装置である。表示装置205は、有価媒体処理装置100から取得した金額データや日報管理サーバ200における処理の結果を表示する。表示装置205としては、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等により実現される。
【0042】
入力装置206は、日報管理サーバ200のユーザがデータや命令を入力するために用いる装置である。入力装置206は、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチセンサ等により実現される。入力装置206としてのタッチセンサを表示装置205の表示画面に重ねてタッチパネルとして構成しても良い。
【0043】
通信インターフェイス207は、ネットワークを介して有価媒体処理装置100に接続するための接続手段である。通信インターフェイス207は、有価媒体処理装置100が接続するネットワークや回線の種類に応じた機器により実現される。例えば、有線回線によりネットワークに接続する場合、使用する回線に対応したネットワーク・アダプタが用いられ、無線回線によりネットワークに接続する場合、無線装置が用いられる。
【0044】
<日報管理サーバ200の機能構成>
図5は、日報管理サーバ200の機能構成を示す図である。日報管理サーバ200は、受信部210と、データ取得部220と、照合部230と、編集部240と、表示制御部250と、送信部260とを備える。これらの機能は、例えば、図4に示すプロセッサ201がプログラムを実行することにより実現される。照合部230および編集部240と、取得したデータや処理結果のデータを記憶する記憶手段(例えば、図4に示す記憶装置204)は、管理手段の一例である。
【0045】
受信部210は、ネットワークを介して有価媒体処理装置100に接続する。そして、受信部210は、有価媒体処理装置100から金額データの照合結果を受信する。受信部210は、例えば、図4に示した通信インターフェイス207を用いてネットワークに接続する。受信したデータは、例えば、図4に示した記憶装置204に格納される。
【0046】
データ取得部220は、テナントにおける売り上げに関するデータを、テナント側システム10とは異なるシステムから取得する(このデータ取得部220により取得されるデータを、以下、「売上関連データ」と呼ぶ)。取得したデータは、例えば、図4に示した記憶装置204に格納される。一般に、各テナントは、自身のPOS(Point of Sale)システムにおける端末としての金銭登録機を用いて売り上げの集計を行っている。このため、有価媒体処理装置100が、各テナントの金銭登録機による売り上げの集計結果を処理し、得られた金額データをデベロッパの管理データとして日報管理サーバ200へ送っている。これに対し、テナントにおいてデベロッパが用意した決済装置を用いて売り上げの集計を行う場合、決済装置で集計されたデータを直接日報管理サーバ200へ入力し得る。データ取得部220は、この決済装置から直接入力されるデータの取得手段である。具体的には、データ取得部220は、例えば、図4に示した通信インターフェイス207を制御し、ネットワークを介して決済装置に接続してデータを取得する。なお、日報管理サーバ200が決済装置から直接データを取得するのではなく、決済装置で取得されたデータを管理するサーバを設け、このサーバからデータを取得する構成としても良い。データ取得部220により取得されたデータは、例えば、図4に示した記憶装置204に格納される。データ取得部220により取得される情報の一例として、クレジット決済の情報がある。一般に、クレジットカードの決済装置は、各テナントにおいてデベロッパが用意した装置が用いられることが多い。そして、この装置により得られたクレジット決済の情報は、有価媒体処理装置100で処理されることなく、決済装置から直接日報管理サーバ200へ送られる。
【0047】
照合部230は、受信部210により有価媒体処理装置100から取得した金額データと、データ取得部220により取得した売上関連データとを照合する。例えば、上記のようにデータ取得部220が売上関連データとしてクレジット決済の情報を取得する場合、照合部230は、有価媒体処理装置100から取得した金額データに含まれるクレジット決済の情報と、売上関連データとして取得したクレジット決済の情報とを照合する。照合部230による照合結果は、例えば、図4に示した記憶装置204に格納される。
【0048】
また、照合部230は、有価媒体処理装置100から取得した金額データに関して、有価媒体処理装置100の照合部143では照合されなかった設定項目の情報に対する照合を行っても良い。例えば、有価媒体処理装置100の照合部143では、主として、第1の金額データおよび第2の金額データにおける決済方法ごとの金額に対して照合が行われる。一方、営業日付や客数の情報は、デベロッパ側システム20による管理において必要となる情報であるため、有価媒体処理装置100の照合部143ではなく、日報管理サーバ200の照合部230が照合を行っても良い。この場合、例えば、有価媒体処理装置100から日報管理サーバ200へ送られる照合結果のデータに、精算ジャーナルから読み取られた営業日付や客数の情報と、テナントの担当者が操作部130を操作して入力した営業日付や客数の情報とを含むこととしても良い。
【0049】
編集部240は、デベロッパ側システム20の担当者による操作を受け付けて、金額データおよび売上関連データの編集を行う。編集部240によるデータの編集は、例えば、照合部230による照合の結果、金額データと売上関連データとの対応する設定項目のデータが一致しない場合、金額データや売上関連データの情報に誤りがある場合等に行われる。データを編集するための操作は、例えば、図4に示した入力装置206を用いて行われる。なお、ここでは、有価媒体処理装置100の処理部140によるデータの修正と区別するため、「修正」ではなく「編集」の文言を用いた。編集部240による編集結果は、例えば、図4に示した記憶装置204に格納される。
【0050】
表示制御部250は、各種の情報を表示するための情報画面や各種の操作を受け付けるための操作画面を、例えば、図4に示した表示装置205に表示させる。具体的には、表示制御部250は、有価媒体処理装置100から取得した金額データ、データ取得部220により取得した売上関連データ、照合部230による照合結果等の各種の情報を表示装置205に表示させる。また、表示制御部250は、編集部240によりデータの編集を行う際にデベロッパ側システム20の担当者による操作を受け付けるための編集画面等の操作画面を表示装置205に表示させる。
【0051】
送信部260は、ネットワークを介して売上管理サーバ300に接続する。そして、送信部260は、記憶装置204に格納されている照合部230による照合処理の済んだ金額データおよび売上関連データを売上管理サーバ300へ送信する。送信部260は、例えば、図4に示した通信インターフェイス207を用いてネットワークに接続する。
【0052】
<有価媒体処理装置100の動作例>
図6は、有価媒体処理装置100の動作を示すフローチャートである。ここでは、入金部110および第2金額データ生成部142の動作に制限を課し、第1金額データ生成部141による第1の金額データの生成が行われた後に、入金部110への入金および第2の金額データの生成が可能となる態様の動作を説明する。事前の動作として、テナントの担当者は、有価媒体処理装置100に自身の識別情報を入力し、自身が属するテナントの売り上げに関する処理を実行する状態となっているものとする。
【0053】
有価媒体処理装置100において精算ジャーナルに基づく第1の金額データを生成する処理(図6では「精算ジャーナル処理」と記載)が完了していない場合(S601でNO)、有価媒体処理装置100は、精算ジャーナルに対する処理の実行のみが可能である。テナントの担当者は、読み取り部120に精算ジャーナルをセットし、読み取り処理を開始させる。有価媒体処理装置100の読み取り部120は、スキャナにより精算ジャーナルを読み取り(S602)、OCR機能により文字認識を行って(S603)、精算ジャーナルのテキストデータを取得する。
【0054】
次に、有価媒体処理装置100の処理部140における第1金額データ生成部141が、精算ジャーナルのテキストデータを解析し、精算ジャーナルに基づく第1の金額データを生成する(S604)。これにより、精算ジャーナルに基づく第1の金額データを生成する処理が完了したので(S601でYES)、入金部110への入金が可能となる。そこで、テナントの担当者は、入金部110に有価媒体を投入する。
【0055】
有価媒体処理装置100の入金部110は、有価媒体の投入を受け付け(S605)、有価媒体の種類ごとに投入金額を計数する(S606)。このとき、営業日付や客数等の情報がテナントの担当者により入力される。次に、有価媒体処理装置100の処理部140における第2金額データ生成部142が、入金部110による計数結果のデータに基づく第2の金額データを生成する(S607)。
【0056】
次に、有価媒体処理装置100の処理部140における照合部143が、第1の金額データおよび第2の金額データを照合する(S608)。そして、照合結果に基づき金額データの修正が必要な場合は(S609でYES)、テナントの担当者による修正操作を受け付けて、金額データを修正する(S610)。金額データの修正が必要ない場合(S609でNO)、または、S610で金額データが修正された後、有価媒体処理装置100の送信部160が、日報管理サーバ200へ処理結果のデータを送信する(S611)。送信されるデータには、対象のテナントを特定する情報、営業日付や客数等の書誌情報、金額データ等が含まれる。
【0057】
有価媒体処理装置100における処理は、通常、1日の営業の終了後に各テナントの担当者により順次行われる。日報管理サーバ200における処理は、全てのテナントに対する有価媒体処理装置100の処理が済んだ後に行われるため、例えば、翌営業日に行われる。有価媒体処理装置100は、テナントごとにまたは全てのテナントに関して有価媒体処理装置100における処理が済んだ後に、処理結果を日報管理サーバ200に送り、日報管理サーバ200における処理が開始されるまで日報管理サーバ200に保持させても良い。また、有価媒体処理装置100が処理結果を保持しておき、翌営業日の日報管理サーバ200における処理が開始される際に、有価媒体処理装置100から日報管理サーバ200へ送っても良い。
【0058】
<日報管理サーバ200の動作例>
図7は、日報管理サーバ200の動作を示すフローチャートである。日報管理サーバ200は、受信部210が有価媒体処理装置100から処理結果のデータを受信すると(S701)、受信したデータを記憶装置に保存する(S702)。上述したように、有価媒体処理装置100の処理結果を日報管理サーバ200が保持する場合、この状態で翌営業日の日報管理サーバ200における処理の開始を待つ。有価媒体処理装置100の処理結果を有価媒体処理装置100が保持する場合、日報管理サーバ200における処理の開始時に、S701、S702の動作が行われ、日報管理サーバ200は、前営業日の分の処理結果を取得する。また、データ取得部220により売上関連データが取得された場合、日報管理サーバ200は、取得された売上関連データも記憶装置に保存する。
【0059】
日報管理サーバ200は、デベロッパ側システム20の担当者による処理の開始指示を受け付けると(S703)、各テナントの金額データを表示装置205に表示する(S704)。そして、日報管理サーバ200の照合部230が、有価媒体処理装置100では照合していない設定項目の照合や、金額データとデータ取得部220により取得した売上関連データとの照合を行う(S705)。そして、照合結果に基づきデータの修正が必要な場合は(S706でYES)、デベロッパ側システム20の担当者による修正操作を受け付けて、データを修正する(S707)。データの修正が必要ない場合(S706でNO)、または、S707で金額データが修正された後、日報管理サーバ200の送信部260が、売上管理サーバ300へ日報管理サーバ200の処理結果のデータを送信する(S708)。
【0060】
<変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態には限定されない。例えば、上記の実施形態では、有価媒体処理装置100は、入金部110と、スキャナ装置を含む読み取り部120とを備える構成とした。かかる構成に代えて、有価媒体処理装置100とは別に入金機やスキャナ装置を設け、これらの装置と有価媒体処理装置100とをデータ交換可能に接続して用いても良い。有価媒体処理装置100とは別に入金機を設ける場合、有価媒体処理装置100は、入金部110による有価媒体の計数処理に代えて、入金機により処理された有価媒体の計数データを取得する。また、有価媒体処理装置100とは別にスキャナ装置を設ける場合、有価媒体処理装置100は、読み取り部120による精算ジャーナルの読み取り処理に代えて、外部のスキャナ装置で読み取った精算ジャーナルの読み取りデータを取得する。この場合、有価媒体処理装置100は、読み取りデータとして精算ジャーナルの画像データを取得し、読み取り部120でOCR処理を行っても良いし、OCR処理までを外部装置で行い、精算ジャーナルのテキストデータを取得しても良い。
【0061】
また、上記の実施形態では、有価媒体処理装置100の照合部143と日報管理サーバ200の照合部230に関して、第1の金額データおよび第2の金額データにおける決済方法ごとの金額の照合を前者が行い、営業日付や客数の情報の照合を後者が行うことについて述べた。これに対し、売り上げ金額の照合に関しても、有価媒体処理装置100の入金部110に投入される現金および商品券による決済分の金額に関してのみ有価媒体処理装置100の照合部143が照合し、ポイントサービスのポイントや電子マネーによる決済等については日報管理サーバ200の照合部230が照合する構成にしても良い。有価媒体処理装置100において計数される現金および商品券以外の決済金額は、テナントの担当者による入力操作が必要となるが、この決済金額の照合処理を日報管理サーバ200で行うことにより、入金操作時におけるテナントの担当者の手間を軽減し得る。
【0062】
また、上記の実施形態では、有価媒体処理装置100がテナントを識別するための手段として、テナントに付与された識別情報を入力することについて述べた。これに対し、図3に例示したように、精算ジャーナルにはテナントの情報が記録されることを利用し、読み取り部120により精算ジャーナルを読み取った際にテナントの情報を抽出し、処理中のテナントを特定する構成としても良い。
【0063】
また、上記の実施形態では、精算ジャーナルから営業日付の情報を読み取って照合することについて述べた。ここで、精算ジャーナルから読み取った営業日付や入金処理においてテナントの担当者により入力される営業日の情報を用いて、テナントごとの休日管理を行うことが考えられる。各テナントの入金処理は、そのテナントの休日には行われない。各テナントの休日は、通常、予め有価媒体処理装置100および日報管理サーバ200において日付や曜日を指定して設定することにより管理される。しかしながら、複数のテナントが存在する施設において、テナントごとに休日が異なる場合、休日の設定が非常に複雑になる。また、月ごとに休日を設定することが必要となり、煩雑である。そこで、精算ジャーナルの読み取りデータや入力された営業日のデータに基づき、入力されていない日付をそのテナントの休日として認識する構成としても良い。また、有価媒体処理装置100における入金操作の有無に基づき、入金操作が行われなかった日付を休日として認識する構成としても良い。このような休日の認識は、施設単位で行う他、上述したテナントの識別と組み合わせることにより、テナントごとの休日の認識にも適用し得る。
【0064】
また、上記の実施形態では、有価媒体処理装置100は商業施設の入金室に設置され、日報管理サーバ200は商業施設の会計室に設置されることとした。しかしながら、有価媒体処理装置100および日報管理サーバ200の設置場所は、これには限定されない。有価媒体処理装置100および日報管理サーバ200は、同一施設内に設置されても良いし、異なる施設に設置されても良い。例えば、日報管理サーバ200を商業施設外のセンターに設置しても良い。また、日報管理サーバ200をネットワーク上のいわゆるクラウドサーバとして構築しても良い。その他、本発明の技術思想の範囲から逸脱しない様々な変更や構成の代替は、本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
10…テナント側システム、20…デベロッパ側システム、100…有価媒体処理装置、110…入金部、120…読み取り部、130…操作部、140…処理部、141…第1金額データ生成部、142…第2金額データ生成部、143…照合部、150…表示部、160…送信部、170…切り替え制御部、200…日報管理サーバ、201…プロセッサ、202…RAM、203…ROM、204…記憶装置、205…表示装置、206…入力装置、207…通信インターフェイス、210…受信部、220…データ取得部、230…照合部、240…編集部、250…表示制御部、260…送信部、300…売上管理サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7