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特開2023-50293接合レンズとその製造方法、レンズユニット、カメラモジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023050293
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】接合レンズとその製造方法、レンズユニット、カメラモジュール
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20210101AFI20230404BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20230404BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
G02B7/02 B
G02B7/02 A
G02B7/02 Z
G03B15/00 V
G03B15/00 S
G02B3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021160332
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000147350
【氏名又は名称】株式会社精工技研
(72)【発明者】
【氏名】庭木 亮輔
【テーマコード(参考)】
2H044
【Fターム(参考)】
2H044AA02
2H044AA16
2H044AA17
2H044AB02
2H044AB09
2H044AB10
2H044AB15
2H044AB16
2H044AB19
2H044AB28
2H044AJ04
2H044AJ05
2H044AJ06
(57)【要約】
【課題】接合レンズの接合部の不具合を抑制しつつ、高性能で小型化が可能な接合レンズを提供する。
【解決手段】光を屈折又は反射させるための光線有効部と光線有効部の範囲外にある非光線有効部を有する光学部材を複数接合する接合レンズであって、光学部材を接合する接合部の厚さが0.005mm以上であり、接合部はエネルギー硬化性樹脂により形成され、光学部材の前記非光線有効部に孔部が形成されていることを特徴とする接合レンズ。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を屈折又は反射させるための光線有効部と前記光線有効部の範囲外にある非光線有効部を有する光学部材を複数接合する接合レンズであって、
前記光学部材を接合する接合部の厚さが0.005mm以上であり、
前記接合部はエネルギー硬化性樹脂により形成され、
前記光学部材の前記非光線有効部に孔部が形成されていることを特徴とする接合レンズ。
【請求項2】
前記接合部と該接合部に接するそれぞれの前記光学部材の屈折率差が0.05以上0.3以下、アッベ数の差が10以上40以下であることを特徴とする請求項1に記載の接合レンズ。
【請求項3】
前記光学部材の前記非光線有効部に形成された前記孔部は、前記接合レンズの最外周部まで達している形状を含むことを特徴とする請求項1から2に記載の接合レンズ。
【請求項4】
前記エネルギー硬化性樹脂のうち光硬化性樹脂を使用する場合、300nmから500nmの光線で硬化することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の接合レンズ。
【請求項5】
前記光学部材の前記光線有効部間の光軸調整は、前記光学部材の非球面形状部を利用して行うことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の接合レンズ。
【請求項6】
前記光学部材の前記光線有効部間の光軸調整は、前記非光線有効部の前記孔部を利用して行うことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の接合レンズ。
【請求項7】
前記光学部材の前記非光線有効部に形成された前記孔部の前記光硬化性樹脂量は、前記光線有効部の前記光硬化性樹脂の硬化収縮量よりも多いことを特徴とする請求項1から請求項6に記載の接合レンズ。
【請求項8】
光硬化性樹脂を滴下する工程、及び
複数の光学部材を非球面形状部の形状、もしくは非光線有効部の孔部で光軸調整を行う工程、及び
光硬化性樹脂を硬化させる工程、を有することを特徴とする接合レンズの製造方法。
【請求項9】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の前記接合レンズを含む複数のレンズが鏡筒内に支持されていることを特徴とするレンズユニット。
【請求項10】
請求項9に記載の前記レンズユニットと前記レンズユニットに入射した光線が結像するイメージセンサとからなるカメラモジュール。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の光学部材を接合した接合レンズ及びその製造方法、レンズユニット、カメラモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
鏡筒内に組み込まれたレンズユニットは、例えば携帯端末や車載用撮像モジュールなどに内蔵されている。光学部材の種類としては、ガラス製光学部材や樹脂(プラスチック)製光学部材があり、その他に軽量化及び生産性、耐久性などを考慮したガラスと光硬化性樹脂を合わせた光学部材として、ガラスの表面に光硬化性樹脂を接合するハイブリッドの光学部材も増えている。
【0003】
また、近年では高解像度の要求が高まっており、高解像度を得るために複数の光学部材を貼り合わせた接合レンズが知られており、レンズユニット内に2枚以上のレンズ同士を接着剤により接合した接合レンズを備えることがある。
【0004】
例えば、特許文献1には接合レンズの有効径内の接着層に気泡が混入抑制に関するものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-081745公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
少ない数の光学部材で、球面収差や色収差などの補正を行うために、異なる光学部材を接着剤で貼合わせた接合レンズが使われる場合があり、貼合わせた光学部材の課題の一つに、接着層への気泡混入などが挙げられる。接着層に気泡が混入すると、画質が低下し、光学性能を満足出来なくなる。また、接合レンズが高温になった場合、気泡内の空気膨張により、気泡を起点とした接着部の剥離が発生することがある。
【0007】
また、気泡の発生を防ぐ為に接着剤の量を増やしてしまうと、接着剤がレンズの接着面の間から外周部に溢れてしまい、レンズの位置を決める基準面に付着してしまう。高解像度化に伴う光学性能向上を図る上で、光学部材の組立の際に光学部材同士の光軸調整は必須であり、光学部材同士の光軸ずれによって画質を補正しきれず、光学性能向上の妨げとなる課題がある。
【0008】
光学的性能を考慮した光学部材の製作において、非光線有効部に余剰のエリアを設ける必要がある。これは、光硬化性樹脂が硬化収縮した際に光線有効部の樹脂量が不足し転写性が悪くなることを避けるため、非光線有効部より光硬化性樹脂を補充することを目的としている。また、光硬化性樹脂を滴下する際にディスペンサなどの設備を使用し樹脂量のばらつきを制御するが、完全には制御できない為、非有効光線部を設けることによりショット間ばらつきをカバーする領域としても利用している。さらに光硬化する際には、光硬化性樹脂が収縮する分、光硬化性樹脂の体積が減るため、外部からの空気を調達することで良好な製作が可能となる。
【0009】
光学部材を小型化したい場合、この余剰のエリアがネックとなり、基材の外径(あるいは外形)のサイズの小型化に制限が生じる。無理に基材のサイズを小さくすると気泡の混入を誘発し、光学部材が不良品となってしまう。
【0010】
以上の事情を考慮し、本発明は、接合レンズの接合部の不具合を抑制しつつ、接合部に厚みを持たせたレンズの機能を有することにより、高性能で小型化が可能な接合レンズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決する本発明の接合レンズは、光を屈折又は反射させるための光線有効部と光線有効部の範囲外にある非光線有効部を有する光学部材を複数接合する接合レンズであって、光学部材を接合する接合部の厚さが0.005mm以上であり、接合部はエネルギー硬化性樹脂により形成され、光学部材の非光線有効部に孔部が形成されている。ここで言う光学部材とは、レンズやプリズムや反射鏡やフィルターや回折格子などを言う。
【0012】
接合部と接合部に接するそれぞれの光学部材の屈折率差が0.05以上0.3以下、アッベ数の差が10以上40以下であることが好ましい。
【0013】
光学部材の非光線有効部に形成された孔部は、接合レンズの最外周部まで達していることが好ましい。孔部が最外周部まで達することにより、気泡などの発生を防ぐことが可能となる。
【0014】
エネルギー硬化性樹脂のうち光硬化性樹脂を使用する場合、300nmから500nmの光線で硬化することが好ましい。
【0015】
光学部材の光線有効部間の光軸調整は、非球面形状部を利用して行うことが好ましい。
【0016】
光学部材の光線有効部間の光軸調整は、非光線有効部の孔部を利用して行うことが好ましい。
【0017】
光学部材の非光線有効部に形成された孔部の光硬化性樹脂体積は、光線有効部の光硬化性樹脂体積の硬化収縮量よりも多いことが好ましい。
【0018】
接合レンズの製造方法として、光硬化性樹脂を滴下する工程、複数の光学部材を非球面形状部の形状、もしくは非光線有効部の孔部を利用して光軸調整を行う工程、及び、光硬化性樹脂を硬化させる工程を有することが好ましい。
【0019】
レンズユニットとして、接合レンズを含む複数のレンズが鏡筒内に支持されていることが好ましい。
【0020】
カメラモジュールとして、レンズユニットとレンズユニットに入射した光線が結像するイメージセンサとからなることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、接合レンズの接合部の不具合(気泡やヒケ等)を抑制しつつ、光学部品同士の光軸調整をより精密に行う技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】接合レンズの一例を示す透視斜視図
図2】接合レンズの一例を示す透視上面図
図3】接合レンズの一例を示す断面図(A-A´図)
図4】接合レンズの光軸調整の一例を示す断面図
図5】接合レンズの一例及び最薄部厚さを示す断面図
図6】接合レンズの一例(上面孔部)を示す透視斜視図
図7】接合レンズの一例(上面孔部)を示す断面図
図8】接合レンズの一例(下面孔部)を示す透視斜視図
図9】接合レンズの一例(下面孔部)を示す断面図
図10】接合レンズの気泡発生を示す断面図
図11】接合レンズのヒケ発生を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。係る実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0024】
図1には、本発明に関する一例として、接合レンズ10を透視斜視図で記載し、図2は、図1の透視上面図を記載している。また、図3図2に記載のAとA´で切り取った断面図を記載している。接合レンズ10は、第1の光学部材11と、第2の光学部材12と、第3の光学部材13を備える。何れの光学部材も、光を屈折又は反射させるための光線有効部と、光線有効部の範囲外にある非光線有効部を有している。光線有効部とは、光学部材における光学性能へ直接影響を与える範囲であり、非光線有効部とはその光学性能に直接影響を与えない範囲である。
【0025】
第1の光学部材11と第3の光学部材13は、例えば、耐熱性のある樹脂で成形されたレンズである。但し、それに限定されるものではなく、一般的なガラスレンズ(ホウケイ酸、石英など)であっても良い。
【0026】
第2の光学部材12は、例えば、光学機能を持ち合わせた光硬化性樹脂で形成されたレンズである。但し、それに限定されるものではなく、熱によって硬化する樹脂を用いることもできる。
【0027】
また、第2の光学部材12は、光を屈折又は反射させるための機能以外に第1の光学部材11と第3の光学部材13を接合するための機能も有しており、各光学部材を接着する接合部とする。第2の光学部材12の接合部の最薄部厚さHは、第1の光学部材11と第3の光学部材13が対向する方向の厚さが最も薄くなる部分を意味しており、0.005mm以上の厚みを有する。図5に接合レンズ20の接合部の最薄部厚さHを図示している。その他の接合レンズ(接合レンズ10、30、40)について、接合部の最薄部厚さHは図示していないが、第2の光学部材(光学部材12、32、42)の各光学部材同士を接合する接合部の接着剤層としての対向する方向の厚さが最も薄くなる部分を最薄部厚さHとする。
【0028】
一般的に接合層(第2の光学部材12、22、32、42の厚さ)を一定以上に厚くするとレンズ間(ギャップ)の形状次第では、気泡やヒケ等が発生し、光を屈折又は反射させるための光学性能を低下させる現象が発生してしまう。また、第2の光学部材12に接着効果と光学性能を持たせることにより、これまでの光学部材を3枚使用し、各光学部材同士の接着をそれぞれ実施することに比べ、作業工数及び構成部品点数を減らすことができ、更なるコスト削減が可能となる。
【0029】
そこで、第2の光学部材12は、気泡やヒケ等の発生を防止するために予め光硬化性樹脂の硬化収縮に対応する樹脂の充填と気泡発生抑制のための孔部14を非光線有効部に設けている。非光線有効部に孔部14を設けることにより、光硬化性樹脂が硬化収縮した時に光線有効部の光硬化樹脂量が第1の光学部材11と第3の光学部材13の間に形成される空間に対して不足した時に孔部14の樹脂を補充することが可能となる。光硬化性樹脂は、孔部14に完全に充填されている必要は無く、光硬化性樹脂が完全に充填されている必要がある光線有効部に樹脂を供給するための領域である。また、孔部14については、外周面(側面、上面、下面など)に対して突き抜けた形状の他に0.01mm以上の窪み形状も含むこととする。
【0030】
これにより、光線有効部の気泡やヒケ等の発生を抑制することが可能となり、接着強度を有する場所での樹脂の不足は接着性の低下にも繋がるため、これも避けることが可能となる。また、光硬化性樹脂を滴下する際にディスペンサなどの設備を使用し、量のばらつきを制御するが、完全には制御できない為、孔部14を設けることにより、ショット間ばらつきをカバーする領域としても利用している。以上により、気泡やヒケ等の発生を抑制すると共に生産性を安定させ、品質を向上させると共にコスト削減が可能となる。
【0031】
第1の光学部材11の屈折率を1.45とし、第2の光学部材12の屈折率を1.55とし、第3の光学部材13の屈折率を1.70にすることにより、接合に接するそれぞれの光学部材の屈折率差が0.05以上0.3以下となる。屈折率差が0.05以上0.3以下にすることにより、低背・球面収差補正等が可能となる。また、第1の光学部材11のアッベ数を60とし、第2の光学部材12のアッベ数を50とし、第3の光学部材13のアッベ数を20にすることにより、アッベ数の差が10以上40以下となる。アッベ数の差を10以上40以下にすることにより、色収差の補正が可能となる。
【0032】
また、光硬化性樹脂は、300nmから500nmの光線で硬化し、粘度は100から10,000mPa・sである光硬化型樹脂で接合することが望ましく、これは市場に流通した光硬化性樹脂を使用することで、コスト削減が可能となる。
【0033】
第1の光学部材11と第3の光学部材13を接合する際の各光線有効部間の光軸調整は、各光学部材に設けられている非球面形状部を利用し、光軸調整を行う。例えば、図4に示す光軸調整の一例において、Y部で光学部材15と光学部材16の非球面形状部を嵌め合わせることにより、非球面形状部を利用した光軸調整が可能となる。具体的には、光学部材15と光学部材16の非球面形状部にそれぞれ嵌め合わせるための形状が設けられており、接合レンズの製造工程において、光学部材同士を組合わせる際に予め設けられた非球面形状部を嵌め合わせることにより、光軸調整が可能となる。
【0034】
ここで言う非球面形状とは、レンズ面形状のことであり、光線有効部を含んでおり、光学性能に大きく影響がある部分であるため、加工精度の要求が厳しく設計されており、その部分を光軸調整に使用することにより、精度良く光軸調整が可能となる。
【0035】
また、構造設計(形状)や光学設計により、非球面形状での光軸調整が難しい場合には、例えば、図3のX部に記載した通り、第1の光学部材11と第3の光学部材13の非光線有効部を利用して、それぞれに設けられた非光線有効部の孔部を嵌め合わせることにより、非光線有効部を利用した光軸調整が可能となる。
【0036】
また、接合レンズ10の非光線有効部に形成された孔部14の光硬化性樹脂量は、接合レンズ10の光線有効部の光硬化性樹脂の硬化収縮量よりも多くすることで、光硬化性樹脂が硬化収縮した時に光線有効部の樹脂量が第1の光学部材11と第3の光学部材13の間に形成される空間に対して不足した時に孔部14の光硬化性樹脂より樹脂を補充する。これによってヒケや気泡の発生を抑制することが可能となる。樹脂の不足は接着性の低下にも繋がるため、これも避ける必要がある。また、光硬化性樹脂を滴下する際にディスペンサなどの設備を使用し、量のばらつきを制御するが、完全には制御できない為、孔部を設けることにより、ショット間ばらつきをカバーする領域としても利用している。
【0037】
図1に記載の実施例において、接合レンズ10の場合、非光線有効部に形成する孔部14が接合レンズ10の側面に繋がって設けられており、孔部14の数は8個形成されている。孔部14の数については、適宜、設定可能である。その他の実施例として、図6には接合レンズ30の上面に孔部を設けた透視斜視図及び図7には断面図を記載している。接合レンズ30には、上面に繋がって孔部34が設けられており、孔部34の数は特に限定していない。また、図8には接合レンズ40の下面に孔部を設けた透視斜視図及び図9には断面図を記載している。接合レンズ40には、下面に繋がって孔部44が設けられており、孔部の数は特に限定していない。以上のように、孔部の位置や数、形状も含め、特に限定されることは無く、レンズ設計時にその他の諸条件を考慮し、適宜、設計することが可能である。
【0038】
図10図11には孔部が設けられていない接合レンズ50の断面図を記載している。接合レンズ50は、第1の光学部材51と第2の光学部材52、第2の光学部材52と第3の光学部材53をそれぞれ接合する際に孔部が設けられていないため、例えば、図10には気泡が発生しており、図11にはヒケが発生している様子を記載している。気泡発生の要因としては、第1の光学部材51と第3の光学部材53の間に形成される接合層に100%樹脂を充填後光硬化することで、第1の光学部材51と第3の光学部材53の内壁面に樹脂が付着したまま樹脂が硬化収縮することにより、不規則に外部より空気を充填することにより発生する。ヒケが発生する要因としては、第2の光学部材52の光硬化性樹脂の厚さが異なることにより、光硬化する際に体積収縮が原因で第2の光学部材52にヒケが発生する。その他、応力が原因による反りや割れ、接着強度の低下や接着位置のズレなどが起こり、接合レンズ50の不良の原因となる。
【0039】
接合レンズ10(その他の実施例の接合レンズ20、30、40)を製造する工程としては、第1の光学部材11(その他の実施例の第1の光学部材21、31、41)もしくは第3の光学部材13(その他の実施例の第3の光学部材23、33、43)の上面に光硬化性樹脂を適量滴下し、その上に接合するための第3の光学部材13(その他の実施例の第3の光学部材23、33、43)もしくは第1の光学部材11(その他の実施例の第1の光学部材21、31、41)を嵌め合わせる。第1の光学部材11(その他の実施例の第1の光学部材21、31、41)と第3の光学部材13(その他の実施例の第3の光学部材23、33、43)を嵌め合わせることにより光軸調整が可能となる。その後、滴下した光硬化性樹脂を光硬化させる工程を有している。ここで、光硬化した部材が第2の光学部材12(その他の実施例の22、32、42)となることを特徴とする接合レンズの製造方法である。
【0040】
接合レンズ10やその他の実施例の接合レンズ20、30、40は、その他の複数のレンズと鏡筒内に支持され、レンズユニットとなり、レンズユニットに入射した光線が結像するイメージセンサと組合わせることによりカメラモジュールとして、車載用カメラや監視用カメラなどに組込まれ使用される。
【0041】
上述した実施形態の成形レンズは円筒形状であるが、本発明は、外形形状の自由度も高く、成形レンズの仕様により、適宜、設定可能である。
【0042】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。
【符号の説明】
【0043】
10、20、30、40、50 接合レンズ
11、21、31、41、51 第1の光学部材
12、22、32、42、52 第2の光学部材
13、23、33、43、53 第3の光学部材
14、24、34、44 孔部
X、Y 光軸調整部
H 最薄部厚さ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11