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特開2023-5030アタッカーユニット及びパチンコ遊技機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023005030
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】アタッカーユニット及びパチンコ遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20230111BHJP
【FI】
A63F7/02 316A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021106697
(22)【出願日】2021-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】595112915
【氏名又は名称】株式会社ヤマダ
(74)【代理人】
【識別番号】110001184
【氏名又は名称】弁理士法人むつきパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】山田 将人
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088EB03
2C088EB23
(57)【要約】
【課題】 よりコンパクトなアタッカーユニット及びこれを含むパチンコ遊技機の提供。
【解決手段】 遊技盤面を流下してくる遊技球の入賞口への入球を規制制御する可動部材を有するアタッカーを含むアタッカーユニットである。アタッカーはプランジャーピンを往復直動させるソレノイドで駆動され、ソレノイドは、プランジャーピンの移動を遊技盤面と垂直方向とするように本体部を遊技盤面の前方側に配置されて、本体部の後方端部を遊技盤面の前方を覆う2層からなる複層透明窓の第1層に設けられた貫通穴内部に配置させるように設けられることを特徴とする。また、パチンコ遊技機は、上記したアタッカーユニットを与えられたことを特徴とする。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤面を流下してくる遊技球の入賞口への入球を規制制御する可動部材を有するアタッカーを含むアタッカーユニットであって、
前記アタッカーはプランジャーピンを往復直動させるソレノイドで駆動され、
前記ソレノイドは、前記プランジャーピンの移動を前記遊技盤面と垂直方向とするように本体部を前記遊技盤面の前方側に配置されて、前記本体部の後方端部を前記遊技盤面の前方を覆う2層からなる複層透明窓の第1層に設けられた貫通穴内部に配置させるように設けられることを特徴とするアタッカーユニット。
【請求項2】
前記遊技盤面に設けられた入賞口を通過した遊技球を、前記遊技盤面の前方側に導いて通過検知する検知センサを含むことを特徴とする請求項1記載のアタッカーユニット。
【請求項3】
前記検知センサは、内部に遊技球を通過させるとこれを検知するリングセンサからなり、その一部を前記複層透明窓の前記第1層に設けられた貫通穴内部に配置させることを特徴とする請求項2記載のアタッカーユニット。
【請求項4】
前記貫通穴の開口部は前記複層透明窓の第2層との間に樹脂カバーを設けられて遮蔽されていることを特徴とする請求項1乃至3のうちの1つに記載のアタッカーユニット。
【請求項5】
前記遊技盤面に設けられた収容穴の内部に収容されるとともに、前記遊技盤面の後方に位置する端面を前記遊技盤面と平行な平面とすることを特徴とする請求項1乃至4のうちの1つに記載のアタッカーユニット。
【請求項6】
前記平面が前記遊技盤面の後方面と面一となるように取り付け可能であることを特徴とする請求項5記載のアタッカーユニット。
【請求項7】
遊技盤面を流下してくる遊技球の入賞口への入球を規制制御する可動部材を有するアタッカーを含むアタッカーユニットを与えられたパチンコ遊技機であって、
前記アタッカーはプランジャーピンを往復直動させるソレノイドで駆動され、
前記ソレノイドは、前記プランジャーピンの移動を前記遊技盤面と垂直方向とするように本体部を前記遊技盤面の前方側に配置されて、前記本体部の後方端部を前記遊技盤面の前方を覆う2層からなる複層透明窓の第1層に設けられた貫通穴内部に配置させるように設けられることを特徴とするパチンコ遊技機。
【請求項8】
前記複層透明窓の前記第1層が樹脂製であることを特徴とする請求項7記載のパチンコ遊技機。
【請求項9】
前記遊技盤面に設けられた入賞口を通過した遊技球を、前記遊技盤面の前方側に導いて通過検知する検知センサを含むことを特徴とする請求項7又は8に記載のパチンコ遊技機。
【請求項10】
前記検知センサは、内部に遊技球を通過させるとこれを検知するリングセンサからなり、その一部を前記複層透明窓の前記第1層に設けられた貫通穴内部に配置させることを特徴とする請求項9記載のパチンコ遊技機。
【請求項11】
前記貫通穴の開口部は前記複層透明窓の第2層との間に樹脂カバーを設けられて遮蔽されていることを特徴とする請求項7乃至10のうちの1つに記載のパチンコ遊技機。
【請求項12】
前記遊技盤面に設けられた収容穴の内部に収容されるとともに、前記遊技盤面の後方に位置する端面を前記遊技盤面と平行な平面とすることを特徴とする請求項7乃至11のうちの1つに記載のパチンコ遊技機。
【請求項13】
前記平面が前記遊技盤面の後方面と面一となるように取り付けられることを特徴とする請求項12記載のパチンコ遊技機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、賞球を得る契機を与えるアタッカーを駆動動作させるアタッカーユニット及びこれを含むパチンコ遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機において、チャッカーと称される入賞口への遊技球の入球を契機に、抽選を経てアタッカーと称される入賞口(大入賞口)が解放され、これに遊技球を入球させて賞球を得るとともに、ラウンドの継続動作を獲得させ得るような動作を行う遊技機が知られている。かかるアタッカーは、遊技球の落下経路にあって、一般的には、盤面中央下部又は盤面右側下部に設けられている。また、アタッカーは、入賞口への遊技球の入球を可能とするとともに、入球のしやすさを可変とするような可動羽根やスライド扉などを含み、駆動部及びこのための駆動機構、入賞口への入球を検知する検知装置などの周辺装置と合わせてアタッカーユニットを構成し、これらが連動して動作するように一体の装置として遊技盤面に組み込まれている。
【0003】
例えば、特許文献1では、遊技盤に形成された開口部に着脱自在に組み込まれ、入賞口に遊技球を導く蓋部材をソレノイドにて遊技球の流下経路に出入りさせるアタッカーユニットが開示されている。ソレノイドが遊技盤面と平行且つ上下方向にプランジャーピンを移動させるようにアタッカーユニットの後部、すなわち、遊技盤面の背面に設けられ、カム機構を介して蓋部材を遊技盤面の前後に移動させ遊技球の流下経路に出入りさせるようになっている。また、入賞口に入球した遊技球を検知するための検知装置本体が遊技盤面背面に位置し、検知センサを該遊技盤面の表面へ向けて突出させている。ここでは、かかる蓋部材を含むソレノイドユニットが3個アタッカーユニットに組み込まれている。
【0004】
アタッカーユニットは遊技盤面の前後に跨がって設けられ、特に、遊技盤面の前後(遊技盤面と垂直方向)に移動する駆動部の如きをソレノイドにて駆動する場合にあっては、ソレノイドを該移動方向と平行に配置させることが多く、遊技盤面の前後方向のユニット寸法が大きくなる傾向にある。一方で、上記したようにソレノイドにカム機構を組み合わせることで、ユニット寸法をコンパクトに出来得る。
【0005】
特許文献2では、単一の遊技球のみが通路を通過するように、通路を閉鎖する規制位置と、これを解除する開放位置との間でソレノイドによって移動せしめられる規制部材を含むアタッカーユニットにおいて、該規制部材の移動を直線的ではなく、軸を中心とする回動によって行うようにした機構が開示されている。ソレノイドを遊技盤面の前後に向けて配置しても、ユニット寸法をコンパクトにでき、アタッカーユニットの奥行き方向の小型化を図り、取り付け位置の省スペース化を実現することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014-113262号公報
【特許文献2】特開2016-83381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
遊技盤面の前後に跨がって設けられるアタッカーユニットでは、遊技盤面の前後方向、つまり、厚さ方向の寸法をコンパクトにする駆動機構を採用することで、結果として、入賞口の可動羽根やスライド扉などの設計の自由度を高め得ることになるだろう。
【0008】
本発明は、以上のような状況に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、よりコンパクトなアタッカーユニット及びこれを含むパチンコ遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によるアタッカーユニットは、遊技盤面を流下してくる遊技球の入賞口への入球を規制制御する可動部材を有するアタッカーを含むアタッカーユニットであって、前記アタッカーはプランジャーピンを往復直動させるソレノイドで駆動され、前記ソレノイドは、前記プランジャーピンの移動を前記遊技盤面と垂直方向とするように本体部を前記遊技盤面の前方側に配置されて、前記本体部の後方端部を前記遊技盤面の前方を覆う2層からなる複層透明窓の第1層に設けられた貫通穴内部に配置させるように設けられることを特徴とする。
【0010】
かかる特徴によれば、アタッカーユニットを遊技盤面に沿った方向の寸法を減じつつ、アタッカーユニットの後方の突出を減じて、全体としてコンパクトにし得る。
【0011】
また、本発明によるパチンコ遊技機は、遊技盤面を流下してくる遊技球の入賞口への入球を規制制御する可動部材を有するアタッカーを含むアタッカーユニットを与えられたパチンコ遊技機であって、前記アタッカーはプランジャーピンを往復直動させるソレノイドで駆動され、前記ソレノイドは、前記プランジャーピンの移動を前記遊技盤面と垂直方向とするように本体部を前記遊技盤面の前方側に配置されて、前記本体部の後方端部を前記遊技盤面の前方を覆う2層からなる複層透明窓の第1層に設けられた貫通穴内部に配置させるように設けられることを特徴とする。
【0012】
かかる特徴によれば、遊技盤面に沿った方向の寸法を減じつつ、アタッカーユニットの後方の突出を減じて、全体としてコンパクトなアタッカーユニットを用いた遊技機とし得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明による1つの実施例におけるパチンコ遊技機の要部の(a)斜視図及び(b)分解斜視図である。
図2】本発明による1つの実施例におけるアタッカーユニットの正面側から見た分解斜視図である。
図3】ユニット上部を正面側から見た分解斜視図である。
図4】ユニット中部を正面側から見た分解斜視図である。
図5】ユニット下部を正面側から見た分解斜視図である。
図6】ユニット左下部を正面側から見た分解斜視図である。
図7】ソレノイドの斜視図である。
図8】ユニット上部を背面側から見た分解斜視図である。
図9】アタッカーユニットを背面側からみた分解斜視図である。
図10】アタッカーユニットを背面側から見た斜視図である。
図11】アタッカーユニットを背面側から見た斜視図である。
図12】パチンコ遊技機の要部の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明による1つの実施例としてのアタッカーユニット及びこれを用いたパチンコ遊技機について、図1乃至図12を用いて説明する。
【0015】
図1に示すように、パチンコ遊技機である遊技機2は、遊技盤面3と遊技盤面3の手前側の面である遊技面3aの前方を覆う2層からなる複層透明窓5とを含み、遊技球に遊技盤面3を流下させるようにする。つまり、複層透明窓5の2層のうち奥側の第1層5aと遊技面3aとの間に遊技球の流下する遊技領域9を形成する。複層透明窓5は、上記した第1層5aと手前側の第2層5bと、これらを互いに一定の距離で保持する窓枠5cとを含む。なお、以降において方向を示す場合、図示するように遊技機2に正対する遊技者から見た方向である上下左右、手前、奧の表現を用いる。なお、手前及び奧については、前及び後や前面及び背面と言い換える場合もある。
【0016】
遊技領域9のうち、右下にはアタッカーユニット1が備えられる。アタッカーユニット1は、遊技盤面3と複層透明窓5の第1層5aとの間を埋めて遊技領域9の一部を占有するように配置される。アタッカーユニット1の右側及び下側には、遊技球の遊技領域9の外への流出を防ぐガード体6を備える。
【0017】
アタッカーユニット1は、例えば、遊技機2が大当たり状態になった場合にその内部に遊技球を導いて比較的簡単に賞球を得て遊技者の持ち球を増加させ得る役物として用いられる。ここでは、大当たり時に「右打ち」にて遊技球を遊技領域9の右側に多く流下させることでアタッカーユニット1内に遊技球を導くことができるよう、アタッカーユニット1は遊技領域9の右側下部に配置される。
【0018】
図2に示すように、アタッカーユニット1は、遊技領域9の一部を用いて遊技球の入賞口への振り分け演出を行うものであり、遊技球の通路と分岐を形成する台板4を備える。また、台板4は、遊技盤面3の手前に形成される遊技領域9と前後方向の位置を合わせるように通路を形成しており、台板4の底部4aの表面を遊技面3aとほぼ面一とするようにしている。つまり、台板4は板状体の手前側の面にかかる通路や分岐を形成して遊技領域9の一部をなす。一方、台板4の背面側には後述するアタッカーを駆動させる機構や遊技球を回収する通路などを備えて遊技盤面3を前後方向に貫通するように配置される。つまり、アタッカーユニット1は、遊技盤面3に設けられた収容穴の内部に収容される。
【0019】
なお、遊技盤面3はアタッカーユニット1に隣接するように前後に貫通する大きな孔3bを中央に備え、図示しないセンター役物を嵌め込み配置させる。つまり、アタッカーユニット1は孔3bに嵌め込まれるセンター役物に隣接して配置されることになる。
【0020】
アタッカーユニット1は、可動部材を用いた複数のアタッカーを台板4に形成された通路の一部に備えて遊技球の入賞口への入球を規制制御することができる。つまり、アタッカーは、流下する遊技球を入賞口及びその他の通路のいずれかに振り分けることができる。ここでは、アタッカーユニット1は、ユニット上部10、ユニット中部20、ユニット下部30及びユニット左下部40のそれぞれに前後にスライド可能なアタッカーを備えている。
【0021】
図3に示すように、例えば、ユニット上部10では、台板4に形成される分岐した通路によって、アタッカーユニット1に上方から流入する遊技球をルートA、ルートB、ルートCの3つに振り分けるようにされている。ここで、2番目のルートBに振り分けられた遊技球は上部アタッカー11によって上部入賞口13への入球を規制させる。
【0022】
すなわち、上部アタッカー11は、略水平方向に拡がる板状体であり、前後に往復動を可能とされて、ルートBの直下に配置されている。上部アタッカー11は、奥側に移動した位置において、ルートBを落下してきた遊技球を下方に通過させ、右側のルートCを落下してきた遊技球と合流させて、ユニット中部20に流入させることができる。一方、上部アタッカー11は、手前側に移動した位置において、ルートBを落下してきた遊技球の下方への通過を阻止し、上部アタッカー11の上面の上を左側に向けて転動させる。つまり、上部アタッカー11の上面は、右側よりも左側を低くするよう傾斜を有し、遊技球を左に転動させる。上部アタッカー11上を左へ転動した遊技球は、上部リングセンサ12を通過して上部入賞口13への入賞を検知される。上部リングセンサ12は、例えば、貫通型近接センサであり、その内部に通過させた遊技球に電磁誘導による誘導電流を発生させ、検出コイルのインダクタンスや損失の変化を検出することで遊技球を通過検知することのできる検知センサである。ここで、上部リングセンサ12は、その長手方向を遊技面3aに平行とするようにされ、前後方向の寸法を小さくするよう配置されている。このように、上部アタッカー11を可動体として駆動させるために、ユニット上部10には、さらに上部ソレノイド14を備える。上部ソレノイド14及び上部アタッカー11の駆動については後述する。
【0023】
図4に示すように、ユニット中部20には上記したルートCを通過した遊技球及びルートBから上部アタッカー11の下方に通過した遊技球が導かれる。これらの遊技球は中部アタッカー21によって中部入賞口23への入球を規制される。すなわち、中部アタッカー21は、奥側に移動した位置において、落下してきた遊技球を下方に通過させ、中部入賞口23に導くとともに中部リングセンサ22を通過させて入賞を検知させる。ここで、中部リングセンサ22は、その長手方向を遊技面3aに平行とするようにされ、前後方向の寸法を小さくするよう配置されている。なお、中部入賞口23を通過した遊技球は全てユニット下部30へ導かれる。
【0024】
一方、中部アタッカー21は、手前側に移動した位置において、遊技球の下方への通過を阻止し、中部アタッカー21の上面の上を左側に向けて転動させる。つまり、中部アタッカー21の上面は、右側よりも左側を低くするよう傾斜を有し、遊技球を左に転動させる。このように、中部アタッカー21を可動体として駆動させるために、ユニット中部20には、さらに中部ソレノイド24を備える。中部ソレノイド24及び中部アタッカー21の駆動については後述する。
【0025】
中部アタッカー21上を左へ転動した遊技球は、ユニット中部20の左側において複数の突起28aによって公差した複数の通路を形成させた遊技球振り分けゾーン28に右側から導かれる。なお、遊技球振り分けゾーン28へは、上記したルートAを通過した遊技球が上方から導かれる。また、遊技球振り分けゾーン28では、通過した遊技球をユニット左下部40又はその右側のはずれ穴48(図2参照)へ導くことができる。
【0026】
図5に示すように、ユニット下部30へは上記したように中部入賞口23を通過した遊技球が導かれる。これらの遊技球は下部アタッカー31によって下部第1入賞口33a又は下部第2入賞口33bのどちらかを選択するようその入球を規制される。すなわち、下部アタッカー31は、奥側に移動した位置において、左側から進入してきた遊技球を下方に通過させ、下部第1入賞口33aに導くとともに下部第1リングセンサ32aを通過させて入賞を検知させる。ここで、下部第1リングセンサ32aは、その長手方向を遊技面3aに平行とするようにされ、前後方向の寸法を小さくするよう配置されている。
【0027】
一方、下部アタッカー31は、手前側に移動した位置において、遊技球の下方への通過を阻止し、下部アタッカー31の上面の上を右側に向けて転動させる。つまり、下部アタッカー31の上面は、左側よりも右側を低くするよう傾斜を有し、左側から進入してきた遊技球を右に転動させる。そして、下部アタッカー31上を右に転動した遊技球を下部第2入賞口33bに導くとともに下部第2リングセンサ32bを通過させて入賞を検知させる。ここで、下部第2リングセンサ32bは、他のリングセンサとは異なり、その長手方向を遊技面3aに垂直とするようにされ、左右方向の寸法を小さくするよう配置されている。下部第2リングセンサ32bの詳細については後述する。
【0028】
このように、下部アタッカー31を可動体として駆動させるために、ユニット下部30には、さらに下部ソレノイド34を備える。下部ソレノイド34及び下部アタッカー31の駆動については後述する。
【0029】
さらに、図6に示すように、ユニット左下部40へは上記したように遊技球振り分けゾーン28を通過した遊技球の一部が導かれる。これらの遊技球は左下部アタッカー41によって左下部入賞口43への入球を規制される。すなわち、左下部アタッカー41は、奥側に移動した位置において、上方又は右側から流下してきた遊技球を下方に通過させ、左下部入賞口43に導く。なお、左下部入賞口43は演出用のダミーの入賞口であり、遊技球を検知するセンサを備えていない。
【0030】
一方、左下部アタッカー41は、手前側に移動した位置において、遊技球の下方への通過を阻止し、左下部アタッカー41の上面の上を左側に向けて転動させる。つまり、左下部アタッカー41の上面は、右側よりも左側を低くするよう傾斜を有し、上方から又は右側から流下してきた遊技球を左に転動させる。そして、左下部アタッカー41上を左に転動した遊技球をアタッカーユニット1の左側へ排出し、遊技盤面3の下部中央に設けられたはずれ穴3cへ導くことができる。
【0031】
このように、左下部アタッカー41を可動体として駆動させるために、ユニット左下部40には、さらに左下部ソレノイド44を備える。左下部ソレノイド44及び左下部アタッカー41の駆動については後述する。
【0032】
図7に示すように、上部ソレノイド14は、略直方体の本体部14aと、本体部14aの長手方向の端部から突出するプランジャーピン14bとプランジャーピン14bの先端に取り付けられたフランジ14cとを備える。プランジャーピン14bは、その長手方向を本体部14aの長手方向と一致させ、長手方向に往復直動するよう駆動可能とされる。このとき、フランジ14cはプランジャーピン14bの先端に固定されており、プランジャーピン14bと併せて駆動される。上部ソレノイド14は、プランジャーピン14bの移動方向を遊技面3aと垂直方向とするように、その本体部14aの長手方向を前後に向けて台板4に固定されることでアタッカーユニット1に取り付けられる(図2図3参照)。長手方向を前後に向けることでアタッカーユニット1の遊技面3aに沿った方向の寸法を減じ得る。なお、ソレノイドに限った場合においては、本体部の長手方向のうちプランジャーピンの突出する側を前方、反対側を後方と呼ぶことにする。つまり、プランジャーピン14bの突出していない側の長手方向端部は後方端部14a’となる。なお、中部ソレノイド24、下部ソレノイド34、左下部ソレノイド44についても同様であり、個々の説明を省略する。
【0033】
図8に示すように、ユニット上部10の台板4の奥側において、上部ソレノイド14は、フランジ14cを駆動させることで軸体15を用いたリンク機構を介して上部アタッカー11を駆動させることができる。詳細には、上部ソレノイド14は、その後方端部14a’を遊技盤面3の前方側に向けることで、プランジャーピン14bの先端のフランジ14cを台板4の奥側に配置させる。一方、軸体15は、遊技面3aと平行かつ略水平な回動軸で回動可能に台板4に軸支されており、左側(紙面右側)端部から上方に延びる第1アーム15aの先端に設けられたスリットにフランジ14cを挟むように係合させている。これによって、フランジ14cの往復直動の駆動力によって、軸体15を回動軸周りで往復回動させることができる。また、軸体15の右側(紙面左側)端部から上方に延びる第2アーム15bは、その先端を上部アタッカー11の奥側(紙面手前側)端部の下方に設けられたスリットに進入させ係合させている。これによって軸体15の往復回動の駆動力によって、上部アタッカー11を前後に平行移動するように往復直動させることができる。なお、上部アタッカー11は、台板4に設けられたスリットに挿通されて前後にスライド可能に支持されている。このようにして、上部ソレノイド14の駆動により、上部アタッカー11を駆動させることができる。
【0034】
図9に示すように、ユニット中部20、ユニット下部30、ユニット左下部40についても同様である。すなわち、中部アタッカー21は、軸体25を介して中部ソレノイド24によって前後にスライド駆動可能とされる。また、下部アタッカー31は、軸体35を介して下部ソレノイド34によって前後にスライド駆動可能とされる。また、左下部アタッカー41は、軸体45を介して左下部ソレノイド44によって前後にスライド駆動可能とされる。
【0035】
ところで、図10に示すように、アタッカーユニット1は上部カバー体19、中部カバー体29、下部カバー体39、左下部カバー体49を備え、上記した駆動機構をそれぞれ背面側から覆って1つの平面をなし、かかる平面でアタッカーユニット1の後方端面を形成すようにしている。そしてこの後方端面を遊技盤面3の後方面に対し平行となるようにすると遊技盤面3の後方側の空間を効率よく利用し得て好ましい。本実施例では、さらにアタッカーユニット1は、その後方端面を遊技盤面3の後方面と面一となるように配置される。これにより、遊技盤面3の後方側の空間を効率よく利用することが容易となる。
【0036】
一方、上記したように上部ソレノイド14、中部ソレノイド24、下部ソレノイド34及び左下部ソレノイド44は、いずれも上記したように本体部の長手方向を前後に向けて台板4に固定される。これによって、アタッカーユニット1の遊技面3aに沿った方向の寸法を減じることができ、隣接して配置されるセンター役物の設計の自由度を高め得る。
【0037】
このとき、上記したように各ソレノイドは遊技盤面3の後方面と面一とされるカバー体の前方に配置される。つまり、遊技盤面3の後方面よりもカバー体の厚さ分だけ前方の空間内に配置する必要がある。しかも、フランジとこれに係合される軸体のアームの動作範囲を考慮しなければならない。その結果、例えば、上部ソレノイド14の後方端部14a’(図7参照)を遊技盤面3の前方へ突出させることになる。特に、アタッカーユニット1において、上記したようにソレノイドを配置することで、ソレノイドの後方端部が遊技領域9のさらに前方、すなわち、複層透明窓5の奥側の第1層5aの存在する位置まで突出する。
【0038】
また、上記したように下部第2リングセンサ32bは、その長手方向を遊技面3aに垂直とするように配置され、左右方向の寸法を小さくする。これによってアタッカーユニット1を遊技面3aに沿った方向にコンパクトに形成可能とする。このとき、上記したようにアタッカーユニット1の後方端面は遊技盤面3の後方面と面一とし、さらに、後方端面は下部カバー体39によって形成している。つまり、下部第2リングセンサ32bは、遊技盤面3の後方面から下部カバー体39の厚さ分だけ前方の空間内に配置される。その結果、下部第2リングセンサ32bは、遊技球の通過するリング部分を隣接して配置される下部第1リングセンサ32aのリング部分よりも手前に突出させた位置に配置させる。その結果、下部第2リングセンサ32を通過させる遊技球は遊技領域9よりも手前側に導かれることになる。
【0039】
詳細には、再び図5を参照すると、下部アタッカー31を下方に落下した遊技球の通路となる下部第1リングセンサ32aに対し、下部第2リングセンサ32bを遊技球が通過する位置は手前側になる。つまり、中部入賞口23を通過した遊技球を遊技盤面3の手前の遊技領域9よりもさらに手前(前方)側に導いて、下部第2リングセンサ32bでその通過を検知することになる。この場合にも、下部第2リングセンサ32bの前方側に配置される端部は遊技領域9のさらに前方、すなわち、複層透明窓5の奥側の第1層5aの存在する位置まで突出する。
【0040】
そこで、図11に示すように、アタッカーユニット1の前面を覆う前面カバー7には、上記したソレノイドの突出及びリングセンサの突出を収容するための凸部7a~7d、及び7eを含む。これらの凸部は、アタッカーユニット1の内部で前方に向けて突出する突出部分を収容するようユニットの内側においては凹となり、これに対応してユニット外側において凸となったものである。凸部7a~凸部7dはそれぞれ、上部ソレノイド14、中部ソレノイド24、下部ソレノイド34、左下部ソレノイド44の後方端部を収容することができる。また、凸部7eは、下部第2リングセンサ32bの突出を収容することができる。なお、凸部7eの上下に接続される凸部7e-1、凸部7e-2はそれぞれ下部第2リングセンサ32bに連続するように形成された遊技球の通路に対応して手前側に凸となったものである。なお、前面カバー7は、樹脂により形成された樹脂カバーであることが成形を容易として好ましい。また、アタッカーユニット1の内部を遊技者に見せるために、前面カバー7は、少なくとも一部を透明とされる。
【0041】
さらに、図12に示すように、凸部7a~凸部7eは複層透明窓5の第1層5aに設けられた貫通穴8a~8dの内部にその一部を配置させ、先端を第2層5bに向けて突出させる。ここで、各貫通穴8a~8dは、内部に配置する凸部7a~凸部7eの外周形状に沿った形状とされる。また、貫通穴8bのように、複数の凸部7b及び凸部7eをまとめて1つの貫通穴の内部に配置させることもできる。一方、複層透明窓5の第2層5bについてはこのような貫通穴を形成させない。
【0042】
このように、アタッカーユニット1のソレノイドやリングセンサなどの長手方向の寸法を比較的大とする部品について、複層透明窓5の第1層5aに設けられた貫通穴の内部にその一部を配置させることで、かかる部材の手前側への突出を許容できる。その結果、これらの部品の長手方向を遊技盤面3に垂直に配置して遊技盤面3に沿った方向の寸法を減じつつも、アタッカーユニット1の後方の突出をも減じることができ、アタッカーユニット1を全体としてコンパクトにし得る。特に、ソレノイドやセンサなどの既製品を使用する場合において、その既製品の寸法を維持しつつアタッカーユニットをコンパクトにできるのである。
【0043】
また、アタッカーユニット1によれば、その後方端面を遊技盤面と平行とすることができ、さらにはかかる後方端面を遊技盤面3の後方面と面一とすることもできる。このようなアタッカーユニット1のコンパクトな形状によって、遊技盤面3の後方側の空間を効率よく利用し得るとともに、効率のよい利用を容易とし得る。
【0044】
なお、複層透明窓5のうち、第1層5aについては、貫通穴を設けるために、加工や成形の容易な樹脂製とすることが好ましい。例えば、第1層5aにはあ、アクリル板を好適に使用し得る。
【0045】
なお、複層透明窓5において第1層5aの貫通穴8a~8dを形成することでそれぞれに開口部を設けることになるが、前面カバー7の凸部7a~7eをかかる開口部に挿入することにより、結果として第2層5bとの間を遮蔽することができる。
【0046】
ここまで本発明による実施例及びこれに基づく変形例を説明したが、本発明は必ずしもこれらの例に限定されるものではない。また、当業者であれば、本発明の主旨又は添付した特許請求の範囲を逸脱することなく、様々な代替実施例及び改変例を見出すことができるであろう。
【符号の説明】
【0047】
1 アタッカーユニット
5 複層透明窓
5a 第1層
7a~7e 凸部
8a~8d 貫通穴

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12