(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023050328
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】監視映像処理装置、プログラム、監視映像処理システムおよび監視映像処理方法
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20230404BHJP
G08G 1/04 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
H04N7/18 D
G08G1/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021160378
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100190942
【弁理士】
【氏名又は名称】風間 竜司
(72)【発明者】
【氏名】田中 明彦
【テーマコード(参考)】
5C054
5H181
【Fターム(参考)】
5C054CE11
5C054DA09
5C054FC00
5C054FE02
5C054FE12
5C054FE23
5C054GA01
5C054GA04
5C054HA26
5H181AA01
5H181CC04
5H181DD01
(57)【要約】
【課題】複数の監視映像を目視監視することを容易にする、監視映像処理装置、プログラム、監視映像処理システムおよび監視映像処理方法を提供する。
【解決手段】道路を撮像する複数の撮像装置の各々から前記道路の監視映像を取得する映像取得部と、前記映像取得部により取得された複数の監視映像のうち、2以上の監視映像を透過して重ね合わせる合成部と、を備える、監視映像処理装置が提供される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路を撮像する複数の撮像装置の各々から前記道路の監視映像を取得する映像取得部と、
前記映像取得部により取得された複数の監視映像のうち、2以上の監視映像を透過して重ね合わせる合成部と、を備える、
監視映像処理装置。
【請求項2】
第一の処理として、前記映像取得部により取得された前記複数の監視映像の各々を解析し、
第二の処理として、前記解析の結果に基づき、前記複数の監視映像間の類似の程度を判定し、
第三の処理として、前記判定の結果に基づき、前記複数の監視映像のうちで前記2以上の監視映像として用いられる監視映像のグループを決定する、解析部を備えた、
請求項1に記載の監視映像処理装置。
【請求項3】
前記解析部は、
第二の処理として、前記解析の結果に基づき、前記複数の監視映像の各々に含まれる道路形状または構造同士の類似の程度を判定する、
請求項2に記載の監視映像処理装置。
【請求項4】
前記合成部は、前記2以上の監視映像の各々の透過率を等しい値に設定する、
請求項2または3に記載の監視映像処理装置。
【請求項5】
前記合成部は、前記判定の結果に基づき、前記2以上の監視映像のうち、前記類似の程度が同一グループ内の監視映像の中で相対的に高い監視映像については、該監視映像の各々の透過率を、同一グループ内の監視映像のうち前記類似の程度が相対的に低い監視映像よりも高くなるように設定する、
請求項2または3に記載の監視映像処理装置。
【請求項6】
前記合成部は、前記2以上の監視映像の各々に重ね合わせ位置または角度のオフセットを設定して、前記2以上の監視映像を重ね合わせる、
請求項2~5のいずれかに記載の監視映像処理装置。
【請求項7】
前記解析部は、直近で前記グループの決定を行った時点から所定の時間が経過すると、再び前記第一の処理、前記第二の処理、および、前記第三の処理を順次実施する、
請求項2~6のいずれかに記載の監視映像処理装置。
【請求項8】
前記映像取得部は、記憶部または外部記憶装置から前記道路の監視映像を取得する、請求項1~7のいずれかに記載の監視映像処理装置。
【請求項9】
コンピュータを、
道路を撮像する複数の撮像装置の各々から前記道路の監視映像を取得する映像取得部と、
前記映像取得部により取得された複数の監視映像のうち、2以上の監視映像を透過して重ね合わせる合成部と、
として機能させるためのプログラム。
【請求項10】
道路を撮像する複数の撮像装置と、
前記複数の撮像装置の各々から前記道路の監視映像を取得する映像取得部と、
前記映像取得部により取得された複数の監視映像のうち、2以上の監視映像を透過して重ね合わせる合成部と、
を含む、監視映像処理システム。
【請求項11】
道路を撮像する複数の撮像装置の各々から前記道路の監視映像を取得することと、
前記監視映像のうち、2以上の監視映像を透過して重ね合わせ合成することと、
を含む、コンピュータにより実行される監視映像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視映像処理装置、プログラム、監視映像処理システムおよび監視映像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、道路交通の安全確保のため、道路に発生した異常を検知する様々な仕組みが検討されている。一般に、道路監視では、各種センサを用いた異常検知を行っているが、事故発生および路面異状の社会的影響が大きいことから、監視員が目視確認を並行して行っている。目視監視には、複数台の撮像装置で道路を撮像し、取得された映像をネットワークを利用して送信し、遠隔に設置したモニターに表示するシステムが利用されている。道路監視では、複数地点の映像を限られた数のモニターで監視する場合が多いため、多数の映像を同一画面に表示する方法が採られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、複数の撮像装置によって取得される映像の中から画面上に表示する映像を切り替えることで、同一のモニターで複数の映像を監視する方法が開示されている。あるいは、複数の映像の各々の表示サイズを縮小して、多数の映像を一つの画面上に同時表示する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、複数の映像の中から画面上に表示する映像を切り替える方法では、各映像に表示されない時間が存在するため、監視のリアルタイム性が損なわれ、異常を確認するまでに時間がかかる。また、各映像の表示サイズを縮小して同一の画面上に表示する手法では、1映像あたりの表示サイズが小さくなるため、細部まで状況が確認できず、異常を見落としやすい問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、複数の監視映像を目視監視することを容易にする、新規かつ改良された監視映像処理装置、プログラム、監視映像処理システムおよび監視映像処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、道路を撮像する複数の撮像装置の各々から前記道路の監視映像を取得する映像取得部と、前記映像取得部により取得された複数の監視映像のうち、2以上の監視映像を透過して重ね合わせる合成部と、を備える、監視映像処理装置が提供される。
【0008】
前記監視映像処理装置は、第一の処理として、前記映像取得部により取得された前記複数の監視映像の各々を解析し、第二の処理として、前記解析の結果に基づき、前記複数の監視映像間の類似の程度を判定し、第三の処理として、前記判定の結果に基づき、前記複数の監視映像のうちで前記2以上の監視映像として用いられる監視映像のグループを決定する、解析部をさらに備えてもよい。
【0009】
前記解析部は、第二の処理として、前記解析の結果に基づき、前記複数の監視映像の各々に含まれる道路形状または構造同士の類似の程度を判定してもよい。
【0010】
前記合成部は、前記2以上の監視映像の各々の透過率を等しい値に設定してもよい。
【0011】
前記合成部は、前記判定の結果に基づき、前記2以上の監視映像のうち、前記類似の程度が前記同一グループ内の監視映像の中で相対的に高い監視映像については、該監視映像の各々の透過率を、同一グループ内の監視映像のうち前記類似の程度が相対的に低い監視映像よりも高くなるように設定してもよい。
【0012】
前記合成部は、前記2以上の監視映像の各々に重ね合わせ位置または角度のオフセットを設定して、前記2以上の監視映像を重ね合わせてもよい。
【0013】
前記解析部は、直近で前記グループの決定を行った時点から所定の時間が経過すると、再び前記第一の処理、前記第二の処理、および、前記第三の処理を順次実施してもよい。
【0014】
前記映像取得部は、記憶部または外部記憶装置から前記道路の監視映像を取得してもよい。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータを、道路を撮像する複数の撮像装置の各々から前記道路の監視映像を取得する映像取得部と、前記映像取得部により取得された複数の監視映像のうち、2以上の監視映像を透過して重ね合わせる合成部と、として機能させるための、プログラムが提供される。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、道路を撮像する複数の撮像装置と、前記複数の撮像装置の各々から前記道路の監視映像を取得する映像取得部と、前記映像取得部により取得された複数の監視映像のうち、2以上の監視映像を透過して重ね合わせる合成部と、を含む、監視映像処理システムが提供される。
【0017】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、道路を撮像する複数の撮像装置の各々から前記道路の監視映像を取得することと、前記監視映像のうち、2以上の監視映像を透過して重ね合わせ合成することと、を含む、コンピュータにより実行される監視映像処理方法が提供される。
【発明の効果】
【0018】
以上説明した本発明によれば、複数の監視映像を目視監視することを容易にすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態による監視映像処理システムの一例を説明するための説明図である。
【
図2】本発明の一実施形態による監視映像処理装置10の機能構成例を説明するための説明図である。
【
図3】本発明の一実施形態による表示部160に表示される画面の一例を説明するための説明図である。
【
図4】監視映像処理装置10の動作を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の一実施形態による監視映像処理装置10のハードウェア構成を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0021】
また、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の機能構成または論理的意義を有する複数の構成を、必要に応じて監視用映像表示領域50Aおよび50Bのように区別する。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、複数の構成要素の各々に同一符号のみを付する。例えば、監視用映像表示領域50Aおよび50Bを特に区別する必要がない場合には、各監視用映像表示領域を単に監視用映像表示領域50と称する。
【0022】
<1.監視映像処理システムの概要>
本発明の実施形態は、遠隔地に設置された複数の撮像装置で道路を撮像し、撮像された監視映像を解析し、解析された監視映像を合成して目視監視用の重畳映像を作成する、監視映像処理システムに関する。当該監視映像処理システムは、例えば、高速道路またはトンネル内などの道路状況に異常がないか監視する場合に適用される。以下、
図1を参照し、本発明の一実施形態による監視映像処理システムの構成を説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態による監視映像処理システムの構成を示す説明図である。
図1に示したように、本発明の一実施形態による監視映像処理システムは、監視映像処理装置10と、複数の撮像装置20と、を有する。
【0024】
複数の撮像装置20は、監視対象となる遠隔地に設置される。
図1に示した例では、トンネル30内に複数の撮像装置20が間隔を空けて設置され、各撮像装置20はトンネル内の道路の状態を撮像する。各撮像装置20は、撮像した監視映像を、ネットワーク1を介して監視映像処理装置10に送信する。
【0025】
監視映像処理装置10は、複数の撮像装置20から送信された監視映像を受信し、受信した監視映像を解析および合成して目視監視用の重畳映像を作成するための情報処理端末である。
【0026】
図1に示されるように、監視映像処理装置10と複数の撮像装置20とは、ネットワーク1を介して通信可能に構成されている。
【0027】
(課題の整理)
複数の撮像装置から受信した監視映像を目視で監視する場合、監視用画面に多数の監視映像を表示する方法が考えられる。例えば、一定時間ごとに画面に表示される監視映像が切り替わる手法、または、監視員の操作により表示されている監視映像が切り替わる手法により、多数の監視映像を同一画面上で監視し得る。あるいは、各々の監視映像の表示サイズを縮小し、表示画面を分割することで、多数の監視映像を同時に表示する方法が考えられる。
【0028】
しかし、画面上に表示される監視映像を切り替える手法では、各監視映像に画面上に表示されない時間が生じるため、異常が発生した場合、目視監視による異常発見が遅れる可能性がある。また、各監視映像の表示サイズを縮小して表示する手法では、1映像あたりの表示サイズが小さくなるため、細部まで状況が確認できず、異常を見落としやすい問題がある。
【0029】
本件発明者は、上記事情を一着眼点にして本発明の実施形態を創作するに至った。本発明の実施形態によれば、複数の監視映像を目視監視することを容易にすることが可能である。以下、このような本発明の実施形態による監視映像処理装置10の構成および動作を順次詳細に説明する。
【0030】
<2.本発明の一実施形態による監視映像処理装置の構成>
図2は、本発明の一実施形態による監視映像処理装置10の機能構成例を示す説明図である。
図2に示したように、本実施形態による監視映像処理装置10は、映像取得部120、解析部130、表示画面生成部140、記憶部150、表示部160、および操作部170を有する。
【0031】
(映像取得部)
映像取得部120は、監視映像を取得する。例えば、映像取得部120は、複数の撮像装置20からネットワーク1を介して送信された監視映像を受信する。
【0032】
(解析部)
解析部130は、第一の処理として、複数の監視映像の中から、各監視映像に含まれる道路形状または構図が似た監視映像同士を判別するために、監視映像を解析し、第二の処理として、各監視映像間の類似の程度を算出する。解析部130は、各監視映像間の類似の程度を、各監視映像から作成する背景画像間の類似の程度によって算出する。
【0033】
より具体的には、解析部130は、第一の処理として、背景モデル生成手法である平均背景法を利用して、上記複数の監視映像から車両などの動体が取り除かれた背景画像を作成する。さらに、解析部130は、第二の処理として、上記背景画像間の類似の程度を算出する。このとき、解析部130は、特に上記背景画像に含まれる道路形状または構造同士の類似の程度を算出してもよい。類似の程度の算出方法は、輝度ヒストグラムの分布、エッジ量または特徴点の距離を求め、各値にあらかじめ設定しておいた係数を掛ける方法でもよい。あるいは、上記算出方法は、機械学習またはディープラーニングを用いて、各背景画像間の類似の程度を算出する方法でもよい。
【0034】
また、解析部130は、上記各背景画像間の類似の程度によって各監視映像間の類似の程度を算出したのち、第三の処理として、類似の程度が高い2以上の監視映像同士が同一グループとなるように、2以上の監視映像ごとのグループを決定する。例えば、解析部130は、クラスター分析手法を用いて、上記類似の程度が高い監視映像同士が同一グループとなるようにグループ分けをする。クラスター分析手法は、K-means法であってもよいし、他の手法であってもよい。この時、グループの数は、表示部160に表示される画面構成に合わせて、事前に設定しておいてもよい。または、グループの数は、上記類似の程度の算出結果に応じて、動的に決定されてもよい。
【0035】
(表示画面生成部)
表示画面生成部140は、監視用画面を生成し、当該監視用画面を表示部160に表示させる。このような表示画面生成部140は、
図2に示したように、合成部141としての機能を有する。合成部141は、2以上の監視映像が合成された重畳映像を作成する。上記監視用画面は、合成部141により作成された重畳映像を含む。ただし、監視用画面に含まれる映像は、監視員による操作に基づき、重畳映像と映像取得部120から取得された重畳前の監視映像との間で切替えられてもよい。
【0036】
ここで、合成部141の機能をより具体的に説明する。合成部141は、映像取得部120から複数の監視映像を取得し、取得した複数の監視映像のうち2以上の監視映像を透過し重ね合わせて重畳映像を作成する。合成部141は、重畳映像を作成する際に、解析部130が決定した上記グループに従って、グループ毎の2以上の監視映像の重畳映像を作成する。
【0037】
合成部141は、上記透過の処理を行う際、各監視映像の透過率を等しい値に設定する。または、上記グループの決定により同一グループに分類された2以上の監視映像の中で、特に類似の程度が高い複数の監視映像がある場合には、該複数の監視映像の透過率を相対的に高く設定し、重畳映像上での視認性を向上させてもよい。
【0038】
一般に、道路の状態を監視する監視映像では、映像に含まれる道路の形状または構図が似たものとなる場合が多い。特にトンネル内の監視映像では、撮像装置の設置位置あるいは高さが制限されることから、取得できる監視映像も似たような構図になることが多い。道路形状または構図が似た映像同士であれば、重ね合わせても、映像内の平常時の動きはどれも似た動きとなる。いずれかの監視対象の道路で異常が発生した場合、異常発生箇所の監視映像内の動きは他の監視映像内の動きと大きく異なるため、監視員は、複数の監視映像が重ね合わされた映像からでも異常が発生したことを容易に認識できる。そのため、合成部141が、解析部130によって決定されたグループに基づき、上記類似の程度が高い監視映像同士の重畳映像を作成することで、多数の監視映像を、重畳前の監視映像の数よりも少ない数の映像に集約して監視することが可能となる。
【0039】
(記憶部)
記憶部150は、監視映像処理装置10の動作に用いられる情報を記憶する。例えば、記憶部150は、表示画面生成部140が監視用画面を生成する際に参照される、事前に設定された画面表示用のレイアウト情報を記憶する。
【0040】
(表示部)
表示部160は、表示画面生成部140の制御に従い多様な画面を表示する。例えば、表示部160は、表示画面生成部140によって生成された監視用画面を表示する。
【0041】
図3は、表示部160に表示される監視用画面の一例を示す説明図である。
図3に示したように、監視用画面は、監視用映像表示領域50と、グループ情報51と、撮像装置位置マップ53と、を含む。監視用映像表示領域50には、合成部141により作成された重畳映像、または、重畳前の監視映像が表示される。
図3に示した例では、監視用映像表示領域50A~監視用映像表示領域50Cの各々には、異なるグループに属する監視映像の重畳映像が表示されている。
【0042】
グループ情報51は、対応する監視用映像表示領域50に配置されている重畳映像がいずれのグループに属する監視映像の重畳映像であるかを示す情報である。
図3に示した例では、グループ情報51は、撮像装置を模したアイコンであり、アイコンの色でグループを示す。
【0043】
撮像装置位置マップ53は、複数の撮像装置20の各々が、監視対象の道路のどの位置に配置されているか、および、いずれのグループに対応するかを示す。
図3に示した例では、撮像装置位置マップ53は、2段で構成されており、上段に上り方面の道路を撮像する複数の撮像装置20に対応する複数の撮像装置アイコンU1~U11が配置され、下段に下り方面の道路を撮像する複数の撮像装置20に対応する複数の撮像装置アイコンD1~D11が配置されている。各撮像装置アイコンの配置位置は、実際の撮像装置の設置位置に基づいて設定されている。
【0044】
また、各撮像装置アイコンには、対応する撮像装置20により撮像された監視映像がいずれのグループに属するかを示す色が付されている。
図3に示した例では、撮像装置アイコンU1~U3、U9、U10、D2、D3、D7、D9およびD10には、グループ情報51Aのアイコンと同じ色が付されている。従って、グループ情報51Aに対応する監視用映像表示領域50Aには、撮像装置アイコンU1~U3、U9、U10、D2、D3、D7、D9およびD10に対応する撮像装置20により撮像された監視映像の重畳映像が表示されていることが理解される。
【0045】
同様に、撮像装置アイコンU4~U6、D8、およびD11には、グループ情報51Bのアイコンと同じ色が付されている。従って、グループ情報51Bに対応する監視用映像表示領域50Bには、撮像装置アイコンU4~U6、D8、およびD11に対応する撮像装置20により撮像された監視映像の重畳映像が表示されていることが理解される。また、撮像装置アイコンU7、U8、U11、D1、D4~D6には、グループ情報51Cのアイコンと同じ色が付されている。従って、グループ情報51Cに対応する監視用映像表示領域50Cには、撮像装置アイコンU7、U8、U11、D1、D4~D6に対応する撮像装置20により撮像された監視映像の重畳映像が表示されていることが理解される。
【0046】
また、表示部160は、監視員が操作部170を操作して一台の撮像装置20を指定することにより、重畳映像ではなく、該撮像装置20が撮像している監視映像を表示してもよい。上記指定は、撮像装置アイコン52の中から、監視映像を表示させたい一台の撮像装置20に対応する撮像装置アイコン52を選択することにより、行われてもよい。
【0047】
(操作部)
操作部170は、監視員または監視映像処理装置10の操作者が監視映像処理装置10に指示または情報を入力するために操作する構成である。例えば、表示部160に表示された重畳映像上で異常が発見された場合に、操作者は、操作部170を操作することで、異常が発生した地点を特定するために、表示される監視映像を切り替えてもよい。
【0048】
上記特定の方法は、例えば2分探索アルゴリズムの考え方を用いてもよく、他の方法を用いてもよい。2分探索アルゴリズムの考え方を用いる例としては、監視員が、画面上に表示されている重畳映像の中から、異常を発見した映像を選択することを繰り返すことで、異常が発生している地点の監視映像を特定する方法が考えられる。
【0049】
具体的には、監視員は、監視用映像表示領域50Aに表示された重畳映像上に異常を発見した場合、操作部170を操作し、監視用映像表示領域50Aを選択する。表示画面生成部140は、選択された監視用映像表示領域50Aに表示されていた重畳映像に含まれる2以上の監視映像を2つのグループに分割する。そして、合成部141が、各グループに属する監視映像の重畳映像を作成する。表示画面生成部140は、作成された2つの重畳映像を、表示部160の画面に表示させる。監視映像処理装置10は、このような監視員による重畳映像の選択に基づくグループの分割および重畳映像の作成を、グループに属する監視映像が1つになるまで繰り返すことにより、異常が発生している地点の監視映像を迅速に特定することが可能となる。
【0050】
<3.動作>
以上、本発明の一実施形態による監視映像処理装置10の構成を説明した。続いて、
図4を参照し、本発明の一実施形態による監視映像処理装置10の動作を整理する。
【0051】
図4は、監視映像処理装置10の動作を示すフローチャートである。まず、映像取得部120が、ネットワーク1を介して、複数の撮像装置20から送信された監視映像を受信する。(S410)。
【0052】
解析部130は、映像取得部120が取得した複数の上記監視映像の各々について、背景画像を作成する(S420)。
【0053】
次に、解析部130は、作成した各背景画像間の類似の程度を算出する(S430)。
【0054】
さらに、解析部130は、算出された各監視映像の背景画像間の類似の程度に基づき、2以上の監視映像を含む、各監視映像のグループを決定する(S440)。
【0055】
合成部141は、映像取得部120により取得された複数の監視映像の各々に透過処理を行う(S450)。
【0056】
合成部141は、透過処理を施した上記複数の監視映像を、上記決定されたグループ毎に重ね合わせ、重畳映像を作成する(S460)。表示画面生成部140は、表示部160に表示される監視用画面上に含まれている重畳映像を、S460で合成部141により作成された重畳映像の内容に更新する。(S470)。
【0057】
監視映像処理装置10は、監視員が操作部170を操作して処理を終了する指示を出すことにより、監視映像処理を終了する(S480/Yes)。あるいは、あらかじめ設定された時刻に処理が終了するように設定されていてもよい。処理が終了される指示がない場合には、監視映像処理装置10は、監視映像処理を継続する(S480/No)。
【0058】
表示画面生成部140は、解析部130によるグループの決定が直近で行われた時点から、あらかじめ設定された所定の時間が経過したかを判定する。判定の結果、所定の時刻が経過している場合には、監視映像処理装置10は、再度、S410~S480の処理を順次実施する(S490/Yes)。
【0059】
表示画面生成部140が、上記所定の時刻がまだ経過していないと判定した場合には(S490/No)、映像取得部120が監視映像の取得を行い(S500)、監視映像処理装置10が、再度S450~S480の処理を順次実施する。このように、解析部130による背景画像の作成、類似の程度の算出、グループの決定が所定の時間ごとに繰り返されることにより、上記グループは定期的に更新される。グループが定期的に更新されることで、監視対象の道路に、日照条件の変化、あるいは、道路工事のための工事車両または標識の設置といった変化が生じた場合でも、重畳映像の視認性が低下しないように保つことができる。
【0060】
<4.作用効果>
以上説明した本発明の一実施形態によれば、多様な作用効果が得られる。例えば、本発明の一実施形態によれば、合成部141が、映像取得部120により取得された複数の監視映像の各々に、透過処理を行い、重ね合わせて、重畳映像を作成する。この処理により、多数の監視映像を、重畳前の監視映像よりも少ない数の映像に集約することが可能となる。上記多数の監視映像を同一画面上に表示する場合には、上記重畳映像を用いることで、各監視映像の表示サイズが縮小される程度が抑えられる。従って、多数の監視映像を同一画面上で目視監視する監視員が、監視映像内で発生する細部の状況を確認しやすくなる。
【0061】
また、本発明の一実施形態によれば、合成部141は、解析部130によって類似の程度が高い2以上の監視映像同士が同一グループとなるように決定されたグループ毎に、2以上の監視映像の重畳映像を作成する。類似の程度が高い各監視映像同士であれば平常時の動きが似たものとなる。従って、監視員が、重畳映像からでも、異常が発生したことを容易に認識しやすくなる。
【0062】
<5.ハードウェア構成>
以上、本発明の一実施形態を説明した。上述した監視映像の解析および合成などの情報処理は、ソフトウェアと、以下に説明する監視映像処理装置10のハードウェアとの協働により実現される。
【0063】
図5は、本実施形態に係る監視映像処理装置10のハードウェア構成を示したブロック図である。監視映像処理装置10は、CPU(Central Processing Unit)102と、ROM(Read Only Memory)104と、RAM(Random Access Memory)106と、内部バス108と、入出力インターフェース110と、表示装置112と、入力装置113と、音声出力部114と、記憶装置115と、ドライブ116と、ネットワークインターフェース117と、外部インターフェース118と、を備えることができる。
【0064】
CPU102は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って監視映像処理装置10内の動作全般を制御する。CPU102が後述するROM104、RAM106およびソフトウェアと協働することにより、例えば、映像取得部120、解析部130、表示画面生成部140、などの機能が実現され得る。
【0065】
ROM104は、CPU102が使用するプログラムおよび演算パラメータ等を記憶する。RAM106は、CPU102の実行において使用するプログラム、およびその実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。
【0066】
CPU102,ROM104、RAM106は、内部バス108によって相互に接続され、さらに入出力インターフェース110を介して後述する表示装置112、入力装置113、音声出力部114、記憶装置115、ドライブ116、ネットワークインターフェース117および外部インターフェース118と接続される。
【0067】
表示装置112は、例えば、CRTディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)、OLED装置などの表示装置であり、映像データを映像に変換して出力する。また、入力装置113は、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、センサ、スイッチおよび制御回路などから構成され得る。また、音声出力部114は、スピーカおよびヘッドホンなどの音声出力装置であり、音声データなどを音声に変換して出力する。
【0068】
記憶装置115は、本実施形態による記憶部150の一例として構成されたデータ記憶用の装置である。記憶装置115は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含んでいてもよい。記憶装置115は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid Strage Drive)、あるいは同等の機能を有するメモリ等で構成される。この記憶装置115は、ストレージを駆動し、CPU102が実行するプログラムまたは各種データを記憶する。
【0069】
ドライブ116は、記憶媒体用リーダライタであり、監視映像処理装置10に内蔵、または外付けされる。ドライブ116は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリなどのリムーバブル記憶媒体に記憶されている情報を読み出して、RAM106に出力する。また、ドライブ116は、リムーバブル記憶媒体に情報を書き込むことも可能である。
【0070】
ネットワークインターフェース117は、例えば、インターネットなどの通信網に接続するためのデバイス等で構成された通信インターフェースである。また、ネットワークインターフェース117は、有線LAN(Local Area Network)または無線LAN対応通信装置であってもよいし、有線による通信を行うワイヤー通信装置であってもよい。
【0071】
外部インターフェース118は、例えばUSB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)ポート、RS-232Cポートまたは光オーディオ端子などのような外部接続機器を接続するための接続ポートで構成された接続インターフェースである。
【0072】
<6.補足>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0073】
例えば、上記実施形態では、映像取得部120が、ネットワーク1を介して、複数の撮像装置20から監視映像を取得する例を説明したが、映像取得部120は、あらかじめ記憶部150に記憶された監視映像を取得してもよいし、外部記憶装置から監視映像を読み出してもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、解析部130が2以上の監視映像のグループを決定するとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、監視員が、あらかじめ道路形状または構図が似通っている監視対象地点を目視で判断し、その判断に基づいて事前にグループ分けを行っておき、そのグループ分けの結果に基づいて合成部141が重畳映像を作成してもよい。事前にグループ分けを行っておく場合には、上記グループ分けの結果を記憶部150に記憶させておき、表示画面生成部140が記憶部150から上記結果を読み出し、合成部141が該結果に基づいて重畳映像を作成してもよい。さらに、解析部130が複数の監視映像の類似度を算出して決定したグループ分けの結果を記憶部150に記憶させておいてもよく、表示画面生成部140が記憶部150から該結果を読み出し、合成部141が該結果に基づいて重畳映像を作成してもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、合成部141は、複数の監視映像の各々を透過させ、各監視映像を単に重ね合わせることで重畳映像を作成する例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、重畳映像を作成する際に、監視映像に重ね合わせ位置または角度のオフセットを設定して、監視映像の各々に含まれる類似した道路形状または構図が重なるように位置を合わせる処理を行ってもよい。
【0076】
また、本実施形態による監視映像処理装置10の動作の処理におけるステップは、必ずしも説明図として記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、監視映像処理装置10の動作の処理における各ステップは、説明図として記載した順序と異なる順序で処理されてもよく、並列的に処理されてもよい。
【0077】
また、監視映像処理装置10に内蔵されるCPU、ROMおよびRAMなどのハードウェアに、上述した監視映像処理装置10の各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。
【0078】
また、本実施形態による監視映像処理装置10は、複数の情報処理装置を含む監視映像処理システムとして設けられてもよい。例えば、上述した解析部130および表示画面生成部140は、複数の情報処理装置に分かれて設けられてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、道路交通において、遠隔地に設置した複数の撮像装置で道路状況を監視する場合に適用可能であり、特にトンネル内の路面異状の目視監視に適用可能である。
【符号の説明】
【0080】
10 監視映像処理装置
20 撮像装置
120 映像取得部
130 解析部
140 表示画面生成部
141 合成部
150 記憶部
160 表示部
170 操作部