(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023050337
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】レドックスフロー電池システム及びレドックスフロー電池システムの運転方法
(51)【国際特許分類】
H01M 8/18 20060101AFI20230404BHJP
H01M 8/2455 20160101ALI20230404BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20230404BHJP
H01M 8/04746 20160101ALI20230404BHJP
H02J 15/00 20060101ALI20230404BHJP
H02J 7/34 20060101ALI20230404BHJP
H02J 7/04 20060101ALI20230404BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20230404BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
H01M8/18
H01M8/2455
H01M8/04 Z
H01M8/04 J
H01M8/04746
H02J15/00 D
H02J7/34 J
H02J7/04 P
H02J3/32
H02J3/38 110
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021160389
(22)【出願日】2021-09-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】512160210
【氏名又は名称】LEシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100183955
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 悟郎
(74)【代理人】
【識別番号】100169753
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 幸子
(74)【代理人】
【識別番号】100180334
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 洋美
(74)【代理人】
【識別番号】100177149
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 浩義
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 純一
(72)【発明者】
【氏名】原田 達朗
(72)【発明者】
【氏名】杉田 武
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5G066HB02
5G066HB06
5G066HB09
5G066JB03
5G503AA01
5G503AA06
5G503AA07
5G503BB01
5G503CB03
5G503DA04
5G503DA16
5G503GB03
5G503GB06
5G503GD02
5G503GD06
5H126AA24
5H126BB10
5H126JJ02
5H126RR01
5H127AA10
5H127AB25
5H127AB27
5H127BA01
5H127BA21
5H127BA57
5H127BB03
5H127BB12
5H127BB37
5H127DC08
5H127DC28
(57)【要約】
【課題】カラーリングされた電力を電力需要家に供給でき、余剰電力を有効に活用できる、レドックスフロー電池システム及びレドックスフロー電池システムの運転方法を提供する。
【解決手段】レドックスフロー電池システム10は、少なくとも1つの電源種A~Cから電力を充電するレドックスフロー充電セル110A~110Cと、個別貯留部200A~200Cと、共通貯留部300Aと、制御部500とを備える。個別貯留部200A~200Cは、電源種A~Cのみから電力を充電される電解液を貯留する。共通貯留部300Aは、電源種A、Cから電力を充電される電解液を貯留する。制御部500は、レドックスフロー充電セル110Aに充電される電解液を個別貯留部200Aの電解液と共通貯留部300Aの電解液とに切り替え、レドックスフロー充電セル110Cに充電される電解液を個別貯留部200Cの電解液と共通貯留部300Aの電解液とに切り替える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの電源種に接続し前記少なくとも1つの電源種から電力を充電する、少なくとも1つのレドックスフロー充電セルと、
前記レドックスフロー充電セルにより充電された前記電力を放電する、少なくとも1つのレドックスフロー放電セルと、
前記レドックスフロー充電セルにより、1つの前記電源種のみから前記電力を充電される電解液を貯留し、該電解液を、該レドックスフロー充電セルと前記少なくとも1つのレドックスフロー放電セルに循環させる、複数の個別貯留部と、
前記レドックスフロー充電セルにより、少なくとも2つの前記電源種から電力を充電される電解液を貯留し、該電解液を、該レドックスフロー充電セルと前記少なくとも1つのレドックスフロー放電セルに循環させる、共通貯留部と、
前記レドックスフロー充電セルに充電される電解液を、前記個別貯留部の電解液と前記共通貯留部の電解液とに切り替える、制御部とを備える、
レドックスフロー電池システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記個別貯留部の電解液の充電深度に基づいて、前記レドックスフロー充電セルに充電される電解液を、前記個別貯留部の電解液と前記共通貯留部の電解液とに切り替える、
請求項1に記載のレドックスフロー電池システム。
【請求項3】
前記個別貯留部は、前記電解液を貯留する複数の貯留槽を有し、
前記複数の貯留槽のうちの1つの前記貯留槽の容量は、他の前記貯留槽の容量よりも小さい、
請求項1又は2に記載のレドックスフロー電池システム。
【請求項4】
少なくとも1つの電源種に接続し前記少なくとも1つの電源種から電力を充電する少なくとも1つのレドックスフロー充電セルに、1つの前記電源種のみから前記電力を充電される電解液を循環させ、該電解液に前記電力を充電する工程と、
前記レドックスフロー充電セルを循環する電解液を、前記1つの電源種のみから前記電力を充電される電解液から、少なくとも2つの前記電源種から前記電力を充電される電解液に切り替える工程と、
前記レドックスフロー充電セルにより、切り替えられた前記少なくとも2つの電源種から前記電力を充電される電解液に前記電力を充電する工程と、
レドックスフロー放電セルに、前記1つの電源種のみから前記電力を充電される電解液と、前記少なくとも2つの電源種から前記電力を充電される電解液の一方を循環させて、前記レドックスフロー放電セルから充電された前記電力を放電する工程と、を含む、
レドックスフロー電池システムの運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レドックスフロー電池システム及びレドックスフロー電池システムの運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電力を充電する充電セルと、充電された電力を放電する放電セルとを備えるレドックスフロー電池システムが知られている。例えば、特許文献1は、複数のセル部を有するレドックスフロー電池と、レドックスフロー電池の複数のセル部の少なくとも一部を電気供給系に接続する充電状態と電気需要系に接続する放電状態との何れかに切り替える接続切り替え機構と、レドックスフロー電池の電解液を収納する電解液収容部と、各セル部に電解液を流通させる送液手段とを備える、蓄電システムを開示している。特許文献1の蓄電システムは、レドックスフロー電池の複数のセル部が、電力を充電するセル部と充電された電力を放電するセル部に分けられているので、充電と放電とを併行して継続的に実施できる。
【0003】
一方、電力需要家には、環境価値の観点から再生可能エネルギー100%(RE100)の電力供給を求める電力需要家、電源種(電力の由来:再生可能エネルギーによる発電、火力発電による発電等)に拘らず安定的な電力供給を求める電力需要家等が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の蓄電システムは、1つの電解液収容部しか備えていないため、カラーリングされた電力(電力の由来が区別された電力)を電力需要家の求めに応じて供給することができない。
【0006】
本開示は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、カラーリングされた電力を電力需要家に供給でき、余剰電力を有効に活用できる、レドックスフロー電池システム及びレドックスフロー電池システムの運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本開示の第1の観点に係るレドックスフロー電池システムは、
少なくとも1つの電源種に接続し前記少なくとも1つの電源種から電力を充電する、少なくとも1つのレドックスフロー充電セルと、
前記レドックスフロー充電セルにより充電された前記電力を放電する、少なくとも1つのレドックスフロー放電セルと、
前記レドックスフロー充電セルにより、1つの前記電源種のみから前記電力を充電される電解液を貯留し、該電解液を、該レドックスフロー充電セルと前記少なくとも1つのレドックスフロー放電セルに循環させる、複数の個別貯留部と、
前記レドックスフロー充電セルにより、少なくとも2つの前記電源種から電力を充電される電解液を貯留し、該電解液を、該レドックスフロー充電セルと前記少なくとも1つのレドックスフロー放電セルに循環させる、共通貯留部と、
前記レドックスフロー充電セルに充電される電解液を、前記個別貯留部の電解液と前記共通貯留部の電解液とに切り替える、制御部とを備える。
【0008】
本開示の第2の観点に係るレドックスフロー電池システムの運転方法は、
少なくとも1つの電源種に接続し前記少なくとも1つの電源種から電力を充電する少なくとも1つのレドックスフロー充電セルに、1つの前記電源種のみから前記電力を充電される電解液を循環させ、該電解液に前記電力を充電する工程と、
前記レドックスフロー充電セルを循環する電解液を、前記1つの電源種のみから前記電力を充電される電解液から、少なくとも2つの前記電源種から前記電力を充電される電解液に切り替える工程と、
前記レドックスフロー充電セルにより、切り替えられた前記少なくとも2つの電源種から前記電力を充電される電解液に前記電力を充電する工程と、
レドックスフロー放電セルに、前記1つの電源種のみから前記電力を充電される電解液と、前記少なくとも2つの電源種から前記電力を充電される電解液の一方を循環させて、前記レドックスフロー放電セルから充電された前記電力を放電する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、カラーリングされた電力を電力需要家に供給でき、余剰電力を有効に活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1に係るレドックスフロー電池システムの模式図である。
【
図2】実施形態1に係る第1レドックスフロー充電セルを示す模式図である。
【
図3】実施形態1に係る第1個別貯留部を示す模式図である。
【
図4】実施形態1に係る第1共通貯留部を示す模式図である。
【
図5】実施形態1に係る制御部のハードウェア構成を示す図である。
【
図6】実施形態1に係るレドックスフロー電池システムの運転処理を示すフローチャートである。
【
図7】実施形態1に係る充電処理を示すフローチャートである。
【
図8】実施形態1に係る放電処理を示すフローチャートである。
【
図9】実施形態2に係るレドックスフロー電池システムの模式図である。
【
図10】変形例に係る正極電解液貯留槽の一例を示す模式図である。
【
図11】変形例に係るレドックスフロー電池システムの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態に係るレドックスフロー電池システムについて、図面を参照して説明する。
【0012】
<実施形態1>
図1~
図8を参照して、本実施形態に係るレドックスフロー電池システム10を説明する。
【0013】
レドックスフロー電池システム10は、カラーリングされた電力を、電力需要家に供給する。レドックスフロー電池システム10は、
図1に示すように、第1レドックスフロー充電部100A~第3レドックスフロー充電部100Cと、第1個別貯留部200A~第3個別貯留部200Cと、第1共通貯留部300Aと、第1レドックスフロー放電部400A~第4レドックスフロー放電部400Dと、制御部500とを備える。
【0014】
第1レドックスフロー充電部100A~第3レドックスフロー充電部100Cのそれぞれは、所定の電源種(再生可能エネルギーによる発電、火力発電による発電、オンサイト太陽光発電、オフサイト太陽光発電等)に接続し、所定の電源から電力を充電する。第1個別貯留部200A~第3個別貯留部200Cのそれぞれは、第1レドックスフロー充電部100A~第3レドックスフロー充電部100Cのそれぞれにより、所定の電源種のみから電力を充電される正極電解液PLと負極電解液NLを貯留し、貯留している正極電解液PLと負極電解液NLを第1レドックスフロー充電部100A~第3レドックスフロー充電部100Cのそれぞれに循環させる。また、第1個別貯留部200A~第3個別貯留部200Cのそれぞれは、貯留している正極電解液PLと負極電解液NLを、第1レドックスフロー放電部400A~第3レドックスフロー放電部400Cのそれぞれに循環させる。
【0015】
第1共通貯留部300Aは、第1レドックスフロー充電部100Aと第3レドックスフロー充電部100Cにより、2つの電源種から電力を充電される正極電解液PLと負極電解液NLを貯留し、貯留している正極電解液PLと負極電解液NLを第1レドックスフロー充電部100Aと第3レドックスフロー充電部100Cのそれぞれに循環させる。また、第1共通貯留部300Aは、貯留している正極電解液PLと負極電解液NLを、第4レドックスフロー放電部400Dに循環させる。
【0016】
第1レドックスフロー放電部400A~第3レドックスフロー放電部400Cのそれぞれは、第1個別貯留部200A~第3個別貯留部200Cのそれぞれから正極電解液PLと負極電解液NLを循環されて、第1レドックスフロー充電部100A~第3レドックスフロー充電部100Cのそれぞれにより充電された電力を放電する。第4レドックスフロー放電部400Dは、第1共通貯留部300Aから正極電解液PLと負極電解液NLを循環されて、第1レドックスフロー充電部100Aと第3レドックスフロー充電部100Cにより充電された電力を放電する。第1レドックスフロー放電部400A~第4レドックスフロー放電部400Dのそれぞれは、放電により、それぞれの電力需要家に電力を供給する。制御部500は、各部を制御する。制御部500は、第1レドックスフロー充電部100Aに充電される正極電解液PLと負極電解液NLを、第1個別貯留部200Aの正極電解液PLと負極電解液NLと、第1共通貯留部300Aの正極電解液PLと負極電解液NLとに切り替える。また、制御部500は、第3レドックスフロー充電部100Cに充電される正極電解液PLと負極電解液NLを、第3個別貯留部200Cの正極電解液PLと負極電解液NLと、第1共通貯留部300Aの正極電解液PLと負極電解液NLとに切り替える。なお、
図1では、理解を容易にするために、構成の一部を省略又は簡略化している。
【0017】
本実施形態では、正極電解液PLと負極電解液NLの活物質として、バナジウムイオンを用いたレドックスフロー電池を例として説明する。また、正極電解液PLと負極電解液NLとを総称して、電解液とも記載する。
【0018】
(レドックスフロー充電部)
(第1レドックスフロー充電部)
第1レドックスフロー充電部100Aは、
図1に示すように、第1レドックスフロー充電セル110Aと電力量計180とパワーコンディショナPCSとを備える。第1レドックスフロー充電部100Aは、電源種Aに接続し、電源種Aから電力を充電する。電源種Aは、例えば、オンサイト再生可能エネルギー電源である。第1レドックスフロー充電部100Aは、第1個別貯留部200Aの電解液と第1共通貯留部300Aの電解液に電力を充電する。後述するように、第1レドックスフロー充電セル110Aを循環し、電力を充電される電解液は、制御部500により、第1個別貯留部200Aの電解液と第1共通貯留部300Aの電解液とに切り替えられるので、第1レドックスフロー充電部100Aは、充電時には、第1個別貯留部200Aの電解液と第1共通貯留部300Aの電解液のうちの一方の電解液に電力を充電する。
【0019】
第1レドックスフロー充電セル110Aを循環する電解液は、例えば、第1個別貯留部200Aの電解液の充電深度(充電状態:SOC(State of Charge)ともいう)に基づいて切り替えられる。例えば、第1個別貯留部200Aの電解液の充電深度が所定の第1しきい値(例えば、80%)以上となった場合、第1レドックスフロー充電セル110Aを循環する電解液は、第1個別貯留部200Aの電解液から第1共通貯留部300Aの電解液に切り替えられる。これにより、オンサイト再生可能エネルギー電源である電源種Aの余剰電力を有効に活用できる。また、電解液からの析出物の発生を抑制できる。
【0020】
第1個別貯留部200Aの電解液は、第1レドックスフロー放電部400Aに循環して電力を放電するので、第1レドックスフロー充電部100Aと第1個別貯留部200Aと第1レドックスフロー放電部400Aは、1つのレドックスフロー電池に相当する。また、第1共通貯留部300Aの電解液は、第4レドックスフロー放電部400Dに循環して電力を放電するので、第1レドックスフロー充電部100Aと第1共通貯留部300Aと第4レドックスフロー放電部400Dも、1つのレドックスフロー電池に相当する。
【0021】
第1レドックスフロー充電セル110Aは、電力量計180とパワーコンディショナPCSとを介して、電源種Aに接続する。第1レドックスフロー充電セル110Aは、電解液に電源種Aからの電力を充電する。第1レドックスフロー充電セル110Aは、
図2に示すように、正極115aと、正極室120aと、負極115cと、負極室120cと、隔膜130とを有する。
【0022】
正極115aには、例えば、カーボン繊維電極が使用される。正極115aは、正極室120aに配置される。正極室120aは、正極115aを配置され、隔膜130により負極室120cと隔てられる。第1個別貯留部200Aと第1共通貯留部300Aに接続する配管50を介して、第1個別貯留部200A又は第1共通貯留部300Aの正極電解液PLが正極室120aを循環する。正極室120aでは、正極電解液PL中の4価バナジウムイオンが5価バナジウムイオンに酸化される(充電)。
【0023】
負極115cには、例えば、カーボン繊維電極が使用される。負極115cは、負極室120cに配置される。負極室120cは、負極115cを配置され、隔膜130により正極室120aと隔てられる。第1個別貯留部200Aと第1共通貯留部300Aに接続する配管50を介して、第1個別貯留部200A又は第1共通貯留部300Aの負極電解液NLが負極室120cを循環する。負極室120cでは、負極電解液NL中の3価バナジウムイオンが2価バナジウムイオンに還元される(充電)。
【0024】
隔膜130はイオン交換膜である。隔膜130は、正極室120aと負極室120cを隔てて、所定のイオンを透過させる。
【0025】
第1レドックスフロー充電セル110Aは、第1レドックスフロー充電セル110Aが積層されたセルスタックの形態で用いられる。セルスタックは、例えば、双極板を設けられたセルフレームと正極115aと隔膜130と負極115cとを積層して構成される。正極115aが双極板の一方の面側に配置され、負極115cが双極板の他方の面側に配置されることにより、隣接するセルフレームの間に第1レドックスフロー充電セル110Aが形成される。正極電解液PLと負極電解液NLは、セルフレームの枠体、正極115aを支持する枠体、負極115cを支持する枠体等に形成されたマニホールドを介して、循環する。なお、第1レドックスフロー充電セル110Aの構成は、適宜、公知の構成を利用できる。
【0026】
電力量計180は、電源種Aから充電される電力量を測定する。電力量計180は、測定した電力量の値を制御部500に送信する。
【0027】
パワーコンディショナPCSは、制御部500からの指示に基づいて、第1レドックスフロー充電セル110Aの充電を制御する。パワーコンディショナPCSは、AC/DCコンバータ、DC/DCコンバータ等を有している。
【0028】
(第2レドックスフロー充電部)
第2レドックスフロー充電部100Bは、
図1に示すように、第2レドックスフロー充電セル110Bと電力量計180とパワーコンディショナPCSとを備える。第2レドックスフロー充電部100Bは、電源種Bに接続し、電源種Bから電力を充電する。電源種Bは、例えば、オフサイト再生可能エネルギー電源である。第2レドックスフロー充電部100Bは、第2個別貯留部200Bの電解液に電力を充電する。第2個別貯留部200Bの電解液は、第2レドックスフロー放電部400Bに循環して電力を放電するので、第2レドックスフロー充電部100Bと第2個別貯留部200Bと第2レドックスフロー放電部400Bは、1つのレドックスフロー電池に相当する。
【0029】
第2レドックスフロー充電セル110Bは、電力量計180とパワーコンディショナPCSとを介して、電源種Bに接続する。第2レドックスフロー充電セル110Bは、電解液に電源種Bからの電力を充電する。第2レドックスフロー充電セル110Bは、第1レドックスフロー充電セル110Aと同様に、正極115aと、正極室120aと、負極115cと、負極室120cと、隔膜130とを有する。
【0030】
第2レドックスフロー充電セル110Bでは、第2個別貯留部200Bに接続する配管50を介して、第2個別貯留部200Bの正極電解液PLが正極室120aを循環する。また、第2個別貯留部200Bに接続する配管50を介して、第2個別貯留部200Bの負極電解液NLが負極室120cを循環する。第2レドックスフロー充電セル110Bのその他の構成は、第1レドックスフロー充電セル110Aと同様である。
【0031】
第2レドックスフロー充電部100Bの電力量計180は、電源種Bから充電される電力量を測定する。第2レドックスフロー充電部100BのパワーコンディショナPCSは、制御部500からの指示に基づいて、第2レドックスフロー充電セル110Bの充電を制御する。
【0032】
(第3レドックスフロー充電部)
第3レドックスフロー充電部100Cは、
図1に示すように、第3レドックスフロー充電セル110Cと電力量計180とパワーコンディショナPCSとを備える。第3レドックスフロー充電部100Cは、電源種Cに接続し、電源種Cから電力を充電する。電源種Cは、例えば、電力卸売市場である。第3レドックスフロー充電部100Cは、第3個別貯留部200Cの電解液と第1共通貯留部300Aの電解液に電力を充電する。後述するように、第3レドックスフロー充電セル110Cを循環し、電力を充電される電解液は、制御部500により、第3個別貯留部200Cの電解液と第1共通貯留部300Aの電解液とに切り替えられるので、第3レドックスフロー充電部100Cは、充電時には、第3個別貯留部200Cの電解液と第1共通貯留部300Aの電解液のうちの一方の電解液に充電する。
【0033】
第3レドックスフロー充電セル110Cを循環する電解液は、例えば、電力卸売市場から調達する電力価格と第3個別貯留部200Cの電解液の充電深度に基づいて切り替えられる。例えば、電力卸売市場から調達する電力価格が所定の第1価格よりも安価で、第3個別貯留部200Cの電解液の充電深度が所定の第1しきい値以上となった場合、第3レドックスフロー充電セル110Cを循環する電解液は、第3個別貯留部200Cの電解液から第1共通貯留部300Aの電解液に切り替えられる。これにより、余剰電力を有効に活用できると共に安価に電力を提供できる。
【0034】
第3レドックスフロー充電部100Cと第3個別貯留部200Cと第3レドックスフロー放電部400Cは、1つのレドックスフロー電池に相当する。また、第3レドックスフロー充電部100Cと第1共通貯留部300Aと第4レドックスフロー放電部400Dも、1つのレドックスフロー電池に相当する。
【0035】
第3レドックスフロー充電セル110Cは、電力量計180とパワーコンディショナPCSとを介して、電源種Cに接続する。第3レドックスフロー充電セル110Cは、電解液に電源種Cからの電力を充電する。第3レドックスフロー充電セル110Cは、第1レドックスフロー充電セル110Aと同様に、正極115aと、正極室120aと、負極115cと、負極室120cと、隔膜130とを有する。
【0036】
第3個別貯留部200Cと第1共通貯留部300Aに接続する配管50を介して、第3個別貯留部200C又は第1共通貯留部300Aの正極電解液PLが正極室120aを循環する。また、第3個別貯留部200Cと第1共通貯留部300Aに接続する配管50を介して、第3個別貯留部200C又は第1共通貯留部300Aの負極電解液NLが負極室120cを循環する。第3レドックスフロー充電セル110Cのその他の構成は、第1レドックスフロー充電セル110Aと同様である。
【0037】
第3レドックスフロー充電部100Cの電力量計180は、電源種Cから充電される電力量を測定する。第3レドックスフロー充電部100CのパワーコンディショナPCSは、制御部500からの指示に基づいて、第3レドックスフロー充電セル110Cの充電を制御する。
【0038】
(個別貯留部)
(第1個別貯留部)
第1個別貯留部200Aは、第1レドックスフロー充電部100Aにより、電源種Aのみから充電される電解液を貯留し、貯留している電解液を第1レドックスフロー充電部100Aに循環させる。また、第1個別貯留部200Aは、貯留している電解液を第1レドックスフロー放電部400Aに循環させる。したがって、第1個別貯留部200Aには、第1レドックスフロー充電部100Aが接続する電源種A(オンサイト再生可能エネルギー)にカラーリングされた電解液が貯留される。第1個別貯留部200Aは、
図3に示すように、配管50と、正極電解液貯留槽210aと、正極ポンプ222a、224aと、負極電解液貯留槽210cと、負極ポンプ222c、224cと、電磁バルブ230と、開放電圧測定部240とを備える。
【0039】
配管50は、正極電解液貯留槽210aと、第1レドックスフロー充電セル110Aの正極室120aと後述する第1レドックスフロー放電セル410Aの正極室120aとを接続する。また、配管50は、負極電解液貯留槽210cと、第1レドックスフロー充電セル110Aの負極室120cと後述する第1レドックスフロー放電セル410Aの負極室120cとを接続する。配管50は、配管50a1~配管50a4と配管50c1~配管50c4から構成されている。
【0040】
配管50a1と配管50a2は、正極電解液貯留槽210aと第1レドックスフロー充電セル110Aの正極室120aとを接続する。配管50a1は、正極電解液PLを第1レドックスフロー充電セル110Aの正極室120aに供給する。配管50a2は、正極電解液PLを第1レドックスフロー充電セル110Aの正極室120aから回収する。配管50a1には、正極ポンプ222aと電磁バルブ230が設けられる。配管50a2には、電磁バルブ230が設けられる。
【0041】
配管50a3と配管50a4は、正極電解液貯留槽210aと第1レドックスフロー放電セル410Aの正極室120aとを接続する。配管50a3は、正極電解液PLを第1レドックスフロー放電セル410Aの正極室120aに供給する。配管50a4は、正極電解液PLを第1レドックスフロー放電セル410Aの正極室120aから回収する。配管50a3には、正極ポンプ224aが設けられる。
【0042】
配管50c1と配管50c2は、負極電解液貯留槽210cと第1レドックスフロー充電セル110Aの負極室120cとを接続する。配管50c1は、負極電解液NLを第1レドックスフロー充電セル110Aの負極室120cに供給する。配管50c2は、負極電解液NLを第1レドックスフロー充電セル110Aの負極室120cから回収する。配管50c1には、負極ポンプ222cと電磁バルブ230が設けられる。配管50c2には、電磁バルブ230が設けられる。
【0043】
配管50c3と配管50c4は、負極電解液貯留槽210cと第1レドックスフロー放電セル410Aの負極室120cとを接続する。配管50c3は、負極電解液NLを第1レドックスフロー放電セル410Aの負極室120cに供給する。配管50c4は、負極電解液NLを第1レドックスフロー放電セル410Aの負極室120cから回収する。配管50c3には、負極ポンプ224cが設けられる。
【0044】
正極電解液貯留槽210aは、第1レドックスフロー充電部100Aのみに充電される正極電解液PLを貯留する。正極電解液貯留槽210aに貯留されている正極電解液PLは、配管50を介して、第1レドックスフロー充電セル110Aの正極室120aと第1レドックスフロー放電セル410Aの正極室120aを循環する。
【0045】
正極ポンプ222aは、配管50a1に設けられる。正極ポンプ222aは、正極電解液PLを第1レドックスフロー充電セル110Aの正極室120aに循環させる。正極ポンプ222aは、制御部500により制御されて、第1レドックスフロー充電セル110Aの正極室120aを循環する正極電解液PLの流量を制御する。
【0046】
正極ポンプ224aは、配管50a3に設けられる。正極ポンプ224aは、正極電解液PLを第1レドックスフロー放電セル410Aの正極室120aに循環させる。正極ポンプ224aは、制御部500により制御されて、第1レドックスフロー放電セル410Aの正極室120aを循環する正極電解液PLの流量を制御する。
【0047】
負極電解液貯留槽210cは、第1レドックスフロー充電部100Aのみに充電される負極電解液NLを貯留する。負極電解液貯留槽210cに貯留されている負極電解液NLは、配管50を介して、第1レドックスフロー充電セル110Aの負極室120cと第1レドックスフロー放電セル410Aの負極室120cを循環する。負極電解液貯留槽210cは、配管50に接続している。
【0048】
負極ポンプ222cは、配管50c1に設けられる。負極ポンプ222cは、負極電解液NLを第1レドックスフロー充電セル110Aの負極室120cに循環させる。負極ポンプ222cは、制御部500により制御されて、第1レドックスフロー充電セル110Aの負極室120cを循環する負極電解液NLの流量を制御する。
【0049】
負極ポンプ224cは、配管50c3に設けられる。負極ポンプ224cは、負極電解液NLを第1レドックスフロー放電セル410Aの負極室120cに循環させる。負極ポンプ224cは、制御部500により制御されて、第1レドックスフロー放電セル410Aの負極室120cを循環する負極電解液NLの流量を制御する。
【0050】
電磁バルブ230は、配管50a1と配管50a2と配管50c1と配管50c2に設けられる。電磁バルブ230は、制御部500の制御により、正極電解液貯留槽210aと負極電解液貯留槽210cと、第1レドックスフロー充電セル110A(正極室120aと負極室120c)とを接続する配管50(配管50a1、配管50a2、配管50c1、配管50c2)を開閉する。
【0051】
具体的には、第1レドックスフロー充電セル110Aにより充電される電解液が、第1個別貯留部200Aの電解液から第1共通貯留部300Aの電解液に切り替えられる場合、電磁バルブ230は、正極電解液貯留槽210aと負極電解液貯留槽210cと、第1レドックスフロー充電セル110Aとを接続する配管50を閉じる。また、第1レドックスフロー充電セル110Aにより充電される電解液が、第1共通貯留部300Aの電解液から第1個別貯留部200Aの電解液に切り替えられる場合、電磁バルブ230は、正極電解液貯留槽210aと負極電解液貯留槽210cと、第1レドックスフロー充電セル110Aとを接続する配管50を開ける。
【0052】
開放電圧測定部240は、正極電解液貯留槽210aに貯留されている正極電解液PLと負極電解液貯留槽210cに貯留されている負極電解液NLとの電位差、すなわち貯留されている電解液の開放電圧(OCV:Open Circuit Voltage)を測定する。開放電圧測定部240は、測定した開放電圧の値を制御部500に送信する。
【0053】
(第2個別貯留部)
第2個別貯留部200Bは、第2レドックスフロー充電部100Bにより、電源種Bのみから充電される電解液を貯留し、貯留している電解液を第2レドックスフロー充電部100Bに循環させる。また、第2個別貯留部200Bは、貯留している電解液を第2レドックスフロー放電部400Bに循環させる。したがって、第2個別貯留部200Bには、第2レドックスフロー充電部100Bが接続する電源種B(オフサイト再生可能エネルギー)にカラーリングされた電解液が貯留される。第2個別貯留部200Bは、配管50と、正極電解液貯留槽210aと、正極ポンプ222a、224aと、負極電解液貯留槽210cと、負極ポンプ222c、224cと、開放電圧測定部240とを備える。第2個別貯留部200Bの構成は、電磁バルブ230を備えないことと、貯留している電解液を第2レドックスフロー充電部100Bと第2レドックスフロー放電部400Bに循環させることを除き、第1個別貯留部200Aと同様である。
【0054】
(第3個別貯留部)
第3個別貯留部200Cは、第3レドックスフロー充電部100Cにより、電源種Cのみから充電される電解液を貯留し、貯留している電解液を第3レドックスフロー充電部100Cに循環させる。また、第3個別貯留部200Cは、貯留している電解液を第3レドックスフロー放電部400Cに循環させる。したがって、第3個別貯留部200Cには、第3レドックスフロー充電部100Cが接続する電源種Cにカラーリングされた電解液が貯留される。第3個別貯留部200Cは、配管50と、正極電解液貯留槽210aと、正極ポンプ222a、224aと、負極電解液貯留槽210cと、負極ポンプ222c、224cと、電磁バルブ230と、開放電圧測定部240とを備える。第3個別貯留部200Cの構成は、貯留している電解液を第3レドックスフロー充電部100Cと第3レドックスフロー放電部400Cに循環させることを除き、第1個別貯留部200Aと同様である。
【0055】
(第1共通貯留部)
第1共通貯留部300Aは、第1レドックスフロー充電部100Aと第3レドックスフロー充電部100Cにより、電源種Aと電源種Cから充電される電解液を貯留し、貯留している電解液を第1レドックスフロー充電部100Aと第3レドックスフロー充電部100Cのそれぞれに循環させる。また、第1共通貯留部300Aは、貯留している電解液を第4レドックスフロー放電部400Dに循環させる。第1共通貯留部300Aは、
図4に示すように、配管50と、正極電解液貯留槽210aと、正極ポンプ222a、224aと、負極電解液貯留槽210cと、負極ポンプ222c、224cと、電磁バルブ230と、開放電圧測定部240とを備える。
【0056】
第1共通貯留部300Aの配管50は、第1共通貯留部300Aの正極電解液貯留槽210aと、第1レドックスフロー充電セル110Aの正極室120aと第3レドックスフロー充電セル110Cの正極室120aと後述する第4レドックスフロー放電セル410Dの正極室120aとを接続する。また、第1共通貯留部300Aの配管50は、第1共通貯留部300Aの負極電解液貯留槽210cと、第1レドックスフロー充電セル110Aの負極室120cと第3レドックスフロー充電セル110Cの負極室120cと後述する第4レドックスフロー放電セル410Dの負極室120cとを接続する。配管50は、配管50a5~配管50a8と配管50c5~配管50c8から構成されている。
【0057】
配管50a5と配管50a6は、分岐して、第1共通貯留部300Aの正極電解液貯留槽210aと、第1レドックスフロー充電セル110Aの正極室120aと第3レドックスフロー充電セル110Cの正極室120aのそれぞれとを接続する。配管50a5は、正極電解液PLを、第1レドックスフロー充電セル110Aの正極室120aと第3レドックスフロー充電セル110Cの正極室120aに供給する。配管50a6は、正極電解液PLを、第1レドックスフロー充電セル110Aの正極室120aと第3レドックスフロー充電セル110Cの正極室120aから回収する。分岐する前の配管50a5には、正極ポンプ222aが設けられる。分岐した配管50a5のそれぞれには、電磁バルブ230が設けられる。また、分岐した配管50a6のそれぞれには、電磁バルブ230が設けられる。
【0058】
配管50a7と配管50a8は、第1共通貯留部300Aの正極電解液貯留槽210aと第4レドックスフロー放電セル410Dの正極室120aとを接続する。配管50a7は、正極電解液PLを第4レドックスフロー放電セル410Dの正極室120aに供給する。配管50a8は、正極電解液PLを第4レドックスフロー放電セル410Dの正極室120aから回収する。配管50a7には、正極ポンプ224aが設けられる。
【0059】
配管50c5と配管50c6は、分岐して、第1共通貯留部300Aの負極電解液貯留槽210cと、第1レドックスフロー充電セル110Aの負極室120cと第3レドックスフロー充電セル110Cの負極室120cのそれぞれとを接続する。配管50c5は、負極電解液NLを、第1レドックスフロー充電セル110Aの負極室120cと第3レドックスフロー充電セル110Cの負極室120cに供給する。配管50c6は、負極電解液NLを、第1レドックスフロー充電セル110Aの負極室120cと第3レドックスフロー充電セル110Cの負極室120cから回収する。分岐する前の配管50c5には、負極ポンプ222cが設けられる。分岐した配管50c5のそれぞれには、電磁バルブ230が設けられる。また、分岐した配管50c6のそれぞれには、電磁バルブ230が設けられる。
【0060】
配管50c7と配管50c8は、第1共通貯留部300Aの負極電解液貯留槽210cと第4レドックスフロー放電セル410Dの負極室120cとを接続する。配管50c7は、負極電解液NLを第4レドックスフロー放電セル410Dの負極室120cに供給する。配管50c8は、負極電解液NLを第4レドックスフロー放電セル410Dの負極室120cから回収する。配管50c7には、負極ポンプ224cが設けられる。
【0061】
第1共通貯留部300Aの正極電解液貯留槽210aは、第1レドックスフロー充電部100Aと第3レドックスフロー充電部100Cに充電される正極電解液PLを貯留する。第1共通貯留部300Aの正極電解液貯留槽210aに貯留されている正極電解液PLは、配管50を介して、第1レドックスフロー充電セル110Aの正極室120aと、第3レドックスフロー充電セル110Cの正極室120aと、第4レドックスフロー放電セル410Dの正極室120aを循環する。
【0062】
第1共通貯留部300Aの正極ポンプ222aは、配管50a5に設けられる。第1共通貯留部300Aの正極ポンプ222aは、正極電解液PLを第1レドックスフロー充電セル110Aの正極室120a又は第3レドックスフロー充電セル110Cの正極室120aに循環させる。第1共通貯留部300Aの正極ポンプ222aは、制御部500により制御されて、第1レドックスフロー充電セル110Aの正極室120a又は第3レドックスフロー充電セル110Cの正極室120aを循環する正極電解液PLの流量を制御する。
【0063】
第1共通貯留部300Aの正極ポンプ224aは、配管50a7に設けられる。第1共通貯留部300Aの正極ポンプ224aは、正極電解液PLを第4レドックスフロー放電セル410Dの正極室120aに循環させる。第1共通貯留部300Aの正極ポンプ224aは、制御部500により制御されて、第4レドックスフロー放電セル410Dの正極室120aを循環する正極電解液PLの流量を制御する。
【0064】
第1共通貯留部300Aの負極電解液貯留槽210cは、第1レドックスフロー充電部100Aと第3レドックスフロー充電部100Cに充電される負極電解液NLを貯留する。第1共通貯留部300Aの負極電解液貯留槽210cに貯留されている負極電解液NLは、配管50を介して、第1レドックスフロー充電セル110Aの負極室120cと、第3レドックスフロー充電セル110Cの負極室120cと、第4レドックスフロー放電セル410Dの負極室120cを循環する。
【0065】
第1共通貯留部300Aの負極ポンプ222cは、配管50c5に設けられる。第1共通貯留部300Aの負極ポンプ222cは、負極電解液NLを第1レドックスフロー充電セル110Aの負極室120c又は第3レドックスフロー充電セル110Cの負極室120cに循環させる。第1共通貯留部300Aの負極ポンプ222cは、制御部500により制御されて、第1レドックスフロー充電セル110Aの負極室120c又は第3レドックスフロー充電セル110Cの負極室120cを循環する負極電解液NLの流量を制御する。
【0066】
第1共通貯留部300Aの負極ポンプ224cは、配管50c7に設けられる。第1共通貯留部300Aの負極ポンプ224cは、負極電解液NLを第4レドックスフロー放電セル410Dの負極室120cに循環させる。第1共通貯留部300Aの負極ポンプ224cは、制御部500により制御されて、第4レドックスフロー放電セル410Dの負極室120cを循環する負極電解液NLの流量を制御する。
【0067】
第1共通貯留部300Aの電磁バルブ230は、分岐した配管50a5のそれぞれと、分岐した配管50a6のそれぞれと、分岐した配管50c5のそれぞれと、分岐した配管50c6のそれぞれとに設けられる。第1共通貯留部300Aの電磁バルブ230は、制御部500の制御により、第1共通貯留部300Aの正極電解液貯留槽210aと負極電解液貯留槽210cと、第1レドックスフロー充電セル110A(正極室120aと負極室120c)と第3レドックスフロー充電セル110C(正極室120aと負極室120c)を接続する配管50(分岐した配管50a5、分岐した配管50a6、分岐した配管50c5、分岐した配管50c6)を開閉する。
【0068】
具体的には、第1レドックスフロー充電セル110Aにより充電される電解液が、第1個別貯留部200Aの電解液から第1共通貯留部300Aの電解液に切り替えられる場合、第1共通貯留部300Aの電磁バルブ230は、第1共通貯留部300Aの正極電解液貯留槽210aと負極電解液貯留槽210cと、第1レドックスフロー充電セル110Aを接続する配管50を開ける。第1レドックスフロー充電セル110Aにより充電される電解液が、第1共通貯留部300Aの電解液から第1個別貯留部200Aの電解液に切り替えられる場合、第1共通貯留部300Aの電磁バルブ230は、第1共通貯留部300Aの正極電解液貯留槽210aと負極電解液貯留槽210cと、第1レドックスフロー充電セル110Aとを接続する配管50を閉じる。
第3レドックスフロー充電セル110Cにより充電される電解液が第3個別貯留部200Cの電解液と第1共通貯留部300Aの電解液とに切り替えられる場合についても、上述の、第1レドックスフロー充電セル110Aにより充電される電解液が第1個別貯留部200Aの電解液と第1共通貯留部300Aの電解液とに切り替えられる場合と同様である。
【0069】
(レドックスフロー放電部)
(第1レドックスフロー放電部)
第1レドックスフロー放電部400Aは、第1個別貯留部200Aの電解液に充電された電力を放電して、電力を電力需要家に供給する。第1レドックスフロー放電部400Aにおける電力需要家は、例えば、再生可能エネルギー100%(RE100)の電力供給を求める電力需要家、FIT(Feed-in Tariff)市場等である。第1レドックスフロー放電部400Aから放電される電力は、オンサイト再生可能エネルギー電源である電源種Aにより充電された第1個別貯留部200Aの電解液から放電される電力であるので、レドックスフロー電池システム10は、オンサイトの再生可能エネルギー100%にカラーリングされた電力を電力需要家に供給できる。
【0070】
第1レドックスフロー放電部400Aは、
図1に示すように、第1レドックスフロー放電セル410Aと電力量計180とパワーコンディショナPCSとを備える。
【0071】
第1レドックスフロー放電セル410Aは、第1個別貯留部200Aの電解液に充電された電力を放電する。第1レドックスフロー放電セル410Aでは、第1個別貯留部200Aに接続する配管50を介して、第1個別貯留部200Aの電解液が循環する。第1レドックスフロー放電セル410Aは、正極115aと、正極室120aと、負極115cと、負極室120cと、隔膜130とを有する。第1レドックスフロー放電セル410Aの構成は、第1レドックスフロー充電セル110Aと同様である。第1レドックスフロー放電セル410Aの正極115aでは、正極電解液PL中の5価バナジウムイオンが4価バナジウムイオンに還元される。第1レドックスフロー放電セル410Aの負極室120cでは、負極電解液NL中の2価バナジウムイオンが3価バナジウムイオンに酸化される。
【0072】
第1レドックスフロー放電部400Aの電力量計180は、第1レドックスフロー放電セル410Aから放電される電力量を測定する。第1レドックスフロー放電部400Aの電力量計180は、測定した電力量の値を制御部500に送信する。
【0073】
第1レドックスフロー放電部400AのパワーコンディショナPCSは、制御部500からの指示に基づいて、第1レドックスフロー放電セル410Aの放電を制御する。
【0074】
(第2レドックスフロー放電部)
第2レドックスフロー放電部400Bは、第2個別貯留部200Bの電解液に充電された電力を放電して、電力を電力需要家に供給する。第2レドックスフロー放電部400Bにおける電力需要家は、例えば、再生可能エネルギーによる電力を主な電力として使用する施設(以下、電力需要施設と記載)であり、第2レドックスフロー放電部400Bは、電力需要施設に設けられている。この電力需要施設には、例えば、電力系統からの電力も供給されている。第2レドックスフロー放電部400Bから放電される電力は、オフサイト再生可能エネルギー電源である電源種Bにより充電された第2個別貯留部200Bの電解液から放電される電力であるので、レドックスフロー電池システム10は、オフサイト再生エネルギー100%にカラーリングされた電力を電力需要施設に供給できる。さらに、レドックスフロー電池システム10は、充電された電解液により、電気的に絶縁した状態で電力を電力需要施設に融通するので、電力系統から電力の供給を受けている電力需要施設において、電力の回り込みを抑制して非同期連係を実現できる。
【0075】
第2レドックスフロー放電部400Bは、
図1に示すように、第2レドックスフロー放電セル410Bと電力量計180とパワーコンディショナPCSとを備える。
【0076】
第2レドックスフロー放電セル410Bは、第2個別貯留部200Aの電解液に充電された電力を放電する。第2レドックスフロー放電セル410Bでは、第2個別貯留部200Bに接続する配管50を介して、第2個別貯留部200Bの電解液が循環する。第2レドックスフロー放電セル410Bは、正極115aと、正極室120aと、負極115cと、負極室120cと、隔膜130とを有する。第2レドックスフロー放電セル410Bの構成は、第1レドックスフロー充電セル110Aと同様である。
【0077】
第2レドックスフロー放電部400Bの電力量計180は、第2レドックスフロー放電セル410Bから放電される電力量を測定する。第2レドックスフロー放電部400Bの電力量計180は、測定した電力量の値を制御部500に送信する。
【0078】
第2レドックスフロー放電部400BのパワーコンディショナPCSは、制御部500からの指示に基づいて、第2レドックスフロー放電セル410Bの放電を制御する。
【0079】
(第3レドックスフロー放電部)
第3レドックスフロー放電部400Cは、第3個別貯留部200Cの電解液に充電された電力を放電して、電力を電力需要家に供給する。第3レドックスフロー放電部400Cにおける電力需要家は、例えば、小売電気事業者である。第3レドックスフロー放電部400Cから放電される電力は、電源種Cにより充電された第3個別貯留部200Cの電解液から放電される電力であるので、レドックスフロー電池システム10は、カラーリングされた電力を電力需要家に供給できる。
【0080】
第3レドックスフロー放電部400Cは、
図1に示すように、第3レドックスフロー放電セル410Cと電力量計180とパワーコンディショナPCSとを備える。
【0081】
第3レドックスフロー放電セル410Cは、第3個別貯留部200Cの電解液に充電された電力を放電する。第3レドックスフロー放電セル410Cでは、第3個別貯留部200Cに接続する配管50を介して、第3個別貯留部200Cの電解液が循環する。第3レドックスフロー放電セル410Cは、正極115aと、正極室120aと、負極115cと、負極室120cと、隔膜130とを有する。第3レドックスフロー放電セル410Cの構成は、第1レドックスフロー充電セル110Aと同様である。
【0082】
第3レドックスフロー放電部400Cの電力量計180は、第3レドックスフロー放電セル410Cから放電される電力量を測定する。第3レドックスフロー放電部400Cの電力量計180は、測定した電力量の値を制御部500に送信する。
【0083】
第3レドックスフロー放電部400CのパワーコンディショナPCSは、制御部500からの指示に基づいて、第3レドックスフロー放電セル410Cの放電を制御する。
【0084】
(第4レドックスフロー放電部)
第4レドックスフロー放電部400Dは、第1共通貯留部300Aの電解液に充電された電力を放電して、電力を電力需要家に供給する。第4レドックスフロー放電部400Dにおける電力需要家は、例えば、電源種を問わない電力需要家、小売電気事業者等である。第1共通貯留部300Aの電解液に充電された電力は、電源種A(例えば、余剰なオンサイト再生可能エネルギー電力)又は電源種C(例えば、安値時に電力卸売市場から調達した電力)であるので、安価な電力を電力需要家に供給できる。
【0085】
第4レドックスフロー放電部400Dは、
図1に示すように、第4レドックスフロー放電セル410Dと電力量計180とパワーコンディショナPCSとを備える。
【0086】
第4レドックスフロー放電セル410Dは、第1共通貯留部300Aの電解液に充電された電力を放電する。第4レドックスフロー放電セル410Dでは、第1共通貯留部300Aに接続する配管50を介して、第1共通貯留部300Aの電解液が循環する。第4レドックスフロー放電セル410Dは、正極115aと、正極室120aと、負極115cと、負極室120cと、隔膜130とを有する。第4レドックスフロー放電セル410Dの構成は、第1レドックスフロー充電セル110Aと同様である。
【0087】
第4レドックスフロー放電部400Dの電力量計180は、第4レドックスフロー放電セル410Dから放電される電力量を測定する。第4レドックスフロー放電部400Dの電力量計180は、測定した電力量の値を制御部500に送信する。
【0088】
第4レドックスフロー放電部400DのパワーコンディショナPCSは、制御部500からの指示に基づいて、第4レドックスフロー放電セル410Dの放電を制御する。
【0089】
(制御部)
制御部500は、第1個別貯留部200A~第3個別貯留部200Cと第1共通貯留部300Aの開放電圧測定部240により測定された開放電圧の値から第1個別貯留部200A~第3個別貯留部200Cと第1共通貯留部300Aのそれぞれの電解液の充電深度を求める。制御部500は、求められた充電深度、予め設定された条件、外部からの指示等に基づいて、各部を制御する。
【0090】
まず、第1個別貯留部200A~第3個別貯留部200Cと第1共通貯留部300Aの電解液への充電(第1レドックスフロー充電部100A~第3レドックスフロー充電部100Cによる充電)の制御について、説明する。
【0091】
(第1個別貯留部への充電)
第1個別貯留部200Aの電解液の充電深度が所定の第1しきい値(例えば、80%)よりも小さい場合、制御部500は、第1レドックスフロー充電部100Aと第1個別貯留部200Aとを制御して、電源種A(オンサイト再生可能エネルギー電源)に接続する第1レドックスフロー充電部100Aに第1個別貯留部200Aの電解液を循環させ、第1個別貯留部200Aの電解液に電源種Aから充電させる。
【0092】
第1個別貯留部200Aの電解液の充電深度が所定の第1しきい値以上になった場合、制御部500は、第1レドックスフロー充電部100Aと第1個別貯留部200Aと第1共通貯留部300Aとを制御して、第1レドックスフロー充電部100Aが充電する電解液を第1個別貯留部200Aの電解液から第1共通貯留部300Aの電解液に切り替えさせる。さらに、第1個別貯留部200Aの電解液の充電深度が所定の第1しきい値よりも小さい所定の第2しきい値(例えば、70%)以下となった場合、制御部500は、第1レドックスフロー充電部100Aと第1個別貯留部200Aと第1共通貯留部300Aとを制御して、第1レドックスフロー充電部100Aが充電する電解液を第1共通貯留部300Aの電解液から第1個別貯留部200Aの電解液に切り替えさせ、第1個別貯留部200Aの電解液に電源種Aから充電させる。
【0093】
本実施形態では、第1個別貯留部200Aの電解液の充電深度が所定の第1しきい値以上になった場合、第1レドックスフロー充電部100Aが充電する電解液を第1個別貯留部200Aの電解液から第1共通貯留部300Aの電解液に切り替えられ、第1個別貯留部200Aの電解液への充電は停止される。これにより、第1レドックスフロー充電部100Aに接続する電源種A(オンサイト再生可能エネルギー電源)の余剰電力を有効に活用できる。
【0094】
(第2個別貯留部への充電)
制御部500は、第2レドックスフロー充電部100Bと第2個別貯留部200Bとを制御して、放電(第2レドックスフロー放電部400Bからの放電)に必要な量の電力を、第2個別貯留部200Bの電解液に電源種Bから充電させる。
【0095】
(第3個別貯留部への充電)
第3レドックスフロー充電部100Cに接続する電源種Cから充電する電力価格(電力卸売市場から調達する電力価格)が所定の第1価格よりも安価で、第3個別貯留部200Cの電解液の充電深度が所定の第1しきい値(例えば、80%)よりも小さい場合、制御部500は、第3レドックスフロー充電部100Cと第3個別貯留部200Cとを制御して、第3個別貯留部200Cの電解液に電源種Cから充電させる。
【0096】
電源種Cから充電する電力価格が所定の第1価格よりも安価で、第3個別貯留部200Cの電解液の充電深度が所定の第1しきい値以上になった場合、制御部500は、第3レドックスフロー充電部100Cと第3個別貯留部200Cと第1共通貯留部300Aとを制御して、第3レドックスフロー充電部100Cが充電する電解液を第3個別貯留部200Cの電解液から第1共通貯留部300Aの電解液に切り替えさせる。電源種Cから充電する電力価格が所定の第1価格よりも安価で、所定の第2しきい値(例えば、70%)以下となった場合、制御部500は、第3レドックスフロー充電部100Cと第3個別貯留部200Cと第1共通貯留部300Aとを制御して、第3レドックスフロー充電部100Cが充電する電解液を第1共通貯留部300Aの電解液から第3個別貯留部200Cの電解液に切り替えさせ、第3個別貯留部200Cの電解液に電源種Cから充電させる。本実施形態では、電源種Cから充電する電力価格が所定の第1価格以上である場合、第3個別貯留部200Cの電解液に充電されない。したがって、電力を安価に提供できる。
【0097】
(第1共通貯留部への充電)
第1個別貯留部200Aの電解液の充電深度が所定の第1しきい値以上である場合、制御部500は、第1レドックスフロー充電部100Aと第1個別貯留部200Aと第1共通貯留部300Aとを制御して、第1レドックスフロー充電部100Aが充電する電解液を第1個別貯留部200Aの電解液から第1共通貯留部300Aの電解液に切り替えさせ、第1共通貯留部300Aの電解液に電源種Aから充電させる。したがって、第1レドックスフロー充電部100Aに接続する電源種A(オンサイト再生可能エネルギー電源)の余剰電力を有効に活用できる。
【0098】
また、電源種Cから充電する電力価格が所定の第1価格よりも安価で、第3個別貯留部200Cの電解液の充電深度が所定の第1しきい値以上である場合、制御部500は、第1レドックスフロー充電部100Aと第3個別貯留部200Cと第1共通貯留部300Aとを制御して、第3レドックスフロー充電部100Cが充電する電解液を第3個別貯留部200Cの電解液から第1共通貯留部300Aの電解液に切り替えさせ、第1共通貯留部300Aの電解液に電源種Cから充電させる。これにより、余剰電力を有効に活用できると共に安価に電力を提供できる。
【0099】
(放電)
第1個別貯留部200A~第3個別貯留部200Cと第1共通貯留部300Aの電解液からの放電(第1レドックスフロー放電部400A~第4レドックスフロー放電部400Dによる放電)の制御について、説明する。
【0100】
制御部500は、第1レドックスフロー放電部400Aと第1個別貯留部200Aとを制御して、第1個別貯留部200Aの電解液に充電された電力を、第1レドックスフロー放電部400Aから所定の出力で継続的に放電させる。また、制御部500は、第2個別貯留部200Aの電解液についても、第1個別貯留部200Aの電解液と同様に、充電された電力を第2レドックスフロー放電部400Bから放電させる。
【0101】
制御部500は、第3レドックスフロー放電部400Cと第3個別貯留部200Cとを制御して、例えば、電力価格が、所定の第1価格よりも高い所定の第2価格以上である場合に、第3個別貯留部200Cの電解液に充電された電力を、第3レドックスフロー放電部400Cから放電させる。また、制御部500は、第1共通貯留部300Aの電解液についても、第3個別貯留部200Cの電解液と同様に、充電された電力を第4レドックスフロー放電部400Dから放電させる。
【0102】
図5は、制御部500のハードウェアの構成を示す。制御部500は、CPU(Central Processing Unit)502と、ROM(Read Only Memory)504と、RAM(Random Access Memory)506と、入出力インターフェース508とから構成される。CPU502はROM504に記憶されているプログラムを実行する。ROM504は、プログラム、データ等を記憶している。RAM506はデータを記憶する。入出力インターフェース508は各部の間の信号を入出力する。制御部500の機能は、CPU502がプログラムを実行することにより、実現される。
【0103】
次に、
図6~
図8を参照して、レドックスフロー電池システム10の運転処理を説明する。レドックスフロー電池システム10の運転処理では、
図6に示すように、充電処理(ステップS10)と放電処理(ステップS20)が行われる。充電処理(ステップS10)と放電処理(ステップS20)は、併行して実施され、運転停止指示が制御部500に入力されない場合(ステップS30;NO)、レドックスフロー電池システム10の運転は充電処理(ステップS10)と放電処理(ステップS20)に戻る。運転停止指示が制御部500に入力された場合(ステップS30;YES)、レドックスフロー電池システム10の運転は終了する。
【0104】
図7を参照して、充電処理(ステップS10)を説明する。充電処理が開始されると、制御部500は、電力価値(電力価格、環境価値、託送料金等)に基づいて、充電を実施するレドックスフロー充電セルを選択する(ここでは、電力価値を電力価格として説明する)。まず、制御部500は、外部から電力価値(電力価格)を取得する(ステップS110)。そして、制御部500は、電力価値に基づいて、充電を実施するレドックスフロー充電セルを選択する(ステップS120)。具体的には、制御部500は、電力価値が所定の第1価格よりも安価である場合(ステップS120;YES)、充電を実施するレドックスフロー充電セルとして、第1レドックスフロー充電セル110A~第3レドックスフロー充電セル110Cを選択する。制御部500は、電力価値が所定の第1価格以上である場合(ステップS120;NO)、電力卸売市場から電力を調達する電源種Cに接続する第3レドックスフロー充電セル110Cを除き、充電を実施するレドックスフロー充電セルとして、第1レドックスフロー充電セル110Aと第2レドックスフロー充電セル110Bを選択する。
【0105】
電力価値が所定の第1価格よりも安価である場合(ステップS120;YES)、制御部500は、第1レドックスフロー充電セル110A~第3レドックスフロー充電セル110Cにより、電解液に電力を充電する(ステップS130)。具体的には、制御部500は、電源種A(オンサイト再生可能エネルギー電源)に接続し電源種Aから電力を充電する第1レドックスフロー充電セル110Aに、第1個別貯留部200Aの電解液を循環させ、第1個別貯留部200Aの電解液に電源種Aのみからの電力を充電させる。また、制御部500は、電源種B(オフサイト再生可能エネルギー電源)に接続し電源種Bから電力を充電する第2レドックスフロー充電セル110Bに、第2個別貯留部200Bの電解液を循環させ、第2個別貯留部200Bの電解液に電源種Bのみからの電力を充電させる。さらに、制御部500は、電源種C(電力卸売市場から調達する電力)に接続し電源種Cから電力を充電する第3レドックスフロー充電セル110Cに、第3個別貯留部200Cの電解液を循環させ、第3個別貯留部200Cの電解液に電源種Cのみからの電力を充電させる。第1個別貯留部200A~第3個別貯留部200Cのそれぞれは、第1レドックスフロー充電部100A~第3レドックスフロー充電部100Cのそれぞれのみに充電される電解液を貯留している。したがって、第1個別貯留部200A~第3個別貯留部200Cのそれぞれには、電源種A~電源種Cのそれぞれにカラーリングされた電解液が貯留される。
なお、制御部500は、開放電圧測定部240により測定された開放電圧の値から第1個別貯留部200A~第3個別貯留部200Cと第1共通貯留部300Aの電解液のそれぞれの充電深度を求める。制御部500は、第1個別貯留部200A~第3個別貯留部200Cと第1共通貯留部300Aの電解液の充電深度を監視している。
【0106】
次に、制御部500は、第1個別貯留部200Aの電解液の充電深度を判別する(ステップS210)。具体的には、第1個別貯留部200Aの電解液の充電深度が所定の第1しきい値(例えば80%)以上である場合(ステップS210;YES)、制御部500は、第1レドックスフロー充電セル110Aを循環する電解液を、第1個別貯留部200Aの電解液から、第1レドックスフロー充電セル110Aと第3レドックスフロー充電セル110Cにより充電される電解液を貯留する第1共通貯留部300Aの電解液に切り替える(ステップS212)。そして、制御部500は、第1レドックスフロー充電セル110Aにより、切り替えられた第1共通貯留部300Aの電解液に電力を電源種Aから充電する(ステップS214)。制御部500は、第1個別貯留部200Aの電解液の充電深度を再度判別し(ステップS216)、第1個別貯留部200Aの電解液の充電深度が所定の第1しきい値よりも小さい所定の第2しきい値(例えば70%)よりも大きい場合(ステップS216;YES)、ステップS214に戻る。第1個別貯留部200Aの電解液の充電深度が所定の第2しきい値以下である場合(ステップS216;NO)、ステップS110に戻る。なお、ステップS212では、第1個別貯留部200Aから第1レドックスフロー充電セル110Aへの電解液の循環は停止している。
本実施形態では、第1個別貯留部200Aの電解液の充電深度が所定の第1しきい値以上である場合、第1レドックスフロー充電セル110Aを循環する電解液が、第1個別貯留部200Aの電解液から第1共通貯留部300Aの電解液に切り替えられる。これにより、電源種A(オンサイト再生可能エネルギー電源)の余剰電力を有効に活用できる。また、電解液からの析出物の発生を抑制できる。
【0107】
第1個別貯留部200Aの電解液の充電深度が所定の第1しきい値よりも小さい場合(ステップS210;NO)、制御部500は、第3個別貯留部200Cの電解液の充電深度を判別する(ステップS230)。具体的には、第3個別貯留部200Aの電解液の充電深度が所定の第1しきい値以上である場合(ステップS230;YES)、制御部500は、第3レドックスフロー充電セル110Cを循環する電解液を、第3個別貯留部200Cの電解液から第1共通貯留部300Aの電解液に切り替える(ステップS232)。そして、制御部500は、第3レドックスフロー充電セル110Cにより、切り替えられた第1共通貯留部300Aの電解液に電力を電源種Cから充電する(ステップS234)。制御部500は、第3個別貯留部200Cの電解液の充電深度を再度判別し(ステップS236)、第3個別貯留部200Cの電解液の充電深度が第2しきい値よりも大きい場合(ステップS236;YES)、ステップS234に戻る。第3個別貯留部200Cの電解液の充電深度が所定の第2しきい値以下である場合(ステップS236;NO)、ステップS110に戻る。
第3個別貯留部200Aの電解液の充電深度が所定の第1しきい値よりも小さい場合(ステップS230;NO)、ステップS110に戻る。なお、ステップS232では、第3個別貯留部200Aから第3レドックスフロー充電セル110Cへの電解液の循環は停止している。
本実施形態では、第3個別貯留部200Cの電解液の充電深度が所定の第1しきい値以上である場合、第3レドックスフロー充電セル110Cを循環する電解液が、第3個別貯留部200Cの電解液から第1共通貯留部300Aの電解液に切り替えられる。これにより、電源種C(電力卸売市場)の余剰電力を有効に活用できる。また、電解液からの析出物の発生を抑制できる。さらに、電力価値が所定の第1価格よりも安価である場合に充電するので、安価に電力を提供できる。
【0108】
一方、電力価値が所定の第1価格以上である場合(ステップS120;NO)、制御部500は、第1レドックスフロー充電セル110Aと第2レドックスフロー充電セル110Bにより、電解液に電力を充電する(ステップS140)。具体的には、制御部500は、第1レドックスフロー充電セル110Aに、第1個別貯留部200Aの電解液を循環させ、第1個別貯留部200Aの電解液に電力を電源種Aから充電させる。また、制御部500は、第2レドックスフロー充電セル110Bに、第2個別貯留部200Bの電解液を循環させ、第2個別貯留部200Bの電解液に電力を電源種Bから充電させる。
【0109】
次に、制御部500は、第1個別貯留部200Aの電解液の充電深度を判別する(ステップS250)。具体的には、第1個別貯留部200Aの電解液の充電深度が所定の第1しきい値以上である場合(ステップS250;YES)、制御部500は、第1レドックスフロー充電セル110Aを循環する電解液を、第1個別貯留部200Aの電解液から、第1共通貯留部300Aの電解液に切り替える(ステップS252)。そして、制御部500は、第1レドックスフロー充電セル110Aにより、切り替えられた第1共通貯留部300Aの電解液に電力を電源種Aから充電する(ステップS254)。制御部500は、第1個別貯留部200Aの電解液の充電深度を再度判別し(ステップS256)、第1個別貯留部200Aの電解液の充電深度が所定の第2しきい値よりも大きい場合(ステップS256;YES)、ステップS254に戻る。第1個別貯留部200Aの電解液の充電深度が所定の第2しきい値以下である場合(ステップS256;NO)、ステップS110に戻る。
第1個別貯留部200Aの電解液の充電深度が所定の第1しきいよりも小さい場合(ステップS250;NO)、ステップS110に戻る。
【0110】
次に、
図8を参照して、放電処理(ステップS20)を説明する。放電処理が開始されると、制御部500は、外部から電力価値(電力価格)を取得する(ステップS310)。制御部500は、電力価値に基づいて、放電を実施するレドックスフロー充電セルを選択する(ステップS320)。具体的には、制御部500は、電力価値が所定の第1価格よりも高い所定の第2価格以上である場合(ステップS320;YES)、放電を実施するレドックスフロー放電セルとして、第1レドックスフロー放電セル410A~第4レドックスフロー放電セル410Dを選択する。制御部500は、電力価値が第2価格よりも安価である場合(ステップS320;NO)、放電を実施するレドックスフロー放電セルとして、第1レドックスフロー放電セル410Aと第2レドックスフロー放電セル410Bを選択する。
【0111】
電力価値が所定の第1価格よりも高い所定の第2価格以上である場合(ステップS320;YES)、制御部500は、第1個別貯留部200A~第3個別貯留部200Cと第1共通貯留部300Aの電解液のそれぞれを、第1レドックスフロー放電セル410A~第4レドックスフロー放電セル410Dのそれぞれに循環させ、第1レドックスフロー放電セル410A~第4レドックスフロー放電セル410Dに電力を放電させる(ステップS322)。所定の時間が経過した後、ステップS310に戻る。
【0112】
電力価値が第2価格よりも安価である場合(ステップS320;NO)、制御部500は、第1個別貯留部200Aと第2個別貯留部200Bの電解液のそれぞれを、第1レドックスフロー放電セル410Aと第2レドックスフロー放電セル410Bのそれぞれに循環させ、第1レドックスフロー放電セル410Aと第2レドックスフロー放電セル410Bに電力を放電させる(ステップS324)。所定の時間が経過した後、ステップS310に戻る。
【0113】
本実施形態では、第1個別貯留部200A~第3個別貯留部200Cと第1共通貯留部300Aの電解液のそれぞれに充電された電力が、第1レドックスフロー放電セル410A~第4レドックスフロー放電セル410Dそれぞれから放電される。第1個別貯留部200A~第3個別貯留部200Cと第1共通貯留部300Aの電解液は、電源種に基づいてカラーリングされているので、第1レドックスフロー放電セル410A~第4レドックスフロー放電セル410Dのそれぞれから、カラーリングされた電力を電力需要家に供給できる。
【0114】
以上のように、第1レドックスフロー充電セル110A~第3レドックスフロー充電セル110Cのそれぞれが所定の電源種から電解液に電力を充電し、第1レドックスフロー充電セル110A~第3レドックスフロー充電セル110Cのそれぞれを循環し、所定の電源種のみから充電される電解液が、第1個別貯留部200A~第3個別貯留部200Cのそれぞれに貯留されているので、レドックスフロー電池システム10は、カラーリングされた電力を電力需要家に供給できる。また、第1レドックスフロー充電セル110Aを循環する電解液が、第1個別貯留部200Aの電解液の充電深度に基づいて、第1個別貯留部200Aの電解液から第1共通貯留部300Aの電解液に切り替えられるので、第1レドックスフロー充電セル110Aに接続する電源種Aの余剰電力を第1共通貯留部300Aの電解液に充電でき、電源種Aの余剰電力を有効に活用できる。また、第1レドックスフロー充電セル110Aに接続する電源種Cの余剰電力も、電源種Aの余剰電力と同様に、第1共通貯留部300Aの電解液に充電でき、電源種Cの余剰電力を有効に活用できる。
【0115】
<実施形態2>
レドックスフロー電池システム10は、第1共通貯留部300Aに代えて、第2共通貯留部300Bを備えてもよい。
【0116】
本実施形態のレドックスフロー電池システム10は、
図9に示すように、第1レドックスフロー充電部100A~第3レドックスフロー充電部100Cと、第1個別貯留部200A~第3個別貯留部200Cと、第2共通貯留部300Bと、第1レドックスフロー放電部400A~第3レドックスフロー放電部400Cと、制御部500とを備える。本実施形態では、第2個別貯留部200Bと第2共通貯留部300Bと第2レドックスフロー放電部400Bと制御部500以外の構成は、実施形態1と同様であるので、第2個別貯留部200Bと第2共通貯留部300Bと第2レドックスフロー放電部400Bと制御部500とを、説明する。なお、
図9では、理解を容易にするために、構成の一部を省略又は簡略化している。
【0117】
第2共通貯留部300Bは、災害時、停電時等における事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)用の電力を充電された電解液を貯留する。平時において、第2共通貯留部300Bの電解液は、第1レドックスフロー充電部100Aと第3レドックスフロー充電部100Cにより充電され、高い充電深度(例えば80%)を有する状態を維持している。本実施形態では、災害時、停電時等において、第2共通貯留部300Bの電解液が第2レドックスフロー放電セル410Bに循環され、第2レドックスフロー放電セル410Bから事業継続計画用の電力が電力需要家に供給される。
【0118】
第2共通貯留部300Bは、第1共通貯留部300Aと同様に、配管50と、正極電解液貯留槽210aと、正極ポンプ222a、224aと、負極電解液貯留槽210cと、負極ポンプ222c、224cと、電磁バルブ230と、開放電圧測定部240とを備える。配管50以外の構成は、第1共通貯留部300Aと同様である。
【0119】
第2共通貯留部300Bの正極電解液貯留槽210aと負極電解液貯留槽210cと、第1レドックスフロー充電セル110Aと第3レドックスフロー充電セル110Cとを接続する配管50の構成は、第1共通貯留部300Aの配管50a5、50a6、50c5、50c6と同様である。第2共通貯留部300Bの正極電解液貯留槽210aから第2レドックスフロー放電セル410Bの正極室120aに正極電解液PLを供給する配管50には、正極ポンプ224aと電磁バルブ230が設けられる。第2レドックスフロー放電セル410Bの正極室120aから第2共通貯留部300Bの正極電解液貯留槽210aに正極電解液PLを回収する配管50には、電磁バルブ230が設けられる。また、第2共通貯留部300Bの負極電解液貯留槽210cから第2レドックスフロー放電セル410Bの負極室120cに負極電解液NLを供給する配管50には、負極ポンプ224cと電磁バルブ230が設けられる。第2レドックスフロー放電セル410Bの負極室120cから第2共通貯留部300Bの負極電解液貯留槽210cに負極電解液NLを回収する配管50には、電磁バルブ230が設けられる。
【0120】
本実施形態の第2個別貯留部200Bの構成は、第2レドックスフロー放電セル410Bに接続する配管50に電磁バルブ230が設けられることを除き、実施形態1と同様である。
【0121】
本実施形態の第2レドックスフロー放電部400Bの構成は、循環される電解液が第2個別貯留部200Bと第2共通貯留部300Bとに切り替えられることを除き、実施形態1と同様である。
【0122】
災害時、停電時等において、本実施形態の制御部500は、外部からの指示に基づき、第2レドックスフロー放電部400Bを循環する電解液を、第2個別貯留部200Bから第2共通貯留部300Bに切り替えて、第2レドックスフロー放電部400Bから放電し、電力需要家に事業継続計画用の電力を供給する。
【0123】
平時において、本実施形態の制御部500は、第2共通貯留部300Bの電解液の充電深度を監視して、第2共通貯留部300Bの電解液が高い充電深度を維持するように、第1レドックスフロー充電部100A又は第3レドックスフロー充電部100Cを循環する電解液を実施形態1と同様に切り替えて、第2共通貯留部300Bの電解液に電力を電源種Aと電源種Cから充電する。平時におけるその他の制御部500の制御は、実施形態1と同様である。
【0124】
以上のように、本実施形態のレドックスフロー電池システム10は、事業継続計画用の電力を電力需要家に供給できる。また、第2共通貯留部300Bの電解液には、第1共通貯留部300Aの電解液と同様に、電源種Aと電源種Cの余剰電力が充電されるので、本実施形態のレドックスフロー電池システム10は余剰電力を有効に活用できる。本実施形態のレドックスフロー電池システム10は、実施形態1のレドックスフロー電池システム10と同様に、カラーリングされた電力を電力需要家に供給できる。
【0125】
<変形例>
以上、実施形態を説明したが、本開示は、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0126】
例えば、正極電解液PLと負極電解液NLの活物質はバナジウムイオンに限られない。正極電解液PLと負極電解液NLの活物質は、それぞれ、鉄イオンとクロムイオンであってもよい。
【0127】
レドックスフロー電池システム10のレドックスフロー充電部、レドックスフロー放電部、レドックスフロー充電セル等の数は、任意である。
【0128】
第1レドックスフロー充電部100A~第3レドックスフロー充電部100Cに接続する電源種は、カラーリング可能な電源であれば、任意である。例えば、地熱発電、風力発電、電力系統等であってもよい。
【0129】
また、第1個別貯留部200Aの電解液の充電深度を判別するしきい値と、第3個別貯留部200Cの電解液の充電深度を判別するしきい値の値は、異なってもよい。
【0130】
実施形態1のレドックスフロー電池システム10では、複数の個別貯留部の電解液を複数のレドックスフロー放電部に循環させて、充電された電力を放電してもよい。例えば、電源種Aと電源種Bは再生可能エネルギー電源であるので、第2レドックスフロー放電部400Bに循環する電解液を、第2個別貯留部200Bの電解液と第1個別貯留部200Aの電解液とに切り替えて、第2レドックスフロー放電部400Bから、第1個別貯留部200Aの電解液に充電された電力と第2個別貯留部200Bの電解液に充電された電力を放電してもよい。
【0131】
実施形態2のレドックスフロー電池システム10では、第2共通貯留部300Bの電解液を複数のレドックスフロー放電部に循環させて、事業継続計画用の電力を複数のレドックスフロー放電部から放電してもよい。
【0132】
実施形態2のレドックスフロー電池システム10では、第1個別貯留部200A~第3個別貯留部200Cの正極電解液貯留槽210aと負極電解液貯留槽210cのそれぞれを、第2共通貯留部300Bの正極電解液貯留槽210aと負極電解液貯留槽210cのそれぞれに連結可能に構成してもよい。これにより、第1個別貯留部200A~第3個別貯留部200Cと第2共通貯留部300Bの正極電解液貯留槽210aと負極電解液貯留槽210cを、事業継続計画用の電力を充電された電解液の貯留槽として利用できる。
【0133】
また、実施形態2のレドックスフロー電池システム10は、第1共通貯留部300Aと第4レドックスフロー放電部400Dとを備えてもよい。
【0134】
第1個別貯留部200A~第3個別貯留部200Cと第1共通貯留部300Aと第2共通貯留部300Bは、複数の正極電解液貯留槽210aと複数の負極電解液貯留槽210cを備えてもよい。これにより、貯留部に貯留される電解液を分けて、充電深度の高い電解液を貯留する貯留槽からレドックスフロー放電部に電解液を循環させて放電を行いつつ、充電深度の低い電解液を貯留する貯留槽の電解液をレドックスフロー充電部に循環させて充電できる。
【0135】
複数の正極電解液貯留槽210aのうちの1つの容量を、
図10に示すように、他の正極電解液貯留槽210aの容量よりも小さくしてもよい。また、複数の負極電解液貯留槽210cのうちの1つの容量を、他の負極電解液貯留槽210cの容量よりも小さくしてもよい。容量の小さい、正極電解液貯留槽210aと負極電解液貯留槽210cの電解液の充電深度を急速に高めることにより、急な短期間の電力融通に対応できる。
【0136】
第1個別貯留部200A~第3個別貯留部200Cと第1共通貯留部300Aと第2共通貯留部300Bに貯留される電解液の量、第1レドックスフロー充電セル110A~第3レドックスフロー充電セル110Cと第1レドックスフロー放電セル410A~第4レドックスフロー放電セル410Dの出力等は、電力需要家に供給する電力量、電源種の特性等に応じて設定される。例えば、電源種Aが太陽光発電で日中8時間の発電が可能とすると、所定の電力を24時間継続して電力需要家に供給するためには、レドックスフロー電池システム10は充電と放電を併行して実施できるので、第1レドックスフロー充電セル110Aの出力を第1レドックスフロー放電セル410Aの出力の3倍以上とすることが好ましい。
【0137】
また、第1個別貯留部200A~第3個別貯留部200Cと第1共通貯留部300Aと第2共通貯留部300Bに貯留される電解液の充電深度は、析出物の発生を抑制する観点から5%~80%であることが好ましい。
【0138】
実施形態1と実施形態2では、レドックスフロー電池システム10は、複数のレドックスフロー充電部を備えているが、レドックスフロー電池システム10は、少なくとも1つのレドックスフロー充電部を備えていればよい。例えば、
図11に示すように、レドックスフロー電池システム10は、1つの第1レドックスフロー充電部100Aと、第1個別貯留部200A~第3個別貯留部200Cと、第1共通貯留部300Aと、第1レドックスフロー放電部400A~第4レドックスフロー放電部400Dと、制御部500とを備えてもよい。この変形例のレドックスフロー電池システム10では、第1レドックスフロー充電部100A(第1レドックスフロー充電セル110A)を循環し電力を充電される電解液が、第1個別貯留部200A~第3個別貯留部200Cと第1共通貯留部300Aの電解液のいずれかに切り替えられる。また、第1レドックスフロー充電部100A(第1レドックスフロー充電セル110A)に接続し電解液に電力を充電する電源種が、電源切り替え部190により、循環する電解液(第1個別貯留部200A~第3個別貯留部200Cと第1共通貯留部300Aの電解液)に応じて、電源種A~Cのいずれかに切り替えられる。これにより、実施形態1のレドックスフロー電池システム10と同様に、カラーリングされた電力を電力需要家に供給できる。また、電源種Aと電源種Cの余剰電力を有効に活用できる。さらに、レドックスフロー電池システム10のコストを低減できる。
【0139】
また、レドックスフロー電池システム10は、少なくとも1つのレドックスフロー放電部を備えていればよい。レドックスフロー放電部を循環し放電される電解液の切り替えに応じて、電力需要家への接続を切り替えることにより、電力需要家のそれぞれにカラーリングされた電力を供給できる。
【0140】
制御部500は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、制御回路等の専用ハードウェアを備えてもよい。この場合、処理のそれぞれを、個別のハードウェアにより実行してもよい。また、処理のそれぞれをまとめて、単一のハードウェアにより実行してもよい。処理の一部を専用ハードウェアにより実行し、処理の他の一部をソフトウェア又はファームウェアにより実行してもよい。
【符号の説明】
【0141】
10 レドックスフロー電池システム、50,50a1~50a8,50c1~50c8 配管、100A 第1レドックスフロー充電部、110A 第1レドックスフロー充電セル、100B 第2レドックスフロー充電部、110B 第2レドックスフロー充電セル、100C 第3レドックスフロー充電部、110C 第3レドックスフロー充電セル、115a 正極、115c 負極、120a 正極室、120c 負極室、130 隔膜、180 電力量計、190 電源切り替え部、200A 第1個別貯留部、200B 第2個別貯留部、200C 第3個別貯留部、210a 正極電解液貯留槽、210c 負極電解液貯留槽、222a,224a 正極ポンプ、222c,224c 負極ポンプ、230 電磁バルブ、240 開放電圧測定部、300A 第1共通貯留部、300B 第2共通貯留部、400A 第1レドックスフロー放電部、410A 第1レドックスフロー放電セル、400B 第2レドックスフロー放電部、410B 第2レドックスフロー放電セル、400C 第3レドックスフロー放電部、410C 第3レドックスフロー放電セル、400D 第4レドックスフロー放電部、410D 第4レドックスフロー放電セル、500 制御部、502 CPU、504 ROM、506 RAM、508 入出力インターフェース、A~C 電源種、PL 正極電解液、NL 負極電解液、PCS パワーコンディショナ