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  • 特開-煙霧透過率測定装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023050352
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】煙霧透過率測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/59 20060101AFI20230404BHJP
【FI】
G01N21/59 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021160411
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】堀上 卓磨
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB01
2G059CC19
2G059EE01
2G059GG02
2G059JJ11
2G059JJ17
2G059KK01
2G059MM14
2G059NN07
(57)【要約】
【課題】道路トンネル内の煙霧透過率測定に用いられる煙霧透過率測定装置において、校正は設定間隔(通常は2週間程度)でしか行えず、メンテナンス性の低い遮蔽機構を用いている。
【解決手段】本発明の煙霧透過率測定装置の投光部11には、LED12と、投光レンズ13と、投光レンズ13を光学系汚れから保護する防塵窓A14を有し、受光部16は、受光素子19と、校正用受光素子23と、受光レンズ18と、受光レンズ18を光学系汚れから保護する防塵窓B17を有し、LED12で投射された光を投光部11内から受光部16内に直接伝搬する光ファイバーケーブル21を有し、LED12から投射された光は防塵窓A14、光ファイバーケーブル21および、防塵窓B17を通過し、校正用受光素子23に入光し、防塵窓A14および防塵窓B17の光学系汚れによる校正用受光素子23の出力低下を補正することにより常時校正を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源を有する投光部と、前記光源から投射された光を受光する受光器を有する受光部と、前記受光器から出力される電気信号を演算処理する処理部を有し、前記投光部と前記受光部の間を測定空間とする煙霧透過率測定装置において、
前記投光部内から前記受光部内に直接伝搬する光ファイバーケーブルが敷設され、
前記投光部は、前記光源を光学系汚れから保護する防塵窓Aを有し、
前記受光部は、前記受光器を光学系汚れから保護する防塵窓Bと、校正用受光素子を有し、
前記光源で投射された光は、
前記防塵窓A、前記測定空間、前記防塵窓Bを経由して前記受光素子に入るとともに、
前記防塵窓A、前記光ファイバーケーブル、前記防塵窓Bを経由して前記校正用受光素子に入る煙霧透過率測定装置。
【請求項2】
前記処理部は、所定の校正周期ごとに、前記校正用受光素子の出力を校正光出力Toとして測定し、
最新の校正光出力Toと前回測定の校正光出力Ton-1と前回の補正値ゲインKn-1を用い、(式1)によって最新の補正値ゲインKを求める請求項1記載の煙霧透過率測定装置。
=Kn-1×(Ton-1/To) ・・・・・・(式1)
【請求項3】
前記処理部は、所定の測定周期ごとに、前記受光器の出力を測定光出力Tmとして測定し、
前記最新の校正光出力Toと前記最新の補正値ゲインKと前記測定光出力Tmを用い、(式2)によって、煙霧透過率を求める請求項2記載の煙霧透過率測定装置。
煙霧透過率(%)=K×(Tm/To)×100 ・・・・・・(式2)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路トンネル内の煙霧透過率測定に使用される煙霧透過率測定装置の光学系汚れの校正に関するものである。
【背景技術】
【0002】
道路トンネル内では、走行する自動車の排出ガス中に含まれる有害物質により視界が妨げられ、道路トンネル利用者の安全な通行に影響を及ぼす。そこで、道路トンネル内におけるヒトの目による見え方を煙霧透過率として数値化し、その測定デ-タをもとに換気設備の制御を行う方法が実施されている。
【0003】
道路トンネル内の煙霧透過率測定に用いられる、従来の煙霧透過率測定装置は、一般的に投光部と受光部を100m離して設置されている。投光部に設けられた光源は、受光部に向けて光を投射し、受光部に設けられた受光素子は、その投射された光を受光する。受光素子は、受光した光を電気信号(受光信号)に変換する。煙霧透過率は、受光信号を処理部で演算処理することにより得られる。投光部の光源から投射された光は、道路トンネル内に存在する煤煙の微粒子の吸収および散乱により減衰して受光素子に到達するので、受光信号を変換して得られる煙霧透過率は、道路トンネル内の汚れの度合いに応じたものとなる。そして、この煙霧透過率は、処理部で演算処理することにより得られる。また、道路トンネル用換気制御装置(トンネル内に設置されたジェットファンとその運転制御を行う制御盤等)は、算出された煙霧透過率を基に道路トンネル内の視環境改善のための換気機運転を行う。
【0004】
この種の煙霧透過率測定装置は、長期間の使用で光学系(投光部および受光部内の防塵窓等、光が通過する部位)が汚れると、受光素子で受光する光量が低下し、受光素子の出力により算出している煙霧透過率が低下してしまうため、光学系の汚れを校正する機能を有している(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
以下、その煙霧透過率測定装置の光学系汚れの校正方法について図3および図4を参照しながら説明する。
【0006】
受光部106は、箱型の筐体に円筒状の受光筒122を設け、受光筒122の開口に測定光が入射するものである。受光部106の内部には、遮蔽板114と遮蔽板114を動かすロータリーソレノイド113が設けられている。遮蔽板114は、受光筒122の開口を開閉するよう、ロータリーソレノイド113によって回転させられる。ロータリーソレノイド113は、処理部116からの指示により駆動する。図4に示すように処理部116がOFF指令を送ると、ロータリーソレノイド113は、受光部106の開口を開放するよう、遮蔽板114を回転させ、遮蔽板114は遮蔽OFF状態の位置となる。その結果、投光部101の光源102からの光は、開口を通って受光素子109に到達する。一方、処理部116がON指令を送ると、ロータリーソレノイド113は、受光部106開口を遮蔽するよう、遮蔽板114を回転させ、遮蔽板114は遮蔽ON状態の位置となる。その結果、光源102の光は、開口を通過せず、受光素子109に到達しないことになる。
【0007】
そして、投光部101と受光部106の間には、光ファイバーケーブル111が設けられている。光ファイバーケーブル111の一端側は、投光部101内で、防塵窓104を挟んで光源102と対向して設けられている。光ファイバーケーブル111の他端側は、受光部106内で、防塵窓107を挟んで受光素子109と対向して設けられている。なお、光ファイバーケーブル111は、その途中に光スイッチ112が設けられ、光スイッチ112の動作により、他端側からの光の放射をON/OFFする。また、光ファイバーケーブル111には、端部にコリメータ110、115、118,119が設けられており、受光した光を平行光線として投射する(光ファイバーケーブル111は、光スイッチ112の取付部において切断されているので、切断箇所にもコリメータ118,119が設けられている)。
【0008】
光スイッチ112は、煙霧透過率測定装置が煙霧透過率を測定する場合(通常時)には、遮断状態となり、煙霧透過率測定装置が校正を行う場合(校正時)には、開放状態となる。
【0009】
校正は通常、2週間程度の間隔で行われる。校正を行う際には、処理部116は、ロータリーソレノイド113に対しON指令を出力するとともに、光スイッチ112を開放状態にする。この状態で、投光部101からの光は、光ファイバーケーブル111を経由してコリメータ115から投射される。そして、防塵窓107および受光レンズ108を介して受光素子109で受光し、受光素子109は、最新校正光の出力信号を出力する。処理部116は、この最新校正光の出力信号と、前回の校正光の出力信号と比較する。校正光の出力信号は、光学系の汚れに応じて信号レベルが低下するため、前回値との差分によって、光学系の汚れを補正している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開昭59-116037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来の煙霧透過率測定装置においては、上記の通り長期間の使用で投光部と受光部の防塵窓が汚れるため、校正を行っている。校正時には、遮蔽板114がロータリーソレノイド113の回転運動によって遮蔽板114の位置がズレることがある。これについて図4を用いて説明する。図4は空間105側から受光部106内部を見た時の遮蔽機構を示した図である。ロータリーソレノイド113の軸には、先端に遮蔽板114を固定した腕部品120が取り付けられている。ロータリーソレノイド113の軸と腕部品120はネジで固定されている。すなわち、ロータリーソレノイド113の回転によって、遮蔽板114を動かして受光筒122の開口を開閉する。ロータリーソレノイド113が回転を繰り返すと、遮蔽板114を固定しているネジが緩むことがある。そのため、ロータリーソレノイド113の回転が遮蔽板114にうまく伝わらずに、受光筒122の開口部が完全に遮蔽されず、メンテナンスが必用という課題を有していた。
【0012】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、校正用受光素子を受光部内に配置することにより、正確でメンテナンス性を向上した煙霧透過率測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明は、光源を有する投光部と、前記光源から投射された光を受光する受光器を有する受光部と、前記受光器から出力される電気信号を演算処理する処理部を有し、前記投光部と前記受光部の間を測定空間とする煙霧透過率測定装置において、
前記投光部内から前記受光部内に直接伝搬する光ファイバーケーブルが敷設され、
前記投光部は、前記光源を光学系汚れから保護する防塵窓Aを有し、
前記受光部は、前記受光器を光学系汚れから保護する防塵窓Bと、校正用受光素子を有し、
前記光源で投射された光は、
前記防塵窓A、前記測定空間、前記防塵窓Bを経由して前記受光素子に入るとともに、
前記防塵窓A、前記光ファイバーケーブル、前記防塵窓Bを経由して前記校正用受光素子に入るものであり、これにより、所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、受光部は、測定空間を通過した測定光を受光する受光器と、校正用の光ファイバーケーブルを通過した校正光を受光する校正用受光素子を有するので、測定光と校正光を同時に受光できることになる。これにより、従来設定間隔(通常は2週間程度)でしか行えなかった校正が常時行えるようになり、従来メンテナンスが必要であった遮蔽機構が不要となる。そのため、より正確でメンテナンス性を向上させて光学系汚れを校正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態1にかかる煙霧透過率測定装置の概略構成図
図2】同実施の形態1の煙霧透過率測定装置の処理部フローチャート
図3】従来の煙霧透過率測定装置構成図
図4】従来の煙霧透過率測定装置の遮蔽部拡大図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、道路トンネル用煙霧透過率測定装置の構成図を示している。
【0018】
煙霧透過率測定装置は、一端側を開口した筒型の筐体を有した投光部11と、同じく一端側を開口した筒型の筐体を有した受光部16と、出力信号を処理する処理部25で構成されている。
【0019】
初めに、通常測定で用いる構成を説明する。投光部11は光源26(LED12と投光レンズ13)を備えている。LED12と投光レンズ13は、投光部11内に一直線に配置され、LED12から投射された光は、投光レンズ13で偏向されて後述する受光部16に入射される。防塵窓A14は投光部11外の空気と投光レンズ13が直接接しないように、投光部11の筐体内を開口側と投光部11側に二分するように設けられている。すなわち、光源26から投射された光は、防塵窓A14を通って受光部16へ到達することになる。
【0020】
受光部16は、受光器27(受光素子19と受光レンズ18)を備えている。投光部11と同様に、受光素子19と受光レンズ18は、受光部16内に一直線に配置されている。そして、光源26から投射された光は、受光レンズ18で偏向され受光素子19で受光される。また、防塵窓B17は受光部16外の空気と受光レンズ18が直接接しないように、受光部16の筐体内を開口側と受光部16側に二分するように設けられている。受光器27は、光源26からの光を検出し、処理部25へ電気信号として伝達する。なお、詳しくは後述するが、受光部16内には、校正用受光素子23が備えられている。
【0021】
投光部11と受光部16は、一般的に100m離れた場所に設置される。投光部11と受光部16の配置の際には、投光部11の光源26から投射された光が受光部16の受光器27で受光できるように、投光部11、受光部16の光軸が合わせられている。
【0022】
処理部25は、受光器27から伝達された電気信号を用いて煙霧透過率を算出する。煙霧透過率とは、投光部11と受光部16の間の測定空間15におけるヒトの目による見え方を数値化したものである。道路トンネル内の空気の汚れ度合いは、一般的に、投光部11と受光部16の間の100mの測定空間15での煙霧透過率を用いて表している。
【0023】
次に、校正測定で用いる構成を説明する。
【0024】
道路トンネルに設置される煙霧透過率測定装置において、投光部11内の防塵窓A14および受光部16内の防塵窓B17は、ムラなく一様に汚れると推定される。防塵窓A14、防塵窓B17ともに筐体内に収められ、トンネル内において発生する局所的な汚れを受けにくいからである。このことを利用し、光源26から投射された光が防塵窓B17の異なる位置を通過しても同様の出力を得られるという考えのもと、本発明に至った。以下、詳細を説明する。
【0025】
投光部11と受光部16の間には、光ファイバーケーブル21が設けられている。光ファイバーケーブル21の一端側は、投光部11内で、防塵窓A14を挟んで光源26と対向して設けられている。光ファイバーケーブル21の他端側は、受光部16内で、防塵窓B17を挟んで校正用受光素子23と対向して設けられている。なお、光ファイバーケーブル21には、端部にコリメータ20、22が設けられており、受光した光を平行光線として投射する。光ファイバーケーブル21の受光部16側端部は、投光部11側に向けて配置されている。すなわち、光ファイバーケーブル21の受光部16側端部は、防塵窓B17に対し、受光器27と同じ側に設けられている。
【0026】
校正用受光素子23は、防塵窓B17を挟んで光ファイバーケーブル21の受光部16側端部(コリメータ22側)と対向して配置されている。そして、校正用受光素子23は、光ファイバーケーブル21(コリメータ22)から投射される校正光以外の光を受光しないよう、筒状の校正用受光素子カバー24を備えている。図1に示すように、校正用受光素子23は、防塵窓B17に対し、測定空間15側に配置されるので、防塵窓B17に付着する汚れを阻害しないよう、十分小さい径とすることが好ましい。また、校正用受光素子カバー24は筒状としたが、校正光以外の光を遮るような形状であれば筒状に限られるものではない。
【0027】
上記構成による煙霧透過率測定装置の校正方法について説明する。
【0028】
まず、投光部11、あるいは受光部16内の汚れについて説明する。この種の煙霧透過率測定装置では、道路トンネル内に存在する煤煙の微粒子が投光部11あるいは受光部16内に侵入することになる。投光部11内に侵入した煤煙の微粒子は、防塵窓A14に付着して、防塵窓A14を通過する光量を低下させることになる。同様に、受光部16内に侵入した煤煙の微粒子は、防塵窓B17に付着して、防塵窓B17を通過する光量を低下させることになる。すなわち、煙霧透過率測定装置を長期間使用すると、トンネル内の正確な煙霧透過率を測定することが難しくなるので、防塵窓A14と防塵窓B17の光学系の汚れを補正するため校正を行う。
【0029】
煙霧透過率を測定する場合、受光器27は、測定空間15を通った測定光を受光し、測定信号として出力する。すなわち、光源26から投射された光は、防塵窓A14、測定空間15(投光部11と受光部16の間)、防塵窓B17を通過して、受光器27で受光する。受光器27は、受光した測定光を電気信号として出力し、処理部25に伝達する。処理部25は、後述する校正によって得られた最新のゲインKを用いて、測定空間15の煙霧透過率を算出している。
【0030】
一方で、煙霧透過率測定装置が校正を行う場合、すなわち、汚れてきた光学系の校正を行う場合(校正測定)、校正用受光素子23は、測定空間15を経由せず、光ファイバーケーブル21を通った校正光を受光し、校正信号として出力する。すなわち、光源26から投射された光は、防塵窓A14、光ファイバーケーブル21、防塵窓B17を通過して校正用受光素子23に入光する。校正用受光素子23は、受光した校正光を電気信号として出力し、処理部25に伝達する。処理部25は、出力の変化により防塵窓A14および防塵窓B17の汚れに起因する受光量の低下分をゲインKとして算出する。ゲインKは、光学系の汚れ度合いを示し、0~1の数値である(初期値は1)。
【0031】
次に、処理部25の動作について説明する。
【0032】
処理部25は、校正用受光素子23の出力を所定の校正周期ごとに校正光出力Toとして測定する。最新の校正用受光素子23の出力を受光量Toとし、校正周期1周期分前の出力を受光量Ton-1とする。この受光量の変化が、光学系の汚れに起因して発生する。すなわち、最新の受光量Toが前回受光量Ton-1と等しくなるよう、汚れ度合いに対応するゲインKを求める。現在保有するゲインをKn-1として、今回校正時、すなわち最新のゲインKは次式で算出される。
【0033】
=Kn-1×(Ton-1/To) ・・・・・・(式1)
受光器27の出力を受光量Tmとすると、校正後の煙霧透過率は次式で算出される。
【0034】
煙霧透過率(%)=K×(Tm/To)×100 ・・・・・・(式2)
このようにして、光学系の汚れを補正した煙霧透過率を算出することができる。
【0035】
また、測定用に受光器27を用い、校正用に校正用受光素子23を用いることによって、校正周期を短くすることができる。この校正方法について図2のフローチャートを用いて説明する。
【0036】
光源26から投射された光は測定光用の受光素子19と校正光用の校正用受光素子23別々で受光される。図2の右側、校正測定のフローで示すように、処理部25は、測定光の測定においては、校正によって得られた最新のゲインKを用いて煙霧透過率を出力している。煙霧透過率の出力は、測定光のサンプリング周期ごとに行われる。
【0037】
一方、図2の左側、通常測定のフローで示すように、処理部25は、校正光の測定を測定光の計測とは独立して行うことができるので、校正光のサンプリング周期(校正周期)ごとに行うことができる。ゲインKの算出は、上述の通りである。
【0038】
このように、図2における通常測定と校正測定とは独立して行われる。したがって、校正測定によって得られた最新のゲインKを通常測定(測定光の測定)に用いて煙霧透過率を算出することにより、光学系の汚れによる出力信号低下分を常時考慮した煙霧透過率の測定を行うことが可能となる。
【0039】
ここで、経験的に道路トンネル内の汚れに起因する光学系の汚れの度合いは、1日程度では微小で煙霧透過率の変化に影響がなく、時間経過によって光学系の汚れ度合いが改善しないことが分かっている。そのため、校正測定のサンプリング周期は、1日以下であれば問題無いが、設置場所の環境によってはサンプリング周期をかなり短い周期、例えば5秒程度に設定してもよい。
【0040】
このように、受光器27と校正用受光素子23を用いることにより、通常の測定光の測定と校正光の測定を同時に行うことが可能になる。そして、常時、正確な煙霧透過率を出力することができる。また、従来のようなロータリーソレノイド、遮蔽板を用いた駆動機構を必要としないため、メンテナンス頻度を抑制し、常に校正作業を行うことができる。そして、従来では駆動機構を用いていたため、校正作業を約2週間周期で行っていたが、校正周期を短くして正確な煙霧透過率を求めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明によれば、道路トンネル内で用いる煙霧透過率測定装置のような光学系の測定装置の校正に利用することができる。
【符号の説明】
【0042】
11 投光部
12 LED
13 投光レンズ
14 防塵窓A
15 測定空間
16 受光部
17 防塵窓B
18 受光レンズ
19 受光素子
20 コリメータ
21 光ファイバーケーブル
22 コリメータ
23 校正用受光素子
24 校正用受光素子カバー
25 処理部
26 光源
27 受光器
101 投光部
102 光源
103 投光レンズ
104 防塵窓
105 空間
106 受光部
107 防塵窓
108 受光レンズ
109 受光素子
110 コリメータ
111 光ファイバーケーブル
112 光スイッチ
113 ロータリーソレノイド
114 遮蔽板
115 コリメータ
116 処理部
118 コリメータ
119 コリメータ
120 腕部品
121 受光部筐体底面
122 受光筒
図1
図2
図3
図4