(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023050356
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】除湿装置
(51)【国際特許分類】
B01D 53/26 20060101AFI20230404BHJP
F24F 1/0358 20190101ALI20230404BHJP
F24F 3/14 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
B01D53/26 220
F24F1/0358
F24F3/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021160415
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】堀 達也
(72)【発明者】
【氏名】河本 亮太
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕基
(72)【発明者】
【氏名】上田 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】水谷 衣里
【テーマコード(参考)】
3L053
4D052
【Fターム(参考)】
3L053BC03
4D052AA08
4D052CB00
4D052DA03
4D052DA06
4D052DB01
4D052DB03
4D052DB04
4D052FA08
(57)【要約】
【課題】本発明は除湿装置に関するもので、除湿能力を向上させることが課題である。
【解決手段】本体ケース1内に設けられ、吸湿領域10aと放湿領域10bを有する除湿ローター10と、本体ケース1の吸込口2から吸込んだ空気を、除湿風路22により、除湿ローター10の吸湿領域10aを通過後、吹出口4から本体ケース1外に排気する送風機9と、本体ケース1内に設けられた循環風路13とを備えている。循環風路13は、除湿ローター10の放湿領域10bと、放湿領域10bの風上側に設けた発熱部14と、放湿領域10bの風下側に設けた熱交換器15と、循環風路13内の空気を循環させる循環送風機16とを有し、放湿領域10bと熱交換器15とを連通する連通路24の底面24aは熱交換器15の上端より低くする構成したものであり、除湿能力を向上させることができるものである。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口と吹出口を有する本体ケースと、
前記本体ケース内に設けられ、吸湿領域と放湿領域を有する除湿ローターと、
前記除湿ローターを回転させるモータと、
前記本体ケースの前記吸込口から吸込んだ空気を、除湿風路により、前記除湿ローターの前記吸湿領域を通過後、前記吹出口から前記本体ケース外に排気する送風機と、
前記本体ケース内に設けられた循環風路とを備え、
前記循環風路は、
前記除湿ローターの前記放湿領域と、
前記放湿領域の風上側に設けた発熱部と、
前記放湿領域の風下側に設けた熱交換器と、
前記循環風路内の空気を循環させる循環送風機とを有し、
前記放湿領域と前記熱交換器とを連通する連通路の底面は前記熱交換器の上端より低くすることを特徴とする除湿装置。
【請求項2】
前記連通路の前記底面は、前記熱交換器側が高く、前記放湿領域側が低くなるように傾斜することを特徴とする請求項1に記載の除湿装置。
【請求項3】
前記連通路の前記底面は、前記熱交換器の上端から所定の距離下がった前記熱交換器の側面から延びることを特徴とする請求項1または2に記載の除湿装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は除湿装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の除湿装置は、短辺側と長辺側を有する水平断面形状の本体ケース内に、吸込口から吸気して吹出口から排気するファンと、ファンが供給する空気から吸湿するロータと、ロータを回転させる駆動手段と、ロータの一部に再生空気を循環させる循環経路および循環ファンと、循環経路においてロータから水分を放出させるヒーターと、ロータが放出した水分を含んだ再生空気をファンが供給する空気で冷却して結露させる熱交換器とを備えている。吸込口から吸引した空気がロータと熱交換器に分かれて本体ケース内を概略短辺方向に流れファンに吸込まれるようにロータと熱交換器を本体ケース内の長辺方向に並べて配設した除湿装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の除湿装置における課題は、除湿能力を向上させることである。
【0005】
すなわち、従来の物においては、循環風路は、除湿ローターの放湿領域と、放湿領域の風上側に設けた発熱部と、放湿領域の風下側に設けた熱交換器と、循環風路内の空気を循環させる循環送風機とを有し、放湿領域と熱交換器とを連通する連通路内で結露した水は循環する空気の流れによって熱交換器内に流れ込むこととなる。水が流れ込んだ熱交換器は循環する空気の流れが阻害され、熱交換器内を流れる水蒸気の十分な結露が行われず、結果的に除湿能力の低下を招くということがあった。
【0006】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、熱交換器内での熱交換を促進し、除湿能力を向上させることを目的とした除湿装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そして、この目的を達成するために、本発明に係る除湿装置は、吸込口と吹出口を有する本体ケースと、前記本体ケース内に設けられ、吸湿領域と放湿領域を有する除湿ローターと、前記除湿ローターを回転させるモータと、前記本体ケースの前記吸込口から吸込んだ空気を、除湿風路により、前記除湿ローターの前記吸湿領域を通過後、前記吹出口から前記本体ケース外に排気する送風機と、前記本体ケース内に設けられた循環風路とを備え、前記循環風路は、前記除湿ローターの前記放湿領域と、前記放湿領域の風上側に設けた発熱部と、前記放湿領域の風下側に設けた熱交換器と、前記循環風路内の空気を循環させる循環送風機とを有し、前記放湿領域と前記熱交換器とを連通する連通路の底面は前記熱交換器の上端より低くするものであり、これにより所期の目的を達成するものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、吸込口と吹出口を有する本体ケースと、前記本体ケース内に設けられ、吸湿領域と放湿領域を有する除湿ローターと、前記除湿ローターを回転させるモータと、前記本体ケースの前記吸込口から吸込んだ空気を、除湿風路により、前記除湿ローターの前記吸湿領域を通過後、前記吹出口から前記本体ケース外に排気する送風機と、前記本体ケース内に設けられた循環風路とを備え、前記循環風路は、前記除湿ローターの前記放湿領域と、前記放湿領域の風上側に設けた発熱部と、前記放湿領域の風下側に設けた熱交換器と、前記循環風路内の空気を循環させる循環送風機とを有し、前記放湿領域と前記熱交換器とを連通する連通路の底面は前記熱交換器の上端より低くするという構成にしたことにより、連通路内で結露した水は熱交換器内に流れ込むことがなくなり、循環する空気の流れが阻害されることが無いので、熱交換器内の熱交換効率が向上することとなるので、循環する空気の水蒸気の結露が促進され、除湿能力が向上するという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態における除湿装置の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態1について図面を参照しながら説明する。
【0011】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態における除湿装置の前面側から見た斜視図であり、
図2は除湿装置の背面側から見た斜視図であり、
図3は概略構成を示す分解斜視図であり、
図4には水平断面における概略断面図であり、
図5は除湿装置の内部を示す概略図である。
【0012】
図1、
図2、
図3、
図4、
図5に示すように、本実施形態の除湿装置は、縦長箱形状の本体ケース1の前面に吸込口2を設け、本体ケース1の上面には操作部3を、本体ケース1の上部の背面側には吹出口4を有している。使用者は、操作部3を操作することで除湿装置の操作および運転モードの確認をすることができる。吹出口4の上方には、回動自在なルーバー5を備えている。本体ケース1の前面側下方には、貯水部6が出没自在に設けられており、本体ケース1内で生成された除湿水を貯水する。
【0013】
本体ケース1内には、除湿ローター部7と、再生ユニット8と、送風機9とを備えている。
【0014】
除湿ローター部7は、除湿ローター10と、支持枠11と、モータ12とを有している。
【0015】
除湿ローター10は、円板形状で、回転軸が水平方向に延びるように、支持枠11に回動自在に設けられている。除湿ローター10は、吸着材が担持された軸方向に通風可能なハニカム形状で構成されており、この吸着材は、晒される空気の相対湿度が高ければ多くの水分を保持でき、相対湿度が低くなると保持可能な水分量が減少する特性を有している。このように、相対湿度の異なる複数の空気との接触を繰り返せば、各々の相対湿度における吸着材の保持可能な水分量の差に応じて水分の吸脱着が行われることになる。除湿ローターは、空気中の水分を除湿ローター10に吸着する吸湿領域10aと、除湿ローター10に吸着した水分を放出する放湿領域10bとを有する。除湿ローター10の外周には、多数の歯10cを有している。
【0016】
支持枠11は、本体ケース1における前面側と背面側とを仕切るように配置され、中央部には、円形の開口11aを有している。除湿ローター10は、本体ケース1における背面と支持枠11との間に配置され、支持枠11の開口11aを塞ぐように、回動自在に設けられている。
【0017】
モータ12は、支持枠11に固定され、歯車12aを有し、歯車12aは、除湿ローター10外周から突出した多数の歯10cと接触する。モータ12が駆動すると歯車が回転し、この歯車によって除湿ローター10も回転する。
【0018】
再生ユニット8は、除湿ローター10における放湿領域10bの一方側面(本体ケースにおける前面側)と、除湿ローター10における放湿領域10bの他方側面(本体ケースにおける背面側)と連通する循環風路13と、循環風路13内に設けた、発熱部14と、熱交換器15と、循環送風機16とを有する。
【0019】
発熱部14は、除湿ローター10における放湿領域10bの一方側面(本体ケースにおける背面側)に配置されている。発熱部14は、ニクロム線などの通電発熱する材料で構成され、発熱することにより除湿ローター10の放湿領域10bにおいて、除湿ローター10から水分を放出させている。
【0020】
熱交換器15は、除湿ローター10の放湿領域10bから放出した水分を含む再生空気と、送風機9が供給する室内空気とを熱交換して水分を凝縮する。熱交換器15は、本体ケース1における前面と支持枠11との間に、除湿ローター10と水平方向に隣り合うように配置されている。熱交換器15は
図6の熱交換器の展開図に示すように、2種類の形状のシートを交互に積層して構成したものであり、縦に流れる循環風路13の空気と横に流れる後述する冷却風路23の空気とを仕切って、顕熱交換する構成にしている。
【0021】
循環送風機16は、モータ16aと羽根車16bを組み合わせた、いわゆるシロッコファンとして構成し、循環風路13内で空気の循環を行っている。循環送風機16は、循環風路13における発熱部14と熱交換器15との間に配置されている。循環送風機16から送風された空気は、発熱部14、除湿ローター10における放湿領域10b、熱交換器15を順次介して、循環送風機16に吸い込まれる。なお、循環風路13内の空気は、熱交換器15の上部から下部に流れる。
【0022】
送風機9は、本体ケース1における背面と支持枠11との間に配置されている。送風機9は、モータ部9aと、モータ部9aにより回転するファン部9bと、それらを囲むスクロール形状のケーシング部9cとを備えている。
【0023】
モータ部9aは、ケーシング部9cに固定されている。
【0024】
ファン部9bは、シロッコファンで、モータ部9aから水平方向に延びた回転軸(図示せず)に固定されている。モータ部9aの回転軸は、本体ケース1の前面側から背面側に延びている。
【0025】
ケーシング部9cには、吐出口17と吸気口18とが設けられている。吐出口17は、ケーシング部9cの本体ケース1における上面側に設けられている。また、吸気口18は、ケーシング部9cの本体ケース1における前面側に設けられている。ケーシング部9cは、モータ部9aを固定し、吸気口18が設けられた吸込面部分19と、吸込面部分19に対向した吸込対向面部分20と、吸込面部分19と吸込対向面部分20とを連結するスクロール形状のスクロール面部分21とを有している。モータ部9aによって、ファン部9bが回転すると、ケーシング部9cの吸気口18からケーシング部9c内に空気が吸い込まれ、この吸い込まれた空気は、吐出口17からケーシング部9c外へ送風される。
【0026】
本体ケース内には、除湿風路22と、冷却風路23と有している。
【0027】
除湿風路22は、本体ケース1の吸込口2と、除湿ローター10の吸湿領域10aと、送風機9とを連通する風路である。本体ケース1の吸込口2から吸い込んだ空気の水分は、除湿ローター10の吸湿領域10aで、除湿ローター10に吸着され、除湿される。
【0028】
冷却風路23は、本体ケース1の吸込口2と、熱交換器15と、送風機9とを連通する風路である。本体ケース1の吸込口2から吸い込んだ空気によって、熱交換器15が冷却される。除湿風路22と冷却風路23とを通過したそれぞれの空気は、送風機9で混合され、吹出口4から本体ケース外へ送風される。
【0029】
以上の構成における除湿動作について説明する。送風機9により吸込口2から室内空気を吸引し、除湿ローター10の吸湿領域10aに水分を吸湿させ、除湿された空気を乾燥空気として吹出口4から室内に送風する(除湿風路)。除湿ローター10に吸湿された水分は、除湿ローター10の回転駆動により放湿領域10bに移動し、発熱部14の加熱により循環風路13に放出される。循環風路13では循環送風機16の送風により、除湿ローター10の放湿領域10bから送出した高温多湿の空気は、熱交換器15に送風される。熱交換器15では循環風路13と送風機9により本体ケース1内に吸引され、熱交換器15を冷却する冷却風路23とが熱交換を行い、循環風路13の高温多湿空気は冷却され水分が凝縮し結露水として貯水部6に回収される。熱交換器15を冷却し、温度が上昇した冷却風路23の空気は、送風機9により、除湿風路22の空気と混合され吹出口4から室内に送風される。このように、室内空気の除湿動作がなされている。
【0030】
図5に示すように、本実施形態における特徴は、循環風路13の一部である熱交換器15と、放湿領域10bと熱交換器15とを連通する連通路24である。具体的には、連通路24は、中心軸が横方向に延びた筒形状であり、連通路24内を流れる空気は、熱交換器15の上面から熱交換器15内へ流れ込み、熱交換器15内を下方へ流れる。放湿領域10bと熱交換器15とを連通する連通路24の底面24aは、熱交換器15の上端15aより低く位置するように構成されている。
【0031】
このような構成において、連通路24内で結露した水は底面24aに溜まるが、連通路24内の底面24aは、熱交換器15の上端15aより低いため水が熱交換器15に侵入することを抑制することができる。
【0032】
これにより、連通路24内で結露した水は熱交換器15内に流れ込むことが抑制され、熱交換器15に流れる循環空気の流れを阻害することが低減するので、熱交換器15内の熱交換効率の低下が改善されることとなるので、循環する空気の水蒸気の結露が促進され、除湿能力が向上する。
【0033】
また、連通路24の底面24aは、熱交換器15側が高く、放湿領域10b側が低くなるように傾斜を設けた形状としている。
【0034】
このような構成において、連通路24内で結露した水は底面24aに集まるが、傾斜があるため、連通路24内に留まることなく水は放湿領域10b側に流れる。したがって、熱交換器15内に流れ込むことが抑制されるとともに、結露水が連通路24内に溜まることも低減できる。
【0035】
これにより、連通路24内で結露した水は熱交換器15内に流れ込むことが抑制され、熱交換器15に流れる循環空気の流れを阻害することが低減するので、熱交換器15内の熱交換効率の低下が改善されることとなる。さらに、結露水が連通路24内に溜まることにより、連通路24の循環する空気の抵抗となることも抑制されるため、循環風量も低下することなく、熱交換器内の熱交換効率が改善されるため、循環する空気の水蒸気の結露が促進され、除湿能力が向上する。
【0036】
また、連通路24の底面24aは、熱交換器15の上端15aから所定の距離下がった熱交換器15の側面15bから延びるように構成されている。
【0037】
このような構成において、熱交換器15の上端15aが、連通路24の底面24aより高くなっており、連通路24を流れる空気の一部は、熱交換器15の上部の側面15bに当たり結露するので、循環風路13内での除湿効率が向上すると共に、熱交換器15内への流れ込みが防止される。
【0038】
これにより、循環風路13内での除湿効率が向上し、連通路24内で結露した水は熱交換器15内に流れ込むことがなくなり、熱交換器15に流れる循環空気の流れを阻害することが無くなるので、熱交換器15内の熱交換効率の低下が改善されることとなる。さらに、結露水が連通路24内に溜まることにより、連通路24の循環する空気の抵抗となることも防止されるため、循環風量も低下することなく、熱交換器内の熱交換効率が改善されるため、循環する空気の水蒸気の結露が促進され、除湿能力が向上する。
【0039】
また、機器が少し傾斜した床面などに設置された場合でも、連通路24内で結露した水は熱交換器15内に流れ込みにくくなっているため、除湿能力は低下することなく安定して効果を維持することができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
家庭用や事務所用などの、除湿能力の高い除湿装置として活用が期待されるものである。
【符号の説明】
【0041】
1 本体ケース
2 吸込口
3 操作部
4 吹出口
5 ルーバー
6 貯水部
7 除湿ローター部
8 再生ユニット
9 送風機
9a モータ部
9b ファン部
9c ケーシング部
10 除湿ローター
10a 吸湿領域
10b 放湿領域
10c 歯
11 支持枠
11a 開口
12 モータ
12a 歯車
13 循環風路
14 発熱部
15 熱交換器
15a 上端
15b 側面
16 循環送風機
16a モータ
16b 羽根車
17 吐出口
18 吸気口
19 吸込面部分
20 吸込対向面部分
21 スクロール面部分
22 除湿風路
23 冷却風路
24 連通路
24a 底面