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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023050359
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】換気システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/007 20060101AFI20230404BHJP
【FI】
F24F7/007 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021160418
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】正村 直人
【テーマコード(参考)】
3L056
【Fターム(参考)】
3L056BD07
3L056BE07
3L056BF02
(57)【要約】
【課題】負圧の解消しつつ無駄な電力消費を抑制する換気システムを提供する。
【解決手段】換気システムは、空間の排気を行う換気扇1と、空間の給気を行う給気扇4と、給気扇4の制御を行う制御部6と、を備える。制御部6は、換気扇1の排気能力が給気扇4の給気能力よりも高い場合において、換気扇1による換気運転時間が閾値以上の場合、空間内の圧力が前記空間外の圧力よりも小さい圧力P1であると判断し、換気扇1による換気運転終了後に前記給気扇4による給気運転を時間T1の間行う。制御部6は、換気扇1による換気運転時間が閾値より短い場合、空間内の圧力が空間外の圧力よりも小さく圧力P1よりも大きいと判断し、換気扇1による換気運転終了後に給気扇4による給気運転を前記時間T1より短い時間T2の間行う。これにより上記課題を解決するものである。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間の排気を行う換気扇と、
前記空間の給気を行う給気扇と、
前記給気扇の制御を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記換気扇の排気能力が前記給気扇の給気能力よりも高い場合において、
前記換気扇による換気運転時間が閾値以上の場合、前記空間内の圧力が前記空間外の圧力よりも小さい圧P1であると判断し、前記換気扇による換気運転終了後に前記給気扇による給気運転を時間T1の間行い、
前記換気扇による換気運転時間が閾値より短い場合、前記空間内の圧力が前記空間外の圧力よりも小さく前記圧力P1よりも大きいと判断し、前記換気扇による換気運転終了後に前記給気扇による給気運転を前記時間T1より短い時間T2の間行う換気システム。
【請求項2】
前記時間T2は、前記換気扇による換気運転時間に比例する請求項1記載の換気システム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記換気扇による換気運転開始から終了までの、前記換気扇の排気風量と前記給気扇の給気風量の少なくとも1つ以上に基づいて前記閾値を変更する閾値変更部を備える請求項1または2記載の換気システム。
【請求項4】
前記制御部は、
前記換気扇の運転終了後に運転する前記給気扇の給気風量に基づいて前記時間T1及び前記時間T2を変更する給気扇運転時間変更部を備える請求項1から3のいずれかに記載の換気システム。
【請求項5】
前記換気扇はレンジフードである請求項1から4のいずれかに記載の換気システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、換気システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、換気扇と給気扇を備えた換気システムが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018―54164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、レンジフードのように排気能力が高い換気扇を備えた換気システムの場合、換気扇を運転させることで、空間内は負圧になる。換気扇の運転停止後、給気扇により給気運転を行うことで空間内は負圧の解消に向かう。しかし、換気扇が運転停止の際に空間内がどの程度負圧であるかは不明のため、換気扇の運転停止後に、給気扇をどれくらい運転させれば空間内の負圧が解消するのかわからない。負圧を確実に解消するために、例えば長時間給気扇を運転させる場合、空間内の負圧の程度によっては長時間給気扇を運転させなくても負圧が解消している可能性がある。つまり、負圧が解消しているにも関わらず無駄に給気扇を運転させてしまい、無駄な電力消費が発生している可能性がある。
【0005】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、換気扇の排気能力が給気扇の給気能力よりも高い場合において、負圧を解消しつつ無駄な電力消費を抑制する換気システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そして、この目的を達成するために、本発明に係る換気システムは、空間の排気を行う換気扇と、空間の給気を行う給気扇と、給気扇の制御を行う制御部と、を備え、制御部は、換気扇の排気能力が給気扇の給気能力よりも高い場合において、換気扇による換気運転時間が閾値以上の場合、空間内の圧力が空間外の圧力よりも小さい圧力P1であると判断し、換気扇による換気運転終了後に給気扇による給気運転を時間T1の間行い、換気扇による換気運転時間が閾値より短い場合、空間内の圧力が空間外の圧力よりも小さく圧力P1よりも大きいと判断し、換気扇による換気運転終了後に給気扇による給気運転を時間T1より短い時間T2の間行う。これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、負圧の解消しつつ無駄な電力消費を抑制する換気システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態に係る換気システムの概略図である。
図2】本発明の実施の形態に係る制御部の概略機能ブロック図である。
図3】換気運転時間が閾値以上の場合の空間内の圧力の変化を示す図である。
図4】換気運転時間が閾値より短かった場合の空間内の圧力の変化を示す図である。
図5】本発明の実施の形態に係る換気システムにおける制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。よって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、並びに、ステップ(工程)及びステップの順序などは、一例であって本発明を限定する主旨ではない。従って、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0010】
(実施の形態)
まず、本発明の実施の形態に係る換気システムについて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る換気システムの概略図である。本発明の実施の形態に係る換気システムは、空間内の排気と給気を行うシステムである。換気システムは、換気扇1と、給気扇4とを備える。
【0011】
換気扇1は、空間の排気を行う。具体的には、換気扇1は、建物内の天井裏または、側面壁内もしくは床下などに設置可能であり空間内の空気の排出を行う。本実施の形態では、換気扇1は空間の天井に備えられる。また、本実施の形態では、換気扇1は換気扇の中でも排気能力が高いレンジフードである。本実施の形態に係る換気扇1の排気能力は、給気扇4の給気能力よりも高い。換気扇1は、排気ファン2と換気扇制御部3とを備える。
【0012】
排気ファン2は、送風機の一種であり換気扇1の内部に設けられる。排気ファン2は換気扇吸込口(図示せず)から換気扇1内に取り入れられた空間内の空気を換気扇吹出口(図示せず)より屋外に吹き出す空気の流れをつくるためのファンである。換気扇吹出口から排出された空気は排気風路Bを経由して屋外に放出される。
【0013】
換気扇制御部3は、換気扇1の制御を行う。換気扇制御部3は、ユーザによって設定されるオン・オフ設定に基づいて換気扇1による換気運転開始及び運転換気終了を制御する。また、換気扇制御部3は、換気運転の際にユーザによって設定された設定排気風量が排気ファン2から送風されるように、排気ファン2の送風量を制御する。具体的には、換気扇制御部3は、ユーザによってオン設定が設定されると換気扇1による換気運転を開始する。換気扇制御部3は、換気運転開始の際にユーザによって設定された設定排気風量が排気ファン2から送風されるように、排気ファン2の送風量を制御する。換気扇制御部3は、ユーザによってオフ設定が設定されると換気扇1による換気運転を終了する。
【0014】
設定排気風量とオン・オフ設定は、例えばユーザによって設定排気風量とオン・オフ設定が設定可能な端末から設定される。設定排気風量とオン・オフ設定が設定可能な端末とは、例えばスマートフォンや屋内の壁面などに設置されるリモートコントローラであり、無線通信または有線通信により換気扇制御部3と通信可能である。また、換気扇1は、設定排気風量とオン・オフ設定が設定可能なスイッチやボタン等の設定部を備えてもよい。この場合、設定部に設定された設定排気風量情報とオン・オフ設定情報を換気扇制御部3が受信する。
【0015】
給気扇4は、空間への給気を行う。具体的には、給気扇4は、建物内の天井裏または、側面壁内もしくは床下などに設置可能であり空間内への空気の供給を行う。本実施の形態では、給気扇4は空間の天井に備えられる。給気扇4は、給気ファン5と制御部6とを備える。
【0016】
給気ファン5は、送風機の一種であり給気扇4の内部に設けられる。給気ファン5は給気扇吸込口(図示せず)から給気扇4内に取り入れられた屋外の空気を給気扇吹出口(図示せず)より空間内に吹き出す空気の流れをつくるためのファンである。屋外の空気は給気風路Aを経由して給気扇4内に取り込まれる。
【0017】
制御部6は、給気扇4の制御を行うが、詳細な制御内容については後述する。
【0018】
次いで、図2を参照して、本発明の実施の形態に係る制御部6の各機能について説明する。図2は制御部6及び周辺部の概略機能ブロック図である。
【0019】
制御部6は換気扇運転情報受信部7と閾値変更部8と判断部9と給気ファン制御部10とを備える。
【0020】
換気扇運転情報受信部7は、換気扇1から換気運転開始情報及び換気運転終了情報を受信する。換気扇1と換気扇運転情報受信部7とは無線通信または有線通信により通信可能とされる。換気扇1は、換気運転開始の際に換気運転開始情報を換気扇運転情報受信部7に送信する。換気扇運転情報受信部7は、換気運転開始情報を受信する。また、換気扇1は、換気運転終了の際に換気運転終了情報を換気扇運転情報受信部7に送信する。換気扇運転情報受信部7は、換気運転終了情報を受信する。
【0021】
また、換気扇運転情報受信部7は、換気扇1から換気運転時間情報を受信する。具体的には、換気扇1は換気運転開始から換気運転終了までの換気運転時間をカウントするカウント部を備え、換気運転終了の際に換気運転時間情報を換気扇運転情報受信部7に送信する。換気扇運転情報受信部7は、換気運転時間情報を受信する。
【0022】
また、換気扇運転情報受信部7は、換気扇1から換気運転の際の排気風量情報を受信する。具体的には、換気扇1は、換気運転の際に排気ファン2の排気風量情報を換気扇運転情報受信部7に送信する。換気扇運転情報受信部7は、排気風量情報を受信する。
【0023】
閾値変更部8は、換気扇1による換気運転開始から終了までの、換気扇1の排気風量と給気扇4の給気風量の少なくとも1つ以上に基づいて閾値を変更する。給気扇4の給気風量とは、給気ファン5の送風量のことであり、給気ファン制御部10により制御される。
【0024】
閾値は、空間内の負圧の程度を判断するためのもので、例えば、予め実験などにより決められた値であり、任意に設定可能である。
【0025】
ここで、図3を用いて空間内の圧力について説明を行う。図3は、空間内の圧力の変化を示す一例である。例えば、空間内の圧力が、空間外である屋外の圧力と同じP0であるとする。この状態で換気扇1の運転が開始すると空間内の圧力は運転時間に応じてP0から小さくなる。つまり、空間内は負圧になる。しかし、空間内の圧力の低下には限度があり、どれだけ長い間、換気扇1を運転させても空間内の圧力はP0よりも小さいP1までしか小さくならない。即ち、空間内の圧力は、換気扇1の運転時間に比例して小さくなるが、換気扇1の運転時間が閾値以上であれば必ずP1となる。
【0026】
閾値は換気扇1の排気風量と給気扇4の給気風量の少なくとも1つ以上に基づいて変更されるべきである。例えば、換気扇1の風量設定がC1、C2、C3の三段階の排気風量レベルで設定可能とする。C3の排気風量レベルが最も高く、C1の排気風量レベルが最も低い。排気風量レベルが高いほど、排気風量が大きくなる。
【0027】
また、給気扇4の給気風量は、給気ファン制御部10によりD1、D2、D3のいずれかで制御可能とする。D3の給気風量レベルが最も高く、D1の給気風量レベルが最も低い。給気風量レベルが高いほど、給気風量が大きくなる。ただし、換気扇1の排気能力が給気扇4の給気能力よりも高いため、C3の排気風量はD3の給気風量よりも大きい。
【0028】
もし、換気扇1の運転開始からの排気風量がC3の場合、換気扇1の運転開始からの排気風量がC1の場合に比べて、空間内の圧力がP1になるまでの時間は早くなる。また、換気扇1の運転開始からの排気風量がC3で、換気扇1の運転中に給気扇4が運転するとする。給気扇4の給気風量がD3の場合、給気扇4の給気風量がD1の場合に比べて、空間内の圧力がP1になるまでの時間は遅くなる。
【0029】
つまり、換気扇1の排気風量と給気扇4の給気風量の少なくとも1つ以上に基づいて空間内の圧力がP1になるまでの時間は変わってくる。即ち、閾値は換気扇1の排気風量と給気扇4の給気風量の少なくとも1つ以上に基づいて変更されるべきである。
【0030】
閾値変更部8は、換気扇1による換気運転開始から終了までの、換気扇1の排気風量が大きいほど閾値を小さくする。また、閾値変更部8は、換気扇1による換気運転開始から終了までの、給気扇4の給気風量が小さいほど閾値を小さくする。閾値変更部8は、換気扇1による換気運転開始から終了まで給気扇4による給気が行われない(給気風量がゼロである)場合は、給気扇4による給気が行われる場合よりも閾値を小さくする。
【0031】
判断部9は、換気扇1による換気運転時間が閾値以上か否かを判定する。判断部9は、換気扇1による換気運転時間が閾値以上の場合、空間内の圧力が空間外の圧力よりも小さい圧力P1であると判断し、換気扇1による換気運転時間が閾値より短い場合、空間内の圧力が空間外の圧力よりも小さくP1よりも大きいと判断する。
【0032】
給気ファン制御部10は、換気扇1による換気運転終了後に給気扇4による給気運転を行う。例えば、給気ファン制御部10は、換気扇1による換気運転終了後に給気扇4による給気運転を給気風量D2にて行う。即ち、給気ファン制御部10は、給気風量D2にて給気ファン5の送風量制御を行う。
【0033】
給気ファン制御部10は、判断部9により空間内の圧力がP1であると判断された場合、換気扇1による換気運転終了後に給気扇4による給気運転を時間T1の間行う。
【0034】
時間T1は、空間内の圧力がP1からP0に遷移したかを判断するためのもので、例えば、予め実験などにより決められた値であり、任意に設定可能である。本実施の形態において、例えば実験により、閾値が30分に設定されたとする。この場合、換気運転時間が30分以上経過すると空間内の圧力はP1となる。そして、換気運転終了後に空間内の圧力がP1で、換気運転終了後に給気ファン制御部10が給気風量D2にて給気運転を行った場合、実験により空間内の圧力がP0になるまで60分かかったとする。この場合、T1は60分が設定される。つまり、給気ファン制御部10は、判断部9により空間内の圧力がP1であると判断された場合、換気扇1による換気運転終了後に給気扇4による給気運転を時間T1の間行うことで、空間内の負圧を解消することができる。
【0035】
また、給気ファン制御部10は、判断部9により空間内の圧力が空間外の圧力よりも小さくP1よりも大きいと判断された場合、換気扇1による換気運転終了後に給気扇4による給気運転をT1より短い時間T2の間行う。
【0036】
T2は、空間内の圧力が空間外の圧力よりも小さくP1よりも大きい圧力からP0に遷移したかを判断するためのもので、例えば、予め実験などにより決められた値であり、任意に設定可能である。
【0037】
本実施の形態において、例えば、換気運転時間が20分であった場合、実験により空間内の圧力がP0に遷移するまで40分かかったとする。この場合、T2は40分が設定される。つまり、給気ファン制御部10は、判断部9により空間内の圧力が空間外の圧力よりも小さくP1よりも大きいと判断された場合、換気扇1による換気運転終了後に給気扇4による給気運転を時間T2の間行うことで、空間内の負圧を解消することができる。ここで、T2は換気扇1による換気運転時間に比例する。つまり、換気運転時間が10分であった場合はT2として20分が設定され、換気運転時間が5分であった場合はT2として10分が設定される。即ち、T2は換気扇1による換気運転時間に基づいて決定される。
【0038】
給気ファン制御部10は、給気扇運転時間変更部11を備える。
【0039】
給気扇運転時間変更部11は、換気扇1の運転終了後に運転する給気扇4の給気風量に基づいて時間T1及び時間T2を変更する。
【0040】
本実施の形態では、上述したように換気扇1の運転終了後に運転する給気扇4の給気風量がD2の場合にT1として60分が設定される。しかし、換気扇1の運転終了後に運転する給気扇4の給気風量がD3の場合には、給気風量D3は給気風量D2よりも大きいため、空間内の圧力がP0になるまでの時間は60分よりも短くなる。また、換気扇1の運転終了後に運転する給気扇4の給気風量がD1の場合には、給気風量D1は給気風量D2よりも小さいため、空間内の圧力がP0になるまでの時間は60分よりも長くなる。つまり、換気扇1の運転終了後に運転する給気扇4の給気風量に基づいて時間T1は変更されることが望ましい。よって、給気扇運転時間変更部11は、換気扇1の運転終了後に運転する給気扇4の給気風量に基づいて時間T1を変更する。具体的には、給気扇運転時間変更部11は、換気扇1の運転終了後に運転する給気扇4の給気風量が大きいほどT1を短く変更する。
【0041】
また、本実施の形態では、上述したように換気運転時間が20分であった場合、換気扇1の運転終了後に運転する給気扇4の給気風量がD2であれば、T2は40分が設定される。しかし、換気扇1の運転終了後に運転する給気扇4の給気風量がD3の場合には、給気風量D3は給気風量D2よりも大きいため、空間内の圧力がP0になるまでの時間は40分よりも短くなる。また、換気扇1の運転終了後に運転する給気扇4の給気風量がD1の場合には、給気風量D1は給気風量D2よりも小さいため、空間内の圧力がP0になるまでの時間は40分よりも長くなる。つまり、換気扇1の運転終了後に運転する給気扇4の給気風量に基づいて時間T2は変更されることが望ましい。よって、給気扇運転時間変更部11は、換気扇1の運転終了後に運転する給気扇4の給気風量に基づいて時間T2を変更する。具体的には、給気扇運転時間変更部11は、換気扇1の運転終了後に運転する給気扇4の給気風量が大きいほどT2を短く変更する。
【0042】
ここで、制御部6はコンピュータを備えている。このコンピュータがプログラムを実行することによって、本開示における機能が実現される。コンピュータは、プログラムにしたがって動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(IC)、またはLSI(Large Scale Integration)を含む1つまたは複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集積されてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。プログラムは、例えばコンピュータが読み取り可能な不揮発性メモリ等に記録される。
【0043】
次いで、換気運転時間が閾値以上の場合と換気運転時間が閾値より短い場合の空間内の圧力の変化を図3図4を用いて説明する。
【0044】
図3は、換気運転時間が閾値以上の場合の空間内の圧力の変化を示す図である。換気扇1運転開始時の空間内の圧力はP0である。その後、換気扇1の運転時間が経過すると空間内の圧力はP0よりも小さくなる。換気運転時間が閾値以上になると、空間内の圧力はP1となる。その後、換気扇1の運転が終了した際における空間内の圧力はP1のままである。換気扇1の運転終了後、給気扇4による給気運転が開始する。給気扇4による給気運転開始からT1経過すると、給気扇4は給気運転を終了する。給気扇4による給気運転開始からT1経過すると、空間内の圧力はP0となり、負圧が解消される。これにより、負圧が解消しているにも関わらず無駄に給気扇4が運転することを防止し、負圧を解消しつつ無駄な電力消費を抑制することができる。
【0045】
図4は、換気運転時間が閾値より短い場合の空間内の圧力の変化を示す図である。換気扇1運転開始時の空間内の圧力はP0である。その後、換気扇1の運転時間が経過すると空間内の圧力はP0よりも小さくなる。換気運転時間が閾値より短い状態で換気扇1の運転が終了すると、空間内の圧力は空間外の圧力(P0)よりも小さくP1よりも大きい。換気扇1の運転終了後、給気扇4による給気運転が開始する。給気扇4による給気運転開始からT2経過すると、給気扇4は給気運転を終了する。給気扇4による給気運転開始からT2経過すると、空間内の圧力はP0となり負圧が解消される。これにより、負圧が解消しているにも関わらず無駄に給気扇4が運転することを防止し、負圧を解消しつつ無駄な電力消費を抑制することができる。
【0046】
次いで、制御部6により実行される制御の流れについて説明する。図5は制御部6により実行される制御のフローチャートである。ここで、フローチャートではSを頭文字にして番号を割り振った。例えばS01などは処理ステップを指す。但し、処理ステップを示す数値の大小と処理順序は関係しない。
【0047】
まず、換気扇1が運転開始すると、換気扇運転情報受信部7は、換気扇1から換気運転開始情報と排気風量情報を受信する(S01)。
【0048】
閾値変更部8は、排気風量に基づいて閾値を変更する(S02)。排気風量が前回換気扇1を運転させた際と同じで閾値の変更が必要でない場合は、このステップは省略してもよい。また、換気扇1による換気運転開始の際に、給気扇4による給気運転を開始しても良い。これにより空間内の圧力の低下を抑制することができる。この場合、閾値変更部8は、排気風量と給気風量とに基づいて閾値を変更する。また、換気扇1による換気運転開始の際に、給気扇4による給気運転を制御可能な最大給気風量で開始しても良い。これにより空間内の圧力の低下を最大限抑制することができる。
【0049】
換気扇1が運転終了すると、換気扇運転情報受信部7は、換気扇1から換気運転終了情報と換気運転時間情報を受信する(S03)。
【0050】
判断部9は、換気扇1による換気運転時間が閾値以上か否か判断する(S04)。判断部9は、換気運転時間が閾値以上の場合、空間内の圧力がP1であると判断する(S04Yes→S05)。給気ファン制御部10は、給気ファン5の動作を開始し、給気扇4による給気運転を時間T1の間行う(S06)。この際、給気扇4による給気運転を制御可能な最大給気風量で行っても良い。これにより、空間内の負圧を解消するまでの時間を短縮することができる。給気扇運転時間変更部11は、給気扇4の給気風量に基づいて時間T1を必要に応じて変更する。また、時間T1経過後、給気扇4は制御可能な最小給気風量で給気運転を行っても良い。これにより電力消費を抑制しつつ、空間内の換気を行うことができる。
【0051】
判断部9は、換気運転時間が閾値より短い場合、空間内の圧力が空間外の圧力よりも小さくP1よりも大きいと判断する(S04No→S07)。給気ファン制御部10は、換気運転時間に基づいてT2を決定する。給気ファン制御部10は、給気ファン5の動作を開始し、給気扇4による給気運転を時間T2の間行う(S08)。この際、給気扇4による給気運転を制御可能な最大給気風量で行っても良い。これにより、空間内の負圧を解消するまでの時間を短縮することができる。給気扇運転時間変更部11は、給気扇4の給気風量に基づいて時間T2を必要に応じて変更する。また、時間T2経過後、給気扇4は制御可能な最小給気風量で給気運転を行っても良い。これにより電力消費を抑制しつつ、空間内の換気を行うことができる。
【0052】
以上、本発明に係る換気システム及び制御部6について説明を行った。
【0053】
実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0054】
(実施の概要)
本発明に係る換気システムは、空間の排気を行う換気扇と、空間の給気を行う給気扇と、給気扇の制御を行う制御部と、を備え、制御部は、換気扇の排気能力が給気扇の給気能力よりも高い場合において、換気扇による換気運転時間が閾値以上の場合、空間内の圧力が空間外の圧力よりも小さい圧力P1であると判断し、換気扇による換気運転終了後に給気扇による給気運転を時間T1の間行い、換気扇による換気運転時間が閾値より短い場合、空間内の圧力が空間外の圧力よりも小さく圧力P1よりも大きいと判断し、換気扇による換気運転終了後に給気扇による給気運転を時間T1より短い時間T2の間行う。
【0055】
これにより、換気扇の排気能力が給気扇の給気能力よりも高い場合において、負圧を解消しつつ無駄な電力消費を抑制することができる。
【0056】
また、時間T2は、換気扇の運転時間に比例しても良い。これにより、T2の最適化を行うことができる。
【0057】
また、制御部は、換気扇による換気運転開始から終了までの、換気扇の排気風量と給気扇の給気風量の少なくとも1つ以上に基づいて閾値を変更する閾値変更部を備えても良い。これにより、閾値の最適化を行うことができる。
【0058】
また、制御部は、換気扇の運転終了後に運転する給気扇の給気風量に基づいて時間T1及び時間T2を変更する給気扇運転時間変更部を備えても良い。これにより、T1及びT2の最適化を行うことができる。
【0059】
また、換気扇はレンジフードであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明にかかる換気システムは、住宅やビル等に用いられる換気システムとして有用である。
【符号の説明】
【0061】
1 換気扇
2 排気ファン
3 換気扇制御部
4 給気扇
5 給気ファン
6 制御部
7 換気扇運転情報受信部
8 閾値変更部
9 判断部
10 給気ファン制御部
11 給気扇運転時間変更部
図1
図2
図3
図4
図5