(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023050363
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】表示制御装置、表示システム、表示制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G09G 5/06 20060101AFI20230404BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20230404BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20230404BHJP
G06F 3/04845 20220101ALI20230404BHJP
G09G 5/10 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
G09G5/06
G09G5/00 550C
B60R11/02 C
G06F3/0484 150
G09G5/00 510V
G09G5/10 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021160425
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】遊佐 淳也
(72)【発明者】
【氏名】葛生 一樹
【テーマコード(参考)】
3D020
5C182
5E555
【Fターム(参考)】
3D020BA04
3D020BB01
3D020BC02
3D020BD03
3D020BE03
5C182AA02
5C182AA03
5C182AB26
5C182AB31
5C182BA01
5C182BA25
5C182BA45
5C182BB02
5C182CA32
5C182DA69
5E555AA42
5E555BA23
5E555BB23
5E555BC13
5E555BE08
5E555DA05
5E555DB03
5E555DC35
5E555DC36
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】色の変換のための負担を軽減することができる表示制御装置を提供する。
【解決手段】表示制御装置100は、車両に搭載された4つのディスプレイ11~14を制御する装置であって、4つの表示画面を生成する4つの画像生成部121~124と、色の表示態様を設定表示態様として設定する設定部130と、生成された4つの表示画面のそれぞれの色の表示態様を、設定表示態様に統一し、その設定表示態様に統一された4つの表示画面を4つのディスプレイ11~14にそれぞれ表示する画像処理部110とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された複数のディスプレイを制御する表示制御装置であって、
複数の表示画面を生成する複数の画像生成部と、
色の表示態様を設定表示態様として設定する設定部と、
生成された前記複数の表示画面のそれぞれの色の表示態様を、前記設定表示態様に統一し、前記設定表示態様に統一された前記複数の表示画面を前記複数のディスプレイにそれぞれ表示する画像処理部とを備える、
表示制御装置。
【請求項2】
前記設定部は、
複数のカラーセットのうちの第2カラーセットを前記設定表示態様として設定し、
前記画像処理部は、
前記複数のカラーセットのうちの第1カラーセットに示される各色と、前記第2カラーセットに示される各色とを関連付けて示す色変換情報を参照し、前記複数の表示画面のそれぞれについて、当該表示画面に含まれ、かつ、前記第1カラーセットに示されている色を、前記色に関連付けられ、かつ、前記第2カラーセットに示されている色に変換することによって、前記複数の表示画面のそれぞれの色の表示態様を前記設定表示態様に統一する、
請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記画像処理部は、さらに、
前記第2カラーセットに対して所定の色が関連付けられ、かつ、前記複数の表示画面のそれぞれに予め定められた条件を満たす部品画像が含まれている場合、前記部品画像の色を、前記所定の色に変換する、
請求項2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記複数のカラーセットは、前記第1カラーセットと、互いに異なる複数の候補カラーセットとを含み、
前記設定部は、
前記複数の候補カラーセットのうちの1つの候補カラーセットを前記第2カラーセットとして設定し、
前記色変換情報は、
前記複数の候補カラーセットのそれぞれについて、前記第1カラーセットに示される各色と、当該候補カラーセットに示される各色とを関連付けて示す、
請求項2または3に記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記第1カラーセットは、色覚正常者用のカラーセットであり、前記複数の候補カラーセットのそれぞれは、互いにタイプの異なる色覚異常者用のカラーセットである、
請求項4に記載の表示制御装置。
【請求項6】
前記画像処理部は、さらに、
前記複数の表示画面における色のコントラストおよびエッジのうちの少なくとも一方の強度が統一されるように、前記少なくとも一方を調整する、
請求項1~5の何れか1項に記載の表示制御装置。
【請求項7】
前記画像処理部は、さらに、
前記複数のディスプレイが配置されている環境を示す環境パラメータをセンサから取得し、前記複数の表示画面のそれぞれの色の表示態様を、前記環境パラメータに応じて変化させる、
請求項1~6の何れか1項に記載の表示制御装置。
【請求項8】
車両に搭載された複数のディスプレイと、
複数の表示画面を生成する複数の画像生成部と、
色の表示態様を設定表示態様として設定する設定部と、
生成された前記複数の表示画面のそれぞれの色の表示態様を、前記設定表示態様に統一し、前記設定表示態様に統一された前記複数の表示画面を前記複数のディスプレイにそれぞれ表示する画像処理部とを備える、
表示システム。
【請求項9】
車両に搭載された複数のディスプレイを制御する表示制御方法であって、
複数の表示画面を生成し、
色の表示態様を設定表示態様として設定し、
生成された前記複数の表示画面のそれぞれの色の表示態様を、前記設定表示態様に統一し、前記設定表示態様に統一された前記複数の表示画面を前記複数のディスプレイにそれぞれ表示する、
表示制御方法。
【請求項10】
コンピュータが車両に搭載された複数のディスプレイを制御するためのプログラムであって、
複数の表示画面を生成し、
色の表示態様を設定表示態様として設定し、
生成された前記複数の表示画面のそれぞれの色の表示態様を、前記設定表示態様に統一し、前記設定表示態様に統一された前記複数の表示画面を前記複数のディスプレイにそれぞれ表示する、
ことを前記コンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ディスプレイの表示を制御する表示制御装置などに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、色弱者または色盲者などの色覚異常者が識別しづらい色を、識別しやすい他の色へ変換する画像処理装置が、表示制御装置として提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の表示制御装置では、色の変換のための負担が大きくなる可能性があるという課題がある。
【0005】
そこで、本開示は、色の変換のための負担を軽減することができる表示制御装置などを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る表示制御装置は、車両に搭載された複数のディスプレイを制御する表示制御装置であって、複数の表示画面を生成する複数の画像生成部と、色の表示態様を設定表示態様として設定する設定部と、生成された前記複数の表示画面のそれぞれの色の表示態様を、前記設定表示態様に統一し、前記設定表示態様に統一された前記複数の表示画面を前記複数のディスプレイにそれぞれ表示する画像処理部とを備える。
【0007】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。また、記録媒体は、非一時的な記録媒体であってもよい。
【発明の効果】
【0008】
本開示の表示制御装置は、色の変換のための負担を軽減することができる。
【0009】
本開示の一態様における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態における表示システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態における、車両に搭載された複数のディスプレイの一例を示す外観図である。
【
図3】
図3は、実施の形態における色変換情報の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施の形態における色変換情報の他の例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施の形態における表示制御装置の具体的な形態の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施の形態における表示制御装置の具体的な形態の他の例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施の形態における表示制御装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施の形態における画面調整処理の具体的な一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本開示の基礎となった知見)
上記特許文献1の表示制御装置では、1つのディスプレイである出力装置に表示画面が表示される。そして、この表示画面に対して色の変換が行われる。なお、本開示では、表示画面は、画像または映像である。一方、近年では、車両には複数のディスプレイが搭載される傾向があり、これらの複数のディスプレイのそれぞれには、個別のアプリケーションソフトウェアによって生成された表示画面が表示される。したがって、上記特許文献1の表示制御装置では、複数のアプリケーションソフトウェアが複数の互いに異なる表示画面を生成し、複数のディスプレイにそれらの表示画面をそれぞれ表示する場合には、色の変換のための負担が大きくなる可能性がある。つまり、複数の表示画面のそれぞれに対して個別に、色の設定を行い、その設定にしたがって色の変換を行う構成を、表示制御装置に備える必要がある。その結果、表示制御装置の開発、設計、製造などの負担が大きくなる。また、それらの表示画面のそれぞれに対して個別に、ユーザが色の設定を操作する必要があるため、ユーザの操作負担が大きくなる。さらに、表示画面のそれぞれで設定が異なっていれば、色の統一感が損なわれる。
【0012】
このような課題を解決するために、本開示の一態様に係る表示制御装置は、車両に搭載された複数のディスプレイを制御する表示制御装置であって、複数の表示画面を生成する複数の画像生成部と、色の表示態様を設定表示態様として設定する設定部と、生成された前記複数の表示画面のそれぞれの色の表示態様を、前記設定表示態様に統一し、前記設定表示態様に統一された前記複数の表示画面を前記複数のディスプレイにそれぞれ表示する画像処理部とを備える。
【0013】
これにより、設定部によって設定表示態様が設定されれば、複数の画像生成部によって生成された複数の表示画面の色の表示態様が、その設定表示態様に統一される。したがって、色の表示態様を変換するための構成を、複数の表示画面のそれぞれに対して個別に設ける必要がなく、複数の表示画面の色の表示態様を、画像処理部によって一括して設定表示態様に変換することができる。さらに、設定部による設定が、車両の搭乗者などのユーザの入力操作に応じて行われる場合、そのユーザは、わざわざ複数の表示画面のそれぞれに対して個別に、色の表示態様の設定を操作する手間を省くことができる。したがって、複数の表示画面のそれぞれの色の表示態様を簡単に統一して変換することができる。言い換えれば、色の表示態様の統一感が損なわれることを抑制することができる。その結果、表示制御装置の開発、設計または製造の観点、および、ユーザによる利用の観点において、色の変換のための負担を軽減することができる。
【0014】
また、前記設定部は、複数のカラーセットのうちの第2カラーセットを前記設定表示態様として設定し、前記画像処理部は、前記複数のカラーセットのうちの第1カラーセットに示される各色と、前記第2カラーセットに示される各色とを関連付けて示す色変換情報を参照し、前記複数の表示画面のそれぞれについて、当該表示画面に含まれ、かつ、前記第1カラーセットに示されている色を、前記色に関連付けられ、かつ、前記第2カラーセットに示されている色に変換することによって、前記複数の表示画面のそれぞれの色の表示態様を前記設定表示態様に統一してもよい。
【0015】
これにより、複数の表示画面のそれぞれに含まれている色は、色変換情報の第2カラーセットにおいてその色に関連付けられている他の色に変換される。したがって、第2カラーセットに示されている各色が、色覚異常者にとって識別しやすい色である場合には、複数の表示画面をその色覚異常者に識別しやすい表示画面に簡単に一括して変換することができる。
【0016】
また、前記画像処理部は、さらに、前記第2カラーセットに対して所定の色が関連付けられ、かつ、前記複数の表示画面のそれぞれに予め定められた条件を満たす部品画像が含まれている場合、前記部品画像の色を、前記所定の色に変換してもよい。
【0017】
これにより、例えば、所定の色が色覚異常者にとって目立つ色である場合には、複数の表示画面に含まれる各部品画像のうち、その色覚異常者である搭乗者に注意を促すための高重要度の部品画像の色を、その搭乗者にとって目立つ色に変換することができる。なお、予め定められた条件を満たす部品画像は、例えば上述のように高重要度の部品画像である。つまり、複数の表示画面に含まれる各部品画像に重要度が割り当てられていれば、予め定められた条件を満たす部品画像は、閾値以上の重要度が割り当てられている部品画像である。
【0018】
また、前記複数のカラーセットは、前記第1カラーセットと、互いに異なる複数の候補カラーセットとを含み、前記設定部は、前記複数の候補カラーセットのうちの1つの候補カラーセットを前記第2カラーセットとして設定し、前記色変換情報は、前記複数の候補カラーセットのそれぞれについて、前記第1カラーセットに示される各色と、当該候補カラーセットに示される各色とを関連付けて示してもよい。例えば、前記第1カラーセットは、色覚正常者用のカラーセットであり、前記複数の候補カラーセットのそれぞれは、互いにタイプの異なる色覚異常者用のカラーセットであってもよい。
【0019】
これにより、色覚異常のタイプに応じて、複数のディスプレイに表示される複数の表示画面を、そのタイプの色覚異常者に識別しやすい表示画面に簡単に一括して変換することができる。色覚異常のタイプは、例えば1型2色覚、2型2色覚などである。搭乗者が1型2色覚の色覚異常者であれば、その1型2色覚の色覚異常者用の候補カラーセットである第2カラーセットが設定部で設定されることによって、複数の表示画面を、その色覚異常者に識別しやすい表示画面に簡単に一括して変換することができる。
【0020】
また、前記画像処理部は、さらに、前記複数の表示画面における色のコントラストおよびエッジのうちの少なくとも一方の強度が統一されるように、前記少なくとも一方を調整してもよい。
【0021】
これにより、複数の表示画面のそれぞれのコントラストの強度を簡単に統一することができる。または、複数の表示画面のそれぞれのエッジの強度を簡単に統一することができる。
【0022】
また、前記画像処理部は、さらに、前記複数のディスプレイが配置されている環境を示す環境パラメータをセンサから取得し、前記複数の表示画面のそれぞれの色の表示態様を、前記環境パラメータに応じて変化させてもよい。例えば、環境パラメータは照度などである。
【0023】
これにより、環境が変化するような場合であっても、その環境下において複数の表示画面を簡単に見やすくすることができる。
【0024】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0025】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0026】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。
【0027】
(実施の形態)
図1は、実施の形態における表示システムの構成例を示すブロック図である。
【0028】
本実施の形態における表示システム1は、色覚正常者および色覚異常者のそれぞれに対して複数の表示画面を識別しやすく表示するシステムである。このような表示システム1は、
図1に示すように、センターディスプレイ11、ヘッドアップディスプレイ12、IC(Instrument Cluster)ディスプレイ13、パッセンジャーディスプレイ14、センサ21、および表示制御装置100を備える。
【0029】
センターディスプレイ11、ヘッドアップディスプレイ12、ICディスプレイ13、およびパッセンジャーディスプレイ14はそれぞれ、車両に搭載され、表示制御装置100による制御に基づいて表示画面を表示するディスプレイである。なお、これらのディスプレイは、液晶ディスプレイであってもよく、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどであってもよく、これら以外のディスプレイであってもよい。また、本実施の形態における表示システム1は、上述の4つのディスプレイを備えているが、表示システム1に備えられるディスプレイの数は、4つに限定されることなく、2つ以上であればどのような数であってもよい。また、これらの4つのディスプレイは、以下、4つのディスプレイ11~14とも記述される。
【0030】
センサ21は、車外または車内の環境を検出するセンサである。つまり、センサ21は、4つのディスプレイ11~14が配置されている環境を示す環境パラメータを検出する。環境パラメータは、例えば照度である。例えば、センサ21は、予め定められた周期ごとにその環境パラメータを検出する。そして、センサ21は、その検出された環境パラメータを例えば画像処理部110に通知する。なお、センサ21の数は、1つであってもよく、2つ以上であってもよい。
【0031】
表示制御装置100は、車両に搭載された4つのディスプレイ11~14の表示を制御する装置であって、画像処理部110、描画部111、第1画像生成部121、第2画像生成部122、第3画像生成部123、第4画像生成部124、設定部130、およびメモリ140を備える。
【0032】
第1画像生成部121、第2画像生成部122、第3画像生成部123、および第4画像生成部124はそれぞれ、表示画面を生成する。なお、これらの4つの画像生成部は、以下、4つの画像生成部121~124とも記述される。また、4つの画像生成部121~124は、それぞれ互いに異なるアプリケーションソフトウェアによって構成されていてもよい。本実施の形態におけるこれらの4つの画像生成部121~124のそれぞれは、色覚正常者にとって識別しやすい色で表現される表示画面、すなわち色覚正常者用の表示画面または通常の表示画面を生成する。
【0033】
設定部130は、例えば、車両の搭乗者などのユーザによる入力操作に応じて、色の表示態様を設定表示態様として設定する。例えば、設定部130は、後述の複数のカラーセットのうちの1つの第2カラーセットを上述の設定表示態様として設定する。例えば、ユーザが色覚異常者であれば、設定部130は、そのユーザによる入力操作に応じて、そのユーザの色覚異常のタイプに応じた第2カラーセットを上述の設定表示態様として設定する。なお、複数のカラーセットのそれぞれは、例えばRGB(Red Green Blue)などの色の情報を複数有するセットである。
【0034】
また、設定部130は、設定された設定表示態様を示す情報を、ユーザ設定情報d2としてメモリ140に格納する。
【0035】
画像処理部110は、4つの画像生成部121~124によって生成された4つの表示画面を取得する。そして、画像処理部110は、その4つの表示画面のそれぞれの色の表示態様を統一する。描画部111は、色の表示態様が統一された4つの表示画面を画像処理部110から取得し、その4つの表示画面を4つのディスプレイ11~14にそれぞれ描画する。つまり、画像処理部110は、生成された4つの表示画面のそれぞれの色の表示態様を、上述の設定表示態様に統一し、描画部11を介して、その設定表示態様に統一された4つの表示画面を4つのディスプレイ11~14にそれぞれ表示する。具体的な一例では、画像処理部110は、第1画像生成部121によって生成された表示画面の色の表示態様を設定表示態様に変換し、設定表示態様に変換された第1画像生成部121の表示画面をセンターディスプレイ11に表示する。同様に、画像処理部110は、第2画像生成部122によって生成された表示画面の色の表示態様を設定表示態様に変換し、設定表示態様に変換された第2画像生成部122の表示画面をヘッドアップディスプレイ12に表示する。さらに、画像処理部110は、第3画像生成部123によって生成された表示画面の色の表示態様を設定表示態様に変換し、設定表示態様に変換された第3画像生成部123の表示画面をICディスプレイ13に表示する。さらに、画像処理部110は、第4画像生成部124によって生成された表示画面の色の表示態様を設定表示態様に変換し、設定表示態様に変換された第4画像生成部124の表示画面をパッセンジャーディスプレイ14に表示する。
【0036】
また、画像処理部110は、環境パラメータの通知をセンサ21から逐次受け付ける。そして、画像処理部110は、その通知された環境パラメータをメモリ140のセンサ情報d3に逐次書き込む。
【0037】
メモリ140は、各種情報を格納するための記録媒体である。本実施の形態におけるメモリ140は、色変換情報d1、ユーザ設定情報d2、センサ情報d3、およびディスプレイ情報d4を格納している。色変換情報d1は、色の表示態様を変換するための情報であって、上述の複数のカラーセットを含む。ユーザ設定情報d2は、ユーザによる入力操作に応じて設定部130によって設定された設定表示態様を示す情報である。ディスプレイ情報d4は、4つのディスプレイ11~14のそれぞれの設定内容を示す。なお、このようなメモリ140は、揮発性の記録媒体であってもよく、不揮発性の記録媒体であってもよい。また、メモリ140は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などであってもよい。
【0038】
図2は、車両に搭載された4つのディスプレイ11~14の一例を示す外観図である。
【0039】
センターディスプレイ11は、例えば、運転席と助手席との間に配置されたディスプレイであり、例えばナビゲーション情報、メディアメッセージ情報などに関する表示画面を表示する。
【0040】
ヘッドアップディスプレイ12は、例えば、運転席の前のウィンドシールドに映像光を照射することによって、そのウィンドシールド越しに現れるその映像光に基づく虚像を、運転者に視認させるディスプレイである。つまり、ヘッドアップディスプレイ12は、その虚像を表示画面として表示する。例えば、ヘッドアップディスプレイ12は、ターンバイターン情報、PoI(Points of Interest)情報、交通情報、災害情報、運転情報などに関する表示画面を表示する。
【0041】
ICディスプレイ13は、インストルメントパネルに配置されたディスプレイであり、例えば、計測器情報、ターンバイターン情報および交通情報などに関する表示画面を表示する。
【0042】
パッセンジャーディスプレイ14は、助手席の前に配置されたディスプレイであり、例えば、楽曲情報、メディアメッセージ情報などに関する表示画面を表示する。
【0043】
なお、本実施の形態における4つのディスプレイ11~14は、上述の配置に限定されることなく、どのような場所に配置されてもよい。また、それらの4つのディスプレイ11~14に表示される表示画面の内容も、上述の内容に限定されることなく、どのような内容であってもよい。
【0044】
【0045】
色変換情報d1は、例えば
図3に示すように、元の色の情報と、変換後の色の情報とを関連付けて示す。また、元の色の情報は、第1カラーセットからなり、変換後の色の情報は、複数の第2カラーセットからなる。つまり、色変換情報d1は、第1カラーセットおよび複数の第2カラーセットを含む複数のカラーセットからなる。また、元の色の情報である第1カラーセットは、通常モードで用いられるカラーセットである。変換後の色の情報に含まれる複数の第2カラーセットは、例えば、第1モードで用いられる第2カラーセット、第2モードで用いられる第2カラーセット、第3モードで用いられる第2カラーセットからなる。
【0046】
また、複数のカラーセットのそれぞれは、複数の色の情報を含む。色の情報は、例えばRGBによって示される3つの数値の組である。例えば、第1カラーセットは、それぞれ色の情報であるRGB=(r1,g1,b1),(r2,g2,b2),(r3,g3,b3),・・・を含む。なお、r1~r3、g1~g3、およびb1~b3は、赤色(R)の数値、緑色(G)の数値、および青色(B)の数値をそれぞれ示す。つまり、本実施の形態において、rと数字の組み合わせは、赤色の数値を示し、gと数字の組み合わせは、緑色の数値を示し、bと数字の組み合わせは、青色の数値を示す。より具体的な例では、赤色、緑色、および青色のそれぞれの数値は、0~255の範囲内の整数値である。
【0047】
ここで、色変換情報d1は、複数のカラーセットのうちの第1カラーセットに示される各色(すなわち色の情報)と、3つの第2カラーセットのそれぞれに示される各色(すなわち色の情報)とを関連付けて示す。例えば、
図3に示すように、第1カラーセットのRGB=(r1,g1,b1)は、第1モードで用いられる第2カラーセットのRGB=(r11,g11,b11)、第2モードで用いられる第2カラーセットのRGB=(r21,g21,b21)、および、第3モードで用いられる第2カラーセットのRGB=(r31,g31,b31)に関連付けられている。同様に、第1カラーセットのRGB=(r2,g2,b2)は、第1モードで用いられる第2カラーセットのRGB=(r12,g12,b12)、第2モードで用いられる第2カラーセットのRGB=(r22,g22,b22)、および、第3モードで用いられる第2カラーセットのRGB=(r32,g32,b32)に関連付けられている。
【0048】
例えば、ユーザが色覚正常者である場合、ユーザは表示制御装置100への入力操作によって通常モードを選択する。その結果、設定部130は、そのユーザの入力操作に基づいて通常モードに対応するカラーセットである第1カラーセットを設定表示態様として設定する。画像処理部110は、設定表示態様として第1カラーセットが設定されている場合、すなわち、メモリ140のユーザ設定情報d2に第1カラーセットが示されている場合、4つの画像生成部121~124によって生成された表示画面に対する色の変換を行わない。
【0049】
一方、ユーザが色覚異常者である場合、ユーザは、表示制御装置100への入力操作によって第1モード、第2モード、および第3モードのうち、そのユーザの色覚異常のタイプに応じたモードを選択する。より具体的な例では、ユーザの色覚異常のタイプが1型2色覚である場合には、ユーザは第1モードを選択する。また、ユーザの色覚異常のタイプが2型2色覚である場合には、ユーザは第2モードを選択する。また、ユーザの色覚異常のタイプが3型2色覚である場合には、ユーザは第3モードを選択する。
【0050】
設定部130は、そのユーザの表示制御装置100への入力操作、すなわちモードの選択に応じて、色変換情報d1に示される複数の第2カラーセットのうちの、ユーザによって選択されたモードに対応する第2カラーセットを設定表示態様として設定する。つまり、色変換情報d1に示される複数の第2カラーセットのそれぞれは、ユーザによって設定表示態様として選択される候補カラーセットである。したがって、色変換情報d1に示される複数のカラーセットは、第1カラーセットと、互いに異なる複数の第2カラーセットである複数の候補カラーセットとを含むと言える。そして、色変換情報d1は、複数の候補カラーセットのそれぞれについて、第1カラーセットに示される各色と、当該候補カラーセットに示される各色とを関連付けて示す。設定部130は、複数の候補カラーセットのうちの1つの候補カラーセットである第2カラーセットを設定する。
【0051】
そして、本実施の形態における画像処理部110は、設定表示態様として第2カラーセットが設定されている場合、すなわち、メモリ140のユーザ設定情報d2に第2カラーセットが示されている場合、4つの画像生成部121~124によって生成された表示画面に対する色の変換を行う。具体的には、画像処理部110は、色変換情報d1を参照し、4つの画像生成部121~124によって生成された4つの表示画面のそれぞれについて、当該表示画面に含まれ、かつ、第1カラーセットに示されている色を、その色に関連付けられ、かつ、設定部130によって設定された第2カラーセットに示されている色に変換する。これによって、画像処理部110は、その4つの表示画面のそれぞれの色の表示態様を設定表示態様に統一する。例えば、画像処理部110は、第1画像生成部121によって生成された表示画面に含まれる各色を、色変換情報d1内の第1カラーセットから検索する。次に、画像処理部110は、第1カラーセットにあるその色に関連付けられている色を、色変換情報d1内の第2カラーセットから検索する。その第2カラーセットは、複数の第2カラーセット(すなわち複数の候補カラーセット)のうち、設定部130によって設定表示態様として設定されたカラーセットである。そして、画像処理部110は、第1画像生成部121によって生成された表示画面に含まれる各色を、その色に関連付けられている第2カラーセット内の色に変換する。これにより、その表示画面は、設定表示態様の表示画面に変換される。第2画像生成部122、第3画像生成部123、および第4画像生成部124のそれぞれによって生成された表示画面も、第1画像生成部121によって生成された表示画面と同様に変換される。
【0052】
このように、本実施の形態では、第1カラーセットは、色覚正常者用のカラーセットであり、複数の候補カラーセットのそれぞれは、互いにタイプの異なる色覚異常者用のカラーセットである。
【0053】
これにより、色覚異常者であるユーザは、第1モード、第2モードおよび第3モードから自らの色覚異常のタイプに応じたモードを1度選択すれば、4つのディスプレイ11~14の全ての表示画面を、そのユーザにとって識別しやすい画面に統一することができる。つまり、色覚異常のタイプに応じて、4つのディスプレイ11~14に表示される4つの表示画面を、そのタイプの色覚異常者に識別しやすい表示画面に簡単に一括して変換することができる。搭乗者が1型2色覚の色覚異常者であれば、その1型2色覚の色覚異常者用の候補カラーセットである第2カラーセットが設定部130で設定されることによって、4つの表示画面を、その色覚異常者に識別しやすい表示画面に簡単に一括して変換することができる。
【0054】
【0055】
色変換情報d1は、
図4に示すように、複数の第2カラーセットのそれぞれに対して、目立つ色が所定の色として関連付けられていてもよい。例えば、第1モードを選択する色覚異常者にとって目立つ色として、RGB=(r01,g01,b01)が、その第1モードの第2カラーセットに関連付けられている。さらに、第2モードを選択する色覚異常者にとって目立つ色として、RGB=(r02,g02,b02)が、その第2モードの第2カラーセットに関連付けられている。さらに、第3モードを選択する色覚異常者にとって目立つ色として、RGB=(r03,g03,b03)が、その第3モードの第2カラーセットに関連付けられている。
【0056】
ここで、本実施の形態における画像処理部110は、設定部130によって設定表示態様として設定された第2カラーセットに対して目立つ色が関連付けられ、かつ、4つの表示画面のそれぞれに予め定められた条件を満たす部品画像が含まれている場合、その部品画像の色を、その目立つ色に変換する。予め定められた条件を満たす部品画像は、例えば、車両の運転に関して注目が必要な部品画像であって、車両の進行方向を示す矢印の画像であってもよく、障害物もしくは通行人に対して注意を促すための画像などであってもよい。つまり、予め定められた条件を満たす部品画像は、例えば上述のように車両の運転に関して注目が必要な高重要度の部品画像である。より具体的には、4つの表示画面に含まれる各部品画像に重要度が割り当てられていれば、予め定められた条件を満たす部品画像は、閾値以上の重要度が割り当てられている部品画像である。
【0057】
これにより、4つの表示画面に含まれる各部品画像のうち、色覚異常者である搭乗者に注意を促すための高重要度の部品画像の色を、その搭乗者に対して適切に目立たせることができる。
【0058】
図5は、表示制御装置100の具体的な形態の一例を示す図である。なお、
図5の一例では、
図1に示す表示制御装置100の構成のうちの一部の具体的な例が示されている。
【0059】
表示制御装置100は、例えば、アプリケーション51、アプリケーション53、UHMI設定アプリケーション50、UHMI(Unified Human Machine Interface)60、OS(Operating System)61、OS63、SoC(System on Chip)71、およびSoC73を備える。なお、これらの構成要素は、1つのECU(Electronic Control Unit)に含まれていてもよい。
【0060】
アプリケーション51およびアプリケーション53のそれぞれは、表示画面を生成するアプリケーションソフトウェア、すなわちコンピュータプログラムである。例えば、アプリケーション51は、第1画像生成部121に相当し、色覚正常者用の表示画面P1を生成する。アプリケーション53は、第3画像生成部123に相当し、色覚正常者用の表示画面P3を生成する。
【0061】
UHMI設定アプリケーション50は、設定表示態様を設定するアプリケーションソフトウェア、すなわちコンピュータプログラムであって、例えば、設定部130に相当する。このUHMI設定アプリケーション50は、その設定表示態様をUHMI60に通知する。
【0062】
UHMI60は、画像処理部110の一部に相当し、ソフトウェアとして構成されていてもよく、ハードウェアとして構成されていてもよい。UHMI60は、アプリケーション51およびアプリケーション53から表示画面P1および表示画面P3を取得する。さらに、UHMI60は、UHMI設定アプリケーション50から設定表示態様の通知を受ける。そして、UHMI60は、表示画面P1および表示画面P3のそれぞれの色の表示態様を、UHMI設定アプリケーション50から通知された設定表示態様に変換する。例えば、色覚正常者用の表示画面P1は、色覚異常者用の表示画面P11に変換され、色覚正常者用の表示画面P3は、色覚異常者用の表示画面P13に変換される。
【0063】
OS61およびSoC71は、画像処理部110の一部に相当し、UHMI60から表示画面P11を取得し、その表示画面P11をセンターディスプレイ11に表示する。
【0064】
OS63およびSoC73は、画像処理部110の一部に相当し、UHMI60から表示画面P13を取得し、その表示画面P13をICディスプレイ13に表示する。
【0065】
このように、UHMI60は、UHMI設定アプリケーション50による設定に応じて、アプリケーション51によって生成された表示画面P1を表示画面P11に変換し、さらに、アプリケーション53によって生成された表示画面P3を表示画面P13に変換する。つまり、色覚正常者用の表示画面P1およびP3が、色覚異常者用の表示画面P11およびP13に一括して変換される。その結果、センターディスプレイ11およびICディスプレイ13のそれぞれに表示される表示画面を、色覚異常者用の表示画面に統一することができる。
【0066】
なお、
図5に示す例では、第2画像生成部122および第4画像生成部124のそれぞれに相当するアプリケーションと、そのアプリケーションに対応するOSおよびSoCとは、説明を簡略化するために省略されている。
【0067】
図6は、表示制御装置100の具体的な形態の他の例を示す図である。
【0068】
例えば、
図6に示すように、センターディスプレイ11が第1センターディスプレイ11aと第2センターディスプレイ11bとに分けられ、ICディスプレイ13が第1ICディスプレイ13aと第2ICディスプレイ13bとに分けられている場合がある。このような場合、OS61は、OS61aとOS61bとに分けられ、SoC71は、SoC71aとSoC71bとに分けられていてもよい。同様に、OS63は、OS63aとOS63bとに分けられ、SoC73は、SoC73aとSoC73bとに分けられていてもよい。
【0069】
UHMI60は、表示画面P1を表示画面P11に変換した後、その表示画面P11を表示画面Pa11と表示画面Pb11とに分割する。そして、OS61aおよびSoC71aは、その表示画面Pa11を第1センターディスプレイ11aに表示する。OS61bおよびSoC71bは、表示画面Pb11を第2センターディスプレイ11bに表示する。
【0070】
同様に、UHMI60は、表示画面P3を表示画面P13に変換した後、その表示画面P13を表示画面Pa13と表示画面Pb13とに分割する。そして、OS63aおよびSoC73aは、その表示画面Pa13を第1ICディスプレイ13aに表示する。OS63bおよびSoC73bは、表示画面Pb13を第2ICディスプレイ13bに表示する。
【0071】
このような場合であっても、表示制御装置100は、
図5の例と同様の作用効果を奏する。
【0072】
図7は、表示制御装置100の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【0073】
表示制御装置100は、まず、複数の表示画面を生成する(ステップS1)。すなわち、4つの画像生成部121~124は、4つの表示画面を第1表示画面~第4表示画面として生成する。次に、設定部130は、搭乗者などのユーザによる入力操作に基づいて、複数の候補カラーセットである複数の第2カラーセットから何れか1つの第2カラーセットを設定表示態様として設定する(ステップS2)。
【0074】
そして、画像処理部110は、第1表示画面~第4表示画面のそれぞれの色の表示態様を、ステップS2で設定された第2カラーセットの表示態様(すなわち設定表示態様)に変換する(ステップS3)。
【0075】
次に、画像処理部110は、画面調整処理を行う(ステップS4)。
【0076】
そして、画像処理部110は、色の表示態様が設定表示態様に統一された第1表示画面~第4表示画面を4つのディスプレイ11~14にそれぞれ表示する(ステップS5)。
【0077】
なお、本実施の形態における表示制御装置100は、ステップS4の画面調整処理を実行するが、この画面調整処理を実行しなくてもよい。
【0078】
図8は、画面調整処理の具体的な一例を示すフローチャートである。なお、この画面調整処理は、
図7のステップS4の処理である。
【0079】
まず、画像処理部110は、ディスプレイ補正処理を行う(ステップS41)。ディスプレイ補正処理では、画像処理部110は、メモリ140に格納されているディスプレイ情報d4を読み出す。ディスプレイ情報d4は、上述のように、4つのディスプレイ11~14のそれぞれの設定内容を示す。設定内容は、例えばディスプレイの物理サイズ、解像度、輝度、および色調のうちの少なくとも1つであり、ディスプレイの仕様であってもよい。なお、設定内容として示される輝度は、ディスプレイで表現可能な輝度の範囲(すなわちダイナミックレンジ)であってもよい。画像処理部110は、そのディスプレイ情報d4に基づいて、4つのディスプレイ11~14の設定内容を特定し、それらの設定内容に応じて、第1表示画面~第4表示画面のそれぞれの画像パラメータを補正することによって、その画像パラメータを統一する。画像パラメータは、例えば、表示画面のサイズ、解像度、輝度、および色調のうちの少なくとも1つである。
【0080】
より具体的には、画像処理部110は、ディスプレイ情報d4に設定内容として示される4つのディスプレイ11~14の物理サイズから、最低サイズを特定する。そして、画像処理部110は、第1表示画面~第4表示画面のうちの1以上の表示画面のサイズのそれぞれが上記最低サイズでなければ、その1以上の表示画面のそれぞれのサイズを最低サイズに変換する。その結果、第1表示画面~第4表示画面のそれぞれのサイズが最低サイズに統一される。
【0081】
あるいは、画像処理部110は、ディスプレイ情報d4に設定内容として示される4つのディスプレイ11~14の解像度から、最低解像度を特定する。そして、画像処理部110は、第1表示画面~第4表示画面のうちの1以上の表示画面のそれぞれの解像度が上記最低解像度でなければ、その1以上の表示画面のそれぞれの解像度を最低解像度に変換する。その結果、第1表示画面~第4表示画面のそれぞれの解像度が最低解像度に統一される。
【0082】
なお、ディスプレイ情報d4によって示される設定内容は、色温度であってもよく、リフレッシュレートであってもよく、映画モード、ゲームモードなどの表示モードであってもよい。画像処理部110は、それらの設定内容に応じて、第1表示画面~第4表示画面のそれぞれの画像パラメータを調整し、4つのディスプレイ11~14に表示される表示画面の色温度など統一する。
【0083】
次に、画像処理部110は、環境調整処理を行う(ステップS42)。環境調整処理では、画像処理部110は、メモリ140に格納されているセンサ情報d3を読み出す。なお、センサ情報d3は、上述のように、センサ21によって検出された照度などの環境パラメータを示す。画像処理部110は、そのセンサ情報d3を読み出すことによって、現在または直近の環境パラメータを特定する。そして、画像処理部110は、その環境パラメータに応じて、第1表示画面~第4表示画面のそれぞれの色の表示態様を変化させる。例えば、環境パラメータが照度である場合、画像処理部110は、現在または直近の照度が高いほど、第1表示画面~第4表示画面のそれぞれの輝度を上げ、現在または直近の照度が低いほど、第1表示画面~第4表示画面のそれぞれの輝度を下げる。画像処理部110は、輝度が上げられた第1表示画面~第4表示画面、または輝度が下げられた第1表示画面~第4表示画面を、4つのディスプレイ11~14にそれぞれ表示する。
【0084】
このように、本実施の形態における画像処理部110は、4つのディスプレイ11~14が配置されている環境を示す環境パラメータをセンサ21から取得し、第1表示画面~第4表示画面のそれぞれの色の表示態様を、その環境パラメータに応じて変化させる。これにより、環境が変化するような場合であっても、その環境下において第1表示画面~第4表示画面を簡単に見やすくすることができる。
【0085】
次に、画像処理部110は、コントラスト・エッジ調整処理を行う(ステップS43)。このコントラスト・エッジ調整処理では、画像処理部110は、例えば、第1表示画面~第4表示画面のそれぞれのコントラストおよびエッジの強度を特定する。なお、コントラストは、例えば表示画面内の最も明るい画素と最も暗い画素との間の明るさまたは輝度の差である。そして、画像処理部110は、例えば、そのコントラストの強度の平均値と、そのエッジの強度の平均値とを算出する。画像処理部110は、第1表示画面~第4表示画面のそれぞれのコントラストの強度を、上述のように算出されたコントラストの平均値に変更し、第1表示画面~第4表示画面のそれぞれのエッジの強度を、上述のように算出されたエッジの平均値に変更する。画像処理部110は、コントラストまたはエッジの強度が変更された第1表示画面~第4表示画面を、4つのディスプレイ11~14にそれぞれ表示する。
【0086】
このように、本実施の形態における画像処理部110は、第1表示画面~第4表示画面における色のコントラストおよびエッジのうちの少なくとも一方の強度が統一されるように、その少なくとも一方を調整する。
【0087】
これにより、第1表示画面~第4表示画面のそれぞれのコントラストの強度を簡単に統一することができる。または、第1表示画面~第4表示画面のそれぞれのエッジの強度を簡単に統一することができる。なお、設定部130は、ユーザによる入力操作に応じて、コントラストおよびエッジのうちの少なくとも一方の強度を設定強度として設定してもよい。この場合、画像処理部110は、第1表示画面~第4表示画面における色のコントラストおよびエッジのうちの少なくとも一方の強度をその設定強度に統一してもよい。
【0088】
次に、画像処理部110は、部品画像調整処理を行う(ステップS44)。この部品画像調整処理では、画像処理部110は、
図4に示す色変換情報d1を参照する。そして、画像処理部110は、その色変換情報d1において、設定部130によって設定表示態様として設定された第2カラーセットに対して関連付けられている目立つ色を特定する。次に、画像処理部110は、第1表示画面~第4表示画面のそれぞれに含まれている予め定められた条件を満たす部品画像の色を、その目立つ色に変換する。画像処理部110は、それぞれ目立つ色に変換された部品画像を含む第1表示画面~第4表示画面を、4つのディスプレイ11~14にそれぞれ表示する。
【0089】
以上のように、本実施の形態における表示制御装置100では、設定部130によって設定表示態様が設定されれば、4つの画像生成部121~124によって生成された4つの表示画面の色の表示態様が、その設定表示態様に統一される。したがって、色の表示態様を変換するための構成を、4つの表示画面のそれぞれに対して個別に設ける必要がなく、4つの表示画面の色の表示態様を、画像処理部110によって一括して設定表示態様に変換することができる。さらに、設定部130による設定がユーザの入力操作に応じて行われる場合、車両の搭乗者などのユーザは、4つの表示画面のそれぞれに対して個別に、色の表示態様の設定を操作する手間を省くことができる。したがって、4つの表示画面のそれぞれの色の表示態様を簡単に統一して変換することができる。言い換えれば、色の表示態様の統一感が損なわれることを抑制することができる。その結果、表示制御装置の開発、設計または製造の観点、および、ユーザによる利用の観点において、色の変換のための負担を軽減することができる。
【0090】
また、本実施の形態における表示制御装置100では、設定部130は、複数のカラーセットのうちの第2カラーセットを設定表示態様として設定する。そして、画像処理部110は、複数のカラーセットのうちの第1カラーセットに示される各色と、その第2カラーセットに示される各色とを関連付けて示す色変換情報d1を参照する。次に、画像処理部110は、4つの表示画面のそれぞれについて、当該表示画面に含まれ、かつ、第1カラーセットに示されている色を、その色に関連付けられ、かつ、その第2カラーセットに示されている色に変換することによって、4つの表示画面のそれぞれの色の表示態様を設定表示態様に統一する。
【0091】
これにより、4つの表示画面のそれぞれに含まれている色は、色変換情報d1の第2カラーセットにおいてその色に関連付けられている他の色に変換される。したがって、第2カラーセットに示されている各色が、色覚異常者にとって識別しやすい色である場合には、4つの表示画面をその色覚異常者に識別しやすい表示画面に簡単に一括して変換することができる。
【0092】
また、本実施の形態における表示制御装置100では、複数のカラーセットは、第1カラーセットと、互いに異なる複数の候補カラーセットとを含み、設定部130は、その複数の候補カラーセットのうちの1つの候補カラーセットを第2カラーセットとして設定する。また、色変換情報d1は、複数の候補カラーセットのそれぞれについて、その第1カラーセットに示される各色と、当該候補カラーセットに示される各色とを関連付けて示す。ここで、第1カラーセットは、色覚正常者用のカラーセットであり、複数の候補カラーセットのそれぞれは、互いにタイプの異なる色覚異常者用のカラーセットである。
【0093】
これにより、色覚異常のタイプに応じて、4つのディスプレイ11~14に表示される4つの表示画面を、そのタイプの色覚異常者に識別しやすい表示画面に簡単に一括して変換することができる。色覚異常のタイプは、例えば1型2色覚、2型2色覚などである。搭乗者が1型2色覚の色覚異常者であれば、その1型2色覚の色覚異常者用の候補カラーセットが第2カラーセットとして設定部130で設定されることによって、4つの表示画面を、その色覚異常者に識別しやすい表示画面に簡単に一括して変換することができる。
【0094】
以上、本開示の表示制御装置について、上記実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、その実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を上記実施の形態に施したものも本開示に含まれてもよい。
【0095】
例えば、上記実施の形態では、4つのディスプレイ11~14は車両に搭載されているが、1人のユーザによって視認されるように配置されていれば、車両以外の乗物または施設などに搭載されていてもよい。
【0096】
また、上記実施の形態では、環境パラメータは照度であるが、照度以外のパラメータであってもよい。
【0097】
また、上記実施の形態では、色変換情報d1によって示される色の表現法はRGBであるが、YUVなどのRGB以外の色の表現法がその色変換情報d1に示されていてもよい。
【0098】
また、上記実施の形態では、色覚異常のタイプごとに第2カラーセットが色変換情報d1に含められているが、色覚異常のタイプに関わらず、ユーザの好みに応じた複数の第2カラーセットが色変換情報d1に含められていてもよい。
【0099】
なお、上記実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)またはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。ここで、上記各実施の形態の表示制御装置などを実現するソフトウェアは、
図7および
図8のそれぞれに示すフローチャートの各ステップをコンピュータに実行させるコンピュータプログラムである。
【0100】
なお、以下のような場合も本開示に含まれる。
【0101】
(1)上記の少なくとも1つの装置は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクユニット、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムである。そのRAMまたはハードディスクユニットには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、上記の少なくとも1つの装置は、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
【0102】
(2)上記の少なくとも1つの装置を構成する構成要素の一部または全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。前記RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0103】
(3)上記の少なくとも1つの装置を構成する構成要素の一部または全部は、その装置に脱着可能なICカードまたは単体のモジュールから構成されているとしてもよい。ICカードまたはモジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどから構成されるコンピュータシステムである。ICカードまたはモジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしてもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、ICカードまたはモジュールは、その機能を達成する。このICカードまたはこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしてもよい。
【0104】
(4)本開示は、上記に示す方法であるとしてもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよいし、コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。
【0105】
また、本開示は、コンピュータプログラムまたはデジタル信号をコンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD(Compact Disc)-ROM、DVD、DVD-ROM、DVD-RAM、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、半導体メモリなどに記録したものとしてもよい。また、これらの記録媒体に記録されているデジタル信号であるとしてもよい。
【0106】
また、本開示は、コンピュータプログラムまたはデジタル信号を、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしてもよい。
【0107】
また、プログラムまたはデジタル信号を記録媒体に記録して移送することにより、またはプログラムまたはデジタル信号をネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本開示の表示制御装置は、例えば車両に搭載された複数のディスプレイを制御する装置などに適用することができる。
【符号の説明】
【0109】
1 表示システム
11 センターディスプレイ(ディスプレイ)
11a 第1センターディスプレイ
11b 第2センターディスプレイ
12 ヘッドアップディスプレイ(ディスプレイ)
13 ICディスプレイ(ディスプレイ)
13a 第1ICディスプレイ
13b 第2ICディスプレイ
14 パッセンジャーディスプレイ(ディスプレイ)
21 センサ
50 UHMI設定アプリケーション
51、53 アプリケーション
60 UHMI
61、61a、61b、63、63a、63b OS
71、71a、71b、73、73a、73b SoC
100 表示制御装置
110 画像処理部
111 描画部
121 第1画像生成部(画像生成部)
122 第2画像生成部(画像生成部)
123 第3画像生成部(画像生成部)
124 第4画像生成部(画像生成部)
130 設定部
140 メモリ
d1 色変換情報
d2 ユーザ設定情報
d3 センサ情報
d4 ディスプレイ情報
P1、P3、P11、Pa11、Pb11、P13、Pa13、Pb13 表示画面
【手続補正書】
【提出日】2022-07-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】