(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023050372
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】硬貨集積機構及び硬貨包装機
(51)【国際特許分類】
G07D 9/00 20060101AFI20230404BHJP
【FI】
G07D9/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021160438
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169960
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 貴光
(72)【発明者】
【氏名】勝見 凌亮
(72)【発明者】
【氏名】蔵野 隆也
(72)【発明者】
【氏名】山本 拓海
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA08
3E141GA04
3E141GB01
3E141HA10
3E141JA14
3E141LA23
3E141LA44
(57)【要約】
【課題】小型で硬貨をスムーズに集積可能な硬貨集積機構及び硬貨包装機を提供する。
【解決手段】所定枚数の硬貨Cを集積する硬貨集積機構10は、硬貨Cを移送するフィード13と、硬貨Cを集積する桟ベルト16と、フィード13から移送された硬貨Cを後傾させた状態で桟ベルト16に供給する回転体15と、を備えている。回転体15の周面に形成された減速溝17は、硬貨Cを受ける硬貨受け部17aと、硬貨Cの後部を押し下げるテーパー部17cと、硬貨受け部17aとテーパー部17cとを連通して、硬貨Cの一部が入り込む硬貨潜り込み部17bと、を備えている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定枚数の硬貨を集積する硬貨集積機構であって、
前記硬貨を移送する移送手段と、
前記硬貨を集積する集積手段と、
前記移送手段から移送された前記硬貨を後傾させた状態で前記集積手段に供給する供給手段と、
を備えていることを特徴とする硬貨集積機構。
【請求項2】
前記供給手段は、前記硬貨の搬送経路を挟んで両側にそれぞれ設けられ、前記硬貨の移送に伴って所定の回転方向に回転可能な一対の回転体であり、
各回転体の周面に形成された減速溝は、
前記回転方向の前方端に形成され、前記硬貨を受ける硬貨受け部と、
前記回転方向の後方端に形成され、前記硬貨の後部を押し下げるテーパー部と、
前記硬貨受け部とテーパー部とを連通して、前記硬貨の一部が入り込む硬貨潜り込み部と、
を備えていることを特徴とする請求項1に記載の硬貨集積機構。
【請求項3】
前記回転体は、前記硬貨が前記硬貨受け部に衝突することにより従動して回転することを特徴とする請求項2に記載の硬貨集積機構。
【請求項4】
前記供給手段は、前記硬貨の移送に同期して前記回転体を回転させる駆動部を備えていることを特徴とする請求項2に記載の硬貨集積機構。
【請求項5】
前記一対の回転体は、互いの間隔を遠近移動可能に構成されていることを特徴とする請求項2乃至4の何れか1項に記載の硬貨集積機構。
【請求項6】
前記供給手段は、前記硬貨受け部が前記搬送経路上に位置するように前記回転体を所定の受入位置に位置決めする位置決め部をさらに備えていることを特徴とする請求項2に記載の硬貨集積機構。
【請求項7】
前記集積手段は、前記硬貨を水平姿勢で上下に集積させる段部を備え、
前記集積手段に供給された前記硬貨は、後傾した状態で前記段部に集積された硬貨上に落下することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の硬貨集積機構。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載の硬貨集積機構を備えていることを特徴とする硬貨包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定枚数の硬貨を集積する硬貨集積機構及び該硬貨包装機により集積された集積硬貨の周面に包装紙を巻回して包装する硬貨包装機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、一対の集積ドラムにそれぞれ設けられた螺旋状の突起部を硬貨の供給に同期させて下降させ、硬貨が順に上方に向けて積み重ねて集積させる集積機構が記載されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2008-217564号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した硬貨集積機構では、水平に排出された硬貨が突起部上にて後部が低い後傾姿勢で集積され、突起部上に集積された先行する硬貨が、後続の水平姿勢の硬貨を受けて減速させるところ、水平姿勢の後続の硬貨が、後傾姿勢の先行する硬貨の表裏面に形成された凹凸に衝突すると意図せず跳ねてスムーズに集積できない虞があった。また、一対の集積ドラムは大型で、硬貨集積機構のサイズが増大しがちである問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、小型で硬貨をスムーズに集積可能な硬貨集積機構及び硬貨包装機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係る硬貨集積機構は、所定枚数の硬貨を集積する硬貨集積機構であって、前記硬貨を移送する移送手段と、前記硬貨を集積する集積手段と、前記移送手段から移送された前記硬貨を後傾させた状態で前記集積手段に供給する供給手段と、を備えている。
【0006】
この構成によれば、移送手段から移送された硬貨が後傾された状態で集積手段に供給されることにより、後続の硬貨が先行する硬貨の表裏面に形成された凹凸に衝突することなく集積可能なため、硬貨をスムーズに集積することができる。さらに、従来のような水平に排出された硬貨を集積手段が傾斜して集積させる硬貨集積機構と比べて、サイズを小型化することができる。
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る硬貨包装機は、上述した硬貨集積装置を備えている。
【0008】
この構成によれば、硬貨集積時の詰まりが抑制されて、包装済みの集積硬貨を円滑に得ることができる。また、硬貨集積機構が小型化した分だけ、硬貨包装機を小型化することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、小型で硬貨をスムーズに集積可能な硬貨集積機構及び硬貨包装機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る硬貨包装機の外観を示す斜視図。
【
図4】硬貨集積装置の要部を示す平面図及び正面図。
【
図6】回転体が硬貨を受ける様子を示す正面図及び底面図。
【
図7】回転体が硬貨の後部を押し込む様子を示す正面図及び底面図。
【
図8】先行する硬貨の上に、後続の硬貨が案内される様子を示す正面図及び底面図。
【
図9】本発明の第1の変形例に係る硬貨集積装置の回転体の構成を示す斜視図。
【
図10】本発明の第2の変形例に係る硬貨集積装置の回転体の構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態について図面に基づいて説明する。なお、以下では、構成要素の数、数値、量、範囲等に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも構わない。
【0012】
また、構成要素等の形状、位置関係に言及するときは、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似又は類似するもの等を含む。
【0013】
また、図面は、特徴を分かり易くするために特徴的な部分を拡大する等して誇張する場合があり、構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
【0014】
次に、図面に基づいて本発明の一実施形態に係る硬貨包装機1を説明する。硬貨包装機1は、バラ硬貨を所定枚数集積させるとともにこのように形成された集積硬貨を、所定量の透明ポリエチレンフィルム等の包装紙Hで包装して棒状にするものである。
【0015】
まず、
図1を参照して硬貨包装機1の外部構成を説明する。硬貨包装機1の上部位置には、包装処理を行うバラ硬貨がオペレータにより投入される投入口2が設けられている。この投入口2には該投入口2を開閉させるカバー3が設けられており、このカバー3は手動で開閉されるようになっている。
【0016】
また、投入口2の近傍には、包装動作における金種指定情報などの各設定の入力、包装処理の開始・停止の操作入力がオペレータにより入力される操作入力部4と、硬貨包装機1内で硬貨を計数した結果、包装動作や印刷内容等の各種設定時の案内および設定内容等を表示する表示部5とを兼ね備えたタッチセンサパネル6が設けられている。
【0017】
次に、
図2を参照して硬貨包装機1の内部基本構成を説明する。
図2において、符号18は、開状態の投入口2を介して一括投入されたバラ硬貨を集積させる集積機構を示している。
【0018】
硬貨集積機構10は、開状態の投入口2(
図1参照)を介して一括投入されたバラ硬貨を受け入れる回転ホッパ11と、該回転ホッパ11が回転することにより生じる遠心力で一枚ずつ繰り出す硬貨を受け入れて搬送する硬貨通路12とを有している。なお、回転ホッパ11は、例えば、大量に投入された硬貨を受けるとともに硬貨を小分けにする回転盤と、回転盤から硬貨を受けるとともに硬貨を1枚ずつ硬貨通路12に繰り出す補給盤と、を備えている構成が考えられるが、これに限定されるものではない。
【0019】
硬貨通路12は、その上部に硬貨を一枚ずつ移送させるフィード13を有している。硬貨通路12の途中位置には、図示しない鑑別部が設けられており、硬貨通路12で搬送される硬貨の真偽および金種等が必要に応じて判別されるようになっている。ここで、硬貨通路12には図示しない排除孔が設けられており、鑑別部で正貨であると判別されなかった硬貨は、排除孔から落下するようになっている。すなわち、硬貨通路12は、正貨のみを搬送する。
【0020】
硬貨集積機構10は、
図3及び
図4に示すように、集積ベアリング14と、回転体15と、桟ベルト16と、を備えている。
【0021】
集積ベアリング14は、硬貨通路12の出口近傍に設けられている。集積ベアリング14は、図示しない回転軸回りに回動自在であり、硬貨通路12から移送された硬貨を下方から支持するとともに硬貨Cを回転体15に向けて案内する。
【0022】
回転体15は、硬貨Cが通過する搬送経路Pを挟んで両側にそれぞれ1つずつ設けられている。回転体15は、略円板に形成されており、回転方向Dに向けて回動自在に設けられている。
【0023】
回転体15の下隅部には、減速溝17が形成されている。減速溝17は、回転体15の周方向に沿って4つ設けられている。なお、減速溝17の数は、3つ以下でも5つ以上であっても構わない。減速溝17の周方向の長さは、硬貨Cの直径より僅かに大きく形成されている。
【0024】
減速溝17には、硬貨受け部17aと、硬貨潜り込み部17bと、テーパー部17cと、が回転方向Dに沿ってこの順で形成されている。
【0025】
硬貨受け部17aは、回転方向Dの前方端に垂直に形成されている。硬貨潜り込み部17bは、硬貨受け部17aとテーパー部17cとを接続する。硬貨潜り込み部17bの高さは、側面から視て硬貨Cの厚みより大きく形成されている。テーパー部17cは、回転方向Dの後方端に設けられ、回転方向Dの前方から後方に向かって減速溝17の高さが徐々に低くなるように傾斜して成る。
【0026】
一対の回転体15が、搬送経路Pの中央を挟んで均等に固定して配置され、回転体15の径が最小径の硬貨Cに応じて設定されるとともに硬貨潜り込み部17bの径方向の深さが最大径の硬貨Cに応じて設定されることにより、硬貨径にかかわらず様々な硬貨Cに対応することができる。
【0027】
桟ベルト16は、無端状の昇降ベルト16aの外周に水平な段部16bが設けられて成る。昇降ベルト16aは、硬貨通路12からの硬貨の供給に同期して、図示しない駆動モータにより所定方向(
図2の時計回り)に回転可能に構成されている。段部16b上に、複数の硬貨が水平な状態で上下方向に積み重ねて集積され、集積硬貨が形成される。
【0028】
桟ベルト16の下方位置には、桟ベルト16において所定枚数集積された集積硬貨をその上面に載置させる水平シャッタ25を設けても構わない。水平シャッタ25は回転軸25a回りに回転可能で図示しない硬貨落下穴を開閉自在に設けられ、水平シャッタ25の開放時に、その上面に載置させていた集積硬貨を落下させて、硬貨落下穴を介して下方の包装機構20に受け渡すようになっている。
【0029】
包装機構20は、水平シャッタ25から落下させられた集積硬貨を下から支える昇降可能な支持棒21と、該支持棒21の周囲に鉛直方向に沿って配置される3本の平行な包装ローラ22と、これら包装ローラ22を回転駆動する包装モータ(
図5参照)23とを有している。
【0030】
包装ローラ22は、そのうちの一つが残りの二つに対し近接・離間可能とされている。そして、包装ローラ22は、そのうちの一つが残りの二つに対し離間状態にあるとき、硬貨集積機構10から送られた集積硬貨を受け入れるようになっており、このように集積硬貨を受け入れた状態で前記一つが残りの二つに対し近接することにより、集積硬貨を三つで挟持することになる。そして、この状態で包装ローラ22を回転駆動し、かつ包装ローラ22と集積硬貨との間に包装紙Hを挟み込むことで、集積硬貨の周面に包装紙Hが巻回されるようになっている。
【0031】
また、包装機構20は、上記のように巻回された包装紙Hの集積硬貨よりも上下に突出する両余剰部分を加締める加締爪24を上下に有している。
【0032】
包装機構20の側方には、包装機構20に包装紙Hを供給する包装紙供給機構40が設けられている。この包装紙供給機構40は、鉛直軸回りに回転自在に支持された包装紙ロール41から繰り出された包装紙Hを挟持することにより、その回転量に応じた長さだけ包装紙Hを包装紙ロール41から引き出して集積硬貨に向け供給する一対の紙送りローラ42と、これら紙送りローラ42を一定速度で回転駆動する紙送りモータ(
図5参照)43と、紙送りモータ43の駆動で紙送りローラ42から送り出された包装紙Hを包装ローラ22に向け案内する複数の案内ローラ44と、包装紙Hを切断するカッタ45とを有している。なお、このカッタ45は、紙送りローラ42が停止しかつ包装ローラ22が回転駆動されている状態において包装紙Hに生じる張力で包装紙Hを切断するようになっている。
【0033】
図5に示すCPU50は、硬貨包装機1における種々の制御指令を行うものであり、操作入力部4、表示部5、紙送りモータ43および包装モータ23等が接続され、さらに、硬貨包装機1の制御プログラムや基準データ等を記憶するROM51、および、鑑定部の鑑別結果及び計数結果を記憶するRAM52が接続されている。上記紙送りモータ43等は、CPU50からの制御指令に基づいて動作するように構成されている。
【0034】
次に、上記構成を備える硬貨包装機1の作用を説明する。まず、オペレータが投入口2に金種混合状態のバラ硬貨を投入し、操作入力部4から包装開始の入力操作を行うと、CPU50は、回転ホッパ11の駆動制御を開始し、この回転ホッパ11によって投入口2に投入されたバラ硬貨を一枚ずつ分離させて順次硬貨通路12へと繰り出させる。ここで、包装開始の入力操作とは、例えばオペレータが包装を行う金種や枚数などのデータを入力した後に、この入力結果を表示部5で確認して決定操作を行う一連の操作のことを示しており、ここで入力されたデータが上述したRAM52に記憶されることとなる。
【0035】
そして、CPU50は、硬貨通路12の途中に設置された鑑別部から、硬貨通路12に繰り出された硬貨の金種、真偽、汚損等の鑑別結果および計数結果に基づいたデータを受け取り、このデータをRAM52に記憶させる。また、CPU50は、フィード13を駆動制御して、操作入力部4の入力に基づいた金種の正貨のみを回転体15を移送して、所定枚数(例えば、50枚程度)集積させる。
【0036】
具体的には、硬貨Cは、
図6(a)、(b)に示すように、集積ベアリング14により略水平姿勢を維持した状態で回転体15に移送される。このとき、減速溝17は、硬貨受け部17aの少なくとも一部が硬貨Cの搬送経路P上に位置する受入位置で待機する。硬貨Cが硬貨受け部17aに衝突すると、硬貨Cは反力で減速する一方、回転体15は衝突力により回転方向Dに向けて回転し始める。なお、回転体15は、下面から視て硬貨Cの左右の一部が硬貨潜り込み部17bに収容された状態で回転する。
【0037】
次に、
図7(a)、(b)に示すように、回転体15が回転方向Dに向けて回転して、硬貨Cの後部がテーパー部17cに下方に押されると、硬貨Cは、後部が前部に比べて低い後傾姿勢に移行する。その後、硬貨Cは、後傾姿勢を維持した状態で桟ベルト16に自重で落下する。
【0038】
その後、
図8(a)、(b)に示すように、回転体15に移送された後続の硬貨Cは、後傾した先行する硬貨Cの後部に乗り上げる。そして、後続の硬貨Cは、先行する硬貨Cと同様にして、硬貨受け部17aに衝突し、テーパー部17cにより後傾姿勢に移行した後に、桟ベルト16に落下する。このようにして、前後の硬貨Cが何れも後傾姿勢を保ったまま桟ベルト16に供給される。
【0039】
桟ベルト16に供給された硬貨Cは、段部16b上に水平姿勢で上下に積み重ねられた先行する硬貨C上に落下する。後続の硬貨Cが、後傾姿勢を保ったまま先行する硬貨C上に落下することにより、先行する硬貨Cの表裏面に形成された凹凸に衝突することが抑制される。昇降ベルト16aは、フィード13の移送速度に同期して、回転体15を通じて供給された一枚の硬貨が段部16bに載ると一段下降し、その後に供給された硬貨が先の硬貨の上に積み重ねられることにより、段部16b上に、複数の硬貨が上下方向に積み重ね状態に集積される。
【0040】
そして、CPU50は、硬貨集積機構10にて所定枚数の硬貨の集積が完了すると、水平シャッタ25を開放制御して集積硬貨の包装を行う包装機構20の包装ローラ22の間へと移動させる。その後、CPU50は、3本の包装ローラ22を制御して集積硬貨を狭持させる。
【0041】
一方、CPU50は、包装紙供給機構40の紙送りローラ42を駆動制御して、包装紙ロール41から包装紙Hを包装機構20に供給する。そして、包装紙Hを包装ローラ22と集積紙幣の周面との間に挟み込んだ状態で包装ローラ22を駆動させることで、集積硬貨に包装紙Hを所定回数巻回させ、その後、包装紙Hの集積硬貨の上下の余剰部分を加締爪24によって加締める。
【0042】
このようにして、本実施形態に係る硬貨集積機構10は、所定枚数の硬貨Cを集積する硬貨集積機構10であって、硬貨Cを移送するフィード13と、硬貨Cを集積する桟ベルト16と、フィード13から移送された硬貨Cを後傾させた状態で桟ベルト16に供給する供給手段としての回転体15と、を備えている構成とした。
【0043】
この構成によれば、回転体15が、フィード13から移送された硬貨Cを後傾させた状態で桟ベルト16に供給することにより、後続の硬貨Cが先行する硬貨Cの表裏面に形成された凹凸に衝突することなく集積可能なため、硬貨をスムーズに集積することができる。さらに、従来のような水平に排出された硬貨を傾斜して集積させる硬貨集積機構と比べて、サイズを小型化することができる。
【0044】
また、硬貨集積機構10は、回転体15が、搬送経路Pを挟んで両側にそれぞれ設けられ、硬貨Cの移送に伴って所定の回転方向Dに回転可能な一対の回転体15、15であり、各回転体15の周面に形成された減速溝17は、回転方向Dの前方端に形成され、硬貨Cを受ける硬貨受け部17aと、回転方向Dの後方端に形成され、硬貨Cの後部を押し下げるテーパー部17cと、硬貨受け部17aとテーパー部17cとを連通して、硬貨Cの一部が入り込む硬貨潜り込み部17bと、を備えている構成とした。
【0045】
この構成によれば、硬貨受け部17aがフィード13から移送された硬貨Cを受けると、硬貨Cの一部が硬貨潜り込み部17bに受け入れられた状態で、回転体15が回転方向Dに向けて回転し、テーパー部17cが硬貨Cの後部を押し下げることにより、硬貨Cを後傾させることができる。
【0046】
また、硬貨集積機構10は、硬貨Cが硬貨受け部17aに衝突することにより回転体15が従動して回転する構成とした。
【0047】
この構成によれば、外部の駆動源を用いることなく回転体15が回転するため、サイズをさらに小型化することができる。
【0048】
また、硬貨集積機構10は、桟ベルト16が、硬貨Cを水平姿勢で上下に集積させる段部16bを備え、桟ベルト16に供給された後続の硬貨Cが、後傾した状態で段部16bに集積された先行する硬貨C上に落下する構成とした。
【0049】
この構成によれば、後続の硬貨Cが後傾姿勢を保ったまま水平姿勢の先行する硬貨C上に落下するため、後続の硬貨Cが、先行する硬貨Cの表裏面に形成された凹凸に衝突すること抑制できる。
【0050】
また、本発明に係る硬貨包装機1は、上述した硬貨集積機構10を備えている構成とした。
【0051】
この構成によれば、硬貨集積時の詰まりが抑制されて、包装済みの集積硬貨を円滑に得ることができる。また、硬貨集積機構が小型化した分だけ、硬貨包装機を小型化することができる。
【0052】
なお、上述した実施形態では、一対の回転体15が硬貨Cの衝突に従動して回転する場合を例に説明したが、回転体15の回転動作を外部の駆動部により行っても構わない。
【0053】
例えば、
図9に示すように、互いに噛み合う一対の連結ギア18にそれぞれ回転体15を連結させ、硬貨通路12を移送される硬貨を検出する硬貨検出センサ12aを設け、硬貨検出センサ12aの検出信号に基づいて連結ギア18を直接的に又は間接的に回転駆動させる駆動部19を設けても構わない。
【0054】
このような構成によれば、硬貨Cが回転体15の間に供給されるタイミングと一対の回転体15の周面にそれぞれ形成された減速溝17が硬貨Cを受入可能な位置に達するタイミングとが一致するため、硬貨Cを安定して移送することができる。
【0055】
さらに、一対の回転体15は、上述したように所定間隔だけ離間して固定される構成に限定されず、例えば、一対の回転体15、15が、互いの間隔を遠近移動可能に構成されても構わない。このような構成としては、
図10(a)、(b)に示すように、回転体15の回転軸15aが、タイミングベルト18aを介して連結ギア18に連結され、回転軸15aが、連結ギア18の周方向に沿って揺動可能に構成することが考えられる。
【0056】
この構成によれば、一対の回転体15の間隔を硬貨径に応じて調整することにより、多様な硬貨Cに対応することができる。
【0057】
また、回転体15における減速溝17の相対的な位置関係(回転体15の位相)を判別可能な図示しない位置検出センサを設けても構わない。位置検出センサとしては、例えば、一方の連結ギア18に減速溝17の受入位置に対応した一つまたは複数の貫通孔を形成し、この貫通孔の検知により減速溝17が受入位置に達したことを検知する反射センサが考えられるが、一対の光学センサやインタラプタ等であっても構わない。このような位置検出センサを用いることにより、回転体15が適切に硬貨Cを受入可能なため、硬貨Cの詰まりを抑制することができる。
【0058】
また、回転体15の位相を適切に管理するために位置決め部を設けても構わない。位置決め部としては、例えば、回転体15の外周に受入位置に応じた凹部を設け、回転体15の径方向に進退出して凹部に係合可能なラッチ(位置決め部)を設け、ラッチが凹部に係合するときには、回転体15が受入位置で位置決めされ、駆動部19が回転体15を回転動作するときには、ラッチが凹部から退出するといった構成が考えられる。
【0059】
この構成によれば、硬貨受け部17aが搬送経路P上に位置するように回転体15を所定の受入位置に位置決めすることにより、硬貨Cの詰まりを抑制することができる。
【0060】
また、硬貨通路12に、回転ホッパ11からランダムに移送される硬貨Cの間隔を略一定に保つ機構を設けることにより、硬貨Cを安定して集積させることができる。このような機構としては、例えば、進退自在なストッパピン等を用いて硬貨通路12内を移送中の硬貨を一時的に停止させて前後の硬貨Cの間隔を略一定にするものや、フィード13の無端ベルトに硬貨Cをそれぞれ一枚だけ収容可能な複数の桟を設け、隣り合う桟が硬貨Cを挟持するようにして硬貨通路12を移送させるものが考えられる。
【0061】
また、駆動部19として、所定周期で駆動するステッピングモータ等を用いても構わない。ステッピングモータが、回転体15に移送される硬貨C間の間隔に応じて連結ギア18を駆動させることにより、硬貨検出センサ12aによる硬貨Cの検知を伴わない簡便な機構で一対の回転体15を同期して駆動させることができる。
【0062】
また、硬貨Cが等間隔で連続して移送される場合には、駆動部19による回転速度は、略一定の速度に設定されても構わない。
【0063】
また、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り、上記以外にも種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【符号の説明】
【0064】
1 :硬貨包装機
10 :硬貨集積機構
11 :回転ホッパ
12 :硬貨通路
12a:硬貨検出センサ
13 :フィード(移送手段)
14 :集積ベアリング
15 :回転体(供給手段)
16 :桟ベルト(集積手段)
16a:昇降ベルト
16b:段部
17 :減速溝
17a:硬貨受け部
17b:硬貨潜り込み部
17c:テーパー部
18 :連結ギア
18a:タイミングベルト
19 :駆動部
C :硬貨
D :回転方向
P :搬送経路