(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023050383
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】作業用ルームシューズ
(51)【国際特許分類】
A43B 23/02 20060101AFI20230404BHJP
A43B 13/02 20220101ALI20230404BHJP
【FI】
A43B23/02 101A
A43B13/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021160451
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】595019474
【氏名又は名称】徳武産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123984
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 晃伸
(74)【代理人】
【識別番号】100102314
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 阿佐子
(74)【代理人】
【識別番号】100159178
【弁理士】
【氏名又は名称】榛葉 貴宏
(72)【発明者】
【氏名】西尾 聖子
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050AA01
4F050BA43
4F050HA53
4F050JA22
(57)【要約】
【課題】 足場の悪い場所での作業を行う用途に適した作業用ルームシューズの提供。
【解決手段】
甲皮部および足底部を有するルームシューズ1において、甲皮部2および足底部3が伸縮性およびストレッチ性を有する生地により構成されており、甲皮の右側辺部2-2,2-7および左側辺部2-4,2-8の表面にすべり止め加工が施されていることを特徴とする作業用ルームシューズ。履き口部甲皮2-5の裏面に、滑り止め加工を施すことが好ましい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
甲皮部および足底部を有するルームシューズにおいて、甲皮部、踵部および足底部が伸縮性およびストレッチ性を有する生地により構成されており、甲皮の右側辺部および左側辺部の表面にすべり止め加工が施されていることを特徴とする作業用ルームシューズ。
【請求項2】
前記甲皮部が、甲皮爪先部、甲皮側辺部および踵部の各布片を縫着した一枚生地でできている請求項1に記載の作業用ルームシューズ。
【請求項3】
前記一枚生地が、甲皮爪先部および踵部を構成する伸縮性を有するストレッチ生地と、甲皮側辺部を構成するグリップ生地とを備えて構成され、
前記ストレッチ生地と前記グリップ生地とがかがり縫いステッチ形式により縫着して形成される請求項2に記載の作業用ルームシューズ。
【請求項4】
前記甲皮爪先部および甲皮踵の伸縮性の高いストレッチ素材の生地を幅方向より長手方向に弾性率が大きくなるように用いることを特徴とする請求項2または3に記載の作業用ルームシューズ。
【請求項5】
履き口部の甲皮の裏面にすべり止め加工が施されている請求項1ないし4のいずかに記載の作業用ルームシューズ。
【請求項6】
内底にすべり止め加工が施されている請求項1ないし5のいずかに記載の作業用ルームシューズ。
【請求項7】
前記足底部の踵部から土踏まず部にかけて、生地の間にネオプレーン材が入っている肉厚のクッション性のネオプレーン生地を用いて構成されている請求項1ないし6のいずれかに記載の作業用ルームシューズ。
【請求項8】
前記すべり止め加工が、シリコンプリントである請求項1ないし7のいずれかに記載の作業用ルームシューズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業用ルームシューズに関し、より詳細には、足場の悪い場所での作業を行う用途に適した作業用ルームシューズに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ソックスカバーの足底部や爪先側の足底部に縫着部の設けられたものがみられるが、足底部に縫着部が設けられている場合は、歩行時或いは走行時に凸状の縫着部が足裏側に不快感を与え、着用感を低下させる欠点があった(特許文献1)。また爪先部側において足底部を形成する立壁状の両側辺部に甲部被覆用生地を縫着したものがみられるが、立壁状の足底部と甲部被覆用生地との間における空間(隙間)が空き過ぎる恐れがあり、ソックスカバーと爪先や甲部との密着度が甘くなって脱げ易くなり、着用感を低下させる欠点があった(特許文献2)。そこで、ルームシューズの足底部に縫着部がなく、着用時に足裏側に異物様の不快感を与えることがなく、着用時に疲労感を感じることがなく、着用感の低下がないソックスカバー様のルームシューズが開発された(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭41-14091号公報
【特許文献2】実開昭53-68333号公報
【特許文献3】特許第6120487号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、足場の悪い場所での作業を行う際には、脱げにくい屋外用のシューズを履くことが多かった。しかしながら、屋外用のシューズは重量があり、着脱容易性が悪いのと共に、姿勢変化への追従性が悪いという課題がある。
【0005】
そこで、本発明は、足場の悪い場所での作業を行う用途に適した作業用ルームシューズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の作業用ルームシューズは、甲皮部、踵部および足底部を有するルームシューズにおいて、甲皮部および足底部が伸縮性およびストレッチ性を有する生地により構成されており、甲皮の右側辺部および左側辺部の表面にすべり止め加工が施されていることを特徴とする。
上記作業用ルームシューズにおいて、前記甲皮部が、甲皮爪先部、甲皮側辺部および踵部の各布片を縫着した一枚生地でできていることを特徴としてもよい。
上記作業用ルームシューズにおいて、前記一枚生地が、甲皮爪先部および踵部を構成する伸縮性を有するストレッチ生地と、甲皮側辺部を構成するグリップ生地とを備えて構成され、前記ストレッチ生地と前記グリップ生地とがかがり縫いステッチ形式により縫着して形成されることを特徴としてもよい。
【0007】
上記作業用ルームシューズにおいて、前記甲皮爪先部および甲皮踵の伸縮性の高いストレッチ素材の生地を幅方向より長手方向に弾性率が大きくなるように用いることを特徴としてもよい。
上記作業用ルームシューズにおいて、内底にすべり止め加工が施されていることを特徴としてもよい。
上記作業用ルームシューズにおいて、前記足底部の踵部から土踏まず部にかけて、生地の間にネオプレーン材が入っている肉厚のクッション性のネオプレーン生地を用いて構成されていることを特徴としてもよい。
上記作業用ルームシューズにおいて、履き口部の甲皮の裏面にすべり止め加工が施されていることを特徴としてもよい。
上記作業用ルームシューズにおいて、前記すべり止め加工が、シリコンプリントであることを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、足場の悪い場所での作業を行う用途に適した作業用ルームシューズを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る作業用ルームシューズの平面図であって、(a)はすべり止め加工を省略した図、(b)すべり止め加工を図示した図である。
【
図2】本発明に係るルーム作業用シューズの底面図であって、(a)はすべり止め加工を省略した図、(b)すべり止め加工を図示した図である。
【
図3】本発明に係る作業用ルームシューズの底面斜視図であって、(a)はすべり止め加工を省略した図、(b)すべり止め加工を図示した図である。
【
図4】本発明に係る作業用ルームシューズの上面斜視図であって、(a)はすべり止め加工を省略した図、(b)すべり止め加工を図示した図である。
【
図5】本発明に係る作業用ルームシューズの着用したままサンダルを履いた状態を示す斜視図であって、(a)はすべり止め加工を省略した図、(b)すべり止め加工を図示した図である。
【
図6】本発明に係る靴の作業用ルームシューズの踵を踏んだ着用状態を示す斜視図であって、(a)はすべり止め加工を省略した図、(b)すべり止め加工を図示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ルームシューズを履いた状態で、踏み台、脚立、折り畳みはしごを用いて電球の交換、戸棚の物の出し入れ、高所の掃除などさまざまな作業を室内あるいはテラスや家の周りでする、そのような日常生活を誰もが目にしている。本発明者は、ルームシューズの着用状態で底部と甲部および踵部を被覆する生地間に隙間がなく、かつ、甲皮側辺部、履き口部甲皮の裏面、底面および内底にすべり止めを施すことで脱げづらくし、かつ、足底部に縫着部が設けられている場合であっても、踵部から土踏まず部までをダブルクッション性をもたせることで、着用時に凸状の縫着部が足裏側に異物様の不快感を与えることはなく脚立等の上でもブレずに踏ん張ることができ疲れにくいことを見いだし、本発明を完成させるに至った。
【0011】
[作業用ルームシューズ]
本発明の作業用ルームシューズについて
図1ないし5を参照しながら説明する。本発明の作業用ルームシューズは、以下の特徴を有する。
(1)甲皮部2および足底部3を有するルームシューズ1である。
(2)甲皮部2を後述のグリップ生地と伸縮性の高いストレッチ生地からなる一枚生地で形成し、各生地の端部同士をオーバーの縫製により縫着している。
甲皮部2の生地は、好ましくはグリップ生地と伸縮性の高いストレッチ生地を使用する。甲皮爪先部2-1、踵部2-3、履き口部甲皮2-5の外側および、甲皮中央部2-6に伸縮性の高いストレッチ生地、甲皮側辺部(2-2,2-4,2-7,2-8)および履き口部甲皮2-5の内側にグリップ生地をそれぞれ用い、伸縮性に富む縫い目が得られる縁かがり縫い形式のステッチ6により、甲皮爪先部2-1、甲皮側辺部(2-2,2-4,2-7,2-8)、履き口部甲皮2-5、甲皮中央部2-6および踵部2-3の各布片を縫着して形成される。伸縮性と滑りにくさを併せ持ち、体を傾けたり、しゃがんだりなどの姿勢変化が生じた際の脱げづらさと踏ん張り性を担保している。また、足裏の右側または左側が浮くような立ち方となっても、すべり止め加工がなされた甲皮側辺部(2-2,2-4,2-7,2-8)が床面や天面等と接触することにより、グリップ性を得ることが可能である。
(3)甲皮履き口2-9をゴム縁付き履き口としている。履き口部甲皮2-5の裏面には、滑り止め加工が施されている。さらに、甲皮右側辺前部2-7および甲皮左側辺前部2-8の表面には、すべり止め加工が施されている。これにより、ルームシューズ1を着用したまま市販のサンダルを履いたときでも、サンダルが脱げにくいという作用効果が奏される。
(4)足底部3を底面3-1と内底3-2のダブルですべり止め付きの生地で形成し、かつ、踵部から土踏まず部3-3にダブルクッション性を持たせて、体を傾けたり、しゃがんだりなどの姿勢変化が生じた際の脱げづらさと踏ん張り性に寄与している。ダブルクッション性は、生地の間にネオプレーン材が入っている肉厚のクッション性のネオプレーン生地を用いて構成している。
【0012】
本明細書にいう「ストレッチ生地」とは、タテ方向やヨコ方向、もしくはその両方向に伸びる生地を指す。ストレッチ生地がよく伸びるのは、生地に使われている素材と織り方に基づく。そして織り方も大事であり、目がギュッと詰まった織り方ではあまりストレッチ性はないが、ニット生地に近い織り方にしたり、糸に撚りを加えたりすることで伸縮性のある生地になる。素材と織り方を工夫することで、よく伸びるストレッチ生地が出来上がり、市販されている。ストレッチ生地には「1WAY」「2WAY」そして「4WAY」と呼ばれるものがあり、1WAYはタテ・ヨコのどちらかに伸びる生地、2WAYはタテ・ヨコの両方に伸びる生地、4WAYは「上下左右の4方向に伸びる」という意味でつけられたが、実質的には2WAYと同義である
【0013】
ストレッチ材は伸縮性のある布地・素材をいうが、本発明は、表材の甲皮部に用いられる素材としてナイロン100%ストレッチ素材が好ましいものとして例示されるが、それらに限定されるものではない。伸縮性の高いストレッチ素材には、耐久性が高い、熱に弱い、弾力がある、吸湿性が低い特徴があるナイロンのストレッチ素材が使用でき、その組成としてはナイロン100%とすることが好ましいが、それに限定されない。目がギュッと詰まった織り方でありあまりストレッチ性はないが、ナイロン100%ストレッチ素材の甲皮部生地を幅方向より長手方向に弾性率が大きくなるように用いることが望ましい。
【0014】
[すべり止め付きの生地であるグリップ生地]
足底部3の底面3-1および内底3-2は、表面にすべり止め加工が施されたグリップ生地により構成されている。本明細書にいう「グリップ生地」とは、すべり止め加工が施された生地である。
甲皮部2の甲皮側辺部(2-2,2-4,2-7,2-8)および履き口部甲皮2-5の内側はグリップ生地により構成されている。後述の実施例のグリップ生地は、シリコンプリントの鎖のようなデザインが立体感をもって存在し、すべり止め機能を持っている。好ましくはポリエステル100%の生地にシリコンプリントからなるプリント部を有している。甲皮側辺後部(2-2,2-4)のすべり止め加工は、履き口の端部から踵側に向けて長さ方向に例えば3cm以上(好ましくは5cn以上)にわたり設ける。同様に甲皮側辺前部(2-7,2-8)のすべり止め加工は、履き口の端部から爪先側に向けて長さ方向に例えば3cm以上(好ましくは5cn以上)にわたり設ける。甲皮側辺後部(2-2,2-4)と甲皮側辺前部(2-7,2-8)のすべり止め加工は、途切れる部分がないよう連続して設けることが好ましい。
【0015】
また、シリコンプリントは吸水性が低いため、足底部の底はすべり止め加工が施された防水生地で構成している。また、底部は防水生地なので汚れてもサッと拭くだけで汚れが落ちやすい。内底もグリップ生地であるため、内底と靴下のすべりを適度に調整することができる。その上、履き口部甲皮2-5の裏面にもすべり止め加工が形成されているため、着用時の足底部の内底と足の甲の皮膚または靴下がすべらないように構成されている。
【0016】
[縁かがり縫いで一枚生地に縫い合わせた甲皮部]
本発明は、甲皮爪先部2-1、甲皮側辺部(2-2,2-4,2-7,2-8)、履き口部甲皮2-5、甲皮中央部2-6および踵部2-3からなる甲皮部を縁かがり縫い6で一枚生地に縫い合わせ形成している。甲皮爪先部2-1、甲皮側辺部(2-2,2-4,2-7,2-8)、履き口部甲皮2-5および甲皮中央部2-6の間、ならびに、甲皮側辺部(2-2,2-4,2-7,2-8)、履き口部甲皮2-5、甲皮中央部2-6および踵部2-3の間を縁かがり縫い形式のステッチ6により縫着し、縫い上げている。縫い糸の使用される量も、本縫いや二重環縫いと比べると非常に多くなるが、伸縮性に富む縫い目が得られるため、生地が伸縮性の高いストレッチ素材であることにより、足の収まり感が良くなり、優れた着用感が得られる。
【0017】
[オーバーの縫製]
オーバーの縫製をする縁かがり縫い6により足底部3と甲皮部2の各生地を縫い合わせており、足に縫い目を感じない縫製仕様となっている。
【0018】
[甲皮履き口]
本発明の作業用ルームシューズ1は、着用時、脱げにくい甲部の深さと形状であり、履き口(開口部)は、甲皮が立ち上がっており、脱ぎ履きし易いデザインである。甲皮履き口2-9をゴム縁付き履き口とすることで、着脱容易性を高めている。
【0019】
[ダブルクッション性]
ダブルクッション性を実現するために、生地の間にネオプレーン材が入っている肉厚のクッション性のネオプレーン生地を採用している。復元するスポンジがネオプレーン生地の特徴であり、本発明においては、踵部から土踏まず部までの素材として用いている。ネオプレーン(登録商標)は、クロロプレンの重合による合成ゴムであり、天然ゴムよりも燃えにくく、耐油・耐候性にすぐれ、電線被覆・塗料などに使用される。復元力とバックストレッチのバランスで固すぎず柔らかすぎずが特徴である。通常ネオプレーン生地は、ポリエステルかナイロン素材の2枚の生地(シート)にサンドイッチのように挟まれている。ネオプレーン生地は厚み1-2mmで家庭用ミシンが耐えうる最大値であり、厚みが4mmかそれ以上になると工業用ミシンでのみ縫うことが可能である。
本発明の作業用ルームシューズにおいては、踵部から土踏まず部までの素材は、シリコンプリントの鎖帷子ないしは蜂の巣様のデザインが立体感をもって存在し、すべり止め機能を持っているプリント部5を表面に有しているポリエステル100%の生地の間にネオプレーン材が入っている肉厚のクッション性のネオプレーン生地が用いられている。
【0020】
[つまみ(タグ)]
甲皮履き口2-9の爪先部側および踵部の外側上部に指でつまむ大きさのつまみ(タグ)4-1,4-2が設けられている。甲皮部生地として目がギュッと詰まった織り方であり、あまりストレッチ性がないナイロン100%ストレッチ素材を用いており、着用時の安定性はよいが、着脱容易性はその分損なわれる。そのため、履いたり脱いだりする際には、甲皮履き口の爪先部側つまみ(タグ)4-1、および/または、踵部の外側上部のつまみ(タグ)4-2、をつまんで上方に上げて開口部を広げて履いたり脱いだりすることができるようにしている。
【0021】
片足が、Lサイズ(23.5~24.5)で約60gの軽量である。
片足が約60gの軽量であるにもかかわらず、外履きをそのまま履けて脱げづらい、かつ、疲れにくい、軽くて履き心地がよく、足にフィットし、足に負担のかからない、その上、踏み台、脚立、折り畳みはしごを用いた作業などにおいても脱げづらく、体を傾けたり、しゃがんだりなどの姿勢変化が生じた際もブレずに踏ん張ることができる簡便な作業用ルームシューズである。洗濯しやすく乾きやすい特徴、また、耐洗濯性の特徴がある。
【0022】
以下、実施例で本発明の詳細を説明するが、本発明はその実施例に限定されるものではない。
【実施例0023】
添付図面に従って一実施例を説明する。
本発明の作業用ルームシューズ1の一例が、
図1には作業用ルームシューズの右片足部分の平面図として、
図2には作業用ルームシューズの右片足部分の底面図として、
図3には作業用ルームシューズの右片足部分の底面斜視図として、
図4には作業用ルームシューズの右片足部分の上面斜視図として、
図5には作業用ルームシューズ1を履いたまま市販のサンダルを着用した状態を示す右片足部分の斜視図として、
図6には作業用ルームシューズの踵を踏んだ着用状態を示す右片足部分の斜視図として示されている。
【0024】
図中の符号について説明する。1は作業用ルームシューズ、2は甲皮部である。甲皮部2は、甲皮爪先部2-1、踵部2-3、履き口部甲皮2-5の外側および甲皮中央部2-6に伸縮性の高いストレッチ生地、甲皮右側辺後部2-2、甲皮左側辺後部2-4、履き口部甲皮2-5の内側、甲皮右側辺前部2-7および甲皮左側辺前部2-8にグリップ生地を用いている。ストレッチ生地およびグリップ生地は、それぞれ一枚裁断生地を用い、かつ、伸縮性に富む縫い目が得られる縁かがり縫いステッチ形式オーバーの縫製をする縁かがり縫い6により縫い合わせて一枚生地に作られている。縫い合わせの際に甲皮履き口の爪先部側つまみ(タグ)4-1をはさみ込んでいる。
また、オーバーの縫製をする縁かがり縫い6により足底部3と甲皮部2の各生地を縫い合わせており、足に縫い目を感じない縫製仕様となっている。縫い合わせの際に踵部の外側上部つまみ(タグ)4-2をはさみ込んでいる。
ストレッチ生地は、組成がナイロン100の2WAYトリコットにより構成した。グリップ生地は、シリコンプリントのデザイン5が立体感をもって存在し、すべり止め機能を持っている、シリコンプリントのポリエステル100%の生地を用いた。足裏の右側または左側が浮くような立ち方となっても、シリコンプリントがなされた甲皮側辺部(2-2,2-4,2-7,2-8)が床面や天面等と接触することにより、グリップ性を得ることが可能である。
甲皮履き口2-9の周縁部は、ゴム縁付き履き口により構成した。
【0025】
体を傾けたり、しゃがんだりなどの姿勢変化が生じた際も脱げづらく、ブレずに踏ん張ることができるようにするために、すべり止め加工が施された生地で、かつ、ダブルクッション性をもたせた足底部3とした。足底部3の底面3-1は、シリコンプリントのデザイン5が立体感をもって存在し、すべり止め機能を持っているポリエステル100%の生地で構成した。踵部から土踏まず部3-3用の素材は、シリコンプリントのデザインが立体感をもって存在し、すべり止め機能を持っているプリント部5を表面に有しているポリエステル100%の生地の間(底面3-1および内底3-2の生地の間)にネオプレーン材が入っている肉厚のクッション性のネオプレーン生地が用いられている。
【0026】
オーバーの縫製をする縁かがり縫い6により足底部3と甲皮部2の各生地を縫い上げた。底面3-1は、そのシリコンプリント生地は滑り止め効果もあり、また、汚れてもサッと拭くだけで汚れが落ちやすい。着用時に内底3-2と靴下がすべらないように甲皮履き口2-5の裏面にグリップ生地が張られてすべり止めが形成されている。底面3-1のシリコンプリント生地は滑り止めが良くきくので、内底3-2の上を靴下(足)がつま先の方へすべる感じがする。そのため、内底3-2にもシリコンプリントの滑り止め付きとし、しかも、甲皮履き口の爪先部側裏部分2-5の裏面にシリコンプリントの滑り止めを付けた。これにより、靴下の底と内底3-2と足の甲の皮膚または靴下が安定する。さらにその安定性を高めるために甲皮履き口2-5の裏面のシリコンプリントが寄与している。
【0027】
このようにして片足が60g以下の軽量の作業用ルームシューズができあがった。このように脱げづらく、体を傾けたり、しゃがんだりなどの姿勢変化が生じた際もブレずに踏ん張ることができる機能を持たせてもなお軽量であることは、作業用ルームシューズとしては重要な要素である。また、実施例の作業用ルームシューズを履いたままサンダル等を履くことができるので、会社や家から作業用ルームシューズを履いたまま現場に直行し、サンダル等を脱ぐことで直ぐに作業に取りかかれるという利便性を有している。
【0028】
以上、本発明の好ましい実施形態例について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態例の記載に限定されるものではない。上記実施形態例には様々な変更・改良を加えることが可能であり、そのような変更または改良を加えた形態のものも本発明の技術的範囲に含まれる。例えば、履き口部甲皮2-5の表面にすべり止め加工が施されたグリップ生地により構成する態様も本発明の技術的範囲に含まれる。