(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023050386
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】理美容機器
(51)【国際特許分類】
A45D 20/12 20060101AFI20230404BHJP
【FI】
A45D20/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021160454
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100141449
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 隆芳
(74)【代理人】
【識別番号】100142446
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 覚
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】石原 綾
(72)【発明者】
【氏名】井上 宏之
【テーマコード(参考)】
3B040
【Fターム(参考)】
3B040CK00
(57)【要約】 (修正有)
【課題】常温で固体又は準固体である美容成分を霧化し、肌又は毛髪に対して所望の量を所望のタイミングで付与することができる理美容機器を提供する。
【解決手段】常温で固体又は準固体である美容成分の少なくとも1種を保持する美容成分保持部32と、美容成分保持部32に保持された美容成分を加熱により霧化する霧化部と、霧化部により霧化する美容成分の霧化量を制御する制御部18と、霧化部により霧化した美容成分を外部に送出する美容成分送出部40と、を備え、霧化部は、磁束を発生する磁束発生部を有し、磁束発生部は導電体に対して磁束を発生して誘導加熱により導電体が発する熱を美容成分の一部に熱伝導させて美容成分を加熱し、制御部18は、導電体を誘導加熱により加熱するに際し、磁束発生部に供給する交流電流の周波数及び/又は電力を調整して美容成分の霧化量を制御する、理美容機器である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
常温で固体又は準固体である美容成分の少なくとも1種を保持する美容成分保持部と、
前記美容成分保持部に保持された美容成分を加熱により霧化する霧化部と、
前記霧化部により霧化する美容成分の霧化量を制御する制御部と、
前記霧化部により霧化した美容成分を外部に送出する美容成分送出部と、を備え、
前記霧化部は、磁束を発生する磁束発生部を有し、前記磁束発生部は導電体に対して磁束を発生して誘導加熱により前記導電体が発する熱を前記美容成分の一部に熱伝導させて前記美容成分を加熱し、
前記制御部は、前記導電体を誘導加熱により加熱するに際し、前記磁束発生部に供給する交流電流の周波数及び/又は電力を調整して前記美容成分の霧化量を制御する、理美容機器。
【請求項2】
前記美容成分が水分を含み、前記霧化部において、誘導加熱による前記導電体の加熱とともに、誘電加熱による美容成分中の水分の加熱により、前記美容成分保持部に保持された美容成分を加熱し、
前記制御部は、前記美容成分中の水分を誘電加熱により加熱するに際し、前記美容成分に対して電界を発生する電界発生部に供給する交流電流の周波数及び/又は前記美容成分に作用する電界の強度を調整して前記美容成分の霧化量を制御する、請求項1に記載の理美容機器。
【請求項3】
前記導電体が、次の条件(a)~(c)のいずれかを満たす、請求項1又は2に記載の理美容機器。
(a)前記美容成分が固体であり、前記導電体が前記美容成分の融点以上沸点以下にキュリー温度を有する。
(b)前記美容成分が準固体、かつ、水溶性であり、前記導電体が水の沸点以上にキュリー温度を有する。
(c)前記美容成分が準固体、かつ、非水溶性であり、前記導電体が前記美容成分の沸点以上にキュリー温度を有する。
【請求項4】
前記導電体が凸状部を少なくとも一部に有し、前記制御部はさらに、前記導電体の凸状部が、前記美容成分に対して埋入する部分の体積を調整することにより前記美容成分の霧化量を制御する、請求項1~3のいずれか1項に記載の理美容機器。
【請求項5】
前記美容成分又は前記美容成分保持部と、前記導電体の凸状部との相対位置を変更する駆動機構をさらに備え、前記制御部はさらに、前記駆動機構により、前記美容成分又は前記美容成分保持部と、前記導電体の凸状部との相対位置を変更することにより前記美容成分の霧化量を制御する、請求項4に記載の理美容機器。
【請求項6】
前記導電体が発する熱を前記美容成分に熱伝導させる伝熱部材をさらに備え、前記伝熱部材が凸状部を少なくとも一部に有し、前記制御部はさらに、前記伝熱部材の凸状部が、前記美容成分に対して埋入する部分の体積を調整することにより前記美容成分の霧化量を制御する、請求項1~3のいずれか1項に記載の理美容機器。
【請求項7】
前記美容成分又は前記美容成分保持部と、前記伝熱部材の凸状部との相対位置を変更する駆動機構をさらに備え、前記制御部はさらに、前記駆動機構により、前記美容成分又は前記美容成分保持部と、前記伝熱部材の凸状部との相対位置を変更することにより前記美容成分の霧化量を制御する、請求項6に記載の理美容機器。
【請求項8】
前記美容成分保持部が、円筒状、円盤状、又は板状からなり、かつ、回転可能に設けられ、前記制御部はさらに、前記美容成分保持部の回転速度を調整することにより前記美容成分の霧化量を制御する、請求項4~7のいずれか1項に記載の理美容機器。
【請求項9】
前記導電体が粉末状であって、前記粉末状の導電体と前記美容成分とが混合されてなる美容成分混合体が前記美容成分保持部に保持されている、請求項1~8のいずれか1項に記載の理美容機器。
【請求項10】
前記美容成分を、前記美容成分保持部から前記霧化部に搬送する美容成分搬送部をさらに備え、前記制御部はさらに、前記美容成分搬送部による前記美容成分の搬送速度を調整して前記美容成分の霧化量を制御する、請求項1~8のいずれか1項に記載の理美容機器。
【請求項11】
前記美容成分保持部が保持する美容成分の情報を入力する情報入力部をさらに備え、前記制御部は、前記情報入力部に入力された美容成分の情報に基づいて、前記美容成分の霧化及び/又は霧化量を制御する、請求項1~10のいずれか1項に記載の理美容機器。
【請求項12】
前記霧化部又は前記美容成分送出部から送出する前記美容成分の霧化量をセンシングする霧化量センサをさらに備え、前記霧化量センサがセンシングした霧化量の情報により、前記制御部は前記美容成分の霧化量を制御する、請求項1~11のいずれか1項に記載の理美容機器。
【請求項13】
前記霧化部により霧化した前記美容成分を、前記美容成分送出部を介して送風により外部に送出する送風部をさらに備える、請求項1~12のいずれか1項に記載の理美容機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、理美容機器に関する。
【背景技術】
【0002】
肌(頭皮含む)用、毛髪用又は爪用の美容成分は、例えば、肌又は毛髪等に対する美容効果の発揮又は生理機能の維持・向上を目的として、肌又は毛髪等に対して直接付与される。そのような美容成分を付与する機器としては、ヘアドライヤー、ストレートアイロン、美顔器等の理美容機器が知られている。例えば、特許文献1には、空気流を生成するファンと、空気流に霧化された液滴を付与する霧化装置、及び保持する美容成分を空気流に含まれる液滴を媒体として空気流に放出する美容成分保持部材等を備えるヘアドライヤーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のヘアドライヤーにおいては、美容成分を、液滴を媒体として空気流に放出するものであるため、美容成分そのものを微粒子(固体)のまま飛翔させることができないという問題がある。また、美容成分と液滴とが結合する機会が偶発的であるため、放出される美容成分の経時的な量が安定しないという問題もある。さらに、美容成分の噴霧制御が0及び100の2段階のみであるため、付与する美容成分の量について精密な制御ができないという問題もある。
【0005】
本開示は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本開示の目的は、常温で固体又は準固体である美容成分を霧化し、肌又は毛髪に対して所望の量を所望のタイミングで付与することができる理美容機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の態様に係る理美容機器は、常温で固体又は準固体である美容成分の少なくとも1種を保持する美容成分保持部と、美容成分保持部に保持された美容成分を加熱により霧化する霧化部と、霧化部により霧化する美容成分の霧化量を制御する制御部と、霧化部により霧化した美容成分を外部に送出する美容成分送出部と、を備え、霧化部は、磁束を発生する磁束発生部を有し、磁束発生部は導電体に対して磁束を発生して誘導加熱により導電体が発する熱を美容成分の一部に熱伝導させて美容成分を加熱し、制御部は、導電体を誘導加熱により加熱するに際し、磁束発生部に供給する交流電流の周波数及び/又は電力を調整して美容成分の霧化量を制御する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、常温で固体又は準固体である美容成分を霧化し、肌又は毛髪に対して所望の量を所望のタイミングで付与することができる理美容機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】(a)導電体に印加する電源電力強度に対する導電体温度の関係について示すグラフ、(b)誘導加熱による美容成分の霧化において、導電体温度に対する霧化量の関係を示すグラフである。
【
図2】本実施形態の理美容機器の一例について、一部を透視して示す模式図である。
【
図3】本実施形態の理美容機器の一例について、一部を透視して示す模式図である。
【
図4】本実施形態の理美容機器の一例について、(a)導電体が美容成分に接触した状態、(b)導電体が美容成分に非接触の状態を示す模式図である。
【
図5】間欠制御におけるデューティ比に対する霧化量を示すグラフである。
【
図6】経時における間欠制御のオン・オフ(a)に対する霧化量(b)との関係を示すグラフである。
【
図7】(a)回転速度に対する美容成分の霧化量について示すグラフ、(b)導電体の凸状部が、美容成分に対して埋入する部分の体積に対する美容成分の霧化量について示すグラフである。
【
図8】本実施形態の理美容機器における美容成分搬送部の一例を示す模式図である。
【
図9】
図8に示す形態において、経時に対する美容成分の質量の推移、及び加熱温度との関係について示すグラフである。
【
図10】本実施形態の理美容機器における美容成分搬送部の一例を示す模式図である。
【
図11】本実施形態の理美容機器の霧化部の別の例について説明する模式図である。
【
図12】
図11に示す霧化部における、(a)磁束発生部を模式的に示す斜視図、(b)磁束発生部に交流電流を供給したときの磁力線及び電気力線の状態を概念的に示す断面図である。
【
図13】本実施形態の理美容機器の霧化部の別の例について説明する模式図である。
【
図14】本実施形態の理美容機器の一形態であるヘアドライヤーを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0010】
本実施形態の理美容機器は、常温で固体又は準固体である美容成分の少なくとも1種を保持する美容成分保持部を備える。また、美容成分保持部に保持された美容成分を加熱により霧化する霧化部を備える。さらに、霧化部により霧化する美容成分の霧化量を制御する制御部を備える。さらに、霧化部により霧化した美容成分を外部に送出する美容成分送出部を備える。そして、霧化部は、磁束を発生する磁束発生部を有し、磁束発生部は導電体に対して磁束を発生して誘導加熱により導電体が発する熱を美容成分の一部に熱伝導させて美容成分を加熱する。また、制御部は、導電体を誘導加熱により加熱するに際し、磁束発生部に供給する交流電流の周波数及び/又は電力を調整して美容成分の霧化量を制御する。
なお、「常温」とは具体的には25℃である。
【0011】
本実施形態に係る美容成分は、常温で固体又は準固体であり、加熱により霧化し得るものである。ここで、固体とは、25℃での粘度が200Pa・s以上の物質を意味する。また、準固体とは、25℃において、機械的な力を加えない限り流動性を有さず固体の外観を呈する物質であり、具体的には、25℃での粘度が1~200Pa・sの物質を意味する。
【0012】
霧化する際の加熱温度は、使用する美容成分の融点によっても異なるが、50~250℃であることが好ましく、80~250℃であることが好ましい。当該加熱温度が50~250℃であれば、理美容機器内において達成可能な温度であり、美容成分の霧化が比較的容易である。また、霧化により生成する美容成分の微粒子の平均粒径は1μm以下であることが好ましく、300nm以下であることがより好ましい。平均粒径が1μm以下であると、霧状となって、肌又は毛髪の表面に均一に付着させることができ、少量で高い効果を得ることができる。また、上記微粒子は、肌又は毛髪に浸透せず、表面に留まり、美容効果を発揮する。美容効果としては、肌に対しては、収れん効果、角層の細胞間脂質を整え保水力を高める、柔軟性を高める、角層細胞の接着剥離を促し、不要な角層を排出するといった効果が挙げられる。また、毛髪に対しては、うねりやつやの改善、水分保持、有効成分(他の成分)の浸透を促進する効果等が挙げられる。
なお、生成した微粒子の平均粒径は、レーザー回折・散乱法により測定した粒度分布における積算値50%のメジアン径である。
【0013】
本実施形態において、美容成分としては、上記加熱温度範囲内に融点又は昇華点が存在するものであることが好ましい。加熱により霧化し、平均粒径1μm以下の微粒子を生成しやすいためである。なお、本実施形態において用いる美容成分は加熱によって融点又は昇華点に達すると、好ましくは平均粒径1μm以下の微粒子を生成するものであり、加熱のみによりそのような微粒子を生成可能である。すなわち、美容成分を平均粒径1μm以下の微粒子とするに当たり、加熱以外の処理は必ずしも必要はない。ただし、美容成分として、マイカ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、ケイ素、プラチナ、金、銀、亜鉛等の金属を用いる場合、上記のような微粒子とするためには、予め平均粒径が0.1~1μmの微粉末とすることが好ましい。また、本実施形態の美容成分は、人の肌又は毛髪に付与するものであるから、人体に無害のものを用いる。
【0014】
常温で固体の美容成分としては、例えば、
コラーゲン、エラスチン、ケラチン等のタンパク質;
各種ペプチド;
リジン、フェニルアラニン、アラニン、アルギニン、セリン、システイン、グリシン、プロリン等のアミノ酸;
セラミド類;
コハク酸、マレイン酸、フマル酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等の有機酸;
プロテオグリカン;
各種ビタミン;
マイカ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、ケイ素、プラチナ、金、銀、亜鉛等の金属;
塩化リゾチーム、プロテアーゼ、パパイン等の酵素;
DNA核酸、リボ核酸等の核酸;
アスタキサンチン、ルテイン、カテキン等の抗酸化成分;
イソフラボン、デュタステリド、フィナステリド等のホルモン;
ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、スフィンゴ糖脂質、ベヘニルアルコール、ステアリルアルコール、コレステロール、水添レシチン等の脂質;
トレハロース、デキストラン、デキストリン、プルラン、シクロデキストリン、マルチトール等の糖質;
コンドロイチン硫酸、キトサン、キチン等の多糖類;
尿素;
グリチルリチン酸;
グリチルリチン酸ジカリウム;等が用いられる。
【0015】
常温で準固体の美容成分としては、例えば、
ワセリン、ろう(ワックス)、シア脂、ヤシ油、エステル類、18MEA(18メチルエイコサン)等の脂質;
ヒアルロン酸、コンドロイチン等の多糖類;が用いられる。
【0016】
本実施形態においては、美容成分としては、2種以上含有し、それぞれの融点が異なるようにすることができる。融点が異なる2種以上の美容成分を含有することにより、加熱温度に応じて霧化するタイミングを異ならせること、又は霧化量を変化させることができる。
【0017】
本実施形態において、美容成分は、常温で固体又は準固体であるが、具体的な形状は、粉末状でも固形状(塊状、シート状等)でもよい。
【0018】
本実施形態の理美容機器においては、誘導加熱により加熱される導電体が発する熱を美容成分の一部に熱伝導させて美容成分を加熱して霧化する。本実施形態において、誘導加熱により導電体を発熱させる態様としては、以下の(1)及び(2)の2つの態様がある。
(1)磁束発生部を誘導加熱コイルとし、導電体に誘導加熱コイルを巻回し、誘導加熱コイルに高周波交流電流を給電することで、誘導加熱により導電体を発熱させる。
(2)磁束発生部を、例えば、櫛状電極、コムラインアンテナ、パッチアンテナ等とし、導電体と櫛状電極等とを近接した状態で配置し、誘導加熱コイルに高周波交流電流を給電することで、誘導加熱により導電体を発熱させる。
上記(1)及び(2)のいずれの態様も、給電する高周波交流電流の周波数及び/又は電力を高めるほど発熱量は増大する。すなわち、給電する高周波交流電流の周波数及び/又は電力を調整することにより、所望の加熱温度とすることができる。
一方、(2)の態様においては、櫛状電極等と導電体との距離が近いほど誘導加熱コイルによる磁界強度が大きくなり、発熱量が増大する。すなわち、櫛状電極等と導電体との距離を調整することによっても、所望の加熱温度とすることができる。従って、(2)の態様においては、給電する高周波交流電流の周波数、電力、及び櫛状電極等と導電体との距離(すなわち、磁界強度)の少なくともいずれか1つにより加熱温度を調整することができる。
なお、本実施形態において、磁束発生部たる誘導加熱コイルに供給する高周波交流電流の周波数は1kHz~1MHzとすることができる。また、磁界の強度は、磁束発生部たる誘導加熱コイルに供給する電力により調整することができ、当該電力は10~50Wとすることが好ましい。なお、磁束発生部から電界を発生させ、誘電加熱による加熱をする場合の周波数は後述する。
【0019】
本実施形態の理美容機器において用いる導電体としては、金属材料、導電性非金属材料等を使用することができる。金属材料としては、例えば、鉄、銅、銀、金、アルミニウム、ニッケル、コバルト、白金、亜鉛、鉛、セリウム、ステンレス鋼等が挙げられる。また、金属材料としては、鉄、ニッケルを多く含む合金、又は金属酸化物も挙げられる。導電性非金属材料としては、例えば、カーボンブラック、炭素繊維、グラフェン等が挙げられる。
中でも、導電体としては、キュリー温度を有する導電体(強磁性体)であることが好ましい。キュリー温度は、その温度以上では強磁性の性質が失われる温度である。キュリー温度を有する導電体は、キュリー温度に達すると強磁性の性質が失われ誘導加熱されなくなる。
図1(a)に、導電体に印加する電源電力に対する導電体温度の関係についてグラフで示す。
図1(a)において、実線はキュリー温度が200℃の導電体の場合であり、破線はキュリー温度が175℃の導電体の場合である。
図1(a)に示すように、電源電力が高くなっても、キュリー温度を超える温度とはならないことが分かる。
一方、
図1(b)において、実線は、キュリー温度が175℃の導電体により融点が150℃の美容成分Aを加熱した場合における、導電体温度に対する美容成分の霧化量の関係をグラフで示す。美容成分Aは融点150℃に達すると霧化が始まり、その後、導電体のキュリー温度である175℃に達すると誘導加熱されなくなるが、その後もしばらく霧化量が増大する。また、破線は、キュリー温度が200℃の導電体により融点が175℃の美容成分Bを加熱した場合における、導電体温度に対する美容成分の霧化量の関係をグラフで示す。美容成分Bは融点175℃に達すると霧化が始まり、その後、導電体のキュリー温度である200℃に達すると誘導加熱されなくなるが、その後もしばらく霧化量が増大する。以上のように、適切なキュリー温度を有する導電体を用いることにより、美容成分が過度に加熱されることを防止することができる。そのため、美容成分の分解又は酸化を低減することが可能となる。そこで、導電体は、次の条件(a)~(c)のいずれかを満たすことが好ましい。条件(a)~(c)を満たす導電体を用いることで、美容成分の霧化と分解又は酸化の低減の両立を図ることができる。
(a)美容成分が固体であり、導電体が美容成分の融点以上沸点以下にキュリー温度を有する。
(b)美容成分が準固体、かつ、水溶性であり、導電体が水の沸点以上にキュリー温度を有する。
(c)美容成分が準固体、かつ、非水溶性であり、導電体が美容成分の沸点以上にキュリー温度を有する。
なお、導電体のキュリー温度は、強磁性体の組成比を適宜設定することにより変更することができる。例えば、Fe-Ni-Cr-Ti合金の組成比を設定することで得ることができる。
【0020】
導電体の形態としては、例えば、柱状、板状、粉末状、焼結体状、金属メッシュ状等が挙げられる。柱状の場合は、円柱状でも角柱状でもよい。板状の場合は、円盤状でも角盤状でもよい。いずれの形態であっても、美容成分に接近した状態で配置することにより、誘導加熱による加熱される導電体が発する熱により美容成分を加熱することができる。ただし、以下に示す、導電体が発する熱を美容成分に熱伝導させる伝熱部材を備える場合は、伝熱部材と美容成分とが接近していればよいため、必ずしも導電体と美容成分とを接近させる必要はない。
【0021】
本実施形態においては、導電体が発する熱を美容成分に熱伝導させる伝熱部材をさらに備えてもよい。そして、伝熱部材は、伝熱効率の観点から、導電体に直結することが好ましい。
【0022】
また、導電体は、凸状部を少なくとも一部に有する構成とすることが好ましい。そして、制御部はさらに(磁束発生部に供給する交流電流の周波数及び/又は電力の調整に加えて)、導電体の凸状部が、美容成分に対して埋入する部分の体積を調整することにより美容成分の霧化量を制御することができる。例えば、導電体の形状が柱状であれば、先端の凸状部を美容成分に埋入することができるし、側面に凸状部を形成し、当該凸状部を美容成分に埋入することができる。そして、導電体の凸状部が美容成分に埋入する体積を調整することにより、美容成分の加熱を調整することができる。凸状部は針状であってもよい。
【0023】
図2を参照して、導電体の凸状部を美容成分に埋入させて加熱する形態について説明する。
図2に示す理美容機器は、円筒形のハウジング内に磁束発生部として誘導加熱コイル14と、導電体20と、導電体20に直結された伝熱部材30と、交流電源16とを含む霧化部を備える。霧化部の下方には、美容成分34を保持する美容成分保持部32を備える。さらに、美容成分保持部32の下方には、モーター36の駆動により回転するファン(送風部)38を備える。円筒形のハウジングの上縁部の開口は、霧化部により霧化した美容成分の微粒子42を外部に送出する美容成分送出部40をなす。すなわち、ファン38の回転によって発生した送風により、霧化部により霧化した美容成分は、美容成分送出部40を介して外部に送出する。また、制御部18は、交流電源16を制御することにより、誘導加熱コイル14に供給する交流電流の周波数及び/又は電力を調整して美容成分の霧化量を制御する。なお、
図2において、制御部18周辺の電気配線を省略している。
【0024】
図2において、導電体20は、伝熱部材30と直結し、誘導加熱により加熱される導電体20が発する熱は伝熱部材30に伝熱させる。伝熱部材30の先端部は、美容成分保持部32に保持された美容成分34に埋入しており、伝熱部材30に伝熱された導電体20の熱により美容成分34が加熱される。
【0025】
誘導加熱コイル14と、導電体20と、伝熱部材30と、交流電源16とを含む霧化部は、不図示の駆動機構により、鉛直方向及び水平方向(
図2の矢線方向)に移動可能に設けられており、駆動機構は制御部が制御する。そして、霧化部を鉛直方向に移動することで、伝熱部材30の先端(凸状部)が、美容成分34に対して埋入する部分の体積を調整することができる。当該体積を調整することにより、美容成分34の加熱エリアが変動し、美容成分の霧化量を制御することができる。伝熱部材30の先端(凸状部)は、美容成分34中を満遍なく移動することができる。
【0026】
次に、粉末状の導電体を用いる場合について説明する。粉末状の導電体を用いる場合、粉末状の導電体と美容成分とが混合されてなる美容成分混合体とし、美容成分保持部に保持されることが好ましい。そして、美容成分混合体に誘導加熱コイルを近づけた状態で高周波交流電流を供給すると、誘導加熱により導電体が加熱され、導電体が発する熱により美容成分が加熱され霧化する。
粉末状の導電体と美容成分とが混合されてなる美容成分混合体において、美容成分に対する導電体の体積比率は、加熱効率の観点から5~50質量%とすることが好ましい。粉末状の導電体としては、強磁性体であるFe、Co、Ni、Ce、又はFe、Co、Ni、Ceの酸化物が挙げられ、人体に影響の少ないFe、Ceが好ましい。
【0027】
図3に示す理美容機器は、粉末状の導電体を用いた形態を示す。
図3に示す理美容機器は、導電体として、粉末状の導電体を用いた点で
図2に示す形態とは異なる。すなわち、粉末状の導電体と粉末状の美容成分とが混合されてなる美容成分混合体を用いた形態である。
図3に示す理美容機器は、円筒形のハウジング内に誘導加熱コイル14と、誘導加熱コイル14と電気的に接続された交流電源(不図示)と、誘導加熱コイル14を支持するコイル支持部材48を含む霧化部を備える。円筒形のハウジングの下側部には、粉末状の導電体と粉末状の美容成分とが混合されてなる美容成分混合体46を保持する美容成分保持部32を備える。
図3においては、誘導加熱コイル14は、美容成分混合体46内に埋入した状態を示している。さらに、美容成分保持部32の下方には、モーター36の駆動により回転するファン(送風部)38を備える。円筒形のハウジングの上縁部の開口は、霧化部により霧化した美容成分の微粒子42を外部に送出する美容成分送出部40をなす。すなわち、ファン38の回転によって発生した送風により、霧化部により霧化した美容成分は、美容成分送出部40を介して外部に送出される。美容成分送出部40には、霧化量センサ44が設けられており、霧化量センサ44は、美容成分送出部40から送出される霧化量をセンシングする。また、制御部18は、交流電源を制御することにより、誘導加熱コイル14に供給する交流電流の周波数及び/又は電力、又は誘導加熱コイル14の美容成分混合体46への埋入体積の調整することで、美容成分の霧化量を制御する。このとき、制御部18は、霧化量センサ44がセンシングした霧化量の情報により、美容成分の霧化量を制御することができる。例えば、霧化量センサ44による霧化量の情報が、設定した霧化量より少ない場合には、美容成分混合体46中の粉末状の導電体に作用する周波数を高くする、又は誘導加熱コイル14の美容成分混合体46への埋入体積を大きくする。そのようにすることで、霧化量を増加することができる。なお、
図3において、制御部18周辺の電気配線を省略している。
【0028】
本実施形態の理美容機器において、美容成分保持部は、円筒状、円盤状、又は板状から構成することもできる。そして、そのような形態の美容成分保持部を回転可能に設け、制御部がさらに、美容成分保持部の回転速度を調整することにより美容成分の霧化量を制御することができる。そのような形態について
図4に示す。
図4においては、回転する円盤状の美容成分保持部54に対して、導電体52の凸状部53を接触させて加熱する形態である。具体的には、ハウジング50内には、誘導加熱コイル14が巻回された柱状の導電体52を備える。導電体52の先端部近傍には、凸状部53が形成され、凸状部53の対向位置に円盤状の美容成分保持部54が配置されている。美容成分保持部54の下部には、モーター56の回転軸を有し、美容成分保持部54は、モーター56により回転することができる。さらに、ハウジング50は、美容成分保持部54と、導電体52の凸状部53との相対位置を変更する駆動機構(不図示)を備える。一方、美容成分保持部54の上方には、変位センサ58が設けられており、導電体52の凸状部53の位置をセンシング可能である。
図4(a)は、円盤状の美容成分保持部54が回転速度ωで回転した状態で、かつ、導電体52の凸状部53が美容成分保持部54に接触した状態を示している。
図4(b)は、円盤状の美容成分保持部54が静止した状態で、かつ、導電体52の凸状部53が美容成分保持部54に保持された美容成分55から離間した状態を示している。すなわち、導電体52は駆動機構により、
図4(a)に示す、導電体52の凸状部53が美容成分55に接触した接触状態の位置と、
図4(b)に示す、導電体52の凸状部53が美容成分55に非接触の非接触状態の位置との間を変位する。そして、導電体52の凸状部53が美容成分55に接触した接触状態となったときに美容成分55が加熱されて霧化する。
図7(a)は、美容成分保持部54の回転速度に対する霧化量について示すグラフであり、美容成分保持部54の回転速度に応じて霧化量が変化することが分かる。すなわち、美容成分保持部54の回転速度が一定速度までは霧化量が増加するが、一定速度を超えた後は霧化量が減少する。
以上の構成において、一定のタイミングで、導電体52の凸状部53と美容成分55との接触状態及び非接触状態を間欠的に行うことで、導電体52の凸状部53と美容成分55との接触頻度を一定にすることができ、霧化量を安定化することができる。
なお、
図4においては、美容成分保持部54を固定して、導電体52の凸状部53を変位させる形態であるが、美容成分保持部54を変位させてもよいし、さらには双方ともに変位させてもよい。
【0029】
図5は、霧化される美容成分について、間欠制御におけるデューティ比に対する霧化量との関係を示す。
図5において、デューティ比50%のときに霧化量が2mg/Lとなっている。このようなデューティ比50%を実現するには、
図6(a)に示すように、5秒毎に搬送のオン・オフを制御することで、
図6(b)に示すような、経時的な霧化量の変化となる。
【0030】
一方、以上の
図4の説明においては、導電体52の凸状部53が美容成分55に対して接触状態及び非接触状態の2つの状態について説明した。さらに、接触状態については、導電体52の凸状部53を美容成分55に対して埋入する部分の体積を調整することで霧化量を制御することができる。また、
図7(b)においては、導電体52の凸状部53を美容成分55に対して埋入する部分の体積に対する霧化量について示すグラフであり、当該埋入体積が増加するほど霧化量が増加することが分かる。
図4においては、導電体52の凸状部53が美容成分55に対して埋入する形態を示したが、導電体に伝熱部材が直結しており、伝熱部材に形成された凸状部が美容成分に対して埋入する形態としてもよい。その場合も、凸状部が美容成分に埋入する部分の体積を調整することで霧化量を制御することができる。
【0031】
図2~
図4の各例においてはいずれも、美容成分保持部の近傍に霧化部が存在する形態であるが、美容成分保持部と霧化部とは離れていてもよく、その場合、美容成分を霧化部の近傍に搬送するための美容成分搬送部を設けることが好ましい。特に、美容成分保持部に保持される美容成分が粉末状である場合、粉末状の美容成分を美容成分保持部から霧化部に向けて搬送する美容成分搬送部を備える構成とすることができる。そして、その場合、制御部は、美容成分の霧化部に向けての搬送が間欠的に行われるように制御することができる。より具体的には、美容成分を、必要な時に必要な量を補充することで美容成分の無駄な消費を抑えることができる。また、美容成分を使用時以外は別途容器中に保管することができるため、変性又は酸化を抑制することができる。
【0032】
美容成分搬送部の一例を
図8に示す。
図8に示す美容成分搬送部は、一側に、粉末状の美容成分が保持される美容成分保持部62を有し、他側に、粉末状の美容成分が搬出される搬出部68を有するシリンダー60を備える。シリンダー60の内部にはスクリュー64を備え、スクリュー64の回転軸には駆動用のモーター66が接続されている。一方、搬出部68の下方には、美容成分保持部75が設けられている。美容成分保持部75には、ハウジング70内に配置された、誘導加熱コイル14が巻回された導電体72を有している。また、美容成分保持部75には質量センサ74が設けられており、質量センサ74は不図示の制御部に接続されている。
以上の状態で、美容成分保持部32に保持された粉末の美容成分はスクリュー64の回転により上方向に搬送される。粉末の美容成分がシリンダー60の上端部に達すると搬出部68から下方に位置する美容成分保持部75内に落下する。美容成分保持部75内に落下した美容成分76が一定量に達したことを質量センサ74が検知すると、制御部は、誘導加熱コイル14に高周波交流電流を供給し、導電体72を発熱させる。すると、導電体72の熱が美容成分76に伝熱され、美容成分76は霧化して微粒子78となる。すなわち、
図8に示す形態においては、スクリュー64を回転させるモーター66のオン・オフ又は回転速度の調整により美容成分の供給量を制御することができる。すなわち、美容成分搬送部による美容成分の搬送速度を調整して美容成分の霧化量を制御することができる。
【0033】
図9に、美容成分搬送部により搬送した美容成分を加熱するときにおける、経時での質量変化と温度変化をグラフで示す。
図9に示すグラフにおいて、実線は経時における美容成分76の質量を示している。また、破線は、経時における美容成分保持部の温度を示している。すなわち、点Aにおいて交流電源がオンになり美容成分の搬送が開始すると、美容成分保持部75に美容成分76が一定量蓄積される(点B)。その時、誘導加熱コイル14に高周波交流電流が供給されると、導電体72が発熱し、美容成分保持部75の美容成分76が加熱され温度が上昇する。ただし、導電体72のキュリー温度を超える温度にはならない。温度が美容成分の融点に達すると霧化が開始される(点C)。霧化が継続するにつれ、美容成分保持部75内の美容成分76が減少し、やがてすべての美容成分76が霧化する(点D)。
図9のハッチング領域は霧化した美容成分の全量を示す。その後、再度美容成分の搬送が開始され、霧化に供される。
【0034】
図8においては、スクリュー64によって美容成分を所定の位置に搬送する形態について示したが、ブロワーによる搬送であってもよい。以下に、ブロワーによって美容成分を搬送する形態について
図10を参照して説明する。
【0035】
図10に示す美容成分搬送部は、円筒形に、上下面とも開口となっている中空円錐台形を結合した形状のハウジング71を有し、ハウジング71内の中央部に、タブレット状の美容成分73を両端から押圧して保持する美容成分保持部77を有する。美容成分73は、粉末状の美容成分を固めてタブレット状にしたものである。ハウジング71の上部には美容成分73に向けてエアを噴出するブロワー81を有し、下部にはハウジング71の内外を遮蔽するシャッター83を有する。シャッター83には、モーター85が接続しており、シャッター83はモーター85の駆動により開閉する。
一方、シャッター83の下方には、美容成分保持部75が設けられている。美容成分保持部75には、ハウジング70内に配置された、誘導加熱コイル14が巻回された導電体72を有している。また、美容成分保持部75には質量センサ74が設けられており、質量センサ74は不図示の制御部に接続されている。
以上の状態で、シャッター83を開状態とし、ブロワー81から美容成分73に向けてエアを噴出すると、美容成分73は粉砕されて粉砕体79となり下部に落下する。美容成分保持部75内に落下した美容成分73の粉砕体79が一定量に達したことを質量センサ74が検知すると、制御部は、誘導加熱コイル14に高周波交流電流を供給し、導電体72を発熱させる。すると、導電体72の熱が美容成分73の粉砕体79に伝熱され、粉砕体79は霧化して微粒子78となる。すなわち、
図10に示す形態においては、ブロワー81及びシャッター83のオン・オフの制御により美容成分の供給量を制御することができる。ひいては、美容成分の霧化量を制御することができる。
【0036】
本実施形態の理美容機器においては、霧化により生じた美容成分の微粒子の空間濃度は数十mg/m3以下であることが好ましい。美容成分の微粒子の空間濃度を数mg/m3以下とすることにより、臭気を放つものであっても、臭気が気にならない程度に低減することができる。
【0037】
次いで、美容成分が水分を含む場合において、誘導加熱と誘電加熱とを併用して美容成分を加熱して霧化する形態について説明する。
図11は、当該形態において、美容成分保持部に保持された美容成分を加熱により霧化する霧化部を模式的に示している。
図11において、円柱状の導電体20の周囲に美容成分22を円筒状に付着させた状態を示しており、導電体20は美容成分22を保持する機能をも有し、美容成分保持部を兼ねている。また、導電体20及び美容成分22の下方には、電極基板17上に櫛状電極15を有する磁束発生部13が位置している。なお、後述するように、磁束発生部13は電界発生部としての役割も果たす。磁束発生部13の下部には、駆動機構12が設けられており、駆動機構12により磁束発生部13は上下方向に変位することができる。櫛状電極15は、交流電源16に接続されており、交流電源16から櫛状電極15に高周波交流電流が供給される。また、交流電源16及び駆動機構12は制御部18に接続されており、制御部18は、交流電源16及び駆動機構12を制御する。すなわち、制御部18により、磁束発生部13を導電体20及び美容成分22に近づけたり、遠ざけたりするように駆動機構12が制御される。
図11(a)の状態が、磁束発生部13が導電体20及び美容成分22に近づいた状態を示す。また、
図11(b)に示す形態が、磁束発生部13が導電体20及び美容成分22から遠ざかった状態を示す。すなわち、
図11(a)、(b)のそれぞれにおいて、磁束発生部13と導電体20の中心軸との距離X
1、X
2は、X
1<X
2の関係にある。
【0038】
磁束発生部13に交流電源16から交流電流を供給したときの状態について
図12を参照して説明する。
図12(a)に示すように、櫛状電極15は、櫛状電極15Aと、櫛状電極15Bとからなり、櫛状電極15A及び櫛状電極15Bの一端はそれぞれ交流電源16の各出力端子に接続されている。電極基板17上において、櫛状電極15Aと櫛状電極15Bとは向き合っているが、それぞれ互いに接触しないように配置されている。交流電源16から櫛状電極15に高周波交流電流を供給すると、
図12(b)に示すように、櫛状電極15Aと櫛状電極15Bとの間に磁束(磁力線;一点鎖線)と電界(電気力線;破線)とを生じる。すなわち、櫛状電極15は、磁束発生部としての役割のみならず、電界発生部としての役割を果たす。なお、
図12(b)は、櫛状電極15と直交する中心線に沿った断面図の一部を示すが、磁力線がはっきりと視認できるようにするため断面を示すハッチングは省略している。
【0039】
交流電源16から櫛状電極15に交流電流を供給すると、上記のように磁束が発生し、誘導加熱により導電体20が発熱する。そして、導電体20の発熱により美容成分22が加熱され、融点に達すると霧化する。
【0040】
ここで、美容成分に水分が含まれる場合、交流電源16から供給される交流電流が一定以上の周波数であると、誘電加熱により誘電体たる水分が発熱する。すなわち、美容成分に水分が含まれる場合、誘導加熱及び誘電加熱の双方によって美容成分を加熱することができる。交流電流の周波数としては、10~30MHzとすることが好ましい。
【0041】
櫛状電極15による電界強度は誘電体(水分)との距離の二乗に比例して弱くなるが、電界が作用する面積は誘電体との距離の二乗に比例して広くなる。すなわち、櫛状電極15と美容成分との距離が2倍になり、交流電源の電力が1倍であると、電界強度は1/4倍となり、加熱される美容成分22の面積は4倍となる。従って、美容成分に作用する熱流束は距離が2倍になると1/4倍となり、美容成分が融点以上である場合は、美容成分と空気との接触面積が増大することで霧化量は増加する。(ただし、美容成分の温度が低下するため4倍とはならない)。あるいは美容成分が融点以下の場合は霧化しない。
櫛状電極15と美容成分との距離が2倍になり、交流電源の電力が4倍であると、電界強度は1倍となり、加熱される美容成分22の面積は4倍となる。従って、美容成分に作用する熱流束は距離が2倍になると1倍となり、美容成分が融点以上である場合は、美容成分と空気との接触面積が増大することで霧化量は4倍以上増加する。
なお、
図11において、各櫛状電極15の上方に示す一点鎖線は、電界が作用する領域を示している。また、
図11においては、電界が作用する領域を示したが、磁界強度も距離の二乗に反比例して弱くなるため、電界と同じ挙動となる。従って、磁界が作用する領域も
図11において一点鎖線で示す領域となる。
以上より、美容成分22と櫛状電極15との距離を調整することにより、霧化量を制御することができる。すなわち、制御部18は、駆動機構12を制御することで霧化量を調整することができる。
【0042】
次に、粉末状の導電体を用いる場合について説明する。
図13は、粉末状の導電体と美容成分とが混合されてなる美容成分混合体を用いた形態を示している。
図13において、美容成分保持部24に保持された美容成分混合体26の下方に、電極基板17上に櫛状電極15を有する磁束発生部13が位置している。磁束発生部13は、
図11に示した磁束発生部13と同様であり、同一部材には同一の符号を付して説明を省略する。美容成分混合体26は、粉末状の導電体と粉末状の美容成分とが混合され、結合剤により固化されたものである。そして、美容成分保持部24に対して、磁束発生部13により磁束を発生させると誘導加熱により、粉末状の導電体が加熱され、導電体が発する熱により美容成分が加熱され霧化する。なお、
図13において、美容成分保持部24の材料を導電体とすれば、美容成分保持部24の導電体の発熱と、美容成分混合体26中の粉末状の導電体の発熱との双方により粉末状の美容成分を加熱することができる。
【0043】
以上、磁束発生部に櫛状電極を有する形態を示したが、櫛状電極の他、電波源としてマグネトロン、又は半導体発振器、アンテナとして導波路等を使用することができる。
【0044】
図13においては、美容成分が粉末状である場合について示したが、美容成分が準固体である場合であっても、粉末状の導電体と美容成分とが混合されてなる美容成分混合体とすることができる。例えば、美容成分がゲル状の場合、粉末状の導電体を混合することで、ゲル状の美容成分中に粉末状の導電体が分散している状態の美容成分混合体とすることができる。
【0045】
以上の
図11~
図13に示す形態においては、制御部は、導電体に対して磁束を発生する磁束発生部に供給する交流電流の周波数及び/又は電力を制御することにより、美容成分の加熱、すなわち霧化量を調整することができる。また、磁束発生部13と導電体との距離、磁束発生部13と導電体との相対移動速度を制御することよっても霧化量を調整することができる。
【0046】
以下に、本実施形態の理美容機器を適用した具体的な形態として、ヘアドライヤーについて示す。
【0047】
図14はヘアドライヤー80の断面図を示す。
図14に示すヘアドライヤー80は、一般的なヘアドライヤーに対して、上記のような、美容成分を毛髪に付与する機能を搭載したものである。ヘアドライヤー80は、一般的なドライヤーの機能として、ファン82と、ファン82を駆動するモーター84と、ヒーター86とを有する。すなわち、ファン82の回転により気流が生じ、ヒーター86により気流が加熱されて温風となる。温風は隔壁90の下部に位置する送風口88から送出される。ヒーター86がオフ状態のときは冷風が送出される。なお、モーター84及びヒーター86は制御部94に電気的に接続されており、制御部94はスイッチ96の操作に従い各部材への通電を制御する。
【0048】
以上が、一般的なヘアドライヤーの機能である。ヘアドライヤー80は、さらに、隔壁90の上部に、
図4に示す霧化部を備える。
図14において、
図4を同じ部材には同じ符号を付しているため、ここでは符号の説明は省略する。
図4において説明したように、回転する円盤状の美容成分保持部54に保持された美容成分55に対して、導電体52の凸状部53を接触させて加熱する。そして、導電体52は駆動機構により、導電体52の凸状部53が美容成分55に接触した接触状態と、導電体52の凸状部53が美容成分55に非接触となった非接触状態とに切り替えることができる。すなわち、美容成分を毛髪に付与するときにのみ霧化部を作動し、作動時においては、美容成分保持部54の回転速度又は導電体52の凸状部53が美容成分55に対して埋入する部分の体積を調整することで霧化量を制御することができる。そして、霧化した美容成分55はファン82による送風により外部に放出され、毛髪に付着する。
【0049】
図14においては、ヘアドライヤー80の本体の上部に霧化部を設けたが、霧化した美容成分が、ファン82による送風により送出されるのであれば、どの位置に設けてもよい。
【0050】
本実施形態の理美容機器においては、美容成分保持部が保持する美容成分の情報を入力する情報入力部をさらに備える構成とすることが好ましい。そのような構成により、制御部は、情報入力部に入力された美容成分の情報に基づいて、美容成分の霧化及び/又は霧化量を制御することができる。美容成分の情報としては、美容成分の種類、融点、沸点、分解点、比熱、誘電率、重量等が挙げられる。そして、例えば、美容成分の融点について情報入力部に入力することで、美容成分の融点に適した加熱温度を制御部が設定して加熱することができる。そのため、過度な加熱により、美容成分が酸化、劣化するのを防止することができる。
【0051】
以上の構成は、美容成分保持部が1つのみの構成であるが、美容成分保持部を2以上とし、それぞれに保持される美容成分の種類を異ならせてもよい。その場合、2以上の美容成分保持部に保持される美容成分の種類を認識し、認識した美容成分の種類に基づいて霧化部を制御する構成とすることが好ましい。例えば、美容成分の種類が異なることで融点が異なるが、それぞれの美容成分の融点に適した加熱温度を制御部が設定して加熱することで美容成分に合わせた昇温が可能であり、熱による酸化、劣化を低減することができる。また、美容成分が2種類以上あれば、霧化するタイミング、霧化量を変化させることができる。
美容成分保持部に保持された美容成分の種類を認識する手段としては、吸光度、密度等を測定することによる直接的に認識する手段が挙げられる。又は、美容成分保持部に保持される美容成分を事前に決定しておき、決定した美容成分が保持される美容成分保持部を制御部が記憶し、その記憶に基づいて制御するようにしてもよい。
制御部は、状況に応じて最適な制御をするため、各美容成分の特性、使用状態、使用履歴を個別に設定、記憶できる構成とすることが好ましい。
【0052】
以下、実施の形態の理美容機器の特徴的構成およびそれにより得られる効果について述べる。
【0053】
(1)理美容機器は、常温で固体又は準固体である美容成分の少なくとも1種を保持する美容成分保持部を備える。また、美容成分保持部に保持された美容成分を加熱により霧化する霧化部を備える。さらに、霧化部により霧化する美容成分の霧化量を制御する制御部を備える。さらに、霧化部により霧化した美容成分を外部に送出する美容成分送出部を備える。そして、霧化部は、磁束を発生する磁束発生部を有し、磁束発生部は導電体に対して磁束を発生して誘導加熱により導電体が発する熱を美容成分の一部に熱伝導させて美容成分を加熱する。また、制御部は、導電体を誘導加熱により加熱するに際し、磁束発生部に供給する交流電流の周波数及び/又は電力を調整して美容成分の霧化量を制御する。
液滴を媒体とせず、美容成分そのものを霧化して微粒子として送出するため、美容成分自体からなる微粒子を肌又は毛髪に対して付与することができる。また、制御部が導電体に対して磁束を発生する磁束発生部に供給する交流電流の周波数及び/又は電力を調整することにより、所望のタイミングで適切な量の美容成分を肌や毛髪に与えることができる。さらに、簡易な構造で霧化量を精密に調整することができる。
【0054】
(2)美容成分が水分を含み、霧化部において、誘導加熱による導電体の加熱とともに、誘電加熱による美容成分中の水分の加熱により、美容成分保持部に保持された美容成分を加熱する。その場合、制御部は、美容成分中の水分を誘電加熱により加熱するに際し、美容成分に対して電界を発生する電界発生部に供給する交流電流の周波数及び/又は美容成分に作用する電界の強度を調整して美容成分の霧化量を制御する。
美容成分に水分が含まれる場合、誘導加熱に加え、誘電加熱でも美容成分中の水分を加熱することができるため加熱効率に優れる。
【0055】
(3)導電体が、次の条件(a)~(c)のいずれかを満たす。
(a)美容成分が固体であり、導電体が美容成分の融点以上沸点以下にキュリー温度を有する。
(b)美容成分が準固体、かつ、水溶性であり、導電体が水の沸点以上にキュリー温度を有する。
(c)美容成分が準固体、かつ、非水溶性であり、導電体が美容成分の沸点以上にキュリー温度を有する。
いずれの場合も、目標温度を導電体のキュリー温度以下とすれば、目標温度を超えることがない。また、導電体のキュリー温度を超える温度で美容成分が加熱されることがないため、美容成分の分解及び酸化を防止することができる。
【0056】
(4)導電体が凸状部を少なくとも一部に有し、制御部はさらに、導電体の凸状部が、美容成分に対して埋入する部分の体積を調整することにより美容成分の霧化量を制御する。
導電体の凸状部が美容成分に接触する体積を調整することにより霧化量を精密に調整することができる。また、霧化のロスを低減することで美容成分の補充頻度を減らすことができる。
【0057】
(5)美容成分又は美容成分保持部と、導電体の凸状部との相対位置を変更する駆動機構をさらに備える。また、制御部はさらに、駆動機構により、美容成分又は美容成分保持部と、導電体の凸状部との相対位置を変更することにより美容成分の霧化量を制御する。
導電体の凸状部との相対位置を変更することで、美容成分の霧化量をさらに精密に調整することができる。
【0058】
(6)導電体が発する熱を美容成分に熱伝導させる伝熱部材をさらに備える。また、伝熱部材が凸状部を少なくとも一部に有し、制御部はさらに、伝熱部材の凸状部が、美容成分に対して埋入する部分の体積を調整することにより美容成分の霧化量を制御する。
上記(3)と同様に、伝熱部材の凸状部が美容成分に接触する体積を調整することにより霧化量を精密に調整することができる。また、霧化のロスを低減することで美容成分の補充頻度を減らすことができる。
【0059】
(7)美容成分又は美容成分保持部と、伝熱部材の凸状部との相対位置を変更する駆動機構をさらに備える。また、制御部はさらに、駆動機構により、美容成分又は美容成分保持部と、伝熱部材の凸状部との相対位置を変更することにより美容成分の霧化量を制御する。
伝熱部材の凸状部との相対位置を変更することで、美容成分の霧化量をさらに精密に調整することができる。
【0060】
(8)美容成分保持部が、円筒状、円盤状、又は板状からなり、かつ、回転可能に設けられる。そして、制御部はさらに、美容成分保持部の回転速度を調整することにより美容成分の霧化量を制御する。
美容成分保持部を回転させることで、美容成分を無駄なく使用することができる。また、連続的、かつ、長時間の霧化動作をすることができる。
【0061】
(9)導電体が粉末状であって、粉末状の導電体と美容成分とが混合されてなる美容成分混合体が美容成分保持部に保持されている。
粉末状の導電体と美容成分とが混合された状態であるため、加熱した多数の粉末状の導電体により、美容成分は効率よく加熱される。そのため、温度立ち上がり効率が向上し、所望のタイミングで髪や肌に美容成分を付与することができる。
【0062】
(10)美容成分を、美容成分保持部から霧化部に搬送する美容成分搬送部をさらに備える。また、制御部はさらに、美容成分搬送部による美容成分の搬送速度を調整して美容成分の霧化量を制御する。
美容成分は、必要なときに必要なだけ供給されるとともに、搬送速度を調整することにより美容成分の霧化量を調整することができる。
【0063】
(11)美容成分保持部が保持する美容成分の情報を入力する情報入力部をさらに備える。また、制御部は、情報入力部に入力された美容成分の情報に基づいて、美容成分の霧化及び/又は霧化量を制御する。
美容成分の情報に基づき霧化することで、美容成分に適した加熱をすることができ、霧化効率に優れる。
【0064】
(12)霧化部又は美容成分送出部から送出する美容成分の霧化量をセンシングする霧化量センサをさらに備える。霧化量センサがセンシングした霧化量の情報により、制御部は美容成分の霧化量を制御する。
霧化量が測定しながら各部にフィードバックすることにより、霧化量を正確に制御することできる。
【0065】
(13)霧化部により霧化した美容成分を、美容成分送出部を介して送風により外部に送出する送風部をさらに備える。
霧化により生じた美容成分の微粒子を、より遠くに微粒子を飛ばすことができ、美容成分の付着量を向上することができる。
【0066】
(14)理美容機器は、常温で固体又は準固体である美容成分の少なくとも1種を保持する美容成分保持部を備える。また、美容成分保持部に保持された美容成分を加熱により霧化する霧化部を備える。さらに、霧化部により霧化する美容成分の霧化量を制御する制御部を備える。さらに、霧化部により霧化した美容成分を外部に送出する美容成分送出部を備える。そして、霧化部において、誘導加熱により加熱される導電体が発する熱を美容成分の一部に熱伝導させて美容成分を加熱し、霧化部における加熱は、美容成分の融点以上の温度となるように加熱して美容成分を微粒子化させる。
前記(1)と同様に、液滴を媒体とせず、美容成分そのものを霧化して微粒子として送出するため、美容成分自体からなる微粒子を肌又は毛髪に対して付与することができる。また、制御部が導電体に対して磁束を発生する磁束発生部に供給する交流電流の周波数及び/又は電力を調整することにより、所望のタイミングで適切な量の美容成分を肌や毛髪に与えることができる。さらに、簡易な構造で霧化量を精密に調整することができる。
【0067】
(15)美容成分の微粒子化の際、制御部は、誘導加熱に際して生じさせる磁界強度、誘導加熱に際して導電体に供給する交流電流の周波数、又は誘導加熱により加熱される導電体の美容成分への押込体積を制御する。あるいは、制御部は、押当て力(面積)若しくは押込深さ、誘導加熱により加熱される導電体と美容成分との摩擦力を制御する。あるいは、制御部は、誘導加熱により加熱される導電体と美容成分との接触時間(間欠)、又は誘導加熱により加熱される導電体と美容成分との相対移動速度を制御する。
制御部により、上記のように磁界強度など、種々の因子のうちいずれかを制御することにより霧化量を調整することができる。
【0068】
(16)霧化部又は美容成分送出部から送出する美容成分の霧化量を検知する霧化量センサを備え、霧化量センサが検知した霧化量の情報により、制御部は美容成分の霧化量を制御する。
霧化量の測定しながら各部にフィードバックすることにより、霧化量を正確に制御することできる。
【0069】
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本開示は、肌又は毛髪に対して美容効果を付与する理美容機器に適用可能である。具体的には、ヘアドライヤー、ストレートアイロン、カールアイロン、美顔器、頭皮ケア装置、ネイルケア装置などに、本開示は適用可能である。
【符号の説明】
【0071】
12 駆動機構
13 磁束発生部
14 誘導加熱コイル
15 櫛状電極
16 交流電源
17 電極基板
18 制御部
20 導電体
22 美容成分
24 美容成分保持部
26 美容成分混合体
30 伝熱部材
32 美容成分保持部
34 美容成分
36 モーター
38 ファン
40 美容成分送出部
42 微粒子
44 霧化量センサ
50 ハウジング
52 導電体
54 美容成分保持部
55 美容成分
56 モーター
58 変位センサ
60 シリンダー
62 美容成分保持部
64 スクリュー
66 モーター
68 搬出部
70 71 ハウジング
72 導電体
74 質量センサ
75 美容成分保持部
76 美容成分
78 微粒子
79 粉砕体
80 ヘアドライヤー
81 ブロワー
82 ファン
83 シャッター
84 85 モーター
86 ヒーター
88 92 送風口
90 隔壁
94 制御部
96 スイッチ