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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023050418
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】流体注入型アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   F15B 15/10 20060101AFI20230404BHJP
   A61F 2/08 20060101ALI20230404BHJP
   A61F 2/50 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
F15B15/10 H
A61F2/08
A61F2/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021160501
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000100805
【氏名又は名称】アイシン高丘株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(72)【発明者】
【氏名】近藤 清人
(72)【発明者】
【氏名】妹尾 武
(72)【発明者】
【氏名】川端 純平
【テーマコード(参考)】
3H081
4C097
【Fターム(参考)】
3H081AA02
3H081AA18
3H081BB01
3H081CC29
3H081DD14
3H081HH10
4C097AA20
4C097BB02
4C097CC01
4C097DD04
4C097DD12
4C097TA10
4C097TB01
4C097TB13
(57)【要約】
【課題】人工筋肉を長手方向に縮める方向及び伸ばす方向の力を発生することができる流体注入型アクチュエータを提供する。
【解決手段】流体注入型アクチュエータ10は、第1筒状部の長手方向の伸びを制限する第1制限部を備え、第1筒状部の内部に供給される流体の圧力により、第1筒状部が径方向に膨張するとともに長手方向に縮む第1人工筋肉20と、第2筒状部の長手方向の縮みを制限する第2制限部を備え、第2筒状部の内部に供給される流体の圧力により第2筒状部が径方向に収縮するとともに長手方向に伸びる第2人工筋肉30と、第1人工筋肉20及び第2人工筋肉30の長手方向の各端部が固定された第1固定部40及び第2固定部50と、を備え、第2人工筋肉30を中心として周囲に第1人工筋肉20が複数配置されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性体により形成された第1筒状部、及び前記第1筒状部の長手方向の伸びを制限する第1制限部を備え、長手方向の両端が塞がれた前記第1筒状部の内部に供給される流体の圧力により、前記第1筒状部が径方向に膨張するとともに長手方向に縮む第1人工筋肉と、
弾性体により形成された第2筒状部、及び前記第2筒状部の長手方向の縮みを制限する第2制限部を備え、長手方向の両端が塞がれた前記第2筒状部の内部に供給される流体の圧力により前記第2筒状部が径方向に収縮するとともに長手方向に伸びる第2人工筋肉と、
前記第1人工筋肉及び前記第2人工筋肉の長手方向の一方の端部が固定された第1固定部と、
前記第1人工筋肉及び前記第2人工筋肉の長手方向の前記第1固定部と反対側の端部が固定された第2固定部と、
を備え、
前記第1人工筋肉及び前記第2人工筋肉の一方を中心として周囲に他方が複数配置されている、流体注入型アクチュエータ。
【請求項2】
前記第1筒状部及び前記第2筒状部の内部に流体が供給されておらず、且つ前記第1人工筋肉及び前記第2人工筋肉が前記第1固定部及び前記第2固定部に固定されていない状態において、前記第1人工筋肉の長手方向の長さである第1長さは前記第2人工筋肉の長手方向の長さである第2長さよりも長い、請求項1に記載の流体注入型アクチュエータ。
【請求項3】
前記第1人工筋肉及び前記第2人工筋肉の長手方向の長さを、前記第1長さと前記第2長さとの間の中間長さに維持するように、前記第1筒状部及び前記第2筒状部の内部に流体が供給される、請求項2に記載の流体注入型アクチュエータ。
【請求項4】
前記第1人工筋肉及び前記第2人工筋肉の長手方向の長さを、前記中間長さから縮める際に、前記第1筒状部の内部に流体がさらに供給され、前記第2筒状部の内部から流体が排出される、請求項3に記載の流体注入型アクチュエータ。
【請求項5】
前記第1人工筋肉及び前記第2人工筋肉の長手方向の長さを、前記中間長さから伸ばす際に、前記第1筒状部の内部から流体が排出され、前記第2筒状部の内部に流体がさらに供給される、請求項3又は4に記載の流体注入型アクチュエータ。
【請求項6】
前記第2制限部は、繊維をスリーブ状に編み込んだ編組スリーブであり、前記編組スリーブは前記第2筒状部を覆って前記第2筒状部と共に伸縮可能であり、
前記第2筒状部の内部に流体が供給されておらず、且つ前記第2人工筋肉が前記第1固定部及び前記第2固定部に固定されていない状態において、前記編組スリーブが前記第2筒状部の長手方向に限界まで縮められて前記第2長さにされている、請求項2~5のいずれか1項に記載の流体注入型アクチュエータ。
【請求項7】
前記第1固定部及び前記第2固定部は、弾性体により形成されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の流体注入型アクチュエータ。
【請求項8】
前記第1固定部及び前記第2固定部は、前記第1人工筋肉及び前記第2人工筋肉の長手方向に延びて互いに摺動可能に嵌合する第1摺動部及び第2摺動部をそれぞれ備える、請求項1~7のいずれか1項に記載の流体注入型アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性体により形成された筒状部の内部に流体を注入して、筒状部を伸縮させる流体注入型アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内部に圧縮空気が流入される弾性チューブを編組スリーブで覆った人工筋肉を、平行に複数本並べて両端をそれぞれ固定具により固定した流体注入型アクチュエータがある(特許文献1参照)。特許文献1に記載のアクチュエータでは、弾性チューブの内部に圧縮空気を流入させることにより、人工筋肉が径方向に膨張するとともに長手方向に収縮して、人工筋肉を長手方向に縮める方向の力を発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-69341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の流体注入型アクチュエータでは、人工筋肉を長手方向に縮める方向の力を発生するものの、人工筋肉を長手方向に伸ばす方向の力を発生することができない。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、人工筋肉を長手方向に縮める方向及び伸ばす方向の力を発生することができる流体注入型アクチュエータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための第1の手段は、流体注入型アクチュエータであって、
弾性体により形成された第1筒状部、及び前記第1筒状部の長手方向の伸びを制限する第1制限部を備え、長手方向の両端が塞がれた前記第1筒状部の内部に供給される流体の圧力により、前記第1筒状部が径方向に膨張するとともに長手方向に縮む第1人工筋肉と、
弾性体により形成された第2筒状部、及び前記第2筒状部の長手方向の縮みを制限する第2制限部を備え、長手方向の両端が塞がれた前記第2筒状部の内部に供給される流体の圧力により前記第2筒状部が径方向に収縮するとともに長手方向に伸びる第2人工筋肉と、
前記第1人工筋肉及び前記第2人工筋肉の長手方向の一方の端部が固定された第1固定部と、
前記第1人工筋肉及び前記第2人工筋肉の長手方向の前記第1固定部と反対側の端部が固定された第2固定部と、
を備え、
前記第1人工筋肉及び前記第2人工筋肉の一方を中心として周囲に他方が複数配置されている。
【0007】
上記構成によれば、第1人工筋肉は、弾性体により形成された第1筒状部、及び前記第1筒状部の長手方向の伸びを制限する第1制限部を備え、長手方向の両端が塞がれた前記第1筒状部の内部に供給される流体の圧力により、前記第1筒状部が径方向に膨張するとともに長手方向に縮む。このため、流体の供給により長手方向に縮む筋肉として、第1人工筋肉を用いることができる。第2人工筋肉は、弾性体により形成された第2筒状部、及び前記第2筒状部の長手方向の縮みを制限する第2制限部を備え、長手方向の両端が塞がれた前記第2筒状部の内部に供給される流体の圧力により前記第2筒状部が径方向に収縮するとともに長手方向に伸びる。このため、流体の供給により長手方向に伸びる筋肉として、第2人工筋肉を用いることができる。
【0008】
第1固定部には、前記第1人工筋肉及び前記第2人工筋肉の長手方向の一方の端部が固定されている。第2固定部には、前記第1人工筋肉及び前記第2人工筋肉の長手方向の前記第1固定部と反対側の端部が固定されている。このため、第1人工筋肉に流体を供給し、第2人工筋肉に流体を供給しないことにより、第1人工筋肉を長手方向に縮めて第1固定部と第2固定部とを近づける力を流体注入型アクチュエータが発生することができる。一方、第1人工筋肉に流体を供給せず、第2人工筋肉に流体を供給することにより、第2人工筋肉を長手方向に伸ばして第1固定部と第2固定部とを離す力を流体注入型アクチュエータが発生することができる。したがって、流体注入型アクチュエータは、人工筋肉を長手方向に縮める方向及び長手方向に伸ばす方向の力を発生することができる。
【0009】
さらに、前記第1人工筋肉及び前記第2人工筋肉の一方を中心として周囲に他方が複数配置されている。このため、第1固定部と第2固定部とを近づけたり離したりする際に、第1固定部と第2固定部とが傾くことを抑制することができる。すなわち、流体注入型アクチュエータは、人工筋肉を長手方向に縮める方向及び長手方向に伸ばす方向の力を、直線に沿って発生しやすくなる。
【0010】
第2の手段では、前記第1筒状部及び前記第2筒状部の内部に流体が供給されておらず、且つ前記第1人工筋肉及び前記第2人工筋肉が前記第1固定部及び前記第2固定部に固定されていない状態において、前記第1人工筋肉の長手方向の長さである第1長さは前記第2人工筋肉の長手方向の長さである第2長さよりも長い。こうした構成によれば、前記第1人工筋肉及び前記第2人工筋肉が前記第1固定部及び前記第2固定部に固定された状態において、第1人工筋肉が第1長さから縮められ、第2人工筋肉が第2長さから伸ばされた状態で釣り合う。このため、第1筒状部の内部に流体を供給して第1人工筋肉を縮める際に、第2人工筋肉は伸ばされた状態から第2長さに戻る方向へ縮み、第1人工筋肉を縮める際に第2人工筋肉が抵抗になることを抑制することができる。また、第2筒状部の内部に流体を供給して第2人工筋肉を伸ばす際に、第1人工筋肉は縮められた状態から第1長さに戻る方向へ伸び、第2人工筋肉を伸ばす際に第1人工筋肉が抵抗になることを抑制することができる。
【0011】
第3の手段では、前記第1人工筋肉及び前記第2人工筋肉の長手方向の長さを、前記第1長さと前記第2長さとの間の中間長さに維持するように、前記第1筒状部及び前記第2筒状部の内部に流体が供給される。こうした構成によれば、前記第1人工筋肉及び前記第2人工筋肉の長手方向の長さを中間長さに維持することにより、縮めることも伸ばすことも可能な中立状態で待機することができる。
【0012】
第4の手段では、前記第1人工筋肉及び前記第2人工筋肉の長手方向の長さを、前記中間長さから縮める際に、前記第1筒状部の内部に流体がさらに供給され、前記第2筒状部の内部から流体が排出される。
【0013】
上記構成によれば、第1筒状部の内部に流体がさらに供給されて第1人工筋肉が縮められる際に、前記第2筒状部の内部から流体が排出され、第2人工筋肉は伸ばされた状態から第2長さに戻る方向へ縮む。したがって、前記第1人工筋肉及び前記第2人工筋肉の長手方向の長さを前記中間長さから縮める際に、第2人工筋肉が抵抗になることを抑制することができる。
【0014】
第5の手段では、前記第1人工筋肉及び前記第2人工筋肉の長手方向の長さを、前記中間長さから伸ばす際に、前記第1筒状部の内部から流体が排出され、前記第2筒状部の内部に流体がさらに供給される。
【0015】
上記構成によれば、第2筒状部の内部に流体がさらに供給されて第2人工筋肉が伸ばされる際に、前記第1筒状部の内部から流体が排出され、第1人工筋肉は縮められた状態から第1長さに戻る方向へ伸びる。したがって、前記第1人工筋肉及び前記第2人工筋肉の長手方向の長さを前記中間長さから伸ばす際に、第1人工筋肉が抵抗になることを抑制することができる。
【0016】
第6の手段では、前記第2制限部は、繊維をスリーブ状に編み込んだ編組スリーブであり、前記編組スリーブは前記第2筒状部を覆って前記第2筒状部と共に伸縮可能であり、前記第2筒状部の内部に流体が供給されておらず、且つ前記第2人工筋肉が前記第1固定部及び前記第2固定部に固定されていない状態において、前記編組スリーブが前記第2筒状部の長手方向に限界まで縮められて前記第2長さにされている。こうした構成によれば、編組スリーブは、第2筒状部の長手方向に第2長さから縮むことができず、第2筒状部の長手方向の縮みを制限することができる。一方、編組スリーブは、前記第2筒状部が長手方向に第2長さから伸びる際には、第2筒状部の伸びを制限しないようにすることができる。
【0017】
第7の手段では、前記第1固定部及び前記第2固定部は、弾性体により形成されている。こうした構成によれば、前記第1固定部及び前記第2固定部を、曲げたり、捻ったり、伸ばしたり、縮めたりすることができる。このため、流体注入型アクチュエータを柔軟な構造体にすることができ、人体に取り付ける場合等、アクチュエータの柔軟性が求められる用途に用いることができる。
【0018】
第8の手段では、前記第1固定部及び前記第2固定部は、前記第1人工筋肉及び前記第2人工筋肉の長手方向に延びて互いに摺動可能に嵌合する第1摺動部及び第2摺動部をそれぞれ備える。
【0019】
上記構成によれば、第1固定部が備える第1摺動部と、第2固定部が備える第2摺動部とが、人工筋肉の長手方向に延びて互いに摺動可能に嵌合している。このため、人工筋肉の伸縮を第1摺動部及び第2摺動部によりガイドすることができ、人工筋肉を伸縮する力が人工筋肉の長手方向からずれることを抑制することができる。したがって、流体注入型アクチュエータは、人工筋肉を長手方向に縮める方向及び長手方向に伸ばす方向の力を、さらに直線に沿って発生しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】流体注入型アクチュエータ及びその周辺構成を示す模式図。
図2】流体注入型アクチュエータの側面図。
図3】自然状態の第1人工筋肉の模式図。
図4】自然状態の第2人工筋肉の模式図。
図5】第2メッシュの製造方法を示す模式図。
図6】縮んだ状態の流体注入型アクチュエータを示す模式図。
図7】伸びた状態の流体注入型アクチュエータを示す模式図。
図8】流体注入型アクチュエータの変更例の側面図。
図9】流体注入型アクチュエータの他の変更例の模式図。
図10】第1人工筋肉の変更例の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、人体に取り付けられて人体の動作を補助する流体注入型アクチュエータに具現化した一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0022】
図1に示すように、流体注入型アクチュエータ10は、6本の第1人工筋肉20(図1では2本のみ表示)、1本の第2人工筋肉30、第1固定具40、第2固定具50等を備えている。第1人工筋肉20の長手方向の一方の端部が第1固定具40に固定され、他方の端部(第1固定具40と反対側の端部)が第2固定具50に固定されている。第2人工筋肉30の長手方向の一方の端部が第1固定具40に固定され、他方の端部(第1固定具40と反対側の端部)が第2固定具50に固定されている。
【0023】
図2に示すように、第2人工筋肉30を中心として、周囲に第1人工筋肉20が6本(複数)配置されている。6本の第1人工筋肉20は、第2人工筋肉30から等距離に配置されている。第2人工筋肉30の周方向において、6本の第1人工筋肉20は等間隔(等角度)で配置されている。すなわち、隣り合う第1人工筋肉20と第2人工筋肉30とがなす中心角は、全て等しくなっている。
【0024】
図3に示すように、第1人工筋肉20は、いわゆるマッキベン(McKibben)型の人工筋肉である。第1人工筋肉20は、第1チューブ21、第1メッシュ22等を備えている。
【0025】
第1チューブ21(第1筒状部)は、軟質ゴム(弾性体)により、円筒状(筒状)に形成されている。第1チューブ21の内径(径)及び長さは、第1チューブ21の内部に圧縮空気が供給された際に、第1チューブ21により発生させる縮む力の大きさに応じて設定されている。また、第1チューブ21の本数は、第1チューブ21の内部に圧縮空気が供給された際に、全ての第1チューブ21により発生させる縮む力の大きさに応じて設定されている。
【0026】
第1メッシュ22(第1制限部)は、繊維をスリーブ状に編み込んだ編組スリーブである。繊維は、ナイロン等の合成樹脂(樹脂)により形成されている。第1メッシュ22は、繊維のなす角度が変化することにより、長手方向に伸縮可能になっている。
【0027】
図3では、第1チューブ21の内部に圧縮空気(流体)が供給されておらず、且つ第1人工筋肉20が上記第1固定具40及び上記第2固定具50に固定されていない自然状態を示している。すなわち、自然状態では、第1チューブ21及び第1メッシュ22に力が加えられていない。自然状態において、第1チューブ21及び第1メッシュ22(第1人工筋肉20)の長手方向の長さは、第1長さL1(自然長)である(図1参照)。第1メッシュ22は、長手方向に限界まで伸ばされた状態で自然状態になっている。
【0028】
第1メッシュ22は、長手方向に第1長さL1から伸びることができない。このため、第1チューブ21の長手方向の両端部と第1メッシュ22の長手方向の両端部とが固定された状態では、以下のように動作する。第1メッシュ22は、第1チューブ21が長手方向に第1長さL1から伸びることを制限する。一方、第1チューブ21の両端が塞がれた状態で内部に圧縮空気が供給されると、圧縮空気の圧力により、第1チューブ21が径方向に膨張するとともに長手方向に縮む。第1チューブ21が長手方向に縮むのに追従して、第1メッシュ22は径方向に膨張するとともに長手方向に縮む。すなわち、第1メッシュ22は、第1チューブ21を覆って第1チューブ21と共に伸縮可能である。
【0029】
図4に示すように、第2人工筋肉30は、マッキベン型の人工筋肉と同様に、第2チューブ31、第2メッシュ32等を備えている。
【0030】
第2チューブ31(第2筒状部)は、軟質ゴム(弾性体)により、円筒状(筒状)に形成されている。第2チューブ31の内径(径)は、第2チューブ31の内部に圧縮空気が供給された際に、第2チューブ31により発生させる伸びる力の大きさに応じて設定されている。
【0031】
第2メッシュ32(第2制限部)は、繊維をスリーブ状に編み込んだ編組スリーブである。繊維は、ナイロン等の合成樹脂(樹脂)により形成されている。第2メッシュ32は、繊維のなす角度が変化することにより、長手方向に伸縮可能になっている。
【0032】
図4では、第2チューブ31の内部に圧縮空気(流体)が供給されておらず、且つ第2人工筋肉30が上記第1固定具40及び上記第2固定具50に固定されていない自然状態を示している。すなわち、自然状態では、第2チューブ31及び第2メッシュ32に力が加えられていない。自然状態において、第2チューブ31及び第2メッシュ32(第2人工筋肉30)の長手方向の長さは、第2長さL2(自然長)である(図1参照)。第2メッシュ32は、長手方向に限界まで縮められた状態で自然状態になっている。第2長さL2は、上記第1長さL1よりも短い(L2<L1)。
【0033】
第2メッシュ32は、長手方向に第2長さL2から縮むことができない。このため、第2チューブ31の長手方向の両端部と第2メッシュ32の長手方向の両端部とが固定された状態では、以下のように動作する。第2メッシュ32は、第2チューブ31が長手方向に第2長さL2から縮むことを制限する。一方、第2チューブ31の両端が塞がれた状態で内部に圧縮空気が供給されると、圧縮空気の圧力により、第2チューブ31が径方向に収縮するとともに長手方向に伸びる。第2チューブ31が長手方向に伸びるのに追従して、第2メッシュ32は径方向に収縮するとともに長手方向に伸びる。すなわち、第2メッシュ32は、第2チューブ31を覆って第2チューブ31と共に伸縮可能である。
【0034】
図5は、第2メッシュ32の製造方法を示す模式図である。第2メッシュ32は、熱処理前に破線で示す形状をしている。熱処理前の第2メッシュ32を長手方向に限界まで縮めた状態で固定し、例えば150~170[℃]で30[分]維持した後に冷却する。これにより、実線で示す形状で第2メッシュ32が安定し、この状態が第2メッシュ32の自然状態となる。上記のように、自然状態において、第2メッシュ32の長手方向の長さは第2長さL2である。なお、第2長さL2よりも長く第2メッシュ32を形成し、第2メッシュ32を第2長さL2に切断してもよい。
【0035】
図1,2に戻り、第1固定具40(第1固定部)は、硬質ゴム(弾性体)により形成されている。第1固定具40は、フランジ部41、第1円筒部42等を備えている。フランジ部41は、円板状に形成されている。第1円筒部42は、フランジ部41の中央からフランジ部41に垂直な方向(第2人工筋肉30の長手方向)へ円筒状に延びている。
【0036】
第2固定具50(第2固定部)は、硬質ゴム(弾性体)により形成されている。第2固定具50は、フランジ部51、第2円筒部52等を備えている。フランジ部51は、円板状に形成されている。第2円筒部52は、フランジ部51の中央からフランジ部51に垂直な方向(第2人工筋肉30の長手方向)へ円筒状に延びている。
【0037】
第2円筒部52の内径は、第2人工筋肉30の外径よりも大きい。第2円筒部52の内部に、第2人工筋肉30が挿入されている。第1円筒部42の内径は、第2円筒部52の外径よりも僅かに大きい。第1円筒部42の内周面と第2円筒部52の外周面とのクリアランス(隙間)は、例えば0.05[mm]である。第1円筒部42の内部に第2円筒部52が挿入され、第1円筒部42と第2円筒部52とが摺動可能に嵌合している。
【0038】
第2円筒部52の長手方向の長さは、上記第2長さL2と等しい(略等しい)。第1円筒部42の長手方向の長さは、第2長さL2よりも短い。第2円筒部52の長手方向の長さと第1円筒部42の長手方向の長さとの合計は、第1長さL1よりも長い(図7参照)。
【0039】
6本の第1人工筋肉20の第1チューブ21には、それぞれ配管61が接続されている。配管61は、第1チューブ21の内部に圧縮空気を供給可能とする。6本の配管61は、配管62に接続されている。配管62は、切替バルブ81を介して圧縮空気供給源82に接続されている。
【0040】
第2人工筋肉30の第2チューブ31には、配管71が接続されている。配管71は、第2チューブ31の内部に圧縮空気を供給可能とする。配管71は、切替バルブ81を介して圧縮空気供給源82に接続されている。
【0041】
圧縮空気供給源82は、高圧空気のボンベ(供給配管)又はコンプレッサ、レギュレータ等により構成され、所定圧力の圧縮空気を切替バルブ81へ供給する。
【0042】
切替バルブ81は、配管62及び配管71への圧縮空気の供給態様を切り替える。切替バルブ81は、圧縮空気の供給先を、配管62のみ、配管71のみ、配管62及び配管71、なし、のいずれかに切り替える。また、切替バルブ81は、配管62及び配管71をそれぞれ大気開放して圧縮空気を排出させる。また、切替バルブ81は、配管62及び配管71への圧縮空気の流入出を停止して、第1チューブ21及び第2チューブ31の内部の圧縮空気を保持することができる。
【0043】
第1人工筋肉20及び第2人工筋肉30の長手方向の一方の端部が第1固定具40に固定され、第1人工筋肉20及び第2人工筋肉30の長手方向の他方の端部が第2固定具50に固定されている。第1チューブ21及び第2チューブ31の内部に圧縮空気が供給されていない状態において、第1人工筋肉20が第1長さL1から縮められ、第2人工筋肉30が第2長さL2から伸ばされた状態で釣り合っている。この釣合状態において、第1人工筋肉20及び第2人工筋肉30の長手方向の長さは、釣合長さL4(図示せず)になっている。
【0044】
図1では、切替バルブ81を制御することにより、第1人工筋肉20及び第2人工筋肉30の長手方向の長さを、第1長さL1と第2長さL2との間の中間長さL3に維持するように、第2チューブ31及び第2チューブ31の内部に圧縮空気を供給している(中立状態)。なお、上記釣合長さL4と中間長さL3とは、一致していてもよいし、一致していなくてもよい。
【0045】
図1に示す中立状態から流体注入型アクチュエータ10を縮める場合は、以下のように制御する。すなわち、切替バルブ81を制御することにより、配管62へ圧縮空気を供給し、配管71から圧縮空気を排出する。これにより、第1人工筋肉20の第1チューブ21の内部に圧縮空気が供給され、第2人工筋肉30の第2チューブ31の内部から圧縮空気が排出される。すなわち、第1人工筋肉20及び第2人工筋肉30の長手方向の長さを、中間長さL3から縮める際に、第1チューブ21の内部に圧縮空気がさらに供給され、第2チューブ31の内部から圧縮空気が排出される。
【0046】
その結果、図6に示すように、第1人工筋肉20及び第2人工筋肉30、すなわち流体注入型アクチュエータ10が長手方向に縮む。このとき、第1固定具40の第1円筒部42と第2固定具50の第2円筒部52とが摺動し、第1人工筋肉20及び第2人工筋肉30が長手方向に沿って縮むようにガイドされる。第2人工筋肉30は、長手方向の長さが第2長さL2になるまで自然に縮む。このため、第1人工筋肉20を長手方向に第2長さL2まで縮める際に、第2人工筋肉30は抵抗にならない。
【0047】
第1人工筋肉20及び第2人工筋肉30の長手方向の長さが第2長さL2になった状態において、第2固定具50の第2円筒部52の先端と、第1固定具40のフランジ部41との間には、隙間が形成されている。第2人工筋肉30の長手方向の長さが第2長さL2になった状態において、第1固定具40の第1円筒部42の先端と、第2固定具50のフランジ部51との間には、隙間が形成されている。
【0048】
図1に示す中立状態から流体注入型アクチュエータ10を伸ばす場合は、以下のように制御する。すなわち、切替バルブ81を制御することにより、配管71へ圧縮空気を供給し、配管62から圧縮空気を排出する。これにより、第2人工筋肉30の第2チューブ31の内部に圧縮空気が供給され、第1人工筋肉20の第1チューブ21の内部から圧縮空気が排出される。すなわち、第1人工筋肉20及び第2人工筋肉30の長手方向の長さを、中間長さL3から伸ばす際に、第1チューブ21の内部から圧縮空気が排出され、第2チューブ31の内部に圧縮空気がさらに供給される。
【0049】
その結果、図7に示すように、第1人工筋肉20及び第2人工筋肉30、すなわち流体注入型アクチュエータ10が長手方向に伸びる。このとき、第1固定具40の第1円筒部42と第2固定具50の第2円筒部52とが摺動し、第1人工筋肉20及び第2人工筋肉30が長手方向に沿って伸びるようにガイドされる。第1人工筋肉20は、長手方向の長さが第1長さL1になるまで自然に伸びる。このため、第2人工筋肉30を長手方向に第1長さL1まで伸ばす際に、第1人工筋肉20は抵抗にならない。
【0050】
第1人工筋肉20及び第2人工筋肉30の長手方向の長さが第1長さL1になった状態において、第1固定具40の第1円筒部42の先端と、第2固定具50の第2円筒部52の先端とは嵌合している。
【0051】
また、図1に示す中立状態に代えて、第1チューブ21及び第2チューブ31の内部に圧縮空気が供給されていない上記釣合状態から、切替バルブ81を制御することにより、配管62へ圧縮空気を供給することもできる。この場合も、図6に示すように、第1人工筋肉20及び第2人工筋肉30、すなわち流体注入型アクチュエータ10が長手方向に縮む。このとき、第1固定具40の第1円筒部42と第2固定具50の第2円筒部52とが摺動し、第1人工筋肉20及び第2人工筋肉30が長手方向に沿って縮むようにガイドされる。第2人工筋肉30は、長手方向の長さが第2長さL2になるまで自然に縮む。このため、第1人工筋肉20を長手方向に第2長さL2まで縮める際に、第2人工筋肉30は抵抗にならない。
【0052】
同様に、図1に示す中立状態に代えて、第1チューブ21及び第2チューブ31の内部に圧縮空気が供給されていない上記釣合状態から、切替バルブ81を制御することにより、配管71へ圧縮空気を供給することもできる。この場合も、図7に示すように、第1人工筋肉20及び第2人工筋肉30、すなわち流体注入型アクチュエータ10が長手方向に伸びる。このとき、第1固定具40の第1円筒部42と第2固定具50の第2円筒部52とが摺動し、第1人工筋肉20及び第2人工筋肉30が長手方向に沿って伸びるようにガイドされる。第1人工筋肉20は、長手方向の長さが第1長さL1になるまで自然に伸びる。このため、第2人工筋肉30を長手方向に第1長さL1まで伸ばす際に、第1人工筋肉20は抵抗にならない。
【0053】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。
【0054】
・第1人工筋肉20は、弾性体により形成された第1チューブ21、及び第1チューブ21の長手方向の伸びを制限する第1メッシュ22を備え、長手方向の両端が塞がれた第1チューブ21の内部に供給される圧縮空気の圧力により、第1チューブ21が径方向に膨張するとともに長手方向に縮む。このため、圧縮空気の供給により長手方向に縮む筋肉として、第1人工筋肉20を用いることができる。第2人工筋肉30は、弾性体により形成された第2チューブ31、及び第2チューブ31の長手方向の縮みを制限する第2メッシュ32を備え、長手方向の両端が塞がれた第2チューブ31の内部に供給される圧縮空気の圧力により第2チューブ31が径方向に収縮するとともに長手方向に伸びる。このため、圧縮空気の供給により長手方向に伸びる筋肉として、第2人工筋肉30を用いることができる。
【0055】
・第1固定具40には、第1人工筋肉20及び第2人工筋肉30の長手方向の一方の端部が固定されている。第2固定具50には、第1人工筋肉20及び第2人工筋肉30の長手方向の第1固定具40と反対側の端部が固定されている。このため、第1人工筋肉20に圧縮空気を供給し、第2人工筋肉30に圧縮空気を供給しないことにより、第1人工筋肉20を長手方向に縮めて第1固定具40と第2固定具50とを近づける力を流体注入型アクチュエータ10が発生することができる。一方、第1人工筋肉20に圧縮空気を供給せず、第2人工筋肉30に圧縮空気を供給することにより、第2人工筋肉30を長手方向に伸ばして第1固定具40と第2固定具50とを離す力を流体注入型アクチュエータ10が発生することができる。したがって、流体注入型アクチュエータ10は、人工筋肉20,30を長手方向に縮める方向及び長手方向に伸ばす方向の力を発生することができる。
【0056】
・第2人工筋肉30を中心として周囲に第1人工筋肉20が6本配置されている。このため、第1固定具40と第2固定具50とを近づけたり離したりする際に、第1固定具40と第2固定具50とが傾くことを抑制することができる。すなわち、流体注入型アクチュエータ10は、人工筋肉20,30を長手方向に縮める方向及び長手方向に伸ばす方向の力を、直線に沿って発生しやすくなる。
【0057】
・第1チューブ21及び第2チューブ31の内部に圧縮空気が供給されておらず、且つ第1人工筋肉20及び第2人工筋肉30が第1固定具40及び第2固定具50に固定されていない状態において、第1人工筋肉20の長手方向の長さである第1長さL1(自然長)は第2人工筋肉30の長手方向の長さである第2長さL2(自然長)よりも長い。こうした構成によれば、第1人工筋肉20及び第2人工筋肉30が第1固定具40及び第2固定具50に固定された状態において、第1人工筋肉20が第1長さL1から縮められ、第2人工筋肉30が第2長さL2から伸ばされた状態で釣り合う。このため、第1チューブ21の内部に圧縮空気を供給して第1人工筋肉20を縮める際に、第2人工筋肉30は伸ばされた状態から第2長さL2に戻る方向へ縮み、第1人工筋肉20を縮める際に第2人工筋肉30が抵抗になることを抑制することができる。また、第2チューブ31の内部に圧縮空気を供給して第2人工筋肉30を伸ばす際に、第1人工筋肉20は縮められた状態から第1長さL1に戻る方向へ伸び、第2人工筋肉30を伸ばす際に第1人工筋肉20が抵抗になることを抑制することができる。
【0058】
・第1人工筋肉20及び第2人工筋肉30の長手方向の長さを、第1長さL1と第2長さL2との間の中間長さL3に維持するように、第1チューブ21及び第2チューブ31の内部に圧縮空気が供給される。こうした構成によれば、第1人工筋肉20及び第2人工筋肉30の長手方向の長さを中間長さL3に維持することにより、縮めることも伸ばすことも可能な中立状態で待機することができる。
【0059】
・中立状態から第1チューブ21の内部に圧縮空気がさらに供給されて第1人工筋肉20が縮められる際に、第2チューブ31の内部から圧縮空気が排出され、第2人工筋肉30は伸ばされた状態から第2長さL2に戻る方向へ縮む。したがって、第1人工筋肉20及び第2人工筋肉30の長手方向の長さを中間長さL3から縮める際に、第2人工筋肉30が抵抗になることを抑制することができる。
【0060】
・中立状態から第2チューブ31の内部に圧縮空気がさらに供給されて第2人工筋肉30が伸ばされる際に、第1チューブ21の内部から圧縮空気が排出され、第1人工筋肉20は縮められた状態から第1長さL1に戻る方向へ伸びる。したがって、第1人工筋肉20及び第2人工筋肉30の長手方向の長さを中間長さL3から伸ばす際に、第1人工筋肉20が抵抗になることを抑制することができる。
【0061】
・第2メッシュ32は、繊維をスリーブ状に編み込んだ編組スリーブであり、編組スリーブは第2チューブ31を覆って第2チューブ31と共に伸縮可能である。第2チューブ31の内部に圧縮空気が供給されておらず、且つ第2人工筋肉30が第1固定具40及び第2固定具50に固定されていない状態(自然状態)において、編組スリーブが第2チューブ31の長手方向に限界まで縮められて第2長さL2にされている。こうした構成によれば、編組スリーブは、第2チューブ31の長手方向に第2長さL2から縮むことができず、第2チューブ31の長手方向の縮みを制限することができる。一方、編組スリーブは、第2チューブ31が長手方向に第2長さL2から伸びる際には、第2チューブ31の伸びを制限しないようにすることができる。
【0062】
・第1固定具40及び第2固定具50は、硬質ゴム(弾性体)により形成されている。こうした構成によれば、第1固定具40及び第2固定具50を、曲げたり、捻ったり、伸ばしたり、縮めたりすることができる。このため、流体注入型アクチュエータ10を柔軟な構造体にすることができ、人体に取り付ける場合等、アクチュエータの柔軟性が求められる用途に用いることができる。
【0063】
・第1固定具40が備える第1円筒部42と、第2固定具50が備える第2円筒部52とが、人工筋肉20,30の長手方向に延びて互いに摺動可能に嵌合している。このため、人工筋肉20,30の伸縮を第1円筒部42及び第2円筒部52によりガイドすることができ、人工筋肉20,30を伸縮する力が人工筋肉20,30の長手方向からずれることを抑制することができる。したがって、流体注入型アクチュエータ10は、人工筋肉20,30を長手方向に縮める方向及び長手方向に伸ばす方向の力を、さらに直線に沿って発生しやすくなる。
【0064】
・第1人工筋肉20、第2人工筋肉30、第1固定具40、及び第2固定具50は、ゴムや、樹脂により形成されているため、流体注入型アクチュエータ10を軽量化することができる。
【0065】
なお、上記実施形態を、以下のように変更して実施することもできる。上記実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0066】
図8に示すように、第2人工筋肉30を中心として、周囲に第1人工筋肉20が3本(複数)配置されていてもよい。この場合も、第1固定具40と第2固定具50とを近づけたり離したりする際に、第1固定具40と第2固定具50とが傾くことを抑制することができる。すなわち、流体注入型アクチュエータ10は、人工筋肉20,30を長手方向に縮める方向及び長手方向に伸ばす方向の力を、直線に沿って発生しやすくなる。また、第1人工筋肉20を中心として、周囲に第2人工筋肉30が複数配置されていてもよい。
【0067】
図9に示すように、第1固定具140は、フランジ部141、第1円筒部142等を備えていてもよい。なお、図9では、図6と同様に、第1人工筋肉20及び第2人工筋肉30、すなわち流体注入型アクチュエータ10を長手方向に縮めた状態を示している。フランジ部141は、円板状に形成されている。第1円筒部142(第1摺動部)は、フランジ部141の外縁からフランジ部141に垂直な方向(第2人工筋肉30の長手方向)へ円筒状に延びている。第2固定具150は、フランジ部151、第2円筒部152等を備えていてもよい。フランジ部151は、円板状に形成されている。第2円筒部152(第2摺動部)は、フランジ部151の外縁からフランジ部151に垂直な方向(第2人工筋肉30の長手方向)へ円筒状に延びている。第1円筒部142の内部に第2円筒部152が挿入され、第1円筒部142と第2円筒部152とが摺動可能に嵌合している。上記構成によっても、人工筋肉20,30の伸縮を第1円筒部142及び第2円筒部152によりガイドすることができ、人工筋肉20,30を伸縮する力が人工筋肉20,30の長手方向からずれることを抑制することができる。なお、第1円筒部42,142、及び第2円筒部52,152を省略することもできる。
【0068】
・第1長さL1と第2長さL2とを等しくすることもできる。この場合であっても、圧縮空気の供給により長手方向に縮む筋肉として、第1人工筋肉20を用いることができる。また、圧縮空気の供給により長手方向に伸びる筋肉として、第2人工筋肉30を用いることができる。
【0069】
・第1固定具40,140、及び第2固定具50,150を、硬質プラスチックや、金属により形成することもできる。
【0070】
図10に示すように、第1人工筋肉20は、第1チューブ121(第1筒状部)、複数のたこ糸122(綿糸)等を備えていてもよい。複数のたこ糸122(繊維)は、第1チューブ121の長手方向に延びており、第1チューブ121に内装されて第1チューブ121と一体化されている。複数のたこ糸122(第1制限部)は、第1チューブ121の長手方向の伸びを制限する。こうした構成によっても、長手方向の両端が塞がれた第1チューブ121の内部に供給される圧縮空気の圧力により、第1チューブ121が径方向に膨張するとともに長手方向に縮む。このため、圧縮空気の供給により長手方向に縮む筋肉として、第1人工筋肉20を用いることができる。また、複数のたこ糸122に代えて、特許第5246717号公報に記載されるように、第1チューブ121の長手方向に延びる多数の繊維(第1制限部)を、第1チューブ121に内装することもできる。多数の繊維は、第1チューブ121の長手方向の伸びを制限する。
【0071】
・配管62,71から圧縮空気を排出する際に、真空ポンプ等により圧縮空気を吸引することもできる。
【0072】
・第1チューブ21,121、及び第2チューブ31の内部に供給される気体(流体)として、高圧窒素や、高圧アルゴン等を用いることもできる。また、第1チューブ21,121、及び第2チューブ31の内部に供給される流体として、水や油等の液体を用いることもできる。
【0073】
なお、上記の各変更例を組み合わせて実施することもできる。
【符号の説明】
【0074】
10…流体注入型アクチュエータ、20…第1人工筋肉、21…第1チューブ(第1筒状部)、22…第1メッシュ(第1制限部)、30…第2人工筋肉、31…第2チューブ(第2筒状部)、32…第2メッシュ(第2制限部)、40…第1固定具(第1固定部)、50…第2固定具(第2固定部)、121…第1チューブ(第1筒状部)、140…第1固定具(第1固定部)、150…第2固定具(第2固定部)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10