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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023050429
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】部屋空間の空調システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 5/00 20060101AFI20230404BHJP
   F24F 13/078 20060101ALI20230404BHJP
   F24F 11/52 20180101ALI20230404BHJP
   F24F 3/056 20060101ALI20230404BHJP
   F21V 33/00 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
F24F5/00 101B
F24F13/078
F24F11/52
F24F3/056
F21V33/00 100
F21V33/00 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021160519
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】307042385
【氏名又は名称】ミサワホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】太田 勇
(72)【発明者】
【氏名】大竹 正裕
(72)【発明者】
【氏名】湯淺 惇
(72)【発明者】
【氏名】水野 敬太
(72)【発明者】
【氏名】澤 修平
(72)【発明者】
【氏名】守谷 一希
【テーマコード(参考)】
3K014
3L080
3L260
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3L080AE05
3L080BB02
3L260AA01
3L260AB20
3L260BA01
3L260BA26
3L260BA74
3L260CA04
3L260CA12
3L260CA13
3L260CB84
3L260EA06
3L260FA20
3L260FC38
(57)【要約】
【課題】放射冷暖房装置によって温度調整された空気を利用して部屋空間内に快適な温熱環境を形成するとともに、照度の観点から起床しやすい睡眠環境を形成する。
【解決手段】部屋空間1の空調システムが、部屋空間1を構成する壁部4と、壁部4に組み込まれて支持され、壁部4の壁面から熱放射を行う放射冷暖房装置12と、壁部4に取り付けられ、かつ、壁部4の壁面から前方に突出するカウンター49,53,55と、を備えており、カウンター49,53,55には、カウンター49,53,55の下方空間における照度を上昇させる照度上昇手段50,51,54,56が設けられている。
【選択図】図22
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部屋空間を構成する壁部と、
前記壁部に組み込まれて支持され、前記壁部の壁面から熱放射を行う放射冷暖房装置と、
前記壁部に取り付けられ、かつ、前記壁部の壁面から前方に突出するカウンターと、を備えており、
前記カウンターには、前記カウンターの下方空間における照度を上昇させる照度上昇手段が設けられていることを特徴とする部屋空間の空調システム。
【請求項2】
請求項1に記載の部屋空間の空調システムにおいて、
前記照度上昇手段は、前記カウンターの下面側に設けられた照明装置であることを特徴とする部屋空間の空調システム。
【請求項3】
請求項2に記載の部屋空間の空調システムにおいて、
前記カウンターは、前記照明装置が収納され、かつ、前記カウンターの下面よりも下方に前記照明装置を配置するための照明収納部を有しており、
前記カウンターの下面と前記照明収納部との間には隙間が形成されていることを特徴とする部屋空間の空調システム。
【請求項4】
請求項1に記載の部屋空間の空調システムにおいて、
前記照度上昇手段は、前記カウンターの下面に設けられ、画像を表示するためのモニターであることを特徴とする部屋空間の空調システム。
【請求項5】
請求項1に記載の部屋空間の空調システムにおいて、
前記照度上昇手段は、前記カウンターの下面に斜めに傾けられた状態で設けられたミラーであり、
前記ミラーは、鏡面が、前記壁部とは反対側で、かつ斜め下向きとなるように配置されていることを特徴とする部屋空間の空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部屋空間の空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱放射によって放射冷暖房を行う放射パネルを、ベッドの頭部側に位置するヘッドボードや壁等の支持体に設けて、ベッドの利用者に快適な温熱環境(睡眠環境)を提供する空調システムに係る技術が知られている。
特許文献1においては、放射パネルの下端部に、ベッド側に向かうにしたがって次第に下方に向かう傾斜部(かえし板)が設けられている。放射パネルからの放射熱によって周囲の空気は熱交換されて冷却空気(以下、冷気)となり、当該冷気は、室内の自然な対流によって傾斜部に沿って流れる。これにより、ベッドを利用する利用者に、効率的に冷涼感を提供できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6573114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来技術においては、冷気を、傾斜部に沿って、傾斜部の先に流れるようにすることは可能であるものの、冷気が常にベッドの利用者の頭部に当たり続けることとなり、かえってベッド利用者の快適性が損なわれかねない。
そこで、従来技術におけるかえし板(傾斜部)を伸長し、ベッド利用者の頭部を覆うようにすることで、ベッド利用者の頭部に冷気が当たり続けないようにすることが考えられる。しかし、単に板を伸長させるだけだと、カウンター下方の空間が陰になってしまい、照度の低い空間となってしまう場合がある。そして、カウンター下方の空間が、照度の低い空間になってしまうと、室内照明の光も、屋外からの自然光も届きにくくなってしまい、朝、起床しづらくなってしまうことが懸念される。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その課題は、放射冷暖房装置によって温度調整された空気を利用して部屋空間内に快適な温熱環境を形成するとともに、照度の観点から起床しやすい睡眠環境を形成することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、例えば図22図24等に示すように、部屋空間1の空調システムであって、
部屋空間1を構成する壁部4(5)と、
前記壁部4に組み込まれて支持され、前記壁部4の壁面から熱放射を行う放射冷暖房装置12と、
前記壁部4に取り付けられ、かつ、前記壁部4の壁面から前方に突出するカウンター49,53,55と、を備えており、
前記カウンター49,53,55には、前記カウンター49,53,55の下方空間における照度を上昇させる照度上昇手段50,51,54,56が設けられていることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、放射冷暖房装置12が、カウンター49,53,55が取り付けられた壁部4に組み込まれて支持されているので、放射冷暖房装置12からの直接の放射熱によって、近傍に位置するものを温めたり冷やしたりできるほか、カウンター49,53,55よりも上方の位置で放射冷暖房装置12によって温度調整された空気(冷気)を、カウンター49,53,55の上面を伝って突出方向側端部から下降させたり、カウンター49,53,55よりも下方の位置で放射冷暖房装置12によって温度調整された空気(暖気)を、カウンター49,53,55の下面に滞留させ、空気を逃がさないようにしたりできる。これにより、放射冷暖房装置12によって温度調整された空気を利用して部屋空間1内に快適な温熱環境を形成することができる。
さらに、カウンター49,53,55には、カウンター49,53,55の下方空間における照度を上昇させる照度上昇手段50,51,54,56が設けられているので、カウンター49,53,55の下方空間が、カウンター49,53,55の陰になって照度の低い空間になってしまっても、照度上昇手段50,51,54,56によって、カウンター49,53,55の下方空間を明るくすることができる。これにより、照度の観点から起床しやすい睡眠環境(起床環境)を形成することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、例えば図22に示すように、請求項1に記載の部屋空間1の空調システムにおいて、
前記照度上昇手段50,51は、前記カウンター49の下面側に設けられた照明装置50,51であることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、照度上昇手段50,51は、カウンター49の下面側に設けられた照明装置50,51であるため、光が照らされた部分を明るくするための機能を持った専用の装置として、カウンター49,53,55の下方空間を直接的に明るくすることができる。これにより、照度の観点から起床しやすい睡眠環境を形成しやすくなる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、例えば図22に示すように、請求項2に記載の部屋空間1の空調システムにおいて、
前記カウンター49は、前記照明装置51が収納され、かつ、前記カウンター49の下面よりも下方に前記照明装置51を配置するための照明収納部52を有しており、
前記カウンター49の下面と前記照明収納部52との間には隙間が形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、カウンター49は、照明装置51が収納され、かつ、カウンター49の下面よりも下方に照明装置51を配置するための照明収納部52を有しており、カウンター49の下面と照明収納部52との間には隙間が形成されているので、隙間から漏れる光によって、カウンター49,53,55の下方空間を明るくすることができる。つまり、照明収納部52に収納された照明装置51を間接照明として機能させることができるので、直接目に入る光によって照らされる場合とは異なり、カウンター49の下面等に反射した柔らかな明かりでカウンター49の下方空間を照らすことができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、例えば図23に示すように、請求項1に記載の部屋空間1の空調システムにおいて、
前記照度上昇手段54は、前記カウンター53の下面に設けられ、画像を表示するためのモニター54であることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、照度上昇手段54は、前記カウンター53の下面に設けられ、画像を表示するためのモニター54であるため、画像を表示しながらカウンター53の下方空間を明るくすることができる。これにより、照度の観点から起床しやすい睡眠環境を形成しやすくなる。
さらに、表示される画像によっては、カウンター53の下方空間を利用する利用者Pへの、カウンター53があることによる圧迫感の解消を図ることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、例えば図24に示すように、請求項1に記載の部屋空間1の空調システムにおいて、
前記照度上昇手段56は、前記カウンター55の下面に斜めに傾けられた状態で設けられたミラー56であり、
前記ミラー56は、鏡面が、前記壁部4とは反対側で、かつ斜め下向きとなるように配置されていることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、カウンター55の下面に斜めに傾けられた状態で設けられたミラー56は、鏡面が、前記壁部4とは反対側で、かつ斜め下向きとなるように配置されているので、カウンター55の下方空間を利用する利用者Pには、カウンター55の下方空間の外部から取り込んだ光が届くことになる。これにより、就寝時に部屋空間1を暗くすれば、カウンター55の下方空間を利用する利用者Pに光は届きにくいが、朝になれば、屋外から部屋空間1に差し込む自然光が、カウンター55の下方空間を利用する利用者Pに届きやすくなるので、照度の観点から起床しやすい睡眠環境を形成しやすくなる。
さらに、カウンター55の下方空間を利用する利用者Pは、ミラー56越しに、カウンター55の下方空間の外部を見ることができるので、カウンター55の下方空間を利用する利用者Pへの、カウンター55があることによる圧迫感の解消を図ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、放射冷暖房装置によって温度調整された空気を利用して部屋空間内に快適な温熱環境を形成するとともに、照度の観点から起床しやすい睡眠環境を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】部屋空間の基本構成を示す側断面図である。
図2】ふかし壁のある部屋空間の例を示す斜視図である。
図3】第1実施形態における一実施例の部屋空間を示す斜視図である。
図4】第1実施形態における一実施例の部屋空間を示す斜視図である。
図5】物品を付着させる機能があるカウンターの例を示す側断面図である。
図6】カウンターの動作を制御するシステムを示すブロック図である。
図7】第1実施形態における一実施例の部屋空間を示す斜視図である。
図8】第1実施形態における一実施例の部屋空間を示す側断面図である。
図9】第1実施形態における一実施例の部屋空間を示す斜視図である。
図10】第1実施形態における一実施例の部屋空間を示す側断面図である。
図11】冷暖房パネルに対する気流制御手段の配置例を説明する図である。
図12】気流制御手段であるカウンターの変形例を示す側断面図である。
図13】第2実施形態における一実施例の部屋空間を示す側断面図である。
図14】第2実施形態における一実施例の部屋空間を示す側断面図である。
図15】照明付き壁体が設けられた例を示す側断面図である。
図16】第2実施形態における一実施例の部屋空間を示す立断面図である。
図17】第3実施形態における一実施例の部屋空間を示す斜視図である。
図18】空気拡散手段であるカウンターの変形例を示す図である。
図19】第3実施形態における一実施例の部屋空間を説明する図である。
図20】第3実施形態における一実施例の部屋空間を説明する図である。
図21】第3実施形態における一実施例の部屋空間を側断面図である。
図22】第4実施形態における一実施例の部屋空間を示す側断面図である。
図23】第4実施形態における一実施例の部屋空間を示す側断面図である。
図24】第4実施形態における一実施例の部屋空間を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。なお、以下に述べる実施形態は可能な限り組み合わせてもよい。
【0019】
<第1実施形態>
図1において符号1は、部屋空間を示す。この部屋空間1は、住宅内の主寝室(ベッドルーム)や子供部屋、客間などのように、寝具10が設置される部屋の内部空間である。部屋空間1は、床部2と、天井部3と、複数の壁部4と、によって囲まれて形成されている。
【0020】
床部2は、住宅における同一階層の床体と連続して設けられており、本実施形態においては、同一階層の床体に対して一体的に設けられているが、同一階層の床体と一体に形成されていてもよい。
本実施形態における床部2は、全面が同一の高さに設定されているが、スキップ床や小上がり、掘りごたつのように段違いの部分があってもよい。
なお、床部2の上面には、寝具10の脚部による傷付きを防ぐタイルカーペットなどの敷物が敷かれてもよい。
【0021】
天井部3は、床部2の上方に位置しており、住宅における居室等の他の部屋と同等の天井高となるように設けられているが、吹き抜けの場合や、ロフト等の低天井室の場合はこの限りではない。
本実施形態における天井部3は、全面が同一の高さに設定されているが、勾配天井や折り上げ天井でもよい。
【0022】
複数の壁部4は、床部2と天井部3との間に配置されており、部屋空間1と、他の部屋又は屋外とを仕切っている。また、複数の壁部4は、住宅における他の部屋を形成する壁体と連続して設けられる場合がある。さらに、複数の壁部4は、住宅内部の内壁として設けられる場合もあるし、住宅の外周を構成する外壁として設けられる場合もある。
複数の壁部4のうち、少なくとも一つの壁部4には、部屋空間1に出入りするための出入り用開口部(図示省略)が形成されている。また、複数の壁部4には、屋外と連通する開口部(図示省略)が形成されてもよい。
【0023】
部屋空間1には、寝具10と、放射冷暖房装置12と、が備えられている。
【0024】
寝具10は、本実施形態においては、利用者Pの頭部を一端部10a側に位置させるとともに足部を他端部10b側に位置させて、利用者Pを支持するベッドである。ベッド10は、台本体の上にマットレスが設けられた状態となっており、以下、ベッドの上面としては、マットレスの上面を指すものとする。マットレスの厚みは適宜変更可能である。また、ベッド10とセットで、枕や掛布団なども適宜用いられる。
【0025】
そして、ベッド10は、部屋空間1に対しては、利用者Pの頭部が位置する一端部10aを、複数の壁部4のうち一つの壁部4に寄せた状態で設置されている。換言すれば、第一壁部4aをヘッドボード代わりに用いることができる。第一壁部4aの壁面のうち、ベッド10が寄せられた部位には、当該部位の周囲とは異なる仕上げ(壁紙等)を施し、ヘッドボード代わりに用いることができることを容易に判別できるようにしてもよい。
また、ベッド10は、床部2又は壁部4に固定されていてもよい。つまり、備え付けのベッド10でもよいものとする。
【0026】
なお、複数の壁部4は、ベッド10の一端部10aが寄せられた状態に配置された第一壁部4aと、平面視において第一壁部4aと直交する第二壁部4bと、その他の図示しない壁部と、を有するものとする。
【0027】
寝具10としては、ベッド10の他にも、敷布団やハンモック、寝袋などを採用してもよいが、いずれの場合も、利用者Pの頭部が位置する一端部10aを、複数の壁部4のうち一つの壁部4に寄せた状態で設置されるものとする。床部2に小上がりを設け、その小上がりの上面に敷布団を敷いて、ベッド10と同様に用いてもよい。
【0028】
放射冷暖房装置12は、内部の管材13aに高温又は低温の流体を流通させて表面から熱放射する装置であり、ベッド10の一端部10aが寄せられた状態に配置された第一壁部4aに組み込まれて支持されている。
流体としては、例えば、水又は不凍液(例えば、エチレングリコールなど)が用いられている。水は加熱冷却が容易であり、配管などのメンテナンスにおいても好適な流体である。
なお、放射冷暖房装置12が組み込まれた第一壁部4aは、放射冷暖房装置12を支持する支持体として機能する。第二壁部4bに放射冷暖房装置12が組み込まれてもよく、その場合は、第二壁部4bも支持体として機能する。
また、本実施例においては、壁部4が、放射冷暖房装置12が組み込まれるものとしたが、これに限られるものではなく、床部2や天井部3に放射冷暖房装置12が組み込まれてもよい。すなわち、これら床部2や天井部3を支持体として機能させてもよいし、あくまでも壁部4を支持体とした上で、床部2や天井部3に放射冷暖房装置12が組み込まれるものとしてもよい。
【0029】
放射冷暖房装置12は、上記のように第一壁部4aに組み込まれて一体的な状態となっている。そのため、第一壁部4aとは、第一壁部4aの壁体と、この放射冷暖房装置12と、を含めたものを指すものとしてもよい。
したがって、ベッド10は、このような放射冷暖房装置12に沿って設けられた状態となっている。
なお、第一壁部4aは、開口部が無い状態となっているが、あくまでも放射冷暖房装置12が設けられた範囲に開口部が無い状態を指しており、放射冷暖房装置12が設けられていない箇所には開口部が形成されてもよい。
また、第一壁部4aに放射冷暖房装置12が組み込まれていることが容易に判別できるように、壁紙等の仕上げを、複数の壁部4における他の壁部と異なるものにしてもよい。
【0030】
放射冷暖房装置12は、第一壁部4aのうちベッド10の上面よりも上方に配置されている。ベッド10の上面よりも下方に配置されると、マットレスとの温度差により結露が発生しかねないため、放射冷暖房装置12は、ベッド10の上面よりも上方に配置されることが望ましいものとする。
ベッド10に用いられるマットレスを、厚みの異なるものに変更することで、ベッド10における上面の高さ位置を変更できるので、放射冷暖房装置12を、ベッド10の上面よりも上方に配置するには、マットレスで対応するものとする。もしくは、ベッド10の台本体に、高さ調節機能があってもよい。
【0031】
放射冷暖房装置12の構成について、より詳細に説明すると、冷水又は温水が流通する管材13aが内部に配管された複数枚の冷暖房パネル13と、給水源との間で冷水又は温水を循環させるための複数の循環用配管と、を備える。循環用配管は、例えば床下や天井裏を通り、複数の冷暖房パネル13と給水源とを接続している。
なお、給水源は、熱交換ユニットに接続されており、熱交換ユニットによって、夏場は冷水を、冬場は温水を放射冷暖房装置12に対して循環させることができるようになっている。
また、複数枚の冷暖房パネル13をそれぞれ異なる系統で流体の供給を受けられるようにすると、冷暖房パネル13ごとに異なる温度調節が可能となる。
【0032】
このような放射冷暖房装置12を第一壁部4aに組み込む場合、複数の冷暖房パネル13を、第一壁部4aを構成する躯体に組み込むようにする。
すなわち、部屋空間1を有する住宅の躯体が、例えば在来工法によるものであれば、柱や梁等によって第一壁部4aは構成されることとなる。複数の冷暖房パネル13は、柱や梁等の躯体に直接取り付けられて組み込まれてもよいし、躯体に固定された枠体に対して取り付けられてもよい。また、複数の壁部4には断熱材が充填されるが、複数の冷暖房パネル13は、その断熱材に隣接して設けられる。
部屋空間1を有する住宅の躯体が、例えば枠組壁工法の場合は、フレーム状に組まれた木材間に複数の冷暖房パネル13が組み込まれるものとする。
そして、第一壁部4aを構成する躯体に組み込まれた放射冷暖房装置12は、第一壁部4aにおける部屋空間1側の壁面を構成する面材によって遮蔽されて、部屋空間1には露出しない状態となっている。
【0033】
利用者Pは、放射冷暖房装置12からの直接の放射熱によって、暖を取ったり、涼んだりすることができる。したがって、ベッド10の一端部10aが第一壁部4aに寄せられた状態に配置されると、ベッド10の一端部10a側に位置する利用者Pの頭部が、放射冷暖房装置12からの放射熱による直接的な影響を受けやすく、ベッド10の他端部10b側に位置する足部が、放射冷暖房装置12からの放射熱による直接的な影響を受けにくくなる。
【0034】
さらに、放射冷暖房装置12付近の空気は、放射冷暖房装置12からの放射熱によって温度調整されることになる。そして、温度調整された空気は、部屋空間1内の自然な対流によって、部屋空間1内を温めたり、冷やしたりすることができる。
すなわち、利用者Pは、放射冷暖房装置12の近傍に居れば、放射冷暖房装置12からの直接の放射熱によって、暖まったり涼んだりが可能となるほか、放射冷暖房装置12から離れていても、部屋空間1内の自然な対流によって暖まったり涼んだりが可能となる。換言すれば、部屋空間1内の空気の流れ(気流)を制御できれば、放射冷暖房装置12から発せられる放射熱を、より遠くに運ぶことができる。
【0035】
なお、本実施形態における放射冷暖房装置12は、部屋空間1を構成する複数の壁部4のうちの第一壁部4aに組み込まれて支持されるものとしたが、図2に示すように、第一壁部4aの壁面に形成されたふかし壁5に組み込まれて支持されてもよい。
ふかし壁5は、当該ふかし壁5を構成する枠体(図示省略)と、ふかし壁5の部屋空間1側の壁面を構成する面材と、高温又は低温の流体を流通させる管材13aを有する冷暖房パネル13と、を備える。冷暖房パネル13は、面材の裏側に設けられて枠体によって支持されている。これにより、ふかし壁5に放射冷暖房装置12が組み込まれて支持されることとなる。ふかし壁5は、第一壁部4aの壁面に形成されて、第一壁部4aの前方に張り出して配置された状態となっているので、ベッド10の一端部10aが寄せられた状態に配置されれば、ヘッドボードとして利用者Pに認識されやすくなる。
【0036】
また、図2に示す例のように、部屋空間1に2つのふかし壁5(放射冷暖房装置12)を設けることで、一方のベッド10(例えば夫用のベッド)に接する放射冷暖房装置12の設定温度と、他方のベッド10(例えば妻用のベッド)に接する放射冷暖房装置12の設定温度とを異ならせることが可能となる。夫婦間で快適に感じる温度が違う場合には部屋空間1の室温が揉め事の原因になることがあるが、複数の放射冷暖房装置12を設置することで、利用者Pごとの快適温度を実現するパーソナル空調が可能となるので、このような揉め事を回避することが可能となる。
【0037】
そして、以上のように構成された部屋空間1には、放射冷暖房装置12を含む空調システムが設けられている。
【0038】
〔実施例〕
以下、本実施形態における部屋空間1の空調システムについて、より詳細に説明する。
なお、以下に説明する空調システムの各実施例においては、上記のような部屋空間1の構成を備えることを前提とする。また、共通する要素については、共通の符号を付し、説明を適宜省略又は簡略する。
【0039】
〔実施例1-1〕
本実施例の部屋空間1には、図3に示すように、支持体である第一壁部4a側に配置されて、かつ、放射冷暖房装置12からの放射熱によって温度調整された室内の空気の流れを複数のパターンで制御する第一気流制御手段14が備えられている。
【0040】
より詳細に説明すると、本実施例における第一気流制御手段14は、部屋空間1に向かって空気を吹き出す機能を有する空気吹出装置14である。本実施例においては複数の空気吹出装置14が第一壁部4aに設けられているものとする。そして、これら複数の空気吹出装置14は、上下方向に間隔を空けて配置されている。
【0041】
各空気吹出装置14は、部屋空間1に向かって空気を吹き出すための吹出口14aを備えており、各空気吹出装置14は、送風を行う本体が第一壁部4aの壁裏に配置され、吹出口14aのみが部屋空間1に露出した状態となっている。
吹出口14aは、上下左右に風向を変化させたり、開口範囲を狭めたり広げたりすることで風量や風速を調節したりすることができる。すなわち、吹出口14aには、図示はしないが、風向を変化させるための複数のフィンや、開口範囲を狭めたり広げたりするためのシャッターが適宜設けられているものとする。こういった吹出口14aの動作は、自動制御できるものとしてもよいし、手動で変更できるようにしてもよい。
これに加えて空気吹出装置14の本体は、根本的な風量の調節を行うことができる。また、空気吹出装置14は、オンタイマーやオフタイマー等の機能を有してもよい。
なお、空気吹出装置14の動作をコントロールするためのリモコンがあってもよい。
【0042】
吹出口14aは、本実施例においては、間隔を空けて設置された2台のベッド10に対応した幅寸法に設定されているが、各ベッド10に対応した幅寸法とし、ベッド10ごとに対応して、吹出口14a(空気吹出装置14)が設けられるようにしてもよい。すなわち、吹出口14a(空気吹出装置14)を左右に分けて配置し、これら左右の吹出口14a(空気吹出装置14)の前方にベッド10を設置すれば、パーソナル性が高まる。換言すれば、左右の各ベッド10を利用する利用者Pごとの快適温度を実現するパーソナル空調が可能となる。
放射冷暖房装置12が、ふかし壁5に設けられる場合には、吹出口14aもふかし壁5に設けられるものとする。
【0043】
また、本実施例における放射冷暖房装置12は、第一壁部4aに対して複数設けられている。そして、これら複数の放射冷暖房装置12は、上下方向に間隔を空けて配置されている。
すなわち、第一壁部4aには、複数の放射冷暖房装置12と、複数の第一気流制御手段14と、が組み込まれて支持されている。そして、複数の放射冷暖房装置12と、複数の第一気流制御手段14は、上下方向に交互に配置されている。図3に示す例においては、最下方に放射冷暖房装置12が設けられ、最上方にも放射冷暖房装置12が設けられ、これらの放射冷暖房装置12の間に、2つの放射冷暖房装置12と3つの空気吹出装置14(吹出口14a)が交互に設けられた状態となっている。
【0044】
複数の放射冷暖房装置12は、流体の供給系統が同一のものとされて同一の温度の放射熱を発生させるものとするが、上下に並ぶ放射冷暖房装置12ごとに設定温度を変更できるようにしてもよい。
【0045】
以上のように構成された空調システムは、複数の放射冷暖房装置12からの直接の放射熱によって、近傍に位置するものを温めたり、冷やしたりすることができる。
また、複数の放射冷暖房装置12付近の空気は、複数の放射冷暖房装置12からの放射熱によって温度調整されることになる。そして、温度調整された空気は、第一気流制御手段である複数の空気吹出装置14によって、第一壁部4aから離れた位置まで、或いは近い位置にも送ることができるようになる。さらに、複数の空気吹出装置14(吹出口14a)ごとに風向や風量を調整することにより、空気の流れを、より多様なパターンで制御することが可能となる。これにより、温度調整された空気を、部屋空間1内の様々な場所に流通させることができる。
これに加えて、上下に並ぶ複数の放射冷暖房装置12ごとに設定温度を変更すると、より複雑なパターンで空調の制御を行うことができる。
【0046】
空気吹出装置14によって、複数の放射冷暖房装置12からの放射熱によって温度調整された空気の流れを制御する複数のパターンの一つに、空気吹出装置14の稼働を停止するパターンが含まれてもよい。すなわち、空気吹出装置14は、少なくとも、稼働させるか停止させるか、の2パターンで空気の流れを制御することができる。
【0047】
ベッド10は、一端部10aが第一壁部4a側に寄せられて配置されているので、ベッド10の利用者Pは、頭部が、放射冷暖房装置12からの直接の放射熱によって温められたり冷やされたりする。
ベッド10の他端部10bに位置する利用者Pの足部は、放射冷暖房装置12からの直接の放射熱による影響を受けにくいが、空気吹出装置14によって送られた温度調整済みの空気によって温められたり冷やされたりすることになる。
すなわち、部屋空間1の空調システムは、部屋空間1全体の空調だけでなく、一端部10aが第一壁部4a側に寄せられて配置されたベッド10での良好な睡眠環境の形成にも貢献できることとなる。
【0048】
なお、本実施例における第一気流制御手段14は、空気吹出装置14であるとしたが、これに限られるものではなく、例えば建物内に設けられた換気装置の一部でもよいし、部屋空間1内の空気の温度や湿度を調整できるエアコンでもよい。
また、本実施例においては、空気吹出装置14が複数設けられるものとしたが、1台の空気吹出装置14としてもよい。その場合、部屋空間1内の空気の流れを複数のパターンで制御するには、吹出口14aを複数とし、これら複数の吹出口14aと1台の空気吹出装置14とをダクトで接続する。
さらに、空気吹出装置14は、第一壁部4a内に納められた状態となっているので、第一壁部4a(又はふかし壁5)をベッド10のヘッドボードとし、利用者Pが背もたれとして利用した場合に、空気吹出装置14が邪魔にならない。
【0049】
〔実施例1-2〕
本実施例の部屋空間1には、図4図6に示すように、支持体である第一壁部4a側に配置されて、かつ、放射冷暖房装置12からの放射熱によって温度調整された室内の空気の流れを複数のパターンで制御する第二気流制御手段15が備えられている。
【0050】
より詳細に説明すると、本実施例における第二気流制御手段15は、第一壁部4aの壁面に突出して設けられたカウンター15である。カウンター15は、ベッド10の上面よりも上方の高さ位置に設けられている。また、ベッド10は、一端部10aが、カウンター15の下方に配置されるように設置されている。つまり、カウンター15は、利用者Pの頭部の上方に配置されることとなる。
【0051】
カウンター15は、矩形状の板材によって構成されており、板材の長手方向の寸法が、ベッド10の幅寸法と略等しく設定されている。
【0052】
カウンター15は、第一壁部4aの壁面に対し、当該第一壁部4aの壁面に沿って上下方向に移動可能に設けられている。
すなわち、第一壁部4aの壁面には、一対のガイドレール16が設けられており、これら一対のガイドレール16のそれぞれには、ガイドレール16に沿ってスライドする支持スライダー17が設けられている。
なお、ガイドレール16は、第一壁部4aの壁面に対し、下端部が、ベッド10の上面から上方に間隔を開けて配置できるような位置に取り付けられているものとする。
【0053】
また、カウンター15は、一対のガイドレール16に設けられた支持スライダー17間に設けられて、これら支持スライダー17によって支持されている。
本実施例においては、水平配置された状態のカウンター15のうち、第一壁部4a側端部が支持スライダー17と連結されている。
【0054】
支持スライダー17は、ガイドレール16の長さ方向のうち任意の位置で一時固定できるようになっている。すなわち、支持スライダー17は、ガイドレール16に接するストッパー(図示省略)を有しており、ストッパーがガイドレール16に接している状態の場合、支持スライダー17は、ガイドレール16の長さ方向のうち任意の位置で一時固定される。したがって、カウンター15は、ガイドレール16の長さ方向のうち任意の位置で一時固定することができる。
【0055】
また、カウンター15は、一対の支持スライダー17によって上下方向に回転可能に支持されて、第一壁部4aの壁面に対して角度調整可能に構成されている。すなわち、カウンター15は、カウンター15として使用される場合には、第一壁部4aの壁面から前方に突出した状態に配置されるが、角度調整可能であるため、上方や下方に回転させて第一壁部4aの壁面に沿う状態にすることもできる。
本実施例においては、支持スライダー17が、ガイドレール16に沿ってスライド移動するスライダー本体と、カウンター15の側端面に固定される固定部と、これらスライダー本体と固定部との間に設けられた角度調整部と、からなる。角度調整部は、側面視において、固定部をスライダー本体に対して回転させるとともに、回転方向の任意の位置で固定部の回転を一時固定する構成(機構)となっている。ストッパーが、適宜備えられてもよいものとする。
ただし、これに限られるものではなく、第一壁部4aの壁面に対するカウンター15の角度調整は、カウンター15が水平に配置される角度と、カウンター15を下方に回転させて第一壁部4aの壁面に沿った状態(要するに、折りたたんだ状態)にする角度の2種類のみであってもよい。
【0056】
なお、カウンター15の上面には、図5に示すように、例えばスマートフォンSPや目覚まし時計AC等の物品が置かれて使用されるが、物品が置かれているのに気づかずにカウンター15を下方に回転させて第一壁部4aの壁面に沿った状態にしてしまうと、物品は当然落下する。
そこで、カウンター15の上面には、物品を付着させる機能が付与されている。物品を付着させる機能としては、物品を繰り返し付着させる粘着シート、物品の金属部分を付着させるマグネットシートが適宜採用される。また、面ファスナー等のように、カウンター15の上面側だけでなく、物品側にも付着機能の一翼を担うようにさせてもよい。
【0057】
カウンター15の上下移動及び角度調整は、自動又は手動で行われる。
自動で行われる場合、第二気流制御手段15は、図6に示すように、カウンター15を自動で上下移動及び角度調整するための駆動部18を備える。すなわち、駆動部18は、支持スライダー17をガイドレール16に沿ってスライド移動させる第一駆動部と、支持スライダー17に対してカウンター15を回転させる第二駆動部と、を有する。
【0058】
また、駆動部18は、コンピュータによって構成された制御装置19に対して有線又は無線によって接続されており、制御装置19によって制御される。
制御装置19は、記憶部20を有しており、記憶部20には、駆動部18の制御に必要な各種プログラムや各種データが格納されている。また、制御装置19は、部屋空間1内に設けられた状態検知センサー21のセンシング結果に応じて駆動部18を制御するように構成されている。
【0059】
状態検知センサー21としては、例えば、温度や湿度、空気清浄度などのような部屋空間1内における空気環境の状態を検知するセンサー、カウンター15下の照度を検知するセンサー、利用者Pの生体情報(体温、血圧、血流、心拍、顔色、睡眠、呼吸、発汗など)を非接触で検知するセンサー(カメラやマイクを含んでもよい)等が挙げられる。
すなわち、制御装置19の記憶部20に記憶された各種プログラムには、制御装置19が、状態検知センサー21のセンシング結果が入力されたときに実行されて、駆動部18を動作させるプログラムが含まれているものとする。
【0060】
なお、カウンター15の上下移動及び角度調整が無線で行われる場合は、建物内に構築された通信ネットワークを利用し、駆動部18や制御装置19、状態検知センサー21には、必要な通信モジュール等が適宜備えられているものとする。
【0061】
このように構成されたカウンター15の自動制御システムによれば、状態検知センサー21によるセンシング結果が、一定の条件を満たしたときに、制御装置19の記憶部20に記憶された所定のプログラムが実行され、カウンター15をガイドレール16に沿ってスライド移動させたり、カウンター15を支持スライダー17に対して回転させたりすることができる。これにより、カウンター15の上下移動及び角度調整を自動で行うことができる。
【0062】
カウンター15の上下移動及び角度調整を手動で行う場合は、カウンター15を手で持って、上方又は下方にスライド移動させたり、上方又は下方に回転させたりする。カウンター15の位置が決定したときにはストッパーを手動操作してカウンター15を一時固定する。
【0063】
以上のようにして、カウンター15を上下移動させたり角度調整したりすることができる。
このようなカウンター15がガイドレール16を介して取り付けられた第一壁部4aには、放射冷暖房装置12が組み込まれて支持されている。
【0064】
本実施例の部屋空間1の空調システムにおいては、放射冷暖房装置12からの直接の放射熱によって、近傍に位置するものを温めたり、冷やしたりすることができる。
また、放射冷暖房装置12付近の空気は、放射冷暖房装置12からの放射熱によって温度調整されることになる。そして、放射冷暖房装置12によって温度調整された空気のうち、第二気流制御手段であるカウンター15よりも上方の位置で温度調整された空気は、カウンター15の直下には流通しにくくなる。さらに、第二気流制御手段であるカウンター15よりも下方の位置で温度調整された空気は、カウンター15の直上には流通しにくくなる。しかも、カウンター15の上下移動や角度調整を行うことにより、空気の流れを、より多様なパターンで制御することが可能となる。
これに加えて、放射冷暖房装置12の設定温度を変更すると、より複雑なパターンで空調の制御を行うことができる。
【0065】
より詳細に説明すると、冷やされた空気は下降する性質を有している。カウンター15よりも上方の位置で温度調整された空気は、カウンター15の直下には流通しにくくなるので、冷たい空気が顔に当たるのを嫌がる人にとっては、カウンター15によって、下降する冷気を極力遮ることができる。
カウンター15によって遮られた冷気は、カウンター15の突出方向側端部(及び幅方向側端部)から下降することになるので、利用者Pの頭部よりも足先側に流通しやすくなる。カウンター15の角度を下向き傾斜とすることで、冷気の下降速度を向上させることができる。反対に、カウンター15の角度を上向き傾斜とすることで、下降する冷気をカウンター15上に滞留させた後に、カウンター15の突出方向側端部側又は第一壁部4a側端部側からゆっくりと下降させることができる。
また、カウンター15の高さ位置が異なれば、このような気流の制御は、その高さ位置に応じて異なったものとなる。さらに、放射冷暖房装置12の設定温度によっても気流の制御が異なったものとなる。
【0066】
一方、温められた空気は上昇する性質を有している。カウンター15よりも下方の位置で温度調整された空気は、カウンター15の直上には流通しにくくなるので、温かい空気が逃げないようにしたい人にとっては、カウンター15によって、上昇する暖気が逃げることを極力抑制することができる。
カウンター15よりも下方の位置で温度調整された暖気は、カウンター15の突出方向側端部から徐々に上昇するが、カウンター15の角度を下向き傾斜とすることで、カウンター15下に滞留させやすくなる。反対に、カウンター15の角度を上向き傾斜とすることで、上昇する暖気を若干に逃がしやすくすることができる。
また、カウンター15の高さ位置が異なれば、このような気流の制御は、その高さ位置に応じて異なったものとなる。さらに、放射冷暖房装置12の設定温度によっても気流の制御が異なったものとなる。
【0067】
カウンター15によって、放射冷暖房装置12からの放射熱によって温度調整された空気の流れを制御する複数のパターンの一つに、カウンター15を上方又は下方に回転させて第一壁部4aの壁面に沿った状態にするパターンが含まれてもよい。すなわち、カウンター15は、少なくとも、第一壁部4aの壁面から垂直に突出させた状態とするか、或いは折りたたんで第一壁部4aの壁面に沿わせた状態にするか、の2パターンで空気の流れを制御することができる。
【0068】
以上のような本実施例の部屋空間1の空調システムは、部屋空間1全体の空調だけでなく、一端部10aが第一壁部4a側に寄せられて配置されたベッド10での良好な睡眠環境の形成にも貢献できる。
【0069】
なお、本実施例におけるカウンター15は、1枚のみ設けられるものとするが、上下方向に間隔を空けて複数枚のカウンター15が設けられてもよい。その場合、複数のカウンター15における第一壁部4aからの突出寸法を異なるものとすることによって、空気の流れを、より多様なパターンで制御することが可能となる。
【0070】
さらに、カウンター15は、上下方向にスライド移動が可能となっているので、第一壁部4a(又はふかし壁5)をベッド10のヘッドボードとし、利用者Pが背もたれとして利用する場合に、カウンター15を上方にスライド移動させれば邪魔にならない。
【0071】
〔実施例1-3〕
本実施例の部屋空間1には、図7に示すように、支持体である第一壁部4a側に配置されて、かつ、放射冷暖房装置12からの放射熱によって温度調整された室内の空気の流れを複数のパターンで制御する第三気流制御手段22が備えられている。
【0072】
より詳細に説明すると、本実施例における第三気流制御手段22は、線材22a,22bによって天井部3から吊り下げられたシート材22である。シート材22は、ベッド10の上面よりも上方の高さ位置に設けられている。また、ベッド10は、一端部10aが、シート材22の下方に配置されるように設置されている。つまり、シート材22は、利用者Pの頭部の上方に配置されることとなる。
【0073】
シート材22の材質(生地)は、気流を制御する上で、例えば目が粗くて空気が通り抜ける量が多くなってしまうような“網”状に近いものは選択されないものとする。また、圧迫感を抑える上で、透視性又は透光性は高い方が好ましいが、必ずしも透視性又は透光性は高くなくてもよい。これに加えて、風を受けたときに大きくなびいてしまうと気流の制御が行いにくいため、ある程度の重量がある材質であることが好ましい。第三気流制御手段として使用されるシート材22は、このような条件を満たすものが望ましい。ただし、これに限られるものではなく、例えば柄物のシート材22や洗濯しやすい材質のシート材22など、利用者Pの好みに応じて適宜変更可能である。
【0074】
また、シート材22は、矩形状に形成されており、四隅に線材22a,22bが接続されている。各線材22a,22bは、上端部が巻き取り装置(図示省略)に接続されている。巻き取り装置は自動又は手動によって回転し、回転に伴って線材22a,22bを巻き取ったり繰り出したりすることができる。
シート材22のうち、第一壁部4a側の2つの隅部に接続された線材22aは、以下、第一線材22aと称し、第一壁部4aとは反対側の2つの隅部に接続された線材22bは、以下、第二線材22bと称する。
なお、第一線材22a及び第二線材22bは、シート材22の四隅に対して着脱可能に接続されているものとする。
【0075】
シート材22は、四隅が第一線材22a及び第二線材22bによって吊られているので、四隅以外は下方に撓んだ状態となっている。
なお、シート材22のうち、第一線材22aが接続された2つの隅部間と、第二線材22bが接続された2つの隅部間のそれぞれに棒材を渡して、シート材22のうち第一壁部4a側の縁部(一側縁部)とそれとは反対側の縁部(他側縁部)とが撓まないようにしてもよい。
【0076】
以上のように構成された第三気流制御手段であるシート材22は、上記の巻き取り装置によって第一線材22a及び第二線材22bを巻き取ったり繰り出したりすることで、上下移動及び角度調整が可能となっている。
すなわち、第一線材22a及び第二線材22bを繰り出して長く伸ばしたり、反対に手繰り寄せて縮めたりすることで、シート材22を上下移動させることができる。また、第一線材22a又は第二線材22bのいずれかを繰り出して伸ばしたり、反対に手繰り寄せて縮めたりすることで、シート材22の角度を調整できる。
【0077】
なお、シート材22の上下移動及び角度調整は、自動又は手動で行われる。
自動で行われる場合、巻き取り装置は、第一線材22a及び第二線材22bが巻回された回転体を回転させるための駆動部を備える。この駆動部は、上記の自動制御システムと同様の構成で制御することができる(図6参照)。すなわち、駆動部は、コンピュータによって構成された制御装置に対して有線又は無線によって接続されており、記憶部に記憶されたプログラムに応じて制御装置によって制御される。また、制御装置は、部屋空間1内に設けられた状態検知センサー21のセンシング結果に応じて駆動部を制御するように構成されている。
このように構成されたシート材22の自動制御システムによれば、状態検知センサー21によるセンシング結果が、一定の条件を満たしたときに、制御装置の記憶部に記憶された所定のプログラムが実行され、巻き取り装置によって第一線材22a及び第二線材22bを適宜巻き取ったり繰り出したりすることができる。これにより、シート材22の一側縁部を上げたり下げたり、他側縁部を上げたり下げたりすることができるので、シート材22の上下移動及び角度調整を自動で行うことができる。
【0078】
シート材22の上下移動及び角度調整を手動で行う場合は、巻き取り装置を、天井部3に固定された定滑車として用い、巻き取り装置の回転体に巻回した第一線材22a及び第二線材22bの端部を、下方に垂らすようにする。シート材22の一側縁部及び他側縁部には、錘として棒材を設けておき、さらに、第一線材22a及び第二線材22bの途中部分に留め具を取り付けておけば、シート材22が、一定の高さに配置されることとなり、その位置を最も低い位置とすることができる。
シート材22を上昇させる場合は、下方に垂らした第一線材22a及び第二線材22bの端部を下方に引っ張ればよい。また、シート材22を上昇させた位置で一時固定する場合は、例えば第一壁部4aに突設された引掛部に、第一線材22a及び第二線材22bを括り付けておくようにする。
【0079】
以上のようにして、シート材22を上下移動させたり角度調整したりすることができる。
このようなシート材22が前方に配置された第一壁部4aには、放射冷暖房装置12が組み込まれて支持されている。
【0080】
本実施例の部屋空間1の空調システムにおいては、放射冷暖房装置12からの直接の放射熱によって、近傍に位置するものを温めたり、冷やしたりすることができる。
また、放射冷暖房装置12付近の空気は、放射冷暖房装置12からの放射熱によって温度調整されることになる。そして、放射冷暖房装置12によって温度調整された空気のうち、第三気流制御手段であるシート材22よりも上方の位置で温度調整された空気は、シート材22の直下には流通しにくくなる。さらに、第三気流制御手段であるシート材22よりも下方の位置で温度調整された空気は、シート材22の直上には流通しにくくなる。しかも、シート材22の上下移動や角度調整を行うことにより、空気の流れを、より多様なパターンで制御することが可能となる。
これに加えて、放射冷暖房装置12の設定温度を変更すると、より複雑なパターンで空調の制御を行うことができる。
【0081】
より詳細に説明すると、冷やされた空気は下降する性質を有している。シート材22よりも上方の位置で温度調整された空気は、シート材22の直下には流通しにくくなるので、冷たい空気が顔に当たるのを嫌がる人にとっては、シート材22によって、下降する冷気を極力遮ることができる。
シート材22は、第一壁部4aに取り付けられているわけではないので、シート材22によって遮られた冷気は、シート材22の周縁部から下降することになる。シート材22の他側縁部から下降する冷気は、利用者Pの頭部よりも足先側に流通しやすくなる。シート材22の角度を下向き傾斜(一側縁部よりも他側縁部が下方)とすることで、利用者Pの足先側への冷気の下降速度を向上させることができる。反対に、シート材22の角度を上向き傾斜(一側縁部よりも他側縁部が上方)とすることで、利用者Pの頭部側への冷気の下降速度を向上させることができる。
また、シート材22の高さ位置が異なれば、このような気流の制御は、その高さ位置に応じて異なったものとなる。さらに、放射冷暖房装置12の設定温度によっても気流の制御が異なったものとなる。
【0082】
一方、温められた空気は上昇する性質を有している。シート材22よりも下方の位置で温度調整された空気は、シート材22の撓みに沿って上昇しやすく、シート材22の下方に滞留しにくい。シート材22の下方に暖気を滞留させたい場合は、シート材22の中心に引っ張り用の紐(図示省略)を接続しておき、その紐を上方に引っ張ってから、例えば第一壁部4aに突設された引掛部に、紐を括り付けておくようにする。これにより、シート材22を上方に膨らんだ状態にすることができるので、シート材22の下方に暖気を滞留させることができる。
また、シート材22の角度を、下向き傾斜としたり上向き傾斜としたりすることで、シート材22の下方に滞留させた暖気を、徐々に上方に逃がすことができる。
また、シート材22の高さ位置が異なれば、このような気流の制御は、その高さ位置に応じて異なったものとなる。さらに、放射冷暖房装置12の設定温度によっても気流の制御が異なったものとなる。
【0083】
以上のような本実施例の部屋空間1の空調システムは、部屋空間1全体の空調だけでなく、一端部10aが第一壁部4a側に寄せられて配置されたベッド10での良好な睡眠環境の形成にも貢献できる。
【0084】
なお、本実施例におけるシート材22は、1枚のみ設けられるものとするが、複数枚のシート材22が設けられてもよい。その場合、複数のシート材22における面積を異なるものとすることによって、空気の流れを、より多様なパターンで制御することが可能となる。
【0085】
さらに、シート材22は、上下方向に移動が可能となっているので、第一壁部4a(又はふかし壁5)をベッド10のヘッドボードとし、利用者Pが背もたれとして利用する場合に、シート材22を上方に移動させれば邪魔にならない。
【0086】
本実施例におけるシート材22は、矩形状に形成されて、四隅に線材22a,22bが接続されるものとしたが、これに限られるものではなく、三角形状や五角形状など、その他の多角形状に形成されて、それぞれの隅部に線材22a,22bが接続されるものとしてもよい。ただし、いずれの場合にしても、気流制御手段としての機能を確保するため、シート材22の角(隅部)ではなく辺の部分が、第一壁部4aの壁面に沿って配置されるようにすることが望ましい。
【0087】
〔実施例1-4〕
本実施例の部屋空間1には、図8に示すように、支持体である第一壁部4a側に配置されて、かつ、放射冷暖房装置12からの放射熱によって温度調整された室内の空気の流れを複数のパターンで制御する第四気流制御手段23が備えられている。
【0088】
より詳細に説明すると、本実施例における第四気流制御手段23は、第一壁部4aの壁面に突出して設けられた湾曲カウンター23である。湾曲カウンター23は、ベッド10の上面よりも上方の高さ位置に設けられている。また、ベッド10は、一端部10aが、湾曲カウンター23の下方に配置されるように設置されている。つまり、湾曲カウンター23は、利用者Pの頭部の上方に配置されることとなる。
【0089】
湾曲カウンター23は、側面視において下方に膨らむように湾曲して形成されており、第一壁部4aとは反対側の突出方向側端部が上向きの状態になっている。また、ベッド10の幅寸法と略等しく設定されている。
【0090】
湾曲カウンター23の第一壁部4a側端部は、第一壁部4aの壁面に互いに間隔を空けて設けられた複数の支持部24に対して架け渡されて、かつ、回転軸部を介して連結されている。すなわち、湾曲カウンター23は、複数の支持部24によって回転可能に支持されており、これら複数の支持部24を介して第一壁部4aの壁面に取り付けられている。これにより、湾曲カウンター23は、上下方向に回転して角度調整できるように構成されている。
【0091】
なお、本実施形態における湾曲カウンター23は、角度調整可能に構成されているが、上記のカウンター15と同様に上下移動できるように構成されてもよいものとする。
【0092】
以上のような湾曲カウンター23が取り付けられた第一壁部4aには、放射冷暖房装置12が組み込まれて支持されている。
【0093】
本実施例の部屋空間1の空調システムにおいては、放射冷暖房装置12からの直接の放射熱によって、近傍に位置するものを温めたり、冷やしたりすることができる。
また、放射冷暖房装置12付近の空気は、放射冷暖房装置12からの放射熱によって温度調整されることになる。そして、放射冷暖房装置12によって温度調整された空気のうち、第四気流制御手段である湾曲カウンター23よりも上方の位置で温度調整された空気は、湾曲カウンター23の直下には流通しにくくなる。さらに、第四気流制御手段である湾曲カウンター23よりも下方の位置で温度調整された空気は、湾曲カウンター23の直上には流通しにくくなる。しかも、湾曲カウンター23の角度調整を行うことにより、空気の流れを、より多様なパターンで制御することが可能となる。
これに加えて、放射冷暖房装置12の設定温度を変更すると、より複雑なパターンで空調の制御を行うことができる。
【0094】
より詳細に説明すると、冷やされた空気は下降する性質を有している。湾曲カウンター23よりも上方の位置で温度調整された空気は、湾曲カウンター23の直下には流通しにくくなるので、冷たい空気が顔に当たるのを嫌がる人にとっては、湾曲カウンター23によって、下降する冷気を極力遮ることができる。
湾曲カウンター23によって遮られた冷気は、湾曲カウンター23の突出方向側端部(及び幅方向側端部)から下降することになるので、利用者Pの頭部よりも足先側に流通しやすくなる。湾曲カウンター23の角度を下向き傾斜とすることで、冷気の下降速度を向上させることができる。特に、突出方向側端部は、上記のように上向きの状態になっているので、冷気の下降速度によっては、その冷気を勢いよく遠くに送ることができる。反対に、湾曲カウンター23の角度を上向き傾斜とすることで、下降する冷気を湾曲カウンター23上に多く滞留させることができる。多く滞留した冷気は、湾曲カウンター23の突出方向側端部側又は第一壁部4a側端部側からゆっくりと下降させることができる。
【0095】
一方、温められた空気は上昇する性質を有している。湾曲カウンター23よりも下方の位置で温度調整された空気は、湾曲カウンター23の湾曲形状に沿って上昇しやすく、湾曲カウンター23の下方に滞留しにくい。換言すれば、湾曲カウンター23は、暖気を逃がしやすい形状となっている。湾曲カウンター23の角度を、上向き傾斜とすることで暖気を、より早く上方に逃がすことができる。
【0096】
以上のような本実施例の部屋空間1の空調システムは、部屋空間1全体の空調だけでなく、一端部10aが第一壁部4a側に寄せられて配置されたベッド10での良好な睡眠環境の形成にも貢献できる。
【0097】
なお、本実施例における湾曲カウンター23は、1枚のみ設けられるものとするが、複数枚の湾曲カウンター23が設けられてもよい。その場合、複数の湾曲カウンター23における第一壁部4aからの突出寸法を異なるものとすることによって、空気の流れを、より多様なパターンで制御することが可能となる。
【0098】
〔実施例1-5〕
本実施例の部屋空間1には、図9に示すように、支持体である第一壁部4a側に配置されて、かつ、放射冷暖房装置12からの放射熱によって温度調整された室内の空気の流れを複数のパターンで制御する第五気流制御手段25が備えられている。
【0099】
より詳細に説明すると、本実施例における第五気流制御手段25は、第二壁部4bの壁面から第一壁部4aの前方に突出して設けられたカウンター25である。カウンター25は、ベッド10の上面よりも上方の高さ位置に設けられている。また、ベッド10は、一端部10aが、カウンター25の下方に配置されるように設置されている。つまり、カウンター25は、利用者Pの頭部の上方に配置されることとなる。
【0100】
カウンター25は、矩形状の板材によって構成されており、下端部が、平面視において第一壁部4aと直交する第二壁部4bに取り付けられている。
第二壁部4bには、カウンター25が収納される収納凹部4cが形成されており、カウンター25の下端部は、その収納凹部4cにおける側縁の下端部に対し、回転軸部を介して取り付けられている。すなわち、カウンター25は、下端部の回転軸部を軸にして上下方向に回転するように構成されている。
【0101】
最も下方の位置においてカウンター25は、収納凹部4cの下縁に当接し、水平に配置された状態になる。なお、カウンター25の下面には、第二壁部4bの壁面に方杖のように接する補助ブラケット(図示省略)が取り付けられてもよい。
最も上方の位置においてカウンター25は、収納凹部4cに収納された状態となる。カウンター25の下面(収納時には垂直面)と第二壁部4bの壁面との間にはラッチ錠(図示省略)が設けられており、収納状態を維持できるようになっている。
【0102】
以上のようなカウンター25が取り付けられた第二壁部4bには、放射冷暖房装置12が組み込まれていないが、平面視において直交する第一壁部4aには、放射冷暖房装置12が組み込まれて支持されている。
【0103】
本実施例の部屋空間1の空調システムにおいては、放射冷暖房装置12からの直接の放射熱によって、近傍に位置するものを温めたり、冷やしたりすることができる。
また、放射冷暖房装置12付近の空気は、放射冷暖房装置12からの放射熱によって温度調整されることになる。そして、放射冷暖房装置12によって温度調整された空気のうち、第五気流制御手段であるカウンター25よりも上方の位置で温度調整された空気は、カウンター25の直下には流通しにくくなる。さらに、第五気流制御手段であるカウンター25よりも下方の位置で温度調整された空気は、カウンター25の直上には流通しにくくなる。
【0104】
より詳細に説明すると、冷やされた空気は下降する性質を有している。カウンター25よりも上方の位置で温度調整された空気は、カウンター25の直下には流通しにくくなるので、冷たい空気が顔に当たるのを嫌がる人にとっては、カウンター25によって、下降する冷気を極力遮ることができる。
カウンター25によって遮られた冷気は、カウンター25の突出方向側端部(及び利用者Pの足先側の端部)から下降することになるので、利用者Pの頭部よりも足先側に流通しやすくなる。
【0105】
一方、温められた空気は上昇する性質を有している。カウンター25よりも下方の位置で温度調整された空気は、カウンター25の直上には流通しにくくなるので、温かい空気が逃げないようにしたい人にとっては、カウンター25によって、上昇する暖気が逃げることを極力抑制することができる。
【0106】
以上のような本実施例の部屋空間1の空調システムは、部屋空間1全体の空調だけでなく、一端部10aが第一壁部4a側に寄せられて配置されたベッド10での良好な睡眠環境の形成にも貢献できる。
【0107】
本実施例におけるカウンター25は、第二壁部4bから垂直に突出させた状態とするか、或いは収納凹部4cに収納して第二壁部4bの壁面に沿わせた状態にするか、の2パターンで空気の流れを制御できるものとしたが、角度調整可能に構成されてもよい。その場合、カウンター25の角度を調整することによって、空気の流れを、より多様なパターンで制御することが可能となる。
【0108】
さらに、カウンター25は、第二壁部4bの収納凹部4cに収納可能となっているので、第一壁部4a(又はふかし壁5)をベッド10のヘッドボードとし、利用者Pが背もたれとして利用する場合に、カウンター25を収納凹部4cに収納すれば邪魔にならない。
【0109】
〔実施例1-6〕
本実施例の部屋空間1には、図10に示すように、支持体である第一壁部4a側に配置されて、かつ、放射冷暖房装置12からの放射熱によって温度調整された室内の空気の流れを複数のパターンで制御する第六気流制御手段26が備えられている。
【0110】
より詳細に説明すると、本実施例における第六気流制御手段26は、第一壁部4aの壁面に突出して設けられたカウンター26である。カウンター26は、ベッド10の上面よりも上方の高さ位置に設けられている。また、ベッド10は、一端部10aが、カウンター26の下方に配置されるように設置されている。つまり、カウンター26は、利用者Pの頭部の上方に配置されることとなる。
【0111】
カウンター26は、矩形状に形成されており、長手方向の寸法が、ベッド10の幅寸法と略等しく設定されている。
また、カウンター26は中空状に形成され、その中空部には、冷暖房パネル13が設けられている。すなわち、カウンター26は、放射冷暖房装置として機能する。
【0112】
カウンター26の中空部に設けられた冷暖房パネル13は、第一壁部4aに組み込まれて支持されている放射冷暖房装置12を構成する冷暖房パネル13とは異なる系統で流体の供給を受けられるようになっている。これにより、放射冷暖房装置として機能するカウンター26と、第一壁部4a側の放射冷暖房装置12とで異なる温度調節が可能となる。
【0113】
なお、カウンター26の中空部に設けられた冷暖房パネル13は、循環用配管が、第一壁部4a内を通過して給水源に接続されている。そのため、本実施例におけるカウンター26は、上下移動及び角度調整はしない構成となっている。
【0114】
本実施例の部屋空間1の空調システムにおいては、放射冷暖房装置12からの直接の放射熱によって、近傍に位置するものを温めたり、冷やしたりすることができる。また、放射冷暖房装置として機能するカウンター26からの直接の放射熱によって、近傍に位置するものを温めたり、冷やしたりすることができる。
また、放射冷暖房装置12及びカウンター26付近の空気は、放射冷暖房装置12及びカウンター26からの放射熱によって温度調整されることになる。そして、放射冷暖房装置12及びカウンター26によって温度調整された空気のうち、カウンター26よりも上方の位置で温度調整された空気は、カウンター26の直下には流通しにくくなる。さらに、カウンター26よりも下方の位置で温度調整された空気は、カウンター26の直上には流通しにくくなる。
【0115】
本実施例においては、放射冷暖房装置12による温度調整(オン・オフを含む)と、放射冷暖房装置として機能するカウンター26による温度調整(オン・オフを含む)を適宜変更することで、空気の流れを制御できるようになっている。
【0116】
より詳細に説明すると、放射冷暖房装置12のみを冷房運転又は暖房運転する場合と、放射冷暖房装置として機能するカウンター26のみを冷房運転又は暖房運転する場合と、放射冷暖房装置12及びカウンター26の双方を冷房運転又は暖房運転する場合と、温度調整を別々に行うことを組み合わせた稼働状態とすることによって、カウンター26を上下移動させたり角度調整させたりせずに、空気の流れを、多様なパターンで制御することが可能となる。
【0117】
以上のような本実施例の部屋空間1の空調システムは、部屋空間1全体の空調だけでなく、一端部10aが第一壁部4a側に寄せられて配置されたベッド10での良好な睡眠環境の形成にも貢献できる。
【0118】
〔実施例1-7〕
図11は、管材13aが内部に配管された複数の冷暖房パネル13に対する気流制御手段の配置例を示している。管材13aは、冷暖房パネル13内部に蛇行して配置された状態となっている。
なお、複数の冷暖房パネル13と気流制御手段との間には、第一壁部4aの壁面を構成する面材(合板等の建築用板材や石膏ボード等の耐火被覆材)が少なくとも介在しているものとする。
【0119】
図11(a)に示す気流制御手段は、第一壁部4aの壁面に固定されるカウンター27であり、少なくとも、第一壁部4aの壁面に沿ってスライド移動はしない構成となっている。
このようなカウンター27を第一壁部4aの壁面に固定する場合は、カウンター27自体もしくはカウンター27を支持するブラケットが、ビス等の固定材Bによって第一壁部4aの壁面を構成する面材に固定される。そのとき、固定材Bは、図11(a)に示すように、蛇行する管材13aを避けて打ち込まれる。
【0120】
図11(b)に示す気流制御手段は、第一壁部4aの壁面に対し、上下移動可能に設けられるカウンターであり、当該カウンターは、第一壁部4aの壁面に、上下方向に沿って配置固定された一対のガイドレール28に対してスライド移動可能に設けられている。
このような一対のガイドレール28を第一壁部4aの壁面に固定する場合は、一対のガイドレール28が、ビス等の固定材Bによって第一壁部4aの壁面を構成する面材に固定される。そのとき、固定材Bは、図11(b)に示すように、蛇行する管材13aを避けて打ち込まれる。
【0121】
〔実施例1-8〕
本実施例においては、図12に示すように、カウンター29に対し、利用者Pの体温を測定する非接触型体温計30が採用されている。また、カウンター29には、加湿装置31が設けられており、冬場における利用者Pの乾燥対策を行うことができる。
なお、本実施例におけるカウンター29は、必要に応じて、上下移動及び角度調整が可能となっている。
【0122】
カウンター29の下面には、凹部29aが形成されており、非接触型体温計30及び加湿装置31は、凹部29aに収納されて取り付けられている。
非接触型体温計30は、利用者Pの健康管理に用いられるだけでなく、上記の状態検知センサーとして利用することができる。
加湿装置31は、利用者Pの健康管理や冬場の乾燥対策に用いられるだけでなく、部屋空間1における空調システムの一機能として利用することができる。すなわち、加湿装置31を稼働させることで、湿度の調整を行うことができる。なお、加湿装置31は、凹部29aから取り外し可能なタンク31aとセットで設けられている。
【0123】
このように気流制御手段に対して利用者Pの健康管理機能を付与することによって、結果的に、部屋空間1全体の空調だけでなく、一端部10aが第一壁部4a側に寄せられて配置されたベッド10での良好な睡眠環境の形成にも貢献できるので好ましい。
【0124】
なお、本実施例においては、カウンター29に対し、利用者Pの体温を測定する非接触型体温計30が採用されているものとしたが、非接触型体温計30に代えて、利用者Pの生体情報(体温、血圧、血流、心拍、顔色、睡眠、呼吸、発汗など)を非接触で検知する生体センサー(カメラやマイクを含んでもよい)を採用してもよい。
【0125】
また、本実施例においては、カウンター29に加湿装置31が設けられているものとしたが、加湿装置31に代えて、若しくは加湿装置31と共に、除湿装置(図示省略)が設けられてもよい。除湿装置が設けられることで、夏場や梅雨時の除湿を行うことができるので、良好な睡眠環境の形成に貢献できる。
【0126】
本実施形態によれば、以下のような優れた効果を奏する。
すなわち、気流制御手段14,15,22,23,25,26,27,29によって、部屋空間1内の空気の流れを複数のパターンで制御するので、空気の流れが常に一定になることを防ぐことができる。これにより、放射冷暖房装置12からの放射熱によって温度調整された空気を、部屋空間1内に広く流通させることができるので、部屋空間1内に快適な温熱環境を形成できる。
【0127】
また、吹出口14aから空気を吹き出す空気吹出装置14は、支持体4に組み込まれて支持され、かつ、放射冷暖房装置12と並べられて配置されているので、放射冷暖房装置12からの放射熱によって温度調整された空気を、空気吹出装置14の吹出口14aから吹き出された空気によって、部屋空間1内に広く流通させやすくなる。
【0128】
また、支持体4は、部屋空間1を構成する壁部4であり、放射冷暖房装置12と空気吹出装置14は、上下に並べられて配置されているので、下降する性質を有する冷気や、上昇する性質を有する暖気を、空気吹出装置14の吹出口14aから吹き出された空気によって、部屋空間1内に広く流通させやすくなる。すなわち、例えば空気吹出装置14が、放射冷暖房装置12の下方に配置されていると、下降する性質を有する冷気を部屋空間1内に広く流通させやすく、空気吹出装置14が、放射冷暖房装置12の上方に配置されていると、上昇する性質を有する暖気を部屋空間1内に広く流通させやすい。
【0129】
また、気流制御手段15,22,23,25,26,27,29が、支持体4の前方に配置され、かつ、支持体4のうち部屋空間1側の面に対して位置変更可能に構成されているので、放射冷暖房装置12からの放射熱によって温度調整された空気を、気流制御手段15,22,23,25,26,27,29の位置変更に応じて部屋空間1内に流通させることができる。
【0130】
また、カウンター15,23,25,26,27,29は、壁部4の壁面に対して角度調整可能となっているので、放射冷暖房装置12からの放射熱によって温度調整された空気を、カウンター15,23,25,26,27,29の角度に応じて部屋空間1内に流通させることができる。
【0131】
また、カウンター15,23,25,26,27,29は、前記壁部4の壁面に沿って上下方向に移動可能となっているので、放射冷暖房装置12からの放射熱によって温度調整された空気を、カウンター15,23,25,26,27,29の上下方向の位置に応じて部屋空間1内に流通させることができる。
【0132】
また、カウンター23は、側面視において下方に膨らむように湾曲して形成されて、壁部4とは反対側に位置する突出方向側端部が上向きの状態になっているので、カウンター23の角度を下向き傾斜とすることで、下降する性質を有する冷気を、上向きの状態になっている突出方向側端部から勢いよく遠くに送ることが可能となる。さらに、カウンター23の角度を上向き傾斜とすることで、下降する性質を有する冷気を、カウンター23上に多く滞留させやすくなる。
【0133】
また、気流制御手段15,23,25,26,27,29は、支持体4のうち部屋空間1側の面に対し、固定材Bによって直接的又は間接的に固定され、固定材Bは、支持体4に組み込まれた放射冷暖房装置12における冷暖房パネル13のうち管材13aを避けて配置されているので、固定材Bによって管材13aを傷つけないようにしつつ、放射冷暖房装置12の前方に気流制御手段15,23,25,26,27,29を配置することができる。
【0134】
また、天井部3から吊り下げられて、壁部4の前方に配置されたシート材22が、壁部4の壁面に沿って上下方向に移動可能で、かつ、壁部4の壁面に対して角度調整可能となっているので、放射冷暖房装置12からの放射熱によって温度調整された空気を、シート材22の上下方向の位置や角度に応じて部屋空間1内に流通させることができる。
【0135】
また、制御装置19は、部屋空間1内に設けられた状態検知センサー21のセンシング結果に応じて気流制御手段15,22,23,25,26,27,29の動作を制御するので、部屋空間1の状態に応じた最適な制御を行うことが可能となり、自動で部屋空間1内に快適な温熱環境を形成できる。
【0136】
<第2実施形態>
次に、図面を参照して第2実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、上記の第1実施形態と共通する要素については、共通の符号を付し、説明を省略又は簡略する。
【0137】
本実施形態における部屋空間1は、住宅内の主寝室(ベッドルーム)や子供部屋、客間などのように、寝具10が設置される部屋の内部空間である。部屋空間1は、床部2と、天井部3と、複数の壁部4と、によって囲まれて形成されている。
部屋空間1には、寝具10と、放射冷暖房装置12と、が備えられている。
そして、以上のように構成された部屋空間1には、放射冷暖房装置12を含む空調システムが設けられている。
【0138】
〔実施例〕
以下、本実施形態における部屋空間1の空調システムについて、より詳細に説明する。
なお、以下に説明する空調システムの各実施例においては、上記のような部屋空間1の構成を備えることを前提とする。また、共通する要素については、共通の符号を付し、説明を適宜省略又は簡略する。
【0139】
〔実施例2-1〕
本実施例の部屋空間1には、就寝時における快適な籠り空間を形成するべく、図13に示すように、支持体である第一壁部4aに設けられて、かつ、第一壁部4aの壁面から突出する第一被覆体32が備えられている。
【0140】
第一被覆体32の下面は、側断面視において上方に湾曲しており、第一壁部4a側の部位(基端部)における下端部32dからベッド10の他端部10b側に向かうにしたがって徐々に上方に湾曲して頂点32aに達する第一湾曲領域32bと、頂点32aからベッド10の他端部10b側に向かうにしたがって徐々に下方に湾曲して突出方向側端部(先端部)における下端部32eに達する第二湾曲領域32cと、を有する。
また、第一被覆体32の基端部における下端部32dと、第一被覆体32の突出方向側端部(先端部)における下端部32eは、同一の高さ位置となっている。
なお、第一被覆体32の下面をこのように湾曲に形成する場合、頂点32aが、利用者Pの頭部の上方に位置するように設定することが好ましい。
【0141】
第一被覆体32における第一壁部4a側の部位(基端部)は、第一壁部4aに対して一体的に設けられている。
また、第一被覆体32は、第一壁部4aからの突出寸法を長く確保できるように、例えばハニカム構造やフラッシュ構造を採用し、極力軽量に構成されているものとする。
さらに、基端部側を中実に構成された状態として第一壁部4aに強固に固定できるようにし、突出方向側を中空に構成された状態として軽量化を図るようにしてもよい。
例えばハニカム構造やフラッシュ構造を採り入れる場合には、材料として、硬質な紙材や薄い木材等を用いることで、より一層軽量化に貢献できるので好ましい。
【0142】
第一被覆体32の上面は、カウンター板材33が設けられて水平面を形成しており、上面に物品を置くことができる。なお、カウンター板材33も、例えばハニカム構造やフラッシュ構造を採用し、極力軽量に構成されているものとする。
【0143】
なお、本実施例における第一被覆体32は、例えばハニカム構造やフラッシュ構造を採用し、極力軽量に構成されているものとしたが、これに限られるものではなく、例えばゴムやその他の合成樹脂のような柔軟性のある材質を採用し、第一被覆体32に柔軟性を持たせてもよい。
【0144】
以上のようにして第一被覆体32が形成されて設けられることで、部屋空間1内に籠り空間を確保することができる。
なお、第一被覆体32の幅方向両端部には、側壁が一体に設けられて外部との隔絶性が高められた状態となっていてもよいし、側壁がなく開放された状態となっていてもよい。
【0145】
第一被覆体32が取り付けられた第一壁部4aには、放射冷暖房装置12が組み込まれて支持されている。
なお、第一被覆体32は、放射冷暖房装置12からの放射熱によって温度調整された室内の空気を、放射冷暖房装置12から、より遠い場所に拡散させる空気拡散手段としても機能する。
【0146】
本実施例の部屋空間1の空調システムにおいては、放射冷暖房装置12からの直接の放射熱によって、近傍に位置するものを温めたり、冷やしたりすることができる。
また、放射冷暖房装置12付近の空気は、放射冷暖房装置12からの放射熱によって温度調整されることになる。そして、放射冷暖房装置12によって温度調整された空気のうち、第一被覆体32よりも上方の位置で温度調整された空気は、第一被覆体32の直下には流通しにくくなる。さらに、第一被覆体32よりも下方の位置で温度調整された空気は、第一被覆体32の直上には流通しにくくなる。
【0147】
より詳細に説明すると、冷やされた空気は下降する性質を有している。第一被覆体32よりも上方の位置で温度調整された空気は、第一被覆体32の直下には流通しにくくなるので、冷たい空気が顔に当たるのを嫌がる人にとっては、第一被覆体32によって、下降する冷気を極力遮ることができる。
第一被覆体32によって遮られた冷気は、第一被覆体32の突出方向側端部(及び幅方向側端部)から下降することになるので、利用者Pの頭部よりも足先側に流通しやすくなる。
【0148】
一方、温められた空気は上昇する性質を有している。第一被覆体32よりも下方の位置で温度調整された空気は、第一被覆体32の直上には流通しにくくなるので、温かい空気が逃げないようにしたい人にとっては、第一被覆体32によって、上昇する暖気が逃げることを極力抑制することができる。すなわち、第一被覆体32よりも下方の位置で温度調整された暖気は、第一被覆体32の湾曲する下面に滞留しやすくなっているので、上昇する暖気が逃げることを極力抑制することができる。
【0149】
以上のような本実施例の部屋空間1の空調システムは、部屋空間1全体の空調だけでなく、一端部10aが第一壁部4a側に寄せられて配置されたベッド10での良好な睡眠環境の形成にも貢献できる。
特に、第一被覆体32の基端部における下端部32dから先端部における下端部32eまでの間が、側面視(側断面視)において上方に湾曲して形成されていることで、その下方に頭部を配置した利用者Pにとって、上方に向かって空間を広げることができる。これにより、例えば第一被覆体32の基端部における下端部32dから先端部における下端部32eまでの間が湾曲していない平らな天井面となっている場合に比して、圧迫感を覚えにくくなる。したがって、適度に利用者Pの頭部を覆うことのできる籠り空間を形成することができる。
【0150】
なお、本実施例における第一被覆体32は、上下移動も角度調整もしない構成となっているが、これに限られるものではなく、第一壁部4aの壁面に沿って上下方向に移動可能に設けられてもよいし、第一壁部4aの壁面に対して角度調整可能に設けられてもよい。また、或いは、第一被覆体32を上方に回転させて第一壁部4aの壁面に沿った状態(要するに、折りたたんだ状態)に角度調整可能に構成されてもよい。
【0151】
〔実施例2-2〕
本実施例の部屋空間1には、就寝時における快適な籠り空間を形成するべく、図14に示すように、支持体である第一壁部4aに設けられて、かつ、第一壁部4aの壁面から突出する第二被覆体34が備えられている。
【0152】
第二被覆体34の下面は、側断面視において上方に湾曲しており、第一壁部4a側の部位(基端部)における下端部34dからベッド10の他端部10b側に向かうにしたがって徐々に上方に湾曲して頂点34aに達する第一湾曲領域34bと、頂点34aからベッド10の他端部10b側に向かうにしたがって徐々に下方に湾曲して突出方向側端部(先端部)における下端部34eに達する第二湾曲領域34cと、を有する。
また、第二被覆体34の基端部における下端部34dと、第二被覆体34の突出方向側端部(先端部)における下端部34eは、同一の高さ位置となっている。
なお、第二被覆体34の下面をこのように湾曲に形成する場合、頂点34aが、利用者Pの頭部の上方に位置するように設定することが好ましい。
【0153】
第二被覆体34における第一壁部4a側の部位(基端部)は、第一壁部4aに対して一体的に設けられている。
また、第二被覆体34は、第一壁部4aからの突出寸法を長く確保できるように、例えばハニカム構造やフラッシュ構造を採用し、極力軽量に構成されているものとする。
さらに、基端部側を中実に構成された状態として第一壁部4aに強固に固定できるようにし、突出方向側を中空に構成された状態として軽量化を図るようにしてもよい。
例えばハニカム構造やフラッシュ構造を採り入れる場合には、材料として、硬質な紙材や薄い木材等を用いることで、より一層軽量化に貢献できるので好ましい。
【0154】
第二被覆体34の上面は、第一壁部4a側から先端部側に向かうにしたがって徐々に下方に湾曲して形成されている。換言すれば、第二被覆体34の上面は、第一壁部4a側の部位(基端部)における上端部から突出方向側端部(先端部)に向かって、なだらかに下向き傾斜している。
【0155】
以上のようにして第二被覆体34が形成されて設けられることで、部屋空間1内に籠り空間を確保することができる。
なお、第二被覆体34の幅方向両端部には、側壁が一体に設けられて外部との隔絶性が高められた状態となっていてもよいし、側壁がなく開放された状態となっていてもよい。
【0156】
第二被覆体34が取り付けられた第一壁部4aには、放射冷暖房装置12が組み込まれて支持されている。
なお、第二被覆体34は、放射冷暖房装置12からの放射熱によって温度調整された室内の空気を、放射冷暖房装置12から、より遠い場所に拡散させる空気拡散手段としても機能する。
【0157】
本実施例の部屋空間1の空調システムにおいては、放射冷暖房装置12からの直接の放射熱によって、近傍に位置するものを温めたり、冷やしたりすることができる。
また、放射冷暖房装置12付近の空気は、放射冷暖房装置12からの放射熱によって温度調整されることになる。そして、放射冷暖房装置12によって温度調整された空気のうち、第二被覆体34よりも上方の位置で温度調整された空気は、第二被覆体34の直下には流通しにくくなる。さらに、第二被覆体34よりも下方の位置で温度調整された空気は、第二被覆体34の直上には流通しにくくなる。
【0158】
より詳細に説明すると、冷やされた空気は下降する性質を有している。第二被覆体34よりも上方の位置で温度調整された空気は、第二被覆体34の直下には流通しにくくなるので、冷たい空気が顔に当たるのを嫌がる人にとっては、第二被覆体34によって、下降する冷気を極力遮ることができる。
第二被覆体34によって遮られた冷気は、第二被覆体34の突出方向側端部(及び幅方向側端部)から下降することになるので、利用者Pの頭部よりも足先側に流通しやすくなる。特に、第二被覆体34の上面は、第一壁部4a側から先端部側に向かうにしたがって徐々に下方に湾曲して形成されているので、上面が水平に形成される場合に比して、冷気が、利用者Pの足先側に流通しやすくなる。
【0159】
一方、温められた空気は上昇する性質を有している。第二被覆体34よりも下方の位置で温度調整された空気は、第二被覆体34の直上には流通しにくくなるので、温かい空気が逃げないようにしたい人にとっては、第二被覆体34によって、上昇する暖気が逃げることを極力抑制することができる。すなわち、第二被覆体34よりも下方の位置で温度調整された暖気は、第二被覆体34の湾曲する下面に滞留しやすくなっているので、上昇する暖気が逃げることを極力抑制することができる。
【0160】
以上のような本実施例の部屋空間1の空調システムは、部屋空間1全体の空調だけでなく、一端部10aが第一壁部4a側に寄せられて配置されたベッド10での良好な睡眠環境の形成にも貢献できる。
特に、第二被覆体34の基端部における下端部34dから先端部における下端部34eまでの間が、側面視(側断面視)において上方に湾曲して形成されていることで、その下方に頭部を配置した利用者Pにとって、上方に向かって空間を広げることができる。これにより、例えば第二被覆体34の基端部における下端部34dから先端部における下端部34eまでの間が湾曲していない平らな天井面となっている場合に比して、圧迫感を覚えにくくなる。したがって、適度に利用者Pの頭部を覆うことのできる籠り空間を形成することができる。
【0161】
なお、本実施例における第二被覆体34は、上下移動も角度調整もしない構成となっているが、これに限られるものではなく、第一壁部4aの壁面に沿って上下方向に移動可能に設けられてもよいし、第一壁部4aの壁面に対して角度調整可能に設けられてもよい。また、或いは、第二被覆体34を上方に回転させて第一壁部4aの壁面に沿った状態(要するに、折りたたんだ状態)に角度調整可能に構成されてもよい。
【0162】
図15は、ベッド10のヘッドボードとして利用可能な照明付き壁体35が、第一壁部4aの壁面に接して設けられた例を示している。
この照明付き壁体35は、床部2上に立設されるとともに第一壁部4aの壁面に固定されているが、これに限られるものではなく、ベッド10の台本体にヘッドボードとして一体形成されたものであってもよい。
【0163】
照明付き壁体35は、上端部に凹部35aが形成された状態となっており、当該凹部35aに照明装置36が設けられている。なお、凹部35aの上側開口は、透光性を有する蓋体36aによって閉塞されている。蓋体36aの上面には、物品を置くことができる。
凹部35aは、ベッド10側に位置する立ち上がり部35bの、第一壁部4a側に形成された状態となっている。これにより、凹部35aに設けられた照明装置36は、蓋体36aを介して上方に光を発し、間接照明として籠り空間内を照らすことができる。すなわち、照明装置36から発せられた光は、第二被覆体34の下面に当たることで柔らかな明かりとなる。これにより、第二被覆体34の下方空間は、圧迫感が軽減され、落ち着きのある空間となる。
また、第二被覆体34は、下面が湾曲しているため、籠り空間を照らす光が、突出方向側端部から外側(足先側)には漏れにくい。そのため、第二被覆体34の外側にいる人には照明装置36の光が届きにくく、第二被覆体34の外側にいる人にとっても良好な睡眠環境の形成に貢献できる。
なお、照明装置36によって第二被覆体34の下方空間の照度調節が可能となるので、例えば起床時に照明装置36から光を発するように設定することで、第二被覆体34の下方空間を明るくすることができ、良好な起床環境の形成にも貢献できる。
【0164】
なお、照明付き壁体35の上端部には、照明装置36の代わりに、若しくは照明装置36と併用して、音を発する音響機器(スピーカー)が設けられてもよい。音響機器の場合も、突出方向側端部から外側(足先側)には音が漏れにくい。そのため、第二被覆体34の外側にいる人には音響機器からの音が届きにくく、第二被覆体34の外側にいる人にとっても良好な睡眠環境の形成に貢献できる。
また、照明装置36と音響機器とを併用し、例えば起床時に照明装置36から光を発するとともに、音響機器から音を発するように設定することで、快適な起床を補助する役割を果たすことができる。
【0165】
〔実施例2-3〕
本実施例の部屋空間1には、就寝時における快適な籠り空間を形成するべく、図16に示すように、支持体である第一壁部4aに設けられて、かつ、第一壁部4aの壁面から突出する第三被覆体37が備えられている。
【0166】
第三被覆体37の下面は、図示はしないが、第一壁部4a側の部位(基端部)における下端部37dからベッド10の他端部10b側に向かうにしたがって徐々に上方に湾曲して頂点37aに達する第一湾曲領域37bと、頂点37aからベッド10の他端部10b側に向かうにしたがって徐々に下方に湾曲して突出方向側端部(先端部)における下端部に達する第二湾曲領域と、を有する。
また、第三被覆体37の上面は、第一壁部4a側から先端部側に向かうにしたがって徐々に下方に湾曲して形成されている。
【0167】
そして、第三被覆体37の幅方向両側端部37fは、図16に示すように、第三被覆体37の下面における最も高い部位である上記の頂点37aより下方に位置した状態となっている。
より詳細に説明すると、本実施例における第三被覆体37の下面は、立断面視において上方に湾曲しており、頂点37aから幅方向両側端部37fに向かうにしたがって徐々に下方に湾曲して傾斜している。幅方向両側端部37fは、第三被覆体37の基端部における下端部37d及び/又は先端部における下端部と略等しい高さ位置に設定されている。これにより、第三被覆体37の下面は、側断面視及び立断面視においてドーム型に形成されることになるので、第三被覆体37の下方空間は、外部との隔絶性が高められた状態となっている。
【0168】
なお、本実施例における第三被覆体37の下面は、立断面視において上方に湾曲しているものとしたが、これに限られるものではなく、立断面視において上方に湾曲していなくてもよい。すなわち、第三被覆体37の幅方向両側端部37fが、鉛直方向に下垂するように形成された側壁部を備えた状態に形成されてもよい。この場合、第三被覆体37は、立断面視において下向きのコ字状(コの字の開放部分を下向きにした状態)に形成されることとなる。
【0169】
さらに、第三被覆体37には、当該第三被覆体37を厚さ方向に貫通する複数のスリット37gが形成されている。複数のスリット37gは、第三被覆体37の上方の空間と下方の空間とを連通する。そのため、複数のスリット37gを通じて、空気や視線が上下方向に抜けることとなる。
【0170】
第三被覆体37における第一壁部4a側の部位(基端部)は、第一壁部4aに対して一体的に設けられている。
また、第三被覆体37は、第一壁部4aからの突出寸法を長く確保できるように、例えばハニカム構造やフラッシュ構造を採用し、極力軽量に構成されているものとする。
【0171】
以上のようにして第三被覆体37が形成されて設けられることで、部屋空間1内に籠り空間を確保することができる。
【0172】
第三被覆体37が取り付けられた第一壁部4aには、放射冷暖房装置12が組み込まれて支持されている。
なお、第三被覆体37は、放射冷暖房装置12からの放射熱によって温度調整された室内の空気を、放射冷暖房装置12から、より遠い場所に拡散させる空気拡散手段としても機能する。
【0173】
本実施例の部屋空間1の空調システムにおいては、放射冷暖房装置12からの直接の放射熱によって、近傍に位置するものを温めたり、冷やしたりすることができる。
また、放射冷暖房装置12付近の空気は、放射冷暖房装置12からの放射熱によって温度調整されることになる。冷やされた空気は下降する性質を有している。第三被覆体37よりも上方の位置で温度調整された空気(冷気)は、複数のスリット37gを通じて第三被覆体37の直下に流通する。また、複数のスリット37gに入らなかった冷気は、第三被覆体37によって遮られ、第三被覆体37の上面を伝って、足先側へと流通することになる。
一方、温められた空気は上昇する性質を有している。第三被覆体37よりも下方の位置で温度調整された空気は、第三被覆体37の湾曲する下面に一時的に滞留するが、複数のスリット37gを通じて第三被覆体37の直上に流通する。これにより、籠り空間内の熱を逃がすことができるので、籠り空間内に熱がこもるのを抑制できる。
【0174】
以上のような本実施例の部屋空間1の空調システムは、部屋空間1全体の空調だけでなく、一端部10aが第一壁部4a側に寄せられて配置されたベッド10での良好な睡眠環境の形成にも貢献できる。
特に、第三被覆体37は、幅方向両側端部37fが、第三被覆体37の下面における最も高い部位である頂点37aより下方に位置した状態となっていることで、その下方に頭部を配置した利用者Pにとって、上方に向かって空間を広げることができる。したがって、適度に利用者Pの頭部を覆うことのできる籠り空間を形成することができる。さらに、本実施例においては、複数のスリット37gが形成されているので、より一層、圧迫感を覚えにくくなる。
また、本実施例においては、第三被覆体37の下面は、立断面視において上方に湾曲しており、頂点37aから幅方向両側端部37fに向かうにしたがって徐々に下方に湾曲して傾斜しているので、例えば第三被覆体37の幅方向両側端部間が湾曲していない平らな天井面となっている場合に比して、圧迫感を覚えにくくなる。
【0175】
なお、本実施例における第三被覆体37は、上下移動も角度調整もしない構成となっているが、これに限られるものではなく、第一壁部4aの壁面に沿って上下方向に移動可能に設けられてもよいし、第一壁部4aの壁面に対して角度調整可能に設けられてもよい。また、或いは、第三被覆体37を上方に回転させて第一壁部4aの壁面に沿った状態(要するに、折りたたんだ状態)に角度調整可能に構成されてもよい。
【0176】
また、複数のスリット37gは、例えば、第一壁部4aの壁面から遠ざかるにつれてスリット幅が広くなるように形成されてもよい。また、第一壁部4aの壁面から遠ざかるにつれてスリット本数が増えてもよい。さらに、第一壁部4aの壁面から遠ざかるにつれてスリット37g以外の複数の貫通孔が形成されてもよい。これにより、第一壁部4aの壁面から遠ざかるにつれて、第三被覆体37に形成される開口の面積が広くなるので、第三被覆体37よりも上方の位置で温度調整された冷気を、利用者Pの足先側に満遍なく送ることができる。
【0177】
本実施形態によれば、以下のような優れた効果を奏する。
すなわち、放射冷暖房装置12が、被覆体32,34,37(第一被覆体32、第二被覆体34、第三被覆体37)が取り付けられた壁部4に組み込まれて支持されているので、放射冷暖房装置12からの直接の放射熱によって、近傍に位置するものを温めたり冷やしたりできるほか、被覆体32,34,37よりも上方の位置で放射冷暖房装置12によって温度調整された空気(冷気)を、被覆体32,34,37の上面を伝って突出方向側端部から下降させたり、被覆体32,34,37よりも下方の位置で放射冷暖房装置12によって温度調整された空気(暖気)を、被覆体32,34,37の湾曲する下面に滞留させ、空気を逃がさないようにしたりできる。これにより、放射冷暖房装置12によって温度調整された空気を利用して部屋空間1内に快適な温熱環境を形成することができる。
さらに、壁部4の壁面から前方に突出する被覆体32,34,37の下面が、側断面視において上方に湾曲して形成されているので、被覆体32,34,37の下方空間を利用する利用者Pにとって、その下方空間を、上方に向かって広げたような効果が生じることとなる。これにより、例えば被覆体32,34,37の下面が湾曲していない平らな天井面となっている場合に比して、圧迫感を覚えにくくなるので、圧迫感を抑えた適度な籠り空間を確保することができる。
【0178】
また、被覆体32,34,37(第一被覆体32、第二被覆体34、第三被覆体37)の下面が、被覆体32,34,37の基端部における下端部32d,34d,37dから、下面のうち最も高い頂点32a,34a,37aに向かって徐々に上方に湾曲する第一湾曲領域32b,34b,37bと、頂点32a,34a,37aから、被覆体32,34,37の先端部における下端部32e,34eに向かって徐々に下方に湾曲する第二湾曲領域32c,34cと、を有する状態に形成されているので、被覆体32,34,37の下面を、側断面視において上方に湾曲して形成することができる。
【0179】
また、被覆体37(第三被覆体37)は、当該被覆体37の幅方向両側端部37fが、頂点37aよりも下方に位置した状態に形成されているので、被覆体37の下方空間を利用する利用者Pにとって、下方空間の側方が、被覆体37の幅方向両側端部37fによって覆われた状態となる。これにより、被覆体37の下面は、あたかもドーム型に形成された状態となるので、圧迫感を抑えた適度な籠り空間を確保することができる。
【0180】
また、被覆体37(第三被覆体37)には、当該被覆体37を厚さ方向に貫通する複数のスリット37gが形成され、複数のスリット37gは、被覆体37の上方空間と下方空間とを連通しているので、複数のスリット37gを通じて、空気や視線が上下方向に抜けることとなり、より一層、圧迫感を覚えにくい適度な籠り空間を確保することができる。
さらに、被覆体37よりも上方の位置で放射冷暖房装置12によって温度調整された空気(冷気)を、複数のスリット37gを通じて被覆体37の直下に流通させたり、複数のスリット37gに入らなかった空気を、被覆体32,34,37の上面を伝って突出方向側端部から下降させたりできる。
しかも、被覆体32,34,37よりも下方の位置で放射冷暖房装置12によって温度調整された空気(暖気)を、被覆体37の下面に一時的に滞留させつつ、複数のスリット37gを通じて第三被覆体37の直上に流通させることができる。これにより、被覆体37の下方空間内を温めつつ、被覆体37の下方空間内の熱を徐々に逃がすことができるので、籠り空間内に熱がこもるのを抑制できる。
【0181】
また、壁部4の壁面に接するとともに、被覆体34(第二被覆体34)の下面よりも下方に位置する壁体35(照明付き壁体35)の上端部に、上向きに光を発する照明装置36が設けられているので、照明装置36は、間接照明として被覆体34の下方空間内を照らすことができる。照明装置36から発せられた光は、被覆体34の下面に当たることで柔らかな明かりとなるので、被覆体34の下方空間は、圧迫感が軽減され、落ち着きのある空間となり、籠り空間としての快適性を向上できる。
【0182】
また、壁部4の壁面に接するとともに、被覆体34(第二被覆体34)の下面よりも下方に位置する壁体35(照明付き壁体35)の上端部に、上向きに音を発する音響機器が設けられているので、音響機器から上向きに発せられた音は、被覆体34の下方空間で反響し、被覆体34の下方空間から漏れにくくなる。その一方で、被覆体34の下方空間を利用する利用者Pには、外部からの音が届きにくくなるので、音響の面でも、籠り空間としての快適性を向上できる。
【0183】
<第3実施形態>
次に、図面を参照して第3実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、上記の第1実施形態及び第2実施形態と共通する要素については、共通の符号を付し、説明を省略又は簡略する。
【0184】
本実施形態における部屋空間1は、住宅内の主寝室(ベッドルーム)や子供部屋、客間などのように、寝具10が設置される部屋の内部空間である。部屋空間1は、床部2と、天井部3と、複数の壁部4と、によって囲まれて形成されている。
部屋空間1には、寝具10と、放射冷暖房装置12と、が備えられている。
そして、以上のように構成された部屋空間1には、放射冷暖房装置12を含む空調システムが設けられている。
【0185】
〔実施例〕
以下、本実施形態における部屋空間1の空調システムについて、より詳細に説明する。
なお、以下に説明する空調システムの各実施例においては、上記のような部屋空間1の構成を備えることを前提とする。また、共通する要素については、共通の符号を付し、説明を適宜省略又は簡略する。
【0186】
〔実施例3-1〕
本実施例の部屋空間1には、図17に示すように、支持体である第一壁部4a側に配置されて、かつ、放射冷暖房装置12からの放射熱によって温度調整された室内の空気を拡散させる第一空気拡散手段38が備えられている。そして、第一空気拡散手段38は、上下方向に沿って視線及び空気の通り抜けが可能な通過部38aを有する。
【0187】
より詳細に説明すると、本実施例における第一空気拡散手段38は、第一壁部4aの壁面に突出して設けられたカウンター38である。カウンター38は、ベッド10の上面よりも上方の高さ位置に設けられている。また、ベッド10は、一端部10aが、カウンター38の下方に配置されるように設置されている。つまり、カウンター38は、利用者Pの頭部の上方に配置されることとなる。
【0188】
カウンター38は、第一壁部4aの壁面における幅方向に間隔を空けて配置された複数の分割板体38bからなる。本実施例においては3枚の分割板体38bが、第一壁部4aの壁面における幅方向に間隔を空けて配置されており、これら3つの分割板体38b間の隙間38aが、上下方向に沿って視線及び空気の通り抜けが可能な通過部38aとなっている。
分割板体38bは、矩形状の板材によって構成されており、両側の分割板体38bにおける外側面から外側面までの寸法が、ベッド10の幅寸法と略等しく設定されている。また、中央の分割板体38bは、ベッド10の幅方向中央部の上方に位置している。
【0189】
以上のようなカウンター38が取り付けられた第一壁部4aには、放射冷暖房装置12が組み込まれて支持されている。
【0190】
本実施例の部屋空間1の空調システムにおいては、放射冷暖房装置12からの直接の放射熱によって、近傍に位置するものを温めたり、冷やしたりすることができる。
また、放射冷暖房装置12付近の空気は、放射冷暖房装置12からの放射熱によって温度調整されることになる。冷やされた空気は下降する性質を有している。カウンター38よりも上方の位置で温度調整された空気(冷気)は、複数の分割板体38b間の複数の通過部38aを通じて分割板体38b(すなわち、カウンター38)の直下に流通する。また、複数の通過部38aに入らなかった冷気は、複数の分割板体38bによって遮られ、複数の分割板体38bの上面を伝って、足先側へと流通することになる。
一方、温められた空気は上昇する性質を有している。カウンター38よりも下方の位置で温度調整された空気(暖気)は、複数の分割板体38b間の複数の通過部38aを通じて分割板体38b(すなわち、カウンター38)の直上に流通する。また、複数の通過部38aに入らなかった暖気は、複数の分割板体38bによって遮られ、複数の分割板体38bの下面に一時的に滞留するが、複数の通過部38aを通じて複数の分割板体38bの直上に流通する。これにより、カウンター38直下の空間内の熱を逃がし、当該空間内に熱がこもるのを抑制できる。
【0191】
以上のような本実施例の部屋空間1の空調システムは、部屋空間1全体の空調だけでなく、一端部10aが第一壁部4a側に寄せられて配置されたベッド10での良好な睡眠環境の形成にも貢献できる。
特に、カウンター38は、互いに間隔を空けて配置された複数の分割板体38bによって構成され、複数の分割板体38b間の隙間が、上下方向に沿って視線及び空気の通り抜けが可能な通過部38aとなっているので、その下方に頭部を配置した利用者Pは、視線及び空気の通り抜けができない場合に比して、圧迫感を覚えにくくなる。これに加えて、複数の分割板体38bが、カウンター38よりも上方の位置で温度調整された冷気や、カウンター38よりも下方の位置で温度調整された暖気を、効果的に拡散できる。
【0192】
なお、本実施例におけるカウンター38は、上下移動も角度調整もしない構成となっているが、これに限られるものではなく、第一壁部4aの壁面に沿って上下方向に移動可能に設けられてもよいし、第一壁部4aの壁面に対して角度調整可能に設けられてもよい。また、或いは、カウンター38を上方に回転させて第一壁部4aの壁面に沿った状態(要するに、折りたたんだ状態)に角度調整可能に構成されてもよい。上下移動及び角度調整を可能にする構成とする場合、複数の分割板体38bを別々に上下移動及び角度調整できるようにしてもよいし、一遍に上下移動及び角度調整できるようにしてもよい。
【0193】
なお、本実施例におけるカウンター38は、複数の分割板体38bによって構成され、これら複数の分割板体38b間の隙間を、上下方向に沿って視線及び空気の通り抜けが可能な通過部38aとするものとしたが、これに限られるものではない。
すなわち、図18に示すように、第一壁部4aの壁面に突出して設けられた1枚のカウンター39,40,41に、加工を施すことにより通過部を形成するようにしてもよい。
【0194】
図18(a)に示すカウンター39は、円弧状に切欠部39aを形成し、当該切欠部39aを、上下方向に沿って視線及び空気の通り抜けが可能な通過部39aとしている。
通過部39aである切欠部39aは、カウンター39の幅方向中央部において半円状に形成されており、直下に位置する利用者Pの頭部は、カウンター39によって完全に覆われない状態となる。
【0195】
図18(b)に示すカウンター40は、カウンター40の長さ方向に沿って長尺に、かつ、カウンター40の板材を厚み方向に貫通して形成された複数のスリット40aを、上下方向に沿って視線及び空気の通り抜けが可能な通過部40aとしている。
通過部40aである複数のスリット40aは、カウンター40の、第一壁部4aの壁面からの突出方向に間隔を空けて配置されており、直下に位置する利用者Pの頭部は、カウンター40によって完全に覆われない状態となる。
【0196】
図18(c)に示すカウンター41は、カウンター41の板材を厚み方向に貫通して形成された複数の貫通孔41aを、上下方向に沿って視線及び空気の通り抜けが可能な通過部41aとしている。
通過部41aである複数の貫通孔41aは、千鳥状に配置されており、直下に位置する利用者Pの頭部は、カウンター41によって完全に覆われない状態となる。
【0197】
これらのカウンター39,40,41よりも上方の位置で温度調整された空気(冷気)は、通過部39a,40a,41aを通じてカウンター39,40,41の直下に流通する。また、通過部39a,40a,41aに入らなかった冷気は、カウンター39,40,41によって遮られ、カウンター39,40,41の上面を伝って、足先側へと流通することになる。
一方、カウンター39,40,41よりも下方の位置で温度調整された空気(暖気)は、通過部39a,40a,41aを通じてカウンター39,40,41の直上に流通する。また、通過部39a,40a,41aに入らなかった暖気は、カウンター39,40,41によって遮られ、カウンター39,40,41の下面に一時的に滞留するが、通過部39a,40a,41aを通じてカウンター39,40,41の直上に流通する。これにより、カウンター39,40,41直下の空間内の熱を逃がし、当該空間内に熱がこもるのを抑制できる。
【0198】
〔実施例3-2〕
本実施例の部屋空間1には、図19に示すように、支持体である第一壁部4a側に配置されて、かつ、放射冷暖房装置12からの放射熱によって温度調整された室内の空気を拡散させる第二空気拡散手段42が備えられている。そして、第二空気拡散手段42は、上下方向に沿って視線及び空気の通り抜けが可能な通過部42aを有する。
【0199】
より詳細に説明すると、本実施例における第二空気拡散手段42は、第一壁部4aの壁面に突出して設けられたカウンター42である。カウンター42は、ベッド10の上面よりも上方の高さ位置に設けられている。また、ベッド10は、一端部10aが、カウンター42の下方に配置されるように設置されている。つまり、カウンター42は、利用者Pの頭部の上方に配置されることとなる。
【0200】
カウンター42は、カウンター42を構成する矩形状の板材の幅方向中央部に、下方に膨出して形成された膨出部43を備えており、この膨出部43のうち最も下方に位置する部分に切欠部43aが形成されている。
膨出部43は、カウンター42の板材の上面から下方に向かってなだらかに傾斜して形成されている。なお、膨出部43は、平面視においてはU字状に形成されている。
膨出部43の底面板部が、平面視においてはU字状に切り欠かれることにより、切欠部43aが形成されている。そして、この切欠部43aが、上下方向に沿って視線及び空気の通り抜けが可能な通過部43aとなっている。
【0201】
また、カウンター42は、幅方向両端部に一体形成されて、第一壁部4aの壁面に固定される側壁部44を備える。このような側壁部44は、カウンター42の幅方向両端部から下方に延出し、第一壁部4aの壁面側に向かうにつれて徐々に上下寸法が長くなるように形成されている。すなわち、これら側壁部44は、カウンター42を下支えするブラケットとして機能する。
【0202】
以上のようなカウンター42が取り付けられた第一壁部4aには、放射冷暖房装置12が組み込まれて支持されている。
【0203】
本実施例の部屋空間1の空調システムにおいては、放射冷暖房装置12からの直接の放射熱によって、近傍に位置するものを温めたり、冷やしたりすることができる。
また、放射冷暖房装置12付近の空気は、放射冷暖房装置12からの放射熱によって温度調整されることになる。冷やされた空気は下降する性質を有している。カウンター42よりも上方の位置で温度調整された空気(冷気)は、膨出部43の下端部に切欠形成された通過部43aを通じてカウンター42の直下に流通する。膨出部43の上面は、なだらかに傾斜した状態に形成されている。そのため、カウンター42の幅方向中央部に集まる空気は、膨出部43の上面を伝って下方空間に流れやすくなる。また、通過部43aに入らなかった冷気は、カウンター42によって遮られ、カウンター42の上面を伝って、足先側へと流通することになる。
一方、温められた空気は上昇する性質を有している。カウンター42よりも下方の位置で温度調整された空気(暖気)は、膨出部43の下端部に切欠形成された通過部43aを通じてカウンター42の直上に流通する。また、通過部43aに入らなかった暖気は、カウンター42及び両側方の側壁部44によって遮られ、複カウンター42の下面に滞留しやすくなる。これにより、温かい空気が通過部43aから一気に逃げないようにしたい人にとっては、カウンター42によって、上昇する暖気が逃げることを極力抑制することができる。
【0204】
以上のような本実施例の部屋空間1の空調システムは、部屋空間1全体の空調だけでなく、一端部10aが第一壁部4a側に寄せられて配置されたベッド10での良好な睡眠環境の形成にも貢献できる。
特に、カウンター42は、膨出部43の下端部に形成された切欠部43aが、上下方向に沿って視線及び空気の通り抜けが可能な通過部43aとなっているので、その下方に頭部を配置した利用者Pは、視線及び空気の通り抜けができない場合に比して、圧迫感を覚えにくくなる。これに加えて、カウンター42を構成する板材と膨出部43が、カウンター42よりも上方の位置で温度調整された冷気や、カウンター42よりも下方の位置で温度調整された暖気を、効果的に拡散できる。
【0205】
なお、本実施例におけるカウンター42は、上下移動も角度調整もしない構成となっているが、これに限られるものではなく、第一壁部4aの壁面に沿って上下方向に移動可能に設けられてもよいし、第一壁部4aの壁面に対して角度調整可能に設けられてもよい。また、或いは、カウンター42を上方に回転させて第一壁部4aの壁面に沿った状態(要するに、折りたたんだ状態)に角度調整可能に構成されてもよい。
【0206】
〔実施例3-3〕
本実施例の部屋空間1には、図20に示すように、支持体である第一壁部4a側に配置されて、かつ、放射冷暖房装置12からの放射熱によって温度調整された室内の空気を拡散させる第三空気拡散手段45が備えられている。そして、第三空気拡散手段45は、上下方向に沿って視線及び空気の通り抜けが可能な通過部45aを有する。
【0207】
より詳細に説明すると、本実施例における第三空気拡散手段45は、第一壁部4aの壁面に突出して設けられたカウンター45である。カウンター45は、ベッド10の上面よりも上方の高さ位置に設けられている。また、ベッド10は、一端部10aが、カウンター45の下方に配置されるように設置されている。つまり、カウンター45は、利用者Pの頭部の上方に配置されることとなる。
【0208】
カウンター45は、図20(a),(b)に示すように、第一壁部4aの壁面における幅方向に間隔を空けて配置された複数の分割板体45bからなる。本実施例においては2枚の分割板体45bが、第一壁部4aの壁面における幅方向に間隔を空けて配置されており、これら2枚の分割板体45b間の隙間45aが、上下方向に沿って視線及び空気の通り抜けが可能な通過部45aとなっている。
分割板体45bは、矩形状の板材によって構成されており、一方の分割板体45bにおける外側面から他方の分割板体45bにおける外側面までの寸法が、ベッド10の幅寸法と略等しく設定されている。
【0209】
図20(a)に示す例においては、2枚の分割板体45b間の隙間である通過部45aは、2枚の開閉体46によって開閉できるようになっている。
各開閉体46は、それぞれの分割板体45bの下面に、スライドレール等の可動機構46aを介して取り付けられている。また、これら開閉体46は、それぞれの分割板体45bの下面よりも下方に位置している。
なお、2枚の分割板体45b間の寸法は、2枚の開閉体46を横に並べた場合の寸法よりも短く設定されており、2枚の開閉体46によって、2枚の分割板体45b間の隙間である通過部45aを確実に閉塞できるようになっている。
【0210】
図20(b)に示す例においても、2枚の分割板体45b間の隙間である通過部45aは、2枚の開閉体46によって開閉できるようになっている。
各開閉体46は、それぞれの分割板体45bの下面に形成された凹部45c内の天面に、スライドレール等の可動機構46aを介して取り付けられている。また、これら開閉体46は、それぞれの分割板体45bの下面よりも上方に位置している。
なお、2枚の分割板体45b間の寸法は、2枚の開閉体46を横に並べた場合の寸法よりも短く設定されており、2枚の開閉体46によって、2枚の分割板体45b間の隙間である通過部45aを確実に閉塞できるようになっている。
【0211】
本実施例における開閉体46は、カウンター45の長さ方向に沿って長尺なスライドレール等の可動機構46aによって、カウンター45の幅方向に開いたり閉じたりする動作を行うことで、通過部45aを開閉する構成となっているが、これに限られるものではない。
すなわち、開閉体46の開閉動作は、長尺なスライドレール46aによるものに限定されず、開閉体46と分割板体45bとを蝶番(すなわち、可動機構)を介して回転動作可能に連結し、開閉体46を上下方向に回転動作させて通過部45aを開閉してもよい。
また、開閉体46の一隅部と分割板体45bの一隅部とを回転軸(すなわち、可動機構)を介して水平回転動作可能に連結し、開閉体46を水平方向に回転動作させて通過部45aを開閉してもよい。
さらに、本実施例における開閉体46は、分割板体45bの下側に位置している状態となっているが、これに限られるものではなく、分割板体45bの上側に位置している状態でもよい。つまり、図20(a),(b)に示す状態から天地を逆にした状態であってもよい。
【0212】
以上のようなカウンター45が取り付けられた第一壁部4aには、放射冷暖房装置12が組み込まれて支持されている。
【0213】
本実施例の部屋空間1の空調システムにおいては、放射冷暖房装置12からの直接の放射熱によって、近傍に位置するものを温めたり、冷やしたりすることができる。
また、放射冷暖房装置12付近の空気は、放射冷暖房装置12からの放射熱によって温度調整されることになる。そして、放射冷暖房装置12によって温度調整された空気のうち、第三空気拡散手段であるカウンター45よりも上方の位置で温度調整された空気は、開閉体46によって通過部45aを閉塞した状態においては、カウンター45の直下に流通しにくくなる。さらに、第三空気拡散手段であるカウンター45よりも下方の位置で温度調整された空気は、開閉体46によって通過部45aを閉塞した状態においては、カウンター45の直上に流通しにくくなる。
【0214】
より詳細に説明すると、冷やされた空気は下降する性質を有している。カウンター45よりも上方の位置で温度調整された空気(冷気)は、開閉体46によって通過部45aを閉塞した状態においては、カウンター45の直下に流通しにくくなるので、冷たい空気が顔に当たるのを嫌がる人にとっては、開閉体46によって通過部45aを閉塞することで、下降する冷気を極力遮ることができる。
カウンター45によって遮られた冷気は、カウンター45の突出方向側端部(及び利用者Pの足先側の端部)から下降することになるので、利用者Pの頭部よりも足先側に流通しやすくなる。
冷たい空気が顔に当たっても平気な人の場合は、開閉体46を開けて通過部45aを開放し、下降する冷気を、カウンター45よりも下方に流通させる。
【0215】
一方、温められた空気は上昇する性質を有している。カウンター45よりも下方の位置で温度調整された空気は、カウンター45の直上には流通しにくくなるので、温かい空気が逃げないようにしたい人にとっては、開閉体46によって通過部45aを閉塞することで、上昇する暖気が逃げることを極力抑制することができる。
温かい空気がこもらないようにしたい人の場合は、開閉体46を開けて通過部45aを開放し、上昇する暖気を、カウンター45よりも上方に流通させる。
【0216】
つまり、第三空気拡散手段であるカウンター45は、開閉体46を適宜開閉することによって、空気の流れを、複数のパターンで制御することが可能となるので、気流制御手段としても機能することになる。
したがって、以上のような本実施例の部屋空間1の空調システムは、部屋空間1全体の空調だけでなく、一端部10aが第一壁部4a側に寄せられて配置されたベッド10での良好な睡眠環境の形成にも貢献できる。
【0217】
さらに、カウンター45は、開閉体46が開閉可能に構成されているので、開閉体46を開けて通過部45aを開放させれば、第一壁部4a(又はふかし壁5)をベッド10のヘッドボードとし、利用者Pが背もたれとして利用することができる。
【0218】
〔実施例3-4〕
本実施例の部屋空間1には、図21に示すように、支持体である第一壁部4a側に配置されて、かつ、放射冷暖房装置12からの放射熱によって温度調整された室内の空気を拡散させる第四空気拡散手段47が備えられている。そして、第四空気拡散手段47は、上下方向に沿って視線及び空気の通り抜けが可能な通過部47aを有する。
【0219】
より詳細に説明すると、本実施例における第四空気拡散手段47は、第一壁部4aの壁面に突出して設けられたカウンター47である。カウンター47は、ベッド10の上面よりも上方の高さ位置に設けられている。また、ベッド10は、一端部10aが、カウンター47の下方に配置されるように設置されている。つまり、カウンター47は、利用者Pの頭部の上方に配置されることとなる。
【0220】
カウンター47は、図21に示すように、カウンター47を構成する矩形状の板材の中央部に、当該板材を厚み方向に貫通して形成された矩形状の開口部47aを備えており、この開口部47aが、上下方向に沿って視線及び空気の通り抜けが可能な通過部47aとなっている。
また、カウンター47は、幅寸法が、ベッド10の幅寸法と略等しく設定されている。
【0221】
カウンター47の中央部に形成された開口部である通過部47aには、当該通過部47aを開閉する開閉体としてルーバー装置48が設けられている。
ルーバー装置48は、開口部である通過部47aの周縁部に固定される枠体と、カウンター47の幅方向に沿って長尺に形成されて枠体によって保持された複数のフィン48aと、を有する。
複数のフィン48aは、長さ方向に沿って回転軸が通っており、回転軸の軸回りに回転可能な状態で枠体に取り付けられている。図21に示す例においては、複数のフィン48aを同一の方向に寝かせた状態に回転させて、フィン48a同士を接触させれば、開口部である通過部47aを閉塞することができる。また、複数のフィン48aを同一の方向に回転させて、フィン48a同士を離間させれば、開口部である通過部47aを開放することができる。
【0222】
以上のようなカウンター47が取り付けられた第一壁部4aには、放射冷暖房装置12が組み込まれて支持されている。
【0223】
本実施例の部屋空間1の空調システムにおいては、放射冷暖房装置12からの直接の放射熱によって、近傍に位置するものを温めたり、冷やしたりすることができる。
また、放射冷暖房装置12付近の空気は、放射冷暖房装置12からの放射熱によって温度調整されることになる。そして、放射冷暖房装置12によって温度調整された空気のうち、第四空気拡散手段であるカウンター47よりも上方の位置で温度調整された空気は、複数のフィン48aによって通過部47aを閉塞した状態においては、カウンター47の直下に流通しにくくなる。さらに、第四空気拡散手段であるカウンター47よりも下方の位置で温度調整された空気は、複数のフィン48aによって通過部47aを閉塞した状態においては、カウンター47の直上に流通しにくくなる。
【0224】
より詳細に説明すると、冷やされた空気は下降する性質を有している。カウンター47よりも上方の位置で温度調整された空気(冷気)は、複数のフィン48aによって通過部47aを閉塞した状態においては、カウンター47の直下に流通しにくくなるので、冷たい空気が顔に当たるのを嫌がる人にとっては、複数のフィン48aによって通過部47aを閉塞することで、下降する冷気を極力遮ることができる。
カウンター47によって遮られた冷気は、カウンター47の突出方向側端部(及び利用者Pの足先側の端部)から下降することになるので、利用者Pの頭部よりも足先側に流通しやすくなる。
冷たい空気が顔に当たっても平気な人の場合は、複数のフィン48aを回転させて通過部47aを開放し、下降する冷気を、カウンター47よりも下方に流通させる。
【0225】
一方、温められた空気は上昇する性質を有している。カウンター47よりも下方の位置で温度調整された空気は、カウンター47の直上には流通しにくくなるので、温かい空気が逃げないようにしたい人にとっては、複数のフィン48aによって通過部47aを閉塞することで、上昇する暖気が逃げることを極力抑制することができる。
温かい空気がこもらないようにしたい人の場合は、複数のフィン48aを回転させて通過部47aを開放し、上昇する暖気を、カウンター47よりも上方に流通させる。
【0226】
つまり、第三空気拡散手段であるカウンター47は、開閉体48の複数のフィン48aを適宜開閉することによって、空気の流れを、複数のパターンで制御することが可能となるので、気流制御手段としても機能することになる。
したがって、以上のような本実施例の部屋空間1の空調システムは、部屋空間1全体の空調だけでなく、一端部10aが第一壁部4a側に寄せられて配置されたベッド10での良好な睡眠環境の形成にも貢献できる。
なお、複数のフィン48aの角度調整は、自動又は手動で行われる。
自動で行われる場合、開閉体であるルーバー装置48は、複数のフィン48aを回転させるための駆動部を備える。この駆動部は、上記の自動制御システムと同様の構成で制御することができる(図6参照)。すなわち、駆動部は、コンピュータによって構成された制御装置に対して有線又は無線によって接続されており、記憶部に記憶されたプログラムに応じて制御装置によって制御される。また、制御装置は、部屋空間1内に設けられた状態検知センサー21のセンシング結果に応じて駆動部を制御するように構成されている。
【0227】
本実施形態によれば、以下のような優れた効果を奏する。
すなわち、壁部4の壁面から前方に突出するカウンター38,39,40,41,42,45,47が、当該カウンター38,39,40,41,42,45,47の上下方向に沿って少なくとも視線及び空気の通り抜けが可能な通過部38a,39a,40a,41a,43a,45a,47aを有するので、通過部38a,39a,40a,41a,43a,45a,47aを通じて上下方向に視線の抜けが利くとともに、空気も上下方向に通り抜けることが可能となる。これにより、利用者Pが圧迫感を覚えにくくなるので、圧迫感を極力抑えた睡眠環境を形成することができる。
さらに、放射冷暖房装置12が、カウンター38,39,40,41,42,45,47が取り付けられた壁部4に組み込まれて支持されているので、放射冷暖房装置12からの直接の放射熱によって、近傍に位置するものを温めたり冷やしたりできるほか、カウンター38,39,40,41,42,45,47よりも上方の位置で放射冷暖房装置12によって温度調整された空気(冷気)を、通過部38a,39a,40a,41a,43a,45a,47aを通じて下方空間に下降させたり、カウンター38,39,40,41,42,45,47の上面を伝って突出方向側端部から下降させたりできる。また、カウンター38,39,40,41,42,45,47よりも下方の位置で放射冷暖房装置12によって温度調整された空気(暖気)を、通過部38a,39a,40a,41a,43a,45a,47aから上方に逃がして熱がこもるのを抑制できる。これにより、放射冷暖房装置12によって温度調整された空気を利用して部屋空間1内に快適な温熱環境を形成することができる。
【0228】
また、壁部4の壁面における幅方向に間隔を空けて配置された複数の分割板体38b,45b間の隙間が、通過部38a,45aとされているので、通過部38a,45aを通じて上下方向に視線の抜けが利くとともに、空気も上下方向に通り抜けることが可能となる。これにより、利用者Pが圧迫感を覚えにくくなるので、圧迫感を極力抑えた睡眠環境を形成することができる。
さらに、放射冷暖房装置12が、カウンター38,45が取り付けられた壁部4に組み込まれて支持されているので、放射冷暖房装置12からの直接の放射熱によって、近傍に位置するものを温めたり冷やしたりできるほか、カウンター38,45よりも上方の位置で温度調整された冷気や、カウンター38,45よりも下方の位置で温度調整された暖気を効果的に拡散できる。これにより、放射冷暖房装置12によって温度調整された空気を利用して部屋空間1内に快適な温熱環境を形成することができる。
【0229】
また、カウンター45は、通過部45aを開閉する開閉体46を更に備えるので、開閉体46によって通過部45aを閉塞することで視線の抜けが利かないようにすることができる。
さらに、開閉体46によって通過部45aを適宜開閉することで、カウンター45よりも上方の位置で温度調整された冷気の流れや、カウンター45よりも下方の位置で温度調整された暖気の流れを、複数のパターンで制御することが可能となる。
【0230】
また、通過部39a,43aは、カウンター39,42の縁部に切欠形成された切欠部39a,43aであるため、カウンター39,42の下方空間を利用する利用者Pは、視線及び空気の通り抜けができない場合に比して、圧迫感を覚えにくくなる。
さらに、カウンター39,42よりも上方の位置で温度調整された冷気や、カウンター39,42よりも下方の位置で温度調整された暖気を利用して部屋空間1内に快適な温熱環境を形成する上で、例えばカウンターに形成された開口部を通過部にする場合や、互いに離間する板体間の隙間を通過部とする場合とは異なる空気の流れを形成できる。
【0231】
また、カウンター42を構成する板材の幅方向中央部に形成された膨出部43のうち最も下方に位置する部位に切欠部43aが形成されているので、カウンター42の幅方向中央部に集まる空気(冷気)を、膨出部43の上面を伝って下方空間に流れやすくすることができ、切欠部43aから下降させやすくすることができる。
【0232】
また、通過部40a,41a,47aは、前記カウンター40,41,47を厚み方向に貫通する開口部40a,41a,47aであるため、カウンター40,41,47の下方空間を利用する利用者Pは、視線及び空気の通り抜けができない場合に比して、圧迫感を覚えにくくなる。
さらに、カウンター40,41,47よりも上方の位置で温度調整された冷気や、カウンター40,41,47よりも下方の位置で温度調整された暖気を利用して部屋空間1内に快適な温熱環境を形成する上で、例えばカウンターの縁部に切欠形成された切欠部を通過部にする場合や、互いに離間する板体間の隙間を通過部とする場合とは異なる空気の流れを形成できる。
【0233】
また、通過部47aを開閉する開閉体48は、通過部47aに設けられ、回転軸の軸回りに回転可能な複数のフィン48aが並設されたルーバー装置48であるため、複数のフィン48aによって通過部45aを閉塞することで視線の抜けが利かないようにすることができる。
さらに、複数のフィン48aによって通過部45aを適宜開閉することで、カウンター47よりも上方の位置で温度調整された冷気の流れや、カウンター47よりも下方の位置で温度調整された暖気の流れを、複数のパターンで制御することが可能となる。
【0234】
<第4実施形態>
次に、図面を参照して第4実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、上記の第1から第3実施形態と共通する要素については、共通の符号を付し、説明を省略又は簡略する。
【0235】
本実施形態における部屋空間1は、住宅内の主寝室(ベッドルーム)や子供部屋、客間などのように、寝具10が設置される部屋の内部空間である。部屋空間1は、床部2と、天井部3と、複数の壁部4と、によって囲まれて形成されている。
部屋空間1には、寝具10と、放射冷暖房装置12と、が備えられている。
そして、以上のように構成された部屋空間1には、放射冷暖房装置12を含む空調システムが設けられている。
【0236】
〔実施例〕
以下、本実施形態における部屋空間1の空調システムについて、より詳細に説明する。
なお、以下に説明する空調システムの各実施例においては、上記のような部屋空間1の構成を備えることを前提とする。また、共通する要素については、共通の符号を付し、説明を適宜省略又は簡略する。
【0237】
〔実施例4-1〕
本実施例の部屋空間1には、図22(a),(b)に示すように、支持体である第一壁部4a側に配置されて、かつ、放射冷暖房装置12からの放射熱によって温度調整された室内の空気を拡散させる第五空気拡散手段49であるカウンター49が備えられている。そして、カウンター49の下面には、カウンター49の下方空間における照度を上昇させる照度上昇手段50,51が設けられている。
【0238】
より詳細に説明すると、本実施例の第五空気拡散手段49であるカウンター49は、第一壁部4aの壁面に突出して設けられている。カウンター49は、ベッド10の上面よりも上方の高さ位置に設けられている。また、ベッド10は、一端部10aが、カウンター49の下方に配置されるように設置されている。つまり、カウンター49は、利用者Pの頭部の上方に配置されることとなる。
【0239】
カウンター49は、矩形状の板材によって構成されており、幅寸法が、ベッド10の幅寸法と略等しく設定されている。
このようなカウンター49の下面に、照度上昇手段として照明装置50,51が設けられている。照明装置50,51は、例えばLED照明装置であり、図示しない電源部に接続されて電力供給を受けている。
【0240】
また、照明装置50,51は、図示しないコントローラーの操作によって、オン・オフだけでなく、照度調節が可能に構成されている。
さらに、コントローラーにはタイマー機能が付与されており、照明装置36のオン・オフや照度調節をタイマー制御できるようになっている。
なお、コントローラーは、専用のアプリケーションがダウンロードされたスマートフォン等のコンピュータで代用できる。
【0241】
図22(a)に示す例において、照明装置50は、直接照明タイプであり、カウンター49の下面に露出した状態となっている。
図22(b)に示す例において、照明装置51は、間接照明タイプであり、カウンター49の下面に露出しない状態となっている。すなわち、カウンター49の突出方向側端部に、側断面視において略J字型に形成された照明収納部52が設けられており、この照明収納部52に照明装置51が収納されて、照明装置51からの光が、カウンター49の下方にいる利用者Pの目に直接入らないようになっている。
なお、照明収納部52は、カウンター49の突出方向側端部から下方に伸びる第一板52aと、第一板52aの下端部から第一壁部4a側に伸びて上面に照明装置51が設けられる第二板52bと、第二板52bにおける第一壁部4a側端部から上方に伸びる第三板52cと、を有する。第三板52cの上端部とカウンター49の下面との間には隙間が形成されており、この隙間から照明装置51の光が漏れるようになっている。第二板52bが、下方空間を利用する利用者Pに対して光が直接届かないようにするための遮蔽板として機能している。
【0242】
以上のようなカウンター49が取り付けられた第一壁部4aには、放射冷暖房装置12が組み込まれて支持されている。
【0243】
本実施例の部屋空間1の空調システムにおいては、放射冷暖房装置12からの直接の放射熱によって、近傍に位置するものを温めたり、冷やしたりすることができる。
また、放射冷暖房装置12付近の空気は、放射冷暖房装置12からの放射熱によって温度調整されることになる。そして、放射冷暖房装置12によって温度調整された空気のうち、第五空気拡散手段であるカウンター49よりも上方の位置で温度調整された空気は、カウンター49の直下には流通しにくくなる。さらに、カウンター49よりも下方の位置で温度調整された空気は、カウンター49の直上には流通しにくくなる。
【0244】
より詳細に説明すると、冷やされた空気は下降する性質を有している。カウンター49よりも上方の位置で温度調整された空気は、カウンター49の直下には流通しにくくなるので、冷たい空気が顔に当たるのを嫌がる人にとっては、カウンター49によって、下降する冷気を極力遮ることができる。
カウンター49によって遮られた冷気は、カウンター49の突出方向側端部(及び幅方向側端部)から下降することになるので、利用者Pの頭部よりも足先側に流通しやすくなる。
【0245】
一方、温められた空気は上昇する性質を有している。カウンター49よりも下方の位置で温度調整された空気は、カウンター49の直上には流通しにくくなるので、温かい空気が逃げないようにしたい人にとっては、カウンター49によって、上昇する暖気が逃げることを極力抑制することができる。
特に、カウンター49の突出方向側端部に、下垂する照明収納部52が設けられていると、カウンター49よりも下方の位置で温度調整された暖気は、カウンター49の下面に滞留しやすくなるので、上昇する暖気が逃げることを極力抑制することができる。
【0246】
以上のような本実施例の部屋空間1の空調システムは、部屋空間1全体の空調だけでなく、一端部10aが第一壁部4a側に寄せられて配置されたベッド10での良好な睡眠環境の形成にも貢献できる。
また、カウンター49の下面に照明装置50,51が設けられることによって、カウンター49の下方空間における照度調節が可能となっている。これにより、カウンター49の下方空間が、カウンター49の陰になって照度の低い空間になってしまっても、カウンター49の下方空間を明るくすることができるので、良好な起床環境の形成にも貢献できる。
【0247】
なお、本実施例におけるカウンター49は、上下移動も角度調整もしない構成となっているが、これに限られるものではなく、第一壁部4aの壁面に沿って上下方向に移動可能に設けられてもよいし、第一壁部4aの壁面に対して角度調整可能に設けられてもよい。また、或いは、カウンター49を上方に回転させて第一壁部4aの壁面に沿った状態(要するに、折りたたんだ状態)に角度調整可能に構成されてもよい。
【0248】
〔実施例4-2〕
本実施例の部屋空間1には、図23に示すように、支持体である第一壁部4a側に配置されて、かつ、放射冷暖房装置12からの放射熱によって温度調整された室内の空気を拡散させる第六空気拡散手段53であるカウンター53が備えられている。そして、カウンター53の下面には、カウンター53の下方空間における照度を上昇させる照度上昇手段54が設けられている。
【0249】
より詳細に説明すると、本実施例の第六空気拡散手段53であるカウンター53は、第一壁部4aの壁面に突出して設けられている。カウンター53は、ベッド10の上面よりも上方の高さ位置に設けられている。また、ベッド10は、一端部10aが、カウンター53の下方に配置されるように設置されている。つまり、カウンター53は、利用者Pの頭部の上方に配置されることとなる。
【0250】
カウンター53は、矩形状の板材によって構成されており、幅寸法が、ベッド10の幅寸法と略等しく設定されている。
このようなカウンター53の下面に、照度上昇手段としてモニター54が設けられている。モニター54は、文字や図形、グラフィック、動画等が表示される装置を指し、ディスプレイ、ディスプレイ装置とも称する。なお、同様の機能の表示部を備えるタブレット端末や、テレビを代わりに用いてもよい。このようなモニター54は、図示しない電源部に接続されて電力供給を受けている。
また、モニター54は、図示しないコントローラーの操作によって、オン・オフだけでなく、画面の照度調節が可能に構成されている。さらに、モニター54には、スピーカーやマイクが具備されてもよい。
【0251】
そして、モニター54は、照度調節のためだけでなく、画面に表示される画像等によって、頭上にカウンター53があることによる圧迫感の解消を図ってもよい。例えば、就寝時にはモニター54の画面に夜空を表示したり、起床時にはモニター54の画面に青空を表示したりすることで、視線の抜け感を利用者Pに付与できるので、圧迫感の解消を図ることができる。また、森林等の自然環境の映像を映し出すようにしてもよい。
さらに、カウンター53にカメラを設置し、天井部3を映し出すようにしてもよいし、屋根に実際にカメラを設置し、カメラに写る景色をモニター54に映し出すようにしてもよい。
【0252】
カウンター53の下面には、凹部53aが形成されており、この凹部53aには、モニター54が収容されている。
モニター54として、例えばタブレット端末が用いられる場合は、凹部53aへの収納や取り出しが容易となるように、所謂トンボ等の留め具で、凹部53aに収納されたモニター54を保持できるようにしてもよい。
【0253】
以上のようなカウンター49が取り付けられた第一壁部4aには、放射冷暖房装置12が組み込まれて支持されている。
【0254】
本実施例の部屋空間1の空調システムにおいては、放射冷暖房装置12からの直接の放射熱によって、近傍に位置するものを温めたり、冷やしたりすることができる。
また、放射冷暖房装置12付近の空気は、放射冷暖房装置12からの放射熱によって温度調整されることになる。そして、放射冷暖房装置12によって温度調整された空気のうち、第六空気拡散手段であるカウンター53よりも上方の位置で温度調整された空気は、カウンター53の直下には流通しにくくなる。さらに、カウンター53よりも下方の位置で温度調整された空気は、カウンター53の直上には流通しにくくなる。
【0255】
より詳細に説明すると、冷やされた空気は下降する性質を有している。カウンター53よりも上方の位置で温度調整された空気は、カウンター53の直下には流通しにくくなるので、冷たい空気が顔に当たるのを嫌がる人にとっては、カウンター53によって、下降する冷気を極力遮ることができる。
カウンター53によって遮られた冷気は、カウンター53の突出方向側端部(及び幅方向側端部)から下降することになるので、利用者Pの頭部よりも足先側に流通しやすくなる。
【0256】
一方、温められた空気は上昇する性質を有している。カウンター53よりも下方の位置で温度調整された空気は、カウンター53の直上には流通しにくくなるので、温かい空気が逃げないようにしたい人にとっては、カウンター53によって、上昇する暖気が逃げることを極力抑制することができる。
なお、カウンター53よりも下方の位置で温度調整された暖気は、カウンター53の突出方向側端部から徐々に上昇して拡散する。
【0257】
以上のような本実施例の部屋空間1の空調システムは、部屋空間1全体の空調だけでなく、一端部10aが第一壁部4a側に寄せられて配置されたベッド10での良好な睡眠環境の形成にも貢献できる。
また、カウンター53の下面にモニター54が設けられることによって、カウンター53の下方空間における照度調節が可能となっている。これにより、カウンター53の下方空間が、カウンター53の陰になって照度の低い空間になってしまっても、カウンター53の下方空間を明るくすることができるので、良好な起床環境の形成にも貢献できる。
【0258】
なお、本実施例におけるカウンター53は、上下移動も角度調整もしない構成となっているが、これに限られるものではなく、第一壁部4aの壁面に沿って上下方向に移動可能に設けられてもよいし、第一壁部4aの壁面に対して角度調整可能に設けられてもよい。また、或いは、カウンター53を上方に回転させて第一壁部4aの壁面に沿った状態(要するに、折りたたんだ状態)に角度調整可能に構成されてもよい。
【0259】
〔実施例4-3〕
本実施例の部屋空間1には、図24に示すように、支持体である第一壁部4a側に配置されて、かつ、放射冷暖房装置12からの放射熱によって温度調整された室内の空気を拡散させる第七空気拡散手段55であるカウンター55が備えられている。そして、カウンター55の下面には、カウンター55の下方空間における照度を上昇させる照度上昇手段56が設けられている。
【0260】
より詳細に説明すると、本実施例の第七空気拡散手段55であるカウンター55は、第一壁部4aの壁面に突出して設けられている。カウンター55は、ベッド10の上面よりも上方の高さ位置に設けられている。また、ベッド10は、一端部10aが、カウンター55の下方に配置されるように設置されている。つまり、カウンター55は、利用者Pの頭部の上方に配置されることとなる。
【0261】
カウンター55は、矩形状の板材によって構成されており、幅寸法が、ベッド10の幅寸法と略等しく設定されている。
このようなカウンター55の下面には、照度上昇手段としてミラー56が、鏡面を下向きにし、かつ斜めに傾けられた状態で設けられている。したがって、ミラー56の下方に頭部を置いてベッド10に横たわった場合に、カウンター55の下方空間の外部から取り込んだ光が、利用者Pの目に届くことになる。すなわち、就寝時に部屋空間1を暗くすれば、利用者Pの目に光は届きにくいが、朝になれば、屋外から部屋空間1に差し込む自然光が、利用者Pの目に届きやすくなる。また、利用者Pは、頭部を起こさなくても、ミラー56越しに足先側を見ることができるので、頭上にカウンター55があることによる圧迫感の解消に貢献できる。
【0262】
ミラー56は、通常の鏡であり、カウンター55の突出方向側端部における下面部分と第一壁部4aとの間に架け渡されて設けられている。
カウンター55の突出方向側端部における下面部分には、カウンター55の幅方向に沿って長尺に形成された差込溝55aが形成されており、この差込溝55aには、ミラー56の上端部が差し込まれている。
また、第一壁部4aの壁面には、ミラー56の下端部を受けるミラー受部57が取り付けられている。ミラー受部57は、突出方向側端面が斜め上向き面とされて、当該突出方向側端面には、差込溝57aが形成されている。そして、この差込溝57aには、ミラー56の上端部が差し込まれている。
【0263】
以上のようなカウンター55が取り付けられた第一壁部4aには、放射冷暖房装置12が組み込まれて支持されている。
【0264】
本実施例の部屋空間1の空調システムにおいては、放射冷暖房装置12からの直接の放射熱によって、近傍に位置するものを温めたり、冷やしたりすることができる。
また、放射冷暖房装置12付近の空気は、放射冷暖房装置12からの放射熱によって温度調整されることになる。そして、放射冷暖房装置12によって温度調整された空気のうち、第七空気拡散手段であるカウンター55よりも上方の位置で温度調整された空気は、カウンター55の直下には流通しにくくなる。さらに、カウンター55よりも下方の位置で温度調整された空気は、カウンター55の直上には流通しにくくなる。
【0265】
より詳細に説明すると、冷やされた空気は下降する性質を有している。カウンター55よりも上方の位置で温度調整された空気は、カウンター55の直下には流通しにくくなるので、冷たい空気が顔に当たるのを嫌がる人にとっては、カウンター55によって、下降する冷気を極力遮ることができる。
カウンター55によって遮られた冷気は、カウンター55の突出方向側端部(及び幅方向側端部)から下降することになるので、利用者Pの頭部よりも足先側に流通しやすくなる。
【0266】
一方、温められた空気は上昇する性質を有している。カウンター55よりも下方の位置であって、かつミラー56よりも上方の位置で温度調整された空気は、カウンター55の直上には流通しにくくなるので、温かい空気が逃げないようにしたい人にとっては、カウンター55によって、上昇する暖気が逃げることを極力抑制することができる。カウンター55及びミラー56の幅方向両端部における開放部分を閉塞することで、暖気は、より一層逃げにくくなる。
なお、ミラー56よりも下方の位置で温度調整された暖気は、ミラー56に沿って上昇し、カウンター55の突出方向側端部から徐々に上昇して拡散する。
【0267】
以上のような本実施例の部屋空間1の空調システムは、部屋空間1全体の空調だけでなく、一端部10aが第一壁部4a側に寄せられて配置されたベッド10での良好な睡眠環境の形成にも貢献できる。
また、カウンター55の下面にミラー56が設けられることによって、カウンター55の下方空間における照度調節が可能となっている。これにより、カウンター55の下方空間が、カウンター55の陰になって照度の低い空間になってしまっても、カウンター55の下方空間を明るくすることができるので、良好な起床環境の形成にも貢献できる。
【0268】
本実施形態によれば、以下のような優れた効果を奏する。
すなわち、放射冷暖房装置12が、カウンター49,53,55が取り付けられた壁部4に組み込まれて支持されているので、放射冷暖房装置12からの直接の放射熱によって、近傍に位置するものを温めたり冷やしたりできるほか、カウンター49,53,55よりも上方の位置で放射冷暖房装置12によって温度調整された空気(冷気)を、カウンター49,53,55の上面を伝って突出方向側端部から下降させたり、カウンター49,53,55よりも下方の位置で放射冷暖房装置12によって温度調整された空気(暖気)を、カウンター49,53,55の下面に滞留させ、空気を逃がさないようにしたりできる。これにより、放射冷暖房装置12によって温度調整された空気を利用して部屋空間1内に快適な温熱環境を形成することができる。
さらに、カウンター49,53,55には、カウンター49,53,55の下方空間における照度を上昇させる照度上昇手段50,51,54,56が設けられているので、カウンター49,53,55の下方空間が、カウンター49,53,55の陰になって照度の低い空間になってしまっても、照度上昇手段50,51,54,56によって、カウンター49,53,55の下方空間を明るくすることができる。これにより、照度の観点から起床しやすい睡眠環境(起床環境)を形成することができる。
【0269】
また、照度上昇手段50,51は、カウンター49の下面側に設けられた照明装置50,51であるため、光が照らされた部分を明るくするための機能を持った専用の装置として、カウンター49,53,55の下方空間を直接的に明るくすることができる。これにより、照度の観点から起床しやすい睡眠環境を形成しやすくなる。
【0270】
また、カウンター49は、照明装置51が収納され、かつ、カウンター49の下面よりも下方に照明装置51を配置するための照明収納部52を有しており、カウンター49の下面と照明収納部52との間には隙間が形成されているので、隙間から漏れる光によって、カウンター49,53,55の下方空間を明るくすることができる。つまり、照明収納部52に収納された照明装置51を間接照明として機能させることができるので、直接目に入る光によって照らされる場合とは異なり、カウンター49の下面等に反射した柔らかな明かりでカウンター49の下方空間を照らすことができる。
【0271】
また、照度上昇手段54は、前記カウンター53の下面に設けられ、画像を表示するためのモニター54であるため、画像を表示しながらカウンター53の下方空間を明るくすることができる。これにより、照度の観点から起床しやすい睡眠環境を形成しやすくなる。
さらに、表示される画像によっては、カウンター53の下方空間を利用する利用者Pへの、カウンター53があることによる圧迫感の解消を図ることができる。
【0272】
また、カウンター55の下面に斜めに傾けられた状態で設けられたミラー56は、鏡面が、前記壁部4とは反対側で、かつ斜め下向きとなるように配置されているので、カウンター55の下方空間を利用する利用者Pには、カウンター55の下方空間の外部から取り込んだ光が届くことになる。これにより、就寝時に部屋空間1を暗くすれば、カウンター55の下方空間を利用する利用者Pに光は届きにくいが、朝になれば、屋外から部屋空間1に差し込む自然光が、カウンター55の下方空間を利用する利用者Pに届きやすくなるので、照度の観点から起床しやすい睡眠環境を形成しやすくなる。
さらに、カウンター55の下方空間を利用する利用者Pは、ミラー56越しに、カウンター55の下方空間の外部を見ることができるので、カウンター55の下方空間を利用する利用者Pへの、カウンター55があることによる圧迫感の解消を図ることができる。
【符号の説明】
【0273】
P 利用者
1 部屋空間
4 壁部
4a 第一壁部
10 ベッド
10a 一端部
10b 他端部
12 放射冷暖房装置
13 冷暖房パネル
14 第一気流制御手段(空気吹出装置)
14a 吹出口
15 第二気流制御手段(カウンター)
16 ガイドレール
17 支持スライダー
22 第三気流制御手段(シート材)
22a 第一線材
22b 第二線材
23 第四気流制御手段(湾曲カウンター)
25 第五気流制御手段(カウンター)
26 第六気流制御手段(カウンター)
27 カウンター
28 ガイドレール
29 カウンター
32 第一被覆体
32a 頂点
32b 第一湾曲領域
32c 第二湾曲領域
32d 基端部における下端部
32e 先端部における下端部
33 カウンター板材
34 第二被覆体
35 照明付き壁体
36 照明装置
37 第三被覆体
38 第一空気拡散手段(カウンター)
38a 通過部(隙間)
38b 分割板体
39 カウンター
39a 通過部(切欠部)
40 カウンター
40a 通過部(スリット)
41 カウンター
41a 通過部(貫通孔)
42 第二空気拡散手段(カウンター)
43 膨出部
43a 通過部(切欠部)
45 第三空気拡散手段(カウンター)
45a 通過部(隙間)
46 開閉体
47 第四空気拡散手段(カウンター)
47a 通過部(開口部)
48 開閉体
49 第五空気拡散手段(カウンター)
50 照度上昇手段(直接照明)
51 照度上昇手段(間接照明)
53 第六空気拡散手段(カウンター)
54 照度上昇手段(モニター)
55 第七空気拡散手段
56 照度上昇手段(ミラー)
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