(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023050492
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】ミスト発生装置及びそれを備えたミスト発生システム
(51)【国際特許分類】
A61H 33/10 20060101AFI20230404BHJP
A47K 3/00 20060101ALI20230404BHJP
A47K 4/00 20060101ALI20230404BHJP
F24F 6/00 20060101ALN20230404BHJP
【FI】
A61H33/10 A
A47K3/00 Z
A47K4/00
F24F6/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021160614
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100123630
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 啓太
(72)【発明者】
【氏名】大江 俊春
(72)【発明者】
【氏名】原島 立成
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 元太
(72)【発明者】
【氏名】碇 洋平
(72)【発明者】
【氏名】牧 愛子
【テーマコード(参考)】
2D005
2D132
3L055
4C094
【Fターム(参考)】
2D005FA06
2D132GA02
3L055AA10
3L055BB12
4C094AA01
4C094BA18
4C094DD09
4C094EE03
4C094GG06
4C094GG07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】効率良くミストを生成することができると共に、発生したミストを水回り機器のミスト滞留空間に滞留させることができるミスト発生装置を提供する。
【解決手段】本発明は、水回り機器にミストを供給するミスト発生装置(1)であって、ミスト発生装置本体(8)と、このミスト発生装置本体内に設けられ、ミストにすべき水を貯留した貯水部(12)と、この貯水部への水の供給、停止を制御する給水弁(30)と、貯水部の中に設けられ、貯水部に貯留された水の水面に向けて超音波を照射してミストを発生させる超音波振動子(18)と、給水弁及び超音波振動子を制御する制御部(26)と、を有し、制御部は、貯水部に貯留された水の水位が適正範囲に維持されるように、給水弁を制御することを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水回り機器にミストを供給するミスト発生装置であって、
ミスト発生装置本体と、
このミスト発生装置本体内に設けられ、ミストにすべき水を貯留した貯水部と、
この貯水部への水の供給、停止を制御する給水弁と、
上記貯水部の中に設けられ、上記貯水部に貯留された水の水面に向けて超音波を照射してミストを発生させる超音波振動子と、
上記給水弁及び上記超音波振動子を制御する制御部と、を有し、
上記制御部は、上記貯水部に貯留された水の水位が適正範囲に維持されるように、上記給水弁を制御することを特徴とするミスト発生装置。
【請求項2】
上記ミスト発生装置本体内には溢流部が設けられ、上記制御部は、上記給水弁を介して導入された水が上記溢流部から流出するように、上記給水弁を制御することにより、上記貯水部の水位を溢流水位に設定する請求項1記載のミスト発生装置。
【請求項3】
上記制御部は、上記超音波振動子を作動させて上記ミスト発生装置本体内でミストを発生させている状態において、上記溢流部から水を所定期間流出させ続けることにより、上記貯水部の水位を所定期間溢流水位に維持する請求項2記載のミスト発生装置。
【請求項4】
上記制御部は、上記超音波振動子の起動時、又は上記超音波振動子の起動前に上記給水弁を開弁させ、上記溢流部から水を流出させる請求項2又は3に記載のミスト発生装置。
【請求項5】
上記制御部は、上記溢流部から水を流出させ続ける溢流制御、及び上記貯水部の水位を溢流水位以下の所定範囲に維持する維持制御を実行可能に構成され、上記制御部は、上記超音波振動子が作動している状態において、所定期間、上記溢流制御を実行した後、上記維持制御を実行する請求項2乃至4の何れか1項に記載のミスト発生装置。
【請求項6】
さらに、上記貯水部の水位を検出する水位センサを有し、上記維持制御において、上記制御部は、上記貯水部の水位が所定の水位まで低下したことが上記水位センサによって検出されると、上記給水弁を所定時間開弁させることにより、上記貯水部の水位を上昇させる請求項5記載のミスト発生装置。
【請求項7】
上記制御部は準備モードを設定可能に構成され、上記準備モードが設定されている場合には、上記制御部は、上記超音波振動子を作動させていない状態で、上記給水弁を開弁させることにより、上記溢流部から水を流出させて上記貯水部の水位を溢流水位に設定する請求項2乃至6の何れか1項に記載のミスト発生装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載のミスト発生装置と、
このミスト発生装置から吐出されたミストを滞留させるミスト滞留空間を備えた水回り機器と、
を有することを特徴とするミスト発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミスト発生装置に関し、特に、水回り機器にミストを供給するミスト発生装置、及びそれを備えたミスト発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2008-018130号公報(特許文献1)には、浴槽サウナ装置が記載されている。この浴槽サウナ装置では、浴槽蓋で覆われた浴槽本体の中に、ミストが送り込まれ、浴槽本体内をサウナ空間とし、浴槽本体の中でサウナ浴をすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の浴槽サウナ装置では、浴槽本体の中をサウナ空間とするために、浴槽本体の上に浴槽蓋を配置する必要があり、これにより、使用者の位置が拘束されてしまい、使用者に十分な快適性を与えることができないという問題がある。即ち、浴槽蓋を配置しない状態で浴槽本体内にミストを滞留させるには、大量のミストを浴槽本体内に送り込む必要がある。しかしながら、大量のミストを生成するミスト発生装置は、非常に大がかりなものとなり、高価な装置になってしまうという問題がある。
【0005】
従って、本発明は、効率良くミストを生成することができると共に、発生したミストを水回り機器のミスト滞留空間に滞留させることができるミスト発生装置、及びそれを備えたミスト発生システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、水回り機器にミストを供給するミスト発生装置であって、ミスト発生装置本体と、このミスト発生装置本体内に設けられ、ミストにすべき水を貯留した貯水部と、この貯水部への水の供給、停止を制御する給水弁と、貯水部の中に設けられ、貯水部に貯留された水の水面に向けて超音波を照射してミストを発生させる超音波振動子と、給水弁及び超音波振動子を制御する制御部と、を有し、制御部は、貯水部に貯留された水の水位が適正範囲に維持されるように、給水弁を制御することを特徴としている。
【0007】
このように構成された本発明においては、ミスト発生装置本体内に、ミストにすべき水を貯留する貯水部が設けられ、貯留された水の水面に向けて超音波振動子が超音波を照射する。これにより、貯水部に貯留された水がミスト化され、ミストが生成される。このように、超音波振動子は、ミストを生成するために広く使用されているが、本件発明者は、ミストの生成量は、超音波振動子と超音波を照射する水面の間の距離に強く依存することを見出した。即ち、超音波振動子から水面までの距離が適正値から外れると、ミストの生成量が著しく減少してしまうことが明らかになった。
【0008】
上記のように構成された本発明によれば、制御部が、貯水部に貯留された水の水位が適正範囲に維持されるように、給水弁を制御するので、貯水部の水面の高さは常に適正範囲に維持され、超音波振動子により、効率良くミストを生成することができる。これにより、大がかりな装置を使用することなく、多量のミストを生成することができ、水回り機器にミストを供給することができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、ミスト発生装置本体内には溢流部が設けられ、制御部は、給水弁を介して導入された水が溢流部から流出するように、給水弁を制御することにより、貯水部の水位を溢流水位に設定する。
【0010】
本件発明者は、効率良くミストを生成することができる貯水部の水位の適正範囲は非常に狭いことを見出した。これに対して、水回り機器で通常使用されるフロートスイッチ等の水位センサは、比較的検出精度が低く、このようなセンサでは十分な水位の精度が得られないことが明らかになった。上記のように構成された本発明によれば、制御部は、導入された水が溢流部から流出するように給水弁を制御するので、貯水部の水位を、溢流部の高さによって正確に溢流水位に設定することができ、貯水部の水面を確実に適正範囲に維持されるように設定することができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、制御部は、超音波振動子を作動させてミスト発生装置本体内でミストを発生させている状態において、溢流部から水を所定期間流出させ続けることにより、貯水部の水位を所定期間溢流水位に維持する。
【0012】
貯水部の水位は一旦適正範囲に設定されたとしても、ミストを生成している状態では、貯水部内の水がミスト化されてしまい、水位は少しずつ低下し、適正範囲から外れてしまう。上記のように構成された本発明によれば、制御部は、ミストを発生させている状態において、溢流部から水を所定期間流出させ続けるので、ミストが生成されている状態においても、貯水部内の水位を適正範囲に維持することができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、制御部は、超音波振動子の起動時、又は超音波振動子の起動前に給水弁を開弁させ、溢流部から水を流出させる。
【0014】
水回り機器にミストを供給する場合、ミスト発生装置の始動時においては、供給されたミストが溜まっていない状態であるため、特に大量のミストを急速に供給する必要がある。上記のように構成された本発明によれば、制御部が、超音波振動子の起動時、又は超音波振動子の起動前に溢流部から水を流出させるので、ミストの供給開始時点において、貯水部内の水位が適正水位に設定され、供給開始時に多量のミストを供給することができる。
【0015】
本発明において、好ましくは、制御部は、溢流部から水を流出させ続ける溢流制御、及び貯水部の水位を溢流水位以下の所定範囲に維持する維持制御を実行可能に構成され、制御部は、超音波振動子が作動している状態において、所定期間、溢流制御を実行した後、維持制御を実行する。
【0016】
このように構成された本発明によれば、制御部は、溢流部から水を流出させ続ける溢流制御を所定期間実行した後、貯水部の水位を所定範囲に維持する維持制御を実行するので、ミスト発生装置作動の初期に溢流制御を実行して多量のミストの生成を可能にしながら、その後の維持制御により無駄水の発生を抑制することができる。
【0017】
本発明において、好ましくは、さらに、貯水部の水位を検出する水位センサを有し、維持制御において、制御部は、貯水部の水位が所定の水位まで低下したことが水位センサによって検出されると、給水弁を所定時間開弁させることにより、貯水部の水位を上昇させる。
【0018】
このように構成された本発明によれば、例えば、超音波振動子の経年変化等により、貯水部内の水位の低下度合いが下がる虞があるため、水位の低下を、超音波振動子の作動時間から推定したとすれば、実際の水位と推定した水位とにずれが生じてしまう。一方、水を補給した後の水位を水位センサで検出したとすれば、その水位センサの誤差により、設定される水位が大きくズレてしまう。これに対し、上記のように構成された本発明においては、水位の低下が検出された後、給水弁を所定時間開弁させて貯水部の水位を上昇させるので、低下した水位を比較的精度良く検知することができるとともに、水を補給した後の水位を比較的精度良く設定することができる。即ち、給水弁を開弁させる所定時間を、貯水部内の水位が溢流水位程度まで上昇する時間に設定しておくことにより、水位センサの精度が十分でない場合でも、水を補給した後の水位のバラツキを十分に抑制することができる。
【0019】
本発明において、好ましくは、制御部は準備モードを設定可能に構成され、準備モードが設定されている場合には、制御部は、超音波振動子を作動させていない状態で、給水弁を開弁させることにより、溢流部から水を流出させて貯水部の水位を溢流水位に設定する。
【0020】
このように構成された本発明によれば、制御部が準備モードを設定可能に構成されているので、超音波振動子が作動される前に、貯水部の水位を溢流水位に設定することができ、ミスト発生装置の起動直後から十分な量のミストを生成することができる。
【0021】
また、本発明は、ミスト発生システムであって、本発明のミスト発生装置と、このミスト発生装置から吐出されたミストを滞留させるミスト滞留空間を備えた水回り機器と、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0022】
本発明のミスト発生装置、及びそれを備えたミスト発生システムによれば、効率良くミストを生成することができると共に、発生したミストを水回り機器のミスト滞留空間に滞留させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置を、水回り機器である浴槽装置に適用したミスト発生システムの斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態によるミスト発生システムを側面から見た側面断面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置において、ミストの吐出開始後、ミスト滞留空間全体にミストが滞留するまでの様子を示す図である。
【
図4】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置において、ミストの吐出開始後、ミスト滞留空間全体にミストが滞留するまでの様子を示す図である。
【
図5】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置において、ミストの吐出開始後、ミスト滞留空間全体にミストが滞留するまでの様子を示す図である。
【
図6】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置において、ミストの吐出開始後、ミスト滞留空間全体にミストが滞留するまでの様子を示す図である。
【
図7】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置において、ミストの吐出開始後、ミスト滞留空間全体にミストが滞留するまでの様子を示す図である。
【
図8】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置において、ミストの吐出開始後、ミスト滞留空間全体にミストが滞留するまでの様子を示す図である。
【
図9】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置において、ミストの温度、及びミストの供給開始前の室内の温度の計測方法を示す図である。
【
図10】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置において、ミストの温度、及びミストの供給開始前の室内の温度の計測方法を示す図である。
【
図11】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置において、ミストの温度、及びミストの供給開始前の室内の温度の計測方法を示す図である。
【
図12】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置によるミスト温度の測定結果の一例を示す図である。
【
図13】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置において、ミスト吐出通路からミスト滞留空間に供給されたミストの温度とミストの供給開始前の水回り機器が使用される室内の温度との温度差の範囲を示す図である。
【
図14】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置におけるミストの粒径の計測装置の概略図である。
【
図15】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置における粒子径分布測定装置の概略図である。
【
図16】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置において、粒子径分布測定装置により測定された粒子径分布データの一例を示している。
【
図17】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置において、度差と粒径との関係を説明する図である。
【
図18】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置における仮想滞留空間内の状態を観察する箱状観察装置を示す図である。
【
図19】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置における温度差と、ザウター平均粒径との組み合わせについて、仮想滞留空間内のミストの状態を、比較して示す図である。
【
図20】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置において、浴槽本体内のミスト滞留空間で、ミストが滞留状態となっているか否かの判定装置を示す図である。
【
図21】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置のミスト発生装置本体及びミスト吐出通路の縦断面図である。
【
図22】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置のミスト発生装置本体及びミスト吐出通路の斜視断面図である。
【
図23】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置のミスト吐出通路を取り外した状態で示す、ミスト発生装置本体の斜視図である。
【
図24】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置のミスト発生装置本体の内部構造を示す斜視断面図である。
【
図25】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置のミスト発生装置本体及びミスト吐出通路の、斜め下方から見た斜視断面図である。
【
図26】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置において、制御部による制御手順を示すフローチャートである。
【
図27】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置において、タンク内の状態を時系列で示す図である。
【
図28】本発明の第2実施形態によるミスト発生装置を備えたミスト発生システムの斜視図である。
【
図29】本発明の第3実施形態によるミスト発生装置を備えたミスト発生システムの斜視図である。
【
図30】本発明の第4実施形態によるミスト発生装置を備えたミスト発生システムの斜視図である。
【
図31】本発明の第5実施形態によるミスト発生装置を備えたミスト発生システムの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では、添付図面を参照して、本発明の実施形態のミスト発生装置、及びそれを備えたミスト発生システムを説明する。
図1は、本発明の第1実施形態によるミスト発生装置を、水回り機器である浴槽装置に適用したミスト発生システムの斜視図である。
図2は、本発明の第1実施形態によるミスト発生システムを側面から見た側面断面図である。
【0025】
図1に示すように、本発明の第1実施形態によるミスト発生装置1を適用した水回り機器である浴槽装置2は、浴室3に設けられている。浴室3は、箱型の空間であり、内部で水を使用するため一定程度密閉された室内空間5を形成している。水には、外気温(常温)より温度の高い水、加熱された水(いわゆる湯)も含む。浴室3内には、ミスト発生装置1を操作する操作部28が設けられている。なお、本実施形態において、ミスト発生装置1と浴槽装置2の組み合わせは、ミスト発生システムとして機能する。
【0026】
操作部28は、浴槽装置2への水の貯水操作、温度設定等も行うことができる。操作部28は、供給されるミストの温度を設定できる操作機能、供給されるミストの粒径を設定できる操作機能等を有していてもよい。操作部28は、浴室3外に設けられてもよく、又は、リモコン等の遠隔操作部でもよい。浴槽装置2には、水の供給を行う供給装置7が設けられている。浴槽装置2は、さらに、ミスト発生装置1から供給されるミストを受け入れるミスト滞留空間4を形成する浴槽本体6を備えている。なお、本実施形態のミスト発生装置1を適用可能な水回り機器としては、浴室、トイレ、洗面所、キッチン等を挙げることができる。この場合、ミスト発生装置1は、水回り機器の浴槽本体、浴室の洗い場床、シャワールーム、手洗いボウル、洗面台ボウル、キッチンシンク等にミストを供給するように設けられる。また、浴室3は、浴槽本体6のみが配置される部屋に限られず、トイレ、手洗い機器、洗面台、又はこれらの組合せを備えていてもよい。
【0027】
浴槽本体6は、浴槽装置2の浴槽本体6が配置される室内空間5に向けて上方が開放されたミスト滞留空間4を形成する。浴槽本体6は、浴槽(湯船)であり、内側のミスト滞留空間4内に水が貯水できるようになっている。浴槽本体6は、上面視で長方形に形成され、長方形の長辺側に長辺側部分6dが形成され、短辺側に短辺側部分6eが形成されている。
【0028】
ミスト滞留空間4は、浴槽本体6の内側において概ね直方体形状に形成される空間である。
図2に示すように使用者Aが入浴する際には、ミスト滞留空間4の下部側に34℃乃至45℃の水Bが貯水され、使用者Aが座った状態で入浴することができる。なお、後述するように、
図2においては、ミスト滞留空間4内の水Bの上方にはミストが滞留した状態(ミストの滞留層Cが形成されている状態)となっている。ミスト滞留空間4は、浴槽本体6の上端部6aまで形成され、上方が開口されている。本実施形態のミスト発生装置1は、浴槽本体6に、ミスト滞留空間4の天面を覆う浴槽蓋を配置しない状態であっても、ミスト滞留空間4内にミストを滞留させることができるように構成されている。
【0029】
なお、ミスト滞留空間4内に水Bを貯水せずに、ミストのみを滞留させてもよい。浴槽本体6の形状は実施形態のような箱状に限定されず、滞留空間を形成できる形状であればよい。例えば、浴槽本体6が上面視で円形や楕円形に形成され、内側にボウル状のミスト滞留空間が形成されていてもよい。浴槽本体6の底面は使用者が寝浴姿勢や座り姿勢に近い姿勢をとれるように斜めに形成されていてもよく、底面に段部が形成されていてもよく又は形成されていなくてもよい。また、浴槽本体6の上縁は、一定の高さで水平に形成されている必要はなく高さが変化するように形成されていてもよい。例えば、浴槽本体6の上縁が、側面視で、斜め上方又は下方に延びる形状、一部が下方に凹む弓状に延びる形状や、略直角を形成するような形状とされてもよい。
【0030】
ミスト発生装置1は、内部でミストが生成されるミスト発生装置本体8と、ミストを上方が開放された浴槽本体6内のミスト滞留空間に吐出させるミスト吐出通路10とを備えている。
ミスト発生装置本体8内では、加熱された水からミストが生成される。また、ミスト発生装置本体8は、浴槽本体6の短辺側の短辺側部分6eに配置されている。短辺側部分6eの上部には、ミスト発生装置本体8を配置する台状の部分が形成されている。
【0031】
ミスト発生装置本体8内には、ミストにすべき水を貯溜する貯水部であるタンク12が設けられ、このタンク12に給水源から水を供給する給水路14と、タンク12から水を排水管に排水する排水路16が接続されている。また、タンク12の内側には、超音波振動子18、ヒーター20、水位センサであるフロートスイッチ21、水温検知手段である水温計測器22が設けられている。さらに、タンク12の外側には気温検知手段である室内温度計測器24が設けられている。また、超音波振動子18及びヒーター20は、制御部26によって制御される。
【0032】
ミスト発生装置本体8内には、直方体形状のタンク12が形成され、ミスト発生装置本体8の側壁には、給水路14及び排水路16が接続されている。また、ミスト発生装置本体8の側壁には、ミスト吐出通路10が接続されている。さらに、給水路14には、給水路14を開閉する給水路開閉弁30が設けられている。排水路16には、排水路16を開閉する排水路開閉弁32が設けられている。なお、ミスト発生装置本体8内の具体的構造については後述する。
【0033】
超音波振動子18は、タンク12内の底面に上方に向けて取り付けられ、タンク12内に貯留された水の水面に向けて超音波を照射するように構成されている。超音波振動子18により超音波が照射されると、超音波振動子18の鉛直上方の、タンク12の水面上に液柱が形成され、この液柱の周囲に微粒子状にされた水の、所定の粒径のミスト(霧)が生成される。超音波振動子18は、制御部26と電気的に接続され、超音波振動子18の超音波の発振出力、周波数等を調整することにより、発生させるミストの粒径を変更できるようになっている。また、本実施形態においては、5個の超音波振動子18が、タンク12内に一直線に配列されている。
【0034】
制御部26は、ヒーター20に電流を流すことにより、タンク12内の水を加熱するように構成され、タンク12内の水の温度を所定温度に制御する。例えば、ヒーター20は、供給された水(例えば20℃程度の室温)を室温以上の60℃以上まで加熱することができる。また、例えば、制御部26は、ヒーター20により一旦60℃以上に加熱された水を、室温と水温の温度差が所定温度になるように温度制御することができる。よって、ミスト発生装置本体8においては、60℃以上に加熱された水が温度制御されると共に、温度制御された水からミストが生成される。なお、ミスト発生装置本体8に、給湯器において60℃以上に加熱された水を供給し、その水からミストを生成するように本発明を構成することもできる。
【0035】
制御部26は、タンク12内の水を室温以上の温度に加熱し、室温以上の温度で上昇気流を生じさせるようなミストを生成することができ、ミストの温度を、ミストの粒径等の状態に応じて、ミストが滞留しやすいようにコントロールする機能を有する。なお、水を60℃以上に加熱するので、少なくとも一部の菌(例えばレジオネラ菌)の繁殖を抑制する対策も可能となる。なお、ヒーター20が水(又はミスト)を一旦60℃以上に加熱する工程を省略し、この工程の代わりに他の菌抑制手段、例えば、UV光による除菌手段、除菌剤を添加する菌抑制手段等が設けられてもよい。
【0036】
なお、ヒーター20を、タンク12内の水の水位よりも高い位置に設け、水から生成されたミストが加熱されるように本発明を構成することもできる。このとき、ヒーター20は、水から生成されたミストを60℃以上に加熱することができる。また、例えば、制御部26は、ヒーター20により、60℃以上に加熱されたミストを、ミストの温度と室温の温度差が所定温度になるように、ミストの温度を温度制御することができる。
【0037】
水温計測器22は、タンク12内の水の水温を検知する。制御部26は、水温計測器22と電気的に接続され、制御部26がタンク12内の水の水温を認識できる。
室内温度計測器24は、浴槽本体6が配置される室内空間5のミスト発生装置本体8の外側の空気の温度を検知する。制御部26は、室内温度計測器24と電気的に接続され、制御部26が室内空間5の空気の温度を認識できる。なお、ミストの供給開始前(ミスト発生装置1が作動される前)の状態においては、室内空間5の空気の温度と、ミスト滞留空間4内の空気の温度とはほぼ等しい又は比較的近い温度であると仮定されるので、制御部26は、室内温度計測器24が測定した室内空間5の空気の温度を、ミスト滞留空間4内の空気の温度と推定できる。
【0038】
また、制御部26は、給水弁である給水路開閉弁30、及び超音波振動子18を制御するように構成されている。また、フロートスイッチ21は、タンク12内の水位を検出し、タンク12内の水位が所定水位まで低下すると、これを検知し、制御部26に検知信号を出力する。制御部26は、フロートスイッチ21の検知信号に基づいて、タンク12内に貯留された水の水位が適正範囲に維持されるように、給水路開閉弁30を制御する。制御部26による給水路開閉弁30の制御については後述する。
【0039】
制御部26は、CPU及びメモリ等を内蔵し、メモリ等に記録された所定の制御プログラムに基づいてミストの発生を実行する。制御部26は、超音波振動子18、ヒーター20、水温計測器22、室内温度計測器24、操作部28等と電気的に接続されている。制御部26は、さらに、給水路14に設けられた給水路開閉弁30と、排水路に設けられた排水路開閉弁32とも電気的に接続され、これらを制御する。
【0040】
ミスト吐出通路10は、ミスト発生装置本体8により生成されたミストを、浴槽本体6が配置された室内に向けて吐出させ、上方が開放された浴槽本体6内のミスト滞留空間4に流入させる。ミスト吐出通路10は、
図2に示す流路の断面により示されるように、ミスト発生装置本体8からミスト滞留空間4の一端の上部まで延びる通路である。ミスト吐出通路10の開口部は、浴槽本体6の短辺側部分6eに沿って横長の長方形に形成されている。開口部は、短辺側部分6eのほぼ全体にわたる幅を有するように形成されている。ミスト吐出通路10は浴槽本体6内の水の溢れ部6cより上方に配置される。本実施形態においては、この溢れ部6cは、浴槽本体6の溢れ面6bである。変形例として溢れ部6cは、浴槽本体6内に設けられたオーバーフロー口でもよい。
【0041】
ミスト発生装置1は、1L(リットル)のミスト滞留空間4に対し、例えば0.03mL/min~1.5mL/minの流量でミストを供給するように構成されている。例えば、体積330Lのミスト滞留空間4を有する浴槽本体6に対し、ミスト発生装置1は、11mL/minの流量でミストを供給する。また、ミストの流量(供給量)は、超音波振動子18の個数、出力、超音波を照射する向き、タンク12内の水位、又は、ミスト発生装置本体8内やミスト吐出通路10内の流路形状等により制御することができる。
【0042】
ミスト発生装置本体8内では、加温された状態のミストが生成されると共に、ミストの温度を制御し、このミストをミスト滞留空間4内に滞留させやすくする。この内容について説明する。
ミスト発生装置1は、ミスト吐出通路10からミスト滞留空間4に供給されたミストの温度とミストの供給開始前の、水回り機器が使用される室内の温度との温度差が、0℃以上とされ、ミスト吐出通路10から供給されたミストが浴槽本体6のミスト滞留空間4内に滞留されるように構成される。また、ミスト発生装置1は、温度差によって生じる上昇気流がミストを上昇させようとする力がミスト吐出通路10から吐出されたミストの粒径に応じたミストの重さを超えないような、温度差を生じるように構成される。想定される室内空間5の空気の温度範囲に応じてミスト発生装置本体8に供給される水の温度、ヒーター20による加熱温度、又は超音波振動子18の周波数を予め設定することで、室内温度計測器24を用いず(室内温度計測器24の計測結果に依ることなく)、このようなミスト供給が達成されてもよい。また、供給時の設定の調整によりこのようなミスト供給が達成されてもよい。ミスト発生装置1は、温度差が、好ましくは100℃以下、より好ましくは60℃以下、さらに好ましくは45℃以下とされるように構成される。ミスト発生装置1は、加温された状態のミストを生成すると共に、ミストの粒径を制御し、このミストをミスト滞留空間4内に滞留させやすくする。
【0043】
次に、
図2、
図3乃至
図8により、上述した本発明の第1実施形態によるミスト発生装置の動作を説明する。
図3乃至
図8は、ミストの吐出開始後、ミスト滞留空間4全体にミストが滞留するまでの様子を示す図である。
図3乃至
図8に示すミスト発生装置1の基本構造は、
図2に示すミスト発生装置1の基本構造とほぼ同じであるので、
図3乃至
図8においても
図2と同様の符号を付して説明する。
【0044】
図2に示すように、ミスト発生装置1の動作の開始前の待機状態において、浴槽本体6のミスト滞留空間4の下半分には約38℃の水が貯溜された状態となっている。浴室3内の室内空間5の空気の温度とミスト滞留空間4内の空気の温度とはほぼ等しい温度となっている。また、待機状態において、給水路開閉弁30及び排水路開閉弁32は閉弁され、タンク12内には水が無い状態となっている。超音波振動子18及びヒーター20は停止された状態になっている。
【0045】
使用者が操作部28を操作しミスト発生装置1のミストの供給制御を開始させる。ミストの供給開始前に、室内温度計測器24は、室内空間5の空気の温度を測定し、室内空間5の空気の温度が制御部26に入力される。制御部26は、給水路開閉弁30を開弁させ、水を給水路14からタンク12内に供給する。なお、排水路開閉弁32は閉弁されたままにされている。タンク12内に予め決められた水量の水が貯溜されると、給水路開閉弁30は閉弁される。次に、制御部26は、ヒーター20を作動させ、水を給水された水の水温から60℃以上まで加熱する。制御部26は、水が60℃以上まで加熱された後、ミスト吐出通路10からミスト滞留空間4に供給されたミストの温度と、ミストの供給開始前の浴室3内の温度との温度差が、0℃以上とされるように、タンク12内の水の温度をヒーター20の起動及び停止により調整する。次いで、制御部26は、超音波振動子18を作動させ、タンク12内にミストを生じさせる。
【0046】
図3は、ミスト吐出通路10からミスト滞留空間4内へのミストの供給が開始された直後の状態を示している。
ミスト発生装置本体8内に生じたミストは、ミスト吐出通路10から浴槽本体6内のミスト滞留空間4に供給される。ミストは、ミスト吐出通路10から自然に溢れ出し、矢印F1に示すように、ミストの自重により自由落下しながらミスト滞留空間4内に供給される。このように、ミストが下方への移動速度以外の他の方向への移動速度を持つことが抑制されている。従って、ミストがミスト滞留空間4内において、撹拌、拡散、上昇等の移動をしにくくされている。
【0047】
図4においては、ミストの供給開始から約数秒経過後の状態が示される。ミスト供給部10から滞留空間4へのミストの供給は継続されている。供給されたミストは、水Bの水面の上方且つ滞留空間4内の低い部分に滞留を開始している。上昇気流によってミストを上昇させようとする力が、ミスト供給部10から供給されたミストの重さを超えないことによりミストが滞留空間4内に滞留しやすくなっている。よって、ミストは、滞留空間4内の比較的低い部分に滞留する。ミストは、ミスト供給部10側から徐々に供給及び追加され、滞留空間4内の水面上又は底部上においてミスト供給部10側から反対側の短辺に向けて徐々に進む。
【0048】
図5においては、
図4の状態から、ミストが浴槽本体6の反対側の短辺まで到達した状態が示される。ミスト供給部10から滞留空間4へのミストの供給は継続されている。
【0049】
図6は、ミストの供給開始から約10秒経過後の状態を示している。
図6に示すように、立上雲状体R(例えば浴槽本体6の上縁である溢れ面6bを超えてさらに上昇する所定の密度のミストの集合体)が溢れ面6bより約5cm~約30cmの範囲内の高さ程度上方まで立ち上がった後、一部のミストは浮遊や放散し、大半のミストは上昇気流からミストが受ける力よりも重力が大きくなり、再び徐々に浴槽本体6内の滞留空間4に向けて戻るように下降する、また一部のミストは移動の途中で気化して消滅する。
【0050】
図7に示すように、
図6の状態からさらにミストが滞留空間4内に供給されるとともに、立上雲状体Rから下降するミストが滞留空間4内に再び戻って滞留している。なお、ミスト装置1は、ミストの立上雲状体を形成せずにミストの滞留層Cを形成してもよい。
【0051】
図8は、ミストの供給開始から約20秒経過後の状態を示している。
ミスト吐出通路10からミスト滞留空間4へのミストの供給が継続され、ミスト滞留空間4内に供給されたミストが、ミスト滞留空間4内の頂部(浴槽本体6の上端部6a)に近い部分まで滞留されている。ミストは、主にミスト滞留空間4内において水Bの水面より上方且つミスト滞留空間4内の頂部より下方の領域に滞留している。ミストは水Bに落下して吸収され、又は浴槽本体6の壁面に水滴となって付着され消失する、又は浴槽本体6の上端部6aの縁を超えて拡散する。消失するまでの時間はミストの粒径によって異なる。このようにミストは消失又は拡散されるものの、消失や拡散するまでに新しいミストが供給されることにより、滞留空間4内にミストの滞留層を形成できる。すなわち、ミストは、ミスト滞留空間4内において緩やかに流動しつつもミスト滞留空間4から拡散するには至らず安定的な滞留層Cを形成する。滞留層Cは、水Bの水面より上方において、一定以上の密度のミストが単位空間内に存在することにより形成される。滞留層は、白い雲状に認識される。滞留層は下部側においてミストの密度が比較的高く、上部側においてミストの密度が比較的低くなるように形成されている。滞留層の存在により、ミスト滞留空間4の頂部までミストが満たされているように視認される。
【0052】
滞留されたミストの上部側の滞留境界面66は、浴槽本体6の溢れ面6bの高さ(高さ位置M0(
図2))に、上記浴槽本体6の深さL1に相当する高さを加えた高さ位置M1(
図2)よりも下方に形成される。滞留境界面66はミストが空気中に一定以上の濃度となっている滞留層Cと、ミストが空気中に一定未満の濃度となっている空気層Jとの間の境界領域を示している。滞留境界面66は、ミストが滞留しながらある程度動いているため、上下方向にやや高さを持った領域で規定されると共に、水平方向に広がる領域として規定される。なお、浴槽本体6の溢れ面6bは、浴槽本体6の側壁のうち最も高さが低い部分、すなわち水が浴槽本体6の上限まで溜まると最初に溢れ出す部分である。
【0053】
また、滞留されたミストの上部側の滞留境界面66は、浴槽本体6の溢れ面6bの高さ位置M0よりも上方に形成されている。さらに、滞留されたミストの上部側の滞留境界面66は、浴槽本体6の溢れ面6bの高さ(高さ位置M0)に、100mm~200mmの間の数値を加えた高さ位置(高さ位置M2~高さ位置M3(
図2))よりも下方に形成されている。滞留境界面66が浴槽本体6の溢れ面6bの高さよりも高い位置となる場合には、使用者は浴槽を越える位置までのミスト入浴効果、すなわち湯船より高い高さまでの温浴効果を得ることができる。ミスト発生装置1を作動(使用)させている間は、ミストが浴槽本体6内に供給されミストの滞留が継続されている。
ミスト発生装置1は、滞留境界面66の高さ位置が、上述のような所定の高さ位置になるような、ミストの温度と室内の温度との温度差、ミストの粒径、ミストの供給量等を規定するように構成されている。
【0054】
次に、
図9乃至
図11を参照して、ミスト吐出通路10からミスト滞留空間4に供給されたミストの温度、及びミストの供給開始前の浴槽装置2が使用される室内の温度のそれぞれの計測方法について説明する。
図9乃至
図11は、ミストの温度、及びミストの供給開始前の室内の温度の計測方法を示す図である。
【0055】
ミスト吐出通路10からミスト滞留空間4に供給されたミストの温度は、想定される水回り機器の形状に対応する箱状装置35を使用して測定される。箱状装置35は、想定される水回り機器のミスト滞留空間の形状を模擬した仮想滞留空間34と、仮想滞留空間34の中央に配置され且つ温度を測定するK熱電対36とを備えている。
【0056】
仮想滞留空間34は実際のミスト滞留空間4の形状を模擬しつつもサイズを小さくして形成されている。仮想滞留空間の大きさ及び形状は、想定される水回り機器により決定され、浴槽装置2の場合の浴槽、浴室の洗い場床、シャワールーム、洗面台の場合の洗面シンク、キッチンの場合のキッチンシンク等の大きさ及び形状に対応するように決定される。仮想滞留空間34は、例えば、上面視で、短辺が120mm、長辺が300mmの長方形を形成し、正面視で、高さが120mm、長辺が300mmの直方体を形成する。箱状装置35の仮想滞留空間34は、天井面が省略されて開口されている。このような仮想滞留空間34の中心位置に、K熱電対36の感温部が配置され、仮想滞留空間34内の空気の温度を測定している。
【0057】
K熱電対36は、上面視で、短辺に沿う方向において側壁から内側に60mmの位置、且つ長辺に沿う方向において側壁から内側に150mmの位置、且つ高さ方向において底部から上方に60mmの位置に位置する。例えば、K熱電対の感温部サイズは、φ4.5mm×50mmとされている。K熱電対36は、温度ロガー(図示せず)に電気的に接続される。例えば、K熱電対36(アズワン社製型番L-TN-4-K)の測定データを温度ロガー(キーエンス社製NR-500シリーズNR-TH08)で測定、記録し、温度ロガーの情報をパソコンに記録する。なお、ミストを生じさせるもととなる水は水道水であり、ミストを生じさせるもととなる水の水質は水道水の水質に基づく。さらに、各計測方法(測定方法)が実施される室内においては、室内に空気の流れを生じさせるような空調等の風は供給されない状態である。
【0058】
次に、
図12は、ミスト温度の測定結果の一例を示している。
図12においては、縦軸は仮想滞留空間34内のK熱電対36が計測した温度(ミスト雰囲気温度)[℃]であり、横軸は計測開始からの経過時間[s]である。
図12に示すように、K熱電対36により測定される温度は、本実施形態のミスト発生装置1から箱状装置35の仮想滞留空間34内に、ミストの供給を開始すると上昇し始め、十分に時間が経過(例えば2500[s]経過)すると、ほぼ一定値となる。本実施形態においては、測定される温度の上昇がほぼ止まった際の最高温度であるミスト雰囲気温度T1(
図12の例では43℃)を、ミスト発生装置1からミスト滞留空間4に供給されたミストの温度としている。
【0059】
図12に示すミスト雰囲気温度の計測例においては、開始時の室内の温度T0=-5℃、ミスト発生装置本体8内において生成された当初のミスト温度が60℃である。ミスト吐出通路10からミスト滞留空間に供給されたミストの温度はやや低下された温度となっており、この温度をミスト雰囲気温度として測定する。ミスト供給が開始された後、時間経過とともに、仮想滞留空間34内の温度が上昇し、温度上昇がほぼ一定の値T1に収束する。ミスト発生装置1からのミストの供給が継続している場合、仮想滞留空間34内で測定される温度が収束する値は、ミスト吐出通路10から仮想滞留空間34に供給されたミストの温度となる。よって、実際にミスト吐出通路10からミスト滞留空間4に供給されるミストの温度は仮想滞留空間34において測定されたミストの温度(ミスト雰囲気温度)となると想定される。
【0060】
次に、ミストの供給開始前の水回り機器が使用される室内の温度の計測方法について説明する。ミストの供給開始前の水回り機器が使用される室内の温度は、水回り機器が使用される室内のうち仮想滞留空間34の外側に配置された室温用K熱電対50(
図9乃至
図11)により測定される。仮想滞留空間34の外側の室温用K熱電対50は、箱状装置35と同じ室内空間内に配置され、室内温度計測器24を模擬している。よって、室温用K熱電対50により測定された温度が室内温度計測器24により測定された室内の温度に対応する。仮想滞留空間等を用いたシミュレーション等においてはこの室温用K熱電対50により測定された温度を室内の温度として使用する。室温用K熱電対50は、仮想滞留空間34の頂部の高さに配置され、上面視で、短辺に沿う方向において側壁から外側に60mm離れた位置、且つ長辺に沿う方向において仮想滞留空間34の一端の側壁から内側方向に150mmの位置に位置する。室温用K熱電対50は、仮想滞留空間34の外側に延びる支持部38により仮想滞留空間34の外部で固定されている。水回り機器が使用される室内の温度は、ミスト供給が仮想滞留空間34に開始される前に、室温用K熱電対50により測定される。室温用K熱電対は、仮想滞留空間内のK熱電対36と同じK熱電対を使用している。室温用K熱電対50は、このような場所に限られず、ミスト発生装置本体8の外側且つ近傍の位置に配置しても良い。また、室温用K熱電対50は、ミストの供給開始前の水回り機器が使用される室内の温度を測定できればよいので、仮想滞留空間34内に配置されたK熱電対36によりミストの供給開始前の仮想滞留空間34内の空気の温度を計測してもよい。
【0061】
次に、
図13を参照して、ミスト吐出通路10からミスト滞留空間4に供給されたミストの温度とミストの供給開始前の水回り機器が使用される室内の温度との温度差の範囲(
図13中の点が付された領域により示す)について説明する。
上述のようにしてミスト吐出通路10からミスト滞留空間4に供給されたミストの温度とミストの供給開始前の水回り機器が使用される室内の温度とが規定できる。よって、これらのミストの温度と室内の温度との温度差が規定できる。この温度差を0℃以上とすることにより、加熱後に調整されるミストの温度がミストの供給開始前の室温と同じ温度かより高い温度に設定される。
【0062】
図13においては、縦軸にミストの温度[℃]を示し、横軸に室内の温度[℃]を示している。さらに、
図13の線C1は、ミストの温度と室内の温度との温度差が0℃となる線である。よって、線C1よりも上方の領域が、温度差が0℃以上となる範囲である。また、線C2は、ミストの温度と室内の温度との温度差が100℃となる線である。ミスト発生装置1は、温度差が、0℃以上且つ100℃以下とされるように構成される。温度差が100℃までとなる比較的高温のミストの温度を設定できることにより、水回り機器の浴槽本体6の洗浄にミストを使用する時に、ミストの洗浄性や汚れを落としやすくする能力を向上させることができる。例えば、水が沸騰する温度に近い高温のミストを利用して比較的高い洗浄性能を奏することができる。なお、ミストは沸騰温度(例えば100℃)になると、水蒸気の態様に変化してミストの霧の粒が消失するので、ミスト吐出通路10から供給されたミスト温度は100℃以下とされる(線C5以下の領域により示す)。
【0063】
また、ミスト発生装置1のは、上記温度差が、0℃以上且つ60℃以下とされるように構成される。ミストの温度と室内の温度との温度差が60℃となる線C3が示される。温度差が60℃までとなるような比較的高温のミストの使用を抑制することにより、水回り機器の浴槽本体6の洗浄にミストを使用する時に、火傷する可能性をより低減しつつもミストの洗浄性を向上させることができる。
【0064】
また、ミスト発生装置1のミスト発生装置本体8及びミスト吐出通路10は、上記温度差が、0℃以上且つ45℃以下とされるように構成される。ミストの温度と室内の温度との温度差が45℃となる線C4が示される。温度差が45℃までに比較的低温のミストを使用することにより、水回り機器の使用者がミストにより火傷する可能性をほぼなくすことができる。
【0065】
また、
図13において、ミストの温度が、35度以上(線D1により示す)且つ45度以下(線D2により示す)に設定されれば、使用者の体温程度又は体温より温かい温度に設定しつつ、使用者がミストにより火傷する可能性をほぼなくすことができる。
【0066】
次に、
図14乃至
図16を参照して、ミスト吐出通路10から供給されるミストの粒径の計測装置及び計測方法について説明する。
図14は、ミストの粒径の計測装置の概略図である。
図14に示すように、ミストの粒径の計測装置37は、前述と同じ大きさ及び形状の仮想滞留空間34を設定する箱状装置39と、粒子径分布測定装置53とを備えている。この箱状装置39の側壁、すなわち仮想滞留空間34の側方の壁の中央近傍に、20mm×20mmの正方形の開口52を形成し、この開口52に蓋55が取り付けられている。
【0067】
図15に示すように、粒子径分布測定装置53は、粒径計測レーザー54を備え、粒径計測レーザー54は、粒径計測レーザーの計測領域Eが開口52の近傍且つ正面に位置するように配置されている。粒径計測レーザー54は、上面視で、粒径計測レーザー54のレーザー光が仮想滞留空間34の長辺と平行になるように配置されている。粒径計測レーザー54から発信されるレーザー光が通過する計測領域Eが、開口52の正面に位置している。計測領域Eは、開口52から150mmの距離に位置する。粒子径分布測定装置53は、計測レンズ56を備え、この計測レンズ56は、レーザー光の回折・散乱光を検出するように構成されている。
【0068】
まず、開口52に蓋55を取付けた状態で、仮想滞留空間34内にミストの供給を開始する。ミスト吐出通路10からのミストの供給口は図示を省略している。ミストの供給開始から1分後に蓋55を開放し、ミストを粒径計測レーザー54の計測領域Eに向けて漏出させる。粒径計測レーザー54の透過率が60%~90%となる状態で計測レンズ56により散乱光分布を計測する。例えば、粒径計測レーザー54及び計測レンズ56は、マイクロトラック・ベル株式会社製のスプレー粒子径分布測定装置のエアロトラック LDSA-SPRシリーズのLDSA-SPR1500Aを使用する。粒子径分布データを10回測定し、この粒子径分布データをPCに記録する。PCにおいて10回の粒子径分布データを平均化する。
【0069】
図16は、粒子径分布測定装置53により測定された粒子径分布データの一例を示している。
図16においては、左側縦軸に頻度[%]を示し、右側縦軸に累積[%]を示し、横軸に粒径[μm]を示している。例えば、PCは、このように得られた粒子径分布データを分析し、この粒子径分布データの20%タイル値粒径G、ザウター平均粒径Hを粒径データとして取得する。ザウター平均粒径は、全粒子の全表面積に対する全粒子の全体積と同じ表面積対体積率を有する粒径を示す。ザウター平均粒径により平均粒径をもとめることにより少ない数の大粒径を有する粒子による測定値への影響を抑制できる。
【0070】
ミスト発生装置1は、ミスト吐出通路10から供給されるミストの大部分の粒径が、3.1μm以上且つ40μm以下となるように構成されている。この範囲の上限及び下限において、少ない数の大粒径の粒子や小粒径の粒子の測定に与える影響等を受けにくくするため、ミストのザウター平均粒径が、40μm以下であると共に、ミストのザウター平均粒径が、3.1μm以上とされる、このような条件を満たすようにミストの粒径を規定している。
【0071】
ミスト発生装置1は、ミスト吐出通路10から供給されるミストの大部分の粒径が、3.6μm以上且つ20μm以下となるように構成されている。この範囲の上限及び下限において、少ない数の大粒径の粒子や小粒径の粒子の測定に与える影響等を受けにくくするため、ミストのザウター平均粒径とザウター平均粒径との平均値が、3.6μm以上であると共に、ミスト供給部から供給されるミストのザウター平均粒径が、20μm以下とされる、このような条件を満たすようにミストの粒径を規定している。
【0072】
ミスト発生装置1は、ミスト吐出通路10から供給されるミストの大部分の粒径が、4.1μm以上且つ10μm以下となるように構成されている。この範囲の上限及び下限において、少ない数の大粒径の粒子や小粒径の粒子の影響等を受けにくくするため、ミストのザウター平均粒径が、4.1μm以上であり且つ10μm以下とされる、このような条件を満たすようにミストの粒径を規定している。
【0073】
次に、
図17を参照して、温度差と粒径との関係を説明する。
図17においては、縦軸に粒径[μm]を示し、横軸に温度差ΔT[℃]を示している。
図17は、これらの粒径と温度差ΔTとの好ましい範囲を、点状の領域により示している。ミスト発生装置1により、ミストの温度と室内の温度との温度差が0℃以上且つ100℃以下となる範囲において所定の温度差を設定することができる。上述したように、温度差は0℃以上且つ60℃以下、0℃以上且つ45℃以下等に変更可能である。
【0074】
ミスト発生装置1は、ミストのザウター平均粒径が、40μm以下となるように構成されている。よってミストの大部分の粒径が40μm以下となっている。
なお、仮にミストの粒径が40μmである場合には、終端速度vは以下の計算により、45.3mm/sと求められる。水滴の終端速度vの算定方法については、次のように表すことができる。空気の分子粘性係数をμ、水滴の半径(ミストの粒径の半分)をrとすると、ρ=103kg/m-3、g=9.8m/s2、μ=1.8X10-5N・sec/m2(15℃)より、
V(∞)=(2ρgr2)/(9μ)=1.2×108r2
となり、終端速度v(∞)は水滴の半径の2乗に比例する。なお、この式が適用できる範囲は、Re<1、すなわちr<0.1mmの範囲である。
【0075】
ミストの粒径が40μmであることによりミストの終端速度が45.3mm/sとなる場合、供給されたミストはおよそ10秒でミスト滞留空間の底部に到達(例えばミスト吐出通路10からミスト滞留空間4の底部まで45cmとする)し、ミストが消失すると仮定される。すなわちミストの供給から消失まで少なくとも10秒前後ミストが滞留することになる。このように10秒前後ミストが滞留すれば、この間にさらに新しくミストが供給でき、ミストの滞留層Cが維持しやすくなる。
図17において、ザウター平均粒径が40μmよりも大きくなる場合には、ミストの消失までの平均時間がより短くなるため、ミストの消失によりミストの滞留層が形成されにくくなる。
【0076】
ミスト発生装置1は、ミストのザウター平均粒径が、20μm以下となるように構成されてもよい。このときミストの大部分の粒径が20μm以下となっている。仮にミストの粒径が20μmである場合には、終端速度vは11.3mm/sと求められ、供給されたミストがミスト滞留空間の底部に到達するまでに少なくともおよそ40秒を要することになり、ミスト滞留空間4の底へ比較的早期に落下するミストの割合をより減少できる。
【0077】
ミスト発生装置1は、ミストのザウター平均粒径が、10μm以下となるように構成されてもよい。このときミストの大部分の粒径が10μm以下となっている。仮にミストの粒径が10μmである場合には、終端速度vは2.8mm/sと求められ、供給されたミストがミスト滞留空間4の底部に到達するまでに少なくともおよそ160秒を要することになり、ミスト滞留空間4内に滞留されるミストの継続時間をより長くでき、ミスト滞留空間4の底へ比較的早期に落下するミストの割合をさらに減少できる。
【0078】
ミスト発生装置1は、ミストのザウター平均粒径が、3.1μm以上となるように構成されてもよい。このときミストの大部分の粒径が3.1μm以上となっている。ミスト吐出通路10から供給されたミストの内、ミスト滞留空間4内に滞留されずにミスト滞留空間4外へ拡散するミストの割合を減少できるとともにミストがミスト滞留空間4内に滞留される割合を増加させ、ミストがミスト滞留空間4内に効率的に滞留される。
【0079】
ミスト発生装置1は、ミストのザウター平均粒径が、3.6μm以上となるように構成されてもよい。このときミストの大部分の粒径が3.6μm以上となっている。ミスト吐出通路10から供給されたミストの内、ミスト滞留空間4内に滞留されずにミスト滞留空間4外へ拡散するミストの割合をより減少できるとともにミストがミスト滞留空間4内に滞留される割合をより増加させ、ミストがミスト滞留空間4内により効率的に滞留される。
【0080】
ミスト発生装置1は、ミストのザウター平均粒径が、4.1μm以上となるように構成されてもよい。このときミストの大部分の粒径が4.1μm以上となっている。ミスト吐出通路10から供給されたミストの内、ミスト滞留空間4内に滞留されずにミスト滞留空間4外へ拡散するミストの割合をさらに減少できるとともにミストがミスト滞留空間4内に滞留される割合をさらに増加させ、ミストがミスト滞留空間4内にさらに効率的に滞留される。
【0081】
次に、
図18及び
図19を参照して、温度差と、粒径と、仮想滞留空間58内のミストの状態との関係を、さらに説明する。
図18は、仮想滞留空間内の状態を観察する箱状観察装置を示している。
図19は、温度差と、ザウター平均粒径との9通りの組み合わせについて、仮想滞留空間58内のミストの状態を、比較して示している。
【0082】
図19に示すように、仮想滞留空間58内のミストの状態は、想定される水回り機器の形状に対応する箱状観察装置55により測定できる。箱状観察装置55は、想定される水回り機器のミスト滞留空間の形状を模擬した仮想滞留空間58と、仮想滞留空間58内のミストの様子を観察、記録するカメラ62とを備えている。
図18に示すように、箱状観察装置55の仮想滞留空間58は、短辺が120mm、長辺が300mm、高さが240mmである。仮想滞留空間58は、天井面が省略されて上方に開口されている。箱状観察装置55の仮想滞留空間58の1つの側壁は透明板60により形成され、箱状観察装置55の斜め上方に配置されたカメラ62により仮想滞留空間58の内部を観察、記録できるようになっている。箱状観察装置55の仮想滞留空間58の短辺側の側壁の高さ120mmの位置に横幅70mm、高さ40mmの供給口64が形成されている。この供給口64がミスト吐出通路10に接続されている。
【0083】
図19は、ミスト吐出通路10から所定の粒径及び温度差を生じるミストを供給し、滞留状態をカメラ62により撮影した写真を9つのパターンで比較して示している。各パターンの写真図において、参考として滞留境界面が生じると想定される位置を、点線により示している。
図19においては、縦軸にミスト吐出通路10から供給されるミストのザウター平均粒径を示し、横軸に、ミストの温度と室内の温度との温度差ΔTを示している。
【0084】
図19のパターン例Aは、ミストのザウター平均粒径が50μm~60μm、且つ温度差5℃(ミストの温度20℃且つミストの供給開始前の室内の温度15℃)の場合におけるミストの状態を示している。パターン例Aにおいては、ミスト吐出通路10から供給されたミストが仮想滞留空間58内において比較的早く底部に向けて落下し、消失するため、ミストが仮想滞留空間58内に滞留していない。この写真の撮影のタイミングはミストの供給開始後2分を経過した時刻である。よって、パターン例Aでは、仮想滞留空間58内において上面に滞留境界面66を形成するようなミストの滞留層Cは形成されていない。
【0085】
図19のパターン例Bは、ミストのザウター平均粒径が50μm~60μm、且つ温度差25℃(ミストの温度40℃且つミストの供給開始前の室内の温度15℃)の場合におけるミストの状態を示している。パターン例Bにおいては、ミスト吐出通路10から供給されたミストが仮想滞留空間58内において比較的早く底部に向けて落下し、消失するため、ミストが仮想滞留空間58内に滞留していない。
【0086】
図19のパターン例Cは、ミストのザウター平均粒径が50μm~60μm、且つ温度差45℃(ミストの温度60℃且つミストの供給開始前の室内の温度15℃)の場合におけるミストの状態を示している。パターン例Cにおいても、ミスト吐出通路10から供給されたミストが仮想滞留空間58内において比較的早く底部に向けて落下し、消失するため、ミストが仮想滞留空間58内に滞留していない。
【0087】
図19のパターン例Dは、ミストのザウター平均粒径が4μm~8μm、且つ温度差5℃(ミストの温度20℃且つミストの供給開始前の室内の温度15℃)の場合におけるミストの状態を示している。パターン例Dにおいては、ミスト吐出通路10から供給されたミストが仮想滞留空間58内において濃度はやや薄いながらも滞留層Cを形成している。ミストの粒径が比較的小さいため、終端速度も比較的小さく、落下速度は遅くなっている。一方で、温度差により生じる上昇気流も小さい。これにより、ミストが滞留しながら、仮想滞留空間58内において上面に滞留境界面66を形成するようなミストの滞留層が形成されている。
【0088】
図19のパターン例Eは、ミストのザウター平均粒径が4μm~8μm、且つ温度差25℃(ミストの温度40℃且つミストの供給開始前の室内の温度15℃)の場合におけるミストの状態を示している。パターン例Eにおいては、ミスト吐出通路10から供給されたミストが仮想滞留空間58内において濃度の高い滞留層Cを形成している。ミストの粒径が比較的小さいため、終端速度も比較的小さく、落下速度は遅くなっている。温度差により生じる上昇気流も若干生じている。ここで、温度差によって生じる上昇気流がミストを上昇させようとする力がミストの重さを超えないようにしつつも、ミストの落下を抑制してミストの滞留が比較的長く生じている。よって、仮想滞留空間58内において上面に滞留境界面66を形成するようなミストの滞留層Cが形成されている。
【0089】
図19のパターン例Fは、ミストのザウター平均粒径が4μm~8μm、且つ温度差45℃(ミストの温度60℃且つミストの供給開始前の室内の温度15℃)の場合におけるミストの状態を示している。パターン例Fにおいては、ミスト供給部から供給されたミストが仮想滞留空間58内において濃度の高い滞留層Cを形成している。ミストの粒径が比較的小さいため、終端速度も比較的小さく、落下速度は遅くなっている。さらに、温度差により生じる上昇気流が温度差25℃の場合と比べてやや強まっている。しかしながら、依然として、温度差によって生じる上昇気流がミストを上昇させようとする力がミストの重さを超えないようになっており、ミストの落下を抑制してミストの滞留が比較的長く生じている。上昇気流がやや強くなっているため、局所的にミストが滞留層Cから浮き上がるような状態となっている部分があるが、全体としてはミストの滞留層Cが引き続き維持されている。よって、仮想滞留空間58内において上面に滞留境界面66を形成するようなミストの滞留層が形成されている。局所的にミストが上昇している部分があったとしても仮想滞留空間58の半分以上の領域において滞留境界面66が維持されている場合には、滞留境界面66が形成されているものとする。
【0090】
図19のパターン例Gは、ミストのザウター平均粒径が1.2μm、且つ温度差5℃(ミストの温度20℃且つミストの供給開始前の室内の温度15℃)の場合におけるミストの状態を示している。パターン例Gにおいては、ミスト吐出通路10から供給されたミストが仮想滞留空間58内において浮き上がるように拡散している。温度差により生じる上昇気流は比較的小さい。しかしながら、ミストの粒径がさらに小さいため、終端速度がさらに小さく、落下速度はさらに遅くなっている。よって、ミストの重さが軽く、わずかな上昇気流により拡散している。よって、仮想滞留空間58内において上面に滞留境界面66を形成するようなミストの滞留層Cは形成されていない。
【0091】
図19のパターン例Hは、ミストのザウター平均粒径が1.2μm、且つ温度差25℃(ミストの温度40℃且つミストの供給開始前の室内の温度15℃)の場合におけるミストの状態を示している。パターン例Gにおいては、ミスト吐出通路10から供給されたミストが仮想滞留空間58内において浮き上がるように拡散している。ミストの粒径がさらに小さいため、終端速度もさらに小さく、落下速度はさらに遅くなっている。その上、温度差により生じる上昇気流がさらに強くなっている。よって、ミストの重さが軽く、より強い上昇気流により拡散している。よって、仮想滞留空間58内において上面に滞留境界面66を形成するようなミストの滞留層Cは形成されていない。
【0092】
図19のパターン例Iは、ミストのザウター平均粒径が1.2μm、且つ温度差45℃(ミストの温度60℃且つミストの供給開始前の室内の温度15℃)の場合におけるミストの状態を示している。パターン例Iにおいては、ミスト吐出通路10から供給されたミストが仮想滞留空間58内において浮き上がるように拡散しているる。ミストの粒径がさらに小さいため、終端速度もさらに小さく、落下速度はさらに遅くなっている。その上、温度差により生じる上昇気流がさらに強くなっている。よって、ミストの重さが軽く、さらに強い上昇気流により拡散している。よって、仮想滞留空間58内において上面に滞留境界面を形成するようなミストの滞留層Cは形成されていない。
【0093】
次に、
図20を参照して、浴槽本体6内のミスト滞留空間4(又は仮想滞留空間等)において、ミストが滞留状態となっているか(上面に滞留境界面66を形成するようなミストの滞留層Cを形成しているか)否かの判定装置及びその判定方法について説明する。
【0094】
図20に示すように、透過率の測定装置68を用いて浴槽本体6内のミスト滞留空間4内部において測定された内部透過率と、ミスト滞留空間4外部において測定された外部透過率と、を比較し、外部透過率よりも内部透過率が低い場合に、ミスト滞留空間4内部にミストが滞留していると判定できる。より具体的には、内部透過率/外部透過率<1となった場合に、ミスト滞留空間4内部にミストが滞留していると判定することができる。
【0095】
次に、
図20を参照して、透過率の測定装置68について説明する。
透過率の測定装置68は、ミスト滞留空間4内部に配置された第1レーザー装置70と、レーザーを受ける第1透過率計測装置72とを備えている。第1レーザー装置70と、第1透過率計測装置72とは、ミスト滞留空間4の上端より下方側に150mmの位置(例えばミスト滞留空間4の深さに対して3割程度の深さ位置)において水平方向に150mm離れて配置されている。第1レーザー装置70と、第1透過率計測装置72とは、上面視でミスト滞留空間4の中央近傍に配置される。第1レーザー装置70から発振されるレーザー光の強度に対し、第1透過率計測装置72で測定したレーザー光の強度を測定し、透過率を測定する。
【0096】
透過率の測定装置68は、さらに、ミスト滞留空間4外部に配置された第2レーザー装置74と、レーザーを受ける第2透過率計測装置76とを備えている。第2レーザー装置74と、第2透過率計測装置76とは、ミスト滞留空間4の上端より上方側に150mmの位置(例えばミスト滞留空間4の上端に対して。第1レーザー装置70及び第1透過率計測装置72と対称の位置)において水平方向に150mm離れて配置されている。第1レーザー装置70と、第1透過率計測装置72とは、上面視でミスト滞留空間4の中央近傍に配置される。第2レーザー装置74から発振されるレーザー光の強度に対し、第2透過率計測装置76で測定したレーザー光の強度を測定し、透過率を測定する。なお、透過率の測定装置68は、ミスト滞留空間4内部に第1レーザー装置70と、第1透過率計測装置72とを配置しているが、ミスト滞留空間4に代えて上述のような仮想滞留空間内にこれらの装置を配置して仮想的に透過率の予想測定を行ってもよい。このときには、仮想滞留空間の外部に第2レーザー装置74と第2透過率計測装置76とが配置される。
【0097】
より具体的な装置構成としては、キーエンス社製デジタルファイバアンプFS-N11MNから発せられたレーザー光を同社製FU-77TZ(第1レーザー装置70又は第2レーザー装置74)を通して発振し、同社製FU-77TZ(第1透過率計測装置72又は第2透過率計測装置76)にて受光する。受光した光はファイバアンプFS-N11MNへと返され、光量に応じて例えば1-5Vの電圧出力を行う。出力された電圧は、同社製NR-500シリーズNR-HA08にて計測し、PC上で0~100%の値にスケーリングする。透過率のデータは例えばサンプリング周期100msにて計測される。例えば、ミストをほぼ定量で供給開始してから15分以内において、最初に定常状態と判断できる30秒間の透過率のデータを平均して算出する。
【0098】
例えば、
図19のパターン例Eに示すように、ミスト滞留空間4内部にミストが滞留している状態では、内部透過率が低下する。一方で、ミストは主にミスト滞留空間4内部に留まっており、滞留境界面66より上方において測定される外部透過率は、比較的高い値となっている。よって、内部透過率/外部透過率<1となり、ミスト滞留空間4内部にミストが滞留していると判定される。
【0099】
図19のパターン例Aに示すように、ミスト滞留空間4内部にミストが滞留せず、ミストが主に落下して消失している状態では、内部透過率及び外部透過率は、いずれも比較的高い値のままである。よって、内部透過率/外部透過率=1となり、ミスト滞留空間4内部にミストが滞留していると判定されない。
【0100】
図19のパターン例Iに示すように、ミスト滞留空間4内部から外部にミストが拡散していく状態では、内部透過率及び外部透過率は、いずれも透過率がやや低い同様の値となると考えられる。よって、内部透過率/外部透過率=1となり、ミスト滞留空間4内部にミストが滞留していると判定されない。
【0101】
次に、
図21乃至
図25を参照して、本発明の第1実施形態によるミスト発生装置1の、ミスト発生装置本体8及びミスト吐出通路10の具体的構造を説明する。
図21は、本実施形態によるミスト発生装置1のミスト発生装置本体8及びミスト吐出通路10の縦断面図である。
図22は、ミスト発生装置本体8及びミスト吐出通路10の斜視断面図である。
図23は、ミスト吐出通路10を取り外した状態で示す、ミスト発生装置本体8の斜視図である。
図24は、ミスト発生装置本体8の内部構造を示す斜視断面図である。
図25は、ミスト発生装置本体8及びミスト吐出通路10の、斜め下方から見た斜視断面図である。
【0102】
図21及び
図22に示すように、ミスト発生装置1のミスト発生装置本体8は、概ね直方体の箱形に形成されており、その下部にミストにすべき水が貯留され、貯水部であるタンク12が構成されている。タンク12の底には、凹部12aが設けられ、この凹部12aの底面に超音波振動子18が、鉛直上方に向けて取り付けられている。この構造により、超音波振動子18は、タンク12の中に貯留された水の水面Wに向けて超音波を照射し、超音波振動子18の鉛直上方の水面W上に液柱LCが形成される。このように、超音波の照射によりタンク12の水面W上に液柱LCが形成され、この液柱LC周囲に、ミスト発生装置本体8の内部空間でミストが生成される。
【0103】
また、
図24に示すように、タンク12の底部には、ミスト発生装置本体8の長手方向に凹部12aが5つ配列されており、各凹部12aの底に、夫々、超音波振動子18が設けられている。即ち、ミスト発生装置本体8の底部には、5つの超音波振動子18が、一直線上に並べて配置されている。また、各凹部12a(超音波振動子18)の間には、ミスト発生装置本体8の内部を仕切る、短辺方向に延びる仕切り壁8bが夫々設けられている。さらに、タンク12の底には、ヒーター20が、ミスト発生装置本体8の長手方向に延びるように配置されている。このヒーター20は、5つの超音波振動子18の配列方向と平行に延びるように配置されている。ミスト発生装置1の作動時においては、ヒーター20により、タンク12内の水は所定温度に加熱される。
【0104】
さらに、
図21に示すように、ミスト発生装置本体8の一方の側面上部には、開口部が設けられ、この開口部を覆うようにミスト吐出通路10が取り付けられている。ミスト吐出通路10は、ミスト発生装置本体8の一方の側面に取り付けられ、ミスト発生装置本体8から鉛直下方に延びる略長方形断面のダクトである。ミスト吐出通路10の上端部は、側面でミスト発生装置本体8の内部と連通されており、下端には、鉛直下方に向けられたミスト吐出口10aが設けられている。これにより、ミスト発生装置本体8の内部空間で生成されたミストは、ミスト吐出通路10に流入し、ミスト吐出通路10下端のミスト吐出口10aから吐出する。
【0105】
一方、ミスト吐出通路10とは反対側の、ミスト発生装置本体8の上端には、吸気通路8eが設けられている。この吸気通路8eは、ミスト発生装置本体8の上面に形成され、鉛直上方に向けて開口している。即ち、ミスト発生装置本体8の内部の空間は、吸気通路8eを介して外気と連通している。また、ミスト発生装置本体8の上面には吸気通路8eが設けられているが、超音波振動子18の鉛直上方の部分には、天井面8aが形成されている。この天井面8aは、ミスト発生装置本体8の、ミスト吐出通路10の側で高く、吸気通路8eの側で低くなるように傾斜している。即ち、天井面8aは、液柱LCが形成される超音波振動子18の鉛直上方の部分において傾斜するように構成されており、ミスト吐出通路10の近傍においては概ね水平に向けられている。この天井面8aの傾斜により、ミスト発生装置本体8内で生成されたミストが、ミスト吐出通路10の方へ導かれる。
【0106】
また、天井面8aの傾斜した部分と、概ね水平に向けられた部分の間には、段差が設けられ、この段差により堰き止め部8cが構成されている。即ち、水面W上に形成された液柱LCや、液柱LCから分離した液滴LDが傾斜した天井面8aに当たって天井面8aに水滴が付着した場合に、付着した水滴がミスト吐出通路10の方へ流れるのを、堰き止め部8cによって阻止している(
図21に想像線で示す)。
【0107】
さらに、
図25に示すように、天井面8aの、堰き止め部8cに隣接した部分には、概ねドーム状に形成された誘導壁部8dが設けられている。この誘導壁部8dは、中央部が高くなったドーム状に構成され、各超音波振動子18の上方に夫々設けられている。即ち、堰き止め部8cによって堰き止められた水は、誘導壁部8dに沿って左右に流れ、ミスト発生装置本体8の内壁面や、仕切り壁8b(
図24)を伝わってタンク12内に流入する(
図25に想像線で示す)。堰き止め部8cから仕切り壁8bに沿って流下した水は、超音波振動子18の間に流下し、流下した水が液柱LCの形成を妨げるのを抑制している。
【0108】
次に、
図23及び
図24に示すように、ミスト発生装置本体8の一端部には、給水部9及び排水部11が設けられている。給水部9は、給水路14(
図2)が接続される給水路接続部9aと、この給水路接続部9aから供給された水が流入する給水室9bと、を有する。給水室9bに流入した水は、ミスト発生装置本体8内のタンク12に流入するが、
図24に示すように、給水室9bとタンク12は、給水室9bに隣接して設けられた仕切り壁8bの下側の連通路9cを通って連通されている。
【0109】
仕切り壁8bの下端は、タンク12の水面Wよりも下側に位置するため、ミスト発生装置1の作動中において、連通路9cは常に水没した状態にある。即ち、給水部9の給水室9bは、タンク12の水面Wよりも下側の連通路9cを通ってタンク12内に連通している。このように、給水部9は、タンク12の水面Wよりも下側の連通路9cを介してタンク12内に連通している。このため、給水路接続部9aから給水室9bに水が流入した際に、タンク12内の水面Wが波立つのを抑制することができる。
【0110】
さらに、
図23及び
図24に示すように、排水部11は、排水路16(
図2)に接続される排水路接続部11aと、この排水路接続部11aに隣接して設けられた排水室11bと、排水路接続部11aと排水室11bの間に設けられた溢流部11cと、を有する。排水室11bは、水面Wよりも下側の通路(図示せず)を通って、タンク12内に連通されている。また、溢流部11cは、排水室11bと排水路接続部11aを仕切るように水平に延びる堰であり、排水室11b内の水位が溢流部11cの高さを超えると、排水室11b内の水が排水路接続部11aに排出される。さらに、タンク12と排水室11bは、水面Wよりも下側の通路によって連通されているので、タンク12内の最高水位は、溢流部11cの高さによって規定される。
【0111】
次に、
図26及び
図27を参照して、制御部26による給水路開閉弁30の制御を説明する。
図26は、制御部26による給水路開閉弁30等の制御手順を示すフローチャートである。
図27は、タンク12内の状態を時系列で示す図である。
図26に示すフローチャートは、本実施形態のミスト発生装置1が起動されたとき、制御部26により実行されるものである。
【0112】
まず、使用者によって操作部28(
図1)の起動スイッチ(図示せず)が操作されると、
図26に示すフローチャートの処理が開始され、ステップS1が実行される。ステップS1において、制御部26は給水路開閉弁30(
図2)に制御信号を送り、これを開弁させる。給水路開閉弁30が開弁されると、
図27のA欄に示すように、給水路開閉弁30を通過した水がタンク12に流入する。なお、給水路開閉弁30の上流側には、定流量弁(図示せず)が設けられており、給水路開閉弁30を介してタンク12に流入する流量(L/min)は、所定流量に調整されている。タンク12に水が流入することにより、タンク12内の水位は上昇する。
【0113】
次に、ステップS2においては、フロートスイッチ21(
図2)が第1の水位TL1を検知したか否かが判断される。ステップS2の処理は、フロートスイッチ21が第1の水位TL1を検知するまで繰り返し実行される。
図27のB欄に示すように、タンク12内の水位が上昇し、フロートスイッチ21が第1の水位TL1を検知すると、
図26に示すフローチャートにおける処理はステップS3に進む。
【0114】
ステップS3において、制御部26は、ヒーター20(
図24)への通電を開始させる。即ち、第1の水位TL1は、タンク12の底部に配置されたヒーター20が、タンク12に溜まった水に十分に浸かる水位に設定されており、これにより、ヒーター20の空焚きが防止される。フロートスイッチ21が第1の水位TL1を検知した後、更に水の供給が継続されると、フロートスイッチ21は、第1の水位TL1よりも高い第2の水位TL2(
図27のB欄)を検知する。
【0115】
ステップS4においては、フロートスイッチ21が第2の水位TL2を検知した後、第1の所定時間が経過したか否かが判断される。ステップS4の処理は、フロートスイッチ21が第2の水位TL2を検知した後、第1の所定時間経過するまで繰り返し実行される。この第1の所定時間は、フロートスイッチ21が第2の水位TL2を検知した後、第1の所定時間が経過する前に、タンク12内の水位が溢流部11c(
図24)の高さによって規定される溢流水位を超えるように設定されている。即ち、タンク12内の水位は第1の所定時間が経過するまでに、
図27のC欄に示すように、溢流部11cの高さを超えてオーバーフローし、水が排水路接続部11aから排出される。例えば、この第1の所定時間が10秒程度となるように、第2の水位TL2や水の流量を設定しておくのが良い。
【0116】
フロートスイッチ21が第2の水位TL2を検知した後、第1の所定時間が経過すると、ステップS5が実行される。ステップS5において、制御部26は給水路開閉弁30に制御信号を送り、これを閉弁させる。これにより、タンク12内の水位は、溢流部11cの高さによって規定される溢流水位に設定される。この溢流水位における水面Wの高さは、超音波振動子18が作動されたとき、最も効率良くミストを生成することができる適正な水位に相当する。
【0117】
なお、本実施形態においては、フロートスイッチ21が第2の水位TL2を検知した後、第1の所定時間が経過した時点で閉弁されるように、給水路開閉弁30を制御している。これに対して、変形例として、フロートスイッチ21が第1の水位TL1を検知した後、所定時間が経過した時点で給水路開閉弁30が閉弁されるように、本発明を構成することもできる。この場合には、給水路開閉弁30を閉弁させるまでの所定時間を第1の所定時間よりも長く設定して、タンク12内の水位が溢流水位を超えるようにする。
【0118】
次に、ステップS6においては、タンク12内の水温が所定温度(例えば60℃)に到達したか否かを判断する。即ち、制御部26は、水温計測器22(
図2)の検出信号に基づいて、タンク12内の水温が所定温度に到達したか否かを判断する。ステップS6の処理は、タンク12内の水温が所定温度に到達するまで繰り返し実行され、所定温度に到達すると、フローチャートにおける処理はステップS7に進む(
図27のD欄)。以後、制御部26は、ミストの生成中において、タンク12内の水温が常に所定温度近辺に維持されるように、ヒーター20を制御する。
【0119】
タンク12内の水温が所定温度に到達すると、制御部26は、ステップS7を実行して超音波振動子18を起動させ、ミストの生成を開始する。次いで、ステップS8において、制御部26は、給水路開閉弁30に信号を送り、これを開弁させる。ここで、制御部26は、ステップS7以下において溢流制御を実行し、溢流制御では、水を溢流部11cを越えて流出させ続ける。即ち、ステップS7において超音波振動子18を起動させると、ミストが生成されるためタンク12内の水は減少し始める。この直後に、或いは、これと同時に、制御部26は給水路開閉弁30を開弁させ、タンク12内に水を流入させる。ここで、給水路開閉弁30を開弁させることにより流入する水の流量は、タンク12内の水がミスト化されることにより減少する水量よりも多いため、溢流制御の実行中においては、タンク12内の水は溢流部11cを越えて排水路接続部11aから流出し続ける(
図27のE欄)。
【0120】
溢流制御の実行中においては、タンク12内の水は溢流部11cを越えて常に溢流し続けるため、タンク12内の水位は、正確に溢流水位(溢流部11cの高さ)に維持される。これにより、溢流制御中において、タンク12内の水位は、ミストを生成するために適正な溢流水位に正確に維持されるので、ミスト発生装置本体8内では、最も効率良くミストを生成させることができる。このため、ミスト発生装置1は、起動直後から大流量でミストを生成することができ、ミストが滞留していなかった浴槽本体6内のミスト滞留空間4に、早急にミストを充満させることができる。なお、変形例として、超音波振動子18を起動させる直前に給水路開閉弁30を開弁させることにより、溢流制御を開始することもできる。また、溢流制御中において、小刻み(例えば数秒程度)に開閉を繰り返すように給水路開閉弁30を制御することにより、実質的に溢流部11cからの溢流が継続されるように本発明を構成することもできる。
【0121】
次いで、ステップS9においては、ステップS7において超音波振動子18を起動させ、ミストの生成を開始した後、第2の所定時間経過したか否か、即ち、溢流制御の開始後、第2の所定時間が経過したか否かが判断される。第2の所定時間が経過していない場合には、ステップS9の処理が繰り返され、溢流制御が継続される。例えば、第2の所定時間は、約3分程度に設定することができる。この第2の所定時間は、ミスト発生装置1の起動後、ミスト滞留空間4内(本実施形態においては浴槽本体6の内部)に十分にミストを充満させることができる時間に設定するのが良い。
【0122】
第2の所定時間が経過すると、フローチャートにおける処理はステップS10に進み、ステップS10以下では維持制御が実行される。維持制御においては、タンク12の水位が溢流水位以下の所定範囲に維持される。
ステップS10において、制御部26は、給水路開閉弁30に信号を送って、これを閉弁させ、給水を停止させる(
図27のF欄)。給水を停止させることによりタンク12に水が流入しなくなる一方、超音波振動子18が作動され、ミストの生成が継続されるため、タンク12内の水位は低下する。
【0123】
次に、ステップS11においては、タンク12内の水位が第2の水位TL2まで低下したことが、フロートスイッチ21によって検知されたか否かが判断される。タンク12内の水位が第2の水位TL2まで低下した場合には、ステップS12へ進み、低下していない場合にはステップS11の処理が繰り返される。
図27のG欄に示すように、タンク12内の水位が第2の水位TL2まで低下すると、ステップS12において、制御部26は給水路開閉弁30を開弁させ、給水を再開する。
【0124】
次いで、ステップS13においては、ステップS12において給水を再開した後、第3の所定時間が経過したか否かが判断される。ステップS13における処理は、第3の所定時間が経過するまで繰り返し実行され、第3の所定時間が経過すると、フローチャートにおける処理は、ステップS14に進む。ここで、タンク12内への給水を行う第3の所定時間は、タンク12内の水位が第2の水位TL2まで低下した状態から、溢流水位の近くまで上昇するように設定するのが良い。これにより、ステップS10以下の維持制御では、タンク12内の水位が、溢流水位と第2の水位TL2の間の範囲に維持される。維持制御により、タンク12内の水面Wが溢流水位と第2の水位TL2の間に維持されるので、超音波振動子18の作動により、比較的効率良くミストを生成することができる。また、溢流制御により最高効率でミストが生成され、浴槽本体6の中には十分な量のミストが滞留しているので、維持制御によって若干ミストの生成効率が低下したとしても、浴槽本体6内に十分にミストが滞留した状態を維持することができる。
【0125】
なお、実際には、維持制御中においても、フロートスイッチ21による第2の水位TL2の検出誤差や、タンク12に流入させる水の流量の誤差等により、溢流部11cからの溢流が発生する場合もある。しかしながら、維持制御においては、多量の溢流が発生しない程度にタンク12内への給水が行われるので、無駄水の発生を抑制することができる。
なお、ステップS13において、給水再開からの時間経過により、第3の所定時間が経過したか否かをみているが、フロート検知OFFからONになってからの時間経過をみてもよい。その場合における、所定時間は、溢流水位の近くまで上昇するように設定する。
【0126】
第3の所定時間が経過すると、ステップS14に進み、ステップS14においては、使用者によりミスト発生装置1の停止操作が行われたか否かが判断される。使用者により停止操作が行われていない場合には、ステップS10に戻り、タンク12への給水が停止される(
図27のH欄)。以後、使用者による停止操作が行われるまで、ステップS10→S11→S12→S13→S14→S10の処理が繰り返し実行され、維持制御が継続される。
【0127】
一方、維持制御の継続中において、使用者によりミスト発生装置1の停止操作が行われた場合には、フローチャートにおける処理は、ステップS14からS15に移行する。
ステップS15において、制御部26は、給水路開閉弁30に制御信号を送って給水を停止させると共に、ヒーター20への通電を停止させる。
次いで、ステップS16において、制御部26は、排水路開閉弁32(
図2)に制御信号を送って、これを開弁させ、
図26に示すフローチャートの処理を終了する。これにより、タンク12内に貯留されていた水は排水路開閉弁32を通って排水路16に排水され、ミスト発生装置1は初期状態に復帰する(
図27のI欄)。
【0128】
また、操作部28(
図1)には、準備モード設定スイッチ(図示せず)が設けられている。この準備モード設定スイッチが使用者によって操作され、準備モードが設定された場合には、制御部26は、超音波振動子18を作動させていない状態で、給水路開閉弁30を開弁させることにより、溢流部11cから水を流出させてタンク12内の水位を溢流水位に設定する。具体的には、準備モードが設定されると、制御部26は、
図26に示すフローチャートをステップS6まで実行した状態で、ミスト発生装置1を待機させる。次いで、使用者がミスト発生装置1の起動スイッチを操作すると、ステップS6以下の処理が実行され、ミスト発生装置1からミストが吐出される。これにより、使用者は、タンク12への水の供給時間を待つことなく、ミスト発生装置1の起動直後からミスト浴を楽しむことができる。
【0129】
本発明の第1実施形態のミスト発生装置1によれば、制御部26が、貯水部であるタンク12に貯留された水の水位が適正範囲に維持されるように、給水弁を制御(
図26のステップS10~S13)するので、タンク12の水面Wの高さは常に適正範囲に維持され、超音波振動子18により、効率良くミストを生成することができる。これにより、大がかりな装置を使用することなく、多量のミストを生成することができ、水回り機器にミストを供給することができる。
【0130】
また、本実施形態のミスト発生装置1によれば、制御部26は、導入された水が溢流部11cから流出するように(
図27のC欄、E欄)給水弁である給水路開閉弁30を制御するので、タンク12の水位を、溢流部11cの高さによって正確に溢流水位に設定することができ、タンク12の水面Wを確実に適正値に設定することができる。
【0131】
さらに、本実施形態のミスト発生装置1によれば、制御部26は、ミストを発生させている状態において、溢流部11cから水を所定期間流出させ続ける(
図26のステップS7~S9)ので、ミストが生成されている状態においても、タンク12内の水位を適正値に維持することができる。
【0132】
また、本実施形態のミスト発生装置1によれば、制御部26が、超音波振動子18の起動時に溢流部11cから水を流出させる(
図26のステップS7、S8)ので、ミストの供給開始時点において、タンク12内の水位が適正水位に設定され、供給開始時に多量のミストを供給することができる。
【0133】
さらに、本実施形態のミスト発生装置1によれば、制御部26は、溢流部11cから水を流出させ続ける溢流制御(
図26のステップS7~S9)を所定期間実行した後、タンク12の水位を所定範囲に維持する維持制御(
図26のステップS10~S13)を実行するので、ミスト発生装置1作動の初期に溢流制御を実行して多量のミストの生成を可能にしながら、その後の維持制御により無駄水の発生を抑制することができる。
【0134】
また、本実施形態のミスト発生装置1によれば、水位の低下を水位センサであるフロートスイッチ21によって検出するので、フロートスイッチ21の精度が十分でない場合であっても、タンク12内の水位が極端に低下するのを防止することができる。さらに、本実施形態のミスト発生装置1によれば、水位の低下が検出された後、給水路開閉弁30を所定時間開弁させてタンク12の水位を上昇させるので、水を補給した後の水位を比較的精度良く設定することができる。即ち、給水路開閉弁30を開弁させる所定時間を、タンク12内の水位が溢流水位程度まで上昇する時間に設定しておくことにより、フロートスイッチ21の精度が十分でない場合でも、水を補給した後の水位のバラツキを十分に抑制することができる。
【0135】
さらに、本実施形態のミスト発生装置1によれば、制御部26が準備モードを設定可能に構成されているので、超音波振動子18が作動される前に、タンク12の水位を溢流水位に設定することができ、ミスト発生装置1の起動直後から十分な量のミストを生成することができる。
【0136】
次に、
図28により、本発明の第2実施形態によるミスト発生装置を備えたミスト発生システムを説明する。本実施形態は、ミスト発生装置を適用する水回り機器が、浴室の洗い場床である点が、上述した第1実施形態とは異なる。
図28は本発明の第3実施形態によるミスト発生装置を備えたミスト発生システムの斜視図である。
【0137】
図28に示すように、本発明の第2実施形態によるミスト発生装置1を備えたミスト発生システム102は、浴室3に設けられる。ミスト発生システム102には、水の供給を行う供給装置107が設けられている。ミスト発生システム102は、さらに、ミスト発生装置1から供給されるミストを受け入れるミスト滞留空間104を形成する洗い場床本体106を備えている。
【0138】
洗い場床本体106は、ミスト発生システム102が使用される室内空間5に向けて上方が開放されたミスト滞留空間104を形成する。洗い場床本体106は、浴室の壁面、浴槽本体の外壁、浴室のドア等により形成され、内側のミスト滞留空間104内に水が流れることができるようになっている。このような構造により、洗い場床本体106は、ミストがミスト滞留空間104内に滞留されるようになっている。滞留空間104は、例えば洗い場床本体106の壁を規定するような浴槽本体6の上端部まで形成されている。
【0139】
ミスト発生装置1は、ミスト発生システム102に用いられる。ミスト発生装置1は、ミスト滞留空間104に供給されたミストの温度とミストの供給開始前のミスト発生システム102が使用される室内の温度との温度差が、0℃以上とされ、供給されたミストが洗い場床本体106のミスト滞留空間104内に滞留されるように構成される。
図28において上面に滞留境界面66を形成するようなミストの滞留層Cを例示している。
【0140】
このように構成された本発明の第2実施形態によれば、加熱されたミストが洗い場床本体106のミスト滞留空間104内に滞留される。例えば、加熱されたミストにより洗い場床本体106を温めて洗い場床やミスト滞留空間104を暖房できる。また、加熱されたミストにより、使用者がミスト滞留空間104においてミスト浴をすることもできる。また例えば、加熱されたミストにより、洗い場床本体106を温めるとともに洗い場床本体106に付着した汚れを比較的高い洗浄性能で洗浄又は汚れを落としやすくすることができる。
【0141】
次に、
図29により、本発明の第3実施形態によるミスト発生装置を備えたミスト発生システムを説明する。本実施形態のミスト発生システムは、ミスト発生装置を適用する水回り機器がシャワールームである点が、上述した実施形態とは異なる。
図29は本発明の第3実施形態によるミスト発生装置を備えたミスト発生システムの斜視図である。
【0142】
第3実施形態によるミスト発生システムは、
図29に示すように、本発明の第3実施形態によるミスト発生装置1を、水回り機器であるシャワールーム203に適用している。シャワールーム203は、上面視で一辺が0.8m~2m程度の長方形の領域に、半円径の領域が追加された形状に形成され、比較的狭いスペースの室内を形成する。シャワールーム203に設けられたシャワールーム装置202には、水の供給を行う供給装置207が設けられている。シャワールーム装置202は、さらに、ミスト発生装置1から供給されるミストを受け入れるミスト滞留空間204を形成するシャワールーム本体206を備えている。シャワールーム203は、供給装置207のみが配置される部屋に限られず、トイレ、手洗い機器、洗面台、又はこれらの組合せを備えていてもよい。
【0143】
シャワールーム本体206は、シャワールーム装置202が使用される室内空間205に向けて上方が開放されたミスト滞留空間204を形成する。シャワールーム本体206は、シャワールームの壁面、シャワールームのドア等により形成され、内側のミスト滞留空間204内に水が流れることができるようになっている。このような構造により、シャワールーム本体206は、ミストがミスト滞留空間204内に滞留されるようになっている。なお、本実施形態によれば、シャワールーム203の室内空間205とミスト滞留空間204との境が構造により明確に区画されていなくても、ミスト滞留空間204が規定できることを示している。室内空間205とミスト滞留空間204との境は、ミスト発生装置1のミスト供給能力を考慮して異なる位置に設定される。ミスト滞留空間204は、ミスト発生装置1のミスト供給能力を考慮してミストを溜めようとする空間として任意に設定できる。このようなミスト滞留空間204は、室内空間205に向けて上方が開放された滞留空間である。なお、本実施形態に限られず、室内空間205とミスト滞留空間204との境が構造により明確に区画されていなくても、ミスト滞留空間204は、同様の趣旨により設定可能である。滞留空間204は、例えば座っている使用者の顔程度の高さ(或いは例えばシャワールームの内部空間の全体の高さのうち3分の1程度の高さ)まで形成されている。
【0144】
ミスト発生装置1は、ミスト滞留空間204に供給されたミストの温度とミストの供給開始前のシャワールームの温度との温度差が、0℃以上とされ、供給されたミストがシャワールーム本体206のミスト滞留空間204内に滞留されるように構成される。
図29において上面に滞留境界面66を形成するようなミストの滞留層Cを例示している。
【0145】
このように構成された第3実施形態の構造によれば、加熱されたミストがシャワールーム本体206のミスト滞留空間204内に滞留される。例えば、加熱されたミストによりシャワールーム本体206を温めてシャワールームの床やミスト滞留空間204を暖房できる。また、加熱されたミストにより、使用者がミスト滞留空間204においてミスト浴をすることもできる。また、加熱されたミストが比較的高い位置まで滞留されることにより、使用者がミスト滞留空間204内において内部の椅子208に座った状態や立った状態でもミスト浴をできる。また例えば、加熱されたミストにより、シャワールーム本体206を温めるとともにシャワールーム本体206に付着した汚れを比較的高い洗浄性能で洗浄又は汚れを落としやすくできる。
【0146】
次に、
図30により、本発明の第4実施形態によるミスト発生装置を備えたミスト発生システムを説明する。第4実施形態は、本発明によるミスト発生装置を水回り機器である洗面装置に適用した点が、上述した実施形態とは異なる。
図30は本発明の第4実施形態によるミスト発生装置を備えたミスト発生システムの斜視図である。
【0147】
図30に示すように、本発明の第4実施形態によるミスト発生装置1を適用した水回り機器である洗面装置302は、洗面室303のカウンター等に設けられる。洗面装置302には、水の供給を行う供給装置307が設けられている。洗面装置302は、さらに、ミスト発生装置1から供給されるミストを受け入れるミスト滞留空間304を形成する洗面本体306を備えている。
【0148】
洗面本体306は、洗面装置302が使用される室内空間305に向けて上方が開放されたミスト滞留空間304を形成する。洗面本体306は、内側のミスト滞留空間304内に水が貯水できるようになっている。このような構造により、洗面本体306は、ミストがミスト滞留空間304内に滞留されるようになっている。滞留空間304は、例えば、洗面本体306の上端部まで形成される。
【0149】
ミスト発生装置1は、洗面装置302に用いられる。ミスト発生装置1は、ミスト滞留空間304に供給されたミストの温度とミストの供給開始前の洗面装置302が使用される室内の温度との温度差が、0℃以上とされ、供給されたミストが洗面本体306のミスト滞留空間304内に滞留されるように構成される。
図30において上面に滞留境界面66を形成するようなミストの滞留層Cを例示している。
【0150】
このように構成された第4実施形態の構造によれば、加熱されたミストが洗面本体306のミスト滞留空間304内に滞留される。例えば、加熱されたミストを洗面本体306のミスト滞留空間304内に滞留させ、使用者が顔又は手、足等の体の一部をミストに当てることにより、保湿、洗浄性能の向上、温浴、美容効果等を得られる。また、加熱されたミストにより、使用者がミスト滞留空間304において体の一部のミスト浴をすることもできる。また例えば、加熱されたミストにより、洗面本体306を温めるとともに洗面本体306内のミスト滞留空間304内に付着した汚れを比較的高い洗浄性能で洗浄又は汚れを落としやすくできる。
【0151】
次に、
図31により、本発明の第5実施形態によるミスト発生装置を備えたミスト発生システムを説明する。第5実施形態は、本発明によるミスト発生装置を水回り機器であるキッチンシンク装置に適用した点が上述した実施形態とは異なっている。
図31は本発明の第5実施形態によるミスト発生装置を適用したキッチンシンク装置の斜視図である。
【0152】
図31に示すように、本発明の第5実施形態によるミスト発生装置1を適用した水回り機器であるキッチンシンク装置402は、キッチン403に設けられる。キッチンシンク装置402には、水の供給を行う供給装置407が設けられている。キッチンシンク装置402は、さらに、ミスト発生装置1から供給されるミストを受け入れるミスト滞留空間404を形成するキッチンシンク本体406を備えている。滞留空間404は、例えば、キッチンシンク本体406の上端部まで形成される。
【0153】
キッチンシンク本体406は、キッチンシンク装置402が使用される室内空間405に向けて上方が開放されたミスト滞留空間404を形成する。キッチンシンク本体406は、内側のミスト滞留空間404内に水が貯水できるようになっている。このような構造により、キッチンシンク本体406は、ミストがミスト滞留空間404内に滞留されるようになっている。
【0154】
ミスト発生装置1は、ミスト滞留空間404に供給されたミストの温度とミストの供給開始前の水回り機器が使用される室内の温度との温度差が、0℃以上とされ、供給されたミストがキッチンシンク本体406のミスト滞留空間404内に滞留されるように構成される。
図31において上面に滞留境界面66を形成するようなミストの滞留層Cを例示している。
【0155】
このように構成された第5実施形態の構造によれば、加熱されたミストがキッチンシンク本体406のミスト滞留空間404内に滞留される。例えば、加熱されたミストをキッチンシンク本体406のミスト滞留空間404内に滞留させ、食器類、洗いたい機器等をミストに当てることにより、洗いたい対象物を温め、付着した汚れを比較的高い洗浄性能で洗浄することができる。また、加熱されたミストを洗いたい対象物に当てることで、洗浄に至らないまでも、汚れを落ちやすくできる。また、加熱されたミストをキッチンシンク本体406のミスト滞留空間404内に滞留させ、キッチンシンク本体406内の使用者の手指を温めながら、使用者が作業できる。また例えば、加熱されたミストにより、キッチンシンク本体406を温めるとともにキッチンシンク本体406内のミスト滞留空間404内に付着した汚れを比較的高い洗浄性能で洗浄又は汚れを落としやすくできる。
【0156】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0157】
1 ミスト発生装置
2 浴槽装置
3 浴室
4 ミスト滞留空間
5 室内空間
6 浴槽本体
6a 上端部
6d 長辺側部分
6e 短辺側部分
6f 排水パン
8 ミスト発生装置本体
8a 天井面
8b 仕切り壁
8c 堰き止め部
8d 誘導壁部
8e 吸気通路
9 給水部
9a 給水路接続部
9b 給水室
9c 連通路
10 ミスト吐出通路
10a ミスト吐出口
11 排水部
11a 排水路接続部
11b 排水室
11c 溢流部
12 タンク(貯水部)
12a 凹部
14 給水路
16 排水路
18 超音波振動子
20 ヒーター
21 フロートスイッチ(水位センサ)
22 水温計測器
24 室内温度計測器
26 制御部
28 操作部
30 給水路開閉弁(給水弁)
32 排水路開閉弁
102 ミスト発生システム
203 シャワールーム
302 洗面装置
402 キッチンシンク装置