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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023050498
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】枠体の連結構造
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/968 20060101AFI20230404BHJP
   E06B 1/04 20060101ALN20230404BHJP
【FI】
E06B3/968 B
E06B1/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021160621
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
(72)【発明者】
【氏名】菊野 亘
(72)【発明者】
【氏名】木谷 友美子
(72)【発明者】
【氏名】有田 高宏
【テーマコード(参考)】
2E035
【Fターム(参考)】
2E035AA04
2E035BA01
2E035CA02
2E035DA07
2E035DB01
2E035DC01
(57)【要約】
【課題】枠体の施工現場で、横枠の端部を縦枠の上端部に容易に連結して、枠体の施工の作業性を向上させる。
【解決手段】縦枠20の上端部21は、横枠である上枠10の端部11を支持する支持部と、上枠10の端部11が連結される連結部を有する。上枠10の端部11は、支持部に載置される載置部と、載置部が支持部に載置された状態で連結部まで移動して上枠10の端部11を縦枠20の上端部21に連結する連結部品50と、連結部品50に係合される被係合部を有する。連結部品50は、連結部品50が連結部まで移動した状態で連結部に係止される係止部及び被係合部に係合する係合部を有する。
【選択図】 図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横枠の端部を縦枠の上端部に連結する枠体の連結構造であって、
前記縦枠の上端部は、前記横枠の端部を支持する支持部と、前記横枠の端部が連結される連結部と、を有し、
前記横枠の端部は、前記支持部に載置される載置部と、前記載置部が前記支持部に載置された状態で前記連結部まで移動して前記横枠の端部を前記縦枠の上端部に連結する連結部品と、前記連結部品に係合される被係合部と、を有し、
前記連結部品は、前記連結部品が前記連結部まで移動した状態で前記連結部に係止される係止部及び前記被係合部に係合する係合部を有する枠体の連結構造。
【請求項2】
請求項1に記載された枠体の連結構造において、
前記横枠は、横枠本体と、前記横枠本体に取り付けられた横枠カバーと、を有し、
前記連結部品は、前記横枠カバーにスライド可能に装着され、
前記被係合部は、前記横枠カバーに設けられた枠体の連結構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された枠体の連結構造において、
前記支持部は、前記縦枠の上端部の上面部であり、
前記横枠の端部は、前記縦枠の上端部側に突出して前記上面部に載置される、前記載置部が設けられた載置部品を有する枠体の連結構造。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載された枠体の連結構造において、
前記連結部は、前記縦枠の上端部の見込み部に形成された連結孔であり、
前記係止部は、前記連結孔内に配置されて、前記連結孔に係止される枠体の連結構造。
【請求項5】
請求項1又は2に記載された枠体の連結構造において、
前記縦枠の上端部は、前記横枠の端部側に突出して前記載置部が載置される、前記支持部が設けられた支持部品を有する枠体の連結構造。
【請求項6】
請求項5に記載された枠体の連結構造において、
前記連結部は、前記支持部品に形成された枠体の連結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横枠の端部を縦枠の上端部に連結する枠体の連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建具の枠体を建物の壁部に設置するときに、枠体の施工現場で、横枠である上枠の端部を縦枠の上端部に連結して、枠体を組み立てることがある。その際、種々の枠体の連結構造により、上枠の両側の端部が一対の縦枠の上端部に連結されて、上枠が一対の縦枠の上端部の間に架け渡される。また、従来、上枠の爪片を縦枠のスリット孔に挿入し、くさび金具を爪片の嵌合孔に押し込んで、上枠と縦枠を連結するドア枠の連結構造が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された従来のドア枠の連結構造では、タッピングネジを爪片のネジ挿入孔に差し入れてくさび金具のネジ下孔に捩じ込み、くさび金具を作用位置に食い込ませている。このように、従来のドア枠の連結構造では、上枠と縦枠を連結するための作業が複雑であり、上枠と縦枠の連結、及び、ドア枠の組み立てに手間が掛かる。また、ドア枠は、組み立て後に、建物の開口部にセットされる。そのため、ドア枠のねじれ又は破損を防止するために、ドア枠を慎重に移動させる必要があり、ドア枠の施工の作業性が低くなる虞もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6244095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来の問題に鑑みなされたもので、その目的は、枠体の施工現場で、横枠の端部を縦枠の上端部に容易に連結して、枠体の施工の作業性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、横枠の端部を縦枠の上端部に連結する枠体の連結構造であって、
前記縦枠の上端部は、前記横枠の端部を支持する支持部と、前記横枠の端部が連結される連結部と、を有し、
前記横枠の端部は、前記支持部に載置される載置部と、前記載置部が前記支持部に載置された状態で前記連結部まで移動して前記横枠の端部を前記縦枠の上端部に連結する連結部品と、前記連結部品に係合される被係合部と、を有し、
前記連結部品は、前記連結部品が前記連結部まで移動した状態で前記連結部に係止される係止部及び前記被係合部に係合する係合部を有する枠体の連結構造である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、枠体の施工現場で、横枠の端部を縦枠の上端部に容易に連結して、枠体の施工の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態の建具を示す正面図である。
図2】第1実施形態の建具を示す縦断面図である。
図3】第1実施形態の建具を示す横断面図である。
図4】第1実施形態の枠体の上コーナー部を示す斜視図である。
図5図4に示す上枠の端部と縦枠の上端部を分離して示す斜視図である。
図6図5とは異なる方向からみた縦枠の上端部を示す斜視図である。
図7】第1実施形態の連結部品を示す斜視図である。
図8】第1実施形態の枠体の連結構造により連結される途中段階の上枠の端部と縦枠の上端部を示す斜視図である。
図9】第1実施形態の枠体の連結構造により連結された後の上枠の端部と縦枠の上端部を示す斜視図である。
図10】第1実施形態の枠体の連結構造により連結される途中段階の上枠の端部と縦枠の上端部を示す断面図である。
図11】第1実施形態の枠体の連結構造により連結された後の上枠の端部と縦枠の上端部を示す断面図である。
図12】第2実施形態の枠体の上コーナー部を示す斜視図である。
図13図12に示す上枠の端部と縦枠の上端部を分離して示す斜視図である。
図14図13とは異なる方向からみた縦枠の上端部を示す斜視図である。
図15図14に示す縦枠の上端部を分解して示す斜視図である。
図16】第2実施形態の連結部品と支持部品を示す斜視図である。
図17】第2実施形態の枠体の連結構造により連結される途中段階の上枠の端部と縦枠の上端部を示す斜視図である。
図18】第2実施形態の枠体の連結構造により連結された後の上枠の端部と縦枠の上端部を示す斜視図である。
図19】第2実施形態の枠体の連結構造により連結される途中段階の上枠の端部と縦枠の上端部を示す断面図である。
図20】第2実施形態の枠体の連結構造により連結された後の上枠の端部と縦枠の上端部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の枠体の連結構造の一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態の枠体の連結構造では、施工現場で枠体を組み立てるときに、横枠の端部を縦枠の上端部に連結する。枠体は、建具の枠体であり、建物に設置される。以下では、建具が引戸である場合を例にとり、枠体の連結構造の2つの実施形態について説明する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の建具1を示す正面図であり、建物2に設置された建具1の概略構成を示している。図2は、第1実施形態の建具1を示す縦断面図であり、図3は、第1実施形態の建具1を示す横断面図である。
図示のように、建物2は、壁部2Aと、壁部2Aに形成された開口部2Bを備えている。建具1は、引戸の一例である片引戸であり、建物2に設置される。また、建具1は、建物2に設置される枠体3と、枠体3の開口部3Aに配置されたパネル体4と、パネル体4の下方に位置するガイドレール5を備えている。枠体3及び建具1は、壁部2Aに設置され、ガイドレール5は、建物2の床面に固定される。
【0011】
なお、建物2に設けた建具1及び枠体3を正面からみたときに(図1参照)、上下となる方向が上下方向であり、左右となる方向が左右方向である。図1では、上下方向は鉛直方向であり、左右方向は水平方向である。枠体3の奥行方向は、建物2に設けた枠体3を正面からみたときに、前後となる方向(前後方向)であり、図1図3では、左右方向に直交する水平方向である。このように、建具1、枠体3、及び、枠体3の連結構造に関する方向は、建物2に設けた状態での方向で特定する。
【0012】
枠体3は、開口枠(戸枠)であり、互いに組み合わされた3つの枠10、20(上枠10、一対の縦枠20)を有し、上枠10と一対の縦枠20により、方形状の開口部3Aを形成している。上枠10と縦枠20は、枠体3を構成する枠部材であり、例えば、押出成形により形成された形材からなる。上枠10は、枠体3の上部に位置する横枠であり、枠体3の開口部3Aの上縁部に沿って左右方向(横方向)に延びる。縦枠20は、枠体3の左右の側部に位置する側枠であり、枠体3の開口部3Aの左右の側縁部に沿って上下方向(縦方向)に延びる。上枠10と左右の縦枠20が接続されて、上枠10と縦枠20が枠組みされ、枠体3が組み立てられる。
【0013】
枠体3の上枠10は、上下方向において、パネル体4の上方に位置し、枠体3の縦枠20は、左右方向において、パネル体4の左右の両側に位置している。パネル体4は、枠体3に移動可能に連結された方形状の扉体であり、枠体3の開口部3Aで左右方向に移動する。また、パネル体4は、建物2の開口部2Bを閉鎖する閉鎖位置と建物2の開口部2Bを開放する開放位置の間で移動して、閉鎖位置と開放位置に配置される。パネル体4により、枠体3の開口部3Aが開閉される。
【0014】
パネル体4は、枠体3に連結された吊車4Aと、ガイドレール5に載置された戸車4Bを有している。吊車4Aは、パネル体4の上部に取り付けられて、パネル体4の上方に突出し、枠体3の上枠10により移動可能に支持されている。パネル体4は、吊車4Aにより、上枠10に移動可能に連結されている。上枠10は、吊車4A及びパネル体4を左右方向にガイドする。戸車4Bは、パネル体4の下部に取り付けられて、パネル体4の下方に突出する。ガイドレール5は、枠体3の開口部3Aの下縁部に沿って左右方向に延び、戸車4B及びパネル体4を左右方向にガイドする。枠体3の開口部3Aで、パネル体4は、上枠10及びガイドレール5に沿って左右方向にスライドして移動する。
【0015】
建具1は、枠体3に設けられた枠体3の連結構造を備えている。枠体3の連結構造により、上枠10の左右の端部11は、左右の縦枠20の上端部21に連結されている。上枠10の端部11は、上枠10の長手方向(左右方向)における一方と他方の端部であり、縦枠20の上端部21は、縦枠20の長手方向(上下方向)における上方の端部である。上枠10が一対の縦枠20の上端部21に架け渡されて、枠体3の連結構造により、上枠10の端部11と縦枠20の上端部21が互いに連結されている。
【0016】
図4は、第1実施形態の枠体3の上コーナー部を示す斜視図であり、枠体3の連結構造6により連結された上枠10の一方の端部11と一方の縦枠20の上端部21を示している。図5は、図4に示す上枠10の端部11と縦枠20の上端部21を分離して示す斜視図であり、連結前の上枠10の端部11と縦枠20の上端部21を示している。図6は、図5とは異なる方向からみた縦枠20の上端部21を示す斜視図である。
【0017】
図示のように、縦枠20は、中空形状に形成されており、枠体3の開口部3A側に位置する見込み部22を有している。縦枠20の上端部21の見込み部22は、上枠10の端部11側に位置する対向部であり、上枠10の長手方向において、上枠10の端部11と対向する。上枠10の端部11(ここでは、端部11の端面部12)は、上端部21の見込み部22に押し付けられて当接する。端部11の端面部12は、上枠10の長手方向における端面に位置する小口部である。
【0018】
縦枠20の上端部21は、上枠10の端部11を支持する支持部23と、上枠10の端部11が連結される連結部24(図6参照)を有している。上端部21の支持部23は、縦枠20の上端部21の上面部25であり、連結部24よりも上方に位置している。上端部21の上面部25は、縦枠20の長手方向における上端面に位置する小口部(上端部21の上側の端面部)である。上枠10の端部11は、支持部23である上面部25の一部に載置されて、上端部21の上面部25に支持される。
【0019】
上端部21の連結部24は、縦枠20の上端部21の見込み部22に形成された連結孔26である。連結孔26は、上端部21の見込み部22を上枠10の長手方向に貫通する貫通孔であり、上枠10の端部11に向かって開放されている。連結孔26及び連結部24は、縦枠20の見込み方向(枠体3の奥行方向)に離隔した見込み部22の2箇所に形成されて、支持部23よりも下方に位置している。上枠10の左右の端部11のそれぞれで、上枠10の端部11は、支持部23(上面部25)に支持されて、2つの連結部24(連結孔26)に連結される。
【0020】
上枠10は、上枠本体30と、上枠本体30に取り付けられた2つの上枠カバー40と、上枠本体30の上面部及び上枠カバー40の上面部を含む上面部13と、上枠本体30に設けられた一対のレール部31(図5参照)を有している。上枠本体30と上枠カバー40は、それぞれ横枠である上枠10に設けられた横枠本体と横枠カバーである。また、上枠本体30は、上枠10の本体を構成する本体部であり、上枠10の見込み方向(枠体3の奥行方向)において、2つの上枠カバー40の間に位置している。上枠カバー40は、上枠10の見込み方向において、上枠本体30の両側に位置し、上枠本体30よりも下方の位置まで配置されている。上枠10を見込み方向の両側からみたときに、上枠本体30は、上枠カバー40により遮蔽される。
【0021】
レール部31は、上枠本体30の下面部であり、2つの上枠カバー40の間で、上枠10の見込み方向に突出している。一対のレール部31は、上枠10の長手方向に延び、上枠10の見込み方向において、互いに間隔をあけて対向している。レール部31は、上面部13の下側に位置し、レール部31と上面部13は、上下方向に離隔している。パネル体4の吊車4A(図2参照)は、それぞれレール部31に載置される一対のローラ4Cを有する。パネル体4は、レール部31に沿って移動する吊車4Aのローラ4Cを介して、上枠10のレール部31に移動可能に支持され、レール部31によりガイドされて、上枠10の長手方向に移動する。
【0022】
上枠10の端部11は、縦枠20の上端部21の支持部23に載置される載置部14と、縦枠20の上端部21に連結する移動可能な2つの連結部品50と、連結部品50をそれぞれガイドする2つのガイド部41と、連結部品50にそれぞれ係合される被係合部である2つの保持部15を有している。また、上枠10の端部11は、上面部13に取り付けられた板状の載置部品60を有しており、載置部14は、載置部品60に設けられている。ガイド部41と保持部15は、2つの上枠カバー40のそれぞれに形成されており、ガイド部41、保持部15、及び、連結部品50は、2つの上枠カバー40のそれぞれに設けられている。
【0023】
載置部14は、載置部品60の一部であり、ここでは、上面部25に載置される載置部品60の下面部61である。載置部品60及び載置部14は、上枠10の長手方向において、上枠10の端部11の上面部13から縦枠20の上端部21側に突出して、縦枠20の上端部21の上面部25(支持部23)に載置される。載置部品60及び載置部14は、縦枠20の上端部21の支持部23に上方から載置されて、支持部23により支持される。上枠10の端部11は、載置部品60及び載置部14を介して、支持部23により支持される。上枠10は、支持部23により、一対の縦枠20の上端部21の間に保持される。
【0024】
載置部14(載置部品60)は、レール部31、連結部品50、ガイド部41、保持部15、及び、連結部24よりも上方に位置し、縦枠20の上端部21の上に配置されている。また、連結部品50、ガイド部41、及び、連結部24は、2つの上枠カバー40の間の箇所に配置され、連結部品50、ガイド部41、連結部24、及び、保持部15は、載置部14及びレール部31よりも下方に位置している。
【0025】
ガイド部41は、互いに離隔して形成された2つのレール42、43(第1レール42、第2レール43)を有している。上レールである第1レール42と下レールである第2レール43は、上下方向に離隔して、互いに平行に形成されている。ガイド部41は、上枠10の長手方向において、縦枠20の上端部21の見込み部22及び連結部24から離隔して配置されて、連結部24に向かって上枠10の長手方向に延びる。ガイド部41の端部と連結部24は、上枠10の長手方向において、互いの間に隙間をあけて、対向して配置されている。
【0026】
連結部品50は、上枠10の端部11に配置されて、ガイド部41のレール42、43にスライド可能に装着され、ガイド部41を介して、上枠カバー40及び上枠10にスライド可能(移動可能)に装着されている。連結部品50は、ガイド部41のレール42、43により、上枠10の長手方向にガイドされて、ガイド部41のレール42、43に沿って上枠10の長手方向にスライドして移動する。保持部15は、上枠カバー40に方形状に形成された保持孔であり、2つのレール42、43の間に位置して、ガイド部41及び連結部品50に向かって開放されている。保持部15は、縦枠20の上端部21の連結部24から上枠10の長手方向に離隔して配置されて、連結部品50と係合する。
【0027】
図7は、第1実施形態の連結部品50を示す斜視図であり、図7A図7Bは、互いに異なる方向からみた連結部品50を示している。
図示のように、連結部品50は、上枠10のガイド部41(レール42、43)に沿ってスライドするスライド部51と、縦枠20の上端部21の連結部24に係止される係止部52と、上枠10の保持部15に係合する係合部53を有している。スライド部51は、連結部品50の基部であり、ガイド部41のレール42、43にスライド可能に装着されている。スライド部51がガイド部41により上枠10の長手方向にガイドされて、連結部品50が上枠10の長手方向にスライドする。
【0028】
連結部品50の係止部52は、弾性変形可能なフック部であり、スライド部51から縦枠20の上端部21の連結部24に向かって突出する。係止部52は、連結部24である連結孔26に挿入されて、連結孔26内に配置され、連結孔26に嵌め込まれる。その状態で、係止部52は、連結孔26の縁部に引っ掛かり、連結孔26に着脱可能に係止される。連結部品50は、係止部52により、連結部24に係止されて、連結部24に着脱可能に取り付けられる。
【0029】
連結部品50の係合部53は、上枠10の見込み方向に変位可能な突部であり、上枠10の保持孔である保持部15内に配置される。保持部15内で、係合部53は、保持部15(ここでは、縦枠20の上端部21側に位置する保持部15の縁部)に当接して、保持部15に引っ掛かり、保持部15に着脱可能に係合する。連結部品50は、係合部53により、保持部15に係合して、保持部15を保持する。
【0030】
施工現場で枠体3を建物2(壁部2A)に設置するときには(図1参照)、枠体3の組み立て前に、一対の縦枠20をそれぞれ建物2に設置して、一対の縦枠20の上端部21の間に向かって上枠10を移動させる。また、上枠10の端部11を縦枠20の上端部21に連結する前に(図4図5参照)、上枠10の左右の端部11のそれぞれで、上枠10の端部11の載置部14(載置部品60)を縦枠20の上端部21の支持部23(上面部25)に載置する。載置部14及び上枠10を支持部23で支持して、上枠10を一対の縦枠20の上端部21に仮置きする。続いて、枠体3の連結構造6により、建物2に設置された縦枠20の上端部21に上枠10の端部11を連結する。これにより、枠体3を組み立てて、枠体3を建物2に設置する。
【0031】
図8は、第1実施形態の枠体3の連結構造6により連結される途中段階の上枠10の端部11と縦枠20の上端部21を示す斜視図である。図9は、第1実施形態の枠体3の連結構造6により連結された後の上枠10の端部11と縦枠20の上端部21を示す斜視図である。図8図9は、枠体3の上コーナー部を示している。図10は、第1実施形態の枠体3の連結構造6により連結される途中段階の上枠10の端部11と縦枠20の上端部21を示す断面図である。図11は、第1実施形態の枠体3の連結構造6により連結された後の上枠10の端部11と縦枠20の上端部21を示す断面図である。図10図11は、枠体3及び枠体3の連結構造6を模式的に示している。
【0032】
図示のように、連結部品50の係止部52は、縦枠20の上端部21の連結部24への係止前に、上枠10の長手方向において、連結部24と対向して配置される。また、連結部品50は、連結部24から離隔した離隔位置P1(図8図10参照)と連結部24に係止される係止位置P2(図9図11参照)との間でスライドして移動する。連結部品50の離隔位置P1は、連結部品50が連結部24に係止されない非係止位置であり、連結部品50の係止位置P2は、連結部品50が連結部24に取り付けられる取付位置である。
【0033】
上枠10の端部11の載置部14が縦枠20の上端部21の支持部23に載置された状態で、連結部品50は、連結部24までスライドする。これにより、連結部品50は、連結部24まで移動して、係止部52と係合部53により、上枠10の端部11を縦枠20の上端部21に連結する。その際、連結部品50は、離隔位置P1から係止位置P2まで連結部24に向かってスライド(移動)して、係止位置P2に配置される。連結部品50が連結部24までスライドしたときに、連結部品50は、連結部24に係止されるとともに、上枠10の端部11の保持部15に係合する。具体的には、連結部品50の係止部52が、連結部24である連結孔26に挿入され、連結部24に係止されて取り付けられる。同時に、連結部品50の係合部53が、保持部15に当接して係合する。
【0034】
このように、連結部品50が連結部24までスライドした状態(移動した状態)で、連結部品50の係止部52が連結部24に係止されるとともに、連結部品50の係合部53が保持部15に係合する。連結部品50は、係止部52により、連結部24及び縦枠20の上端部21に係止されて、連結部24及び縦枠20の上端部21に取り付けられる。その状態で、連結部品50は、係合部53により、保持部15及び上枠10の端部11に係合して、保持部15及び上枠10の端部11を保持する。また、連結部品50は、係合部53により、縦枠20の上端部21に向かう力を保持部15及び上枠10の端部11に加えて、上枠10の端部11を縦枠20の上端部21に引き寄せ、上枠10の端部11を縦枠20の上端部21に押し付ける。これにより、上枠10の端部11(端面部12)は、縦枠20の上端部21(見込み部22)に当接して、縦枠20の上端部21に密着する。
【0035】
以上説明したように、枠体3の連結構造6では、連結部品50により、枠体3の施工現場で、上枠10の端部11を縦枠20の上端部21に容易に連結して、枠体3を簡単に組み立てることができる。その結果、枠体3の施工の作業性を向上させることができる。また、縦枠20の上端部21に対する上枠10の端部11の正確な位置決めが可能になり、枠体3を正確に組み立てることもできる。連結部品50を係止位置P2から離隔位置P1までスライドにより移動させて連結部24から離隔させることで、連結部品50の係止部52の連結部24への係止、及び、連結部品50の係合部53の保持部15との係合が解除される。そのため、上枠10の端部11を縦枠20の上端部21から容易に取り外すことができ、枠体3の施工後に、枠体3の解体とメンテナンスを容易に行うことができる。
【0036】
上枠10の端部11の保持部15は、上枠本体30に取り付けられた上枠カバー40に設けられ、連結部品50は、上枠カバー40に装着される。そのため、枠体3の連結構造6の連結部品50及び保持部15を上枠10に簡便に設けることができる。上枠10の端部11の載置部14が載置部品60に設けられて、縦枠20の上端部21の支持部23である上面部25に載置部品60が載置される。従って、載置部14を上面部25に簡単に載置して、上面部25により、上枠10の端部11を安定して支持することができる。縦枠20の上端部21の連結部24である連結孔26に連結部品50の係止部52を係止しており、縦枠20の上端部21の連結部24の構造を簡単にすることができ、連結部品50の係止部52を縦枠20の上端部21に安定して係止することができる。
【0037】
次に、枠体3の連結構造6の第2実施形態について説明する。以下の第2実施形態に関し、第1実施形態と同じ事項の説明は省略し、第1実施形態の構成に相当する構成には、第1実施形態の構成と同じ名称を用いる。
【0038】
(第2実施形態)
図12は、第2実施形態の枠体3の上コーナー部を示す斜視図であり、枠体3の連結構造6により連結された上枠10の一方の端部11と一方の縦枠20の上端部21を示している。図13は、図12に示す上枠10の端部11と縦枠20の上端部21を分離して示す斜視図であり、連結前の上枠10の端部11と縦枠20の上端部21を示している。図14は、図13とは異なる方向からみた縦枠20の上端部21を示す斜視図である。図15は、図14に示す縦枠20の上端部21を分解して示す斜視図である。
【0039】
図示のように、第2実施形態では、上枠10の端部11の載置部14、保持部15、及び、連結部品50が第1実施形態と相違しており、上枠10の端部11が載置部品60を有していない。また、縦枠20の上端部21の支持部23及び連結部24が第1実施形態と相違しており、縦枠20の上端部21が連結孔26を有していない。載置部14は、上枠10の上枠本体30の下面部である一対のレール部31であり、上枠10の見込み方向に離隔した2箇所に設けられている。2つの載置部14は、上枠10の見込み方向おいて、互いに間隔をあけて対向する。載置部14は、上枠10の端部11に位置するレール部31の一部であり、ここでは、支持部23に載置されるレール部31の下側面32である。
【0040】
縦枠20の上端部21は、上枠10の端部11を支持する2つの支持部品70と、支持部品70がそれぞれ取り付けられる2つの取付孔27(図15参照)を有している。取付孔27は、方形状に形成された貫通孔であり、縦枠20の上端部21の見込み部22に形成されている。取付孔27は、縦枠20の見込み方向に離隔した見込み部22の2箇所に形成され、上端部21の見込み部22を上枠10の長手方向に貫通して、上枠10の端部11に向かって開放されている。
【0041】
支持部品70は、縦枠20の上端部21の取付孔27に係止される係止部71を有している。係止部71は、弾性変形可能なフック部であり、取付孔27に向かって突出する。係止部71は、取付孔27に挿入されて、取付孔27内に配置され、取付孔27に嵌め込まれる。その状態で、係止部71は、取付孔27の縁部に引っ掛かり、取付孔27に着脱可能に係止される。支持部品70は、係止部71により、取付孔27に係止されて、取付孔27及び縦枠20の上端部21(見込み部22)に着脱可能に取り付けられる。
【0042】
縦枠20の上端部21の支持部23は、支持部品70に設けられており、ここでは、支持部品70の一部である上面部72である。支持部品70及び支持部23は、縦枠20の上端部21の見込み部22から上枠10の端部11側に突出する。上枠10の端部11のレール部31及び載置部14は、支持部品70及び支持部23に上方から載置されて、支持部品70及び支持部23により支持される。
【0043】
図16は、第2実施形態の連結部品50と支持部品70を示す斜視図である。
図示のように、縦枠20の上端部21の連結部24は、支持部品70に形成されており、上枠10の端部11に向かって開放された支持部品70の連結凹部73である。支持部品70、支持部23、及び、連結部24は、縦枠20の見込み方向に離隔した縦枠20の上端部21の2箇所に設けられている(図14参照)。
【0044】
連結部品50の係止部52は、スライド部51から支持部品70及び連結部24に向かって突出して、連結部24である連結凹部73に挿入される。係止部52は、連結凹部73内に配置されて、連結凹部73に嵌め込まれる。その状態で、係止部52は、連結凹部73の内面部に引っ掛かり、連結凹部73に着脱可能に係止される。連結部品50の係合部53は、上下方向に変位可能な突部であり、上方に向かって突出している。
【0045】
図17は、第2実施形態の枠体3の連結構造6により連結される途中段階の上枠10の端部11と縦枠20の上端部21を示す斜視図である。図18は、第2実施形態の枠体3の連結構造6により連結された後の上枠10の端部11と縦枠20の上端部21を示す斜視図である。図17図18は、枠体3の上コーナー部を示している。図19は、第2実施形態の枠体3の連結構造6により連結される途中段階の上枠10の端部11と縦枠20の上端部21を示す断面図である。図20は、第2実施形態の枠体3の連結構造6により連結された後の上枠10の端部11と縦枠20の上端部21を示す断面図である。図19図20は、枠体3及び枠体3の連結構造6を模式的に示している。
【0046】
図示のように、縦枠20の上端部21の支持部品70、支持部23、及び、連結部24は、上枠本体30、レール部31、及び、載置部14の下側に位置し、ガイド部41と縦枠20の上端部21の見込み部22の間に配置されている。ガイド部41は、支持部品70及び連結部24に向かって上枠10の長手方向に延び、ガイド部41の端部と支持部品70及び連結部24は、上枠10の長手方向において、互いに対向して配置されている。上枠10の端部11の保持部15は、ガイド部41の第1レール42に形成された間隙部であり、連結部品50に向かって開放されている。連結部品50の係合部53は、保持部15内で、保持部15に引っ掛かり、保持部15に係合する。
【0047】
連結部品50の係止部52は、縦枠20の上端部21の連結部24への係止前に、上枠10の長手方向において、縦枠20の上端部21の支持部品70及び連結部24と対向して配置される。また、離隔位置P1(図17図19参照)の連結部品50は、支持部品70及び連結部24から離隔して配置され、係止位置P2(図18図20参照)の連結部品50は、支持部品70に当接する。上枠10の端部11の載置部14が支持部品70の支持部23に載置された状態で、連結部品50は、支持部品70及び連結部24までスライドする。これに伴い、連結部品50の係止部52は、連結部24である連結凹部73に挿入されて、連結部24に係止される。連結部品50は、係止部52により、連結部24、支持部品70、及び、縦枠20の上端部21に係止されて、支持部品70を介して、縦枠20の上端部21に取り付けられる。同時に、連結部品50の係合部53が、保持部15に当接して係合する。
【0048】
以上説明したように、縦枠20の上端部21の支持部23は、支持部品70に設けられている。従って、上枠10の端部11の載置部14を支持部品70に簡単に載置して、支持部品70により、上枠10の端部11を安定して支持することができる。また、縦枠20の上端部21の連結部24を支持部品70に形成することで、縦枠20の上端部21の支持部23と連結部24を支持部品70に集約して、縦枠20の上端部21の構造を簡単にすることができる。
【0049】
なお、上枠10の端部11は、1つの連結部品50で縦枠20の上端部21に連結してもよく、複数の連結部品50で縦枠20の上端部21に連結してもよい。また、上枠10は、上枠本体30と上枠カバー40とが一体に構成されていてもよく、上枠10のガイド部41と保持部15は、上枠カバー40に設けずに、上枠本体30に設けてもよい。枠体3は、少なくとも上枠10と縦枠20を有していればよく、上枠10と縦枠20に加えて、下枠を有していてもよい。枠体3は、片引戸以外の引戸の枠体であってもよく、引戸以外の建具(例えば、ドア)の枠体であってもよい。本発明の枠体の連結構造によれば、上枠以外の横枠の端部を縦枠の上端部に連結することができる。従って、本発明は、横枠と縦枠を有する種々の枠体の連結構造に適用することができる。
【0050】
以上のとおり、枠体の連結構造は、横枠の端部を縦枠の上端部に連結する枠体の連結構造であって、
前記縦枠の上端部は、前記横枠の端部を支持する支持部と、前記横枠の端部が連結される連結部と、を有し、
前記横枠の端部は、前記支持部に載置される載置部と、前記載置部が前記支持部に載置された状態で前記連結部まで移動して前記横枠の端部を前記縦枠の上端部に連結する連結部品と、前記連結部品に係合される被係合部と、を有し、
前記連結部品は、前記連結部品が前記連結部まで移動した状態で前記連結部に係止される係止部及び前記被係合部に係合する係合部を有する枠体の連結構造である。
従って、枠体の施工現場で、横枠の端部を縦枠の上端部に容易に連結して、枠体の施工の作業性を向上させることができる。
【0051】
前記横枠は、横枠本体と、前記横枠本体に取り付けられた横枠カバーと、を有し、
前記連結部品は、前記横枠カバーにスライド可能に装着され、
前記被係合部は、前記横枠カバーに設けられる。
従って、枠体の連結構造の連結部品及び被係合部を上枠に簡便に設けることができる。
【0052】
前記支持部は、前記縦枠の上端部の上面部であり、
前記横枠の端部は、前記縦枠の上端部側に突出して前記上面部に載置される、前記載置部が設けられた載置部品を有する。
従って、横枠の端部の載置部を縦枠の上端部の上面部に簡単に載置して、縦枠の上端部の上面部により、横枠の端部を安定して支持することができる。
【0053】
前記連結部は、前記縦枠の上端部の見込み部に形成された連結孔であり、
前記係止部は、前記連結孔内に配置されて、前記連結孔に係止される。
従って、縦枠の上端部の連結部の構造を簡単にすることができ、連結部品の係止部を縦枠の上端部に安定して係止することができる。
【0054】
前記縦枠の上端部は、前記横枠の端部側に突出して前記載置部が載置される、前記支持部が設けられた支持部品を有する。
従って、横枠の端部の載置部を縦枠の上端部の支持部品に簡単に載置して、縦枠の上端部の支持部品により、横枠の端部を安定して支持することができる。
【0055】
前記連結部は、前記支持部品に形成される。
従って、縦枠の上端部の支持部と連結部を支持部品に集約して、縦枠の上端部の構造を簡単にすることができる。
【符号の説明】
【0056】
1・・・建具、2・・・建物、2A・・・壁部、2B・・・開口部、3・・・枠体、3A・・・開口部、4・・・パネル体、4A・・・吊車、4B・・・戸車、4C・・・ローラ、5・・・ガイドレール、6・・・連結構造、10・・・上枠、11・・・端部、12・・・端面部、13・・・上面部、14・・・載置部、15・・・保持部、20・・・縦枠、21・・・上端部、22・・・見込み部、23・・・支持部、24・・・連結部、25・・・上面部、26・・・連結孔、27・・・取付孔、30・・・上枠本体、31・・・レール部、32・・・下側面、40・・・上枠カバー、41・・・ガイド部、42・・・第1レール、43・・・第2レール、50・・・連結部品、51・・・スライド部、52・・・係止部、53・・・係合部、60・・・載置部品、61・・・下面部、70・・・支持部品、71・・・係止部、72・・・上面部、73・・・連結凹部、P1・・・離隔位置、P2・・・係止位置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図20