(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023050512
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】凹凸レベル検査装置および凹凸レベル検査方法
(51)【国際特許分類】
E04G 21/10 20060101AFI20230404BHJP
G01C 5/00 20060101ALI20230404BHJP
G01C 15/02 20060101ALI20230404BHJP
B25H 7/04 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
E04G21/10 A
G01C5/00 Z
G01C15/02
B25H7/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021160648
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100187182
【弁理士】
【氏名又は名称】川野 由希
(72)【発明者】
【氏名】菊池 武志
【テーマコード(参考)】
2E172
【Fターム(参考)】
2E172GA01
2E172HA03
(57)【要約】
【課題】 検査面に、凹凸レベル情報を直感的、視覚的に認識可能に印刷できる技術を提供する。
【解消手段】 凹凸レベル検査装置1は、検査面からの距離が既知とされたターゲットTと、検査面を走行するための走行部21と、検査面に情報をマークする第1のマーカ23と、第1のマーカ23を制御する制御部10とを備え、制御部10は、凹凸レベル検査装置1が所定距離走行する毎に入力されるターゲットTの3次元位置座標に基いて、ターゲットTの測定位置における検査面の高さを算出し、検査面の高さと基準高さとの差を示す凹凸レベル情報を前記検査面の対応する位置にマーキングするように第1のマーカ23を制御し、凹凸レベル情報は、検査面の高さと基準高さとの差の大きさのレベルに応じた異なる色でマーキングされる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査面からの距離が既知とされたターゲットと、
前記検査面を走行するための走行部と、
前記検査面に情報をマークする第1のマーカと、
前記第1のマーカを制御する制御部とを備える凹凸レベル検査装置であって、
前記制御部は、前記凹凸レベル検査装置が所定距離走行する毎に入力される前記ターゲットの3次元位置座標に基いて、前記ターゲットの測定位置における前記検査面の高さを算出し、前記検査面の高さと基準高さとの差を示す凹凸レベル情報を前記検査面の対応する位置にマーキングするように前記第1のマーカを制御し、
前記凹凸レベル情報は、前記検査面の高さと前記基準高さとの差の大きさのレベルに応じた異なる色でマーキングされることを特徴とする凹凸レベル検査装置。
【請求項2】
前記基準高さは、前記検査面の複数の点で計測して求めた前記検査面の高さの代表値であることを特徴とする請求項1に記載の凹凸レベル検査装置。
【請求項3】
ハンマで前記検査面を打撃する打撃部と、
前記ハンマによる打音を検出する集音部とを備える打音検査部と、
前記検査面に情報をマークする第2のマーカと、をさらに備え、
前記制御部は、前記打音検査部で集音された打音に基いて、前記検査面の表面の異常の有無を判断し、異常を検出した場合に、打撃位置と対応する位置にマーキングするように前記第2のマーカを制御することを特徴とする請求項1または2に記載の凹凸レベル検査装置。
【請求項4】
前記第1のマーカのマーキング領域と、前記第2のマーカのマーキング領域が、進行方向に直交する左右方向にずらされて配置されていることを特徴とする請求項3に記載の凹凸レベル検査装置。
【請求項5】
前記第1のマーカ、前記第2のマーカおよび前記打音検査部を格納する直方体状の筐体を備え、
前記走行部を駆動する走行駆動部をさらに備え、
前記筐体の一方の側面には、下方に延在する吸着部が設けられており、前記吸着部は、吸引ファンを備える吸着本体と、前記吸着本体の外周を囲むスカートと、前記吸引ファンで吸引された空気を後方へ向けて排気するダクトホースを備え、
前記走行駆動部の駆動により、構造体の縁部を走行するように構成されていることを特徴とする、請求項3または4に記載の凹凸レベル検査装置。
【請求項6】
検査面からの距離が既知とされたターゲットと、前記検査面を走行するための走行部と、前記検査面に情報をマークする第1のマーカと、前記第1のマーカを制御する制御部とを備える凹凸レベル検査装置を用いる凹凸レベル検査方法であって、
前記制御部は、前記凹凸レベル検査装置が所定距離を走行する毎に入力される前記ターゲットの3次元位置座標に基いて、前記ターゲットの測定位置における前記検査面の高さを算出し、
前記検査面の高さと基準高さとの差を示す凹凸レベル情報を前記検査面の対応する位置にマークするように前記第1のマーカを制御し、
前記凹凸レベル情報は、前記検査面の高さと前記基準高さとの差の大きさのレベルに応じた異なる色のマークとして印刷されることを特徴とする凹凸レベル検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凹凸レベル検査装置および凹凸レベル検査方法に係り、より詳細には、構造物の上面の水平精度を検査する凹凸レベル検査措置および凹凸レベル検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建築工事においては、通常建物の土台となる下部構造である基礎工事が行われる。基礎の立ち上がりの天端は、その上面が水平であること(すなわち天端の高低差をできるだけなくすこと)が求められる。実際、建築物の水平精度は、天端精度に依存するからである。なお、本明細書において、「天端」とは、基礎立ち上がりに関わらず、任意の構造物の最上部の面になっている部分のこという。
【0003】
このために、基礎立ち上がりのコンクリート打設の後、型枠内に天端レベラーと呼ばれるセルフレベリング材料を数mm~1cm程度流し込み、天端表面を水平にしている。天端レベラーは、生コンクリートよりも粘性が低くなるように調整されたモルタルであり、型枠に流し込むと均一に広がって水平な仕上がりとなる。
【0004】
しかし、実際には、完全に水平とすることは難しく、低いところは塗り足しが必要となり、高いところは削り取りを行う必要がある。作業中の天端精度の確認は、職人が巻き尺で計測することにより行っており、作業が煩雑であった。このために、自動的に天端の凹凸レベルを計測することが求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1には、走行機構と、ターゲットと、制御部とを備え、自動追尾機能を有する測量機(トータルステーション)で追尾しながら所望の位置まで走行し、ターゲットの計測結果から床面の凹凸レベルを計測して、凹凸レベル情報に印字させる凹凸レベル検査装置が開示されている。
【0007】
特許文献1の凹凸レベル検査装置は、凹凸レベル情報として、床面に据え付ける設備機器の高さ調整量を数値で示す。建築現場等では、数値も重要であるが、全体を見渡してより、直感的、視覚的に認識できるようにしたいというニーズあり、従来とは異なる態様で検査面に凹凸レベル情報を印刷する技術の開発が求められていた。
【0008】
本発明は係る事情を鑑みてなされたものであり、検査面に、凹凸レベル情報を直感的、視覚的に認識可能に印刷できる凹凸レベル検査装置および凹凸レベル検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の1つの態様に係る凹凸レベル検査装置は、検査面からの距離が既知とされたターゲットと、前記検査面を走行するための走行部と、前記検査面に情報をマークする第1のマーカと、前記第1のマーカを制御する制御部とを備える凹凸レベル検査装置であって、前記制御部は、前記凹凸レベル検査装置が所定距離走行する毎に入力される前記ターゲットの3次元位置座標に基いて、前記ターゲットの測定位置における前記検査面の高さを算出し、前記検査面の高さと基準高さとの差を示す凹凸レベル情報を前記検査面の対応する位置にマーキングするように前記第1のマーカを制御し、前記凹凸レベル情報は、前記検査面の高さと前記基準高さとの差の大きさのレベルに応じた異なる色でマーキングされることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の別の態様に係る、凹凸レベル検査方法は、検査面からの距離が既知とされたターゲットと、前記検査面を走行するための走行部と、前記検査面に情報をマークする第1のマーカと、前記第1のマーカを制御する制御部とを備える凹凸レベル検査装置を用いる凹凸レベル検査方法であって、前記制御部は、前記凹凸レベル検査装置が所定距離を走行する毎に入力される前記ターゲットの3次元位置座標に基いて、前記ターゲットの測定位置における前記検査面の高さを算出し、前記検査面の高さと基準高さとの差を示す凹凸レベル情報を前記検査面の対応する位置にマークするように前記第1のマーカを制御し、前記凹凸レベル情報は、前記検査面の高さと前記基準高さとの差の大きさのレベルに応じた異なる色のマークとして印刷されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上記態様に係る凹凸レベル検査装置および凹凸レベル検査方法によれば、凹凸レベル情報を、直感的、視覚的に認識できるように検査面に印刷することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施の形態に係る凹凸レベル検査システムの概略を示す図である。
【
図3】(A)は、同検査システムを構成する凹凸レベル検査装置の側面図であり、(B)は同底面図である。
【
図4】同検査システムにおける検査装置と測量機の基本動作の処理のフローチャートである。
【
図5】同検査システムを用いた凹凸レベル検査方法の全体を説明するフローチャートである。
【
図6】同検査方法における凹凸レベル検査の基準高さの設定に係る処理のフローチャートである。
【
図7】同検査方法における凹凸レベル検査に係る処理のフローチャートである。
【
図8】(A)は、同検査システムを用いた検査ルートの1例を示す図であり、(C)は、同ルートの検査面にマーキングされる検査結果の例を示す図である。
【
図9】同検査方法における打音検査に係る処理のフローチャートである。
【
図10】(A)、(B)は、同システムの変形例を用いてマーキングされる検査結果の別の例を示す図である。
【
図11】本発明の第2の実施の形態に係る凹凸レベル検査システムの概略を示す図である。
【
図13】(A)は、同検査システムを構成する凹凸レベル検査装置の側面図であり、(B)は同底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、各実施の形態および変形例に共通する同一の機能を有する構成には同一の名称を付し、同一の構成には、同一の符号を付して、重複する説明は適宜省略する。
【0014】
(第1の実施の形態)
1.凹凸レベル検査システムS
図1は、本発明の実施の形態に係る凹凸レベル検査システム(以下、単に「システム」という。)Sの外観概略図である。システムSは、凹凸レベル検査装置1(以下、単に「検査装置」という。)および測量機6を備える。
図1は、システムSを用いて、基礎立ち上がり91の天端の凹凸レベルを検査している状態を示し、符号92は、アンカーボルトを示している。
図2は、システムSの構成ブロック図である。
【0015】
システムSは、ターゲットTを備え、車輪等の走行部21を有する検査装置1を手動により検査面上を走行させて、検査面の凹凸レベルを検査するシステムである。
【0016】
2.検査装置1
検査装置1は、進行方向に長尺で細幅の直方体状の筐体1aを有し、走行部21を構成する回転体により検査面を走行可能に構成されている。検査装置1の幅は、検査面の幅に応じて設定され、アンカーボルト92を考慮して、通常検査対象である天端レベルの半幅よりもやや小さく構成されている。
【0017】
筐体1aの上面には、ターゲット支持部材としてのポール1bが立設されており、ポール1bの上端部にターゲットTが取り付けられている。ターゲットTは、複数の三角錐状のプリズムを放射状に組み合わせて構成された、いわゆる全方位プリズムであり、その全周(360°)から入射する光を再帰反射する。
【0018】
検査装置1は、ターゲットT、制御演算部10、走行部21,マーカ22、打音検査部25、移動距離・速度センサ28、傾斜センサ29、表示部31,操作部32、記憶部33,通信部34、およびインジケータ35を備える。
【0019】
図3に示すように、筐体1aの下部には、走行部21が設けられている。
図3の例において、走行部21は、1つの前輪21aと、対向して左右に設けられる1対の後輪21bを備える。前輪21aは、ベアリングにより360°方向に移動可能なボールキャスターである。あるいは一般的な自在キャスターであってもよい。後輪21bは、車輪(ローラ)であり、直進時に進行方向に直交するように設けられた回転軸周りにそれぞれが独立して回転自在となっている。
【0020】
筐体1aは、検査装置1を水平面に載置したときに、上面が水平となるように調整されている。ポール1bは、筐体1aの上面に鉛直に設けられている。ターゲットTは、前輪21aの真上となるように取り付けられる。作業者は、検査装置1の筐体1aまたはポール1bを手で押して、ポール1bに連続する前輪21aが、接地点Rで常時検査面に当接するようにして手動により検査面を移動させる。本形態において接地点Rの位置が検査装置1の位置座標(以下、「検査装置位置座標」という。)として、接地点Rの高さがターゲットTの測定位置における検査面の高さとして取り扱われる。
【0021】
マーカ22は、第1のマーカ23および第2のマーカ24を備える。マーカ22は、少なくともインクタンク、作動機構、インク吐出機構を備え、所定の位置に向けて点状(小円状)にインクを吐出する噴射式のインク吐出装置である。第1のマーカ23は、前輪21aの後方に前輪21aと近接して配置され、凹凸レベル情報出力部13の制御に従って、ターゲット測定位置に対応する位置に、凹凸レベル情報をマーキングする。第2のマーカ24は、打音検査部25の後方に、打音検査部25に近接して配置され、打音検査結果出力部16の制御に従って、打撃位置と対応する位置に打音検査結果をマーキングする。第1のマーカ23は複数の色のインクを吐出可能に構成されており、第2のマーカ24は、第1のマーカ23とは異なる色のインクを吐出可能に構成されている。
【0022】
第1のマーカ23と第2のマーカ24は、そのマーキング領域A
1,A
2が進行方向である前後方向に直交する左右方向にずらされて配置されている。
図3(B)には、検査面におけるマーキング領域A
1,A
2に対応する位置を破線で示している。この結果、検査面における第1のマーカ23によるマーキングと、第2のマーカ24によるマーキングが、進行方向の同じ位置にあった場合でも重ならないようになっている。
【0023】
打音検査部25は、ソレノイドコイル26aおよび円柱状のハンマ26bを備える打撃部26と、集音部27とを備える。打撃部26は、ソレノイドコイル26aへの通電のON/OFFにより、所定の周期で反復してハンマ26bを上下動し、検査面を打撃する。集音部27は、いわゆるマイクであり、ハンマ26bによる打音を集音して制御演算部10に出力する。打音検査部25は、ポール1bと、前後方向に整列して配置されており、検査装置1の幅方向の寸法が増大しないようになっている。ターゲットTと打音検査部25は、進行方向である前後方向に整列して設けられている。
【0024】
ターゲットTと、ターゲットTの真下にある前輪21aの接地点R、および、ハンマ26bの打撃位置の位置関係は既知とされている。
【0025】
移動距離・速度センサ28は、例えば走行部21の後輪21bに設けられたロータリエンコーダを含み、後輪21bの回転数から検査装置1の移動距離を検出する。また、後輪21b回転の角速度から速度を検出する。あるいは、移動距離・速度センサ28は、航法衛星の航法信号に基いて自位置を検出可能な、GNSS装置を用いて自位置を測定し、移動距離と速度を検出可能としてもよい。あるいは、座標取得部11で得られる、検査装置位置座標に基いて検査装置の移動距離および速度を検出可能としてもよい。
【0026】
傾斜センサ29は、電子式のチルトセンサであり、筐体1a内、またはターゲットT近傍にX軸方向(装置本体の左右方向)、Y軸方向(装置本体の前後方向)の2軸に関して設けられている。傾斜センサ29は、測量機6によるターゲットTの測定のタイミングと同期されたタイミングでターゲットTの傾斜を検出し、検出結果を制御演算部10に出力する。
【0027】
表示部31は、例えば液晶ディスプレイである。操作部32は、例えば、キーボード、マウス等であり、作業者による種々の入力・選択・指示・決定等を可能にする。図示の例では、表示部31と、操作部32がタッチパネルディスプレイとして、一体に構成され、着脱可能なディスプレイとして、筐体1aの上部のホルダ1cに取り付けられている。これに限らず、筐体1aの外面に一体的に構成されていてもよい。
【0028】
記憶部33は、補助記憶装置としての不揮発性のストレージである。記憶部33は、例えばHDD(Hard・Disc・Drive)、SSD(Solid・State・Drive)である。また、記憶部33の一部をUSBフラッシュメモリ等の外部記憶装置で構成してもよい。記憶部33は、制御演算部10の各機能部がソフトウェア的に実装されている場合には、少なくとも各機能部の機能を実行させるためのプログラムが記憶している。
【0029】
通信部34は、検査装置1および測量機6との間で無線での情報の送受信を可能とする。通信手段としては、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)、赤外線通信、インターネット、携帯電話通信網等を用いることができる。
【0030】
インジケータ35は、移動距離・速度センサ28の検出結果に基づいて、作業者が検査装置1を適切な速度範囲で走行させていることを表示する。例えばLED光源と、カバーを備え、検査装置1の速度が適切な範囲である場合に緑色に発光する。
【0031】
制御演算部10は、少なくともCPU(Central・Processing・Unit)およびメモリを備える。CPUが記憶部に記憶される各種プログラムをメモリに読み出して実行する。制御演算部10は、特許請求の範囲に記載する、凹凸レベル検査装置の制御部に相当する。制御演算部10は、機能部として、座標取得部11、凹凸レベル判定部12、凹凸レベル情報出力部13、打音検査制御部14、打音判定部15、打音検査結果出力部16とを備える。
【0032】
座標取得部11は、検査装置1の基本動作として、測量機6で取得されるターゲットTの3次元位置座標(以下、「ターゲット位置座標」という。)を所定の間隔で取得して、検査装置1の3次元位置座標(以下、「検査装置位置座標」という。)を算出する。取得した座標は記憶部33に記憶される。具体的には、検査装置1の位置座標は、取得されたターゲット位置座標と、傾斜センサ29の検出値と、ターゲットTから接地点Rまでの距離L(既知)とから求めることが可能である。検査装置位置座標の高さ成分(z軸成分)が、検査装置1の高さとして算出される。
【0033】
凹凸レベル判定部12は、凹凸レベル判定の基準となる基準高さを設定し、座標取得部11で取得する検査装置の位置座標からその高さ成分(z成分)を測定位置における検査面の高さとして算出する。基準高さは、作業者により予め入力可能となっていてもよい。所定の基準高さが規定されている場合には、当該基準高さを入力して設定する。また、基準高さは、検査開始前に、現場の基礎立ち上がり高さを巻き尺等で複数点測定し、例えば、その平均値、中央値、または最頻値を代表値として基準高さとして入力して設定することも好ましい。あらかじめ、基準高さを設定しない場合は、検査開始点における検査装置1の高さを基準高さとして設定する。
【0034】
凹凸レベル情報出力部13は、第1のマーカ23を制御して、判定された凹凸レベルに対応する凹凸レベル情報を検査面の対応する位置に印刷(マーキング)する。
【0035】
打音検査制御部14は、打撃部26および集音部27を制御して、打音検査を実行する。
【0036】
打音判定部15は、打音の違いから検査面の異常を判定し、異常である場合に、第2のマーカ24を制御して、異常を示すマークを検査面の打撃位置に対応する位置に印刷(マーキング)する。ここで、異常とは、天端レベラーに剥がれや亀裂があったり、接着不良により浮きがあったりする場合をいう。異常な場合、天端レベラーに異常がなく正常に積層された場合とは打音の波形や周波数が異なる。打音判定部15は、例えば、様々な天端の打音の正常、異常をラベリングした学習データを用いて機械学習し、打音の正常/異常を判定する学習済みモデルを用いて検査面の正常/異常を判定するようになっている。
【0037】
また、例えば、現場において、検査開始前に正常な場合の打音を登録し、正常な場合の打音から逸脱した打音が検出された場合に、異常を判断するようになっていてもよい。
【0038】
打音検査結果出力部16は、打音判定部15で異常が判断された場合に、検査面に打音検査結果をマーキングする。
【0039】
これら機能部の機能は、回路、プログラマブルロジックデバイスのハードウェア的に実装されていてもよく、プログラムによりソフトウェア的に実装されていてもよい。プログラムで実装される場合には、これらのプログラムは、CD(Compact・Disc),DVD(Digital・Versatile・Disc),Blu-ray(登録商標)ディスク等のコンピュータ読取可能な記憶媒体に記憶されて流通するようになっていてもよい。
【0040】
3. 測量機6
測量機6は、自動追尾機能を有するモータドライブトータルステーションである。測量機6は、外観上、整準器の上に設けられた基盤部6a、基盤部6a上を水平回転する托架部6b、托架部6bの中央で鉛直回転する望遠鏡6c、托架部6bの前面に設けられた表示部77および操作部78を有する。
【0041】
測量機6は、制御演算部60、測距部71、水平角検出器72、鉛直角検出器73、水平回転駆動部74、鉛直回転駆動部75、自動追尾部76、表示部77、操作部78、記憶部79、および通信部81を備える。
【0042】
測距部71は、赤外レーザ等の測距光をターゲットTに向けて射出し、反射光を受光することによりターゲットTを測距する。
【0043】
水平角検出器72は托架部6bの水平方向の回転角を、鉛直角検出器73は望遠鏡6cの鉛直方向の回転角を検出する。これにより、測距光の光軸の角度、すなわちターゲットTの角度を測定する。水平回転駆動部74と鉛直回転駆動部75は、制御演算部60に制御されて、それぞれ水平回転軸と鉛直回転軸を駆動するモータである。
【0044】
自動追尾部76は、測距光とは異なる波長の赤外レーザ等を追尾光として出射して反射光をCCDセンサ又はCMOSセンサ等のイメージセンサで受光し、追尾光を含む風景画像と追尾光を除いた風景画像を取得する。制御演算部60が、両画像の差分からターゲットTの位置を検出し、望遠鏡6cが常にターゲットTの方向を向くように、自動追尾する。
【0045】
表示部77と操作部78は、測量機のユーザインタフェイスであり測量作業の指令・設定や作業状況および測定結果の確認などが行える。
【0046】
記憶部79は、例えば、メモリカード、HDD等によって構成される。記憶部79は、測量機6の測距プログラムをはじめとする各種機能を実現するための各種プログラムを記憶している。また、制御演算部60が取得した各種情報を記憶する。
【0047】
通信部81は、検査装置1との間で同じ方式の無線通信を可能とする。制御演算部60の制御下において算出されたターゲット位置座標が、所定の間隔でコントローラ4に送信される。
【0048】
制御演算部60は、CPU,ROM,RAM等を集積回路に実装したマイクロコントローラであり、回転駆動部74,75の制御、測距部71および自動追尾部76の制御を行う。また、制御演算部60は、ターゲットTの測距および測角結果から、ターゲット位置座標を算出する。制御演算部60は、ターゲットTを自動追尾し、検査装置1の指示に従って、常時(非常に短い所定の間隔で)、ターゲットTを測距・測角し、ターゲット位置座標を検査装置に送信する。
【0049】
なお、測量機6は、トータルステーションに限らず、自動追尾機能およびターゲットスキャン機能を備えるスキャナ装置等、ターゲットの3次元位置座標を取得可能な種々の測量装置を適用することが可能である。
【0050】
4.検査方法
次に、システムSを用いた検査方法を説明する。まず、システムSの基本動作について説明する。システムSは、基本動作として、検査中、
図4の処理を実行している。
【0051】
測量機6は、ステップS01で自動追尾をしながら、ステップS02で、ターゲットTを測距・測角する。次に、ステップS03で、測量機6は、ターゲット位置座標を算出し、ステップS04で、ターゲット位置座標を検査装置1に送信する。そして、ステップS05で、検査装置1を介して作業者の指示により終了が指示されるまで、常時ステップS01~S05を繰り返す。
【0052】
一方、検査装置1は、作業者の指示により検査を開始すると、ステップS06で、測量機6のターゲットTの測距・測角と同期したタイミングで、傾斜センサ29が検出値を制御演算部に出力する。ステップS07で、ターゲット位置座標を測量機6から受信すると、ステップS08で、検査装置位置座標を算出する。ステップS09で作業者により終了が指示されるまで、常時ステップS06~S09を繰り返す。
【0053】
図5は、本検査方法全体の作業手順を説明するフローチャートである。検査を開始すると、まず、ステップS11で、作業者により、測量機6が器械点に設置される。器械点は、既知点であるか、測量機6設置後に既知点を測定することにより既知とされる。また、測量機6は、複数の既知点を測定して方向角が既知とされる。次に、ステップS12で、作業者は、検査装置1を開始点に設置する。
【0054】
次に、ステップS13で、作業者の指示により、測量機6が、開始点に設置した検査装置1のターゲット位置座標を測定し、上記基本動作と同様に、検査装置位置座標を取得する。次に、ステップS14で、後述するように、検査装置1は基準高さを設定する。
【0055】
次に、ステップS15で、作業者の指示により、測量機6に自動追尾を開始させる。次に、ステップS16で、作業者の指示により、検査装置1が、測量機6に検査開始を指示すると、検査装置1および測量機6は、
図4の基本動作を開始する。
【0056】
そして、ステップS17で作業者は、検査装置1を手で押して検査装置1の走行を開始する。
【0057】
ステップS18で、検査装置1は、検査面の凹凸レベルを検査すると同時に、ステップS19で、検査面の打音検査を実行する。そして、ステップS20で作業者の指示により検査終了が指示されると、検査が終了する。
【0058】
なお、検査ルートにおいて、直線部分が終了し、方向転換が必要な場合には、作業者は、検査装置1を持ち上げて方向転換して再度検査ルートに載置する。検査装置1が接地していない間、処理が中断し、再度接地したときにステップS17から再開する。処理の中断の判断は、例えば、移動距離・速度センサの値の変動がなくなったときに行うようにしてもよい。あるいは、別途、筐体1aの底面に浮き検知センサを設け、検査装置が持ち上げられて接地しなくなったときに行うようにしてもよい。
【0059】
図6,7,9は、それぞれステップS14,S18,S19における検査装置1の詳細な処理のフローチャートである。
【0060】
図6に示すように、ステップS14が開始すると、ステップS21で、凹凸レベル判定部12は、予め設定された基準高さの有無を判定する。Yesの場合、凹凸レベル判定部12は、その値を基準高さに設定する。Noの場合、ステップS13で取得した検査装置の位置座標から開始点における検査面の高さを算出し、その高さを基準高さとして設定し、ステップS15に移行する。
【0061】
図7に示すように、ステップS18で、凹凸レベル検査を開始すると、ステップS31で、凹凸レベル判定部12が、移動距離・速度センサ28の出力値に基いて、検査装置1が所定距離(例えば3cm)走行したかを判断する。そして、検査装置1が所定距離走行した場合(Yesの場合)、ステップS32で、凹凸レベル判定部12がその位置でのターゲット3次元座標に基いて検査面の高さを算出する。
【0062】
次に、ステップS33で、凹凸レベル判定部12は、算出した検査面の高さと基準高さを比較して凹凸レベルを判定する。次に、ステップS34で、凹凸レベル情報出力部13は、現在高さと基準高さとの差の大きさに対応した印刷(マーキング)を第1のマーカ23に指令する。これにより、ステップS35では、第1のマーカ23が、凹凸レベル情報を示すマーキングを検査面に印刷する。そして、ステップS36で、検査の終了の指令があるまで、ステップS31~36を繰り返す。
【0063】
図8(B)は、
図8(A)に示す、基礎立ち上がり91の天端を、検査ルート93に沿って移動させて検査した場合の、検査面に印刷したマーキングM
1の例である。マーキングM
1は凹凸レベル検査結果を示す。基礎立ち上がり91の中央には、複数のアンカーボルト92が鉛直に突出している。
【0064】
図8(B)に示すように、本例において、凹凸レベル情報を示すマーキングM
1は、基準高さとの差が、±1mmの場合は、印なし、+1~3mmの場合は、ピンク色の印、+3~5mmの場合は、赤色の印、-1~-3mmの場合は水色の印、―3~-5mmの場合は、青色の印というように、基準高さとの差の大きさのレベルに応じて異なる色で表される。あるいは±1mmの場合は、白色の印として印されてもよい。ここでは、±1mmが、求められる天端レベルの精度の範囲とする。また、ここでは便宜的に、正の値は基準高さよりも高くなっている場合の、負の値は基準高さよりも低くなっている場合の差を示す。印の色は、所定のルールに従って、割り当てられていればよいが、基準高さと同じ場合を0として、白色またはマークせずとし、その差の大きさに従って濃色となる双極色相とすることが好ましい。また、開始点の高さを基準高さとし、基準高さが全体においてどのようなレベルかが不明である場合は、基準高さとの差が、大きくなる(負の値から正の値に向かう)につれて濃色となる単色相を用いると直感的に、凹凸レベルを認識できるので好ましい。
【0065】
このように、本実施の形態では、凹凸レベル情報を現在の高さと基準高さとの差の大きさに応じて表示するようにしたので、専門家ではない、一般の施主等でも、表面の凹凸レベルを視覚的に認識することが可能となる。
【0066】
また基準高さとの差が所定の基準を満たす範囲内の場合はマーキングをせず、基準を満たさない範囲をその大きさに応じて異なる色で示すようにしたので、基準を満たさない範囲を容易に認識することが可能となる。
【0067】
さらに、基準高さとの差が、正である場合と、負である場合を異なる系統の色で示すことにしたので、その位置で塗り足し、削り取りのどちらの作業が必要であるかを容易に認識することができる。
【0068】
図9に示すように、ステップS19で、打音検査が開始すると、ステップS41で、打音検査制御部14は、打撃部26を制御してハンマ26bの打撃を開始するとともに、ステップS42で集音部27を制御して、打音の収集を開始する。収集された打音は、打音位置座標と関連づけられて順次打音判定部15に出力される。
【0069】
そして、ステップS43で、打音判定部15が、異常の有無を判定する。異常がある場合(Yes)、ステップS44に移行して、打音判定部15は、対応する位置にマーキングを印刷するように、第2のマーカ24に指令する。そして、ステップS44で、第2のマーカ24はインクを吐出して、打音検査結果を印刷する。そして、ステップS45で、検査の終了の指令があるまで、ステップS41~46を繰り返す。
【0070】
図8(C)は、凹凸レベル情報を示すマーキングM
1に加えて、打音検査結果のマーキングM
2を印刷した検査面の例を示す。打音検査結果は、黄色等、凹凸レベル情報とは異なる系統の色の印として示されるようになっている。あるいは蛍光色の印として示されるようになっていてもよい。このように、本実施の形態によれば、現場において、凹凸レベルに加えて、表面状態の打音検査結果を容易に視覚的に認識することが可能となる。
【0071】
天端レベラーは、性質上、乾燥する際に収縮して、ひび割れや剥がれを生じる場合がある。ひび割れや剥がれが生じたとしても、水平であれば問題はない。一方、ひび割れを生じることにより、凹凸となる場合もある。専門家である職人は、このような事情を把握している。しかし、現場を見学に来る施主等の一般人にとって、ひび割れは出来栄えの印象を著しく悪くするので、トラブルが生じる場合がある。本実施の形態では、剥がれ等があることを印で示したうえで、凹凸レベルに問題がないことを同時に示すことができるので、剥がれを不安視する施主等を安心させることが可能となる。
【0072】
尚、本実施の形態において、第1のマーカ23および第2のマーカ24のマーキング領域は、高さ測定位置および打撃位置に隣接して配置されるが、一致していないので、マーキング位置は、検査位置とは若干のずれが生じる。しかし、本検査の後、実際に塗り足しや削り取りを行う場合には、現場の職人が、異常が検出された位置周辺を改めて詳細に検査するため、実用上は問題ない。
【0073】
しかし、移動距離・速度センサ28により検出される移動速度に応じて、マーキングのタイミングを調整することで高さ測定位置および打音検査位置に対するマーキングの位置精度を向上させることが可能となる。
【0074】
5.変形例
本実施の形態に係る検査装置1には以下のような変形を加えてもよい。
変形例1 例えば、第1のマーカ23を所定の図形を複数の色で印刷可能なスタンプ、第2のマーカ24を第1のマーカの図形とは異なる図形を印刷可能なスタンプとして構成する。例えば、
図10(A)に示すように、凹凸レベル情報を三角形の印、打音検査結果を×印のスタンプで、マーキングM
3,M
4のように示してもよい。
【0075】
変形例2 第1のマーカ23をインクジェットプリンタとして構成し、
図10(B)に示すように凹凸レベル情報を示し印(矢印)とともに検査面の高さと、基準高さとの差を数値として表示するマーキングM
5のように示してもよい。
【0076】
(第2の実施の形態)
1.検査システムSA
図11は、第2の実施の形態に係る凹凸レベル検査システムSAの外観概略図であり、
図12は構成ブロック図、
図13(A)は側面図、
図13(B)は底面図である。
【0077】
2.検査装置1A
検査装置1Aの筐体1Aaは、検査装置1の筐体1aが断面矩形の直方体状であるのに対して、一方の側面から下方に延在する吸着部37を備え、断面逆L字状となっている。また、検査装置1が手動で走行可能なのに対して、検査装置1Aは、走行駆動部36を備え、自動で走行可能である。また、検査装置1Aは、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi等の近距離無線通信SWC(Short-range・Wireless・Communication)で接続されたコントローラ4により、操作される。
【0078】
検査装置1Aの走行部21Aは、1つの前輪21Aaと、左右1対の後輪21Abとを備える。前輪21Aaは、ボールキャスターである。後輪21Abにはそれぞれモータである走行駆動部36が接続されており、後輪21Abの回転を制御することで、検査装置1は前後に走行可能である。また、走行部21Aは、走行駆動部36により駆動されていない場合には、手動により前後に走行可能となっている。
【0079】
検査装置1の前輪21aが、ターゲットTの直下にあるのに対して、検査装置1Aにおいて、ターゲットTの直下には、第1のマーカ23Aの中心が一致するようになっている。第1のマーカ23Aは前後方向に整列して近接するように配置されている。このようにすることで、第1のマーカ23Aは、ターゲットTの測定位置にマーキングすることが可能となっている。
【0080】
吸着部37は、吸着本体37aと、スカート37bと、ダクトホース37cとを備える。吸着本体37aは、中央に吸引ファン37d備える矩形のプレートである。スカート37bは、吸着本体37aの外周を囲うように設けられ、検査装置1Aの内方に向かって延在している。スカート37bは、所定の摩擦係数を有するゴム等の弾性部材からなり、検査装置1Aが、
図11のように上方へ突出した構造体(基礎立ち上がり91)の外縁部に沿って設置されたときに、構造体の側壁に密着するようになっている。ダクトホース37cは、吸着本体37aの外面に、吸引ファン37dを覆い、排気口が後方に向かうように取り付けられている。
【0081】
制御演算部10Aは、機能部として走行制御部17および吸着制御部18をさらに備える。走行制御部17はコントローラの遠隔操作指示に従って、走行駆動部36を駆動し、検査装置1Aを一定速度で前進、後退するように制御する。
【0082】
吸着制御部18は、吸引ファン37dの駆動を制御し、吸着本体37a、スカート37bおよび構造体の側壁91aで画成される空間の空気を、ダクトホース37cを介して外部に排気して、前記空間を所定の負圧に維持するようになっている。このようにして、検査装置1Aは、構造体の側壁に吸着ながら天端の外縁に沿って脱落することなく走行可能となっている。
【0083】
3.コントローラ4
コントローラ4は、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、PDA等のコンピュータである。コントローラ4は、少なくとも制御演算部40、表示部51、操作部52、記憶部53を備える。図示の例では、タブレット端末である。検査装置100とコントローラ4は、上述した近距離無線通信SWCで接続されており、相互に情報の入出力が可能である。
【0084】
表示部51は、例えば液晶ディスプレイである。操作部52は、例えば、キーボード、マウス等であり、種々の入力・選択・決定、指示を可能にする。図示の例では、表示部51と操作部52がタッチパネルディスプレイとして、一体に構成されている。
【0085】
記憶部53は、いわゆる補助記憶装置であり、例えば、例えばHDD,SDDである。また、記憶部53の一部をUSBフラッシュメモリ等の外部記憶装置で構成してもよい。記憶部53は、少なくとも、検査装置1Aを操作するためのプログラムを記憶する。
【0086】
制御演算部40は少なくともCPUおよびメモリを備え、CPUが記憶部53に記憶されたプログラムをメモリに読み出して実行する、制御演算ユニットである。制御演算部40は、機能部として、装置操作部41を備える。装置操作部41は、操作部52を介して入力される作業者の指示により、検査装置1Aの発進、前進、後退、停止を制御する。
【0087】
なお、検査装置1Aは、表示部31および操作部32を省略して、表示部31、操作部32の機能をコントローラ4の表示部51、操作部52が実行するように構成し、コントローラ4を検査装置1Aのホルダ1cに取り付けて使用するように構成されていてもよい。
【0088】
4.検査方法
システムSAを用いた検査方法の手順および処理は、おおむねシステムSと同様であるが、検査ルートの直線部分では、コントローラからの指示により自動走行させて検査を実行する。
【0089】
上記構成によれば、走行駆動部36を用いて、自動で走行させて、検査面上を凹凸レベルの検査および打音検査することができるので、作業の効率を向上することが可能となる。
【0090】
特に、側面に沿って吸着部37を設け、検査面から下方に延在する側壁に吸着しながら、走行可能としたので、基礎立ち上がりの天端のような幅細で、立ち上がった構造体の天端の凹凸レベルを検査するのに有利である。
【0091】
上記第1のおよび第2の実施の形態に係る凹凸レベル検査装置は、凹凸レベル検査と打音検査の2つの検査を同時に実行するように構成されている。しかし、これに限らず凹凸レベル検査モード,打音検査モードの2つのモードを備え、どちらか一方のみを実行するように構成されていてもよい。
【0092】
以上、本発明の好ましい実施の形態について述べたが、上記の実施の形態は本発明の一例であり、これらを当業者の知識に基づいて組み合わせることが可能であり、そのような形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0093】
1 :凹凸レベル検査装置
22 :マーカ
23 :第1のマーカ
24 :第2のマーカ
25 :打音検査部
26 :打撃部
26b :ハンマ
27 :集音部
1A :検査装置
1Aa :筐体
10A :制御演算部
21A :走行部
23A :第1のマーカ
L :距離
T :ターゲット