(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023050540
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】学習支援システム、学習支援プログラム及び学習支援方法
(51)【国際特許分類】
G09B 7/02 20060101AFI20230404BHJP
G06Q 50/20 20120101ALI20230404BHJP
【FI】
G09B7/02
G06Q50/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021160695
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】591139138
【氏名又は名称】株式会社新学社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 里映
【テーマコード(参考)】
2C028
5L049
【Fターム(参考)】
2C028AA02
2C028BA05
2C028BB04
2C028BC01
2C028BC02
2C028BD02
5L049CC34
(57)【要約】
【課題】生徒が漢字等の文字や単語に興味を持ちながらこれらを習得できるようにし、その学習効率や意欲を向上させる。
【解決手段】単文字または一連文字の画像データを取得する画像データ取得部31と、該画像データを解析してそこに含まれる単文字または一連文字を特定する文字等特定部32と、該文字等特定部32により特定された単文字または一連文字に関連する練習問題を画面に表示する練習問題表示部33を備えるようにした。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単文字または一連文字の画像データを取得する画像データ取得部と、
該画像データを解析してそこに含まれる単文字または一連文字を特定する文字等特定部と、
該文字等特定部により特定された単文字または一連文字に関連する練習問題を画面に表示する練習問題表示部と、を備えることを特徴とする学習支援システム。
【請求項2】
撮像手段をさらに備え、前記画像データ取得部が、前記撮像手段によって撮像された単文字または一連文字の画像データを取得する請求項1記載の学習支援システム。
【請求項3】
前記練習問題が表示された画面には、当該単文字または一連文字の筆記入力を受け付ける筆記入力欄が設けられている請求項1または2記載の学習支援システム。
【請求項4】
前記単文字が漢字である請求項1、2または3記載の学習支援システム。
【請求項5】
単文字または一連文字の画像データを取得する画像データ取得部と、
該画像データを解析してそこに含まれる単文字または一連文字を特定する文字等特定部と、
該文字等特定部により特定された単文字または一連文字に関連する練習問題を画面に表示する練習問題表示部と、としての機能をコンピュータに発揮させることを特徴とする学習支援プログラム。
【請求項6】
単文字または一連文字の画像データを取得するステップと、
該画像データを解析してそこに含まれる単文字または一連文字を特定するステップと、
該文字等特定部により特定された単文字または一連文字に関連する練習問題を画面に表示するステップと、をコンピュータに行わせることを特徴とする学習支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末などを用いた学習支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
小中学校などでの教育において、従来は紙ベースのドリルやプリント(以下、紙教材ともいう。)が用いられている。
【0003】
このような紙教材には練習問題があり、例えば、漢字学習であれば、習得すべき漢字が読み方や意味、筆順などとともに表記された手本欄と、複数のマス目が表記された練習欄とが設けてある。そして生徒は、手本欄の漢字を見ながらこれを練習欄のマス目に実際に筆記することにより、漢字の書き方や読み方を習得する。
【0004】
他方、特許文献1に示すように、近時ではタブレットなどの携帯端末を用いた授業が取り入れられつつある。そこでは、紙教材ではなく、携帯端末用のデジタルベースの教材(以下、デジタル教材ともいう。)が用いられている。
【0005】
デジタルベースの漢字ドリルを例にとって説明すると、これは前記紙ベースのドリルとはやや異なり、習得すべき漢字が一覧表記された一覧画面がまず表示され、その一覧の中から一つの漢字を選択すると、その選択された漢字の練習画面、すなわち、その漢字の手本欄と練習欄とが設けられた練習問題画面に遷移し、そこに表示されたマス目にタッチペン等を使って漢字を記載する構成となっている。
【0006】
しかしながら、漢字を学習する前に学ぶ漢字を探すという目的においては、似た形の漢字との区別がつきづらく、一覧画面での選択に労力を要する。例えば、同単元内で提出されることの多い「崎」「埼」などを、学習前の生徒が一覧表のみから確実に区別して選択することは難しい。
また、生徒は、漢字について、見た目のみならず意味や用例にも興味を持っており、その興味を持った漢字から先に練習したいという場合がある。このような場合、前述したような一覧画面からでの選択では、意味や用例などはわからないので、生徒からみれば、機械的で無味乾燥な印象が生じ、そのために学習意欲が低下する恐れすらある。
しかして、上述した問題点は、漢字のみならず平仮名やカタカナ、アルファベット文字、あるいはこれら文字を一連で並べた単語(用語も含む。)等の習得にも共通する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであって、携帯端末等の機能を活用することにより、生徒が文字や単語等を適切に選択でき、かつこれらに興味を持ちながら学習できるようにして、生徒の学習効率や意欲を向上させることを主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明に係る学習支援システムは、単文字または一連文字の画像データを取得する画像データ取得部と、該画像データを解析してそこに含まれる単文字または一連文字(以下、これらを文字等ともいう。)を特定する文字等特定部と、該文字等特定部により特定された文字等に関連する練習問題を画面に表示する練習問題表示部とを備えることを特徴とする。
【0010】
より具体的には、撮像手段をさらに備え、前記画像データ取得部が、前記撮像手段によって撮像された単文字または一連文字の画像データを取得するものが好ましい。
【0011】
このようなものであれば、例えば、タブレット等に付帯するカメラによって文字等を撮像すれば、その文字等に対応する練習問題が表示されるという、今までにはないアプローチなので、生徒にとってみればこのアプローチ自体に新鮮味を覚えるうえ、例えば、文字等そのものから選択するだけではなく、その意味や書き順が記載された紙ドリルや書籍における文章中の文字等のように、その周辺の情報において興味をもった文字等を確実に選択でき、かつ、その選択した文字等に関する練習問題が表示されるので、学習意欲や効率の大幅な向上を期待できる。
また、例えば、紙教材と連動させる場合において、本学習支援システムは、当該紙教材に表記された文字等を直接読み取って、それに関連する練習問題を表示するので、紙教材自体に、何ら変更を加える必要はない。すなわち、紙教材において、対象となる文字等を認識させるための2次元コードやマークなどを付加する必要が全くない。
したがって、紙教材の紙面レイアウトや表記文字数等を、前述した2次元コードなどによって制約されることなく、従来通りとすることができる。さらに、学齢の低い生徒にとっては、上述した2次元コードを直感的に理解するのが難しい場合があるところ、本発明のように文字等を直接認識する構成であれば、直感的な選択、操作がしやすいという利点もある。
【0012】
本発明の効果が特に顕著となる実施態様としては、前記練習問題が表示された画面には、当該単文字または一連文字の筆記入力を受け付ける筆記入力欄が設けられているものを挙げることができ、特に、前記単文字が漢字であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
このように構成した本発明によれば、生徒が漢字等の文字や単語を、興味を持ちながら習得でき、その学習効率や意欲を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態における学習支援システムの全体構成図。
【
図2】同実施形態における学習支援システムの機能ブロック図。
【
図3】同実施形態の生徒用端末に表示される初期画面。
【
図4】同実施形態の生徒用端末に表示される撮像モード画面。
【
図5】選択すべき漢字が表記された紙ベースの漢字ドリルの例示図。
【
図6】同実施形態の生徒用端末に表示される練習問題画面。
【
図7】同実施形態の生徒用端末に表示される練習問題画面。
【
図8】同実施形態の生徒用端末に表示される練習問題画面。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0016】
本実施形態の学習支援システム100は、
図1に示すように、生徒が用いる生徒用端末1と、教師が用いる教師用端末2と、これらにインターネット等の通信ネットワークNを介して接続されたサーバ3とを備えており、前記生徒用端末1にデジタル版の漢字学習ドリルを表示するとともに、生徒が自身の生徒用端末1上で漢字を学習した結果を教師用端末2に送り、教師による生徒の学習管理や添削を教師用端末2上でできるようにしたものである。
以下に、学習支援システム100について詳述する。
【0017】
前記生徒用端末1及び教師用端末2は、例えばタブレットやスマートフォンなどと称される携帯型コンピュータであり、CPU、メモリなどの他に、前記通信ネットワークNに無線または有線で接続するための通信ポート、タッチパネル型ディスプレイ、撮像手段たるカメラなどを一体に備えたものである。なお、これら生徒用端末1及び教師用端末2は、ディスプレイやキーボード、カメラなどが本体とは別に設けられて通信可能に接続された所謂デスクトップ型のコンピュータなどでも構わない。
サーバ3は、CPU、メモリ、通信ポートなどを備えたコンピュータである。
【0018】
しかして、この学習支援システム100においては、前記各端末1、2及びサーバ3が通信しながら協動することにより、
図2に示すように、
(1)生徒が自身の端末に付帯するカメラによって撮像した漢字の画像データを取得する画像データ取得部31、
(2)この画像データに基づいて撮像された漢字を特定する文字等特定部32、
(3)前記文字等特定部32によって特定された漢字の練習問題を示すデータである練習問題データをメモリに格納された練習問題格納部D1から取得し、この練習問題データが示す練習問題を当該生徒用端末1のディスプレイに表示する練習問題表示部33、
(4)ディスプレイに表示された練習問題の解答を受け付け、その解答を示す解答データを教師用端末2に送信する解答受付部34、
等としての機能を発揮する。
【0019】
次に、この学習支援システム100の動作を、前記各部の説明を兼ねて詳述する。
生徒用端末1のディスプレイには、デジタル漢字ドリルとして、
図3に示すような初期画面が表示される。この初期画面では、漢字を覚えるために「一覧表から選ぶ」と「カメラでとって選ぶ」の2つの選択欄が設けられており、その他に確認のための「単元を選ぶ」という選択欄が設けられている。
【0020】
この実施形態での特徴は、この「カメラでとって選ぶ」欄(なお、これが請求項でいう撮影モード遷移欄の一例である。)を選択した場合にあり、以下では、この「カメラでとって選ぶ」欄を生徒がタップするなどして選択操作した場合について述べる。
【0021】
さて、生徒が前記「カメラをとって選ぶ」を選択操作すると、生徒用端末1は、カメラによる撮像が可能な撮像モードに遷移する。この撮像モードでは、例えば
図4に示すような所定の画面(以下、撮像モード画面ともいう。)が表示される。
【0022】
すなわち、この撮像モード画面には、カメラで覗いている画像が表示される枠状のファインダ画面1aと、撮像するためのシャッタボタン1bと、シャッタボタンの操作により撮像された漢字が表示される漢字表示欄1cと、漢字表示欄1cに表示された漢字が、生徒(操作者)の意図した漢字であることを確認するための確認ボタン1dが設けられている。
【0023】
生徒は、この撮像モード画面において、まず、被写体(ここでは、
図5に示すような紙ベースの漢字ドリルである。)に表記されている所望の漢字を、ファインダ画面1aをみながら、前記シャッタボタン1bを押下することにより撮像する。
このことにより、撮像された画像データがサーバ3に送信され、これを前記画像データ取得部31が受信して取得する。
【0024】
次に、前記文字等特定部32が当該画像データをOCR機能等によって解析し、漢字を特定した後、当該漢字を示す漢字データを生徒用端末1に送信し、前記撮像モード画面における漢字表示欄1cに当該漢字を表示する。
生徒は、この漢字が、自身の意図した漢字ではない場合、再度、当該撮像モード画面で被写体を撮像する。
他方、意図した漢字の場合には、前記確認ボタン1dをタップするなどして操作する。
【0025】
この操作がなされると、前記練習問題表示部33が、前記練習問題格納部D1を参照し、当該漢字に対応する練習問題データを抽出する。より具体的には、前記練習問題格納部D1には、予め、漢字(実際にはコード等の文字データ)に対して1又は複数の練習問題データが紐づけられており、前記練習問題表示部33は、文字等特定部32が特定した漢字データに紐づけられた練習問題データを抽出する。
そして、この練習問題表示部33は、抽出された練習問題データが示す練習問題を当該生徒用端末1のディスプレイに表示する。
その練習問題の例を
図6、
図7に示す。
【0026】
ここでは、複数種類の練習問題が用意してある。
例えば、
図6に筆記問題を示す。ここには筆記欄1dがあり、生徒はこの筆記欄にタッチペンや指で漢字を筆記することができる。
また、
図7に、送りがな問題を示す。ここでは、複数の送りがなが表記されていて、生徒はそのうちから正しい送りがなを選択することができる。
さらに、
図8に、筆順問題を示す。
【0027】
なお、
図6~
図8に例示した練習問題画面において生徒が解答し、解答終了ボタン1eを押すと、その解答データがサーバ3の解答受付部34に送られる。解答受付部34は、解答データの内容を自動的に判断し、当該練習問題画面にその判断結果を即座に反映する。
図6、
図7でいえば、符号1fで示す部分が判断結果である。
さらに解答受付部34は、この解答データや学習の進捗を前記教師用端末2に送信し、教師が生徒の学習を管理できるようにする。
【0028】
他方、この練習問題画面には、
図7、
図8に示すように、次の漢字を選択するボタン1gがあり、このボタンを生徒が操作すると、予め定めた順で自動的に次の漢字が選ばれ、前記同様の手順で、漢字の筆記等を練習・習得できるようにしてある。
【0029】
しかして、上述した構成によれば、例えば、カメラによって文字等を撮像すれば、その漢字に対応する練習問題が表示されるという、今までにはないアプローチなので、生徒にとってみればこのアプローチ自体に新鮮味を覚えるうえ、例えば、漢字そのものを基準にして選ぶのではなく、その意味や書き順が記載された紙ドリルや書籍における文章中の文字等のように、その周辺の情報において興味をもった漢字を選択できるので、提示された練習問題に対する学習意欲や効率の大幅な向上を図れる。
なお、本発明は前記各実施形態に限られるものではない。
【0030】
例えば、カメラによる被写体は、紙ベースの漢字ドリルのみならず、新聞や書籍などに表記された漢字でも構わないし、他のディスプレイに表示された漢字でも構わない。
【0031】
前述した画像データ取得部31、文字等特定部32、練習問題格納部D1、練習問題表示部33、解答受付部34等の機能を、前記実施形態では、サーバ3に担わせていたが、これらの一部または全部を教師用端末2や生徒用端末1に設けてもよいし、さらにいえば、一つの機能部(例えば、文字等特定部32)の機能を複数の端末やサーバ3に分散させてもよい。逆にこれらをすべて、例えば生徒用端末1等の1つのコンピュータに集約してもよい。
対象となるのは漢字のみならず、平仮名やカタカナ、アルファベット文字、あるいはこれら文字を一連で並べた単語(熟語や英単語などの他に、社会や理科等で用いられる用語も含む。)等でもかまわない。
練習問題とは生徒による解答を要求するものであり、筆記問題のみならず、選択問題や文章問題などでもかまわない。
撮像手段たるカメラは、生徒用端末1と別体でもかまわないし、カメラが本学習支援システムの必須要件でなくともよい。すなわち、カメラを介さず、文字等の画像データを受け付けるようにしてもかまわない。
【0032】
前記練習問題画面に撮像モード移行ボタンを設け、この撮像モード移行ボタンの操作により撮像モード画面に直接移行できるようにすれば、初期画面に戻る手間なく、次々と漢字等を撮像してその練習問題を解くことができる。
前記実施形態では、漢字を撮像すると、その次に直接的に練習問題画面が表示されたが、例えば、文字等を撮像した次に、その文字等に関連する解説画面に移行し、その後、練習問題画面に移行するなど、撮像後、1または複数の別の画面に移行した後、練習問題画面に移行するようにしてもかまわない。
その他、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
【符号の説明】
【0033】
100・・・学習支援システム
31・・・画像データ取得部
32・・・文字等特定部
33・・・練習問題表示部