IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大一機材工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-折畳みコンテナ 図1
  • 特開-折畳みコンテナ 図2
  • 特開-折畳みコンテナ 図3
  • 特開-折畳みコンテナ 図4
  • 特開-折畳みコンテナ 図5
  • 特開-折畳みコンテナ 図6
  • 特開-折畳みコンテナ 図7
  • 特開-折畳みコンテナ 図8
  • 特開-折畳みコンテナ 図9
  • 特開-折畳みコンテナ 図10
  • 特開-折畳みコンテナ 図11
  • 特開-折畳みコンテナ 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023050556
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】折畳みコンテナ
(51)【国際特許分類】
   B65D 88/12 20060101AFI20230404BHJP
   B65D 6/18 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
B65D88/12 N
B65D6/18 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021160721
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】596027782
【氏名又は名称】大一機材工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(74)【代理人】
【識別番号】100141678
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 俊夫
【テーマコード(参考)】
3E061
3E170
【Fターム(参考)】
3E061AA05
3E061AB08
3E061AB09
3E061CA06
3E061CA25
3E170AA28
3E170DA07
3E170DA15
3E170KA07
3E170KB02
3E170KB05
3E170QA11
3E170VA20
3E170WE04
(57)【要約】
【課題】積み重ねるときの上下の折畳みコンテナの位置合わせが容易で、位置合わせに既存の部品を利用することができ、構造の簡素化を図ることができる折畳みコンテナを提供する。
【解決手段】底部フレーム20と、上部フレーム3と、底部フレーム20と上部フレーム3との間に、底部フレーム20及び上部フレーム3に対して回動自在に設けられた長手側板4と、底部フレーム20と上部フレーム3との間に、底部フレーム20に対して回動自在に設けられた短手側板5と、ベース部材2に設けられた固定キャスタ27と、を備え、上部フレーム3の所定の位置に、回動自在に矩形取手36を設け、矩形取手36を上部フレーム3に対して回動することで固定キャスタ27の上方に位置させ、別の折畳みコンテナ1を積み重ねたときに、回動した矩形取手36が積み重ねた別の折畳みコンテナ1の固定キャスタ27の車輪27aの車止めになる。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状の底部フレームを有するベース部材と、
前記ベース部材の上方に位置するとともに前記底部フレームと同形状の上部フレームと、
前記底部フレームと前記上部フレームとの間の長手側の側面に、少なくとも前記底部フレーム又は前記上部フレームに対して回動自在に設けられた長手側板と、
前記底部フレームと前記上部フレームとの間の短手側の側面に、少なくとも前記底部フレーム又は前記上部フレームに対して回動自在に設けられた短手側板と、
前記ベース部材に設けられたキャスタと、を備え、
前記上部フレームの所定の位置に、回動自在又は可倒自在に取手を設け、
前記取手を前記上部フレームに対して回動又は可倒することで前記キャスタの上方に位置させ、
別の折畳みコンテナを積み重ねたときに、回動又は可倒した前記取手が積み重ねた前記別の折畳みコンテナのキャスタの車輪の車止めになる、
ことを特徴とする折畳みコンテナ。
【請求項2】
前記長手側板は上下に分割されて上側の側板体と下側の側板体とを有し、
前記上側の側板体と前記下側の側板体とがヒンジを介して折畳み自在にされ、
短手側板は底部フレームに対して回動自在に支持され、折畳み自在にされた、
ことを特徴とする請求項1に記載の折畳みコンテナ。
【請求項3】
前記上部フレームの上部開口を覆う天板が設けられ、
前記天板が上部フレームにヒンジを介して回動自在に支持されている、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の折畳みコンテナ。
【請求項4】
前記側板体の枠体を構成するフレーム体同士が連結エルボを介して連結される、
ことを特徴とする請求項2に記載の折畳みコンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長手側板及び短手側板がベース部材の底部フレーム又は上部フレームに対して折畳み可能で、ベース部材にキャスタが設けられた折畳みコンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
折畳みコンテナは、長手側板及び短手側板が底部フレーム又は上部フレームに対して折畳み可能となっており、収納物を収納する場合には長手側板及び短手側板を組立て、収納物を収納しない場合には折畳み、さらにその上に別の折畳みコンテナを積み重ねることで、省スペース化を図ることができる。
【0003】
特許文献1は、折畳み式収納台車1(折畳みコンテナ)に関し、上側フレーム部30の四隅のコーナ部材33に上方へ伸びる手掛部材34を設け、下部の固定フレーム部19のコーナ部材13に受け部17を有するスペーサ部材16を設けたものが記載されており、下側の収納台車1に別の収納台車1を積み重ねるときは、下側の収納台車1の上記手掛部材34を上側の収納台車1の上記スペーサ部材16の受け部17に嵌合することで、積み重ねた上側の収納台車1の移動を阻止するようになっている。なお、特許文献1に記載の折畳み式収納台車1に関する各部の名称、符号は特許文献1に記載されたものをそのまま使用するものとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-23318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の折畳み式収納台車1にあっては、四隅のコーナ部材33、13に設けられた手掛部材34と受け部17とを嵌合するため、4箇所の位置合わせをしなければ、積み重ねる上側の収納台車1を下側に位置する収納台車1に対して正確に位置合わせする作業は容易でないという問題がある。
【0006】
特に特許文献1の収納台車1にあっては、折り畳む際に作業者が収納台車1内に手を入れて短手側板51に設けられた把手部55を引上げる構造であり、収納台車1の大きさは、最大でも全長(長手側板の長さ)120cm位、横幅(短手側板の長さ)80cm位、全高(キャスタを含めた高さ)60cm位の大きさと推定される。
【0007】
このような、大きさの収納台車1にあっては折畳み作業を1名の作業者でできたとしても、収納台車1を積み重ねるためには上述のように位置合わせが難しいため少なくとも2名の作業者でなければ行えないという問題もある。
【0008】
そこでこの発明は、積み重ねるときの上下の折畳みコンテナの位置合わせが容易で、しかも位置合わせに既存の部品を利用することができ、構造の簡素化を図ることができる折畳みコンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、矩形状の底部フレームを有するベース部材と、前記ベース部材の上方に位置するとともに前記底部フレームと同形状の上部フレームと、前記底部フレームと前記上部フレームとの間の長手側の側面に、少なくとも前記底部フレーム又は前記上部フレームに対して回動自在に設けられた長手側板と、前記底部フレームと前記上部フレームとの間の短手側の側面に、少なくとも前記底部フレーム又は前記上部フレームに対して回動自在に設けられた短手側板と、前記ベース部材に設けられたキャスタと、を備え、前記上部フレームの所定の位置に、回動自在又は可倒自在に取手を設け、前記取手を前記上部フレームに対して回動又は可倒することで前記キャスタの上方に位置させ、別の折畳みコンテナを積み重ねたときに、回動又は可倒した前記取手が積み重ねた前記別の折畳みコンテナのキャスタの車輪の車止めになる、ことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の折畳みコンテナにおいて、前記長手側板は上下に分割されて上側の側板体と下側の側板体とを有し、前記上側の側板体と前記下側の側板体とがヒンジを介して折畳み自在にされ、短手側板は底部フレームに対して回動自在に支持され、折畳み自在にされた、ことを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の折畳みコンテナにおいて、前記上部フレームの上部開口を覆う天板が設けられ、前記天板が上部フレームにヒンジを介して回動自在に支持されている、ことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の折畳みコンテナにおいて、前記側板体の枠体を構成するフレーム体同士が連結エルボを介して連結される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、上部フレームの所定の位置に、回動自在又は可倒自在に取手を設け、取手を上部フレームに対して回動又は可倒することでキャスタの上方に位置させ、別の折畳みコンテナを積み重ねたときに、回動又は可倒した取手が積み重ねた前記別の折畳みコンテナのキャスタの車輪の車止めになるようにしているので、上に積み重ねる折畳みコンテナのキャスタの車輪の車止めに取手を利用することができ、かつ、取手を利用することで、取手内への車輪の位置決めを容易に行うことができ、そのため、折畳みコンテナの積み重ね作業を作業者1名で行うことも可能にすることができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、長手側板を上下に分割して上側の側板体と下側の側板体とにし、上側の側板体と下側の側板体とをヒンジを介して折畳み自在にし、短手側板を底部フレームに対して回動自在に支持して、折畳み自在としたので、折畳み状態をコンパクトにことができるとともに折畳み作業の簡素化を図ることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、上部フレームの上部開口を覆う天板を設け、天板を上部フレームにヒンジを介して回動自在に支持したので、収納物を雨水から保護することができるとともに、収納するときは天板を開放して行うことができるため、収納作業を容易にすることができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、フレーム体同士が連結エルボを介して連結されるので、フレーム体同士を強固に連結することができるとともに、側板体の組み立て作業の効率性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】この発明の実施の形態に係る折畳みコンテナを示し、本図は正面図である。
図2】側面図である。
図3】平面図である。
図4】矩形取手を拡大して示し、(a)は正面図、(b)は側面図である。
図5】短手側板ロック手段の拡大図である。
図6図7図9とともに、折畳みコンテナの折畳み手順を説明するためのもので、本図は、コンテナが組み立てられている状態を示す。
図7】一方の長手側板を折り畳んだ状態を示す。
図8】折畳みが完了した状態を示す。
図9】折畳んだコンテナに別のコンテナを積み重ねた状態を示す。
図10図11及び図12ともに、側板体の具体的構造を示すもので、本図は正面図である。
図11】側板体の隅部を分解して示す拡大図である。
図12図10のXII-XII線に沿う拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。なお、折畳みコンテナ1の長手側板4が見える面を正面として説明する。
【0019】
図1図12は、本発明の実施の形態を図示したものであり、折畳みコンテナ1は、矩形状の底部フレーム20を有するベース部材2と、ベース部材2の上方に位置するとともに底部フレーム20と同形状の上部フレーム30と、底部フレーム20の対向する長手側枠体21と上部フレーム30の長手側枠体31との間に設けられた長手側板4と、底部フレーム20の対向する短手側枠体22と上部フレーム30の短手側枠体32との間に設けられた短手側板5とを備える。
【0020】
底部フレーム20には、左右で対向する長手側枠体21の中央部を連結する連結材23と前後で対向する短手側枠体22の中央部を連結する連結材23とが設けられ、これら各枠体21、22及び連結材23は例えばアルミニウム合金製の角状の中空状パイプ等により構成される。なお、底部フレーム20の四隅にはL字状に折り曲げられた補強金具20aがそれぞれ設けられ、補強金具20aの上端縁は底部フレーム20の上面より上方に突出されている。
【0021】
左右の2つの長手側枠体21には、その上面にこれとほぼ同じ断面形状で長さもほぼ同じ形状をした補助材24が取着されており、上記短手側板5が底部フレーム20に対して折り畳まれたときのスペースを確保するようになっている。
【0022】
底部フレーム20の各枠体21、22には底部フレーム20の内方に開口した深口のチャンネルの溝が枠体を構成する中空状パイプの一方の面に一体に形成されており、この溝に嵌るように底板25が取着されている。この底板25は、例えばプラダン(ダンプラと称する場合もある。)やテクセル(登録商標)などにより構成され、軽量化が図られている。なお、載置する荷物によってはメッシュ状の底板にすることもでき、この場合さらなる軽量化を図る事ができる。
【0023】
底部フレーム20の長手(前後)方向における両端部とほぼ中央部には長手側枠体21を下側から架け渡すように3つのキャスタ取付板26が設けられて上記ベース部材2が構成されている。
【0024】
ベース部材2の中央部のキャスタ取付板26の左右両端部に固定キャスタ27が、また、前後両端のキャスタ取付板26の短手(左右)方向における中央部には自在キャスタ28が取り付けられている。
【0025】
前後に左右それぞれ1つの自在キャスタ28が、また前後中央部の左右にそれぞれ1つの固定キャスタ27が設けられていることにより、作業者が折畳みコンテナ1を押す、又は引っ張る方向により、前後方向及び左右曲がり方向にも折畳みコンテナ1を移動可能となっている。
【0026】
上部フレーム30は上記底部フレーム20とほぼ同じ形状をしているが、長手側枠体31と短手側枠体32とには深口のチャンネルの溝は形成されておらず、よって、プラダンなどの板材も設けられていないが、2つの短手側枠体32には左右方向に離間した位置にヒンジ33を介して天板34が平面視で観音開き状に設けられている。なお、図3においては、1つの天板34のみ図示し、他は省略した。天板34を設けることで運搬時に雨水の侵入を防止することができる。この天板34はプラダンなどで構成され、軽量化が図られている。なお、上部フレーム30の四隅にはL字状に折り曲げられた補強金具30aがそれぞれ設けられ、補強金具30aの下端縁は上部フレーム30の下面より下方に突出されている。
【0027】
天板34の開口端縁寄りの中央部には把手35が取着され、天板34の開閉を容易にしている。なお、把手35は天板34に対してビス止めなどで取着されるが、防水のためビスカバーを設けることが好ましい。
【0028】
上部フレーム30における長手側枠体31の長さ方向の中央部には、ほぼ矩形状に形成された丸棒からなる取手36がヒンジ37を介して取着されている。具体的には、矩形取手36の一辺を回動軸36aとして、この回動軸を回動自在に支持する受け部38を上部フレーム30の長手側枠体31に取着することで上記ヒンジ37が構成される。
【0029】
そして、矩形取手36は、上記天板34の上に重なり水平となる位置と、反対側に270度回動してほぼ垂直になる位置との間で回動自在になっている。
【0030】
矩形取手36が上方に回動して天板34の上に重なった位置は、この折畳みコンテナ1の上に別の折畳みコンテナ1を積み重ねたときの上側の折畳みコンテナ1の固定キャスタ27の車輪27aの位置と一致するようになっている。
【0031】
長手側板4は、折畳みコンテナ1の長手方向の対向する2つの側面をそれぞれ覆うもので、ほぼ同じ大きさの上下2つの側板体41がヒンジ42を介して連結され、2つの側板体41は、ともに矩形状の枠体43と枠体43に埋め込まれたパネル44とからなる。このような側板体41の枠体43は上記各枠体21、22、31、32と同様に深口のチャンネルの溝を一体に形成された角状の中空状パイプで、パネル44はプラダンなどで構成されている。
【0032】
上下の側板体41u、41dは上記ヒンジ42により側板体41u、41dの連結部における外側が谷折りになるようになっている。
【0033】
長手側板4を上下の側板体41u、41dに分割することで、1枚の大きな長手側板4を底部フレーム20又は上部フレーム30に対して折り畳むことより、小さなものをいくつかに分け折り畳んだ方が、小さいものが折り畳まれることになり、折畳み動作が小さくて済み、また、折畳み状態をコンパクトにことができ、折畳み作業の簡素化を図ることができる。
【0034】
上側の長手側板4の上側の枠体43uはゴムヒンジ45を介して上部フレーム30の長手側枠体31に回動自在に設けられ、また、下側の長手側板4の下側の枠体43dも同様にゴムヒンジ45を介して底部フレーム20の長手側枠体21に回動自在に設けられ、上下の側板体41u、41dをヒンジ42により折り畳んだときに上下の2つのゴムヒンジ45により、底部フレーム20と上部フレーム30とはともに、水平状態が維持される。なお、この実施の形態にあっては、上側の枠体43uと長手側枠体31との接続をゴムヒンジ45としたが、これに限らず、通常の板状ヒンジを数枚設けても良いし、枠体43uと同じ長さの長蝶番を設けても良い。
【0035】
上下の側板体41u、41dにはそれぞれ前後方向の中央部に角状の中空状パイプの補助材46が設けられ、この上下の補助材46、46に丸落し47が設けられている。
【0036】
具体的には、丸落し47のスライドピン47aが上側の側板体41uの補助材46に、受け体47bが下側の側板体41dの補助材46にそれぞれ設けられており(つまり、丸落し47は上側の側板体41uと下側の側板体41dとを折り畳むときの屈曲部に設けられており)、長手側板4が折り畳まれていないときにスライドピン47aが落とされて受け体47bに挿入されてロック状態になるようになっている。
【0037】
このような丸落し47を上下の側板体41u、41dに設け、ロック状態とすることで、上下の側板体41u、41dが折り畳まれることを阻止することができる。
【0038】
なお、上記ヒンジ42の蝶番にスペーサ部材をかませることで、上下の側板体41u、41dを折り畳んだときに丸落し47の干渉を避けることができる。
【0039】
短手側板5は、折畳みコンテナ1の短手方向の対向する2つの側面をそれぞれ覆うもので、矩形状の枠体51と枠体51に埋め込まれたパネル52とからなる。このような枠体51は上記各枠体21、22、31、32と同様に深口のチャンネルの溝を一体に形成された角状の中空状パイプで、パネル52はプラダンなどで構成されている。
【0040】
このような短手側板5はその下側枠体51dが底部フレーム20の短手側枠体22にラバーヒンジ53を介して回動自在に取り付けられている。このラバーヒンジ53は短手側板5を内側に倒れるように作用し、外側には倒れないようになっている。
【0041】
このような短手側板5は垂直に立てられた場合(組立てられた状態)、その上側枠体51uが上部フレーム30の短手側枠体32にその下側から近接した状態となっており、上部フレーム30の短手側枠体32の中央部に設けられた短手側板ロック手段54により、短手側板5は垂直状態が維持されるようになっている。
【0042】
具体的には、短手側板ロック手段54は上部フレーム30の短手側枠体32を貫通する支軸55の外側端にハンドル56が、内側端にロック板57がそれぞれ設けられ、ロック板57の下端寄りの位置にインデックスプランジャ58が設けられている。
【0043】
ハンドル56は短手側枠体32に下方に伸びるように取着され、ロック板57は上記支軸55の内側端に取着されており、また、ハンドル56とロック板57とは共に支軸55に固設され、支軸55が短手側枠体32に対して軸支し、すなわち回転自在に支持されており、これにより、ハンドル56及びロック板57は短手側枠体32に対して支軸55を中心に振り子状に回動可能になっている。
【0044】
ロック板57は短手側板5の上側枠体51uの幅寸法よりも長く、ハンドル56はロック板57よりもさらに長く形成されている。
【0045】
ハンドル56とロック板57との間隔は短手側板5の上側枠体51uの幅寸法よりやや大きく形成されている。
【0046】
そして、ハンドル56及びロック板57を水平にして短手側枠体32と合わせた状態で短手側板5を垂直に立て、この状態でハンドル56及びロック板57を垂直にすることで短手側板5の回動端を挟持する。
【0047】
ハンドル56及びロック板57を垂直にしたとき、上記インデックスプランジャ58の先端部が対応する短手側枠体32の位置にロック穴51hが形成されており、このロック穴51hにインデックスプランジャ58の先端部を嵌合することで、ロック板57が水平状態に維持される。
【0048】
なお、図示は省略したが、ロック板57を水平状態にしたとき、上記インデックスプランジャ58の先端部が対応する短手側枠体32の位置に穴が形成されており、この穴にインデックスプランジャ58の先端部を嵌合することで、ロック板57が水平状態に維持される。
【0049】
また、短手側板5の左右中央部には上下方向に伸びる補助材59が設けられ、この補助材59に把手60が取着され、短手側板5の開閉を容易にしている。
【0050】
次に、折畳みコンテナ1の折畳み手順と組立て手順を図6図9に従って説明する。
【0051】
折畳みコンテナ1を折り畳むには、まず、天板34を上方に回動させ、折畳みコンテナ1の上面を開放する。
【0052】
次に、短手側板ロック手段54を外し、短手側板5を内側に折り畳む。短手側板ロック手段54の解除は、インデックスプランジャ58の先端をロック穴51hから引き抜き、ロック板57を回動させることで行う。この操作は天板34を開放した後、短手側板5の上部にある短手側板ロック手段54を操作するだけなので、極めて簡単に行いことができる。
【0053】
短手側板5の折畳みは上述の短手側板ロック手段54を解除すれば、内側に倒すだけで行うことができる。なお、短手側板5を折り畳む前に、開放した天板34を回動させて折畳みコンテナ1の上面を覆う。一方の短手側板5の折畳みが完了するまでは、他方の短手側板5は短手側板ロック手段54より、折り畳まれることはない。
【0054】
また、短手側板ロック手段54を解除して2つの短手側板5を折り畳んだ状態にあっても、2つの長手側板4の丸落し47がロック状態になっているため、2つの長手側板4は自立状態を維持し、折り畳まれることはない。
【0055】
一方の短手側板5の折畳みの完了後、他方の短手側板5を折り畳む。一方の短手側板5の折り畳みが完了するまで、他方の短手側板5は短手側板ロック手段54より、折り畳まれることはない。
【0056】
短手側板5の折畳み後、天板34を回動させて折畳みコンテナ1の上面を覆う。
【0057】
また、短手側板ロック手段54を解除して2つの短手側板5を折り畳んだ状態にあっても、2つの長手側板4の丸落し47がロック状態になっているため、2つの長手側板4は自立状態を維持し、折り畳まれることはない。
【0058】
次に、一方の長手側板4の丸落し47を外してその長手側板4を折り畳む。このとき、作業者は、一方の手で上部フレーム30の上部にある矩形取手36を持ち、他方の手で丸落し47のロックを解除することになるが、一方の手で長手側板4を支えているため、長手側板4の折畳み動作を抑制しつつ行うことができる。
【0059】
一方の長手側板4の丸落し47のロックを外しても他方の長手側板4の丸落し47がロック状態であるため、他方の長手側板4は自立した状態であり、かつ、一方の長手側板4の折畳みも完全には終了していない状態となっており、意図せずに折り畳まれ手や足などを挟むことはない。
【0060】
次に、他方の長手側板4の丸落し47を外してその長手側板4を折り畳む。この場合も、前記一方の長手側板4の折畳みを行ったように、作業者は一方の手で上部フレーム30の上部にある矩形取手36を持ち、他方の手で丸落し47のロックを解除する。このときも、一方の手で矩形取手36を支えている状態であるため、急激に折り畳まることがなく、手や足などを挟む危険がない。
【0061】
また、左右2つの長手側板4を片側ずつ折り畳むことができ、作業者1人で折畳み作業を行うことができ、さらには、上記特許文献1で示したコンテナの大きさよりも大きなコンテナでも、作業者1人で折畳み作業、組立て作業を行うことができる。
【0062】
長手側板4上部の矩形取手36を上側に回動させ、水平状態にする。このとき、上部フレーム30は天板34に覆われているため、矩形取手36は天板34の上に位置することになる。
【0063】
以上のようにして、折畳みコンテナ1の折畳みを完了させた後、別の折畳みコンテナ1を積み重ねる際に、積み重ねる上側の折畳みコンテナ1の固定キャスタ27の車輪27aを矩形取手36内に位置させることで、上側の折畳みコンテナ1の位置決めを簡単に行うことができる。しかも、矩形取手36に固定キャスタ27の車輪27aを位置させるには、上に積み重ねる折畳みコンテナ1を、下側の折畳みコンテナ1の上に乗せ、その後、積み重ねる折畳みコンテナ1を前方に押すことで、固定キャスタ27の車輪27aが矩形取手36の一片を乗り越え、簡単に矩形取手36内に位置させることができ、このような作業も作業者1人で容易に行うことができる。
【0064】
折畳みコンテナ1を組立て手順は、上記折り畳む手順のほぼ逆の手順で行う。
【0065】
まず、積み重ねた折畳みコンテナ1を下ろす。この場合、短手側板5側から折畳みコンテナ1を把持し、引っ張ることにより行う。折畳みコンテナ1を前方又は後方に引っ張ると、下側の折畳みコンテナ1の矩形取手36に位置した固定キャスタ27の車輪27aが取手26一片を乗り越え、これによりの引き下ろすことができる。
【0066】
次に、一方の長手側板4の矩形取手36を一方の手で持って上方に引上げ、折り畳まれた2つの側板体41u、41dを引き延ばし、面一にする。矩形取手36の持った手はそのままにして丸落し47をロックする。これにより、矩形取手36を持っていた手を放しても長手側板4が折り畳まれることはない。
【0067】
他方の長手側板4側に移り、他方の長手側板4も一方の長手側板4と同様に、引き延ばし、面一にする。この状態では、2つの丸落し47がそれぞれ長手側板4の折畳みを阻止するように作用しているため、作業者は手を放すことができる。
【0068】
2つの長手側板4が自立しているため、2つの短手側板5のそれぞれ組立てる際に、他部材を支えたりすることもなく、各別に組立てることができる。
【0069】
そして、短手側板5を回動して垂直に立てる。このときに、短手側板5の上端縁(回動端)が上部フレーム30に設けられた補強金具30aに突き当たり、それ以上の回動が阻止される。
【0070】
次に、天板34を回動させ、折畳みコンテナ1の上面を開放することで、短手側枠体32の内側に設けられた短手側板ロック手段54のインデックスプランジャ58の操作が可能になる。
【0071】
短手側板ロック手段54のロック板57が水平状態になっているため、インデックスプランジャ58のノブを引いてロック板57を回動可能にして垂直状態にする。
【0072】
これにより、短手側板5はその上側枠体51uがハンドル56とロック板57との間に挟まれ、上記インデックスプランジャ58の先端部を上側枠体51uに形成されたロック穴51hに嵌合することでロック状態となる。
【0073】
このように、ロック板57のロック操作するインデックスプランジャ58を短手側枠体32の内側に設けたので、天板34を開放して折畳みコンテナ1の上面を開放しなければ、短手側板ロック手段54を操作することができず、天板34を閉塞状態にして施錠さえしておけば、短手側板5を折畳むことができず、よって、折畳みコンテナ1から積載した荷物などを取り出すことができないようにすることができる。
【0074】
図10図12は、上記側板体41の具体的構造の一例を示すものである。なお、上部フレーム30や短手側板5も同様な構造で形成されてもよい。
【0075】
側板体41の枠体43は、四隅の合成樹脂製の連結エルボ70と、上下又は左右の連結エルボ70を繋ぐ中空のフレーム体71と、直角に交わるフレーム体71の内側隅部に取付けられる三角コーナ部材72と、から成る。
【0076】
連結エルボ70は、立方体の角部材70aと、角部材70aの直交する2面からそれぞれ一体に突設されフレーム体71の端部に嵌合する嵌合部材70bと、から成る。
【0077】
フレーム体71は、中空状の角パイプ71aと、角パイプ71aの一側面に突設され深口のチャンネル溝を形成する溝部71bと、から成る。
【0078】
各連結エルボ70の2つの嵌合部材70bにフレーム体71の角パイプ71aの端部をそれぞれ嵌合することで、枠体43が構成される。
【0079】
連結エルボ70をフレーム体71に嵌合する際に、直交する2つのフレーム体71の溝部71bが干渉しないように一方の溝部71b(垂直になるフレーム体71)には逃げ部71dが形成され、フレーム体71の溝部71bが互いに連通するようになっている。なお、溝部71bを斜めにカットすることで、フレーム体71の溝部71b端部が干渉しないようにしてもよい。
【0080】
三角コーナ部材72はフレーム体71の溝部71bの間隔とほぼ同じ厚さの板体で形成されており、連結エルボ70に2つのフレーム体71が嵌合された状態で2つのフレーム体71の溝部71bでできる隅部に挿入される。
【0081】
パネル44は、全体は概略矩形であるが枠体43に組み込まれたときに三角コーナ部材72に干渉しないように角部が斜めにカット44aされており、その厚さはフレーム体71の溝部71bの間隔とほぼ同じに形成されている。
【0082】
三角コーナ部材72には2つの小孔72aが形成され、また、溝部71bにも両端部寄りに小孔71cが形成されており、三角コーナ部材72を枠体43の四隅の溝部71bに挿入したときに、三角コーナ部材72の小孔72aと溝部71bの小孔71cとが連通するようになっている。
【0083】
三角コーナ部材72を直交された2つのフレーム体71の溝部71bの挿入した状態で、上記小孔71c、72aにネジ73を挿入しネジ止めすることで、三角コーナ部材72は枠体43に取付けられる。これにより、直交する2つのフレーム体71は連結エルボ70と三角コーナ部材72とにより強固に結合される。なお、三角コーナ部材72は三角形に限らず台形であってもよい。また、三角コーナ部材72の取付をネジ止めとしたがこれに限らずリベットによる取付けであってもよい。
【0084】
側板体41の組付けは、まず3つの連結エルボ70に3つのフレーム体71を連結し、それぞれの隅部に三角コーナ部材72を取付けてコ字状の枠体43を作り、コ字状の解放された側からパネル44を各溝部71bに挿入しスライドさせる。
【0085】
このとき、コ字状の枠体43は各隅部が連結エルボ70と三角コーナ部材72とにより強固に結合されているため、枠体43のコ字状の開口端側が開くことがなく、パネル44の溝部71bへの挿入及びスライドをスムーズに行うことができる。
【0086】
次に、コ字状の枠体43の開口側に、連結エルボ70、三角コーナ部材72を取付けたフレーム体71を連結することで、側板体41が形成される。なお、パネル44の周縁、特に長手方向に伸びる端縁の適宜な位置を溝部71bにネジ止めすれば、側板体41としてさらに強固にすることができる。
【0087】
このように、2つのフレーム体71同士を連結エルボ70を用いて連結し、そのうえさらに、三角コーナ部材72を取付けることにより、2つのフレーム体71を正確に直角に且つ強固に連結することができるとともに、側板体41の組み立て作業の効率性を向上させることができる。
【0088】
なお、三角コーナ部材72の隅部への取付構造及びパネル44のフレーム体71への取付構造などは上述したものに限らず、種々のもの(1)(2)が考えられる。
【0089】
例えば、(1)上記三角コーナ部材72のパネル44側に溝部を形成し、この溝部にパネル44の角部を挿入するようにしてもよい。この場合、パネル44の四隅を三角コーナ部材72に挿入するのでパネル44の周縁をフレーム体71の溝部71bに挿入しなくすることもできる。もちろん、上述のようにパネル44の周縁を溝部71bに挿入してもよい。
【0090】
三角コーナ部材72に設けた溝部にパネル44を挿入したときパネル44を上述した三角コーナ部材72の溝部71bへのネジ止めとともに行うようにしてもよい。
【0091】
また、(2)三角コーナ部材72の厚さを薄くしパネル44とともに溝部71bに挿入しネジ止めするようにしてもよい。この場合、パネル44の周縁はフレーム体71の溝部71bにやや隙間を持って遊嵌されることになるので、詰物をするか適所でビス止めすると好ましい。このとき、三角コーナ部材72を側板体41の外側に位置するようにするか内側に位置するようにするかは任意である。
【0092】
以上のように、本発明に係る折畳みコンテナ1にあっては、固定キャスタ27の車輪27aに対応した上方に矩形取手36を位置したので、上に積み重ねる折畳みコンテナ1の固定キャスタ27の車輪27aの車止めに矩形取手36を利用することができ、かつ、矩形取手36を利用することで、矩形取手36内への車輪27aの位置決めを容易に行うことができ、そのため、折畳みコンテナ1の積み重ね作業を作業者1名で行うことも可能となる。
【0093】
上記実施の形態にあっては、キャスタの車輪として固定キャスタ27の車輪27aとしたため、回転する方向が一方向に限定されるため、より安定した位置決めをすることができるが、本発明はこれに限らず、自在キャスタ28や方向を規制した方向規制キャスタなどの車輪を位置決めするようにしても良い。
【0094】
また、上記実施の形態にあっては、キャスタの車輪を車止めするものとして矩形取手36にしたものについて説明したが、本発明はこれに限らず、U字状に折り曲げ、両開口端部に支軸を設けたものを取手とし、かつ車止めとしても良い。
【0095】
さらに、上記実施の形態にあっては、矩形取手36を上部フレーム30に回動自在に設けたものについて説明したが、本発明はこれに限らず、上部フレーム30に対して上下方向に可動でかつ上方に伸ばした時に基端部が折れ曲がるような可倒式の取手であっても良い。
【0096】
さらにまた、上記実施の形態にあっては、天板34を上部フレーム30に対してヒンジ33を介して開閉可能としたが、軸と羽根を分割できる抜き差し旗ヒンジにすることにより、上部フレーム30から天板34を分離できるようにしてもよい。また、天板は開閉できないものであっても良く、開閉できない天板の場合は、その周縁を上部フレーム30に載置するような風呂蓋のようなものであっても良い。
【0097】
なお、上記実施の形態にあっては、折畳みコンテナ1を折り畳んだ状態で積み重ねる場合について説明したが、本発明はこれに限らず、折畳みコンテナ1を組立てた状態でも積み重ねることができる。
【0098】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、天板は上部フレーム30に固定されているもの(天井固定方式)であっても良い。この場合、長手側板4や短手側板5の少なくとも1つが例えば観音開き状に開閉自在になっていれば、当該折畳みコンテナ1内への荷物の収納が可能となる。
【0099】
さらに、長手側板4を、上下に分割し、上側の側板体41uを上部フレーム30に回動自在に設け、下側の側板体41d及び短手側板5を底部フレーム20に回動自在に設けたが、これに限らず、長手側板を分割せず、1枚で底部フレーム又は上部フレームに回動自在に設けたり、短手側板を上部フレームに回動自在に設けたりしても良い。
【符号の説明】
【0100】
1 折畳みコンテナ
2 ベース部材
20 底部フレーム
26 キャスタ取付板
27 固定キャスタ
27a 車輪
30 上部フレーム
34 天板
36 矩形取手
4 長手側板
41 側板体
41u 上側の側板体
41d 下側の側板体
43 枠体
5 短手側板
70 連結エルボ
71 フレーム体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12