(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023050595
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】偏光板、光学機器及び偏光板の製造方法
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20230404BHJP
G02B 1/14 20150101ALI20230404BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20230404BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20230404BHJP
G03B 21/14 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
G02B5/30
G02B1/14
G02F1/1335 510
G03B21/00 D
G03B21/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021160780
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 文広
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】武田 吐夢
【テーマコード(参考)】
2H149
2H291
2K009
2K203
【Fターム(参考)】
2H149AA17
2H149AB13
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2K009BB01
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2K203GB08
2K203HA34
2K203MA14
(57)【要約】
【課題】熱耐性を有し、かつ、光学特性に優れる偏光板及び光学機器を提供する。
【解決手段】この偏光板は、ワイヤグリッド構造を有する偏光板であって、透明基板と、前記透明基板上にあり、使用帯域の光の波長よりも短いピッチで、第1方向に互いに離間して周期的に配列する複数の凸部と、前記複数の凸部及び前記透明基板を被覆する保護層と、を備え、前記複数の凸部のそれぞれは、前記透明基板に近い側から順に、第1吸収層と反射層と第2吸収層とを有し、前記反射層の前記第1吸収層に近い側の第1面の前記第1方向の幅は、前記第1面と対向する第2面の前記第1方向の幅より広い。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤグリッド構造を有する偏光板であって、
透明基板と、
前記透明基板上にあり、使用帯域の光の波長よりも短いピッチで、第1方向に互いに離間して周期的に配列する複数の凸部と、
前記複数の凸部及び前記透明基板を被覆する保護層と、を備え、
前記複数の凸部のそれぞれは、前記透明基板に近い側から順に、第1吸収層と反射層と第2吸収層とを有し、
前記反射層の前記第1吸収層に近い側の第1面の前記第1方向の幅は、前記第1面と対向する第2面の前記第1方向の幅より広い、偏光板。
【請求項2】
前記第1吸収層と前記反射層との間に、第1誘電体層をさらに備える、請求項1に記載の偏光板。
【請求項3】
前記第2吸収層と前記反射層との間に、第2誘電体層をさらに備える、請求項1又は2に記載の偏光板。
【請求項4】
前記透明基板と前記複数の凸部との間に、下地層をさらに有し、
前記下地層は、前記複数の凸部に向かって突出し、前記複数の凸部の台座となる複数の台座部を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の偏光板。
【請求項5】
前記透明基板はサファイアである、請求項1~4のいずれか一項に記載の偏光板。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の偏光板を備える、光学機器。
【請求項7】
透明基板上に、少なくとも第1吸収層と反射層と第2吸収層とを順に積層する工程と、
積層された積層体の上面にマスクを形成し、前記マスクを介してエッチングを行い、使用帯域の光の波長よりも短いピッチで第1方向に互いに離間して周期的に配列する複数の凸部を形成する工程と、
エッチングにより作製された前記複数の凸部上に保護層を形成する工程と、を有し、
それぞれの凸部の側面が傾斜するように事前検討で最適化した条件で前記エッチングを行う、又は、前記複数の凸部を形成するエッチングの途中にエッチング条件を変更する、偏光板の作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光板、光学機器及び偏光板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
偏光板は、一方向の偏光を吸収し、これと直交する方向の偏光を透過させる光学素子である。液晶表示装置では、原理上、偏光板が必要となる。特に、透過型液晶プロジェクタのような、光量の大きな光源を使用する液晶表示装置では、偏光板は強い輻射線を受けるため、優れた耐熱性や耐光性が必要となるとともに、数cm程度の大きさと、高い消光比および反射率特性の制御が要求される。これらの要求に応えるための、ワイヤグリッド型の無機偏光板が提案されている。
【0003】
ワイヤグリッド型の偏光板は、一方向に延在する導体のワイヤを基板上に、使用する光の波長の帯域よりも狭いピッチ(数十nm~数百nm)で多数並べて配置した構造を有する。この偏光板に光が入射すると、ワイヤの延在方向に平行な偏光(TE波(S波))は透過することができず、ワイヤの延在方向に垂直な偏光(TM波(P波))は、そのまま透過する。
【0004】
例えば、特許文献1には、ワイヤグリッド偏光子(偏光板)の側壁に互いを補助し得るサイドバーを有する偏光板が開示されている。サイドバーは、ワイヤグリッド偏光子の耐久性を向上させる。一方で、高アスペクト比なワイヤグリッド偏光子を、サイドバーのみで耐久性を向上させようとすると、おのずとサイドバー幅は太くなり、透過率低下や反射率上昇などの偏光特性の劣化の原因となる。
【0005】
特許文献2は、ワイヤグリッド偏光子(偏光板)の先端から側壁にかけてオーバーコート層が形成された偏光板が開示されている。オーバーコート層は、ワイヤグリッド偏光子の支持し倒壊を避ける。しかしながら、オーバーコート層を形成すると、空気界面が増え、透過率低下や反射率上昇などの偏光特性の劣化の原因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2016-536651号公報
【特許文献2】特表2019-536074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、照明・ディスプレイ光源は、ランプからLED、そしてレーザーへと進化している。液晶プロジェクタでも、半導体レーザー(LD)を幾つも用いることで高光束を実現し、液晶プロジェクタの高輝度化を図っている。偏光板は、高光度な強い光の環境下に対しても耐久性を有することが求められる。
【0008】
ワイヤグリッド構造を保護膜で被覆することは、偏光板の耐久性を高める方法の一つである。一方で、偏光板に保護膜を追加することは、光学特性を低下させる原因となりうる。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、熱耐性を有し、かつ、光学特性に優れる偏光板、光学機器及び偏光板の作製方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
【0011】
(1)第1の態様にかかる偏光板は、ワイヤグリッド構造を有する偏光板であって、透明基板と、複数の凸部と、保護層と、を備える。複数の凸部は、透明基板上にある。複数の凸部は、使用帯域の光の波長よりも短いピッチで、第1方向に互いに離間して周期的に配列している。複数の凸部のそれぞれは、透明基板に近い側から順に、第1吸収層と反射層と第2吸収層とを有する。反射層の第1吸収層に近い側の第1面の第1方向の幅は、第1面と対向する第2面の第1方向の幅より広い。
【0012】
(2)上記態様にかかる偏光板は、第1吸収層と反射層との間に、第1誘電体層をさらに備えてもよい。
【0013】
(3)上記態様にかかる偏光板は、第2吸収層と反射層との間に、第2誘電体層をさらに備えてもよい。
【0014】
(4)上記態様にかかる偏光板は、透明基板と複数の凸部との間に、下地層をさらに有してもよい。下地層は、複数の凸部に向かって突出し、複数の凸部の台座となる複数の台座部を有する。
【0015】
(5)上記態様にかかる偏光板において、透明基板はサファイアでもよい。
【0016】
(6)第2の態様にかかる光学機器は、上記態様にかかる偏光板を備える。
【0017】
(7)第3の態様にかかる偏光板の製造方法は、透明基板上に、少なくとも第1吸収層と反射層と第2吸収層とを順に積層する工程と、積層された積層体の上面にマスクを形成し、前記マスクを介してエッチングを行い、使用帯域の光の波長よりも短いピッチで第1方向に互いに離間して周期的に配列する複数の凸部を形成する工程と、エッチングにより作製された前記複数の凸部上に保護層を形成する工程と、を有し、それぞれの凸部の側面が傾斜するように事前検討で最適化した条件で前記エッチングを行う、又は、前記複数の凸部を形成するエッチングの途中にエッチング条件を変更する。
【発明の効果】
【0018】
本実施形態に係る偏光板及び光学機器は、熱耐性を有し、かつ、光学特性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1実施形態に係る光学機器の模式図である。
【
図11】偏光板の光学特性のシミュレーション結果である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本実施形態について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材質、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その効果を奏する範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0021】
[光学機器]
図1は、第1実施形態に係る光学機器の模式図である。
図1に示す光学機器は、透過型液晶プロジェクタ200である。透過型液晶プロジェクタ200は、光学機器の一例である。光学機器は、偏光板を備えるものであれば、透過型液晶プロジェクタ200に限られない。例えば、液晶ディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ、車のヘッドライト等も光学機器に含まれる。
【0022】
透過型液晶プロジェクタ200は、光源110と、偏光ビームスプリッタ120と、蛍光体130と、複数のダイクロイックミラー140と、複数のミラー150と、複数の偏光板100と、複数の液晶パネル160と、クロスプリズム170と、投影レンズ180と、を備える。
【0023】
光源110は、レーザー光源である。光源110は、例えば、青色(波長380nm~490nm)の光を出射する。光源110から出射した光のうちのS波は、偏光ビームスプリッタ120で反射し、蛍光体130に入射する。
【0024】
蛍光体130は、例えば、青色光を吸収し、黄色光を放出する。蛍光体130で発光した光は、青色光と合流し、白色光となる。白色光のうちのP波は、光ビームスプリッタ120を透過し、複数のダイクロイックミラー140及びミラー150で反射しながら分離され、青色光、緑色光、赤色光に分解される。青色光、緑色光、赤色光のそれぞれは、異なる液晶パネル160に入射する。
【0025】
液晶パネル160の入射側及び出射側にはそれぞれ、偏光板100が配置されている。入射側の偏光板と出射側の偏光板100は、クロスニコルの状態で配置されている。液晶パネル160の液晶が配向すると、偏光板100を透過した光がクロスプリズム170へ至る。クロスプリズム170で色合成された光は、投影レンズ180から出射される。
【0026】
図2は、第1実施形態に係る偏光板100の斜視図である。
図3は、第1実施形態に係る偏光板100の断面図である。液晶パネル160の入射側の偏光板100と出射側の偏光板100の両方が下記に示す構成を満たしてもよいし、いずれか一方のみが下記に示す構成を満たしてもよい。
【0027】
偏光板100は、透明基板1と複数の凸部2と保護層3とを備える。以下、透明基板1の広がる面をxy平面とし、透明基板1と直交する方向をz方向とする。またグリッドの延びる方向をy方向とする。グリッドの延びる方向は、それぞれの凸部2が延びる方向と同じである。またy方向及びz方向と直交する方向をx方向とする。
【0028】
ワイヤグリッド構造を有する偏光板は、透過、反射、干渉、及び光学異方性による偏光波の選択的光吸収の4つの作用を利用することで、Y軸方向に平行な電界成分をもつ偏光波(TE波(S波))を減衰させ、X軸方向に平行な電界成分をもつ偏光波(TM波(P波))を透過させる。
図2及び
図3においては、y方向が偏光板の吸収軸の方向であり、x方向が偏光板の透過軸の方向である。
【0029】
透明基板1は、使用帯域の光に対して透光性を示す。「使用帯域の光に対して透光性を示す」とは、使用帯域の光の透過率が100%であることを意味するものではなく、偏光板としての機能を保持可能な透光性を示せばよい。使用帯域の光は、例えば、波長380nm以上810nm以下の可視光が挙げられる。透明基板1の主面形状は特に制限されず、目的に応じた形状(例えば、矩形形状)が適宜選択される。透明基板1の平均厚みは、例えば、0.3mm以上1.0mm以下である。
【0030】
透明基板1の屈折率は、例えば、1.1以上2.2以下である。透明基板1は、例えば、ガラス、水晶、石英、サファイア等である。ガラス、特に石英ガラス(屈折率1.46)又はソーダ石灰ガラス(屈折率1.51)は、コストが安価で、透過率が高い。水晶又はサファイアは、熱伝導性に優れる。透明基板1に水晶又はサファイアを用いると、偏光板100の耐光性が高まる。水晶又はサファイアは、発熱量の多い透過型液晶プロジェクタ200の光学エンジン用の偏光板に適する。
【0031】
透明基板1に水晶又はサファイア等の光学活性を有する結晶を用いる場合、凸部2の延びる方向を結晶の光学軸に対して平行方向又は垂直方向と一致させることが好ましい。これにより、偏光板100の光学特性が向上する。ここで、光学軸とは、その方向に進む光のO(常光線)とE(異常光線)の屈折率の差が最小となる方向軸である。
【0032】
複数の凸部2のそれぞれは、透明基板1上にある。複数の凸部2は、使用帯域の光の波長よりも短いピッチpで、x方向に互いに離間して周期的に配列する。複数の凸部2のそれぞれは、y方向に延びる。
【0033】
複数の凸部2のピッチpは、例えば、100nm以上200nm以下である。ピッチpは、隣接する凸部2の間のx方向の距離であり、凸部2があるライン部分と隣接する凸部2の間のスペース部分のx方向の幅の合計である。ピッチpは、走査型電子顕微鏡又は透過型電子顕微鏡で測定できる。例えば、任意の4カ所の隣接する凸部2間の距離を測定し、これらの算術平均をピッチpとする。
【0034】
凸部2のx方向の幅は、例えば、使用帯域の光の波長よりも短い。凸部2の幅は、例えば、ピッチpより短い。凸部2のx方向の平均幅は、例えば、ピッチpの20%以上50%以下である。凸部2の幅は、例えば、35nm以上45nm以下である。凸部2の幅は、凸部2のz方向の高さの中心における幅であり、電子顕微鏡等で測定できる。
【0035】
凸部2は、例えば、透明基板1に近い側から順に、第1吸収層20、第1誘電体層30、反射層40、第2誘電体層50、第2吸収層60を有する。
【0036】
それぞれの凸部2と透明基板1との間には、例えば、下地層10があってもよい。下地層10は、例えば、シリコン酸化物である。下地層10は、複数の台座部11を有してもよい。複数の台座部11のそれぞれは、凸部2のそれぞれに向かって突出し、それぞれの凸部2の台座となる。
【0037】
台座部11のx方向の幅は、透明基板1に近づくにつれ広がる。台座部11は、xz切断面において台形状であり、例えば等脚台形である。台座部11は、ドライエッチングの条件を設定することにより、等方性エッチングと異方性エッチングとのバランスを段階的に変化させることにより形成できる。台座部11の断面形状が台形状であると、z方向の屈折率が段階的に変化し、光の反射を防止できる。
【0038】
第1吸収層20は、吸収軸であるy方向に帯状に延びる。第1吸収層20は、使用帯域の光の波長に対して吸収作用を有する。第1吸収層20は、例えば、少なくとも可視光において、第1吸収層20に入射した光の10%以上を吸収する。
【0039】
第1吸収層20は、金属、合金材料及び半導体材料から構成される群から選択されたいずれかの一種以上の材料から構成される。第1吸収層20の構成材料は、適用される光の波長範囲によって適宜選択される。
【0040】
第1吸収層20に用いられる金属材料は、例えば、Ta、Al、Ag、Cu、Au、Mo、Cr、Ti、W、Ni、Fe、Sn等の単体金属またはこれらの1種以上の元素を含む合金である。また、第1吸収層20に用いられる半導体材料は、例えば、Si、Ge、Te、ZnO、シリサイド材料(β-FeSi2、MgSi2、NiSi2、BaSi2、CrSi2、CoSi2、TaSi等)である。第1吸収層20は、Fe又はTaを含むとともに、Siを含むことが好ましい。第1吸収層20は、50wt%以上のSiを含むことがより好ましい。
【0041】
第1吸収層20に半導体材料を用いる場合は、吸収作用に半導体のバンドギャップエネルギーが関与する。第1吸収層20に用いられる半導体は、バンドギャップエネルギーが使用帯域以下であることが求められる。例えば、可視光で使用する場合、波長400nm以上での吸収、即ち、バンドギャップとしては3.1eV以下の材料を使用する必要がある。
【0042】
第1吸収層20の膜厚は、例えば、10nm以上100nm以下である。第1吸収層20の膜厚は、例えば、電子顕微鏡で測定できる。第1吸収層20は、例えば蒸着法やスパッタ法を用いて、高密度の膜として形成できる。第1吸収層20は、構成材料の異なる2層以上から構成されていてもよい。
【0043】
第1誘電体層30は、第1吸収層20上にある。第1誘電体層30は、吸収軸であるy方向に帯状に延びる。第1誘電体層30は、透明基板1から入射し、第1吸収層20で反射した偏光と反射層40で反射した偏光との位相を調整する。
【0044】
第1誘電体層30の膜厚は、例えば、第1吸収層20で反射した偏光と反射層40で反射した偏光との位相が半波長ずれるように設定される。第1誘電体層30の膜厚は、例えば、1nm以上500nm以下である。第1誘電体層30の膜厚は、例えば、電子顕微鏡で測定できる。
【0045】
第1誘電体層30を構成する材料は、例えば、金属酸化物、氷晶石、ゲルマニウム、二酸化チタン、ケイ素、フッ化マグネシウム(MgF2)、窒化ボロン、炭素又はこれらの組み合わせ等である。金属酸化物は、例えば、シリコン酸化物、酸化アルミニウム、酸化ベリリウム、酸化ビスマス、酸化ボロン、酸化タンタル等である。これらの中でもシリコン酸化物は、第1誘電体層30に好適に用いられる。
【0046】
第1誘電体層30の屈折率は、例えば、1.0以上2.5以下である。反射層40の光学特性は、周囲の屈折率によって影響を受けるため、第1誘電体層30の材料を選択することで、偏光板100の特性を向上できる。第1誘電体層30は、単層に限られず、構成材料の異なる複数層で構成されてもよい。
【0047】
第1吸収層20及び第1誘電体層30は、偏光板100に対して透明基板1側から入射した光を減衰させる。第1吸収層20及び第1誘電体層30を通過した光のうちTM波(P波)は反射層40を透過し、TE波(S波)は反射層40で反射される。反射層40で反射されたTE波は、第1誘電体層30及び第1吸収層20で吸収又は干渉により減衰する。
【0048】
反射層40は、例えば、第1誘電体層30上にある。反射層40は、吸収軸であるy方向に、帯状に延びている。
【0049】
複数の反射層40は、ワイヤグリッド型偏光子としての機能を有する。複数の反射層40は、反射層40の長手方向に平行な方向に電界成分をもつ偏光波(TE波(S波))を減衰させ、反射層40の長手方向に直交する方向に電界成分をもつ偏光波(TM波(P波))を透過させる。反射層40は、例えば、少なくとも可視光において、反射層40に入射した光の10%以上を反射する。
【0050】
反射層40の膜厚(z方向の厚み)は、特に制限されず、例えば、100nm~300nmが好ましい。なお、反射層40の膜厚は、例えば、電子顕微鏡で測定できる。
【0051】
反射層40は、使用帯域の光に対して反射性を有する材料によって構成されている。反射層40は、例えば、Al、Ag、Cu、Mo、Cr、Ti、Ni、W、Fe、Si、Ge、Te、Nd等の単体金属、又はこれらの1種以上の元素を含む合金である。アルミニウム又はアルミニウム合金は、ワイヤグリッドでの吸収損失を可視光において小さく抑えることができ、コストも安価である。反射層40は、例えば、Alを50wt%以上含む。反射層40は、これらの金属材料以外にも、例えば着色等により表面の反射率が高く形成された金属以外の無機膜や樹脂膜でもよい。
【0052】
反射層40は、例えば蒸着法やスパッタ法を利用することにより、高密度の膜として形成可能である。反射層40は、構成材料の異なる2層以上から構成されていてもよい。
【0053】
反射層40は、第1面41と第2面42とを有する。第1面41は、反射層40の第1吸収層20に近い側の面である。第2面42は、第1面41と対向する面である。第1面41と第2面42とは、z方向に対向する。
【0054】
第1面41のx方向の幅W41は、第2面42のx方向の幅W42より広い。反射層40のx方向の幅は、例えば、第2面42から第1面41に向かうほど広い。反射層40のx方向の側面は、例えば、z方向に対して傾斜している。反射層40の側面には、金属酸化膜が形成されていてもよい。
【0055】
第2誘電体層50は、例えば、反射層40上にある。第2誘電体層50は、吸収軸であるy方向に、帯状に延びている。
【0056】
第2誘電体層50は、透明基板1と反対側(グリッド側)から入射し、第2吸収層60で反射した偏光と反射層40で反射した偏光との位相を調整する。
【0057】
第2誘電体層50の膜厚は、例えば、第2吸収層60で反射した偏光と反射層40で反射した偏光との位相が半波長ずれるように設定される。第2誘電体層50の膜厚は、例えば、1nm以上500nm以下である。第2誘電体層50の膜厚は、例えば、電子顕微鏡で測定できる。
【0058】
第2誘電体層50は、第1誘電体層30と同様の材料を用いることができる。第2誘電体層50と第1誘電体層30の材料が同一であれば、製造時のエッチング条件を同一にでき、偏光板100の製造が容易になる。また第1誘電体層30と第2誘電体層50の性能を合わせることができる。
【0059】
第2誘電体層50の屈折率は、例えば、1.0以上2.5以下である。反射層40の光学特性は、周囲の屈折率によって影響を受けるため、第2誘電体層50の材料を選択することで、偏光板100の特性を向上できる。第2誘電体層50は、単層に限られず、構成材料の異なる複数層で構成されてもよい。
【0060】
第2吸収層60は、吸収軸であるy方向に帯状に延びる。第2吸収層60は、使用帯域の光の波長に対して吸収作用を有する。第2吸収層60は、例えば、少なくとも可視光において、第2吸収層60に入射した光の10%以上を吸収する。
【0061】
第2吸収層60は、第1吸収層20と同様の材料を用いることができる。第2吸収層60と第1吸収層20とは、同一の材料で構成されていることが好ましい。
【0062】
第2吸収層60の膜厚は、例えば、10nm以上100nm以下である。第2吸収層60の膜厚は、例えば、電子顕微鏡で測定できる。第2吸収層60は、例えば蒸着法やスパッタ法を用いて、高密度の膜として形成できる。第2吸収層60は、構成材料の異なる2層以上から構成されていてもよい。
【0063】
第2誘電体層50及び第2吸収層60は、偏光板100に対して透明基板1と反対側(グリッド側)から入射した光を減衰させる。第2吸収層60及び第2誘電体層50を通過した光のうちTM波(P波)は反射層40を透過し、TE波(S波)は反射層40で反射される。反射層40で反射されたTE波は、第2誘電体層50及び第2吸収層60で吸収又は干渉により減衰する。
【0064】
第2吸収層60の膜厚は、第1吸収層20の膜厚と略同一であることが好ましい。また第2誘電体層50の膜厚は、第1誘電体層30の膜厚と略同一であることが好ましい。第1吸収層20の膜厚をt1(nm)とした際に、第2吸収層60の膜厚は、0.80t1以上1.20t1以下であることが好ましく、0.90t1以上1.10t1以下であることがより好ましい。第1誘電体層30の膜厚をt2(nm)とした際に、第2誘電体層50の膜厚は、0.80t2以上1.20t2以下であることが好ましく、0.90t2以上1.10t2以下であることがより好ましい。
【0065】
第2誘電体層50及び第2吸収層60のx方向の側面は、例えば、z方向に対して傾斜している。第2誘電体層50の反射層40側の面(上面)は、第2吸収層60の反射層40から遠い側の面(下面)よりx方向の幅が広い。第2誘電体層50及び第2吸収層60のx方向の幅は、例えば、第2吸収層60の反射層40から遠い側の面(上面)から第2誘電体層50の反射層40側の面(下面)に近づくほど広くなっている。
【0066】
第2誘電体層50の下面のx方向の幅は、例えば、反射層40の第2面42のx方向の幅W42より広い。第2誘電体層50と反射層40との間には、例えば、段差がある。
【0067】
保護層3は、透明基板1及び複数の凸部2を被覆する。保護層3は、例えば、下地層10の上面及び凸部2の周囲を被覆する。
【0068】
保護層3は、例えば、金蔵酸化物又は金属窒化物である。保護層3は、例えば、酸化アルミニウムである。保護層3は、例えば、酸化アルミニウムとシリコン酸化物との2層構造でもよい。保護層3の最表面を酸化シリコンにすることで、保護層3と撥水層との密着が向上する。保護層3は、例えば、ALD(原子層堆積)法、CVD(化学気相蒸着)法で作製できる。また保護層3は、複数の凸部2の間を埋めていてもよい。
【0069】
保護層3の厚みは、例えば、1nm以上50nm以下である。保護層3の厚みは、好ましくは25nm以下であり、より好ましくは10nm以下である。
【0070】
保護層3の上面は、撥水膜で被覆されていてもよい。撥水膜は、例えば、フッ素系シラン化合物である。例えば、トリデカフルオロオクチルトリクロロシラン(FOTS)は、撥水膜の一例である。撥水膜は、ALD法、CVD法等で作製できる。撥水膜は、偏光板100の耐湿性を向上させる。
【0071】
偏光板100は、透明基板1側に反射防止層をさらに備えてもよい。反射防止層は、例えば、モスアイ構造、アンチグレア構造、アンチリフレクタ構造を有してもよい。反射防止層は、例えば、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層されたものでもよい。反射防止層の外表面は、例えば、保護層3で被覆されている。
【0072】
偏光板は、積層体の積層工程と、積層体の加工工程と、保護層の被覆工程を順に行うことで作製できる。以下、
図1に示す偏光板100を例に、偏光板の製造方法について説明する。
【0073】
まず透明基板1上に、下地層10、第1吸収層20、第1誘電体層30、反射層40、第2誘電体層50、第2吸収層60を順に成膜し、積層体を形成する。各層は、スパッタリング法、蒸着法等で成膜できる。
【0074】
次いで、積層体を加工する。積層体は、フォトリソグラフィー法、ナノインプリント法等で作製できる。例えば、積層体の上面に格子状のレジストマスクを形成し、マスクを介して選択エッチングを行う。エッチングは、例えば、ドライエッチングで行う。このとき、エッチング条件として、2種類以上のガス比率、ガス流量、ガス圧、パワー、基板の冷却温度などを最適化、あるいは、形成途中に条件切替を行うことによって、エッチングされる加工領域の側面を積層方向に対して傾斜させることが可能となる。エッチングされる加工領域の側面は、作製後の凸部2の側面に対応する。またエッチング条件の最適化は、同条件で作製した積層体を、エッチング条件を変えながら加工する事前検討を行うことで行う。変更するエッチング条件は、例えば、ガス比率であればエッチング反応性の高い割合からエッチング反応性の低い割合へ、ガス流量であれば少ない流量から多い流量へ、ガス圧であれば高い圧力から低い圧力へ、パワーであれば低いパワーから高いパワーへ、基板の冷却温度であれば高い温度から低い温度へ、など、1条件あるいは複数の条件を用いながら、形成途中に条件切替を行うことによって、所望の形状を形成することが可能となる。
【0075】
例えば、積層体上に、マスク膜を成膜する。レジストマスクでマスク膜を選択エッチングする。そして、選択エッチングで残存したマスク膜を用いて、積層体を選択エッチングする。マスク膜は、構成材料の異なる2層以上から構成されていてもよい。
【0076】
ついで、積層体を加工して得られた複数の凸部2を被覆するように保護層3を形成する。保護層3は、上述のように、例えばALD法、CVD法等で成膜できる。
【0077】
第1実施形態に係る偏光板100は、耐熱性に優れる。例えば液晶プロジェクタ200等に用いられる偏光板100は、レーザー光が照射されるため、発熱しやすい。偏光板100が発熱すると、反射層40等が熱酸化し、偏光板100の光学特性が劣化する。また偏光板100が第1吸収層20及び第2吸収層60を有し、透明基板1側及び透明基板1と反対側(グリッド側)の両方からの光を吸収する場合、偏光板100は特に発熱しやすい。
【0078】
第1実施形態に係る偏光板100は、複数の凸部2が保護層3で被覆されており、偏光板100が発熱した場合でも反射層40等の熱酸化を防止できる。また透明基板1が放熱性に優れるサファイアにすると、偏光板100の発熱量を少なくできる。
【0079】
他方、保護層3は、反射界面を追加する原因であり、単に保護層3を追加すると偏光板の透過率が低下し、十分な光学特性を得ることができない。これに対し、第1実施形態に係る偏光板100は、反射層40の第1面41の幅W41が第2面42の幅W42より広く、保護層3を有する場合でも高い透過率を実現できる。
【0080】
また第1実施形態に係る偏光板100は、第1誘電体層30及び第2誘電体層50を備えることで、保護層3を有する場合でもより高い透過率を実現できる。また偏光板100が第1誘電体層30及び第2誘電体層50を有すると、第1吸収層20及び第2吸収層60の厚みを薄くでき、偏光板100の発熱を小さくできる。
【0081】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0082】
例えば、
図4は、第1変形例の偏光板101の断面図である。
図4は、偏光板101のxz断面である。偏光板101は、下地層10が台座部11を有さない点が偏光板100と異なる。偏光板101において、偏光板100と同様の構成については同様の符号を付し、説明を省く。
【0083】
また例えば、
図5は、第2変形例の偏光板102の断面図である。
図5は、偏光板102のxz断面である。偏光板102は、第1誘電体層30及び第2誘電体層50を有さない点が偏光板100と異なる。偏光板102において、偏光板100と同様の構成については同様の符号を付し、説明を省く。
【0084】
また例えば、
図6は、第3変形例の偏光板103の断面図である。
図6は、偏光板103のxz断面である。偏光板103は、下地層を有さず、透明基板1が台座部1Aを有する点が偏光板100と異なる。偏光板103において、偏光板100と同様の構成については同様の符号を付し、説明を省く。
【実施例0085】
<光学特性試験>
「実施例1」
実施例1は、
図2及び
図3に示す偏光板100に示す構造と同様の構造とし、シミュレーションにより光学特性を測定した。光学測定は、RCWA(Rigorous Coupled Wave Analysis)法による電磁界シミュレーションにより行った。シミュレーションには、Grating Solver Development社のグレーティングシミュレータGsolverを用いた。
【0086】
各層の構成は以下とした。
透明基板1:サファイア
凸部2:ピッチ141nm、幅35nm、高さ345nm(台座部11を含む)
下地層10:厚み85nm、SiO2
台座部11:厚み20nm、SiO2
第1吸収層20:厚み30nm、FeSi
第1誘電体層30:厚み5nm、SiO2
反射層40:厚み250nm、Al、側面のxy面に対する傾斜角89°
第2誘電体層50:厚み5nm、SiO2、側面のxy面に対する傾斜角80°
第2吸収層60:厚み30nm、FeSi、側面のxy面に対する傾斜角80°
保護層3:厚み5nm
【0087】
「実施例2」
実施例2は、
図5に示す偏光板102に示す構造と同様の構造とした。実施例2は、第1誘電体層30及び第2誘電体層50を有さず、第1吸収層20及び第2吸収層60の厚みが実施例1と異なる。
【0088】
実施例2の各層の構成は以下である。
透明基板1:サファイア
凸部2:ピッチ141nm、幅35nm、高さ345nm(台座部11を含む)
下地層10:厚み85nm、SiO2
台座部11:厚み20nm、SiO2
第1吸収層20:厚み35nm、FeSi
反射層40:厚み250nm、Al、側面のxy面に対する傾斜角89°
第2吸収層60:厚み35nm、FeSi、側面のxy面に対する傾斜角80°
保護層3:厚み5nm
【0089】
「実施例3」
実施例3は、
図7に示す偏光板104に示す構造と同様の構造とした。実施例3は、下地層10を有さず、透明基板1が台座部1Aを有する点が実施例2と異なる。
【0090】
実施例3の各層の構成は以下とした。
透明基板1:サファイア
台座部1A:厚み20nm、サファイア
凸部2:ピッチ141nm、幅35nm、高さ345nm(台座部11を含む)
第1吸収層20:厚み35nm、FeSi
反射層40:厚み250nm、Al、側面のxy面に対する傾斜角89°
第2吸収層60:厚み35nm、FeSi、側面のxy面に対する傾斜角80°
保護層3:厚み5nm
【0091】
「実施例4」
実施例4は、
図8に示す偏光板105に示す構造と同様の構造とした。実施例4は台座部1Aを有さない点が実施例3と異なる。
【0092】
実施例4の各層の構成は以下とした。
透明基板1:サファイア
凸部2:ピッチ141nm、幅35nm、高さ325nm
第1吸収層20:厚み35nm、FeSi
反射層40:厚み250nm、Al、側面のxy面に対する傾斜角89°
第2吸収層60:厚み35nm、FeSi、側面のxy面に対する傾斜角80°
保護層3:厚み5nm
【0093】
「比較例1」
比較例1は、
図9に示す偏光板106に示す構造と同様の構造とした。比較例1は反射層40、第2吸収層60の側面が傾斜していない点が、実施例4と異なる。
【0094】
比較例1の各層の構成は以下とした。
透明基板1:サファイア
凸部2:ピッチ141nm、幅35nm、高さ325nm
第1吸収層20:厚み35nm、FeSi
反射層40:厚み250nm、Al
第2吸収層60:厚み35nm、FeSi
保護層3:厚み5nm
【0095】
「比較例2」
比較例2は、
図10に示す偏光板107に示す構造と同様の構造とした。比較例2は第2吸収層60の側面が傾斜している点が、比較例2と異なる。
【0096】
比較例2の各層の構成は以下とした。
透明基板1:サファイア
凸部2:ピッチ141nm、幅35nm、高さ325nm
第1吸収層20:厚み35nm、FeSi
反射層40:厚み250nm、Al
第2吸収層60:厚み35nm、FeSi、側面のxy面に対する傾斜角80°
保護層3:厚み5nm
【0097】
図11は、実施例1~4及び比較例1、2の偏光板の光学特性のシミュレーション結果である。
図11の縦軸は透過率であり、横軸は波長である。
【0098】
<耐熱性試験>
実施例1、実施例5及び比較例3の偏光板に対して耐熱性試験を行った。実施例5及び比較例3は、下記の構成である。耐熱性試験は、250℃、300℃、350℃のそれぞれで行った。偏光板を恒温槽内に載置し、所定時間経過後の偏光板のコントラスト変化率を求めた。コントラストは、TM波(P波)の透過率を(TE波(S波))の透過率で割って求めた。コントラストの変化率は、耐熱性試験前のサンプルのコントラストに対する変化率である。
【0099】
「実施例5」
実施例5は、保護層3の厚みを10nmとした点が実施例1と異なる。
【0100】
「比較例3」
実施例3は、保護層3を有さない点が実施例1と異なる。
【0101】
図12は、250℃での耐熱性試験結果である。
図13は、300℃での耐熱性試験結果である。
図14は、350℃での耐熱性試験結果である。
【0102】
図12から
図14に示すように、偏光板が保護層を有することで、耐熱性が向上した。
1…透明基板、1A,11…台座部、2…凸部、3…保護層、10…下地層、20…第1吸収層、30…第1誘電体層、40…反射層、41…第1面、42…第2面、50…第2誘電体層、60…第2吸収層、100,101,102,103,104,105,106,107…偏光板、110…光源、120…偏光ビームスプリッタ、130…蛍光体、140…ダイクロイックミラー、150…ミラー、160…液晶パネル、170…クロスプリズム、180…投影レンズ、200…液晶プロジェクタ、W41,W42…幅