特開 2023-5061 紙葉類処理装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2023005061

(43)【公開日】2023-01-18

(54)【発明の名称】紙葉類処理装置

(51)【国際特許分類】

   G07D 11/12 20190101AFI20230111BHJP

   G07D 11/16 20190101ALI20230111BHJP

   G07D 11/22 20190101ALI20230111BHJP

   B65H 29/51 20060101ALI20230111BHJP

   B65H 7/14 20060101ALI20230111BHJP

【ＦＩ】

G07D11/12

G07D11/16

G07D11/22

B65H29/51

B65H7/14

【審査請求】未請求

【請求項の数】6

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2021106753

(22)【出願日】2021-06-28

(71)【出願人】

【識別番号】000116079

【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社

(71)【出願人】

【識別番号】500267170

【氏名又は名称】ローレル機械株式会社

(71)【出願人】

【識別番号】500265501

【氏名又は名称】ローレル精機株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100141139

【弁理士】

【氏名又は名称】及川 周

(74)【代理人】

【識別番号】100161702

【弁理士】

【氏名又は名称】橋本 宏之

(74)【代理人】

【識別番号】100189348

【弁理士】

【氏名又は名称】古都 智

(72)【発明者】

【氏名】下野 元喜

【テーマコード（参考）】

3E141

3F048

3F106

【Ｆターム（参考）】

3E141AA01

3E141BA06

3E141DA08

3E141FB03

3E141FB15

3E141FC05

3E141FG15

3F048AA06

3F048AB03

3F048BA07

3F048CA03

3F048CC01

3F048DA06

3F048DC11

3F048DC13

3F048DC15

3F048EB29

3F048EB30

3F106KA05

3F106KA07

3F106LA08

3F106LB04

(57)【要約】

【課題】紙葉類のピッチを詰めて紙葉類をドラムに巻き取っても、ドラムにおける紙葉類の収納不良を抑制できる紙幣処理装置を提供する。
【解決手段】紙幣処理装置は、紙葉類Ｓを搬送する搬送通路２０と、搬送通路２０で搬送中の紙葉類Ｓを識別する識別部と、搬送通路２０で搬送された紙葉類Ｓを一枚ずつドラムに巻き付けて収納し、ドラムから繰り出すドラム式収納繰出装置と、ドラム式収納繰出装置に対する紙葉類Ｓの収納繰出方向に沿う紙葉類Ｓの長さを検出する紙葉類長さ検出手段と、を備える。識別部は、搬送通路２０で搬送される紙葉類Ｓ全面の情報を取得する全面情報取得センサ３０１を有し、この紙葉類Ｓ全面の情報に基づいて紙葉類Ｓの角座標位置を出力する。紙葉類長さ検出手段は、ドラム式収納繰出装置による紙葉類Ｓの収納動作において、角座標位置に基づいて収納繰出方向に沿う紙葉類Ｓの長さを算出する。
【選択図】図２

【特許請求の範囲】

【請求項1】

紙葉類が搬送される搬送通路と、
前記搬送通路で搬送中の紙葉類を識別する識別部と、
前記搬送通路で搬送された紙葉類を一枚ずつテープに挟持しながら回転体であるドラムに巻き付けて収納すると共に、紙葉類を一枚ずつ前記搬送通路に繰り出すドラム式収納繰出装置と、
前記ドラム式収納繰出装置に対する紙葉類の収納繰出方向に沿う紙葉類の長さを検出する紙葉類長さ検出手段と、を備え、
前記識別部は、前記搬送通路で搬送される紙葉類全面の情報を取得する全面情報取得センサを有すると共に、取得された前記紙葉類全面の情報に基づいて当該紙葉類の角座標位置を出力し、
前記紙葉類長さ検出手段は、前記ドラム式収納繰出装置による紙葉類の収納動作において、前記角座標位置に基づいて前記収納繰出方向に沿う紙葉類の長さを算出することを特徴とする紙葉類処理装置。

【請求項2】

前記搬送通路に設けられ、前記搬送通路において前記ドラム式収納繰出装置に向けて搬送される紙葉類の通過を検知する通過センサと、
前記通過センサから出力された検知情報に基づいて、前記搬送通路において連続して搬送される紙葉類の間隔を検出する紙葉類間隔検出手段と、
前記ドラム式収納繰出装置の動作を制御する制御部と、をさらに備え、
前記制御部は、前記ドラム式収納繰出装置による紙葉類の収納動作において、前記紙葉類長さ検出手段によって算出された先行する紙葉類の長さと、前記紙葉類間隔検出手段によって検出された先行する紙葉類と後続する紙葉類との間隔と、に基づいて前記ドラムの回転速度を制御する請求項1に記載の紙葉類処理装置。

【請求項3】

前記搬送通路に設けられ、前記搬送通路において前記ドラム式収納繰出装置に向けて搬送される紙葉類の通過を検知する通過センサと、
前記通過センサから出力された検知情報に基づいて、前記搬送通路において連続して搬送される紙葉類の間隔を検出する紙葉類間隔検出手段と、
前記ドラム式収納繰出装置の動作を制御する制御部と、をさらに備え、
前記紙葉類間隔検出手段によって検出された前記紙葉類の間隔が所定値以下である場合には、前記制御部は、前記ドラム式収納繰出装置による紙葉類の収納動作において、前記紙葉類長さ検出手段によって算出された先行する紙葉類の長さと、当該先行する紙葉類と後続する紙葉類との間隔として予め設定された一律の規定値と、に基づいて前記ドラムの回転速度を制御し、
前記紙葉類間隔検出手段によって検出された前記紙葉類の間隔が前記所定値を超える場合には、前記制御部は、前記ドラム式収納繰出装置による紙葉類の収納動作において、前記紙葉類長さ検出手段によって算出された先行する紙葉類の長さと、前記紙葉類間隔検出手段によって検出された先行する紙葉類と後続する紙葉類との間隔と、に基づいて前記ドラムの回転速度を制御する請求項1に記載の紙葉類処理装置。

【請求項4】

前記ドラム式収納繰出装置へ紙葉類が連続して収納される処理であり、先行する紙葉類が前記ドラム式収納繰出装置へ収納された後に、後続する紙葉類が前記ドラム式収納繰出装置へ収納される制御において、
前記紙葉類長さ検出手段によって算出された先行する紙葉類の長さに、前記紙葉類間隔検出手段によって検出された先行する紙葉類と後続する紙葉類との間隔を加えた紙葉類一枚分のピッチと、前記搬送通路における当該紙葉類の搬送速度と、から導かれる当該紙葉類一枚分の通過時間が所定基準値を超えている場合には、
前記制御部は、前記ドラムの回転速度を先行する紙葉類を収納した時の第１回転速度より遅い第２回転速度に切り替えることにより、前記ドラムに収納する紙葉類の間隔を詰めるようにドラムを駆動することを特徴とする請求項２または３に記載の紙葉類処理装置。

【請求項5】

前記ドラム式収納繰出装置に収納している紙葉類についての、前記収納繰出方向に沿う紙葉類の長さ及び紙葉類の間隔の累計である累積巻取長さを記憶する記憶部を、さらに備え、
前記記憶部に記憶される前記累積巻取長さは、前記紙葉類長さ検出手段によって算出された紙葉類の長さ、及び、前記紙葉類間隔検出手段によって検出された紙葉類の間隔の累計であり、
前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記累積巻取長さに基づいて前記ドラムの回転速度を制御することを特徴とする請求項２から４のいずれか一項に記載の紙葉類処理装置。

【請求項6】

前記制御部は、
前記ドラム式収納繰出装置へ紙葉類が一枚収納される毎に、前記記憶部が記憶している前記累積巻取長さを最新のデータに更新し、
前記紙葉類間隔検出手段によって検出された前記紙葉類の間隔が所定値以下である場合には、前記ドラム式収納繰出装置による紙葉類の収納動作において、前記紙葉類長さ検出手段によって算出された先行する紙葉類の長さと、当該先行する紙葉類と後続する紙葉類との間隔として予め設定された一律の規定値と、を合算した当該紙葉類一枚分のピッチを前記記憶部に記憶された前記累積巻取長さに加算することで、累積巻取長さを最新のデータに更新し、
前記紙葉類の間隔が所定値を超える場合には、前記ドラム式収納繰出装置による紙葉類の収納動作において、前記紙葉類長さ検出手段によって算出された先行する紙葉類の長さと、前記紙葉類間隔検出手段によって検出された先行する紙葉類と後続する紙葉類との間隔と、を合算した当該紙葉類一枚分のピッチを前記記憶部に記憶された前記累積巻取長さに加算することで、累積巻取長さを最新のデータに更新することを特徴とする請求項５に記載の紙葉類処理装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、紙葉類処理装置に関する。

【背景技術】

【0002】

従来より、紙幣などの紙葉類を入金部より取り込み、識別部で識別して、一時貯留部へ一持的に貯留した後、所定の金種ごとに分類して、金種別の収納部へ収納する紙葉類処理装置が知られている。そのような紙葉類処理装置の中には、一時貯留部や金種別の収納部が、紙葉類を１枚ずつテープに挟持しながら回転体であるドラムに巻き付けて収納し、また収納時とは逆回転でドラムを回転させることで紙葉類を繰り出す、ドラム式（あるいはテープ式）収納繰出装置によって構成されたものがある（例えば、特許文献１を参照）。
ドラム式収納繰出装置は、紙葉類を集積状態に収納するスタッカと比較して、ドラムで巻き取った紙葉類を一枚ずつ紙葉類の姿勢（厚さ方向から見た紙葉類の向き）を変化させることなく繰り出すことができるため、繰り出し不良が起きにくい特徴がある。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０２０－１４９４１４号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

ところで、紙葉類処理装置の全体の小型化にともない、紙葉類処理装置に複数配設されるドラム式収納繰出装置の各々は、コンパクトなユニットで成されている。よって、限られたスペースに設けられたドラム式収納繰出装置に紙葉類を最大限収納させるためには、ドラムに巻き取られる紙葉類のピッチ（先行する紙葉類の前端から後続する紙葉類の前端までの間隔）が可能な限り小さくなるように、紙葉類のピッチを詰めて紙葉類をドラムに巻き取ることが要求される。

【0005】

しかしながら、紙葉類のピッチを詰めた状態で紙葉類をドラムに巻き取るためには、ドラム式収納繰出装置に向けて紙葉類が搬送される方向（搬送方向）における紙葉類の長さを正しく把握できないと、先行する紙葉類に後続する紙葉類が追突する異常（紙葉類の追突ジャムエラー）が発生し、ドラムにおける紙葉類の収納不良に繋がる可能性がある。例えば、一部の紙葉類が搬送通路において斜行姿勢（紙葉類の一辺が紙葉類の搬送方向に対して傾斜した姿勢）でドラム式収納繰出装置に向けて搬送される場合に、当該斜行姿勢の紙葉類の長さを正しく把握できないと、先行する紙葉類に後続する紙葉類が追突してしまうことがある。

【0006】

したがって、本発明は、紙葉類のピッチを詰めて紙葉類をドラムに巻き取っても、ドラムにおける紙葉類の収納不良を抑制することが可能な紙葉類処理装置を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0007】

本発明に係る一態様の紙葉類処理装置は、紙葉類が搬送される搬送通路と、前記搬送通路で搬送中の紙葉類を識別する識別部と、前記搬送通路で搬送された紙葉類を一枚ずつテープに挟持しながら回転体であるドラムに巻き付けて収納すると共に、紙葉類を一枚ずつ前記搬送通路に繰り出すドラム式収納繰出装置と、前記ドラム式収納繰出装置に対する紙葉類の収納繰出方向に沿う紙葉類の長さを検出する紙葉類長さ検出手段と、を備え、前記識別部は、前記搬送通路で搬送される紙葉類全面の情報を取得する全面情報取得センサを有すると共に、取得された前記紙葉類全面の情報に基づいて当該紙葉類の角座標位置を出力し、前記紙葉類長さ検出手段は、前記ドラム式収納繰出装置による紙葉類の収納動作において、前記角座標位置に基づいて前記収納繰出方向に沿う紙葉類の長さを算出することを特徴とする。

【発明の効果】

【0008】

本発明によれば、紙葉類のピッチを詰めて紙葉類をドラムに巻き取っても、ドラムにおける紙葉類の収納不良を抑制することが可能な紙葉類処理装置を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【0009】

【図1】実施形態の紙幣処理装置の内部構成を概略的に示す側面図である。

【図2】実施形態の紙幣処理装置の識別部近傍の搬送通路を概略的に示す平断面図である。

【図3】実施形態の紙幣処理装置の識別部で取得される紙幣の角座標位置、及び、当該角座標位置に基づいて紙幣長さ検出手段で検出される紙幣の長さについて説明するための図である。

【図4】実施形態の紙幣処理装置の内部構成を概略的に示す側面図であって、入金処理ルートを太線で示すものである。

【図5】実施形態の紙幣処理装置の内部構成を概略的に示す側面図であって、分配処理ルートを太線で示すものである。

【図6】実施形態の紙幣処理装置の内部構成を概略的に示す側面図であって、出金処理ルートを太線で示すものである。

【図7】実施形態の紙幣処理装置のドラム式収納繰出装置を示す正面図であって、収納している紙幣がない状態を示すものである。

【図8】実施形態の紙幣処理装置のドラム式収納繰出装置を示す正面図であって、収納している紙幣が少ない状態を示すものである。

【図9】実施形態の紙幣処理装置のドラム式収納繰出装置を示す正面図であって、収納している紙幣が多い状態を示すものである。

【図10】実施形態の紙幣処理装置のドラム式収納繰出装置近傍の搬送通路を概略的に示す平断面図である。

【図11】実施形態の紙幣処理装置において、紙幣長さ及び紙幣ピッチとドラムの巻取速度（回転速度）との関係の第一例（基準例）を示す図である。

【図12】実施形態の紙幣処理装置において、紙幣長さ及び紙幣ピッチとドラムの巻取速度（回転速度）との関係の第二例を示す図である。

【図13】実施形態の紙幣処理装置において、紙幣長さ及び紙幣ピッチとドラムの巻取速度（回転速度）との関係の第三例を示す図である。

【図14】実施形態の紙幣処理装置において、紙幣長さ及び紙幣ピッチとドラムの巻取速度（回転速度）との関係の第四例を示す図である。

【図15】実施形態の紙幣処理装置において、紙幣長さ及び紙幣ピッチとドラムの巻取速度（回転速度）との関係の第五例を示す図である。

【図16】実施形態の紙幣処理装置において、紙幣長さ及び紙幣ピッチとドラムの巻取速度（回転速度）との関係の第六例を示す図である。

【図17】実施形態の紙幣処理装置において、紙幣長さ及び紙幣ピッチとドラムの巻取速度（回転速度）との関係の第七例を示す図である。

【図18】実施形態の紙幣処理装置において、紙幣長さ及び紙幣ピッチとドラムの巻取速度（回転速度）との関係の第八例を示す図である。

【図19】実施形態の紙幣処理装置において、紙幣長さ及び紙幣ピッチとドラムの巻取速度（回転速度）との関係の第九例を示す図である。

【発明を実施するための形態】

【0010】

実施形態の紙葉類処理装置について図面を参照して以下に説明する。本実施形態の紙葉類処理装置は、紙葉類の一態様としての紙幣を処理する紙幣処理装置である。勿論、紙幣以外の紙葉類を処理することも可能である。

【0011】

＜紙幣処理装置１０の全体構成＞
図１に示す実施形態の紙幣処理装置１０は、装置外からセットされる紙幣Ｓを識別しつつ内部に一時貯留する入金処理、このように一時貯留した紙幣Ｓを種類別に分類して内部に収納する分配処理、分類されて収納されている紙幣Ｓを装置外に取り出し可能に出金する出金処理などが可能な紙幣入出金装置である。なお、以下の説明における「装置前後方向の前側」は紙幣処理装置１０における操作者側を、「装置前後方向の後側」は紙幣処理装置１０における操作者とは反対側を、「装置左右方向」は紙幣処理装置１０における操作者から見ての左右を示す。

【0012】

紙幣処理装置１０の装置前側の上部には、入金用の紙幣Ｓが装置外から挿入されてセットされると共にセットされた紙幣Ｓを装置内に取り込んで繰り出す入金部１１が設けられている。入金部１１には、操作者によって装置外から紙幣Ｓが投入される。このとき、入金部１１には、紙幣Ｓが長辺を装置左右方向に沿わせ短辺を装置前後方向に沿ってやや後ろ下がりにして上下に集積された状態で投入される。入金部１１は、このように装填された集積状態の紙幣Ｓを最上位置のものから一枚ずつその短辺が搬送方向に沿うように移動させて装置内部に繰り出す。紙幣Ｓは、紙幣処理装置１０内の全体において、長辺を装置左右方向に沿わせた姿勢のまま移動する。

【0013】

また、紙幣処理装置１０の装置前側の上部には、この入金部１１の上方かつ装置前後方向の後方に、入金用の紙幣Ｓのうち受け入れ不可なリジェクト紙幣Ｓが装置内から繰り出されると共に出金用の紙幣Ｓが装置内から繰り出され、これらを装置外に取り出し可能に出金する出金部１２が設けられている。

【0014】

紙幣処理装置１０の上面における出金部１２の装置前後方向の後方には、操作者の操作入力を受け付けると共に操作者に対し表示を行うタッチパネル式の操作表示部１４と、紙幣処理装置１０の全体を制御する制御部１５と、データなどを記憶する記憶部１６とが設けられている。操作表示部１４は、紙幣処理装置１０の操作画面や稼働状況に関する情報画面を表示する。

【0015】

紙幣処理装置１０の内部には、入金部１１の装置前後方向の後方に、紙幣Ｓを識別する識別部１７が設けられており、この識別部１７の装置前後方向の後方に、識別部１７によって識別された紙幣Ｓを一時貯留すると共に貯留した紙幣Ｓを一枚ずつ繰り出し可能な一時貯留部としてのドラム式収納繰出装置１８（Ａ）が設けられている。

【0016】

入金部１１には、載置板１９が設けられており、この載置板１９は、入金部１１内で紙幣Ｓを集積方向に昇降する。入金部１１は、下降状態にある載置板１９上に集積状態の紙幣Ｓが装置外から載置されることになり、載置板１９の上昇後、集積状態の紙幣Ｓを集積方向の上端のものから一枚ずつ紙幣処理装置１０の内部に繰り出す。

【0017】

紙幣処理装置１０は、上記した入金部１１、出金部１２、識別部１７及びドラム式収納繰出装置１８（Ａ）に加えて、紙幣Ｓを集積状態で繰り出し可能に収納する集積式収納庫５１と、紙幣Ｓを繰り出し可能に収納する複数の還流庫であるドラム式収納繰出装置１８（Ｂ）とを内部に有している。また、紙幣処理装置１０は、入金部１１、出金部１２、識別部１７、ドラム式収納繰出装置１８（Ａ）、集積式収納庫５１及び複数のドラム式収納繰出装置１８（Ｂ）の間で紙幣Ｓを搬送する搬送通路２０を内部に有している。識別部１７は、搬送通路２０で搬送中の紙幣Ｓを識別する。搬送通路２０の幅方向（通路幅方向）は装置左右方向であり、よって紙幣Ｓはその長辺が通路幅方向に沿う姿勢で搬送通路２０によって搬送される。

【0018】

搬送通路２０は、入金部１１の装置前後方向の後端部から延びて、入金部１１から繰り出された紙幣Ｓを識別部１７に搬送し、その後、ドラム式収納繰出装置１８（Ａ）に搬送する入金搬送路２１を有している。言い換えれば、入金搬送路２１は入金部１１とドラム式収納繰出装置１８（Ａ）とを結んでおり、その中間位置に識別部１７が設けられている。

【0019】

また、搬送通路２０は、入金搬送路２１における入金部１１と識別部１７との間から下方に分岐する上下搬送路５５と、入金搬送路２１における識別部１７とドラム式収納繰出装置１８（Ａ）との間から上方に分岐する出金搬送路３５と、入金搬送路２１における出金搬送路３５の分岐位置とドラム式収納繰出装置１８（Ａ）との間から上方に分岐して出金搬送路３５に合流する連結搬送路３６と、を有している。上下搬送路５５と出金搬送路３５と連結搬送路３６とが分岐することで、入金搬送路２１は、入金部１１と上下搬送路５５の分岐位置との間の前側送路部２１ａと、上下搬送路５５の分岐位置と出金搬送路３５の分岐位置との間の中間送路部２１ｂと、出金搬送路３５の分岐位置と連結搬送路３６の分岐位置との間の中間送路部２１ｃと、連結搬送路３６の分岐位置と出金搬送路３５の分岐位置とドラム式収納繰出装置１８（Ａ）との間の後側送路部２１ｄとに分けられる。

【0020】

識別部１７は、中間送路部２１ｂに設けられており、中間送路部２１ｂで搬送中の紙幣Ｓの真偽、汚れ度合い、損傷度合い及び金種と、複数枚の紙幣Ｓが少なくとも一部分が重なった状態で搬送される重送及び規定値を超える角度となる斜行を含む搬送異常の有無とを識別する。

【0021】

識別部１７は、図１、図２に示すように、搬送通路２０で搬送中の紙幣Ｓ全面の情報を取得する全面情報取得センサ３０１を有している。図２における矢印は搬送通路２０における紙幣Ｓの搬送方向を示している。全面情報取得センサ３０１は、紙幣Ｓの厚さ方向から見た紙幣Ｓ全体の形及び大きさの情報を取得する。この全面情報取得センサ３０１は、具体的には通路幅方向に延びるラインセンサ（ＣＩＳセンサ：密着型イメージセンサとも言う）である。全面情報取得センサ３０１は、搬送通路２０で搬送中の紙幣Ｓの画像を所定の時間間隔で１ラインずつ取得して行き、これらを時系列に並べて合成することで、この紙幣Ｓ全体の画像情報を「紙幣Ｓ全面の情報」として取得する。全面情報取得センサ３０１には、例えば、一度に紙幣Ｓの全体の画像情報を取得できるＣＣＤカメラ等の光学カメラを用いても良い。

【0022】

識別部１７は、全面情報取得センサ３０１が取得した「紙幣Ｓ全面の情報」を基に、この紙幣Ｓについて、真券であるか偽券であるかの真偽判別と、汚れ度合いが高い汚損券であるか否かの汚損判別と、半券や破れ券など損傷度合いが高い損傷券であるか否かの損傷判別と、金種識別とを行い、これらの結果の識別情報を制御部１５に出力する。これを受けて制御部１５は、受け入れ可能な紙幣Ｓを金種別に計数すると共に、各紙幣Ｓの搬送先を決めて搬送通路２０を制御する。

【0023】

識別部１７は、全面情報取得センサ３０１による紙幣Ｓの取得情報（紙幣Ｓ全面の情報）に基づいて、この紙幣Ｓの角座標位置を割り出す角座標位置割出手段３０２を有している。角座標位置割出手段３０２は、図３に示すように、全面情報取得センサ３０１が取得した「紙幣Ｓ全面の情報」に基づいて、紙幣Ｓの厚さ方向から見たｘｙ座標平面において紙幣Ｓの四隅（x1,y1）、（x2,y2）、（x3,y3）、（x4,y4）の位置を示す角座標位置を割り出す。図３において、x座標は通路幅方向（装置左右方向）における座標であり、ｙ座標は搬送通路２０での紙幣Ｓの搬送方向における座標である。角座標位置の割り出しに用いる「紙幣Ｓ全面の情報」を取得するための全面情報取得センサ３０１は、画像情報を取得するセンサに限らず、例えば、紙幣Ｓの厚さ方向から見た紙幣Ｓの厚みの分布情報を「紙幣Ｓ全面の情報」として取得する厚み検知センサであってもよい。角座標位置割出手段３０２は、割り出した角座標位置のデータを図1に示す制御部１５の紙幣長さ検出手段２０１（紙葉類長さ検出手段）に出力する。

【0024】

紙幣処理装置１０では、入金部１１にセットされた紙幣Ｓが、例えば、入金部１１から入金搬送路２１の前側送路部２１ａ及び中間送路部２１ｂで識別部１７に向けて搬送され、識別部１７で識別後に中間送路部２１ｂ，２１ｃ及び後側送路部２１ｄでドラム式収納繰出装置１８（Ａ）に搬送される。

【0025】

ドラム式収納繰出装置１８（Ａ）は、紙幣Ｓを一時的に貯留するもので、入金搬送路２１の少なくとも中間送路部２１ｂ，２１ｃ及び後側送路部２１ｄで搬送されてきた紙幣Ｓを一枚ずつ取り込んで収納し、収納している紙幣Ｓを一枚ずつ後側送路部２１ｄに繰り出す。ドラム式収納繰出装置１８（Ａ）は、例えば、入金部１１にセットされた紙幣Ｓの貯留及び当該貯留した紙幣Ｓの繰り出しを行う。このドラム式収納繰出装置１８（Ａ）は、紙幣Ｓを一枚ずつ間隔をあけてテープ３０と共に回転体であるドラム３１に巻き付けて収納する巻付収納タイプであり、よって、貯留している紙幣Ｓをテープ３０と共にドラム３１から解いて一枚ずつ間隔をあけて計数しながら繰り出す。テープ３０と共にドラム３１に巻き付けられる紙幣Ｓは、テープ３０のこの紙幣Ｓと共にドラム３１に巻き付けられる部分と、テープ３０の既にドラム３１に巻き付けられている部分との間に、ドラム３１の径方向において挟持される。言い換えれば、ドラム式収納繰出装置１８（Ａ）は、紙幣Ｓを一枚ずつテープ３０に挟持しながら巻き付けて収納するドラム３１を有し、ドラム３１は、巻き取った紙幣Ｓを一枚ずつ繰り出す。

【0026】

巻付収納タイプのドラム式収納繰出装置１８（Ａ）は、紙幣Ｓを貯留する際の順番とは逆の順番で繰り出すことになる。このため、複数金種の紙幣Ｓをランダムに混合して貯留する場合であっても、制御部１５は、識別部１７の識別結果からドラム式収納繰出装置１８（Ａ）に貯留する各紙幣Ｓの金種などを把握可能となっており、よって、ドラム式収納繰出装置１８（Ａ）から繰り出す各紙幣Ｓの金種などを把握可能となっている。

【0027】

ドラム式収納繰出装置１８（Ａ）のドラム３１は、回転軸回りに回転可能に設けられており、回転軸回りの一方の方向（図１では右回り）に回転することでテープ３０を巻き取るようになっている。ドラム３１は、テープ３０を巻き取ることで、巻き取るテープ３０の間に紙幣Ｓを一枚ずつ挟み込んで保持するようになっている。また、ドラム３１は、回転軸回りの他方の方向（図１では左回り）に回転することで、巻き取っていたテープ３０を送り出すことになり、送り出すテープ３０に保持している紙幣Ｓを一枚ずつ繰り出すようになっている。

【0028】

出金搬送路３５は、入金搬送路２１の中間送路部２１ｂ，２１ｃの間から上方に延出した後、装置前方に延出しており、この出金搬送路３５の末端が出金部１２に接続されている。連結搬送路３６及び出金搬送路３５は、中間送路部２１ｂ，２１ｃで搬送されてきた紙幣Ｓを出金部１２に搬送する。また、出金搬送路３５は、ドラム式収納繰出装置１８（Ａ）から繰り出されて後側送路部２１ｄ及び中間送路部２１ｃで搬送されてきた紙幣Ｓを出金部１２に搬送する。

【0029】

ここで、出金部１２は、出金搬送路３５から繰り出された紙幣Ｓを下側から上側に順に集積させる。出金部１２に集積された紙幣Ｓは、出金部１２から装置外に取り出される。出金搬送路３５は、例えば、ドラム式収納繰出装置１８（Ａ）から後側送路部２１ｄ及び中間送路部２１ｃに繰り出された紙幣Ｓを上方に分岐搬送して出金部１２に搬送する。

【0030】

入金部１１、出金部１２、操作表示部１４、識別部１７、ドラム式収納繰出装置１８（Ａ）、入金搬送路２１、出金搬送路３５、連結搬送路３６及び制御部１５は、紙幣処理装置１０の上部を構成する上部ユニット４１に設けられている。

【0031】

上部ユニット４１の下側には、紙幣処理装置１０の高さ方向の中間部から下部を構成する下部ユニット４２が設けられている。下部ユニット４２には、装置前側の前部位置に集積式収納庫５１が設けられており、集積式収納庫５１の装置前後方向の後方に、上下２段、装置前後方向に４列の合計８台のドラム式収納繰出装置１８（Ｂ）が設けられている。８台のドラム式収納繰出装置１８（Ｂ）のうち、上段の４台は高さ方向の位置を一致させており、下段の４台も高さ方向の位置を一致させている。集積式収納庫５１の高さは、ドラム式収納繰出装置１８（Ｂ）の２台分の高さと同等であり、集積式収納庫５１は、上下２段のドラム式収納繰出装置１８（Ｂ）と高さ方向の位置を重ね合わせている。

【0032】

入金搬送路２１の前側送路部２１ａと中間送路部２１ｂとの間から下方に分岐する上下搬送路５５は、入金搬送路２１から下方に延出して集積式収納庫５１に接続されている。前側送路部２１ａと中間送路部２１ｂとの間は、前側送路部２１ａから中間送路部２１ｂへの紙幣Ｓの搬送が可能であり、上下搬送路５５と中間送路部２１ｂとの間は紙幣Ｓの行き来が可能である。上下搬送路５５は、例えば、ドラム式収納繰出装置１８（Ａ）から入金搬送路２１の後側送路部２１ｄに繰り出され、後側送路部２１ｄ及び中間送路部２１ｃ，２１ｂで搬送されて識別部１７を通過した後の紙幣Ｓを中間送路部２１ｂと前側送路部２１ａとの間から下方に分岐搬送して集積式収納庫５１に収納する。

【0033】

集積式収納庫５１は、紙幣Ｓを一枚ずつ取り込んで収納可能であり、収納している紙幣Ｓを一枚ずつ繰り出し可能となっている。集積式収納庫５１は、紙幣Ｓを上部から受け入れて水平状態で下から上に直接重なるように集積させて収納すると共に、収納している紙幣Ｓを上端部のものから繰り出す集積収納タイプとなっている。集積収納タイプの集積式収納庫５１は、ドラム式収納繰出装置１８（Ａ）及び後述するドラム式収納繰出装置１８（Ｂ）のような巻付収納タイプに比べて紙幣Ｓの収納効率が大幅に高い。その一方で、ドラム式収納繰出装置１８（Ａ）及び後述するドラム式収納繰出装置１８（Ｂ）のような巻付収納タイプは、集積収納タイプの集積式収納庫５１に比べて、紙幣Ｓの重送を生じる可能性が低く、貯留している紙幣Ｓを正確に一枚ずつ分離し間隔をあけて繰り出し可能である。

【0034】

搬送通路２０は、上下搬送路５５の装置前後方向の中間位置から後方に分岐する収納搬送路５７を有している。この収納搬送路５７は、上下搬送路５５から装置前後方向の後方に延出した後、紙幣処理装置１０の装置前後方向の後端部付近で下方に延出して装置前後方向の最後列の上段のドラム式収納繰出装置１８（Ｂ）に接続されており、このドラム式収納繰出装置１８（Ｂ）を介して最後列の下段のドラム式収納繰出装置１８（Ｂ）にも接続されている。収納搬送路５７が上下搬送路５５から分岐することによって、上下搬送路５５は、収納搬送路５７の分岐位置から上側の上側送路部５５ａと、収納搬送路５７の分岐位置から下側の下側送路部５５ｂとに分けられる。

【0035】

搬送通路２０は、収納搬送路５７の中間位置から下方に分岐する複数具体的には３カ所の分岐搬送路６１，６２，６３を有している。分岐搬送路６１は、装置前後方向の最前列の上段のドラム式収納繰出装置１８（Ｂ）に接続されており、このドラム式収納繰出装置１８（Ｂ）を介して、最前列の下段のドラム式収納繰出装置１８（Ｂ）に接続されている。分岐搬送路６２は、前から２列目の上段のドラム式収納繰出装置１８（Ｂ）に接続されており、このドラム式収納繰出装置１８（Ｂ）を介して、前から２列目の下段のドラム式収納繰出装置１８（Ｂ）に接続されている。分岐搬送路６３は、前から３列目の上段のドラム式収納繰出装置１８（Ｂ）に接続されており、このドラム式収納繰出装置１８（Ｂ）を介して、前から３列目の下段のドラム式収納繰出装置１８（Ｂ）に接続されている。

【0036】

８台のドラム式収納繰出装置１８（Ｂ）は、いずれも、紙幣Ｓを収納するもので、ドラム式収納繰出装置１８（Ａ）とほぼ同様の構成である。これらのドラム式収納繰出装置１８（Ｂ）は、いずれも、紙幣Ｓを一枚ずつ間隔をあけてテープ３０と共にドラム３１に巻き付けて収納する巻付収納タイプであって、収納している紙幣Ｓをテープ３０と共にドラム３１から解いて一枚ずつ間隔をあけて計数しながら繰り出す。テープ３０と共にドラム３１に巻き付けられる紙幣Ｓは、テープ３０のこの紙幣Ｓと共にドラム３１に巻き付けられる部分と、テープ３０の既にドラム３１に巻き付けられている部分との間に、ドラム３１の径方向において挟持される。言い換えれば、ドラム式収納繰出装置１８（Ｂ）は、紙幣Ｓを一枚ずつテープ３０に挟持しながら巻き付けて収納するドラム３１を有し、ドラム３１は、巻き取った紙幣Ｓを一枚ずつ繰り出す。

【0037】

巻付収納タイプのドラム式収納繰出装置１８（Ｂ）は、紙幣Ｓを収納する際の順番とは逆の順番で繰り出す。このため、１台のドラム式収納繰出装置１８（Ｂ）に複数金種の紙幣Ｓをランダムに混合して収納する場合であっても、制御部１５は、識別部１７の識別結果から、このドラム式収納繰出装置１８（Ｂ）に収納する各紙幣Ｓの金種などを把握可能となっており、よって、このドラム式収納繰出装置１８（Ｂ）から繰り出す各紙幣Ｓの金種なども把握可能となっている。

【0038】

上下搬送路５５の上側送路部５５ａ、収納搬送路５７及び分岐搬送路６１，６２，６３は、例えば、ドラム式収納繰出装置１８（Ａ）から入金搬送路２１の後側送路部２１ｄに繰り出され、後側送路部２１ｄ及び中間送路部２１ｃ，２１ｂで搬送されて識別部１７を通過後の紙幣Ｓを中間送路部２１ｂと前側送路部２１ａとの間から分岐搬送して８台のドラム式収納繰出装置１８（Ｂ）に選択的に収納させる。８台のドラム式収納繰出装置１８（Ｂ）は、例えば、８台全部を、それぞれが設定された単一金種の紙幣Ｓのみを収納する単金種収納庫に設定したり、そのうちの何台かを、それぞれが設定された単一金種の紙幣Ｓのみを収納する単金種収納庫に設定し、残りを、それぞれ複数金種の紙幣Ｓを金種混合で収納する金種混合収納庫に設定したり、そのうちの一台を、出金リジェクト紙幣を収納する出金リジェクト収納庫に設定したりすることができる。

【0039】

下部ユニット４２には、集積式収納庫５１と、８台のドラム式収納繰出装置１８（Ｂ）と、上下搬送路５５の上側送路部５５ａの下部と、下側送路部５５ｂと、収納搬送路５７と、分岐搬送路６１～６３とが設けられている。上下搬送路５５の上側送路部５５ａの上部は上部ユニット４１に設けられている。

【0040】

下部ユニット４２は、装置前後方向の前方に開口する直方体の箱状の筐体７５と、８台のドラム式収納繰出装置１８（Ｂ）が設けられて筐体７５内に配置されるユニット本体７６と、筐体７５の装置前後方向前部の開口を開閉する扉体７７とを有している。集積式収納庫５１は、ユニット本体７６の前部に着脱可能に設けられている。

【0041】

＜紙幣処理装置１０の主な処理＞
次に、実施形態の紙幣処理装置１０の制御部１５により制御される主な処理について説明する。

【0042】

［入金処理］
入金処理は、入金部１１に装置外からセットされた紙幣Ｓを装置内部のドラム式収納繰出装置１８（Ａ）に一時貯留する処理である。

【0043】

入金部１１に装置外から紙幣Ｓがセットされたことを図示略のセンサで検知した状態で、操作表示部１４へ入金処理開始の操作が入力されると、制御部１５の制御によって、入金部１１及び搬送通路２０が、図４に太線で示す入金処理ルートで紙幣Ｓを搬送する。

【0044】

つまり、入金部１１が紙幣Ｓを一枚ずつ分離し所定の間隔をあけて繰り出し、繰り出された紙幣Ｓを、搬送通路２０の入金搬送路２１の前側送路部２１ａ及び中間送路部２１ｂが搬送する。中間送路部２１ｂでの搬送中に、識別部１７が紙幣Ｓの識別を行う。具体的に、識別部１７は、紙幣Ｓについて、真券であるか偽券であるかの真偽判別と、汚れ度合いが高い汚損券であるか否かの汚損判別と、損傷度合いが高い損傷券であるか否かの損傷判別と、金種識別とを行う。これらの識別に加えて、識別部１７は、紙幣Ｓの重送及び斜行（傾斜角度が規定値（例えば１０度）を超える斜行）を含む搬送異常の有無を識別する。

【0045】

識別部１７の識別の結果、真券であって汚損券ではなく損傷券でもなく搬送異常もない、受け入れ可能と識別された正常紙幣Ｓを、入金搬送路２１の中間送路部２１ｂ，２１ｃ及び後側送路部２１ｄがドラム式収納繰出装置１８（Ａ）に搬送して、ドラム式収納繰出装置１８（Ａ）が貯留する（図４の太実線参照）。それ以外の紙幣Ｓであって識別部１７が受け入れ不可と識別したリジェクト紙幣Ｓについては、入金搬送路２１の中間送路部２１ｂ，２１ｃが連結搬送路３６に搬送し、連結搬送路３６及び出金搬送路３５が出金部１２に搬送する（図４の太実線から太破線参照）。制御部１５は、ドラム式収納繰出装置１８（Ａ）に一時貯留する紙幣Ｓのそれぞれについて貯留順序と金種とを記憶する。

【0046】

入金処理において制御部１５の制御により出金部１２にリジェクトされるリジェクト紙幣Ｓは、偽券と、汚損率（汚損の度合い）が規定値よりも高い汚損券と、損傷率（損傷の度合い）が規定値よりも高い損傷券と、複数枚の紙幣Ｓが少なくとも一部分が重なった状態で搬送される重送及び紙幣Ｓの傾斜角度が規定値を超える斜行紙幣などの搬送異常券とである。

【0047】

入金部１１にセットされた紙幣Ｓを全てドラム式収納繰出装置１８（Ａ）及び出金部１２のいずれかに搬送した状態になると、識別部１７の識別結果からドラム式収納繰出装置１８（Ａ）が貯留している紙幣Ｓの金種別の枚数及び総額などの金額情報を含む入金結果を操作表示部１４が表示する。出金部１２に搬送された紙幣Ｓは、装置外に取り出し可能となる。なお、出金部１２とは別に、紙幣Ｓを装置外に取り出し可能とするリジェクト部を設けて、このリジェクト部に受け入れ不可の紙幣Ｓを搬送するようにしても良い。そして、制御部１５は、入金処理を確定するか、入金処理をキャンセルするか、入金部１１に紙幣Ｓを追加投入するかの判定を促す表示を操作表示部１４に表示させる。

【0048】

［分配処理］
分配処理は、上記した入金処理でドラム式収納繰出装置１８（Ａ）に一時貯留した紙幣Ｓを装置内部のドラム式収納繰出装置１８（Ｂ）に分類して収納する処理である。

【0049】

入金処理後の金額情報の操作表示部１４への表示後、操作者が操作表示部１４に入金処理を確定する操作を入力すると、制御部１５の制御によって、ドラム式収納繰出装置１８（Ａ）と、搬送通路２０と、８台のドラム式収納繰出装置１８（Ｂ）のうちの適宜のものとが、例えば図５に太線で示す分配処理ルートで紙幣Ｓを搬送し収納する。

【0050】

つまり、ドラム式収納繰出装置１８（Ａ）が一時貯留させていた紙幣Ｓを一枚ずつ間隔をあけて繰り出し、入金搬送路２１の後側送路部２１ｄ及び中間送路部２１ｃ，２１ｂと、上下搬送路５５の上側送路部５５ａと収納搬送路５７とが搬送する。中間送路部２１ｂでの搬送中に、識別部１７が、紙幣Ｓの識別の順序と、重送及び斜行を含む搬送異常の有無とを再度識別することになる。なお、このとき、識別部１７は、真偽判別、汚損判別、損傷判別及び金種識別は行わない。

【0051】

そして、制御部１５は、搬送異常がなければ、この識別部１７で識別した紙幣Ｓの識別順序と既に記憶している入金処理時の金種情報とに基づいて、この紙幣Ｓの金種を取得して計数する。このように金種を得て計数した紙幣Ｓを、収納搬送路５７及び分岐搬送路６１～６３の適宜のものが制御部１５で制御されて、８台のドラム式収納繰出装置１８（Ｂ）のうちの、この判定した金種の紙幣Ｓを収納する収納先のものに収納させる。

【0052】

［出金処理］
出金処理は、装置内部のドラム式収納繰出装置１８（Ｂ）に収納されている紙幣Ｓを装置外に取り出し可能となるように出金部１２に出金する処理である。

【0053】

操作表示部１４に、出金させる紙幣Ｓの金額情報と共に出金処理の選択操作が入力されると、制御部１５は、金額情報に応じて金種別の出金枚数を決定し、出金対象金種の紙幣Ｓが収納されたドラム式収納繰出装置１８（Ｂ）から、搬送通路２０によって、例えば図６に太線で示す出金処理ルートで紙幣Ｓを出金部１２に搬送する。

【0054】

例えば、単一の金種が指定され、一つの第１のドラム式収納繰出装置１８（Ｂ）から紙幣Ｓを繰り出して出金部１２へ搬送する場合を例にとって出金処理を説明すると、以下のようになる。なお、複数金種の組み合わせで出金処理される場合には、適宜、複数あるドラム式収納繰出装置１８（Ｂ）を切り替えながら、単一金種の場合と同じ処理を繰り返すことになる。

【0055】

つまり、第１のドラム式収納繰出装置１８（Ｂ）が、収納していた紙幣Ｓを一枚ずつ分離し計数しつつ間隔をあけて繰り出し、繰り出された紙幣Ｓを、分岐搬送路６１～６３の適宜のもの、収納搬送路５７、上下搬送路５５の上側送路部５５ａ、入金搬送路２１の中間送路部２１ｂ，２１ｃ、連結搬送路３６及び出金搬送路３５が、出金部１２に向けて搬送する。中間送路部２１ｂでの搬送中に、識別部１７が紙幣Ｓの識別順序と搬送異常の有無とを再度識別することになる。なお、このとき、識別部１７は、真偽判別、汚損判別及び金種識別は行わず、損傷判別を行う。

【0056】

そして、制御部１５は、識別部１７で識別した紙幣Ｓが、半券などの損傷券及び重送紙幣でなければ、斜行紙幣などの搬送異常券を含め、そのまま出金部１２に出金させる。

【0057】

他方、制御部１５は、識別部１７で識別した紙幣Ｓが、半券などの損傷券あるいは重送紙幣であれば、この紙幣Ｓを処理不可と判定して、第１のドラム式収納繰出装置１８（Ｂ）、搬送通路２０及び出金部１２の駆動を停止して、エラー復旧処理を促す表示を操作表示部１４に表示させる。これにより、操作者が、損傷券とされた紙幣Ｓあるいは重送紙幣を含んで、搬送通路２０に残留している紙幣Ｓを取り出すことになる。

【0058】

＜ドラム式収納繰出装置１８の構成＞
紙幣処理装置１０において一時貯留庫として使用されるドラム式収納繰出装置１８（Ａ）と金種別の還流庫として使用されるドラム式収納繰出装置１８（Ｂ）とは、ほぼ同様の構成である。このドラム式収納繰出装置１８についてさらに説明する。ドラム式収納繰出装置１８は、制御部１５によって動作が制御される。

【0059】

図７に示すように、ドラム式収納繰出装置１８は、上記したドラム３１と、ドラム３１に長さ方向の一端部が連結されて固定される一本の上記したテープ３０と、このテープ３０の長さ方向の他端部が連結されて固定されるリール１０１とを有している。ドラム３１及びリール１０１は、いずれも既定の外径の円筒状の部分にテープ３０を巻き付ける。テープ３０は既定の長さ及び既定の一定の厚さである。

【0060】

ドラム式収納繰出装置１８は、筐体１１０と、筐体１１０に位置固定で回転可能に支持されたドラム回転軸１１１を有している。ドラム３１は、ドラム回転軸１１１に支持されてドラム回転軸１１１を中心にドラム回転軸１１１と一体に回転する。ドラム式収納繰出装置１８は、ドラム回転軸１１１を回転させるステッピングモータからなるドラム回転モータ１１５を有している。ドラム回転モータ１１５は、ドラム回転軸１１１及びドラム３１を駆動力をもって回転させると共にドラム回転軸１１１及びドラム３１にブレーキをかけてこれらを停止させる。ドラム回転モータ１１５は、装置電源がオフの状態でも磁力でドラム回転軸１１１及びドラム３１を停止状態に維持するようになっている。ドラム回転モータ１１５は、装置電源がオンの状態では、ドラム３１に巻き付けられたテープ３０が駆動力をもってドラム３１から引き出される際に、テープ３０に抵抗力を付与し張力を発生させながら連れ回り回転する。ドラム式収納繰出装置１８には、ドラム３１の回転量を検知するためのエンコーダは設けられていない。

【0061】

ドラム式収納繰出装置１８は、筐体１１０に位置固定で回転可能に支持されるリール回転軸１２１を有している。リール回転軸１２１はドラム回転軸１１１と平行に配置されている。リール１０１は、リール回転軸１２１に支持されてリール回転軸１２１を中心にリール回転軸１２１と一体に回転する。ドラム式収納繰出装置１８は、リール回転軸１２１を回転させるステッピングモータからなるリール回転モータ１２５を有している。リール回転モータ１２５は、リール回転軸１２１及びリール１０１を駆動力をもって回転させると共にリール回転軸１２１及びリール１０１にブレーキをかけてこれらを停止させる。リール回転モータ１２５は、装置電源がオフの状態でも磁力でリール回転軸１２１及びリール１０１を停止状態に維持するようになっている。リール回転モータ１２５は、装置電源がオンの状態では、リール１０１に巻き付けられたテープ３０が駆動力をもってリール１０１から引き出される際に、テープ３０に抵抗力を付与し張力を発生させながら連れ回り回転する。ドラム式収納繰出装置１８には、リール１０１の回転量を検知するためのエンコーダは設けられていない。

【0062】

ドラム式収納繰出装置１８は、ドラム３１とリール１０１との間に配置されて筐体１１０に位置固定で支持されるローラ軸１３１を有している。ローラ軸１３１は、ドラム回転軸１１１及びリール回転軸１２１と平行に配置されている。ローラ軸１３１には、ガイドローラ１３２が設けられている。ガイドローラ１３２は、フリーローラであり筐体１１０に対してローラ軸１３１を中心に回転可能となっている。ガイドローラ１３２には、テープ３０のドラム３１とリール１０１との間の部分が掛けられている。ガイドローラ１３２は、ドラム３１との間にテープ３０の直線状部１３５を形成する。図８に示すように、直線状部１３５は、テープ３０のドラム３１に巻き付けられた巻付部１３６とで、ドラム３１における、紙幣Ｓを入出させる紙幣入出口１３８を構成する。ドラム式収納繰出装置１８には、ガイドローラ１３２の回転量を検知するためのエンコーダは設けられていない。すなわち、ドラム式収納繰出装置１８には、テープ３０の駆動系にエンコーダは設けられていない。

【0063】

ドラム式収納繰出装置１８は、ローラ軸１３１に支持されて筐体１１０に対しローラ軸１３１を中心に回動するガイドアーム１４１を有している。ガイドアーム１４１には、ローラ軸１３１とは反対側の先端部に、ローラ軸１３１と平行な支持軸１４２が設けられており、この支持軸１４２には、この支持軸１４２を中心に回転するフリーローラである先端ローラ１４３が設けられている。

【0064】

ガイドアーム１４１は、テープ３０のガイドローラ１３２とドラム３１との間の直線状部１３５に沿って延在しており、先端ローラ１４３は、テープ３０のドラム３１に巻き付けられた巻付部１３６のドラム３１の径方向における外端部に当接する。これにより、ガイドアーム１４１は、ドラム３１へのテープ３０の巻き付け量の大小に応じて姿勢が変化するテープ３０の直線状部１３５にほぼ沿うように回動する。

【0065】

ドラム式収納繰出装置１８は、ドラム式収納繰出装置１８において紙幣Ｓが出入りする収納繰出口１５１を形成すると共に、収納繰出口１５１とドラム３１の紙幣入出口１３８とを結ぶように延在する紙幣ガイド１５２及び紙幣ガイド１５３と、これら紙幣ガイド１５２，１５３の近傍に配置されて、これら紙幣ガイド１５２，１５３の間で案内される紙幣Ｓを収納繰出口１５１と紙幣入出口１３８との間で行き来させる複数の搬送ローラ１５５とを有している。これら紙幣ガイド１５２，１５３と複数の搬送ローラ１５５とが、収納繰出口１５１と紙幣入出口１３８とを連結する連結搬送通路１５７を構成している。連結搬送通路１５７は、搬送通路２０から紙幣Ｓを受け取ってドラム３１に向けて搬送すると共にドラム３１から繰り出された紙幣Ｓを受け取って搬送通路２０に向けて搬送する。

【0066】

ドラム式収納繰出装置１８は、搬送通路２０により搬送されてきて収納繰出口１５１に繰り出された紙幣Ｓを、連結搬送通路１５７が紙幣ガイド１５２，１５３で案内しつつ複数の搬送ローラ１５５でドラム３１の紙幣入出口１３８に向けて搬送する。また、連結搬送通路１５７で搬送されてきた紙幣Ｓを受け入れて収納するようにドラム回転モータ１１５がドラム回転軸１１１及びドラム３１を紙幣Ｓを収納する紙幣収納方向（図７～図９における時計回り方向）に回転させる。その際に、制御部１５は、連結搬送通路１５７の搬送速度に同期させるようにドラム３１の回転速度を制御する。

【0067】

すると、連結搬送通路１５７により紙幣入出口１３８に搬送されてきた紙幣Ｓは、共に紙幣入出口１３８を構成する、テープ３０の巻付部１３６と、紙幣Ｓと共に巻付部１３６に巻き付けられる直前の直線状部１３５との間に押し込まれ、テープ３０の直線状部１３５を構成している部分と共に巻付部１３６に巻き付けられる。その結果、紙幣Ｓは、テープ３０の巻付部１３６と、テープ３０のこの紙幣Ｓと共に巻付部１３６に巻き付けられた部分とで、ドラム３１の径方向において挟持される。ドラム式収納繰出装置１８は、このようにして、搬送通路２０により搬送されてきて収納繰出口１５１に繰り出された紙幣Ｓを紙幣Ｓの搬送方向すなわち紙幣Ｓの収納繰出方向に所定の間隔をあけて一枚ずつテープ３０に挟持しながらドラム３１に巻き付けて、テープ３０の巻付部１３６に収納する。

【0068】

ここで、ドラム３１と、ドラム３１に巻き付けられたテープ３０の巻付部１３６とが、内部に紙幣Ｓを収納するドラム収納部１６１となっている。よって、上記を言い換えると、連結搬送通路１５７によって紙幣入出口１３８に搬送されてきた紙幣Ｓは、紙幣入出口１３８を構成する、ドラム収納部１６１と、紙幣Ｓと共にドラム収納部１６１に巻き付けられる直前の直線状部１３５との間に位置し、テープ３０の直線状部１３５を構成している部分と共にドラム収納部１６１に巻き付けられる。その際に、テープ３０のドラム収納部１６１に巻き付けられた部分は、ドラム収納部１６１となり、紙幣Ｓは、このドラム収納部１６１内に収納される。

【0069】

また、ドラム式収納繰出装置１８は、リール回転モータ１２５でリール回転軸１２１及びリール１０１を、リール１０１にテープ３０を巻き取る方向であるテープ巻取方向（図７～図９における反時計回り方向）に回転させると、リール１０１にテープ３０のリール１０１側の部分が巻き取られることになり、よって、テープ３０がドラム収納部１６１から引き出される。すると、ドラム３１に巻き付けられてドラム収納部１６１を構成していた巻付部１３６からテープ３０が引き出され、それまでドラム収納部１６１にあってテープ３０で挟持されていた紙幣Ｓがテープ３０と共にドラム収納部１６１から収納繰出口１５１側に繰り出される。すると、この紙幣Ｓは、連結搬送通路１５７の紙幣ガイド１５２，１５３で案内されながら複数の搬送ローラ１５５で搬送されて収納繰出口１５１から搬送通路２０に繰り出され、搬送通路２０で搬送される。この際にも、制御部１５が、連結搬送通路１５７の搬送速度にドラム３１の繰り出し速度を同期させるようにリール１０１の回転速度を制御する。

【0070】

ここで、紙幣処理装置１０内において、紙幣Ｓは、上記したように通路幅方向に長辺を沿わせ、紙幣搬送方向に短辺を沿わせる姿勢で移動することになる。よって、ドラム式収納繰出装置１８内の連結搬送通路１５７においても、紙幣Ｓは、同様に、紙幣ガイド１５２，１５３で案内されながら、通路幅方向に長辺を沿わせ、紙幣搬送方向に短辺を沿わせる姿勢で移動することになる。そして、紙幣Ｓは、短辺を収納繰出方向に沿わせて、ドラム収納部１６１に収納され、ドラム収納部１６１から繰り出される。ドラム式収納繰出装置１８は、このように紙幣Ｓが通路幅方向に長辺を沿わせることから、図示は略すが、ドラム３１が通路幅方向となる軸方向に長い円筒状をなし、テープ３０及びリール１０１の組が、通路幅方向となるドラム３１の軸方向に離間して二組設けられている。

【0071】

筐体１１０には、二本のテープ３０の間に紙幣検知センサ１７１が設けられている。紙幣検知センサ１７１は、紙幣Ｓの搬送方向においては、紙幣入出口１３８と同等の位置に設けられており、この位置における紙幣Ｓの有無を検知する。紙幣検知センサ１７１は、紙幣入出口１３８にある紙幣Ｓを厚さ方向に挟むように設けられた発光センサ１７２と受光センサ１７３とからなる遮光型の光学センサである。

【0072】

紙幣検知センサ１７１は、発光センサ１７２と受光センサ１７３との間に紙幣Ｓがあれば、発光センサ１７２の発光が紙幣Ｓで遮光されて受光センサ１７３で受光されない遮光状態になり、この遮光状態にあれば紙幣検知センサ１７１の位置に紙幣Ｓがあることを検知する。また、紙幣検知センサ１７１は、発光センサ１７２と受光センサ１７３との間に紙幣Ｓがなければ、発光センサ１７２の発光が遮光されずに受光センサ１７３で受光される透光状態になり、この透光状態にあれば紙幣検知センサ１７１の位置に紙幣Ｓがないことを検知する。紙幣検知センサ１７１は、ドラム３１における紙幣入出口１３８側に設けられており、ドラム式収納繰出装置１８の内側に収納されドラム収納部１６１へ収納される、またはドラム収納部１６１から繰り出されドラム式収納繰出装置１８の外側に繰り出される紙幣Ｓを検知する。

【0073】

搬送通路２０には、収納繰出口１５１の近傍位置に、搬送通路２０から収納繰出口１５１に受け渡される紙幣Ｓ及び収納繰出口１５１から搬送通路２０に受け渡される紙幣Ｓをカウントするカウントセンサ（通過センサ）１８１が設けられている。カウントセンサ１８１は、搬送通路２０の紙幣Ｓを厚さ方向に挟むように設けられた発光センサ１８２と受光センサ１８３とからなる遮光型の光学センサである。カウントセンサ１８１は、発光センサ１８２と受光センサ１８３との間に紙幣Ｓがあれば、発光センサ１８２の発光が紙幣Ｓで遮光されて受光センサ１８３で受光されない遮光状態になり、この遮光状態にあればカウントセンサ１８１の位置に紙幣Ｓがあることを検知する。また、カウントセンサ１８１は、発光センサ１８２と受光センサ１８３との間に紙幣Ｓがなければ、発光センサ１８２の発光が遮光されずに受光センサ１８３で受光される透光状態になり、この透光状態にあればカウントセンサ１８１の位置に紙幣Ｓがないことを検知する。カウントセンサ１８１は、透光状態から遮光状態になり、その後透光状態になると、一枚の紙幣Ｓがカウントセンサ１８１の位置を通過したことを検知する。

【0074】

カウントセンサ１８１は、図１０に示すように、通路幅方向（装置左右方向）に間隔をあけて二つ配置されている。通路幅方向に沿った二つのカウントセンサ１８１の間隔は、紙幣Ｓの長辺よりも短い。これにより、図１０に例示するように紙幣Ｓが斜行姿勢で搬送通路２０において搬送されても、紙幣Ｓは二つのカウントセンサ１８１を通過することができる。

【0075】

＜ドラム式収納繰出装置１８の紙幣収納動作＞
図７～図９に示すドラム式収納繰出装置１８に紙幣Ｓを収納させる際、制御部１５は、ドラム回転モータ１１５を駆動してドラム３１を紙幣収納方向（図７～図９における時計回り方向）へ回転させる。すると、ドラム３１の紙幣収納方向への回転動作に伴い、リール１０１は、テープ巻取方向とは逆のテープ３０が繰り出されるテープ繰出方向（図７～図９における時計回り方向）へテープ３０の張力により回転することになって、テープ３０がリール１０１から引き出される。そして、制御部１５は、搬送通路２０側からドラム式収納繰出装置１８の収納繰出口１５１へ進入してくる紙幣Ｓを紙幣入出口１３８の位置でテープ３０に挟持させながら、ドラム３１へ巻き付けさせる。これにより、紙幣Ｓがドラム式収納繰出装置１８のドラム収納部１６１に収納されて行く。

【0076】

上記収納動作に伴い、制御部１５は、収納繰出口１５１の近傍の搬送通路２０に設けられたカウントセンサ１８１の検知により、収納する紙幣Ｓの枚数をカウントする。また、制御部１５の紙幣間隔検出手段２０２（紙葉類間隔検出手段）（図１参照）は、カウントセンサ１８１から出力された検知情報に基づいて、収納繰出口１５１に向けて連続して搬送される紙幣Ｓの間隔を検出する。紙幣Ｓの間隔は、図１１等に示すように、収納繰出口１５１に向けて先行する紙幣Ｓ（先行紙幣Ｓ）の後端部と後続する紙幣Ｓ（後続紙幣Ｓ）の前端部との間隔Ｄである。以下、紙幣Ｓの間隔Ｄの具体的な検出について説明する。

【0077】

まず、カウントセンサ１８１は、カウントセンサ１８１の検知状態が紙幣検知状態（遮光状態）から紙幣非検知状態（透光状態）に変化した後、再び紙幣検知状態（遮光状態）となるまでの時間（紙幣非検知時間）のデータを、紙幣Ｓの間隔Ｄを表すデータとして制御部１５の紙幣間隔検出手段２０２に出力する。その後、紙幣間隔検出手段２０２は、カウントセンサ１８１から出力された紙幣非検知時間のデータと、搬送通路２０における紙幣Ｓの搬送速度とに基づいて、紙幣Ｓの間隔Ｄを算出する。搬送通路２０における紙幣Ｓの間隔Ｄの検出は、紙幣Ｓがカウントセンサ１８１を通過するごとに行われる。

【0078】

また、上記収納動作に伴い、制御部１５の紙幣長さ検出手段２０１は、識別部１７の角座標位置割出手段３０２から出力された当該紙幣Ｓの角座標位置に基づいて、ドラム式収納繰出装置１８に対する紙幣収納方向（収納繰出方向）に沿った紙幣Ｓの長さを算出する。具体的に、紙幣長さ検出手段２０１は、図３に示すように、紙幣Ｓの四隅の位置座標（x1,y1）、（x2,y2）、（x3,y3）、（x4,y4）のうちｙ軸方向（搬送方向、収納繰出方向）におけるｙ座標の最小値と最大値との差分を、ｙ軸方向に沿った紙幣Ｓの長さＬ２として算出する。このため、識別部１７の角座標位置割出手段３０２は、例えば紙幣Ｓの四隅のｙ座標のみを割り出してもよい。

【0079】

図３に例示する紙幣Ｓは、その左端が先行するように斜行した姿勢でｙ軸負方向（図３において上方）に搬送されている。このため、当該紙幣Ｓの四隅のｙ座標のうち、左から二番目のｙ座標「y1」が最小値であり、右から二番目のｙ座標「y4」が最大値である。このため、紙幣長さ検出手段２０１は、紙幣Ｓの長さＬ２を以下の式で算出する。
Ｌ２＝y4－y1
図示はしないが、例えば、紙幣Ｓの右端が先行するように斜行した姿勢でｙ軸負方向に搬送される場合、紙幣長さ検出手段２０１は、紙幣Ｓの長さＬ２を以下の式で算出する。
Ｌ２＝y3－y2
また、ｙ座標における1ポイントが実寸の長さ（例えば０．５ｍｍ）に対応している場合、紙幣長さ検出手段２０１は、上記した差分に実寸の長さを乗じることで、搬送方向における紙幣Ｓの実寸の長さＬ２を算出することができる。
紙幣Ｓの長さＬ２の検出は、紙幣Ｓが識別部１７の全面情報取得センサ３０１を通過するごとに行われる。

【0080】

さらに、制御部１５は、上記収納動作に伴い、図１１等に示すように、紙幣長さ検出手段２０１によって検出された先行紙幣Ｓの長さＬ２と、紙幣間隔検出手段２０２によって検出された先行紙幣Ｓと後続紙幣Ｓとの間隔Ｄと、に基づいてドラム３１の回転速度を制御する。以下、紙幣Ｓの収納動作におけるドラム３１の回転制御について説明する。

【0081】

紙幣Ｓの収納動作におけるドラム３１の回転制御は、一枚の紙幣Ｓ（先行紙幣Ｓ）をドラム３１に巻き取る度に、制御部１５が以下の計算式（１）によりドラム３１の回転速度（ドラム巻取速度）を算出することで行われる。
（ドラム巻取速度）＝（基準速度）×（長さ変換）×（札間補正）・・・（１）

【0082】

ここで、「基準速度」とは、後述する累積巻取長さ（ドラム３１に巻き取られたテープ３０の長さ）に対応するドラム３１の回転速度である。

【0083】

「長さ変換」は、以下の計算式（２）で算出される値である。
（長さ変換）＝（巻取紙幣長さ）／（基準紙幣長さ）・・・（２）
ここで、「巻取紙幣長さ」とは、紙幣長さ検出手段２０１によって検出される先行紙幣Ｓの長さＬ２（紙幣長さＬ２）である。また、「基準紙幣長さ」とは、基準となる紙幣Ｓ（基準紙幣Ｓ）の短辺の長さ（例えば８２ｍｍ）であり、基準紙幣Ｓが斜行せずに搬送されるときの紙幣収納方向（収納繰出方向）に沿った紙幣Ｓの長さである。

【0084】

「札間補正」は、以下の計算式（３）で算出される値である。
（札間補正）＝（基準紙幣ピッチ）／（巻取紙幣ピッチ）・・・（３）
ここで、「巻取紙幣ピッチ」とは、紙幣長さ検出手段２０１によって検出された先行紙幣Ｓの長さＬ２（紙幣長さＬ２）と、紙幣間隔検出手段２０２によって検出された先行紙幣Ｓと後続紙幣Ｓとの間隔Ｄとの合計、すなわち先行紙幣Ｓの前端部から後続紙幣Ｓの前端部までの紙幣Ｓ一枚分のピッチＰ（紙幣ピッチＰ）である。また、「基準紙幣ピッチ」とは、基準となる紙幣Ｓ一枚分のピッチ（基準紙幣ピッチ；例えば１４３ｍｍ）である。

【0085】

先行紙幣Ｓをドラム式収納繰出装置１８へ紙幣Ｓが連続して収納される処理（先行紙幣Ｓがドラム式収納繰出装置１８へ収納された後に、後続紙幣Ｓがドラム式収納繰出装置１８へ収納される処理）において、制御部１５は、上記した計算式（１）～（３）により、紙幣Ｓ一枚ごとにドラム３１の回転速度（巻取速度）を制御する。

【0086】

例えば、紙幣Ｓ一枚分のピッチＰ（紙幣ピッチＰ）が基準紙幣ピッチを超えている場合、言い換えれば、紙幣ピッチＰと搬送通路２０における紙幣Ｓの搬送速度とから導かれる紙幣Ｓ一枚分の通過時間が所定基準値（例えば１４３ｍｓｅｃ）を超えている場合、制御部１５は、先行紙幣Ｓを収納したときのドラム３１の回転速度を第１回転速度よりも遅い第２回転速度に切り替えることにより、ドラム３１に収納する紙幣Ｓの間隔（先行紙幣Ｓと後続紙幣Ｓとの間隔）を詰めるようにドラム３１を駆動する。通過時間の所定基準値として例示した値（１４３ｍｓｅｃ）は、紙幣Ｓが搬送通路２０において一秒あたりに７枚搬送される場合の値であるが、これに限ることはない。

【0087】

制御部１５が上記のようにドラム３１の回転速度を制御した場合、搬送通路２０で搬送しているときの紙幣Ｓの間隔よりも、ドラム３１へ巻き付けられるときの紙幣Ｓの間隔を小さくして（間隔を詰めて）収納させることができる。以下、この点について説明する。

【0088】

紙幣Ｓ一枚分の通過時間が所定基準値を超えている場合、紙幣Ｓは、装置側の仕様によって定められている紙幣Ｓの間隔で搬送される状態よりも紙幣Ｓの間隔が大きい状態で搬送されている状態となる。このような間隔で搬送通路２０で搬送される紙幣Ｓをドラム式収納繰出装置１８へ、そのままの間隔で収納させると、ドラム式収納繰出装置１８へ効率良く収納させることが出来ずに、ドラム式収納繰出装置１８の収納容量の仕様値（例えば最大６００枚）を満たすことが難しくなる。したがって、制御部１５が、後続紙幣Ｓを収納させる際のドラム３１の回転速度を、先行紙幣Ｓを収納させるときのドラム３１の回転速度（第１回転速度）より遅い回転速度（第２回転速度）へ切り替えることにより、搬送通路２０において一定の速度で搬送されてドラム式収納繰出装置１８へ向かう紙幣Ｓに対して、搬送通路２０で搬送している時の紙幣Ｓの間隔よりも、ドラム３１へ巻き付けられる紙幣Ｓの間隔を小さくして（間隔を詰めて）紙幣Ｓを収納することが可能となる。これにより、より多くの紙幣Ｓをドラム式収納繰出装置１８に収納することが可能となる。

【0089】

以下、図１１～図１９を参照して、計算式（１）～（３）により制御されるドラム３１の回転速度（巻取速度）の複数の例について説明する。
図１１に示す例では、紙幣長さＬ２が基準値（すなわち基準紙幣Ｓの長さ）であり、紙幣ピッチＰが基準紙幣ピッチとなっている。この場合、計算式（１）における「長さ変換」及び「札間補正」がともに１．００となるため、ドラム３１の回転速度は、基準速度（基準速度の１００％）となる。したがって、搬送通路２０において搬送される先行紙幣Ｓと後続紙幣Ｓとの間隔Ｄが維持されたまま、紙幣Ｓがドラム式収納繰出装置１８に収納される。

【0090】

図１２に示す例では、紙幣ピッチＰが図１１で示した基準紙幣ピッチとなっているが、紙幣長さＬ２が図１１で示した基準紙幣Ｓの長さよりも短い。このため、搬送通路２０において搬送される先行紙幣Ｓと後続紙幣Ｓとの間隔Ｄは、図１１に示した例（基準例）よりも長い。この場合、計算式（１）における「札間補正」は１．００となるが、「長さ変換」は１．００を下回る（０．７６となる）。このため、先行紙幣Ｓをドラム式収納繰出装置１８に収納した後のドラム３１の回転速度は、基準速度よりも遅い速度（基準速度の７６％）となる。したがって、先行紙幣Ｓと後続紙幣Ｓとの間隔が、搬送通路２０において搬送される先行紙幣Ｓと後続紙幣Ｓとの間隔Ｄよりも短くなるように（言い換えれば、図１１に示した例（基準例）における先行紙幣Ｓと後続紙幣Ｓとの間隔となるように）、紙幣Ｓがドラム式収納繰出装置１８に収納される。

【0091】

図１３に示す例では、紙幣ピッチＰが基準紙幣ピッチとなっているが、先行紙幣Ｓが斜行姿勢となっていることで、紙幣長さＬ２が基準紙幣Ｓの長さよりも長い。このため、搬送通路２０において搬送される先行紙幣Ｓと後続紙幣Ｓとの間隔Ｄが、図１１に示した例（基準例）よりも短い。この場合、計算式（１）における「札間補正」は１．００となるが、「長さ変換」は１．００を上回る（１．０４となる）。このため、先行紙幣Ｓをドラム式収納繰出装置１８に収納した後のドラム３１の回転速度は、基準速度よりも速い速度（基準速度の１０４％）となる。したがって、先行紙幣Ｓと後続紙幣Ｓとの間隔が、搬送通路２０において搬送される先行紙幣Ｓと後続紙幣Ｓとの間隔Ｄよりも長くなるように（言い換えれば、図１１に示した例（基準例）における先行紙幣Ｓと後続紙幣Ｓとの間隔となるように）、紙幣Ｓがドラム式収納繰出装置１８に収納される。

【0092】

図１４に示す例では、紙幣長さＬ２が基準紙幣Ｓの長さとなっているが、紙幣ピッチＰが基準紙幣ピッチよりも短い。このため、搬送通路２０において搬送される先行紙幣Ｓと後続紙幣Ｓとの間隔Ｄが、図１１に示した例（基準例）よりも短い。この場合、計算式（１）における「長さ変換」は１．００となるが、「札間補正」は１．００を上回る（１．０８となる）。このため、先行紙幣Ｓをドラム式収納繰出装置１８に収納した後のドラム３１の回転速度は、基準速度よりも速い速度（基準速度の１０８％）となる。したがって、先行紙幣Ｓと後続紙幣Ｓとの間隔が、搬送通路２０において搬送される先行紙幣Ｓと後続紙幣Ｓとの間隔Ｄよりも長くなるように（言い換えれば、図１１に示した例（基準例）における先行紙幣Ｓと後続紙幣Ｓとの間隔となるように）、紙幣Ｓがドラム式収納繰出装置１８に収納される。

【0093】

図１５に示す例では、紙幣長さＬ２が基準紙幣Ｓの長さよりも短く、紙幣ピッチＰが基準紙幣ピッチよりも短い。また、搬送通路２０において搬送される先行紙幣Ｓと後続紙幣Ｓとの間隔Ｄが、図１１に示した例（基準例）よりも長い。この場合、計算式（１）における「長さ変換」は１．００を下回り（０．７６となり）、「札間補正」は１．００を上回る（１．０８となる）。また、「長さ変換」が１．００を下回る度合いが、「札間補正」が１．００を上回る度合いよりも大きい。このため、先行紙幣Ｓをドラム式収納繰出装置１８に収納した後のドラム３１の回転速度は、基準速度よりも遅い速度（基準速度の８１％）となる。したがって、先行紙幣Ｓと後続紙幣Ｓとの間隔が、搬送通路２０において搬送される先行紙幣Ｓと後続紙幣Ｓとの間隔Ｄよりも短くなるように（言い換えれば、図１１に示した例（基準例）における先行紙幣Ｓと後続紙幣Ｓとの間隔となるように）、紙幣Ｓがドラム式収納繰出装置１８に収納される。

【0094】

図１６に示す例では、先行紙幣Ｓが斜行姿勢となっていることで紙幣長さＬ２が基準紙幣Ｓの長さよりも長く、紙幣ピッチＰが基準紙幣ピッチよりも短い。このため、搬送通路２０において搬送される先行紙幣Ｓと後続紙幣Ｓとの間隔Ｄが、図１１に示した例（基準例）よりも短い。この場合、計算式（１）における「長さ変換」は１．００を上回り（１．０４となり）、「札間補正」も１．００を上回る（１．０８となる）。このため、先行紙幣Ｓをドラム式収納繰出装置１８に収納した後のドラム３１の回転速度は、基準速度よりも速い速度（基準速度の１１１％）となる。したがって、先行紙幣Ｓと後続紙幣Ｓとの間隔が、搬送通路２０において搬送される先行紙幣Ｓと後続紙幣Ｓとの間隔Ｄよりも長くなるように（言い換えれば、図１１に示した例（基準例）における先行紙幣Ｓと後続紙幣Ｓとの間隔となるように）、紙幣Ｓがドラム式収納繰出装置１８に収納される。

【0095】

図１７に示す例では、紙幣長さＬ２が基準紙幣Ｓの長さとなっているが、紙幣ピッチＰが基準紙幣ピッチよりも長い。このため、搬送通路２０において搬送される先行紙幣Ｓと後続紙幣Ｓとの間隔Ｄが、図１１に示した例（基準例）よりも長い。この場合、計算式（１）における「長さ変換」は１．００となるが、「札間補正」は１．００を下回る（０．９３となる）。このため、先行紙幣Ｓをドラム式収納繰出装置１８に収納した後のドラム３１の回転速度は、基準速度よりも遅い速度（基準速度の９３％）となる。したがって、先行紙幣Ｓと後続紙幣Ｓとの間隔が、搬送通路２０において搬送される先行紙幣Ｓと後続紙幣Ｓとの間隔Ｄよりも短くなるように（言い換えれば、図１１に示した例（基準例）における先行紙幣Ｓと後続紙幣Ｓとの間隔となるように）、紙幣Ｓがドラム式収納繰出装置１８に収納される。

【0096】

図１８に示す例では、紙幣長さＬ２が基準紙幣Ｓの長さよりも短く、紙幣ピッチＰが基準紙幣ピッチよりも長い。このため、搬送通路２０において搬送される先行紙幣Ｓと後続紙幣Ｓとの間隔Ｄが、図１１に示した例（基準例）よりも長い。この場合、計算式（１）における「長さ変換」は１．００を下回り（０．７６となり）、「札間補正」も１．００を下回る（０．９３となる）。このため、先行紙幣Ｓをドラム式収納繰出装置１８に収納した後のドラム３１の回転速度は、基準速度よりも遅い速度（基準速度の７１％）となる。したがって、先行紙幣Ｓと後続紙幣Ｓとの間隔が、搬送通路２０において搬送される先行紙幣Ｓと後続紙幣Ｓとの間隔Ｄよりも短くなるように（言い換えれば、図１１に示した例（基準例）における先行紙幣Ｓと後続紙幣Ｓとの間隔となるように）、紙幣Ｓがドラム式収納繰出装置１８に収納される。

【0097】

図１９に示す例では、先行紙幣Ｓが斜行姿勢となっていることで紙幣長さＬ２が基準紙幣Ｓの長さよりも長く、紙幣ピッチＰが基準紙幣ピッチよりも長い。また、搬送通路２０において搬送される先行紙幣Ｓと後続紙幣Ｓとの間隔Ｄが、図１１に示した例（基準例）よりも長い。この場合、計算式（１）における「長さ変換」は１．００を上回り（１．０４となり）、「札間補正」は１．００を下回る（０．９３となる）。また、「札間補正」が１．００を下回る度合いが、「長さ変換」が１．００を上回る度合いよりも大きい。このため、先行紙幣Ｓをドラム式収納繰出装置１８に収納した後のドラム３１の回転速度は、基準速度よりも遅い速度（基準速度の９７％）となる。したがって、先行紙幣Ｓと後続紙幣Ｓとの間隔が、搬送通路２０において搬送される先行紙幣Ｓと後続紙幣Ｓとの間隔Ｄよりも短くなるように（言い換えれば、図１１に示した例（基準例）における先行紙幣Ｓと後続紙幣Ｓとの間隔となるように）、紙幣Ｓがドラム式収納繰出装置１８に収納される。

【0098】

さらに、ドラム式収納繰出装置１８に紙幣Ｓを収納させる際、制御部１５は、その紙幣長さ検出手段２０１によって算出された紙幣Ｓの長さＬ２、及び、紙幣間隔検出手段２０２によって検出された紙幣Ｓの間隔Ｄに基づいて後述する累積巻取長さを算出して記憶部１６に記憶させる。また、制御部１５は、カウントセンサ１８１により検知された紙幣Ｓの枚数を記憶部１６に記憶させる。すなわち、記憶部１６は、ドラム式収納繰出装置１８に収納している紙幣Ｓについての、収納枚数と累積巻取長さとを記憶する。

【0099】

そして、ドラム式収納繰出装置１８へ搬送される最終の紙幣Ｓがカウントセンサ１８１を通過すると、カウントセンサ１８１の検知状態が、紙幣検知状態（遮光状態）から紙幣非検知状態（透光状態）へ変化する。その後、この最終の紙幣Ｓが紙幣検知センサ１７１を通過すると、紙幣検知センサ１７１の検知状態が、紙幣検知状態（遮光状態）から紙幣非検知状態（透光状態）へ変化する。

【0100】

ドラム式収納繰出装置１８は、紙幣検知センサ１７１で検知される紙幣Ｓの位置に基づいてドラム３１の位置を検出するドラム位置検出手段１９１を備えている。ドラム位置検出手段１９１は、紙幣検知センサ１７１を含んでいる。ドラム位置検出手段１９１は、上記のようにドラム式収納繰出装置１８へ搬送される最終の紙幣Ｓによって、紙幣検知センサ１７１が紙幣検知状態（遮光状態）から紙幣非検知状態（透光状態）へ変化した時点で、ドラム３１が所定のドラム待機位置に位置したことを検出する。言い換えれば、ドラム式収納繰出装置１８は、紙幣検知センサ１７１が、ドラム３１へ収納される最終となる紙幣Ｓの通過によって紙幣検知状態（遮光状態）から紙幣非検知状態（透光状態）へと変化した直後のドラム３１の位置をドラム待機位置として検出する。

【0101】

制御部１５は、ドラム位置検出手段１９１が、ドラム３１が所定のドラム待機位置に位置したことを検出した時点で、ドラム回転モータ１１５の駆動を停止する。すると、ドラム３１が次の紙幣Ｓの受け入れを待機する所定のドラム待機位置で停止する。言い換えれば、ドラム位置検出手段１９１は、ドラム式収納繰出装置１８への紙幣Ｓの収納動作において、紙幣検知センサ１７１が、ドラム３１へ収納される紙幣Ｓの通過によって紙幣検知状態（遮光状態）から紙幣非検知状態（透光状態）へと変化すると、ドラム３１がドラム待機位置に位置したことを検出する。ドラム式収納繰出装置１８は、紙幣Ｓの収納動作及び繰り出し動作を行なっていない非動作状態では、次の紙幣Ｓの収納動作及び繰り出し動作に備えるために、ドラム３１をこのドラム待機位置で停止させて待機する。

【0102】

＜ドラム式収納繰出装置１８の紙幣繰出動作＞
ドラム式収納繰出装置１８から紙幣Ｓを繰り出す際に、制御部１５は、リール回転モータ１２５を駆動してリール１０１をテープ巻取方向（図７～図９における反時計回り方向）へ回転させる。すると、リール１０１のこのテープ巻取方向への回転動作に伴い、ドラム３１は、紙幣収納方向とは逆の、紙幣Ｓが繰り出される紙幣繰出方向（図７～図９における反時計回り方向）へテープ３０の張力により回転させられることになる。すると、ドラム収納部１６１に収納されていた紙幣Ｓがドラム収納部１６１から繰り出されて行き、ドラム式収納繰出装置１８の収納繰出口１５１から搬送通路２０側へと搬送される。

【0103】

このようにドラム式収納繰出装置１８から紙幣Ｓを繰り出す際に、制御部１５は、収納繰出口１５１の近傍の搬送通路２０に配置されたカウントセンサ１８１の検知により、繰り出す紙幣Ｓの枚数をカウントする。そして、制御部１５は、繰り出す枚数の中の最後となる紙幣Ｓが紙幣検知センサ１７１を通過後に、所定のタイミングでリール回転モータ１２５の駆動を停止する。

【0104】

そして、制御部１５は、カウントセンサ１８１で検知された、繰り出した紙幣Ｓの枚数分を減算して現在のドラム式収納繰出装置１８に収納されている紙幣枚数を算出し、この算出した紙幣枚数と、繰り出した紙幣Ｓの分を減算した後述する累積巻取長さとを記憶部１６に記憶させて、紙幣繰出動作を終了する。すなわち、記憶部１６が、ドラム式収納繰出装置１８に収納している紙幣Ｓについての、収納枚数と累積巻取長さとを記憶する。

【0105】

＜累積巻取長さについて＞
ここで、累積巻取長さについて説明する。累積巻取長さとは、ドラム３１に巻き取られたテープ３０の長さの合計であり、言い換えると、ドラム式収納繰出装置１８に収納している紙幣Ｓについての、収納繰出方向に沿った紙幣Ｓの長さ及び収納繰出方向に隣り合う紙幣Ｓの間隔の累計値である。累積巻取長さは、紙幣長さ検出手段２０１によって算出された紙幣Ｓの長さＬ２、及び、紙幣間隔検出手段２０２によって検出された紙幣Ｓの間隔Ｄの累計することで算出される。

【0106】

具体的に、制御部１５の紙幣長さ検出手段２０１は、前述したように搬送通路２０に設けられた識別部１７から出力された紙幣Ｓの角座標位置（図３において紙幣Ｓの四隅の位置座標）に基づいて紙幣Ｓの長さＬ２を算出する。このため、紙幣Ｓの姿勢（斜行姿勢であるか否か、また、斜行姿勢の程度）に関わらず、収納繰出方向に沿った紙幣Ｓの長さＬ２を正しく把握することができる。また、制御部１５の紙幣間隔検出手段２０２は、前述したように搬送通路２０に設けられたカウントセンサ１８１から出力された紙幣Ｓの検知情報に基づいて、搬送通路２０における前後の紙幣Ｓの間隔を検出する。そして、制御部１５は、これら紙幣Ｓの長さＬ２、及び、前後の紙幣Ｓの間隔を合算したものを、紙幣Ｓ一枚分の巻取長さ（紙幣Ｓ一枚分のピッチ）とする。制御部１５は、このような巻取長さ（紙幣Ｓ一枚分のピッチ）を、ドラム式収納繰出装置１８のドラム収納部１６１に収納される紙幣Ｓの全てについて累計することで累積巻取長さを算出する。

【0107】

上述したように、制御部１５の紙幣長さ検出手段２０１は、一枚の紙幣Ｓの長さＬ２を、識別部１７から出力された紙幣Ｓの角座標位置に基づいて算出する。また、制御部１５の紙幣間隔検出手段２０２は、前後の紙幣Ｓの間隔を、カウントセンサ１８１から出力された紙幣Ｓの検知情報に基づいて算出する。ここで、識別部１７及びカウントセンサ１８１は、いずれも搬送通路２０に設けられているため、識別部１７、カウントセンサ１８１を通過する紙幣Ｓの搬送速度は、搬送通路２０を駆動する搬送駆動モータの回転速度によって決まり、ドラム３１が収納方向へ回転することによるテープ３０の移動速度の影響は受けない。したがって、ドラム３１のドラム収納部１６１の外径が変化することにより、テープ３０の移動速度が変化しても、この紙幣Ｓは、識別部１７、カウントセンサ１８１を所定の一定速度で安定して通過する。このため、識別部１７及びカウントセンサ１８１を利用して紙幣Ｓの長さ及び紙幣Ｓの間隔を精度よく算出することができる。

【0108】

このような累積巻取長さは、ドラム３１にテープ３０及び紙幣Ｓを巻き付けた状態のドラム収納部１６１の外径に対応している。すなわち、累積巻取長さが第１の長さのときのドラム収納部１６１の外径に対して、累積巻取長さが第１の長さよりも所定長さ長くなれば、この所定長さに応じた分だけ、ドラム収納部１６１の外径は大きくなる。

【0109】

ここで、ドラム収納部１６１の外径が変化すると、ドラム３１を一定の回転速度で回転させていた場合、ドラム収納部１６１の紙幣入出口１３８を構成する外周部の周速は、ドラム収納部１６１の外径が小さければ遅く、ドラム収納部１６１の外径が大きければ速くなってしまう。これに対して、連結搬送通路１５７は、一定の速度で紙幣Ｓを搬送するため、この連結搬送通路１５７による搬送速度と、ドラム収納部１６１の紙幣入出口１３８を構成する外周部の周速とを合わせる必要がある。このため、制御部１５は、ステッピングモータであるドラム回転モータ１１５の回転速度、すなわち単位時間当たりの回転量を、ドラム収納部１６１の外径に対応する累積巻取長さが短ければ速く、長ければ遅くするように累積巻取長さに応じた値に変化させるようになっている。よって、制御部１５は、累積巻取長さを記憶部１６に記憶させて管理している。しかしながら、累積巻取長さを良好に把握できないと、連結搬送通路１５７とドラム収納部１６１との速度が合わず、搬送不良（ジャム）を生じてしまう可能性がある。

【0110】

また、ドラム回転モータ１１５の回転速度、すなわち単位時間当たりの回転量を制御するにあたって、累積巻取長さが短ければドラム収納部１６１の重さが軽く、累積巻取長さが長ければドラム収納部１６１の重さが重くなって、負荷が変化する。このため、負荷の大きさに応じて、適切にドラム回転モータ１１５に駆動を与える必要がある。具体的には、負荷が大きい場合には、ドラム回転モータ１１５を低速駆動させ、負荷が小さい場合にはドラム回転モータ１１５を高速駆動させるなど、駆動パターンを切り替える制御となる。負荷に対して駆動パターンが適切に選択されていない場合には、ドラム回転モータ１１５に脱調現象を誘発するおそれがある。このためにも、制御部１５は、累積巻取長さを記憶部１６に記憶させて管理している。これによって、現在掛かっているドラム回転モータの負荷に応じて、適切な駆動パターンでドラム３１を駆動することが可能となる。つまり、制御部１５は、ドラム３１を回転させる際に、現在のドラム回転モータ１１５に掛かる負荷を判断するため、上述した累積巻取長さを記憶部１６から読み出して、現在の累積巻取長さに応じた駆動パターンでドラム回転モータ１１５を駆動するようになっている。

【0111】

すなわち、ドラム３１の回転駆動にかかる負荷は、一律ではなく、ドラム式収納繰出装置１８へ収納している紙幣Ｓのサイズと枚数とによって増減する。このため制御部１５は、ドラム３１の駆動源であるステッピングモータからなるドラム回転モータ１１５を紙幣Ｓのサイズと収納枚数ごとに決められる負荷に応じた制御方法（駆動パターン）により、脱調させることなく適切に駆動させる必要がある。この理由により、ドラム式収納繰出装置１８を備える紙幣処理装置１０では、ドラム式収納繰出装置１８に収納している紙幣Ｓの量を把握するため、記憶部１６へ、収納枚数と共に、収納した紙幣Ｓの長さの累計値（累積巻取長さ）を記憶させている。ドラム式収納繰出装置１８を複数備える紙幣処理装置１０では、制御部１５は、各々のドラム式収納繰出装置１８について、収納枚数と共に収納した紙幣Ｓの長さの累計値（累積巻取長さ）を記憶しており、収納枚数の管理とドラム回転駆動の制御に活用している。これによって、累積巻取長さに応じて、ドラム３１の駆動源であるドラム回転モータ１１５を適切に駆動することが可能となる。

【0112】

以上のように、制御部１５は、ドラム回転モータ１１５すなわちドラム３１を、記憶部１６に記憶された累積巻取長さに応じて制御するようになっている。このため、累積巻取長さを良好に把握できないと、ドラム回転モータ１１５すなわちドラム３１の回転制御を適正に行うことができない可能性があり、それに起因して不具合を生じ、処理効率の低下に繋がる可能性がある。すなわち、記憶部１６に記憶され管理されているはずの累積巻取長さが、実際の累積巻取長さと異なると、それに起因して不具合を生じ、処理効率の低下に繋がる可能性がある。

【0113】

これに対し、紙幣処理装置１０では、記憶部１６に記憶される累積巻取長さが、前述したように識別部１７の利用によって正しく把握された紙幣Ｓの長さＬ２に基づいて算出されるため、当該累積巻取長さを良好に把握することができる。すなわち、記憶部１６に記憶される累積巻取長さの精度向上を図ることができる。したがって、ドラム３１を適切な回転速度で駆動することができ、上記した不具合の発生を抑制又は防止することができる。
なお、記憶部１６に記憶された累積巻取長さに応じて制御されたドラム３１の回転速度は、前述した計算式（１）における「基準速度」に対応している。

【0114】

記憶部１６に記憶される累積巻取長さは、ドラム３１の回転（ドラム３１に対する紙幣Ｓの収納及び繰出）に伴って変化する。このため、制御部１５は、紙幣Ｓがドラム式収納繰出装置１８へ一枚収納される毎、あるいはドラム式収納繰出装置１８から一枚繰出される毎に、記憶部１６が記憶している累積巻取長さを最新のデータに更新する。具体的に、制御部１５は、ドラム式収納繰出装置１８による紙幣Ｓの収納動作あるいは繰出動作において、紙幣長さ検出手段２０１によって算出された先行紙幣Ｓの長さＬ２と、紙幣間隔検出手段２０２によって検出された先行紙幣Ｓと後続紙幣Ｓとの間隔Ｄと、を合算した紙幣Ｓ一枚分のピッチを記憶部１６に記憶された累積巻取長さに加算することで、累積巻取長さを最新のデータに更新する。これにより、最新の累積巻取長さに基づいて、ドラム３１の回転制御を適正に行うことができる。

【0115】

以上に述べた本実施形態の紙幣処理装置１０によれば、識別部１７から出力された紙幣Ｓの角座標位置（図３参照）に基づいて収納繰出方向に沿う紙幣Ｓの長さＬ２を算出するため、紙幣Ｓの姿勢に関わらず当該紙幣Ｓの長さＬ２を正しく把握することができる。これにより、紙幣Ｓ一枚分のピッチを詰めた状態で紙幣Ｓをドラム３１に巻き取っても、後続紙幣Ｓが先行紙幣Ｓに追突することを抑制することができる。したがって、ドラムにおける紙幣の収納不良を抑制することが可能となる。以下、この点について、図３を参照して説明する。

【0116】

例えば、紙幣Ｓの長さの情報は、例えば通路幅方向（装置左右方向）に並べて設けられた二つのカウントセンサ１８１（図１０参照）を利用して取得することが考えられる。この場合には、制御部１５が、一枚の紙幣Ｓがその搬送方向（ｘ軸方向）において二つのカウントセンサ１８１を通過する際に、二つのカウントセンサ１８１によって一枚の紙幣Ｓが検知される時間（紙幣検知時間）、及び、紙幣Ｓの搬送速度に基づいて、紙幣Ｓの長さＬ１を取得する。

【0117】

しかしながら、紙幣Ｓが搬送通路２０において斜行姿勢で搬送される場合には、図３に例示するように、搬送方向における実際の紙幣Ｓの長さＬ２に対応する紙幣Ｓの通過時間（カウントセンサ１８１を通過する時間）よりも、カウントセンサ１８１による紙幣検知時間が短く計測されてしまうことがある。すなわち、カウントセンサ１８１による紙幣検知時間に基づいて取得される紙幣Ｓの長さＬ１が、実際の紙幣Ｓの長さＬ２よりも短くなってしまうことがある。この場合には、ドラム３１が本来必要な回転速度よりも遅い回転速度で駆動されてしまう、または、記憶部１６へ記憶させるドラム３１の駆動制御用のデータ（例えば累積巻取長さ）が適切でない等の不具合が発生する。このような不具合が発生すると、紙幣Ｓのドラム式収納繰出装置１８への収納時に、後続紙幣Ｓが先行紙幣Ｓに追突する異常（紙幣Ｓの追突ジャムエラー）を誘発させて収納不良となる場合がある。

【0118】

これに対し、本実施形態では、紙幣Ｓの角座標位置に基づいて、紙幣Ｓの姿勢に関わらず当該紙幣Ｓの長さＬ２を正しく把握することができる。これにより、ドラム３１を適切な回転速度で駆動することができ、また、適切なドラム３１の駆動制御用のデータ（例えば累積巻取長さ）を記憶部１６に記憶させることができる。これにより、紙幣Ｓのドラム式収納繰出装置１８への収納時に、紙幣Ｓ一枚分のピッチを詰めた状態で紙幣Ｓをドラム３１に巻き取っても、紙幣Ｓの追突ジャムエラーが発生することを抑制又は防止することができる。

【0119】

また、本実施形態の紙幣処理装置１０によれば、制御部１５は、ドラム式収納繰出装置１８による紙幣Ｓの収納動作において、紙幣長さ検出手段２０１によって算出された先行紙幣Ｓの長さＬ２と、紙幣間隔検出手段２０２によって検出された先行紙幣Ｓと後続紙幣Ｓとの間隔Ｄと、に基づいてドラム３１の回転速度を制御する。具体的には、制御部１５が前述した計算式（１）～（３）によりドラム３１の回転速度（巻取速度）を算出するする。これにより、確実に、紙幣Ｓの間隔をできる限り詰めた状態で先行紙幣Ｓに後続紙幣Ｓが追突しないように、紙幣Ｓをドラム３１に巻き取ることが可能となる。

【0120】

また、本実施形態の紙幣処理装置１０によれば、記憶部１６に記憶される累積巻取長さが、識別部１７の利用によって正しく把握された紙幣Ｓの長さＬ２に基づいて算出されるため、当該累積巻取長さの精度向上を図ることができる。これにより、ドラム３１を適切な回転速度で駆動することができる。その結果として、ドラム３１に収納する紙幣Ｓの間隔を詰めることができるという効果を奏する。

【0121】

以上、本発明の詳細について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。

【0122】

本発明において、例えば、紙幣間隔検出手段２０２によって検出された紙幣Ｓの間隔Ｄが所定値（例えば６１ｍｍ）以下である場合に、制御部１５は、ドラム式収納繰出装置１８による紙幣Ｓの収納動作において、紙幣長さ検出手段２０１によって算出された先行紙幣Ｓの長さＬ２と、先行紙幣Ｓと後続紙幣Ｓとの間隔として予め設定された一律の規定値（例えば５ｍｍ）と、に基づいてドラム３１の回転速度を制御してよい。また、紙幣間隔検出手段２０２によって検出された紙幣Ｓの間隔Ｄが所定値を超える場合に、ドラム式収納繰出装置１８による紙幣Ｓの収納動作において、紙幣長さ検出手段２０１によって算出された先行紙幣Ｓの長さＬ２と、紙幣間隔検出手段２０２によって検出された先行紙幣Ｓと後続紙幣Ｓとの間隔Ｄと、に基づいてドラム３１の回転速度を制御してよい。

【0123】

ここで、同一の箇所（例えば入金部１１）から同一のドラム式収納繰出装置１８に向けて紙幣Ｓを連続して搬送される場合には、紙幣Ｓの間隔Ｄが所定値以下になりやすく、紙幣Ｓの間隔Ｄのバラツキが小さい。このため、紙幣Ｓの間隔Ｄが所定値以下である場合に、ドラム３１の回転制御において、紙幣Ｓの間隔として一律の規定値を用いても問題は生じない。

【0124】

一方、同一の箇所（例えばドラム式収納繰出装置１８（Ａ））から複数の箇所（例えば複数のドラム式収納繰出装置１８（Ｂ））に向けて紙幣Ｓが振り分けて搬送される場合には、所定のドラム式収納繰出装置１８（Ｂ）に向けて搬送される紙幣Ｓの間隔Ｄが所定値を超えやすい。そして、紙幣Ｓは所定のドラム式収納繰出装置１８（Ｂ）に向けて間欠的に搬送され、所定のドラム式収納繰出装置１８（Ｂ）に搬送される紙幣Ｓの間隔Ｄのバラツキが大きくなりやすい。このため、紙幣Ｓの間隔Ｄが所定値を超える場合に、ドラム３１の回転制御において、紙幣Ｓの間隔として一律の規定値を用いることは好ましくない。

【0125】

上述した構成では、前後の紙幣Ｓの間隔Ｄが所定値以内である状態（すなわち、紙幣Ｓの間隔Ｄが詰まった状態）で、紙幣Ｓが連続で搬送されてドラム式収納繰出装置１８へ収納される際には、紙幣Ｓの長さＬ２を紙幣長さ検出手段２０１により算出することで正確な長さ情報（実測値）を使用すると共に、紙幣Ｓの間隔については一律の規定値を使用することで、ドラム３１の回転速度の制御における制御部１５での処理時間の短縮を図ることが可能となる。処理時間の短縮を図ることで、紙幣Ｓの搬送速度が速くなってもドラム３１の回転を正しく制御することが可能となる。

【0126】

一方、前後の紙幣Ｓの間隔Ｄが所定値を超える状態（すなわち、紙幣Ｓの間隔Ｄが広い状態）で、紙幣Ｓが連続で搬送されてドラム式収納繰出装置１８へ収納される際には、紙幣Ｓの長さを紙幣長さ検出手段２０１により算出することで正確な長さ情報（実測値）を使用すると共に、紙幣Ｓの間隔Ｄについては、紙幣間隔検出手段２０２が検出した実測値を使用することで、正確な紙幣Ｓ一枚分のピッチを取得することができる。これにより、適切な回転速度でドラム３１を駆動させることが可能となる。特に、ドラム式収納繰出装置１８に向けて紙幣Ｓが間欠的に搬送されることで紙幣Ｓの間隔にバラツキがあっても、ドラム３１を適切な回転速度で駆動させることができる。

【0127】

本発明において、ドラム式収納繰出装置１８へ紙幣Ｓが一枚収納される毎に、制御部１５が記憶部１６に記憶された累積巻取長さを最新のデータに更新する方法は、上記実施形態で説明した方法に限らない。
本発明においては、例えば、紙幣間隔検出手段２０２によって検出された紙幣Ｓの間隔Ｄが所定値（例えば６１ｍｍ）以下である場合に、制御部１５が、ドラム式収納繰出装置１８による紙幣Ｓの収納動作において、紙幣長さ検出手段２０１によって算出された先行紙幣Ｓの長さＬ２と、先行紙幣Ｓと後続紙幣Ｓとの間隔として予め設定された一律の規定値（例えば５ｍｍ）と、を合算した紙幣Ｓ一枚分のピッチを記憶部１６に記憶された累積巻取長さに加算することで、累積巻取長さを最新のデータに更新してよい。また、紙幣間隔検出手段２０２によって検出された紙幣Ｓの間隔Ｄが所定値を超える場合には、上記実施形態でも述べたように、制御部１５が、ドラム式収納繰出装置１８による紙幣Ｓの収納動作において、紙幣長さ検出手段２０１によって算出された先行紙幣Ｓの長さＬ２と、紙幣間隔検出手段２０２によって検出された先行紙幣Ｓと後続紙幣Ｓとの間隔Ｄと、を合算した紙幣Ｓ一枚分のピッチを記憶部１６に記憶された累積巻取長さに加算することで、累積巻取長さを最新のデータに更新してよい。

【0128】

上述した手法では、前後の紙幣Ｓの間隔Ｄが所定値以内である状態（すなわち、紙幣Ｓの間隔Ｄが詰まった状態）で、紙幣Ｓが連続で搬送されてドラム式収納繰出装置１８へ収納される際には、紙幣Ｓの長さＬ２を紙幣長さ検出手段２０１により算出することで正確な長さ情報（実測値）を使用すると共に、紙幣Ｓの間隔については一律の規定値を使用することで、累積巻取長さのデータ更新における制御部１５での処理時間の短縮を図ることが可能となる。処理時間の短縮を図ることで、紙幣Ｓの搬送速度が速くなってもドラム３１の回転を正しく制御することが可能となる。

【0129】

一方、前後の紙幣Ｓの間隔Ｄが所定値を超える状態（すなわち、紙幣Ｓの間隔Ｄが広い状態）で、紙幣Ｓが連続で搬送されてドラム式収納繰出装置１８へ収納される際には、紙幣Ｓの長さＬ２を紙幣長さ検出手段２０１により算出することで正確な長さ情報（実測値）を使用すると共に、紙幣Ｓの間隔Ｄについては、紙幣間隔検出手段２０２が検出した実測値を使用することで、より正確な紙幣Ｓ一枚分のピッチを取得することができる。これにより、記憶部１６に記憶される累積巻取長さの精度をさらに向上して、ドラム３１をさらに適切な回転速度で駆動することが可能となる。

【符号の説明】

【0130】

１０ 紙幣処理装置
１５ 制御部
１６ 記憶部
１７ 識別部
１８ ドラム式収納繰出装置
２０ 搬送通路
３０ テープ
３１ ドラム
１８１ カウントセンサ（通過センサ）
２０１ 紙幣長さ検出手段（紙葉類長さ検出手段）
２０２ 紙幣間隔検出手段（紙葉類間隔検出手段）
３０１ 全面情報取得センサ
３０２ 角座標位置割出手段
Ｓ 紙幣（紙葉類）

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】