(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023050625
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】照明制御用リモコン及び照明システム
(51)【国際特許分類】
H05B 47/19 20200101AFI20230404BHJP
H05B 47/11 20200101ALI20230404BHJP
H05B 47/115 20200101ALI20230404BHJP
H05B 45/10 20200101ALI20230404BHJP
H05B 45/20 20200101ALI20230404BHJP
H05B 47/18 20200101ALI20230404BHJP
F21S 8/02 20060101ALI20230404BHJP
F21V 23/04 20060101ALI20230404BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230404BHJP
F21Y 113/13 20160101ALN20230404BHJP
F21Y 115/15 20160101ALN20230404BHJP
【FI】
H05B47/19
H05B47/11
H05B47/115
H05B45/10
H05B45/20
H05B47/18
F21S8/02 400
F21V23/04 500
F21Y115:10
F21Y113:13
F21Y115:15
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021160814
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000140269
【氏名又は名称】株式会社遠藤照明
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 圭介
(72)【発明者】
【氏名】高井 大幹
(72)【発明者】
【氏名】川原田 剛
【テーマコード(参考)】
3K014
3K273
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3K014GA03
3K273PA10
3K273QA29
3K273RA02
3K273RA08
3K273RA14
3K273RA16
3K273SA01
3K273SA37
3K273SA57
3K273TA03
3K273TA05
3K273TA15
3K273TA17
3K273TA28
3K273TA41
3K273TA48
3K273TA52
3K273TA54
3K273TA62
3K273UA15
3K273UA16
3K273UA22
3K273UA23
(57)【要約】
【課題】複数の照明器具に同じパスワードを容易に設定することができる照明制御用リモコンを提供する。
【解決手段】
無線により制御される複数の照明器具2を照明制御するための照明制御用リモコン9であって、複数のボタン90と、複数の照明器具2及び照明制御用リモコン9が相互の認証に用いるIDとパスワードとを、ボタン90のユーザによる操作に対応づけて記憶する記憶手段92と、ボタン90に操作がされた場合に、ID及びパスワードを複数の照明器具2に使用するよう指示する通信手段94とを備える照明制御用リモコン。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線により制御される複数の照明器具を照明制御するための照明制御用リモコンであって、
複数のボタンと、
前記複数の照明器具及び前記照明制御用リモコンが相互の認証に用いるIDとパスワードとを、前記ボタンのユーザによる操作に対応づけて記憶する記憶手段と、
前記ボタンに前記操作がされた場合に、前記ID及び前記パスワードを前記複数の照明器具に使用するよう指示する通信手段と
を備える照明制御用リモコン。
【請求項2】
前記照明制御用リモコンは、前記複数の照明器具を含む複数の機器と通信可能であり、
前記複数の機器は、機器の種別ごとに異なるデバイスコードを記憶しており、
前記照明制御用リモコンは、所定のデバイスコードを記憶している機器のみが前記ID及び前記パスワードを使用するための指示を前記複数の機器に送信する
請求項1記載の照明制御用リモコン。
【請求項3】
前記複数の機器は、メッシュネットワークを構成可能であり、
前記照明制御用リモコンは、ホップ数を0に設定し、前記メッシュネットワークにおいて前記複数の機器のホップ数を0にさせる
請求項1記載の照明制御用リモコン。
【請求項4】
前記複数の照明器具は、照明制御を行うのに必要な信号の数が異なるものが混在し、前記信号の数ごとに照明制御指示が異なり、
前記照明制御用リモコンは、前記ボタンのユーザによる操作がされた場合に、前記信号の数それぞれに対応するそれぞれの照明制御指示全てを、前記複数の照明器具それぞれに対し送信する
請求項1記載の照明制御用リモコン。
【請求項5】
前記複数のボタンは、設定ボタンを含み、
前記ユーザによる操作は、前記設定ボタンを押しながら、他のボタンを押す操作と、前記他のボタンのみを押す操作とを含む
請求項1記載の照明制御用リモコン。
【請求項6】
前記照明制御用リモコンは、
前記ボタンのユーザによる操作に、無線による通信可能な距離を変更する指示が対応付けられている
請求項1記載の照明制御用リモコン。
【請求項7】
前記照明制御用リモコンは、
インジケータランプを備えており、
前記ボタンのユーザによる操作に対応付けられた点灯状態により点灯する
請求項1記載の照明制御用リモコン。
【請求項8】
前記照明制御用リモコンは、
前記ボタンのユーザによる操作に、無線通信のホップ数を変更する指示が対応付けられている
請求項1記載の照明制御用リモコン。
【請求項9】
前記照明制御用リモコンは、前記ボタンのユーザによる操作が行われた場合に、行われた操作に対応する点灯状態で照明器具を点灯させる
請求項1~8のいずれか1項記載の照明制御用リモコン。
【請求項10】
無線により制御される複数の照明器具と、前記複数の照明器具を照明制御するための照明制御用リモコンを備える照明システムであって、
複数のボタンと、
前記複数の照明器具及び前記照明制御用リモコンが相互の認証に用いるIDとパスワードとを、前記ボタンのユーザによる操作に対応づけて記憶する記憶手段と、
前記ボタンに前記操作がされた場合に、前記ID及び前記パスワードを前記複数の照明器具に使用するよう指示する通信手段と
を備える照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の照明器具を制御するための照明制御用リモコン及び照明システムに関し、特に、無線を用いて制御を行う照明制御用リモコン及び照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線制御により照明器具を制御するシステムが増えている。特許文献1には、無線通信に低消費電力であるBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)を使用し、照明器具が他の装置と通信する場合には、セキュリティ強化のため認証パスワードが使用される技術が開示されている。照明器具は、記憶部に認証パスワードを記憶しており、この認証パスワードは変更することができないよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献1の技術のように、認証パスワードが変更できないこととすると、照明器具の出荷時に認証パスワードが設定されていることが必要となり、また、近くに設置する複数の照明器具について、同じ調光率で発光させるなどの同じ照明制御を行うことを想定すると、照明器具を制御するための制御装置に、各照明器具ごとの認証パスワードを予め保持しておく必要があり、手間がかかって不便である。
【0005】
上記問題に鑑み、本発明は、複数の照明器具に同じパスワードを容易に設定することができる照明制御用リモコン、及びこれを用いた照明システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明に係る照明制御用リモコンは、無線により制御される複数の照明器具を照明制御するための照明制御用リモコンであって、複数のボタンと、前記複数の照明器具及び前記照明制御用リモコンが相互の認証に用いるIDとパスワードとを、前記ボタンのユーザによる操作に対応づけて記憶する記憶手段と、前記ボタンに前記操作がされた場合に、前記ID及び前記パスワードを前記複数の照明器具に使用するよう指示する通信手段とを備える。
【発明の効果】
【0007】
上述の構成により、本発明に係る照明制御用リモコンは、複数の照明器具に同じパスワードを容易に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る照明システムの構成を示す図である。
【
図2】(a)本発明の第1の実施形態に係るワイヤレスモジュールの外観を示す斜視図、(b)本発明の第1の実施形態に係る照明制御用リモコンの外観を示す図である。
【
図3】(a)本発明の第1の実施形態に係る照明器具の機能的な構成を示すブロック図、(b)照明制御用リモコンの機能的な構成を示すブロック図である。
【
図4】照明制御用リモコンが備えるボタンと、ボタンに割り当てられた機能等との対応を示すボタン機能表の一例を示す図である。
【
図5】調色パラメータの設定を示す調色プリセット表の一例を示す図である。
【
図6】(a)調光値と調光率との対応関係を示す調光率表の一例を示す図、(b)調色値と色温度との対応関係を示す調色表の一例を示す図である。
【
図7】照明制御用リモコンの各ボタンと、そのボタンに割り当てられている調光率、色温度との対応を示すボタン割当表の一例を示す図である。
【
図8】(a)通信設定表の一例を示す図、(b)電波強度値と、その電波強度値に対応する電波の到達範囲との対応を示す電波強度表の一例を示す図である。
【
図9】光源部が備えるLEDの色度を説明するためのCIE1931色度座標を示す図である。
【
図10】本発明の第2の実施形態に係る照明制御用リモコンの外観を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態に係る照明システム1について図面を参照しながら説明する。
【0010】
<1.第1の実施形態>
<1.1.全体構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る照明システム1の構成を示す図である。
【0011】
照明システム1は、
図1に示すように、複数の照明器具2a、照明器具2b、・・・、照明器具2c(以下、「照明器具2」と総称する。)及び照明制御用リモコン9を備える。
【0012】
照明器具2及び照明制御用リモコン9は、Bluetooth(登録商標) Low Energy(以下、「BLE」という。)を用いメッシュネットワークを形成可能であり、メッシュネットワークを通じて直接又は間接的に相互に通信することができる。
【0013】
照明器具2及び照明制御用リモコン9は、メッシュネットワークに参加し、他の機器等と通信するため、無線通信に使用する使用チャネルを特定し、メッシュIDとパスワードとを用いる。
【0014】
使用チャネルは、BLEによる無線通信に用いる周波数チャネルを示す。メッシュIDは、形成するメッシュネットワークの識別情報を示している。パスワードは、メッシュネットワークで使用するパスワードを示す。メッシュネットワークで使用される使用チャネル、メッシュID、パスワードは、それぞれの機器が保持している。
【0015】
照明制御用リモコン9は、複数のボタンを備えるだけの簡易に構成された、ユーザにとって操作が簡単なリモコンである。照明制御用リモコン9は、各ボタンの押下、長押し、又は複数ボタンの同時押しなどのボタン操作がされると、ボタン操作に応じた照明制御指示を無線通信範囲内の照明器具2に送信する。
【0016】
照明制御指示には、照明器具2の点灯状態を変更するための点灯指示のほか、通信に用いる使用チャネルの変更や、メッシュID及びパスワードの設定など、通信に必要な情報を照明器具2に設定するための設定指示など、照明器具2を制御するための様々な指示がある。
【0017】
ここで、照明システム1は、照明器具2、照明制御用リモコン9のほかに、信号を増幅するリピーター装置、人感センサー、照度センサーなど照明制御に関連する機器を含んでいてもよい。照明システム1に含まれる機器には、デバイスコードが割り当てられる。機器相互の通信において送受信される信号には、デバイスコードを含めることができ、受信側の機器は、受信した信号に含まれるデバイスコードが、自身が割り当てられているデバイスコードと一致しない場合に信号を破棄し、一致する場合に受信した信号に応じた処理を実施する。デバイスコードは、各機器に異なる値を割り当ててもよいし、複数の機器に同じ値を割り当ててもよい。
【0018】
以下では、照明制御用リモコン9を中心にした、ユーザにとって扱いやすい照明システム1について詳細に説明する。
【0019】
<1.2.照明器具2>
照明器具2は、
図1に示すように、例えば、設置場所の一例としての天井11に設置されて使用されるダウンライトであり、器具本体4、電源装置5、及びワイヤレスモジュール7を備える。
【0020】
<1.2.1.器具本体4>
図3(a)は、照明器具2の機能的な構成を示すブロック図である。
【0021】
器具本体4は、
図3(a)に示すように、光源部41を備える。光源部41は、LED(Light Emitting Diode)で構成された光源、及び光源を配置する回路基板である光源基板を備える。光源部41は、電源装置5の電力供給部54から電線51を介して供給される電力に応じ、光源の点灯、消灯、調光率の変更(以下、「調光」ともいう。)及び発光色の変更(以下、「調色」ともいう。)などの動作をする。ここで、発光色の変更は、色温度を変更することも含む。
【0022】
<1.2.2.電源装置5>
電源装置5は、上述の点灯指示に応じてワイヤレスモジュール7が送信する照明制御信号に従って、光源部41に対し、点灯、消灯、調光及び調色などの点灯制御を行うための電力を供給する機能を有する。
【0023】
電源装置5は、
図3(a)に示すように、電線51で器具本体4に接続されることにより、器具本体4と電気的に接続する。電源装置5は、機能的には、
図3(a)に示すように、ソケット部53と電力供給部54を備える。
【0024】
電力供給部54は、光源の点灯制御を行う機能を備えており、照明器具2の外部から供給される電力を、ワイヤレスモジュール7から受信する照明制御信号に応じた電力に変換し、光源部41に供給することで点灯制御を行う。
【0025】
電力供給部54は、ワイヤレスモジュール7から受信する照明制御信号と、光源部41に供給すべき電力との対応関係を予め記憶しているものとするが、これに限らず、照明制御信号に応じた光源制御が実現できれば足り、例えば、照明制御信号に応じた光源制御を行う電力を出力するよう回路的に構成されていてもよい。
【0026】
ソケット部53は、
図1に示すように、外観的には、電源装置5の側壁に設けられた、ワイヤレスモジュール7が挿入される溝状の差し込み口(スロット)であり、差し込み口の内部には、ワイヤレスモジュール7が挿入されることにより、ワイヤレスモジュール7の端子部74が備える信号端子それぞれに電気的に接続する複数の端子を備える。
【0027】
複数の端子は、電力供給部54と電気的に接続しており、ソケット部53にワイヤレスモジュール7が挿入された場合に、ワイヤレスモジュール7と電力供給部54とが電気的に接続した状態になる。
【0028】
<1.2.3.ワイヤレスモジュール7>
ワイヤレスモジュール7は、照明制御用リモコン9から照明制御指示を受信し、受信した照明制御指示が示す照明制御を行うための照明制御信号を電力供給部54に送信する機能を備える。
【0029】
図2(a)は、ワイヤレスモジュール7の外観を示す斜視図である。
【0030】
ワイヤレスモジュール7は、独立したデバイスとして構成されており、形状的には、
図2(a)に示すように、筐体70a及び基板部70bを備える。
【0031】
筐体70aは、ワイヤレスモジュール7の外形を構成し、基板部70bの大部分を内部に格納しており、下部の開口から、基板部70bの一部が突出している。
【0032】
基板部70bは、ワイヤレスモジュール7を動作させるための電子部品などが実装された板状のプリント基板である。基板部70bの筐体70aから突出した部分には、5つの端子を備える端子部74が設けられている。
【0033】
ワイヤレスモジュール7は、機能的には、
図3(a)に示すように、無線部71、制御部72、記憶部73及び端子部74を備える。
【0034】
無線部71は、無線通信に用いられるアンテナ及び通信制御を行うデバイスで構成され、アンテナは、一例としてチップアンテナで構成される。制御部72は、無線部71を用いて、無線通信により、他の照明器具である照明器具2b、・・・、照明器具2c及び照明制御用リモコン9と照明制御指示、制御信号、各種データなどの送受信を行う。
【0035】
ここで、ワイヤレスモジュール7の通信方式は、BLE仕様に基づくものとするが、これに限るものではなく、他の仕様に基づく無線通信を行ってもよい。
【0036】
ワイヤレスモジュール7は、使用チャネル、メッシュID、パスワードの初期値を予め保持しているものとする。ワイヤレスモジュール7が使用する使用チャネル、メッシュID、パスワードは、照明制御用リモコン9の指示により、書き換え可能に構成されている。
【0037】
ワイヤレスモジュール7が使用する使用チャネル、メッシュID、パスワードの対応は、一例として、後述の
図8(a)のメッシュID表に示されている。
【0038】
また、ワイヤレスモジュール7は、無線通信に用いる電波の電波強度を変更する機能を有する。電波強度の初期値は予め定められている。ワイヤレスモジュール7が使用する電波強度は、照明制御用リモコン9の指示により、変更可能に構成されている。
【0039】
ワイヤレスモジュール7は、電波強度に関する情報として、電波強度値を保持している。電波強度値と、電波の到達範囲との関係は、一例として、後述の
図8(b)に示す電波強度表に示されている。
【0040】
制御部72は、一例として、プロセッサであり、記憶部73に記憶されているプログラムをプロセッサが実行することにより、照明制御機能などの機能を実現する。より具体的には、制御部72は、無線部71が受信する照明制御指示が示す照明制御を行うための照明制御信号を、端子部74を介して電源装置5に送信する。電力供給部54は、受信した照明制御信号に応じた電力を、電線51を介して器具本体4の光源部41に供給する。
【0041】
記憶部73は、フラッシュメモリなどで構成され、プログラム、通信パラメータ、デバイスコード、メッシュID、パスワードなどの各種のデータを保持する
<1CH制御、2CH制御及び3CH制御>
ワイヤレスモジュール7は、照明制御にあたり、電力供給部54がいくつの信号により照明制御される仕様であるかに応じた照明制御信号を出力する。
【0042】
電力供給部54の照明制御の仕様には、1CH(チャネル)制御、2CH制御、3CH制御がある。ここで、チャネルは、制御対象である電源装置5を制御するのに使用する信号を表す。使用する信号は、制御の対象とする光源部41に採用される光源により異なる。なお、「チャネル」の用語は、無線通信を行う場合の「使用チャネル」を表す場合と、照明器具2の電源装置5を制御するための「信号の数」を表す場合とがあり、明細書中で両者が混在しているが、いずれを指しているかは文脈から明確になるように表している。
【0043】
ワイヤレスモジュール7は、照明器具2の電源装置5が1CH制御用のものである場合、1CH制御を行い、2CH制御用のものである場合に2CH制御を行い、3CH制御用のものである場合に3CH制御を行う。
【0044】
1CH制御は、1つの信号を用いて行う制御である。一例として、光源部41が調光のみ可能な場合に、ワイヤレスモジュール7は、1つの調光信号を用いて電源装置5に調光の指示を行う。より具体的には、ワイヤレスモジュール7は、調光値を保持しており、1CH制御の場合、端子部74を用い、照明制御信号として、調光値に対応する調光率を示す調光信号を電源装置5に送信する。電源装置5は、受信する調光信号により示される調光率で点灯するよう光源部41を光源制御する。
【0045】
調光信号は、1例としてPWM信号とするが、これに限らず、電源装置5に調光率を伝えることができる信号形式であれば足りる。
【0046】
調光値と調光率との対応は、一例として後述の
図6(a)に示す調光率表に示される。
【0047】
2CH制御は、2つの信号を用いて行う制御である。一例として、光源部41が調光及び調色が可能な場合に、ワイヤレスモジュール7は、調光信号を用いて電源装置5に調光の指示を行い、もう1つの信号である調色信号を用いて電源装置5に調色の指示を行う制御である。調光に関しては、上述の1CH制御と同様である。
【0048】
調色について、ワイヤレスモジュール7は、より具体的には、光源部41が点灯すべき色温度を示す調色値を保持しており、端子部74を用い、調色値に対応する色温度を示す調色信号を電源装置5に送信する。電源装置5は、受信する調色信号により示される色で点灯するよう光源部41を制御する。
【0049】
調色信号は、1例としてPWM信号とするが、これに限らず、電源装置5に点灯すべき色を伝えることができる信号形式であれば足りる。
【0050】
調色値と色温度との対応は、一例として後述の
図6(b)に示す調光率表に示される。
【0051】
3CH制御は、3つの信号を用いて行う制御であるが、本実施形態では、3つの信号を用いて伝送すべきデータを、1つのシリアル信号に含めて伝送することで3CH制御を実現している。なお「3CH制御」と称してはいるが、必要な信号が4つ以上であってもシリアル信号に含めて送信することができるので、3CHの制御に限らず、4CH以上を制御対象とする、より複雑な制御を行うこととしてもよい。また、3CH制御について、シリアル信号を用いることとしたが、制御に必要な信号を送信できれば足り、他の形式の信号を用いることとしてもよく、例えば、1つの信号線に、複数の信号を時分割多重して送信することとしてもよい。
【0052】
3CH制御の一例としては、光源部41が、赤色LED(R)、緑色LED(G)、及び青色LED(B)の3色のLEDからなる場合に、ワイヤレスモジュール7が、各色LEDについての調光値(R値、G値、B値)を指示する構成がある。ワイヤレスモジュール7は、R値、G値、B値を保持している。
仮に、3色それぞれのLEDに調光信号を別個の信号線で送る構成とすれば3CHが必要となるが、ワイヤレスモジュール7では、上述のように、3色それぞれについての調光信号を1つのシリアル信号に含めて端子部74から送信することにより、1つの制御信号で3色分の調光率を光源部41に伝えている。そして、電源装置5側で、シリアル信号から各色の調光率を取り出し、それぞれのLEDを受信した調光率になるよう光源部41を制御する。
【0053】
本実施形態では、光源部41が、赤色LED(R)、緑色LED(G)、及び青色LED(B)ではなく、赤色LED、青白色LED、及び黄白色LEDの3色のLEDからなる場合を想定している。この場合にも、赤色LED(R)、緑色LED(G)、及び青色LED(B)の場合と同様、便宜上、赤色LED、黄白色LED、及び青白色LEDのそれぞれに指示する調光値をそれぞれR値、G値、B値と称し、これらをまとめて調色パラメータという。
【0054】
調色パラメータの変更に関しては、一例として後述の
図5に示す調色プリセット表が用いられる。
【0055】
調光率表、調色表、及び調色プリセット表は、予め、記憶部73に記憶されるか、又は制御部72を動作させるためのプログラムに組み込まれているものとする。
【0056】
<1.3.照明制御用リモコン9>
照明制御用リモコン9は、照明器具2に対し照明制御を行うための指示をユーザが入力するための装置であり、ユーザによる入力(以下、「ユーザ入力」という。)に従って、照明器具2に対し、無線通信により、光源の点灯、消灯、調光率の変更及び発光色温度の変更、通信パラメータの設定、変更などの照明制御を行うための信号(以下、「照明制御信号」という。)を送信する。
【0057】
図2(b)は、照明制御用リモコン9の外観を示す図である。
【0058】
図3(b)は、照明制御用リモコン9の機能的な構成を示すブロック図である。
【0059】
照明制御用リモコン9は、外観的には、
図2(b)に示すように、筐体の一面に、入力部90及びインジケータ95を備える。
【0060】
また、照明制御用リモコン9は、機能的には、
図3(b)に示すように、入力部90、制御部91、ROM(Read Only Memory)92、RAM(Random Access Memory)93、無線通信部94及びインジケータ95備える。
【0061】
ROM92は、フラッシュメモリなどで構成され、アプリ、プログラム、UI、通信パラメータのほか各種のデータを保持する。RAM93は、ROM92に格納された照明制御用のプログラムがロードされる記憶装置である。
【0062】
制御部91は、CPU(Central Processing Unit)を備える。照明制御用リモコン9の各機能は、ROM92からロードされてRAM93に記憶される照明制御用のプログラムを制御部91が実行することにより実現される。
【0063】
制御部91は、入力部90から通知されるユーザ入力に基づき、ユーザ入力に応じた処理を実行する。また、ユーザ入力に応じた態様でインジケータ95が点灯等の動作を行う。
【0064】
無線通信部94は、無線通信を行うデバイスで構成される。無線通信部94は、照明器具2等との間で無線通信を行う。
【0065】
ここで、メッシュネットワークに関し、通信を近距離に制限するために、複数の照明器具2の間で無線通信を行う際に経由できる照明器具2の数(ホップ数)は、0に制限することとしてよい。
【0066】
ホップ数は、照明制御指示中の一パラメータとして指定可能である。すなわち、照明制御用リモコン9は、照明器具2に対して照明制御指示を送信する場合に、そのパラメータの1つであるホップ数を0に設定する。照明器具2は、照明制御指示を受信した場合に、この照明制御指示中のホップ数を参照し、ホップ数が1以上である場合、受信したホップ数-1を、パラメータとして設定した照明制御指示を、他の照明器具2などへ転送する。受信した照明制御指示中のホップ数が0であった場合、照明器具2は、他の照明器具2への転送は行わない。
【0067】
インジケータ95は、青色、緑色など複数の色で、点灯、点滅などが可能なランプで構成されており、制御部91により制御される。
【0068】
入力部90は、具体的には、ボタン901~906で構成されており、ユーザがボタン901~906を操作することにより入力するユーザ入力を受け付ける入力部として機能する部材である。入力部90は、ユーザ入力を制御部91に通知する。
【0069】
図4は、ボタン901~906の操作(以下、「ボタン操作」という。)と、ボタン操作に割り当てられている機能と、ボタン操作を行ったときのインジケータ95の動作と、ボタン操作されたときに照明器具2が行う処理とを対応づけて示すボタン機能表を表した図である。
【0070】
ボタン機能表の1列目「ボタン操作」は、実行されるボタン操作を示す。
【0071】
ボタンは、複数同時に操作され、又は長押しされる場合もある。
【0072】
ボタン機能表の2列目「機能」は、ボタン操作に対応する機能を示す。
【0073】
ボタン機能表の3列目「インジケータ」は、ボタン操作に対応するインジケータの点灯状態を示す。インジケータ95が、
図4に示す、ボタン操作に対応する点滅動作を行うことにより、点滅の状態を見たユーザは、いずれのボタンが操作されたかが分かる。
【0074】
ボタン機能表の4列目「処理」は、ボタン操作された場合に実行する処理について示す。
【0075】
<ボタン901押し>
ボタン901は、設定ボタンであり、各種の設定を行う場合に押下される。ボタン901は、主に、他のボタンに複数の機能を持たせるために使用される。ボタン901とは異なる特定の他のボタンについて、他のボタンと同時にボタン901が押されて使用された場合に、他のボタンが単独で押された場合とは異なる処理が成される。
【0076】
<ボタン902押し>
ボタン902は、電源ボタンであり、照明器具2の電源をオン/オフを指示するために使用される。ボタン902は、ユーザにより1度押下されるとオンを表し、次の押下はオフ、その次の押下はオンを表すというようにトグル的に解釈されるボタンである。
【0077】
<ボタン903のいずれか押し>
ボタン903は、調色プリセット選択ボタンであり、予め定めている複数の調色パラメータの1つを選択し、その調色パラメータにて照明器具2が点灯するよう指示するために使用される。
【0078】
図5は、調色パラメータの設定を示す調色プリセット表の一例を示す図である。
【0079】
調色パラメータは、R値、G値、B値の組で表される。
【0080】
調色プリセット表は、
図5に示されるようにマトリックスで定義されており、横方向をx値、縦方向をy値とした場合の表の交点が示す調色パラメータ(以下、調色パラメータ(x値,y値)」という。)により特定される。制御部72は、記憶部73に調色パラメータを特定するためのx値、y値を保持している。
【0081】
ボタン903は、上ボタン903a、左ボタン903b、下ボタン903c、右ボタン903dから成る。
【0082】
上ボタン903aが押下されると、制御部72は、y値を1増加させる。これにより、指定される調色パラメータは、調色プリセット表において現在指定されている調色パラメータの1つ上の調色パラメータを特定することになる。
【0083】
より具体的には、現在の調色パラメータが調色パラメータ(5,3)である場合に、上ボタン903aが押下されると、現在の調色パラメータは、調色パラメータ(5,4)となる。調色パラメータ(5,4)は、R値=58、G値=198、B値=54である。制御部91は、無線通信部94を用いて、照明器具2に対し、調色パラメータ(5,4)を送信する。
【0084】
同様に、左ボタン903bが押下されると、制御部72は、x値を1減少させる。これにより、指定される調色パラメータは、調色プリセット表において現在指定されている調色パラメータの1つ左の調色パラメータを特定することになる。
【0085】
また、下ボタン903cが押下されると、制御部72は、y値を1減少させる。これにより、指定される調色パラメータは、調色プリセット表において現在指定されている調色パラメータの1つ下の調色パラメータを特定することになる。
【0086】
また、右ボタン903dが押下されると、制御部72は、x値を1増加させる。これにより、指定される調色パラメータは、調色プリセット表において現在指定されている調色パラメータの1つ右の調色パラメータを特定することになる。
【0087】
<ボタン904のいずれか押し>
ボタン904は、調光変更ボタンである。
【0088】
ボタン904は、ボタン904aとボタン904bとから成る。制御部72は、記憶部73に調光値を保持しており、ボタン904aが1度押下されるごとに、設定する調光値を1増加させ、ボタン904bが1度押下されるごとに、設定する調光値を1減少させる。
【0089】
制御部91は、無線通信部94を用いて、照明器具2に対し、設定された調光値を送信する。照明器具2は、受信した調光値に対応する調光率になるよう点灯する。
【0090】
図6(a)は、調光値と、照明器具2を点灯させる場合の調光率との対応関係を示す調光率表の一例を示す図である。
【0091】
図6(a)に示すように、調光値=11の場合、調光率100%に対応付けられており、調光値=10の場合、調光率90%に対応付けられており、以下同様に、調光値が1の場合、調光率5%に対応付けられている。調光率表は、照明器具2においても、保持されている。照明器具2が保持する調光値の初期値は、一例として9である。
【0092】
<ボタン905のいずれか押し>
ボタン905は、調色変更ボタンである。
【0093】
ボタン905は、ボタン905aとボタン905bとから成る。制御部72は、記憶部73に調色値を保持しており、ボタン905aが1度押下されるごとに、設定する調色値を1増加させ、ボタン905bが1度押下されるごとに、設定する調色値を1減少させる。
【0094】
制御部91は、無線通信部94を用いて、照明器具2に対し、設定された調色値を送信する。照明器具2は、受信した調色値に対応する色温度になるよう点灯する。
【0095】
図6(b)は、調色値と色温度との対応関係を示す調色表の一例を示す図である。
【0096】
図6(b)に示すように、調色値=11の場合、色温度12000Kに対応付けられており、調色値=10の場合、色温度10000Kに対応付けられており、調色値が1の場合、色温度1800Kに対応付けられている。
【0097】
なお、調色表の備考欄に「3chのみ」と記載されている色温度については、3CH制御に対応する照明器具2のみで点灯するものとするが、これに限定されるものではない。
【0098】
例えば、2CH制御に対応する照明器具2については、3CH制御で実現される色温度に対する、2CHで再現できる近似の色温度で点灯するよう制御することとしてもよい。この場合、一例として、12000Kで点灯するための3CH制御用の照明制御指示を照明器具2に送信するときに、12000Kに近似の、2CH制御により再現可能な色温度である6500Kで点灯するための2CH制御用の照明制御指示も送信する。
【0099】
<ボタン906のいずれか押し>
ボタン906は、シーン指定ボタンである。シーンは、特定の調光率、色温度で点灯することを示す。
【0100】
ボタン906は、
図2(b)に示すようにボタン906a~ボタン906hの8つのボタンから成る。ボタン906a~ボタン906は、それぞれシーン1~シーン8に対応し、それぞれの表面には、ユーザに分かり易いよう1~8の数字が印字されている。
【0101】
図7は、ボタン906a~ボタン906hの各ボタンと、そのボタンに割り当てられているシーン(調光率及び色温度)との対応を示すボタン割当表の一例を示す図である。
【0102】
例えば、ボタン906aは、シーン1に対応し、シーン1は、調光率100%、色温度12000Kで表される。
【0103】
ボタン906aが押下された場合に、制御部91は、無線通信部94を用いて、照明器具2に対し、調光率100%、色温度12000Kに対応する調光値、調色値を指定する照明制御指示を送信する。制御部91は、調光率と調光値、調色値と色温度との対応関係を予め保持しているものとする。照明器具2は、この照明制御指示を受信すると、調光率が100%、色温度が12000Kになるよう点灯する。
【0104】
なお、ボタンの押下には、通常の押下と、一定の時間押しっぱなしにする長押しがあるが、以下の説明では、長押しの場合のみ、その旨記載する。
【0105】
ボタン906aの場合と同様に、ボタン906bは、シーン2である調光率100%、色温度6500Kに対応し、ボタン906cは、シーン3である調光率100%、色温度5000Kに対応し、ボタン906dは、シーン4である調光率90%、色温度4000Kに対応し、ボタン906eは、シーン5である調光率60%、色温度3000Kに対応し、ボタン906fは、シーン6である調光率50%、色温度2700Kに対応し、ボタン906gは、シーン7である調光率5%、色温度1800Kに対応し、ボタン906hは、シーン8である調光率1%、色温度1800Kに対応する。
【0106】
ボタン906b~ボタン906hのいずれかが押下された場合に、制御部91は、無線通信部94を用いて、照明器具2に対し、押下されたボタンに対応する調光率及び色温度に対応する調光値、調色値を指定する照明制御指示を送信する。照明器具2は、この照明制御指示を受信すると、照明制御指示により示された調光値に対応する調光率、調色値に対応する色温度で点灯する。
【0107】
<ボタン906のいずれか長押し>
ボタン906のいずれかを長押しした場合、ユーザ入力により直近に指示された調光率、色温度を、長押しされたボタンに、シーンとして対応づけて記憶する。
【0108】
例えば、照明器具2の調光率が80%、色温度が5000Kである場合に、ユーザがボタン901を押しながらボタン906aを押したとき、ボタン906aに、シーン1として、調光率80%、色温度5000Kを対応づける。このとき、
図7のボタン割当表の1行目(ボタン906aとの対応)の調光率、色温度を、調光率80%、色温度5000Kに書き換える。書き換え以後、ボタン906aが押された場合には、シーン1として、照明器具2は、調光率80%、色温度5000Kで点灯するよう制御される。
【0109】
ユーザがボタン901を押しながらボタン906b~906hのいずれかが押された場合も、ボタン901を押しながらボタン906aが押された場合と同様である。
【0110】
<ボタン901+ボタン906のいずれか押し>
ボタン901を押しながらボタン906のいずれかが押された場合、照明制御用リモコン9は、通信に使用する使用チャネルを変更する。
【0111】
図8(a)は、ボタン901を押しながらボタン906のいずれかが押された場合の、ボタン906a~ボタン906hと、使用チャネルと、その通信の際に使用するメッシュID及びパスワードとの対応を示す通信設定表の一例を示す図である。
【0112】
例えば、ボタン906aには、
図8(a)に示すように、使用チャネルとしてch1、使用するメッシュIDとして00001111、パスワードとしてSmaRT_sysが対応付けられている。
【0113】
よって、ユーザによりボタン901を押しながらボタン906のいずれかが押された場合、照明制御用リモコン9は、使用チャネルとしてch1、使用するメッシュIDとして00001111、パスワードとしてSmaRT_sysを使用して無線通信を行う。
【0114】
<ボタン901+ボタン906のいずれか長押し>
ボタン901を押しながらボタン906のいずれかが長押しされた場合、照明制御用リモコン9は、照明器具2が保持し、使用している使用チャネル、メッシュID及びパスワードを変更するよう照明制御指示を送信する。照明器具2はこの照明制御指示を受信すると、現在保持している、使用チャネル、メッシュID及びパスワードのデータを、指示された使用チャネル、メッシュID及びパスワードに書き換えて、以降の通信で使用する。
【0115】
なお、ここでは、使用チャネル、メッシュID及びパスワードのデータが書き換えられる照明器具2は、保持している使用チャネル、メッシュID、及びパスワードが初期値であるものに限定することとするが、これに限るものではない。
【0116】
照明器具2は、初期設定として、使用チャネルは「CH1」、メッシュIDは「SYSID」、パスワードは「SYSPASS」を使用するものとする。
【0117】
照明制御用リモコン9は、最初に照明器具2と通信する場合には、使用チャネルとして「ch1」、メッシュIDとして「SYSID」、パスワードとして「SYSPASS」を使用し、適宜、上述したようにこれらの書き換えを行う。
【0118】
<ボタン901+ボタン905のいずれか長押し>
ボタン901を押しながらボタン905のいずれかが押された場合、照明制御用リモコン9は、通信に使用する電波の電波強度を変更する。
【0119】
図8(b)は、電波強度値と、その電波強度値に対応する電波の到達範囲との対応を示す電波強度表の一例を示す図である。
【0120】
図8(b)に示すように、例えば、通信に使用する電波強度値が10の場合、通信時に使用する電波の到達範囲は20mとなる。
【0121】
制御部72は、記憶部73に電波強度値を保持しており、ボタン905aが1度押下されるごとに、電波強度値を1増加させ、ボタン905bが1度押下されるごとに、電波強度値を1減少させる。
【0122】
制御部91は、電波到達範囲と電波強度との対応関係を予め保持しており、設定された電波強度値に対応する電波の到達範囲になるような電波強度を用いて、無線通信を行う。
【0123】
<ボタン901+下ボタン903c長押し>
ボタン901を押しながら下ボタン903cが押された場合、照明制御用リモコン9は、照明器具2のキックアウトを行う。
【0124】
キックアウトは、通信可能な照明器具2の、使用チャネルとメッシュIDとパスワードを初期値に戻す処理である。
【0125】
制御部91は、無線通信部94を用いて、照明器具2に対し、使用チャネルとメッシュIDとパスワードとを、初期値である「ch1」、「SYSID」、「SYSPASS」に書き換えるための照明制御指示を送信する。照明器具2は、この照明制御指示を受信すると、使用チャネルを「ch1」、メッシュIDを「SYSID」、パスワードを「SYSPASS」に書き換えて保持し、使用する。
【0126】
<1.4.LEDについての補足説明>
光源部41に使用するLEDパッケージとしては、青白色LED「Bw」、赤色LED「R」、黄白色LED「Yw」の3つを用いる。なお、Ywは色度図上では黄色に近い色だが、他のBw・Rを同時に点灯させると緑色に近い色にも見える。
図9は、これらのLEDの色度を説明するためのCIE1931色度座標であり、参考のために各色温度における黒体輻射の色度を結ぶ線(以下「黒体放射軌跡」という)を破線で示している。
【0127】
青白色LED42cであるBwは、
図9の色度座標において、(0.336、0.24)、(0.352、0.44)、(0.15、0.2)、(0.2、0.1)で囲まれる範囲の色度で発光し、一例として(0.23、0.26)である。
【0128】
赤色LEDであるRは、
図9の色度座標において、(0.66、0.23)、(0.423、0.355)、(0.5,0.5)と色度境界線Eで囲まれる範囲の色度で発光し、一例として(0.60.0.38)である。一般的な赤色の定義とは同じでないので注意されたい。
【0129】
黄白色LEDであるYwは、
図9の色度座標において、(0.423、0.355)、(0.342,0.312)、(0.352、0.44)、(0.37、0.63)及び色度境界線Eで囲まれる範囲の色度で発光し、一例として(0.44、0.47)である。
【0130】
Ywの色度範囲内のうち、各色温度における黒体輻射軌跡からduv(色偏差)がプラスの範囲内が好適であり、duvがプラス0.03から0が特に好適である。Bw、Rの色度範囲内のうち、各色温度における黒体輻射の色度を結ぶ線からduvがプラス0.03からマイナス0.03の範囲内が特に好適である。
【0131】
なお、CIE1931における色度座標(x,y)でなくCIE1976における色度座標(u‘,v’)で表示することもでき、両者はu’=4x/(-2x+12y+3),v’=9y/(-2x+12y+3)という変換式で相互に変換可能である。その他の色度座標系で表示してもよい。
【0132】
<2.第2の実施形態>
第1の実施形態では、ボタン906a~ボタン906hについて、押下すると、対応付けられているシーンが照明器具2により再生されるシーン指定ボタンとしていたが、シーンを再生するのに限らず、他の処理を行うボタンとして割り当てていてもよい。
【0133】
図10は、第2の実施形態に係る照明制御用リモコン900の外観を示す図である。
【0134】
照明制御用リモコン900は、照明制御用リモコン9と同様の構成であり、シーン指定ボタンであるボタン906e~ボタン906hの代わりに、チャネル切替ボタンであるボタン906a~ボタン908d(以下、「ボタン908」という。)が配されている点が異なる。
【0135】
以下、ユーザがボタン908を押した場合に、照明システム1において行われる処理について説明する。
【0136】
<ボタン908のいずれか押し>
ボタン908は、チャネル切替ボタンである。無線通信に使用する使用チャネルを切り替えるために用いられる。
【0137】
ボタン908は、
図10に示すようにボタン908a~ボタン908hの4つのボタンから成る。それぞれの表面には、ユーザにとって区別し易いようA、B、C、Dの英文字が印字されている。
【0138】
ボタン908a~ボタン908dは、それぞれ使用チャネルに対応づけられている。例えば、ボタン908a、ボタン908b、ボタン908c、ボタン908dのそれぞれに、ch1、ch2、ch3、ch4がそれぞれ対応づけられる。
【0139】
ユーザがボタン908aを押下した場合、照明制御用リモコン900は、無線通信の使用チャネルとしてch1を使用する。すなわち、照明制御用リモコン900は、使用チャネルとして、ch1を使用するよう設定されている照明器具2のみと、ch1を用いて通信することになる。
【0140】
照明器具2に対し、使用する無線通信の使用チャネルを変更させるには、後述の通り、ボタン901を押しながらボタン906のいずれかを長押しすることで変更させることができる。
【0141】
<ボタン901とボタン906のいずれかを長押し>
ボタン901を押しながらボタン906のいずれかが長押しされた場合、照明制御用リモコン900は、同じ使用チャネルを用いて通信できている照明器具2に対し、通信に使用する使用チャネルを指示するための照明制御指示を送信する。照明制御指示を受信した照明器具2は、光源部41を所定期間点滅させて、ユーザに対し、使用チャネルを変更したことを示すとともに、以降は、照明制御指示により指示された使用チャネルを用いて無線通信を行う。
【0142】
<3.変形例>
以上、本発明に係る照明システムの実施形態を説明したが、例示した照明システムを以下のように変形することも可能であり、本発明が上述の実施形態で示した通りの照明システムに限られないことは勿論である。
【0143】
(1)上述の実施形態では、照明器具2は、器具本体4と電源装置5とを別個の構成(電源外付型)としたが、これに限らず、器具本体4が電源装置5を内蔵する構成(電源内蔵型)であってもよい。
【0144】
(2)上述の実施形態では、光源部41は、LEDで構成することとしたが、これに限らず照明用の光源として機能すれば足り、有機EL(Electro Luminescence)デバイスなどLED以外で構成されていてもよい。
【0145】
(3)照明器具2は、調光制御及び調色制御の双方が可能であるとしたが、いずれか一方が可能であってもよい。
【0146】
(4)上述の実施形態では、照明制御用リモコン9は、照明器具2等と直接的に無線通信を行い制御することとしたが、これに限らず、照明制御用リモコン9が照明器具2等を制御できれば足り、例えば、照明制御用リモコン9と照明器具2等との間に、ゲートウェイを備えることとしてもよい。
【0147】
ゲートウェイは、照明制御用リモコン9から無線通信を介して、調光、調色の指示を受信し、受信した指示に従い、無線通信を介して照明器具2等それぞれについて調光、調色などを行う機能を有する装置である。
【0148】
(5)ワイヤレスモジュール7は、BLEのみならず、他の通信仕様に従い通信することとしてもよいし、複数の通信仕様に従った無線通信可能であるとしてもよい。また、これに限らず、例えば異なる通信仕様ごとのワイヤレスモジュール7が用意されていることとしてもよい。この場合、使用する通信仕様に応じたワイヤレスモジュール7がソケット部53に装着されることで、照明器具2は、その通信仕様に応じた無線通信が可能になる。
【0149】
(6)上述の実施形態で示した各機能構成要素は、その機能を実行する回路として実現されてもよいし、1又は複数のプロセッサにより照明制御プログラムを実行することで実現されてもよい。
【0150】
(7)上述の実施形態では、
図4を用いて説明したように、照明制御用リモコン9、及び照明制御用リモコン900は、ボタン操作された場合に、ボタン操作に対応する点滅動作を行い、ユーザに対しいずれのボタンが操作されたか分かるような提示を行っていたが、これに限らず、他の方法でユーザに提示してもよい。
【0151】
例えば、照明制御用リモコン9、及び照明制御用リモコン900は、ボタン操作された場合に、ボタン操作により指示された照明制御を実行した照明器具2が、ボタン操作に対応する所定期間、色温度、調光率などで光源部41を点灯や点滅等させることで、ユーザに対しいずれのボタンが操作されたか分かるような提示を行ってもよい。
【0152】
(8)第1の実施形態では、シーン指定ボタンの数を8個としているが、個数はこれに限らず、照明制御用リモコン9の大きさや、仕様に合わせて増減させてもよい。また、第2の実施形態において、第1の実施形態における8個のボタン906のうち4個をボタン908a~ボタン908dとして異なる処理を行うためのボタンに変更しているが、変更する個数は、仕様に合わせて変更してよい。
【0153】
(9)上述の実施形態では、ボタン906をシーン設定ボタンとし、ボタン908をチャネル切替ボタンとしたが、他の用途に用いることとしてもよい。例えば、ボタン906又はボタン908を、照明器具2が無線通信時に使用するホップ数設定ボタンとしてもよい。
【0154】
一例として、ボタン表面に「1」と印字されたボタン906aをホップ数=1を設定するホップ数設定ボタンとし、同様に、ボタン906b、ボタン906c、ボタン906dを、それぞれホップ数=2、3、4を設定するホップ数設定ボタンとする。
【0155】
ボタン906aが押された場合、照明制御用リモコン9は、通信できている照明器具2に対し、通信に使用するホップ数を1にする指示をするための照明制御指示を送信する。照明制御指示を受信した照明器具2は、以降、通信に用いるホップ数を1とする。
【0156】
同様に、ボタン906b、906c、906dのいずれかが押された場合、照明制御指示を受信した照明器具2は、以降、通信に用いるホップ数をそれぞれ、2、3、4とする。
【0157】
なお、ボタン906として、ホップ数を0とするためのホップ数設定ボタンを設けてもよいし、ホップ数を5以上とするためのホップ数設定ボタンを設けてもよい。
【0158】
また、ホップ数の変更を指示された照明器具は、光源部41を所定期間点滅させて、ユーザに対し、使用するホップ数を変更したことを示すこととしてもよい。
【0159】
また、ホップ数設定ボタンは、ボタン906及びボタン908に限らず、これらのボタン以外のボタンを設けて、ホップ数設定ボタンとしてもよい。
【0160】
(10)上述の実施形態及び各変形例を、部分的に組み合せてもよい。
【0161】
<4.補足>
以下、更に本発明の一実施形態としての照明制御用リモコン及び照明システムの構成及びその変形例と効果について説明する。
【0162】
(1)本発明の一実施形態に係る照明制御用リモコンは、無線により制御される複数の照明器具を照明制御するための照明制御用リモコンであって、複数のボタンと、前記複数の照明器具及び前記照明制御用リモコンが相互の認証に用いるIDとパスワードとを、前記ボタンのユーザによる操作に対応づけて記憶する記憶手段と、前記ボタンに前記操作がされた場合に、前記ID及び前記パスワードを前記複数の照明器具に使用するよう指示する通信手段とを備える。
【0163】
この構成によれば、複数の照明器具に同じパスワードを容易に設定することができる。
【0164】
(2)また、前記照明制御用リモコンは、前記複数の照明器具を含む複数の機器と通信可能であり、前記複数の機器は、機器の種別ごとに異なるデバイスコードを記憶しており、前記照明制御用リモコンは、所定のデバイスコードを記憶している機器のみが前記ID及び前記パスワードを使用するための指示を前記複数の機器に送信することとしてもよい。
【0165】
この構成によれば、複数の機器の一部に、選択的に、同じIDとパスワードとを使用し、相互に通信する指示することができる。
【0166】
(3)また、前記複数の機器は、メッシュネットワークを構成可能であり、前記照明制御用リモコンは、ホップ数を0に設定し、前記メッシュネットワークにおいて前記複数の機器のホップ数を0にさせることとしてもよい。
【0167】
この構成によれば、前記照明制御用リモコンが通信できる機器を、前記照明制御用リモコンが直接通信できる範囲に絞り込むことができる。
【0168】
(4)また、前記複数の照明器具は、照明制御を行うのに必要な信号の数が異なるものが混在し、前記信号の数ごとに照明制御指示が異なり、前記照明制御用リモコンは、前記ボタンのユーザによる操作がされた場合に、前記信号の数それぞれに対応するそれぞれの照明制御指示全てを、前記複数の照明器具それぞれに対し送信することとしてもよい。
【0169】
この構成によれば、照明制御を行うのに必要な信号の数が異なる照明器具が混在していても、複数の照明器具全てに、同じ照明制御を行うことができる。
【0170】
(5)また、前記複数のボタンは、設定ボタンを含み、前記ユーザによる操作は、前記設定ボタンを押しながら、他のボタンを押す操作と、前記他のボタンのみを押す操作とを含むこととしてもよい。
【0171】
この構成によれば、前記複数のボタンに、ボタンの個数以上の、前記照明器具への指示を対応付けることができる。
【0172】
(6)また、前記照明制御用リモコンは、前記ボタンのユーザによる操作に、無線による通信可能な距離を変更する指示が対応付けられていることとしてもよい。
【0173】
この構成によれば、前記複数の照明器具について、前記照明制御用リモコンが制御可能な照明器具を、前記照明制御用リモコンから所望の距離内に存在する照明器具に絞り込むことができる。
【0174】
(7)また、前記照明制御用リモコンは、インジケータランプを備えており、前記ボタンのユーザによる操作に対応付けられた点灯状態により点灯することとしてもよい。
【0175】
この構成によれば、前記照明制御用リモコンがディスプレイを備えない場合であっても前記照明制御用リモコンに対し行われた前記ユーザ操作がいずれであったかを、インジケータランプの点灯状態を視認することにより認識することができる。
【0176】
(8)前記照明制御用リモコンは、前記ボタンのユーザによる操作に、無線通信のホップ数を変更する指示が対応付けられていることとしてもよい。
【0177】
この構成によれば、照明器具の無線通信に用いられるホップ数を、ボタン操作によって変更することができる。
【0178】
(9)前記照明制御用リモコンは、前記ボタンのユーザによる操作が行われた場合に、行われた操作に対応する点灯状態で照明器具を点灯させることとしてもよい。
【0179】
この構成によれば、照明制御用リモコンに対し行われたユーザ操作がいずれであったか、及びいずれの照明器具がユーザ操作に対応して動作したかを、ユーザは、照明器具の点灯状態を視認することにより認識することができる。
【0180】
(10)本発明の一実施形態に係る照明システムは、無線により制御される複数の照明器具と、前記複数の照明器具を照明制御するための照明制御用リモコンを備える照明システムであって、複数のボタンと、前記複数の照明器具及び前記照明制御用リモコンが相互の認証に用いるIDとパスワードとを、前記ボタンのユーザによる操作に対応づけて記憶する記憶手段と、前記ボタンに前記操作がされた場合に、前記ID及び前記パスワードを前記複数の照明器具に使用するよう指示する通信手段とを備える。
【0181】
この構成によれば、複数の照明器具に同じパスワードを容易に設定することができる。
【符号の説明】
【0182】
1 照明システム
2、2a、2b、2c 照明器具
4 器具本体
5 電源装置
7 ワイヤレスモジュール
9 照明制御用リモコン
11 天井
41 光源部
50 調光率
51 電線
53 ソケット部
54 電力供給部
60 調光率
70a 筐体
70b 基板部
71 無線部
72 制御部
73 記憶部
74 端子部
90 入力部
91 制御部
92 ROM
93 RAM
94 無線通信部
95 インジケータ
901、902、903、904、904a、904b、905、905a、905b、906、906a、906b、906c、906d、906e、906f、906g、906h、908a、908a、908a、908a ボタン
903a 上ボタン
903b 左ボタン
903c 下ボタン
903d 右ボタン