(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023050629
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】報知システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20230404BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
G08G1/16 D
G08G1/09 F
G08G1/09 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021160820
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100181146
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 啓
(74)【代理人】
【識別番号】100109221
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 充広
(72)【発明者】
【氏名】田坂 駿
(72)【発明者】
【氏名】畑崎 由季子
(72)【発明者】
【氏名】松本 嵩寛
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 崇史
(72)【発明者】
【氏名】木下 康太
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA21
5H181BB04
5H181CC04
5H181CC14
5H181JJ28
5H181LL04
5H181LL09
5H181LL14
(57)【要約】
【課題】車両の挙動が必ずしも明確でない箇所等を含む種々の交通領域において、交通の安全性を高めることができる報知システムを提供すること。
【解決手段】報知システム100は、所定の交通領域TRを通過する予定の自動運転車両VEと通信して、自動運転車両VEの挙動を把握する情報処理部IPと、情報処理部IPで取得した自動運転車両VEの挙動に対応した情報を報知する報知部70とを備え、自動運転車両VE以外の車両や歩行者等に対して、通行の可否や注意喚起等の報知を可能とし、交通の安全性を高める。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の交通領域を通過する予定の自動運転車両と通信して、前記自動運転車両の挙動を把握する情報処理部と、
前記情報処理部で取得した前記自動運転車両の挙動に対応した情報を報知する報知部と
を備える、報知システム。
【請求項2】
前記交通領域は、無信号領域であり、
前記情報処理部は、前記無信号領域及び前記無信号領域の周辺の状況と前記自動運転車両の挙動とに対応して、前記報知部における報知内容を決定する、請求項1に記載の報知システム。
【請求項3】
前記報知部は、前記交通領域の上流側において道路に面して設置され、前記自動運転車両の後方車両に対して報知する車両向け報知部を含む、請求項1及び2のいずれか一項に記載の報知システム。
【請求項4】
前記報知部は、前記交通領域としての横断歩道に面して設置され、前記情報処理部で取得した前記自動運転車両の挙動に対応した前記横断歩道の横断可否について、歩行者に報知する歩行者向け報知部を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の報知システム。
【請求項5】
前記報知部は、前記自動運転車両の挙動に対応した情報を表示する表示部を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の報知システム。
【請求項6】
前記情報処理部は、前記自動運転車両との通信により受け取った前記自動運転車両の将来位置情報から前記自動運転車両の挙動を把握する、請求項1~5のいずれか一項に記載の報知システム。
【請求項7】
前記交通領域の交通状況を監視する監視部を備え、
前記情報処理部は、前記監視部における監視結果と、前記自動運転車両の挙動とに応じて、前記交通領域よりも手前の位置に設定した仮想停止線の情報を、前記自動運転車両に対して提供する、請求項1~6のいずれか一項に記載の報知システム。
【請求項8】
前記情報処理部は、前記仮想停止線の情報を提供した場合、前記報知部に前記自動運転車両が停止予定である旨を報知させる、請求項7に記載の報知システム。
【請求項9】
前記情報処理部は、前記監視部における監視結果に基づき、出発可能時間を算出する算出部を有し、前記仮想停止線で停止している前記自動運転車両に対して、前記算出部において算出された前記出発可能時間を送信する、請求項7及び8のいずれか一項に記載の報知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動運転車両に対して、インフラ側から交通情報を提供しつつ、自動運転車両の挙動に関する報知を行う報知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、信号機のある横断歩道において携帯端末の操作者を捉え、信号機の点灯状態に応じて警告を行うための技術が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、上記特許文献1では、例えば信号機のない横断歩道等のように、車両の挙動が必ずしも明確でない場合についての対処に関しては開示がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、例えば信号機のない横断歩道等のような車両の挙動が必ずしも明確でない箇所等を含む種々の交通領域において、交通の安全性を高めることができる報知システムを提供することを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するための報知システムは、所定の交通領域を通過する予定の自動運転車両と通信して、自動運転車両の挙動を把握する情報処理部と、情報処理部で取得した自動運転車両の挙動に対応した情報を報知する報知部とを備える。
【0007】
上記報知システムでは、所定の交通領域を通過する予定の自動運転車両の挙動をシステム側で把握するともに、例えば交通領域やその周辺に対して当該挙動に対応した報知を行うことで、自動運転車両以外の車両や歩行者等に対して、通行の可否や注意喚起等の報知が可能になり、交通の安全性を高めることができる。
【0008】
本発明の具体的な側面では、交通領域は、無信号領域であり、情報処理部は、無信号領域及び無信号領域の周辺の状況と自動運転車両の挙動とに対応して、報知部における報知内容を決定する。この場合、例えば無信号の横断歩道等のような無信号領域において、自動運転車両以外の車両や歩行者等に対し、自動運転車両の挙動に応じて通行の可否や注意喚起等ができる。
【0009】
本発明の別の側面では、報知部は、交通領域の上流側において道路に面して設置され、自動運転車両の後方車両に対して報知する車両向け報知部を含む。この場合、車両向け報知部により、自動運転車両の後方車両の搭乗者に対して的確な報知ができる。
【0010】
本発明のさらに別の側面では、報知部は、交通領域としての横断歩道に面して設置され、情報処理部で取得した自動運転車両の挙動に対応した横断歩道の横断可否について、歩行者に報知する歩行者向け報知部を含む。この場合、歩行者向け報知部により、横断歩道を渡ろうとする歩行者あるいは現に渡り始めている歩行者に対して的確な報知ができる。
【0011】
本発明のさらに別の側面では、報知部は、自動運転車両の挙動に対応した情報を表示する表示部を含む。この場合、表示部における報知内容の表示により、視覚的な手法による報知がなされる。
【0012】
本発明のさらに別の側面では、情報処理部は、自動運転車両との通信により受け取った自動運転車両の将来位置情報から自動運転車両の挙動を把握する。この場合、将来位置情報に基づき自動運転車両の未来の挙動を事前に把握でき、報知のための事前の判断をより的確に行える。
【0013】
本発明のさらに別の側面では、交通領域の交通状況を監視する監視部を備え、情報処理部は、監視部における監視結果と、自動運転車両の挙動とに応じて、交通領域よりも手前の位置に設定した仮想停止線の情報を、自動運転車両に対して提供する。この場合、例えば自動運転車両に搭載されたセンサー等による検知からだけでは、取得できない情報に基づいて、自動運転車両を交通領域よりも手前で停止させるべきか否かに関して、適切に処理できる。
【0014】
本発明のさらに別の側面では、情報処理部は、仮想停止線の情報を提供した場合、報知部に自動運転車両が停止予定である旨を報知させる。この場合、自動運転車両の停止に応じた報知ができる。
【0015】
本発明のさらに別の側面では、情報処理部は、監視部における監視結果に基づき、出発可能時間を算出する算出部を有し、仮想停止線で停止している自動運転車両に対して、算出部において算出された出発可能時間を送信する。この場合、仮想停止線で停止している自動運転車両に対して、的確な出発タイミングを示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】一実施形態に係る報知システムを設けた横断歩道及びその周辺の様子について示す概念図である。
【
図2】車両向け報知部による表示について一例を示す概念図である。
【
図3】歩行者向け報知部による表示について一例を示す概念図である。
【
図4】報知システムの一構成例について示すブロック図である。
【
図5】報知システムによる報知と車両の走行動作との関係について一例を示す概念図である。
【
図6】報知システムによる報知と車両の走行動作との関係について他の一例を示す概念図である。
【
図7】報知システムによる報知と車両の走行動作との関係について別の一例を示す概念図である。
【
図8】報知システムによる報知と車両の走行動作との関係についてさらに別の一例を示す概念図である。
【
図9】(A)及び(B)は、車両向け報知部による表示について他の一例を示す概念図である。
【
図10】報知システムにおける一連の動作について一例を説明するためのフローチャートである。
【
図12】(A)及び(B)は、歩行者向け報知部による表示について他の一例を示す概念図である。
【
図13】歩行者向け報知部について他の一例を示す概念図である。
【
図14】報知システムを設けた横断歩道のある交差点及びその周辺の様子について示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、
図1等を参照して、一実施形態に係る報知システムについて、一例を説明する。
図1は、本実施形態に係る報知システム100を設けた所定の交通領域TRとしての横断歩道CW及びその周辺の様子について示す概念図である。また、
図2及び
図3は、報知システム100による報知の一態様として、視覚的情報により報知を行う様子を概念的に示すものである。さらに、
図4は、報知システム100の一構成例について示すブロック図である。
【0018】
本実施形態では、
図1に示す一例では、報知システム100が設けられた所定の交通領域TRとしての横断歩道CW及びその周辺は、信号機の設置されていない領域(無信号領域)となっている。
図1の一例では、報知システム100は、信号機のない道路に設けた横断歩道CWを通過する予定の自動運転車両VEと通信して、自動運転車両VEの挙動を把握し、把握した自動運転車両VEの挙動に対応した情報を、横断歩道CW及びその周辺に対して報知する態様について示している。すなわち、この場合、報知システム100による報知によって、横断歩道CW及びその周辺に存在する自動運転車両以外の車両や歩行者等に対して、通行の可否や注意喚起等を行うことで、交通の安全性が高められるものとなっている。
【0019】
上記のような態様とすべく、報知システム100は、本体部である報知制御装置NCと、監視部であるセンサー部10と、報知部70とを備えており、これらのうち、報知制御装置NCには、通信部30と、主制御部50とが設けられている。つまり、報知システム100は、横断歩道CW及びその周辺に設けられた路側装置で構成されている。また、報知システム100は、以上のような構成となっていることにより、監視部としてのセンサー部10を介して、横断歩道CW及びその周辺を含む検出領域(検知範囲)DDについて監視を行った結果としての物標情報を取得するともに、通信部30を介して横断歩道CWを通過する予定の自動運転車両VEと通信して、自動運転車両VEの将来位置情報(自己の将来位置を示す情報)を取得する。この場合において、報知制御装置NCの主制御部50は、交通領域TRとしての横断歩道CW及びその周辺の様子について把握するとともに、自動運転車両VEの挙動を把握する。さらに、主制御部50は、取得した上記各種情報に基づいて、すなわち、無信号領域である横断歩道CW及び横断歩道CWの周辺の状況と、自動運転車両VEの挙動(将来位置情報から把握される走行予定)とに対応して、報知部70における報知内容を決定する。見方を変えると、主制御部50は、報知システム100を構成するもののうち、各種情報処理を行う情報処理部IPとして機能する。
【0020】
また、報知システム100は、自動運転車両VEに対しては、運転を支援するシステムとしても機能すべく、報知制御装置NCが、運転支援装置SSとして自動運転車両VEに対して情報提供を行う。
図1では、自動運転車両VEが、横断歩道CWを通過する予定となっていることを、ハッチングで示す位置を現在位置として、その後の挙動(未来の予定動作)を、破線によって示している。すなわち、自動運転車両VEは、ハッチングで示す現在位置において自身の今後の予定が破線で示すものである旨を示す最初の将来位置情報を、運転支援装置SSとしての報知制御装置NCに送信し、自動運転車両VEと運転支援装置SSとの間で通信が開始される。これを契機として、運転支援装置SSは、将来位置情報を加味しつつ、自動運転車両VEの走行先である横断歩道CW及び横断歩道CWの周辺の状況が走行継続可能であるか否かを確認し、確認結果を、自動運転車両VEに対して提供する。以上のようにして、自動運転車両VEは、運転支援システムとしての報知システム100による支援の対象となる。なお、自動運転車両VEは、自己の将来位置情報を、例えば一定の間隔で継続的に更新して送信し続ける。すなわち、インフラ側は、継続的に新たな将来位置情報を、自動運転車両VEから受け取る。この通信は、自動運転車両VEが横断歩道CWを通過完了するまで継続される。
【0021】
報知部70は、情報処理部IPとして主制御部50で決定された報知内容を報知する。つまり、主制御部50で取得した自動運転車両VEの挙動に対応した情報を、横断歩道CWやの周辺に向けて報知する。
【0022】
ここで、図示の一例では、報知部70は、車両向け報知部VNとしての第1表示板DSαと、歩行者向け報知部PNとしての第2表示板DSβとで構成されている。第1表示板DSα及び第2表示板DSβは、例えば有機ELパネルや液晶パネル、あるいはLEDドット掲示板等で構成されており、自動運転車両VEの挙動に対応した情報を表示する表示部である。すなわち、報知部70は、表示部である第1表示板DSα及び第2表示板DSβを有することで、表示(視覚)による報知を行うものとなっている。
【0023】
特に、本実施形態では、車両向け報知部VNとしての第1表示板DSαは、交通領域である横断歩道CWの上流側において道路に面して設置され、自動運転車両VEの後方車両GMに対して報知(表示)を行う態様となっている。つまり、後方車両GMの搭乗者は、
図1に示すように、第1表示板DSαの表示内容を見ることで、視覚的情報から前方車両である自動運転車両VEの挙動を把握できる。なお、
図2は、後方車両GM(
図1参照)の搭乗者から見た第1表示板DSαの表示内容の様子を含む前方の様子を概念的に示している。特に、本実施形態では、
図2に例示するように、自動運転車両VEが停止(急停止を含む)することになった場合、その旨を第1表示板DSαにおける表示によって、後方車両GMの搭乗者に向けて報知(通知)する。
【0024】
図1に戻って、また、本実施形態では、歩行者向け報知部PNとしての第2表示板DSβは、交通領域TRとしての横断歩道CWに面して設置され、情報処理部IPで取得した自動運転車両VEの挙動に対応した横断歩道CWの横断可否について、歩行者PE等に報知する。つまり、第2表示板DSβは、横断歩道CWを渡ろうとする歩行者PEあるいは現に渡り始めている歩行者PE(以下、横断者CRともする)に対して表示を行うことで、横断者CRに、視覚的情報から接近車両である自動運転車両VEの挙動を把握させるものとなっている。
図1に示す一例では、一対の第2表示板DSβが、横断歩道CWを挟むように道路の両脇に設けられており、道路の両脇双方の歩道に存在する歩行者PEに対して報知を行うものとなっている。なお、
図3は、横断者CRから見た第2表示板DSβの表示内容の様子を含む周囲の様子を概念的に示している。特に、本実施形態では、
図3に例示するように、自動運転車両VEが停止(急停止を含む)する予定であり、横断可能である旨を第2表示板DSβにおける表示によって、歩行者PE(特に横断者CR)に向けて報知(通知)する。
【0025】
また、報知システム100は、自動運転車両VEに対しては、既述のように、運転を支援すべく情報提供を行う運転支援装置SSとして機能する。具体的には、報知システム100は、自動運転車両VEから将来位置情報を受け、横断歩道CWを通過予定である旨を認識すると、これに応じて、横断歩道CW及びその周辺において、横断歩道CWの横断者CRの存在等を含む道路に関する監視結果等に基づいた情報の提供を、自動運転車両VEに対して行うことで、運転を支援する。ここでは、特に、運転支援装置SSは、自動運転車両VEから将来位置情報に含まれる横断歩道CWへの到達予測時刻を勘案して、横断歩道CWの手前の仮想停止線VLにおいて停止(一時停止)すべきか否か等を判定する。停止(一時停止)すべきと判定した場合、運転支援装置SSは、仮想停止線VLにおいて停止(一時停止)することを推奨するあるいは指令する信号を、送信する。また、当該信号に応じて自動運転車両VEが仮想停止線VLに停止した場合、運転支援装置SSは、停止している自動運転車両VEに対して仮想停止線VLで停止している自動運転車両VEが、仮想停止線VLから発進可能となる出発可能時間(出発可能時刻)の情報を提供する。このように、報知システム100は、例えば自動運転車両VEが搭載するセンサー等のみからでは、取得できない横断歩道CWやその周辺についての路側での検知に基づく情報を、自動運転車両VEに送信する。例えば、横断歩道CW及びその周辺における道路の形状について傾斜やカーブがある場合や、街路樹等の設置物、あるいは交通量や路上駐車の量等によって、自動運転車両VEにとっての死角が多く発生することが考えられる。このような場合には、路側での検知に基づく情報が重要となる。これに対して、特に本実施形態では、報知システム100は、横断歩道CWの横断者CRを路側において検知した場合に、横断歩道CWの手前で自動運転車両VEを停止させるべく、仮想停止線VLの情報を事前に与えることで、停止させるとともに、自動運転車両VEが横断歩道CWの手前で停止する旨を、横断歩道CWの横断者CRや、自動運転車両VEの後方車両GMに報知することで、信号のない横断歩道CWであっても、歩行者PE(横断者CR)の優先を確保しながら、より安全性が図られた円滑な交通の維持を実現している。なお、後方車両GMにとっても、横断歩道CW及びその周辺における道路の形状等の影響により、前方に存在する横断歩道CW、さらには、その周辺の状況について、把握しにくい可能性があり、特に、前方車両である自動運転車両VEの挙動が不明な場合には、追突する危険性が高まる。本実施形態では、かかる事態を回避又は抑制できる。
【0026】
以下、
図4として示すブロック図を参照して、報知システム100についての一構成例について説明する。図示のように、また、既述のように、報知システム100は、センサー部10と、報知制御装置NC(運転支援装置SS)を構成する通信部30及び主制御部50と、報知部70とを備えている。これらのうち、例えば主制御部50は、各種回路基板やCPU、ストレージデバイス等で構成される判定ユニットJUと、センサー部10と接続するためのセンサーインターフェース(情報取得部)SEiとで構成されている。
【0027】
まず、センサー部10は、カメラ部11と、測距部12とで構成される路側センサーであり、監視の対象となる所定範囲としての検出領域DDに存在する移動体MBや障害物等を検知する監視部である。なお、移動体MBについては、道路脇や歩道等に存在する自転車や歩行者のほか、道路上に存在する車両、さらには障害物等が想定される。カメラ部(インフラカメラ)11は、横断歩道CWを含む前後の道路上に加え、道路脇に延在する歩道等を検出領域DDとし、検出領域DDについて監視すべく、撮像を行って画像データを生成する。また、測距部12については、例えばLiDARのほか、ミリ波センサーや、レーダーを採用することが考えられ、測距を行って測距データを生成することで、移動体MBの位置等を取得可能にする。なお、図中では、1つのセンサー部10のみ示しているが、横断歩道CW及びその周辺について隈なく監視を行うべく、複数のカメラ等を場内に設置する構成にできる。また、ここでは、検出領域DDを一例として示しているが、情報を提供する対象となる自動運転車両VEの進行方向によって検出領域DDが変更される場合には、これに応じて、使用するカメラ等を適宜選択する等も可能である。ここで、センサー部10により取得される検知結果であり、検出領域DDに存在する移動体MBに関する画像データや測距データ等の各種情報を、物標情報とする。すなわち、物標情報には、検出領域DDに存在する各種車両や歩行者等の動作状況のほか、障害物の存在等についての情報が含まれている。
【0028】
通信部30は、自動運転車両VEと無線通信を行うための無線部である。通信部30は、例えば5G、4GLTEに代表される移動体通信回線を利用する通信方式、無線LAN等に代表される中域の無線通信方式、DSRC等の狭域無線通信方式、ビーコン等のスポット通信方式を利用したものであり、所定の通信ゾーンに存在する自動運転車両VEとの間で、相手機器を識別しつつデジタルデータ通信を行う。ここで、通信相手である自動運転車両VEについては、既述のように、運転支援装置SS(報知制御装置NC)に対して、運転支援を受けるためのデータとして、自己の将来位置を示す将来位置情報を送信するものとなっている。より具体的に説明すると、まず、自動運転車両VEは、自動運転を行うための各種制御を行うべく、自動運転プログラムAOの将来位置情報生成部FGにおいて、自動運転車両VE自身についての現在位置や現在位置に基づく今後の進路予定の情報等で構成される将来位置情報を生成する。この将来位置情報には、自動運転車両VEの現在位置(現在時刻における位置)や、これに基づき作成される将来位置(到達予測時刻を含む)のほか、これらの各時刻(予定時刻)における速度や方位(方位角)等の情報が含まれている。したがって、運転支援装置SSあるいは報知制御装置NCは、自動運転車両VEから将来位置情報を受け付けることで、例えば自動運転車両VEの横断歩道CWへの到達予測時刻や、横断歩道CWの通過所要時間等を把握できる。
【0029】
主制御部50のうち、センサーインターフェース(情報取得部)SEiは、監視部であるセンサー部10で取得された情報すなわち物標情報を取り込んで判定ユニットJUに出力する。すなわち、情報取得部SEiは、所定範囲としての検出領域DDについての物標情報を取得するためのものである。
【0030】
主制御部50のうち、判定ユニットJUは、報知部70において自動運転車両VEの停止表示を行うか否かを判定する停止表示判定部52aと、算出部52bとを有する。さらに、停止表示判定部52aは、横断者判定部JDpと、表示内容設定部DCsとで構成されている。
【0031】
停止表示判定部52aのうち、横断者判定部JDpは、センサー部10による検知結果としての物標情報に基づき、横断歩道CWの横断者CRの存否について、すなわち横断歩道CWを渡ろうとする歩行者PEあるいは現に渡り始めている歩行者PEの存否について判定する。例えば、センサー部10による検知結果として、予め定めた横断歩道CWから所定範囲内(例えば2m~3m以内)に、所定の時間(例えば数秒程度)以上滞在し続けている人物が検知された場合、この人物を横断者CRと判定する。このような横断者CRの存在が認められている場合において、仮に横断歩道CWに向かう自動運転車両VEから将来位置情報として横断歩道CWの通過を予定する旨の情報が含まれていた場合には、主制御部50は、自動運転車両VEに対して、所定の仮想停止線VLにおいて停止(一時停止)することを推奨するあるいは指令する旨の信号送信を、通信部30を介して行う。
【0032】
停止表示判定部52aのうち、表示内容設定部DCsは、通信部30で受け付けた自動運転車両VEの横断歩道CWへの到達予測時刻等を含む将来位置情報と、センサー部10による検知結果としての物標情報を収集し、これらに基づき報知部70における報知内容を決定する。具体的には、例えば上記のように横断歩道CWにおいて横断者CRの存在が認められ、自動運転車両VEに対して仮想停止線VLが送信されている場合であれば、表示内容設定部DCsあるいはこれとして機能する主制御部50は、報知部70において自動運転車両VEが横断歩道CWの手前で停止する予定である旨の報知を行わせるべく、その内容に相当する表示情報を、報知部70に対して送信する。すなわち、主制御部50は、報知部70のうち、第1表示板DSα(車両向け報知部VN)に対しては、
図2に例示したように、前方車両である自動運転車両VEが、横断者CR(歩行者PE)の存在に応じて停止する予定であることを明示するための表示(前方車両停止表示)を行う旨の指示をする。一方、主制御部50は、報知部70のうち、第2表示板DSβ(歩行者向け報知部PN)に対しては、
図3に例示したように、自動運転車両VEが、横断者CR(歩行者PE)の存在に応じて停止する予定であり、横断可能であることを明示するための表示(横断可否表示の1つである横断可能表示)を行う旨の指示をする。なお、停止表示判定部52aは、その後、横断者CRが横断歩道CWを渡り終えたことや、自動運転車両VEが横断歩道CWを通過したことを確認した後に、横断可能表示や前方車両停止表示を削除する旨の通知(表示削除通知)を、報知部70に対して行う。
【0033】
算出部52bは、仮想停止線VLで停止している自動運転車両VEが、仮想停止線VLから発進可能となる出発可能時間(出発可能時刻)を算出する。出発可能時間の算出について、典型的には、検出領域DDについての監視の結果、横断歩道CWやその近隣において道路を渡ろうとする移動体MBが存在しないこと、あるいは存在しなくなることが確認されることで、算出可能となる。なお、出発可能時間については、例えば定められた時刻(何時何分何秒から何時何分何秒までの間出発可能)で示したり、時間の長さ(現在を起点として何秒後から何秒後までの間出発可能)で示したりすることが想定される。
【0034】
通信部30は、以上のようにして、算出部52bにおいて算出された出発可能時間の情報を、自動運転車両VEに対して送信する。
【0035】
以下、
図5等に示す概念図を参照して、報知システム100による報知と自動運転車両VEの走行動作との関係について一例を説明する。図示のうち、グラフG1は、自動運転車両VEの走行状況について示すものであり、横軸に位置(横断歩道CWに対する自動運転車両VEの存在位置)を示しており、縦軸に自動運転車両VEの速度を示している。つまり、曲線C1は、横断歩道CWに向かう(近づく)自動運転車両VEの位置と速度の変化を示している。なお、図中においては、右から左へ進む自動運転車両VEの様子を、番号を振って示している。
【0036】
加えて、図中における表示内容α1は、報知部70を構成する第1表示板DSα(車両向け報知部VN)での報知態様について示しており、表示内容β1は、報知部70を構成する第2表示板DSβ(歩行者向け報知部PN)での報知態様について示している。ここでは、自動運転車両VEの時間的変位に応じて、表示態様が変化する様子を示している。さらに、図中における判定内容γ1は、報知システム100の横断者判定部JDpによる歩行者PE(横断者CR)の存否確認の判定について示している。
【0037】
図5に示す一例では、自動運転車両VEの走行動作に応じた報知システム100による報知についての典型的一例として、横断歩道CWを渡ろうとする歩行者PE(横断者CR)が存在して、自動運転車両VEに対して仮想停止線VLで停止する旨の通知が報知システム100よりなされた場合に併せてなされる報知システム100の報知動作について示している。なお、判定内容γ1に示すように、ここでは、1番から4番で示している自動運転車両VEの変遷のうち、2番と3番の間で、歩行者PE(横断者CR)の存否確認の判定が「なし」から「あり」に変わった場合を示している。
【0038】
以下、上記における自動運転車両VEの挙動について説明する。具体的には、まず、グラフG1において、1番に示すように、自律走行している自動運転車両VEが、例えば車載の機器を利用して、走行する先において無信号の横断歩道CWが存在することを検知すると、2番として示すように、減速を開始する。また、ここで、2番に示す時点において、自動運転車両VEは、併せて報知システム100を検知し、報知システム100に対して自己の将来位置情報を送信するものとし、報知システム100と通信を開始する。これにより、自動運転車両VEは、運転支援装置SSを含む運転支援システムとしての報知システム100から横断歩道CW及びその周辺に関する状況についての情報を取得する。すなわち、自動運転車両VEは、運転支援装置SSからの情報提供による運転支援を受ける。図示の一例の場合、この後、歩行者PE(横断者CR)の存在に応じて、報知システム100からは、仮想停止線VLについての情報が送信されることになる。自動運転車両VEは、報知システム100からの通知に基づき、減速を続ける走行を行い、最終的な結果として、3番として示すように、仮想停止線VLの位置で停止する。その後、自動運転車両VEは、報知システム100からの出発可能時間(出発可能時刻)を待ち、これを受け取ると、4番として示すように、発進して、横断歩道CWを通過する。なお、横断歩道CWの通過完了をもって、自動運転車両VEと報知システム100との間での通信は、終了する。
【0039】
一方、報知システム100は、自動運転車両VEから送信された将来位置情報を受けたことを契機として、上述のように、自動運転車両VEとの通信を開始する。これとともに、報知システム100は、自動運転車両VEの存在に応じた報知動作を開始する。すなわち、報知部70を構成する第1表示板DSα(車両向け報知部VN)及び第2表示板DSβ(歩行者向け報知部PN)における前方車両停止や、横断可否についての表示等の指示を開始する。
【0040】
より具体的に説明すると、まず、図示のうち、表示内容α1に示すように、第1表示板DSαについては、自動運転車両VEが1番の位置にある時点では、非表示であったものが、2番の位置にある時点(自動運転車両VEの減速が開始された時点)では、将来位置情報から自動運転車両VEが減速を始めていることがインフラ側において判明したことに伴い、前方車両停止の表示を開始する。つまり、自動運転車両VEが減速を開始すると、速やかに自動運転車両VEの後方車両GM(
図1参照)に対して、自動運転車両VEが停止(又は減速)する予定である旨の通知がなされる。
【0041】
さらに、報知システム100において、取得した物標情報と将来位置情報とから横断者CRが存在して自動運転車両VEへの仮想停止線VLの送信が必要であることが判明したことに伴い、第1表示板DSαにおいては、前方車両停止の表示とともに横断者ありの表示がなされる。なお、この表示動作は、自動運転車両VEが2番の位置を通過した後、報知システム100における判定処理の結果として、判定内容γ1に示した判定が「なし」から「あり」に変更されると、速やかに開始され、自動運転車両VEが3番の位置すなわち停止位置の到達した時点でも継続される。
【0042】
その後、出発可能時間(出発可能時刻)に到達すると、すなわち、判定内容γ1に示した判定が「あり」からに「なし」変更されると、自動運転車両VEが仮想停止線VLの位置から発進し、これに伴って、報知システム100から第1表示板DSαに表示削除通知がなされ、第1表示板DSαは、非表示の状態に戻る。
【0043】
次に、図示のうち、表示内容β1に示すように、第2表示板DSβについては、自動運転車両VEが1番及び2番の位置を過ぎる時点までにおいては、非表示の状態が続くものとなっているが、自動運転車両VEが3番の位置すなわち停止位置の到達する、あるいは、停止できるように十分な減速がなされると、横断可能である旨の指示を開始する。当該表示は、該当する歩行者PE(横断者CR)が横断歩道CWを渡り終えるまで継続され、判定内容γ1に示した判定が「あり」からに「なし」変更されると、これに伴って、非表示の状態に戻る。
【0044】
図6~
図8は、
図5に対応する概念図であり、報知システム100による報知と自動運転車両VEの走行動作との関係について、
図5とは異なる態様についての一例をそれぞれ示している。
【0045】
例えば、
図6では、一例として、横断歩道CWを渡ろうとする歩行者PE(横断者CR歩行者(
図5等参照)が存在しない場合について示している。つまり、判定内容γ1として、「なし」判定が示された状態が継続する場合についての一例を示している。この場合、例えば報知システム100からは、自動運転車両VEに対して仮想停止線VL(
図5等参照)についての通知がなされない態様とすることが可能である。これに対して、自動運転車両VEは、2番の位置にある時点等で減速をしつつ、報知システム100から停止の指示が来ないことをもって、横断歩道CW及びその周辺に横断者CR等が存在しないものと判断して、3番に示すように、横断歩道CWの直近手前から加速して、4番に示すように、横断歩道CWを通過することができる。これにより、より円滑な交通が実現される。
【0046】
一方、上記態様の場合、報知部70での動作に関しては、図中において、表示内容α1,β1に示すように、ほぼ非表示の状態が続く。ただし、自動運転車両VEが2番の位置にある減速時においては、第1表示板DSαで前方車両停止の表示をする、すなわち、後方車両GM(
図1参照)に対して、自動運転車両VEが停止(又は減速)する予定である旨の通知をする。その後、自動運転車両VEが加速すると、再度非表示の状態に戻る。ここで、前方車両停止の表示(前方車両停止表示)については、実際に停止することが予定されている場合のほか、
図6の一例のように、可能性として停止することもあるが、結果的に減速だけで停止はしない、といったこともあり得るものとする。
【0047】
なお、この場合、第2表示板DSβについては、そもそも第2表示板DSβの視認者に相当する歩行者PE(横断者CR)が存在しないので、終始非表示のままとなる。
【0048】
図7では、一例として、横断者CRの飛出しがある場合について示している。つまり、
図6と
図7とを比較すると明らかなように、
図7の場合、途中までは、
図6の場合と同様に、横断者CRが存在しないものと判定して、動作していたが、
図6における3番に相当する位置に自動運転車両VEが到達し、横断歩道CWの直近手前から自動運転車両VEが加速し始めている状態において、予期しない横断者CRが突然現れた場合を例示している。この場合、報知システム100から自動運転車両VEに対して、緊急停止の信号が送信され、自動運転車両VEは、4番として示すように、例えば、急ブレーキにより、仮想停止線VLを超えた位置に緊急停止する。その後、自動運転車両VEは、報知システム100からの出発可能時間(出発可能時刻)を待ち、これを受け取ると、5番として示すように、発進して、横断歩道CWを通過する。
【0049】
一方、上記態様の場合、報知部70での動作に関しては、まず、図中において、表示内容α1に示すように、第1表示板DSαについては、自動運転車両VEが2番の位置にある減速時において前方車両停止の表示をした後、3番に示す自動運転車両VEの加速の開始とともに非表示の状態となるが、4番に示す自動運転車両VEの緊急停止があるとこれに応じた表示をする。すなわち、第1表示板DSαにおいて、前方車両緊急停止の表示とともに横断者ありの表示がなされ、自動運転車両VEが4番の位置で出発可能時間(出発可能時刻)を受け取って発進するまで、上記態様の表示が継続される。なお、出発可能時間(出発可能時刻)に到達して自動運転車両VEが仮想停止線VLの位置から発進すると、これに伴って、報知システム100から第1表示板DSαに表示削除通知がなされ、第1表示板DSαは、非表示の状態に戻る。
【0050】
次に、表示内容β1に示すように、第2表示板DSβについては、3番に示す自動運転車両VEの加速の開始までは、非表示の状態が維持され、さらに、自動運転車両VEが急停止を開始した時点においても非表示のままであるが、自動運転車両VEが4番の位置で停止すると、これに併せて、横断可能である旨の表示に切り替わる。当該表示は、該当する歩行者PE(横断者CR)が横断歩道CWを渡り終えたことが完了するまで継続され、判定内容γ1に示した判定が「あり」からに「なし」変更されると、これに伴って、非表示の状態に戻る。
【0051】
図8では、一例として、複数の横断者CRが存在する場合の一例について示している。
図8では、特に、1人目の横断者CR1について対応した後、2人目の横断者CRとして、予期しない横断者CR2(飛出し)が発生した場合についての対応例を示している。より具体的には、判定内容γ1に示すように、1人目の横断者CR1については、2番に示す自動運転車両VEの減速の後、確認がなされ、これに応じて、3番に示すように、自動運転車両VEが横断歩道CWの手前で停止する。その後、横断者CR1が横断歩道CWを渡り終えたことが確認され、これとともに出発可能時間(出発可能時刻)に到達すると、自動運転車両VEが発進するが、判定内容γ1に示すように、その直後に予期しない2人目の横断者CR2が検出され、報知システム100から自動運転車両VEに対して、緊急停止の信号が送信され、自動運転車両VEの急ブレーキにより、例えば4番に示すように、仮想停止線VLを超えた位置に緊急停止する。その後、自動運転車両VEは、報知システム100からの出発可能時間(出発可能時刻)を再度待ち、これを受け取ると、5番として示すように、発進して、横断歩道CWを通過する。
【0052】
以上のような態様の場合、報知部70での動作に関しては、まず、図中において、表示内容α1に示すように、第1表示板DSαについては、3番に示す自動運転車両VEの停止までについては、
図5の場合と同様となり、さらに、(1回目の)出発可能時間(出発可能時刻)に到達後の自動運転車両VEの発進とともに、非表示となることについても、
図5の場合と同様となる。しかし、その後、予期しない横断者CR2が検出されると、今度は、
図7に例示した場合の表示のように切り替わる。すなわち、第1表示板DSαにおける表示態様が、非表示の状態から、前方車両緊急停止の表示とともに横断者ありの表示に変更され、自動運転車両VEが4番の位置で再度(2回目)の出発可能時間(出発可能時刻)を受け取って発進するまで、上記態様の表示が継続される。
【0053】
次に、表示内容β1に示すように、第2表示板DSβについては、第1表示板DSαの場合と同様、1回目の出発可能時間(出発可能時刻)に到達後の自動運転車両VEの発進とともに非表示となるまでは、
図5の場合と同様であるが、その後、予期しない横断者CR2が検出されると、
図7の場合と同様、自動運転車両VEが4番の位置で停止すると、これに併せて、横断可能である旨の表示に切り替わる。
【0054】
以上のように、報知システム100は、横断歩道CW及びその周辺における状況に応じて、種々の態様で、自動運転車両VEに対して信号送信をするとともに、報知部70における報知態様を変更する。
【0055】
なお、
図5~
図8については、報知システム100における動作の一例であり、これらに限らず、種々の態様とすることが可能である。例えば、
図7の一例では、仮想停止線VLを送信しないものとしているが、歩行者PE(横断者CR)が存在しない場合でも、自動運転車両VEに対して仮想停止線VLの提供をし、出発可能時間(出発可能時刻)を調整する(仮想停止線VLで一旦停止する場合の停止予定時刻よりも早い時刻に設定する)ことをもって、自動運転車両VEにおいて
図7の場合と同様の走行が可能となるようにしてもよい。
【0056】
図9(A)及び
図9(B)は、上述した各態様における第1表示板DSα(車両向け報知部VN)についての表示態様を例示する概念図である。
【0057】
例えば、
図9(A)は、例えば
図5や
図6等において、自動運転車両VEが2番の位置にいる時に、第1表示板DSα(車両向け報知部VN)で表示される前方車両停止表示についての一例を示している。すなわち、
図9(A)は、自動運転車両VEの前方に横断歩道CWが存在することで、自動運転車両VEが停止又は減速する予定である旨(横断者の存在は未確定)を表示する場合での表示態様を例示している。
【0058】
一方、
図9(B)は、例えば
図7や
図8等において、自動運転車両VEが4番の位置にいる時に、第1表示板DSα(車両向け報知部VN)で表示される前方車両緊急停止表示についての一例を示している。すなわち、
図9(B)は、自動運転車両VEが仮想停止線VLを超えて停止をすることを強いられた場合のような緊急停止(緊急停車)をした状態にある旨を表示する場合での表示態様を例示している。
【0059】
以下、
図10として示すフローチャートを参照して、報知システム100における一連の動作について、一例を説明する。
【0060】
まず、報知制御装置NC(運転支援装置SS)の情報処理部IPである主制御部50は、対象となる自動運転車両VEの存在を確認する(ステップS101)。すなわち、自動運転車両VEからの将来位置情報を確認する動作を、確認がなされる(ステップS101:Yes)まで継続する。なお、ステップS101において、通信開始のためのトリガーとなる最初の将来位置情報を自動運転車両VEから受信(取得)した場合、主制御部50は、車両IDの取得等の初期設定の登録等を行うものとしてもよい。
【0061】
ステップS101において、将来位置情報の取得が確認されると(ステップS101:Yes)、主制御部50は、センサー部10から取得した検知結果としての物標情報が取得されたか否かを確認し(ステップS102)、ステップS102において物標情報が取得されている場合(ステップS102:Yes)、さらに、物標情報から横断者CRが存在するか否か、すなわち自動運転車両VEを停止させるべきか否かを判定する(ステップS103)。
【0062】
ここで、ステップS102において物標情報が取得されない場合(ステップS102:No)つまり移動体MB等が存在しない場合や、ステップS103において横断者CRが存在しない場合(ステップS103:No)つまり移動体MB等があっても横断者CRに該当しない場合には、まず、主制御部50は、自動運転車両VEが減速を行ったか否かを将来位置情報に基づき確認する(ステップS104)。これは、
図5等の例において、自動運転車両VEが1番の位置から2番の位置へ移行した場合に相当する。さらに、ステップS104において、自動運転車両VEの減速が確認されない場合(ステップS104:No)、主制御部50は、自動運転車両VEが加速を行ったか否かを将来位置情報に基づき確認する(ステップS105)。これは、
図6等の例において、自動運転車両VEが2番の位置から3番の位置へ移行した場合に相当する。
【0063】
ステップS105において、自動運転車両VEの加速が確認されない場合(ステップS105:No)、主制御部50は、ステップS101からの動作に戻る。すなわち、自動運転車両VEから更新された将来位置情報が来るのを待つ。
【0064】
一方、ステップS104において、自動運転車両VEの減速が確認された場合(ステップS104:Yes)、主制御部50は、第1表示板DSαに前方車両停止を表示させるための案内表示通知を行って(ステップS106)、ステップS101からの動作に戻る。
【0065】
また、ステップS105において、自動運転車両VEの加速が確認された場合(ステップS105:Yes)、これは、ステップS106での減速に伴う案内表示通知がなされた後になされるものであり、この場合、主制御部50は、ステップS106における前方車両停止の表示を非表示とすべく、表示削除通知を行う(ステップS107)。
【0066】
ステップS107の後、主制御部50は、自動運転車両VEが横断歩道CWを通過したか否かを確認し(ステップS108)、通過していなければ(ステップS108:No)、ステップS101からの動作に戻る。
【0067】
一方、ステップS108において、自動運転車両VEが横断歩道CWを通過したことが確認されると(ステップS108:Yes)、主制御部50は、当該自動運転車両VEに対する運転支援(情報提供)及びこれに関する報知部70における報知動作を完了したものとして取り扱い、例えば最初の将来位置情報の取得に際して設定登録した車両IDの情報等をクリアするといった初期化処理を行う(ステップS109)。なお、これは、
図6の場合において、自動運転車両VEが横断歩道CWを通過した場合に相当する。
【0068】
その後、主制御部50は、ステップS101からの動作に戻る。この場合、次に受け取った将来位置情報は、車両ID等をクリアした自動運転車両VEとは別の自動運転車両VEについての情報となる。
【0069】
一方、ステップS103において横断者CRが存在すると判定された場合(ステップS103:Yes)、すなわち自動運転車両VEを停止させるべきと判定された場合、主制御部50は、自動運転車両VEが横断歩道CWの手前の仮想停止線VLの位置で停止可能な状態にあるか否かを確認する(ステップS110)。
【0070】
ステップS110において、仮想停止線VLの位置で停止可能であると判定された場合(ステップS110:Yes)、主制御部50は、仮想停止線VLに関する情報を自動運転車両VEに提供(送信)するとともに(ステップS111)、第1表示板DSα及び第2表示板DSβに対して、前方車両停止や、横断可能の表示をさせるべく案内表示通知を行い(ステップS112)、加えて、自動運転車両VEが仮想停止線VLで停止したか否かを、停止確認がなされるまで(ステップS113:Yes)継続する。
【0071】
なお、ステップS112のうち、第2表示板DSβへの指令に対する横断可能の表示動作については、ステップS113における停止が確認されるか、ほぼ停止した状態になるのを待って行うものとしてもよい。
【0072】
ステップS113における停止確認がなされると(ステップS113:Yes)、主制御部50は、横断歩道CW及びその周辺についての移動体MBの状況等から、自動運転車両VEが出発可能な状況にあるか否かの判定(クリアランスの判定)をする(ステップS114)。主制御部50は、ステップS114において、クリアランスありの状況(ステップS114:Yes)となるのを待って、出発可能時間の情報を提供するとともに(ステップS115)、第1表示板DSαへの表示削除通知を行う(ステップS116)。
【0073】
なお、上記のうち、ステップS114の間において、出発可能な状況となるための条件の1つとして、横断者CRが横断歩道CWを渡り終えることが含まれるため、この間において、第2表示板DSβへの表示削除通知がなされることになる。
【0074】
ステップS115における出発可能時間の提供及びステップS116における第1表示板DSαへの表示削除通知の後、念のため、再度、クリアランスについて、すなわち横断歩道CW及びその周辺が、自動運転車両VEが発進及び進行継続が可能な状況にあるか否かを確認する(ステップS117)。
【0075】
ステップS117において、クリアランスありとされると(ステップS117:Yes)、主制御部50は、自動運転車両VEが横断歩道CWを通過したか否かを継続して確認する(ステップS118)。ステップS118において、通過したことが確認されると(ステップS118:Yes)、主制御部50は、当該自動運転車両VEに対する運転支援(情報提供)及びこれに関する報知部70における報知動作を完了したものとして取り扱い、例えば最初の将来位置情報の取得に際して設定登録した車両IDの情報等をクリアするといった初期化処理を行う(ステップS119)。
【0076】
一方、ステップS110において、仮想停止線VLの位置で停止可能でないと判定された場合(ステップS110:No)や、ステップS117において、クリアランスなしと判定された場合(ステップS117:No)、主制御部50は、緊急停止の情報を自動運転車両VEに提供(送信)するとともに(ステップS120)、第1表示板DSαにおいて、対応する案内表示をさせるべく、通知を行う(ステップS121)。
【0077】
なお、上記のうち、前者(ステップS110:No)についての典型的一例としては、
図7を参照して説明した場合のように、自動運転車両VEが仮想停止線VLで停止できない時点で飛出しの検出があった場合等が想定される。また、後者(ステップS117:No)についての典型的一例としては、
図8を参照して説明した場合のように、自動運転車両VEが仮想停止線VLで停止した後、出発可能時間の情報をもらった上で、発進をする際に飛出しの検出があった場合等が想定される。
【0078】
ステップS121の後、主制御部50は、当該緊急停止に伴う各種措置が完了し、かかる事態が解除されたか否かを確認し(ステップS122)、解除が確認されるまで(ステップS122:Yes)、これを継続する。
【0079】
なお、ステップS122での解除が確認されるまでの条件の1つとして、飛び出した横断者CRが横断歩道CWを渡り終えることが含まれるため、この間において、第2表示板DSβへの案内表示通知及びその後の表示削除通知が含まれることになる。
【0080】
ステップS122における確認がなされると(ステップS122:Yes)、主制御部50は、ステップS121における案内表示通知に対する表示削除通知を行い、再度、ステップS117におけるクリアランスの確認動作に戻る。
【0081】
図11は、上述した報知システム100の構成や動作についての概要を示す概念図である。図示のように、また、既述のように、上述した報知システム100では、所定の交通領域TRとしての横断歩道CW(無信号の横断歩道)を通過する予定の自動運転車両VEから、自己の将来位置情報を情報処理部IP(主制御部50)において取得することで、自動運転車両VEの挙動を把握している。一方、情報処理部IPは、無信号領域及び無信号領域の周辺としての横断歩道CW及びその周辺領域の状況を、例えば監視部であるセンサー部10を介して取得する。特に、ここでは、横断歩道CWを渡ろうとする横断者CRの情報を取得している。この上で、自動運転車両VEに対しては、運転支援をすべく横断歩道CW及びその周辺領域の状況に応じた停止指令等を送信するとともに、横断歩道CW及びその周辺領域に存在する者等に対して、自動運転車両VEの挙動に対応した報知を、報知部70により行っている。特に、本実施形態では、歩行者PE(横断者CR)のみならず、自動運転車両VEの後方車両GMに対する報知を行っている。これにより、交通の安全性を高めるとともに、より円滑な交通を実現できる。
【0082】
以上のように、本実施形態に係る報知システム100は、所定の交通領域TRを通過する予定の自動運転車両VEと通信して、自動運転車両VEの挙動を把握する情報処理部IPと、情報処理部IPで取得した自動運転車両VEの挙動に対応した情報を報知する報知部70とを備える。上記報知システム100では、所定の交通領域TRを通過する予定の自動運転車両VEの挙動をシステム側で把握するともに、例えば交通領域TRやその周辺(無信号の横断歩道CW及びその周辺)に対して当該挙動に対応した報知を行うことで、自動運転車両VE以外の車両や歩行者等に対して、通行の可否や注意喚起等の報知が可能になり、交通の安全性を高めることができる。
【0083】
〔その他〕
この発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【0084】
まず、上記では、
図9等を参照して、車両向け報知部VN(第1表示板DS)における表示態様についていくつか例示したが、表示態様については、例示したものに限らず、種々多様な態様が想定され、また、歩行者向け報知部PN(第2表示板DSβ)についても、種々の態様とすることができる。例えば
図12(A)に示すように、横断可能な旨の表示以外に、横断注意を示す表示を行う態様も考えられる。上記では、通信の結果得られる将来位置情報に基づくことで、対象となる自動運転車両VEの挙動が把握できるが、例えばインフラ側との通信を行わない一般車両においては、かかる挙動把握が行えない。このような場合には、例えば監視部としてのセンサー部10における監視の結果としての当該一般車両の検知に応じて、
図12(A)に示すような表示を行う態様とすることが考えられる。
【0085】
また、上記では、自動運転車両VEのように横断歩道CWに接近する車両等が存在しない場合等においては、第2表示板DSβを非表示としているが、かかる場合にも、例えば
図12(B)に示すような表示を行うものとしてもよい。
【0086】
また、上記では、報知部70についての報知手法として、表示によるものすなわち視覚によるものを一例として説明したが、これに限らず、例えば、
図13に示すように、歩行者向け報知部PNとして、スピーカーSKを採用し、音声(聴覚)による報知(通知)を行うものとしてもよい。さらに、予め専用アプリをインストールしたスマートフォン(スマホ)等の携帯端末TIを歩行者PE等が所持し、これに対して、報知システム100が通知等を行うものとしてもよい。すなわち、携帯端末TIを報知部70として利用するものとしてもよい。この場合、表示や音声に加え、例えば振動等を利用した報知が可能である。
【0087】
さらに、携帯端末TIについては、例えば、自動運転車両VEの後方車両GMに搭載されたカーナビゲーションシステムや、後方車両GMの搭乗者が所持するスマホ等が、上記携帯端末TIの場合と同様にして、車両向け報知部VNとして機能するものとしてもよい。
【0088】
さらに、後方車両GMも報知システム100との通信が可能な自動運転車両である場合には、報知システム100との通信により前方車両としての自動運転車両VEの挙動を直接通信するものとしてもよい。
【0089】
また、上記では、所定の交通領域TRとしての無信号の横断歩道CWを例示しており、特に
図1の一例では、一直線上の道路に設けた横断歩道CWについて示しているが、これに限らず、例えば
図1に対応する図である
図14に例示するように、無信号の交差点CSを含むような範囲において、報知システム100を適用してもよい。
【0090】
また、報知部70を構成する車両向け報知部VNや、歩行者向け報知部PNについても、1つあるいは一対構成とするものに限らず、さらに多くの位置にこれらを配置するものとしてもよい。
【0091】
また、上記では、無信号の箇所に設置するものとしているが、信号機がある箇所において、報知システム100を適用することも考えられる。また、逆に、無信号であって、横断歩道もない箇所(例えば横断禁止となっているが、実際には横断してしまう歩行者が存在する箇所等)において、報知システム100を適用することも考えられる。
【0092】
また、上記では、1台の自動運転車両VEに対する報知システム100の対応について説明したが、報知システム100は、複数の自動運転車両VEが対象範囲内に複数存在する場合に、これらを並行して取り扱うものとすることも可能である。
【0093】
また、上記では、歩行者向け報知部PNとしているが、歩行者向け報知部PNについては、例えば自転車向けの報知部としても適用可能である。すなわち、歩行者向け報知部PNには、自転車用の報知部も含まれるものと捉えることができる。
【0094】
また、上記では、報知システム100を構成する報知制御装置NC(運転支援装置SS)等を、現場付近すなわち横断歩道CWの付近に設置するものとしているが、これに限らず、例えば各種情報処理やデータ管理を担う箇所等については、遠隔した場所に管理センター(管理サーバ)等として設けたり、あるいは、クラウド上において、各種処理やデータ保管を行ったりすることも考えられる。例えば報知制御装置NCに保管するものとしている仮想停止線VLの位置データ(位置情報)等を、遠隔地にある管理センター(管理サーバ)やクラウド上において保管等をする態様とすることができる。
【0095】
また、上記一例では、センサー部10は、カメラ部11と、測距部12とで構成されるものとしているが、センサー部10の構成については、これに限らず、例えばカメラ部11と、測距部12とのうち、どちらか1つでセンサー部10が構成されているものとしてもよい。
【符号の説明】
【0096】
10…センサー部、11…カメラ部、12…測距部、30…通信部、50…主制御部、52a…停止表示判定部、52b…算出部、70…報知部、100…報知システム、AO…自動運転プログラム、C1…曲線、CR,CR1,CR2…横断者、CS…交差点、CW…横断歩道、DCs…表示内容設定部、DD…検出領域、DSα…第1表示板、DSβ…第2表示板、FG…将来位置情報生成部、G1…グラフ、GM…後方車両、IP…情報処理部、JDp…横断者判定部、JU…判定ユニット、MB…移動体、NC…報知制御装置、PE…歩行者、PN…歩行者向け報知部、SEi…センサーインターフェース(情報取得部)、SK…スピーカー、SS…運転支援装置、TI…携帯端末、TR…交通領域、VE…自動運転車両、VL…仮想停止線、VN…車両向け報知部、α1,β1…表示内容、γ1…判定内容