(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023050634
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】錠装置
(51)【国際特許分類】
E05B 9/08 20060101AFI20230404BHJP
E05B 65/08 20060101ALI20230404BHJP
E05C 3/04 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
E05B9/08 H
E05B65/08 P
E05C3/04 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021160830
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 智利
(57)【要約】
【課題】取り付け作業性が向上する錠装置を提供する。
【解決手段】係合部を有し軸を中心として回転するハンドルと、ハンドルに対して軸が延びる軸方向の一方側に位置しハンドルを回転可能に支持する支持部とを有し、取付ねじを用いて支持部よりも軸方向の一方側に位置する框に取り付けられる錠本体と、軸方向で錠本体と框との間に配置されたときに、係合部と框との軸方向の寸法を調整するプレートと、を備え、プレートは、軸方向に貫通し取付ねじが挿通される挿通孔と、プレートの外側と挿通孔とを繋ぐ切欠部と、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
係合部を有し軸を中心として回転するハンドルと、前記ハンドルに対して前記軸が延びる軸方向の一方側に位置し前記ハンドルを回転可能に支持する支持部とを有し、取付ねじを用いて前記支持部よりも前記軸方向の一方側に位置する框に取り付けられる錠本体と、
前記軸方向で前記錠本体と前記框との間に配置されたときに、前記係合部と前記框との前記軸方向の寸法を調整するプレートと、
を備え、
前記プレートは、
前記軸方向に貫通し前記取付ねじが挿通される挿通孔と、
前記プレートの外側と前記挿通孔とを繋ぐ切欠部と、
を有する、錠装置。
【請求項2】
前記挿通孔は、前記軸方向と直交する第1方向に間隔をあけて複数配置され、
前記切欠部は、複数の前記挿通孔に対してそれぞれ前記第1方向に直交する第2方向の一方側に配置されている、
請求項1に記載の錠装置。
【請求項3】
前記プレートは、複数枚が積層して配置され、
前記切欠部は、前記軸方向で互いに重なる位置に形成されている、
請求項1または2に記載の錠装置。
【請求項4】
前記支持部を有する上台座と、
前記上台座の前記軸方向の一方側に位置する下台座と、
を有し、
前記プレートは、前記軸方向について前記上台座と前記下台座との間に配置される、
請求項1から3のいずれか一項に記載の錠装置。
【請求項5】
前記下台座は、
前記軸方向と直交して配置された底壁と、
前記底壁の側縁から前記軸方向の他方側に延びる側壁と、
を有し、
前記側壁は、前記上台座及び前記プレートを外側から囲っている、
請求項4に記載の錠装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、錠装置に関する。
【背景技術】
【0002】
係合部を有するハンドルを回動して開閉操作を行うクレセント錠及びグレモン錠等の錠装置がある。特許文献1には、錠装置としてクレセント錠が開示されている。錠装置は、取付ねじを用いて台座部を介して框に取り付けられている。
【0003】
既存の錠装置を交換する際に、交換可能で他種の錠装置を用いる場合、障子への取付面から係合部までの寸法を調整する必要がある。従来では、厚さの異なる複数枚の調整用プレートを準備し、調整寸法に応じて組み合わせたプレートを錠装置の台座部と框との間に配置し、取付ねじを用いて框に取り付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
設定した調整高に応じた調整用プレートを配置した後に取付ねじを締結して錠装置を框に取り付けると、係合部の位置が合わない場合がある。この場合には、一旦取付ねじを外した後に調整用プレートを入れ替える必要があり、錠装置の取り付けに要する作業時間が増え煩雑である。
【0006】
本開示は、以上のような点を考慮してなされたもので、取り付け作業性が向上する錠装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様に従えば、係合部を有し軸を中心として回転するハンドルと、前記ハンドルに対して前記軸が延びる軸方向の一方側に位置し前記ハンドルを回転可能に支持する支持部とを有し、取付ねじを用いて前記支持部よりも前記軸方向の一方側に位置する框に取り付けられる錠本体と、前記軸方向で前記錠本体と前記框との間に配置されたときに、前記係合部と前記框との前記軸方向の寸法を調整するプレートと、を備え、前記プレートは、前記軸方向に貫通し前記取付ねじが挿通される挿通孔と、前記プレートの外側と前記挿通孔とを繋ぐ切欠部と、を有する、錠装置である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の第1実施形態に係る錠装置が召し合わせ框に取り付けられた正面図である。
【
図3】錠装置を構成するプレートを上側から見た図である。
【
図5】本開示の第2実施形態に係る錠装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の錠装置の実施の形態を、
図1から
図5を参照して説明する。以下の実施形態は、本開示の一態様を示すものであり、この開示を限定するものではなく、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせている。
【0010】
[第1実施形態]
図1に示すように、錠装置1は、サッシにおける内障子の召し合わせ框2に取り付けられる。錠装置1は、二つの取付ねじ3を用い召し合わせ框2に対してねじ止めしたときに固定される。錠装置1は、クレセント錠である。召し合わせ框2は框に対応する。
【0011】
錠装置1は、錠本体10とプレート70とを有する。錠本体10は、ハンドル11と係合部12と軸13と支持部5とを有する。ハンドル11は、軸13を中心とし支持部5に対して回転する。軸13は、中心軸Jの軸方向に延びる。ハンドル11は、軸方向と直交する方向に延びる。係合部12は、ハンドル11に設けられている。係合部12は、軸方向に見て三日月状である。係合部12は、サッシにおける外障子のフックに係合したときに、内障子と外障子とを連結する。係合部12は、フックに係合したときに、サッシを閉じた状態に保持する。
【0012】
以下の図において適宜示すZ軸方向は、正の側を「上側」とし、負の側を「下側」とする上下方向である。各図に適宜示す中心軸Jは、Z軸方向と平行であり、上下方向に延びる仮想線である。以下の説明においては、中心軸Jの軸方向である上下方向と平行な方向を単に「軸方向」と呼ぶ。中心軸Jと直交する方向であり、支持部5の長辺と平行な方向を単に「X方向」と呼ぶ。中心軸Jと直交する方向であり、支持部5の短辺と平行な方向を単に「Y方向」と呼ぶ。「X方向」は、第1方向に対応する。「Y方向」は、第2方向に対応する。
【0013】
上記の上下方向、上側、および下側とは、単に各部の配置関係等を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0014】
支持部5は、ハンドル11に対して下側に位置する。支持部5は、軸13を介してハンドル11を回転可能に支持する。支持部5は、軸方向と直交して配置された板状である。
図2に示すように、支持部5は、軸方向に見て矩形状である。支持部5は、下面5aから窪んだ窪み66を有する。窪み66は、支持部5における四隅に配置されている。
【0015】
支持部5は、図示しない支持片を有する。支持片は、取付ねじ3を中心軸Jと直交する召し合わせ框2に沿った方向に移動可能に支持する。支持片が支持する取付ねじ3を召し合わせ框2に沿った方向に移動させたときに、取付ねじ3の位置を召し合わせ框2に形成されたねじ穴の位置に合わせることができる。取付ねじ3をねじ穴に締結したときに、錠装置1は、召し合わせ框2に固定される。
【0016】
プレート70は、軸方向で錠本体10と召し合わせ框2との間に配置されたときに、係合部12と召し合わせ框2との軸方向の寸法を調整する。係合部12における上側の端部12aの位置から召し合わせ框2までの軸方向の最大寸法をHとする。係合部12における上側の端部12aの位置から支持部5における下面5aまでの軸方向の最大寸法をH1とする。プレート70は、複数枚準備されている。複数枚のプレート70は、軸方向の寸法である厚さが互いに異なる。複数枚のプレート70のうち、最大寸法Hと最大寸法H1の差となる一枚以上のプレート70が選択されて錠本体10と召し合わせ框2との間に配置される。
図1においては、錠本体10と召し合わせ框2との間に一枚のプレート70が配置されている。
【0017】
図3に示すように、プレート70の外形輪郭形状は、支持部5の外形輪郭形状と同一である。プレート70は、挿通孔71と切欠部72と突起91と窪み92とを有する。挿通孔71は、プレート70を軸方向に貫通する。挿通孔71は、上側から見て矩形状である。挿通孔71は、X方向に間隔をあけて二つ配置されている。挿通孔71のそれぞれには、取付ねじ3が軸方向に挿通される。挿通孔71は、それぞれ取付ねじ3が召し合わせ框2に沿った方向に移動可能な範囲に形成されている。
【0018】
切欠部72は、プレート70の外側と挿通孔71とを繋ぐ。切欠部72は、プレート70におけるY方向の外側と挿通孔71とを繋ぐ。切欠部72は、挿通孔71におけるY方向の一方側である+Y側に配置されている。切欠部72は、挿通孔71における+Y側の側縁からY方向に延び、プレート70における+Y側の端縁に開口する。切欠部72は、二つの挿通孔71に対してそれぞれ+Y側に配置されている。切欠部72におけるX方向の寸法は、挿通孔71を挿通する取付ねじ3の最大直径よりも長い。取付ねじ3は、プレート70が-Y側に相対移動した際に、切欠部72を通過可能である。
【0019】
切欠部72におけるX方向の寸法は、Y方向に沿って一定でもよいが、漸次変化してもよい。例えば、切欠部72におけるY方向の中途の位置が最短となり、中途の位置から+Y側の外側に向かう方向及び中途の位置から-Y側の挿通孔71に向かう方向に漸次広くなる構成であってもよい。
【0020】
突起91は、プレート70の上面70aから上側に突出する。突起91は、軸方向で支持部5における窪み66と対向する位置に四つ配置されている。突起91が窪み66に挿入されたときに、プレート70はXY平面内において支持部5に位置決めされる。
【0021】
窪み92は、プレート70の下面70bから上側に窪む。窪み92は、突起91と同軸で四つ配置される。窪み92は、別のプレート70の突起91が挿入されたときに、プレート70同士がXY平面内において互いに位置決めされる。
【0022】
錠装置1において、最大寸法Hと最大寸法H1の差に応じて選択された一枚のプレート70を支持部5に位置決めし、錠本体10と召し合わせ框2との間に配置した後に、取付ねじ3を召し合わせ框2の雌ねじに締結して錠装置1を召し合わせ框2に固定する。
【0023】
召し合わせ框2に固定した錠装置1において、係合部12の位置がフックに合わない場合には、取付ねじ3を緩める。取付ねじ3を緩める量は、プレート70における突起91が支持部5における窪み66から抜けて、プレート70が錠本体10に対して-Y側に相対移動可能となる量であればよい。
【0024】
取付ねじ3を緩めると、
図4に示すように、プレート70を錠本体10に対して-Y側に相対移動させる。プレート70を-Y側に相対移動させる際には、切欠部72におけるX方向の位置を取付ねじ3に合わせる。切欠部72におけるX方向の位置を取付ねじ3に合わせたプレート70を-Y側に相対移動させたときに、取付ねじ3は切欠部72を通過してプレート70よりも+Y側に位置し、プレート70を錠本体10に対して引き抜くことができる。
【0025】
一度、錠本体10と召し合わせ框2との間に配置したプレート70を引き抜くと、係合部12の位置とフックの位置とが合わなかった寸法に応じて再選択したプレート70を錠本体10と召し合わせ框2との隙間に-Y側から挿入して+Y側に相対移動させる。再選択したプレート70を+Y側に相対移動させる際には、切欠部72におけるX方向の位置を取付ねじ3に合わせる。切欠部72におけるX方向の位置を取付ねじ3に合わせたプレート70を+Y側に相対移動させたときに、取付ねじ3は切欠部72を通過して挿通孔71に位置する。取付ねじ3が挿通孔71に位置した後に、再選択したプレート70を支持部5に位置決めするとともに、取付ねじ3を召し合わせ框2の雌ねじに締結して錠装置1を召し合わせ框2に固定する。錠装置1において、再選択したプレート70への交換が完了する。
【0026】
切欠部72におけるY方向の中途の位置が最短となり、中途の位置から+Y側の外側に向かう方向及び中途の位置から-Y側の挿通孔71に向かう方向に漸次広くなる構成を採った場合には、交換前のプレート70を錠本体10に対して引き抜く際、及び交換後のプレート70を挿入した際に、切欠部72に取付ねじ3を導入するときに切欠部72の開口が広くなっているため導入作業が容易になる。
【0027】
本実施形態の錠装置1によれば、プレート70に挿通孔71とプレート70の外側とを繋ぐ切欠部72が設けられているため、取付ねじ3を外すことなくプレート70を交換することができる。錠装置1を用いたときには、錠装置1の取り付けに要する作業時間を短くなり、取り付け作業性が向上する。
【0028】
錠装置1を用いたときには、切欠部72が複数の挿通孔71に対してそれぞれ+Y側に配置されているため、プレート70を-Y側に相対移動させたときに、二つの取付ねじ3の両方を一度に通過させることができる。
【0029】
切欠部72は、複数枚のプレート70においてXY平面内で同一位置に形成されている。複数枚のプレート70を積層して配置した場合、切欠部72は、軸方向に重なる位置に配置される。錠装置1を用いたときには、切欠部72が軸方向に重なる位置に配置されるため、取付ねじ3が積層したプレート70の切欠部72を同時に通過することができる。
【0030】
[第2実施形態]
図5は、本開示の錠装置1の第2実施形態を示す断面図である。この図において、
図1から
図4に示す第1実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略することがある。
【0031】
第2実施形態における錠装置1は、
図5に示すように、錠本体10と上台座30と下台座50とプレート70A、70Bとを有する。
【0032】
上台座30は、上側に支持部5を有する。上台座30は、支持部5を介してハンドル11を回転可能に支持する。上台座30における下面28は、プレート70Bと接する。係合部12における上側の端部12aの位置から上台座30における下面28までの軸方向の最大寸法をH2とする。
【0033】
下台座50は、上台座30の下側に位置する。下台座50は、底壁51と側壁52とを有する。底壁51は、軸方向と直交して配置された板状である。底壁51は、上側に向く上面67を有する。上面67は、プレート70Aと接する。底壁51の軸方向の寸法をH3とする。側壁52は、底壁51の側縁から上側に延びる。側壁52は、底壁51における側縁に全周に亘って設けられている。下台座50における側壁52は、上台座30及びプレート70A、70Bを全周に亘って外側から囲っている。
【0034】
プレート70Aとプレート70Bとは、軸方向に積層されている。プレート70Aとプレート70Bの軸方向の合計寸法をH4とする。合計寸法H4は、最大寸法H2及び寸法H3の合計寸法と、最大寸法Hとの差分である。プレート70Aとプレート70Bのそれそれぞれの軸方向の寸法は、組み合わせたときに合計寸法H4となる寸法である。
【0035】
プレート70Aは、挿通孔71Aと切欠部72Aとを有する。挿通孔71Aは、プレート70Aを軸方向に貫通する。挿通孔71Aは、上側から見て矩形状である。挿通孔71Aは、X方向に間隔をあけて二つ配置されている。挿通孔71Aのそれぞれには、取付ねじ3が軸方向に挿通される。挿通孔71Aは、それぞれ取付ねじ3が召し合わせ框2に沿った方向に移動可能な範囲に形成されている。
【0036】
切欠部72Aは、プレート70AにおけるY方向の外側と挿通孔71Aとを繋ぐ。切欠部72Aは、挿通孔71AにおけるY方向の一方側である+Y側に配置されている。切欠部72Aは、挿通孔71Aにおける+Y側の側縁からY方向に延び、プレート70Aにおける+Y側の端縁に開口する。切欠部72AにおけるX方向の寸法は、挿通孔71Aを挿通する取付ねじ3の最大直径よりも長い。取付ねじ3は、プレート70Aが-Y側に相対移動した際に、切欠部72Aを通過可能である。
【0037】
挿通孔71Bは、プレート70Bを軸方向に貫通する。挿通孔71Bは、上側から見て矩形状である。挿通孔71Bは、X方向に間隔をあけて二つ配置されている。挿通孔71Bのそれぞれには、取付ねじ3が軸方向に挿通される。挿通孔71Bは、それぞれ取付ねじ3が召し合わせ框2に沿った方向に移動可能な範囲に形成されている。
【0038】
切欠部72Bは、プレート70BにおけるY方向の外側と挿通孔71Bとを繋ぐ。切欠部72Bは、挿通孔71BにおけるY方向の一方側である+Y側に配置されている。切欠部72Bは、挿通孔71Bにおける+Y側の側縁からY方向に延び、プレート70Bにおける+Y側の端縁に開口する。切欠部72BにおけるX方向の寸法は、挿通孔71Bを挿通する取付ねじ3の最大直径よりも長い。取付ねじ3は、プレート70Bが-Y側に相対移動した際に、切欠部72Bを通過可能である。
【0039】
第2実施形態の錠装置1においてプレート70A及びプレート70Bの少なくとも一方を交換する際には、取付ねじ3を緩めて上台座30と下台座50との間に、-Y側に臨む軸方向の隙間を形成する。取付ねじ3を緩める量は、錠本体10に対してプレート70A及びプレート70Bを一括して引き抜く場合と、プレート70A及びプレート70Bを一枚ずつ引き抜く場合とでは異なる。錠本体10に対してプレート70A及びプレート70Bを一括して引き抜く場合における取付ねじ3を緩める量は、-Y側に臨む軸方向の隙間が合計寸法H4よりも大きい量である。プレート70A及びプレート70Bを一枚ずつ引き抜く場合における取付ねじ3を緩める量は、プレート70A及びプレート70Bのうち、軸方向の寸法が大きいプレートの寸法よりも大きい量である。
【0040】
プレート70A及びプレート70Bを一括して引き抜く場合は、プレート70A及びプレート70Bを引き抜く際の作業時間を短くできる。プレート70A及びプレート70Bを一枚ずつ引き抜く場合は、取付ねじ3を緩めて-Y側に臨む軸方向の隙間を形成する際の作業時間を短くできる。
【0041】
プレート70A及びプレート70Bの引き抜きは、プレート70A及びプレート70Bの少なくとも一方を-Y側に相対移動させる。プレート70A及びプレート70Bの少なくとも一方が相対移動したときに、取付ねじ3が切欠部72A及び切欠部72Bの少なくとも一方を通過する。交換後のプレートについては、上台座30と下台座50との間の隙間に-Y側から挿入し+Y側に相対移動させる。プレートを+Y側に相対移動させたときに、取付ねじ3は切欠部を通過して挿通孔に位置する。取付ねじ3が交換後のプレートにおける挿通孔に位置した後に、取付ねじ3を召し合わせ框2の雌ねじに締結して錠装置1を召し合わせ框2に固定する。錠装置1において、交換後のプレートの取り付けが完了する。
【0042】
本実施形態の錠装置1によれば、第1実施形態の錠装置1と同様の作用・効果が得られる。錠装置1を用いたときには、下台座50の側壁52が上台座30及びプレート70A、70Bを全周に亘って外側から囲ったときに、プレート70A、70Bの断面等、非連続な表面が見えなくなるので意匠性の向上に寄与できる。
【0043】
以上、添付図面を参照しながら本開示に係る好適な実施形態について説明したが、本開示は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本開示の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0044】
例えば、第1実施形態においては、プレート70に突起91を設ける構成を例示したが、突起91を設けない構成であってもよい。突起91を設けない場合には、取付ねじ3を緩める量が少なくなり、錠装置1の取り付けに要する作業時間を一層短くできる。
【0045】
錠装置1としてクレセント錠の実施形態を例示したが、本開示はクレセント錠に限定されない。錠装置1としてグレモン錠等、他の錠に適用可能である。
【符号の説明】
【0046】
1…錠装置、2…框、3…取付ねじ、5…支持部、10…錠本体、11…ハンドル、12…係合部、13…軸、70、70A、70B…プレート、71、71A、71B…挿通孔、72、72A、72B…切欠部