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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023050639
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】測定用カテーテル及び測定システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0538 20210101AFI20230404BHJP
【FI】
A61B5/0538
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021160841
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】598093897
【氏名又は名称】スターメディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】河田 諭
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA06
4C127BB05
4C127LL08
(57)【要約】
【課題】被検体に対して低侵襲であるとともに、被検体の消化管の動きを示す各種情報を取得することで治療に役立つ検査結果を確実に得ることができる測定用カテーテル及び測定システムを提供する。
【解決手段】被検体の消化管の動きを示す情報を取得する、消化管の長手方向に沿って配置される複数のセンサ16,17,18と、センサ16,17,18を保持するとともに、センサ16,17,18が取得した消化管の動きを示す情報を送信する信号線を内包するチューブTと、を備え、消化管の動きを示す情報は、pH、インピーダンス、及び、圧力に関する情報であり、センサ16,17,18の一部は、圧力に関する情報を取得する圧力センサ18である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の消化管の動きを示す情報を取得する、前記消化管の長手方向に沿って配置される複数のセンサと、
前記センサを保持するとともに、前記センサが取得した前記消化管の動きを示す情報を送信する信号線を内包するチューブと、を備え、
前記消化管の動きを示す情報は、pH、インピーダンス、及び、圧力に関する情報であり、
前記センサの一部は、前記圧力に関する情報を取得する圧力センサであることを特徴とする測定用カテーテル。
【請求項2】
前記センサのうち、前記pHを測定するpHセンサ及び前記インピーダンスを測定するインピーダンスセンサは、リング状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の測定用カテーテル。
【請求項3】
前記pHセンサ及び前記インピーダンスセンサの外径は、前記pHセンサ及び前記インピーダンスセンサが前記チューブに保持された場合に、前記チューブの外周面との間で段差が生じないように、前記チューブの外径と同じ外径を備えていることを特徴とする請求項2に記載の測定用カテーテル。
【請求項4】
前記センサは、前記チューブに挿入される挿入部と、前記チューブの内周面に食い込んで前記チューブに前記センサを保持させる突起部とを備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の測定用カテーテル。
【請求項5】
前記測定用カテーテルは、前記被検体に挿入される際に最初に挿入される先端部の近傍に基準電極を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の測定用カテーテル。
【請求項6】
前記基準電極は、ゲル状部材が充填される前記チューブの内部に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の測定用カテーテル。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の測定用カテーテルと、
前記測定用カテーテルから送信される、前記センサにより取得された消化管の動きを示す情報を受信し記憶する測定装置と、
を備えることを特徴とする測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、測定用カテーテル及び測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、胸やけや呑酸といった症状が知られている。これは、胃液や胃酸(以下、「胃酸等」と表す)が食道内を上がってくることで生じる症状であると言われている。このような症状が進展すると、例えば逆流性食道炎といった病気を発症することになりかねない。
【0003】
そこでこのような症状を改善するための治療を行うに当たって行われる検査方法として、食道から胃、さらには下部消化管までのpH値を測定する方法がある。当該検査においては、pH値を測定することができるセンサが取り付けられたカテーテルを鼻から挿入して、多くの場合、例えば、24時間測定を行う。
【0004】
また、自律神経系の潜在的な影響を受ける消化管運動障害の鑑別診断を行うとして、以下の特許文献に示すように、当該検査と併せて、心電図を確立するのに適した測定プローブシステムを備え、心拍を測定するものもある、
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2019-527123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1における診断システムにおいて用いられるカテーテルにおいては、例えば、pH値を測定する電極が設けられているが、この電極はカテーテルの表面の1点にのみ設けられているものである。
【0007】
pH値は、胃酸等の動きを知る上で非常に大きなパラメータとなるが、電極がカテーテルの表面の1点にしか設けられていないと、胃酸等の動きを正確に把握することができない可能性がある。
【0008】
すなわち、そもそも食道から胃にかけての消化管は、必ずしも咽頭部から垂直に配置されているものではなく、所々曲がったりしている。また、食道を逆流してくる胃酸等は、食道の全域を満たした状態で上がってくるものではなく、食道の形状に応じて、例えば、食道の片側のみを移動することも考えられる。
【0009】
上述したpH値を測定する電極は、逆流する胃酸等に触れることによって計測可能となるものであるが、電極が表面の1点にのみ設けられているカテーテルを使用すると、当該電極が胃酸等が動く経路上にないために、胃酸等に接触しない場合も考えられる。
【0010】
或いは、被検体にカテーテルが挿入された場合、食道等の中でカテーテルが上下に移動することがあるが、カテーテルの移動に伴って当然電極も移動する。この場合に電極が1点にしか設けられていないと測定場所も適宜移動してしまうことになる。
【0011】
また、当該電極は、その設けられている位置がカテーテルの表面ということからしてもあまり大きなものではない。従って、食道を逆流してくる胃酸等を計測している間に徐々に酸化することになる。このようなカテーテルを用いて上述したような検査が24時間行われることになるが、電極の酸化が進んでしまうと計測自体が不可能となってしまい、長時間検査を行った割には必要な検査結果を得ることができない、ということになりかねない。
【0012】
さらには、胃酸等が食道を逆流する原因については、例えば、胃内圧の上昇といったいくつかの原因が考えられるが、食道から胃にかけての圧力を測定することで各部が正常に機能しているか否かを確認することができる。
【0013】
また胃酸等が食道を逆流したとしても、その胃酸等が、例えば食道の蠕動運動により改めて胃に押し戻されるのであればより症状は軽くなる。さらに、上述したような、24時間行われる検査の際に、併せて、食べ物等を飲み込んだ際に行われる蠕動運動による食道内をきれいにする働き(クリアランス)についても把握することができれば、治療の方法を選択する際の選択肢も変わってくる。そのためには、食道における蠕動運動が正常に機能しているかどうかを測定する必要がある。
【0014】
本発明は、被検体に対して低侵襲であるとともに、被検体の消化管の動きを示す各種情報を取得することで治療に役立つ検査結果を確実に得ることができる測定用カテーテル及び測定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一態様に係る測定用カテーテルは、被検体の消化管の動きを示す情報を取得する、消化管の長手方向に沿って配置される複数のセンサと、センサを保持するとともに、センサが取得した消化管の動きを示す情報を送信する信号線を内包するチューブと、を備え、消化管の動きを示す情報は、pH、インピーダンス、及び、圧力に関する情報であり、センサの一部は、圧力に関する情報を取得する圧力センサであることを特徴とする。
【0016】
また本発明の一態様に係る測定システムは、被検体の消化管の動きを示す情報を取得する、消化管の長手方向に沿って配置される複数のセンサと、センサを保持するとともに、センサが取得した消化管の動きを示す情報を送信する信号線を内包するチューブと、を備え、消化管の動きを示す情報は、pH、インピーダンス、及び、圧力に関する情報であり、センサの一部は、圧力に関する情報を取得する圧力センサであることを特徴とする測定用カテーテルと、測定用カテーテルから送信される、センサにより取得された消化管の動きを示す情報を受信し記憶する測定装置と、を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、本発明の一態様に係る測定用カテーテルは、被検体の消化管の動きを示す情報を取得する、消化管の長手方向に沿って配置される複数のセンサと、センサを保持するとともに、センサが取得した消化管の動きを示す情報を送信する信号線を内包するチューブと、を備え、消化管の動きを示す情報は、pH、インピーダンス、及び、圧力に関する情報であり、センサの一部は、圧力に関する情報を取得する圧力センサであることを特徴とする。このような構成を採用することによって、被検体に対して低侵襲であるとともに、被検体の消化管の動きを示す各種情報を取得することで治療に役立つ検査結果を確実に得ることができる測定用カテーテル及び測定システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態における測定システムの全体構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態における測定用カテーテルの全体図である。
図3】本発明の実施の形態における測定用カテーテルの構造を部分に分けて説明する部分拡大図である。
図4】本発明の実施の形態における測定用カテーテルを食道、胃に挿入した場合を示す説明図である。
図5】本発明の実施の形態におけるセンサとチューブとの接続部の一例を拡大して示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔全体構成〕
まず、本発明の実施の形態における測定システムの全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態における測定システムSの全体構成を示すブロック図である。また、図2は、本発明の実施の形態における測定用カテーテル1の全体図である。
【0020】
図1に示すように、本発明の実施の形態における測定システムSは、測定用カテーテル1と測定装置2とから構成される。測定システムSは、検査対象者(以下、適宜「被検体」と表す)に胃酸等の逆流が生じているか否かといった症状を確認するために行われる検査にて使用されるものである。
【0021】
検査が実施される場合、被検体には、測定用カテーテル1の一端部である先端部11を先頭に、鼻から食道、胃にかけて体内に測定用カテーテル1が挿入される。そして挿入された測定用カテーテル1は体内の所定の位置に留め置かれる。
【0022】
また、当該測定用カテーテル1の他端は測定装置2に接続されている。測定装置2は、測定用カテーテル1が測定した被検体の消化管の動きを示す情報を記録等するための装置である。上述した検査は24時間行われる。従って、被検体が飲食を行った場合にも測定用カテーテル1が外されることはなく、体内に挿入したままである。また、就寝中も同様である。
【0023】
そのため、被検体は検査中、例えば、測定装置2を首からぶら下げる等、測定装置2を常に身に付けることになる。測定用カテーテル1にて測定される消化管の動きを示す情報は、測定用カテーテル1の他端を介して測定装置2に送信される。なお、測定用カテーテル1から測定装置2に対してどのようなタイミングで消化管の動きを示す情報が送信されるかについては、任意に設定することができる。
【0024】
本発明の実施の形態における測定装置2は、測定部21と、出力部22と、入力部23と、記憶部24と、制御部25とを備える。また、これら各部はバスBを介して互いに接続されている。
【0025】
図2に示されているように、測定用カテーテル1の他端部には、測定装置2との接続を行うためのコネクタ12が設けられている。コネクタ12を介して測定用カテーテル1と測定装置2とが電気的に接続されており、測定用カテーテル1で測定された上記情報(信号)が測定部21に送信される。測定部21は、測定用カテーテル1からの信号を受信して、被検体の消化管の動きを示す情報を取得する。
【0026】
なお、コネクタ12の内部構成については図2において示されていないが、コネクタ12は単に測定用カテーテル1と測定装置2との接続を行うだけではなく、例えば、その内部にハーフブリッジ回路や温度補正抵抗等の機器が設けられていても良い。これらの機器が設けられていることによって、後述する測定用カテーテル1に設けられる各センサの補正を行うことが可能となる。
【0027】
また、コネクタ12の形状については、図2に示すものに限られずどのような形状であっても構わない。但し、測定用カテーテル1は被検体ごとに取り替えて使用されるものであることから、測定用カテーテル1は測定装置2との間で着脱可能に構成されている必要がある。
【0028】
ここで、「消化管の動きを示す情報」とは、例えば、pH、インピーダンス及び圧力に関する情報である。また、測定の対象となる消化管は、胃及び食道である。但し、これら2つに限定されることなく、例えば、胃よりも下部にある、例えば、十二指腸についても測定の対象とすることができる。
【0029】
ここでpHは、基準電極との差において胃酸等が胃から食道内に逆流してきたか否かを示す指標となる。インピーダンスについては、胃酸等がセンサに接触すると、抵抗値が低下する。一方、ゲップ等の空気がセンサに触れると、逆に抵抗値が上昇することもあり得る。従って、抵抗値を測定することによって、pHと同様、胃酸等が胃から食道に逆流してきているか否かを確認することができる。また、複数のインピーダンスセンサにおける電位差から食塊等の移動を把握するためにも用いることが可能である。
【0030】
一方圧力については、例えば、胃については、食道と接する噴門領域における圧力を測定することで当該領域の弛緩、或いは、収縮の具合を把握することができる。また、胃内部に挿入された圧力センサからは胃内部の圧力を把握することができる。
【0031】
さらに、食道内の圧力を測定することによって、食道内の蠕動運動が適切に行われているか否かを確認することができる。すなわち、蠕動運動が機能していれば、たとえ胃酸等が胃から食道に逆流してもすぐに胃に戻されることになり、食道に炎症が起きる可能性が低い。一方、蠕動運動が機能していない場合、胃酸等が逆流しても食道から胃に戻されることなく食道内に留まり、炎症が生ずる可能性を招来しかねない。そのために、食道内の圧力を測定する。
【0032】
測定システムSがこれら各測定結果を提供することによって、例えば食道内に胃酸等が逆流しているか否か、胃酸等の逆流が生じるのは、噴門部の弛緩によるものか、或いは、胃内部の圧力が高まっているからなのか、等、医療従事者に対して必要な情報を提供し、その診断の際の支援を行うことができる。
【0033】
出力部22は、測定部21が取得した消化管の動きを示す情報を外部装置に出力する。これは消化管の動きを示す情報を医師や検査技師といった、医療従事者に対して提示するためである。
【0034】
図1においては、外部装置として、情報端末が示されている。当該情報端末としては、例えば、パーソナルコンピュータを挙げることができる。また、例えば、医療機関内に構築されている各種ネットワークシステムに接続可能とされているワークステーションであっても良い。
【0035】
なお、図1に示す測定装置2の出力部22と情報端末3との間は、破線の両矢印でつながっている。これは、両者の接続の方法として、無線、或いは、有線で接続されることが考えられるからである。また、情報端末3からの情報の入力を受け付けるようにされていても良い。
【0036】
さらにここでは、出力部22から外部装置に情報が出力されることを前提にしているため、本発明の実施の形態における測定装置2には、ディスプレイ等のいわゆる表示部は設けられていない。但し、例えば、医療従事者や被検体との間で測定システムSの設定を行うといったような場合を考慮して、ここで説明する測定装置2に表示部が設けられていても良い。
【0037】
入力部23は、例えば、電源や機能選択といった各種スイッチやつまみ等により構成され、被検体、或いは、医療従事者による様々な入力操作を受け付ける。入力部23を介して入力された被検体、或いは、医療従事者の操作は、入力信号に変換されてバスBを介して制御部25等に送信される。
【0038】
この入力部23としては、上述したスイッチの他、例えば、GUI(Graphical User Interface)、或いは、ボタンやキーボード、トラックボールといった様々な形態の入力デバイスを用いることが可能である。
【0039】
記憶部24は、例えば、半導体や磁気ディスクで構成されており、制御部25等で実行されるプログラムやデータが記憶されている。また、測定用カテーテル1が被検体に装着されて検査が行われる場合には、当該測定用カテーテル1から送信されてくる信号である、消化管の動きを示す情報が記憶される。
【0040】
なお、本発明の実施の形態においては、測定装置2内に記憶部24が設けられている場合を前提に以下、説明する。但し、測定装置2と無線、有線を問わず接続される、サーバ装置やハードディスクドライブ等の外部記憶媒体を記憶部として利用することとしても良い。
【0041】
またここでは、測定部21が取得した消化管の動きを示す情報等は全て記憶部24内に記憶されていることを前提としている。但し、記憶部24を複数設けて、例えば、測定対象となるpHの情報、インピーダンスの情報、圧力の情報等をそれぞれ別に記憶させることも可能である。
【0042】
制御部25は、測定装置2の各部を統括的に制御する。制御部25は、例えば、被検体や医療従事者からの入力部23を介しての操作指示を入力信号として受け付け、所望の操作が行われるよう、各部を制御する。
【0043】
制御部25は、例えば図示しない、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を備えている。
【0044】
CPUは、入力部23からの入力信号に基づいてROMから測定装置2を起動するためのブートプログラムを読み出して実行し、記憶部24に格納されている各種オペレーティングシステムを読み出す。またCPUは、RAMや記憶部24等に記憶されたプログラム及びデータを読み出してRAMにロードするとともに、RAMから読み出されたプログラムのコマンドに基づいて、例えば、データの計算、加工等、一連の処理を実現する処理装置である。
【0045】
図2に示す測定用カテーテル1は、巻かれた状態でその全体が示されている。これは伸ばすと長いためであり、先端部11からコネクタ12までの長さは、被検体が大人であるか子供であるか等によっても異なるが、例えば、1.8mから2.0mくらいである。また直径は、例えば、2.0mmである。上述した通り、先端部11側から被検体の体内に挿入され、他端側のコネクタ12は測定装置2と接続される。
【0046】
先端部11からコネクタ12までの間には、測定用カテーテル1の長手方向に沿って上述したpH、インピーダンス及び圧力の各センサが設けられている。これらセンサについては、どの種類のセンサをどの数、どの位置に配置するかについては、任意に設定することが可能である。すなわち上述したように、成人用と子供用、胎児用ではその身長に応じて測定用カテーテル1の長さが変わってくるため、必然的に各センサの個数や配置位置も異なる。
【0047】
ここで、測定用カテーテル1の構造について、図3を用いて説明する。図3は、本発明の実施の形態における測定用カテーテル1の構造を部分に分けて説明する部分拡大図である。
【0048】
上述したように、測定用カテーテル1は長さがあるので、図3においては、3つに分けて描画している。図3(a)は先端部11の部分を示しており、図3(b)、(c)の順にコネクタ12側に移動する。
【0049】
なお、説明の都合上、いずれの拡大図においても測定用カテーテル1の特徴的な部分が現れるように示している。そのため、各センサの配置は必ずしも図3(a)ないし(c)に示す通りではない。また、図3(c)については、特に圧力センサについて説明を行うために、圧力センサを正面から見た場合と横からみた場合とを並べて描画している。また、図3(c)の右側に示す圧力センサを横からみた場合を示す図においては、センサ等を破線で示している。
【0050】
このように図3(c)において圧力センサを描画しているが、実際の測定用カテーテル1における圧力センサの向きは、全ての圧力センサがいずれも同じ方向に向いていても、或いは、図3(c)に示すように向きが異なっていても良い。
【0051】
図3(a)に示すように、測定用カテーテル1の先端部を構成する先端部11は被検体に挿入しやすく低侵襲となるように曲面で構成されている。本発明の実施の形態においては、先端部11は、例えば、セラミックで形成されている。先端部11は、一端は曲面で形成され、チューブTが被せられる他端はチューブTの内径に隙間なく収まる大きさに形成されている。
【0052】
そして、先端部11にはチューブTの端部が接着剤を介して接着されている。先端部11のチューブTの端部と接続される部分は、円周状に窪み(凹部)が形成されている。一方、チューブTの端部には、その内部に円周状に凸部が設けられており、当該チューブTの凸部が先端部11の凹部に嵌め込まれる。
【0053】
なお、チューブTの外径は、先端部11の最大外径とほぼ同一であり、チューブTを先端部11に嵌め込んで接続された場合にチューブTの端部と先端部11との接続面は段差が生じないようにされている。
【0054】
先端部11の近傍の、先端部11の他端とチューブTの内部において形成される空間には、基準電極13が設けられている。基準電極13は、測定用カテーテル1が被検体に挿入された際には胃の内部に配置され、測定用カテーテル1に設けられるpHセンサが測定するpH値の基準となる電位を取得する。
【0055】
基準電極13は、例えば、銀塩化銀電極(Ag-Agcl電極)でできており、ゲル状部材14によってその周囲を覆われている。すなわち、ゲル状部材14が充填されたチューブTの内部に基準電極13が設けられる。
【0056】
基準電極13をこのような状態に保持しておくことによって、基準電極13が常時湿潤な状態に維持することができる。そのため、これまでのカテーテルのように使用前に校正液に浸漬するといった手順を省略することができるとともに、レスポンスにも優れる。
【0057】
チューブTの内部に充填されるゲル状部材14としては、例えば、好適には飽和塩化カリウム(kcl)溶液が用いられる。そして、基準電極13の表面において酸化還元反応が生じ平衡している。
【0058】
図3(a)に示すように、基準電極13はチューブTの内部であってコネクタ12側に配置される絶縁部材15に保持されている。一方、基準電極13のうち先端部11と対向する側は特段保持されておらず、チューブTの内部においていわば方持ち式に保持されている。
【0059】
絶縁部材15は、その外縁がチューブTの内部に密着するように配置されていることから、基準電極13を覆うように充填されているゲル状部材14が絶縁部材15を超えてチューブTの内部に漏洩することはない。
【0060】
そして、絶縁部材15の基準電極13を保持する側と反対側、すなわち、コネクタ12側からは、基準電極13に接続される信号線が延びている。図3(a)に示す測定用カテーテル1の場合、チューブTの一端には先端部11が接続されている。そして、当該絶縁部材15をその内部に収容しつつ、チューブTの他端には、後述するpHセンサ16が接続されている。従って、図3(a)に示す測定用カテーテル1の場合、当該信号線は、pHセンサ16と接続されている。
【0061】
なお、このように基準電極13に接続される信号線はチューブTに内包されて配置される。また、後述するように、各消化管の動きを示す情報を送信するために、各センサから伸びる信号線も同様にチューブTに内包されて最終的にコネクタ12に接続される。
【0062】
pHセンサ16は、被検体の消化管におけるpH値を測定する。測定用カテーテル1には複数のpHセンサ16が設けられており、その構造はいずれも同じである。そこで、ここでは図3(a)に示されているpHセンサ161を例に挙げて説明する。また以下、pHセンサについてまとめて示す場合には、適宜「pHセンサ16」と表す。
【0063】
pHセンサ161は、センサ部161aと当該センサ部161aを挟み込むように設けられる挿入部161b,161bを備えている。また、各挿入部161b,161bには、それぞれ複数の突起部161cが形成されている。
【0064】
センサ部161aは、リング状に形成されており、センサ部161aの外径はチューブTの外径と概ね等しくなるように形成されている。そのため、pHセンサ161がチューブTに取り付けられた場合であっても、センサ部161aの外周面とチューブTの外周面とはほぼ段差がない構造となる。
【0065】
センサ部161aがリング状に形成されていることによって、従来の測定用カテーテルに設けられているpHセンサとは異なり、胃から食道に上がってきた胃酸等が食道内のどこを通過しようとも、その経路に当該pHセンサ161を接触させることができる。そのため、逆流した胃酸等を確実に把握することができる。
【0066】
すなわち、従来の測定用カテーテルではpHセンサはその一部表面にのみ設けられ当該pHセンサに胃酸等が接触した場合にのみ測定が可能であった。そのため、胃から逆流してきた胃酸等がpHセンサの設けられていない場所を通過すると測定することができなかった。
【0067】
一方、本発明の実施の形態における測定用カテーテル1では、上述したようにpHセンサ16はリング状に形成されていることから、例えば食道のいずれの位置を胃酸等が通ったとしてもこのpHセンサ16に接触する可能性があり、測定可能な状況を増やすことができる。
【0068】
センサ部161aの測定用カテーテル1の長手方向の距離(厚み)については、任意に胃酸等に接触した際の腐食のスピード等を考慮して設定することが可能であるが、例えば好適には、1.0mmないし1.5mm程度である。従って、このようにpHセンサ16の胃酸等への接触可能な面積を大きく確保することができるため、測定中の酸化による測定不能を大幅に減らすことができる。
【0069】
挿入部161bは、チューブTとpHセンサ16とを接続するために用いられる。挿入部161bは、測定用カテーテル1の長手方向であって、センサ部161aに接する両側に設けられており、その両側にチューブTが接続される。挿入部161bの直径は、センサ部161aの直径よりも小さく、そしてチューブTに嵌め込んだ場合にその外周面がチューブTの内周面に密着する大きさとなるように形成されている。
【0070】
挿入部161bの外周面には、チューブTに嵌め込まれた際に、チューブTの内周面に食い込みチューブTからpHセンサ16が外れることを防止し、保持する突起部161cが設けられている。当該突起部161cは、略三角形状に形成されており、センサ部161a側に向けて幅広となり、チューブTの挿入方向に向けて幅が狭くなるように形成されている。
【0071】
図3にも示されているように、突起部161cがこのような形状に形成されていることから、pHセンサ16をチューブTに装着する際には、嵌めやすい。一方、一度嵌め込んでしまうと、突起部161cの幅広の部分がいわば返しの役割を果たすことになるため、チューブTが抜けにくくなる。
【0072】
ここでセンサ部161aは、例えば、アンチモンで形成されている。一方、挿入部161b及び突起部161cについては、例えばステンレスによって形成されている。
【0073】
このようにpHセンサ16は異なる材質からなる部品から構成されるが、この製造方法としては、例えば、貫通穴を備えるようにセンサ部161aを形成し、当該貫通穴に挿入部161b及び突起部161cを嵌め込むことで形成することができる。或いは、挿入部161b及び突起部161cとして形成された中央部の周囲にセンサ部161aを設けるようにしても良い。
【0074】
なお、図3に示す測定用カテーテル1において、pHセンサ16をチューブTに装着した場合における、挿入部161bのチューブTの内部への突出量は、センサ部161aからいずれも同じ量としているが、この突出量については、センサ部161aの前後において異なるように設定されていても良い。
【0075】
次に図3(b)に示されている測定用カテーテル1の部分について説明する。ここには、3つのセンサが設けられており、pHセンサ162を中央にしてその両側にインピーダンスセンサ171,172が設けられている。
【0076】
なお、測定用カテーテル1には、インピーダンスセンサについても複数設けられている。そこでこれら複数のインピーダンスセンサをまとめて説明する場合には「インピーダンスセンサ17」と表し、個別に表す場合には、上述したようにインピーダンスセンサ171,172等のように表す。
【0077】
インピーダンスセンサ171を例に挙げて説明すると、インピーダンスセンサ171は、センサ部171aと、挿入部171b,171bと、突起部171cを備えている。
【0078】
センサ部171aは、リング状に形成されており、センサ部171aの外径はチューブTの外径と概ね等しくなるように形成されている。そのため、インピーダンスセンサ171がチューブTに取り付けられた際には、センサ部171aの外周面とチューブTの外周面とはほぼ段差がない構造となる。
【0079】
挿入部171bは、チューブTにインピーダンスセンサ171を嵌め込むために用いるものである。挿入部171bは、センサ部171aよりもその直径が小さく、そしてチューブTに嵌め込んだ場合に挿入部171bの外周面がチューブTの内周面に密着する大きさとなるように形成されている。
【0080】
挿入部171bには、チューブTに嵌め込まれた際に、チューブTの内周面に食い込みチューブTからインピーダンスセンサ17が外れることを防止する突起部171cが設けられている。すなわち、突起部171cは、略三角形状に形成されており、センサ部171a側に向けて幅広となるように形成されている。
【0081】
図3(b)にも示されているように、突起部171cがこのような形状に形成されていることから、インピーダンスセンサ17をチューブTに装着する際には、嵌めやすい。一方、一度嵌め込んでしまうと、突起部171cの幅広の部分がいわば返しの役割を果たすことになるため、チューブTが抜けにくくなる。
【0082】
インピーダンスセンサ17のセンサ部171aは、例えばステンレスで形成されている。また挿入部171b,171b及び突起部171cも同様にステンレスで形成される。従って、インピーダンスセンサ17はステンレスで一体に形成されている。なお、pHセンサ16のようにセンサ部171aと挿入部171b及び突起部171cとを別体に形成して組み合わせることによってインピーダンスセンサ17を構成しても良い。
【0083】
インピーダンスセンサ171において測定されて得られた情報は、信号線171dを介して測定装置2へと送信される。すなわち、信号線171dの一端はセンサ部171aに、図示しない、例えば半田付けによって接続され、他端は挿入部171b、センサ部171a、挿入部171bを介してチューブTの内部に延び、途中に設けられている各センサを経由してコネクタ12に接続される。
【0084】
なお、当該信号線については、図3(a)を用いてのpHセンサ161の場合には説明しなかったが、pHセンサ16の場合も、後述する圧力センサ18の場合も同様の信号線を介して測定によって得られた情報が測定装置2へと送信される。
【0085】
次に、図3(c)を用いて圧力センサ18について説明する。上述したように、図3(c)においては、圧力センサ18について、その向きを変えて2つ示している。図3(c)の左側には、圧力センサ181のセンサ部181aが図面正面に示されている。一方、図3(c)の右側には、圧力センサ182が示されており、センサ部182aを側面から見た状態が示されている。
【0086】
なお、これまで通り、圧力センサ181,182についてまとめて説明する場合には、適宜「圧力センサ18」と表す。
【0087】
圧力センサ18においても、その外径は、チューブTに嵌め込んだ際に、チューブTと段差ができないように、チューブTの外径と概ね同じ外径を有している。
【0088】
但し、pHセンサ16やインピーダンスセンサ17とは異なり、センサ部181a,182aがリング状に形成されているわけではなく、リング状に形成された筐体181b,182bの一部にセンサ部181a,182aが設けられている。図3(c)の左側に示す圧力センサ181の場合、長穴形状に示されている部分がセンサ部181aである。
【0089】
具体的な構造については、図3(c)の右側に示す圧力センサ182に明らかである。なお、実際にはセンサ部182aは筐体182bの内部に設けられていることから、図3(c)では、センサ部182aについては破線で示している。
【0090】
すなわち、筐体182bの一部に外径部分からチューブTの中心軸に向けて圧力センサ本体182cを収容する凹部182dが形成される。そしてこの凹部182dの内部に圧力センサ本体182cが収容され、当該凹部182dを覆い概ねチューブTの外形部との間で段差ができないように被覆する外部被膜182eが設けられている。
【0091】
なお、図3(c)においては、圧力センサ本体182cを直方体に示しているが、どのような圧力センサを利用するかについては任意に選択可能である。また、凹部182dについても長穴形状であるとともに、筐体181bの外径部分からチューブTの中心軸に向けて垂直に形成される形状に示しているが、この凹部182dの形状についても同様に、自由に形成可能である。
【0092】
このような圧力センサ18の筐体181b,182bを挟むように、測定用カテーテル1の長手方向にはpHセンサ16やインピーダンスセンサ17と同様、挿入部181f、182f及び突起部181g、182gが設けられている。
【0093】
次に測定用カテーテル1の使用状態について、図4を用いて説明する。図4は、本発明の実施の形態における測定用カテーテル1を食道E、胃Fに挿入した場合を示す説明図である。
【0094】
図4には、食道Eから胃F、十二指腸Dに至る、消化管の一部が示されている。そして当該消化管には本発明の実施の形態に係る測定用カテーテル1が挿入されている。一方、食道Eのうち、口に当たる部分については、その表示が省略されている。従って、測定用カテーテル1の他端であるコネクタ12につながる部分についても同様にその描画が省略されている。
【0095】
図4に示す測定用カテーテル1は、その先端部11が胃Fの前庭部であって幽門に近い位置に配置されている。
【0096】
図4に示す測定用カテーテル1は、先端部11に最も近い位置にpHセンサ161が設けられている。そして測定用カテーテル1全体では、pHセンサ161ないしpHセンサ164まで、合計4つのpHセンサ16が設けられている。すなわち、pHセンサ16については4ch分設けられていることになる。
【0097】
一方、インピーダンスセンサ17については、食道Eの部分にインピーダンスセンサ171ないしインピーダンスセンサ177まで、合計7つのインピーダンスセンサ17が設けられている。従って、インピーダンスセンサ17については6ch分設けられている。すなわち、隣接するインピーダンスセンサ17との間での差分を算出することによって食道内の食物の移動を把握する。
【0098】
さらに圧力センサ18については、圧力センサ181ないし圧力センサ188まで、合計8つの圧力センサ18が設けられており、9ch分である。特に圧力センサ18のうち、5つまでが食道Eと胃Fとの境目である噴門部Cに配置されている。このような位置に複数の圧力センサ18が配置されていることによって、胃酸等が胃Fから食道Eに逆流する現象が噴門部Cの弛緩によって、或いは、胃Fの内圧の上昇によって引き起こされるものであるかを確認することができる。
【0099】
また、胃全体の収縮、弛緩は胃の前庭部付近が動くことによって行われる。従って、胃F内部の圧力をこのような位置で測定することができるように、先端部11の近傍にも圧力センサ18が設けられている。
【0100】
本発明の実施の形態における測定用カテーテル1では、図4に示すように、被検体内に測定用カテーテル1を挿入した場合に、当該圧力センサ18の複数が噴門部Cの領域に配置されるように設けられている。このように複数の圧力センサ18をまとめて配置することによって、例えば、被検体の呼吸等によって測定用カテーテル1が移動したとしても圧力センサ18が噴門部Cの領域から外れることがなく、確実に当該領域における圧力を測定することができる
【0101】
以上説明したような構成の測定システムSを採用することによって、被検体に対して低侵襲であるとともに、被検体の消化管の動きを示す各種情報を取得することで治療に役立つ検査結果を確実に得ることができる測定用カテーテル及び測定システムを提供することができる。
【0102】
特に本発明の実施の形態における測定用カテーテル1には、pHセンサ及びインピーダンスセンサのみならず、圧力センサも設けられていることから、胃酸等が胃Fから食道Eに逆流しているかどうかの現象のみならず、その原因を推察することができる測定結果を取得することができる。
【0103】
また、pHセンサについては、これまでのセンサのように点として設けられているのではなく、本発明の実施の形態においてはリング状の形状を採用している。そのため、胃酸等に対する接触面積を増やすことができるため、胃酸等の通過経路がどの位置であっても確実に把握して情報を取得することができる。
【0104】
併せて、検査の間胃酸等に触れていても腐食の進行を遅らせることができため、測定の感度とレスポンスを長時間にわたって維持することができ、より正確な消化管の動きを把握することができる。
【0105】
さらに、本発明の実施の形態における測定用カテーテルでは、pHセンサ及びインピーダンスセンサのいずれもリング状の電極を採用し、その外径値は、取り付けられるチューブTの外径値と略同様である。また、圧力センサについても圧力センサ本体が収容される凹部を覆うようにしている。
【0106】
このような構成を採用することによって、測定用カテーテルの外周面において可能な限り段差や窪みが生ずることを防止することができる。このため、検査のために測定用カテーテル1を被検体の消化管の中に挿入する際にも被検体にして低侵襲である。また、挿入後も消化管の内部を移動する食塊等が引っかかったり詰まったりすることを可能な限り回避することができる。
【0107】
なお、測定用カテーテルを構成するチューブの材質については、特に言及していないが、測定用カテーテルの全体にわたって同じ材質のチューブを用いることができる。一方で、例えば、先端部に接続されるチューブ等、測定用カテーテルの先端領域にはより固い材質で形成されたチューブを使用し、中間部以降については、消化管の形状に合わせてしなやかに曲げることのできる、より柔らかな素材で形成されたチューブを使用することもできる。
【0108】
特に本発明の実施の形態における測定用カテーテルでは、各センサに設けられている挿入部及び突起部を用いてチューブの端部に接続して1本の測定用カテーテルを形成するようにしている。このような構造を採用することによって、測定用カテーテルの各領域に求められる機能を最大限に発揮することができるチューブの材質を選択することができる。
【0109】
また、被検体の消化管への挿入に当たって、挿入時にチューブ内の信号線が断線してしまわないように、例えば、何本かをまとめて1本の信号線とする等、して強度を確保した信号線を使用することができる。
【0110】
また、pH及びインピーダンスの測定と合わせて、特に食道内の圧力を測定することによって、食道内の蠕動運動によるクリアランスについても把握することができる。さらにこの蠕動運動に関しては、人が食物を食べた際に起こるだけではなく、空腹期(多くの場合は、睡眠時)にある間隔で強弱を付けながら何度も行われることが知られている(伝播性収縮運動(migrating motor complex;MMC)と呼ばれる胃から下部消化管へと伝播する収縮運動)。
【0111】
従って、圧力センサが設けられている本発明の実施の形態における測定用カテーテルを用いることによって、被検体の空腹時に行われるMMCについても把握することができ、より一層の医療従事者による診断等が行われる際の診断支援を提供することができる。
【0112】
なお、これまでは各センサの挿入部をチューブTに挿入した際には、センサ部の外周面とチューブTの外周面とはほぼ段差がない構造となることを前提に説明をしてきた。但し、測定用カテーテル1を被検体内部に挿入する際により滑らかに、例えば、センサが食道の内壁に引っかかることなく挿入することができる構造を採用することも可能である。
【0113】
図5は、本発明の実施の形態におけるセンサとチューブTとの接続部の一例を拡大して示す拡大断面図である。そして、当該図5は、図3(b)におけるインピーダンスセンサ172と当該インピーダンスセンサ172に嵌め込まれたチューブTの一部分を切断して示している。
【0114】
図5において、左側に示されているのがインピーダンスセンサ172のセンサ部172aである。そして当該センサ部172aに連続して挿入部172bが設けられており、挿入部172bには突起部172cが2つ設けられている。また、チューブTが挿入部172bに嵌め込まれている。
【0115】
図5をみると、インピーダンスセンサ172のセンサ部172aの外周面よりもチューブTの外周面とでは、段差が存在している。すなわち、インピーダンスセンサ172にチューブTが嵌め込まれる際に、チューブTが抜けないように設けられている突起部172cによってチューブTとセンサ部172aとの接触部近傍においてチューブTが盛り上がる。そのために段差が生ずる。
【0116】
一方、センサ部172aの角部は丸くなるように形成されていることから、たとえこの部分が測定用カテーテル1が被検体内部に挿入、或いは、排出される際に接触したとしても被検体を傷つける可能性は低い。
【0117】
但しさらに、図5の破線で囲まれる領域に、例えば、チューブTと同じ組成を有する接着剤を塗布することによって、たとえチューブTとセンサ部172aとの間に段差が生じていたとしても当該段差を覆い、両者を滑らかにつなぐことができる。
【0118】
さらに、2つの突起部172cの高さH1及びH2について、よりセンサ部172aに近い突起部172cの高さH1の方を他方の突起部172cの高さH2よりも低くすることによって、チューブTの盛り上がりを低くしてよりセンサ部172aとの段差を小さくすることができる。
【0119】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0120】
1・・・測定用カテーテル
11・・・先端部
12・・・コネクタ
13・・・基準電極
14・・・ゲル状部材
15・・・絶縁部材
16・・・pHセンサ
161・・・pHセンサ
161a・・・センサ部
161b・・・挿入部
161c・・・突起部
17・・・インピーダンスセンサ
171・・・インピーダンスセンサ
171a・・・センサ部
171b・・・挿入部
171c・・・突起部
18・・・圧力センサ
181・・・圧力センサ
182・・・圧力センサ
182a・・・センサ部
182b・・・筐体
182c・・・圧力センサ本体
182d・・・凹部
182e・・・外部被膜
182f・・・挿入部
182g・・・突起部
2・・・測定装置
21・・・測定部
22・・・出力部
23・・・入力部
24・・・記憶部
25・・・制御部
3・・・情報端末
E・・・食道
F・・・胃
S・・・測定システム
T・・・チューブ
図1
図2
図3
図4
図5