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特開2023-50642マグネット吸着検出装置及びピッキング装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023050642
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】マグネット吸着検出装置及びピッキング装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/06 20060101AFI20230404BHJP
【FI】
B25J15/06 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021160846
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000150981
【氏名又は名称】日酸TANAKA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】美馬 真人
(72)【発明者】
【氏名】福島 翼
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS02
3C707DS02
3C707FS08
3C707FT13
3C707FU01
3C707FU04
3C707NS09
(57)【要約】
【課題】対象物の吸着を確実に検出できるマグネット吸着検出装置及びピッキング装置を提供する。
【解決手段】マグネット吸着検出装置100は、対象物Sの一部を吸着面12に接触させて吸着する吸着マグネット4及び前記吸着面12に開口部51aを有する流体噴出凹部51を備えた吸着部1と、前記流体噴出凹部51に外部から供給された流体を供給する流体供給管状部2と、前記流体供給管状部2を流れる前記流体の流量または差圧を測定し、測定結果に基づいて前記吸着面12における前記対象物Sの吸着を判定する吸着検出センサと、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の一部を吸着面に接触させて吸着する吸着マグネット及び前記吸着面に開口部を有する流体噴出凹部を備えた吸着部と、
前記流体噴出凹部に外部から供給された流体を供給する流体供給管状部と、
前記流体供給管状部を流れる前記流体の流量または差圧を測定し、測定結果に基づいて前記吸着面における前記対象物の吸着を判定する吸着検出センサと、
を備える、マグネット吸着検出装置。
【請求項2】
前記吸着検出センサが前記流体の流量を測定する流量検出センサである請求項1に記載のマグネット吸着検出装置。
【請求項3】
前記吸着検出センサが前記流体の差圧を測定する圧力検出センサである請求項1に記載のマグネット吸着検出装置。
【請求項4】
前記吸着マグネットが、永久磁石である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のマグネット吸着検出装置。
【請求項5】
前記吸着マグネットが、電磁石である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のマグネット吸着検出装置。
【請求項6】
前記吸着面が、前記吸着マグネットと前記対象物とが対向する対向面よりも前記対象物側に突出する請求項1乃至5のいずれか1項に記載のマグネット吸着検出装置。
【請求項7】
前記吸着面の前記開口部の縁に、シール材が設けられた請求項1乃至6のいずれか1項に記載のマグネット吸着検出装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のマグネット吸着検出装置を備えたピッキング装置であって、
前記対象物を載置するテーブルと、
前記テーブルの両側面には、水平面に対して走行方向にレールが配置されるとともに、前記レール上に設置され、前記テーブルの空間上を走行方向または走行方向と直交する横行方向に移動可能な移動機構と、
前記移動機構の下側に備えられ、上下動可能な支持部と、
前記支持部によって鉛直方向と直行する面に沿って回動可能に支持され、吸着マグネット吊支部によって吊支された前記マグネット吸着検出装置を少なくとも1つ備えたヘッド部と、
前記吸着検出センサの出力信号に応じて前記ピッキング装置を制御するとともに、前記移動機構と前記支持部の移動を制御し、前記マグネット吸着検出装置の前記吸着マグネットの吸着と脱着の切替え、前記流体の供給開始と停止の切替えまたは前記吸着検出センサの計測の開始と停止の切替えを行う制御装置と、
を備えるピッキング装置。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のマグネット吸着検出装置を備えたピッキング装置であって、
前記対象物を載置するテーブルと、
前記テーブルの両側面には、水平面に対して走行方向にレールが配置されるとともに、前記レール上に設置され、前記テーブルの空間上を走行方向または走行方向と直交する横行方向に移動可能な移動機構と、
前記移動機構の下側に備えられ、上下動可能な支持部と、
前記支持部によって鉛直方向と直行する面に沿って回動可能に支持され、吸着マグネット吊支部によって吊支された前記マグネット吸着検出装置を少なくとも1つ備えたヘッド部と、
前記対象物の重量を測定した測定値を出力する荷重検知センサと、
前記吸着検出センサの前記出力信号に基づいて前記吸着面において前記対象物が吸着していると判定した場合、かつ、前記荷重検知センサの前記測定値が前記対象物の重量であると判定した場合に、前記対象物のピッキング作業を行う制御装置と、
を備える、
ピッキング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マグネット吸着検出装置及びピッキング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対象物を吸着マグネットでピッキングするピッキング装置においては、吸着検出装置として、吸着マグネットに対象物が吸着されたかどうかを検出するため、吸着マグネットの吸着面の周囲に接触スイッチやレーザセンサなどを配置し、吸着の有無を検出する吸着検出装置が知られている。また、ノズルのエア吸引動作により部品を吸着し、ピッキングを行うピッキング装置の場合、吸着する際の流量や差圧によって吸着の有無を検出する流量センサや圧力センサを用いることが多い。
【0003】
特許文献1には、マグネットピッキング装置において、ワーク(対象物)が吸着されたかどうかを検出する吸着検出装置として、ワーク検知手段(レーザ測長器)を使用していることが記載されている。特許文献2には、ノズルのエア吸引動作により部品を吸着し、ピッキングを行うピッキング装置において、流量センサを用いて対象物の吸着を検出することが記載されている。また、圧力センサを用いて対象物の吸着を検出することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-239489号公報
【特許文献2】特開2004-158760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のピッキング装置の吸着検出装置として備えられたレーザ測長器は、マグネットの吸着位置とは別の位置から計測するため、吸着位置と検出位置の隙間が生じていた場合、隙間などによっては対象物が吸着しているかどうかを検出できないことがあった。また、吸着検出装置を設置するスペースの確保が困難であった。特許文献2に記載の吸着検出装置においては、吸着マグネットによるピッキング装置において対象物が吸着しているかどうかを検出する方法や装置の使用は想定されていない。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、対象物の吸着を確実に検出できるマグネット吸着検出装置及びピッキング装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の第一の態様に係るマグネット吸着検出装置は、対象物の一部を吸着面に接触させて吸着する吸着マグネット及び前記吸着面に開口部を有する流体噴出凹部を備えた吸着部と、前記流体噴出凹部に外部から供給された流体を供給する流体供給管状部と、前記流体供給管状部を流れる前記流体の流量または差圧を測定し、測定結果に基づいて前記吸着面における前記対象物の吸着を判定する吸着検出センサと、を備える。
【0008】
本発明の第二の態様によれば、第一の態様に係るマグネット吸着検出装置は、前記吸着検出センサが前記流体の流量を測定する流量検出センサである。
【0009】
本発明の第三の態様によれば、第一の態様に係るマグネット吸着検出装置は、前記吸着検出センサが前記流体の差圧を測定する圧力検出センサである。
【0010】
本発明の第四の態様によれば、第一乃至三のいずれかの態様に係るマグネット吸着検出装置は、前記吸着マグネットが、永久磁石である。
【0011】
本発明の第五の態様によれば、第一乃至三のいずれかの態様に係るマグネット吸着検出装置は、前記吸着マグネットが、電磁石である。
【0012】
本発明の第六の態様によれば、第一乃至五のいずれかの態様に係るマグネット吸着検出装置は、前記吸着面が、前記吸着マグネットと前記対象物とが対向する対向面よりも前記対象物側に突出する。
【0013】
本発明の第七の態様によれば、第一乃至六のいずれかの態様に係るマグネット吸着検出装置は、前記吸着面の前記開口部の縁に、シール材が設けられる。
【0014】
本発明の第八の態様に係るピッキング装置は、第一乃至七のいずれかの態様に係るマグネット吸着検出装置を備えたピッキング装置であって、前記対象物を載置するテーブルと、前記テーブルの両側面には、水平面に対して走行方向にレールが配置されるとともに、前記レール上に設置され、前記テーブルの空間上を走行方向または走行方向と直交する横行方向に移動可能な移動機構と、前記移動機構の下側に備えられ、上下動可能な支持部と、前記支持部によって鉛直方向と直行する面に沿って回動可能に支持され、吸着マグネット吊支部によって吊支された前記マグネット吸着検出装置を少なくとも1つ備えたヘッド部と、前記吸着検出センサの出力信号に応じて前記ピッキング装置を制御するとともに、前記移動機構と前記支持部の移動を制御し、前記マグネット吸着検出装置の前記吸着マグネットの吸着と脱着の切替え、前記流体の供給開始と停止の切替えまたは前記吸着検出センサの計測の開始と停止の切替えを行う制御装置と、を備える。
【0015】
本発明の第九の態様に係るピッキング装置は、第一乃至七のいずれかの態様に係るマグネット吸着検出装置を備えたピッキング装置であって、前記対象物を載置するテーブルと、前記テーブルの両側面には、水平面に対して走行方向にレールが配置されるとともに、前記レール上に設置され、前記テーブルの空間上を走行方向または走行方向と直交する横行方向に移動可能な移動機構と、前記移動機構の下側に備えられ、上下動可能な支持部と、前記支持部によって鉛直方向と直行する面に沿って回動可能に支持され、吸着マグネット吊支部によって吊支された前記マグネット吸着検出装置を少なくとも1つ備えたヘッド部と、前記対象物の重量を測定した測定値を出力する荷重検知センサと、前記吸着検出センサの前記出力信号に基づいて前記吸着面において前記対象物が吸着していると判定した場合、かつ、前記荷重検知センサの前記測定値が前記対象物の重量であると判定した場合に、前記対象物のピッキング作業を行う制御装置と、を備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るマグネット吸着検出装置及びピッキング装置によれば、対象物の吸着を確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係るマグネット吸着検出装置を備えたピッキング装置の概略構成の一例を説明する斜視図である。
図2】同ピッキング装置の側面を示す図である。
図3】同ピッキング装置のヘッド部の側面を示す図である。
図4】同マグネット吸着検出装置の斜視図である。
図5】同マグネット吸着検出装置の側面を示す図である。
図6】同マグネット吸着検出及びピッキング装置の一例を説明する概略構成図である。
図7】同マグネット吸着検出及びピッキング装置の動作手順の一例を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態について、図1から図6を参照して説明する。図1及び図2には同ピッキング装置200の斜視図、側面図を示す。図3には同ピッキング装置200のヘッド部240の側面図を示す。図4及び図5にはマグネット吸着検出装置100の斜視図及び側面図を示す。なお図3図4及び図5においては、説明の都合上、図1及び図2のヘッド部240に示されるカバーの図示を省略する。また、図6には同マグネット吸着検出及びピッキング装置の一例を説明する概略構成図を示す。ピッキング装置200は、対象物Sをピッキングし所定位置まで移動する装置であり、移動機構220及びヘッド部240を直交三軸方向(x軸方向、y軸方向、z軸方向)に移動して対象物Sを吸着し、吸着しているかどうかを検出するマグネット吸着検出装置100を備える。図6は、同マグネット吸着検出装置100及びピッキング装置200の一例を説明する概略構成図を示している。ピッキング装置200の移動機構220がレールRに沿って移動する方向を走行方向とし、x軸方向と定義する。走行方向に対して水平面上で垂直に交わる軸を横行方向とし、y軸方向と定義する。またx軸方向及びy軸方向に直交する鉛直方向をz軸方向と定義する。図1から図5の各図においては、互いに直交するx軸方向、y軸方向及びz軸方向を示す。
【0019】
本実施形態におけるピッキング装置200は、図2に示されるように、テーブル210と、移動機構220と、支持部230と、ヘッド部240と、図6に示されるように、制御装置250と、を備える。
【0020】
テーブル210は対象物Sを載置するためのものである。テーブル210の両側面には、x軸方向にレールRが移動機構220の幅に合わせて平行に配置される。テーブル210の上面はx軸方向及びy軸方向から形成されたxy面に沿う平坦な面である。また、テーブル210は、上面にパレット等の架台を配置し、架台の上に対象物Sを載置する構成としてもよい。
【0021】
移動機構220はレールRに沿ってx軸方向に走行可能な門型のx軸方向移動機構221を備える。また、移動機構220は、x軸方向移動機構221上に取り付けられ、後述する支持部230及びヘッド部240をy軸方向に走行可能なy軸方向移動機構222を備える。
【0022】
支持部230は移動機構220に備えられたy軸方向移動機構222の下側に備えられ、z軸方向に上下動可能である。
【0023】
ヘッド部240は、図2に示されるように、支持部230のz軸方向の下側に、xy面に沿って回動可能に備えられる。ヘッド部240は移動機構220と支持部230の移動と連動してテーブル210上の空間を移動する。また、ヘッド部240は、図3に示されるように、吸着マグネット吊支部241によって吊支され、テーブル210に載置された対象物Sを吸着する吸着マグネット4を備えたマグネット吸着検出装置100を備える。マグネット吸着検出装置100は、吸着マグネット吊支部241によってヘッド部240の下側に吊支される。本実施形態では、ヘッド部240はマグネット吸着検出装置100を中央に1つ、左右に5つずつ備える。ピッキング装置200は、対象物Sの大きさや位置などに応じて、対象物Sをピッキングするマグネット吸着検出装置100を複数の中から適宜選定する。なお、マグネット吸着検出装置100はピッキング装置200に対して、少なくとも1つ以上備えられていればよい。また、マグネット吸着検出装置100の個数または大きさまたは位置等は、対象物Sの形状や位置、ヘッド部240の内部の配線の収容状態(不図示)や構造などに合わせて任意に設定できる。
【0024】
吸着マグネット吊支部241は、本実施形態ではエアシリンダを使用しており、エアシリンダはz軸方向に往復自在である。吸着マグネット吊支部241はエアシリンダに限らず、例えば、電動シリンダやバネのような可撓部であってもよい。
【0025】
制御装置250は、図6に示されるように、制御部251と、切替え部252と、を備える。制御装置250は、例えばNC装置またはシーケンサ等で構成される。
【0026】
制御部251は、図6に示されるように、作業者より入力された情報または作業指示により、移動機構220の及びヘッド部240の移動を制御する。また、制御部251は、後述する吸着検出センサ3の出力信号に応じて、前記ピッキング装置200のピッキング作業を制御する。移動機構220及びヘッド部240の移動速度は、前述の情報及び作業指示に基づいて任意に設定できる。ここで、制御部251は、プロセッサやメモリや記憶部等を備えたプログラム実行可能な装置(コンピュータ)である。制御装置250に入力される情報または作業指示は、作業者が制御装置250に直接入力しなくてもよく、例えば、ハードディスクやROM等の記憶部(不図示)に格納されたデータベースであってもよい。この場合、制御装置250は記憶部のデータベースから情報または作業指示等を取得できる。
【0027】
切替え部252は、制御部251より出力された信号に基づいて、後述する吸着マグネット4を吸着状態と脱着状態に切り替える。また切替え部252は、吸着マグネット4を吸着状態に切り替えると、同時に外部からの流体の供給を開始し、さらにマグネット吸着検出装置100の吸着検出センサ3による流量または差圧の測定を開始する。一方、切替え部252は、吸着マグネット4を脱着状態にすると、同時に外部からの流体の供給停止し、吸着検出センサ3による流量または差圧の測定を停止する。なお、吸着マグネット4の吸着と脱着の信号出力または吸着検出センサ3による流量または差圧の測定開始と停止の切替えの信号出力は、制御装置250の制御部251から直接出力されるものとし、切替え部252を省略してもよい。
【0028】
なお、本実施形態において、流体は空気である。流体は空気でなくてもよく、ガス等の別の流体を使用してもよい。
【0029】
図4は、前述したヘッド部240に備えられた吸着マグネット吊支部241によって吊支されたマグネット吸着検出装置100の斜視図である。
【0030】
本実施形態におけるマグネット吸着検出装置100は、吸着部1と、流体供給管状部2と、図6に示されるように、吸着検出センサ3と、を備える。
【0031】
吸着部1は、図4図5に示されるように、吸着マグネット4及び流体噴出凹部5を備える。
【0032】
吸着マグネット4は、ボックス状の第一マグネット吸着部41、第二マグネット吸着部42及び吸着マグネット本体43を有し、第一マグネット吸着部41及び第二マグネット吸着部42の間に吸着マグネット本体43を配置する。第一マグネット吸着部41及び第二マグネット吸着部42は、z軸方向の下側に、対象物Sと接触する吸着面12を備える。吸着マグネット本体43は、z軸方向の下側に、対象物Sと対向する対向面12tを有する。吸着面12及び対向面12tは、xy平面と平行であって、平坦な面である。
【0033】
吸着マグネット本体43は、第一マグネット吸着部41及び第二マグネット吸着部42が吸着マグネット本体43内に収まる程度の切り欠き43kを両側面に設ける。なお、吸着マグネット4の磁力は、第一マグネット吸着部41と第二マグネット吸着部42より発生する。
【0034】
吸着マグネット4は、本実施形態では永久磁石を使用している。永久磁石においては、吸着マグネット4は、前述した切替え部252の出力信号によって、磁力の向きを切り替えることにより、対象物Sの吸着と脱着を制御可能である。永久磁石でなくとも、吸着マグネット4は、対象物Sの吸着と脱着が可能なものであればよく、例えば電磁石であってもよい。
【0035】
流体噴出凹部5は、図5に示されるように、外側に配置された第一マグネット吸着部41の吸着面12に第一開口部51aを有する第一流体噴出凹部51と、第二マグネット吸着部42の吸着面12に第二開口部52aを有する第二流体噴出凹部52と、を有する。第一流体噴出凹部51及び第二流体噴出凹部52の位置は、吸着面12上であれば、どの位置にあってもよく、形成しやすい位置に配置できる。また、第一流体噴出凹部51、第二流体噴出凹部52、第一開口部51a及び第二開口部52aの大きさは、流体または対象物Sの状態または吸着マグネット4の大きさまたは吸着検出センサ3の検出精度等に応じて任意に設定できる。
【0036】
第一マグネット吸着部41及び第二マグネット吸着部42は、例えば、中央の吸着マグネット本体43の対向面12tよりもz軸方向の下側に、少なくとも1mm以上突出する。すなわち、略同一平面上に備えられた吸着面12は、対向面12tよりもz軸方向の下側に、少なくとも1mm以上突出する。z軸方向において、下側から上側に向かって吸着される対象物Sは、対向面12tよりも吸着面12に接触しやすい。そのため、吸着面12に形成された第一開口部51a及び第二開口部52aは、吸着された対象物Sよって確実に閉ざされ、吸着検出センサ3は、流体の流量または圧力の変化を検知しやすくなる。
【0037】
流体供給管状部2は、図5に示されるように、ノズル6と、チューブ7と、を備える。
【0038】
ノズル6は、本実施形態においては、吸着検出ノズル61と、エアブローノズル62と、を有する。吸着検出ノズル61は、第一流体噴出凹部51の内部空間に連通する第一先端開口部61a(先端開口部)を有する。また、吸着検出ノズル61の形状は、吸着検出ノズル61の第一基端開口部61bから供給される流体が形成する流路を内部で屈曲させるL字状である。エアブローノズル62は、第二流体噴出凹部52の内部空間に連通する第二先端開口部62aを有する。また、エアブローノズル62の形状は、エアブローノズル62の第二基端開口部62bから供給される流体が形成する流路を内部で屈曲させるL字状である。なお、吸着検出ノズル61及びエアブローノズル62の配置については、ピッキング作業を行う際に作業の妨げにならない任意の位置に設定できる。
【0039】
チューブ7は、図5に示されるように、第一チューブ基端71a及び第一チューブ先端(不図示)を備えた吸着検出チューブ71と、第二チューブ基端72a及び第二チューブ先端(不図示)を備えたエアブローチューブ72と、を有する。吸着検出チューブ71は、第一基端開口部61bに第一チューブ基端71aを連結し、外部から流体が供給される第一チューブ先端の方向に向かって延在している。エアブローチューブ72は、第二基端開口部62bに第二チューブ基端72aを連結し、外部から流体が供給される第二チューブ先端の方向に向かって延在している。
【0040】
本実施形態おいて、エアブローチューブ72及びエアブローノズル62は、すでに公知であり、既存の設備を流用したものである。第二開口部52aから噴出される流体は、対象物Sの上面に付着した粉塵を吹き飛ばし、吸着マグネット4の吸着精度をあげることができる。
【0041】
吸着検出センサ3は、図3に示されるように、吸着検出チューブ71中に設置され、図6に示されるように、内部に測定部8と吸着検出制御部9を備える。測定部8は、対象物Sが第一マグネット吸着部41に吸着された際に、流体が吸着検出チューブ71を流れる単位時間当たりの流量または差圧を測定する。吸着検出制御部9は、測定部8の測定結果とあらかじめ設定された閾値を比較し、対象物Sが吸着面12に吸着しているかどうかを判定し、制御装置250へ信号を出力する。
【0042】
本実施形態では、吸着検出センサ3は、吸着部1の個数に対応し、ヘッド部240の上部へ取り付けられる。対象物Sが第一マグネット吸着部41に吸着された場合、第一流体噴出凹部51の第一開口部51aは閉ざされた状態となり、対象物Sが吸着されていない状態と比べて、吸着検出チューブ71を流れる流体の流量または圧力は大幅に変化する。測定部8は、吸着検出チューブ71を流れる流体の流量または圧力を測定することで、吸着面12に対象物Sが吸着しているかどうかを確実に判定できる。
【0043】
本実施形態では、吸着検出センサ3は流量センサを使用している。流量センサ3(吸着検出センサ)の閾値は、外部から供給された流体が、対象物Sに吸着されていない状態で吸着面12に備えられた第一開口部51aから、流体が吸着検出チューブ71の途中で妨げられることなく噴出されるときの流量の値として事前に設定される。吸着検出制御部9は、測定部8によって測定された測定結果と設定された閾値を比較する。閾値と測定した流量が閾値より低い場合、吸着検出制御部9は対象物Sの吸着があると判定する。測定された流量があらかじめ設定した閾値に対して高い場合、吸着検出制御部9は対象物Sの吸着がないと判定する。その後、吸着検出制御部9は判定結果をピッキング装置200の制御装置250へ出力する。
【0044】
吸着検出センサ3において事前に設定される閾値は、1つの値に限られず、複数に段階を分けて設定してもよいし、検出範囲を設定してもよい。また、測定部8が継続して一定時間測定した平均値を測定値として閾値と比べるように設定してもよい。さらに、吸着検出センサ3の位置は、吸着検出チューブ71内の流量または差圧の測定が可能であれば、ヘッド部240に取り付けなくてもよい。吸着検出センサ3本体がメンテナンス上取り外しやすい位置へ、任意に取り付け可能である。また、本実施形態では、吸着検出センサ3は流体センサでなくてもよい。流体の差圧を測定し、測定結果を出力する圧力センサでもよい。
【0045】
次に、本実施形態に係るマグネット吸着検出装置100及びピッキング装置200の動作について図7を参照して説明する。図7は、マグネット吸着検出装置100及びピッキング装置200の作業手順の一例を示すフローである。
【0046】
(ステップS1)
ステップS1において、制御装置250の制御部251は、作業者より入力された情報並及び作業指示に出力された信号に応じて移動機構220を対象物Sまで移動する制御を行う。ピッキング装置200は、制御部251に基づいて、移動機構220により移動する。このとき、吸着マグネット4は脱着状態、流量センサ3(吸着検出センサ)は流量測定が停止の状態である。次に、ステップS2を実行する。
【0047】
(ステップS2)
ステップS2において、制御部251は、対象物Sをピッキングする吸着マグネット4を複数の中から選定する。ステップS3以降の吸着検出に関する作業については、制御装置250は、選定された吸着マグネット4に対してのみ制御する。次に、ステップS3を実行する。
【0048】
(ステップS3)
ステップS3において、制御部251は、x軸方向に対してヘッド部240を、吸着マグネット4と対象物Sの隙間がなくなる所定位置まで下降させ、その後ヘッド部240を移動停止する制御を実行する。ピッキング装置200は、制御部251に基づいて作業を実施する。切替え部252は、制御部251に基づいてステップS3が実行される間に、流体をエアブローチューブ72中へ短時間流し、第二開口部52aへ噴出させる。第二開口部52aから噴出された流体は、対象物Sの上面に付着した粉塵を吹き飛ばし、吸着マグネット4の吸着精度をあげる。ヘッド部240の移動が停止すると、切替え部252は、ステップS4を実行する。
【0049】
(ステップS4)
ステップS4おいて、切替え部252は、吸着マグネット4を吸着状態に切り替え、吸着検出チューブ71を流れる外部からの空気の供給を開始させる。また、切替え部252は、流量センサ3によって吸着検出チューブ71を流れる空気の流量の測定を開始させる。次に、ステップS5を実行する。
【0050】
(ステップS5)
ステップS5において、制御部251はヘッド部240を一定量上昇させる制御を行い、ピッキング装置200は、制御部251に基づいて作業を実施する。次に、流量センサ3は、ステップS6を実行する。ここでステップS6の実行のタイミングについては、ステップS5の実行のタイミングと同時でもよい。
【0051】
(ステップS6)
ステップS6において、流量センサ3が測定値をもとに吸着面12に吸着しているかどうかを判定する。吸着された対象物Sが吸着面12に構成された吸着面12に対して確実に吸着している場合、第一開口部51aは、対象物Sの吸着によって閉ざされた状態となる。そのため、第一流体噴出凹部51につながる吸着検出チューブ71に流れる空気の流量は、対象物Sが吸着面12に吸着されていない状態と比べて、大幅に変化する。流量センサ3の測定部8はこのときの流量を測定する。吸着検出制御部9は、事前に設定した閾値と測定部8の測定結果をもとに対象物Sが吸着面12に吸着しているかどうかを判定する。対象物Sの吸着があると判定された場合は、ステップS9の動作へ進み、対象物Sの吸着がないと判定された場合はステップS7へ進む。なお、流量センサ3で事前に設定する閾値は、1つの値に限られず、複数に段階を分けて設定してもよいし、検出範囲を設定してもよい。また、流量センサ3が継続して一定時間測定した平均値を測定値として閾値と比べるように設定してもよい。
【0052】
(ステップS7、ステップS8)
ステップS7において、流量センサ3が対象物Sの吸着がないと判定した場合、制御装置250の制御部251は、流量センサ3の判定結果を取得し、制御部251は切替え部252へ信号を出力する。切替え部252は、吸着マグネット4を脱着状態にし、対象物Sを脱着させる。吸着マグネット4が脱着状態になると、同時に外部からの空気は供給を停止され、流量センサ3による測定は停止される。その後、ステップS8において、制御部251はあらかじめ設定されたステップS3からステップS6までのステップを繰り返す所定回数(n回)に応じて、ステップS3からステップS6を繰り返し実施するかどうか判定する。繰り返し実施する場合、ピッキング装置は、ステップS3からステップS6までの手順を繰り返す。n回に達しても、吸着検出制御部9が対象物Sの吸着がないと判断した場合、ステップS14へ進む。
【0053】
(ステップS9)
ステップS9において、ピッキング装置200は、制御部251に基づいて移動機構220移動させピッキング作業を継続し、ヘッド部240を下降させ対象物Sを所定位置へ配置する。
【0054】
(ステップS10)
ステップS10において、ピッキング装置200が対象物Sを所定位置へ配置するまでの間、流量センサ3に備えられた測定部8は継続して流量の測定を行う。対象物Sが何らかの要因で吸着面12から離れた場合、空気は第一開口部51aから滞りなく噴出されるため、流量センサ3で測定される流量が変化する。吸着検出制御部9は、測定値をもとに対象物Sが吸着面12に吸着しているかどうかを判定する。吸着検出制御部9が対象物Sの吸着がないと判定した場合、ステップS11へ進む。吸着検出制御部9が対象物Sの吸着があると判定した場合は、引き続きステップS12の動作へ進む。
【0055】
(ステップS11)
ステップS11において、吸着検出制御部9が対象物Sの吸着がないと判定した場合、制御部251は流量センサ3の判定結果を取得し、ピッキング作業を停止する制御を実行する。ピッキング装置200は、制御部251に基づき作業を停止する。次にステップS14へ進み、ピッキング装置200は、ピッキング作業を終了し、ステップS15へ進む。
【0056】
(ステップS12、ステップS13、ステップS14)
ステップS12において、吸着検出制御部9が対象物Sの吸着があると判定した場合は、制御部251は、ヘッド部240を所定位置まで下降させ、その後ヘッド部240を移動停止する制御を実行する。次に、ステップS13において、切替え部252は吸着マグネット4を脱着状態にし、外部からの空気の供給を停止させ、流量センサ3の流量測定を停止する。続いて、ステップS14において、ピッキング装置200は、ピッキング作業を終了し、ステップS15へ進む。
【0057】
(ステップS15、ステップS16)
ステップS15において、制御部251が別の対象物(不図示)のピッキング作業があるかどうか判定する。別の対象物のピッキング作業がない場合、ステップS16へ進み、ピッキング装置200は作業を完了する。別の対象物のピッキング作業がある場合、ピッキング装置200は、引き続き別の対象物に対して、ステップS1から同様の手順でピッキング作業を行い、ステップS15においてピッキング作業がなくなるまで実施する。
【0058】
本実施形態のマグネット吸着検出装置100及びピッキング装置200によれば、吸着面12に対する対象物Sの吸着を確実に検出し、ピッキング作業を行うことができる。
【0059】
(変形例)
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の一実施形態及び以下で示す変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【0060】
上記実施形態において、ピッキング装置200は、制御装置250に制御部251及び切替え部252を備えるが、制御部251及び切替え部252を備えなくてもよい。制御装置250自体が制御部251及び切替え部252の機能を有する構成であってもよい。また、制御装置250に入力される情報または作業指示は、作業者が制御装置250に直接入力しなくてもよく、例えば、記憶部(不図示)としてハードディスクやROM等を設けて、データベースを格納し、記憶部から情報または作業指示等を制御装置250へ入力してもよい。
【0061】
上記実施形態において、吸着マグネット4は永久磁石であったが、吸着マグネット4はこれに限定されない。吸着マグネット4は、制御装置250からの出力信号に応じて対象物Sの脱着可能な電磁石を用いてもよい。吸着マグネット4は、対象物Sの形状や大きさに応じて適宜選定できる。なお、マグネット吸着検出装置100はピッキング装置200に対して、少なくとも1つ以上備えられていればよい。
【0062】
上記実施形態において、吸着検出センサ3は流量センサであったが、吸着検出センサ3はこれに限定されない。吸着検出センサ3は圧力センサとして、流路に流れる流体の差圧を測定し、事前に設定された閾値と比較することにより、対象物Sが吸着しているかどうか判定できる。吸着検出センサ3において事前に設定される閾値は、1つの値に限られず、複数に段階を分けて設定してもよいし、検出範囲を設定してもよい。また、測定部8が継続して一定時間測定した平均値を測定値として閾値と比べるように設定してもよい。圧力センサや流量センサは、接触スイッチやレーザセンサと比べて、安価で容易に入手でき、吸着マグネット4の吸着面12への組み込みや、吸着面12の近くに吸着検出センサ3の取付スペースを設ける必要がないため、容易にマグネット吸着検出装置100を構築できる。
【0063】
上記実施形態において、吸着検出センサ3の判定結果は、吸着検出センサ3が信号を出力する構成であってもよい。また、ピッキング装置200の制御装置250が吸着検出センサ3の判定結果を取得する構成であってもよく、信号の発信元は限定されない。
【0064】
上記実施形態において、ピッキング装置200は、さらに対象物Sの荷重を測定し、出力信号を出す荷重検知センサを設けてもよい。荷重検知センサは、吸着マグネット4にひずみゲージ等を設置し、対象物Sの荷重を測定する。例えば、制御装置250は、吸着検出センサ3の出力信号に基づいて吸着面12において対象物Sが吸着していると判定し、かつ、荷重検知センサの測定値が対象物Sの重量であると判定した判定した場合に、正常にピッキング作業を行うようピッキング装置200を制御する。そのため、ピッキング装置200は、より正確に対象物Sの吸着を確認し、ピッキング作業をすることができる。制御装置250は、例えば、ピッキングする対象物Sが前工程である切断作業後の部材である場合において、荷重検知センサの測定値が対象物Sの重量以上または重量以下の重量であるとき、切断作業において対象物Sが正常に切断されていなことを検出してピッキング作業を中断できる。なお、上述の場合において、荷重検知センサの種類は特に限定されない。
【0065】
上記実施形態において、エアブローチューブ72及びエアブローノズル62は、すでに公知であり、既存の設備を流用したものである。マグネット吸着検出装置100に外部から供給される流体は、エアブローチューブ72内の流路から分岐継手等の分岐部(不図示)によって分岐する流路から供給される。上述の構成により、マグネット吸着検出装置100に外部から供給される流体は、既存のエアブローチューブ72の流路から分岐した流路により供給される。そのため、装置全体を簡易かつ合理的に構築することができ、経済的な効果も確保することができる。エアブローチューブ72及びエアブローノズル62は、対象物Sの上面に付着した粉塵を吹き飛ばし、吸着マグネット4の吸着精度をあげることができるが、必ずしも備える必要はない。例えば、対象物Sの上面に付着した粉塵を減らす方法として、対象物Sとマグネット吸着検出装置100の吸着面12上を外部から、ブラシ等で清掃し、吸着マグネット4の吸着精度をあげるという方法でもよい。
【0066】
上記実施形態において、吸着マグネット4は、ボックス状の第一マグネット吸着部41、第二マグネット吸着部42及び吸着マグネット本体43で構成されているが、吸着マグネット4の構成はこれに限定されず、1つのマグネットや2つ以上のマグネットによる構成であってもよい。また、吸着マグネット本体43は、第一マグネット吸着部41及び第二マグネット吸着部42が吸着マグネット本体43内に収まる程度の切り欠き43kを両側面に設けるが、切り欠き43kはなくてもよい。吸着マグネット4の構成は、磁力や大きさに応じて、適宜設定される。
【0067】
上記実施形態において、吸着マグネット4が対象物Sに吸着する吸着面12は、テーブルの上面と平行であって、平坦な面であったが、吸着面12は平面でなくてもよい。対象物Sの形状に合わせて、吸着面12が湾曲した面であってもよい。また、対象物Sがパイプやシリンダ形状などの場合に合わせて、V字にカットされた面であってもよい。吸着面12を変形自在にすることで、マグネット吸着検出装置100は様々な形の対象物Sをピッキングするピッキング装置200に対応できる。
【0068】
上記実施形態において、ノズル6の形状は、第一流体噴出凹部51の内部空間に第一先端開口部61aを連通しやすいようにL字状を選定したが、形状はL字状でなくてもよい。ノズルの形状は、直線状でもよく、基端に取り付けられたチューブ7を変形させることで流路を変更できる。
【0069】
上記実施形態において、吸着検出中に対象物Sの表面の粗さが原因で、流体が吸着面12の第一開口部51aから漏れないように、第一流体噴出凹部51の第一開口部51aにシール材を取り付けてもよい(例えばOリングやシールテープなど)。シール材を設けることで、流体の漏れによる吸着検出センサ3の誤検出を減らすことができる。また、流体噴出凹部5の穴の大きさは、流体または対象物Sの状態や吸着マグネット4の大きさなどに応じて任意に設定できる。
【0070】
ステップS2において、ピッキング装置200は、制御部251によりピッキングするマグネット吸着検出装置100を選定し、ピッキング作業を実施するが、ステップS2は実施されなくてもよい。例えば、ピッキング装置200は、近接スイッチや距離計などの別のセンサから対象物の大きさや位置を取得することで、複数のマグネット吸着検出装置100からピッキング作業を行うマグネット吸着検出装置100を選定してもよい。
【0071】
ステップS4において、切替え部252は吸着マグネット4を吸着状態とし、吸着検出センサ3の電源をONとする。吸着検出センサ3は、対象物Sが吸着面12に吸着されているかのチェックを行っているが、吸着検出センサ3の電源の切替えのタイミングは、吸着マグネット4が吸着状態となる前にONにしてもよい。また、吸着検出センサ3が、一定時間経った後に電源をONにしてもよく、任意のタイミングで吸着状態を測定できる。
【0072】
ステップS6において、判定結果に基づき、制御装置250が次のステップの動作を自動で行う。判定結果後の動作は必ずしも自動でなくてもよい。作業者の認識手段として、制御装置250または切替え部252によってピッキング作業が継続される前に、所定時間ピッキング装置200の動作を停止するタイマーや作業継続の確認ボタン等を加えてもよい。
【0073】
いずれの上記形態においても、本発明のマグネット吸着検出装置100及びピッキング装置200によれば、吸着検出センサ3が、吸着検出チューブ71を流れる流体の流量または差圧を計測し、吸着面12に対する対象物Sの吸着を判定できるので、効率的にピッキング作業を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明に係るマグネット吸着検出装置及びピッキング装置によれば、対象物が吸着面に吸着しているかどうかを検出することができるので産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0075】
200 ピッキング装置
210 テーブル
220 移動機構
230 支持部
240 ヘッド部
241 吸着マグネット吊支部
250 制御装置
100 マグネット吸着検出装置
1 吸着部
12 吸着面
12t 対向面
2 流体供給管状部
3 流量センサ(吸着検出センサ)
4 永久磁石(吸着マグネット)
41 第一マグネット吸着部
42 第二マグネット吸着部
43 吸着マグネット本体
5 流体噴出凹部
6 ノズル
61 吸着検出ノズル
62 エアブローノズル
7 チューブ
71 吸着検出チューブ
72 エアブローチューブ
8 測定部
9 吸着検出制御部
S 対象物
R レール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7