(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023050731
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】食器及び食器部材
(51)【国際特許分類】
A47G 21/04 20060101AFI20230404BHJP
A47G 21/00 20060101ALI20230404BHJP
A47G 21/02 20060101ALI20230404BHJP
B26B 3/02 20060101ALN20230404BHJP
【FI】
A47G21/04 Z
A47G21/00 T
A47G21/02 Z
B26B3/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021160991
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】591029921
【氏名又は名称】フジモリ産業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】521219316
【氏名又は名称】株式会社エステック
(74)【代理人】
【識別番号】100085556
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100115211
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 三十義
(72)【発明者】
【氏名】岡本 衛
(72)【発明者】
【氏名】坂本 学
【テーマコード(参考)】
3B115
3C061
【Fターム(参考)】
3B115AA23
3B115BA02
3B115BA12
3B115DA09
3B115DA17
3B115EA06
3C061AA02
3C061BA03
3C061BA18
3C061EE18
(57)【要約】
【課題】プラスチックごみの削減及びコスト削減に寄与するスプーン等の食器を提供する。
【解決手段】食器部材10は、スプーン部、フォーク部などの食器本体11と、短尺柄部12を一体に含む。食器部材10は紙製である。短尺柄部12より長い長尺柄部20を短尺柄部12と着脱可能に接合する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲食物と接する食器本体と、前記食器本体から突出された短尺柄部とを一体に含む紙製の食器部材と、
前記短尺柄部より長く、前記短尺柄部と着脱可能に接合される長尺柄部と、
を備えたことを特徴とする食器。
【請求項2】
前記短尺柄部が、少なくとも前記長尺柄部と接合された状態で湾曲もしくは屈曲された断面部分を含むことを特徴とする請求項1に記載の食器。
【請求項3】
前記断面部分が、前記長尺柄部との接合前は前記長尺柄部と接合された状態よりも湾曲もしくは屈曲が緩やかであるか又は平坦であることを特徴とする請求項2に記載の食器。
【請求項4】
前記短尺柄部の長さが、前記食器本体の長さより短いことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の食器。
【請求項5】
前記短尺柄部の長さが10mm~25mmであることを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の食器。
【請求項6】
前記長尺柄部の前記食器本体を向く端面には、前記短尺柄部が差し込まれる差し込み孔が形成されていることを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載の食器。
【請求項7】
前記長尺柄部が、前記短尺柄部を挟み込む一対の挟持部を有していることを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載の食器。
【請求項8】
前記一対の挟持部の少なくとも一方の対向面に、前記短尺柄部を押さえ付ける押付凸部が形成されていることを特徴とする請求項7に記載の食器。
【請求項9】
両方の挟持部の対向面どうしの互いにずれた位置に、前記押付凸部が配置されていることを特徴とする請求項8に記載の食器。
【請求項10】
前記長尺柄部が、前記短尺柄部より硬質の材質(金属、プラスチック)によって構成されていることを特徴とする請求項1~9の何れか1項に記載の食器。
【請求項11】
前記食器本体が、スプーン部又はフォーク部又はナイフ部であることを特徴とする請求項1~10の何れか1項に記載の食器。
【請求項12】
請求項1~11の何れか1項に記載の紙製の食器部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食や調理に用いる食器及び食器部材に関し、特に、食材を掬ったり刺したり混ぜたり切ったりするスプーン、フォークなどの食器及び食器部材に関する。
【背景技術】
【0002】
スプーン、フォークなどの食器は、手に持つ柄があり、その先端に食材を掬ったり刺したりするスプーン部、フォーク部などの食器本体が設けられている。
特許文献1には、携帯用のスプーン部と一体の柄に、それとは別体の紙製の扁平な筒状の継ぎ足し柄を嵌め込むことが開示されている。これによって、携帯用スプーンの柄が長くなり、食材が指先に付くのを防止したり、熱いスープをかき混ぜる際の火傷を防止したりできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
食品販売店において、購入した食品に付けて購入者に提供するスプーン、フォークなどの食器は、一般にプラスチック製である。かつ一度、使ったら捨てられるのが通例であるところ、近年、プラスチックごみの削減が求められている。また、この種の食器は、購入者に無償で提供するのか有償で提供するのかにかかわらず、コスト削減が求められている。
本発明は、かかる事情に鑑み、プラスチックごみの削減及びコスト削減に寄与するスプーン等の食器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明に係る食器は、飲食物と接する食器本体と、前記食器本体から突出された短尺柄部とを一体に含む紙製の食器部材と、
前記短尺柄部より長く、前記短尺柄部と着脱可能に接合される長尺柄部と、
を備えたことを特徴とする。
【0006】
当該食器によれば、食器部材を紙製にすることで、プラスチックごみの削減に寄与する。前記食器部材は使い捨てにする一方で、長尺柄部は使い回すことで、長尺柄部がプラスチック製であったとしても、プラスチックごみの削減に一層寄与する。また、食器部材を紙製とし、かつ長尺柄部を使い回し可能とすることで、コスト削減に寄与できる。
【0007】
前記短尺柄部が、少なくとも前記長尺柄部と接合された状態で湾曲もしくは屈曲された断面部分を含むことが好ましい。
これによって、食器部材の曲げ強度(曲げにくさ)を向上できる。
【0008】
前記断面部分が、前記長尺柄部との接合前は前記長尺柄部と接合された状態よりも湾曲もしくは屈曲が緩やかであるか又は平坦であることが好ましい。
言い換えると、前記長尺柄部が、前記短尺柄部を湾曲もしくは屈曲変形させながら前記食器部材と接合されることが好ましい。これによって、食器部材の曲げ強度(曲げにくさ)を向上できるとともに、食器部材と長尺柄部との接合強度(外れにくさ)を確保できる。
【0009】
前記短尺柄部の長さが、前記食器本体の長さより短いことが好ましい。
これによって、食器部材を確実に小さくでき、材料コストを一層削減できる。
【0010】
前記短尺柄部の長さが10mm~25mmであることが好ましい。
これによって、短尺柄部における長尺柄部との接合長さを十分に確保できる。また、食器部材を確実に小さくでき、確実にコスト削減できる。
【0011】
前記長尺柄部の前記食器本体を向く端面には、前記短尺柄部が差し込まれる差し込み孔が形成されていることが好ましい。
差し込み孔に短尺柄部を差し込むことによって、食器部材と長尺柄部とを接合できる。
【0012】
前記長尺柄部が、前記短尺柄部を挟み込む一対の挟持部を有していることが好ましい。
短尺柄部を一対の挟持部で挟み込むことによって、食器部材と長尺柄部とを接合できる。一対の挟持部は、ヒンジを介して相対回転可能に連結されていてもよく、そのような連結部が無く、互いに分離可能かつ嵌合可能であってもよい。
【0013】
前記長尺柄部には、短尺柄部の抜け止め機構が設けられていることが好ましい。
例えば、前記抜け止め機構として、前記一対の挟持部の少なくとも一方の対向面に、前記短尺柄部を押さえ付ける押付凸部が形成されていることが好ましい。
これによって、一対の挟持部を閉じて短尺柄部を挟み付けたとき、押付凸部が短尺柄部を押さえ付けることで、短尺柄部を抜け止めでき、食器部材と長尺柄部との接合強度(外れにくさ)を高めることができる。
【0014】
両方の挟持部の対向面どうしの互いにずれた位置に、前記押付凸部が配置されていることが好ましい。
これによって、短尺柄部を一層確実に抜け止めでき、食器部材と長尺柄部との接合強度を一層高めることができる。
【0015】
前記長尺柄部が、前記短尺柄部より硬質の材質によって構成されていることが好ましい。
前記長尺柄部の材質としては、プラスチック、金属などが挙げられる。これによって、長尺柄部を長期間、何度も使い回すことができる。
【0016】
前記食器本体が、スプーン部又はフォーク部又はナイフ部であることが好ましい。
前記紙製の食器部材には、紙製であることを示す刻印などの表示が設けられていることが好ましい。
紙は、セルロース、パルプを含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る食器及び食器部材によれば、プラスチックごみの削減及びコスト削減に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る食器であるスプーンの斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の第2実施形態に係る食器であるスプーンの側面図である。
【
図4】
図4(a)は、前記第2実施形態に係るスプーンの短尺柄部に断面図である。
図4(b)は、前記第2実施形態に係るスプーンの短尺柄部と長尺柄部を接合する様子を示す断面図である。
図4(c)は、
図3のIVc-IVc線に沿う、前記第2実施形態に係るスプーンの柄の断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の第3実施形態に係る食器であるスプーンの分解斜視図である。
【
図6】
図6(a)は、本発明の第4実施形態に係るスプーンの短尺柄部に断面図である。
図6(b)は、前記第4実施形態に係るスプーンの短尺柄部と長尺柄部を接合する様子を示す断面図である。
図6(c)は、前記第4実施形態に係るスプーンの柄の断面図である。
【
図7】
図7は本発明の第5実施形態に係るスプーンの柄の断面図である。
【
図8】
図8(a)は、本発明の第6実施形態に係るスプーンを、長尺柄部の挟持部を開状態にして示す分解平面図である。
図8(b)は、前記第6実施形態に係るスプーンの平面図である。
図8(c)は、前記第6実施形態に係るスプーンの右側面図である。
【
図9】
図9は、
図8(a)のIX-IX線に沿う、前記開状態の挟持部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、 以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
<第1実施形態>
図1は、食器として、スプーン1を示したものである。スプーン1は、食器部材10と、長尺柄部20とを含む。
図2に示すようにこれら食器部材10及び長尺柄部20は、互いに別体であり、分離及び接合可能である。
食器部材10は、紙製である。紙は、セルロース、パルプを含む。好ましくは、食器部材10は、材料の紙をプレスして圧縮して硬質化したものである。
詳細な図示は省略するが、紙製の食器部材10には、紙製であることを示す刻印などの表示が設けられている。
【0020】
図1及び
図2に示すように、食器部材10は、飲食物を掬ったり混ぜたりするためのスプーン部11(飲食物と接する食器本体)と、短尺柄部12とを一体に含む。スプーン部11(食器本体)の根元部から短尺柄部12が突出されている。
【0021】
短尺柄部12は、湾曲又は屈曲された断面部分を含む。詳しくは、短尺柄部12は、下へ向かってU字状に凹むように湾曲されている。
短尺柄部12の長さは、好ましくはスプーン部11の長さより短い。例えば、短尺柄部12の長さは、10mm~25mm程度である。
【0022】
長尺柄部20は、短尺柄部12より長い。長尺柄部20の長さは、例えば、50mm~120mm程度である。
長尺柄部20は、短尺柄部12より硬質の材質によって構成されている。長尺柄部20の材質としては、プラスチック、金属などが挙げられる。
【0023】
長尺柄部20における食器部材10を向く端面21には、差し込み孔22が形成されている。差し込み孔22は、短尺柄部12のU字状に湾曲された断面形状と同一の断面に形成されている。
差し込み孔22に短尺柄部12が差し込まれることによって、長尺柄部20が、短尺柄部12ひいては食器部材10と着脱可能に接合されている。
【0024】
当該スプーン1(食器)は、例えば、次のように使用される。
食器部材10は、食品販売店において、利用者が所定の食品を購入する都度、その食品に付けて利用者に提供される。
一方、長尺柄部20は、利用者があらかじめ所持し、又は携帯している。もちろん、食品販売店から利用者に提供してもよい。
利用者は、購入した食品を飲食する際、食器部材10の短尺柄部12を長尺柄部20の差し込み孔22に差し込む。これによって、食器部材10と長尺柄部20とが接合される。これによって、スプーン1の柄2を、手で持つのに適切な長さにできる。したがって、スプーン1を使って快適に飲食でき、スプーン1の利便性を確保できる。
短尺柄部12を湾曲断面形状とすることで、短尺柄部12の強度を確保でき、飲食時に短尺柄部12に作用する応力に十分に耐えることができる。
短尺柄部12の長さを10mm~25mmとすることによって、短尺柄部12と長尺柄部20との接合長さを十分に確保できる。
【0025】
飲食後は、短尺柄部12を差し込む22から引き抜き、食器部材10を長尺柄部20から分離する。
そして、紙製の食器部材10は廃棄する。
一方、長尺柄部20は洗うなどして保管しておく。これによって、長尺柄部20を使い回すことができる。
【0026】
当該スプーン1によれば、食器部材10を紙製にすることで、プラスチックごみの削減に寄与できる。
食器部材10は使い捨てにする一方で、長尺柄部20は使い回すことで、長尺柄部20がプラスチック製であったとしても、プラスチックごみの削減に一層寄与できる。
さらに、食器部材10を紙製とし、かつ長尺柄部20を使い回し可能とすることで、コストを削減することができる。食器部材10の短尺柄部12の長さをスプーン部11の長さより短くすることによって、食器部材10を全体的に小さくでき、材料コストを一層削減できる。
【0027】
次に、本発明の他の実施形態を説明する。以下の実施形態において既述の形態と重複する構成に関しては、図面に同一符号を付して説明を省略する。
<第2実施形態(
図3~
図4)>
図3に示すように、本発明の第2実施形態のスプーン1B(食器)においては、長尺柄部30が、一対の挟持部31,32と、ヒンジ35を有している。長尺柄部30が、厚み方向(
図3において上下)の中間部おいて2つに分割され、表側(上側)の部分が挟持部31となり、裏側(下側)の部分が挟持部32となっている。各挟持部31,32が、長尺状に延びている。
【0028】
長尺柄部30における、食器部材10側とは反対側の端部にヒンジ35が設けられている。ヒンジ35を介して、一対の挟持部31,32どうしが相対回転可能に連結されている。挟持部31,32どうしを平行に合わせることによって、長尺柄部30が閉じられる。挟持部31,32どうしを離すことによって、長尺柄部30が開かれる。
なお、ヒンジ35が、長尺柄部30の1の長辺側縁部に設けられていて、挟持部31,32どうしが、前記1の長辺側縁部を中心にして相対回転されるようになっていてもよい。
【0029】
図4(b)に示すように、裏側(下側)の挟持部32の上面には、挟持凹部34が形成されている。挟持凹部34は、同図(a)に示す接合前の短尺柄部12より急な曲率でU字状に凹んでいる。表側(上側)の挟持部31の下面には、挟持凸部33が形成されている。挟持凸部33は、挟持凹部34に合わせた曲率の凸面になっている。
図4(c)に示すように、長尺柄部30の閉状態において挟持凸部33が挟持凹部34に嵌り込んでいる。
【0030】
図4(a)に示すように、長尺柄部30との接合前の食器部材10の短尺柄部12は、緩やかに湾曲されている。
図4(b)に示すように、接合の際は、短尺柄部12の緩やかな凹みが挟持凹部34に少し入り込むように、短尺柄部12を挟持部32の上面に載せ、その上から挟持部31を被せる。
図4(c)に示すように、これによって、挟持凸部33が、短尺柄部12を挟んで挟持凹部34に嵌入される。
【0031】
このようにして、長尺柄部30が閉られるとともに、短尺柄部12が挟持部31,32どうしの間に挟み込まれ、食器部材10と長尺柄部30とが接合される。このとき、短尺柄部12の断面形状が、挟持凸部33及び挟持凹部34に倣って湾曲度がより急になるよう変形される。食器部材10が紙製であるため、比較的容易に変形させることができる。この結果、短尺柄部12の曲げ強度(曲げにくさ)を高めるとともに、接合強度(外れにくさ)を高めることができる。
【0032】
<第3実施形態(
図5)>
図5に示すように、本発明の第3実施形態のスプーン1C(食器)においては、挟持方式の長尺柄部30の一対の挟持部31,32が、ヒンジ35(
図3)で連なっておらず、互いに分離可能かつ嵌合可能である。ヒンジ35は省略されている。
【0033】
<第4実施形態(
図6)>
図6(a)に示すように、本発明の第4実施形態のスプーン1D(食器)においては、短尺柄部12が、コ字状に屈曲されている。屈曲部には、折り目13が形成されている。長尺柄部30との接合前の折り目13の屈曲角度α
13(外角)は比較的小さい。
【0034】
図6(b)に示すように、長尺柄部30の挟持凸部33は、突出端面33aと側面33bとの間のコーナー33cがエッジになっている。かつコーナー33cの外角α
33cは、前記屈曲角度α
13より大きい(α
33c>α
13)。挟持凹部34の内底面34aと内側面34bとの間のコーナー34cがエッジになっている。コーナー34cの外角α
34cは、前記屈曲角度α
13より大きく(α
34c>α
13)、コーナー33cの外角α
33cと実質等しい(α
34c≒α
33c)。
【0035】
図6(c)に示すように、短尺柄部12を挟んで、挟持部31,32どうしを嵌め合わせることで、長尺柄部30を閉じると、折り目13の屈曲角度がコーナー33c,34cに倣って大きくなり、短尺柄部12が、より屈曲される。
【0036】
<第5実施形態(
図7)>
図7に示すように、本発明の第5実施形態のスプーン1E(食器)においては、短尺柄部12の両縁部に外方へ突出する鍔部14が形成されている。長尺柄部30の一対の挟持部31,32の両側部どうしの間に、鍔14が挟み付けられている。
【0037】
<第6実施形態(
図8~
図10)>
図8(a)~同図(c)に示すように、本発明の第6実施形態のスプーン1F(食器)においては、長尺柄部30の先端部(スプーン部11との接続側の端部)に、ヒンジ開閉式の一対の挟持部31,32が設けられている。長尺柄部30の幅方向の一側部(
図8(b)において左側部)にヒンジ35が設けられている。長尺柄部30の幅方向の他側部(
図8(b)において右側部)には、ロック機構36が設けられている。
【0038】
図8(c)及び
図9に示すように、ロック機構36は、一方の挟持部31から突出された凸状の係止つまみ36aと、他方の挟持部32に設けられた係止受け36bを含む。係止受け36bは、挟持部32に対して回転可能である。係止受け36bには、係止穴36cが形成されている。
【0039】
図8(c)及び
図10に示すように、挟持部31,32どうしを閉じた状態で、係止受け36bの係止穴36cに係止つまみ36aを嵌め込むことによって、係止つまみ36aが係止受け36bに弾性的に係止される。これによって、挟持部31,32どうしが開くのが阻止される。
係止受け36bを回して係止つまみ36から弾性的に係止解除することで、ロックが解除され、挟持部31,32どうしが開閉操作可能になる。
【0040】
図8(a)に示すように、長尺柄部30の長手方向(同図において上下方向)に沿う、挟持部31,32の長さ寸法は、同図において二点鎖線にて示す短尺柄部12との重なり長さと実質等しい。
図9及び
図10に示すように、これら挟持部31,32どうしの対向面31a,32aは、それぞれ部分円筒面状に湾曲する曲面になっている。表側の挟持部31の対向面31aは、凸曲面をなして、挟持凸部33を構成している。裏側の挟持部32の対向面32aは、裏側(
図10において下側)へ凹む凹曲面をなし、挟持凹部34を構成している。
なお、詳細な図示は省略するが、長尺柄部30との接続前の短尺柄部12は、前記対向面31a,32aに合わせた部分円筒面状に湾曲されている。
【0041】
図8(a)及び
図9に示すように、両方の挟持部31,32の対向面1a,32aには、それぞれ1又は複数の押付凸部37が形成されている。詳しくは、表側の挟持部31の対向面31aには、例えば6つの押付凸部37が形成されている。裏側の挟持部32の対向面32aには、例えば6つの押付凸部38が形成されている。各押付凸部37,38は、半球状に形成されている。押付凸部37,38の数は、それぞれ6つに限らない。押付凸部37の数と押付凸部38の数が互いに異なっていてもよい。
【0042】
好ましくは、押付凸部37,38は、対応する挟持部31,32の対向面31a,32a上に縦横に整列されて分布されている。更に好ましくは、表側の挟持部31の押付凸部37と、裏側の挟持部32の押付凸部38とは、対向面31a,32aどうしの互いにずれた位置に配置されている。つまり、
図10に示すように、挟持部31,32を閉じたとき、押付凸部37と押付凸部38とが、互いにずれて配置される。
【0043】
スプーン1Fを使用する際は、長尺柄部30の挟持部31,32を開き、スプーン部11の短尺柄部12を裏側の挟持部32の挟持凹部34上に重ねる。続いて、表側の挟持部31を180°回して、挟持部31,32どうしを閉じ、かつ係止つまみ36aを係止受け36bに係止させることでロック機構36をロックする。
【0044】
これによって、
図10に示すように、短尺柄部12が、挟持凸部33と挟持凹部34との間に挟み込まれる。更には、押付凸部37が、表側から短尺柄部12に押し付けられるとともに、押付凸部38が、裏側から短尺柄部12に押し付けられる。しかも、表側の押付凸部37による短尺柄部12の押し付け位置と、裏側の押付凸部37による短尺柄部12の押し付け位置とは、相互にずれて、互い違いになっている。したがって、短尺柄部12が、各押付凸部37と挟持凹部34とにより厚み方向へ強く圧縮されるとともに、挟持凸部33と各押付凸部38とにより厚み方向へ強く圧縮され、更には、隣接(近接)する押付凸部37,38どうしによって面内方向に挟み付けられる。
これによって、スプーン部11を長尺柄部30に対して確実に抜け止めすることができる。
短尺柄部12の表側面には、押付凸部37の食い込みによる凹み12aが形成され、短尺柄部12の裏側面には、押付凸部38の食い込みによる凹み12bが形成される。
スプーン1Fの使用後、係止受け36bを回してロック機構36のロックを解除することで、挟持部31,32を開く。これによって、短尺柄部12が挟持部31,32から解放され、スプーン部11を長尺柄部30から分離できる。
【0045】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
例えば、短尺柄部12の断面形状は、実施形態のものに限らず、V字形状、W字状形状等であってもよい。
短尺柄部12が、表側(上方)へ向かって、∩字状に膨出されていてもよい。
長尺柄部30との接合前の短尺柄部12がフラット(平坦)になっており、長尺柄部30との接合の際に短尺柄部12を挟持部31,32で挟み付けて絞り変形させることによって、短尺柄部12を湾曲又は屈曲する断面形状にしてもよい。
【0046】
第6実施形態(
図8~
図10)において、短尺柄部12がフラットであってもよく、挟持部31,32どうしの対向面がフラットであってもよく、フラットな前記対向面に押付凸部37,38が形成されていてもよい。
第6実施形態(
図8~
図10)において、一対の挟持部31,32の何れか一方だけに押付凸部37又は38が形成されていてもよい。
【0047】
スプーン部11(食器本体)が、長尺柄部に対して回転可能に取り付けられてもよい。長尺柄部には、スプーン部11(食器本体)を回転可能に連結する軸部が設けられていてもよい。
短尺柄部に接合孔が形成され、長尺柄部に接合凸部が形成され、前記接合凸部を前記接合孔に嵌め込むことによって、短尺柄部が長尺柄部に接合されるようになっていてもよい。
短尺柄部の側縁に段差又は凹溝が形成され、長尺柄部の側部に抜止凸部が形成され、前記抜止凸部が前記段差又は凹溝に嵌ることによって、短尺柄部が長尺柄部に対して抜け止めされるようになっていてもよい。
長尺柄部の裏側の挟持部に対し、表側の挟持部が長尺柄部の長手方向へスライド可能であってもよい。
食器本体は、スプーン部に限らず、フォーク部、ナイフ部などであってもよい。食器は、スプーンに限らず、フォーク、ナイフなどであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、例えばスプーン、フォークなどの食器に適用できる。
【符号の説明】
【0049】
1 スプーン(食器)
1B~1F スプーン(食器)
2 柄
10 食器部材
11 スプーン部(食器本体)
12 短尺柄部
12a,12b 凹み
13 折り目
14 鍔
20 長尺柄部
21 端面
22 差し込み孔
30 長尺柄部
31 表側の挟持部
32 裏側の挟持部
33 挟持凸部
33a 突出端面
33b 側面
33c コーナー
34 挟持凹部
34a 内底面
34b 内側面
34c コーナー
35 ヒンジ
36 ロック機構
36a 係止つまみ
36b 係止受け
36c 係止穴
37 押付凸部
38 押付凸部