(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023050745
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】泡状口腔用製品
(51)【国際特許分類】
A61K 8/34 20060101AFI20230404BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20230404BHJP
A61K 8/35 20060101ALI20230404BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20230404BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20230404BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20230404BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20230404BHJP
A61Q 11/00 20060101ALI20230404BHJP
A61K 8/36 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
A61K8/34
A61K8/49
A61K8/35
A61K8/46
A61K8/44
A61K8/86
A61K8/73
A61Q11/00
A61K8/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021161013
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】飯島 浩
(72)【発明者】
【氏名】大國 礼
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB472
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC181
4C083AC182
4C083AC211
4C083AC212
4C083AC302
4C083AC312
4C083AC471
4C083AC472
4C083AC482
4C083AC682
4C083AC692
4C083AC711
4C083AC712
4C083AC781
4C083AC782
4C083AC791
4C083AC792
4C083AD281
4C083AD282
4C083AD351
4C083AD352
4C083AD531
4C083AD532
4C083AD661
4C083AD662
4C083BB05
4C083BB07
4C083BB36
4C083CC41
4C083DD08
4C083DD23
4C083EE01
4C083EE06
(57)【要約】
【課題】泡立ち及び泡の持続性が良好であり、高温での液安定性に優れた泡状口腔用製品の提供。
【解決手段】(A)成分:疎水性有効成分と、(B)成分:アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上と、(C)成分:ポリオキシエチレンアルキルエーテルと、(D)成分:ヒドロキシ基を有する水溶性高分子とを含有する液体口腔用組成物、及び前記液体口腔用組成物を収容する泡吐出容器を有する、泡状口腔用製品。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分:疎水性有効成分と、
(B)成分:アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上と、
(C)成分:ポリオキシエチレンアルキルエーテルと、
(D)成分:ヒドロキシ基を有する水溶性高分子と
を含有する液体口腔用組成物、及び前記液体口腔用組成物を収容する泡吐出容器を有する、泡状口腔用製品。
【請求項2】
前記(A)成分が、イソプロピルメチルフェノール、ビタミンE、グリチルレチン酸、及びヒノキチオールから選ばれる1種以上である、請求項1に記載の泡状口腔用製品。
【請求項3】
前記(B)成分が、アルキル硫酸塩、アシルタウリン塩、及び脂肪酸アミドプロピルベタインから選ばれる1種以上である、請求項1又は2に記載の泡状口腔用製品。
【請求項4】
前記(C)成分が、炭素数16~22のアルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテルである、請求項1~3のいずれか一項に記載の泡状口腔用製品。
【請求項5】
前記(D)成分が、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びキサンタンガムから選ばれる1種以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の泡状口腔用製品。
【請求項6】
前記(A)成分の含有量に対する、前記(C)成分の含有量の質量比を表すC/Aが0.5~100である、請求項1~5のいずれか一項に記載の泡状口腔用製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、泡状口腔用製品に関する。
【背景技術】
【0002】
泡形成機構を有する吐出容器を用いて、液体の口腔用組成物を泡状にして使用する泡状口腔用製品は、各種用途への適用が期待される。
例えば、要介護高齢者はブラッシングが苦手であるため、軽いブラッシングでも口腔内に広がりやすく、かつ軽いすすぎでも流しやすい点で泡状歯磨剤が適している。
【0003】
泡状口腔用製品に用いられる液体口腔用組成物にあっては、泡立ちや泡の持続性が良いことのほかに、保存中に析出物等が生じない液安定性が求められる。
特許文献1の実施例には、油溶性薬効成分(グリチルレチン酸又はイソプロピルメチルフェノール)と、ノニオン界面活性剤であるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と、アニオン界面活性剤であるラウリル硫酸ナトリウムと、水とを混合した液体口腔用組成物において、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油とラウリル硫酸ナトリウムの比率を特定範囲とすることによって、低温(-5℃)で保存したときの液安定性が向上したことが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者等の知見によれば、特許文献1に記載の液状組成物は、高温で保存したときの液安定性が十分とはいえない。
本発明は、泡立ち及び泡の持続性が良好であり、高温での液安定性に優れた泡状口腔用製品の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は以下の態様を有する。
[1](A)成分:疎水性有効成分と、(B)成分:アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上と、(C)成分:ポリオキシエチレンアルキルエーテルと、(D)成分:ヒドロキシ基を有する水溶性高分子とを含有する液体口腔用組成物、及び前記液体口腔用組成物を収容する泡吐出容器を有する、泡状口腔用製品。
[2]前記(A)成分が、イソプロピルメチルフェノール、ビタミンE、グリチルレチン酸、及びヒノキチオールから選ばれる1種以上である、[1]の泡状口腔用製品。
[3]前記(B)成分が、アルキル硫酸塩、アシルタウリン塩、及び脂肪酸アミドプロピルベタインから選ばれる1種以上である、[1]又は[2]の泡状口腔用製品。
[4]前記(C)成分が、炭素数16~22のアルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテルである、[1]~[3]のいずれかの泡状口腔用製品。
[5]前記(D)成分が、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びキサンタンガムから選ばれる1種以上である、[1]~[4]のいずれかの泡状口腔用製品。
[6]前記(A)成分の含有量に対する、前記(C)成分の含有量の質量比を表すC/Aが0.5~100である、[1]~[5]のいずれかの泡状口腔用製品。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、泡立ち及び泡の持続性が良好であり、高温での液安定性(以下、高温安定性ともいう。)に優れた泡状口腔用製品が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
泡状口腔用製品は、後述する(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分を含有する液体口腔用組成物と、液体口腔用組成物を収容する泡吐出容器を有する。
本明細書において、「~」で表される数値範囲は、~の前後の数値を下限値及び上限値として含む数値範囲を意味する。
【0009】
<(A)成分>
(A)成分は、疎水性有効成分である。(A)成分は25℃の水への溶解度が1g/30mL以下で、水に難溶である。(A)成分は液体口腔用組成物の薬用作用に寄与する。
(A)成分としては、イソプロピルメチルフェノール(IPMP)、ビタミンE、グリチルレチン酸、ヒノキチオールが好ましい。
ビタミンEとしては、トコフェロール、トコフェロール酢酸エステル、トコフェロールニコチン酸エステル、トコフェロールコハク酸エステル等が挙げられる。
(A)成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
(A)成分の含有量は、液体口腔用組成物の総質量に対して0.01~1質量%が好ましく、0.05~0.5質量%がより好ましい。上記の範囲内であると、(A)成分の有効量を確保しやすい。
【0010】
<(B)成分>
(B)成分は、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上である。2種以上を組み合わせてもよい。(B)成分は、液体口腔用組成物を泡吐出容器から吐出したときの泡立ち(起泡性)に寄与する。
【0011】
(B)成分であるアニオン性界面活性剤は、炭素鎖長が炭素数で10~18の炭化水素基を有するアニオン性界面活性剤が好ましい。
アニオン性界面活性剤の具体例としては、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、N-アシルアミノ酸塩、N-メチルタウリン塩、アルキルエーテル酢酸塩等が挙げられる。
塩としては、アルカリ金属塩が好ましく、特にナトリウム塩が好ましい。
【0012】
(B)成分である両性界面活性剤は、アルキルベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン等の酢酸ベタイン型両性界面活性剤;アルキルイミダゾリニウムベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等のイミダゾリニウムベタイン(アルキルイミダゾール)型両性界面活性剤が好ましい。
【0013】
(B)成分は、適度な起泡性を有し苦味が少ない点で、アルキル硫酸塩、アシルタウリン塩、脂肪酸アミドプロピルベタインが好ましい。
アルキル硫酸塩としては、ラウリル硫酸ナトリウムが好ましい。
アシルタウリン塩としては、ラウロイルメチルタウリンナトリウムが好ましい。
脂肪酸アミドプロピルベタインとしては、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウロイルアミドプロピルベタインが好ましい。
【0014】
(B)成分の含有量は、液体口腔用組成物の総質量に対して0.1~3質量%が好ましく、0.2~2質量%がより好ましく、0.3~1質量%がさらに好ましい。(B)成分の含有量が0.1質量%以上であると、起泡性の向上効果に優れ、3質量%以下であると口腔粘膜の刺激(刺激感)が抑制されやすい。
【0015】
<(C)成分>
(C)成分はポリオキシエチレンアルキルエーテルであり、いわゆるノニオン界面活性剤である。(C)成分は、泡立ち(起泡性)及び破泡抑制に寄与し、高温でも析出し難いため高温安定性に寄与する。(C)成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0016】
(C)成分は、炭素数10~22のアルキル基を有することが好ましく、炭素数14~22のアルキル基を有することがより好ましく、炭素数16~22のアルキル基を有することがさらに好ましく、炭素数18~22のアルキル基を有することが特に好ましい。
(C)成分1モルあたりのエチレンオキサイドの平均付加モル数(以下「EO付加モル数」とも記す)は10~50が好ましく、15~30がより好ましい。
【0017】
(C)成分は、ポリオキシエチレン(以下「POE」とも記す)ラウリルエーテル、POEセチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEベヘニルエーテルが好ましく、POEベヘニルエーテル、POEセチルエーテル、POEステアリルエーテルがより好ましく、POEベヘニルエーテルがさらに好ましい。
(C)成分が少なくともPOEベヘニルエーテルを含むことが好ましい。(C)成分の総質量のうち、POEベヘニルエーテルの割合は50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましく、80質量%以上が特に好ましい。100質量%でもよい。
【0018】
(C)成分の含有量は、液体口腔用組成物の総質量に対して0.5~5質量%が好ましく、1~3質量%がより好ましく、1.5~2.5質量%がさらに好ましい。
(C)成分の含有量が0.5質量%以上であると高温安定性の向上効果に優れる。加えて、液体口腔用組成物を泡吐出容器から吐出したときの泡立ちが良い。(C)成分の含有量が5質量%以下であると香味立ちが良い。加えて液体口腔用組成物を泡吐出容器から吐出したときに泡が多すぎず使用性が良い。
【0019】
<(D)成分>
(D)成分はヒドロキシ基を有する水溶性高分子であり、好ましくは、ヒドロキシアルキルセルロース又は高分子多糖類である。(D)成分は泡の持続性に寄与する。加えてすすぎ性の向上に寄与する。すすぎ性が良いと、口腔内を水ですすいだときに泡が残り難い。(D)成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0020】
(D)成分は、20℃における0.1質量%水溶液又は膨潤液が澄明であるものが好ましい。具体例としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース;キサンタンガム、グアガム、カラギーナン等の多糖類が挙げられる。
(D)成分は、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、キサンタンガムが好ましく、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガムがより好ましく、ヒドロキシエチルセルロースがさらに好ましい。
【0021】
(D)成分の含有量は、液体口腔用組成物の総質量に対して0.01~0.5質量%が好ましく、0.02~0.1質量%がより好ましい。
(D)成分の含有量が0.01質量%以上であると泡の持続性の向上効果に優れる。0.5質量%以下であると泡吐出容器からの吐出性に優れる。
吐出性について具体的には、(D)成分の含有量が多すぎると、液体口腔用組成物が高粘度になり吐出し難い、泡吐出容器のノズルが詰まりやすい等の不都合が生じやすい。
【0022】
<配合比>
液体口腔用組成物に(A)成分を添加すると泡立ち難く、破泡しやすくなる傾向があるが、破泡抑制効果を有する(C)成分と組み合わせることにより、良好な泡立ち及び泡持続性を得ることができる。
(A)成分の含有量に対する(C)成分の含有量の質量比を表すC/Aは、0.5~100が好ましく、5~50がより好ましく、10~50がさらに好ましい。
C/Aが0.5以上であると、良好な泡立ちと泡持続性が得られやすい。100以下であると(A)成分の薬用作用が十分に得られやすい。
【0023】
<溶剤>
液体口腔用組成物は溶剤を含むことが好ましい。
溶剤は、精製水を含むことが好ましい。さらに、炭素数2~4の低級一価アルコールを含んでもよい。
液体口腔用組成物の総質量に対して、低級一価アルコールの含有量は、刺激感や泡性能の点から、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましく、実質的に含有しないことが特に好ましい。
本明細書において、低級一価アルコールを実質的に含有しないとは、低級一価アルコールを単独で添加しないことを意味する。例えば、香料に含まれるエタノール等、添加成分に由来する低級一価アルコールは含んでもよい。本明細書では、液体口腔用組成物の総質量に対して低級一価アルコールの含有量が0.01質量%以下であれば、実質的に含有しないとみなす。
【0024】
<その他の任意成分>
液体口腔用組成物は、上記(A)~(D)成分及び溶剤以外に、液体口腔用組成物において公知の任意成分を、本発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。任意成分としては、例えば、湿潤剤、増粘剤、pH調整剤、防腐剤、甘味剤、香料、水溶性有効成分、着色料等が挙げられる。
【0025】
湿潤剤としては、グリセリン;プロピレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール;ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、ラクチトール等の糖アルコールが挙げられる。
【0026】
増粘剤としては、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム等のアニオン性高分子が挙げられる。
【0027】
pH調整剤としては、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、フタル酸、酢酸、フマル酸等の有機酸;リン酸等の無機酸;これらの水溶性塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩)が挙げられる。
【0028】
防腐剤としては、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等のパラオキシ安息香酸エステル;安息香酸ナトリウム等の安息香酸又はその塩;塩酸アルキルジアミノエチルグリシン;ソルビン酸カリウム等が挙げられる。
【0029】
甘味剤としては、サッカリンナトリウム、ステビオサイト、スクラロース、還元パラチノース等が挙げられる。
【0030】
香料としては、ペパーミント油、スペアミント油、ハッカ油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、クローブ油、タイム油、セージ油、カルダモン油、ローズマリー油、マジョラム油、レモン油、オレンジ油、ナツメグ油、ラベンダー油、パラクレス油等の天然精油;L-メントール、L-カルボン、1,8-シネオール、メチルサリシレート、オイゲノール、チモール、リナロール、リモネン、メントン、メンチルアセテート、シトラール、カンファー、ボルネオール、ピネン、スピラントール等の上記天然精油中に含まれる香料成分;エチルアセテート、エチルブチレート、イソアミルアセテート、ヘキサナール、ヘキセナール、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、ベンツアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、フラネオール、マルトール、エチルマルトール、ガンマ/デルタデカラクトン、ガンマ/デルタウンデカラクトン、N-エチル-p-メンタン-3-カルボキサミド、メンチルラクテート、エチレングリコール-L-メンチルカーボネート等の単品香料成分;いくつかの香料成分や天然精油を組み合わせてなる、アップル、バナナ、ストロベリー、ブルーベリー、メロン、ピーチ、パイナップル、グレープ、マスカット、ワイン、チェリー、スカッシュ、コーヒー、ブランデー、ヨーグルト等の調合フレーバー等が挙げられる。
【0031】
水溶性有効成分としては、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化スズ等のフッ素化合物;グリチルリチン酸ジカリウム、ε-アミノカプロン酸、アラントイン、トラネキサム酸等の抗炎症剤;塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム等の殺菌剤;硝酸カリウム、乳酸アルミニウム等の知覚過敏改善剤;トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム等のステイン除去剤等が挙げられる。
【0032】
<物性>
液体口腔用組成物の25℃におけるpHは、5~8であることが好ましく、この付近のpH調整剤として、リン酸二水素ナトリウムとリン酸一水素ナトリウムとを組み合わせたもの、又はクエン酸とクエン酸ナトリウムとを組み合わせたものを添加することもできる。
【0033】
液体口腔用組成物の粘度は、泡吐出容器から吐出させやすい粘度であればよい。例えば、25℃における粘度は0.7Pa・s以下、特に0.005~0.1Pa・sとすることが好適である。前記範囲内であれば、良好な泡立ち(泡形成)、泡の保形性が得られる。粘度が0.7Pa・sより高いと泡形成が良好に行われない場合があり、また粘度が低すぎると泡の保形性が悪くなる場合がある。
本明細書における粘度は、測定対象を25℃とし、BL型粘度計を用いて測定される値を意味する。
【0034】
<容器>
本発明の泡状口腔用製品は、液体口腔用組成物を収容する泡吐出容器を有する。
泡吐出容器は、泡形成機構を有し、収容した液体口腔用組成物を泡状にして吐出できるものであればよく、公知の構造を適宜採用できる。
泡吐出容器としては、内容物に押圧力を付与することによって、内容物と空気を混合して噴出口より泡状に噴出する構造を有する、非エアゾール型のノンガス常圧容器が好ましい。このような泡吐出容器としては、公知のスクイズ式、ポンプディスペンサー式の容器を用いることができる。例えば実公平7-6108号公報、実開平7-8251号公報、実開平4-102666号公報に記載の構造を有する泡吐出容器を用いることができ、各種の市販品を使用してもよい。
【0035】
<使用方法>
泡吐出容器に液体口腔用組成物を収容した状態で、泡吐出容器に外力を加えて泡を吐出させ、吐出した泡を口腔に適用する。例えば歯ブラシ上に泡を適量吐出して歯磨きに使用する。
【実施例0036】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
【0037】
<使用原料>
[(A)成分]
・IPMP:イソプロピルメチルフェノール(大阪化成(株)製、商品名:イソプロピルメチルフェノール)
・ヒノキチオール((株)高砂ケミカル製、商品名:ヒノキチオール)
・トコフェロール酢酸エステル(ビタミンE)(DSMニュートリションジャパン(株)製、商品名:トコフェロール酢酸エステル)
・グリチルレチン酸(丸善製薬(株)製、商品名:グリチルレチン酸)
[(B)成分]
・ラウリル硫酸Na:ラウリル硫酸ナトリウム(BASF社製、商品名:Texapon OC-P)
・ラウロイルメチルタウリンNa:ラウロイルメチルタウリンナトリウム
・ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン(デグサ社製、商品名:TEGO BETAINCK-OK)
・2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン(一方社油脂工業(株)製、商品名:エナジコールC-40H)
・ラウロイルアミドプロピルベタイン(川研ファインケミカル(株)製、商品名:ソフタゾリンLPB)
[(C)成分]
・POE(30)ベヘニルエーテル:ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、EO付加モル数30。(日本エマルジョン(株)製、商品名:EMALEX BHA-30)
・POE(20)ステアリルエーテル:ポリオキシエチレンステアリルエーテル、EO付加モル数20(日本エマルジョン(株)製、商品名:EMALEX 625)
・POE(15)セチルエーテル:ポリオキシエチレンセチルエーテル、EO付加モル数15。(日本エマルジョン(株)製、商品名:EMALEX 115)
[(C’)成分:比較例]
・POE硬化ヒマシ油60:ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、EO付加モル数60。(日光ケミカルズ(株)製、商品名:ニッコールHCO―60M)
[(D)成分]
・ヒドロキシエチルセルロース(ダイセルミライズ(株)製、商品名:HECダイセル)
・ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業(株)製、商品名:METOLOSE 90SH-4000SR)
・キサンタンガム(CPケルコ社製、商品名:モナートガムDA)
[(D’)成分:比較例]
・CMC-Na:カルボキシメチルセルロースナトリウム(ダイセルミライズ(株)製、商品名:ダイセルCMC1380)
[任意成分]
・フッ化ナトリウム(ステラケミファ(株)製、商品名:フッ化ナトリウム)
・塩化セチルピリジニウム(富士フイルム和光純薬(株)製、商品名:塩化セチルピリジニウム)
・アラントイン((株)パーマケム・アジア製、商品名:アラントイン)
・グリセリン(阪本薬品工業(株)製、商品名:化粧品用グリセリン85%)
・プロピレングリコール((株)ADEKA製、商品名:プロピレングリコール)
・ソルビトール(三菱商事ライフサイエンス(株)製、商品名:70%ソルビット液)
・キシリトール(ロケット・フルーレ社製、商品名:XYLISORB)
・クエン酸Na:クエン酸ナトリウム(小松屋(株)製、商品名:クエン酸三ナトリウム)
・クエン酸(小松屋(株)製、商品名:クエン酸)
・安息香酸Na:安息香酸ナトリウム(伏見製薬所製、商品名:安息香酸ナトリウム)
・メチルパラベン(上野製薬(株)製、商品名:パラオキシ安息香酸メチル)
・香料
・水:精製水
【0038】
(実施例1~20、比較例1~5)
表1~3に示す組成に従い、液体口腔用組成物を常法によって調製した。
以下の表において、配合量を示す数値は、液体口腔用組成物の総質量に対する含有量(単位:質量%)である。特に断りがない限り配合量は純分換算値である。表中に配合量が記載されていない成分は、配合されていない。水の含有量を示す「バランス」は、液体口腔用組成物に含まれる全配合成分の合計の配合量(質量%)が100質量%となるように加えられる残部を意味する。
実施例1~20及び比較例1~5の液体口腔用組成物の25℃におけるpHは、いずれも5.5~6.5の範囲内であった。また、実施例1~20の液体口腔用組成物の25℃における粘度は0.005~0.1Pa・sの範囲内であった。
得られた液体口腔用組成物を、泡吐出容器に充填して泡状口腔用製品を製造した。泡吐出容器は、内容物に押し圧力を付与することにより内容物を空気と混合し、その吐出口より泡状に吐出させる、非エアゾール型のノンガス常圧容器を用いた。
【0039】
<評価方法>
各例の泡状口腔用製品について、泡立ち、泡の持続性、刺激感、高温安定性を以下のように評価した。結果を表1~3に示す。
【0040】
[泡立ち]
泡吐出容器から歯ブラシに泡を吐出させ、直後の泡の均一性を泡の大きさで視覚評価し、大きな泡の不均一部分が占める割合により、以下の基準で評価した。不均一部分が少なく微細で均一な気泡が多いほど泡立ちが良いことを示す。△以上を合格とした。
◎:泡の表面に存在する気泡が全体的に均一で、不均一な部分が10%未満である。
○:泡の表面の10%以上25%未満が不均一である。
△:泡の表面の25%以上50%未満が不均一である。
×:泡の表面の50%以上が不均一である。
【0041】
[泡の持続性・刺激感]
製造直後の泡状口腔用製品について、専門パネラー5名による使用試験を以下のように行った。
歯ブラシ(ライオン社製品名「クリニカアドバンテージハブラシ 4列コンパクトふつうタイプ」)に泡(約0.2mL)を乗せ、3分間歯みがきを行った。使用中の刺激感、及び歯みがき終了時の口腔内の泡の残存状態(泡の持続性)について、下記の採点基準で採点した。5名の平均点を算出し、下記の評価基準で評価した。
(泡の持続性の採点基準)
5点:十分に泡が認められる。
4点:泡が認められる。
3点:やや泡が認められる。
2点:泡がほとんど認められない。
1点:泡が全く認められない。
(刺激感の採点基準)
5点:刺激を感じない。
4点:刺激をほとんど感じない。
3点:刺激をやや感じる。
2点:刺激をかなり感じる。
1点:刺激を非常に感じる。
[泡の持続性・刺激感の評価基準(△以上を合格とした)]
◎:5人の平均点が4.5点以上。
○:5人の平均点が4点以上、4.5点未満。
△:5人の平均点が3点以上、4点未満。
×:5人の平均点が3点未満。
【0042】
[高温安定性]
製造直後の泡状口腔用製品を、50℃の環境で1ヶ月間保存した後、容器内の液体口腔用組成物を目視で観察し、以下の基準で評価した。
◎:析出物が認められない。
〇:析出物がわずかに認められる。
×:多量の析出物が認められる。
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
表1~3に示すように、実施例1~20の泡状口腔用製品は、泡立ち及び泡の持続性が良好であり、高温安定性にも優れていた。加えて泡の刺激感も弱く抑えられていた。
これに対して、(B)成分を含まない比較例1は、泡立ち及び泡の持続性が劣った。
(C)成分を含まない比較例2は、泡立ち及び泡の持続性が劣った。加えて泡の刺激感が強かった。
(C)成分を含まず、(C’)成分を含む比較例3は、高温安定性が劣った。
(D)成分を含まない比較例4は、泡の持続性が劣った。
(D)成分を含まず、(D’)成分を含む比較例5は、泡の持続性が劣った。
【0047】
<製造例1~4>
表4に示す処方例1~4の組成に従い、実施例1と同様にして泡状口腔用製品を製造した。
【0048】