(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023050829
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】磁気回路式ミラー駆動装置
(51)【国際特許分類】
G02B 26/08 20060101AFI20230404BHJP
H02K 33/16 20060101ALI20230404BHJP
G02B 26/10 20060101ALI20230404BHJP
B81B 3/00 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
G02B26/08 E
H02K33/16 A
G02B26/10 104Z
B81B3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021161133
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 純
(72)【発明者】
【氏名】土佐 博
【テーマコード(参考)】
2H045
2H141
3C081
5H633
【Fターム(参考)】
2H045AB13
2H045AB73
2H045BA12
2H141MA12
2H141MB24
2H141MC05
2H141MD13
2H141MD16
2H141MD20
2H141MD24
2H141MG06
2H141MZ06
2H141MZ16
2H141MZ19
2H141MZ25
3C081AA01
3C081AA11
3C081AA13
3C081BA21
3C081BA22
3C081BA28
3C081BA33
3C081BA44
3C081BA47
3C081BA54
3C081DA03
3C081EA07
5H633BB08
5H633BB17
5H633GG02
5H633GG04
5H633GG07
5H633GG13
5H633HH03
5H633HH04
5H633JB05
(57)【要約】
【課題】ミラー上部に磁石を配置することなく、磁気ギャップ内に均一で磁束密度の高い磁界を得ることができる磁気回路式ミラー駆動装置を提供する。
【解決手段】磁気回路式ミラー駆動装置は、センターポール11a付きの下ヨーク11上に配置される第1磁石12と、第1磁石上に設けられる第1上ヨーク13と、第1磁石よりもセンターポールから離隔して下ヨーク上に配置され、第1磁石よりも起磁力の高い第2磁石15と、第2磁石上に設けられる第2上ヨーク16とを備える。そして、第1、第2上ヨークとセンターポールとの間に磁気ギャップを形成し、当該磁気ギャップ内に配置したコイル部14の電磁作用によりミラーを駆動することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センターポール付きの下ヨーク上に配置される第1磁石と、
第1磁石上に設けられる第1上ヨークと、
第1磁石よりもセンターポールから離隔して下ヨーク上に配置され、第1磁石よりも起磁力の高い第2磁石と、
第2磁石上に設けられる第2上ヨークとを備え、
第1、第2上ヨークとセンターポールとの間に磁気ギャップを形成し、当該磁気ギャップ内に配置したコイルの電磁作用によりミラーを駆動する磁気回路式ミラー駆動装置。
【請求項2】
前記第1上ヨークと、この第1上ヨーク上に配置される前記第2上ヨークに挟まれて配置され、前記磁気ギャップ内に配置したコイルを駆動するための駆動信号を出力するチップを更に備える、請求項1に記載の磁気回路式ミラー駆動装置。
【請求項3】
前記センターポールは、前記下ヨークの中央部に、前記ミラーを囲むように配置される第1乃至第4の柱状部材で形成され、当該第1乃至第4の柱状部材の周りにそれぞれコイルが配置され、
前記第1磁石は、前記センターポールに対応する位置に開口部が形成された枠状であり、
前記下ヨークは、前記第1磁石上から前記第1乃至第4の柱状部材にそれぞれ対向して上方に折曲した第1乃至第4の立ち上がり部を有し、前記第1乃至第4の立ち上がり部と前記第1乃至第4の柱状部材の側壁面との間にそれぞれ前記磁気ギャップが形成され、
前記下ヨーク上の前記第1磁石の外側に、前記センターポールを挟んで前記第2磁石と対向して配置され、前記第2磁石と等しい起磁力の第3磁石を更に備える、請求項1又は2に記載の磁気回路式ミラー駆動装置。
【請求項4】
前記第2、第3磁石は、前記第1磁石と第1上ヨークとの和よりも厚く、
前記第2上ヨークは、前記第2、第3磁石及び前記第1乃至第4の立ち上がり部に接触し、前記ミラー上及び前記センターポール上を除く前記第1乃至第3磁石上を覆って配置される、請求項3に記載の磁気回路式ミラー駆動装置。
【請求項5】
前記下ヨーク上に、前記センターポールを挟んで前記第1磁石と対向して配置される第3磁石と、
前記下ヨーク上の前記第3磁石の外側に、前記センターポールを挟んで前記第2磁石と対向して配置される第4磁石とを更に備え、
前記第1磁石と前記第2磁石は磁極の向きが等しく、前記第3磁石と前記第4磁石は磁極の向きが等しく且つ前記第1磁石及び前記第2磁石とは磁極の向きが逆に配置される、請求項1又は2に記載の磁気回路式ミラー駆動装置。
【請求項6】
前記第2、第4磁石はそれぞれ、前記第1磁石又は第3磁石と前記第1上ヨークとの和よりも厚く、
前記第2上ヨークは、前記第2磁石の上面に接触し、前記第1及び第2磁石上を覆って配置される第1部材と、前記第4磁石の上面に接触し、前記第3及び第4磁石上を覆って配置される第2部材とで構成される、請求項5に記載の磁気回路式ミラー駆動装置。
【請求項7】
前記ミラーは、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)加工技術により、単結晶シリコンチップ上に金属のコイルを形成し、コイルの内側にミラーを形成したMEMSミラーである、請求項1乃至6いずれか1つの項に記載の磁気回路式ミラー駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばMEMSミラーを駆動するための磁場を発生させる磁気回路式ミラー駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コイル部とミラー部が形成されたシリコンチップ(MEMSミラー)を挟んで、磁束が反発するように磁石(ヨーク)を上下に2組配置し、均一な磁束を得るようにした磁気駆動システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0141366号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の構成では、ミラー部(コイル部の内側に配置)の上方に磁石を配置しているため、入射される光束を遮ってしまい光路が制限される、という課題がある。また、ミラー部の上方に磁石を配置するため装置が大型化したり、下方の磁石に対して上方の磁石は同極を配置しなくてはならないため、反発力が発生して固定するための装置が大型化したりする、という課題もある。
【0005】
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、ミラー上部に磁石を配置することなく、磁気ギャップ内に均一で磁束密度の高い磁界を得ることができる磁気回路式ミラー駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る磁気回路式ミラー駆動装置は、センターポール付きの下ヨーク上に配置される第1磁石と、第1磁石上に設けられる第1上ヨークと、第1磁石よりもセンターポールから離隔して下ヨーク上に配置され、第1磁石よりも起磁力の高い第2磁石と、第2磁石上に設けられる第2上ヨークとを備え、第1、第2上ヨークとセンターポールとの間に磁気ギャップを形成し、当該磁気ギャップ内に配置したコイルの電磁作用によりミラーを駆動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、センターポール付の下ヨークの外側に、より起磁力の高い第2磁石を配置するとともに、第2磁石の上面から第2上ヨークを延伸させて配置して、センターポールとの間に磁気ギャップを形成する。付加した第2磁石による高い磁束は、第2上ヨークにより磁気ギャップに導かれ、第1上ヨークによる磁束と合成されて磁気ギャップに導かれる。
これにより、磁気ギャップ内の磁束は実質的に水平向きとなり、磁束密度も高くなることで、磁気ギャップ内に均一で磁束密度の高い磁界を得ることができる。
従って、本発明によれば、ミラー上部に磁石を配置することなく、磁気ギャップ内に均一で磁束密度の高い磁界を得ることができる磁気回路式ミラー駆動装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る磁気回路式ミラー駆動装置の要部の断面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る磁気回路式ミラー駆動装置の概略構成を示す斜視図である。
【
図3】
図2に示した磁気回路式ミラー駆動装置の分解図である。
【
図4】
図2に示した磁気回路式ミラー駆動装置をX1-X1’線に沿って切断した斜視図である。
【
図5】
図2に示した磁気回路式ミラー駆動装置をX2-X2’線に沿って切断した斜視図である。
【
図6】
図2に示した磁気回路式ミラー駆動装置をX3-X3’線に沿って切断した斜視図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る磁気回路式ミラー駆動装置の概略構成を示す斜視図である。
【
図8】
図7に示した磁気回路式ミラー駆動装置の分解図である。
【
図9】
図7に示した磁気回路式ミラー駆動装置をZ1-Z1’線に沿って切断した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る磁気回路式ミラー駆動装置の要部の断面構成を示している。本発明では、従来の磁気回路に対して磁石を追加し、オーバーヘッド(チップ上部)ヨークを用いて、磁気ギャップの磁束を水平で均一かつ高い磁束にしている。すなわち、下ヨーク11上に、第1磁石12がS極を下、N極を上にして配置される。この下ヨーク11には、センターポール11aが立設されている。第1磁石12のN極上には、第1上ヨーク13が設けられる。第1上ヨーク13は、センターポール11aに対向して上方に折曲した立ち上がり部13aを有し、この立ち上がり部13aとセンターポール11aとの間に形成される磁気ギャップにコイル部14が配置される。
【0010】
第1磁石12よりも起磁力の高い第2磁石15は、下ヨーク11上の第1磁石12よりもセンターポール11aから離隔した位置に、第1磁石12と磁極の向きが等しく配置され、この第2磁石15上に第2上ヨーク16が設けられる。第2上ヨーク16は、第2磁石15の上面からチップ(MEMSミラーの一部)17の上部を延伸し、第1上ヨーク13の立ち上がり部13aに接するように配置される。チップ17は、第1上ヨーク13と第2上ヨーク16との間の第1磁石12上に対応する位置に設けられており、フレキシブル基板上に形成された配線層にワイヤボンディング等で接続されている。このチップ17は、フレキシブル基板からボンディングワイヤを介して駆動信号を受け、磁気ギャップ内に配置されたコイル部14に渡す橋渡し役である。そして、コイル部14の電磁作用によりMEMSミラー(図示せず)を駆動するようになっている。
【0011】
通常、磁気ギャップ内の磁束は水平かつ均一であることが望ましく、コイルにより得られる力は上下方向の力のみであることが望ましい。磁束が水平でないということは磁束に上下成分を含むということであり、不要な水平方向力を発生する(フレミング左手の法則より)。
【0012】
上記のような構成では、矢印で示すように、第1磁石12のN極から第1上ヨーク13、立ち上がり部13a、センターポール11a、下ヨーク11及び第1磁石12のS極に戻る閉磁路が形成される。また、第2磁石15のN極から第2上ヨーク16、立ち上がり部13a、センターポール11a、下ヨーク11及び第2磁石15のS極に戻る閉磁路が形成される。ここで、第2磁石15による高い磁束は、第2上ヨーク16により磁気ギャップに導かれ、第1上ヨーク13による磁束と合成される。
【0013】
これにより、磁気ギャップ内の磁束は実質的に水平向きとなり、磁束密度も高くなることで、磁気ギャップ内に均一で磁束密度の高い磁界を得ることができる。
また、上記構成では、チップ17の上方に磁石を配置しないため、光路を塞ぐ(入射角等の制約を小さくする)のを回避できる。更に、ミラー部の上方に磁石を配置する必要がないので装置が大型化したり、反発力が発生して固定するための装置が大型化したりすることもない。
【0014】
[第1実施形態]
図2は、本発明の第1実施形態に係る磁気回路式ミラー駆動装置の概略構成を示しており、センターポールが4本あるタイプである。
図3は
図2に示した磁気回路式ミラー駆動装置の分解図、
図4は
図2に示した磁気回路式ミラー駆動装置をX1-X1’線に沿って切断した斜視図、
図5はX2-X2’線に沿って切断した斜視図、
図6はX3-X3’線に沿って切断した斜視図である。
なお、
図1は、
図2のY1-Y1’線に沿った矢視断面に対応している。
【0015】
図2乃至
図6に示すように、下ヨーク11は長方形状の板材の中央部にセンターポールとしての第1乃至第4の柱状部材が四角形に立設された構成になっており、センターポール11a,11bとセンターポール11c,11d間に開口部11eが形成されている。センターポール11aと11bの基部は連結部11mで連結されており、センターポール11cと11dの基部は連結部11nで連結されている。また、長方形状の板材の両端部には、取付孔となる円形の貫通孔11f,11g,11hと貫通孔11i,11j,11kが設けられている。
【0016】
第1磁石12は、下ヨーク11とほぼ等しい幅の長方形状で、中央部にセンターポール11a,11b,11c,11dを囲むように開口部12aが形成された枠状である。この第1磁石12は、下面側がS極、上面側がN極である。第1上ヨーク13は、第1磁石12とほぼ等しい長さと幅の板材で形成され、この板材の中央部に開口部13eを有し、この開口部13eの周辺からセンターポール11a,11b,11c,11dに対向して上方に折曲した立ち上がり部13a,13b,13c,13dを有する。これら立ち上がり部13a,13b,13c,13dとセンターポール11a,11b,11c,11dとの間隙に、それぞれ磁気ギャップが形成される。また、この第1上ヨーク13の開口部13eの周囲には、MEMSミラー(チップ)17を取り付けるための突起状部13f,13g,13h,13iが設けられている。
【0017】
第2、第3磁石15-1,15-2は、第1磁石12と第1上ヨーク13を水平方向に挟んで下ヨーク11上に配置される。ここで第2磁石15-1は、上述した
図1の第2磁石15に対応する。第2、第3磁石15-1,15-2は、第1磁石12よりも起磁力が高く、下ヨーク11の円形の貫通孔11f,11g,11hと貫通孔11i,11j,11kにそれぞれ対応する貫通孔15a,15b,15cと貫通孔15d,15e,15fを有している。
【0018】
MEMSミラー17は、単結晶シリコンチップ上にMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)加工技術により、金属のコイル部14a,14b,14c,14dとミラー部17aを形成したものである。図では簡略化して示しているが、このMEMSミラー17は、固定外枠である支持体、可動内枠とも呼ばれる外側の回動体と、可動板と呼ばれる内側の回動体とで構成される。コイル部14a,14b,14c,14dはセンターポール11a,11b,11c,11dの周りをそれぞれ囲むように配置され、ミラー部17aはX軸方向とY軸方向に駆動して2軸走査可能に形成されている。このMEMSミラー17は、取付孔17b,17c,17d,17eによって、第1上ヨーク13の突起状部13f,13g,13h,13iに装着される。
【0019】
MEMSミラー17には、駆動デバイス18が接続される。駆動デバイス18は、例えばフレキシブル基板であり、コイル部14a,14b,14c,14dの駆動信号は、当該駆動デバイス18を通して別の回路から供給されるようになっている。駆動信号が供給されると、立ち上がり部13a,13b,13c,13dとセンターポール11a,11b,11c,11dとの間の磁気ギャップ内に配置したコイル部14a,14b,14c,14dの電磁作用により、ミラー部17aをX軸方向とY軸方向に駆動して2軸走査が行われる。なお、駆動デバイス18は、半導体集積回路装置などであっても良く、この場合には駆動デバイス18で直接駆動信号を生成する。
【0020】
第2上ヨーク16は、下ヨーク11とほぼ等しい幅で、中央部が上に凸状の長方形状である。この第2上ヨーク16は、第2、第3磁石15-1,15-2、第1上ヨーク13及び駆動デバイス18上を覆うように設置される。第2上ヨーク16の中央部には、センターポール11a,11b,11c,11dを囲む開口部16aが形成されている。開口部16aによって、コイル部14a,14b,14c,14dとミラー部17aが露出される。また、第2、第3磁石15-1,15-2の貫通孔15a,15b,15cと貫通孔15d,15e,15fにそれぞれ対応する位置に、貫通孔16b,16c,16dと貫通孔16e,16f,16gが形成されている。
【0021】
上記のような構成によれば、下ヨーク11の外側に、より起磁力の高い第2、第3磁石15-1,15-2を配置し、その上に第2上ヨーク16を第1上ヨーク13の立ち上がり部13a,13b,13c,13dまで延伸して磁気ギャップを形成したことで、第2、第3磁石15-1,15-2によるより高い磁束が磁気ギャップに導かれる。これにより、磁気ギャップ内のコイル部14a,14b,14c,14dの磁束は水平向きとなり、磁束密度も高くなることで、ミラー上部に磁石を配置することなく、磁気ギャップ内に均一(水平向き、ギャップ内で一定)で磁束密度の高い磁界を得ることができる。
【0022】
[第2実施形態]
図7は、本発明の第2実施形態に係る磁気回路式ミラー駆動装置の概略構成を示しており、センターポールが1本のタイプである。
図8は
図7に示した磁気回路式ミラー駆動装置の分解図、
図9は
図7に示した磁気回路式ミラー駆動装置をZ1-Z1’線に沿って切断した斜視図である。本第2実施形態の基本構成は第1実施形態と同様であり、第1磁石よりも起磁力の高い第2磁石を外側に配置するとともに、その上に第2上ヨークを配置してチップ上部を延伸させて磁気ギャップを形成する。
なお、
図1は、
図7のY2-Y2’線に沿った矢視断面に対応している。
【0023】
図7乃至
図9に示すように、下ヨーク21は長方形状の板材であり、中央部にセンターポール21aが立設され、両端部に取付孔となる円形の貫通孔21b,21c,21d,21e,21fと貫通孔21g,21h,21i,21j,21kが設けられている。
【0024】
第1磁石22-1と第3磁石22-2は、それぞれ平面形状がL字状の部材で形成され、各折曲部でセンターポール21aを挟むように配置される。ここで第1磁石22-1は、上述した
図1の第1磁石12に対応する。この第1磁石22-1は下面側がS極、上面側がN極であり、第3磁石22-2は下面側がN極、上面側がS極である。第1上ヨーク23-1,23-2は、第1、第3磁石22-1,22-2とほぼ等しい平面形状を有し、センターポール21aに対向して上方に立ち上がる立ち上がり部23a,23bを有する。これら立ち上がり部23a,23bとセンターポール11aとの間隙に、それぞれ磁気ギャップが形成される。また、この第1上ヨーク23-1,23-2にはそれぞれ、MEMSミラー27を取り付けるための突起状部23c,23d,23e,23fが設けられている。
【0025】
第2、第4磁石25-1,25-2は、第1、第3磁石22-1,22-2と第1上ヨーク23-1,23-2を水平方向に挟んで下ヨーク21上に配置される。ここで第2磁石25-1は、上述した
図1の第2磁石15に対応する。第2磁石25-1は下面側がS極、上面側がN極であり、第4磁石25-2は下面側がN極、上面側がS極である。第2、第4磁石25-1,25-2はそれぞれ、第1、第3磁石22-1,22-2よりも起磁力が高く、下ヨーク21の円形の貫通孔21b,21c,21d,21e,21fと貫通孔21g,21h,21i,21j,21kにそれぞれ対応する貫通孔25a,25b,25c,25d,25eと貫通孔25f,25g,25h,25i,25jを有している。
【0026】
MEMSミラー27は、単結晶シリコンチップ上にMEMS加工技術により、金属のコイル部24aとミラー部27aを形成したものである。コイル部24aはセンターポール21aの周りを囲むように形成され、ミラー部27aはX軸方向とY軸方向に駆動して2軸走査可能に形成されている。このMEMSミラー27は、取付孔27b,27c,27d,27eによって、第1上ヨーク23-1,23-2の突起状部23c,23d,23e,23fに装着される。
【0027】
MEMSミラー27には、外部から駆動信号が入力される。コイル部24aに電流を流すことで、立ち上がり部23a,23bとセンターポール21aとの間の磁気ギャップ内に配置したコイル部24aの電磁作用により、ミラー部27aを駆動して走査を実行する。
【0028】
第2上ヨークは第1部材と第2部材で構成される。第2上ヨーク26-1,26-2はそれぞれ、第2、第4磁石25-1,25-2の上面に接触し、第2、第4磁石25-1,25-2と第1上ヨーク23-1,23-2を覆うように設置される。センターポール21aは、第2上ヨーク26-1,26-2間の間隙に配置される。また、第2、第4磁石25-1,25-2の貫通孔25a,25b,25c,25d,25eと貫通孔25f,25g,25h,25i,25jにそれぞれ対応する位置に、貫通孔26a,26b,26c,26d,26eと貫通孔26f,26g,26h,26i,26jが形成されている。
【0029】
上記のような構成において、磁束は第1磁石22-1のN極から、第1上ヨーク23-1、立ち上がり部23a、センターポール21aを経由し、第3磁石22-2のS極に至り、第3磁石22-2のN極から下ヨーク21を介して第1磁石22-1のS極に戻る閉磁路が形成される。また、磁束は第2磁石25-1のN極から、第2上ヨーク26-1、センターポール21aを経由し、第4磁石25-2のS極に至り、この第4磁石25-2のN極から下ヨーク21を介して第2磁石25-1のS極に戻る閉磁路が形成される。
【0030】
この際、第2、第4磁石25-1,25-2による高い磁束が磁気ギャップに導かれることで、第1上ヨーク23-1,23-2による磁束と合成され、磁気ギャップ内のコイル部24aの磁束は水平向きとなり、磁束密度も高くなることで、ミラー上部に磁石を配置することなく、磁気ギャップ内に均一(水平向き、ギャップ内で一定)で磁束密度の高い磁界を得ることができる。
【0031】
従って、上記のような構成であっても、実質的に第1実施形態と同様な動作を行い、同じ作用効果が得られる。
【0032】
以上の第1、第2実施形態で説明された構成については、本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものに過ぎない。従って本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
例えば、上述した第1、第2実施形態に係る構成において、全ての磁石のN極とS極を反転しても良いのは勿論である。
【符号の説明】
【0033】
11,21…下ヨーク、11a,11b,11c,11d,21a…センターポール、12,22-1…第1磁石、22-2…第3磁石、12a…開口部、13,23-1,23-2…第1上ヨーク、13a,13b,13c,13d,23a,23b…立ち上がり部、13e…開口部、13f,13g,13h,13i…突起状部、14,14a,14b,14c,14d…コイル部、15,15-1…第2磁石、15-2…第3磁石、16,26-1,26-2…第2上ヨーク、17,27…MEMSミラー(チップ)、18…駆動デバイス、25-1…第2磁石、25-2…第4磁石