(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023050835
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】情報処理装置、送信側装置、及び、方法
(51)【国際特許分類】
H04J 99/00 20090101AFI20230404BHJP
【FI】
H04J99/00 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021161154
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】301022471
【氏名又は名称】国立研究開発法人情報通信研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】滝沢 賢一
(72)【発明者】
【氏名】森山 雅文
(57)【要約】
【課題】無線通信の品質を向上させる。
【解決手段】情報処理装置は、受信アンテナによってK台の送信側装置から同時に信号を受信し、且つ、K台の送信側装置によって連送が行われる場合に、連送におけるn回目の参照信号の送信でK台の送信側装置に含まれる送信側装置k(k=1,...,K)から送信される送信参照信号x(k,n)を得るために、送信参照信号x(k)に与えられる位相回転量であって、送信側装置kが属するグループgに割り当てられる位相回転量φ(g,n)を取得することと、送信側装置kへ位相回転量φ(g,n)を送信することと、を実行する。位相回転量φ(g,n)は、受信アンテナにおいて受信される受信参照信号r(n)に、位相回転量φ(g,n)とは逆の位相回転量を与えて、連送における1回目からN回目まで足し合わせた際に、グループgに属していない送信側装置からの受信参照信号がキャンセルされるように、取得される。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信アンテナによってK台(K:正の整数)の送信側装置から同時に信号を受信しており、且つ、同じ信号をN回(N:正の整数)繰り返し連続して送信する連送が前記K台の送信側装置によって行われる場合に、
前記K台の送信側装置をG個(G:正の整数、1<G≦K)のグループに分けることと、
前記連送におけるn回目(n=1,...,N)の参照信号の送信で前記K台の送信側装置に含まれる送信側装置k(k=1,...,K)から送信される送信参照信号x(k,n)を得るために、送信参照信号x(k)に与えられる位相回転量であって、前記送信側装置kが属するグループg(g=1,...,G)に割り当てられる位相回転量φ(g,n)を、
前記連送におけるn回目の参照信号の送信で、前記受信アンテナにおいて受信される受信参照信号r(n)であって、前記K台の送信側装置それぞれからの送信参照信号を含む受信参照信号r(n)に、前記位相回転量φ(g,n)とは逆の位相回転量を与えて、前記連送における1回目からN回目まで足し合わせた際に、前記グループgに属していない送信側装置からの受信参照信号がキャンセルされるように、
取得することと、
前記送信側装置kへ、前記グループgの1回目からN回目それぞれの位相回転量φ(g,n)を含む位相列Φg={φ(g,1),...,φ(g,N)}を送信することと、を実行する制御部、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記位相回転量φ(g,n)を、前記G個のグループのうち2つのグループg1、g2(g1=1,...,G、g2=1,...,G、g1≠g2)の全ての組み合わせにおいて、位相列Φg1と位相列Φg2とが直交するように、取得する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記K台の送信側装置それぞれからの伝搬損失の昇順、受信信号電力の降順、又は、信号対雑音比の昇順に基づいて、前記G個のグループを作成する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、
信号を同時に受信する送信側装置の台数の変更、前記K台の送信側装置のメンバの変更、又は、前記K台の送信側装置それぞれからの受信信号電力の大きさの順番の変化を検出した場合に、前記位相回転量φ(g,n)を新たに取得し、
前記送信側装置k(k=1,...,K)へ、新たに取得された、前記グループgの1回目からN回目それぞれの位相回転量φ(g,n)を含む位相列Φgを送信する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記受信参照信号r(n)に、グループg(g=1,...,G)の前記位相回転量φ(g,n)と逆の位相回転量を与えて、前記連送における1回目からN回目まで足し合わせて、前記グループgに属しない送信側装置からの受信参照信号がキャンセルされて、前記グループgに属する1又は複数の送信側装置からの受信参照信号を含むグループgの受信参照信号r(g)(g=1,...,G)を取得することと、
前記受信参照信号r(g)(g=1,...,G)に基づいて、通信路推定を行うことと、
をさらに実行する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記K台の送信側装置から前記連送におけるn回目のデータ信号の送信によって送信され、前記受信アンテナによって受信された、送信側装置k(k=1,...,K)からのデータ信号d(k,n)を含むデータ信号d(n)を、前記連送におけるN回分足し合わせてデータ信号dを取得することと、
前記通信路推定の結果を用いて、前記データ信号dから、前記送信側装置kから受信されたデータ信号d(k)を分離することと、
をさらに実行する、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、
M本(M:正の整数)の受信アンテナによって前記K台の送信側装置から同時に信号を受信しており、且つ、前記K台の送信側装置のそれぞれが前記連送を行う場合に、各受信アンテナについて、前記通信路推定を実行する、
請求項5又は6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
少なくとも1本の送信アンテナと、
他のK-1台の送信側装置とともに同時に信号を送信し、且つ、前記他のK-1台の送信側装置とともに、それぞれがN回(N:正の整数)繰り返し連続して同じ信号を送信する連送を行う場合に、前記連送におけるn回目(n=1,...,N)の参照信号の送信で、前記他のK-1台の送信側装置に自装置を加えたK台の送信側装置が分けられたG個のグループのうちの自送信側装置が属するグループg(g:1からGの整数)に割り当てられた、送信参照信号x(s)(sは自装置を示す)に与えられる位相回転量φ(g,n)を含む位相列Φg={φ(g,1),...,φ(g,N)}を、受信側装置から受信することと、
前記連送におけるn回目の参照信号の送信で、前記送信参照信号x(s)に位相回転量φ(g,n)を与えて送信参照信号x(s,n)を取得することと、
前記少なくとも1本の送信アンテナから、前記送信参照信号x(s,n)を送信することと、
を実行する制御部と、
を備える送信側装置。
【請求項9】
前記位相回転量φ(g,n)は、
前記連送におけるn回目の参照信号の送信で、受信アンテナにおいて受信される受信参照信号r(n)であって、前記K台の送信側装置それぞれからの送信参照信号を含む受信参照信号r(n)に、前記位相回転量φ(g,n)とは逆の位相回転量を与えて、前記連送における1回目からN回目まで足し合わせた際に、前記グループgに属していない送信側装置からの受信参照信号がキャンセルされるように、取得されている、
請求項8に記載の送信側装置。
【請求項10】
前記位相回転量φ(g,n)は、前記G個のグループのうち2つのグループg1、g2(g1=1,...,G、g2=1,...,G、g1≠g2)の全ての組み合わせにおいて、位相列Φg1と位相列Φg2とが直交するように、取得されている、
請求項9に記載の送信側装置。
【請求項11】
前記G個のグループは、前記K台の送信側装置それぞれからの伝搬損失の昇順、受信信号電力の降順、又は、信号対雑音比の昇順に基づいて、作成される、
請求項9又は10に記載の送信側装置。
【請求項12】
前記位相回転量φ(g,n)は、
信号を同時に受信する送信側装置の台数の変更、前記K台の送信側装置のメンバの変更、又は、前記K台の送信側装置それぞれからの受信信号電力の大きさの順番の変化を検出した場合に、新たに取得され、
前記制御部は、
新たに取得された前記位相回転量φ(g,n)から取得される、自送信側装置が属するグループg(g:1からGの整数)に割り当てられた位相列Φg={φ(g,1),...,φ(g,N)}を、前記受信側装置から受信する、
請求項9から11のいずれか一項に記載の送信側装置。
【請求項13】
前記受信側装置は、
前記受信参照信号r(n)に、グループg(g=1,...,G)の前記位相回転量φ(g,n)と逆の位相回転量を与えて、前記連送における1回目からN回目まで足し合わせて、前記グループgに属しない送信側装置からの受信参照信号がキャンセルされて、前記グループgに属する1又は複数の送信側装置からの受信参照信号を含むグループgの受信参照信号r(g)(g=1,...,G)を取得し、
前記受信参照信号r(g)(g=1,...,G)に基づいて、通信路推定を行う、
請求項9から12のいずれか一項に記載の送信側装置。
【請求項14】
コンピュータが、
受信アンテナによってK台(K:正の整数)の送信側装置から同時に信号を受信しており、且つ、同じ信号をN回(N:正の整数)繰り返し連続して送信する連送が前記K台の送信側装置によって行われる場合に、
前記K台の送信側装置をG個(G:正の整数、1<G≦K)のグループに分けることと、
前記連送におけるn回目(n=1,...,N)の参照信号の送信で前記K台の送信側装置に含まれる送信側装置k(k=1,...,K)から送信される送信参照信号x(k,n)を得るために、送信参照信号x(k)に与えられる位相回転量であって、前記送信側装置kが属するグループg(g=1,...,G)に割り当てられる位相回転量φ(g,n)を、
前記連送におけるn回目の参照信号の送信で、前記受信アンテナにおいて受信される受信参照信号r(n)であって、前記K台の送信側装置それぞれからの送信参照信号を含む受信参照信号r(n)に、前記位相回転量φ(g,n)とは逆の位相回転量を与えて、前記連送における1回目からN回目まで足し合わせた際に、前記グループgに属していない送信側装置からの受信参照信号がキャンセルされるように、
取得することと、
前記送信側装置kへ、前記グループgの1回目からN回目それぞれの位相回転量φ(g,n)を含む位相列Φg={φ(g,1),...,φ(g,N)}を送信することと、を含む方法。
【請求項15】
前記コンピュータが、
前記位相回転量φ(g,n)を、G個のグループのうち2つのグループg1、g2(g1=1,...,G、g2=1,...,G、g1≠g2)の全ての組み合わせにおいて、位相列Φg1と位相列Φg2とが直交するように、取得する、
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記コンピュータが、
前記K台の送信側装置それぞれからの伝搬損失の昇順、受信信号電力の降順、又は、信
号対雑音比の昇順に基づいて、前記G個のグループを作成する、
請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
コンピュータが、
信号を同時に受信する送信側装置の台数の変更、前記K台の送信側装置のメンバの変更、又は、前記K台の送信側装置それぞれからの受信信号電力の大きさの順番の変化を検出した場合に、前記位相回転量φ(g,n)を新たに取得し、
前記送信側装置k(k=1,...,K)へ、新たに取得された、前記グループgの1回目からN回目それぞれの位相回転量φ(g,n)を含む位相列Φgを送信する、
請求項14から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
コンピュータが、
前記受信参照信号r(n)に、グループg(g=1,...,G)の前記位相回転量φ(g,n)と逆の位相回転量を与えて、前記連送における1回目からN回目まで足し合わせて、前記グループgに属しない送信側装置からの受信参照信号がキャンセルされて、前記グループgに属する1又は複数の送信側装置からの受信参照信号を含むグループgの受信参照信号r(g)(g=1,...,G)を取得することと、
前記受信参照信号r(g)(g=1,...,G)に基づいて、通信路推定を行うことと、
をさらに含む、
請求項14から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
コンピュータが、
前記K台の送信側装置から前記連送におけるn回目のデータ信号の送信によって送信され、前記受信アンテナによって受信された、送信側装置k(k=1,...,K)からのデータ信号d(k,n)を含むデータ信号d(n)を、前記連送におけるN回分足し合わせてデータ信号dを取得することと、
前記通信路推定の結果を用いて、前記データ信号dから、前記送信側装置kから受信されたデータ信号d(k)を分離することと、
をさらに含む、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
コンピュータが、
M本(M:正の整数)の受信アンテナによって前記K台の送信側装置から同時に信号を受信しており、且つ、前記K台の送信側装置のそれぞれが前記連送を行う場合に、各受信アンテナについて、前記通信路推定を実行する、
請求項18又は19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線通信に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、コネクテッドカー、及び、ドローン等の低遅延性が重要となる移動型のIoT端末の増加が予想されている。しかしながら、移動型のIoT端末を収容する周波数資源はひっ迫している。そのため、無線通信では、低遅延性と、周波数の効率的な利用とが求められる。
【0003】
低遅延な無線通信の実現には、コンフィギュアドグラント(Configured Grant:CG)が用いられる。従来の通信手順では、端末が基地局に対してデータを送信する際に、まず、基地局から、送信の許可(グラント)と、そのデータ送信で使用できる無線リソースの指定とを受信し、指定された無線リソースによりデータを送信する。一方、これに対して、CGでは、例えば、基地局が予めデータ送信に使用可能な無線リソース等を指定する送信パラメータ、及び、通信許可を端末に通知しておく。これによって、端末は、データを送信する際に、基地局とのネゴシエーションを省略して、直ちに、指定されている無線リソースを使用し、基地局にデータを送信できる。
【0004】
周波数の効率的な利用の実現には、非直交多元接続(Non-Orthogonal Multiple Access:NOMA)が利用される。NOMAは、同一周波数帯及び同一時間領域を複数の端末で共有する方式である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Masafumi MORIYAMA、Kenichi TAKIZAWA、Masayuki OODO、Hayato TEZUKA、Fumihide KOJIMA、“Experimental Evaluation of a Novel Up-link NOMA System for IoT communication Equipping Repetition Transmission and Receive Diversity,” IEICE TRANSACTIONS on Communications、2019年8月1日、Vol.E102-B, No.8, pp1467-1476
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、NOMAを利用する場合には、各端末から送信された信号が基地局において重畳されて受信されるため、基地局において受信される信号は、重畳による端末間の干渉の影響を受ける可能性が高い。その結果、基地局が、各端末から送信された元の信号を復元することが困難になる可能性があり、通信品質が低下する。
【0007】
本開示の態様の一つは、複数の端末で同一周波数帯及び同一時間領域を共有する場合における無線通信の品質を向上可能な情報処理装置、送信側装置、及び、方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の態様の一つは、
受信アンテナによってK台(K:正の整数)の送信側装置から同時に信号を受信しており、且つ、同じ信号をN回(N:正の整数)繰り返し連続して送信する連送が前記K台の送信側装置によって行われる場合に、
前記K台の送信側装置をG個(G:正の整数、1<G≦K)のグループに分けることと、
前記連送におけるn回目(n=1,...,N)の参照信号の送信で前記K台の送信側装置に含まれる送信側装置k(k=1,...,K)から送信される送信参照信号x(k,n)を得るために、送信参照信号x(k)に与えられる位相回転量であって、前記送信側装置kが属するグループg(g=1,...,G)に割り当てられる位相回転量φ(g,n)を、
前記連送におけるn回目の参照信号の送信で、前記受信アンテナにおいて受信される受信参照信号r(n)であって、前記K台の送信側装置それぞれからの送信参照信号を含む受信参照信号r(n)に、前記位相回転量φ(g,n)とは逆の位相回転量を与えて、前記連送における1回目からN回目まで足し合わせた際に、前記グループgに属していない送信側装置からの受信参照信号がキャンセルされるように、
取得することと、
前記送信側装置kへ、前記グループgの1回目からN回目それぞれの位相回転量φ(g,n)を含む位相列Φg={φ(g,1),...,φ(g,N)}を送信することと、
を実行する制御部、
を備える情報処理装置である。
【0009】
本開示の他の態様の一つは、
少なくとも1本の送信アンテナと、
他のK-1台の送信側装置とともに同時に信号を送信し、且つ、前記他のK-1台の送信側装置とともに、それぞれがN回(N:正の整数)繰り返し連続して同じ信号を送信する連送を行う場合に、前記連送におけるn回目(n=1,...,N)の参照信号の送信で、前記他のK-1台の送信側装置に自装置を加えたK台の送信側装置が分けられたG個のグループのうちの自送信側装置が属するグループg(g:1からGの整数)に割り当てられた、送信参照信号x(s)(sは自装置を示す)に与えられる位相回転量φ(g,n)を含む位相列Φg={φ(g,1),...,φ(g,N)}を、受信側装置から受信することと、
前記連送におけるn回目の参照信号の送信で、前記送信参照信号x(s)に位相回転量φ(g,n)を与えて送信参照信号x(s,n)を取得することと、
前記少なくとも1本の送信アンテナから、前記送信参照信号x(s,n)を送信することと、
を実行する制御部と、
を備える送信側装置である。
【0010】
本開示の他の態様の一つは、
コンピュータが、
受信アンテナによってK台(K:正の整数)の送信側装置から同時に信号を受信しており、且つ、同じ信号をN回(N:正の整数)繰り返し連続して送信する連送が前記K台の送信側装置によって行われる場合に、
前記K台の送信側装置をG個(G:正の整数、1<G≦K)のグループに分けることと、前記連送におけるn回目(n=1,...,N)の参照信号の送信で前記K台の送信側装置に含まれる送信側装置k(k=1,...,K)から送信される送信参照信号x(k,n)を得るために、送信参照信号x(k)に与えられる位相回転量であって、前記送信側装置kが属するグループg(g=1,...,G)に割り当てられる位相回転量φ(g,n)を、
前記連送におけるn回目の参照信号の送信で、前記受信アンテナにおいて受信される受信参照信号r(n)であって、前記K台の送信側装置それぞれからの送信参照信号を含む受信参照信号r(n)に、前記位相回転量φ(g,n)とは逆の位相回転量を与えて、前記連送における1回目からN回目まで足し合わせた際に、前記グループgに属していない送信側装置からの受信参照信号がキャンセルされるように、
取得することと、
前記送信側装置kへ、前記グループgの1回目からN回目それぞれの位相回転量φ(g,n)を含む位相列Φg={φ(g,1),...,φ(g,N)}を送信することと、
を含む方法である。
【発明の効果】
【0011】
本開示の態様の一つによれば、複数の端末で同一周波数帯及び同一時間領域を共有する場合における無線通信の品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る無線通信システムの構成を例示する図である。
【
図2】
図2は、SICについて説明を示す図である。
【
図4】
図4は、信号伝送を行う無線フレームを示す図である。
【
図5】
図5は、基地局及び端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、端末の機能構成の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、基地局の機能構成の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、基地局による連送制御処理のフローチャートである。
【
図9】
図9は、基地局の連送パラメータ取得処理のフローチャートの一例である。
【
図10】
図10は、基地局と端末k間の伝搬損失Lkの測定と伝搬損失Lkの昇順での端末の並び替えとの処理のフローチャートの一例である。
【
図11】
図11は、基地局と端末k間の伝搬損失Lkの測定と伝搬損失Lkの昇順での端末の並び替えとの処理のフローチャートの一例である。
【
図12】
図12は、端末kの送信電力値Pkと送信参照信号x_RS(k)の割り当ての処理のフローチャートの一例である。
【
図13】
図13は、連送における各回の送信で各端末が用いる位相回転量φ(k,n)の割り当て処理のフローチャートの一例である。
【
図14】
図14は、基地局における通信路推定処理のフローチャートの一例である。
【
図15】
図15は、参照信号の連送において、送信参照信号及び受信参照信号について位相回転が行われない場合の、基地局における受信参照信号の相関特性を示すグラフの一例である。
【
図16】
図16は、参照信号の連送において、第1実施形態のように、送信参照信号及び受信参照信号について位相回転が行われる場合の、基地局における受信参照信号の相関特性を示すグラフの一例である。
【
図17】
図17は、シミュレーションの結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
端末から送信されたデータ信号は、基地局に到達するまでの間の環境の影響を受けて、干渉信号が加わって基地局に到達する。そのため、基地局では、通信路の影響を推定し、通信路の推定結果を用いて、受信データ信号から元のデータ信号を復元する。すなわち、通信路を精度よく推定することで、データ信号をより正確に復元することができ、無線通信の品質を向上させることができる。
【0014】
通信路の推定は、端末から受信される参照信号を用いて行われる。そのため、通信路を精度良く推定するためには、参照信号の信号対雑音比(Signal-Noise Ratio:SNR)が十分に得られることが求められる。
【0015】
また、端末が移動し、例えば、基地局からの距離が遠くなることによって、当該端末からの受信信号のSNRが十分に得られない状況が発生することがある。このような場合には、端末に同じ信号を所定回数繰り返し送信させ、当該端末から当該所定回数分受信され
た信号を足し合わせることによって、当該端末からの受信信号について十分なSNRを得ることができる。同じ信号を所定回数繰り返し送信することを連送(Repetition)という。連送は、参照信号とデータ信号との両方に対して行われる。
【0016】
しかしながら、複数の端末が同一周波数帯及び同一時間領域を共有する場合には、たとえ、連送が行われて、受信参照信号のSNRが十分に得られたとしても、受信参照信号に端末間の干渉が残る。受信参照信号に端末間の干渉が残っており、その影響が大きい場合には、通信路の推定の精度が低下してしまい、データ信号の復元の精度が低下することがある。
【0017】
本開示の態様の一つでは、基地局において、複数の端末からの連送における所定回数分の受信参照信号の足し合わせによって、一部の端末からの受信参照信号をキャンセルさせることで、残りの一部の端末からの受信参照信号を取り出すようにする。取得された受信参照信号は、一部の端末からの受信参照信号による干渉が残っておらず、残りの一部の端末から基地局までの通信路を精度よく推定できるようになる。
【0018】
具体的には、本開示の態様の一つは、制御部を備える情報処理装置である。当該情報処理装置は、受信側装置に備えられる装置であってもよいし、受信側装置とは独立した装置であってもよい。受信側装置は、例えば、基地局である。ただし、これに限定されず、受信側装置は、データ信号を受信する際の端末であってもよい。制御部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであってもよい。送信側装置は、例えば、
ユーザ端末(User Equipment:UE)である。ただし、これに限定されず、送信側装置は、例えば、データ信号の送信を行う場合の基地局であってもよい。
【0019】
本開示の態様の一つでは、受信側装置に備えられている受信アンテナによって、K台(K:正の整数)の送信側装置から同時に信号が受信されており、且つ、同じ信号をN回(N:正の整数)繰り返し連続して送信する連送がK台の送信側装置のそれぞれによって行われる場合が想定される。このような場合に、制御部は、K台の送信側装置をG個(G:正の整数、1<G≦K)のグループに分ける。同じグループに属する送信側装置は、同じ位相回転量φ(g,n)を用いる。位相回転量φ(g,n)は、グループg(g:1からGまでの整数)に属する送信側装置kが連送におけるn回目(n:1からNまでの整数)の参照信号の送信で用いる位相回転量である。
【0020】
送信側装置k(k:1からKまでの整数)は、送信参照信号x(k)を生成する。送信参照信号x(k)は、連送における1回目からN回目までの送信において同じ信号である。連送におけるn回目の参照信号の送信の際には、送信側装置kは、送信参照信号x(k)に位相回転量φ(g,n)(g:送信側装置kが属するグループ)を与えて得られる送信参照信号x(k,n)を送信する。
【0021】
受信側装置では、受信アンテナによって、連送におけるn回目の参照信号の送信で、受信参照信号r(n)を受信する。受信参照信号r(n)には、K台の送信側装置それぞれからの送信参照信号に対応する受信参照信号が含まれている。受信参照信号r(k,n)は、送信側装置kから送信される送信参照信号x(k,n)に通信路における影響が加わった信号に対応しており、送信参照信号x(k,n)と雑音とを含む。
【0022】
制御部は、送信側装置kが連送におけるn回目の送信参照信号x(k)の送信に用いる位相回転量φ(g,n)を、連送におけるn回目の送信での受信参照信号r(n)に、グループgの位相回転量φ(g,n)とは逆の位相回転量を与えて、1回目からN回目まで足し合わせた際に、グループgに属していない送信側装置からの受信参照信号がキャンセルされるように、取得する。より具体的には、制御部は、位相回転量φ(g,n)を、G
個のグループのうち2つのグループg1、g2(g1∈{1,...,G}、g2∈{1,...,G}、g1≠g2)の全ての組み合わせにおいて、位相列Φg1と位相列Φg2とが直交するように、取得する。制御部は、送信側装置kへ、グループgの1回目からN回目それぞれの位相回転量φ(g,n)を含む位相列Φg={φ(g,1),...,φ(g,N)}を送信する。
【0023】
各送信側装置kが、位相回転量φ(k,n)を用いて、参照信号の連送を行った場合に、受信側装置では、グループgについて、連送のn回目の送信での受信参照信号r(n)に、グループgの位相回転量φ(g,n)と逆の位相回転量を与えて、1回目からN回目までの分を足し合わせて、受信参照信号r(g)を取得する。連送のn回目の送信での受信参照信号r(n)には、グループgに属する送信側装置kからの受信参照信号r(k,n)と、グループgに属しない送信側装置pからの受信参照信号r(p,n)とが含まれている。しかしながら、連送におけるn回目の送信での受信参照信号r(p,n)に送信側装置pが属していないグループgの位相回転量φ(g,n)を乗じて、連送の1回目からN回目まで足し合わせることで、受信参照信号r(p,n)がキャンセルされる。結果として、受信参照信号r(g)には、グループgに属する1又は複数の送信側装置から受信される受信参照信号は含まれるが、グループgに属しない送信側装置からの受信参照信号は含まれないことになる。
【0024】
すなわち、受信参照信号r(g)に含まれる、グループgに属する送信側装置kからの受信参照信号r(k)は、グループgに属していない送信側装置からの受信参照信号の干渉の影響を受けない。各グループについて同様のことを行い、受信参照信号r(g1),...,r(G)を得ることによって、送信側装置kからの受信参照信号r(k)を、より端末間の干渉の影響を小さくして得ることができる。したがって、受信参照信号r(g1),...,r(G)に基づいて、通信路の推定が行われる場合には、より精度の良い推定結果を得ることができる。より精度の良い推定結果を得ることによって、参照信号に対応するデータ信号をより精度よく復元することができ、結果的に、無線通信の品質を向上させることができる。
【0025】
本開示の態様の一つでは、制御部は、K台の送信側装置それぞれからの伝搬損失の昇順、受信信号電力の降順、又は、信号対雑音比の昇順に基づいて、G個のグループを作成してもよい。これによって、受信信号電力の大きさが似通った送信側装置同士をグループのメンバとすることができる。G個のグループのうち、受信信号電力が小さい方のグループgについて、r(g)を求めることによって、受信信号電力が大きい方のグループの送信側装置pからの受信参照信号r(p)をキャンセルできる。通常、受信信号電力が小さい方のグループgに属する送信側装置sからの受信参照信号r(s)は、受信信号電力が大きい方のグループの送信側装置pからの受信参照信号r(p)の干渉の影響を大きく受ける。一方、本開示の態様の一つによれば、受信信号電力が小さい方のグループgに属する送信側装置sからの受信参照信号r(s)への、受信信号電力が大きい方のグループの送信側装置pからの受信参照信号r(p)による干渉の影響を小さくすることができ、受信信号電力が小さい方のグループgに属する送信側装置sからの受信参照信号r(s)の相関特性を精度よく取得することができる。
【0026】
なお、受信側装置が、M本(M:正の整数)の受信アンテナを備える場合には、各受信アンテナについて、上記と同様にして、連送によって送信されたN回分の参照信号を足しわせて、受信参照信号r(g1),...,r(G)を得て、通信路の推定を実行するようにしてもよい。
【0027】
本開示の他の態様の一つは、送信側装置である。送信側装置は、少なくとも1本の送信アンテナと、制御部を備える。送信側装置の制御部は、例えば、CPU等のプロセッサで
ある。送信側装置の制御部は、他のK-1台の送信側装置とともに同時に信号を送信し、且つ、他のK-1台の送信側装置とともに、それぞれがN回(N:正の整数)繰り返し連続して同じ信号を送信する連送を行う場合に、位相列Φg={φ(g,1),...,φ(g,N)}を、受信側装置から受信する。位相列Φgは、連送におけるn回目の参照信号の送信で、他のK-1台の送信側装置に自装置を加えたK台の送信側装置が分けられたG個のグループのうちの自送信側装置が属するグループgに割り当てられた、送信参照信号x(s)(sは自装置を示す)に与えられる位相回転量φ(g,n)を含む。送信側装置の制御部は、連送におけるn回目の参照信号の送信で、送信参照信号x(s)に位相回転量φ(g,n)を与えて送信参照信号x(s,n)を取得することと、少なくとも1本の送信アンテナから、送信参照信号x(s,n)を送信することと、を実行する。上記の送信側装置が上記のように連送におけるn回目の送信参照信号x(s,n)を送信することによって、受信側装置では、精度良く、通信路を推定することができる。
【0028】
本開示は、他の態様の一つを、コンピュータが実行する方法として特定することも可能である。コンピュータは、例えば、上記情報処理装置に該当するコンピュータである。当該方法は、コンピュータが、受信アンテナによってK台(K:正の整数)の送信側装置から同時に信号を受信しており、且つ、同じ信号をN回(N:正の整数)繰り返し連続して送信する連送がK台の送信側装置によって行われる場合に、K台の送信側装置をG個(G:正の整数、1<G≦K)のグループに分けることと、連送におけるn回目(n=1,...,N)の参照信号の送信でK台の送信側装置に含まれる送信側装置k(k=1,...,K)から送信される送信参照信号x(k,n)を得るために、送信参照信号x(k)に与えられる位相回転量であって、送信側装置kが属するグループg(g=1,...,G)に割り当てられる位相回転量φ(g,n)を、連送におけるn回目の参照信号の送信で、受信アンテナにおいて受信される受信参照信号r(n)であって、K台の送信側装置それぞれからの送信参照信号に対応する受信参照信号を含む受信参照信号r(n)に、位相回転量φ(g,n)とは逆の位相回転量を与えて、連送における1回目からN回目まで足し合わせた際に、グループgに属していない送信側装置からの受信参照信号がキャンセルされるように、取得することと、送信側装置kへ、グループgの1回目からN回目それぞれの位相回転量φ(g,n)を含む位相列Φg={φ(g,1),...,φ(g,N)}を送信することと、を含む。
【0029】
以下、図面に基づいて、本開示の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本開示は実施形態の構成に限定されない。
【0030】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る無線通信システム100の構成を例示する図である。無線通信システム100は、基地局1と、基地局1との間で無線により通信する複数の端末2-1、2-2、・・・、2-Kを含む。端末2-1等は、総称して端末2とも称する。端末2は、無線通信端末、ユーザ端末(UE)、送信局、端末局、又は、送信側装置ともいうことができる。基地局1は、M本の受信アンテナと、無線処理装置105と制御装置10とを備える。
【0031】
無線通信システム100では、NOMAが用いられており、各受信アンテナは、K台の端末2からの信号を同一周波数帯の同一時間領域で受信する。そのため、基地局1では、K台の端末2からの信号は重畳されて受信されるため、端末間干渉を除去する。第1実施形態では、端末間干渉を除去する技術として、基地局1は、例えば、逐次型干渉除去(Successive Interference Cancellation:SIC)を利用する。また、無線通信システム100では、1回の信号の送信で基地局において十分なSNRが得られない場合には、各端末2は、同じ信号を所定回数繰り返し送信する連送を行う。
【0032】
第1実施形態では、基地局1は、K台の端末2をG個のグループに分ける。基地局1は、1つのグループに属する端末2以外の端末2から受信される参照信号が、基地局1で連送における各回の受信信号を足し合わせることによって打ち消し合うように、各グループについて、位相回転量φを取得し、各グループに属する端末2へ通知する。第1実施形態では、端末2は、参照信号の連送を行う場合には、属するグループgに与えられる位相回転量φを送信参照信号(送信RS)に与えて送信する。基地局1は、連送において送信されたN回分の受信参照信号(受信RS)を足し合わせる際に、各回の受信RSに、グループgの送信RSに与えられた位相回転量φとは逆の位相回転量-φを与える。このようにすることで、基地局1は、N回分の受信RSから、グループgに属する端末2以外の端末2の受信RSをキャンセルし、グループgに属する端末2からの受信RSを取得することができる。このようにして得られたグループgに属する端末2からの受信RSは、他のグループに属する端末2からの受信RSの干渉を受けていない状態で取得することができる。
【0033】
基地局1は、K台の端末2から受信したデータ信号から各端末2から送信されたデータ信号を復元する場合、及び、SICを行う場合に、各端末2と基地局1との間の通信路の推定結果を用いる。通信路の推定は、受信RSに基づいて行われる。したがって、各端末2からの受信RSを端末間干渉の少ない状態で取得することによって、通信路の推定の精度を向上させることができ、結果的に無線通信の品質を向上させることができる。
【0034】
図2は、SICについて説明を示す図である。端末2から基地局1への上り回線において、NOMAが用いられる場合には、1の端末に対して他の端末の信号が干渉信号となる。SICは、受信信号電力が高い端末2からの受信信号を再現したレプリカ信号を作成し、受信した重畳信号からレプリカ信号を差し引くことで干渉を除去する。この処理を繰り返すことによって、重畳信号から各端末2からの受信データ信号を分離して復元することができる。端末2からの受信データ信号を分離する際及びレプリカ信号を作成する際に、通信路の推定値が用いられる。
【0035】
図2では、重畳信号には、端末A、端末B、及び、端末Cからの受信信号が含まれている。端末A>端末B>端末Cの順で受信信号電力が大きいこととする。SICでは、まず、最も大きい受信信号電力である端末Aからの受信信号が分離されて復元され、端末Aのレプリカ信号が重畳信号から差し引かれる。残った重畳信号には、端末Bと端末Cからの受信信号が含まれている。端末B及び端末Cからの受信信号にとっては、端末Aからの受信信号は干渉信号であり、その信号電力は大きいため、干渉の影響も大きい。重畳信号から端末Aのレプリカ信号が差し引かれることによって、端末B及び端末Cからの受信信号にとって影響の大きい干渉信号がなくなるので、残った重畳信号から端末Bの受信信号が分離されて復元された場合には、より干渉の影響が少なく、精度の良い信号を得ることができる。ここでいう精度が良いとは、端末Bから送信された元の信号と、SICによって復元された信号との誤差が小さいことを示す。
図2に示される例では、残った重畳信号から端末Bのレプリカ信号が差し引かれると、端末Cからの受信信号が得られる。
【0036】
ただし、SICを行う際には、端末2間で受信信号電力の差が十分にない場合には、端末2におけるSNRが十分に得られない可能性が高く、各端末2からの受信信号を分離して復元することができないことがある。受信信号電力の差は、例えば、
図2における、端末Aからの受信信号と端末Bからの受信信号の電力差A-B、端末Bからの受信信号と端末Cからの受信信号の電力差B-Cである。
【0037】
図3は、連送を説明する図である。
図3では、5台の端末2が同一の周波数帯及び時間領域を共有している場合の連送で受信される信号が示されている。NOMAでは、1スロットと呼ばれる時間領域に、それぞれ電力値の異なる各端末2の信号が格納される。
図3
で1つのブロックは1つの端末2の信号を示し、ブロック内の数字は端末を示す。連送における各端末2の信号の送信電力値は、例えば、連送に先立って、基地局1の制御装置10によって決定され、各端末2へ通知される。
【0038】
連送では、各端末2が、同じ信号をN回繰り返し連続して送信する。なお、1回目からN回目まで端末2から送信される信号は同じ信号であるが、端末2間では信号は異なっている。連送において、同じ信号が送信される回数Nは、例えば、通信路の環境が変動しないと想定される時間長で連送が終了するように設定される。通信路の環境は、例えば、端末2の移動、障害物の移動、及び、天候等の影響によって変動する。
【0039】
図3では、端末#kのn回目の送信において、送信参照信号に与えられる位相回転量φ(k,n)も示されている。kは、端末を示す変数であり、1からKまでの値をとる。nは、連送における送信回数を示す変数であり、1からNまでの値をとる。
【0040】
第1実施形態では、位相回転量φ(k,n)は、グループ間で異なり、且つ、各回の送信間で異なるように求められる。具体的には、
図3において、グループ1に属する端末#1から端末#3に与えられるN回分の位相回転量{φ(g1,1),φ(g1,2),...,φ(g1,6)}と、グループ2に属する端末#4及び端末#5に与えられるN回分の位相回転量{φ(g2,1),φ(g2,2),...,φ(g2,6)}とは、異なる。例えば、1回目の送信で用いられる各端末#kの位相回転量{φ(1,1),φ(2,1),...,φ(5,1)}と、2回目の送信で用いられる各端末#kの位相回転量{φ(1,2),φ(2,2),...,φ(5,2)}とは、異なる。
【0041】
なお、N回分の位相回転量φ(k,n)がグループ間で異なるとは、全てのグループがN回分の位相回転量φ(k,n)について同じ値をとらないことを示し、一部のグループが同じ値をとってもよい。例えば、3つのグループが存在する場合には、当該3つのグループに与えられるN回分の位相回転量φ(g,n)が同じでなければよく、3つのグループのうち2つのグループのN回分の位相回転量φ(g,n)が同じであってもよい。
【0042】
各端末kで用いられる位相回転量φ(k,n)が各回の送信間で異なるとは、全ての回の送信において各端末kで用いられる位相回転量φ(k,n)が同じ値をとらないことを示し、一部の送信回において、各端末kで用いられる位相回転量φ(k,n)が同じ値をとってもよい。例えば、
図3に示される例において、1回目から6回目の全ての送信について、端末#1から端末#5の位相回転量φの値の組み合わせが同じでなければよく、例えば、1回目の送信における端末#1から端末#5の位相回転量φ(k,1)の組み合わせと、3回目の送信における端末#1から端末#5の位相回転量φ(k,3)の組み合わせと、が同じであってもよい。なお、位相回転量φ(k,n)の決定方法の詳細については後述される。
【0043】
図4は、信号伝送を行う無線フレームを示す図である。無線フレームは、時間領域における信号伝送の1単位である。無線フレームは、10ms単位で定義される。1つの無線フレームは、さらに複数のサブフレームを含む。サブフレームは、1ms単位で定義される。サブフレームは、さらに複数のスロットを含む。スロットは、データのスケジューリング単位である。スロットは、例えば、500μSである。
【0044】
無線通信を行う場合には、サブフレーム単位で、上りリンク(UpLink:UL)又は下りリンク(DownLink:DL)のいずれかが割り当てられる。端末2から基地局1への方向が上りリンクである。基地局1から端末2への方向が下りリンクである。端末2がデータを送信する場合には、上りリンクに割り当てられたサブフレームが用いられる。
【0045】
端末2がデータを送信する場合には、RSとDSとの一対が送信される。RS及びDSは、それぞれ、1つのスロットに配置される。ただし、RS及びDSそれぞれを格納するスロットは隣同士でなくてもよい。
図4に示される例では、RSとDSとが交互に配置されているが、RSおよびDSの配置は
図4に示されるものに限定されない。RSとDSとでは役割及び含まれるデータが異なるため、端末2及び基地局1それぞれにおいて、RSとDSとに対する処理は異なる。
【0046】
<装置構成>
図5は、基地局1及び端末2のハードウェア構成の一例を示す図である。
図5では、基地局1を受信側装置、端末2を送信側装置であることが想定されている。基地局1は、制御装置10と、無線処理装置105、及び、M本のアンテナ106を備える。
【0047】
制御装置10は、基地局1の無線通信に係る制御を行う。制御装置10は、プロセッサ101と、メモリ102と、内部インターフェース103と、他の基地局等と通信するためのネットワークインターフェース104と、を有する。
【0048】
プロセッサ101は、例えば、Central Processing Unit (CPU)、又は、Microprocessor Unit (MPU)とも呼ばれる。プロセッサ101は、単一のプロセッサに限定されず、マルチプロセッサ構成であってもよい。また、単一のソケットで接続される単一の物理CPUがマルチコア構成を有していても良い。さらにまた、プロセッサ101は、Digital Signal Processor(DSP)、及び、Graphics Processing Unit(GPU)等の様々な回路構成の演算装置を含んでも良い。また、プロセッサ101は、集積回路(IC)、その他のデジタル回路、またはアナログ回路と連携するものでもよい。集積回路は、LSI、 Application Specific Integrated Circuit(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)を含むものでもよい。PLDは、例えば、Field-Programmable Gate Array(FPGA)を含むものでもよい。したがって、プロセッサ101は、例えば、マ
イクロコントローラ(MCU)、SoC(System-on-a-chip)、システムLSI、チップセットなどと呼ばれるものでもよい。
【0049】
メモリ102は、プロセッサ101が実行する命令列(コンピュータプログラム)、または、プロセッサ101が処理するデータ等を記憶する。プロセッサ101とメモリ102とは、ベースバンド装置(BBU)とも呼ばれることがある。内部インターフェース103は、種々の周辺装置をプロセッサに接続する回路である。
【0050】
ネットワークインターフェース104は、他の基地局が接続されるネットワークに基地局1がアクセスするための通信装置である。他の基地局が接続されるネットワークは、バックホールとも呼ばれる。バックホールは例えば、光通信による有線ネットワークである。
【0051】
無線処理装置105は、無線信号を送信するトランスミッタおよび無線信号を受信するレシーバ等を含み、M本のアンテナ106に接続される。無線処理装置105は、トランスミッタおよびレシーバをそれぞれアンテナと同数のM系統有してもよい。
【0052】
制御装置10は、基地局1とは独立した装置であって、基地局1は無線処理装置105とM本のアンテナ106とを有し、制御装置10と基地局1とは、例えば、光通信による有線ネットワークで接続して、遠隔に設置される構成とすることもできる。また、1つの独立した制御装置10に、無線処理装置105とM本のアンテナ106とを有する複数の基地局1が接続される構成であってもよい。なお、このような構成の場合に、無線処理装置105とM本のアンテナ106とを有する基地局1は、遠隔無線ヘッドとも呼ばれ、遠隔無線ヘッドと制御装置10とを接続するネットワークは、フロントホールとも呼ばれる
。
【0053】
次に、端末2は、プロセッサ201と、メモリ202と、外部記憶装置203と、無線通信部204と、アンテナ205と、を有する。端末2は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末、コネクテッドカーに搭載されているデータ通信装置、ドローン、及び、その他IoT端末である。ただし、
図5では、無線通信に係る処理を行うハードウェア構成要素が抽出して示されており、端末2が備えるハードウェア構成要素は
図5に示されるものに限定されない。
【0054】
プロセッサ201及びメモリ202は、プロセッサ101と、メモリ102と同様である。外部記憶装置203は、様々なプログラムや、各プログラムの実行に際してプロセッサ201が使用するデータを格納する。外部記憶装置203は、例えば、EPROM(Erasable Programmable ROM)、又は、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive)である。外部記憶装置203に保持されるプログラムには、例えば、オペレーティングシステム(OS)、無線信号処理プログラム、及び、その他様々なアプリケーションプログラムがある。
【0055】
無線通信部204は、例えば、5G(5th Generation)、6G、及び、それ以降の移動体通信方式に従った無線通信回路である。無線通信部204は、無線信号を送信するトランスミッタおよび無線信号を受信するレシーバ等を含み、アンテナ205に接続している。なお、端末2は、複数のアンテナを備え、無線通信部204は、複数のアンテナ205を接続してもよい。基地局1及び端末2のハードウェア構成は、
図5に示されるものに限定されない。
【0056】
図6は、端末2の機能構成の一例を示す図である。端末2は、機能構成として、RS送信処理部21とデータ信号送信処理部22とを備える。これらの機能構成要素による処理は、端末2のプロセッサ201が無線信号処理プログラムを実行することによって達成される。なお、
図6に示される端末2の機能構成は、信号を送信する側の処理である。
【0057】
RS送信処理部21は、参照信号を生成し、送信するまでの処理を行う。RS送信処理部21は、系列生成部211、巡回シフト部212、変調部213、及び、位相回転部214を備える。系列生成部211は、例えば、Zadoff-Chu系列等の直交系列を用いて、周波数領域における系列X_RSを生成する。「_」以降の文字は、
図6では、下付き文字として表記されている。また、大文字のX_RSは周波数領域における信号を表し、小文字のx_RSは時間領域における信号を表す。
【0058】
巡回シフト部212は、系列生成部211で生成された系列X_RSの開始点を所定サンプル数巡回シフトさせ、参照信号として用いられる系列を取得する。巡回シフトとは、系列X_RSの開始点をずらし、ずらした開始点までの系列を末尾に移動させて、同じサイズの系列を作成することをいう。巡回シフト部212は、上記のような巡回シフトを周波数領域において行っている。
【0059】
系列生成部211で生成される系列X_RSは、同時に送信を行うK台の端末2間で共通した系列である。そのため、系列X_RSをそのまま用いると、端末2間でRSが干渉しあってしまうので、各端末2で使用する系列を異ならせる。巡回シフト部212は、端末2に応じて、系列X_RSの開始点を所定サンプル数ずらす。端末2ごとに系列X_RSの開始点が異なることによって、各端末2でRSに用いられる系列が異なることになる。
図6では、巡回シフト部212で得られる参照信号が周波数領域における複素数で表示されている。kは、同時に送信するK台の端末のうち、自端末2に該当する値である。系列X_RSを巡回シフトさせる際のサンプル数は周波数領域における複素数で表示した場
合に位相差として表示され、
図6中の「Δθ」は、隣り合う2台の端末2間の位相差である。隣り合う端末2とは、K台中の端末2を示すkの値が連続している2台の端末をいう。例えば、k=1が示す端末2と、k=2が示す端末2とは隣り合う端末2である。
【0060】
変調部213は、巡回シフト部212によって得られた参照信号に対して、例えば、逆離散フーリエ変換(IDFT)を行い、周波数領域の信号から時間領域の信号に変換する、変調を行う。変調部213によって得られる参照信号をx_RS(k)と表記する。
図6では、参照信号x_RS(k)が複素数で表記されている。
図6中の「IDFT」は逆離散フーリエ変換を示す。
【0061】
位相回転部214は、変調部213によって得られる参照信号x_RS(k)に、位相回転量φ(k,n)を与える。nは、連送において何回目の送信であるかを示し、1からNまでの値をとる。
図6では、位相回転部214によって位相回転された参照信号x_RS(k,n)が複素数が表記されている。位相回転部214によって位相回転された参照信号x_RS(k,n)が端末2から送信される送信参照信号となる。
【0062】
端末2が連送を行う場合には、連送の各回の送信において、系列生成部211、巡回シフト部212、変調部213によって得られる参照信号x_RS(k)は同じ値である。位相回転部214において参照信号に与えられる位相回転量φ(k,n)は、連送の各回の送信について設定されているので、連送におけるn回目の参照信号はx(k,n)となる。
【0063】
次に、データ信号送信処理部22は、CRC(Cyclic Redundancy Check)符号化部2
21、符号化部222、及び、変調部223を備える。CRC符号化部221は、送信対象のユーザデータのデータブロックに対して生成多項式による除算を行って得られた剰余を検査ビット列としてデータブロックに付与する。データブロックは、ビット列である。CRCは、復元したデータのエラー検出に用いられる。基地局1で端末2からの送信データ信号が復調及び復号され、データブロックが得られた場合に、基地局1が得られたデータブロックとCRC符号化時と同じ生成多項式による除算を行い、剰余が生じた場合に、エラーが検出される。
【0064】
符号化部222は、CRC符号化部221によって検査ビット列が付与されたデータブロックを誤り訂正符号化する。誤り訂正符号は、ブロック符号でもたたみこみ符号でもよく、符号化の種類に制限はない。変調部223は、誤り訂正符号化されたデータをデジタル変調する。デジタル変調の方式は、例えば、Quadrature Amplitude Modulation (QAM)、Phase Shift Keying (PSK)等である。その後、データ信号が無線通信部20
4に出力され、アンテナ205から送信される。
【0065】
端末2がアンテナ205を複数備える場合には、変調部223によってデジタル変調された信号に対して、送信ダイバーシチ処理が行われる。送信ダイバーシチ処理では、デジタル変調された信号が複数に分離され、分離された信号に複素数で与えられる係数を与えた上で、無線通信部204を通じて、複数のアンテナ205から放射される。
【0066】
図6では、端末2の信号の送信側の処理に係る機能構成について表示されているが、端末2は、その他に、信号の受信側の処理を行う機能構成も有する。例えば、端末2は、基地局1から、端末2が連送の各回の送信において用いる位相回転量φ(k、n)(n=1,...,N)を受信する。
【0067】
図7は、基地局1の機能構成の一例を示す図である。基地局1は、機能構成として、RS受信処理部11-1、11-2、...、11-M、データ信号受信処理部12-1、
12-2、...、12-M、合成部13、復号部14、制御部15、及び、送信部16を備える。これらの機能構成要素の処理は、プロセッサ101が所定のプログラムを実行することによって行われる。RS受信処理部11-1、11-2、...、11-Mを総称する場合には、RS受信処理部11、と称する。データ信号受信処理部12-1、12-2、...、12-Mを総称する場合には、データ信号受信処理部12、と称する。アンテナ106-1、106-2、...、106-Mを総称する場合には、アンテナ106、と称する。また、特に言及しない場合には、RS受信処理部11、データ信号受信処理部12は、同じアンテナ106に対応するものであることとする。以下、アンテナ106、RS受信処理部11、及び、データ信号受信処理部12を特定のものに限定せずに説明を行う。また、端末2が連送を行う場合の信号処理について説明する。
【0068】
制御部15は、端末2のデータ送信の開始に際して、データ送信に使用可能な無線リソース等を指定する送信パラメータ、及び、通信許可を送信する。また、制御部15は、端末2に対して連送の開始及び終了の指示を行う。制御部15は、連送の開始を、例えば、端末2からの受信信号のSNRが所定値よりも低くなった場合に判定する。制御部15は、連送の終了を、端末2からのデータ信号の受信によって判定する。制御部15からの送信パラメータ、通信許可、連送開始の指示、及び、連送終了の指示は、制御チャネルで端末2へ送信される。
【0069】
制御部15は、連送開始の指示とともに、端末kがn回目の参照信号の送信で用いる位相回転量φ(k、n)を含む連送パラメータを端末2へ通知する。連送パラメータの取得処理の詳細については、後述される。
【0070】
送信部16は、制御部15から入力された信号を端末2へ送信する。制御部15では、例えば、端末2のRS送信処理部21及びデータ信号送信処理部22と同様の処理が行われて、無線処理装置105を通じて、アンテナ106から信号を送出する。
【0071】
RS受信処理部11は、アンテナ106で受信された受信参照信号に対して受信処理を行う。RS受信処理部11は、積分部111と通信路推定部112とを備える。積分部111は、K台の端末2から連送におけるN回分の受信参照信号を足し合わせる。これによって、十分なSNRを有する受信参照信号を得る。
【0072】
通信路推定部112は、受信参照信号から、K台の端末2からアンテナ106までの通信路の推定を行う。通信路の推定では、端末2とアンテナ106との間の通信路における振幅及び位相の変動量の推定値が推定結果として得られる。端末k(k=1,...,K)とアンテナ106-m(m=1,...,M)との間の通信路の推定結果を要素とする行列は、K×Mのチャネル行列Hと呼ばれる。すなわち、通信路推定部112では、1つのアンテナ106と端末2との間の通信路における振幅及び位相の変動量の推定値を要素として含む、K×1のチャネルベクトルHmが取得される。取得されたチャネルベクトルHmは、データ信号受信処理部12に通知される。なお、積分部111及び通信路推定部112の処理の詳細は、後述される。
【0073】
データ信号受信処理部12は、アンテナ106で受信された受信データ信号に対して受信処理を行う。データ信号受信処理部12は、積分部121、レプリカ除去部122、等化・復調部123、及び、レプリカ作成部124を含む。
【0074】
積分部121は、K台の端末2から連送におけるN回分の受信データ信号(重畳信号)を足し合わせる。レプリカ除去部122は、レプリカ作成部124によって作成された端末2からの受信データ信号のレプリカ信号を受信データ信号(重畳信号)から差し引く。等化・復調部123では、端末kのレプリカ信号が差し引かれた受信データ信号(重畳信
号)から、通信路推定部112によって取得されたアンテナ106に対応するチャネルベクトルHmを用いて、次に受信信号電力の大きい端末2からの受信データ信号を分離して復調する。受信データ信号(重畳信号)に対して、例えば、MMSE(最小平均二乗誤差)ウェイトを乗じることで、他の端末2からの干渉が抑圧されて、端末2からの受信データ信号が取得される。MMSEウェイトは、チャネルベクトルHmから取得される。等化・復調部123によって、端末2からの誤り訂正符号語ビット列に対応する対数尤度比が取得され、当該ビット列が合成部13へ出力される。
【0075】
レプリカ作成部124は、復号部14から出力される、復号された端末2からの受信データにおいて、CRCによるエラー検出の結果、エラーなしと判定された場合、端末2から送信され、受信アンテナ106において受信された受信データ信号のレプリカ信号を生成する。具体的には、レプリカ作成部124は、復号部14から出力されたデータを再度誤り訂正符号化し、誤り訂正符号化によって得られたビット列をデジタル変調し、チャネルベクトルHmを乗算して、レプリカ信号を生成する。生成されたレプリカ信号は、レプリカ除去部122に出力され、レプリカ除去部122は受信データ信号からレプリカ信号を除去する。レプリカ除去部122、等化・復調部123、及び、レプリカ作成部124が上記処理をK-1回繰り返し実行することによって、各端末2からの受信データ信号が得られる。
【0076】
合成部13は、データ信号受信処理部12-1、12-2、...、12-Mから出力される、受信アンテナ106-1、106-2、...、106-Mそれぞれで受信された、端末2からの誤り訂正符号語ビット列に対応する対数尤度比を合成する。復号部14は、合成部13から入力される対数尤度比から誤り訂正符号を復号し、データを取得する。なお、基地局1の機能構成は
図7に示されるものに限定されない。
【0077】
<処理の流れ>
図8は、基地局1による連送制御処理のフローチャートである。
図8に示される処理は、所定の周期で繰り返し実行される。
図8に示される処理の実行主体は、プロセッサ101であるが、便宜上、機能構成要素を主体として説明する。以降のフローチャートについても同様である。
【0078】
OP1では、制御部15は、連送を開始させるか否かを判定する。例えば、制御部15は、端末2からの受信信号のSNRが所定値未満となる場合に、連送の開始を判定する。この判定は、例えば、同時に送信を行っているK台の端末2からのSNRの平均値に基づいて行われてもよいし、K台の端末2のうち最も大きい又は小さいSNRに基づいて行われてもよい。または、K台の端末2のうちのy台(y≦K)の受信信号のSNRが所定未満となる場合に、連送の開始が判定されてもよい。連送の開始が判定された場合には(OP1:YES)、処理がOP2へ進む。連送の開始が判定されていない場合には(OP1:NO)、
図8に示される処理が終了する。
【0079】
OP2では、制御部15は、連送パラメータ取得処理を実行する。連送パラメータ取得処理は、連送において端末2が用いるパラメータを取得する処理である。連送パラメータ処理の詳細は、後述される。連送パラメータ取得処理では、連送パラメータとして、例えば、連送回数N、各端末2の送信電力、各端末2が送信する参照信号x_RS(k)、各端末2の連送における各回の参照信号の送信に用いられる位相回転量φ(k、n)(n=1、...、N)が取得される。
【0080】
OP3では、制御部15は、下り制御チャネルで、K台の端末2へ、取得した連送パラメータ、連送開始の指示、及び、連送において用いられる周波数やスロットを送信する。
【0081】
OP4では、制御部15は、K台の端末2による連送におけるN回の送信が終了したか否かを判定する。K台の端末2による連送におけるN回の送信が終了した場合には(OP4:YES)、処理がOP5へ進む。K台の端末2による連送におけるN回の送信が終了するまで(OP4:NO)、制御部15は待機する。
【0082】
OP5では、制御部15は、連送を終了させるか否かを判定する。例えば、制御部15は、端末2からの受信データ信号が得られた場合に、連送の終了を判定する。連送の終了が判定された場合には(OP5:YES)、処理がOP7へ進む。連送の終了が判定されない場合には(OP5:NO)、処理がOP2へ進み、次の連送について連送パラメータ取得処理が行われ、新たに連送パラメータが取得され直される。
【0083】
図9は、基地局1の連送パラメータ取得処理のフローチャートの一例である。
図9に示される処理は、
図8のOP2において実行される処理である。
【0084】
OP10では、制御部15は、基地局1と端末k(k=1,...,K)間の伝搬損失Lkの測定と伝搬損失Lkの昇順でのK台の端末2の並び替えとを行う。OP20では、制御部15は、各端末kの送信電力値Pkと送信参照信号x_RS(k)の割り当てを行う。OP30では、制御部15は、連送における各回の送信で端末kが用いる位相回転量φ(k,n)の割り当てを行う。OP10、OP20、及び、OP30の処理の詳細は後述される。OP30の処理が終了すると、処理が
図8のOP3へ進む。
【0085】
図10及び
図11は、それぞれ、
図9のOP10の、基地局1と端末k間の伝搬損失Lkの測定と伝搬損失Lkの昇順での端末2の並び替えとの処理のフローチャートの一例をである。
図9のOP10における処理は、
図10又は
図11のいずれが行われてもよい。
【0086】
図10は、基地局1が受信信号強度を測定する場合の処理を示す。OP101Aでは、制御部15は、下り制御チャネルで、K台の端末2それぞれへ、送信電力をp_UE(k)(k=1,...,K)として信号を送信することを指示する。OP102Aでは、制御部15は、上り制御チャネルで、端末kからの送信信号の受信電力r_BS(k)を測定する。OP103Aでは、制御部15は、OP101Aで指定した送信電力p_UE(k)からOP102Aで測定した受信電力r_BS(k)を減算して、端末kの伝搬損失Lkを取得する。OP104Aでは、制御部15は、伝搬損失の昇順で、K台の端末2を並び替える。その後、処理が
図9のOP20へ進む。
【0087】
なお、基地局1がアンテナを複数備える場合には、アンテナごとに端末kの伝搬損失を取得し、全アンテナでの端末kの伝搬損失の平均値を、伝搬損失Lkとして取得してもよい。
【0088】
図11は、端末2が受信信号強度を測定する場合の処理を示す。OP101Bでは、制御部15は、下り制御チャネルで、K台の端末2それぞれへ、送信電力p_BS(k)(k=1,...,K)で信号を送信し、当該信号の受信電力の測定と報告とを指示する。OP102Bでは、制御部15は、上り制御チャネルで、端末kから、OP101Bで基地局1が送信した送信信号の受信電力r_UE(k)の測定結果を受信する。OP103Bは、制御部15は、OP101Bで送信した信号の送信電力p_BS(k)からOP102Bで端末kから測定した受信電力r_UE(k)を減算して、端末kの伝搬損失Lkを取得する。OP104Bでは、制御部15は、伝搬損失の昇順で、K台の端末2を並び替える。その後、処理が
図9のOP20へ進む。
【0089】
図12は、端末kの送信電力値Pkと送信参照信号x_RS(k)の割り当ての処理のフローチャートの一例である。
図12に示される処理は、
図9のOP20において実行さ
れる処理である。
図12に示される処理において、変数kは、伝搬損失Lkの昇順で並び替えた際の端末2の順番を示す。
【0090】
OP201では、制御部15は、変数kを1に設定する。OP202では、制御部15は、変数kが1であるか否かを判定する。変数kが1である場合には(OP202:YES)、処理がOP203へ進む。変数kが1でない場合には(OP202:NO)、処理がOP204へ進む。
【0091】
OP203では、制御部15は、端末kの送信電力値Pkを最大送信電力P_maxに設定する。OP204では、制御部15は、端末kの送信電力値Pkを、最大送信電力P_maxと、端末k-1の送信電力値Pk-1から、端末kの伝搬損失Lkと端末k-1の伝搬損失Lk-1との差分と、端末間で要求される電力差ΔPと、を差し引いた値のうちの小さい方に決定する。
【0092】
OP205では、制御部15は、端末kの送信参照信号x_RS(k)を求める。送信参照信号x_RS(k)の求め方は、端末2と同様である(
図6参照)。OP206では、制御部15は、変数kがKであるか否かを判定する。変数kがKである場合には(OP206:YES)、
図12に示される処理が終了し、
図9のOP30へ処理が進む。変数kがKでない場合には(OP206:NO)、処理がOP207へ進む。OP207では、制御部15は、変数kに1を加算して更新する。その後、処理がOP202へ進み、次の端末kについて、送信電力値Pkと送信参照信号r_RS(k)が求められる。
【0093】
図12の処理によれば、伝搬損失が小さい端末2ほど基地局1における受信信号電力値が大きくなるように、端末2の送信電力値が決定される。また、端末k-1と端末kとの電力差が少なくとも要求電力差ΔPとなるように、端末kの送信電力値Pkが決定されるので、SICにおいて、全ての端末2の受信信号を分離できるようにしている(
図2参照)。
【0094】
図13は、連送における各回の送信で各端末2が用いる位相回転量φ(k,n)の割り当て処理のフローチャートの一例である。
図13に示される処理は、
図9のOP30において実行される処理である。
【0095】
OP301では、制御部15は、K台の端末2をG個のグループに分ける。第1実施形態では、伝搬損失Lkの昇順の上位からK/G台ずつで、グループ化する。具体的には、同時に送信を行う端末2が9台であり、3個のグループに分ける場合には、伝搬損失Lkが小さい1番目から3番目までの3台の端末2でグループ#1、伝搬損失Lkが小さい4番目から6番目までの3台の端末2でグループ#2、伝搬損失Lkが小さい7番目から9番目までの3台の端末2でグループ#3が作られる。なお、グループ分けは、伝搬損失に基づいて行われることに限定されず、例えば、受信信号電力、受信信号のSNR等に基づいて行われてもよい。
【0096】
OP302では、制御部15は、連送における各回の送信で各グループに属する端末2が用いる位相回転量φ(g,n)を取得する。位相回転量φ(g,n)は、以下の式1を満たすように求められる。
【数1】
【0097】
g1及びg2は、それぞれ、グループを示す変数であって、1からGまでの整数をとる。また、g1≠g2であるとする。すなわち、G個のうちの2つのグループの組み合わせそれぞれについて、一方のグループg1の位相列Φg1ともう一方のグループg2の位相列Φg2が直交するように位相回転量φ(g,n)が取得される。位相列Φgは、グループgに属する端末2に割り当てられる位相回転量φ(g,n)を含む。具体的には、グループ#1(g=1)の位相列Φ1は、位相列Φ1={φ(1,1),φ(1,2),...,φ(1,N)}である。
【0098】
例えば、グループが3つ作られる場合には、グループ#1の位相列Φ1とグループ#2の位相列Φ2とが直交し、且つ、グループ#1の位相列Φ1とグループ#3の位相列Φ3とが直交し、且つ、グループ#2の位相列Φ2とグループ#3の位相列Φ3とが直交するように、位相回転量φ(k,n)が求められる。
【0099】
連送におけるn回目の送信で端末kが用いる位相回転量φ(k,n)は、端末kが属するグループgの位相回転量φ(g,n)として取得される。OP302の処理の終了後、処理が
図8のOP3へ進む。
【0100】
図14は、基地局1における通信路推定処理のフローチャートの一例である。
図14に示される処理は、連送によって参照信号が受信されると開始される。
【0101】
OP401からOP402の処理は、各グループについて行われ、グループ数Gの分だけ繰り返し実行される。グループg(g∈{1,...,G})は、処理対象のグループを示す。
【0102】
OP401では、積分部111は、連送における各回の参照信号の送信によって、受信アンテナ106において受信される受信参照信号r_RS(n)に、グループgの位相回転量φ(g,n)と逆の位相回転量を与えて、1回目からN回目まで足し合わせて、r_RS(g)を取得する。OP401による処理は、以下の式2で示される。
【数2】
【0103】
r_RS(n)は、以下の式3で表される。h_kは、端末kから受信アンテナ106までの間の通信路の振幅及び位相の変動量である。
【数3】
端末kに着目すると、端末kからの受信参照信号r_RS(k,n)は、以下の式4で表記される。グループgは端末kが属するグループである。
【数4】
【0104】
ここで、グループgに属さない端末sに着目する。端末sからの受信参照信号r_RS(s,n)にグループgの位相回転量φ(g,n)と逆の位相回転量を与えてを乗じ、1回目からN回目まで足し合わせると、以下の式5のように展開することができる。
【数5】
式5におけるφ(i,n)は、端末sが属するグループiの連送におけるn回目の送信で用いられる位相回転量である。式5において、式1が含まれることになり、0となる。すなわち、グループgに属さない端末sからの受信参照信号r_RS(s,n)にグループgの位相回転量φ(g,n)と逆の位相回転量を与えて、1回目からN回目まで足し合わせると、グループgに属さない端末sからの受信参照信号r_RS(s,n)がキャンセルされる。
【0105】
一方、グループgに属する端末kに着目すると、端末kからの受信参照信号r_RS(k,n)にグループgの位相回転量φ(g,n)と逆の位相回転量を与えて、1回目からN回目まで足し合わせると、以下の式6のように展開することができる。
【数6】
e^jφ(g,n)にe^-jφ(g,n)を乗じると1であるので、グループgに属する端末kからの受信参照信号r_RS(k,n)はキャンセルされずに残ることがわかる。「^」は、指数関数の開始を示す記号であって、「^」以降は指数部分を示す。すなわち、受信参照信号r_RS(n)に、グループgの位相回転量φ(g,n)と逆の位相回転量を与えて、1回目からN回目まで足し合わせて得られるr_RS(g)には、グループgに属する端末k以外の端末からの受信参照信号は含まれない。
【0106】
OP402では、通信路推定部112は、r_RS(g)と最も伝搬損失の小さい端末2の送信参照信号x_RS(1)との相関特性Ck(g)を取得する。送信参照信号x_RS(1)は、制御部15が生成しており、基地局1にとって既知である。具体的には、r_RS(g)に送信参照信号x_RS(1)の複素共役とのたたみこみ演算によって相関特性Ck(g)が得られる。相関特性Ck(g)から、グループgに属する端末kの相関特性Ckを取得することができる。
【0107】
OP401及びOP402の処理が各グループについて実行されると、K台の端末2それぞれについて相関特性Ckが取得される。OP403では、通信路推定部112は、各端末2の相関特性Ckに基づいて、チャネルベクトルHmを取得する。具体的には、送信
参照信号は、同じZadoff-Chu系列について、端末kごとに異なるサンプル数だけ開始点をずらして巡回シフトさせた系列から作成されているので、相関特性Ck(g)には、巡回シフトでずらした分のサンプル数に相当するサンプル位置に各端末kのチャネルベクトルHmの各要素が現れる。すなわち、相関特性Ck(g)には、グループgに属する端末kについて、それぞれ異なるサンプル位置にチャネルベクトルHmの各要素が現れる。次に、窓関数を用いて、端末kに対応するサンプル位置から所定範囲の相関特性Ckを切り出すことで、端末kと受信アンテナ106との間の通信路の振幅及び位相の変動量h_kの推定値が取得される。
【0108】
OP404では、通信路推定部112は、取得したチャネルベクトルHmをデータ信号受信処理部12へ出力する。その後、
図14に示される処理が終了する。
【0109】
図14に示される例では、連送におけるn回目の送信による受信参照信号r_RS(n)にグループgの位相回転量φ(g,n)と逆の位相回転量を与えてから、N回分足し合わせ、その後、相関特性を取得したが、相関特性の取得のための処理はこれに限定されない。相関特性Ck(g)は、例えば、以下の式7、式8で示される。
【数7】
したがって、連送におけるn回目の送信による受信参照信号r_RS(n)の相関特性Ck(n)を取得し、相関特性Ck(n)にグループgの位相回転量φ(g,n)と逆の位相回転量を与えて、N回分足し合わせることで、相関特性が取得されてもよい。
【0110】
図15は、参照信号の連送において、送信参照信号及び受信参照信号について位相回転が行われない場合の、基地局1における受信参照信号の相関特性を示すグラフの一例である。
図15のグラフは、横軸はサンプル番号、縦軸は受信信号電力を表す。
図15では、ジッタがある場合と、ジッタがない場合と、の両方の相関特性が表示されている。ジッタは、信号伝送のタイミングの時間軸のずれ等のことであり、端末2の移動、装置の特性、周囲環境等によって発生する。ジッタがない場合は理論値となる。
【0111】
ジッタがない場合には、
図15中に矢印で示される各端末2に対応するサンプル位置に受信信号電力が現れる。ジッタがない場合には、各端末2の受信信号電力のピークの広が
りが少ないので、近くのサンプル位置に現れる他の端末2の受信信号電力による干渉を受けないため、精度良く通信路を推定することができる。
【0112】
一方、ジッタがある場合には、ジッタの影響によって、各端末2の受信信号電力のピークの広がりが大きくなる傾向がある。例えば、
図15において、受信信号電力の大きい端末Aのサンプル位置の近くの端末Bは、端末Aに比べて受信信号電力が小さいため、端末Aの受信信号電力のピークの広がりの影響を受けて、受信信号電力のピークが埋もれてしまう。これによって、端末Bの受信信号電力(相関特性)を取得できないことがあり、通信路推定の精度が低下してしまうことがある。
【0113】
図16は、参照信号の連送において、第1実施形態のように、送信参照信号及び受信参照信号について位相回転が行われる場合の、基地局1における受信参照信号の相関特性を示すグラフの一例である。
図16に示されるグラフは、
図15に示されるグラフと、同じ条件下でのグラフである。
図16では、受信信号電力の小さい端末2のグループ1と、受信信号電力の大きい端末2のグループ2と、の2つのグループに端末2がグループ化された場合の、グループ1及びグループ2の相関特性を示すグラフが示されている。
図16において、ジッタがない場合のグラフは、位相回転が行われない場合と同じものが各グラフについて重ねて表示されている。
【0114】
図16に示される例では、グループ1のグラフでは、グループ1のメンバである、受信信号電力の小さい端末2それぞれについて受信信号電力のピークが表れているが、グループ2のメンバである受信信号電力の大きい端末2については受信信号電力のピークが表れていない。同様に、グループ2のグラフでは、グループ2のメンバである、受信信号電力の大きい端末2それぞれについて受信信号電力のピークが表れているが、グループ1のメンバである受信信号電力の小さい端末2については受信信号電力のピークが表れていない。これによって、グループgに属さない端末2については、基地局1における連送における各回で受信された受信参照信号の足し合わせによって、受信参照信号がキャンセルされていることがわかる。
【0115】
また、グループ1及びグループ2のグラフにおいて、グループのメンバの端末2間で、受信信号電力のピークの広がりによる影響が小さくなっており、受信信号電力のピークをいずれの端末2についても読み取ることができる。したがって、第1実施形態に係る無線通信システム100によれば、通信路をより精度よく推定することができる。
【0116】
図17は、シミュレーションの結果の一例を示す図である。
図17では、送信参照信号及び受信参照信号について位相回転がない場合のシミュレーション結果であるグラフGF1と、位相回転がある場合のシミュレーション結果であるグラフGF2とが示されている。
図17のシミュレーション結果は、シミュレーション条件を、端末数K=8、連送において送信を行う回数N=8として、各端末から連送によって送信され、受信アンテナで受信されたデータ信号から、各端末からの受信データ信号を分離して復元するシミュレーションについてのものである。送信参照信号及び受信参照信号について位相回転がある場合のシミュレーションでは、受信信号電力の大小で端末を2グループに分けている。また、その他、送信電力値、及び、ジッタ等のパラメータも両方のケースで同じ値に設定されている。
【0117】
グラフGF1及びGF2は、横軸に端末2、縦軸に推定誤差が示されている。推定誤差は、各端末が送信したデータと受信データ信号から復元されたデータとの誤差であって、平均平方二乗誤差(Root-Mean-Squared Error:RMSE)によって求められている。端
末2は、受信信号電力の大きい順で番号が付されている。すなわち、グラフGF1及びGF2において、端末#1が最も受信信号電力が大きく、端末#8が最も受信信号電力が小
さい。また、グラフGF1及びGF2では、データ信号の連送の複数回のシミュレーションについて、推定誤差の平均値(〇)と最も悪い推定誤差(●)とが示されている。
【0118】
例えば、最も受信信号電力の小さい端末#8に着目すると、最も悪い推定誤差がグラフGF1からGF2では小さくなっており、第1実施形態で説明されたように、送信参照信号と受信参照信号とに位相回転を与えることで、誤差が改善されていることがわかる。また、推定誤差の平均値も、いずれの端末についてもグラフGF1よりもグラフGF2の方が低くなっており、第1実施形態で説明されたように、送信参照信号と受信参照信号とに位相回転を与えることで、誤差が改善されていることがわかる。誤差が小さいほど、通信品質が良いことが示される。
【0119】
<第1実施形態の作用効果>
第1実施形態によれば、同一周波数帯及び同一時間領域を共有する複数の端末2が連送を行う場合に、基地局1は、受信参照信号における端末間の干渉の影響を抑制することができる。これによって、基地局1は、各端末2との間の通信路を精度よく推定することができ、無線通信品質が向上する。
【0120】
<その他の実施形態>
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。
【0121】
本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0122】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0123】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク、ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0124】
1・・基地局
2・・端末
11・・RS受信処理部
12・・データ信号受信処理部
15・・制御部
21・・RS送信処理部
22・・データ信号送信処理部
100・・無線通信システム
101、201・・ プロセッサ
102、202・・メモリ
103・・内部インターフェース
104・・ネットワークインターフェース
105・・無線処理装置
106・・アンテナ
111・・積分部
112・・通信路推定部
203・・外部記憶装置
204・・無線通信部
214・・位相回転部