(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023050855
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】液体吐出装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20230404BHJP
B41J 2/17 20060101ALI20230404BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
B41J2/165 207
B41J2/17 201
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021161187
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000201113
【氏名又は名称】船井電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148460
【弁理士】
【氏名又は名称】小俣 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100168125
【弁理士】
【氏名又は名称】三藤 誠司
(72)【発明者】
【氏名】元林 直樹
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA27
2C056EC28
2C056EC54
2C056JC06
2C056JC13
2C056JC18
2C056JC23
(57)【要約】
【課題】ヘッド部から空吐出された液体を適切に処理することができる液体吐出装置を提供する。
【解決手段】液体吐出装置2は、ウェルプレート12に液体を吐出するヘッド部22と、ヘッド部22から空吐出された、ウェルプレート12への吐出に寄与しない液体を回収するための液体回収部10とを備える。液体回収部10は、ヘッド部22から空吐出された液体が通過する開口部46を有する本体部36と、本体部36の内部に配置され、ヘッド部22から空吐出された液体を、本体部36の開口部46を通して受けるための受け部38であって、本体部36に対して着脱可能である受け部38とを有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に液体を吐出するヘッド部と、
前記ヘッド部から空吐出された、前記対象物への吐出に寄与しない液体を回収するための液体回収部と、を備え、
前記液体回収部は、
前記ヘッド部から空吐出された液体が通過する開口部を有する本体部と、
前記本体部の内部に配置され、前記ヘッド部から空吐出された液体を、前記本体部の前記開口部を通して受けるための受け部であって、前記本体部に対して着脱可能である受け部と、を有する
液体吐出装置。
【請求項2】
前記受け部は、貫通孔を有し、
前記液体回収部は、さらに、前記受け部の前記貫通孔を閉塞するフィルタを有する
請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記貫通孔は、前記本体部の前記開口部に対向して配置され、
前記フィルタは、空気を通過させ、且つ、液体を通過させない
請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記液体回収部は、さらに、前記本体部の前記開口部から前記受け部の前記貫通孔に向かう気流を発生させる気流発生部を有する
請求項2又は3に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記気流発生部は、吸気ファン又は吸引ポンプである
請求項4に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の液体吐出装置の制御方法であって、
(a)前記本体部の前記開口部から前記受け部の前記貫通孔に向かう気流を発生させるために、前記気流発生部の駆動を開始し、
(b)前記気流発生部の駆動を開始してから第1の時間の経過後に、前記ヘッド部からの液体の空吐出を開始する
液体吐出装置の制御方法。
【請求項7】
前記制御方法は、さらに、
(c)前記ヘッド部からの液体の空吐出が終了してから第2の時間の経過後に、前記気流発生部の駆動を停止する
請求項6に記載の液体吐出装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物に液体を吐出するための液体吐出装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
対象物に液体を吐出するためのインクジェット方式の液体吐出装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この種の液体吐出装置では、ヘッド部における液体の詰まりを予防するために、ヘッド部から液体を空吐出させるメンテナンス動作が行われる。このメンテナンス動作では、ヘッド部から空吐出された液体は、液体吐出装置の筐体の内部に固定された廃液タンクに溜められ、回収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した液体吐出装置は、例えば薬剤等の液体を分注する液体分注装置として用いられる。この場合、廃液タンク内に液体(以下、「第1の液体」という)が残存している状態で、当該第1の液体とは異なる種類の液体(以下、「第2の液体」という)がヘッド部から空吐出されると、これらの第1の液体と第2の液体とが廃液タンク内で混ざり合う。この状態のまま放置しておいた場合には、第1の液体と第2の液体とが意図しない化学反応等を起こすおそれが生じる。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決しようとするものであり、その目的は、ヘッド部から空吐出された液体を適切に処理することができる液体吐出装置及びその制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る液体吐出装置は、対象物に液体を吐出するヘッド部と、前記ヘッド部から空吐出された、前記対象物への吐出に寄与しない液体を回収するための液体回収部と、を備え、前記液体回収部は、前記ヘッド部から空吐出された液体が通過する開口部を有する本体部と、前記本体部の内部に配置され、前記ヘッド部から空吐出された液体を、前記本体部の前記開口部を通して受けるための受け部であって、前記本体部に対して着脱可能である受け部と、を有する。
【0007】
本態様によれば、受け部は本体部に対して着脱可能であるので、ユーザは、液体が溜まった受け部を本体部の外部に取り出すことができる。これにより、ユーザは、受け部に溜まった液体を廃棄する、あるいは、受け部の洗浄及び消毒を行うなどして、ヘッド部から空吐出された液体を適切に処理することができる。その結果、互いに異なる種類の複数の液体が、受け部において混ざり合ったまま放置されるのを回避することができる。
【0008】
例えば、前記受け部は、貫通孔を有し、前記液体回収部は、さらに、前記受け部の前記貫通孔を閉塞するフィルタを有するように構成してもよい。
【0009】
本態様によれば、本体部の開口部から受け部の貫通孔に向かう気流を発生させることができる。その結果、本体部の開口部を通過して受け部に流入した例えばミスト状の液体が、本体部の開口部を通して本体部の外部に漏洩するのを抑制することができる。
【0010】
例えば、前記貫通孔は、前記本体部の前記開口部に対向して配置され、前記フィルタは、空気を通過させ、且つ、液体を通過させないように構成してもよい。
【0011】
本態様によれば、本体部の開口部を通過して受け部に流入した液体が、受け部の貫通孔から受け部の外部に漏洩するのを抑制することができる。
【0012】
例えば、前記液体回収部は、さらに、前記本体部の前記開口部から前記受け部の前記貫通孔に向かう気流を発生させる気流発生部を有するように構成してもよい。
【0013】
本態様によれば、本体部の開口部から受け部の貫通孔に向かう気流を効率良く発生させることができる。
【0014】
例えば、前記気流発生部は、吸気ファン又は吸引ポンプであるように構成してもよい。
【0015】
本態様によれば、本体部の開口部から受け部の貫通孔に向かう気流を容易に発生させることができる。
【0016】
また、本発明の一態様に係る液体吐出装置の制御方法は、上述した液体吐出装置の制御方法であって、(a)前記本体部の前記開口部から前記受け部の前記貫通孔に向かう気流を発生させるために、前記気流発生部の駆動を開始し、(b)前記気流発生部の駆動を開始してから第1の時間の経過後に、前記ヘッド部からの液体の空吐出を開始する。
【0017】
本態様によれば、ヘッド部から液体を空吐出するのに先立って、本体部の開口部から受け部の貫通孔に向かう気流を発生させる。これにより、本体部の開口部を通過して受け部に流入した例えばミスト状の液体が、本体部の開口部から本体部の外部に漏洩するのを効果的に抑制することができる。
【0018】
例えば、前記制御方法は、さらに、(c)前記ヘッド部からの液体の空吐出が終了してから第2の時間の経過後に、前記気流発生部の駆動を停止するように構成してもよい。
【0019】
本態様によれば、ヘッド部からの液体の空吐出が終了してから、受け部の内部における例えばミスト状の液体の飛散が収まるまでの間、本体部の開口部から受け部の貫通孔に向かう気流を継続して発生させることができる。その結果、本体部の開口部を通過して受け部に流入した例えばミスト状の液体が、本体部の開口部から本体部の外部に漏洩するのをより効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一態様に係る液体吐出装置等によれば、ヘッド部から空吐出された液体を適切に処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施の形態1に係る液体吐出装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態1に係る液体吐出装置の内部構造を示す斜視図である。
【
図3】ヘッド部及び駆動機構の一部を省略した状態での、実施の形態1に係る液体吐出装置の内部構造を示す斜視図である。
【
図4】実施の形態1に係る液体回収部を示す斜視図である。
【
図5】受け部を本体部から取り出した状態での、実施の形態1に係る液体回収部を示す斜視図である。
【
図6】
図4のVI-VI線による、実施の形態1に係る液体回収部の断面斜視図である。
【
図7】実施の形態2に係る液体回収部を示す分解斜視図である。
【
図8】実施の形態2に係る液体回収部の断面斜視図である。
【
図9】実施の形態3に係る液体回収部の断面斜視図である。
【
図10】実施の形態3に係る液体吐出装置の制御方法の一例を示すタイミングチャートである。
【
図11】実施の形態3に係る液体吐出装置の制御方法の他の例を示すタイミングチャートである。
【
図12】実施の形態4に係る液体回収部の外観を示す斜視図である。
【
図13】
図12のXIII-XIII線による、実施の形態4に係る液体回収部の断面斜視図である。
【
図14】実施の形態5に係る液体回収部の外観を示す斜視図である。
【
図15】本体部を省略した状態での、実施の形態5に係る液体回収部を示す斜視図である。
【
図16】
図14のXVI-XVI線による、実施の形態5に係る液体回収部の断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0023】
(実施の形態1)
[1-1.液体吐出装置の概要]
まず、
図1~
図3を参照しながら、実施の形態1に係る液体吐出装置2の概要について説明する。
図1は、実施の形態1に係る液体吐出装置2の外観を示す斜視図である。
図2は、実施の形態1に係る液体吐出装置2の内部構造を示す斜視図である。
図3は、ヘッド部22及び駆動機構24の一部を省略した状態での、実施の形態1に係る液体吐出装置2の内部構造を示す斜視図である。
【0024】
なお、
図1~
図3において、液体吐出装置2の左右方向をX軸方向、液体吐出装置2の前後方向をY軸方向、液体吐出装置2の上下方向をZ軸方向として説明する。
【0025】
図1~
図3に示すように、液体吐出装置2は、筐体4と、トレイ6と、吐出ユニット8と、液体回収部10とを備えている。本実施の形態では、液体吐出装置2は、液体をウェルプレート12(対象物の一例)に分注するための液体分注装置として適用される。液体は、例えば医療分野や理化学分野における試験等で用いられる、液体試薬又は液体試料等である。
【0026】
図1に示すように、筐体4は、中空状の箱形に形成されている。筐体4の前面には、トレイ6を出し入れするための開口部14が形成されている。また、
図2及び
図3に示すように、筐体4の内部には、液体吐出装置2の各部品を支持するためのベースプレート13が配置されている。
【0027】
トレイ6は、ウェルプレート12を載置するためのものであり、筐体4の内部に配置されたガイドプレート16に移動可能に支持されている。これにより、トレイ6は、ガイドプレート16に沿って、筐体4の内部に収納される収納位置(
図1~
図3に示すトレイ6の位置)と、筐体4の開口部14を通して手前側(Y軸のマイナス側)に引き出される引き出し位置(図示せず)との間を移動可能である。
【0028】
ウェルプレート12は、トレイ6の上面に着脱可能に載置される。ウェルプレート12には、ヘッド部22(後述する)から吐出された液体を溜めるための複数の凹部18が行列状に配置されている。
図2に示すように、トレイ6が収納位置にある状態で、ウェルプレート12の複数の凹部18は、ガイドプレート16に形成された開口部20を通して露出される。
【0029】
吐出ユニット8は、ウェルプレート12に液体を吐出するためのユニットであり、筐体4の内部に配置されている。吐出ユニット8による液体の吐出方式は、ウェルプレート12にミスト状の液体を吐出する、いわゆるインクジェット方式である。
【0030】
図2に示すように、吐出ユニット8は、ヘッド部22と、ヘッド部22を駆動するための駆動機構24とを有している。
【0031】
ヘッド部22は、キャリッジ26と、キャリッジ26に搭載されたカートリッジ28とを有している。カートリッジ28の内部には、互いに異なる種類の複数の液体が充填されている。カートリッジ28の下端部には、複数の微細なノズル孔が配置されたノズル面(図示せず)が形成されている。ヘッド部22は、カートリッジ28のノズル面から供給された液体を、収納位置にあるトレイ6に載置されたウェルプレート12に向けて下方(Z軸のマイナス方向)に吐出する。
【0032】
駆動機構24は、ヘッド部22を所定の走査方向(X軸方向)に往復移動させるための機構である。
図2に示すように、駆動機構24は、ガイドシャフト30と、モータ32と、タイミングベルト34とを有している。
【0033】
ガイドシャフト30は、筐体4の内部のベースプレート13に支持されており、所定の走査方向に長尺状に延びている。ガイドシャフト30には、ヘッド部22のキャリッジ26が移動可能に支持されている。モータ32は、例えばサーボモータで構成され、筐体4の内部のベースプレート13に支持されている。モータ32の駆動力は、タイミングベルト34を介してヘッド部22に伝達される。これにより、ヘッド部22は、収納位置にあるトレイ6に載置されたウェルプレート12に対して、ガイドシャフト30に沿って所定の走査方向に往復移動する。
【0034】
ヘッド部22が所定の走査方向に往復移動している状態で、ヘッド部22からウェルプレート12に液体が吐出されることにより、ウェルプレート12の複数の凹部18の各々に液体が所定量ずつ溜められる。
【0035】
なお、ヘッド部22からの液体の吐出後、ユーザは、トレイ6を収納位置から引き出し位置に移動させることにより、ウェルプレート12をトレイ6から取り出すことができる。ウェルプレート12の複数の凹部18の各々に溜められた液体は、例えば分析等に使用される。
【0036】
また、所定のタイミング(例えば、ウェルプレート12への液体の吐出直前等)で、ヘッド部22における液体の詰まりを予防するためのメンテナンス動作が行われる。このメンテナンス動作では、ヘッド部22は、往復移動範囲の一端部に位置するメンテナンス位置(
図2に示すヘッド部22の位置)に移動し、当該メンテナンス位置で停止する。なお、メンテナンス位置は、液体回収部10の直上の位置である。この状態で、ヘッド部22は、液体回収部10に向けて液体を空吐出する。ここで、「液体を空吐出する」とは、ヘッド部22が、ウェルプレート12への吐出に寄与しない液体を、ヘッド部22のメンテナンスのために吐出することを意味する。
【0037】
図2及び
図3に示すように、液体回収部10は、ヘッド部22から空吐出された液体を回収するためのものであり、筐体4の内部に配置されている。液体回収部10の構成については、後述する。
【0038】
[1-2.液体回収部の構成]
次に、
図3~
図6を参照しながら、実施の形態1に係る液体回収部10の構成について説明する。
図4は、実施の形態1に係る液体回収部10を示す斜視図である。
図5は、受け部38を本体部36から取り出した状態での、実施の形態1に係る液体回収部10を示す斜視図である。
図6は、
図4のVI-VI線による、実施の形態1に係る液体回収部10の断面斜視図である。
【0039】
図4及び
図5に示すように、液体回収部10は、本体部36と、受け部38とを有している。
【0040】
本体部36は、受け部38を収納するための筐体であり、中空状の箱形に形成されている。
図4に示すように、本体部36は、収納部36aと、蓋部36bとを有している。収納部36aは、上面が開口された中空状の箱形に形成されており、蓋部36bは、収納部36aの上面を覆うように配置されている。収納部36a及び蓋部36bは、ネジ37で互いに固定されている。なお、ネジ37の頭部は、蓋部36bの角部に形成された凹部39に配置されている。これにより、ネジ37の頭部は、蓋部36bの上面よりも上方(Z軸のプラス方向)に突出しないため、ネジ37の頭部とヘッド部22との接触を回避することができる。
【0041】
本体部36の側面(X軸方向における側面)には、取付片40が突出して形成されている。
図3に示すように、取付片40は、筐体4の内部のベースプレート13にネジ42で固定されている。本体部36の前面(Y軸方向における側面)には、受け部38を出し入れするための開口部44が形成されている。本体部36の上面(メンテナンス位置にあるヘッド部22に対向する面)には、ヘッド部22から空吐出された液体が通過する開口部46が形成されている。また、本体部36の内部には、受け部38を下方から支持するための支持部48が配置されている。
【0042】
受け部38は、ヘッド部22から空吐出された液体を、本体部36の開口部46を通して受けるためのものである。受け部38は、ボックス部50と、取っ手部52とを有している。ボックス部50は、上面(本体部36の開口部46に対向する面)が開口された箱形に形成されている。取っ手部52は、ボックス部50の前面に突出して形成されている。
【0043】
図4及び
図6に示すように、ボックス部50は、本体部36の内部に配置されている。具体的には、ボックス部50は、本体部36の内部の支持部48に支持され、本体部36の開口部46の下方に配置されている。この状態では、取っ手部52は、本体部36の開口部44を通して本体部36の外部に突出している。
【0044】
また、受け部38は、本体部36に対して着脱可能である。具体的には、
図5に示すように、受け部38は、本体部36の開口部44を通して、本体部36の外部に取り出し可能である。
【0045】
上述したメンテナンス動作では、ヘッド部22は、メンテナンス位置で液体回収部10に向けて液体を空吐出する。ヘッド部22から空吐出された液体は、本体部36の開口部46を通過して、受け部38のボックス部50により受けられる。
【0046】
[1-3.効果]
上述したように、本実施の形態では、液体回収部10の受け部38は、本体部36に対して着脱可能であるので、ユーザは、例えばメンテナンス動作の終了後に、受け部38の取っ手部52を把持することにより、受け部38を、本体部36の開口部44を通して本体部36の外部に取り出すことができる。これにより、ユーザは、受け部38のボックス部50に溜まった液体を廃棄する、あるいは、受け部38の洗浄及び消毒を行うなどして、ヘッド部22から空吐出された液体を適切に処理することができる。その結果、互いに異なる種類の複数の液体が、受け部38のボックス部50内で混ざり合ったまま放置されるのを回避することができる。
【0047】
(実施の形態2)
図7及び
図8を参照しながら、実施の形態2に係る液体回収部10Aの構成について説明する。
図7は、実施の形態2に係る液体回収部10Aを示す分解斜視図である。
図8は、実施の形態2に係る液体回収部10Aの断面斜視図である。なお、以下の各実施の形態において、上記実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0048】
図7に示すように、実施の形態2に係る液体回収部10Aは、本体部36と、受け部38Aと、フィルタ54とを有している。
【0049】
受け部38Aのボックス部50Aの底部には、貫通孔56が形成されている。
図8に示すように、ボックス部50Aが本体部36の内部に配置された状態では、貫通孔56は、本体部36の開口部46に対向して配置される。
【0050】
フィルタ54は、ボックス部50Aの貫通孔56を閉塞するように配置されている。フィルタ54は、空気を通過させ、且つ、液体を通過させない材料(例えば、ゴアテックス(登録商標)等)で形成されている。
【0051】
上述したメンテナンス動作では、ヘッド部22(
図2参照)は、メンテナンス位置で液体回収部10Aに向けて液体を空吐出する。ヘッド部22から空吐出された液体は、本体部36の開口部46を通過して、受け部38Aのボックス部50Aにより受けられる。この時、フィルタ54は液体を通過させないので、液体は、ボックス部50A内に溜められる。
【0052】
また、フィルタ54は空気を通過させるので、本体部36の開口部46からボックス部50Aの貫通孔56に向かう気流が発生するようになる。これにより、本体部36の開口部46を通過してボックス部50Aの内部に流入したミスト状の液体が、本体部36の開口部46を通して本体部36の外部に漏洩するのを抑制することができる。
【0053】
なお、メンテナンス動作の終了後、ユーザは、受け部38Aを、本体部36の開口部44を通して本体部36の外部に取り出すことにより、例えば、a)受け部38Aの洗浄及び消毒、b)受け部38A及びフィルタ54の交換、c)フィルタ54のみ交換のいずれかを行うことができる。
【0054】
(実施の形態3)
図9を参照しながら、実施の形態3に係る液体回収部10Bの構成について説明する。
図9は、実施の形態3に係る液体回収部10Bの断面斜視図である。
【0055】
図9に示すように、実施の形態3に係る液体回収部10Bは、上記実施の形態2で説明した本体部36、受け部38A及びフィルタ54に加えて、吸気ファン58(気流発生部の一例)を有している。吸気ファン58は、本体部36の内部において、受け部38Aのボックス部50Aの下方に配置されている。ボックス部50Aの貫通孔56は、吸気ファン58に対向して配置されている。
【0056】
メンテナンス動作時に吸気ファン58が駆動することにより、本体部36の開口部46からボックス部50Aの貫通孔56に向かう気流を積極的に発生させることができる。発生した気流は、吸気ファン58を通して下方に排気される。これにより、本体部36の開口部46を通過してボックス部50Aの内部に流入したミスト状の液体が、本体部36の開口部46を通して本体部36の外部に漏洩するのをより効果的に抑制することができる。
【0057】
ここで、
図10を参照しながら、実施の形態3に係る液体吐出装置の制御方法の一例について説明する。
図10は、実施の形態3に係る液体吐出装置の制御方法の一例を示すタイミングチャートである。
【0058】
図10に示すように、吸気ファン58の駆動を開始するタイミング(時間t1)から数秒(例えば1~2秒)(第1の時間の一例)が経過したタイミング(時間t2)で、ヘッド部22からの液体の空吐出を開始する。これにより、ヘッド部22から液体を空吐出するのに先立って、本体部36の開口部46からボックス部50Aの貫通孔56に向かう気流を発生させる。その結果、本体部36の開口部46を通過してボックス部50Aの内部に流入したミスト状の液体が、本体部36の開口部46から本体部36の外部に漏洩するのを効果的に抑制することができる。
【0059】
また、
図10に示すように、ヘッド部22からの液体の空吐出を終了するタイミング(時間t3)から数十秒~数分(例えば10秒~2分)(第2の時間の一例)が経過したタイミング(時間t4)で、吸気ファン58の駆動を停止する。これにより、液体の空吐出が終了してから、ボックス部50Aの内部におけるミスト状の液体の飛散が収まるまでの間、本体部36の開口部46からボックス部50Aの貫通孔56に向かう気流を発生させることができる。その結果、本体部36の開口部46を通過してボックス部50Aの内部に流入したミスト状の液体が、本体部36の開口部46から本体部36の外部に漏洩するのをより効果的に抑制することができる。
【0060】
次に、
図11を参照しながら、実施の形態3に係る液体吐出装置の制御方法の他の例について説明する。
図11は、実施の形態3に係る液体吐出装置の制御方法の他の例を示すタイミングチャートである。
【0061】
図11に示すように、
図10に示す例と同様に、吸気ファン58の駆動を開始するタイミング(時間t1)から数秒(例えば1~2秒)(第1の時間の一例)が経過したタイミング(時間t2)で、ヘッド部22からの液体の空吐出を開始する。
【0062】
また、
図11に示すように、ヘッド部22からの液体の空吐出を終了するタイミング(時間t3)の後にも、吸気ファン58の駆動を継続する。駆動ファン58の駆動を継続する時間(第2の時間の一例)は、ヘッド部22から液体を空吐出した時間に比例して長くなるように設定されている。例えば、ヘッド部22から液体を空吐出した時間が10秒未満である場合には、駆動ファン58の駆動を継続する時間は30秒程度である。また例えば、ヘッド部22から液体を空吐出した時間が10秒以上である場合には、駆動ファン58の駆動を継続する時間は1分程度である。これにより、液体の空吐出が終了してから、ボックス部50Aの内部におけるミスト状の液体の飛散が収まるまでの間、本体部36の開口部46からボックス部50Aの貫通孔56に向かう気流を継続して発生させることができる。その結果、本体部36の開口部46を通過してボックス部50Aの内部に流入したミスト状の液体が、本体部36の開口部46から本体部36の外部に漏洩するのをより効果的に抑制することができる。
【0063】
(実施の形態4)
図12及び
図13を参照しながら、実施の形態4に係る液体回収部10Cの構成について説明する。
図12は、実施の形態4に係る液体回収部10Cの外観を示す斜視図である。
図13は、
図12のXIII-XIII線による、実施の形態4に係る液体回収部10Cの断面斜視図である。
【0064】
図12及び
図13に示すように、実施の形態4に係る液体回収部10Cでは、吸気ファン58の配置が上記実施の形態3と異なっている。具体的には、吸気ファン58は、本体部36Cの側面(X軸方向における側面)に形成された開口部60に配置されており、本体部36Cの内部において、受け部38Aのボックス部50Aの側方に配置されている。
【0065】
上記実施の形態3と同様に、メンテナンス動作時に吸気ファン58が駆動することにより、本体部36Cの開口部46からボックス部50Aの貫通孔56に向かう気流を積極的に発生させることができる。発生した気流は、吸気ファン58を通して側方(X軸のプラス方向)に排気される。
【0066】
(実施の形態5)
図14~
図16を参照しながら、実施の形態5に係る液体回収部10Dの構成について説明する。
図14は、実施の形態5に係る液体回収部10Dの外観を示す斜視図である。
図15は、本体部36Dを省略した状態での、実施の形態5に係る液体回収部10Dを示す斜視図である。
図16は、
図14のXVI-XVI線による、実施の形態5に係る液体回収部10Dの断面斜視図である。
【0067】
図14~
図16に示すように、実施の形態5に係る液体回収部10Dは、上記実施の形態2で説明した本体部36、受け部38A及びフィルタ54に加えて、吸引ポンプ62(気流発生部の一例)を有している。
【0068】
吸引ポンプ62は、吸気部64と、排気部66と、ポンプ部68とを有している。吸気部64は、ダクト状に形成され、本体部36Dの内部において、受け部38Aのボックス部50Aの下方に配置されている。ボックス部50Aの貫通孔56は、吸気部64に対向して配置されている。排気部66は、ダクト状に形成され、本体部36Dの側面(X軸方向における側面)に形成された開口部61に配置されている。ポンプ部68は、モータにより駆動されるダイヤフラムポンプであり、吸気部64及び排気部66の各々と連通されている。ポンプ部68は、吸気部64から吸気された空気を、排気部66を通して外部に排気する。なお、ポンプ部68を駆動するタイミングは、上記実施の形態3で説明した液体吐出装置の制御方法と同様である。
【0069】
メンテナンス動作時にポンプ部68が駆動することにより、本体部36Dの開口部46からボックス部50Aの貫通孔56に向かう気流を積極的に発生させることができる。発生した気流は、吸引ポンプ62の吸気部64、ポンプ部68及び排気部667を通して側方に排気される。これにより、上記実施の形態3及び4と同様の効果を得ることができる。
【0070】
(他の変形例)
以上、本発明の実施の形態1~5に係る液体吐出装置について説明したが、本発明は、これらの上記各実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記各実施の形態をそれぞれ組み合わせてもよい。
【0071】
上記各実施の形態では、液体吐出装置2を液体分注装置として適用したが、これに限定されず、例えば対象物にインク(液体の一例)を吐出することにより対象物に印刷を施すための印刷装置として適用してもよい。この場合には、ユーザが、例えばメンテナンス動作の終了後に、インクが溜まった受け部38(38A)を本体部36(36C,36D)の外部に取り出すことにより、筐体4の内部に飛散するインクの量を低減することができる。その結果、筐体4の内部におけるインク汚れを低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明に係る液体吐出装置は、例えば液体試薬又は液体試料等をウェルプレートに分注するための液体分注装置等として適用することができる。
【符号の説明】
【0073】
2 液体吐出装置
4 筐体
6 トレイ
8 吐出ユニット
10,10A,10B,10C,10D 液体回収部
12 ウェルプレート
13 ベースプレート
14,20、44,46、60,61 開口部
16 ガイドプレート
18 凹部
22 ヘッド部
24 駆動機構
26 キャリッジ
28 カートリッジ
30 ガイドシャフト
32 モータ
34 タイミングベルト
36,36C,36D 本体部
36a 収納部
36b 蓋部
37 ネジ
38,38A 受け部
39 凹部
40 取付片
42 ネジ
48 支持部
50,50A ボックス部
52 取っ手部
54 フィルタ
56 貫通孔
58 吸気ファン
62 吸引ポンプ
64 吸気部
66 排気部
68 ポンプ部